JP6054664B2 - 太陽電池用封止膜、及びその選定方法 - Google Patents

太陽電池用封止膜、及びその選定方法 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン−極性モノマー共重合体を主成分とする太陽電池用封止膜に関し、特に、600V以上の高いシステム電圧を有する太陽光発電設備の太陽電池モジュールにおけるPID(Potential Induced Degradation)現象の発生を抑制できる太陽電池用封止膜に関する。
従来から、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を電気エネルギーに直接変換する太陽電池が広く使用されている。近年、1MW以上の出力を有するメガソーラーと呼ばれる大規模太陽光発電設備が増加しており、送電系の効率化等の理由から高いシステム電圧が要求され、システム電圧が600V以上、特に1000V以上のメガソーラーも建設されている。
最近、このような高いシステム電圧の太陽光発電設備において、従来の太陽電池モジュールには見られなかった、PID(Potential Induced Degradation)現象と呼ばれる太陽電池モジュールの性能劣化が発生することが問題となっている。PID現象とは、太陽電池モジュールの内部回路で電荷の分極が生じ、セル内部での電子の移動が妨げられることで出力の著しい低下が起こる現象である。これは、システム電圧が高電圧化した太陽光発電設備においては、接地されたフレームと太陽電池モジュール内部回路との間に大きな電位差が発生するようになり、これに湿度、温度等の外部要因が作用し、モジュールの内部回路とフレーム間に漏れ電流が生じることが原因といわれている。PID現象は太陽電池モジュールの各部材の相互作用により発生するため、その発生を抑制するための条件等については未だ明らかになっていない。
太陽電池モジュールは、一般に、図1に示すように、ガラス基板などからなる表面側透明保護部材11、表面側封止膜13A、シリコン結晶系発電素子などの太陽電池用セル14、裏面側封止膜13B、及び裏面側保護部材(バックカバー)12をこの順で積層し、減圧下で脱気した後、加熱加圧して表面側封止膜13A及び裏面側封止膜13Bを架橋硬化させて接着一体化することにより製造される。
太陽電池モジュールは、高い電気出力を得るために、通常、インターコネクタ15により複数の太陽電池用セル14を接続して用いられ、太陽電池用セル14の絶縁性を確保するために絶縁性の高い封止膜13A、13Bが用いられている。
また、薄膜シリコン系、薄膜アモルファスシリコン系太陽電池、セレン化銅インジウム(CIS)系太陽電池等の薄膜太陽電池モジュールの開発も進められており、この場合は、例えば、ガラスやポリイミド基板等の透明基板の表面に化学気相蒸着法等により半導体層等の発電素子層が形成され、その上に封止膜等を積層し、接着一体化することで製造される。
従来から、これらの太陽電池モジュールに用いられる封止膜としては、エチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAともいう)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)等のエチレン−極性モノマー共重合体からなるフィルムが用いられている。特に、安価であり、高い透明性を有することからEVAフィルムが好ましく用いられている。そして、封止膜用のエチレン−極性モノマー共重合体フィルムには、封止膜の膜強度、耐久性、耐候性、接着性等を向上させるため、必要に応じて、架橋密度を向上させる有機過酸化物等の架橋剤等が配合される(例えば、特許文献1)。
特開平6−177412号公報
上述のように、高いシステム電圧の太陽光発電設備において、PID現象の発生を抑制することは、安定した発電出力を得るために極めて重要である。そして、PID現象は太陽電池モジュールの各部材の相互作用により発生することから、太陽電池用セルや薄膜太陽電池用発電素子(本発明において、これらを総称して太陽電池素子ともいう)を封止する太陽電池用封止膜の選定についても、PID現象の発生抑制のために重要であると考えられる。
従って、本発明の目的は、600V以上の高いシステム電圧の太陽光発電設を構成する太陽電池モジュール用の太陽電池用封止膜であって、PID現象の発生を抑制することができる太陽電池用封止膜を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記PID現象の発生を抑制することができる太陽電池用封止膜の選定方法を提供することにある。
本発明者らは、上述のPID現象の発生を抑制できる太陽電池用封止膜を選定するために種々の条件を検討したところ、太陽電池用封止膜が所定レベル以上の高い絶縁性を有していればPID現象が発生し難いことを見出し、本発明に至った。
即ち、上記目的は、システム電圧が600V以上の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールに用いる太陽電池用封止膜であって、エチレン−極性モノマー共重合体、架橋剤及びシランカップリング剤を含む組成物の架橋硬化膜からなり、架橋硬化後の太陽電池用封止膜の温度25℃における体積抵抗率(ρv[Ω・cm])(JIS K6911−1995準拠)と当該太陽電池用封止膜の厚さ(t[cm])の積(ρv・t)が、7.42×10 13 〜1.94×10 14 であり、前記エチレン−極性モノマー共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、前記架橋剤は、有機過酸化物であり、前記組成物において、前記架橋剤の含有量が前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.1〜1.4質量部であることを特徴とする太陽電池用封止膜によって達成される。ρv・tの値は、7.0×1013以上が好ましく、1.0×1014以上が更に好ましい。PID現象の発生を抑制するためにはρv・tの値は高い程良く、上限には特に制限はない。但し、太陽電池用封止膜の透明性や加工性等を考慮すると、ρv・tの値は、1.0×1016以下が好ましい。
本発明に係わる太陽電池用封止膜の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記太陽光発電設備のシステム電圧が1000V以上である。よりPID現象が生じ易い太陽光発電設備であり、本発明の太陽電池用封止膜がより有効である
(2)前記架橋剤が、有機過酸化物である。接着性、透明性等に優れる封止膜とすることができる。
)前記組成物が、更に架橋助剤を含む。より接着性に優れる封止膜とすることができる。
)前記架橋硬化後の太陽電池用封止膜の厚さが、0.4〜1.0mmである。加工性に優れる。
)太陽電池モジュールの太陽電池素子と表面側透明保護部材との間に配置し、太陽電池素子を封止するために用いる表面側封止膜である。
後述する実施例(参考例)で示すように、本発明の太陽電池用封止膜は、太陽電池素子の受光面側を封止する表面側封止膜に用いた場合に、PID現象の発生を効果的に抑制することができる。なお、本発明において、太陽電池素子の光が照射される側(受光面側)を「表面側」と称し、太陽電池素子の受光面とは反対面側を「裏面側」と称する。
また、上記目的は、エチレン−極性モノマー共重合体及び架橋剤を含む組成物を架橋硬化して得られる太陽電池用封止膜であり、システム電圧が600V以上の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールに用いる太陽電池用封止膜を選定する方法であって、前記架橋硬化後の太陽電池用封止膜の温度25℃における体積抵抗率(ρv[Ω・cm])(JIS K6911−1995準拠)、及び当該太陽電池用封止膜の厚さ(t[cm])を測定し、当該体積抵抗率(ρv)と厚さ(t)の積(ρv・t)が、5.0×1013以上の太陽電池用封止膜を選定することを特徴とする方法によって達成される。これにより、高いシステム電圧の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールにおいて、PID現象の発生を抑制するために適した高い絶縁性を有する太陽電池用封止膜を容易に選定することができる。
本発明によれば、高いシステム電圧の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールにおいて、PID現象の発生を抑制することができる太陽電池用封止膜を提供できるので、大規模太陽光発電設備における発電出力の安定化に寄与することができる。
一般的な太陽電池モジュール製造時の積層体の概略断面図である。 一般的な太陽電池モジュールの概略断面図である。
本発明の太陽電池用封止膜は、システム電圧が600V以上の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールに用いる太陽電池用封止膜である。そして、エチレン−極性モノマー共重合体及び架橋剤を含む組成物の架橋硬化膜からなり、架橋硬化後の太陽電池用封止膜の温度25℃における体積抵抗率(ρv[Ω・cm])(JIS K6911−1995準拠)と当該太陽電池用封止膜の厚さ(t[cm])の積(ρv・t)が、 5.0×1013以上であることを特徴とする。このような高い絶縁性を有する太陽電池用封止膜であれば、高いシステム電圧の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールにおいて問題となるPID現象の発生を抑制することができる。この要因は明らかではないが、太陽電池モジュール内の太陽電池素子と保護部材間の絶縁性を所定のレベル以上に高めることで、モジュールの内部回路と接地されたフレーム間の漏れ電流の発生を抑制し、内部回路における電荷の分極を防止することができるものと考えられる。
ρv・tの値は、7.0×1013以上が好ましく、1.0×1014以上が更に好ましい。PID現象の発生を抑制するためにはρv・tの値は高い程良く、上限には特に制限はない。但し、太陽電池用封止膜の透明性や加工性等を考慮すると、ρv・tの値は 1.0×1016以下が好ましい。
PID現象は、太陽光発電設備のシステム電圧が高い程、モジュールの内部回路と接地されたフレーム間の電位差が大きくなるため、発生し易くなる。従って、最近、建設されている1000V以上のシステム電圧の太陽光発電設備の場合は、よりPID現象が発生する可能性が高くなっている。本発明の太陽電池用封止膜は、フレーム間の電位差が大きくても、PID現象の発生を抑制できるので、システム電圧が1000V以上の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールに用いることが好ましい。太陽光発電設備のシステム電圧の上限は特に制限はないが、現状のシステムでは1500〜2000Vである。
以下に、本発明の太陽電池用封止膜についてより詳細に説明する。
太陽電池用封止膜のρv・tの値は、封止膜を形成する組成物の配合、架橋硬化条件及び封止膜の厚さに依存する。上記のρv・tの値を有する太陽電池用封止膜を形成するための組成物に係る各種材料を以下に示す。
[エチレン−極性モノマー共重合体]
本発明において、エチレン−極性モノマー共重合体の極性モノマーは、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル、そのアミド、ビニルエステル、一酸化炭素等を例示することができる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属の塩やマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、一酸化炭素、二酸化硫黄等の一種又は二種以上などを例示することができる。
エチレン−極性モノマー共重合体として、より具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体及びそのカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなエチレン−ビニルエステル共重合体等を代表例として例示することができる。
本発明において、エチレン−極性モノマー共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が特に好ましい。これにより、安価であり、より透明性、加工性に優れた太陽電池用封止膜とすることができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量は、EVAに対して20〜35質量%、さらに22〜30質量%、特に24〜28質量%とするのが好ましい。EVAの酢酸ビニルの含有量が低すぎると、得られる封止膜が硬くなり、封止膜の透明性が低くなる恐れがある。また、高過ぎると封止膜の硬さが不十分で加工性が低下する場合がある。
本発明の太陽電池封止膜においては、エチレン−極性モノマー共重合体に加えて、さらにポリビニルアセタール系樹脂(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB)、塩化ビニル樹脂を副次的に使用しても良い。その場合、特にPVBが好ましい。
[架橋剤]
本発明の太陽電池用封止膜において、架橋剤は、エチレン−極性モノマー共重合体の架橋構造を形成することができるもので、封止膜の絶縁性を高めるともに、強度、接着性及び耐久性も向上することができる。架橋剤は、有機過酸化物又は光重合開始剤を用いることが好ましい。なかでも、接着力、透明性、耐湿性、耐貫通性の温度依存性が改善された太陽電池用封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
前記有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。
有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択され、特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。有機過酸化物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記有機過酸化物としては、樹脂の加工温度・貯蔵安定性の観点から例えば、ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、スクシニックアシドパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオイル+ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシド、tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサン、tert−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであればいずれも使用可能であるが、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが好ましく、調製条件、成膜温度、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して適宜選択できる。使用可能なベンゾイルパーオキサイド系硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
有機過酸化物として、特に、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが好ましい。これにより優れた絶縁性を有する太陽電池用封止膜が得られる。
前記有機過酸化物の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜2量部、より好ましくは0.5〜2質量部、特に好ましくは1〜2質量部である。前記有機過酸化物の含有量は、少ないと上記のρv・tの値を有する封止膜が得られない場合があり、多過ぎるとエチレン−極性モノマー共重合体との相溶性が悪くなる恐れがある。
また、光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタ−ルなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレ−トなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のような安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種単独または2種以上の混合で使用することができる。
前記光重合開始剤の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.5〜5.0質量部であることが好ましい。
[架橋助剤]
本発明の太陽電池用封止膜においては、その組成物中に、必要に応じて、さらに架橋助剤を含んでいてもよい。前記架橋助剤は、エチレン−極性モノマー共重合体のゲル分率を向上させ、封止膜の接着性及び耐久性を向上させることができ、更に絶縁性を向上できる。
前記架橋助剤の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して、一般に10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.5〜2.5質量部で使用される。これにより、接着性、絶縁性に優れる封止膜が得られる。
前記架橋助剤(官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等を挙げることができる。なかでも、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
[接着向上剤]
本発明の太陽電池用封止膜においては、その組成物中に、必要に応じて、さらに接着向上剤を含んでいても良い。接着向上剤としては、シランカップリング剤を用いることができる。これにより、優れた接着力を有する太陽電池用封止膜を形成することが可能となる。前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましく挙げられる。
前記シランカップリング剤の含有量はエチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.1〜0.7質量部、特に0.3〜0.65質量部であることが好ましい。
[その他]
本発明の太陽電池用封止膜においては、その組成物中に、封止膜の種々の物性(機械的強度、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、可塑剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
可塑剤としては、特に限定されるものではないが、一般に多塩基酸のエステル、多価アルコールのエステルが使用される。その例としては、ジオクチルフタレート、ジヘキシルアジペート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ブチルセバケート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジペラルゴネートを挙げることができる。可塑剤は一種用いてもよく、二種以上組み合わせて使用しても良い。可塑剤の含有量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して5質量部以下の範囲が好ましい。
アクリロキシ基含有化合物及びメタクリロキシ基含有化合物としては、一般にアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体であり、例えばアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルやアミドを挙げることができる。エステル残基の例としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドルフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプオピル基を挙げることができる。アミドの例としては、ジアセトンアクリルアミドを挙げることができる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルも挙げることができる。
エポキシ含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(エチレンオキシ)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテルを挙げることができる。
前記アクリロキシ基含有化合物、前記メタクリロキシ基含有化合物、または前記エポキシ基含有化合物は、それぞれエチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対してそれぞれ一般に0.5〜5.0質量部、特に1.0〜4.0質量部含まれていることが好ましい。
更に、本発明の太陽電池用封止膜は、その組成物中に、紫外線吸収剤、光安定剤および老化防止剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤を含むことにより、照射された光などの影響によってエチレン−極性モノマー共重合体が劣化し、シートが黄変するのを抑制することができる。紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく挙げられる。なお、上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の配合量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
また、光安定剤を含むことによっても、照射された光などの影響によってエチレン−極性モノマー共重合体が劣化し、封止膜が黄変するのを抑制することができる。光安定剤としてはヒンダードアミン系と呼ばれる光安定剤を用いることが好ましく、例えば、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63LA−63p、LA−67、LA−68(いずれも(株)ADEKA社製)、Tinuvin744、Tinuvin 770、Tinuvin 765、Tinuvin144、Tinuvin 622LD、CHIMASSORB 944LD(いずれもBASF社製)、UV−3034(B.F.グッドリッチ社製)等を挙げることができる。なお、上記光安定剤は、単独で使用しても、2種以上組み合わせて用いてもよく、その配合量は、エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.01〜5質量部であることが好ましい。
老化防止剤としては、例えばN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、ビタミンE系熱安定剤、イオウ系熱安定剤等が挙げられる。
[太陽電池用封止膜の形成]
上述した本発明の太陽電池用封止膜を形成するには、公知の方法に準じて行えばよい。例えば、上記の各材料をスーパーミキサー(高速流動混合機)、ロールミル等を用いて公知の方法で混合した組成物を通常の押出成形、又はカレンダ成形(カレンダリング)等により成形してシート状物を得る方法により製造することができる。また、前記組成物を溶剤に溶解させ、この溶液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状物を得ることもできる。尚、製膜時の加熱温度は、架橋剤が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、50〜90℃、特に40〜80℃とするのが好ましい。架橋硬化前の太陽電池用封止膜の厚さは、上記の架橋硬化後のρv・tの値を有する太陽電池用封止膜とするために、組成物の配合に応じて適宜調整することができる。加工性を考慮すると架橋硬化前の太陽電池用封止膜の厚さは、0.4〜2.0mmが好ましい(架橋硬化後の太陽電池用封止膜の厚さは、0.4〜1.0mmが好ましい)。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池用封止膜を用いる太陽電池モジュールの構造としては、本発明の太陽電池用封止膜を、太陽電池用素子(単結晶又は多結晶のシリコン結晶系の太陽電池用セルや薄膜太陽電池用発電素子を含む)と表面側透明保護部材及び/又は裏面側保護部材との間に配置して用い、太陽電池素子を封止した構造であれば、特に制限されない。太陽電池モジュールにおいて、太陽電池用素子を十分に封止するには、例えば、図1に示すように表面側透明保護部材11、表面側封止膜13A、太陽電池用セル14(インターコネクタ15により複数接続)、裏面側封止膜13B及び裏面側保護部材12を積層し、加熱加圧など常法に従って、封止膜を架橋硬化させればよい。
本発明の太陽電池用封止膜は、表面側封止膜13A及び裏面側封止膜13Bのどちらにも用いることができるが、後述する実施例(参考例)に示すように、特に表面側封止膜13Aに用いた場合に、より効果的に太陽電池モジュールのPID現象の発生を防止することができるので好ましい。
従って、裏面側封止膜13Bとしては、本発明の太陽電池用封止膜を用いても良く、裏面側封止膜に適した別の公知の太陽電池用封止膜を使用することもできる。
前記加熱加圧するには、例えば、前記積層体を、真空ラミネータで温度135〜180℃、さらに140〜180℃、特に155〜180℃、脱気時間0.1〜5分、プレス圧力0.1〜1.5kg/cm2、プレス時間5〜30分で加熱圧着すればよい。この加熱加圧時に、表面側封止膜13Aおよび裏面側封止膜13Bに含まれるEVA等のエチレン−極性モノマー共重合体を架橋させることにより、図2に示したように表面側封止膜(架橋硬化後)13Acおよび裏面側封止膜(架橋硬化後)13Bcを介して、表面側透明保護部材11、裏面側透明部材12、および太陽電池用セル14(インターコネクタ15により複数接続)を一体化させて、太陽電池用セル14を封止することができる。
また、本発明の太陽電池用封止膜は、薄膜シリコン系、薄膜アモルファスシリコン系太陽電池モジュール、セレン化銅インジウム(CIS)系太陽電池モジュール等の薄膜太陽電池モジュールの封止膜にも使用することもできる。この場合は、例えば、ガラス基板、ポリイミド基板、フッ素樹脂系透明基板等の表面側透明保護部材の表面上に化学気相蒸着法等により形成された薄膜太陽電池素子層上に裏面側封止膜、裏面側保護部材を積層し、接着一体化させた構造、裏面側保護部材の表面上に形成された薄膜太陽電池素子上に、表面側封止膜、表面側透明保護部材を積層し、接着一体化させた構造、又は表面側透明保護部材、表面側封止膜、薄膜太陽電池素子、裏面側封止膜、及び裏面側保護部材をこの順で積層し、接着一体化させた構造等が挙げられる。薄膜太陽電池モジュールの場合も、本発明の太陽電池易用封止膜を表面側封止膜として用いる構造が好ましい。
太陽電池モジュールに使用される表面側透明保護部材11は、通常珪酸塩ガラスなどのガラス基板であるのがよい。ガラス基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス基板は、一般に、化学的に、或いは熱的に強化させたものであってもよい。
裏面側保護部材12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルムが好ましく用いられる。また、耐熱性、耐湿熱性を考慮してフッ化ポリエチレンフィルム、特にフッ化ポリエチレンフィルム/Al/フッ化ポリエチレンフィルムをこの順で積層させたフィルムも好ましい。
インターコネクタ15は、通常、はんだめっき処理等を施した銅箔等が用いられる。また、太陽電池モジュールは、通常、図2に示すように機械的強度の補強のためにフレーム16が取り付けられる。フレーム16は、一般にアルミニウム系フレームが用いられる。
[太陽電池用封止膜の選定方法]
本発明の太陽電池用封止膜の選定方法は、エチレン−極性モノマー共重合体及び架橋剤を含む組成物を架橋硬化して得られる太陽電池用封止膜の内、システム電圧が600V以上の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールに用い、PID現象の発生を抑制できる太陽電池用封止膜を選定する方法である。そして、架橋硬化後の太陽電池用封止膜の温度25℃における体積抵抗率(ρv[Ω・cm])(JIS K6911−1995準拠)、及び当該太陽電池用封止膜の厚さ(t[cm])を測定し、その体積抵抗率(ρv)と厚さ(t)の積(ρv・t)が、5.0×1013以上の太陽電池用封止膜を選定することを特徴とする。これにより所定レベル以上の高い絶縁性を有する太陽電池用封止膜を容易に選定することができる。ρv・tの値が、7.0×1013以上、更には1.0×1014以上の太陽電池用封止膜を選定することが好ましい。
本発明においては、架橋硬化後の太陽電池用封止膜のρv・tの値を求めるため、太陽電池モジュールを作製する際の架橋条件と同条件で架橋硬化させた封止膜の試料を用いる。具体的には、例えば、架橋硬化前の太陽電池用封止膜のシートを2枚の剥離フィルム間に挟んで、上記の太陽電池モジュールの積層体の加熱加圧条件で、架橋硬化した後、剥離フィルムを除去した試料を用い、JIS K6911−1995に準拠して温度25℃における体積抵抗率(ρv)を測定し、且つ通常使用される厚さ測定機等を用いて、当該太陽電池用封止膜の厚さ(t)を測定する。体積抵抗率(ρv)の測定は、高抵抗領域の測定に対応した機種で測定することが好ましい。例えば、ハイレスタ−UP MCP−HT450型(三菱化学アナリテック社製)、測定プローブUR−100を用いて測定することができる。
なお、上記選定方法は、ρv・tの値が5.0×1013(好ましくは7.0×1013 、更に好ましくは1.0×1014)である太陽電池用封止膜について、体積抵抗率の測定時に得られた膜厚方向の抵抗値(R[Ω])を基準値として記録しておき、選定すべき太陽電池用封止膜の試料について、同条件で抵抗値(R)を測定し、前記基準値以上の抵抗値(R)を有する太陽電池用封止膜を選定することもできる。膜厚の測定を省略でき、より容易に太陽電池用封止膜を選定できる。なお、抵抗値(R)の測定値は、測定機器、測定プローブ、測定温度等によって異なる値であるので、同条件で測定した抵抗値(R)間でのみ比較できる数値である。
以下、本発明を実施例により説明する。
[実施例〜4、比較例1〜6、参考例3
表1に示す配合で各材料をロールミルに供給し、70〜100℃で、混練して太陽電池用封止膜組成物を調製した。前記太陽電池用封止膜組成物を、70〜100℃で、カレンダ成形し、放冷後、太陽電池用封止膜(架橋硬化前)を作製した。各封止膜の厚さは、架橋硬化後、表1に示した厚さの太陽電池用封止膜になるように調製した。
次いで、各封止膜を表面側封止膜、及び裏面側封止膜として用い、表面側透明保護部材(ガラス板)、裏面側保護部材(PETフィルム)間に太陽電池用セルを挟持し、太陽電池用セルを4個接続した太陽電池ミニモジュール(図1、2参照)を作製した。加熱加圧条件は、真空ラミネータにて温度155℃、脱気時間5分、プレス圧力1.0kg/cm2、プレス時間30分で加熱圧着した。
また、各封止膜(大きさ:100mmx100mm)を2枚の剥離PETフィルム間に挟み、同条件で加熱圧着し、架橋硬化後の太陽電池用封止膜の体積抵抗率(ρv[Ω・cm])及び厚さ(t[cm])測定用試料を作製した。
[参考例1及び2]
本発明の封止膜を表面側封止膜に用いた場合と裏面側封止膜に用いた場合との効果の違いを調べるため、表2に示したように表面側封止膜と裏面側封止膜に異なる封止膜を用いて太陽電池ミニモジュールを作製した。
[評価方法]
(1)出力保持率
PID現象を発生させるモデル試験として、水槽内に、作製した各太陽電池ミニモジュールを受光面側が下側になるように浸漬させ、温度60℃、相対湿度85%にて、短絡させたモジュールの出力端子を−極に接続し、+極は水槽内に配置した銅板に接続し、1000Vの電圧を24時間印加した。
上記試験前後で、各太陽電池ミニモジュールの最大出力(Pmax)を測定し、出力保持率((試験後Pmax/試験前Pmax)×100(%))を算出した。
出力保持率が98%以上であった太陽電池ミニモジュールについては、さらに、温度を85℃として、それ以外は同一条件にて上記試験を行った。
温度60℃、85℃の両方で出力保持率が98%以上を○、温度60℃で出力保持率が98%以上、且つ温度85℃で出力保持率が98%未満を△、温度60℃で出力保持率が98%未満を×とした。結果を表1に示す。
(2)体積抵抗率(ρv)
上記架橋硬化後の太陽電池用封止膜試料について、JIS K6911−1995に準拠し、ハイレスタ−UP MCP−HT450型(三菱化学アナリテック社製)、測定プローブUR−100を用いて、25℃における体積抵抗率(ρv[Ω・cm])を測定した。結果を表1に示す。なお、同装置により測定された抵抗値(R[Ω])を併記する。
(3)厚さ(t)
上記架橋硬化後の太陽電池用封止膜について、厚さ測定機(マイクロメーター)を用いて厚さ(t[cm])を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006054664
Figure 0006054664
[評価結果]
各太陽電池ミニモジュールの出力保持率の評価結果から、架橋硬化後の太陽電池用封止膜のρv・tの値が、5.0×1013以上の封止膜を用いた太陽電池ミニモジュールは、PID現象の発生が抑制されていることが認められた。また、実施例4のPID現象の発生の抑制効果がやや劣ることから、ρv・tの値が1.0×1014以上の封止膜がより好ましいことが示された。
また、参考例1及び2から、本発明の太陽電池用封止膜は、特に表面側封止膜に用いた場合に、より効果的に太陽電池モジュールのPID現象の発生を防止することができることが判った。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、高いシステム電圧の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールにおいて、PID現象の発生を抑制することができる太陽電池用封止膜を提供し、大規模太陽光発電設備における発電出力の安定化に寄与することができる。
11 表面側透明保護部材
12 裏面側保護部材
13A 表面側封止膜
13B 裏面側封止膜
14 太陽電池用セル
15 インターコネクタ
16 フレーム

Claims (8)

  1. システム電圧が600V以上の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールに用いる太陽電池用封止膜であって、
    エチレン−極性モノマー共重合体、架橋剤及びシランカップリング剤を含む組成物の架橋硬化膜からなり、
    架橋硬化後の太陽電池用封止膜の温度25℃における体積抵抗率(ρv[Ω・cm])(JIS K6911−1995準拠)と当該太陽電池用封止膜の厚さ(t[cm])の積(ρv・t)が、7.42×10 13 〜1.94×10 14 であり、
    前記エチレン−極性モノマー共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、
    前記架橋剤は、有機過酸化物であり、
    前記組成物において、前記架橋剤の含有量が前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.1〜1.4質量部であることを特徴とする太陽電池用封止膜。
  2. 前記太陽光発電設備のシステム電圧が1000V以上である請求項1に記載の太陽電池用封止膜。
  3. 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル含有量が、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体に対して24〜28質量%である請求項1又は2に記載の太陽電池用封止膜。
  4. 前記シランカップリング剤の含有量が、前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.1〜0.3質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  5. 前記組成物が、更に架橋助剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  6. 前記架橋硬化後の太陽電池用封止膜の厚さが、0.4〜1.0mmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  7. 太陽電池モジュールの太陽電池素子と表面側透明保護部材との間に配置し、太陽電池素子を封止するために用いる表面側封止膜である請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  8. エチレン−極性モノマー共重合体、架橋剤及びシランカップリング剤を含む組成物を架橋硬化して得られる太陽電池用封止膜であり、システム電圧が600V以上の太陽光発電設備を構成する太陽電池モジュールに用いる太陽電池用封止膜を選定する方法であって、
    前記エチレン−極性モノマー共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体であり、
    前記架橋剤は、有機過酸化物であり、
    前記組成物において、前記架橋剤の含有量が前記エチレン−極性モノマー共重合体100質量部に対して0.1〜1.4質量部であり、
    前記架橋硬化後の太陽電池用封止膜の温度25℃における体積抵抗率(ρv[Ω・cm])(JIS K6911−1995準拠)、及び当該太陽電池用封止膜の厚さ(t[cm])を測定し、当該体積抵抗率(ρv)と厚さ(t)の積(ρv・t)が、7.42×10 13 〜1.94×10 14 の太陽電池用封止膜を選定することを特徴とする方法。
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