JP2002192667A - 成形体、及びそれを用いた複合体 - Google Patents

成形体、及びそれを用いた複合体

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JP2002192667A
JP2002192667A JP2000392990A JP2000392990A JP2002192667A JP 2002192667 A JP2002192667 A JP 2002192667A JP 2000392990 A JP2000392990 A JP 2000392990A JP 2000392990 A JP2000392990 A JP 2000392990A JP 2002192667 A JP2002192667 A JP 2002192667A
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JP2000392990A
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English (en)
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Toshiichi Ito
敏一 伊藤
Akio Goto
昭雄 後藤
Kaoru Saito
芳 斉藤
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NUC Corp
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Nippon Unicar Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着剤等を用いずに直接的にポリウレタン発
泡体層と一体化した複合体を得ることができ、しかも機
械特性、シボ保持性、成形性にも優れている成形体、及
び該成形体とポリウレタン発泡体を一体化して作った複
合体の提供。 【構成】 オレフィン系樹脂組成物(A)からなる層に
ポリカプロラクトン(B)からなる層が積層しているこ
とを特徴とする成形体、及びオレフィン系樹脂組成物
(A)、及びポリカプロラクトン(B)からなる複合樹
脂組成物(C)からなる層にポリカプロラクトン(B)
からなる層が積層していることを特徴とする成形体、及
び上記のいずれかの成形体とポリウレタン発泡体(D)
を一体化してなる複合体にて提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形体、及びそれ
を用いた複合体に関する。更に詳しくは、接着剤等を用
いずに直接的にポリウレタン発泡体層と一体化した複合
体を得ることができ、しかも機械特性、シボ保持性、成
形性にも優れている成形体、及び該成形体とポリウレタ
ン発泡体を一体化して作った複合体に関する。該成形体
および複合体は、ポリ塩化ビニルを含まないので環境を
害することなく焼却により廃棄処分することが可能であ
り、自動車内装材の他に家電・OA機器のハウジング、
自転車のサドル、スポーツシューズ、家具、インテリ
ア、玄関マット等の表皮材として有効に用いることがで
きる。
【0002】
【従来の技術】従来、インストルメンタルパネル、コン
ソールボックス、ドアトリム等の自動車内装材は、主
に、ポリ塩化ビニルからなる成形体とポリウレタン発泡
体とを一体化した複合体が多く用いられてきた。しかし
ながら最近になってポリ塩化ビニルは、廃棄焼却時に発
生する有害物質の環境問題等が、指摘され始め、また、
ポリ塩化ビニルにソフト感を付与するため配合を要する
可塑剤が、人体に対して悪影響があると問題視され、こ
れらの問題のない安全な材料が望まれていた。そのため
ポリ塩化ビニルを代替する方法として安全な材料で類似
した風合いを持つオレフィン系熱可塑性エラストマーか
らなる成形体に接着剤を塗布し、ポリウレタン発泡体と
を一体化する方法が多く用いられるようになった。しか
し上記方法は、接着剤等の溶剤の揮発、飛散による作業
環境の悪化や複雑な工程による生産性の低下等の問題が
生じることが解り、接着剤を用いずにオレフィン系熱可
塑性エラストマーとポリウレタン発泡体とを一体化する
方法が求められるようになった。これらの問題を解決す
る方法としてオレフィン系熱可塑性エラストマーに接着
改良剤としてイソシアネートと反応するカルボキシル基
や水酸基を有する低分子量のポリマーまたは、酸変性ポ
リオレフィンを配合する方法(特開昭59−1561号
公報参照)等が提案されている。一方、中間接着層とし
てエチレン−ビニルアルキル共重合体、エチレン性−エ
チレン不飽和カルボン酸アルキル共重合体、及びこれら
エチレン共重合体のα、β−エチレン性不飽和カルボン
酸または、その酸無水物によるグラフト変性体の一種を
積層する方法(特公平3−77773号公報参照)等
が、開示されている。しかしながら上記方法を用いても
オレフィン系熱可塑性エラストマーとポリウレタン発泡
体との接着性については、解決するまでに至らず、更な
る改善が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に鑑み、接着剤等を用いずに直接的にポリウレタン発
泡体層と一体化した複合体を得ることができ、しかも機
械特性、シボ保持性、成形性にも優れている成形体、及
び該成形体とポリウレタン発泡体を一体化して作った複
合体を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、オレフィン系熱可塑性
エラストマーを含むオレフィン系樹脂組成物からなる層
とポリカプロラクトンからなる層が良好な接着性をも
ち、且つ該ポリカプロラクトンからなる層が、ポリウレ
タン発泡体と良好な接着性を有する事を見出し、本発明
を完成した。
【0005】すなわち、本発明の第1の発明は、オレフ
ィン系樹脂組成物(A)からなる外層にポリカプロラク
トン(B)からなる内層が積層していることを特徴とす
る成形体が提供される。
【0006】また、本発明の第2の発明は、第1の発明
において、オレフィン系樹脂組成物(A)が、オレフィ
ン系熱可塑性エラストマー(A1)10〜100重量
%、及びオレフィン系樹脂(A2)90〜0重量%から
なることを特徴とする成形体が提供される。
【0007】また、本発明の第3の発明は、オレフィン
系樹脂組成物(A)、及びポリカプロラクトン(B)か
らなる複合樹脂組成物(C)からなる外層にポリカプロ
ラクトン(B)からなる内層が積層していることを特徴
とする成形体が提供される。
【0008】また、本発明の第4の発明は、第3の発明
において、複合樹脂組成物(C)が、オレフィン系熱可
塑性エラストマー(A1)10〜100重量%、及びオ
レフィン系樹脂(A2)90〜0重量%からなるオレフ
ィン系樹脂組成物(A)100重量部に対し、ポリカプ
ロラクトン(B)5〜30重量部を配合して得られたも
のであることを特徴とする成形体が提供される。
【0009】更に、本発明の第5の発明は、第1〜4の
発明のいずれかにおいて、オレフィン系樹脂(A2)
が、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A2−
1)70〜30重量%、及びエチレン−アクリル酸アル
キル共重合体(A2−2)30〜70重量%からなるこ
とを特徴とする成形体が提供される。
【0010】更に、本発明の第6の発明は、第1〜5の
発明のいずれかにおいて、ポリカプロラクトン(B)の
数平均分子量が、20,000〜120,000である
ことを特徴とする成形体が提供される。
【0011】更に、本発明の第7の発明は、第1〜6の
発明のいずれかにおいて、自動車内装材として用いるこ
とを特徴とする成形体が提供される。
【0012】更に、本発明の第8の発明は、第1〜6の
発明のいずれかに記載の成形体とポリウレタン発泡体
(D)を一体化してなる複合体が提供される。
【0013】そして、本発明の第9の発明は、第8の発
明において、自動車内装材として用いることを特徴とす
る複合体が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0015】1.オレフィン系樹脂組成物(A) 本発明の成形体で最初に製造される外層を構成するオレ
フィン系樹脂組成物(A)は、オレフィン系熱可塑性エ
ラストマー(A1)単体、または、これに他のオレフィ
ン系樹脂(A2)を配合したものであれば良い。また、
本発明で用いるオレフィン系樹脂組成物の具体的な構成
としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A1)
が、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは2
0〜100重量%、更に好ましくは25〜100重量
%、及びオレフィン系樹脂(A2)が、好ましくは90
〜0重量%、より好ましくは80〜0重量%、更に好ま
しくは75〜0重量%の配合を用いることができる。オ
レフィン系熱可塑性エラストマー(A1)が、10重量
部未満では、得られる成形体の柔軟性、複合体のシボ保
持性が劣ることがある。
【0016】1−1.オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー(A1) 本発明では、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A
1)は、オレフィン系樹脂組成物の主成分であり、本発
明の成形体に、柔軟性、弾性、耐衝撃性、屈曲性、耐寒
性、伸長性、シボ保持性等の性質を付与する。本発明で
用いるオレフィン系熱可塑性エラストマー(A1)と
は、具体的には、以下のようなエラストマーが挙げられ
る。 (1)エチレン、プロピレンの単独重合体または、それ
らの共重合体を主成分とするオレフィン系樹脂成分、及
びエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、
4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテ
ン等のα−オレフィンとの2元共重合体ゴムまたは、こ
れにジビニルベンゼン、ジクロロペンタジエン、1、4
−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、シクロオク
タジエン、メチレンノルボルネン等をさらに共重合させ
た3元共重合体ゴムであるエチレン−α−オレフィン共
重合体ゴムの部分架橋物との混合物からなるエラストマ
ー。(特公昭53―21021号公報、特公昭62―9
38号公報参照) (2)オレフィン系樹脂成分とエチレン−α−オレフィ
ン共重合体ゴムとの混合物を動的に熱処理してなるエラ
ストマー。(特公昭53−34210号公報、特開昭5
3−149240号公報、特開昭53−149241号
公報参照) (3)上記(1)または、(2)の組成物に、さらにオ
レフィン系樹脂を混合してなるエラストマー。 (4)油展オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン
との混合物を部分架橋してなるエラストマー。(特公平
7−103274号公報参照) なお、本発明で用いるオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーは、結晶質のハードセグメントであるポリオレフィン
と非晶質のソフトセグメントであるエチレン−プロピレ
ン−共役ジエン三元共重合体ゴムの部分架橋物との混合
物からなるエラストマーが好ましく、例えば、商品名
「ミラストマー」(三井化学(株)製)、商品名「住化
TPO」(住友化学工業(株)製)等を好適に用いるこ
とができる。
【0017】また、本発明で用いるオレフィン系熱可塑
性エラストマーは、230℃のメルトマスフローレート
0.5〜100g/10分が好適である。メルトマスフ
ローレートが0.5g/10分未満であると加工性が劣
ることがあり、100g/10分を超えると製品の機械
特性が悪くなることがある。
【0018】1−2.オレフィン系樹脂(A2) 本発明では、オレフィン系樹脂(A2)は、オレフィン
系熱可塑性エラストマー(A1)に配合され、オレフィ
ン系樹脂組成物の加工性を改良し、本発明の成形体の、
引張強度、耐突刺強度、耐候性、耐汚染性、耐損傷性、
耐熱性、表面硬度、光沢、剛性等の性質を改善する。本
発明で用いられるオレフィン系樹脂(A2)としては、
エチレンやプロピレンの単独重合体あるいはそれらの共
重合体であり、具体的には以下のようなポリマーが挙げ
られる。高圧法ポリエチレン、直鎖状エチレン−α−オ
レフィン共重合体、エチレン−アクリル酸アルキル共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、ポリプロピレン等が好適に用いられ
る。なお、これらは、単体で用いても良いが2種以上の
組み合わせが好ましく、エチレン−アクリル酸アルキル
共重合体、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体よ
りなる混合物がより好ましい。オレフィン系樹脂(A
2)は、単体で用いても、2種以上混合して用いても良
い。また、さらに好適な組み合わせとしては、直鎖状エ
チレン−α−オレフィン共重合体(A2−1)、エチレ
ン−アクリル酸アルキル共重合体(A2−2)を挙げる
ことができる。
【0019】1−2−1.直鎖状エチレン−α−オレフ
ィン共重合体(A2−1) 本発明で、オレフィン系樹脂(A2)として直鎖状エチ
レン−α−オレフィン共重合体(A2−1)を用いる
と、成形体の引張強度、耐突刺強度、耐候性、耐汚染
性、耐損傷性、耐熱性、表面硬度、光沢、剛性等が特に
改善される効果がある。本発明で用いられる直鎖状エチ
レン−α−オレフィン共重合体(A2−1)(以下、L
−LDPEと称する。)とは、エチレン単独またはエチ
レンと炭素数3〜18のα−オレフィンを共重合させて
得られるものを意味する。重合触媒としては、遷移金属
化合物(例えばチタン化合物)または担体(例えばマグ
ネシウム化合物、その処理物)に遷移金属化合物を担持
させることによって得られる担体担持触媒と有機金属化
合物(例えば有機アルミニウム化合物)よりなるチーグ
ラー・ナッタ触媒、酸化クロムよりなる主触媒とケイ
素、アルミニウム等の酸化物よりなる触媒担体より構成
されるフィリップス触媒、酸化モリブデンよりなる主触
媒とアルミニウムの酸化物よりなる触媒担体より構成さ
れるスタンダード触媒、メタロセン化合物を含有する幾
何拘束触媒等が用いられる。重合反応は、通常30〜3
00℃の重合温度下、常圧〜300MPaの重合圧力
下、溶媒の存在下または不存在下、気−固、液−固また
は均一液相下で実施される。なお、α−オレフィンとし
ては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メ
チル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好
ましく用いられる。本発明で用いられるL−LDPEと
しては、密度0.900〜0.935g/cm、好ま
しくは、0.915〜0.935g/cm、190℃
のメルトマスフローレートが5〜120g/10分、好
ましくは、20〜100g/10分が好適に用いられ
る。密度が0.900g/cm未満であると耐熱性、
シボ保持性が劣り、0.935g/cmを超えると成
形性、柔軟性が悪くなることがある。またメルトマスフ
ローレートが5g/10分未満であると成形性が劣るこ
とがあり、120g/10分を超えると製品の機械特性
が悪くなることがある。
【0020】1−2−2.エチレン−アクリル酸アルキ
ル共重合体(A2−2) 本発明で、オレフィン系樹脂(A2)としてエチレン−
アクリル酸アルキル共重合体(A2−2)を用いると、
オレフィン系樹脂組成物の押出加工性、粉末によるスラ
ッシュ成形性がよくなり、成形体の機械的強度、接着
性、表面硬度、光沢、感触等が改善される効果がある。
本発明で用いられるエチレン−アクリル酸アルキル共重
合体(A2−2)は、ポリエチレンの高圧合成の発展し
た重合法により不活性溶剤の存在または不在のもとで遊
離基重合開始剤を用いてエチレンとアクリル酸アルキル
を50〜3000気圧、及び150℃以上の温度で共重
合する方法により製造される。エチレンと共重合される
好適なアクリル酸アルキル単量体は、次の化学式(1)
で表されるものである。
【0021】化学式(1):
【化1】 但し、上記式中、Rは、水素またはメチルであり、そ
してRは、1〜8個の炭素原子を有するアルキルであ
る。この式によって包含される具体的な化合物は、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シル等である。本発明で用いられるエチレン−アクリル
酸アルキル共重合体は、アクリル酸アルキル含有量が1
0〜40重量%、好ましくは、15〜35重量%、さら
に好ましくは、10〜30重量%であり、190℃のメ
ルトマスフローレートが、10〜300g/10分、好
ましくは、10〜150g/10分、さらに好ましく
は、10〜100g/10分のものである。アクリル酸
アルキル含有量が10重量%未満であると成形性、柔軟
性が劣ることがあり、40重量%を超えると機械的特性
が悪くなることがある。また、メルトマスフローレート
が10g/10分未満では、成形性が劣ることがあり、
300g/10分を超えると製品の機械的特性が悪くな
ることがある。なお、これらは、単体で用いても良いが
2種以上の組み合わせがより好ましい。
【0022】本発明で好ましく用いられるオレフィン系
樹脂(A2)の具体的な構成は、直鎖状エチレン−α−
オレフィン共重合体(A2−1)70〜30重量%、及
びエチレン−アクリル酸アルキル共重合体(A2−2)
30〜70重量%からなるものを挙げることができる。
直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A2−1)
が30重量%未満では、得られる複合体においてシボ保
持性が悪くなることがあり、70重量%を超えると得ら
れる成形体の加工性、柔軟性が劣ることがある。また、
エチレン−アクリル酸アルキル共重合体(A2−2)が
30重量%未満では、得られる成形体の加工性、柔軟性
が悪くなることがあり、70重量%を超えると得られる
複合体においてシボ保持性が劣ることがある。また、自
動車内装材の成形方法として加工が容易で、意匠性に優
れた特徴から好ましく用いられるスラッシュ成形を観点
に考えると直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体
(A2−1)が、好ましくは、60〜30重量%、より
好ましくは、55〜35重量%、及びエチレン−アクリ
ル酸アルキル共重合体(A2−2)が、好ましくは、4
0〜70重量%、より好ましくは、45〜65重量%の
配合が粉体流動性、成形性に優れるので好適である。
【0023】2.ポリカプロラクトン(B) 本発明でオレフィン系樹脂組成物(A)層の上に積層さ
れる内層としてポリカプロラクトン(B)を用いるとオ
レフィン系樹脂組成物(A)層とポリウレン発泡体
(D)とを一体化する接着剤としての機能を発現する。
また、オレフィン系樹脂組成物(A)にポリカプロラ
クトン(B)を配合する場合は、オレフィン系樹脂組成
物の加工性を改良し、本発明の成形体とポリウレタン発
泡体(D)との接着性をさらに強固にし、成形体の引張
強度、耐汚染性、耐損傷性、表面硬度、光沢等の性質を
改善する効果がある。また、ポリカプロラクトン(B)
は、微生物によって容易に分解するので、廃棄物になっ
たとき、処理が容易であり公害対策になる。
【0024】本発明において上記の様に使用するポリカ
プロラクトン(B)とは、ε−カプロラクトンとエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール等のジオールとを
有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化錫化
合物等の触媒存在下で開環重合することで製造され、数
平均分子量が、好ましくは、20,000〜120,0
00、より好ましくは、40,000〜100,000
が用いられる。数平均分子量が20,000未満では、
成形体の加工性が劣ることがあり、120,000を超
えると成形体の柔軟性や複合体でのウレタン発泡体との
接着性が悪くなることがある。また、本発明における数
平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
により次の条件で測定したポリスチレン換算の数平均分
子量である。 ・測定機器:150―CV plus GPC(Wat
ers社製) ・カラム :TSK―GEL GMHHR―H(S)
(東ソー(株)製2本) ・溶媒 :o―ジクロロベンゼン ・温度 :135℃ ・流速 :1ml/分 ・注入量 :200μl ・濃度 :2mg/ml(酸化防止剤2,6―ジ―t
―ブチル―p―フェノールを0.05重量%添加。濃度
検出は、示差屈折計により測定。)
【0025】3.複合樹脂組成物(C) 本発明で好ましく用いられる複合樹脂組成物(C)は、
上記オレフィン系樹脂組成物(A)と同様に外層を構成
するものであって、オレフィン系樹脂組成物(A)とポ
リカプロラクトン(B)からなるものである。オレフィ
ン系樹脂組成物(A)としては、オレフィン系熱可塑性
エラストマー(A1)10〜100重量%、及びオレフ
ィン系樹脂(A2)90〜0重量%からなるものが、特
に好ましい。また、複合樹脂組成物(C)の好適な構成
としては、上記オレフィン系樹脂組成物(A)100重
量部に対し、ポリカプロラクトン(B)5〜30重量部
配合からなるものを挙げることができる。ポリカプロラ
クトン(B)の配合量が30重量部を超えると成形体の
加工性、耐熱性が劣ることがあり、複合体でのシボ保持
性が劣ることがある。上記オレフィン系樹脂組成物
(A)にポリカプロラクトン(B)を配合した複合樹脂
組成物(C)からなる層は、ポリカプロラクトン(B)
からなる層との接着性が良好となり、成形体とウレタン
発泡体とのより強固な接着性が得られるので好適であ
る。
【0026】4.その他の樹脂成分 本発明の成形体を構成するオレフィン系樹脂組成物
(A)、及び複合樹脂組成物(C)には、その他の樹脂
成分としてスチレン系熱可塑製エラストマー、ウレタン
系熱可塑性エラストマー、変性ポリマーであるポリシロ
キサン変性オレフィン系ポリマーを配合することができ
る。ポリシロキサン変性オレフィン系ポリマーの配合
は、成形体の柔軟性、加工時の離型性に効果があり、ス
チレン系熱可塑製エラストマー、ウレタン系熱可塑性エ
ラストマーの配合は、柔軟性、経済性に効果があるので
好適である。
【0027】5.その他配合成分 本発明の成形体を構成するオレフィン系樹脂組成物
(A)、及び複合樹脂組成物(C)には、添加剤として
有機過酸化物、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等
を必要量配合することができる。
【0028】有機過酸化物は、架橋剤として成形体の機
械的特性や耐熱性を向上する目的で配合するが、具体的
に例示すると、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert
−ブチルパ−オキサイド、2,5−ジメチル−2,5−
ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキ
シ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパ
ーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(te
rt−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−
ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシ
ド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、ter
t−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチル
パーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパー
オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブ
チルクミルパーオキサイド等を挙げることができる。ま
た、有機過酸化物の使用量は、本発明のオレフィン系樹
脂組成物(A)、及び本発明で好ましく用いられる複合
樹脂組成物(C)100重量部に対し、0.05〜1.
0重量部が好ましく、0.1〜0.5重量部がより好ま
しい。また、ジビニルベンゼン等の多官能性モノマー、
パーオキシ架橋用助剤を上記有機過酸化物と同じ範囲の
使用量で併用しても良い。
【0029】紫外線吸収剤としては、シベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、サリチル系、フタル系等で
代表される紫外線吸収剤が挙げられる。また、紫外線吸
収剤の使用量は、本発明のオレフィン系樹脂組成物
(A)または、複合樹脂組成物(C)100重量部に対
し、0.05〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.
5重量部がより好ましい。
【0030】光安定剤としては、ヒンダ−ドアミン等で
代表される光安定剤が挙げられる。また、光安定剤の使
用量は、本発明のオレフィン系樹脂組成物(A)、及び
本発明で好ましく用いられる複合樹脂組成物(C)10
0重量部に対し、0.05〜1.0重量部が好ましく、
0.1〜0.5重量部がより好ましい。
【0031】酸化防止剤としては、フェノール系、有機
リン系が挙げられ、これらは、少なくとも2種以上の併
用が好ましい。また、酸化防止剤の使用量は、本発明の
オレフィン系樹脂組成物(A)、及び本発明で好ましく
用いられる複合樹脂組成物(C)100重量部に対し、
0.05〜1.0重量部が好ましく、0.1〜0.5重
量部がより好ましい。
【0032】6.オレフィン系樹脂組成物(A)、及び
複合樹脂組成物(C)の製造方法 本発明のオレフィン系樹脂組成物(A)、及び本発明で
好ましく用いられる複合樹脂組成物(C)は、各構成成
分の所定量を予めヘンシェルミキサー、タンブラー型ブ
レンダー、及びV型ブレンダー等の混合機でドライブレ
ンドした後、押出機、ニーダー、ミキサー等の混練機に
連続または、非連続に供給し、溶融混練するか、直接、
上記押出機、ニーダー、ミキサー等の混練機で溶融混練
することにより製造することができる。
【0033】7.成形体の製造方法 本発明の成形体は、オレフィン系樹脂組成物(A)、ま
たは、複合樹脂組成物(C)からなる外層に対しポリカ
プロラクトン(B)からなる内層が積層された成形体で
あり、オレフィン系樹脂組成物(A)または、複合樹脂
組成物(C)からなる外層の厚み100部に対し、ポリ
カプロラクトン(B)からなる内層の厚みが5〜25部
の割合で積層することが好適である。オレフィン系樹脂
組成物(A)、または、複合樹脂組成物(C)からなる
外層の厚み100部に対し、ポリカプロラクトン(B)
からなる厚みが25部を超えた割合で積層すると得られ
る成形体の風合いが硬くなり、自動車内装材として適さ
ないことがある。またオレフィン系樹脂組成物(A)、
複合樹脂組成物(C)からなる外層の厚み100部に対
し、ポリカプロラクトン(B)からなる内層の厚みが5
部未満では、均一な厚みの成形が困難になることがあ
る。なお、本発明の成形体は、シート押出成形法、粉末
成形法等によって製造することができるが、オレフィン
系樹脂組成物(A)、複合樹脂組成物(C)、並びにポ
リカプロラクトン(B)は、ハンマーミル、ピンミル、
ターボミル等の粉砕機により常温粉砕または、冷凍粉砕
等の方法で平均粒径50〜500μmを有するパウダー
とすることが可能であるので成形が簡便で、意匠性に優
れるスラッシュ成形法が好適である。
【0034】8.スラッシュ成形法による成形体の製造
方法 本発明の成形体をスラッシュ成形法により製造する具体
的な方法をオレフィン系樹脂組成物(A)、ポリカプロ
ラクトン(B)を用いて説明する。適量のオレフィン系
樹脂組成物(A)の粉末を入れたパウダーボックスAの
上部に予め樹脂組成物が溶融する温度以上、例えば23
0〜300℃に加熱した金型を結合固定し、回転するこ
とで重力によりオレフィン系樹脂組成物(A)の粉末を
落下投入する。次いで、一定時間経過後、例えば4〜2
0秒間経過後に反転し、余分な樹脂をパウダーボックス
Aへ払い落とす。溶着した樹脂層は、金型の開口部分を
上に上記温度で一定時間、例えば5〜15秒間安定さ
せ、溶融状態のオレフィン系樹脂組成物(A)からなる
成形体を得る。一方、適量のポリカプロラクトン(B)
の粉末を入れたパウダーボックスBをこの金型と結合固
定し、同様の操作を用いてポリカプロラクトン(B)の
粉末を落下投入し、一定時間、例えば4〜20秒経過後
に反転し、余分な樹脂をパウダーボックスBへ払い落と
す。続いてパウダーボックスを分離し、金型の開口部分
を上に140〜240℃の加熱炉中で一定時間、例えば
5〜15秒間安定させ、これを水冷・脱型することによ
り、オレフィン系樹脂組成物(A)にポリカプロラクト
ン(B)を積層した本発明の成形体を得ることができ
る。
【0035】9.ポリウレタン発泡体(D) 本発明で好ましく用いられるポリウレタン発泡体(D)
の製造方法は、公知の方法であれば良く、特に限定され
ないがポリオール、ポリエーテルポリオール混合物、架
橋剤等からなる組成物に対し、トルエンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート等の芳香族系イソ
シアネートと共にアミン系、錫系等の触媒、シリコーン
等の整泡剤、フロン等の補助発泡剤、水等を加えて反応
・発泡させる方法、所謂コールドキュア法により好適に
製造される。
【0036】10.複合体の製造方法 本発明で好ましく用いられる複合体は、予めポリウレタ
ン発泡体(D)を製造し、加熱圧縮等により成形体と一
体化する方法を用いることもできるが、本発明の成形体
をウレタン注入発泡金型に装着し、次にポリオールとイ
ソシアネートの混合物を注入後、発泡、硬化させ、成形
体とポリウレタン発泡体を一体化する方法が好適であ
る。
【0037】
【実施例】以下実施例、比較例を用いて本発明を具体的
に説明するが、本発明は、これに限定されるものではな
い。実施例、比較例において用いた評価方法は、次の方
法に従った。
【0038】1)引張破断応力、伸び 成形体についてJIS K6922−2附属書に準拠
し、引張速度は、200mm/分で測定した。
【0039】2)硬度 成形体についてASTM D 2240に準拠し、ショ
アAにおける硬度を測定した。
【0040】3)シボ保持性 複合体の試験片(100mm×20mm)を90℃のエ
アオーブン中に30分放置し、シボ保持性を目視により
評価した。評価基準を以下に示す。 ○:シボが保持されている。 ×:シボが崩れている。
【0041】4)接着性 複合体の試験片(25×100mm)における成形体と
ポリウレタン発泡体との180°剥離強度と剥離状態を
引張速度200mm/秒で評価した。評価基準を以下に
示す。 180°剥離強度: ◎:5N/25mmを超える。 ○:3〜5N/25mm。 ×:3N/25mm未満。 剥離状態 ◎:良好に接着し、ポリウレタン発泡体層の殆どで凝集
破壊が生じる。 ○:良好に接着し、ポリウレタン発泡体層で部分的に凝
集破壊が生じる。 △:接着が弱く、ポリウレタン発泡体層で部分的に界面
剥離が生じる。 ×:接着せず、ポリウレタン発泡体層の殆どで界面剥離
が生じる。
【0042】5)加工性 成形体の厚みの均一性と表面のピンホールの有無につい
て目視で評価した。 ○:成形体の厚みが均一であり、表面にピンホールがな
い。 ×:成形体の厚みが不均一である。または、成形体の表
面にピンホールが生じる。
【0043】実施例1 オレフィン系熱可塑性エラストマー[三井化学(株)
製、商品名ミラストマー9070N(密度:0.890
g/cm、メルトマスフローレート:20g/10
分、230℃、2.16kg荷重)]のペレットをスク
リュー直径20mm、L/D=20のTダイシート押出
成形機に供給速度2.0kg/時、加工温度170℃の
条件で供給し、シボ模様付冷却ロールにより厚み0.8
mmのシボ付シートを作製した。次に得られたシートの
上に溶融状態のポリカプロラクトン[米国ユニオン・カ
ーバイト・コーポレーション製、商品名Tone P−
787(数平均分子量80,000)]を厚み0.2m
mになるよう積層し、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ーとポリカプロラクトンからなる厚み1.0mmの成形
体を得た。
【0044】得られた成形体については、引張破断応
力、伸び、硬度を測定し、加工性の評価として厚みの均
一性と表面のピンホールの有無について目視にて観察し
た。さらに35℃で調温されたウレタン発泡金型に成形
体から切抜いた試験片(100×130×1.0mm)
を装着し、予め適量の割合で攪拌混合したポリオール、
イソシアネートを注入、発泡、硬化させることで成形体
とポリウレタン発泡体層とが一体化した複合体を製造
し、シボ保持性および接着性の評価を行った。結果を表
1に示す。
【0045】
【表1】 表1より明らかなように本発明の成形体は、良好な引張
破断応力、伸び、硬度を示し、加工性に優れていた。ま
た、複合体においてシボ保持性に優れ、さらに接着性
は、180°剥離強度が5.2N/25mmとなり、部
分的に凝集破壊が見られる良好なものであった。
【0046】実施例2 実施例1で用いたオレフィン系熱可塑性エラストマーに
代えて2軸押出機を用い、エチレン−アクリル酸エチル
共重合体[日本ユニカー(株)製、商品名NUC−60
70(アクリル酸エチル含有量:25%、メルトマスフ
ローレート:250g/10分、190℃、2.16k
g荷重)]30重量%、直鎖状エチレン−1−ブテン共
重合体[日本ユニカー(株)製、商品名NUCG−53
91(密度:0.926g/cm、メルトマスフロー
レート:50g/10分、190℃、2.16kg荷
重)]20重量%、ポリオレフィン系熱可塑性エラスト
マー[三井化学(株)製、商品名ミラストマー9070
N(密度:0.890g/cm、メルトマスフローレ
ート:20g/10分、230℃、2.16kg荷
重)]50重量%からなるオレフィン系樹脂組成物を1
60℃、10分間混練を行ない、オレフィン系樹脂組成
物のペレットを造粒し、得られたオレフィン系樹脂組成
物のペレットを用いる以外は、実施例1と同様の方法で
加工・積層し、得られた成形体、及び複合体について評
価を行った。結果を表1に示す。表1より明らかなよう
に本発明の成形体は、良好な引張破断応力、伸び、硬度
を示し、加工性に優れていた。また、複合体においてシ
ボ保持性に優れ、さらに接着性は、180°剥離強度が
5.8N/25mmとなり、部分的に凝集破壊が見られ
る良好なものであった。
【0047】実施例3 実施例2のオレフィン系樹脂組成物の配合をエチレン−
アクリル酸エチル共重合体45重量%、直鎖状エチレン
−1−ブテン共重合体30重量%、ポリオレフィン系熱
可塑性エラストマー25重量%に代えて実施例2と同様
に混練し、オレフィン系樹脂組成物のペレットを造粒し
た。得られたオレフィン系樹脂組成物のペレット及びポ
リカプロラクトンを液体窒素で冷却した粉砕機(ターボ
工業(株)製、商品名ターボミルT−400型)によりそ
れぞれ粉砕し、オレフィン系樹脂組成物の粉末、ポリカ
プロラクトンの粉末を得た。次に、小型パウダースラッ
シュ成形装置を用い、オレフィン系樹脂組成物の粉末1
60gを入れた300mm×200mmのパウダーボッ
クスの上部に予め260℃に加熱した300mm×20
0mm×3mmのシボ模様転写金型を結合固定し、回転
することで重力により樹脂組成物の粉末を落下投入し
た。次いで、10秒間経過後に反転し、木製ハンマーに
よりシボ模様転写金型を叩き、余分な樹脂組成物を払い
落としてシボ模様転写金型をパウダーボックスから分離
した。一方、ポリカプロラクトンの粉末60gを入れた
パウダーボックスを上記金型と結合固定し、同様の操作
でを落下投入し、8秒経過後に反転し、余分な樹脂組成
物を除いた後、パウダーボックスを分離し、金型の開口
部分を上に180℃の加熱炉中で10秒間安定させ、こ
れを20℃の水で水冷・脱型することにより、厚み0.
8mmのオレフィン系樹脂組成物に厚み0.2mmのポ
リカプロラクトンが積層された成形体を得た。得られた
成形体については、引張破断応力、伸び、硬度を評価し
さらに、実施例1と同様の方法でポリウレタン発泡体層
との複合体を成形し、シボ保持性、接着性の評価を行っ
た。結果を表1に示す。表1より明らかなように本発明
の成形体は、良好な引張破断応力、伸び、硬度を示し、
加工性に優れていた。また、複合体においてシボ保持性
に優れ、さらに接着性は、180°剥離強度が6.2N
/25mmとなり、部分的に凝集破壊が見られる良好な
ものであった。
【0048】実施例4 実施例1で用いたオレフィン系熱可塑性エラストマー単
体に代えてオレフィン系熱可塑性エラストマー100重
量部、ポリカプロラクトン[米国ユニオン・カーバイト
・コーポレーション製、商品名Tone P−787
(数平均分子量80,000)]25重量部からなる複
合樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様の方法で
加工し、得られた成形体、及び複合体について評価を行
った。結果を表1に示す。表1より明らかなように本発
明の成形体は、良好な引張破断応力、伸び、硬度を示
し、加工性に優れていた。また、複合体においてシボ保
持性に優れ、さらに接着性は、180°剥離強度が6.
5N/25mmとなり、ポリウレタン発泡体層の殆どで
凝集破壊が見られる良好なものであった。
【0049】実施例5 実施例3のオレフィン系樹脂組成物に代えてエチレン−
アクリル酸エチル共重合体45重量%、直鎖状エチレン
−1−ブテン共重合体30重量%、ポリオレフィン系熱
可塑性エラストマー25重量%からなるオレフィン系樹
脂組成部100重量部に対し、ポリカプロラクトン[米
国ユニオン・カーバイト・コーポレーション製、商品名
Tone P−787(数平均分子量80,000)2
5重量部配合した複合樹脂組成物を用いる以外は、実施
例3と同様の方法で造粒、粉砕、加工し、得られた成形
体、及び複合体について評価を行った。結果を表1に示
す。表1より明らかなように本発明の成形体は、良好な
引張破断応力、伸び、硬度を示し、加工性に優れてい
た。また、複合体においてシボ保持性に優れ、さらに接
着性は、180°剥離強度が7.5N/25mmとな
り、ポリウレタン発泡体層の殆どで凝集破壊が見られる
良好なものであった。
【0050】比較例1 実施例1のオレフィン系熱可塑性エラストマー単体から
なる厚み1.0mmのシボ付きシートを作成し、ポリカ
プロラクトンを積層しない成形体とする以外は、実施例
1と同様に加工し、評価を行った。結果を表1に示す。
表1より明らかなように得られた成形体は、引張破断応
力が若干劣っていたが良好な伸び、硬度を示し、加工性
に優れていた。また、複合体におけるシボ保持性も良好
であった。しかし、複合体においてポリウレタン発泡体
との接着性で180°剥離強度が0.6N/25mmと
なり、殆どで界面剥離が生じ、実用性のある複合体が得
られなかった。
【0051】比較例2 実施例3のオレフィン系樹脂組成物からなる厚み1.0
mmのシボ付きシートを作成し、ポリカプロラクトンを
積層しない成形体とする以外は、実施例1と同様の方法
で加工・積層し、得られた成形体、及び複合体について
評価を行った。結果を表1に示す。表1より明らかなよ
うに得られた成形体は、引張破断応力が若干劣っていた
が良好な伸び、硬度を示し、加工性に優れていた。しか
し、複合体におけるシボ保持性に劣り、成形体とポリウ
レタン発泡体との接着性で180°剥離強度が0.8N
/25mmとなり、殆どで界面剥離が生じ、実用性のあ
る複合体が得られなかった。
【0052】
【発明の効果】本発明の成形体は、オレフィン樹脂組成
物または、複合樹脂組成物からなる層にポリカプロラク
トンからなる層が積層されているので、直接ポリウレタ
ン発泡体と一体化が可能な接着性を有し、該成形体とポ
リウレタン発泡体とからなる複合体は、強く一体化され
る。また、成形体において優れた機械特性、加工性を持
ち、複合体において優れたシボ保持性を有している。さ
らに、ポリ塩化ビニルを含まないので環境に対する負荷
も小さく、インストルメンタルパネル等の自動車内装材
の他に家電・OA機器のハウジング、自転車のサドル、
スポーツシューズ、家具、インテリア、玄関マット等の
表皮材として有効に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK03A AK41A AK41B AK51C AK62A AK71A AL05A AL09A BA02 BA03 BA07 BA15 DJ01C EH17 EJ19 GB33 JA07A JA07B JB16A JL11 YY00A 4J002 BB03X BB05X BB06X BB07X BB08X BB12X BB15W CF193 GN00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン系樹脂組成物(A)からなる
    外層にポリカプロラクトン(B)からなる内層が積層し
    ていることを特徴とする成形体。
  2. 【請求項2】 オレフィン系樹脂組成物(A)が、オレ
    フィン系熱可塑性エラストマー(A1)10〜100重
    量%、及びオレフィン系樹脂(A2)90〜0重量%か
    らなることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 【請求項3】 オレフィン系樹脂組成物(A)、及びポ
    リカプロラクトン(B)からなる複合樹脂組成物(C)
    からなる外層にポリカプロラクトン(B)からなる内層
    が積層していることを特徴とする成形体。
  4. 【請求項4】 複合樹脂組成物(C)が、オレフィン系
    熱可塑性エラストマー(A1)10〜100重量%、及
    びオレフィン系樹脂(A2)90〜0重量%からなるオ
    レフィン系樹脂組成物(A)100重量部に対し、ポリ
    カプロラクトン(B)5〜30重量部を配合して得られ
    るものであることを特徴とする請求項3に記載の成形
    体。
  5. 【請求項5】 オレフィン系樹脂(A2)が、直鎖状エ
    チレン−α−オレフィン共重合体(A2−1)70〜3
    0重量%、及びエチレン−アクリル酸アルキル共重合体
    (A2−2)30〜70重量%からなることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の成形体。
  6. 【請求項6】 ポリカプロラクトン(B)の数平均分子
    量が、20,000〜120,000であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形体。
  7. 【請求項7】 自動車内装材として用いることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の成形体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の成形体
    とポリウレタン発泡体(D)を一体化してなる複合体。
  9. 【請求項9】 自動車内装材として用いることを特徴と
    する請求項8に記載の複合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006143938A (ja) * 2004-11-22 2006-06-08 Nof Corp 樹脂成形体の表面物性改良剤組成物、これを含有する熱可塑性樹脂組成物、その樹脂成形体及び自動車内装表皮材

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JP2006143938A (ja) * 2004-11-22 2006-06-08 Nof Corp 樹脂成形体の表面物性改良剤組成物、これを含有する熱可塑性樹脂組成物、その樹脂成形体及び自動車内装表皮材

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