JP2010241934A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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正 今井
Toru Takehara
徹 竹原
Masakazu Jitsukata
正和 實方
Masatoshi Sasaki
将寿 佐々木
Junya Nakata
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Abstract

【課題】本発明は、発泡倍率が2倍以上であり、均一な発泡セルを有する発泡体が得られ、かつ、外観が良好な発泡成形体を得るに好適な熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エチレンから導かれる単位、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位を含み、部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)15〜85重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、常温n−デカン可溶分が30重量%未満のポリプロピレン(B)5〜40重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、および常温n−デカン可溶分が30〜90重量%であるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)5〜80重量%(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関する。
従来、柔軟性原料として塩化ビニル樹脂や加硫ゴムが広く用いられている。塩化ビニル樹脂は、成形加工性に優れる上に、加硫ゴムは比較的安価であるため、内装材、外装材などに多数使用されている。しかしながら近年、塩化ビニル樹脂は焼却時に有害ガスの発生原因になる可能性が指摘されており、また、加硫ゴムはリサイクル出来ないことから、原料を塩化ビニル樹脂や加硫ゴム以外の原料へ置き換える動向が主流になっている。
現在、塩化ビニル樹脂、加硫ゴムの代替として最も広く用いられているのが熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーは、軽量であり、成形性、加工性に優れ、リサイクルし易く、燃焼時に有害なガスが発生しない点で優れた材料であるため、熱可塑性エラストマーの使用はさらに増加している。
熱可塑性エラストマーの成形方法としては、押出成形、射出成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、スタンピングモールド成形、圧縮成形、ビーズ成形等、公知の樹脂加工方法が挙げられ、成形品もシート、板、パイプ、チューブ、円柱、楕円、ストランド、フィラメント、ネット、異形押出成形体、多層押出成形体、電線被覆などが知られている。
近年では、さらに工程の簡略化や軽量化という観点から、発泡体の使用が検討されている。しかしながら、従来の熱可塑性エラストマーでは発泡性が充分でないため、要求されるソフト感が得られなかったり、発泡が均一でないため良好な外観が得られないという問題がある。
一方、熱可塑性エラストマーの発泡方法の検討がなされており、通常の熱可塑性エラストマー、例えば特許文献1、特許文献2などに記載された方法では、オレフィン系プラスチック成分を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理するので、当該成分が分解し、得られる材料は溶融時の張力が劣るため、脱泡しやすく、発泡体が得られてもせいぜい1.9倍程度の発泡倍率で、しかも脱泡による肌荒れが顕著であるという問題がある。また、有機ペルオキシドの添加量を減らすと、発泡性は改善されるが、成形品の耐熱性が低下する問題がある。
特許文献3〜4では、特定のメルトテンション以上のポリオレフィン系樹脂を含有する発泡体が提案されているが、発泡セルが均一でなく、充分な発泡性が得られていない。
特許文献5〜8については、シンジオタクティック構造を有するプラスチックやさらに高分子量成分を配合させることなどが提案されているが、発泡倍率が2倍以上でも、均一な発泡セルを有する発泡体は得られていない。
特開昭48−26838号公報 特開昭54−112967号公報 特開2007−284484号公報 特許2008−088283号公報 特開2007−261102号公報 特開2007−269829号公報 特開2007−269942号公報 特開2007−269943号公報
本発明は、発泡倍率が2倍以上であり、均一な発泡セルを有する発泡体が得られ、かつ、外観が良好な発泡成形体を得るに好適な熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術における上記問題を解決して、充分な発泡性が得られ、外観が良好な発泡成形体を得ることができる熱可塑性エラストマー組成物について鋭意研究し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明には以下の事項が含まれる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エチレンから導かれる単位、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位を含み、部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)15〜85重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃および常温n-デカン可溶分が30重量%未満のポリプロピレン(B)5〜40重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、および常温n−デカン可溶分が30〜90重量%であるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)5〜80重量%(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)とを含むことを特徴とする。
また、前記熱可塑性エラストマー組成物は、ASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1(g/10分)以上であることも好ましい。
前記熱可塑性エラストマー組成物は、前記熱可塑性エラストマー組成物から得られた厚さ2mmの成形体を用いて、JIS K6253に準拠して測定したショアーA硬度が85以下であり、かつ、JIS K7196に準拠して測定した0.5mm針進入温度が100℃以上であることも好ましい。
前記熱可塑性エラストマー組成物は、下記式(1)を満たすことも好ましい。
P×0.6≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.4 (Lnは自然対数) (1)
ここで、式(1)中、EBは、温度190℃での測定される溶融伸び(最大引取速度)であり、Pは、温度190℃での切断時の最大溶融張力を示す。
前記熱可塑性エラストマー組成物は、前記熱可塑性エラストマー組成物から得られた厚さ2mmの成形体を用いて、JIS K6262に準拠して測定した70℃での圧縮永久歪が、60%以上であることも好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、発泡性、柔軟性、成形性、耐熱性に優れ、該熱可塑性エラストマー組成物から得られた発泡成形体は、成型品の外観、耐熱性、柔軟性、発泡セルの細かさに非常に優れる。
<部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、エチレンから導かれる単位、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位を含む共重合体ゴム(a)を部分的または完全に架橋してなる共重合体ゴム(A)(以下、「共重合体ゴム(A)」と略す場合がある。)である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)を用いることで、耐熱性を損なうことなく、柔軟性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来る。
炭素数3〜20のα-オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチルデセン-1、11-メチルドデセン-1および12-エチルテトラデセン-1などが挙げられる。なかでも、プロピレン、1-ブテン、4-メチルペンテン-1、1-ヘキセンおよび1-オクテンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。
これらのα-オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエンおよび4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-イソブテニル-2-ノルボルネン、シクロペンタジエンおよびノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。なかでも、5-エチリデン-2-ノルボルネンおよび5-ビニル-2-ノルボルネンが好ましい。
これらの非共役ポリエンは、単独で、または2種類以上組み合わせて用いられる。
本発明に係る共重合体ゴム(A)およびその基となる共重合体ゴム(a)は、エチレンから導かれる構成単位(a)と、炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(b)とを、通常、40/60〜95/5、好ましくは60/40〜80/20、さらに好ましくは65/35〜75/25のモル比で含有している。上記組成であると、良好な柔軟性、架橋性を有する熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来るため、好ましい。
また、本発明に係る共重合体ゴム(a)には、必要に応じて、他のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムをブレンドしてもよい。
他のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムを構成するα-オレフィンとしては、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを構成するα-オレフィンと同じものが挙げられる。共重合体ゴムは、エチレンから導かれる構成単位を通常50モル%以上、好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは60〜85モル%の量で含み、炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位を通常50モル%以下、好ましくは50〜10モル%、さらに好ましくは40〜15モル%の量で含む。ただし、エチレンから導かれる単位およびα-オレフィンから導かれる単位の合計を100モル%とする。
本発明に係る共重合体ゴム(A)およびその基となる共重合体ゴム(a)中に含まれる非共役ポリエンから導かれる単位の量は、ヨウ素価で、通常1〜50、好ましくは5〜40、さらに好ましくは10〜30である。ヨウ素価が上記範囲であると、良好な柔軟性、架橋性を有する熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来るため、好ましい。また、重量%では、エチレンから導かれる単位、炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位の合計100重量%中、非共役ポリエンから導かれる単位は通常2〜20重量%の量で含まれる。上記組成であると、良好な柔軟性、架橋性を有する熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来るため、好ましい。
本発明に係る共重合体ゴム(A)の基となる共重合体ゴム(a)は、135℃、デカリン中で測定される極限粘度〔η〕が通常、1.0〜10.0dl/g、好ましくは1.5〜8.0dl/gである。極限粘度〔η〕が上記範囲であると、引張り特性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来るため、好ましい。
本発明に係る共重合体ゴム(A)のムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、通常10〜250、好ましくは30〜150である。
本発明に係る共重合体ゴム(A)は、上記の共重合体ゴム(a)、および必要に応じて、他のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムを部分的または完全に架橋したものである。
本発明に係る共重合体ゴム(A)は、従来公知の方法により製造することができる。具体的には、架橋剤の存在下もしくは非存在下に、共重合体ゴム(a)、および必要に応じて、他のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムを動的に熱処理することよって製造することができる。
架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物およびフェノール樹脂等のフェノール系加硫剤などが挙げられるが、有機過酸化物が好ましい。
架橋剤を用いる場合は、共重合体ゴム(a)100重量部に対して、0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部となるような量で用いられる。架橋剤が上記配合量で用いられると、良好な架橋性を有する熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来るため、好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドおよびt-ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。なかでも、臭気性およびスコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンおよびn-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが特に好ましい。
有機過酸化物を用いて架橋するに際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N,4-ジニトロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジンおよびトリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミド等の架橋助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートおよびアリルメタクリレート等の多官能性メタクリレートモノマーならびにビニルブチラートおよびビニルステアレート等の多官能性ビニルモノマーを含有させることができる。このような化合物を含有させることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。
上記のような架橋助剤または多官能性ビニルモノマーなどの化合物は、共重合体ゴム(a)100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは0.3〜3重量部となるような量で用いられる。
架橋は、非開放型の装置中で加熱・混練して行うことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。架橋する際の温度は、後述のポリプロピレン(B)の融点以上〜300℃の範囲であり、用いるポリプロピレン(B)の融点にもよるが、通常150℃〜290℃、好ましくは170℃〜270℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加熱・混練時に加えられる剪断力は、剪断速度で10〜10,000sec-1、好ましくは100〜5,000sec-1の範囲である。
また、有機過酸化物の分解を促進するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6-トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等のナフテン酸塩などの分解促進剤を用いてもよい。
架橋の方法としては、特に限定されないが、架橋剤の存在下もしくは非存在下に、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)、および必要に応じて、他のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムを動的に熱処理することよって行うことができる。なお、ここで「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
本発明に係る共重合体ゴム(A)は、後述のゴム用軟化剤(D)が油展されていても良く、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)100重量部に対して200重量部まで油展が可能である。なお、油展に用いられるオイルとしては、後述のゴム用軟化剤(D)で説明する。
<ポリプロピレン(B)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれるポリプロピレン(B)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、常温n−デカン可溶分が30重量%未満のポリプロピレン(B)である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、上記範囲のポリプロピレン(B)を使用することにより、耐熱性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
本発明に係るポリプロピレン(B)は、プロピレン単独重合体またはプロピレンと、炭素数2〜20(プロピレンを除く)のα−オレフィンとのランダム共重合体もしくはブロック共重合体であり、通常、プロピレンから導かれる単位および炭素数2〜20(プロピレンを除く)のα−オレフィンから導かれる単位の合計100モル%中、プロピレンから導かれる単位を50モル%以上、好ましくは60モル%以上の量で含む。
本発明に係るポリプロピレン(B)としては、具体的には、例えば、プロピレン単独共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体ならびにプロピレン・エチレンランダム共重合体およびプロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体などが挙げられる。中でも、得られる発泡成形体の耐熱性など考慮すると、プロピレン単独共重合体またはプロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましい。
本発明に係るポリプロピレン(B)は、上記特性を有する限り、アイソタクティックな構造を有するものであってもよいし、シンジオタクティックな構造を有するものであってもよい、また両者をブレンドしたものであってもよい。
本発明に係るポリプロピレン(B)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、好ましくは145〜167℃、さらに好ましくは150〜165℃の範囲にある。DSCによる融点は、試料を200℃で5分間保持した後、降温速度10℃/minで20℃まで降温し、次いで、昇温速度10℃/minで再び180℃まで昇温して融解曲線を測定し、融解曲線のピ−ク温度を融点とした。ポリプロピレン(B)の融点が上記の範囲であると充分な耐熱性が得られるので好ましい。
本発明に係るポリプロピレン(B)は、常温でのn−デカン可溶分が、30重量%未満であり、好ましくは28重量%未満、さらに好ましくは25重量%未満である。ポリプロピレン(B)に含まれる常温でのn−デカン可溶分は、予め重量を測定したポリプロピレン(B)のペレットを細かく粉砕し、それを常温でn-デカンに溶解し、ろ過を行い、ろ液にアセトンを添加し、析出物をろ過し、真空乾燥したときの重量を測定し、ゴム成分量を求めた。
本発明に係るポリプロピレン(B)は、通常、メルトフローレート(MFR:ASTM D 1238−65T、230℃、2.16kg荷重)が0.01〜1000g/10分、好ましくは0.05〜800g/10分である。
本発明に係るポリプロピレン(B)は、その製造方法は、特に限定されず、種々公知の製造方法で製造される。
<プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、および常温でのn−デカン可溶分が30〜90重量%であるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、上記範囲のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)を使用することにより、柔軟性、耐熱性に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)は、常温でのn−デカンに不溶であるプロピレン単独重合体あるいはプロピレンと少量、具体的には10モル%以下の炭素数2〜20(プロピレンを除く)のα−オレフィンとの共重合体である結晶性のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と、常温でのn−デカンに可溶である非晶性あるいは低結晶性のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を含む共重合体である。
かかるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)は、第一重合工程でプロピレン単独重合体あるいは結晶性のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を重合した後、第二重合工程で、常温でのn−デカンに可溶である非晶性あるいは低結晶性のプロピレンとα−オレフィンとを共重合し、その後、重合系で両者を混合することにより得られる、いわゆる、ブロック的に重合して得られる重合体(重合系ブロック共重合体)、
あるいはプロピレン単独重合体または結晶性のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と常温でのn−デカンに可溶である非晶性あるいは低結晶性のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体とを溶融混練することにより得られる組成物(溶融混練系ブロック共重合体)、もしくは、重合系ブロック共重合体と溶融混練系ブロック共重合体とを併せて得られる重合体であってもよい。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)は、通常、α−オレフィンから導かれる単位を10〜60モル%、好ましくは15〜55モル%の範囲で含む。
プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)としては、耐熱性など考慮すると、プロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましい。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)を構成する、プロピレン単独重合体あるいは結晶性のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、アイソタクティックな構造を有するものであってもよいし、シンジオタクティックな構造を有するものであってもよい、また両者をブレンドしたものであってもよい。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、好ましくは145〜167℃、さらに好ましくは150〜165℃の範囲にある。DSCによる融点は、試料を200℃で5分間保持した後、降温速度10℃/minで20℃まで降温し、次いで、昇温速度10℃/minで再び180℃まで昇温して融解曲線を測定し、融解曲線のピ−ク温度を融点とした。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)の融点が上記の範囲であると、充分な耐熱性が得られるので好ましい。
本発明で用いられるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)は、通常、メルトフローレート(MFR:ASTM D 1238−65T、230℃、2.16kg荷重)が0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜80g/10分である。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)は、常温でのn−デカン可溶分が30〜90重量%、好ましくは32〜88重量%、さらに好ましくは34〜86重量%である。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)に含まれる常温でのn−デカン可溶分は、予め重量を測定したプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)のペレットを細かく粉砕し、それを常温のn−デカンに溶解し、ろ過を行い、ろ液にアセトンを添加し、析出物をろ過し、真空乾燥したときの重量を測定し、ゴム成分量を求めた。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)の製造方法は、特に限定されないが、一般的に「リアクターTPO」として知られているような、重合によりゴム成分を高含量共重合するのが、ゴム成分の分散性が良く、好ましい。また、押出機により、一般的なポリプロピレンにゴム成分を大量に分散混合させても良い。いずれも公知の製造方法で製造されるものである。
<熱可塑性エラストマー組成物>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記共重合体ゴム(A)を15〜85重量%、好ましくは17〜83重量%、さらに好ましくは19〜81重量%、前記ポリプロピレン(B)を5〜40重量%、好ましくは6〜39重量%、さらに好ましくは7〜38重量%および前記プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)を5〜80重量%、好ましくは7〜78重量%、さらに好ましくは9〜76重量%〔ただし、前記共重合体ゴム(A)、ポリプロピレン(B)およびプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)の合計を100重量%とする。〕含む組成物である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、通常0.1(g/10分)以上であり、好ましくは0.2(g/10分)以上、さらに好ましくは0.3(g/10分)以上である。なお、MFRの上限は、特に限定されないが、通常100(g/10分)以下である。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物から得られた成形体を用いて、JIS K6253に準拠して測定したショアーA硬度は、通常85以下であり、好ましくは83以下、さらに好ましくは80以下である。なお、ショアーA硬度の下限は、特に限定されないが、通常20以上である。また、ショア−A硬度は、JIS K6253に準拠して、熱可塑性エラストマー組成物を用いて、プレス成形機により190℃の温度で10分溶融後、20℃の温度にて5分冷却し、厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、A型測定器を用い、該試験片を6枚重ねて、押針接触後、直ちに目盛りを読み取った値である。硬度が上記範囲より大きいと、発泡後の柔軟性に劣る。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物から得られた成形体を用いて、JIS K7196に準拠して測定した0.5mm針進入温度(℃)は、通常100℃以上、好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上である。なお、針進入温度硬度の上限は、特に限定されないが、通常150℃以下である。また、針進入温度は、JIS K7196に準拠し、熱可塑性エラストマー組成物を用いて、プレス成形機により190℃の温度で10分溶融後、20℃の温度にて5分冷却し、厚さ2mmの試験片を作成し、該試験片を用いて、昇温速度5℃/minで1.8mmφの平面圧子に2Kg/cm2の圧力をかけ、TMA曲線より、0.5mm深さの針進入温度(℃)を求めた値である。
本発明において、熱可塑性エラストマー組成物のMFR、熱可塑性エラストマー組成物から得られた成形体のショア−A硬度および針進入温度が、上記範囲にあると、成形性、柔軟性、耐熱性が向上するため好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記式(1)を満たすと、発泡性が向上するため好ましい。
P×0.6≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.4 (Lnは自然対数) (1)
ここで、式(1)中、EBは、温度190℃での測定される溶融伸び(最大引取速度)(m/min)であり、Pは、温度190℃での切断時の最大溶融張力(g)を示す。
なお、上記EB、Pは、キャピラリーレオメーターを用いて、押出温度190℃、押出速度10mm/min、押出ノズル径2.095mm、ノズル長さ8mmにて、引取り速度を変化させて測定されるときの溶融伸び(最大引取速度)および最大溶融張力の値である。
上記式は、鋭意検討の結果得られた経験式である。好ましくは、
P×0.7≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.3 (Lnは自然対数)
さらに好ましくは
P×0.8≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.2 (Lnは自然対数)
である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、190℃におけるメルトテンション(MT)の値は、通常6.0gf以上、好ましくは6.5gf以上、さらに好ましくは7.0gf以上である。なお、メルトテンションの測定は、キャピラリーレオメーターを用いて、押出温度190℃、押出速度10mm/min、押出ノズル径2.095mm、ノズル長さ8mm、引取り速度4m/minにて測定される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、110℃での半結晶化時間が、通常5〜200秒、好ましくは10〜180秒、さらに好ましくは15〜160秒であり、120℃での半結晶化時間が、通常10〜1000秒、好ましくは15〜900秒、さらに好ましくは20〜800秒である。半結晶化時間が、上記範囲にあると、良好な成形性を得ることができるため、好ましい。なお、半結晶化時間は、熱可塑性エラストマー組成物を用いて、プレス成形機により試験片(シート)を作製し、示差走査熱量計(DSC)により、温度200℃にて5分間アニーリングし、320℃/minの降温速度320℃/minで110℃、120℃での半結晶化時間の測定を行った値である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、引張り強度が、通常1.0〜20.0MPa、好ましくは1.5〜17.0MPa、さらに好ましくは2.0〜15.0MPaである。また、伸びは、試験片に対して、通常50〜1500%、好ましくは70〜1300%、さらに好ましくは100〜1000%である。引張り強度および伸びは、JIS K6251に準拠して、熱可塑性エラストマー組成物を用いて、プレス成形機により190℃の温度で10分溶融後、20℃の温度にて5分冷却し、厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、JIS3号ダンベルにて、測定した値である。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形体を用いて、JIS K6262に準拠して測定した、70℃での圧縮永久歪は、通常60%以上、好ましくは62%、さらに好ましくは64%以上である。尚、上限は、特に限定されないが、通常95%である。また、圧縮永久歪みは、JIS K6262に準拠して、熱可塑性エラストマー組成物を用いて、プレス成形機により190℃の温度で10分溶融後、20℃の温度にて5分冷却し、厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、スペーサーにより25%圧縮、70℃×24時間熱処理を行い、処理後23℃恒温室で30分放置した後、厚さを測定した値である。70℃での圧縮永久歪が60%以上であると、良好な発泡性を得ることができるため、好ましい。
<ゴム用軟化剤(D)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、任意成分としてゴム用軟化剤(D)を含んでいてもよい。
本発明に係るゴム用軟化剤(D)は、通常ゴムに用いられる軟化剤である。具体的には、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルトおよびワセリン等の石油系物質;低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体等の合成油;コールタールおよびコールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油およびヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウおよびラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウムおよびステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂およびアタクティックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートおよびジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエンおよび液状チオコールなどが挙げられる。なかでも、パラフィン系のプロセスオイルおよび低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体が特に好ましく、さらに、揮発しやすい低分子量成分の含有量が少ない高粘度タイプのパラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。ここで「高粘度タイプ」とは、40℃における動粘度が100〜10000センチストークスの範囲にあるものをいう。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、ゴム用軟化剤(D)を添加する場合は、熱可塑性エラストマー組成物の製造時に添加してもよいし、予め、共重合体ゴム(A)、共重合体ゴム(A)の基となるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(a)にゴム用軟化剤(D)を添加して用いてもよいが、それに限定はされない。ゴム用軟化剤(D)は、前記共重合体ゴム(A)、ポリプロピレン(B)およびプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)の合計100重量部に対して、20〜130重量部、好ましくは22〜128重量部、さらに好ましくは24〜126重量部となるような量で用いられる。ゴム用軟化剤(D)が、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれると、より発泡性、柔軟性が得られる点で好ましい。
<発泡剤(E)>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じて発泡剤(E)を添加してなり、発泡剤(E)を用いて、発泡成形体を得ることができる。
発泡剤(E)としては、無機系または有機系の熱分解型発泡剤(化学発泡剤)、二酸化炭素、窒素ならびに二酸化炭素および窒素の混合物が挙げられる。
無機系の熱分解型発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機炭酸塩、亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩を挙げることができる。
有機系の熱分解型発泡剤としては、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレ−ト等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
二酸化炭素や窒素を使用する場合は、熱可塑性エラストマー組成物を、樹脂可塑化シリンダー内で、100〜300℃で溶融し、熱可塑性エラストマー組成物と二酸化炭素や窒素が、相溶状態にある溶融発泡性熱可塑性エラストマー組成物を形成する。
発泡剤(E)は、熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、通常0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
また、必要に応じて発泡助剤を加えることもできる。発泡助剤の添加量は、熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部である。
発泡助剤としては、亜鉛、カルシウム、鉛、鉄およびバリウム等の金属化合物、ステアリン酸等の高級脂肪酸およびその金属塩ならびにタルク、硫酸バリウムおよびシリカ等の微粒無機粒子等が挙げられる。具体的には、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シクロヘキサン1,2−ジカルボン酸、ショウノウ酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸およびニトリロ酸等の多価カルボン酸と、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムアルミニウムおよび炭酸水素カリウム等の無機炭酸化合物との混合物や、これらの反応により生じる中間体、例えば、クエン酸二水素ナトリウム、シュウ酸カリウム等のポリカルボン酸の塩が挙げられる。
発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、発泡核の形成、気泡の均一化などの働きを示し、一般に使用することが望ましい。特に、原料ペレット時の押出温度、または、発泡体の溶融温度程度付近で分解する化合物は、発泡セル径を細かく、かつ、均一に生成させる効果がある。
このうち、無機系または有機系の熱分解型発泡剤と、発泡助剤として多価カルボン酸と炭酸水素塩との混合物、具体的には、クエン酸と炭酸水素ナトリウムとの混合物またはその反応中間体であるクエン酸二ナトリウムを用いて、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を発泡させることが特に好ましい。
これらの発泡剤または発泡助剤は、発泡成形体を射出成形する前にドライブレンドして、射出成形するときに分解するようにしてもよいし、予め、ペレットに溶融ブレンドしてから添加してもよい。
<その他の成分>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、従来公知のフェノール系などの酸化防止剤、無機充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、ジアゾ系などの耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤および滑材などの添加剤、および本発明に係るポリプロピレン(B)およびプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)以外のオレフィン系(共)重合体を添加することができる。なかでも、滑材は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形性を向上させる効果がある。
上記滑材としては、高級脂肪酸アミド、金属セッケン、ワックス、シリコーンオイル、フッ素系ポリマー等が挙げられる。なかでも、高級脂肪酸アミド、シリコーンオイル、フッ素系ポリマーが好ましい。
高級脂肪酸アミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミドなどが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイルなどのアルキルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコーン油などが挙げられる。
フッ素系ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物などが挙げられる。
上記無機充填剤としては、具体的には、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカーなどが挙げられる。
上記本発明に係るポリプロピレン(B)およびプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)以外のオレフィン系(共)重合体としては、具体的には、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、本発明に係るポリプロピレン(B)およびプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)以外のポリプロピレン、また、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体、ポリブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのポリオレフィン; エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンとスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アイオノマー等の各種ビニル化合物とのオレフィン系共重合体等が挙げられる。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記共重合体ゴム(A)、前記ポリプロピレン(B)および前記プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)に、必要に応じて、前記ゴム用軟化剤(D)および各種添加剤等を、前記の配合量で、溶融混練など、従来公知の方法で混合することにより製造することができる。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記共重合体ゴム(A)の基となる共重合体ゴム(a)、ポリプロピレン(B)、必要に応じて、架橋剤、ゴム用軟化剤(D)および各種添加剤などを、単軸あるいは二軸押出機などを用いて、動的に熱処理して、予め、前記共重合体ゴム(A)、ポリプロピレン(B)を含む組成物を製造しておき、その後、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)、必要に応じて、ゴム用軟化剤(D)および各種添加剤等を溶融混練することで、製造することが好ましい。
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を製造する際には、ゴム用軟化剤(D)を押出機内へ直接添加しても良い。
また、混練装置としては、ミキシングロールおよびインテンシブミキサー(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。
<発泡成形体およびその製造方法>
本発明の発泡成形体は、本発明の前記熱可塑性エラストマー組成物を、種々公知の方法で発泡してなる成形体である。本発明では、本発明の前記熱可塑性エラストマー組成物を用いることで、発泡倍率が2倍以上であり、均一な発泡セルを有し、かつ外観が良好な発泡成形体を得ることができる。
本発明の発泡成形体を製造する方法としては、特に制限はなく、公知の樹脂加工方法に使用される成形機を用いて、押出成形、プレス成形、射出成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、スタンピングモールド成形、圧縮成形およびビーズ成形等により製造することができる。
製造方法の例としては、発泡剤として、超臨界状態の二酸化炭素を用いて、押出成形方法により発泡成形体を製造する方法がある。すなわち、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を押出機で溶融し、二酸化炭素を臨界圧力(7.4〜40MPa)の範囲内で、二酸化炭素の臨界温度(31℃)以上に昇温して、超臨界二酸化炭素としてから、押出機中の溶融した該熱可塑性エラストマー組成物に混合する。次いで、超臨界二酸化炭素が混合された溶融熱可塑性エラストマー組成物を、最適発泡温度に設定した押出機先端部に接続したダイへと移送し、ダイから大気中に押出し急激に圧力を低下させて、二酸化炭素をガス化し発泡させ、後続の冷却装置で冷却固化し,目的の発泡成形体を得る。なお、押出時の熱可塑性エラストマー組成物の温度は、110〜250℃の範囲にすることが好ましい。
また、その他の例としては、プレス成形方法により発泡成形体を製造する方法がある。すなわち、前記化学発泡剤と熱可塑性エラストマー組成物のペレットとをプレス成形機の加熱した金型内に装入し、型圧をかけながら、もしくは型圧をかけることなく、熱可塑性エラストマー組成物を溶融させた後、発泡させて発泡成形体を成形する。このとき、金型の温度は110〜250℃の範囲にするのが好ましい。
さらに、射出成形方法により本発明の発泡成形体を製造する方法を例に挙げる。すなわち、熱可塑性エラストマー組成物を射出成形機で加熱溶融した後、ノズル先端部で発泡させるように金型内に射出し、発泡成形体を成形する方法がある。射出時の樹脂温度は110〜250℃の範囲が好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、流動性が高いため、射出成形方法を用いた発泡成形体の成形に適している。さらに、射出成形用金型が型閉状態のキャビティ内に熱可塑性エラストマー組成物を射出して、射出が完了した後、発泡ガスによる樹脂の膨脹で金型壁面との接触を維持しながら移動型を移動させ、移動型を予め設定した基準肉厚位置で停止させて成形する。該金型の冷却が完了した後、移動型を後退させて製品を取り出すことにより得られる、コアバックによる射出発泡成形に適している。
<複合発泡成形体>
本発明の複合発泡成形体は、たとえば、以下の実施形態1〜3に従って、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる発泡成形体と、ポリオレフィン系樹脂基材とを積層してなる。
〔実施形態1〕
成形方法:カレンダー成形またはTダイからの押出発泡成形
積層方法:ポリオレフィン系基材層からなるシートを発泡成形した後に熱可塑性エラストマー組成物からなる表面層を基材層に積層する逐次法、または、Tダイ押出成形の場合は同時多層発泡押出成形を行う。
〔実施形態2〕
成形方法:多層押出発泡成形
積層方法:ポリオレフィン系基材層と熱可塑性エラストマー組成物からなる表面層の同時多層押出発泡成形を行う。
〔実施形態3〕
成形方法:逐次または同時射出発泡成形
積層方法:ポリオレフィン系基材層を射出発泡した後に、表面層である熱可塑性エラストマー組成物を射出し、金型内で積層する逐次射出発泡成形、または、いわゆるサンドウィッチ成形により基材層と表面層を同時に射出し、積層部品を発泡成形する同時法を行う。
本発明の複合発泡成形体は、良好な成形品外観と柔軟性を有するため、特に自動車用インストゥルメントパネルに使用することが好ましい。
その場合、以下の成形方法を行うことが好ましい。
二色成形
二色成形法ではポリオレフィン系樹脂基材を成形した後、続いて熱可塑性エラストマー組成物の射出発泡成形を行うことにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる発泡成形体にポリオレフィン系樹脂基材が密着した複合発泡成形体が得られる。
インサート成形法
インサート成形法ではポリオレフィン系樹脂基材を予め成形し、これを射出成形金型内に設置した後、熱可塑性エラストマー組成物の射出発泡成形を行うことにより射出発泡成形体にポリオレフィン系樹脂基材が密着した複合発泡成形体が得られる。
ポリオレフィン系樹脂基材としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が挙げられるが、特にポリプロピレン系樹脂を用いることにより良好な密着性が得られる。
<用途>
本発明の熱可塑性エラストマー発泡体の用途としては、インストゥメントパネル表皮、ドア表皮、インストゥメントパネル表皮やドア表皮の裏打ち発泡体、ドアトリム、ピラー、コンソールボックス、ステアリングホイール、ギアレバー、エアーボックス、ダッシュボード、取り替え式座席シート、デフガーニッシュ、カールトップガーニッシュ、天井材、ウェザーストリップスポンジ、トランクルームの内張り、エンジンルームの内張り、パンバー、フェンダー、ボンネットの表層、サイドシールド、クッション等の自動車部品、二輪部品としては、ハンドルの握り、ヘルメットの内側、レーシングスーツの表層等、OA機器関連としては、マウス、キーボード、OAハウジング、マウスパッド、デスクマット、ヘッドホーン、電卓、電話の受話器、PHS、その他の携帯電話等の筐体等が、雑貨としては。システム手帳、財布、ノート、ファイル、バッグ、便座、ペンシル、ボールペン、万年筆、カーペット、包丁の柄、植木鉢のグリップ、草履、下駄、スリッパ、靴底、サンダル等の履き物、電線被覆、コネクター、キャップ、プラグなどの電気部品、止水板、シールスポンジ、騒音防止等の土木資材、ゴルフクラブのグリップ、水泳用フィン、水中眼鏡などのレジャー用品、ガスケット、防水布、ガーデンホース、ベルト、工業用パッキン等の工業用雑品等が挙げられ、これらが容易に製造可能である。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のメルトフローレート、硬度、針侵入温度は、次の方法に従って行った。
〔1〕メルトフローレート(MFR)
ASTM D 1238に準拠して230℃、2.16kg荷重で測定した。
〔2〕ショアーA硬度
JIS K6253に準拠して、プレス成形機により190℃の温度で10分溶融後、20℃の温度にて5分冷却し、厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、A型測定器を用い、押針接触後直ちに目盛りを読み取った。
〔3〕引張り強度、伸び
JIS K6251に準拠して、プレス成形機により190℃の温度で10分溶融後、20℃の温度にて5分冷却し、厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、JIS3号ダンベルにて、測定した。
〔4〕シート圧縮永久歪
JIS K6262に準拠して、プレス成形機により190℃の温度で10分溶融後、20℃の温度にて5分冷却し、厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、スペーサーにより25%圧縮、70℃×24時間熱処理を行い、処理後23℃恒温室で30分放置した後、厚さを測定した。
〔5〕針侵入温度
JIS K7196に準拠し、プレス成形機により190℃の温度で10分溶融後、20℃の温度にて5分冷却し、厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、昇温速度5℃/minで1.8mmφの平面圧子に2Kg/cm2の圧力をかけ、TMA曲線より、0.1mm、0.5mm深さの針進入温度(℃)を求めた。
〔6〕メルトテンション
メルトテンションは、キャピラリーレオメーターを用いて、押出温度190℃、押出速度10mm/min、押出ノズル径2.095mm、ノズル長さ8mm、引取り速度4m/minで測定される。
〔7〕溶融伸び(最大引取速度)(EB)、最大溶融張力(P)
溶融伸び(最大引取速度)(EB:〔m/min〕)、最大溶融張力(P:〔g〕)は、キャピラリーレオメーターを用いて、押出温度190℃、押出速度10mm/min、押出ノズル径2.095mm、ノズル長さ8mmで、引取り速度を変化させて測定される。
〔8〕半結晶化時間
プレス成形機によりシートを作製し、DSCにより温度200℃にて5分間アニーリングし、320℃/minの降温速度320℃/minで110℃、120℃での半結晶化時間の測定を行った。
〔9〕発泡倍率
得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を、プレス成形機で溶融温度170℃にて3mmのシートを作成し、その後170℃ポリエチレンテレフタレート(PET)不織布を用いて裏打ちシートを作成した。スペーサーでPET裏打ちシートを挟み、200℃のオイルバス中で発泡させた。その後、冷水に投入して冷却固化させた。発泡後のシート(t2)を発泡前のシート厚み(t1)で除した値(t2/t1)を発泡倍率として求めた。
〔10〕発泡セルの状態
得られた発泡成形品の発泡層を切断し、気泡生成状態を実体顕微鏡(10倍)にて観察した。
発泡セルの状態は下記のように評価した。
◎ 気泡の状態が均一で、気泡の破れ、裂け等がみられない。
○ 気泡の状態が一部不均一であるが、気泡の破れ、裂け等がみられない。
△ 気泡の状態が不均一であり、気泡の破れ、裂け等が一部みられる。
× 気泡の破れ、裂け等が激しい、もしくは膨れが発生し、評価不能である。
[実施例1]
油展されたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPT−1)(エチレン単位含量/プロピレン単位含量/非共役ジエン単位含量=78モル%/22モル%/4.5重量%;ヨウ素価:13;極限粘度[η]:3.4dl/g;ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]74;油展量 ゴム100重量部に対して、ゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)を40重量部)30重量部と、油展されたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPT−2)(エチレンから導かれる単位/プロピレンから導かれる単位=78モル%/22モル%;ヨウ素価13;極限粘度[η]3.4dl/g;ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]53;油展量 ゴム100重量部に対して、ゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)を62重量部)50重量部と、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が10g/10分であるブロックタイプのポリプロピレン(エチレン単位含量14モル%、常温でのn−デカン可溶分11.6wt%、融点161℃、PP−1)20重量部と、架橋剤として有機過酸化物(パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)0.42重量部と、架橋助剤としてジビニルベンゼン0.28重量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、日本チバガイギー(株)製)0.1重量部とをヘンシェルミキサーで充分に混合し、押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C14 200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:400rpm、押出量:80kg/h)にてゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)20重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)のペレットを得た。
得られた部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)は構成する成分のうち、原料として用いたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムを、部分的また完全に架橋されたエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とみなす。
次いで、熱可塑性エラストマー組成物(x−0)40重量部と、メルトフローレート(ASTM−D−1238;230℃、2.16kg荷重)が1.0g/10分であり、エチレン含量が40モル%、n−デカン可溶分が56wt%、融点:153℃であるプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)60重量部と、カーボンマスターバッチとして40%濃度カーボンマスターマッチ2.5重量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、日本チバガイギー(株)製)0.2重量部と、耐候剤としてジアゾ系耐候安定剤(チヌビン326、日本チバガイギー(株))0.3重量部とをヘンシェルミキサーで充分に混合し、押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C14 200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:400rpm、押出量:80kg/h)にて混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
各原料の配合比を表1に示す。
なお、表2に示すように、熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分は、部分的また完全に架橋されたエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A):20重量%、ポリプロピレン(B):9重量%、ポリプロピレンブロック共重合体(C):71重量%であった。
次に、得られた熱可塑性エラストマー組成物100重量部当たり、発泡核剤としてアゾジカルボンアミド2重量部を添加し、溶融混練して発泡用熱可塑性エラストマー組成物を得た。この発泡用熱可塑性エラストマー組成物をプレス成形機で溶融温度170℃にて3mmのシートを作成し、その後170℃ポリエチレンテレフタレート(PET)不織布を用いて裏打ちシートを作成した。スペーサーでPET裏打ちシートを挟み、200℃のオイルバス中で発泡させた。その後、冷水に投入して冷却固化させた。
熱可塑性エラストマー組成物および発泡成形体を上述した方法にしたがって評価した。結果を表3に示す。
[実施例2]
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)を60重量部、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)を40重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
実施例2で用いた原料の配合比および熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
[実施例3]
実施例1において、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)60重量部のかわりに、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が5g/10分である非架橋で低結晶性のエチレン・プロピレン共重合体ゴム(エチレン単位含量:81モル%、融点:21℃、常温でのn−デカン可溶分95wt%、EPR−1)を42重量部と、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分プロピレン単独重合体であるポリプロピレン(融点160℃、常温のn−デカン可溶分1.2wt%、PP−3)を18重量部とを使用したこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。なお、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)として、前記EPR−1とPP−3を用い、溶融混練することで共重合体(C)を得た。なお、この共重合体(C)の融点は160℃であり、常温n−デカン可溶分は67重量%であった。実施例3で用いた原料の配合比および熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
[比較例1]
実施例1において、PP−2を使用せず、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)100重量部とした以外は、実施例1と同様に熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
比較例1で用いた原料の配合比および熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。なお、比較例1のMFRは、ASTM D 1238に準拠して、230℃、10kg荷重にて測定した。
[比較例2]
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)を使用せず、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)100重量部とした以外は、実施例1と同様に熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
比較例2で用いた原料の配合比および熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分を表1〜2に示す。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
Figure 2010241934
Figure 2010241934
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Claims (5)

  1. エチレンから導かれる単位、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位を含み、部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)15〜85重量%と、
    示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃および常温n-デカン可溶分が30重量%未満のポリプロピレン(B)5〜40重量%と、
    示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、および常温n−デカン可溶分が30〜90重量%であるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)5〜80重量%(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)と
    を含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. ASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1(g/10分)以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物から得られた厚さ2mmの成形体を用いて、
    JIS K6253に準拠して測定したショアーA硬度が85以下であり、かつ
    JIS K7196に準拠して測定した0.5mm針進入温度が100℃以上である
    ことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
    P×0.6≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.4 (Lnは自然対数) (1)
    EB:温度190℃での測定される溶融伸び(最大引取速度)
    P:温度190℃での切断時の最大溶融張力
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物から得られた厚さ2mmの成形体を用いて、
    JIS K6262に準拠して測定した70℃での圧縮永久歪が、60%以上である
    ことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
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