JP4904685B2 - 樹脂成形体の表面物性改良剤組成物 - Google Patents

樹脂成形体の表面物性改良剤組成物 Download PDF

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Description

本発明は、自動車内装品等の樹脂成形体に良好な滑性を付与しつつ滑剤のブリードを抑えるように調節することができるとともに、優れた耐擦傷性及び耐摩耗性を付与することができる表面物性改良剤組成物に関するものである。
従来、自動車のインストルメントパネルやドアトリム等の内装表皮材は軟質塩化ビニル樹脂が主流であったが、近年、軽量でリサイクルが容易であり、コストパフォーマンスが高く、燃焼時にガスを発生しないこと等から、ポリプロピレン、ポリエチレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂に代替が進められている。しかしながら、オレフィン系樹脂の内装表皮材は、塩化ビニル樹脂を原料とする内装表皮材と比較して、耐傷つき性、耐摩耗性及びシボ残り性が劣るといった欠点があるため、その改良が強く望まれており、いくつかの改善提案がなされている。
例えば、自動車内装部品用プロピレン重合体組成物として、プロピレン系ブロック共重合体と高級脂肪酸アミドとからなり、プロピレン系ブロック共重合体が特定構成を有し、高級脂肪酸アミドが特定種類の組成物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このプロピレン重合体組成物は、その特性を損なうことなく、成形時における白化を有効に防止することができる。
また、自動車内外装部品に用いられる熱可塑性エラストマー積層体も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。すなわち、熱可塑性エラストマー積層体は、結晶性ポリオレフィン樹脂、スチレン又はその誘導体の重合体ブロック及びシリコーンオイル、フッ素系ポリマー、高級脂肪酸アミド等から得られる表皮層と、ポリエチレン発泡体又はポリプロピレン発泡体からなる基材層とから構成されている。この熱可塑性エラストマー積層体は、その表面の耐擦傷性が良く、軽量かつリサイクルが容易であり、焼却時に有害なガスを発生しないものである。
特許第3472980号公報(第1頁及び第2頁) 特開平9−156053号公報(第2頁から第4頁)
ところが、特許文献1に記載のプロピレン重合体組成物は、特定のプロピレン系ブロック共重合体に高級脂肪酸アミドを混合(ブレンド)したものであることから、滑剤成分である高級脂肪酸アミドがプロピレン系ブロック共重合体に相溶して樹脂成形体の表面に出にくくなっている。このため、滑剤の効果が十分に発揮されず、耐擦傷性及び耐摩耗性が劣るという問題がある。
一方、特許文献2に記載されている滑剤としてのシリコーンオイルやフッ素系ポリマーは、結晶性ポリオレフィン樹脂、スチレン又はその誘導体の重合体ブロックと非相溶性であるため、樹脂成形体の表面に過剰に染み出す(ブリードする)という問題がある。これに対し、滑剤としての高級脂肪酸アミドは、結晶性ポリオレフィン樹脂、スチレン又はその誘導体の重合体ブロックと相溶しやすく、樹脂成形体の表面にブリードしにくいことから、耐擦傷性及び耐摩耗性の点で劣るという問題がある。
本発明の目的とするところは、樹脂成形体に良好な滑性を付与しつつ滑剤の過剰なブリードを抑えることができるとともに、優れた耐擦傷性及び耐摩耗性を付与することができる樹脂成形体の表面物性改良剤組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明における第1の発明の樹脂成形体の表面物性改良剤組成物は、下記に示す成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有することを特徴とするものである。
(A)エチレン・α-オレフィン共重合ゴム又はエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴム。
(B)エチレンと少なくとも1種のビニル単量体との共重合体で成分(A)以外の共重合体。
(C)高級脂肪酸アミド。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の樹脂成形体の表面物性改良剤組成物は、成分(A)エチレン・α-オレフィン共重合ゴム又はエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴム、成分(B)エチレンと少なくとも1種のビニル単量体との共重合体で成分(A)以外の共重合体及び成分(C)高級脂肪酸アミドを含有するものである。成分(A)は高級脂肪酸から得られる成分(C)との親和性に優れているのに対し、成分(B)は成分(C)との親和性に劣ることから、成分(C)に成分(A)と成分(B)との双方を配合することにより、成分(C)の表面移行性を抑えるようにすることができる。
このため、例えばα-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一種に対して単に成分(C)の高級脂肪酸アミドを混合するだけでは得られなかった滑性効果を十分に発揮することができるとともに、高級脂肪酸アミドのブリードを抑えることができる。従って、樹脂成形体表面に対し、良好な耐擦傷性及び耐摩耗性を付与することができる。更に、ゴム成分である成分(A)の弾性回復性の機能によっても、樹脂成形体の耐擦傷性及び耐摩耗性が改良される。これらの相乗効果により、樹脂成形体表面に対する耐擦傷性及び耐摩耗性を向上させることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における樹脂成形体の表面物性改良剤組成物は、下記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有するものである。
(A)エチレン・α-オレフィン共重合ゴム又はエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴム。
(B)エチレンと少なくとも1種のビニル単量体との共重合体で成分(A)以外の共重合体。
(C)高級脂肪酸アミド。
この表面物性改良剤組成物は、成分(A)及び成分(B)の樹脂成分と成分(C)の高級脂肪酸アミドとの親和性と反親和性に基づく相互作用により、樹脂成形体への高級脂肪酸アミドの表面移行性が調節される。従って、滑剤としての成分(C)による良好な滑性を樹脂成形体に付与することができるとともに、樹脂成形体表面への成分(C)の染み出し(ブリード)を抑えるような機能を果たすことができる。更に、樹脂成形体表面に優れた耐擦傷性及び耐摩耗性を付与する機能を発揮することができる。
まず、成分(A)について説明する。この成分(A)は、エチレン・α-オレフィン共重合ゴム又はエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴムであって、成分(C)の高級脂肪酸アミドに対して親和性を示すとともに、後述する熱可塑性樹脂組成物のα-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーに相溶性を示す成分である。成分(A)の共重合ゴムを形成するためのα-オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらのα-オレフィンは単独又は2種以上を混合して用いられる。また、非共役ジエン(非共役ジエン化合物)としてはジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン等が挙げられる。
エチレン・α-オレフィン共重合ゴムの具体例としては、エチレン・プロピレン共重合ゴム、エチレン・1-ブテン共重合ゴム、エチレン・1-ヘキセン共重合ゴム、エチレン・1-オクテン共重合ゴム等が挙げられる。これらの中でエチレン・プロピレン共重合ゴム及びエチレン・1-オクテン共重合ゴムが、成分(C)の高級脂肪酸アミドとの親和性に優れること及び弾性回復性が高いことから特に好ましい。
また、エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴムの具体例としては、エチレン・1−ブテン−非共役ジエン共重合ゴム及びエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴムが好ましく、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合ゴム及びエチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合ゴムが特に好ましい。これらの共重合ゴムは、成分(C)の高級脂肪酸アミドとの親和性に優れ、かつ弾性回復性が高い。これらのエチレン・α-オレフィン共重合ゴムとエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴムは単独で用いてもよく、また2種以上を組み合せて用いてもよい。
次いで、表面物性改良剤組成物を構成する成分(B)は、エチレンと少なくとも1種のビニル単量体との共重合体で成分(A)以外の共重合体であって、成分(C)の高級脂肪酸アミドに対して親和性が低く、後述する熱可塑性樹脂組成物のα-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーに相溶性を示す成分である。成分(B)の具体例としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・無水マレイン酸共重合体、エチレン・アクリル酸エチル・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体又はそのケン化物等が挙げられる。これらの成分(B)は単独で用いてもよく、また2種以上組み合せて用いてもよい。
これらの中で、ビニル単量体が炭素数1〜4の低級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は酢酸ビニルであるエチレンとの共重合体が、極性を大きく変化させることができる点及び成分(C)の高級脂肪酸アミドとの反親和性に優れている点で好ましい。そのような成分(B)として具体的にはエチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体又はそのケン化物が挙げられる。
続いて、表面物性改良剤組成物を構成する成分(C)は、滑剤としての高級脂肪酸アミドであり、表面物性改良剤組成物が配合される樹脂組成物による樹脂成形体に内部滑性及び外部滑性を付与するものである。内部滑性は重合体間の摩擦を少なくして摩擦熱を抑制するものであり、外部滑性は樹脂成形体表面の滑りを良くし、粘着を抑え、離型性を良くするためのものである。この高級脂肪酸アミドとしては、炭素数10〜25の高級脂肪酸を原料として形成されるものが好ましく、表面物性改良剤組成物をα-オレフィン重合体又は熱可塑性エラストマーに配合したとき、熱可塑性樹脂組成物又はそれらの樹脂成形体に特に耐摩耗性及び耐擦傷性を付与することができる。炭素数10未満の高級脂肪酸では成分(A)との相溶性が十分ではなく、前述した成分(C)の効果が十分に発揮されなくなる。一方、炭素数25を越える高級脂肪酸は入手が困難で、実用的ではない。このような高級脂肪酸アミドとして、例えば飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド又はビス脂肪酸アミドが使用できる。
具体的に、飽和脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘミン酸アミド等、不飽和脂肪酸アミドとしてはエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等、ビス脂肪酸アミドとしてはメチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等が挙げられる。これらの高級脂肪酸アミドは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの滑剤の中で、特に樹脂成形体表面の耐擦傷性及び耐摩耗性を向上させるという観点から、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド又はエチレンビスエルカ酸アミドオレイン酸アミド及びエルカ酸アミドが挙げられる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で他の滑剤を配合しても良い。そのような他の滑剤としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ油脂肪酸オクチル、ステアリン酸オクチル、ラウリン酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ミリスチン酸セチル、ネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールテトラパルミネート、等の脂肪酸エステル、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の炭化水素、ステアリン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸、ステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、シリコーンオイル等のシリコーン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコール等が挙げられる。
表面物性改良剤組成物における成分(A)、成分(B)及び成分(C)の配合割合は、成分(A)5〜95質量%、成分(B)5〜95質量%、成分(A)と成分(B)の合計量に対して成分(C)5〜60質量%であることが好ましい。更に、成分(A)10〜90質量%、成分(B)10〜90質量%、成分(A)と成分(B)の合計量に対して成分(C)10〜50質量%であることがより好ましい。
滑剤である成分(C)の高級脂肪酸アミドを樹脂成形体の表面へより多くブリードさせるためには、成分(B)の配合量を成分(A)の配合量より増加させ、そのブリード量を減少させるためには、成分(A)の配合量を成分(B)の配合量より増加させる。そのような観点から、目標とする高級脂肪酸アミドのブリード量に対して成分(A)及び成分(B)の配合量を決定することができる。更に、成分(C)の配合量が増加するほどブリード量が多くなるので、目標とする高級脂肪酸アミドのブリード量に対して適切な成分(C)の配合量を決定することができる。このように、成分(C)の配合量に対して成分(A)と成分(B)の配合量を調整することによって、滑剤である高級脂肪酸アミドのブリード量を調節することができる。高級脂肪酸アミドのブリードを長期にわたって継続的に行う(リリースコントロール)ために、一般的には成分(A)の配合量を成分(B)の配合量と同じにするか、又は少なくすることが望ましい。
成分(A)の配合量が5質量%未満である場合、成分(C)の高級脂肪酸アミドとの親和性が低下するため成分(C)の高級脂肪酸アミドが過剰にブリードしやすくなり、95質量%よりも多い場合、成分(C)である高級脂肪酸アミドの表面移行性が悪くなるため、樹脂成形体表面の耐擦傷性及び耐摩耗性が低下する。成分(B)が5質量%未満であると成分(C)高級脂肪酸アミドの表面移行性が悪くなるため、樹脂成形体表面の耐擦傷性及び耐摩耗性が低下し、95質量%よりも多いと成分(C)高級脂肪酸アミドとの親和性が低下し、成分(C)高級脂肪酸アミドが過剰にブリードしやすくなるため好ましくない。また、成分(A)と成分(B)の合計量に対して、成分(C)の高級脂肪酸アミドが5質量%未満の場合には樹脂成形体表面の耐擦傷性及び耐摩耗性が低下し、60質量%よりも多い場合には高級脂肪酸アミドのブリードが過大になるため好ましくない。
表面物性改良剤組成物を製造する場合には、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を加熱、溶融することによって行われる。その際の加熱温度は、成分(A)のゴム及び成分(B)の共重合体の溶融温度及び滑剤の耐熱温度により適宜選択されるが、通常70〜300℃が好ましい。温度が70℃未満の場合、ゴムや共重合体の溶融が不完全であったり、溶融粘度が高いため、混合が不十分になり、相分離や層状剥離が現れるため好ましくない。一方、300℃を越える場合、ゴム、共重合体又は滑剤の分解が激しくなり好ましくない。溶融、混合する方法としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー又はロールによる混練法等公知の方法が採用される。
次に、熱可塑樹脂組成物は、α-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一種を主成分とし、上記の表面物性改良剤組成物を含有するものである。α-オレフィン重合体と熱可塑性エラストマーとは単独で用いてもよく、また2種以上組み合せて用いてもよい。α-オレフィン重合体の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリプロピレンとエチレン・プロピレン共重合体ゴムとの混合物(ブレンド物)及びその架橋物、ポリエチレンとエチレン・プロピレン共重合体ゴムとの混合物及びその架橋物、ポリプロピレンとエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体の混合物及びその架橋物、ポリエチレンとエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体の混合物及びその架橋物、ポリプロピレンとスチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加品(SEBS)との混合物及びその架橋物、ポリプロピレンとエチレン・1−オクテン共重合体との混合物及びその架橋物、ポリエチレンとエチレン・1−オクテン共重合体との混合物及びその架橋物等が挙げられる。架橋は公知の方法により行われるが、その中でも有機過酸化物による架橋が好ましい。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーは市販されており、例えばミラストマー(三井化学(株)製の商品名)、サントプレーン(エー・イー・エスジャパン(株)製の商品名)、住友TPE(住友化学(株)製の商品名)、エンゲージ(デュポン・ダウ・エラストマー(株)製の商品名)、サーモラン(三菱化学(株)製の商品名)等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)又はその水素添加品(H−SBR)、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SBS)又はその水素添加品(SEBS)、スチレン・イソプレンブロック共重合体(SIS)又はその水素添加品(SEPS、HV−SIS)等が挙げられる。このスチレン系熱可塑性エラストマーは市販されており、タフテック(旭化成(株)製の商品名)、エラストマーAR(アロン化成(株)製の商品名)、セプトン((株)クラレ製の商品名)、クレイトン(クレイトンポリマージャパン(株)製の商品名)、JSR TR(JSR(株)製の商品名)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で他のゴムを配合してもよい。このような他のゴムとしては、例えばブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム、アクリルゴム及びシリコーンゴム等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂組成物に、本発明の目的を損なわない範囲で無機充填剤を配合することができる。無機充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。
更に熱可塑性樹脂組成物に、本発明の目的を損なわない範囲で公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、分散剤、発泡剤、紫外線防止剤、着色剤、可塑剤、鉱物油系軟化剤等を配合することができる。
上記の熱可塑性樹脂組成物は、α-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一種を主成分とし、前記表面物性改良剤組成物を含有する組成物を120〜300℃で溶融、混合することによって製造される。この温度が120℃未満の場合、各成分の溶融が不完全になったり、溶融粘度が高いため混合が不十分になり、相分離や層状剥離が現れて好ましくない。一方、300℃を越える場合、ゴム、樹脂、滑剤等が分解するため好ましくない。溶融、混合方法としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールによる混練法等公知の方法が採用される。
また、熱可塑性樹脂組成物は、必ずしも表面物性改良剤組成物を一旦調製してからα-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一種に混合して調製しなくてもよい。例えば、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、α-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一種を同時に混合又は架橋させて調製してもよい。
熱可塑性樹脂組成物中における表面物性改良剤組成物の含有量は、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.2〜20質量%であることが更に好ましい。従って、熱可塑性樹脂組成物中におけるα-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一種の含有量は、70〜99.9質量%が好ましく、80〜99.8質量%が更に好ましい。表面物性改良剤組成物の含有量が0.1質量%未満のときには表面物性改良剤組成物による特性の発現が不十分であり、30質量%を越えるときには得られる樹脂成形体の剛性及び耐熱性が低下するため好ましくない。
次に、上記の熱可塑性樹脂組成物を所定の成形法にて成形することにより樹脂成形体が得られる。樹脂成形体の種類としては、シート、フィルム、中実成形体、中空成形体、発泡体等を挙げることができる。成形法としては、一般に用いられる熱可塑性樹脂の成形法が採用され、具体的にはカレンダー成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、発泡成形法、押出成形法、射出成形法、真空成形法、粉末成形法等を挙げることができる。樹脂成形体としては、自動車内装品、その他の自動車部品、各種の電気製品、機械部品、雑貨品等が挙げられる。
この樹脂成形体は、自動車内装用の表皮材の形態に成形されることにより、自動車内装表皮材が得られる。自動車内装表皮材は、例えばポリオレフィン発泡体と、その表面に設けられる上記熱可塑性樹脂組成物を成形してなる表皮層との積層体である。この表皮層上にトップコート層を塗布形成することもできる。表皮層とトップコート層との間にはプライマー層を介することもできる。熱可塑性樹脂組成物を成形してなる表皮層は、常法に従って、T−ダイ付き押出成形機、カレンダー成形機等のプラスチック加工機に供給してシート状等の所望形状に成形することによって得られる。
ポリオレフィン発泡体に使用されるポリオレフィンとして具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましく、これらの架橋発泡体がより好ましい。その架橋発泡体は、ポリエチレン又はポリプロピレンに発泡剤及び架橋剤(ラジカル発生剤)を混合し、得られた混合物の軟化点以上の温度で加熱し、架橋剤を分解させることにより得ることができる。架橋剤としては、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機パーオキサイドが用いられる。その他の架橋方法としては、電離性放射線照射による方法や多官能性単量体の存在下における電離性放射線照射による方法等が挙げられる。電離性放射線には電子線、γ線、X線、イオンビーム等があるが、工業的に利用しやすいのは電子線とγ線である。電離性放射線の照射量としては、30〜500kGy程度が適当である。照射量が増える程架橋度は高くなるが、耐熱老化性が悪くなるため、60〜300kGyの範囲が好ましい。
積層体の成形は、公知の成形方法に従って行われる。例えば、熱可塑性樹脂組成物をT-ダイ付き押出機によって押出し、押出された溶融状態にあるシート状の熱可塑性樹脂組成物をポリオレフィン発泡体シートと積層させた状態で一対のロール間を通す方法で成形される。
表皮層上に塗布形成されるトップコート層の材料として具体的には、ポリウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂及びイソシアネート樹脂から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。更に具体的には、飽和ポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びその誘導体等、アクリル酸エステル樹脂としてはポリメチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリ2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等、イソシアネート樹脂としてはポリヘキサメチレンジイソシアネート、ポリイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。このトップコート層の厚みは、300μm以下であることが好ましい。
また、自動車内装表皮材は、通常表面にシボ付けされて用いられる。シボ付けは公知の方法により行うことができ、例えばシート成形時にシボロールとピンチロールとの間を通すこと等により行うことができる。この場合、成分(B)のエチレンと少なくとも1種のビニル単量体との共重合体が成分(A)のようなゴム弾性を有していないため、一旦形成されたシボがそのまま保持される。従って、本実施形態の自動車内装表皮材は、シボ残り性に優れる機能を有している。自動車内装表皮材は、例えばインストルメントパネル、ドアトリム、シフトレバー、ハンドル、コンソールボックス、エアバッグカバー、アシストグリップ、天井、座席シート等の表皮層として用いられる。
さて、樹脂成形体の表面物性改良剤組成物を調製する場合には、成分(A)のエチレン・α-オレフィン共重合ゴム又はエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴムと、成分(B)のエチレンと少なくとも1種のビニル単量体との共重合体と、成分(C)の高級脂肪酸アミドとを所定の配合比で加熱混合することにより行われる。得られた表面物性改良剤組成物を用いて熱可塑性樹脂組成物を調製する場合には、α-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一種を主成分とし、それに表面物性改良剤組成物を少量配合し、加熱溶融させることにより行われる。そして、この熱可塑性樹脂組成物を用いて樹脂成形体を調製する場合には、熱可塑性樹脂組成物を例えば押出成形機で加熱溶融して押出成形することにより、樹脂成形体として例えば自動車内装表皮材の表皮層となるシートが得られる。
このとき、炭素鎖長(ポリメチレン結合)の長いオレフィン共重合体よりなる成分(A)は、炭素鎖長の長い高級脂肪酸から得られた成分(C)の高級脂肪酸アミドとの親和性に優れるのに対し、炭素鎖長の短い成分(B)は成分(C)との親和性に劣る。樹脂成形体のマトリックスとなる成分(A)又は成分(B)に対して添加成分である成分(C)の親和性が良いと、成分(C)の滑剤は樹脂成形体表面への移行が抑えられ、ブリードすることが抑制され、親和性が悪いと滑剤は表面へ移行しやすく、樹脂成形体表面へブリードするようになる。このため、成分(A)と成分(B)との双方に成分(C)を配合することにより、樹脂成形体表面への滑剤のブリードを適度なものにすることができる。
従って、滑剤に基づいて樹脂成形体に滑性を付与することができると同時に、樹脂成形体表面への擦傷や摩耗に対する耐性を高めることができる。更に、成分(A)はゴムであり、その弾性力により樹脂成形体表面への擦傷や摩耗に対する耐性を一層高めることができる。その上、成分(C)の滑剤が樹脂成形体の表面に継続的にブリードする、すなわち滑剤のリリースコントロール性が良いことから、上記の各作用を長期にわたって発現させることができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の樹脂成形体の表面物性改良剤組成物は、前述した成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有するものであり、成分(A)は成分(C)との親和性に優れ、成分(B)は成分(C)との親和性に劣る。このため、成分(C)に対する成分(A)と成分(B)との配合量を調整することにより、樹脂成形体表面への成分(C)の表面移行性を抑えるように調節することができる。従って、表面物性改良剤組成物が添加された熱可塑性樹脂組成物の樹脂成形体に滑性効果を付与することができるとともに、樹脂成形体表面の耐擦傷性及び耐摩耗性を向上させることができる。更に、ゴムよりなる成分(A)の弾性回復性の機能から、樹脂成形体表面の耐擦傷性及び耐摩耗性を一層向上させることができるとともに、成形時に付されたシボを保持するシボ残り性も向上させることができる。その上、成分(C)である滑剤のリリースコントロール性に優れていることから、滑性効果、耐傷付き性及び耐摩耗性を長期にわたって良好に維持することができる。上記のように、樹脂成形体表面への滑剤の過剰なブリードが抑えられるため、樹脂成形体の外観を良好に保持することができる。
・ 更に、熱可塑性樹脂組成物は、α-オレフィン重合体及び熱可塑性エラストマーの少なくとも一種を主成分とし、前記表面物性改良剤組成物を含有するものである。従って、α-オレフィン重合体又は熱可塑性エラストマーについて、成形後の樹脂成形体表面に対し前記表面物性改良剤組成物の効果を発揮させることができる。また、α-オレフィン重合体又は熱可塑性エラストマーに対して表面物性改良剤組成物の成分(A)及び成分(B)は同種のオレフィン系重合体であることから、相溶性が良く、溶融時の流動性及び成形性に優れている。
・ 加えて、前記熱可塑性樹脂組成物を成形することによって所望の樹脂成形体が得られる。前記熱可塑性樹脂組成物中の成分(A)及び(B)は、α-オレフィン重合体又は熱可塑性エラストマーと良好な相溶性を示し、成形が容易であるとともに、得られる樹脂成形体について前記熱可塑性樹脂組成物の効果を発揮することができる。その樹脂成形体が自動車内装用の表皮材の形態に成形されることにより自動車内装表皮材が得られる。この自動車内装表皮材についても前記熱可塑性樹脂組成物の効果を有効に発揮させることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。各例中の部及び%は特に断らない限り質量部及び質量%を示す。なお、これらの実施例及び比較例における物性測定に用いた試験方法は以下の通りである。
(1)耐ブリード性: 射出成形機(田端機械工業(株)製)を用い、ペレットから厚さ3mm、一辺90mmの正方形プレート試験片を成形し、このプレートを70℃のオーブン中に72時間放置し、プレート試験片表面にブリードする滑剤を目視にて観察し、外観を次の評価基準で評価した。
○:ブリードは全くなし、△:ブリードが僅かにあり、×:ブリードがあり。
(2)耐擦傷性:テーパースクラッチテスター((株)東洋精機製作所製)を用い、耐ブリード性試験で用いた試験片と同じ正方形プレート試験片に、回転中心から3.5cmの所に刃先がくるように刃を取り付け、ターンテーブルを0.5rpmの速度で回転させた状態で、刃に0.5Nの荷重を掛けて試験片に傷をつけた。その傷を次の評価基準で評価した。
◎:全く傷跡が見られない、○:傷跡がほとんど見られない、△:傷跡がやや目立つ、×:傷跡が大きく目立つ。
(3)耐摩耗性:学振式堅牢度摩擦摩耗試験機((株)安田精機製作所製)を用い、耐ブリード性試験で用いた試験片と同じ正方形プレート試験片に荷重6.9N(700g・f)の荷重をかけ、カナキン3号布(綿布)により100回往復摩耗させた後の試験片表面を目視にて観察し、次の評価基準で評価した。
○:傷跡がほとんど見られない、△:傷跡がやや目立つ、×:傷跡が大きく目立つ、××:傷跡が大きく目立ち、かつ粉状の摩耗粉が多量に発生する。
(4)シボ残り性:シボ残り性表皮シートの展開率が250%になる凸引き真空成形金型を用い、シートの表面温度が120℃になるようにヒータをセットして真空成形を行い、あらかじめシート表面に付けられていたシボの残り性を次の評価基準で評価した。
○:シボ(絞)が全く消えていない状態、△:シボがやや消えている状態、×:シボが消えている状態。
(5)メルトフローレート(MFR):メルトインデクサー((株)東洋精機製作所製)を用い、JIS K 7210に準拠した方法により、測定温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
以下の実施例、比較例及び表中の略記号は次の物質を表す。
TPO−1:オレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:ミラストマー8030、三井化学(株)製)
TPO−2:オレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:サントプレーン201−87、エー・イー・エスジャパン(株)製)
SEBS:スチレン系熱可塑性エラストマー(商品名:タフテックH1062、旭化成(株)製)
PE:ポリエチレン(商品名:スミカセンG401、住友化学(株)製)
PP:ポリプロピレン(商品名:サンアロマーPB671A、サンアロマー(株)製)
EPR:エチレン・プロピレン共重合ゴム(商品名:EP07P、JSR(株)製)
EPDM:エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(商品名:EP57P、JSR(株)製)
EOR:エチレン・オクテン共重合ゴム(商品名:エンゲージ8100、(株)デュポン・ダウ・エラストマー製)
m−EPDM:メタロセン触媒により合成したエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合ゴム(商品名:ノーデルIP4725P、(株)デュポン・ダウ・エラストマー製)
EEA:エチレン・アクリル酸エチル共重合体(商品名:NUCコポリマーDPD-J6169、日本ユニカー(株)製)
EMA:エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(商品名:アクリフトWH401、住友化学工業(株)製)
EVA:エチレン・酢酸ビニル共重合体(商品名:NUCコポリマーNUC−3461、日本ユニカー(株)製)
OA:オレイン酸アミド(商品名:アルフローE−10:日本油脂(株)製)
EA:エルカ酸アミド(商品名:アルフローP−10:日本油脂(株)製)
EBOA:エチレンビスオレイン酸アミド(商品名:アルフローAD−281:日本油脂(株)製)
(実施例1〜5及び比較例1〜6、表面物性改良剤組成物の製造)
表1に示した成分及び配合割合でドライブレンドした後、シリンダー温度180℃に設定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機で溶融、混合して、表面物性改良剤組成物のペレットを得た。
Figure 0004904685
(実施例6〜10及び比較例7〜13、熱可塑性樹脂組成物の製造)
表2に示した成分及び配合割合でドライブレンドした後、シリンダー温度180℃に設定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機で溶融、混合し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。これを用いて以下の試験を行った。
T−ダイ押出機を用いて、押出温度200℃、T−ダイがコートハンガーダイ、引張速度5m/分でシート状に押出し、溶融状態にあるシート表面をロール温度60℃のシボ加工用ロール側に接触させ、0.4mm厚のシボ付きシートを作製した。得られたシートについて、シボ残り性を前記試験方法に従って評価した。
Figure 0004904685
表2に示したように、実施例1〜5の樹脂成形体の表面物性改良剤組成物を用いた実施例6〜10の場合、良好な耐ブリード性、耐擦傷性、耐摩耗性、シボ残り性及び流動性(成形性)を得ることができた。また、耐ブリード性が良好であるため、シボ付きシートの外観を良好にすることができた。
一方、比較例7、8及び10では滑剤成分が含まれていないため、耐ブリード性は問題にならないが、耐擦傷性とシボ残り性の点で劣る。比較例9は、単純に滑剤成分のみを混合しただけであるため、滑剤の表面移行性をコントロールできず、結果として耐ブリード性、耐擦傷性及びシボ残り性の点で劣る。比較例11は成分(A)のエチレン系共重合ゴム成分と滑剤成分とを配合したものであるため、滑剤の表面移行性が劣ってしまい、結果として耐ブリード性とシボ残り性は良好であるが、耐擦傷性と耐摩耗性は劣ってしまう。比較例12は成分(B)のエチレンと少なくとも1種のビニル単量体から構成される共重合体成分と滑剤成分を配合したものであるため、滑剤の表面移行性が激しく、その結果耐擦傷性と耐摩耗性は良好であるが、耐ブリード性とシボ残り性は劣ってしまう。比較例13は、表面物性改良剤組成物を含まないため、耐ブリード性は問題にならないが、耐擦傷性、耐摩耗性、シボ残り性の点で劣る。
尚、本実施形態を、次のように変更して実施することも可能である。
・ 表面物性改良剤組成物には、成分(A)と同様の機能を発揮することができるゴム成分、例えばクロルスルホン化ポリエチレン、エチレン−アクリル酸メチル共重合ゴム、エピクロルヒドリンゴム等を配合することもできる。
・ 表面物性改良剤組成物には、成分(B)と同様の機能を発揮することができる共重合体として、例えばエチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を配合することができる。
・ 熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性エラストマーとして、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等を用いることもできる。
更に、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記成分(A)のエチレン・α-オレフィン共重合ゴムは、エチレン・プロピレン共重合ゴム又はエチレン・1−オクテン共重合ゴムである請求項1に記載の樹脂成形体の表面物性改良剤組成物。このように構成した場合、成分(C)との親和性を高め、樹脂成形体表面への成分(C)のブリードを抑制することができ、しかも弾性回復性を高めて樹脂成形体表面の耐擦傷性及び耐摩耗性を向上させることができる。
・ 前記成分(A)のエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴムは、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合ゴム又はエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴムである請求項1に記載の樹脂成形体の表面物性改良剤組成物。このように構成した場合、成分(C)との親和性を高め、樹脂成形体表面への成分(C)のブリードを抑制することができるとともに、弾性回復性を高めて樹脂成形体表面の耐擦傷性及び耐摩耗性を向上させることができる。
・ 前記成分(B)のビニル単量体は、炭素数1〜4の低級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は酢酸ビニルである請求項1に記載の樹脂成形体の表面物性改良剤組成物。このように構成した場合、成分(B)の極性を大きく変化させることができ、また成分(B)が成分(C)の高級脂肪酸アミドとの反親和性に優れ、樹脂成形体表面への高級脂肪酸アミドのブリードを促進させることができる。
・ 前記成分(C)高級脂肪酸アミドは、炭素数10〜25の脂肪酸を原料として形成されるものである請求項1に記載の樹脂成形体の表面物性改良剤組成物。このように構成した場合、樹脂成形体に良好な滑性を付与することができるとともに、優れた耐擦傷性及び耐摩耗性を付与することができる。

Claims (1)

  1. 下記に示す成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有することを特徴とする樹脂成形体の表面物性改良剤組成物。
    (A)エチレン・α-オレフィン共重合ゴム又はエチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合ゴム。
    (B)エチレンと少なくとも1種のビニル単量体との共重合体で成分(A)以外の共重合体。
    (C)高級脂肪酸アミド
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