JP6839597B2 - 熱可塑性エラストマー組成物、並びにその用途及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は熱可塑性エラストマー組成物、並びにその成形体及び製造方法に関する。
熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易なことから、省エネルギー、省資源タイプのエラストマーとして、特に加硫ゴムの代替として、自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。
中でも、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(EPDM)とポリプロピレンなどの結晶性ポリオレフィンを原料としていることから、他の熱可塑性エラストマーに比べて、比重が軽く、耐熱老化性、耐候性などの耐久性に優れているが、用途によっては更なる改良が求められている。
また、一般的なオレフィン系熱可塑性エラストマーの架橋には、フェノール樹脂系架橋剤と架橋促進剤として塩化スズを用いることが有効であると知られている(特許文献1)。
国際公開第2016/204897号(段落0062)
本発明者らが、塩化スズ等を架橋促進剤として用いた熱可塑性エラストマー組成物の成形体をポリアセタール樹脂と接触する用途に用いたところ、時間の経過とともにポリアセタール樹脂が劣化するという問題が生じることが分かった。
本発明の課題は、ポリアセタール樹脂と接触する用途に用いた場合にも、ポリアセタール樹脂の劣化が少ない熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を達成するために、熱可塑性エラストマー中のSn(スズ)元素及びPb(鉛)元素の含有量とポリアセタール樹脂の劣化との関連性について詳細に検討した結果、Sn元素及びPb元素の含有率を合計で500ppm以下にすることによりポリアセタール樹脂の劣化を防止することを見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)90〜10質量部と、ホモポリプロピレン、及び/又はプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体(但しプロピレン含量は40モル%以上である)から選ばれる結晶性オレフィン系重合体(B)10〜90質量部(但し(A)と(B)の合計量を100質量部とする)とを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、
下記要件(i)〜(iii):
(i)Sn元素及びPb元素の含有率が合計で500ppm以下、
(ii)JIS K6253に準拠したショアA硬度(瞬間値):30〜90、及び
(iii) メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、10kg荷重)1〜150g/10分又はメルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)0.1〜10g/10分
を満たす熱可塑性エラストマー組成物。
(2)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物及び水添共役ジエン化合物重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体をエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部に対して10〜100質量部含有する前記(1)に記載の組成物。
(3)有機ペルオキシドで架橋されている前記(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)ハロゲン化されているフェノール樹脂系架橋剤で架橋されている前記(1)又は(2)に記載の組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物10〜65質量%と、ポリアセタール樹脂35〜90質量%とを含む組成物。
(6)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物を含む層(I)と、ポリアセタール樹脂を含む層(II)とが接している成形体。
(7)自動車部品である前記(6)に記載の成形体。
(8)Sn元素及び/又はPb元素を含む添加剤を配合することなく、原料組成物を熱的処理することを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物の製造方法。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリアセタール樹脂と接触する用途に用いた場合にも、ポリアセタール樹脂の劣化が少ない。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)>
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)(本発明において共重合体(A)とも称す)は、通常、(a)エチレンから導かれる単位と、(b)α−オレフィンから導かれる単位とを、50/50〜95/5、好ましくは60/40〜80/20、更に好ましくは65/35〜75/25[(a)/(b)]のモル比の範囲で含む。
また、共重合体(A)は、エチレンから導かれる単位(a)の含有量が、エチレンから導かれる単位(a)、α−オレフィンから導かれる単位(b)及び非共役ポリエン(c)の合計を100モル%に対して、好ましくは50〜90モル%、より好ましくは60〜85モル%の範囲にある。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)を構成するα−オレフィンは、通常、炭素原子数3〜20のα−オレフィンであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。中でも、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、とりわけプロピレンが好ましい。これらα−オレフィンは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)を構成する非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ナノジエン等のトリエンなどが挙げられ、これら非共役ジエンは単独でも、2種類以上でも使用することができる。これら非共役ジエンの中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)が好ましい。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、通常、非共役ポリエン成分量の一指標であるヨウ素価が1〜50、好ましくは5〜40、更に好ましくは10〜30の範囲にある。
また、共重合体(A)は、非共役ポリエンから導かれる単位(c)の含有量が、エチレンから導かれる単位(a)、α−オレフィンから導かれる単位(b)及び非共役ポリエン(c)の合計を100モル%に対して、好ましくは1〜5モル%、より好ましくは1.5〜3.5モル%の範囲にある。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、通常、135℃、デカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]が1〜10dl/g、好ましくは1.5〜8dl/gの範囲にある。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、その製造の際に軟化剤、好ましくは鉱物油系軟化剤を配合した、いわゆる油展ゴムであってもよい。鉱物油系軟化剤としては、従来公知の鉱物油系軟化剤、例えばパラフィン系プロセスオイルなどが挙げられる。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のムーニー粘度[ML(1+4)100℃]は、通常、10〜250、好ましくは30〜150の範囲にある。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、単独で、あるいは二種以上のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を用いてもよい。
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、従来公知の方法により製造することができる。
<結晶性オレフィン系重合体(B)>
結晶性オレフィン系重合体(B)(本発明において重合体(B)とも称す)は、ホモポリプロピレン、及び/又はプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体(但しプロピレン含量は40モル%以上である)から選ばれる結晶性の重合体であれば特に制限されないが、プロピレン単独、又はプロピレンとプロピレン以外の1種以上のα−オレフィンとを、高圧法又は低圧法により重合して得られる結晶性の高分子量固体生成物からなる重合体であることが好ましい。このような重合体としては、アイソタクチックモノオレフィン重合体、シンジオタクチックモノオレフィン重合体等が挙げられる。
重合体(B)は、従来公知の方法で合成して得てもよく、市販品を用いてもよい。
重合体(B)の原料となるプロピレン以外の1種以上のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等が挙げられ、好ましくはエチレン、1−ブテンである。これらのオレフィンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
ホモポリプロピレン、及び/又はプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体(但しプロピレン含量は40モル%以上である)から選ばれる結晶性の重合体は、その他の結晶性オレフィン系重合体に比較して、耐熱性、耐油性の点で好ましい。
なお、プロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体は、耐熱性の点から、プロピレン由来の構造単位の含有量が40モル%以上であることが必要であり、好ましくは50モル%以上である。
重合様式はランダム型でもブロック型でも、結晶性の樹脂状物が得られればどのような重合様式を採用しても差支えない。
前記結晶性オレフィン系重合体(B)は、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が、通常0.01〜100(g/10分)、好ましくは0.05〜50(g/10分)である。
重合体(B)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点(Tm)が、通常100℃以上、好ましくは105℃以上である。示差走査熱量測定は、例えば次のようにして行われる。試料5mg程度を専用アルミパンに詰め、(株)パーキンエルマー社製DSCPyris1又はDSC7を用い、30℃から200℃までを320℃/分で昇温し、200℃で5分間保持したのち、200℃から30℃までを10℃/分で降温し、30℃で更に5分間保持し、次いで10℃/分で昇温する際の吸熱曲線より融点を求める。なお、DSC測定時に、複数のピークが検出される場合は、最も高温側で検出されるピーク温度を融点(Tm)と定義する。
重合体(B)は、熱可塑性エラストマー組成物の流動性及び耐熱性を向上させる役割を果たす。
<重合体(C)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、(C−1)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、(C−2)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物、及び(C−3)水添共役ジエン化合物重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体(重合体(C))を含有してもよい。重合体(C)は、特に、高温領域における圧縮永久歪み特性の向上を目的として用いられる。
重合体(C−1):
重合体(C−1)は、(C−1−1)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体、及び(C−1−2)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体を包含する。
重合体(C−1−1):
重合体(C−1−1)は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体であり、芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
重合体(C−1−1)は、芳香族ビニル化合物を3〜60質量%、好ましくは5〜50質量%含む。
重合体(C−1−1)の数平均分子量は、好ましくは150,000〜500,000、より好ましくは、170,000〜400,000、更に好ましくは200,000〜350,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。
重合体(C−1−1)の具体例としては、例えばスチレンとブタジエンとの共重合体(SBR)が挙げられる。
重合体(C−1−2):
重合体(C−1−2)は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体であり、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなる。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を挙げることができる。
重合体(C−1−2)は、芳香族ビニル化合物を5〜60質量%、好ましくは20〜50質量%含む。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは、芳香族ビニル化合物のみからなるか、又は芳香族ビニル化合物50質量%以上、好ましくは70質量%以上と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは、共役ジエン化合物のみからなるか、又は、共役ジエン化合物50質量%以上、好ましくは、70質量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
重合体(C−1−2)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、更に好ましくは100,000〜400,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組み合わせでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
重合体(C−1−2)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
重合体(C−1−2)の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)等が挙げられる。
重合体(C−1−2)の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。
重合体(C−2):
重合体(C−2)は、(C−2−1)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体の水添物及び(C−2−2)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水添物を包含する。
重合体(C−2−1):
重合体(C−2−1)は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体の水添物であり、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種又は2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。
また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種又は2種以上が選ばれる。
重合体(C−2−1)は、引張特性、耐加熱変形性の観点から、メルトフローレート(ASTM D1238準拠、230℃、荷重21.18Nで測定)が12g/10分以下のものが好ましく、6g/10分以下のものが更に好ましい。
芳香族ビニル化合物含有量は50質量%以下が好ましく、より好ましくは、柔軟な樹脂組成物を得るという目的から、25質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下である。また同じ目的から、共役ジエン化合物の炭素−炭素二重結合を水素添加により飽和させることも重要である。
芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のランダム構造において、該芳香族ビニル化合物はランダムに結合している。また、該共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
重合体(C−2−1)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,000,000であり、より好ましくは10,000〜350,000であり、分子量分布は10以下である。
重合体(C−2−1)の具体例としては、例えば、スチレン・ブタジエンランダム共重合体の水素添加物(水添SBR又はH−SBR)が挙げられ、その市販例として、例えばダイナロン1320P(商品名、ジェイエスアール社製)が挙げられる。
重合体(C−2−2):
重合体(C−2−2)は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体の水添物であり、芳香族ビニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加して得られる。例えば、A−B、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加して得られる。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、芳香族ビニル化合物のみからなる重合体か、芳香族ビニル化合物と50質量%未満の共役ジエン化合物との共重合体であってもよい。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、共役ジエン化合物のみからなる重合体か、共役ジエン化合物と50質量%未満の芳香族ビニル化合物の共重合体であってもよい。
重合体(C−2−2)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
重合体(C−2−2)は、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、その水素添加率は任意であるが、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。また、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ブロックBがブタジエン単独で構成される場合、ポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50質量%、特に好ましくは25〜45質量%である。また、1,2−結合を選択的に水素添加した物であってもよい。ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物から構成される場合、1,2−ミクロ構造が好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より更に好ましくは15%未満である。
ブロックBがイソプレン単独で構成される場合、ポリイソプレンブロックにおいてはイソプレンの好ましくは70〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
また、重合体ブロックAは、成分全体の5〜70質量%の割合で存在するのが好ましい。更に、成分全体の重量平均分子量は、150,000〜500,000が好ましく、更に好ましくは200,000〜400,000である。重量平均分子量が200,000を下回ると、得られる組成物の圧縮永久歪み特性が低下する。前記範囲内では分子量が大きいほど、得られる組成物の圧縮永久歪み特性が良好となる。
重合体(C−2−2)の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができ、これらを用途に合わせて適宜使用することができる。
重合体(C−2−2)の製造方法としては、数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。こうしたブロック共重合体の水素添加処理は、公知の方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に行うことができる。
重合体(C−3):
重合体(C−3)は、共役ジエン化合物重合体の水素添加物であり、例えば、ブタジエンのブロック共重合体を水素添加して得られる結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。重合体(C−3)は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、重合体(C−3)の重量平均分子量は、500,000以下であり、好ましくは200,000〜450,000である。重量平均分子量が500,000を超えると、押出・射出成形性が悪化し、重量平均分子量が200,000を下回ると、圧縮永久歪み特性向上効果が低下する。
前記した重合体(C)の中でも、柔軟性付与効果に優れ、かつ圧縮永久歪み向上効果に優れる点で、重合体(C−2−2)が好ましく、中でもスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)が更に好ましい。その中でも、圧縮永久歪み向上効果に特に優れることから、セプトン4077(クラレ株式会社製)及びKRATON MD6933ES(クレイトンポリマージャパン社製)が最も好ましい。
重合体(C)は、共重合体(A)100質量部に対して、通常10〜100質量部、好ましくは20〜65質量部となるような量で用いられる。
<架橋剤>
本発明に用いる架橋剤としては、例えば有機ペルオキシド、イオウ、イオウ化合物、ハロゲン化されているフェノール樹脂系架橋剤などが挙げられるが、中でも有機ペルオキシド、ハロゲン化されているフェノール樹脂系架橋剤が好ましく用いられる。
有機ペルオキシドとしては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
中でも、臭気性、スコーチ安定性の点で2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及びn−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、中でも1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
これら有機ペルオキシドは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)及び結晶性オレフィン系重合体(B)の合計量100質量部に対して、通常、0.01〜15質量部、好ましくは0.03〜12質量部の割合で用いられる。有機ペルオキシドを前記割合で用いると、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の少なくとも一部が架橋された熱可塑性エラストマー組成物が得られ、耐熱性、引張特性及びゴム弾性が十分な成形体が得られる。
本発明において架橋剤としてフェノール樹脂系架橋剤を用いる場合は、ハロゲン化されているフェノール樹脂系架橋剤を用いる。
架橋剤としてハロゲン化されていないフェノール樹脂系架橋剤を用いる場合は、通常、架橋促進剤として塩化スズ、塩化鉛等のハロゲン化金属を用いるが、これらを一定量以上用いた熱可塑性エラストマー組成物の成形体をポリアセタール樹脂と接触する用途に用いると、時間の経過とともにポリアセタール樹脂が劣化するという問題がある。
ハロゲン化されているフェノール樹脂系架橋剤を用いることにより、塩化スズ、塩化鉛等のハロゲン化金属を用いることを避けることができるため、前記の問題を回避することができる。
ハロゲン化されているフェノール樹脂系架橋剤としては、例えばハロゲン化アルキルフェノール樹脂等が挙げられ、好ましくは、フェノール樹脂の末端の水酸基を臭素化したものが挙げられる。フェノール樹脂系硬化樹脂において、末端が臭素化されたものの一例を下記一般式(I)に示す。
Figure 0006839597
(式中、nは0〜10の整数、Rは炭素数1〜15の飽和炭化水素基である。)
また、熱可塑性加硫ゴムのフェノール樹脂による架橋の具体的な例としては、米国特許第4,311,628号、米国特許第2,972,600号及び米国特許第3,287,440号各明細書に記載され、これらの技術も本発明で用いることができる。
米国特許第4,311,628号には、フェノール系硬化性樹脂(phenolic curing resin)及び加硫活性剤(cure activator)からなるフェノール系加硫剤系(phenolic curative system)が開示されている。該系の基本成分は、アルカリ媒体中における置換フェノール(例えば、ハロゲン置換フェノール、C−Cアルキル置換フェノール)又は非置換フェノールとアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドとの縮合によるか、あるいは二官能性フェノールジアルコール類(好ましくは、パラ位がC−C10アルキル基で置換されたジメチロールフェノール類)の縮合により製造されるフェノール樹脂系架橋剤である。アルキル置換フェノール樹脂系架橋剤のハロゲン化により製造されるハロゲン化されたアルキル置換フェノール樹脂系架橋剤が、特に適している。メチロールフェノール硬化性樹脂、ハロゲン供与体及び金属化合物からなるフェノール樹脂系架橋剤が特に推奨でき、その詳細は米国特許第3,287,440号及び同第3,709,840号各明細書に記載されている。非ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤は、ハロゲン供与体と同時に、好ましくはハロゲン化水素スカベンジャーとともに使用される。これに対して、通常、ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤、好ましくは、2〜10質量%の臭素を含有している臭素化フェノール樹脂系架橋剤はハロゲン供与体を必要としないが、例えば酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素及び酸化亜鉛、好ましくは酸化亜鉛のような金属酸化物のごときハロゲン化水素スカベンジャーと同時に使用される。これら酸化亜鉛などのハロゲン化水素スカベンジャーは、フェノール樹脂系架橋剤100質量部に対して、通常1〜20質量部用いられる。このようなスカベンジャーの存在はフェノール樹脂系架橋剤の架橋作用を促進するが、フェノール樹脂系架橋剤で容易に加硫されないゴムの場合には、ハロゲン供与体及び酸化亜鉛を共用することが望ましい。ハロゲン化フェノール系硬化性樹脂の製法及び酸化亜鉛を使用する加硫剤系におけるこれらの利用は米国特許第2,972,600号及び同第3,093,613号各明細書に記載されており、その開示は前記米国特許第3,287,440号及び同第3,709,840号各明細書の開示とともに参考として本明細書にとり入れるものとする。適当なハロゲン供与体の例としては、例えば、塩化第一スズ、塩化第二鉄、又は塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン及びポリクロロブタジエン(ネオプレンゴム)のようなハロゲン供与性重合体が挙げられる。本明細書で使用されている「加硫促進剤」なる用語はフェノール樹脂系架橋剤の架橋効率を実質上増加させるあらゆる物質を意味し、そして金属酸化物及びハロゲン供与体を包含し、これらは単独で、又は組み合わせて使用される。フェノール系加硫剤系のより詳細に関しては、「Vulcanization and Vulcanizing Agents」(W. Hoffman, Palmerton Publishing Company)を参照されたい。適当なフェノール樹脂系架橋剤及び臭素化フェノール樹脂系架橋剤は商業的に入手することができ、例えばかかる架橋剤の製品例としては、タッキロール(登録商標)250−I(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)社製)、タッキロール(登録商標)250−III(臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業(株)社製)、Schenectady社製SP−1055Fなどの臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤は、共重合体(A)100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは1〜12質量部、より好ましくは1〜10質量部となるような量で用いられる。
本発明においては、架橋剤による架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N,4−ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミド等の架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート又はビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーからなる架橋助剤を添加してもよい。このような架橋助剤を添加することにより、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。本発明においてはジビニルベンゼンを用いると、取扱い易さ、前記被処理物の主成分たるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)及び結晶性オレフィン系重合体(B)との相溶性が良好であり、かつ前記有機ペルオキシドの可溶化作用を有し、有機ペルオキシドの分散助剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性のバランスのとれた熱可塑性エラストマー組成物が得られるため最も好ましい。
本発明に用いる架橋助剤は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)及び結晶性オレフィン系重合体(B)の合計量100質量部に対して、通常0.01〜15質量部、好ましくは0.03〜12質量部の割合で用いられる。
<その他の成分>
本発明の組成物には、共重合体(A)、重合体(B)、重合体(C)及び架橋剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、軟化剤、無機充填剤等が挙げられる。また、添加剤としては、共重合体(A)以外のゴム(例えば、ポリイソブチレン、ブチルゴム、プロピレン・エチレン共重合体ゴム、プロピレン・ブテン共重合体ゴム及びプロピレン・ブテン・エチレン共重合体ゴムなどのプロピレン系エラストマー、エチレン・プロピレン共重合体ゴムなどのエチレン系エラストマー);熱硬化性樹脂、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂等の結晶性オレフィン系重合体(B)以外の樹脂;紫外線吸収剤;酸化防止剤;耐熱安定剤;老化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤;帯電防止剤;金属セッケン;脂肪族アミド;ワックスなどの滑剤等、ポリオレフィンの分野で用いられている公知の添加剤が挙げられる。
これら添加剤は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本明細書において特に言及している添加剤以外の添加剤の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、共重合体(A)及び重合体(B)の合計100質量部に対して、それぞれ通常0.0001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部程度である。
軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サブ(ファクチス);蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸又は脂肪酸塩;ナフテン酸;パイン油、ロジン又はその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。
これら軟化剤は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、共重合体(A)及び重合体(B)の合計100質量部に対して、通常2〜400質量部、好ましくは50〜350質量部、更に好ましくは70〜250質量部の量で用いられる。軟化剤をこのような量で用いると、組成物の作製時及び成形時の流動性に優れ、カーボンブラック等の分散性を向上させ、得られる成形体の機械的物性を低下させ難く、また、得られる成形体は、耐熱性、耐熱老化性に優れる。
無機充填剤としては、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、カーボンブラック、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。
これら無機充填剤は、共重合体(A)及び重合体(B)の合計100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部の量で用いられる。
老化防止剤としては、例えば、フェニルブチルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤がある。
共重合体(A)以外のゴムを用いる場合には、該ゴムは、共重合体(A)及び重合体(B)の合計100質量部に対して、通常2〜200質量部、好ましくは5〜150質量部の量で用いる。
[本発明の組成物、その製造方法及び成形体]
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、共重合体(A)、重合体(B)、重合体(C)及び架橋剤、必要に応じて配合される添加剤を含む混合物を動的に熱処理して架橋(動的架橋)することによって得られる。
共重合体(A)と重合体(B)と重合体(C)とを架橋剤により動的架橋することにより、本発明の組成物が得られる。
本発明において、「動的に熱処理する」とは、架橋剤の存在下で、前記混合物を溶融状態で混練することをいう。また、「動的架橋」とは、混合物にせん断力を加えながら架橋することをいう。
本発明の組成物では、共重合体(A)と重合体(B)との質量比(A)/(B)は、90/10〜10/90、好ましくは90/10〜60/40、より好ましくは90/10〜63/37である。質量比(A)/(B)が前記範囲にあると、機械物性、成形性に優れた成形体が得られる。
動的な熱処理は、非開放型の装置中で行うことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理の温度は、通常重合体(B)の融点から300℃の範囲であり、好ましくは150〜280℃、より好ましくは170〜270℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、最高剪断速度で通常10〜100,000sec−1、好ましくは100〜50,000sec−1、より好ましくは1,000〜10,000sec−1、更に好ましくは2,000〜7,000sec−1の範囲である。
混練の際の混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸押出機、二軸押出機等が挙げられる。なお、これら混練装置としては、非開放型の装置が好ましい。
本発明の組成物は、Sn元素及びPb元素の含有率が合計で500ppm以下である。
したがって、ポリアセタール樹脂と接触する用途に用いた場合にも、ポリアセタール樹脂の劣化が少ない。
Sn元素及びPb元素の含有率が合計で500ppm以下である組成物を得るには、Sn元素及び/又はPb元素を含む添加剤を配合しないか、配合量を一定量以下に制限すればよい。
また、本発明の組成物は、JIS K6253に準拠したショアA硬度(瞬間値)が30〜90である。
したがって、ポリアセタール樹脂と接触させた場合に、ゴム弾性、防振性、シール性を付与することができる。
JIS K6253に準拠したショアA硬度(瞬間値)が30〜90である組成物を得るには、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)90〜10質量部及び結晶性オレフィン系重合体(B)10〜90質量部(但し(A)と(B)の合計量を100質量部とする)に対して、軟化剤の配合量を調節して所定の硬度にすればよい。
更に、本発明の組成物は、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、10kg荷重)が1〜150g/10分であるか、又はメルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が0.1〜10g/10分である。
メルトフローレートを前記範囲にすることで成形加工性に優れた熱可塑性エラストマーを提供することができる。
メルトフローレートが前記の範囲内にある組成物を得るには、結晶性オレフィン系重合体(B)として、通常、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が0.01〜100(g/10分)のものに軟化剤の配合量を調節して所定のメルトフローレートにすればよい。
本発明の組成物をポリアセタール樹脂と組み合わせて用いる場合には、耐熱性、耐摩耗性、機械強度の観点から、両者の割合は、本発明の組成物10〜65質量%、ポリアセタール樹脂35〜90質量%とすることが好ましい。
本発明の組成物は、成形加工性に優れているため、様々な成形法により、成形が可能である。前記成形としては、押出成形、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形、真空成形、プレス成形、スタンピング成形、ブロー成形等が挙げられる。なお、ブロー成形としては、ブレスブロー成形、ダイレクトブロー成形、インジェクションブロー成形等が挙げられる。
[本発明の成形体]
本発明の成形体は、本発明の組成物を含む層(I)と、ポリアセタール樹脂を含む層(II)とが接している。
本発明に用いるポリアセタール樹脂は、公知の製造方法により製造可能である。ポリアセタール樹脂には、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーのいずれを用いてもよい。また、ポリアセタール樹脂の基体樹脂としては、ポリアセタールを公知の方法で架橋又はグラフト共重合して変性させたものを用いることができる。ポリアセタール樹脂の重合度や末端基の構造も、特定のものに限定されない。
本発明の成形体は、前記層(I)中に、塩化スズ、塩化鉛等のポリアセタール樹脂を劣化させる成分を含有していないか、あるいは、一定量以下に制限しているため、ポリアセタール樹脂の劣化を防止することができる。
したがって、本発明の組成物を含む層(I)と、ポリアセタール樹脂を含む層(II)とが接している成形体とすることにより、ポリアセタール樹脂の劣化の問題がない製品を製造することができる。
本発明の組成物を含む層(I)と、ポリアセタール樹脂を含む層(II)とが接している成形体としては、例えば、自動車の車両にホース(パイプ)を固定するクランプ、自動車部品を固定するクリップ・グロメット・フックが挙げられる。
本発明の組成物を含む層(I)と、ポリアセタール樹脂を含む層(II)とが接している成形体は、例えば本発明の組成物を含む層(I)と、ポリアセタール樹脂を含む層(II)の各部品射出成形品のはめ込み、積層、インサート成形、多層ブロー成形により得られる。
次に本発明について実施例を示して更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[測定方法]
[エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体]
[各構造単位のモル量及び質量]
エチレン[A]に由来する構造単位、α−オレフィン[B]に由来する構造単位及び非共役ポリエン[C]に由来する構造単位のモル量及び質量は、H−NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めた。
[ムーニー粘度]
ムーニー粘度ML(1+4)100℃は、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて、JIS K6300(1994)に準じて測定した。
[熱可塑性樹脂組成物及び成形体の物性]
下記実施例及び比較例における熱可塑性エラストマー組成物及び成形体の物性の評価方法は次の通りである。
[ショアA硬度(瞬間値)]
100t電熱自動プレス(ショージ社製)を用いて、得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットを230℃で6分間プレス成形し、その後、室温で5分間冷却プレスして厚さ3mmのプレスシートを作製した。該シートを用いて、JIS K6253に準拠して、A型測定器を用い、押針接触後直ちに目盛りを読み取った。
[メルトフローレート(MFR)(g/10分)]
JIS K6721に準拠して、230℃で10kgの荷重にて測定した。
また、ISO1133(又はASTM D1238)に準拠し、230℃、2.16kgの荷重にて測定した。
[Sn含有量]
Sn含有量は、波長分散型蛍光X線装置LAB CENTER XRF−1700(島津製作所)を用いて、蛍光X線分析により行った。分析条件は以下のとおりである。
分析条件:X線管球 Rh 40kV 95mA 絞りφ20mm、測定雰囲気:真空
[POM表面外観観察]
ショージ(株)社製油圧式100トン電熱自動プレス機を用い、プレス温度を220℃に設定し、10MPaの圧力でシート成形した。予熱を6分、10MPaで4分間加圧した後、25℃に設定した冷却用プレスを用い、10MPaで圧縮し、5分冷却(チラー冷却温度25℃設定)して測定用試料を作成した。
成形した熱可塑性エラストマーシートとポリアセタール樹脂(POM)(商品名「ジュラコンM90−44」、ポリプラスチックス(株)社製)を重ねてオーブンにて120℃で168時間加熱後の接触面を目視にて観察した。
[合成例1]エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(EPDM)の合成
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて連続的に、エチレン、α−オレフィンとしてプロピレン、非共役ポリエンとして5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)からなる三元共重合体の重合反応を90℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量74L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が6.6Kg/h、プロピレンフィード量が3.2Kg/h、ENBフィード量が0.56Kg/h及び水素フィード量が10.9NL/hとなるように、各成分を重合器に連続供給した。
重合圧力を1.8MPa、重合温度を90℃に保ちながら、主触媒として、[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−[(1,2,3,3A,8A−η)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−S−インダセン−1−イル]シランアミネート(2−)−κN][(1,2,3,4−η)−1,3−ペンタジエン]−チタニウムを用いて、主触媒をフィード量0.015mmol/hとなるよう連続的に供給した。また、共触媒として(CCB(Cをフィード量0.075mmol/h、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフィード量10mmol/hとなるように、それぞれ連続的に供給した。
このようにして、エチレン、プロピレン及びENBからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、9.1質量%の溶液状態で得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上の操作によって、エチレン、プロピレン及びENBから形成されるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が毎時5.3Kgの速度で得られた。
[実施例1]熱可塑性エラストマー組成物及び成形体
合成例1で得られたエチレン含量が63モル%、ヨウ素価が13、ムーニー粘度[ML(1+4)100℃]が75のエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)100質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が1g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−1)30質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が12g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−2)16質量部、軟化剤(ダイアナプロセスPW−100、パラフィンオイル、出光興産社製)110質量部、フェノール樹脂系架橋剤として臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(商品名:SP−1055F、Schenectady社製)6質量部、酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)0.3質量部及びカーボンブラックマスターバッチ(商品名:PEONY BLACK F32387MM、DIC(株)製)4質量部を押出機(品番 KTX−30、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1:50℃、C2:90℃、C3:100℃、C4:120℃、C5:180℃、C6:200℃、C7〜C14:200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:40kg/h)にて、得られた混合物の動的架橋を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。配合及び評価結果を表1に示す。
[実施例2]熱可塑性エラストマー組成物及び成形体
合成例1で得られたエチレン含量が63モル%、ヨウ素価が13、ムーニー粘度[ML(1+4)100℃]が75のエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)100質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が1g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−1)30質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が12g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−2)16質量部、軟化剤(ダイアナプロセスPW−100、パラフィンオイル、出光興産社製)110質量部、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(Pox)0.1質量部、ジビニルベンゼン(DVB)0.2質量部及びカーボンブラックマスターバッチ(商品名:PEONY BLACK F32387MM、DIC(株)製)4質量部を押出機(品番 KTX−30、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1:50℃、C2:90℃、C3:100℃、C4:120℃、C5:180℃、C6:200℃、C7〜C14:200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:40kg/h)にて、得られた混合物の動的架橋を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。配合及び評価結果を表1に示す。
[実施例3]熱可塑性エラストマー組成物及び成形体
合成例1で得られたエチレン含量が63モル%、ヨウ素価が13、ムーニー粘度[ML(1+4)100℃]が75のエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)100質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が1g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−1)38質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が12g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−2)25質量部、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)(水添スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン含量30質量%、重量平均分子量23万、水添率95%以上、メルトフローレート(ISO1133;230℃、2.16kg荷重)No Flow、油展量=56(PHR))60質量部、軟化剤(ダイアナプロセスPW−100、パラフィンオイル、出光興産社製)110質量部、フェノール樹脂系架橋剤として臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(商品名:SP−1055F、Schenectady社製)6質量部、酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)0.3質量部及びカーボンブラックマスターバッチ(商品名:PEONY BLACK F32387MM、DIC(株)製)4質量部を押出機(品番 KTX−30、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1:50℃、C2:90℃、C3:100℃、C4:120℃、C5:180℃、C6:200℃、C7〜C14:200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:40kg/h)にて、得られた混合物の動的架橋を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。配合及び評価結果を表1に示す。
[実施例4]熱可塑性エラストマー組成物及び成形体
合成例1で得られたエチレン含量が63モル%、ヨウ素価が13、ムーニー粘度[ML(1+4)100℃]が75のエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)100質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が1g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−1)30質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が12g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−2)16質量部、軟化剤(ダイアナプロセスPW−100、パラフィンオイル、出光興産社製)110質量部、フェノール樹脂系架橋剤として臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂(商品名:SP−1055F、Schenectady社製)6質量部、酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)0.3質量部、無水塩化第一スズ(昭和化工社製)0.1質量部及びカーボンブラックマスターバッチ(商品名:PEONY BLACK F32387MM、DIC(株)製)4質量部を押出機(品番 KTX−30、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1:50℃、C2:90℃、C3:100℃、C4:120℃、C5:180℃、C6:200℃、C7〜C14:200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:40kg/h)にて、得られた混合物の動的架橋を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。配合及び評価結果を表1に示す。
[比較例1]
合成例1で得られたエチレン含量が63モル%、ヨウ素価が13、ムーニー粘度[ML(1+4)100℃]が75のエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPDM)100質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が1g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−1)30質量部、メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が12g/10分、密度が0.91g/cmのプロピレン単独重合体(PP−2)16質量部、軟化剤(ダイアナプロセスPW−100、パラフィンオイル、出光興産社製)110質量部、フェノール樹脂系架橋剤として非ハロゲン化フェノール樹脂系架橋剤(商品名:SP−1045、Schenectady社製)6質量部、酸化亜鉛(酸化亜鉛2種、ハクスイテック社製)0.3質量部、無水塩化第一スズ(昭和化工社製)1質量部及びカーボンブラックマスターバッチ(商品名:PEONY BLACK F32387MM、DIC(株)製)4質量部を押出機(品番 KTX−30、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1:50℃、C2:90℃、C3:100℃、C4:120℃、C5:180℃、C6:200℃、C7〜C14:200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:500rpm、押出量:40kg/h)にて、得られた混合物の動的架橋を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。配合及び評価結果を表1に示す。
[比較例2及び3]
比較例1において、無水塩化第一スズ(昭和化工社製)の配合量を表1に記載のように変えた以外は、比較例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
得られたペレットを用いて物性評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例4及び5]
エチレン・プロピレン共重合体とポリプロピレン成分からなり動的架橋をほどこされたポリオレフィン系エラストマーであるエー・イー・エス社製、サントプレン101−64(比較例4)又はサントプレン101−55(比較例5)を用いて実施例1〜4及び比較例1〜3と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006839597

Claims (7)

  1. エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)90〜10質量部と、ホモポリプロピレン、及び/又はプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体(但しプロピレン含量は40モル%以上である)から選ばれる結晶性オレフィン系重合体(B)10〜90質量部(但し(A)と(B)の合計量を100質量部とする)とを含
    下記要件(i)〜(iii):
    (i)Sn元素及びPb元素の含有率が合計で500ppm以下、
    (ii)JIS K6253に準拠したショアA硬度(瞬間値):30〜90、及び
    (iii) メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、10kg荷重)1〜150g/10分又はメルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)0.1〜10g/10分
    を満たす熱可塑性エラストマー組成物であって、ハロゲン化されているフェノール樹脂系架橋剤で架橋されている組成物10〜65質量%と、
    ポリアセタール樹脂35〜90質量%とを含む組成物
  2. 芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物及び水添共役ジエン化合物重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体をエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部に対して10〜100質量部含有する請求項1に記載の組成物。
  3. エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)90〜10質量部と、ホモポリプロピレン、及び/又はプロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体(但しプロピレン含量は40モル%以上である)から選ばれる結晶性オレフィン系重合体(B)10〜90質量部(但し(A)と(B)の合計量を100質量部とする)とを含み、
    下記要件(i)〜(iii):
    (i)Sn元素及びPb元素の含有率が合計で500ppm以下、
    (ii)JIS K6253に準拠したショアA硬度(瞬間値):30〜90、及び
    (iii) メルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、10kg荷重)1〜150g/10分又はメルトフローレート(ASTM D1238−65T;230℃、2.16kg荷重)0.1〜10g/10分
    を満たす熱可塑性エラストマー組成物であって、ハロゲン化されているフェノール樹脂系架橋剤で架橋されている組成物を含む層(I)と、
    ポリアセタール樹脂を含む層(II)とが接している成形体。
  4. 前記熱可塑性エラストマー組成物が、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の水添物及び水添共役ジエン化合物重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体をエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部に対して10〜100質量部含有する請求項3に記載の成形体。
  5. 自動車部品である請求項3又は4に記載の成形体。
  6. Sn元素及び/又はPb元素を含む添加剤を配合することなく、原料組成物を熱的処理することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物の製造方法。
  7. Sn元素及び/又はPb元素を含む添加剤を配合することなく、原料組成物を熱的処理することにより前記熱可塑性エラストマー組成物を製造することを含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
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