JP2019163347A - 射出成形用プロピレン系樹脂組成物および成形体 - Google Patents

射出成形用プロピレン系樹脂組成物および成形体 Download PDF

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杉山 武史
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Abstract

【課題】従来のプロピレン系樹脂の課題であった弾性率と衝撃強度の双方を向上させることが出来る射出成形用プロピレン系樹脂組成物の提供。【解決手段】(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなるプロピレン系樹脂組成物であって、230℃、荷重2.16kgの条件で測定した前記樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上50g/10分以下であり、かつ前記樹脂組成物のメルトテンションと前記MFRとの関係が下記式を満たすことを特徴とする射出成形用プロピレン系樹脂組成物。log(メルトテンション)≧−0.71×log(MFR)+0.44【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形用プロピレン系樹脂組成物およびそれから得られる成形体に関する。
プロピレン系樹脂は、その高い耐熱性、耐薬品性、低比重などの優れた特徴から、食品容器、自動車部品、建材、家電部品等様々な用途において、広く使用されている。
しかし、プロピレン系樹脂は、弾性率と衝撃強度の両立が課題であり、弾性率と衝撃強度の双方に優れていることが求められる用途に使用することができない場合があった。そのため、弾性率と衝撃強度が求められる場合、汎用樹脂として入手可能で衝撃強度の優れたプロピレン系樹脂(一般的にはプロピレン−エチレンブロック共重合体やプロピレンブロック共重合体などと呼ばれる。)を目的に合わせて選択し使用するか、エチレン−α−オレフィンラバーやスチレン−ブタジエンブロック共重合体等の任意のラバー成分をプロピレン系樹脂に別で配合し使用することが行われている。
しかし、プロピレン−エチレンブロック共重合体は、弾性率と衝撃強度が反比例の傾向があり、衝撃強度の向上に伴い弾性率が低下する傾向にある。また、衝撃強度と流動性においても反比例の傾向にあり、衝撃強度の向上に伴い流動性は低下する。よって、プロピレン−エチレンブロック共重合体がすべてにおいて十分満足できているとは言い難い。
一方で、エチレン−α−オレフィンラバーやスチレン−ブタジエンブロック共重合体等の任意のラバー成分をプロピレン系樹脂に別で配合する方法は材料の選択性が増すことから、衝撃強度と流動性の関係を任意に調整することが可能という利点がある。しかし、ラバー配合量の増加に伴い弾性率が低下する事は避けがたく、弾性率と衝撃強度を十分に両立出来ているとは言い難い。そのため弾性率と衝撃強度の両立を目的とし、ラバー成分以外にタルクや炭酸カルシウムなどの添加材を配合するこで弾性率と衝撃強度の両立が行われている。例えば特許文献1には、プロピレンブロック共重合体に任意のラバー、タルク、炭酸カルシウムを配合することで、流動性、弾性率、衝撃強度の両立が行われている。確かにこれらの配合によりこれらの特性を両立させることは可能であるが、タルクや炭酸カルシウムは高比重であることから、配合により比重が大きくなり、プロピレン系樹脂の特徴である低比重と言う特徴を損なう恐れがある。
これらの課題を解決するためには、任意のラバー成分を配合したプロピレン系樹脂そのものの弾性率と衝撃強度をより向上させることが求められている。弾性率と衝撃強度をより向上させることが出来ると、タルクや炭酸カルシウムなどを配合する場合においても配合量を抑えることが可能となり、その結果、比重の増加を抑制することが出来る。
また、特許文献2にはプロピレン−エチレンブロック共重合体と改質ポリプロピレン系樹脂を含んでなる射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている。開示されているプロピレン−エチレンブロック共重合体は上記した通り、流動性と衝撃強度が反比例の傾向を有していることから、成形性と衝撃強度が反比例している。さらに特許文献3にはプロピレン−エチレンブロック共重合体と改質ポリプロピレン系樹脂と熱可塑性ゴムと発泡剤を含む射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている。しかし、開示されている実施例を転用して評価したが、十分な効果は得られなかった。
特開2012−82268号公報 特開2010−241978号公報 特開2010−106093号公報
本発明の目的は、プロピレン系樹脂の課題であった弾性率と衝撃強度のバランスをより向上させることが出来る射出成形用プロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するために種々検討を行い、特定のプロピレン系樹脂と、特定の改質プロピレン系樹脂および熱可塑性ラバーを含む組成物が前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1](A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなるプロピレン系樹脂組成物であって、230℃、荷重2.16kgの条件で測定した前記樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上50g/10分以下であり、かつ前記樹脂組成物のメルトテンションと前記MFRとの関係が下記式を満たすことを特徴とする射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
log(メルトテンション)≧−0.71×log(MFR)+0.44
[2](A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂の含有量が、それぞれ50重量%以上95重量%以下、5重量%以上50重量%以下(ただし、A+B=100重量%とする。)であり、(C)熱可塑性ラバーの含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して5重量部以上40重量部以下であることを特徴とする[1]に記載の射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
[3]下記(a−1)および(a−2)を満たす(A)線状プロピレン系樹脂を含む[1]または[2]に記載の射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
(a−1)230℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上50g/10分以下。
(a−2)メルトテンションが2cN以下。
[4]下記(b−1)および(b−2)を満たす(B)改質プロピレン系樹脂を含む[1]または[2]に記載の射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
(b−1)230℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.3g/10分以上50g/10分以下。
(b−2)180℃での動的粘弾性測定における角周波数0.1rad/sでの損失弾性率と貯蔵弾性率の比である損失正接tanδ(0.1)と、角周波数1rad/sでの損失弾性率と貯蔵弾性率の比である損失正接tanδ(1)の比が1.8以下。
[5](C)熱可塑性ラバーが(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ラバー、(b)エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ラバー、または(c)アルケニル芳香族化合物単位含有ゴムから選ばれる少なくとも1種類以上の熱可塑性ラバーからなる[1]または[2]に記載の射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
[6] [1]〜[5]いずれか一項に記載の射出成形用プロピレン系組成物を含む射出成形体。
本発明の効果は弾性率と衝撃強度の双方をより向上させた射出成形用プロピレン系樹脂組成物を提供することができる。
本発明の実施例と、(A)線状プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーを配合した比較例のメルトテンションとMFRの関係を示した図である。 実施例1〜4と比較例1〜5それぞれで得られた射出成形用プロピレン系樹脂組成物の弾性率と衝撃強度の関係を示した図である。 本発明の実施例4と比較例5で得られた射出成形用プロピレン系樹脂組成物を四酸化ルテニウムで染色し、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した相構造写真である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物は、線状プロピレン系樹脂と改質プロピレン系樹脂と熱可塑性ラバーを含んでなり、特定のメルトフローレートおよびメルトテンションをもつ。
<射出成形用プロピレン系樹脂組成物>
本発明における射出成形用プロピレン系樹脂組成物は、後述する(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなり、得られる射出成形用プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(以下、MFR)が0.5g/10分以上50g/10分以下であることが好ましく、1.0g/10分以上40g/10分以下がより好ましく、2.0g/10分以上30g/10分以下がさらに好ましい。また、MFRが0.5g/10分以上50g/10分以下の範囲において、射出成形用プロピレン系樹脂組成物のMFRとメルトテンションの関係が下記式を満たすことが好ましい。
log(メルトテンション)≧−0.71×log(MFR)+0.44
より好ましいMFRとメルトテンションの関係は下記式を満たすことであり、
log(メルトテンション)≧−0.71×log(MFR)+0.55
さらに好ましMFRとメルトテンションの関係は下記式を満たすことである。
log(メルトテンション)≧−0.71×log(MFR)+0.59
また、本発明における射出成形用プロピレン系樹脂組成物のMFRが0.5g/10分以上10g/10分未満の場合、MFRとメルトテンションの関係は下記式を満たすことが好ましい。
log(メルトテンション)≧−0.71×log(MFR)+0.44
より好ましいMFRとメルトテンションの関係は下記式を満たすことであり、
log(メルトテンション)≧−0.80×log(MFR)+0.56
さらに好ましMFRとメルトテンションの関係は下記式を満たすことである。
log(メルトテンション)≧−0.83×log(MFR)+0.67
さらに本発明における射出成形用プロピレン系樹脂組成物のMFRが10g/10分以上50g/10分以下の場合、MFRとメルトテンションの関係は下記式を満たすことが好ましい。
log(メルトテンション)≧−0.71×log(MFR)+0.44
より好ましいMFRとメルトテンションの関係は下記式を満たすことである。
log(メルトテンション)≧−0.71×log(MFR)+0.55
ここでMFRとは、JIS K7210に準拠し、230℃、2.16kgの荷重下で測定したものを言う。また、メルトテンションとは、メルトテンション測定用アタッチメントを付けたキャピラリーレオメーター(東洋精機製作所製)を使用して、230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを10m/分で引き取る際にロードセル付きプーリーにかかる荷重のことを言う。本発明における射出成形用プロピレン系樹脂組成物のMFRやメルトテンションは、(A)線状プロピレン系樹脂、(B)改質プロピレン系樹脂、(C)熱可塑性ラバーをそれぞれを特定の割合で配合することによって得ることが出来る。
射出成形用プロピレン系樹脂のMFRとメルトテンションの関係が上記式を満たさない場合、弾性率と衝撃強度の両立が出来なくなる傾向にある。
射出成形用プロピレン系樹脂組成物のMFRとメルトテンションの関係が上記式を満たす場合、弾性率と衝撃強度が両立出来る理由は完全に明らかになってはいないが、(A)線状プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーを溶融混錬した場合では、(A)線状プロピレン系樹脂中に(C)熱可塑性ラバーが分散した構造となるが、(B)改質プロピレン系樹脂をさらに配合することで樹脂組成物全体のメルトテンションが高くなった結果、(C)熱可塑性ラバーにかかる力が大きくなり、(C)熱可塑性ラバーがより分散したため弾性率と衝撃強度の両立が達成されたと推測される。
本発明における射出成形用プロピレン系樹脂組成物において、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂の含有量を100重量%とした場合、(A)線状プロピレン系樹脂の含有量は50重量%以上95重量%以下が好ましく、70重量%以上95重量%以下がより好ましく、70重量%以上90重量%以下がさらに好ましい。また、(B)改質プロピレン系樹脂の含有量は5重量%以上50重量%以下が好ましく、5重量%以上30重量%以下がより好ましく、10重量%以上30重量%以下がさらに好ましい。また、(C)熱可塑性ラバーの含有量は(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂の合計100重量部に対して5重量部以上40重量部以下であることが好ましく、5重量部以上35重量部以下がより好ましく、5重量部以上30重量部以下がさらに好ましい。(A)線状プロピレン系樹脂、(B)改質プロピレン系樹脂、(C)熱可塑性ラバーの含有量がそれぞれ当該範囲にあると、弾性率と衝撃強度を両立することが出来る。一方、例えば(B)改質プロピレン系樹脂の含有量が5重量%未満であると弾性率と衝撃強度の両立が得られにくくなり、また50重量%を超えた場合も弾性率と衝撃強度の両立が得られにくくなる。また、(C)熱可塑性ラバーの含有量が5重量部未満の場合、弾性率は高いが、衝撃強度が低くなり、40重量部を超えた場合、衝撃強度は高いが、弾性率が著しく低下する傾向にあるため、弾性率と衝撃強度の両立が得られにくくなる。
次に、本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物を構成する(A)線状プロピレン系樹脂、(B)改質プロピレン系樹脂および(C)熱可塑性ラバーについて説明する。
<(A)線状プロピレン系樹脂>
本発明で用いられる(A)線状プロピレン系樹脂とは、線状の分子構造を有しているプロピレン系樹脂であり、通常の重合方法、例えば担体に担持させた遷移金属化合物と有機金属化合物から得られる触媒系(例えばチーグラー・ナッタ触媒)の存在下の重合で得られる。具体的にはプロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外の単量体とを共重合させたランダム共重合体や、ブロック共重合体であり結晶性の重合体が挙げられる。共重合体としては、プロピレンを75重量%以上、好ましくは90重量%以上を含有しているものが、プロピレン系樹脂の特徴である結晶性、弾性率、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。プロピレンと共重合可能な単量体としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられる。これらのうち、エチレン、1−ブテンが衝撃強度の向上、安価等という点で好ましい。
(A)線状プロピレン系樹脂としては、具体的にはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体が熱可塑性ラバーを任意に配合し、特性を調整し易い点から好ましく、さらに特性に応じて適宜選択することが出来、例えば、高い弾性率や高融点の観点からはプロピレン単独重合体やプロピレン−エチレンブロック共重合体が好ましく、透明性や低融点の観点からはプロピレン−エチレンランダム共重合体が好ましい。
<(A)線状プロピレン系樹脂のMFR>
本発明で用いられる(A)線状プロピレン系樹脂のMFRは0.5g/10分以上50g/10分以下であることが好ましく、0.5g/10分以上40g/10分以下がより好ましく、1.0g/10分以上30g/10分以下がさらに好ましい。メルトフローレートが0.5g/10分未満であると本発明である射出成形用プロピレン系樹脂組成物とした際に流動性が低くなりすぎ、成形性が低下する。一方、50g/10分を超えた場合、本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物とした際に弾性率と衝撃強度の両立が得られにくくなる。
<(A)線状プロピレン系樹脂の分子量および分子量分布>
本発明における(A)線状プロピレン系樹脂のGPCで求められる分子量分布(Mw/Mn)は3以上10以下、3以上9以下がより好ましく、3以上8以下がさらに好ましい。分子量分布が当該範囲にあると樹脂の入手のし易さや安価である点が好ましい。分子量分布が3未満の場合、分子量分布が狭いことから、均一な分子量を有していると言えるが、製造コストが高くなる傾向があり、汎用的に使用できるとは言い難い。
<(A)線状プロピレン系樹脂のメルトテンション>
本発明で用いられる(A)線状プロピレン系樹脂のメルトテンションは2cN以下であり、好ましくは1.5cN以下である。メルトテンションが2cN以下であれば射出成形の際金型表面への転写性が良好であり、表面外観美麗な成形体が得られる。
<(B)改質プロピレン系樹脂>
本発明で用いられる(B)改質プロピレン系樹脂とは、通常線状の分子構造を有するプロピレン系樹脂を後述する方法等で改質し、線状の分子構造の一部に分岐構造や架橋構造を導入したプロピレン系樹脂のことである。分岐構造や架橋構造はその製造方法によって分岐や架橋の数や長さが異なることは良く知られている。本発明の(B)改質プロピレン系樹脂は、分岐や架橋の数や長さに特に制限はなく、数の多いものや、長さが長いものも含む。
<(B)改質プロピレン系樹脂のMFR>
本発明で用いられる(B)改質プロピレン系樹脂のMFRは0.3g/10分以上50g/10分以下が好ましく、0.5g/10分以上40g/10分以下がより好ましく、0.5g/10分以上35g/10分以下がさらに好ましい。
MFRが0.3g/10分より小さいと、本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物にした際に均一な混合状態が得られにくくなる傾向がある。一方、MFRが50g/10分を超える場合、本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物にした際に弾性率と衝撃強度の両立が得られにくくなる。
<(B)改質プロピレン系樹脂の融点>
本発明で用いられる(B)改質プロピレン系樹脂の融点は、120℃以上170℃以下であることが好ましく、140℃以上170℃以下であることがより好ましく、150℃以上170℃以下であることがさらに好ましい。改質プロピレン系樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC測定)にて測定した際に得られたDSC曲線の吸熱ピークのピークトップを示す温度から求める事が出来る。
<(B)改質プロピレン系樹脂の損失正接tanδ>
本発明で用いられる(B)改質プロピレン系樹脂は、180℃での動的粘弾性測定において、角周波数0.1rad/sでの損失正接tanδ(0.1)と角周波数1rad/sでの損失正接tanδ(1)の比(tanδ(0.1)/tanδ(1))が1.8以下である。動的粘弾性測定における損失正接tanδは損失弾性率と貯蔵弾性率の比であり、損失正接tanδが大きい場合は相対的に損失弾性率が大きく、樹脂としては粘性的に振舞っており、損失正接tanδが小さい場合は相対的に貯蔵弾性率が大きく、樹脂としては弾性的に振舞っている。特に角周波数0.1〜1rad/s領域は低せん断領域であり、この領域における一般的な線状プロピレン系樹脂の損失正接tanδは低せん断領域側に向かって増加する傾向にある。
本発明で用いられる(B)改質プロピレン系樹脂は、低せん断領域においても損失正接tanδが小さいこと、すなわち樹脂として弾性的に振舞っていることが重要であり、tanδ(0.1)/tanδ(1)は1.8以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましい。tanδ(0.1)/tanδ(1)が1.8よりも大きい場合、一般的な線状プロピレン系樹脂と同様の損失正接の特徴を示すため、本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物にした際に弾性率と衝撃強度の両立が得られにくくなる。
ここで、損失正接tanδは、25mmφのパラレルプレート型冶具を装着した粘弾性測定装置を用い、測定温度180℃、パラレルプレート間隔1mm、角周波数0.1rad/sから100rad/sまでの範囲で測定を行った。なお、前記粘弾性測定には、例えば、TAインスツルメンツ社製粘弾性測定装置、ARESなどが好適に用いられる。
<(B)改質プロピレン系樹脂の製造方法>
本発明で用いられる(B)改質プロピレン系樹脂の製造方法は、上記した特性を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、線状プロピレン系樹脂に放射線を照射する方法、(a)プロピレン系樹脂に(b)共役ジエン化合物と(c)ラジカル重合開始剤を配合し溶融混練して得る方法が挙げられる。その他、プロピレン単量体を触媒と共に重合し、ポリマー片末端がプロペニル構造を示したマクロマーを生成させ、次いでこのマクロマーに対して再度プロピレン単量体、またはエチレン単量体とプロピレン単量体を加え触媒と共に重合することによって得る方法が挙げられる。この方法で製造される改質プロピレン系樹脂は、通常、長鎖分岐型ポリプロピレンと言われるものである。この方法で製造され、市販されている改質プロピレン系樹脂としては日本ポリプロ製WAYMAX MFX8、MFX6、MFX3、EX8000、EX6000、EX4000などが挙げられる。
ここでは(a)プロピレン系樹脂に(b)共役ジエン化合物と(c)ラジカル重合開始剤を配合し溶融混練して得られる方法について説明するが、本発明における(B)改質プロピレン系樹脂の製造方法を限定するものではない。
(a)プロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他の単量体とのブロック共重合体、またはプロピレンと他の単量体とのランダム共重合体などの重合体が挙げられる。その重合体は、結晶性を有する重合体であることが好ましい。うち、弾性率が高く、安価である観点から、プロピレン単独重合体が好ましく、また、弾性率および耐衝撃性がともに高い観点から、プロピレンと他の単量体とのブロック共重合体であることが好ましく、さらには透明性が高い観点から、プロピレンと他の単量体とのランダム共重合体が好ましい。さらには、これらの特性を調整するために、前記以外のプロピレン単独重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体を混合してもよい。
<(a)が共重合体の場合>
(a)プロピレン系樹脂が、プロピレンと他の単量体とのブロック共重合体またはプロピレンと他の単量体とのランダム共重合体である場合、プロピレン系樹脂の特徴である高い耐熱性、耐薬品性、弾性率を保持する点から、含有されるプロピレン単量体成分が全体の75重量%以上であることが好ましく、全体の90重量%以上であることがさらに好ましい。
<(a)中の他の単量体>
また、前記プロピレンと共重合しうる他の単量体としては、エチレン、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量体およびビニル単量体よりなる単量体の群から選ばれた1種または2種以上の単量体が挙げられる。これらの単量体の好ましい具体例としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などを挙げることができる。
(b)共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンなどが好ましい具体例として挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ブタジエン、イソプレンが安価であることから好ましく、さらにはイソプレンが取り扱いやすく、反応が均一に進みやすい点から、特に好ましい。
<(b)と共重合可能な他の単量体>
本発明の効果を著しく阻害しない限りにおいて、前記共役ジエン化合物と共重合可能な単量体の1種また2種以上を併用してもよい。具体例として、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、ジビニルベンゼン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
(c)ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物、アゾ化合物などが挙げられるが、プロピレン系樹脂や前記共役ジエン化合物からの水素引き抜き能を有するものが好ましく、一般にケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。これらのうち、特に水素引き抜き能が高いものが好ましく、具体例として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシンなどのジアルキルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)共役ジエン化合物の添加量としては、(a)プロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上20重量部以下が好ましく、0.05重量部以上5重量部以下がさらに好ましい。(b)共役ジエン化合物の添加量が0.01重量部未満では改質の効果が得られにくい場合があり、また、20重量部を超える添加量においては、効果が飽和してしまい、経済的でない場合がある。
(c)ラジカル重合開始剤の添加量としては、(a)プロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下が好ましく、0.05重量部以上4重量部以下がさらに好ましい。(c)ラジカル重合開始剤の添加量が0.01重量部未満では改質の効果が得られにくい場合があり、また、10重量部を超える添加量では、(a)プロピレン系樹脂の分解反応が極度に進行する場合がある。
(B)改質プロピレン系樹脂を製造するため、(a)プロピレン系樹脂、(b)共役ジエン化合物、(c)ラジカル重合開始剤を溶融混練するための装置には特段の制限はない。使用できる装置の具体例として、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機、などが挙げられる。これらのうち、混練機を使用することが好ましく、特に押出機が生産性の点から好ましい。(a)プロピレン系樹脂、(b)共役ジエン化合物、(c)ラジカル重合開始剤を溶融混練する際、それらを添加する順序、方法にも特段の制限はない。(a)プロピレン系樹脂、(b)共役ジエン化合物、(c)ラジカル重合開始剤を混合したのち一括して溶融混練してもよいし、これらの一部を混合したのち溶融混練し、残りの原料を添加してさらに溶融混練してもよい。さらに、溶融状態とした(a)プロピレン系樹脂に、(b)共役ジエン化合物/(c)ラジカル重合開始剤を同時に、あるいは、別々に、一括してあるいは分割して添加し、溶融混練してもよい。ただし、溶融状態の(a)プロピレン系樹脂に対し、(c)ラジカル重合開始剤のみが添加された状態で長時間混練することは、前記した分解反応が極度に進行する場合があるため避けることが好ましい。
溶融混練時の温度は、使用する(a)プロピレン系樹脂が十分溶融し、かつ熱分解しないという観点から選定すればよい。また、温度を高めることで反応は短時間に進行するが、高くしすぎると、反応が均一でなくなる場合があるため好ましくない。一般に130℃以上300℃以下、より好ましくは160℃以上250℃以下である。また、溶融混練の時間は、反応が完了するのに十分な程度とすればよく、一般に30秒〜60分である。
また、溶融混練中に、未反応のまま残った(b)共役ジエン化合物や(c)ラジカル重合開始剤の反応残渣等をベント等により樹脂から除去する方法は本発明においても好ましく用いられる。
このようにして得られる(B)改質プロピレン系樹脂の形状、大きさに特段の制限はなく、一般には後工程でのハンドリング性の観点からペレット状、フレーク状などの粒状物とされる。さらに、得られた(B)改質プロピレン系樹脂は、未反応のまま残った(b)共役ジエン化合物や(c)ラジカル重合開始剤の反応残渣等を除く等の目的で、溶融しない程度の温度で加熱処理を行ったり、再度溶融混練を行ってもよい。
<(C)熱可塑性ラバー>
本発明で用いられる(C)熱可塑性ラバーは、(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ラバー、(b)エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ラバー、または(c)アルケニル芳香族化合物単量体含有ラバーから選ばれる少なくとも1種以上である。これらを用いることで本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物の衝撃強度を向上させることが出来る。
本発明で用いられる(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ラバーは、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンからなり、使用される炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンから選ばれる一種以上である、より好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンから選ばれる一種以上である。
(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ラバーの密度は、プロピレン系樹脂組成物に対する分散性を高める点や、衝撃強度を高める点から0.850g/cm3以上0.910g/cm3以下であることが好ましく、0.850g/cm3以上0.905g/cm3以下であることがより好ましく、0.850g/cm3以上0.900g/cm3以下であることがさらに好ましい。
(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ラバーの230℃、2.16kgでのMFRは0.1g/10分以上40g/10分以下であることが好ましく、0.5g/10分以上20g/10分以下であることがより好ましく、0.5g/10分以上10g/10分以下であることがさらに好ましい。MFRが0.1g/10分以上40g/10分以下であると本発明における射出成形用プロピレン系樹脂組成物にした際に流動性を損なわず、弾性率と衝撃強度を両立することが出来る。
(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ラバーの表面硬度(ショアA)は40以上100以下であることが好ましく、45以上95以下であることがより好ましく、50以上90以下であることがさらに好ましい。表面硬度(ショアA)が40未満であるとラバーが軟らかくなり過ぎ、本発明における射出成形用プロピレン系樹脂組成物にした際に弾性率が低下しすぎる恐れがあり、100を超えるとラバーが硬くなり、衝撃強度が低下しすぎる恐れがある。
(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの製造方法としては、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法による製造方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物およびハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒系や、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子に少なくとも1種以上のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物とアルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒系、いわゆるメタロセン触媒系が挙げられる。
公知の重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法や、溶媒を用いずにエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法が挙げられる。
本発明で用いる(b)エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ラバーは、主成分のエチレンおよびα−オレフィンと、少量の非共役ジエンモノマーから得られる無定型ランダムな弾性共重合体である。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。その中でも特にプロピレンが好ましい。非共役ジエンモノマーとしては、炭素数5〜20程度のものが用いられ、例えば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよび1,4−オクタジエン等の鎖状ジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン等の環状ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン等のアルケニルノルボルネン等が挙げられ、これらの中でも、ジクロロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましく用いられる。
(b)エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ラバーを構成する単量体の割合は、引張強度、硬度、圧縮永久ひずみなどの物性を考慮し、通常、エチレンが40重量%以上75重量%以下であることが好ましく、非共役ジエン単量体が1重量%以上15重量%以下であることが好ましい。
(b)エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ラバーは成形性を補うためオイルを配合していてもよく、その配合量は一般的には10重量部以上150重量部以下である。
(b)エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ラバーの125℃におけるムーニー粘度:ML1+4(125℃)は5以上100以下が好ましく、5以上90以下がより好ましく、5以上80以下がさらに好ましい。ここで、ムーニー粘度とは、JIS K6300に規定された方法によって測定され、粘度を表す指標として用いられる。ML1+4において、MはムーニーのM、Lはローター形状のL、(1+4)は予熱時間の1分とローターの回転時間の4分を意味している。
本発明で用いる(c)アルケニル芳香族化合物単位含有ラバーとしては、例えば、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、前記ブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック共重合体等が挙げられる。より具体的には、スチレン−エチレン−プロピレン系ラバー(SEP)、スチレン−エチレン−ブテンースチレン系ラバー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ラバー(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン系ラバー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン系ラバー(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ラバー(SBS)、スチレン−イソブテン−スチレン系ラバー(SIS)等のブロック共重合体またはこれらのラバー成分を水添したブロック共重合体等が挙げられる。
(c)アルケニル芳香族化合物単位含有ラバーに含有されるビニル芳香族化合物の含有量として、10重量%以上70重量%以下が好ましく、10重量%以上50重量%以下がより好ましく、10重量%以上30重量%以下がより好ましい。
(c)アルケニル芳香族化合物単位含有ラバーの230℃におけるMFRとして、0.1g/10分以上50g/10分以下が好ましく、0.1g/10分以上40g/10分以下がより好ましく、0,1g/10分以上30g/10分以下がさらに好ましい。
ビニル芳香族化合物の含有量やMFRが前記範囲内にあると本発明における射出成形用プロピレン系樹脂組成物にした際に弾性率と衝撃強度を両立することが出来る。
(c)アルケニル芳香族化合物単位含有ラバーの製造方法としては、例えば、オレフィン系共重合体ラバーもしくは共役ジエンラバーに対して、アルケニル芳香族化合物を重合、反応等により結合させる方法等が挙げられる。
その他にも、本発明の効果を損なわない範囲において、シリコーンラバー、ポリウレタン系ラバーやポリアミド系ラバー、天然ラバーやポリイソブチレン、ポリイソプレンやブチルラバー、ニトリルブチルラバーなどを用いてもよい。上記した熱可塑性ラバーは1種類のみに限定されるわけではなく、2種類以上を同時に用いてもよい。
<射出成形用プロピレン系樹脂組成物の製造方法>
本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物は、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーを溶融混練させることで製造することが出来る。製造方法としては、特に限定されるものではないが、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機、などが挙げられる。これらのうち、混練機を使用することが好ましく、特に押出機が生産性の点から好ましい。溶融混練時の温度は、使用する(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーが十分溶融し、かつ熱分解しないという観点から選定すればよい。一般に130℃以上300℃以下、より好ましくは160℃以上250℃以下である。また、溶融混練の時間は、溶融混練が完了するのに十分な程度とすればよく、一般に30秒〜60分である。
<樹脂組成物に添加する樹脂、ゴム、添加剤>
本発明の効果を著しく阻害しない限りにおいて、プロピレン系樹脂以外の樹脂、添加剤等を射出成形用プロピレン系樹脂組成物に含ませてもよい。
前記の樹脂の具体例としては、たとえばポリエチレン;ポリブテン−1、ポリイソブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン含有量が75重量%未満のプロピレン/ブテン−1共重合体、プロピレン/ヘキセン−1共重合体、プロピレン/オクテン−1共重合体などのα−オレフィン/α−オレフィン共重合体;エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体などのエチレン/ビニル単量体共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン系共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル系共重合体などが挙げられる。
本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物に対するこれら他の樹脂の添加量は、この樹脂の種類により異なるが、通常、プロピレン系樹脂組成物全重量の25重量%程度以下であることが好ましい。
また、前記の添加剤の具体例として、プロピレン系樹脂の加工または環境への長期暴露における劣化を抑制するためのヒンダードフェノール系安定剤、リン系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、チオエステル系安定剤、ベンゾトリアゾール系安定剤などの安定剤;難燃性を高めるためのハロゲン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸塩、アンチモン化合物などの難燃剤;弾性率を高めるためのタルク、ガラス繊維、カーボン繊維、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、カオリン、酸化チタンなどの無機充填剤;透明性、もしくは弾性率を高めるためのソルビトール系造核剤、安息香酸塩、有機リン酸塩などの造核剤;ステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N、N’−エチレンビスステアリン酸アミドなどの滑剤;ブロッキング防止剤;帯電防止剤;蛍光増白剤;抗菌剤;発泡剤;顔料;染料などが挙げられ、本発明においても好ましく用いられる。
これら添加剤のプロピレン系樹脂組成物への添加量は目的や添加剤の種類によって大きく異なるが、通常プロピレン系樹脂組成物全重量の5重量部以下程度である。なお、これら添加剤はそのまま、もしくはマスターバッチとして添加される。
なお、以上説明した本発明で使用できるプロピレン系樹脂以外の樹脂、添加剤等は、射出成形用プロピレン系樹脂組成物を作製する際のみならず、あらかじめ(A)線状プロピレン系樹脂や(B)改質ポリプロピレン系樹脂、(C)熱可塑性ラバーに含ませておいてもよい。
<射出成形用プロピレン系樹脂組成物からなる成形体>
本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物は弾性率と衝撃強度に優れるため、双方の要件が求められる射出成形体に好適に用いられる。ただし、ここで言う射出成形は実質的に射出発泡成形を含まない。
射出成形体を製造するための成形方法としては特に限定されず、公知の方法を適用することができる。具体的な成形条件は、本発明のおける射出成形用プロピレン系樹脂組成物が示すメルトフローレート、成形機の種類、金型の形状などを考慮して適宜決定することができる。
具体的には、樹脂温度としては好ましくは170〜300℃、より好ましくは180〜280℃、さらに好ましくは180〜260℃、金型温度としては好ましくは10〜100℃、より好ましくは20〜80℃が例示される。また、成形サイクル1〜120分、射出速度10〜300mm/秒、射出圧10〜200MPa等の条件で行うことが好ましい。
また射出成形以外にも、本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物は弾性率と衝撃強度に優れため、ブロー成形体や発泡ブロー成形体に好適に用いられる。
ブロー成形体や発泡ブロー成形体を製造するための成形方法としては特に限定されず、ダイレクトブロー、インジェクションブロー、サンクションブローといった公知の方法を適用することができる。具体的な成形条件としては、本発明のおける射出成形用プロピレン系樹脂組成物が示すメルトフローレート、成形機の種類、金型の形状などを考慮して適宜決定することができる。
具体的には、パリソンの樹脂温度としては好ましくは170〜300℃、より好ましくは180〜280℃、さらに好ましくは180〜260℃、金型温度としては好ましくは10〜100℃、より好ましくは20〜80℃が例示される。また、成形サイクル1〜30分等の条件で行うことが好ましい。
さらに、本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物は弾性率と衝撃強度に優れるため、押出成形体や押出発泡成形体に好適に用いられる。
押出成形体や押出発泡成形体を製造するための成形方法としては特に限定されず、公知の方法を適用することができる。具体的な成形条件としては、本発明における射出成形用プロピレン系樹脂組成物が示すメルトフローレート、成形機の種類、出口形状などを考慮して適宜決定することができる。樹脂温度としては好ましくは170〜300℃、より好ましくは180〜280℃、さらに好ましくは180〜260℃が例示される。
本発明の射出成形用プロピレン系樹脂組成物の射出成形、ブロー成形、押出成形により得られる成形体の密度は、通常、0.87〜1.2g/cm3が好ましく、0.88〜1.2g/cm3がより好ましく、0.89〜1.1g/cm3がさらに好ましい。成形体の密度が0.87g/cm3未満だと成形体としての十分な強度が得られない。また成形体の密度が1.2g/cm3を超えると重量が増加してしまい、樹脂成形体としては実用的でない。
本発明における発泡ブロー成形、押出発泡成形により得られる発泡成形体の密度は、通常、0.45〜0.86g/cm3が好ましく、0.60〜0.86g/cm3がより好ましく、0.80〜0.86g/cm3がさらに好ましい。成形体の密度が0.45g/cm3未満だと発泡成形体としての十分な強度が得られない。また成形体の密度が0.86g/cm3を超えると発泡成形体としての軽量化効果が得られない。
<成形体の用途>
このようにして得られる成形品は、トレイ、ボトル、タンクなどの容器、バンパー、タンク、ダクト、フェンダー、アンダーカバー、ドアトリム、インパネ、ダッシュボードなどの自動車向け内外装部品、建材、家電部品等の弾性率と衝撃強度の双方が求められる広範囲な用途において好適に用いることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらにより何ら制限されるものではない。
実施例および比較例において、各種の評価に用いられた試験法は次の通りである。
<メルトフローレート(MFR)>
MFRは、No120−FWPメルトフローインデックステスター(安田精機製作所製)を用い、JIS K7210−1(2014)記載に準拠し、MFRが10g/10分以下ではA法、10g/10分を超える場合はB法とし230℃、2.16kg荷重で測定した。
<メルトテンション>
メルトテンション測定用アタッチメントを付けたキャピラリーレオメーター(1D 株式会社東洋精機製)を用い、230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを10m/分で引き取った際にロードセル付きプーリーにかかる荷重をメルトテンションとした。ただし、かかる荷重がロードセルの検出限界以下の場合や、引き取ったストランドが弛んでしまい、プーリーにかからなかった場合に測定不可と記載した。いずれもメルトテンションが著しく低いことを意味する。
<DSCによる融点測定>
DSCによる融点測定は、示差走査熱量測定装置(Q1000 TA INSTRUMENTS製)を用いて、昇温速度10℃/分で230℃まで昇温し、いったん樹脂を溶融させ、10℃/分の降温速度で室温まで冷却した。次に再び昇温速度10℃/分で230℃まで昇温した時に得られたDSC曲線の吸熱ピークのトップを示す温度から融点を求めた。
<密度測定>
ISO1183−1に準拠して密度測定を行った。
<表面硬度>
ISO7619−1に準拠してショアA硬度を測定した。
<損失正接tanδ>
(B)改質プロピレン系樹脂を、1.5mm厚のスペーサーを用いて、190℃にて5分間熱プレスして1.5mm厚のプレス板を作製し、ここから25mmφのポンチを用いて打ち抜き、試験片を得た。測定装置としては、TAインスツルメンツ社製粘弾性測定装置ARESを用い、25mmφのパラレルプレート型冶具を装着した。冶具を囲うように恒温槽を設置し、180℃に保温、冶具が予熱された後に、恒温槽を開け、パラレルプレート間に25mmφとした試験片を挿入して恒温槽を閉じ、5分間予熱した後にパラレルプレート間隔を1mmまで圧縮した。圧縮後、再度恒温槽を開き、パラレルプレートからはみ出した樹脂を真鍮のヘラで掻き取り、恒温槽を閉じて再度5分間保温した後に、動的粘弾性測定を開始した。
測定は、酸素雰囲気下で歪み量は5%、角周波数0.1rad/sから100rad/sまでの範囲で行い、各周波数での貯蔵弾性率と損失弾性率および、計算値として損失正接tanδを得た。得られた結果から、角周波数0.1rad/sでの損失正接tanδの値(tanδ(0.1))を1rad/sでの損失正接tanδの値(tanδ(1))で除した値を算出し評価した。
<シャルピー衝撃強さ>
JIS K 7111(2012)に準拠して、試験温度23℃で測定した(試験片サイズ:80×10×4、ノッチタイプ:A、打撃方向:エッジワイズ)。表中に記載されている破壊形態の記号(C、H、P)はそれぞれ完全破壊、ヒンジ破壊、部分破壊を示す。
<引張弾性率測定>
JIS K 7161−1(2014)に準拠して、試験温度23℃で測定した。弾性率は歪0.25%時の応力(MPa)と歪0.05%時の応力(MPa)を用いて算出した。
<引張降伏応力>
JIS K 7161−1(2014)に準拠して、試験温度23℃で測定した。
次に、実施例、比較例で使用した樹脂と発泡剤について説明する。
(A)線状プロピレン系樹脂
(A−1):プライムポリマー製プロピレン単独重合体、E−100GPL、MFR=0.9g/10分(230℃、2.16kg)、融点:163℃、メルトテンション2cN。
(A−2):プライムポリマー製プロピレン単独重合体、E−200GP、MFR=2.0g/10分(230℃、2.16kg)、融点:162℃、メルトテンション1.0cN。
(A−3):プライムポリマー製プロピレン単独重合体、J700GP、MFR=8.0g/10分(230℃、2.16kg)、融点:164℃、メルトテンション0.27cN。
(A−4):プライムポリマー製プロピレン単独重合体、J107G、MFR=30g/10分(230℃、2.16kg)、融点:163℃、メルトテンション0.12cN。
(A−5):プライムポリマー製プロピレン単独重合体、J108M、MFR=45g/10分(230℃、2.16kg)、融点:165℃、メルトテンション0.1cN以下。
(A−6):特開2010−106093号公報の[0077]に開示されているプロピレン−エチレンブロックコポリマー、MFR45g/10分、メルトテンション1cN以下を用いた。
(B)改質ポリプロピレン系樹脂
(B−1):プロピレン系樹脂としてMFR=0.9g/10分(230℃、2.16kg)のプロピレン単独重合体100重量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.4重量部の混合物を、ホッパーから70kg/時で46mmφ二軸押出機(L/D=40)に供給してシリンダ温度200℃、回転数230rpmで溶融混練し、途中に設けた圧入部より共役ジエン化合物としてイソプレンモノマーを、定量ポンプを用い、プロピレン単独重合体100重量部に対して0.4重量部供給し、前記ニ軸押出機中で溶融混練し、押出されたストランドを水冷、細断することにより得た改質プロピレン系樹脂。得られた改質プロピレン系樹脂のMFRは0.5g/10分(230℃、2.16kg)、融点は160℃であった。
(B−2):プロピレン系樹脂としてMFR=2.0g/10分(230℃、2.16kg)のプロピレン単独重合体を用いた以外はB−1と同様にして改質プロピレン系樹脂を得た。得られた改質プロピレン系樹脂のMFRは1.0g/10分(230℃、2.16kg)、融点は160℃であった。
(B−3):プロピレン系樹脂としてMFR=8.0g/10分(230℃、2.16kg)のプロピレン単独重合体を用い、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.75重量部、イソプレンモノマーを0.6部とした以外は(B−1)と同様にして改質プロピレン系樹脂を得た。得られた改質プロピレン系樹脂のMFRは7.0g/10分(230℃、2.16kg)、融点は160℃であった。
(B−4):プロピレン系樹脂としてMFR=45g/10分(230℃、2.16kg)のプロピレン単独重合体を用い、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート1.1重量部、イソプレンモノマーを0.5部とした以外はB−1と同様にして改質プロピレン系樹脂を得た。得られた改質プロピレン系樹脂のMFRは40g/10分(230℃、2.16kg)、融点は160℃であった。
(B−5):日本ポリプロ製WAYMAX MFX8 MFR=1.1g/10分(230℃、2.16kg)、融点:157℃
(B−6):特開2010−106093号公報の[0078]に開示されている改質プロピレン系樹脂(MP−1)を用いた。
(C)熱可塑性ラバー
(C−1):三井化学製タフマーDF810(エチレン−1−ブテン共重合体ラバー)MFR=2.2g/10分(230℃、2.16kg)、密度=0.855g/cm3、ショアA=87
(C−2):三井化学製タフマーDF840(エチレン−1−ブテン共重合体ラバー)MFR=6.7g/10分(230℃、2.16kg)、密度=0.885g/cm3、ショアA=86
(C−3):三井化学製タフマーDF640(エチレン−1−ブテン共重合体ラバー)MFR=6.7g/10分(230℃、2.16kg)、密度=0.864g/cm3、ショアA=56
(C−4):ダウケミカル製Engage8180(エチレン−1−オクテン共重合体ラバー)MFR=0.95g/10分(230℃、2.16kg)、密度=0.863g/cm3、ショアA=63
(C−5):旭化成製タフテックH1062(SEBS)MFR=4.5g/10分(230℃、2.16kg)、密度=0.89g/cm3、ショアA=67、スチレン含有量=18%
(C−6):旭化成製タフテックH1052(SEBS)MFR=13g/10分(230℃、2.16kg)、密度=0.89g/cm3、ショアA=67、スチレン含有量=20%
(C−7):特開2010−106093号公報の[0079]に開示されているエチレン−1−ブテン共重合体ラバー(TP−1)を用いた。
(D)発泡剤
化学発泡マスターバッチ(永和化成製ポリスレンEE25C)を用いた。
(実施例1〜6)
線状プロピレン系樹脂(A−2)、表2に記載した改質プロピレン系樹脂、熱可塑性樹脂(C−1)を用いて、表2に記載の配合で45mmφ二軸押出機を用いて200℃にて溶融混錬し射出成形用プロピレン系樹脂組成物を得た。得られた射出成形用プロピレン系樹脂組成物を用いてMFR、メルトテンションを測定した。次に射出成形により試験片を作製し密度、シャルピー衝撃強さ、引張弾性率、引張降伏応力をそれぞれ評価した。評価した結果を表2に示した。
(実施例7〜12)
線状プロピレン系樹脂(A−2)、改質プロピレン系樹脂(B−2)、熱可塑性ラバー(C−4)または(C−5)を用いて表2に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表2に示した。
(実施例13〜14)
線状プロピレン系樹脂(A−2)、表2に記載した改質プロピレン系樹脂、熱可塑性ラバー(C−5)を用いて表2に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表2に示した。
(比較例1)
線状プロピレン系樹脂(A−2)のみとしたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表2に示した。
(比較例2〜5)
改質プロピレン系樹脂を用いず、線状プロピレン系樹脂(A−2)と熱可塑性ラバー(C−1)とし、表2に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表2に示した。
(比較例6)
実施例4で用いた改質プロピレン系樹脂(B−2)を同等のMFRを有する線状プロピレン系樹脂(A−1)としたこと以外は実施例4と同様に評価した。評価した結果を表2に示した。
(比較例7〜10)
改質プロピレン系樹脂を用いず、線状プロピレン系樹脂(A−2)と熱可塑性ラバー(C−4)または(C−5)とし、表2に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表2に示した。
(比較例11)
実施例12で用いた改質プロピレン系樹脂(B−2)を同等のMFRを有する線状プロピレン系樹脂(A−1)としたこと以外は実施例13と同様に評価した。評価した結果を表2に示した。
(比較例12〜15)
熱可塑性ラバーを用いず、線状プロピレン系樹脂(A−2)と改質プロピレン系樹脂を用いて表2に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表2に示した。
(比較例16)
線状プロピレン系樹脂を用いず、改質プロピレン系樹脂(B−2)と熱可塑性ラバー(C−1)とし、表2記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表2に示した。
(実施例15〜18)
線状プロピレン系樹脂(A−3)、改質プロピレン系樹脂(B−3)、熱可塑性ラバー(C−2)とし、表3に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表3に示した。
(比較例17)
線状プロピレン系樹脂(A−3)のみとしたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表3に示した。
(比較例18〜21)
改質プロピレン系樹脂を用いず、線状プロピレン系樹脂(A−3)と熱可塑性ラバー(C−2)とし、表3に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表3に示した。
(比較例22)
熱可塑性ラバーを用いず、線状プロピレン系樹脂(A−3)と改質プロピレン系樹脂(B−3)を用いたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表3に示した。
(実施例19〜32)
線状プロピレン系樹脂(A−4)、表4に記載した改質プロピレン系樹脂、熱可塑性ラバー(C−3)とし、表4に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表4に示した。
(比較例23)
線状プロピレン系樹脂(A−4)のみとしたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表4に示した。
(比較例24〜26)
改質プロピレン系樹脂を用いず、線状プロピレン系樹脂(A−4)と熱可塑性ラバー(C−3)とし、表4に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表4に示した。
(比較例27〜29)
実施例22〜24で用いた改質プロピレン系樹脂(B−2)を同等のMFRを有する線状プロピレン系樹脂(A−1)としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表4に示した。
(比較例30〜34)
熱可塑性ラバーを用いず、線状プロピレン系樹脂(A−4)と改質プロピレン系樹脂とし、表4に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表4に示した。
(実施例33〜35)
線状プロピレン系樹脂(A−4)、表5に記載した改質プロピレン系樹脂、熱可塑性ラバー(C−6)とし、表5に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表5に示した。
(比較例35)
実施例33で用いた改質プロピレン系樹脂(B−2)を同等のMFRを有する線状プロピレン系樹脂(A−1)としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表5に示した。
(比較例36)
改質プロピレン系樹脂を用いず、線状プロピレン系樹脂(A−4)と熱可塑性ラバー(C−6)とし、表5に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表5に示した。
(実施例36〜47)
線状プロピレン系樹脂(A−4)、表6に記載した改質プロピレン系樹脂、熱可塑性ラバー(C−3)とし、表6に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表6に示した。
(実施例48〜50)
線状プロピレン系樹脂(A−5)、表7に記載した改質プロピレン系樹脂、熱可塑性ラバー(C−3)とし、表7に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表7に示した。
(比較例37)
改質プロピレン系樹脂を用いず、線状プロピレン系樹脂(A−5)と熱可塑性ラバー(C−3)とし、表7に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表7に示した。
(比較例38)
線状プロピレン系樹脂(A−5)のみとしたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表7に示した。
(比較例39〜42)
熱可塑性ラバーを用いず、線状プロピレン系樹脂(A−5)と表7に記載した改質プロピレン系樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表7に示した。
(実施例51)
線状プロピレン系樹脂(A−1)、改質プロピレン系樹脂(B−2)、熱可塑性ラバー(C−3)とし、表8に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表8に示した。
(比較例43)
改質プロピレン系樹脂を用いず、線状プロピレン系樹脂(A−1)と熱可塑性ラバー(C−3)とし、表8に記載の配合としたこと以外は実施例1と同様に評価した。評価した結果を表8に示した。
(比較例44)
実施例33で得られた射出成形用プロピレン系樹脂組成物に対して(D)発泡剤を10重量部配合し実施例33と同様に射出成形を行った。得られた試験片の密度、シャルピー衝撃強さ、引張弾性率、引張降伏応力をそれぞれ評価した。評価した結果を表9に示した。
(比較例45)
線形プロピレン系樹脂(A−6)、改質プロピレン系樹脂(B−6)、熱可塑性ラバー(C−7)から得られた射出成形用プロピレン系樹脂組成物を用いたこと以外は比較例44と同等に評価した。評価した結果を表9に示した。
(B−1)〜(B−6)、(A−1)について、角周波数0.1rad/sでの損失正接tanδの値(tanδ(0.1))、1rad/sでの損失正接tanδの値(tanδ(1))およびそれらの比であるtanδ(0.1)/tanδ(1)の値を示した。
実施例1〜14は(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂および(C)熱可塑性ラバーを用いた場合の結果であり、比較例1〜16は(A)線状プロピレン系樹脂のみを用いた場合、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂のみを用いた場合、(A)線状プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーのみを用いた場合、(B)改質プロピレン系樹脂の代わりに同等のMFRを有する線状プロピレン系樹脂を用いた場合、(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーのみを用いた場合の結果である。表から、実施例1〜4と比較例2〜5を対比すると、(A)線状プロピレン系樹脂の一部を(B)改質プロピレン系樹脂とすることで、同等のMFRとしながら衝撃強度と弾性率が共に増加していることがわかる。実施例5〜6において異なった(B)改質プロピレン系樹脂を用いても比較例5と比較して同等のMFRとしながら衝撃強度と弾性率が共に増加していることがわかる。さらに実施例7〜12において異なった(C)熱可塑性ラバーを用いた場合や、実施例13〜14において異なった(B)改質プロピレン系樹脂を用いた場合でも、比較例との対比から同等のMFRとしながら衝撃強度と弾性率が共に増加していることがわかる。一方、比較例6や比較例11のように(B)改質プロピレン系樹脂の代わりに同等のMFRを有する線状プロピレン系樹脂を用いた場合では、衝撃強度や弾性率の十分な増加効果はなかった。さらに、比較例12〜16のように(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂のみの場合は弾性率は高いものの衝撃強度は低く、(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーのみの場合では衝撃強度と弾性率が共に低かった。これらのことから、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなるプロピレン系樹脂組成物とすることで、同等のMFRとしながら高い衝撃強度と弾性率を有する優れたプロピレン系樹脂組成物となることがわかる。
実施例15〜18は(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂および(C)熱可塑性ラバーを用いた場合の結果であり、比較例17〜22は(A)線状プロピレン系樹脂のみを用いた場合、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂のみを用いた場合、(A)線状プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーのみを用いた場合の結果である。表から、実施例15〜18と比較例18〜21を対比すると、(A)線状プロピレン系樹脂の一部を(B)改質プロピレン系樹脂とすることで、同等のMFRとしながら衝撃強度と弾性率が共に増加していることがわかる。一方、比較例17のように(A)線状プロピレン系樹脂のみの場合は弾性率は高いが衝撃強度は低く、比較例22のように(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂のみの場合は弾性率は高いものの衝撃強度は低いことがわかる。これらのことから、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなるプロピレン系樹脂組成物とすることで、同等のMFRとしながら高い衝撃強度と弾性率を有する優れたプロピレン系樹脂組成物となることがわかる。
実施例19〜32は(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂および(C)熱可塑性ラバーを用いた場合の結果であり、比較例23〜34は(A)線状プロピレン系樹脂のみを用いた場合、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂のみを用いた場合、(A)線状プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーのみを用いた場合、(B)改質プロピレン系樹脂の代わりに同等のMFRを有する線状プロピレン系樹脂を用いた場合の結果である。表から、実施例25〜27と比較例24〜26を対比すると、(A)線状プロピレン系樹脂の一部を(B)改質プロピレン系樹脂とすることで、同等のMFRとしながら衝撃強度と弾性率が共に増加していることがわかる。また、実施例19〜24および実施例28〜32と比較例27〜29を同じ(C)熱可塑性ラバー含有量で対比すると、比較例27〜29に記載されているMFRより実施例に記載されているMFRは高いにも関わらず、衝撃強度と弾性率が共に高いことがわかる。一方、比較例23のように(A)線状プロピレン系樹脂のみの場合は弾性率は高いが衝撃強度は低く、比較例30〜34のように(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂のみの場合も弾性率は高いものの衝撃強度は低いことがわかる。これらのことから、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなるプロピレン系樹脂組成物とすることで、同等またはより高いMFRとしながらも高い衝撃強度と弾性率を有する優れたプロピレン系樹脂組成物となることがわかる。
実施例33〜35は(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂および(C)熱可塑性ラバーを用いた場合の結果であり、比較例35〜36は(A)線状プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーのみを用いた場合、(B)改質プロピレン系樹脂の代わりに同等のMFRを有する線状プロピレン系樹脂を用いた場合の結果である。表から、実施例33〜35は(A)線状プロピレン系樹脂の一部を異なった(B)改質プロピレン系樹脂としたものであるが、いずれも比較例36に対して衝撃強度と弾性率が共に増加していることがわかる。特に実施例35と比較例36や実施例33と比較例35をそれぞれ対比すると、同等のMFRを示しているが実施例の衝撃強度や弾性率が共に高いことがわかる。さらに実施例33〜35は比較例35のMFRより高いにも関わらず、衝撃強度と弾性率が共に高いことがわかる。これらのことから、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなるプロピレン系樹脂組成物とすることで、同等またはより高いMFRとしながらも高い衝撃強度と弾性率を有する優れたプロピレン系樹脂組成物となることがわかる。
実施例36〜47は(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂および(C)熱可塑性ラバーを用いた中で、(B)改質プロピレン系樹脂の配合量を変化させた場合の結果を示した。いずれの配合量においても(B)改質プロピレン系樹脂を用いなかった場合(比較例26)や、(B)改質プロピレン系樹脂の代わりに同等のMFRを有する線状プロピレン系樹脂を用いた場合(比較例29)と対比して、MFRが同等もしくは高い値を示していても実施例の衝撃強度はいずれも高く、弾性率は同等もしくは高い値を示しており、衝撃強度と弾性率が共に優れたプロピレン系樹脂組成物となることがわかる。
実施例48〜50は(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂および(C)熱可塑性ラバーを用いた場合の結果であり、比較例37〜42は(A)線状プロピレン系樹脂のみを用いた場合、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂のみを用いた場合、(A)線状プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーのみを用いた場合の結果である。表から、実施例49は比較例37にと同等のMFRとしながら衝撃強度が高いことがわかる。一方、比較例38のように(A)線状プロピレン系樹脂のみの場合は弾性率は高いが衝撃強度は低く、比較例39〜42のように(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂のみの場合も弾性率は高いものの衝撃強度は低いことがわかる。これらのことから、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなるプロピレン系樹脂組成物とすることで高い衝撃強度と弾性率を有する優れたプロピレン系樹脂組成物となることがわかる。
実施例51は(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂および(C)熱可塑性ラバーを用いた場合の結果であり、比較例43は(B)改質プロピレン系樹脂を用いない場合の結果を示した。表から、同等のMFRとしながら実施例は比較例と対比して弾性率と衝撃強度が共に増加していることがわかる。これらのことから、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなるプロピレン系樹脂組成物とすることで、同等のMFRとしながら高い衝撃強度と弾性率を有する優れたプロピレン系樹脂組成物となることがわかる。
表9は特開2010−106093号公報に開示されているように従来から知られている(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーと(D)発泡剤からなるプロピレン系樹脂組成物を転用した結果を示している。比較例44は実施例33で用いたプロピレン系樹脂組成物に(D)発泡剤を配合し評価した結果である。また、比較例45は特開2010−106093号公報に開示されているプロピレン系樹脂組成物に(D)発泡剤を配合し評価した結果である。表から、得られた成形体はいずれもシルバーストリーク(射出された際に発生たガスが金型表面に押しつけられることで成形体表面に発生する筋模様のこと)による外観不良が発生した。さらに成形体中心部にわずかに気泡が発生した。比較例44は発生した気泡により実施例33と比較して衝撃強度、弾性率、降伏応力ともに低下した。これらのことから、(A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーと(D)発泡剤からなるプロピレン系樹脂組成物は成形により外観不良や気泡が発生すること、衝撃強度と弾性率の低下が起こることから転用は難しいことがわかる。

Claims (6)

  1. (A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂と(C)熱可塑性ラバーからなるプロピレン系樹脂組成物であって、230℃、荷重2.16kgの条件で測定した前記樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上50g/10分以下であり、かつ前記樹脂組成物のメルトテンションと前記MFRとの関係が下記式を満たすことを特徴とする射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
    log(メルトテンション)≧−0.71×log(MFR)+0.44
  2. (A)線状プロピレン系樹脂と(B)改質プロピレン系樹脂の含有量が、それぞれ50重量%以上95重量%以下、5重量%以上50重量%以下(ただし、A+B=100重量%とする。)であり、(C)熱可塑性ラバーの含有量が(A)と(B)の合計100重量部に対して5重量部以上40重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
  3. 下記(a−1)および(a−2)を満たす(A)線状プロピレン系樹脂を含む請求項1または2に記載の射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
    (a−1)230℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上50g/10分以下。
    (a−2)メルトテンションが2cN以下。
  4. 下記(b−1)および(b−2)を満たす(B)改質プロピレン系樹脂を含む請求項1または2に記載の射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
    (b−1)230℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.3g/10分以上50g/10分以下。
    (b−2)180℃での動的粘弾性測定における角周波数0.1rad/sでの損失弾性率と貯蔵弾性率の比である損失正接tanδ(0.1)と、角周波数1rad/sでの損失弾性率と貯蔵弾性率の比である損失正接tanδ(1)の比が1.8以下。
  5. (C)熱可塑性ラバーが(a)エチレン−α−オレフィン系共重合体ラバー、(b)エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ラバー、または(c)アルケニル芳香族化合物単位含有ラバーから選ばれる少なくとも1種類以上の熱可塑性ラバーからなる請求項1または2に記載の射出成形用プロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか一項に記載の射出成形用プロピレン系組成物を含む射出成形体。
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