JP6783040B2 - エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体 - Google Patents

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Description

本発明は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に関する。
架橋体の架橋網目構造は、架橋体の性能を決定する重要な要素の一つである。一般的に、架橋網目構造は不均一であることが知られている。架橋網目構造を把握するための方法として、従来、架橋体を溶媒で膨潤させて架橋密度の平均値を測定する方法(例えば、Flory−Rehner法)などが用いられている。
しかしながら、上記方法では、単位体積中に何個の架橋点が存在するかという点を把握することはできても、架橋点がどの程度均一に存在するのか、すなわち架橋網目構造の不均一性、という点までは把握することはできない。
過去の検討から、架橋体中の架橋点が均一に分散していることが架橋体の強度および耐疲労性に関連していると推測されている(例えば、特許文献1参照)。天然ゴム等のジエン系ゴムから得られる架橋体では、中性子散乱で不均一構造を測定する事例が報告されている(例えば、非特許文献1および2参照)。しかしながら、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体から得られる架橋体での報告は無い。
特開2012−126866号公報
M. Takenaka. NIPPON GOMU KYOKAISHI 87(7), 299 (2014) M. Shibayama. NIPPON GOMU KYOKAISHI 84(1), 14 (2011)
エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体から得られる架橋体の架橋構造(架橋点の不均一性)を検討することにより、当該架橋体の耐疲労性を改善することができると考えられる。本発明は、耐疲労性に優れた架橋体を形成することが可能な、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、小角中性子散乱法で測定した不均一構造量および不均一構造サイズが特定範囲にある架橋体を形成するエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、例えば以下の[1]〜[5]に関する。
[1]以下の要件(1)および(2)を満たすことを特徴とするエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体。
上記共重合体を過酸化物を用いて架橋し、得られた架橋体について小角中性子散乱法により不均一構造量cおよび不均一構造サイズbを求めた場合において、(1)不均一構造量cおよび過酸化物配合量が式(1a)を満たし、(2)不均一構造サイズbおよび過酸化物配合量が式(2a)を満たす。
Figure 0006783040
[2]不均一構造サイズbおよび不均一構造量cが、それぞれ、上記共重合体を過酸化物を用いて架橋し、得られた架橋体について小角中性子散乱法で得られた散乱強度曲線I(q)を、式(A)によりカーブフィッティングすることにより得られるパラメーターΞ、Iξ(0)およびIΞ(0)から、式(2)および(3)を用いて得られた値である、前記[1]に記載のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体。
Figure 0006783040
[式(A)および(1)〜(3)中、θは散乱角(rad)であり、λは中性子線の波長(nm)であり、Iξ(0)、IΞ(0)、ξ、ΞおよびIincはフィッティングパラメーターである。]
[3]上記要件(1)および(2)において、上記共重合体を架橋する際に用いられる過酸化物が、ジクミルパーオキサイドである前記[1]または[2]に記載のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体。
[4]前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物。
[5]前記[4]に記載の組成物を架橋して得られる架橋体。
本発明によれば、耐疲労性に優れた架橋体を形成することが可能な、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を提供することができる。
図1は、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体から得られる架橋体についての中性子散乱測定で得られた散乱強度曲線に対する、カーブフィッティングの一例である。 図2は、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体から得られる架橋体について、過酸化物配合量に対して不均一構造量cをプロットしたグラフである。 図3は、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体から得られる架橋体について、過酸化物配合量に対して不均一構造サイズbをプロットしたグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体]
本発明のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、以下の要件(1)および(2)を満たすことを特徴とする。以下の説明において、エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を単に「エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体」ともいい、本発明のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を「本発明のエチレン系共重合体」ともいう。
本発明のエチレン系共重合体は、当該共重合体を過酸化物を用いて架橋し、得られた架橋体について小角中性子散乱法により不均一構造量cおよび不均一構造サイズbを求めた場合において、要件(1)不均一構造量cおよび過酸化物配合量が式(1a)を満たし、要件(2)不均一構造サイズbおよび過酸化物配合量が式(2a)を満たす。
Figure 0006783040
式(1a)および(2a)において、過酸化物配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部を架橋する際に用いる過酸化物の量(質量部)である。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が式(1a)を満たすということは、前記共重合体中の不均一構造量が少ないことを意味する。また、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が式(2a)を満たすということは、前記不均一構造サイズが小さいことを意味する。したがって、本発明のエチレン系共重合体から形成される架橋体は、その架橋構造中に架橋点を均一に有している。後述する実施例に記載するように、本発明のエチレン系共重合体から形成される架橋体は、耐疲労性に優れる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が要件(1)および(2)を充足するか否かについて判断するための架橋体の形成条件は、例えば、以下のとおりである。なお、下記形成条件は共重合体が要件(1)および(2)を満たしているか否かを判断するためのものであり、本発明のエチレン系共重合体を用いて架橋体を得る際の条件は、下記形成条件に限定されるわけではない。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と過酸化物であるジクミルパーオキサイドとをロール混練機(ロール温度:例えば30〜80℃)にて1〜30分間混練し、次いで、混練した材料を、50〜200℃で1〜120分間プレス成形することにより、厚さ約1mmのシート状試料を得る。特に好ましくは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と過酸化物であるジクミルパーオキサイドとを、6インチロールを用いて、ロール温度を前ロール/後ロール=50℃/50℃、ロール周速を前ロール/後ロール=18rpm/15rpm、ロール間隙を2.5mm、混練時間を8分間の混練条件で混練し分出し、混練した材料を、180℃で10分間プレス成形することにより、厚さ約1mmのシート状試料を得る。
要件(1)および(2)に関して過酸化物の配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部に対して、通常は0.1〜20質量部、好ましくは0.15〜10質量部、より好ましくは0.15〜5.0質量部、特に好ましくは0.15〜1.0質量部である。なお、ジクミルパーオキサイド以外の過酸化物を用いることもでき、例えば、後述する組成物中の含有成分として例示した有機過酸化物が挙げられる。ジクミルパーオキサイド以外の過酸化物を用いる場合、他の過酸化物の配合量をジクミルパーオキサイド換算量に変換して、上記式(1a)および(2a)の充足性を判断する。他の過酸化物のジクミルパーオキサイド換算量とは、過酸化物架橋の際に、1モルの過酸化物ラジカルを発生するために必要なジクミルパーオキサイド量がN1質量部、他の過酸化物量がN2質量部であるとすると、他の過酸化物の配合量にN1/N2を乗じた量を意味する。他の過酸化物を用いる場合、ジクミルパーオキサイド換算量を、上記式(1a)および(2a)に代入する。
得られたシート状試料を用いて架橋体の中性子散乱測定を行う前に、熱溶媒を用いて上記架橋体を処理することが好ましい。熱溶媒による前処理を行うことで、上記架橋体中に存在すると考えられるエチレン系共重合体の未架橋分子、または過酸化物架橋時に高分子鎖が分解を受けて生成した低分子量の前記共重合体を、上記架橋体中から除去することができる。このため、中性子散乱測定時にこれら未架橋分子等の成分に由来するノイズを大きく低減することができる。
したがって、熱溶媒処理後の上記架橋体について中性子散乱測定を行うことで、エチレン系共重合体の架橋体においても、散乱強度曲線を精度良く得ることができる。このため、以下に説明するカーブフィッティングにより、上記架橋体の架橋網目構造の不均一構造サイズbおよび不均一構造量cを得ることができる。
熱溶媒処理で用いることのできる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素などの有機溶媒が挙げられる。これらの中でも、未架橋分子等の成分を効率良く除去できることから、芳香族炭化水素溶媒が好ましく、キシレン、トルエンがより好ましい。
熱溶媒処理において溶媒は、上記架橋体1gに対して、好ましくは50mL以上、より好ましくは70〜130mL、より好ましくは90〜110mLの量で用いることができる。
熱溶媒処理は、例えば、上記架橋体を溶媒に浸漬した後、好ましくは80℃以上、より好ましくは130〜150℃で行い、さらに好ましくは溶媒を還流させて行う。熱溶媒処理の時間(特に好ましくは還流操作の時間)は、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1〜5時間、さらに好ましくは2〜4時間である。
熱溶媒処理後、架橋体を乾燥させることが好ましい。乾燥条件は、乾燥温度が好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃であり、乾燥時間が好ましくは1時間以上、より好ましくは10〜100時間、さらに好ましくは60〜80時間である。乾燥は、真空下に行ってもよい。
中性子散乱測定は、重水素化溶媒または重水素化溶媒を含む混合溶媒を用いた溶媒膨潤法により行うことが好ましい。以下、「重水素化溶媒」および「重水素化溶媒を含む混合溶媒」を総称して「重水素化系溶媒」ともいう。すなわち、エチレン系共重合体から得られる架橋体を重水素化系溶媒を用いて膨潤させた試料に中性子線を照射し、散乱強度を測定することが好ましい。熱溶媒処理後の架橋体について、溶媒膨潤法により中性子散乱測定を行うことが特に好ましい。膨潤を行うことで、架橋密度の粗密により微視的オーダーでの膨潤度にむらができるため、散乱を良好に観測することができる。
重水素化溶媒としては、例えば、重水、重水素化ヘキサン、重水素化ベンゼン、重水素化トルエン、重水素化キシレン、重水素化メタノール、重水素化DMSO((D3C)2S=O)、重水素化テトラヒドロフラン、重水素化ジクロロメタン、重水素化クロロホルム、重水素化アセトニトリル、重水素化N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
重水素化溶媒と混合しうる重水素化されていない溶媒としては、例えば、水、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。上記混合溶媒中、重水素化溶媒の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
膨潤した架橋体を得るには、例えば、架橋体を重水素化系溶媒中に10〜40℃の温度で1日以上浸漬する方法が挙げられ、好ましくは20〜30℃の温度で2〜5日浸漬する。重水素化系溶媒中で平衡状態にある膨潤した架橋体を重水素化系溶媒から取り出し、中性子散乱測定を行う。
中性子散乱測定には、加速器や研究用原子炉の中性子源を使用することができ、例えば、大強度陽子加速施設J−PARC(茨城県)の物質・生命科学研究施設MLFに設置されている産業利用ビームラインiMATERIA、独立行政法人日本原子力研究開発機構所有の研究用原子炉JRR−3のビームラインSANS−Jを使用することができる。前記架橋体に中性子線を照射し、中性子の散乱強度を測定する。測定温度は、通常は10〜40℃、より好ましくは20〜30℃である。
散乱強度Iを波数qに対してプロットした散乱強度曲線I(q)〔縦軸がI(q)、横軸がq〕を得て、当該曲線を式(A)によりカーブフィッティングすることにより得られるパラメーターΞ、Iξ(0)およびIΞ(0)から、式(2)および(3)を用いて架橋網目構造の不均一構造サイズbおよび不均一構造量cを求めることが好ましい。カーブフィッティングにおいて式(A)が好ましい理由は、エチレン系共重合体の架橋時に反応開始点である過酸化物分子の周辺のみでラジカル濃度が高くなるなどの理由により、架橋反応が進行する速さに空間的な不均一性が生じるという現象が起こっていると考えられることにある。
詳細は、M. Takenaka. NIPPON GOMU KYOKAISHI 87(7), 299 (2014) および Y. Ikeda, N. Higashitani, K. Hijikata, Y. Kokubo, Y. Morita, M. Shibayama, N. Osaka, T. Suzuki, H. Endo, and S. Kohjiya. Macromolecules 42(7), 2741 (2009) を参照。
Figure 0006783040
式(A)および(1)〜(3)中、θは散乱角(rad)であり、λは中性子線の波長(nm)であり、Iξ(0)、IΞ(0)、ξ、ΞおよびIincはフィッティングパラメーターである。式(A)の右辺第1項はOrnstein-Zernike-Debye(OZD)型関数であって、架橋網目からの散乱を記述する関数であり、右辺第2項はDebye-Bueche(DB)型関数であって、架橋網目の不均一構造からの散乱を記述する関数であり、右辺第3項は架橋網目構造以外からのインコヒーレント散乱強度である。
ξは架橋網目サイズを特徴付ける長さ(単位:Å)であり、Ξは架橋網目の不均一構造サイズを特徴付ける長さ(単位:Å)である。Iξ(0)は式(A)の右辺第1項の重みであり、IΞ(0)は式(A)の右辺第2項の重みであり、これらの比IΞ(0)/Iξ(0)は不均一構造量cを意味する。
式(1)で表される波数qが下記の領域で少なくとも中性子散乱測定を行うことにより、散乱強度曲線を得ることが好ましい。なお、「少なくとも中性子散乱測定を行う」とは、下記の領域を少なくとも含む範囲で、中性子散乱測定を行うことを意味し、下記の領域よりも広い範囲で中性子散乱測定を行ってもよい。qの範囲は、好ましくは0.001〜10nm-1、より好ましくは0.01〜7nm-1、さらに好ましくは0.2〜5nm-1である。また、さらにqの大きな領域での測定、すなわち広角中性子散乱測定を行ってもよい。
中性子散乱測定の条件は、特に好ましくは以下のとおりである。シート状試料を直径1.2mmの丸型に切り取った後、丸底フラスコに充分量のキシレンと共に入れる。ここで充分量のキシレンとは、試料1g当たり100mLのキシレンのことである。その後、140℃で3時間還流操作を行う。還流操作終了後、試料を取り出し、シャーレ上に静置して室温で1日間乾燥させる。その後、真空に保ったデシケーターに試料を移し、室温・真空下で43時間乾燥させる。乾燥終了後、試料をフッ素樹脂製容器に移し、重水素化キシレンに室温で3日間浸漬して膨潤させた試料を小角中性子散乱測定用試料とする。重水素化キシレンで膨潤させた試料を試料ホルダーに固定し、次の条件にて中性子線を試料に照射し、小角中性子散乱測定を行う。
・入射中性子線:パルス中性子線
・測定範囲:q=0.2nm-1からq=5nm-1
・測定温度:室温(25℃)
カーブフィッティングは、例えば、0.001〜10nm-1を少なくとも含む波数qの範囲、0.01〜7nm-1を少なくとも含む範囲、または0.2〜4nm-1を少なくとも含む範囲で行うことが好ましい。各フィッティングパラメーターは、最小2乗法などの回帰分析で求めることが好ましい。
以上の方法により、不均一構造サイズbおよび不均一構造量cを求めることができる。
本発明のエチレン系共重合体は、エチレンに由来する構造単位と、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、非共役ポリエンに由来する構造単位とを含み、上記要件(1)および(2)を満たす。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンが挙げられる。エチレン系共重合体は、1種のα−オレフィンに由来する構造単位を有してもよく、2種以上のα−オレフィンに由来する構造単位を有してもよい。
炭素数3〜20のα−オレフィンの中でも、炭素数3〜8のα−オレフィンが好ましく、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、プロピレンが特に好ましい。
非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエンが挙げられる。エチレン系共重合体は、1種の非共役ポリエンに由来する構造単位を有してもよく、2種以上の非共役ポリエンに由来する構造単位を有してもよい。
非共役ポリエンの中でも、1,4−ヘキサジエン等の鎖状非共役ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、または5−エチリデン−2−ノルボルネンと5−ビニル−2−ノルボルネンとの組合せ等の環状非共役ジエンが好ましく、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、またはこれらの組合せが特に好ましい。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・1−ブテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・1−ペンテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・1−ヘキセン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・1−へプテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・1−オクテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・1−ノネン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・1−デセン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ペンテン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ヘキセン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−へプテン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−オクテン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ノネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−デセン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ペンテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ヘキセン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−へプテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−オクテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ノネン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−デセン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ペンテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ヘキセン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−へプテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−オクテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ノネン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−デセン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体が挙げられる。
エチレン系共重合体において、エチレン由来の構造単位と炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構造単位とのモル比(エチレン単位/α−オレフィン単位)は、通常は40/60〜99.9/0.1、好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは55/45〜80/20である。前記モル比は、13C−NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めることができる。
エチレン単位/α−オレフィン単位のモル比が上記範囲にあると、本発明のエチレン系共重合体の架橋体が優れたゴム弾性を示し、機械的強度、耐熱老化性および柔軟性に優れたものとなるため好ましい。
エチレン系共重合体において、非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量は、共重合体100質量%中、通常は0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜8.0質量%、特に好ましくは0.5〜5.0質量%である。前記含有量は、13C−NMRスペクトルメーターによる強度測定によって求めることができる。
非共役ポリエン単位の含有量が上記範囲にあると、本発明のエチレン系共重合体の架橋体が優れた機械的強度を示すため好ましく、また、例えば有機過酸化物を用いて前記共重合体を架橋した場合には、適切な架橋速度を示すものとなるため好ましい。
エチレン系共重合体の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.01〜13.0dl/g、好ましくは0.1〜8.0dl/g、より好ましくは0.1〜5.0dl/g、さらに好ましくは0.5〜5.0dl/g、特に好ましくは0.5〜4.0dl/gである。
本発明のエチレン系共重合体は、要件(1)および(2)を満たすことから、耐疲労性に優れる架橋体を形成することができる。このように本発明では、前記架橋体の不均一構造を把握し制御することにより、製品の高強度化が可能になり、したがって、製品性能および製品寿命の向上を期待することができる。
[エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の製造方法]
本発明の要件(1)および(2)を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(エチレン系共重合体)は、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエンとを共重合することにより得ることができる。本発明のエチレン系共重合体は、メタロセン化合物の存在下にモノマーを共重合して得られた共重合体であることが好ましく、メタロセン化合物を含む重合触媒の存在下にモノマーを共重合して得られた共重合体であることがより好ましい。
(メタロセン化合物)
メタロセン化合物としては、下記式[A1]で表される化合物が挙げられる。前記メタロセン化合物を含む重合触媒を用いてモノマーの共重合を行うと、要件(1)および(2)を満たすエチレン系共重合体を容易に合成することができる。
Figure 0006783040
式[A1]中の各記号の意味は以下のとおりである。
1、R2、R3、R4、R5、R8、R9およびR12は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、またはハロゲン化炭化水素基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示す。R1〜R4のうち隣接する2つの基同士は互いに結合して環を形成していてもよい。
6およびR11は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、またはハロゲン化炭化水素基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示す。
7およびR10は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、またはハロゲン化炭化水素基およびケイ素含有基以外のヘテロ原子含有基を示す。
6およびR7は互いに結合して環を形成していてもよく、R10およびR11は互いに結合して環を形成していてもよい。R6、R7、R10およびR11が同時に全て水素原子であることはないことが好ましい。
1〜R12における炭化水素基としては、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20の脂環式基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、イソプロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンジル基、クミル基が挙げられる。
1〜R12におけるハロゲン化炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基が挙げられる。
1〜R12におけるケイ素含有基としては、例えば、シリル基、シロキシ基、炭化水素基置換シリル基、炭化水素基置換シロキシ基、ハロゲン化炭化水素基置換シリル基、ハロゲン化炭化水素基置換シロキシ基が挙げられる。例えば、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基が挙げられる。
1〜R12におけるヘテロ原子含有基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基等の酸素含有基、ニトロ基、シアノ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基等の窒素含有基、ボラントリイル基、ジボラニル基等のホウ素含有基、スルホニル基、スルフェニル基等のイオウ含有基が挙げられる。
13およびR14は、それぞれ独立にアリール基またはハロゲン化アリール基を示す。
13およびR14におけるアリール基およびハロゲン化アリール基としては、それぞれ炭素数6〜20のアリール基およびハロゲン化アリール基が好ましく、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、イソプロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基が挙げられる。これらの中でも、p−トリル基、p−クロロフェニル基が好ましい。
1はジルコニウム原子を示す。
1は炭素原子またはケイ素原子を示し、好ましくは炭素原子である。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数4〜20の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示し、jは1〜4の整数を示し、jが2以上の整数の場合は複数あるQはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
Qにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子である。
Qにおける炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜10の炭化水素基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1、1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、ベンジル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、ベンジル基である。
炭素数4〜20の中性の共役もしくは非共役ジエンとしては、炭素数4〜10の中性の共役もしくは非共役ジエンが好ましい。中性の共役もしくは非共役ジエンとしては、例えば、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンが挙げられる。
アニオン配位子としては、例えば、メトキシ、t−ブトキシ等のアルコキシ基、フェノキシ等のアリーロキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、メシレート、トシレート等のスルホネート基が挙げられる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。
式[A1]におけるR1からR4を有するシクロペンタジエニル基としては、例えば、R1からR4が水素原子である無置換シクロペンタジエニル基、3−t−ブチルシクロペンタジエニル基、3−メチルシクロペンタジエニル基、3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル基、3−フェニルシクロペンタジエニル基、3−アダマンチルシクロペンタジエニル基、3−アミルシクロペンタジエニル基、3−シクロヘキシルシクロペンタジエニル基などの3位1置換シクロペンタジエニル基、3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル基、3−t−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル基、3−フェニル−5−メチルシクロペンタジエニル基、3,5−ジ−t−ブチルシクロペンタジエニル基、3,5−ジメチルシクロペンタジエニル基、3−フェニル−5−メチルシクロペンタジエニル基、3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル基などの3,5位2置換シクロペンタジエニル基が挙げられる。メタロセン化合物の合成のし易さ、製造コストおよび非共役ポリエンの共重合能の観点から、R1からR4が水素原子である無置換シクロペンタジエニル基が好ましい。
式[A1]におけるR5からR12を有するフルオレニル基としては、例えば、R5からR12が水素原子である無置換フルオレニル基;2−メチルフルオレニル基、2−t−ブチルフルオレニル基、2−フェニルフルオレニル基などの2位1置換フルオレニル基;4−メチルフルオレニル基、4−t−ブチルフルオレニル基、4−フェニルフルオレニル基などの4位1置換フルオレニル基;2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル基、3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル基などの2,7位もしくは3,6位2置換フルオレニル基;2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル基、2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル基などの2,3,6,7位4置換フルオレニル基;下記式[V−I]または[V−II]で表される基等の、R6およびR7が互いに結合して環を形成し、R10およびR11が互いに結合して環を形成している2,3,6,7位4置換フルオレニル基が挙げられる。
Figure 0006783040
式[V−I]、[V−II]中、R5、R8、R9、R12は前記式[A1]における定義と同様であり、好ましくは水素原子であり、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、RgおよびRhは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、隣接した置換基と互いに結合して環を形成していてもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、n−ペンチル基が挙げられる。
式[V−I]中、RxおよびRyはそれぞれ独立に炭素数1〜3の不飽和結合を有してもよい炭化水素基であり、RxがRaまたはRcが結合した炭素と共同して二重結合を形成していてもよく、RyがReまたはRgが結合した炭素と共同して二重結合を形成していてもよい。RxおよびRyがともに−CH2−、−CH2−CH2−または−CH2=CH2−であることが好ましく、あるいは、RxおよびRyがともに炭素数1または2の炭化水素基であり、RxがRaまたはRcが結合した炭素と共同して二重結合を形成しており、RyがReまたはRgが結合した炭素と共同して二重結合を形成していることが好ましい。
式[V−I]または[V−II]で表される基としては、例えば、式[V−III]で表されるオクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル基、式[V−IV]で表されるテトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル基、式[V−V]で表されるオクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル基、式[V−VI]で表されるヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル基、式[V−VII]で表されるb,h−ジベンゾフルオレニル基が挙げられる。
Figure 0006783040
これらのフルオレニル基を含む式[A1]で表されるメタロセン化合物はいずれも非共役ポリエンの共重合能に優れる。Y1がケイ素原子である場合、2,7位2置換フルオレニル基、3,6位2置換フルオレニル基、2,3,6,7位4置換フルオレニル基、上記式[V−I]で表される2,3,6,7位4置換フルオレニル基を有するメタロセン化合物が特に優れる。Y1が炭素原子である場合、3,6位2置換フルオレニル基、2,3,6,7位4置換フルオレニル基、上記式[V−I]で表される2,3,6,7位4置換フルオレニル基を有するメタロセン化合物が特に優れる。
式[A1]で表されるメタロセン化合物の具体例としては、
1がケイ素原子の場合では、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)シリレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
が挙げられる。
1が炭素原子の場合では、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−t−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(4−ビフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(m−トリフルオロメチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジフェニル−3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルドデカヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルテトラヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(ヘキサメチルジヒドロジシクロペンタフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(2−ナフチル)メチレン(シクロペンタジエニル)(b,h−ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
が挙げられる。
メタロセン化合物の構造式の一例として、ジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(下記(A1−1))、および、ジ(p−クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(下記(A1−2))の構造式を以下に示す。これらの化合物が、要件(1)および(2)を満たすエチレン系共重合体を合成するうえで、特に好ましい。
Figure 0006783040
メタロセン化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせてもよい。
式[A1]で表されるメタロセン化合物は、特に限定されることなく任意の方法で製造することができる。例えば、J.Organomet.Chem.,63,509(1996)、国際公開第2005/100410号、国際公開第2006/123759号、国際公開第01/27124号、特開2004−168744号公報、特開2004−175759号公報、特開2000−212194号公報等に記載の方法に準拠して、前記化合物を製造することができる。
(メタロセン化合物を含む触媒)
本発明のエチレン系共重合体の製造に好適に用いることのできる重合触媒としては、
(a)前記式[A1]で表されるメタロセン化合物と、
(b)(b−1)有機金属化合物、(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(b−3)前記メタロセン化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
さらに必要に応じて、
(c)担体
とを含む触媒が好ましい。
前記重合触媒は、必要に応じて、
(d)有機化合物成分
を含むこともできる。
以下、各成分について具体的に説明する。
〈有機金属化合物(b−1)〉
有機金属化合物(b−1)としては、例えば、下記式[bI]〜[bIII]で表される化合物等の、周期律表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が挙げられる。
(b−1a) 式 Ra mAl(ORbnpq ‥[bI] (式[bI]中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
このような化合物として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウム、イソブチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどを例示することができる。
(b−1b) 式 M2AlRa 4 ‥[bII] (式[bII]中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
このような化合物として、LiAl(C254、LiAl(C7154などを例示することができる。
(b−1c) 式 Rab3 ‥[bIII] (式[bIII]中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期律表第2族または第12族金属を有するジアルキル化合物。
有機金属化合物(b−1)の中では、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物が好ましい。有機金属化合物(b−1)は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合せて用いてもよい。
〈有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)
有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(b−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、中でも、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。有機アルミニウム化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合せて用いてもよい。
有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)の一態様であるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算でベンゼン100重量%に対して通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)としては、下記式[bIV]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 0006783040
〔式[bIV]中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R2〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。〕
前記式[bIV]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記式[bV]で表されるアルキルボロン酸と、
1−B(OH)2 ・・・[bV]
(式[bV]中、R1は前記式[bIV]におけるR1と同じ基を示す。)
有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
前記式[bV]で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。
これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(b−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。上記のような有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
〈メタロセン化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b−3)〉
メタロセン化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b−3)(以下「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。このようなイオン化イオン性化合物(b−3)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
具体的には、ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である)で示される化合物が挙げられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
イオン性化合物としては、例えば、下記式[bVI]で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006783040
(式[bVI]中、R1+としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。R2〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、
トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;
N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;
ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオン;
などが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
1+としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(N、N−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3、5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、例えばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、例えばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式[bVII]または[bVIII]で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。ここで、式中、Etはエチル基を示す。
Figure 0006783040
ボラン化合物として具体的には、例えば、
デカボラン;
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩
などが挙げられる。
カルボラン化合物として具体的には、例えば、4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1-カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム−2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル―7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が使用できるが、この限りではない。
イオン化イオン性化合物(b−3)の中では、上述のイオン性化合物が好ましく、その中でもトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートがより好ましい。
イオン化イオン性化合物(b−3)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
重合触媒として、上記式[A1]で表されるメタロセン化合物(a)と、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物(b−1)、メチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(b−2)、およびトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのイオン化イオン性化合物(b−3)から選ばれる少なくとも1種とを含むメタロセン触媒を用いると、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の製造に際して非常に高い重合活性を示すことができる。
〈担体(c)〉
担体(c)(微粒子状担体)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。無機化合物としては、例えば、SiO2および/またはAl23を主成分として含む多孔質酸化物、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等の無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が挙げられる。有機化合物としては、例えば、炭素数2〜14のα−オレフィンを主成分として含むモノマーから形成された重合体、スチレンを主成分として含むモノマーから形成された重合体、ビニルシクロヘキサンを主成分として含むモノマーから形成された重合体が挙げられる。
〈有機化合物成分(d)〉
有機化合物成分(d)は、必要に応じて重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の製造条件>
本発明のエチレン系共重合体は、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエンとを共重合することにより得ることができる。このようなモノマーを共重合させる際、前述した重合触媒を構成する各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、例えば、(1)メタロセン化合物(a)を単独で重合器に添加する方法、(2)メタロセン化合物(a)および化合物(b)を任意の順序で重合器に添加する方法、(3)メタロセン化合物(a)を担体(c)に担持した触媒成分、および化合物(b)を、任意の順序で重合器に添加する方法、(4)化合物(b)を担体(c)に担持した触媒成分、およびメタロセン化合物(a)を、任意の順序で重合器に添加する方法、(5)メタロセン化合物(a)と化合物(b)とを担体(c)に担持した触媒成分を、重合器に添加する方法が挙げられる。
上記(2)〜(5)の各方法においては、メタロセン化合物(a)、化合物(b)および担体(c)の少なくとも2つは予め接触されていてもよい。
化合物(b)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない化合物(b)を、任意の順序で添加してもよい。この場合において化合物(b)は、担体(c)に担持されている化合物(b)と同一でも異なっていてもよい。
また、担体(c)にメタロセン化合物(a)が担持された固体触媒成分、担体(c)にメタロセン化合物(a)および化合物(b)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
本発明において、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、上記のような重合触媒の存在下に、モノマーを共重合することにより好適に得ることができる。
上記のような重合触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、メタロセン化合物(a)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-8モルになるような量で用いられる。
化合物(b−1)は、化合物(b−1)と、メタロセン化合物(a)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−1)/M〕が、通常0.01〜50000、好ましくは0.05〜15000となるような量で用いられる。化合物(b−2)は、化合物(b−2)中のアルミニウム原子と、メタロセン化合物(a)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−2)/M〕が、通常10〜50000、好ましくは20〜10000となるような量で用いられる。化合物(b−3)は、化合物(b−3)と、メタロセン化合物(a)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−3)/M〕が、通常1〜20、好ましくは1〜15となるような量で用いられる。
本発明において、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を製造する方法は、溶液(溶解)重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施可能であり、特に限定されないが、下記重合反応液を得る工程を有することが好ましい。
重合反応液を得る工程とは、重合溶媒を用いて、重合触媒の存在下に、エチレンと、α−オレフィンと、非共役ポリエンとを含むモノマーを共重合し、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の重合反応液を得る工程である。
重合溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素が挙げられる。具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられ、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。なお、これらのうち、得られるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体との分離、精製の観点から、ヘキサンが好ましい。
また、重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜+200℃、より好ましくは+80〜+200℃であり、用いる重合触媒の重合活性によるが、より高温(+80℃以上)であることが、触媒活性、共重合性および生産性の観点から望ましい。
重合圧力は、通常は常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。本発明ではこのうち、モノマーを連続して反応器に供給して共重合を行う方法を採用することが好ましい。
反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは5分間〜3時間である。
得られるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の分子量は、重合系内に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する化合物(b)の量により調節することもできる。具体的には、トリイソブチルアルミニウム、メチルアルミノキサン、ジエチル亜鉛等が挙げられる。水素を添加する場合、その量はモノマー1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの使用モル比(エチレン/α−オレフィン)は、通常は40/60〜99.9/0.1、好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは55/45〜80/20である。
非共役ポリエンの使用量は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとの合計(全モノマー使用量)100質量%中、通常は0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜8.0質量%、特に好ましくは0.5〜5.0質量%である。
[組成物]
本発明の組成物は、上述した要件(1)および(2)を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(以下「エチレン系共重合体(A)」ともいう)を含有する。本発明の組成物は、エチレン系共重合体(A)を2種以上含有してもよい。
本発明の組成物において、エチレン系共重合体(A)の含有割合は、通常は12質量%以上、好ましくは15〜90質量%、より好ましくは20〜60質量%、特に好ましくは25〜55質量%である。エチレン系共重合体(A)の含有割合が前記範囲にあると、耐疲労性に優れた架橋体を形成する点で好ましい。
《その他の成分》
本発明の組成物は、目的に応じて、エチレン系共重合体(A)以外の他のポリマーをさらに含有してもよい。また、本発明の組成物は、目的に応じて、架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤、加硫助剤、軟化剤、無機充填剤、補強剤、老化防止剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、増粘剤および発泡剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有してもよい。それぞれの添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〈他のポリマー〉
本発明の組成物は、エチレン系共重合体(A)以外に、他のポリマーを含有してもよい。架橋が必要な他のポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等の架橋性ゴムが挙げられる。架橋が不要な他のポリマーとしては、例えば、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体(SBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン(SEBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン(SEPS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩ビ系エラストマー(TPVC)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、その他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等のエラストマーが挙げられる。他のポリマーの含有量は、エチレン系共重合体(A)100質量部に対して、通常は50質量部以下、好ましくは20質量部以下である。
〈架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤および加硫助剤〉
本発明の組成物は、架橋剤をさらに含有することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、ゴムを架橋する際に一般的に使用される架橋剤が挙げられ、具体的には、過酸化物、硫黄系化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、ヒドロシリコーン系化合物が挙げられる。これらの中でも、架橋体が架橋剤自体の構造の影響を受けないという観点から、過酸化物が好ましい。
過酸化物としては、例えば、有機過酸化物が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシカーボネート、パーオキシジカーボネート、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドが挙げられ、具体的には、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジアセチルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートが挙げられる。
架橋剤として過酸化物を用いる場合、組成物中の過酸化物の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は0.1〜20質量部、好ましくは0.15〜15質量部、さらに好ましくは0.15〜10質量部である。過酸化物の配合量が上記範囲内であると、得られる架橋体表面へのブルームがなく、組成物が優れた架橋特性を示す。
架橋剤として過酸化物を用いる場合、架橋助剤を併用することが好ましい。
架橋助剤としては、例えば、イオウ;p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;マレイミド系架橋助剤;ジビニルベンゼン;酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種、ハクスイテック(株)製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META−Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)等の金属酸化物が挙げられる。
架橋助剤を用いる場合、組成物中の架橋助剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は0〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部である。
硫黄系化合物(加硫剤)としては、例えば、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレンが挙げられる。
架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合、組成物中の硫黄系化合物の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜7.0質量部、さらに好ましくは0.7〜5.0質量部である。硫黄系化合物の配合量が上記範囲内であると、得られる架橋体表面へのブルームがなく、組成物が優れた架橋特性を示す。
架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合、加硫促進剤を併用することが好ましい。
加硫促進剤としては、例えば、チアゾール系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、アルデヒドアミン系加硫促進剤、イミダゾリン系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオ酸塩系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、ザンテート系加硫促進剤が挙げられる。
加硫促進剤を用いる場合、組成物中の加硫促進剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。加硫促進剤の配合量が上記範囲内であると、得られる架橋体表面へのブルームがなく、組成物が優れた架橋特性を示す。
架橋剤として硫黄系化合物を用いる場合、加硫助剤を併用することができる。
加硫助剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛華が挙げられる。
加硫助剤を用いる場合、組成物中の加硫助剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される架橋が必要な他のポリマー(架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は1〜20質量部である。
〈軟化剤〉
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)が挙げられ、これらの中でも、石油系軟化剤が好ましく、プロセスオイルが特に好ましい。
組成物が軟化剤を含有する場合には、軟化剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は2〜100質量部、好ましくは10〜100質量部である。
〈無機充填剤〉
無機充填剤としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーが挙げられる。
組成物が無機充填剤を含有する場合には、無機充填剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は2〜100質量部、好ましくは5〜100質量部である。無機充填剤の配合量が上記範囲内であると、組成物の混練加工性が優れており、機械特性に優れた架橋体を得ることができる。
〈補強剤〉
補強剤としては、例えば、カーボンブラック、シランカップリング剤で表面処理したカーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微分ケイ酸が挙げられる。
組成物が補強剤を含有する場合には、補強剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は5〜300質量部、好ましくは10〜100質量部である。
〈老化防止剤(安定剤)〉
本発明の組成物に、老化防止剤(安定剤)を配合することにより、これから形成される架橋体の寿命を長くすることができる。このような老化防止剤として、従来公知の老化防止剤、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などがある。
組成物が老化防止剤を含有する場合には、老化防止剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜7.0質量部である。老化防止剤の配合量が上記範囲内であると、得られる架橋体表面のブルームがなく、さらに加硫阻害の発生を抑制することができる。
〈加工助剤〉
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。加工助剤としては、例えば、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸塩、リシノール酸エステル、ステアリン酸エステル、パルチミン酸エステル、ラウリン酸エステル類等の脂肪酸エステル類、N−置換脂肪酸アミドなどの脂肪酸誘導体が挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸が好ましい。
組成物が加工助剤を含有する場合には、加工助剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は10質量部以下、好ましくは8.0質量部以下である。
〈活性剤〉
活性剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物が挙げられる。
組成物が活性剤を含有する場合には、活性剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は0.2〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部である。
〈吸湿剤〉
吸湿剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンが挙げられる。
組成物が吸湿剤を含有する場合には、吸湿剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は0.5〜15質量部、好ましくは1.0〜12質量部である。
〈発泡剤〉
本発明の組成物から形成される架橋体は、非発泡体であってもよいし、発泡体であってもよい。発泡体形成に際して発泡剤を使用することができ、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機系発泡剤;N,N’−ジニトロテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)ジフェニルスルフォン−3,3’−ジスルフェニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルスルホニルアジド、パラトルエンスルホニルアジド等のアジド化合物が挙げられる。
組成物が発泡剤を含有する場合には、発泡剤の配合量は、架橋発泡後の発泡体の比重が通常は0.01〜0.9になるよう適宜選択される。発泡剤の配合量は、エチレン系共重合体(A)および必要に応じて配合される他のポリマー(エラストマー、架橋性ゴム等)の合計100質量部に対して、通常は0.5〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。
《組成物の調製方法》
本発明の組成物を用いることにより、耐疲労性に優れる架橋体を形成することができる。本発明の組成物は、エチレン系共重合体(A)と、必要に応じて配合されるその他の成分(例:他のポリマー、添加剤)とを、例えば、ミキサー、ニーダー、ロール等の混練機を用いて所望の温度で混練することにより調製することができる。
具体的には、ミキサー、ニーダー等の従来公知の混練機を用いて、エチレン系共重合体(A)および必要に応じてその他の成分1を所定の温度および時間、例えば80〜200℃で1〜30分間、で混練した後、得られた混練物に必要に応じて架橋剤等のその他の成分2を加えて、ロールを用いて所定の温度および時間、例えばロール温度30〜80℃で1〜30分間、で混練することにより、本発明の組成物を調製することができる。
その他の成分1としては、例えば、他のポリマー、架橋助剤、加硫促進剤、加硫助剤、軟化剤、無機充填剤、補強剤、老化防止剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤および増粘剤から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。その他の成分2としては、例えば、架橋剤(加硫剤)と、必要に応じて、架橋助剤、加硫促進剤、加硫助剤、軟化剤、無機充填剤、補強剤、老化防止剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、増粘剤および発泡剤から選ばれる少なくとも1種とが挙げられる。
[架橋体]
本発明の組成物から架橋体を製造する方法としては、例えば、前記組成物(未架橋型組成物)を、所望の形状に成形し、この成形と同時または成形後に、前記組成物を架橋処理する方法が挙げられる。
例えば、(I)エチレン系共重合体(A)および架橋剤を含む本発明の組成物を用い、所望の形状に成形し、および加熱処理して架橋する方法、(II)本発明の組成物を、所望の形状に成形し、および電子線を照射して架橋する方法が挙げられる。
上記成形では、押出成形機、カレンダーロール、プレス成形機、射出成形機、トランスファー成形機等を用いて、本発明の組成物を所望の形状に成形する。成形体の形状としては、例えば、シート状が挙げられる。例えばシート状成形体の厚さは特に限定されないが、好ましくは0.5〜5mm、より好ましくは0.8〜3mmである。
上記(I)の方法では、成形と同時または成形後に、その成形体を、例えば50〜200℃で1〜120分間加熱する。この加熱により、架橋処理を行い、または架橋処理とともに発泡処理を行う。
上記(II)の方法では、成形と同時または成形後に、その成形体に対して、0.1〜10MeVのエネルギーを有する電子線を、吸収線量が通常は0.5〜35Mrad、好ましくは0.5〜20Mradになるように照射する。
以上の様にして、架橋体を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は前記実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り「部」は「質量部」を示す。
[製造例1]
国際公開第2013/054882号の実施例1に準じて共重合体の合成を行うことにより、エチレン、プロピレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)から形成されたエチレン・プロピレン・ENB共重合体(以下「EPDM1」ともいう)が得られた。
[製造例2]
特開平11−005818号公報の実施例1に準じて共重合体の合成を行うことにより、エチレン、プロピレンおよび5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)から形成されたエチレン・プロピレン・VNB共重合体(以下「EPDM2」ともいう)が得られた。
[製造例3]
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて、連続的に、エチレン、プロピレンおよび5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)の重合反応を87℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量:32.6L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が3.6kg/h、プロピレンフィード量が6.1kg/h、VNBフィード量が290g/hおよび水素フィード量が6.3NL/hとなるように、重合器に連続供給した。
重合圧力を1.6MPaG、重合温度を87℃に保ちながら、主触媒としてジ(p−トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを用いて、フィード量が0.0015mmol/hとなるよう、重合器に連続的に供給した。共触媒として(C65)3CB(C65)4をフィード量が0.0075mmol/hとなるように、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフィード量が20mmol/hとなるように、それぞれ重合器に連続的に供給した。
このようにして、エチレン、プロピレンおよびVNBから形成されたエチレン・プロピレン・VNB共重合体を15.2質量%含む溶液が得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてエチレン・プロピレン・VNB共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上の操作によって、エチレン、プロピレンおよびVNBから形成されたエチレン・プロピレン・VNB共重合体(以下「EPDM3」ともいう)が得られた。
得られたEPDMの物性を下記記載の方法で測定した。結果を表1に示す。
[各構造単位の含有量]
エチレン系共重合体の、各構造単位の含有量(質量%)およびエチレン単位とα−オレフィン単位とのモル比は、13C−NMRによる測定値により求めた。測定値は、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13C−NMRのスペクトルを測定して得た。
[極限粘度]
エチレン系共重合体の極限粘度[η](dl/g)は、(株)離合社製全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
[ヨウ素価]
エチレン系共重合体のヨウ素価は、滴定法により測定した。
Figure 0006783040
[実施例1A〜2A、比較例1A〜4Aにおける使用試薬]
・DCP:日本油脂株式会社製 パークミルD
[実施例1A〜2A、比較例1A〜4A:試料の作製]
表2に示す配合処方に従い、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と架橋剤(有機過酸化物としてパークミルD:ジクミルパーオキサイド)とを、6インチロールを用いて、ロール温度を前ロール/後ロール=50℃/50℃、ロール周速を前ロール/後ロール=18rpm/15rpm、ロール間隙を2.5mm、混練時間を8分間の混練条件で混練し分出した。次いで、混練した材料を、50tプレス成形機(KMF50−1E、コータキ精機(株)製)を用いて180℃で10分間プレス成形することにより、厚さ約1mmのシート状試料を得た。
シート状試料を直径1.2mmの丸型に切り取った後、丸底フラスコに充分量のキシレンと共に入れた。ここで充分量のキシレンとは、試料1g当たり100mLのキシレンのことである。その後、140℃で3時間還流操作を行った。還流操作終了後、試料を取り出し、シャーレ上に静置して室温で1日間乾燥させた。その後、真空に保ったデシケーターに試料を移し、室温・真空下で43時間乾燥させた。乾燥終了後、試料をフッ素樹脂製容器に移し、重水素化キシレンに室温で3日間浸漬して膨潤させた試料を小角中性子散乱測定用試料とした。重水素化キシレンで膨潤させた試料を試料ホルダーに固定し、次の条件にて中性子線を試料に照射し、小角中性子散乱測定を行った。
・測定装置:大強度陽子加速施設J−PARC(茨城県)の物質・生命科学研究施設MLFに設置されている産業利用ビームラインiMATERIA
・入射中性子線:パルス中性子線
・検出器:iMATERIA小角検出器バンク
・測定範囲:q=0.2nm-1からq=5nm-1
・測定温度:室温(25℃)
得られた散乱強度曲線I(q)について上記式(A)を用いて、0.2〜4.2nm-1の範囲でカーブフィッティングを行い、フィッティングパラメーターを求めた。カーブフィッティングにはデータ解析ソフトウェアであるWaveMetrics社製Igor Proを用いた。結果を表2および図1に示す。図1は、実施例1Aについての散乱強度曲線I(q)およびカーブフィッティングの結果である。得られたパラメーターを上記式(2)および(3)に代入して、架橋網目構造の不均一構造サイズbおよび不均一構造量cを得た。
また、シート状試料を20mm×20mm×2mmtのサイズに切り取った後、JIS K6258(1993)に従い、トルエンに37℃×72時間浸漬して膨潤させ、Flory−Rehnerの式(B)により、有効網目鎖密度を算出した。
Figure 0006783040
式(B)中、ν(個/cm3)は有効網目鎖密度であり、純ゴム1cm3中の有効網目鎖の数であり、VRは膨潤した架橋ゴム中の純ゴムの容積分率であり、V0は溶剤の分子容であり、μはゴム−溶剤間の相互作用定数=0.49であり、Aはアボガドロ数である。
以上の結果を表2に示す。
Figure 0006783040
[実施例1B]
第1段階として、BB−2型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、製造例3で得られたエチレン・プロピレン・VNB共重合体(EPDM3)100部を30秒間素練りし、次いでこれに、架橋助剤として酸化亜鉛「META−Z102」(商品名;井上石灰工業(株)製)を10部、加工助剤としてステアリン酸を1部、補強剤としてシースト116(MAF)(商品名;東海カーボン(株)製)を5部、親水性フュームドシリカ「AEROSIL200」(商品名;日本アエロジル社製)を30部、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル「ダイアナプロセスオイルPW−380」(商品名;出光興産(株)製)を50部の配合量で加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で排出し、第1段階の配合物を得た。
次に、第2段階として、第1段階で得られた配合物を、8インチロ−ル(日本ロール(株)製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、架橋剤としてジクミルパーオキサイド(カヤクミルD−40C、化薬アクゾ社製)5.0部を加え、10分間混練して、未架橋のゴム配合物を得た。
このゴム配合物をシート状に分出し、100tプレス成形機を用いて170℃で15分間プレスし、厚さ2mmの架橋ゴムシートを製造した。これを用いて、架橋ゴム物性の評価を行った。
[実施例2B、比較例1B〜2B]
表3に示す配合処方に従いゴム配合物を調製したこと以外は実施例1Bと同様に行い、厚さ2mmの架橋ゴムシートを製造した。これを用いて、架橋ゴム物性の評価を行った。
〔硬度試験(Durometer−A)〕
上記で得られた厚さ2mmの架橋ゴムシートの平らな部分を重ねて厚さ12mmのシートとし、JIS K6253に従い、硬度(JIS−A)を測定した。
〔引張試験〕
上記で得られた厚さ2mmの架橋ゴムシートについて、JIS K6251に従い、測定温度23℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、伸び率が25%であるときの引張応力(25%モジュラス(M25))、伸び率が50%であるときの引張応力(50%モジュラス(M50))、伸び率が100%であるときの引張応力(100%モジュラス(M100))、伸び率が200%であるときの引張応力(200%モジュラス(M200))、伸び率が300%であるときの引張応力(300%モジュラス(M300))、破断時強度(TB)および破断伸び(EB)を測定した。
〔屈曲疲労試験〕
上記で得られた厚さ2mmの架橋ゴムシートについて、JIS K6260(屈曲判定法)に従い、屈曲疲労試験を行い、亀裂について以下の基準で評価をした。6級に至ったとき、測定を停止した。
1級:肉眼で「針穴」のような亀裂が見られる場合、
「針穴」10個、またはそれ以下のとき。
2級:次のいずれかに相当する場合
1)「針穴」が11個以上のとき。
2)「針穴」が10個以下のときでも「針穴」より大きな亀裂が1個、
またはそれ以上あるときで亀裂長さが0.5mm未満のとき。
3級:「針穴」が1個でも亀裂長さが0.5mm以上、1.0mm未満のとき。
4級:亀裂長さが1.0mm以上、1.5mm未満のとき。
5級:亀裂長さが1.5mm以上、3.0mm未満のとき。
6級:亀裂長さが3.0mm以上のとき。
Figure 0006783040
〔要件(1)および(2)による評価〕
Flory−Rehner法では、有効網目鎖密度を得ることができるが、架橋網目構造の不均一性という点までは把握することはできない。一方、小角中性子散乱法では、架橋体の不均一構造サイズおよび不均一構造量を得ることができ、より詳しい解析が可能である。
実施例1A〜2Aおよび比較例1A〜4Aで得られた過酸化物架橋体について、EPDM100質量部あたりの過酸化物の配合量(質量部)に対して、不均一構造量cをプロットしたグラフを図2に示し、不均一構造サイズbをプロットしたグラフを図3に示す。
実施例1B〜2Bおよび比較例1B〜2Bでの屈曲疲労試験の結果から、小角中性子散乱法で求まる不均一構造量cおよび過酸化物(PO)配合量が、0≦c≦−30×「上記共重合体100質量部あたりの過酸化物(PO)配合量(質量部)」+30を満たし、且つ、小角中性子散乱法で求まる不均一構造サイズbおよび過酸化物(PO)配合量が、0≦b[Å]≦−7.5×「上記共重合体100質量部あたりの過酸化物(PO)配合量(質量部)」+25を満たすEPDMを用いた場合(すなわちEPDM3を用いた実施例1B、2Bの場合)、耐疲労性に優れた架橋体が得られることがわかる。一方、これらの要件を満たさないEPDMを用いた場合(すなわちEPDM1または2を用いた比較例1B〜2Bの場合)、耐疲労性は満足できる結果ではなかった。
したがって、上述した要件(1)および(2)を満たすエチレン系共重合体を用いることにより、耐疲労性に優れた架橋体を得ることができることがわかる。

Claims (5)

  1. 以下の要件(1)および(2)を満たし、エチレン由来の構造単位と炭素数3〜20のα−オレフィン由来の構造単位とのモル比(エチレン単位/α−オレフィン単位)が、50/50〜90/10であり、非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量が、共重合体100質量%中、0.1〜5.0質量%であり、前記非共役ポリエンが、5−エチリデン−2−ノルボルネンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体。
    上記共重合体を過酸化物を用いて下記(10)に記載の条件で架橋してシート状架橋体を得て、得られた架橋体について小角中性子散乱法により不均一構造量cおよび不均一構造サイズbを求めた場合において、(1)不均一構造量cおよび過酸化物配合量が式(1a)を満たし、(2)不均一構造サイズbおよび過酸化物配合量が式(2a)を満たす。ここで、不均一構造サイズbおよび不均一構造量cは、それぞれ、前記小角中性子散乱法で得られた散乱強度曲線I(q)を、式(A)によりカーブフィッティングすることにより得られるパラメーターΞ、Iξ(0)およびIΞ(0)から、式(2)および(3)を用いて得られた値である。
    Figure 0006783040
    Figure 0006783040
    [式(A)および(1)〜(3)中、θは散乱角(rad)であり、λは中性子線の波長(nm)であり、Iξ(0)、IΞ(0)、ξ、ΞおよびIincはフィッティングパラメーターである。]
    (10):前記エチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と過酸化物であるジクミルパーオキサイドとをロール混練機にて混練し、次いで、混練した材料を、180℃で10分間プレス成形することにより、厚さ約1mmのシート状架橋体を得る。
  2. 前記炭素数3〜20のα−オレフィンが、炭素数3〜8のα−オレフィンである、請求項1に記載のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体。
  3. 前記炭素数3〜20のα−オレフィンが、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン・炭素数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有する組成物。
  5. 請求項4に記載の組成物を架橋して得られる架橋体。
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