JP2005035176A - 多層構成体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)よりなる表層2と,オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)よりなる内層3とを積層してなる多層構成体1である。オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)は,ポリオレフィンと,ゴム4及びプロセスオイル(A)25よりなる軟質成分(A)21とからなる。オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)は,ポリオレフィンと,ゴム4及びプロセスオイル(B)35よりなる軟質成分(B)31とからなる。多層構成体1は,プロセスオイル(A)25の分子量をMa,プロセスオイル(B)35の分子量をMbとすると,MaとMbは,Ma≦Mbという関係式を満たす。また,軟質成分(A)21の含有量をCa(wt%),軟質成分(B)31の含有量をCb(wt%)とすると,CaとCbは,Ca<Cbという関係式を満たす。
【選択図】 図1
Description
ところが,近年,リサイクル上の問題,即ちリサイクル時に有害な物質を発生するという問題から,塩化ビニルの使用を回避することが望まれている。
このように高温条件下でその表面に光沢を生じる多層構成体は,高温条件下に曝され易い自動車の外装材や内装材等の用途には,必ずしも適していなかった。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)は,ポリオレフィンと,ゴム及びプロセスオイル(A)よりなる軟質成分(A)とからなり,
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)は,ポリオレフィンと,ゴム及びプロセスオイル(B)よりなる軟質成分(B)とからなり,
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)中のプロセスオイル(A)の分子量をMa,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)中のプロセスオイル(B)の分子量をMbとすると,MaとMbは,Ma≦Mbという関係式を満たし,
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)中の上記軟質成分(A)の含有量をCa(wt%),上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)中の上記軟質成分(B)の含有量をCb(wt%)とすると,CaとCbは,Ca<Cbという関係式を満たすことを特徴とする多層構成体にある(請求項1)。
本発明の多層構成体は,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)よりなる上記外層と上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)よりなる上記内層とを積層してなり,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)中に含まれるプロセスオイル(A)の分子量Maと上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)中に含まれるプロセスオイル(B)の分子量Mbとが,Ma≦Mbという関係にある。さらに,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)中の上記軟質成分(A)の含有量Caは,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)中の上記軟質成分(B)の含有量Cbよりも少なくなっている。
そのため,本発明の多層構成体は,高温においても,表面の光沢化がほとんどおこらない。
上記したように,多層構成体の表面の光沢化は,オレフィン系熱可塑性エラストマー中の樹脂成分やゴムと相溶性の低いプロセスオイルが表層の表面に移行することによって起こると考えられている。
本発明の多層構成体においては,上記のように,表層と内層中のプロセスオイルの分子量を同じにするか,あるいは表層のプロセスオイル(A)の分子量を内層のプロセスオイル(B)の分子量よりも小さくしている。表層及び内層のプロセスオイルの分子量を同じにした場合には,高温下におけるプロセスオイルの移行がほとんど起こらなくなる。また,表層のプロセスオイルの分子量を内層のプロセスオイルの分子量よりも大きくした場合には,高温下におけるプロセスオイルの移行は,表層から内層側へ向かっておこるようになる。
それ故,本発明の多層構成体においては,表層の表面へのプロセスオイルのブリード防ぐことができ,表面の光沢化が起こらなくなると考えられる。
これらのオレフィンは,単独又は2種以上の組み合わせ又は2種以上の共重合体を用いることができる。
特に,上記のポリオレフィンとしては,ポリプロピレンが好ましい。
この場合には,上記多層構成体の強度を向上させることができる。
エチレン−α−オレフィン系エラストマーとしては,例えばEPR(エチレンプロピレンゴム),EPDM(エチレンプロピレン三元共重合体ゴム),EBR(エチレンブテンゴム),及びEOR(エチレンオクテンゴム)等を用いることができる。これらのエラストマーは,単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは,EPDMがよい。
好ましくは,SEBS及びSEPSが良い。
Ma>Mbの場合には,高温でプロセスオイルが表層の表面へブリードし,表面の光沢化がおこるおそれがある。
なお,上記プロセスオイル(A)及びプロセスオイル(B)として,それぞれ複数のプロセスオイルを用いる場合には,プロセスオイル(A)の平均分子量をMa,プロセスオイル(B)の平均分子量をMbとしたときに,Ma≦Mbとなるようにすることができる。
また,必要に応じて,エステル系可塑剤,パラフィン油,及び流動パラフィン等の他の油状軟化剤を併用することができる。
Ca≧Cbの場合には,上記多層構成体の表面にプロセスオイルがブリードすることを充分に抑制できないおそれがある。また,この場合には,耐傷付性や組み付け性が低下するおそれがある。
この場合には,上記多層構成体の表面へのプロセスオイルのブリードが一層抑制される。そのため,上記多層構成体は,高温での光沢化がより一層発生し難いものとなる。
上記プロセスオイル(A)及びプロセスオイル(B)の量がゴムに対する重量比で0.5未満の場合には,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)及び上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)に柔軟性を付与して車体等への組み付け性を向上させるために多量のゴムが必要となり,製造コストが増大するおそれがある。一方,1.5を超える場合には,高温下で上記多層構成体の表面にプロセスオイルがブリードし易くなるおそれがある。
プロセスオイルの分子量が400未満の場合には,熱可塑性エラストマーとの相溶性が著しく低下し,ブリードを起こし易くなるおそれがある。一方,750を超える場合には,軟質化効率が低下するため,多量のプロセスオイルが必要となり製造コストが増大するおそれがある。
この場合には,プロセスオイルの保持性をより向上させることができるため,ブリードが一層起こり難くなる。
この場合には,上記多層構成体の強度等を向上させることができると共に,その製造コストを低くさせることができる。
無機フィラーとしては,例えばタルク,炭酸カルシウム,マイカ,硫酸バリウム,クレー,ケイ酸カルシウム,及びガラス繊維等を用いることができる。
この場合には,その優れた表面硬度を活かして,上記多層構成体は,耐傷付性に特に優れたものとなる。そのため,この場合には,上記多層構成体を例えばルーフモールやオープニングトリム等の自動車用外装材及び内装材等に好適に用いることができる。
次に,本発明の多層構成体の実施例につき,図1を用いて説明する。
本例の多層構成体1は,図1に示すごとく,オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)よりなる表層2と,オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)よりなる内層3とを積層してなる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)は,ポリオレフィンと,ゴム4及びプロセスオイル(A)25よりなる軟質成分(A)21とからなり,オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)は,ポリオレフィンとゴム4及びプロセスオイル(B)35よりなる軟質成分(B)31とからなる。
また,オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)中の軟質成分(A)21の含有量をCa(wt%),オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)中の軟質成分(B)31の含有量をCb(wt%)とすると,CaとCbは,Ca<Cbという関係式を満たす。
まず,下記の表1及び表2に示すごとく,ポリオレフィン,ゴム及びプロセスオイルの配合量の異なる15種類のオレフィン系熱可塑性エラストマー(試料A〜試料O)を準備した。
これらの試料A〜試料Oは,いずれもポリオレフィンとしてポリプロピレン(三井住友ポリオレフィン株式会社製のJ105;ブロックコポリマー,MFR=13g/10分)を含有し,ゴムとしてEPDM(三井石油化学工業株式会社製のEPT3091;ムーニー粘度83ML1+4(100℃))を含有し,またプロセスオイルとしてパラフィン系プロセスオイルを含有する。
即ち,JIS K7215に準拠し,ショアD,ショアAとも,厚さ6mmのプレスシート1枚について測定した。値は15秒後の値を読みとった。
上記試料A〜Fについては,ショアDにて測定した。また,試料G〜OについてはショアAにて測定し,得られた値をショアDに換算した。その結果を表1及び表2に示す。表1及び表2において,各試料の表面硬度は,ショアDで測定した値またはショアDの換算値については,その測定値の直後にDを付記して表し,ショアAで測定した値については,その測定値の直後にAを付記して表した。
なお,成形時の成形条件は次の通りである。
成形温度:(C1−C2−C3−D1)=(80−190−190−190℃),ブレーカプレート使用,回転数:20rpm,ダイス形状:幅30mm×厚み2mm。ここで,C1,C2,C3は,それぞれシリンダーの温度を表し,ホッパー側から最も近い位置にあるシリンダーの温度をC1とし,ホッパー側から離れるにつれて順次そのシリンダー温度をC2,及びC3として表した。D1は,ダイスの温度である。
次に,上記のようにして作製した78種類の多層構成体について,耐熱試験をおこなった。
具体的には,まず,上記にて作製した多層構成体を温度90℃のオーブン中で100時間加熱した。その後,冷却し,多層構成体の表層の表面を目視にて観察した。
多層構成体の表層の表面に,表面全体にわたって光沢化がはっきりと観察された場合を×として評価し,また,部分的に,若干光沢化が観察された場合を△として評価し,光沢化が全く観察されなかった場合を○として評価した。
その結果を表3に示す。
次に,本例では,実施例1にて準備したオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いて,実施例1と同様にして多層構成体を作製し,その耐傷付性及び製品組み付け性(ボデー追従性)を調べた。
下記の引っ掻き試験及び学振摩耗試験を行い,光沢値の変化が試験前に比べて10%以下である場合には○として評価し,11〜24%の場合には△として評価し、25%以上の場合には×として評価した。
その結果を表4に示す。
「引っ掻き試験」
室温で表面に鉛筆の先端を接触角45°,荷重4.9Nにてあて,摺動(速度100±5mm/min)させた後,外観を目視で観察し試験前の試験片と比較する。
「学振摩耗試験」
室温で食し部分に綿帆布をセットし,垂直荷重1kgfをかけて,試料(20mm×100mm)綿上を往復30回摺動させた後,外観を目視にて観察し,試験前の試験片と比較する。
100mmにカットした試験片をボデー開口相当の専用治具にセットし,20±5mm/minの速度で挿入させた時の最大挿入力(F1)を測定する
最大挿入力が35N以下の時を○として評価し,35Nを越えた場合を×として評価した。
その結果を表4に示す。
2 表層
21 軟質成分(A)
25 プロセスオイル(A)
3 内層
31 軟質成分(B)
35 プロセスオイル(B)
4 ゴム
Claims (8)
- オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)よりなる表層と,オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)よりなる内層とを積層してなる多層構成体において,
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)は,ポリオレフィンと,ゴム及びプロセスオイル(A)よりなる軟質成分(A)とからなり,
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)は,ポリオレフィンと,ゴム及びプロセスオイル(B)よりなる軟質成分(B)とからなり,
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)中のプロセスオイル(A)の分子量をMa,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)中のプロセスオイル(B)の分子量をMbとすると,MaとMbは,Ma≦Mbという関係式を満たし,
上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)中の上記軟質成分(A)の含有量をCa(wt%),上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)中の上記軟質成分(B)の含有量をCb(wt%)とすると,CaとCbは,Ca<Cbという関係式を満たすことを特徴とする多層構成体。 - 請求項1において,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)には上記軟質成分(A)が40wt%未満で含有されており,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)には上記軟質成分(B)が40wt%以上含有されていることを特徴とする多層構成体。
- 請求項1または2において,上記プロセスオイル(A)及び上記プロセスオイル(B)は,それぞれ上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)中のゴム及び上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)中のゴムに対する重量比で,0.5〜1.5の割合で含まれていることを特徴とする多層構成体。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)及び上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)中にそれぞれ含まれるプロセスオイル(A)及びプロセスオイル(B)の分子量は,400〜750であることを特徴とする多層構成体。
- 請求項1〜4のいずれか1項において,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)及び上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)は,非架橋材又は動的架橋材よりなることを特徴とする多層構成体。
- 請求項1〜5のいずれか1項において,上記ゴムは,エチレン・α−オレフィン系エラストマー又は/及びスチレン系エラストマーであることを特徴とする多層構成体。
- 請求項1〜6のいずれか1項において,上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)及び上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(B)は,無機フィラーを含有していることを特徴とする多層構成体。
- 請求項1〜7のいずれか1項において,上記表層は,表面硬度が40D以上であることを特徴とする多層構成体。
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