JP5871815B2 - 太陽電池封止材およびそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池封止材およびそれを用いた太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、透明性、柔軟性、接着性、耐熱性、外観、架橋特性、電気特性および押出成形性に優れる太陽電池封止材に関する。さらに本発明は、このような太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュールに関する。
地球環境問題、エネルギー問題などが深刻さを増す中、クリーンかつ枯渇のおそれが無いエネルギー生成手段として太陽電池が注目されている。太陽電池を建物の屋根部分などの屋外で使用する場合、太陽電池モジュールの形態で使用することが一般的である。
太陽電池モジュールは、一般に、以下の手順によって製造される。先ず、多結晶シリコンまたは単結晶形シリコンなどを含む結晶型太陽電池素子(以下、発電素子あるいはセルと表記する場合もある)、あるいはガラスなどの基板上に成膜したアモルファスシリコンや結晶シリコンなどの薄膜(数厚み数μm)を含む薄膜型太陽電池素子などを得る。次に、結晶型太陽電池モジュールを得るには、太陽電池モジュール用保護シート(表面保護シート)/太陽電池封止材/結晶型太陽電池素子/太陽電池封止材/太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護シート)の順に積層する。一方、薄膜系太陽電池モジュールを得るには、薄膜型太陽電池素子/太陽電池封止材/太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護シート)の順に積層する。その後、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法などを利用することにより、太陽電池モジュールが製造される。このようにして製造される太陽電池モジュールは、耐候性を有し、建物の屋根部分などの屋外での使用にも適したものとなっている。
太陽電池封止材の材料として、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)は、透明性、柔軟性および接着性などに優れていることから、広く用いられている。例えば、特許文献1では、架橋剤およびトリメリット酸エステルを含むEVA組成物からなる、接着性と製膜性の双方に優れた封止膜が開示されている。しかしながら、EVA組成物を太陽電池封止材の構成材料として使用する場合、EVAが分解して発生する酢酸ガスなどの成分が、太陽電池素子に影響を与える可能性が懸念されていた。
これに対して、ポリオレフィン系の材料、特にエチレン系材料も絶縁性に優れることから、封止膜材料として用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−53298号公報 特開2006−210906号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、ポリオレフィン系組成物の透明性、耐ブロッキング性および及び押出加工時の成形性といった各種特性を、同時に満たすのが困難であった。また、特許文献2に記載されたポリオレフィン系共重合体は、架橋特性が不十分であったり、あるいは架橋に伴って生ずる歪みが大きくなるなどの問題があるため、太陽電池モジュールにおいてガラス基板の変形や割れを生じさせる可能性がある。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり;本発明の課題は、太陽電池封止材に含まれるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に必要な物性を与えるための指針を明確にし、透明性、柔軟性、接着性、耐熱性、外観、架橋特性、電気特性および押出成形性などの諸特性に優れる太陽電池封止材を提供することである。さらに本発明の課題は、このような太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュールを提供することである。
また、近年の太陽光発電の普及に伴い、メガソーラなどの大規模発電システムの開発が進んでいる。大規模発電システムにおける伝送損失を下げるなどの目的で、システム電圧を高電圧化することもある。システム電圧が上昇すると、太陽電池モジュールにおけるフレームと太陽電池素子の間の電位差が大きくなる。太陽電池モジュールのフレームは一般に接地されているので、システム電圧が600V〜1000Vとなると、太陽電池モジュールのフレームと太陽電池素子間の電位差の最大値は、システム電圧と同じ600V〜1000Vとなる。さらに、ガラスは封止材と比較して電気抵抗が低いので、フレームを介してガラスと太陽電池素子との間にも高い電位差が生じる。
このように、太陽電池モジュールのガラスと太陽電池素子との間の電位差が大きい状態で、太陽電池モジュールは日中の発電を行う。このような状態で発電をする太陽電池モジュールの出力特性は、大きく劣化することがある。特性劣化が生じた結晶系太陽電池素子を用いたモジュールには、PID(Potential Induced Degradation)現象が生じているという報告もある。本発明の好ましい態様では、結晶系太陽電池素子に直接接している封止部材を改良することにより、太陽電池モジュールにおけるPIDの発生を抑制する。
さらに本発明の課題は、このような太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュールを提供することである。
また、ポリエチレン系エラストマー組成物、なかでも非共役ポリエンをモノマー単位として含むポリエチレン系エラストマー組成物は、混練時の粘度が高く、成形性が低いという問題があった。つまり、透明性や架橋特性を損なうことなく、押出成形加工性に優れたポリエチレン系エラストマー組成物を得ることが求められている。
本発明の第2の形態は上記事情に鑑みてなされたものであり、透明性や架橋特性を損なうことなく、押出成形加工性に優れるポリエチレン系エラストマー組成物からなる太陽電池封止材を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、エチレン単位、α-オレフィン単位および非共役ポリエン単位のそれぞれの含有割合、MFR、並びにショアA硬度が所定の要件を満たす特定のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を用いることにより、透明性、柔軟性、接着性、耐熱性、外観、架橋特性、電気特性および押出成形性などの諸特性に優れる太陽電池封止材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す太陽電池封止材が提供される。
[1]以下の要件a1)〜a3)を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む太陽電池封止材。
a1)エチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜90mol%であり、炭素数3〜20のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合が9.99〜19.99mol%であり、且つ非共役ポリエンに由来する構成単位の含有割合が0.01〜5.0mol%である。
a2)ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが10〜50g/10分である。
a3)ASTM D2240に準拠して測定されるショアA硬度が60〜85である。
[2]前記太陽電池封止材が、以下の要件a4)を満たす[1]に記載の太陽電池封止材。
a4)JIS K6911に準拠し、温度100℃、印加電圧500Vで測定される体積固有抵抗が1.0×1013〜1.0×1018Ω・cmである。
[3]前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、シランカップリング剤0.1〜5重量部と、架橋剤0.1〜2.5重量部と、をさらに含む、[1]または[2]に記載の太陽電池封止材。
[4]前記架橋剤が、1分間半減期温度が100〜170℃の範囲にある有機過酸化物である、[3]に記載の太陽電池封止材。
[5]前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、およびヒンダートアミン型光安定剤からなる群より選択される少なくとも一種を0.005〜5重量部さらに含む、[3]に記載の太陽電池封止材。
[6]前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、架橋助剤を0.05〜5重量部さらに含む、[3]に記載の太陽電池封止材。
[7]前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a5)をさらに満たす、[1]〜[6]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
a5)13C−NMRスペクトルおよび下記式(1)から求められるB値が、0.9〜1.3である。
B=(c+d)/(2×a×(e+f)) ・・・(1)(式(1)中、aはエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるエチレンに由来する構成単位の割合(エチレンモル分率)を示し、cはエチレン・α-オレフィン連鎖の構成単位の割合(エチレン・α-オレフィンダイアッドモル分率)を示し、dはエチレン・非共役ポリエン連鎖の構成単位の割合(エチレン・非共役ポリエンダイアッドモル分率)を示し、eはα-オレフィンに由来する構成単位の割合(α-オレフィンモル分率)を示し、fは非共役ポリエンに由来する構成単位の割合(非共役ポリエンモル分率)を示す)
[8]前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a6)をさらに満たす、[1]〜[7]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
a6)GPC−offline−FTIRより求められるエチレン分布パラメータPの最大値Pmaxと最小値Pminとの関係が下記式(2)を満たす。
Pmax/Pmin≦1.4 ・・・(2)
[9]前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a7)をさらに満たす、[1]〜[8]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
a7)流動の活性化エネルギーが28〜35kJ/molである。
[10]前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a8)をさらに満たす、[1]〜[9]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
a8)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に基づく分子量分布Mw/Mnが1.2〜3.5の範囲にある。
[11]前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a9)をさらに満たす、[1]〜[10]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
a9)固相抽出処理後の抽出液からイオンクロマトグラフィーにより検出される塩素イオンの含有割合が2ppm以下である。
[12]前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a10)をさらに満たす、[1]〜[11]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
a10)酢酸メチルへの抽出量が5.0重量%以下である。
[13]シート状である、[1]〜[12]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
[14]前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体と添加剤とを、押出成形にて溶融混練後、シート状に成形して得られた、[1]〜[13]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
[15]表面側透明保護部材と、裏面側保護部材と、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材とに挟持された太陽電池素子と、前記太陽電池素子を前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材との間に封止する封止部材と、を備えた太陽電池モジュールであって、
前記封止部材は、[1]〜[13]のいずれかに記載の太陽電池封止材の硬化物である、太陽電池モジュール。
また、本発明者らは、得られる太陽電池封止材の成形性を高めるために、ポリエチレン系エラストマー組成物にオイルや可塑剤を添加することを検討した。その結果、オイルや可塑剤を添加すると、共役ポリエンをモノマー単位として含むポリエチレン系エラストマー組成物の架橋特性や硬化物の透明性が低下する場合があることを見出した。本発明の第2の形態によれば、以下に示す太陽電池封止材が提供される。
[16](A)エチレンに由来する構成単位の含有量が50〜95モル%であり、ムーニー粘度ML(1+4)100℃が30〜90であるエチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体と、(B)パラフィン成分が55重量%〜90重量%であり、アロマ成分が5重量%未満であり、ナフテン成分が40重量%未満であり、かつ硫黄成分が200ppm以下であるパラフィン系オイルと、(C)架橋剤と、を含み、
(A)と(B)からなる樹脂組成物の190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが10g/10minを超え、50g/10min以下である、太陽電池封止材。
[17]前記(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体のJIS−K7121に準じて測定される融点が70℃以下である、[16]に記載の太陽電池封止材。
[18]前記太陽電池封止材の硬化物の光線透過率が90%以上である、[16]または[17]に記載の太陽電池封止材。
[19]架橋助剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、酸化防止剤および接着性付与剤からなる群より選ばれる少なくとも一種類の添加剤をさらに含む、[16]〜[18]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
[20]前記(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体と、(B)パラフィン系オイルと、(C)架橋剤と、を溶融混練して得た樹脂組成物を、膜状に成形するステップを含む、[16]〜[18]のいずれかに記載の太陽電池封止材の製造方法。
[21]前記溶融混練して得た樹脂組成物を、押出成形法により膜状に成形する、[20]に記載の太陽電池封止材の製造方法。
[22]前記押出成形における押出機のダイス温度が55〜120℃である、[21]に記載の太陽電池封止材の製造方法。
[23]前記[20]〜[22]のいずれか一項に記載の製造方法により得られる、太陽電池封止材。
[24]表面側透明保護部材と、裏面側保護部材と、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材とに挟持された複数の太陽電池素子と、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材の少なくとも一方との間に前記太陽電池素子を封止する封止部材と、を備えた太陽電池モジュールであって、
前記封止部材は、[16]〜[19]および[23]のいずれかに記載の太陽電池封止材の硬化物である、太陽電池モジュール。
本発明の太陽電池封止材は、特定のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含むので、透明性、柔軟性、接着性、耐熱性、外観、架橋特性、電気特性および押出成形性などの諸特性に優れる太陽電池封止材となる。このような太陽電池封止材を用いることで、諸特性がバランスよく高い太陽電離モジュールが得られ、さらには、太陽電池モジュールの使用時に温度上昇しても、封止材が変形したりするようなトラブルが抑制されうる。そして、太陽電池の外観を損なうこともなく、コストなどの経済性に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
さらに好ましくは、本発明の太陽電池封止材を用いることで、フレームと太陽電池素子間に高電圧を印加した状態で発電を続けても、PIDの発生を大幅に抑制できる太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の太陽電池モジュールの一実施形態を模式的に示す断面図である。 太陽電池素子の受光面と裏面の一構成例を模式的に示す平面図である。 油添前の樹脂組成物の粘度と油添後の樹脂組成物のMFRとの関係を示すグラフである。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。以下に、本発明の実施形態について説明する。なお、「〜」はとくに断りがなければ、以上から以下を表す。
1.太陽電池封止材について(1)第1の太陽電池封止材
本発明の第1の態様の太陽電池封止材は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む。
(エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体)
本発明の太陽電池封止材に用いられるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、エチレンと、炭素数3〜20のα-オレフィンと、非共役ポリエンとを共重合することによって得られる。α-オレフィンとしては、通常、炭素数3〜20のα-オレフィンを1種類単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。なかでも好ましいα-オレフィンは、炭素数が10以下であるα-オレフィンであり、特に好ましいα-オレフィンは炭素数が3〜8のα−オレフィンである。このようなα-オレフィンの具体例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどを挙げることができる。なかでも、入手の容易さからプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンが好ましい。
非共役ポリエンとしては、非共役不飽和結合を2個以上有する化合物を制限なく使用することができる。具体的には、非共役ポリエンとして、非共役環状ポリエン、非共役鎖状ポリエンのいずれも用いることができ、非共役環状ポリエンと非共役鎖状ポリエンを二種以上組み合わせて用いることもできる。また、非共役ポリエンとしては、炭素・炭素二重結合のうち、触媒で重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に1個のみ存在する非共役ポリエンと、炭素・炭素二重結合のうち当該触媒で重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に2個存在する非共役ポリエンのいずれを用いてもよい。このうち、重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子中に1個のみ存在する非共役ポリエンには、両末端がビニル基(CH=CH−)である鎖状ポリエンは含まれない。このような非共役ポリエンにおいて2個以上の炭素・炭素二重結合が存在する場合には、1個の炭素・炭素二重結合のみが、分子末端にビニル基として存在し、他の炭素・炭素二重結合(C=C)は、分子鎖(主鎖および側鎖を含む)中に内部オレフィン構造の形で存在していることが好ましい。なお、非共役環状ポリエン、非共役鎖状ポリエンの概念には、上述した重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子中に1個のみ存在する非共役ポリエン、および炭素・炭素二重結合のうち当該触媒で重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に2個存在する非共役ポリエンも含まれる。また、共役鎖状ポリエンとしては、共役トリエンまたはテトラエンも含まれる。
非共役ポリエンの具体例としては、国際公開第2005/105867号の段落0061〜0084、および特開2008−308696号公報の段落0026〜0035に記載の化合物を挙げることができる。
特に、非共役鎖状ポリエンとしては、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-ノナジエン、1,8-デカジエン、1,12-テトラデカジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、3,3-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエン、6-ブチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、8-メチル-1,7-ノナジエン、7-エチル-1,7-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、7-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、9-メチル-1,8-ウンデカジエンなどを挙げることができる。
非共役トリエンまたはテトラエンとしては、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、6,9-ジメチル-1,5,8-デカトリエン、6,8,9-トリメチル-1,5,8-デカトリエン、6,10,14-トリメチル-1,5,9,13-ペンタデカテトラエン、6-エチル-10-メチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4-エチリデン-8,12-ジメチル-1,7,11-トリデカトリエンなどを挙げることができる。なお、これらの非共役鎖状ポリエンを一種単独で、または二種以上を以上組み合わせて用いることができる。好ましくは7-メチル-1,6-オクタジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエンなどが用いられる。
重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子中に1個のみ存在する非共役ポリエンとしては、炭素・炭素二重結合(不飽和結合)を1個有する脂環部分と、アルキリデン基などのメタロセン触媒で重合しないかまたは重合性の劣る内部オレフィン結合(炭素・炭素二重結合)を有する鎖状部分と、から構成されるポリエンを挙げることができる。具体的には、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-プロピリデン-2-ノルボルネン、および5-ブチリデン-2-ノルボルネンなどを挙げることができる。これらのうち、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)が好ましい。その他の重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子中に1個のみ存在する非共役ポリエンとしては、例えば、2-メチル-2,5-ノルボルナジエン、2-エチル-2,5-ノルボルナジエンなどを挙げることができる。これらの重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子中に1個のみ存在する非共役ポリエンは一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いられる。
前記炭素・炭素二重結合のうち、重合可能な炭素・炭素二重結合が1分子内に2個存在する非共役ポリエンの具体例としては、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、5-アリル-2-ノルボルネンなどの5-アルケニル-2-ノルボルネン;2,5-ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]デカ-3,8-ジエンなどの脂環族ポリエン;1,7-オクタジエン、1,9-デカジエンなどのα,ω-ジエンなどを挙げることができる。これらの中でも、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン、2,5-ノルボルナジエン、1,7-オクタジエンおよび1,9-デカジエンが好ましく、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン・4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)共重合体、エチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)・5-ビニル-2−ノルボルネン(VNB)四元共重合体、エチレン・プロピレン・5-ブチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)四元共重合体、およびエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)四元共重合体、エチレン・1-ブテン・4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)共重合体、エチレン・1-ブテン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)共重合体、エチレン・1-ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)共重合体、エチレン・1-ブテン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・1-ブテン・4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)四元共重合体、エチレン・1-ブテン・5-ブチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)四元共重合体、およびエチレン・1-ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)四元共重合体、エチレン・1-オクテン・4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)共重合体、エチレン・1-オクテン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)共重合体、エチレン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)共重合体、エチレン・1-オクテン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・1-オクテン・4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)四元共重合体、エチレン・1-オクテン・5-ブチリデン-2-ノルボルネン・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)四元共重合体、およびエチレン・1-オクテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)・5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)四元共重合体などを挙げることができる。なお、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、柔軟性の観点からはランダム共重合体が好ましい。
本発明の第1の態様の太陽電池封止材に含まれるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、以下の要件a1)〜a3)を満たす。
(要件a1))
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる、炭素数3〜20のα-オレフィンに由来する構成単位(以下、「α-オレフィン単位」とも記す)の割合は9.99〜19.99mol%であり、好ましくは11〜19.99mol%、さらに好ましくは12.5〜19mol%である。
α-オレフィン単位の含有割合が9.99mol%未満であると、結晶性が高く、透明性が低下する傾向にある。更に、低温での押出成形が困難となり、例えば130℃以上の高温での押出成形が必要となる。このため、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に有機過酸化物を練り込む場合に、押出機内での架橋反応が進行してしまい、太陽電池封止材のシートにゲル状の異物が発生し、シートの外観が悪化する傾向にある。また、柔軟性が低く、太陽電池モジュールのラミネート成形時に太陽電池素子であるセルの割れや、薄膜電極のカケ等が発生する場合がある。
一方、α-オレフィン単位の含有割合が19.99mol%超であると、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の結晶化速度が遅くなる。このため、押出機より押し出されたシートがベタつくため、第1冷却ロールでの剥離が困難になり、太陽電池封止材のシートを得ることが困難になり易くなる傾向にある。また、シートにベタツキが発生するのでブロッキングしてしまい、シートの繰り出し性が悪化する傾向にある。また、架橋が不十分となり、耐熱性が低下するおそれがある。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる、非共役ポリエンに由来する構成単位(以下、「非共役ポリエン単位」ともいう)の割合は0.01〜5.0mol%であり、好ましくは0.01〜4.5mol%、さらに好ましくは0.05〜4.0mol%である。非共役ポリエン単位の含有割合が0.01mol%未満であると、架橋特性が低下する場合がある。一方、非共役ポリエン単位の含有割合が5.0mol%超であると、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に長分岐鎖が存在したり、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体がゲルし易い傾向がある。そのため、太陽電池封止材のシートにゲル状の異物が発生し、シートの外観が悪化する場合がある。
(要件a2))
ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のメルトフローレ−ト(MFR)は10〜50g/10分であり、好ましくは10〜40g/10分、より好ましくは10〜35g/10分、さらに好ましくは12〜27g/10分、最も好ましくは15〜25g/10分である。エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のMFRは、後述する重合反応の際の重合温度、重合圧力、並びに重合系内のエチレン及びα-オレフィンのモノマー濃度と水素濃度のモル比率等を調整することにより、調整することができる。
MFRが10g/10分未満であると、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む樹脂組成物の流動性が低下し、シート押出成形時の生産性が低下する。また、樹脂組成物のスコーチ性が高くなってゲル化し易くなる。このため、押出機のトルクが上昇してシート成形が困難となる場合がある。また、シートが得られたとしても、押出機内で発生したゲル物によりシートの表面に凹凸が発生し、外観が悪くなる場合がある。なお、電圧をかけるとシート内部のゲル物周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。更には、ゲル物界面において透湿し易くなり、透湿性が低下する。また、シート表面に凹凸が発生するため、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、セル、電極、バックシートとの密着性が悪化し、接着が不十分となる。
一方、MFRが50g/10分超であると、分子量が低いためチルロール等のロール面への付着が起こり、剥離を要するため均一な厚みのシート成形が困難となる。更に、樹脂組成物に「コシ」がなくなるため、0.3mm以上の厚いシートを成形するのが困難となる傾向にある。また、太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋特性(特に架橋速度)が低下し、十分な架橋体が得られず、耐熱性が低下する傾向にある。MFRが27g/10分以下であると、さらに、シート成形時のネックインを抑制でき、幅の広いシートを成形でき、また架橋特性および耐熱性がさらに向上し、非常に良好な太陽電池封止材のシートを得ることができる。
(要件a3))
ASTM D2240に準拠して測定される、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のショアA硬度は60〜85であり、好ましくは60〜83、さらに好ましくは65〜80である。エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のショアA硬度は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のエチレン単位の含有割合を前述の数値範囲に制御することなどにより、調整することができる。即ち、エチレン単位の含有割合が高く、密度が高いエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、ショアA硬度が高くなる。一方、エチレン単位の含有割合が低く、密度が低いエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、ショアA硬度が低くなる。
ショアA硬度が60未満であると、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の結晶化速度が遅くなる。このため、押出機より押し出されたシートがベタつき、第1冷却ロールでの剥離が困難になり、太陽電池封止材のシートを得ることが困難になり易い傾向にある。また、シートにベタツキが発生するのでブロッキングしてしまい、シートの繰り出し性が悪化する傾向にある。また、架橋が不十分となり、耐熱性が低下するおそれがある。
一方、ショアA硬度が85超であると、結晶性が高く、透明性が低下する傾向にある。さらに、低温での押出成形が困難となり、例えば130℃以上の高温での押出成形が必要となる。このため、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に有機過酸化物を練り込むと押出機内での架橋反応が進行してしまい、太陽電池封止材のシートにゲル状の異物が発生し、シートの外観が悪化する傾向にある。また、柔軟性が低く、太陽電池モジュールのラミネート成形時に太陽電池素子であるセルの割れや、薄膜電極のカケ等が発生する場合がある。
さらに、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、以下の要件a5)〜a10)を満たすことが好ましい。
(要件a5))
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、13C-NMRスペクトルおよび下記式(1)から求められるB値は0.9〜1.3であることが好ましく、0.95〜1.3であることがさらに好ましく、0.95〜1.2であることがより好ましい。
B=(c+d)/(2×a×(e+f))・・・(1)(式(1)において、aはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるエチレンに由来する構成単位の割合(エチレンモル分率)を示し、cはエチレン・α−オレフィン連鎖の構成単位の割合(エチレン・α−オレフィンダイアッドモル分率)を示し、dはエチレン・非共役ポリエン連鎖の構成単位の割合(エチレン・非共役ポリエンダイアッドモル分率)を示し、eはα−オレフィンに由来する構成単位の割合(α−オレフィンモル分率)を示し、fは非共役ポリエンに由来する構成単位の割合(非共役ポリエンモル分率)を示す。)
式(1)中のa、c、d、eおよびfは、13C-NMRスペクトルを測定し、J.C.Randall (Macromolecules,15,353 (1982))、およびJ.Ray(Macrimolecules,10,773 (1977))らの報告に基づいて求めることができる。これらの報告では、エチレン−プロピレンからなるコポリマーを用いて、ポリマー主鎖にある炭素原子(メチレン基)のダイアッドを13C-NMRスペクトルより求めている。また、コポリマーの共重合の形態であるランダム性やブロック性に関し、コポリマーのシークエンスと関連付けて論じている。
式(1)において、α-オレフィンと非共役ポリエンとのダイアッドモル分率、および非共役ポリエン同士のダイアッドモル分率は、いずれもモル分率が低いので考慮されていない。また、エチレンと非共役ポリエンとのダイアッドモル分率は、非共役ポリエンのモル分率の2倍とされている。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の各成分のモル分率は、非共役ポリエンの特定のカーボンに基づく吸収強度を利用して別途算出した。それに基づいて、エチレン−非共役ポリエンダイアッドモル分率を算出した。その他のメチレン炭素による連鎖帰属については上記文献に従った。
B値は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を重合する際の重合触媒を変更することにより調整可能である。より具体的には、後述するメタロセン化合物を用いることで、B値が上記の数値範囲にある共重合体を得ることができる。B値が大きいほど、エチレン単位またはα-オレフィン単位のブロック的連鎖が短くなり、エチレン単位とα-オレフィン単位と非共役ポリエン単位との分布が一様であり、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の組成分布が狭くなる。
B値が0.9未満であると、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の組成分布は広くなる。特に、エチレン単位のブロック的連鎖が多くなり、低温での押出成形が困難となるので、例えば130℃以上の高温での押出成形が必要となる。このため、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に有機過酸化物を練り込むと、押出機内での架橋反応が進行してしまい、太陽電池封止材のシートにゲル状の異物が発生し、シートの外観が悪化する傾向にある。
以下に、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体であるエチレンとプロピレンと5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)から得られる非共役環状ポリエン系共重合体のB値を求める方法を具体的に示す。
下記構造式に示される9種のメチレン炭素のNMRシグナル強度の積分値を求めた。
(1)αβ、(2)αγ+αδ、(3)βγ、(4)βδ、(5)γδ、(6)δδ、(7)3E、(8)3Z、(9)αα+1Z+5E+5Z+6E+6Z
Figure 0005871815
(7)〜(9)における数字と英字からなるシンボルは、ENBに由来する炭素を示している。(1)〜(9)の数字は上記構造式中の位置を示し、EはE体、ZはZ体であることを表す。また、ギリシア文字は、最短の2つのメチル基が結合している主鎖上の炭素原子間にあるメチレン炭素原子の位置を示し、メチル基が結合している炭素原子の隣の炭素原子をαとする。例えば、主鎖上のある炭素原子が、一方のメチル基が結合している炭素原子の隣であり、他方のメチル基が結合している炭素原子から3番目である場合、その炭素原子はαγとなる。
NMRの各ピークの同定は、上記文献に従った。
(2)は37〜39ppm付近の複数ピークの積分値の合計を、(6)は29〜31ppm付近の複数ピークの積分値の合計からγγとγδピークの積分値を除いた数値を、(9)は44〜48ppm付近の複数ピークの積分値の合計を求めた。
ααは以下の通りに算出した。
αα=αα+1Z+5E+5Z+6E+6Z−2×3E−3×3Z
=(9)−2×(7)−3×(8)
次いで、3種のモノマー間により得られる6種のダイアッドは、得られた積分値から以下の手法で算出した。なお、組成が少量であるENBに由来するダイアッドのNN(ENB−ENB連鎖)とNP(ENB−プロピレン連鎖)は0であるとした。NEに関するダイアッドは、ENBの環状上の炭素原子の帰属される吸収強度より算出したモル分率に相当する値の2倍とした。
PP(プロピレン−プロピレン連鎖)=αα+αβ/4
PE(プロピレン−エチレン連鎖)=αγ+αδ+αβ/2
EE(エチレン−エチレン連鎖)=(βδ+δδ)/2+(γδ+βγ)/4
NE(ENB−エチレン連鎖)=(3E+3Z)×2
各成分のモル分率は以下の通り算出した。
a(エチレンモル分率)=(EE+PE/2)/(PP+PE+EE+3E+3Z)
c(エチレン−α−オレフィンダイアッドモル分率)=PE/(PP+PE+EE+NE)
d(エチレン−非共役ポリエンダイアッドモル分率)=NE/(PP+PE+EE+NE)
e(α−オレフィンモル分率)=(PP+PE/2)/(PP+PE+EE+3E+3Z)
f(非共役ポリエンモル分率)=(3E+3Z)/(PP+PE+EE+3E+3Z)
以上の通り求めた組成の各モル分率を上記式(1)に代入して下記式(A)とし、B値を算出した。
B=[(PE+NE)/(PP+PE+NE+EE)]/[(EE+PE/2)〔(PP+PE/2)+(3E+3Z)〕/(PP+PE+EE+3E+3Z)
・・・(A)
式(A)において、B値が大きいほど、α-オレフィン(プロピレン)単位または非共役ポリエン単位のブロック的連鎖が短くなり、α-オレフィン(プロピレン)単位および非共役ポリエン単位の分布が一様であることを示している。逆に、B値が小さくなるほど非共役ポリエン系共重合体の分布が一様でなく、ブロック的連鎖が長くなることを示している。
(要件a6))
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、GPC−offline−FTIRより求められるエチレン分布パラメータPの最大値Pmaxと最小値Pminとの関係は、Pmax/Pmin≦1.4を満たすことが好ましく、Pmax/Pmin=1.0〜1.4を満たすことがさらに好ましい。エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のPmax/Pminは、共重合体をメタロセン化合物(後述)を用いた重合反応により得ることで調整することができる。
「エチレン分布パラメータP」は、以下に示す方法に従って測定される。エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体をシクロヘキサンに溶解して得られる測定サンプルを、GPC−offline−FTIRを使用し、溶離液をシクロヘキサンとし、流量1.0mL/min、温度60℃でIRスペクトルを測定する。得られたIRスペクトルの721±20cm−1の範囲の最大ピーク(A721cm−1)と、4320±20cm−1の範囲の最大ピーク(A4320cm−1)とのピーク強度比(A721cm−1/A4320cm−1)を「エチレン分布パラメータP」とすることができる。この「エチレン分布パラメータP」から、最大値Pmaxと最小値Pminが得られる。
エチレン分布パラメータPは、測定したフラクションにおけるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)中のエチレン由来の構成単位の含有量を示す指標とすることができる。エチレン分布パラメータPが大きいほど、エチレン由来の構成単位の含有量が多いことを示す。なお、721±20cm−1の範囲の最大ピーク(A721cm−1)は、エチレン由来の構成単位のC−H横揺れ振動に由来するピークを示すと推測される。一方、4320±20cm−1の範囲の最大ピーク(A4320cm−1)は、オレフィン骨格に共通するC−H変角振動に由来するピークを示すと推測される。
Pmax/Pminが上記の数値範囲内にあると、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の高分子量成分と低分子量成分とでエチレン由来の構成単位の含有量の差が少なく、組成分布が均一となる。Pmax/Pminが上記範囲を超えると、特に、高分子量成分のエチレン由来の構成単位の含有量が多くなり、押出加工性が低下し、低温での押出成形が困難となり、例えば130℃以上の高温での押出成形が必要となる。このため、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に有機過酸化物を練り込むと押出機内での架橋反応が進行してしまい、太陽電池封止材のシートにゲル状の異物が発生し、シートの外観が悪化する傾向にある。また、柔軟性が低く、太陽電池モジュールのラミネート成形時に太陽電池素子であるセルの割れや、薄膜電極のカケ等が発生する場合がある。
(要件a7))
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の流動の活性化エネルギーは28〜35kJ/molであることが好ましく、28〜34kJ/molであることが更に好ましく、28〜33kJ/molであることが特に好ましい。エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の長鎖分岐の度合いを示す指標である。流動の活性化エネルギー(Ea)が25kJ/mol未満の場合は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の長鎖分岐度が少なく、押出成形時のネックインが大きくなり、製品幅の小さいものしか得られない傾向にある。さらに、接着強度や耐熱性が劣る場合がある。また、流動の活性化エネルギー(Ea)が35kJ/mol超の場合は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の長鎖分岐度が大きく、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む樹脂組成物の流動性が低下し、シート押出成形時の生産性が低下する。また、樹脂組成物のスコーチ性が高くなってゲル化し易くなる。このため、押出機のトルクが上昇してシート成形が困難となる場合がある。また、得られたシートに、押出機内で発生したゲル物によりシートの表面に凹凸が発生し、シート外観が悪くなる場合がある。さらに、そのようなシートに電圧を引火すると、シート内部のゲル物周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。更には、ゲル物界面において透湿し易くなり、透湿性が低下する。また、シート表面に凹凸が発生するため、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、セル、電極、バックシートとの密着性が悪化し、接着が不十分となる。
「流動の活性化エネルギー」について説明する。一般に、ポリマー溶融物の粘度は、流動学上の単純な液体の場合と同様に、温度上昇に伴い低下する。例えば、ガラス転移温度(Tg)よりも100℃高い温度では、粘度(η0)の温度依存性が、下記式(i)で表されるアレニウス型の式に従うことが知られている。
粘度(η0)=Aexp(Ea/RT) ・・・(i)
R;気体定数、A;頻度因子、Ea;流動の活性化エネルギー、T;絶対温度
流動の活性化エネルギーは分子量および分子量分布に依存せず、分子構造によってのみ影響を受けることから、ポリマーの構造情報を表す有用な指標とされる。
チーグラー触媒を用いて製造されるオレフィン系ポリマーでは、分子構造の精密制御が困難であり、様々な構造情報を含んだ流動の活性化エネルギーが算出されていた。しかしながら、メタロセン触媒の開発と製造技術の進歩により、組成分布、分子量分布、短鎖分岐度および長鎖分岐度を制御することが可能となった。高密度ポリエチレン(HDPE)の流動の活性化エネルギーは約27kJ/mol、低密度ポリエチレン(LDPE)の流動の活性化エネルギーは約56kJ/molであることが知られている。
メタロセン触媒を用いて製造されるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体では、共重合したジエン成分がエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の分子構造中に均一に分布していると報告されている(B.a.HarringtonおよびM.G.Williams、「アメリカ化学会ゴム部会技術会議」、2003年10月、p.14−17)。つまり、メタロセン触媒を用いることでEPDMの分子構造の精密制御が可能となり、それと同時に架橋活性の均一化も可能となった。つまり、流動の活性化エネルギーと、ゴム組成物、架橋ゴムおよび架橋発泡体の物性との関係が把握できる。
流動の活性化エネルギーの差異は長鎖分岐に起因すると考えられており、核磁気共鳴(NMR)法や光散乱法によって長鎖分岐の解析が行われている。しかしながら、必ずしも正確な結果が得られない場合もあり、レオロジー特性に着目した研究が今もなお、盛んに行われている(山口政之著、「成形加工」、2008年、第20巻、第7号、p.400−404、F.J.Stadler、C.GabrielおよびH.Munstedt著、「Macromolecular Chemistry and Physics」、2007年、第208巻、p.2449−2454)。
上記範囲内の流動の活性化エネルギーを有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、後述のメタロセン触媒を用いて、ジエン成分を重合体中に均一に導入することで得られる。例えば、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)などの末端二重結合を有する非共役ポリエンの共重合比を増減させることで、長鎖分岐の導入割合を変化させ、流動の活性化エネルギーを所望の値に調整する。流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位;Pa・s)の周波数(単位;rad/s)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)から、アレニウス型の方程式により計算される数値である。
流動の活性化エネルギー(Ea)を求める方法を示す。170℃および210℃の温度(T(℃))におけるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の溶融複素粘度−周波数曲線から、温度−時間重ね合わせ原理に基づき、190℃でのエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の溶融複素粘度−周波数曲線に重ね合わせてシフトファクター(aT)を求める。それぞれの温度(T)と、その温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(I)を算出する。次に、算出した一次近似式(I)の傾きmと、下記式(II)とから流動の活性化エネルギー(Ea)を求めることができる。
ln(aT)=m[1/(T+273.16)]+n ・・・(I)
Ea=0.008314×m ・・・(II)
aT:シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(kJ/mol)
T :温度(℃)
n :Y軸切片
上記計算は、例えば、市販の計算ソフトウェア(ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、商品名「RSI Orchestrator VER.6.6.3」)を用いて行うことができる。なお、シフトファクター(aT)は、170℃および210℃のそれぞれの温度(T)における溶融複素粘度−周波数の曲線(両対数)をlog(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を周波数とする)、190℃での溶融複素粘度−周波数曲線に重ね合わせた際の移動量である。この重ね合わせでは、それぞれの温度(T)における溶融複素粘度−周波数の両対数曲線は、周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。なお、170℃、190℃、および210℃の温度でのシフトファクター(aT)と、温度とから得られる一次近似式(I)を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常0.99以上である。
溶融複素粘度−周波数曲線は、以下に示す粘弾性測定装置を用いて測定することにより作成される。試験片は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を190℃でプレスして得た2mm厚のシートを、直径25mmの円盤状に打ち抜いたものとする。なお、試験片は、酸化防止剤を適量(例えば1000ppm程度)含んでいてもよい。
粘弾性測定装置:商品名「RDS−2」(レオメトリック社製)
測定条件:
Geometry:パラレルプレート
測定温度:170℃、190℃、210℃
周波数:0.5〜79.577Hz
歪率:1.0%
上記条件で粘度の周波数依存性を測定し、上述したアレニウス型の方程式により流動の活性化エネルギーを算出する。データ処理ソフトには、商品名「RSI Orchestrator VER.6.6.3」(ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いることができる。なお、上記特定の流動の活性化エネルギー(Ea)を有する共重合体は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の非共役ポリエン単位の含有量を調節することにより調製することができる。
(要件a8))
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布Mw/Mnは、1.2〜3.5の範囲にあることが好ましく、1.7〜3.0の範囲にあることがさらに好ましく、1.7〜2.7の範囲にあることがより好ましく、1.9〜2.4の範囲にあることが特に好ましい。分子量分布Mw/Mnは、メタロセン化合物(後述)を用いた重合反応によってエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を製造することで、所望の範囲に調整されうる。
Mw/Mnを1.2未満にするためには、リビング重合的にエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を重合するため、触媒活性が得られない。また、従来公知の重合方法で得られたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のMw/Mnを1.2未満とするためには、低分子量成分と高分子量成分とを分離する必要があり、そのために製造コストが高くなる。また、Mw/Mnが1.2未満である共重合体を含む樹脂は、成形可能な温度幅が狭く、更に押出機での吐出量も均一にし難くなる。そのため、均一な厚みのシートを得難く、シート成形が困難になる傾向にある。
一方、Mw/Mnが3.5超過であると、低分子量成分が多くなるのでシートにベタツキが発生してブロッキングして、シートの繰り出し性が悪化する傾向にある。また、一般に、分子量分布Mw/Mnが広くなると組成分布も広くなることが知られている。更に、低分子量成分がシート表面にブリードして、シート接着性が低下する。
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、Waters社製のゲル浸透クロマトグラフ(商品名「Alliance GPC-2000型」)を使用し、以下のようにして測定する。分離カラムには、商品名「TSKgel GMH6-HT」を2本、および商品名「TSKgel GMH6-HTL」を2本使用した。カラムサイズは、いずれも内径7.5mm、長さ300mmとし、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業社製)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品社製)0.025重量%を用いた。移動相を1.0ml/分の速度で移動させ、試料濃度は15mg/10mlとし、試料注入量は500μlとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw≦1000およびMw≧4×10については東ソー社製のものを用いた。また、分子量が1000≦Mw≦4×10についてはプレッシャーケミカル社製のものを用いた。分子量は、ユニバーサル校正して、用いた各α-オレフィンに合わせエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に換算した値である。
(要件a9))
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、固相抽出処理後の抽出液からイオンクロマトグラフィーにより検出される塩素イオンの含有割合は、2ppm以下であることが好ましく、1.5ppm以下であることがさらに好ましく、1.2ppm以下であることが特に好ましい。塩素イオンの含有割合は、後述するメタロセン化合物の構造および重合条件を調整することにより調整することができる。即ち、重合触媒の重合活性を高くすることにより、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の触媒残渣量を少なくし、塩素イオンの含有割合が上記の数値範囲にあるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得ることができる。また、塩素原子を含まないメタロセン化合物を用いることで、実質的に塩素イオンを含まないエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得ることができる。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の塩素イオンの含有割合が2ppm超であると、太陽電池素子の電極(銀などで構成される)を腐食させ、太陽電池モジュールの長期信頼性を低下させる場合がある。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の塩素イオンの含有割合は、例えば、オートクレーブなどを用いて滅菌洗浄されたガラス容器にエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を約10g精秤し、超純水を100ml加えて密閉した後、常温で30分間超音波(38kHz)抽出を行って得られる抽出液を使用し、ダイオネクス社製のイオンクロマトグラフ装置(商品名「ICS−2000」)を用いて測定することができる。
(要件a10))
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、酢酸メチルへの抽出量は5.0重量%以下であることが好ましく、4.0重量%以下であることがさらに好ましく、3.5重量%以下であることがより好ましく、2.0重量%以下であることが特に好ましい。酢酸メチルへの抽出量が多いことは、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に低分子量成分が多く含まれており、分子量分布または組成分布が広がっていることを示している。
メタロセン化合物(後述)を使用して重合条件を調整することで、酢酸メチルへの抽出量が少ないエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得ることができる。例えば、重合器内での重合滞留時間を短くすることにより、重合活性が低下したメタロセン化合物を重合系外に除去すれば、低分子量成分の生成を抑制できる。ソックスレー抽出法での酢酸メチルへの抽出量が5.0重量%超であると、シートにベタツキが発生してブロッキングしてしまい、シートの繰り出し性が悪化する傾向にある。
例えば、重合器内での重合滞留時間を短くすることにより、重合活性が低下したメタロセン化合物を重合系外から除去すれば、低分子量成分の生成を抑制できる。ソックスレー抽出法での酢酸メチルへの抽出量が5.0重量%超であると、シートにベタツキが発生してブロッキングしてしまい、シートの繰り出し性が悪化する傾向にある。また一般に、分子量分布Mw/Mnが広くなると組成分布も広くなることが知られている。更に、低分子量がシート表面にブリードするため、シート接着性が低下する。
酢酸メチルへの抽出量は、例えばエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を約10g程度精秤し、酢酸メチルに添加し、溶媒沸点以上の温度でソックスレー抽出を行い、抽出前後のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量差または抽出溶媒を揮発させた残渣量から算出される。
(融解熱ピーク)
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、示差走査熱量測定(DSC)に基づく融解ピークは30〜90℃の範囲内にあることが好ましく、33〜90℃の範囲内にあることがさらに好ましく、30〜88℃の範囲内にあることが特に好ましい。
融解ピークが90℃超であると、結晶化度が高く、得られる太陽電池封止材の柔軟性が低く、太陽電池モジュールをラミネート成形する際にセルの割れや、薄膜電極のカケが発生する場合がある。
融解ピークが30℃未満であると、樹脂組成物の柔軟性が高過ぎてしまい、押出成形にて太陽電池封止材シートを得ることが困難になる場合がある。また、シートにベタツキが発生してブロッキングしてしまい、シートの繰り出し性が悪化する傾向にある。
(結晶化度)
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、結晶性が低いことが好ましく、X線回折法により測定される結晶化度が40%以下であることがより好ましい。エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の結晶性を低くするには、例えばα-オレフィン含有量を多くすればよい。一方で、ブロッキング防止の観点からは、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は完全な非晶性よりも低結晶性であることが望ましい。低結晶性のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、優れた柔軟性や透明性を有するからである。
(エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の製造方法)
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、以下に示す種々のメタロセン化合物を触媒として用いた重合反応により製造することができる。メタロセン化合物は、例えば、特開2006−077261号公報、特開2008−231265号公報、特開2005−314680号公報、特開2009−138076号公報などに記載されている。但し、これらの特許文献に記載のメタロセン化合物とは異なる構造のメタロセン化合物を使用してもよいし、二種以上のメタロセン化合物を組み合わせて使用してもよい。
メタロセン化合物を用いる重合反応の好適例には、例えば次に示す態様を挙げることができる。従来公知のメタロセン化合物(I)と、有機アルミニウムオキシ化合物(II-1)、メタロセン化合物(I)とイオン対を形成する化合物(II-2)、および有機アルミニウム化合物(II-3)からなる群より選択される少なくとも一種の化合物(助触媒(II)ともいう)とからなるオレフィン重合用触媒の存在下にモノマーを供給する。
有機アルミニウムオキシ化合物(II-1)、メタロセン化合物(I)とイオン対を形成する化合物(II-2)および有機アルミニウム化合物(II−3)は、例えば、特開2006−077261号公報、特開2008−231265号公報、および特開2005−314680号公報などに記載されているが、特に限定されない。これらの助触媒(II)は、個別にまたは予め接触させて重合雰囲気に投入してもよい。さらに、例えば特開2005−314680号公報などに記載の微粒子状無機酸化物担体に担持して用いてもよい。
ただし、メタロセン化合物(I)とイオン対を形成する化合物(II-2)を実質的に使用せずに重合反応させることで、電気特性の優れるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得ることができる。
また、従来公知のチーグラーナッタ触媒と有機アルミニウム化合物(II-3)とを用いた重合系で製造した重合体の金属成分やイオン含有量を、酸などで処理する脱灰処理により、低減させることができる。それにより、電気特性の優れるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得ることができる。しかしながら、脱灰処理されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中に残留する酸やアルカリが、太陽電池封止材として用いられると、太陽電池モジュールの電極を腐食させる傾向がある。また、脱灰処理は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の製造コストを上昇させる。
そのため、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、メタロセン化合物(I)と、有機アルミニウムオキシ化合物(II-1)および有機アルミニウム化合物(II-3)からなる群より選択される少なくとも一種の化合物とからなるオレフィン重合用触媒を用いて製造されることが好ましい。
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重合反応は、従来公知の気相重合法、およびスラリー重合法、溶液重合法などの液相重合法のいずれでも行うことができるが、好ましくは溶液重合法などの液相重合法により行われる。上記のようなメタロセン化合物を用いて、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンと非共役ポリエンとを共重合反応させてエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を製造する場合、反応系におけるメタロセン化合物(I)の量は、反応容積1リットル当り、通常10−9〜10−1モル、好ましくは10−8〜10−2モルとする。
反応系における化合物(II-1)の量は、化合物(I)の全遷移金属原子(M)に対するモル比[(II-1)/M]が、1〜10000、好ましくは10〜5000となるように調整される。反応系における化合物(II-2)の量は、化合物(I)の全遷移金属(M)に対するモル比[(II-2)/M]が、0.5〜50、好ましくは1〜20となるように調整される。反応家における化合物(II-3)の量は、重合容積1リットル当り、0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるように調整される。
メタロセン化合物の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンと非共役ポリエンとを、溶液重合法で共重合させることによって、コモノマー含量が高く、組成分布が狭く、分子量分布が狭いエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を効率よく製造することができる。ここで、エチレンと炭素数3〜20のα-オレフィンと非共役ポリエンの仕込みモル比は、エチレン:α-オレフィン:非共役ポリエン=10:90:1〜99.9:0.1:0.01、好ましくはエチレン:α-オレフィン:非共役ポリエン=30:70:1〜99.9:0.1:0.01、さらに好ましくはエチレン:α-オレフィン:非共役ポリエン=50:50:1〜99.9:0.1:0.01である。
炭素数3〜20のα-オレフィンおよび非共役ポリエンの例は、前述の通りである。また、溶液重合法において使用できるα-オレフィンは、極性基含有オレフィンであってもよい。極性基含有オレフィンの例に、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β-不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩などの金属塩類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのα,β-不飽和カルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和グリシジル類などを挙げることができる。また、ビニルシクロヘキサン、ジエン、またはポリエン;芳香族ビニル化合物、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン類;3-フェニルプロピレン、4-フェニルプロピレン、α-メチルスチレンなどを反応系に共存させて、高温溶液重合させてもよい。
「溶液重合法」とは、後述の不活性炭化水素溶媒に溶質が溶解した状態で重合を行う方法の総称である。溶液重合法における重合温度は、通常0〜200℃、好ましくは20〜190℃、さらに好ましくは40〜180℃である。溶液重合法において重合温度が0℃に満たない場合、重合活性が極端に低下し、重合熱の除熱も困難となり生産性の点で実用的でない。また、重合温度が200℃を超えると、重合活性が極端に低下するので生産性の点で実用的でない。
溶液重合法における重合圧力は、通常、常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜8MPaゲージ圧とする。共重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法で行ってもよい。反応時間(連続法の場合には「平均滞留時間」)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なり、適宜選択することができるが、通常1分間〜3時間、好ましくは10分間〜2.5時間である。さらに、重合反応を反応条件の異なる2段以上に分けて行ってもよい。
得られるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の分子量は、重合系中の水素濃度や重合温度を変化させることによっても調節されうる。さらに、助触媒(II)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、水素添加量は、生成するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体1kgあたり0.001〜5,000NL程度が適当である。また、得られるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の分子末端に存在するビニル基およびビニリデン基の量は、重合温度を高くすること、水素添加量を極力少なくすることで調整される。
溶液重合法において用いられる溶媒は、通常、不活性炭化水素溶媒であり、好ましくは常圧下における沸点が50〜200℃の飽和炭化水素である。具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素が挙げられる。ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類や、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素も「不活性炭化水素溶媒」であり、それらを使用してもよい。
前記したように、溶液重合法において、従来繁用されてきた芳香族炭化水素に溶解する有機アルミニウムオキシ化合物のみならず、脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素に溶解するMMAOのような修飾メチルアルミノキサンを使用してもよい。溶液重合用の溶媒を脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素とすれば、重合反応系に芳香族炭化水素が存在しなくなり、生成するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に芳香族炭化水素が混入する可能性をほぼ完全に排除することができる。これにより、溶液重合法は、環境負荷を軽減し、人体健康への影響を最小化できる方法となりうる。物性値のばらつきを抑制するため、重合反応により得られたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、および所望により添加される他の成分は、任意の方法で溶融され、混練、造粒などを施されるのが好ましい。
(エチレン系樹脂組成物)
本発明の太陽電池封止材はエチレン系樹脂組成物からなり;エチレン系樹脂組成物には、前述のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部と、エチレン性不飽和シラン化合物などのシランカップリング剤0.1〜5.0重量部と、有機過酸化物などの架橋剤0.1〜2.5重量部とが含まれることが好ましい。
さらに、エチレン系樹脂組成物には、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対し、エチレン性不飽和シラン化合物が0.1〜4重量部、および有機過酸化物が0.2〜2.5重量部含有されることが好ましく;エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対し、エチレン性不飽和シラン化合物が0.1〜3重量部、有機過酸化物が0.2〜2重量部含有されることがさらに好ましい。
(エチレン性不飽和シラン化合物)
エチレン系樹脂組成物におけるエチレン性不飽和シラン化合物が0.1重量部未満であると、接着性が低下する。一方、エチレン系樹脂組成物におけるエチレン性不飽和シラン化合物を5重量部超とすると、太陽電池封止材のコストと性能のバランスが悪くなる。さらには、エチレン系樹脂組成物におけるエチレン性不飽和シラン化合物の量を過剰にすると、エチレン系樹脂組成物における有機過酸化物の量を多くしなければならない。エチレン系樹脂組成物を硬化させるときに、エチレン性不飽和シラン化合物をエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体にグラフト反応させる必要があるからである。シランカップリング剤に対する有機過酸化物の量が少ないと、シランカップリング剤をエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の主鎖に十分にグラフト反応させることができず、接着性が低下する傾向もある。
しかしながら、エチレン系樹脂組成物における有機過酸化物の量を過剰にすると、太陽電池封止材を押出機でシート状にして得る際にゲル化を起こし、押出機のトルクが上昇し、押出シート成形が困難となる場合がある。また、得られたシートの表面に、押出機内で発生したゲル物により凹凸が発生し、シート外観が悪くなる場合がある。さらに、シートに電圧を印加するとゲル物周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。また、ゲル物界面での透湿が起こり易くなり、シートの透湿性が低下する。さらに、シート表面に凹凸が発生するため、太陽電池封止材をラミネートして太陽電池モジュールとするときに、ガラス、太陽電池素子、電極、バックシートとの密着性が悪化し、接着性も低下する。また、エチレン性不飽和シラン化合物自体が縮合反応して、太陽電池封止材に白い筋として存在し、製品外観が悪化する。さらに、有機過酸化物の量に対して過剰のシランカップリング剤を含有するシートを、ガラス等の被着体と接着させると、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の主鎖へのシランカップリング剤のグラフト反応が不十分となり、接着性が低下する傾向にもある。
エチレン性不飽和シラン化合物は、従来公知のものが使用でき、特に制限はない。具体例には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが含まれる。好ましくは、エチレン系樹脂組成物の接着性を高めることができるγ-グリシドキシプロピルメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどでありうる。
(有機過酸化物)
有機過酸化物は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体をエチレン性不飽和シラン化合物でグラフト変性させるためのラジカル開始剤として作用する。さらに、有機過酸化物は、太陽電池封止材をラミネートして太陽電池モジュールを得るときに、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を架橋反応させるためのラジカル開始剤として作用する。エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を、エチレン性不飽和シラン化合物でグラフト変性することにより、太陽電池モジュールにおける封止層と、ガラス、バックシート、太陽電池素子、電極との接着性が高まる。また、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を架橋することにより、太陽電池モジュールに、耐熱性や接着性に優れた封止部材を形成することができる。
エチレン系樹脂組成物における有機過酸化物の含有量が0.1重量部未満であると、太陽電池封止材の架橋度合いや架橋速度などの架橋特性の低下や、エチレン性不飽和シラン化合物のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の主鎖へのグラフト反応が不十分となり、耐熱性、接着性が低下する。
エチレン系樹脂組成物における有機過酸化物が2.5重量部超であると、太陽電池封止材を押出機でシート状に成形する際にゲル化を起こし、押出機のトルクが上昇し、押出シート成形が困難となる場合がある。また、得られたシートの表面に、押出機内で発生したゲル物により凹凸が発生し、シート外観が悪くなる場合がある。さらに、シートに電圧を印加するとゲル物周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。また、ゲル物界面での透湿が起こり易くなり、透湿性が低下する。さらに、シート表面に凹凸が発生するため、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、太陽電池素子、電極、バックシートとの密着性が悪化し、接着性も低下する。さらに、太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋が進行しすぎ熱収縮が大きくなり、太陽電池モジュールの端部が十分に太陽電池封止材で埋め込まれなかったり、熱収縮が大きすぎるために太陽電池素子が割れたりする場合がある。また、架橋が進行しすぎると、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の劣化も進行し、耐熱性、色調や柔軟性が悪化する場合がある。
有機過酸化物は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体をエチレン性不飽和シラン化合物でグラフト変性させることができ、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を架橋反応させることが可能なものであればよい。また、押出成形での生産性と太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋速度のバランスから、1分間半減期温度が100〜170℃である有機過酸化物が好ましい。
1分間半減期温度が100℃未満である有機過酸化物は、押出シート成形時に樹脂組成物から得られる太陽電池封止シートにゲルが発生し、押出機のトルクが上昇しシート成形が困難となる場合がある。得られたシートの表面に、押出機内で発生したゲル物により凹凸が発生し、シート外観が悪くなる場合がある。また、シートに電圧をかけるとゲル物周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。さらに、ゲル物界面での透湿が起こり易くなり、透湿性が低下する。また、シート表面に凹凸が発生するため、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、太陽電池素子、電極、バックシートとの密着性が悪化し、接着性も低下する。さらに、太陽電池封止材を長期保存後に使用する際に、有機過酸化物が反応し太陽電池封止材の架橋が促進し、ラミネート加工時の流動性が低下したり、エチレン性不飽和シラン化合物のグラフト反応の開始剤として使用される有機過酸化物の量が減り、接着性が低下する場合がある。
1分間半減期温度が170℃超である有機過酸化物は、太陽電池封止材をラミネートして太陽電池モジュールを得るときに、太陽電池封止材の架橋速度を遅くし、太陽電池モジュールの生産性が大幅に低下させる。また、太陽電池封止材の耐熱性、接着性を低下させる。
有機過酸化物として公知のものが使用できる。1分間半減期温度が100〜170℃の範囲にある有機過酸化物の好ましい具体例には、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキサイド、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサン、t-アミルパーオキシイソノナノエート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-アミル-パーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソノナノエート、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどが含まれる。好ましくは、ジラウロイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソノナノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどが挙げられる。
(要件a4)
本発明の太陽電池封止材は、JIS K6911に準拠し、温度100℃、印加電圧500Vで測定される体積固有抵抗が1.0×1013〜1.0×1018Ω・cmであることが好ましい。体積固有抵抗が小さい太陽電池封止材は、電池モジュールにPIDを発生させ易い傾向がある。さらに、従来の太陽電池モジュールの温度は、太陽光が照射される時間帯に、例えば70℃以上になることがある。そのため、モジュールの長期信頼性を得るには、常温(23℃)での体積固有抵抗よりも、高温(例えば100℃)条件下での体積固有抵抗が重要である。
太陽電池封止材の体積固有抵抗は、好ましくは1.0×1014〜1.0×1018Ω・cm、さらに好ましくは5.0×1014〜1.0×1018Ω・cm、最も好ましくは1.0×1015〜1.0×1018Ω・cmである。体積固有抵抗が1.0×1013Ω・cm未満であると、85℃,85%rhでの恒温恒湿試験において1日程度の短期間で太陽電池モジュールにPID現象を発生させる傾向にある。体積固有抵抗が1.0×1018Ω・cm超過である太陽電池封止材は静電気に帯電しやすく、ゴミを吸着しやすい。そのため、太陽電池モジュール内にゴミが混入しやすくなり、発電効率や長期信頼性の低下を招く傾向がある。一方、体積固有抵抗が5.0×1014Ω・cm超過である太陽電池封止材は、85℃,85%rhでの恒温恒湿試験における太陽電池モジュールのPID現象の発生までの時間をさらに長期化できる傾向にあり望ましい。
太陽電池封止材の体積固有抵抗は、シート成形した封止材を、真空ラミネーター、熱プレス、架橋炉などで架橋および平坦シートに加工した後に測定される。また、太陽電池モジュールから封止層を取り出して(つまり他の層を除去して)、取り出した封止層の体積固有抵抗を測定してもよい。
(2)第2の太陽電池封止材
本発明の第2の形態である太陽電池封止材は、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体と、(B)パラフィン系オイルと、(C)架橋剤と、必要に応じて接着性付与剤等の各種添加剤を含む樹脂組成物からなる。
(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体
本発明の第2の形態の太陽電池封止材に含まれる(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体は、エチレン、α-オレフィンおよびジエンを構成成分とする共重合体である。(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体のα-オレフィンの例には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3−メチル−1ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが含まれるが、炭素原子数が3〜10のα-オレフィンが好ましい。
(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体のジエンの例には、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-プロピリデン-5-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの環状ジエン;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,7-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどの鎖状の非共役ジエンなどが含まれる。前記ジエン成分の一部は、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエンなどのトリエンなどであってもよい。なかでも、太陽電池封止膜の成形性の観点から、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネンなどがジエン成分として好ましい。
(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の典型例は、エチレンを主成分とし、α-オレフィンを副成分とし、ジエンを少量成分とする共重合体である。その具体的な例には、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、およびエチレン・プロピレン・ビニルノルボルネン共重合体、エチレン・1-ブテン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・1-ブテン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・1-ブテン・ビニルノルボルネン共重合体等を例示することができる。これらの中では特にエチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)が好ましい。
(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の、エチレンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは50〜95モル%であり、より好ましくは70〜90モル%、さらに好ましくは80〜90モル%である。エチレン含有量が上記範囲内にあると、透明性に優れて、低温における圧縮永久歪が小さくなるという利点がある。
(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の、α-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは4.5〜49.5モル%であり、より好ましくは9.5〜29.5モル%、さらに好ましくは9.5〜19.5モル%である。α-オレフィン含有量が少なすぎると、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体が結晶化しやすいため、柔軟性や硬化物の透明性が低下しやすくなる。一方、α-オレフィン含有量が多すぎると、押出加工時に巻き取りロール表面から剥離しにくくなり、押出加工性が低下する。また、押出後のフィルムやシートがブロッキングするなどの問題も生じる。
(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の、ジエンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは0.5〜5モル%であり、より好ましくは0.5〜2モル%である。前記ジエン含有量が上記範囲内にあると、良好な耐熱性や耐侯性を獲得できる。
本発明の第2の形態の太陽電池封止材に含まれる(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の、ASTM D−1646に準拠して100℃で測定されるムーニー粘度ML(1+4)100℃は、30〜90であることが好ましい。ムーニー粘度ML(1+4)100℃とは、Lロータで1分間予熱、4分間加振後の100℃における粘度を意味する。エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体のムーニー粘度ML(1+4)100℃が30未満であれば、溶融時に適度な粘度を有するため、パラフィン系オイルを添加しなくても良好な成形性が得られやすい。また、エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体のムーニー粘度ML(1+4)100℃が90超であると、加工時の粘度が高すぎるため、パラフィン系オイルを添加しても成形性を改善しにくい。
(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の結晶性は低いことが好ましく、X線回折法により測定される結晶化度が40%以下であることがより好ましい。(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の結晶性を低くするには、例えばα-オレフィン含有量を多くすればよい。一方で、ブロッキング防止の観点から、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体は完全な非晶性であるよりも低結晶性であることが好ましい。
また、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体は、JIS−K7121に準じて測定される融点が70℃以下であることが好ましい。これらの(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体は、柔軟性や透明性に優れるからである。
(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体は、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウムハイドライトからなるバナジウム系触媒、あるいはシクロペンタジエニル基等が配位したジルコニウム化合物等のメタロセン化合物と有機アルミオキシ化合物とからなるメタロセン系触媒の存在下において、エチレン、α-オレフィンおよびジエンを共重合させることにより製造できる。
本発明の第2の形態の太陽電池封止材は、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体以外に他の樹脂を含んでもよい。
(B)パラフィン系オイル
本発明の第2の形態の太陽電池封止材に含まれる(B)パラフィン系オイルは、パラフィンを主成分とする鉱物油系オイルである。(B)パラフィン系オイルを(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体に添加することで、太陽電池封止材の成形性を高めることができる。
(B)パラフィン系オイルのパラフィン含有量は、好ましくは55〜90重量%であり、より好ましくは65〜90重量%である。パラフィン成分の含有量が55重量%未満であると、太陽電池封止材の硬化物の透明性が低下しやすい。一方、パラフィン成分の含有量が90重量%を超えると、パラフィン成分が析出することがある。特にノルマルパラフィンは析出しやすい。
(B)パラフィン系オイルのパラフィン以外の成分のうち、ナフテン成分の含有量は、好ましくは40重量%未満であり、より好ましくは35重量%未満である。ナフテン成分が40重量%以上であると、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の架橋効率が低下しやすい。また、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の硬化物の透明性が低下することがある。一方、ナフテン成分の含有量は低いほうがよいが、ナフテン成分の抽出除去にはコストがかかる。
(B)パラフィン系オイルのパラフィン以外の成分のうち、アロマ成分の含有量は、好ましくは5重量%未満であり、より好ましくは1重量%未満である。アロマ成分が5重量%以上であると、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の硬化物の透明性が低下しやすい。また、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体との相溶性や架橋効率も低下することがある。
(B)パラフィン系オイルのパラフィン成分、ナフテン成分およびアロマ成分の各含有量は、n−d−M環分析 ASTM D−2140に準拠した方法により測定することができる。
(B)パラフィン系オイルの硫黄成分の含有量は、200ppm未満であることが好ましく、100ppm未満であることがより好ましい。硫黄成分の含有量が多いと、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体の架橋効率が低下したり、硬化物の透明性や耐候安定性を低下したりしやすい(色がつきやすくなる)。(B)パラフィン系オイルの硫黄成分の含有量は、JIS K2541に準拠した方法により測定される。
(B)パラフィン系オイルの、JIS K2249に準拠して測定される密度は、859〜887kg/mの範囲であることが好ましい。密度が上記範囲にあると、樹脂組成物の溶融粘度を適切な範囲に調整しやすい。
(B)パラフィン系オイルの、JIS K2283に準拠して測定される40℃での動粘度は、30〜440mm/sであることが好ましい。動粘度が上記範囲にあると、樹脂組成物の溶融粘度を適切な範囲に調整しやすい。
(B)パラフィン系オイルの、JIS K2269に準拠して測定される流動点は−25〜−5℃であることが好ましく、−25〜−10℃程度であることがより好ましい。流動点が上記範囲にあると、樹脂組成物の溶融粘度を適切な範囲に調整しやすい。
(B)パラフィン系オイルの例には、出光興産(株)製 パラフィン系プロセスオイルPW−100、PW−32、PW−90、PW−150、PW−360、PW−380、PS−32、PS−90、PS−430、日本サン石油(株)製 SUNPAR115、120、150、2100、2280、コスモ石油ルブリカンツ(株)製 コスモニュートラル150、350、500、松村石油(株)製 バーレルプロセスオイルP−46、P−56、P−150、P−380、JX日鉱日石エネルギー(株)製 JOMOプロセスP300、P400、P500、神戸油化学工業(株)製 シンタックPA−100などが含まれる。
(B)パラフィン系オイルの含有量は、樹脂組成物の成形性および架橋特性などを考慮して設定される。具体的には、(B)パラフィン系オイルの含有量が少なすぎると、溶融時の成形性を十分に高めることができないため、成形性の改善効果が得られにくく;(B)パラフィン系オイルの含有量が多すぎると、配合物の粘度が低下しすぎて、加工性が低下する。また、(B)パラフィン系オイルの含有量が少なすぎると、架橋剤の分散性が悪くなり、(B)パラフィン系オイルの含有量が多すぎると、架橋剤が希釈されるため、いずれも架橋特性が低下することがある。
さらに、(B)パラフィン系オイルの含有量は、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体と(B)パラフィン系オイルとからなる樹脂組成物の190℃、荷重2.6kgにおけるMFRが、10g/10minを超え、50g/10min以下となるように設定されることが好ましい。樹脂組成物のMFRが10g/10min未満であると、溶融時の粘度が高すぎるため成形性が悪く、均一な膜厚のシートが得られにくい。樹脂組成物のMFRが50g/10minを超えると、溶融時の粘度が低すぎるため、第1ロールに張り付きやすくなり、均一な膜厚のシートが得られにくい。
図3は、(B)パラフィン系オイルの含有量を変化させたときの、油添前の樹脂組成物のムーニー粘度(y軸)と油添後の樹脂組成物のMFR(x軸)との関係を示すグラフである。図3に示されるように、油添後の樹脂組成物のMFRを10g/10minを超え、50g/10min以下にするための(B)パラフィン系オイルの好ましい含有量は、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体のムーニー粘度ML(1+4)100℃によって異なる。
例えば、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体のムーニー粘度が40近傍である場合、油添後の樹脂組成物のMFRを10g/10minを超え、50g/10min以下とするためには、図3のx=10〜50の領域において、y=40の直線と交わる線が「オイル添加60重量部の線」、「オイル添加100重量部の線」であることから、(B)パラフィン系オイルの含有量を、(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体100重量部に対して60〜100重量部程度とすればよい。このように、図3に示されるようなデータに基づき、樹脂組成物における(B)パラフィン系オイルの含有量を設定すればよい。
(C)架橋剤
本発明の第2の形態である太陽電池封止材に添加されうる(C)架橋剤は、太陽電池封止材に含まれる重合体成分を架橋反応させることにより、太陽電池封止膜の耐熱性および耐候性を向上させうる。架橋剤は、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が好ましく、特に配合時の安定性を考慮すると、半減期1時間の分解温度が100〜150℃である有機過酸化物がより好ましい。
(C)架橋剤としての有機過酸化物の例には、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、3-ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジクミルパーオキサイド、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ターシャリブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,6-ジ(t-ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサンおよびベンゾイルパーオキサイドなどが含まれる。
太陽電池封止材における(C)架橋剤の含有量は、重合体成分100重量部に対して、0.01〜5.0重量部であることが好ましく、0.1〜4.0重量部であることがより好ましい。
本発明の第2の形態である太陽電池封止材のショアA硬度は80以下であることが好ましい。太陽電池封止膜のショアA硬度が80超であると、柔軟性が低いため、太陽電池封止膜と太陽電池セルとをラミネートする際に、太陽電池セルを破損しやすいからである。太陽電池封止材のショアA硬度は、JIS K6301に準拠した方法により測定されうる。
さらに、本発明の第2の形態の太陽電池封止材の、硬化物の内部ヘイズは10%以下であることが好ましい。また、太陽電池封止材の、厚さ0.5mmの硬化物の全光線透過率は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
硬化物の内部ヘイズおよび全光線透過率は、本発明の太陽電池封止膜のサンプルシート(厚さ0.5mm)を、一対の白板ガラスに挟んでラミネート(熱圧着)して試料片を得た後;該試料片の内部ヘイズおよび全光線透過率を、日立分光光度計U-3010 150mmφ積分球付により測定することによって求めることができる。
さらに、本発明の第2の形態の太陽電池封止材は、前述した各成分(少なくとも(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体、(B)パラフィン系オイルおよび(C)架橋剤)を混合および混練した後、シート状に成形されてもよい。
各成分の混合および混練は、(A)〜(C)成分を同時に混合して混練してもよいし;(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体と(B)パラフィン系オイルとを混練後、(C)架橋剤をさらに混合して混練してもよい。混練手段は、製膜方法に合わせて適宜選択されればよく、例えばミキシングロール、バンバリミキサー、加圧ニーダー、フィーダールーダー、押出機などである。押出機で混練する場合、バレルやダイスの温度は、(A)成分の融点以上でかつ各成分を均一に混練できる温度に設定すればよい。
製膜方法の例には、押出成形法、カレンダー成形法および加熱プレス法などがあるが、生産性に優れる観点から、特に柔軟な組成物を得るために大量にオイル、可塑剤を配合したときに粘度が低下した場合でも良好な成形性を確保できる観点から押出成形法が好ましい。
押出成形法を用いてエチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体組成物の溶融混練物を膜状に成形する際、押出機のバレル、ダイスの温度は55〜120℃であることが好ましい。これにより、エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体を含む樹脂組成物の溶融混練物が、安定かつ均一な表面状態のシート、フィルムを得ることができるようになる。
太陽電池用封止膜の厚みは、例えば100μm〜2000μm程度である。太陽電池用封止膜は、加熱硬化工程におけるクッション性や脱気性を向上させる点で、その表面にエンボス加工が施されていてもよい。
従来のエチレン系重合体組成物は、押出加工時に加熱されたダイスからメルトフラクチャーを起こして加工することができなかったが、本発明のエチレン・αオレフィン・ジエン共重合体組成物は、メルトフラクチャーを起こすこともなく、平滑なシートやフィルムを得ることができる。
2.太陽電池封止材に含まれる任意成分
(紫外線吸収剤、光安定化剤、耐熱安定剤)
太陽電池封止材を構成するエチレン系樹脂組成物には、紫外線吸収剤、光安定化剤および耐熱安定剤からなる群より選択される少なくとも一種の添加剤が含有されることが好ましい。これらの添加剤の配合量は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、0.005〜5重量部であることが好ましく、0.05〜5重両部であることがさらに好ましい。
さらに、エチレン系樹脂組成物は、紫外線吸収剤、光安定化剤および耐熱安定剤から選ばれる少なくとも二種の添加剤を含有することが好ましく、特に、三種全てを含有することが好ましい。上記添加剤の配合量が上記範囲にあると、恒温恒湿への耐性、ヒートサイクルの耐性、耐候安定性、および耐熱安定性を向上する効果を十分に確保し、かつ、太陽電池封止材の透明性やガラス、バックシート、太陽電池素子、電極、アルミニウムとの接着性の低下を防ぐことができるので好ましい。
紫外線吸収剤の具体例には、2-ヒドロキシ-4-ノルマルオクチルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアリゾール系;フェニルサルチレート、p-オクチルフェニルサルチレートなどのサリチル酸エステル系のものが用いられる。
光安定剤の例には、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4−ピペリジル)イミノ}]などのヒンダードアミン系、ヒンダードピペリジン系化合物などが含まれる。
耐熱安定剤の具体例には、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4'-ジイルビスホスフォナイト、およびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのホスファイト系耐熱安定剤;3-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとo-キシレンとの反応生成物などのラクトン系耐熱安定剤;3,3',3”,5,5',5”-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a”-(メチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのヒンダードフェノール系耐熱安定剤;硫黄系耐熱安定剤;アミン系耐熱安定剤などを挙げることができる。また、これらを一種単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることもできる。中でも、ホスファイト系耐熱安定剤、およびヒンダードフェノール系耐熱安定剤が好ましい。
(その他の添加剤)
太陽電池封止材を構成するエチレン系樹脂組成物には、さらに他の成分を、本発明の目的を損なわない範囲において、適宜含有させることができる。例えば、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体以外の各種ポリオレフィン、スチレン系やエチレン系ブロック共重合体、プロピレン系重合体などが挙げられる。これらは、上記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、0.0001〜50重量部、好ましくは0.001〜40重量部含有されていてもよい。また、ポリオレフィン以外の各種樹脂、および/または各種ゴム、可塑剤、充填剤、顔料、染料、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、難燃剤、架橋助剤、および分散剤などから選ばれる一種以上の添加剤を適宜含有することができる。
特に、エチレン系樹脂組成物における架橋助剤の配合量は、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、0.05〜5重量部であり、さらに好ましくは0.2〜4.0重量部である。架橋助剤の配合量が上記範囲にあると、適度な架橋構造を有することができ、耐熱性、機械物性、接着性を向上できるため好ましい。
架橋助剤とは、オレフィン系樹脂において一般に使用される従来公知の架橋助剤である。架橋助剤は、分子内に二重結合を有する。架橋助剤の具体例には、t-ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレートなどのモノアクリレート;t-ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、メトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートなどのモノメタクリレート;1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートなどのジアクリレート;1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレートネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどのテトラアクリレート;ジビニルベンゼン、ジ-i-プロペニルベンゼンなどのジビニル芳香族化合物;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどのシアヌレート;ジアリルフタレートなどのジアリル化合物;トリアリル化合物:p-キノンジオキシム、p-p'-ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム:m-フェニルマレイミドなどのマレイミド、1,2-ポリブタジエンなどが挙げられる。これらの架橋助剤のなかでより好ましいのは、ジアクリレート、ジメタクリレート、ジビニル芳香族化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレートなどのトリメタクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどのテトラアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどのシアヌレート、ジアリルフタレートなどのジアリル化合物;トリアリル化合物:p-キノンジオキシム、p-p'-ジベンゾイルキノンジオキシムなどのオキシム:m-フェニルマレイミドなどのマレイミド、1,2-ポリブタジエンである。これらのなかでとくに好ましいのは、トリアリルイソシアヌレートである。これらの架橋助剤は、ラミネート後の太陽電池封止材の気泡発生を抑制し、架橋特性を適度に高める。
さらに、太陽電池封止材に含まれるエチレン系樹脂組成物は、キュラストメーターにて150℃、反転速度100cpmで測定した最大トルク値の90%に到達する時間(Tc90)が、8〜14分であることも好ましく、より好ましくは8〜13分、更に好ましくは9〜12分である。Tc90が8分未満の場合、太陽電池封止材を押出機でシート状にして得る際にゲル化を起こし、得られるシート等の表面に凹凸が発生し、押出機のトルクが上昇しシート成形が困難となる場合がある。また、得られたシートの表面に、押出機内で発生したゲル物によりシートの表面に凹凸が発生し、外観が悪くなる場合がある。また、電圧をかけるとシート内部のゲル物周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。更に、ゲル物界面での透湿が起こり易くなり、透湿性が低下する。また、シート表面に凹凸が発生するため、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、セル、電極、バックシートとの密着性が悪化し、接着性も低下する。Tc90が14分を超えると、太陽電池モジュールのラミネート加工時の架橋に要する時間が長くなり、太陽電池モジュールの製造時間が長くなる傾向にある。
太陽電池封止材に含まれるエチレン系樹脂組成物は、マイクロレオロジーコンパウンダーにて120℃、30rpmの条件で混練を行い、最低トルク値から0.1Nm上がった時間が10〜100分であることも好ましく、10〜90分、更に好ましくは10〜80分である。最低トルク値から0.1Nm上がった時間が10分未満であると、太陽電池封止材を押出機でシート状にして得る際にゲル化を起こし、押出機のトルクが上昇しシート成形が困難となる場合がある。また、得られたシートの表面に、押出機内で発生したゲル物によりシートの表面に凹凸が発生し、シート外観が悪くなる場合がある。また、電圧をかけるとシート内部のゲル物周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。更に、ゲル物界面での透湿が起こり易くなり、透湿性が低下する。また、シート表面に凹凸が発生するため、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、薄膜電極、バックシートとの密着性が悪化し、接着性も低下する。最低トルク値から0.1Nm上がった時間が100分超であると、太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋特性が不十分となり、耐熱性、ガラス接着性が低下する。
3.太陽電池封止材の特性や製法
本発明の太陽電池封止材は、各種太陽電池部材との接着性、透明性、柔軟性、耐熱性、押出成形性および架橋特性のバランスに優れる。太陽電池部材の例には、ガラス、バックシート、薄膜電極、アルミニウム、太陽電池素子などが含まれる。さらに本発明の太陽電池封止材は、耐候性、体積固有抵抗、電気絶縁性、透湿性、電極腐食性、プロセス安定性に優れている。このため、太陽電池モジュールの太陽電池封止材として好適に用いられる。本発明の太陽電池封止材は、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機、カレンダー成形機などの通常の方法により各成分を溶融ブレンドすることにより製造されうる。なかでも、押出成形機で各成分を溶融ブレンドすることが好ましい。
太陽電池封止材は、その全体形状がシート状であることも好ましい実施形態の一つである。また、太陽電池封止材は複数層からなる積層体であってもよく、その少なくとも一層が前述のエチレン系樹脂組成物からなる。
シート状の太陽電池封止材の厚みは、通常0.01〜2mm、好ましくは、0.05〜1.5mm、さらに好ましくは0.1〜1.2mm、特に好ましくは0.2〜1mm、より好ましくは0.3〜0.9mm、最も好ましくは0.3〜0.8mmである。この厚み範囲内の太陽電池封止材は、太陽電池モジュールとするためにラミネートされたときに、ガラス、太陽電池素子、薄膜電極などを破損させにくく;かつ、十分な光線透過率を確保するので、太陽電池の光発電量を高めることができる。さらには、太陽電池モジュールとするためのラミネート工程を低温で行うことができる。
太陽電池封止材のシートの成形方法に特に制限はなく、公知の各種成形方法(キャスト成形、押出シート成形、インフレーション成形、射出成形、圧縮成形等)を採用することができる。特に、押出機中でエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体と、エチレン性不飽和シラン化合物、有機過酸化物、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、及び必要に応じてその他添加剤との溶融混練を行いつつ押出シート成形を行い、シート状の太陽電池封止材を得ることが最も好ましい。
押出温度範囲は90〜130℃である。押出温度を90℃未満にすると成形は可能であるが、生産性が大幅に低下する。押出温度を130℃超にすると、太陽電池封止材に含まれるエチレン系樹脂組成物を押出機でシート化して太陽電池封止材を得る際にゲル化を起こし、押出機のトルクが上昇しシート成形が困難となる場合がある。また、得られたシートの表面に、押出機内で発生したゲル物により凹凸が発生し、シート外観が悪くなる場合がある。また、電圧をかけるとシート内部のゲル物周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。更に、ゲル物界面での透湿が起こり易くなり、透湿性が低下する。また、シート表面に凹凸が発生するため、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、セル、電極、バックシートとの密着性が悪化し、接着性も低下する。
また、シート状の太陽電池封止材の表面は、エンボス加工されていてもよい。太陽電池封止材の表面をエンボス加工することで、封止シート同士、または封止シートと他のシートなどとのブロッキングを防止しうる。さらに、エンボスが、太陽電池封止材の貯蔵弾性率を低下させるため、太陽電池封止材と太陽電池素子とをラミネートするときに太陽電池素子などに対するクッションとなって、太陽電池素子の破損を防止することができる。
シート状の太陽電池封止材の単位面積当りの凹部の合計体積VHと、シート状の太陽電池封止材の見掛けの体積Vとの百分比V/V×100で表される空隙率P(%)が、10〜50%であることが好ましく、10〜40%であることがより好ましく、15〜40%であることがさらに好ましい。なお、シート状の太陽電池封止材の見掛けの体積Vは、単位面積に太陽電池封止材の最大厚みを乗じることにより得られる。空隙率Pが10%未満であると、太陽電池封止材の弾性率を十分低下させることができず、十分なクッション性が得られない。
シート状の太陽電池封止材の空隙率が10%未満であると、太陽電池封止材の一部に圧力を加えても、当該一部のエンボスの凸部が変形しない。このため、太陽電池モジュールのラミネート工程において、結晶型太陽電池素子などの一部に大きな圧力が加わって、結晶型太陽電池素子が割れてしまう。また、太陽電池モジュールの二段階ラミネート工程(加圧工程)において、結晶型太陽電池素子自体または結晶型太陽電池素子と電極とを固定する半田が破損したり;薄膜系太陽電池における銀電極が破損したりすることがある。また、シート状の太陽電池封止材の空隙率が10%未満であると、空気の通り道が少ないため、ラミネート工程時に脱気不良となる。このため、太陽電池モジュールに空気が残留して外観が悪化したり;長期使用時には、残留した空気中の水分により電極の腐食が生じたりすることがある。さらに、ラミネート工程時に、流動したエチレン系樹脂組成物が空隙を埋めないため、太陽電池モジュールの各被着体の外部にはみ出して、ラミネーターを汚染することもある。
一方、シート状の太陽電池封止材の空隙率Pが80%よりも大きいと、ラミネート工程時に空気を全て脱気できず、太陽電池モジュール内に空気が残留しやすい。このため、太陽電池モジュールの外観が悪化したり、長期使用時には、残留した空気中の水分により電極の腐食を起こしたりする。また、ラミネート加工の加圧時に空気を全て脱気できないため、太陽電池封止材と被着体との接着面積が低下し、十分な接着強度が得られない。
空隙率Pは、以下の計算により求めることができる。エンボス加工された太陽電池封止材の、見掛けの体積V(mm)は、太陽電池封止材の最大厚みtmax(mm)と単位面積(例えば1m=1000×1000=10mm)との積によって、下記式(3)のようにして算出される。
(mm)=tmax(mm)×10(mm) ・・・(3)
一方、この単位面積の太陽電池封止材の実際の体積V(mm)は、太陽電池封止材を構成する樹脂の比重ρ(g/mm)と単位面積(1m)当りの太陽電池封止材の実際の重さW(g)と、を下記式(4)に当てはめることにより算出される。
(mm)=W/ρ ・・・(4)
太陽電池封止材の単位面積当りの凹部の合計体積V(mm)は、下記式(5)に示されるように、「太陽電池封止材の見掛けの体積V」から「実際の体積V」を差し引くことによって算出される。
(mm)=V−V=V−(W/ρ) ・・・(5)
したがって、空隙率(%)は次のようにして求めることができる。
空隙率P(%)=V/V×100
=(V−(W/ρ))/V×100
=1−W/(ρ・V)×100
=1−W/(ρ・tmax・10)×100
空隙率(%)は、太陽電池封止材の断面やエンボス加工面を顕微鏡撮影し、画像処理などすることによって求めてもよい。
エンボスの凹部の深さは、太陽電池封止材の最大厚みの20〜95%であることが好ましく、50〜95%であることがより好ましく、65〜95%であることがより好ましい。シートの最大厚みtmaxに対する凹部の深さDの百分比を、凹部の「深さ率」と称する場合がある。エンボスの凹部の深さとは、エンボス加工による太陽電池封止材の凹凸面の凸部の最頂部と凹部の最深部との高低差Dを示す。また、太陽電池封止材の最大厚みtmaxとは、太陽電池封止材の一方の面にエンボス加工されている場合、一方の凸部の最頂部から他方の面までの(太陽電池封止材厚さ方向の)距離を示し;太陽電池封止材の両方の面にエンボス加工されている場合、一方の面の凸部の最頂部から他方の凸部の最頂部までの(太陽電池封止材厚さ方向の)距離を示す。
エンボス加工は、太陽電池封止材の片面にのみ施されていても、両面に施されていてもよい。エンボスの凹部の深さを大きくする場合は、太陽電池封止材の片面にのみエンボス加工することが好ましい。太陽電池封止材の片面にのみエンボス加工する場合、太陽電池封止材の最大厚みtmaxは0.01mm〜2mmであり、好ましくは0.05〜1mmであり、さらに好ましくは0.1〜1mmであり、さらに好ましくは0.15mm〜1mmであり、さらに好ましくは0.2〜1mmであり、さらに好ましくは0.2〜0.9mmであり、さらに好ましくは0.3〜0.9mmであり、最も好ましくは0.3〜0.8mmである。太陽電池封止材の最大厚みtmaxがこの範囲内であると、ラミネート工程における、ガラス、太陽電池素子、薄膜電極などの破損を抑制でき;太陽電池モジュールのラミネート工程を比較的低温で行うことができる。また、このような太陽電池封止材は、十分な光線透過率を有し、太陽電池モジュールの光発電量を高める。
シート状の太陽電池封止材は、太陽電池モジュールのサイズに合わせて裁断された枚葉形式であっても、太陽電池モジュールを作製する直前にサイズに合わせて裁断可能なロール形式であってもよい。
本発明の好ましい実施形態であるシート状の太陽電池封止材は、前述のエチレン系樹脂組成物からなる層を少なくとも一層有していればよい。前述のエチレン系樹脂組成物からなる層は、一層であってもよいし、二層以上であってもよい。コスト低減の観点、および層間での界面反射を低減し、光の有効活用の観点などから、前述のエチレン系樹脂組成物からなる一層のシート状の太陽電池封止材シートが好ましい。
シート状の太陽電池封止材は、前述のエチレン系樹脂組成物のみで構成されていてもよいし、前述のエチレン系樹脂組成物からなる層以外の層(以下、「その他の層」とも記す)を有していてもよい。その他の層の例には、表面または裏面保護のためのハードコート層、接着層、反射防止層、ガスバリア層、防汚層などが含まれる。また、その他の層の例には、紫外線硬化性樹脂層、熱硬化性樹脂層、ポリオレフィン樹脂層、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂層、フッ素含有樹脂層、環状オレフィン(共)重合体含有層、無機化合物層などが含まれる。
前述のエチレン系樹脂組成物からなる層と、その他の層との位置関係に制限はなく、本発明の目的との関係で好ましい層構成が適宜選択される。その他の層は、2以上のエチレン系樹脂組成物からなる層に挟まれていてもよいし、太陽電池封止材の最外層に設けられてもよいし、それ以外の箇所に設けられてもよい。また、太陽電池封止材の片面にのみ、その他の層が設けられてもよいし、太陽電池封止材の両面にその他の層が設けられてもよい。その他の層の数は任意であり、その他の層を設けなくともよい。
前述のエチレン系樹脂組成物からなる層と、その他の層とを積層する手段に制限はないが、キャスト成形機、押出シート成形機、インフレーション成形機、射出成形機などの公知の溶融押出機を用いて共押出して積層体を得る方法、或いは予め成形された一方の層上に他方の層を溶融または加熱ラミネートして積層体を得る方法が好ましい。また、接着剤を用いたドライラミネート法、或いはヒートラミネート法などにより積層してもよい。接着剤の例には、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製の商品名「アドマー」、三菱化学社製の商品名「モディック」など)、不飽和ポリオレフィンなどの低(非)結晶性軟質重合体、エチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸三元共重合体(住化シーディエフ化学社製の商品名「ボンダイン」など)をはじめとするアクリル系接着剤、またはエチレン/酢酸ビニル系共重合体を含む接着性樹脂組成物などが含まれる。接着剤は、約120〜150℃の耐熱性を有することが好ましく、ポリエステル系またはポリウレタン系接着剤などが好適でありうる。接着層の表面を、シラン系カップリング処理、チタン系カップリング処理、コロナ処理、プラズマ処理などで処理し、接着性を改良してもよい。
4.太陽電池モジュールについて
太陽電池モジュールの一例である結晶型太陽電池モジュールは、通常、太陽電池素子と、それを挟み込む太陽電池封止層と、両面をカバーする保護シートを有している。即ち、典型的な太陽電池モジュールの構成は、「太陽電池モジュール用保護シート(表面保護部材)/封止層/太陽電池素子/封止層/太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護部材)」である。但し、本発明における太陽電池モジュールは上記構成に限定されず、本発明の目的を損なわない範囲で、一部の層を適宜省略したり、他の層を適宜付加することができる。他の層は、例えば接着層、衝撃吸収層、コーティング層、反射防止層、裏面再反射層、および光拡散層などである。これらの層は、各層を設ける目的や特性を考慮して、適切な位置に設けることができる。
結晶系発電素子である太陽電池素子を含む太陽電池モジュールは、PIDを発生する可能性がある。本発明の太陽電池封止材はPIDの発生の抑制に効果があるので、結晶系発電素子である太陽電池素子を含む太陽電池モジュールに好適に適用されうる。
(結晶シリコン系太陽電池モジュール)
図1には、結晶シリコン系太陽電池モジュールの構成の一例が示されている。図1に示される太陽電池モジュール20は、インターコネクタ29により電気的に接続された複数の結晶シリコン系の太陽電池素子22と、それを挟持する一対の表面保護部材24と裏面保護部材26とを有し、これらの保護部材と複数の太陽電池素子22との間に、封止層28が充填されている。封止層28は、太陽電池素子22の受光面および裏面に形成された電極と接している。電極とは、太陽電池素子22の受光面および裏面にそれぞれ形成された集電部材であり、後述する集電線、タブ付用母線、および裏面電極層などを含む。封止層28は、太陽電池封止材を加熱圧着させて得られる。
図2には、太陽電池素子22の受光面22Aと裏面22Bの構成の一例が示されている。図2(A)に示されるように、太陽電池素子22の受光面22Aには、ライン状に多数形成された集電線32と、集電線32と接続し、かつインターコネクタ29と接続するタブ付用母線(バスバー)34Aとが形成されている。また、図2(B)に示されるように、太陽電池素子22の裏面22Bには、全面に導電層(裏面電極)36が形成され、その上に、インターコネクタ29と接続されるタブ付用母線(バスバー)34Bが形成されている。集電線32の線幅は、例えば0.1mm程度であり;タブ付用母線34Aの線幅は、例えば2〜3mm程度であり;タブ付用母線34Bの線幅は、例えば5〜7mm程度である。集電線32、タブ付用母線34Aおよびタブ付用母線34Bの厚みは、例えば20〜50μm程度である。
集電線32、タブ付用母線34A、およびタブ付用母線34Bは、導電性が高い金属を含むことが好ましい。導電性の高い金属の例には、金、銀、銅などが含まれるが、導電性や耐腐食性の点などから、銀や銀化合物、銀を含有する合金などが好ましい。導電層36は、導電性の高い金属だけでなく、受光面で受けた光を反射させて太陽電池素子の光電変換効率を向上させるという観点などから、光反射性の高い成分、例えばアルミニウムを含むことが好ましい。集電線32、タブ付用母線34A、タブ付用母線34B、および導電層36は、太陽電池素子22の受光面22Aまたは裏面22Bに、前記導電性の高い金属を含む導電材塗料を、例えばスクリーン印刷により50μmの塗膜厚さに塗布した後、乾燥し、必要に応じて例えば600〜700℃で焼き付けすることにより形成される。
表面保護部材24は、受光面側に配置されることから透明である必要がある。表面保護部材24の例には、透明ガラス板や透明樹脂フィルムなどが含まれる。一方、裏面保護部材26は透明である必要はなく、その材質は特に限定されない。裏面保護部材26の例にはガラス基板やプラスチックフィルムなどが含まれるが、耐久性や透明性の観点からガラス基板が好適に用いられる。
太陽電池モジュール20は、任意の方法で製造されうる。例えば、太陽電池モジュール20は、裏面保護部材26、太陽電池封止材、複数の太陽電池素子22、太陽電池封止材、および表面保護部材24をこの順に積層した積層体を得る工程;該積層体を、ラミネーターなどにより加圧し貼り合わせ、同時に必要に応じて加熱する工程;前記工程の後、さらに必要に応じて積層体を加熱処理し、前記封止材を硬化する工程により得ることができる。
(薄膜シリコン系(アモルファスシリコン系)太陽電池モジュール)
さらに、シランガスなどから化学気相成長(CVD)させてできる数μmの薄いアモルファスシリコン膜を、ガラスやフィルムの基板上に形成し;さらに銀などをスパッタリングして電極を形成して、薄膜シリコン系太陽電池素子としてもよい。薄膜シリコン系太陽電池素子、太陽電池封止材および太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護部材)を、この順に積層して、薄膜シリコン系太陽電池モジュールとしてもよい。
薄膜シリコン系太陽電池モジュールは、(1)表面側透明保護部材(ガラス基板)/薄膜型太陽電池素子/封止層/裏面保護部材をこの順に積層したもの;(2)表面側透明保護部材/封止層/薄膜型太陽電池素子/封止層/裏面保護部材をこの順に積層したものなどでありうる。表面側透明保護部材、裏面保護部材、および封止層は、前述の「結晶シリコン系の太陽電池モジュール」の場合と同様である。
(1)の態様における薄膜型太陽電池素子は、例えば、透明電極層/pin型シリコン層/裏面電極層をこの順に含む。透明電極層の例には、In、SnO、ZnO、CdSnO、ITO(InにSnを添加したもの)などの半導体系酸化物が含まれる。裏面電極層は、例えば銀薄膜層を含む。各層は、プラズマCVD(ケミカル・ベ−パ・デポジション)法やスパッタ法により形成される。封止層は、裏面電極層(例えば銀薄膜層)と接するように配置される。透明電極層は、表面側透明保護部材上に形成されるので、表面保護部材と透明電極層との間に封止層は配置されないことが多い。
(2)の態様における薄膜型太陽電池素子は、例えば、透明電極層/pin型シリコン層/金属箔、または耐熱性高分子フィルム上に配置された金属薄膜層(例えば、銀薄膜層)、をこの順に含む。金属箔の例には、ステンレススチール箔などが含まれる。耐熱性高分子フィルムの例には、ポリイミドフィルムなどが含まれる。透明電極層およびpin型シリコン層は、前述と同様、CVD法やスパッタ法により形成される。つまり、pin型シリコン層は、金属箔、または耐熱性高分子フィルム上に配置された金属薄膜層に形成され;さらに透明電極層は、pin型シリコン層に形成される。また、耐熱性高分子フィルム上に配置される金属薄膜層もCVD法やスパッタ法により形成されうる。
この場合、封止層は、透明電極層と表面保護部材との間;および金属箔または耐熱性高分子フィルムと裏面保護部材との間にそれぞれ配置される。このように、太陽電池封止材から得られる封止層は、太陽電池素子の集電線、タブ付用母線、および導電層などの電極と接触する。また(2)の態様における薄膜型太陽電池素子は、シリコン層が、結晶シリコン系の太陽電池素子に比べて薄いため、太陽電池モジュール製造時の加圧や前記モジュール稼動時の外部からの衝撃により破損しにくい。このため、結晶シリコン系の太陽電池モジュールのための太陽電池封止材よりも、薄膜シリコン系太陽電池モジュールのための太陽電池封止材の柔軟性は劣っていてもよい。一方、上記薄膜型太陽電池素子の電極(金属薄膜)が腐食劣化すると、発電効率が著しく低下する恐れがある。エチレン系樹脂組成物からなる本発明の太陽電池封止材は、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)よりも柔軟性に劣る場合があるか、分解ガスの発生源となる架橋剤を必ずしも必要としない。そのため、本発明の太陽電池封止材は、薄膜太陽電池モジュール用の太陽電池封止材としてより好適に用いられる。
太陽電池素子には、通常、発生した電気を取り出すための集電電極が配置される。集電電極の例には、バスバー電極、フィンガー電極などが含まれる。一般に、集電電極は、太陽電池素子の表面と裏面の両面に配置した構造をとるが、受光面に集電電極を配置すると、集電電極が光を遮ってしまうため発電効率が低下するという問題が生じうる。
近年、発電効率を向上させるために、受光面に集電電極を配置する必要のないバックコンタクト型太陽電池素子が検討されている。バックコンタクト型太陽電池素子の一態様では、太陽電池素子の受光面の反対側の裏面側に、pドープ領域とnドープ領域とを交互に設ける。バックコンタクト型太陽電池素子の他の態様では、貫通孔(スルーホール)を設けた基板にp/n接合を形成し、スルーホール内壁および裏面側のスルーホール周辺部まで表面(受光面)側のドープ層を形成し、裏面側で受光面の電流を取り出す。
一般に太陽電池システムにおいては、数台から数十台の太陽電池モジュールが、互いに直列接続している。住宅用の小規模太陽電池システムのシステム電圧は50V〜500V、メガソーラと呼ばれる大規模太陽電池システムのシステム電圧は600〜1000Vに設定される。強度保持などを目的に太陽電池モジュールの外枠はアルミフレームなどであることが多く、安全上の観点からアルミフレームはアース(接地)される場合が多い。その結果、太陽電池が発電することで、ガラス基板(保護部材)と太陽電池素子との間に電圧差が生じる。そのため、発電太陽電池素子とガラス基板(保護部材)またはアルミフレームとの間にある封止層には、高い電気絶縁性や高抵抗などの電気特性が求められる。
また、太陽電池モジュールを構成する太陽電池素子の裏面にある封止層は、太陽電池素子の裏面にある封止層、電極または裏面保護層との接着性を有することが必要である。また、太陽電池素子の裏面の平滑性を保持するために、熱可塑性を有することが必要である。さらに、太陽電池素子を保護するために、耐スクラッチ性、衝撃吸収性などに優れていることが必要である。
太陽電池素子の裏面にある封止層は、太陽電池素子の表面にある封止層と異なり、透明性を有しなくてもよい。本発明の太陽電池封止材は、太陽電池素子の裏面にある封止層を形成するためにより好適に用いられ;特に、結晶型太陽電池モジュールの裏面側の封止層や、水分浸透に弱い薄膜型太陽電池モジュールの裏面側の封止層として好適に用いられる。
太陽電池モジュールにおける封止層は、耐熱性を有することが望ましい。例えば、太陽電池モジュ−ルの製造におけるラミネート工程での加熱や、太陽電池モジュ−ルの長期間使用における太陽光などによる加熱などにより、封止層を構成するエチレン系樹脂組成物が変質、劣化および分解しないことが望ましい。エチレン系樹脂組成物に含まれる添加剤などが溶出したり、分解物が生成したりすると、それらが太陽電池素子の起電力面(素子面)に作用し、その機能や性能などを劣化させる。このため、太陽電池モジュ−ルの封止層の耐熱性は必要不可欠な特性である。さらに、封止層は、防湿性に優れていることが好ましい。この場合、太陽電池モジュールの裏面側からの水分の透過を防ぐことができ、太陽電池モジュールの太陽電池素子の腐食や劣化を防ぐことができる。
(太陽電池モジュールにおける表面保護部材)
太陽電池モジュールにおける表面保護部材は、特に制限はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、耐候性、撥水性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能を有することが好ましい。また、太陽光を有効に活用するために、光学ロスの小さい、透明性の高いシートであることが好ましい。
太陽電池モジュールにおける表面保護部材の材料は、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などからなる樹脂フィルムやガラス基板などが挙げられる。樹脂フィルムは、好ましくは、透明性、強度、コストなどの点で優れたポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート樹脂や、耐侯性のよいフッ素樹脂などである。フッ素樹脂の例としては、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)がある。耐候性の観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れているが、耐候性および機械的強度の両立では四フッ化エチレン−エチレン共重合体が優れている。また、封止材層などの他の層を構成する材料との接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理を表面保護部材に行うことが望ましい。また、機械的強度向上のために延伸処理が施してあるシート、例えば2軸延伸のポリプロピレンシートを用いることも可能である。
太陽電池モジュールにおける表面保護部材をガラス基板とする場合、波長350〜1400nmにおける全光線透過率が80%以上であるガラス基板、好ましくは90%以上であるガラス基板とする。一般的には赤外部の吸収の少ない白板ガラス基板とするが、青板ガラスとしてもよい。厚さが3mm以下の青板ガラスは、太陽電池モジュールの出力特性をほぼ低下させない。また、ガラス基板は、機械的強度を高めるために熱処理した強化ガラスであってもよいが、熱処理無しのフロート板ガラスであってもよい。また、ガラス基板の受光面側に、反射を抑えるための反射防止コーティングがあってもよい。
(太陽電池モジュールにおける裏面保護部材)
太陽電池モジュールにおける裏面保護部材は、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、耐候性、機械強度などの諸特性を求められうる。したがって、表面保護部材と同様の材質で太陽電池モジュール用裏面保護部材を構成してもよい。すなわち、表面保護部材として用いられる上述の各種材料を、裏面保護部材としても用いることができる。特に、ポリエステル樹脂、およびガラスを好ましく用いることができる。
一方で、裏面保護部材は、太陽光の通過を前提としないため、透明性は必ずしも要求されない。そこで、太陽電池モジュールの機械的強度を増すために、或いは温度変化による歪、反りを防止するために、補強板を張り付けてもよい。好ましい補強板は、例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板などでありうる。
本発明の太陽電池封止材は、裏面保護部材と一体化されていてもよい。太陽電池封止材と裏面保護部材とを一体化させることにより、モジュール組み立て時の工程を簡略化できる。例えば、太陽電池封止材や裏面保護部材をモジュールサイズに裁断する工程が不要になる。また、太陽電池封止材と裏面保護部材とをそれぞれレイアップする工程も、簡略化または省略することができる。
太陽電池封止材と裏面保護部材とを一体化させるには、太陽電池封止材と裏面保護部材とを積層すればよい。積層方法は制限されないが、キャスト成形機、押出シート成形機、インフレーション成形機、射出成形機などの公知の溶融押出機を用いて共押出して積層体を得る方法;予め成形された一方の層上に、他方の層を溶融或いは加熱ラミネートして積層体を得る方法が好ましい。
また、適当な接着剤を用いたドライラミネート法、或いはヒートラミネート法などにより積層してもよい。接着剤の例には、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製の商品名「アドマー」、三菱化学社製の商品名「モディック」など)、不飽和ポリオレフィンなどの低(非)結晶性軟質重合体、エチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸三元共重合体(住化シーディエフ化学社製の商品名「ボンダイン」など)などのアクリル系接着剤またはエチレン/酢酸ビニル系共重合体を含む接着性樹脂組成物が含まれる。接着剤は、120〜150℃程度の耐熱性があるものが好ましく、具体的にはポリエステル系またはポリウレタン系接着剤などが好ましい。また、接着される部材の少なくとも一方の表面に、シラン系カップリング処理、チタン系カップリング処理、コロナ処理、プラズマ処理などを施して、接着性を向上させてもよい。
(太陽電池素子)
太陽電池モジュールにおける太陽電池素子は、半導体の光起電力効果を利用して発電できるものであれば制限はない。太陽電池素子は、例えば、シリコン(単結晶系、多結晶系、非結晶(アモルファス)系)太陽電池、化合物半導体(III−III族、II−VI族、その他)太陽電池、湿式太陽電池、有機半導体太陽電池などでありうる。これらの中では、発電性能とコストとのバランスなどの観点から、多結晶シリコン太陽電池が好ましい。
その他の太陽電池素子のうち、シリコンを用いた太陽電池素子として、結晶シリコンとアモルファスシリコンを積層したハイブリッド型(HIT型)太陽電池素子、吸収波長域の異なるシリコン層を積層した多接合型(タンデム型)太陽電池素子、太陽電池素子の受光面の反対側に設けられた裏面側にpドープ領域とnドープ領域とを交互に設けたバックコンタクト型太陽電池素子、無数の球状シリコン粒子(直径1mm程度)と集光能力を上げる直径2〜3mmの凹面鏡(電極を兼ねる)を組み合わせた球状シリコン型太陽電池素子などが挙げられる。
さらに、シリコンを用いた太陽電池素子として、従来のpin接合構造を持つアモルファスシリコン型のp型窓層である「絶縁された透明電極」を、「電界効果によって誘起される反転層」に置換した電界効果型太陽電池素子なども挙げられる。
また、単結晶GaAsを用いたGaAs系太陽電池素子;Cu、In、Ga、Al、Se、Sなどからなるカルコパイライト系と呼ばれるI−III−VI族化合物を用いたCISまたはCIGS系(カルコパイライト系)太陽電池素子;太陽電池素子にCd化合物薄膜を用いたCdTe−CdS系太陽電池素子;CuZnSnS(CZTS)太陽電池素子などもある。本発明の太陽電池封止材は、これら全ての太陽電池素子を含む太陽電池モジュールの太陽電池封止材として用いることができる。
シリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子とも、太陽電池素子として優れた特性を有しているが、外部からの応力、衝撃などにより破損し易いことで知られている。本発明の太陽電池封止材から得る封止層は、柔軟性に優れているので、太陽電池素子への応力、衝撃などを吸収して、太陽電池素子の破損を効果的に防ぐことができる。したがって、本発明の太陽電池封止材から形成される封止層は、太陽電池モジュールにおいて太陽電池素子と直接接合していることが好ましい。また、封止層が熱可塑性を有していると、一旦、太陽電池モジュールから、比較的容易に太陽電池素子を取り出すことができるため、リサイクル性に優れている。本発明の太陽電池封止材から形成される封止層は、熱可塑性を有するため、太陽電池モジュールのリサイクル性の観点からも好ましい。
(電極)
太陽電池モジュールの電極の構成および材料は、特に限定されないが、具体的な例では、透明導電膜と金属膜の積層構造を有する。透明導電膜は、SnO、ITO、ZnOなどからなる。金属膜は、銀、金、銅、錫、アルミニウム、カドミウム、亜鉛、水銀、クロム、モリブデン、タングステン、ニッケル、バナジウムなどの金属からなる。これらの金属膜は、単独で用いられてもよいし、複合化された合金として用いられてもよい。透明導電膜と金属膜とは、CVD、スパッタ、蒸着などの方法により形成される。
(太陽電池モジュールの製造方法)
本発明の太陽電池モジュールの製造方法の一例は、(i)表面側透明保護部材と、太陽電池封止材と、太陽電池素子(セル)と、太陽電池封止材と、裏面側保護部材とをこの順に積層して積層体を形成する工程と、(ii)得られた積層体を加圧および加熱して一体化する工程と、を含む。
工程(i)において、太陽電池封止材の凹凸形状(エンボス形状)が形成された面を太陽電池素子と対向させて配置することが好ましい。
工程(ii)において、工程(i)で得られた積層体を、常法に従って真空ラミネーター、または熱プレスを用いて、加熱および加圧して一体化(封止)する。封止において、本発明の太陽電池封止材は、クッション性が高いため、太陽電池素子の損傷を防止することができる。また、脱気性が良好であるため空気の巻き込みもなく、高品質の製品を歩留り良く製造することができる。
太陽電池モジュールを製造するときに、太陽電池封止材を構成するエチレン・α-オレフィン系樹脂組成物を架橋硬化させる。この架橋は、工程(ii)と同時に行ってもよいし、工程(ii)の後に行ってもよい。
架橋工程を工程(ii)の後に行う場合、工程(ii)において温度125〜160℃、真空圧10Torr以下の条件で3〜6分間真空・加熱し;次いで、大気圧による加圧を1〜15分間程度行い、上記積層体を一体化する。工程(ii)の後に行う架橋工程は、一般的な方法により行うことができ、例えば、トンネル式の連続式架橋炉を用いてもよいし、棚段式のバッチ式架橋炉を用いてもよい。また、架橋条件は、通常、130〜155℃で20〜60分程度である。
一方、架橋工程を工程(ii)と同時に行う場合、工程(ii)における加熱温度を145〜170℃とし、大気圧による加圧時間を6〜30分とすること以外は、架橋工程を工程(ii)の後に行う場合の条件と同様の条件で行うことができる。本発明の太陽電池封止材は特定の有機過酸化物を含有することで優れた架橋特性を有しており、工程(ii)において二段階の接着工程を経る必要はなく、高温度で短時間に完結することができ、工程(ii)の後に行う架橋工程を省略することもできる。そのため、太陽電池モジュールの生産性を高めることができる。
いずれにしても、本発明の太陽電池モジュールの製造は、架橋剤が実質的に分解せず、かつ本発明の太陽電池封止材が溶融するような温度で、太陽電池素子や保護材に太陽電池封止材を仮接着し、次いで昇温して十分な接着と封止材の架橋を行えばよい。諸条件を満足できるような添加剤処方を選べばよく、例えば、上記架橋剤および上記架橋助剤などの種類および含浸量を選択すればよい。
架橋条件でラミネート加工された本発明の太陽電池封止材のゲル分率を、50〜95%、好ましくは50〜90%、さらに好ましくは60〜90%、最も好ましくは65〜90%の範囲とすることが好ましい。ゲル分率の算出は、例えば、太陽電池モジュールより封止材シートサンプル1gを採取し、沸騰トルエンでのソックスレー抽出を10時間行い、30メッシュでのステンレスメッシュでろ過し、メッシュを110℃にて8時間減圧乾燥を行い、メッシュ上に残存した濾取物の量から算出する。ゲル分率が50%未満であると、太陽電池封止材の耐熱性が不十分であり、85℃×85%RHでの恒温恒湿試験、ブラックパネル温度83℃での高強度キセノン照射試験、−40℃〜90℃でのヒートサイクル試験、耐熱試験での接着性が低下する傾向にある。ゲル分率が95%超過であると、太陽電池封止材の柔軟性が低下し、−40℃〜90℃でのヒートサイクル試験での温度追従性が低下するため、剥離などが発生する場合がある。
(発電設備)
本発明の太陽電池モジュールは、生産性、発電効率、寿命などに優れている。このため、この様な太陽電池モジュールを用いた発電設備は、コスト、発電効率、寿命などに優れ、実用上高い価値を有する。上記の発電設備は、家屋の屋根に設置する、キャンプなどのアウトドア向けの移動電源として利用する、自動車バッテリーの補助電源として利用するなどの、屋外、屋内を問わず長期間の使用に好適である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)測定方法[エチレン単位、α−オレフィン単位、及び非共役ポリエン単位の含有割合]
試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させて得られた溶液をグラスフィルター(G2)濾過した。濾液に重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入した。NMR測定装置(日本電子製のJNM GX−400型)を使用し、120℃で13C−NMR測定を行った。積算回数は8000回以上とした。得られた13C−NMRスペクトルより、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体中のエチレン単位の含有割合、α-オレフィン単位の含有割合、及び非共役ポリエン単位の含有割合を定量した。
[MFR2]
ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件にてエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のMFR2を測定した。
[ショアA硬度]
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を190℃、加熱4分、10MPaで加圧した後、10MPaで常温まで5分間加圧冷却して3mm厚のシートを得た。得られたシートを用いて、ASTM D2240に準拠してエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のショアA硬度を測定した。
[B値]
上述の13C−NMRスペクトルから、下記式(1)に従ってエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の「B値」を算出した。
B=(c+d)/(2×a×(e+f)) ・・・(1)(式(1)中、aはエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるエチレンに由来する構成単位の割合(エチレンモル分率)を示し、cはエチレン・α−オレフィン連鎖の構成単位の割合(エチレン・α-オレフィンダイアッドモル分率)を示し、dはエチレン・非共役ポリエン連鎖の構成単位の割合(エチレン・非共役ポリエンダイアッドモル分率)を示し、eはα-オレフィンに由来する構成単位の割合(α-オレフィンモル分率)を示し、fは非共役ポリエンに由来する構成単位の割合(非共役ポリエンモル分率)を示す)
[エチレン分布パラメータP]
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体0.02gを溶離液であるシクロヘキサン10mlに溶解後、0.45μmのフィルターでろ過し、GPC−offline−FTIR測定用の測定サンプルを得た。シクロヘキサンを溶離液として、流量1.0ml/min、温度60℃の条件でGPC-offline-FTIR測定を行った。測定装置はゲル浸透クロマトグラフ(商品名「Alliance GPC2000型」、Waters社製)とし、カラムには東ソー社製のGel(商品名「GMHHR−H」)(2本)を用い、検出器には東ソー社製の示差屈折計(商品名「RI-8020」)を用い、FTIR装置にはLab Conection Inc.社製の装置(商品名「LC-Transform Series300」)を用いた。
分子量計算はポリイソブチレン換算で行った。また、カラム出口の配管に検出器とFTIR装置を、流量がほぼ等量になるよう並列に接続した。測定によって得られたFTIRのチャートにおける721±20cm−1の最大ピーク強度を「A721cm−1」、4320±20cm−1における最大ピーク強度を「A4320cm−1」とする。エチレン分布パラメータPは「P=A721cm−1/A4320cm−1」と表される。721±20cm−1の最大ピーク強度は、782±20cm−1の極小点と690±20cm−1の極小点とを結んだベースラインからの強度とした。同様に、4320±20cm−1の最大ピーク強度は、4480±20cm−1の極小点と3500±20cm−1の極小点とを結んだベースラインからの強度とした。
[流動の活性化エネルギー(Ea)]
170℃及び210℃のそれぞれの温度(T(℃))におけるエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の、溶融複素粘度−周波数曲線(溶融複素粘度の単位;Pa/s、周波数の単位;rad/s)を作成する。溶融複素粘度−周波数曲線を、温度−時間重ね合わせの原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−周波数曲線毎に、190℃でのエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の溶融複素粘度−周波数曲線に重ね合わせる。温度(T(℃))と、その温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(I)を算出する。次に、算出した一次近似式(I)の傾きmと、下記式(II)とから、流動の活性化エネルギー(Ea)を求める。
ln(aT)=m(1/(T+273.16))+n ・・・(I)
Ea=[0.008314×m] ・・・(II)
aT:シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(kJ/mol)
T :温度(℃)
n :Y軸切片
流動の活性化エネルギー(Ea)の算出は、計算ソフトウェア(ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、商品名「RSI Orchestrator VER. 6. 6. 3」)を用いて行った。シフトファクター(aT)とは、それぞれの温度(T)における溶融複素粘度−周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(Y軸を溶融複素粘度とし、X軸を周波数とする)、190℃での溶融複素粘度−周波数曲線に重ね合わせたときの移動量である。この重ね合わせにおいて、各温度(T)における溶融複素粘度−周波数の両対数曲線を、周波数(X軸方向)にaT倍移動させ、溶融複素粘度(Y軸方向)に1/aT倍移動させた。なお、170℃、190℃及び210℃の温度(T)でのシフトファクター(aT)と、温度(T)とから得られる一次近似式(I)とを最小自乗法で求めるときの相関係数は、0.99以上とした。
溶融複素粘度−周波数曲線は、以下に示す粘弾性測定装置を用いて測定することにより作成する。試料片は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を190℃でプレスして得た2mm厚のシートを、直径25mm×2mm厚の円盤状に打ち抜いたものとする。試料片には、予め酸化防止剤が適量(例えば1000ppm程度)含まれていてもよい。
粘弾性測定装置:商品名「RDS−2」(レオメトリック社製)
測定条件:
Geometry:パラレルプレート
測定温度:170℃、190℃、210℃
周波数:0.5〜79.577Hz
歪率:1.0%
上記の条件で粘度の周波数依存性を測定し、上述したアレニウス型の方程式により流動の活性化エネルギーを算出した。なお、データ処理ソフトには、商品名「RSI Orchestrator VER.6.6.3」(ティ・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いた。
[分子量分布(Mw/Mn)]
Waters社製のゲル浸透クロマトグラフ(商品名「Alliance GPC−2000型」)を使用して、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを算出した。分離カラムには、2本の「TSKgel GMH6-HT(商品名)」と、2本の「TSKgel GMH6-HTL(商品名)」を使用した。カラムサイズは、いずれも内径7.5mm、長さ300mmとし、カラム温度は140℃とした。移動相は、o−ジクロロベンゼン(和光純薬工業社製)と、酸化防止剤として0.025重量%のBHT(武田薬品社製)との溶液とした。移動相を1.0ml/分の速度で移動させ、試料濃度は15mg/10mlとし、試料注入量は500μlとし、検出器として示差屈折計を用いた。分子量がMw≦1000及びMw≧4×10の標準ポリスチレンは、東ソー社製のポリスチレンを用いた。また、分子量が1000≦Mw≦4×10の標準ポリスチレンは、プレッシャーケミカル社製のポリスチレンを用いた。
[塩素イオン含有割合]
オートクレーブ等を用いて滅菌洗浄されたガラス容器にエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を約10g精秤し、超純水を100ml加えて密閉した後、常温で30分間超音波(38kHz)抽出を行って抽出液を得た。得られた抽出液を、ダイオネクス社製のイオンクロマトグラフ装置(商品名「ICS−2000」)を用いて分析することにより、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の塩素イオンの含有割合を測定した。
[酢酸メチル抽出量]
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を約10g程度精秤し、酢酸メチルを用いて、酢酸メチルの沸点以上の温度でソックスレー抽出を行った。抽出前後のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重量差または抽出溶媒を揮発させた残渣量から、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の酢酸メチル抽出量を算出した。
[ガラス接着強度]
太陽電池用の表面側透明保護部材である透明ガラス板と、厚さ500μmのシートサンプルとを積層して真空ラミネーター(NPC社製、LM−110X160S)内にセットした。積層体を150℃に温調したホットプレート上に載せて、3分間減圧、9分間加熱し、透明ガラス板/シートサンプルの積層体である接着強度用サンプルを作製した。この接着強度用サンプルのシートサンプル層を15mm幅に切り、ガラスとの剥離強度(ガラス接着強度)を180度ピールにて測定した(スパン間30mm、引張速度30mm/分、測定温度23℃)。ピール測定には、インストロン社製の引張試験機(商品名「Instron1123」)を使用した。3回の測定の平均値を採用した。
[全光線透過率]
波長350〜800nmの範囲内において吸収域を有しない白板ガラスを使用し、白板ガラス/シートサンプル/白板ガラスの構成で、上記接着強度用サンプルの調製と同様の条件で積層体を得た。φ150mmの積分球を取り付けた日立製作所社製の分光光度計(商品名「U-3010」)で、350〜800nmの波長域における、上記積層体中のシートサンプルの分光全光線透過率を測定した。そして、測定結果に、標準光D65及び標準視感効率V(λ)を乗じ、可視光の全光線透過率(Tvis)を算出した。
[電極腐食性]
中央部に銀をスパッタリングした一対のガラス板(薄膜電極)の間に、シートサンプルを挟みこんだ。これを、上述の接着強度用サンプルを作製した際の条件と同様の条件で処理して積層体を得た。得られた積層体を、JIS C8917に準拠し、スガ試験機社製の商品名「XL75」特殊仕様にて、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で積層体の促進試験を2000時間行った。得られた促進試験サンプルの薄膜電極の状態を目視観察して、電極腐食性を評価した。
[太陽電池素子(セル)割れ]
厚さ150μmのシリコン板をインゴットより切削採取し、白板ガラス/シートサンプル/シリコン板/シートサンプル/PET製バックシートの構成で、上記接着強度用サンプルの調製と同様の条件で積層体を得た。得られた積層体内のシリコン板を目視観察し、割れを評価した。
[耐熱性]
シートサンプルを真空ラミネーター内にセットし、150℃に温調したホットプレート上に載せて3分間減圧、9分間加熱し、架橋シートサンプルを得た。得られた架橋シートサンプルを、幅1cm、長さ5cmに切り出した。標線を3cmの長さで引き、切り出したサンプルの3倍の重さの重りを吊るして100℃のオーブン中に1時間放置し、耐熱試験を実施した。試験後サンプルの標線間の伸び率を測定した。なお、耐熱試験中に落下したサンプルについては、「落下」と評価した。耐熱性試験は、架橋特性の指標として用いており、架橋が十分であると耐熱試験中の伸びが小さく、架橋が不十分であると耐熱試験中の伸びが大きく、さらに不十分であると「落下」することがある。
[シートブロッキング性]
ガラス/シートサンプル/シートサンプル/ガラスの構成の積層体の上に400gの重りを乗せた。二枚のシートサンプルは、それぞれエンボス面を上側に向けて重ねた。40℃のオーブンで24時間放置した後、取り出して室温まで冷却し、シートの剥離強度を測定した。測定には、インストロン社製の引張試験機(商品名「Instron1123」)を使用し、シート間の180度ピールにて、スパン間30mm、引張速度10mm/分、23℃の条件で行った。3回の測定値の平均値を採用し、以下の基準に従ってシートブロッキング性を評価した。
○:剥離強度が50gf/cm未満
△:剥離強度が50〜100gf/cm
×:剥離強度が100gf/cm超
[体積固有抵抗@100℃]
得られたシートを10cm×10cmのサイズに裁断した。裁断したサンプルをラミネート装置(NPC社製、LM-110X160S)で加熱加圧処理して(150℃、真空3分、加圧15分)、測定用の架橋シートを作製した。作製した架橋シートの体積固有抵抗(Ω・cm)を、JIS K6911に準拠し、印加電圧500Vで測定した。なお、測定時、高温測定チャンバー「12708」(アドバンスト社製)を用いて温度100±2℃とし、微小電流計「R8340A」(アドバンスト社製)を使用した。
(2)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の合成(合成例1)
充分に窒素置換した2000mlの重合装置内に、乾燥ヘキサン1000ml、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)2ml、及びトリイソブチルアルミニウム0.3mmolを仕込んだ。重合装置の内温を80℃に昇温した後、水素を75Nml挿入した。重合装置内にプロピレンを供給し、系内圧力が0.25MPaとなるように加圧した。次いで、重合装置内にエチレンを供給し、系内圧力が0.8MPaとなるように調整した。(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド0.001mmol、及びトリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレート0.005mmolのヘキサン溶液を重合装置内に添加した。重合装置の内温を80℃とし、系内圧力を0.8MPaに保持しながら10分間重合反応を行った。2mlのメタノールを添加して重合を停止した。脱圧後、重合溶液と2Lのメタノールとを混合して得られた析出物を、真空下、130℃で12時間乾燥して、56gのエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得た。得られたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の物性を表1に示す。
(合成例2、3、5〜9および12)
(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリドとトリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートのそれぞれの濃度、プロピレンの仕込み圧力、水素の仕込量、及び5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)と5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)の使用量を変更したこと以外は、前述の合成例1と同様の条件でエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得た。得られたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の物性を表1に示す。
(合成例4)
(i)5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)に代えて5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)25mlとしたこと、(ii)プロピレン圧力を0.33MPaとしたこと、(iii)水素を25Nml用いたこと、(iv)(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリドに代えてジフェニルメチレンシクロペンタジエニルフルオレニルジルコニウムジクロライドを用いたこと、及び(v)トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートに代えてメチルアルミノキサンのトルエン溶液を0.5mmol用いたこと以外は、前述の合成例1と同様の条件で、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得た。得られたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の物性を表1に示す。
(合成例10)
撹拌羽根を備えた内容積15Lのステンレス製重合器内に、重合器の上部から重合溶媒としてのヘキサンを5L/hr、エチレンを370NL/hr、プロピレンを263NL/hr、水素を7NL/hr、及び5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を2.2g/hrの速度で連続的に供給した。一方、重合器の下部からは、重合器内の重合液の量がが5Lとなるように、連続的に重合液を抜き出した。バナジウムオキシクロリドを、重合器内のバナジウム濃度が0.3mmol/Lとなるように供給した。また、エチルアルミニウムセスキクロリドを、重合器内のアルミニウム濃度が3mmol/Lとなるよう供給した。重合温度は30℃となるよう調整した。重合器の下部より連続的に排出されたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のノルマルヘキサン混合溶液に対して、失活剤であるメタノールを約0.2mL/minの速度で混合し、触媒を失活させて重合を停止した。エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のノルマルヘキサン混合溶液5Lを、撹拌羽根を備えた内容積15Lのガラス容器に入れ、0.5Nの希塩酸を約10mL、純水5Lをそれぞれ添加した。撹拌後、水相を分離した。その後、純水を5L添加し、同様に撹拌と水相分離を5回行い、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体中の触媒残渣を脱灰処理した。脱灰処理後のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体のノルマルヘキサン混合溶液を130℃の真空乾燥機で乾燥し、210g/hrのエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得た。得られたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の物性を表1に示す。
(合成例11)
(i)5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)に代えて5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を0.4mlとしたこと、(ii)プロピレンに代えて1-ブテンを40gにしたこと以外は、前述の合成例4と同様の条件でエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得た。得られたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の物性を表1に示す。
(合成例13)
(i)5-エチリデン-2−ノルボルネン(ENB)に代えて5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を2.5mlとしたこと、(ii)プロピレン圧力を0.28MPaとしたこと、(iii)水素を1Nml用いたこと以外は、前述の合成例4と同様の条件で、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得た。得られたエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体の物性を表1に示す。
表1において、Prはプロピレンを示し;1-Buは1−ブテンを示す。
Figure 0005871815
(3)太陽電池封止材(シート)の製造(実施例1)
合成例1のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対し、エチレン性不飽和シラン化合物としてγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを0.5重量部、有機過酸化物として1分間半減期温度が166℃のt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネートを1.0重量部、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートを1.2重量部、紫外線吸収剤として2-ヒドロキシ-4-ノルマル-オクチルオキシベンゾフェノンを0.4重量部、ラジカル捕捉剤としてビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートを0.2重量部、及び耐熱安定剤1としてトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト0.1重量部、耐熱安定剤2としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.1重量部を配合した。
サーモ・プラスチック社製の単軸押出機(スクリュー径20mmφ、L/D=28)にコートハンガー式T型ダイス(リップ形状:270×0.8mm)を装着した。ダイス温度100℃の条件下、ロール温度30℃、巻き取り速度1.0m/minで、第1冷却ロールにエンボスロールを用いて成形を行い、厚み500μmのエンボスシート(太陽電池封止材シート)を得た。得られたシートの空隙率は28%であった。得られたシートの各種評価結果を表2に示す。
(実施例2〜6)
表2に示す組成としたこと以外は、前述の実施例1と同様にしてエンボスシート(太陽電池封止材シート)を得た。得られたシートの空隙率は全て28%であった。得られたシートの各種評価結果を表2に示す。合成例10で得たエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、凍結粉砕後に用いた。
(比較例1)
表2に示す組成としたこと以外は、前述の実施例1と同様にしてエンボスシート(太陽電池封止材シート)を得た。得られたシートの空隙率は全て28%であった。得られたシートの各種評価結果を表2に示す。
(比較例2)
表2に示す組成としたこと以外は、前述の実施例1と同様にしてエンボスシート(太陽電池封止材シート)を得ようとした。しかしながら、押出機のトルクが高くなりすぎてしまい、トルクオーバーとなってシートを得ることができなかった。
(比較例3)
表2に示す組成としたこと以外は、前述の実施例1と同様にしてエンボスシート(太陽電池封止材シート)を得ようとした。しかしながら、シボロール及びゴムロールへの粘着が強すぎてしまい、剥ぎ取ることができずにシートを得ることができなかった。
(比較例4〜6)
表2に示す組成としたこと以外は、前述の実施例1と同様にしてエンボスシート(太陽電池封止材シート)を得た。得られたシートの空隙率はいずれも28%であった。得られたシートの各種評価結果を表2に示す。
Figure 0005871815
(実施例7)
(A)エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(三井化学(株)製、商品名EPT3045、ジエン:5-エチリデン-2-ノルボルネン、融点なし)100重量部と、(B)パラフィン系オイル(出光興産(株)製、商品名PW100、密度872kg/cm、動粘度100mm2/s@40℃、色相+30(セイボルト))70重量部とを、サーモ・プラスチック社製の単軸押出機(スクリュー径20mmφ、L/D=28)で、押出機のバレルとダイスの各温度をC1/C2/C3/ダイス=65/75/95/90℃の条件下でペレット化を行い、ペレットを得た。得られた(A)エチレン・プロピレン・ジエン共重合体と(B)パラフィン系オイルからなる油展後樹脂組成物の油展後MFRを表3に示す。
得られたペレットに、(A)エチレン・プロピレン・ジエン共重合体100重量部に対して、(C)架橋剤として第三ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート(日油(株)製、商品名パーブチルE)0.7重量部と、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC:DuPont製、商品名Diak No.7)1.0重量部と、シランカップリング剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニングシリコーン製Z−6030)0.2重量部と、をさらに添加した。得られた混合物を、コートハンガー式T型ダイス(リップ形状:270×0.8mm)を装着したサーモ・プラスチック社製の単軸押出機(スクリュー径20mmφ、L/D=28)でシート成形を行い、厚み500μmのエンボスシート(太陽電池封止材シート)を得た。押出機のバレルとダイスの各温度をC1/C2/C3/ダイス=65/75/95/90℃とし、ロール温度を30℃とし、巻き取り速度を1.0m/minとし、第1冷却ロールをエンボスロールとした。得られたシートの空隙率は28%であった。得られたシートの各種評価結果を表3に示す。
(実施例8)
(A)エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(三井化学(株)製、商品名EPT3045)の代わりに、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(合成例13)を用いた以外は実施例7と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の各種評価結果を表3に示す。
(比較例7)
(B)パラフィン系オイルの含有量を40重量部とした以外は実施例7と同様にして樹脂組成物を得た。
(比較例8)
(B)パラフィン系オイル(出光興産(株)製、商品名PW100)の代わりに、ナフテン系オイル(日本サン石油(株)製、商品名サンセン4240、密度939kg/cm、動粘度428mm/s@40℃、色相L2.0)を用いた以外は実施例7と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例7,8および比較例7,8で得られた樹脂組成物の、メルトフローレート(MFR)、ロール加工性、架橋特性および硬化物の光透過性を、以下の方法で評価した。
1)メルトフローレート(MFR)
得られた油展後樹脂組成物の、荷重2.16kg、190℃におけるメルトフローレート(MFR)を、ASTM D1238に準拠した方法により測定した。
2)押出加工性
得られた樹脂組成物の混練物を試験押出機で押出加工したときの、押出外観により判断した。具体的には、メルトフラクチャーに起因するシート外観の異常の有無、過酸化物の分解温度以下の低温で押し出すので、樹脂組成物の粘度が高いとメルトフラクチャーにより安定して押し出し加工することが困難になる。押出加工したときのシート状態を観察して押し出し加工性の良否を判断した。成形安定性:ダイスから安定してシートを得ることができるかを以下の基準で評価した。
○:押し出し加工が安定しており、得られたシートも平滑である。
×:押し出し加工が安定しておらず、得られたシートも平滑ではない。
3)架橋特性
最大トルク値S'maxと最小トルク値S'min、架橋開始時間Tc10、最適架橋時間Tc90
得られた樹脂組成物の架橋曲線(架橋温度150℃、架橋時間30分の測定条件で測定される)から、最大トルク値S'maxと最小トルク値S'min、架橋開始時間Tc10、最適架橋時間Tc90を、JIS−K6300−2に準じて算出した。
最大トルク値S'maxと最小トルク値S'min:架橋曲線から最大トルク値S'maxと最小トルク値S'minを算出した。
架橋開始時間Tc10:前述の最大トルク値S'maxと最小トルク値S'minとの差分の10%に相当するトルク値と、最低トルク値S'minとの和に相当するトルク値に到達するまでの時間をTc10(分)とした。
最適架橋時間Tc90:前述の最大トルク値S'maxと最小トルク値S'minとの差分の90%に相当するトルク値と、最低トルク値S'minとの和に相当するトルク値に到達するまでの時間を、Tc90(分)とした。
4)全光線透過率
得られた樹脂組成物の混練物を、テフロン(登録商標)シートに挟んで、100℃で加熱3分、10MPaで加圧2分での熱プレスと、20℃で10MPaで加圧3分での冷却プレスをして、厚さ0.5mmのシートを成形した。得られたシートを、波長350〜800nmの範囲内において吸収域を有しない白板ガラスを使用し、白板ガラス/シートサンプル/白板ガラスの構成で、150℃に調整した真空ラミネーターで真空3分、加圧8分の条件でラミネートした。得られた試料の全光線透過率を、日立分光光度計U-3010 150mmφ積分球付により測定した。そして、測定結果に、標準光D65および標準視感効率V(λ)を乗じ、可視光の全光線透過率(Tvis)を算出した。
5)体積固有抵抗
上記4)と同様の条件にて得られたシートを10cm×10cmのサイズに裁断した。裁断したサンプルをラミネート装置(NPC社製、LM-110X160S)で加熱加圧処理して(150℃、真空3分、加圧15分)、測定用の架橋シートを作製した。作製した架橋シートの体積固有抵抗(Ω・cm)を、JIS K6911に準拠し、微小電流計「R8340A」(アドバンスト社製)を使用し印加電圧500Vで測定した。
Figure 0005871815
表3に示されるように、実施例7および8の樹脂組成物は、架橋特性および硬化物の高い光透過性を損なうことなく、シート成形時の良好な押出加工性が得られることがわかる。これに対して、比較例7および8の樹脂組成物は、シート成形時の押出加工性と、架橋特性および硬化物の光透過性とを両立できないことがわかる。
具体的には、比較例7の樹脂組成物は、パラフィン系オイルの添加量が少ないため、架橋特性は良好であるが;粘度が高すぎるため、シート外観が悪化して、メルトフラクチャーに近い状態となり、シート厚みが不均一であることがわかる。比較例8の樹脂組成物は、ナフテン成分やアロマ成分を多く含むナフテン系オイルを含むため、架橋特性が低く、その硬化物の光透過性も低いことがわかる。
(実施例9)
実施例6に記載の封止材を用いて、単結晶セルを用い18セル直列接続した小モジュールを作製した。モジュールのガラスは、24×21cmにカットした旭硝子ファブリテック製の白板フロートガラス3.2mm厚みのエンボス付き熱処理ガラスとした。結晶系セル(Shinsung製の単結晶セル)は、受光面側のバスバー銀電極を中央にして5×3cmにカットしたものを用いた。銅箔に共晶ハンダを表面コートされた銅リボン電極を用いて、18個のセルを直列に接続した。バックシートとして、シリカ膜が蒸着されたPETシートを含むPET系バックシートを用いた。バックシートの一部に、カッタ−ナイフで約2cm切り込みを入れ、セルからの端子取り出し部位とした。直列接続した18個のセルのプラス端子とマイナス端子を取り出した。真空ラミネーター(NPC製:LM−110x160−S)を用いて、熱盤温度150℃、真空時間3分、加圧時間15分にてラミネートした。その後、ガラスからはみ出した封止材、バックシートをカットし、ガラスエッジには端面封止材を付与して、アルミフレームを取り付けた。その後、バックシートの取り出し部位には、RTVシリコーンを付与して硬化させた。
このミニモジュールのプラス端子とマイナス端子を短絡し、電源の高圧側ケーブルを接続した。また電源の低圧側ケーブルをアルミフレームに接続し、アルミルレームを接地した。このモジュールを85℃、85%rhの恒温恒湿槽内にセットし、温度上昇をされた後、−600Vを印加したまま保持した。
高圧電源は、HARb−3R10−LF(松定プレシジョン製)とし;恒温恒湿槽は、FS−214C2(エタック製)とした。
24時間および240時間電圧を印加した後、このモジュールをAM(エアマス)1.5クラスAの光強度分布を有するキセノン光源を用いてIV特性を評価した。IV評価には日清紡メカトロニクス製のPVS−116i−Sを用いた。また、試験後のIV特性の最大出力電力Pmaxが初期値と比べて5%以上低下した場合にNGと判断した。測定結果、いずれの場合も高圧試験後のPmaxの変化量は0.5以下の低下のにとどまり、良好な結果であった。
(実施例10)
実施例5記載の太陽電池封止材を用いた以外は実施例10と同様に試験した。Pmaxの低下はいずれの場合も0.5%以下であり良好な結果であった。
(実施例11)
実施例1記載の太陽電池封止材を用いた以外は実施例10と同様に試験した。24時間電圧を印加した後のPmaxの低下は0.5%以下であった。
(比較例9)(変性ポリビニルアセタール樹脂の合成)
エチレン含有量15モル%、けん化度98モル%、平均重合度1700のポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA−117)100gを蒸留水に溶解し、濃度10重量%のポリビニルアルコール水溶液を得た。この水溶液を40℃でアンカー型攪拌翼を用いて攪拌しながら、35重量%塩酸を32g添加後、さらにブチルアルデヒド60gを滴下した。水溶液中にポリビニルアセタール樹脂が析出したことを確認した。その後、さらに、35重量%塩酸を64g添加しながら50℃まで昇温して、4時間攪拌して反応を完結させた。得られた変性ポリビニルアセタール樹脂の分散液を冷却した。30重量%水酸化ナトリウム水溶液で、分散液のpHを7.5まで中和した。ろ過により得たろ取物を、対ポリマー20倍量の蒸留水で水洗し、その後乾燥した。平均重合度1700、アセタール化度65モル%の変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
(シートの作製)
変性ポリビニルアセタール樹脂100質量部と、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサネート30質量部とを、100℃で5分間、30rpmの条件で、ラボプラストミル(東洋精機社製)で混練して、変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、厚み0.5mmの25×25センチの開口部をもつSUS製の金属枠の内部にセットした。真空ラミネーターを用いて、熱盤温度100℃、真空時間3分、加圧時間10分の条件にて、平坦なシートを作製した。このシートの体積固有抵抗は100℃では測定限界よりも低い抵抗値であり、10Ωcm以下の体積抵抗であった。
このシートを用いて、実施例10と同様にしてモジュールを作製した。このとき、ラミネーターの熱盤温度を125℃に設定した。モジュールを、実施例10と同様にして高圧印加試験した。24時間電圧を印加した後のPmaxの低下量は6%であり、特性劣化が起こった。
本発明の太陽電池封止材は、透明性、柔軟性、接着性、耐熱性および押出成形性などの諸特性に優れている。このため、本発明の太陽電池封止材を用いれば、外観が良好であるとともに、性能およびコストなどの経済性に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
20 太陽電池モジュール
22 太陽電池素子
22A (太陽電池素子の)受光面
22B (太陽電池素子の)裏面
24 表面保護部材
26 裏面保護部材
28 封止層
29 インターコネクタ
32 集電線
34A,34B タブ付用母線
36 導電層

Claims (22)

  1. 以下の要件a1)〜a3)を満たすエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む太陽電池封止材。
    a1)エチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜90mol%であり、炭素数3〜20のα-オレフィンに由来する構成単位の含有割合が9.99〜19.99mol%であり、且つ非共役ポリエンに由来する構成単位の含有割合が0.01〜5.0mol%である。
    a2)ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが10〜50g/10分である。
    a3)ASTM D2240に準拠して測定されるショアA硬度が60〜85である。
  2. 前記太陽電池封止材が、以下の要件a4)を満たす請求項1に記載の太陽電池封止材。
    a4)JIS K6911に準拠し、温度100℃、印加電圧500Vで測定される体積固有抵抗が1.0×1013〜1.0×1018Ω・cmである。
  3. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、シランカップリング剤0.1〜5重量部と、架橋剤0.1〜2.5重量部と、をさらに含む、請求項1に記載の太陽電池封止材。
  4. 前記架橋剤が、1分間半減期温度が100〜170℃の範囲にある有機過酸化物である、請求項3に記載の太陽電池封止材。
  5. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、およびヒンダートアミン型光安定剤からなる群より選択される少なくとも一種を0.005〜5重量部さらに含む、請求項3に記載の太陽電池封止材。
  6. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、架橋助剤を0.05〜5重量部さらに含む、請求項3に記載の太陽電池封止材。
  7. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a5)をさらに満たす、請求項1に記載の太陽電池封止材。
    a5)13C−NMRスペクトルおよび下記式(1)から求められるB値が、0.9〜1.3である。
    B=(c+d)/(2×a×(e+f)) ・・・(1)
    (式(1)において、
    aはエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるエチレンに由来する構成単位の割合(エチレンモル分率)を示し、
    cはエチレン・α-オレフィン連鎖の構成単位の割合(エチレン・α−オレフィンダイアッドモル分率)を示し、
    dはエチレン・非共役ポリエン連鎖の構成単位の割合(エチレン・非共役ポリエンダイアッドモル分率)を示し、
    eはα-オレフィンに由来する構成単位の割合(α-オレフィンモル分率)を示し、
    fは非共役ポリエンに由来する構成単位の割合(非共役ポリエンモル分率)を示す)
  8. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a6)をさらに満たす、請求項1に記載の太陽電池封止材。
    a6)GPC−offline−FTIRより求められるエチレン分布パラメータPの最大値Pmaxと最小値Pminとの関係が下記式(2)を満たす。
    Pmax/Pmin≦1.4 ・・・(2)
  9. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a7)をさらに満たす、請求項1に記載の太陽電池封止材。
    a7)流動の活性化エネルギーが28〜35kJ/molである。
  10. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a8)をさらに満たす、請求項1に記載の太陽電池封止材。
    a8)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に基づく分子量分布Mw/Mnが1.2〜3.5の範囲にある。
  11. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a9)をさらに満たす、請求項1に記載の太陽電池封止材。
    a9)固相抽出処理後の抽出液からイオンクロマトグラフィーにより検出される塩素イオンの含有割合が2ppm以下である。
  12. 前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、以下の要件a10)をさらに満たす、請求項1に記載の太陽電池封止材。
    a10)酢酸メチルへの抽出量が5.0重量%以下である。
  13. シート状である請求項1に記載の太陽電池封止材。
  14. 表面側透明保護部材と、裏面側保護部材と、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材とに挟持された太陽電池素子と、前記太陽電池素子を前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材との間に封止する封止部材と、を備えた太陽電池モジュールであって、
    前記封止部材は、請求項1に記載の太陽電池封止材の硬化物である、太陽電池モジュール。
  15. (A)エチレンに由来する構成単位の含有量が50〜95モル%であり、ムーニー粘度ML(1+4)100℃が30〜90であるエチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体と、(B)パラフィン成分が55重量%〜90重量%であり、アロマ成分が5重量%未満であり、ナフテン成分が40重量%未満であり、かつ硫黄成分が200ppm以下であるパラフィン系オイルと、(C)架橋剤と、を含み、
    (A)と(B)からなる樹脂組成物の190℃、荷重2.16kgにおけるMFRが10g/10minを超え、50g/10min以下である、太陽電池封止材。
  16. 前記(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体のJIS−K7121に準じて測定される融点が70℃以下である、請求項15に記載の太陽電池封止材。
  17. 前記太陽電池封止材の硬化物の光線透過率が90%以上である、請求項15に記載の太陽電池封止材。
  18. 架橋助剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、酸化防止剤および接着性付与剤からなる群より選ばれる少なくとも一種類の添加剤をさらに含む、請求項15に記載の太陽電池封止材。
  19. 前記(A)エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体と、(B)パラフィン系オイルと、(C)架橋剤と、を溶融混練して得た樹脂組成物を、膜状に成形するステップを含む、請求項15に記載の太陽電池封止材の製造方法。
  20. 前記溶融混練して得た樹脂組成物を、押出成形法により膜状に成形する、請求項19に記載の太陽電池封止材の製造方法。
  21. 前記押出成形における押出機のダイス温度が55〜120℃である、請求項20に記載の太陽電池封止材の製造方法。
  22. 表面側透明保護部材と、裏面側保護部材と、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材とに挟持された複数の太陽電池素子と、前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材の少なくとも一方との間に前記太陽電池素子を封止する封止部材と、を備えた太陽電池モジュールであって、
    前記封止部材は、請求項15に記載の太陽電池封止材の硬化物である、太陽電池モジュール。
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