JP2007269942A - オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体および発泡積層体 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体および発泡積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性、耐熱性、耐傷付性、耐摩耗性や柔軟性バランスに優れた、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体或いはオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体積層体を提供する。
【解決手段】シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)あるいは、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)を含み、発泡体の密度ρが700kg/m未満の範囲にあり、発泡体を50%圧縮し70℃オーブン中に22時間保持後の圧縮永久歪Csが60%未満のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体(B)。
【選択図】図2

Description

本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡体および発泡積層体に関する。
従来、自動車用ウエザーストリップスポンジ、隙間埋め材用発泡シート、建築用サッシシールスポンジ、管継ぎ手用シールスポンジ、プロテクトスポンジ、断熱スポンジチューブ等のエラストマーの発泡体を製造する方法として、天然ゴムあるいは合成ゴムに、補強剤、充填剤と軟化剤等を密閉式混練機で混練温度120〜180℃、混練時間3〜15分で混練後、この混練物を一旦室温付近まで冷却し、冷却した混練物に加硫剤、加硫促進剤と発泡剤を、練りロール機や密閉式混練機を使用し、早期加硫を起こさないように40〜100℃で混練し、発泡性混練物を得た後、所定の形状に成型して加熱することにより、加硫と発泡を同時に行ない発泡体を得るという方法が知られている。
しかしながら、上記のような方法では、発泡性混練物を得るのに手間が掛かること、加硫と発泡を行うのに、150〜300℃で、5〜30分の時間が必要になり、多量のエネルギを必要とすること、加硫中にSOxなどの有害なガスが発生すること等、工業的生産上不利であるばかりでなく、出来あがった製品は加硫ゴムであるため容易にリサイクルが出来ず、環境面でも多くの問題を有している。
このような問題を解決する方法として、軟質オレフィン系プラスチック、たとえばエチレン・酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いる方法が既に知られている。このような軟質オレフィン系プラスチックを用いる方法によれば、上述の混練工程や加硫工程を省略できる場合がある。 しかしながら、軟質オレフィン系プラスチックは、基本的に、ゴムに比べて柔軟性と耐圧縮永久歪性に劣り、得られる発泡体の用途が大きく制限され、加硫ゴムの代替は出来ないという問題がある。
一方、軟質オレフィン系プラスチックと加硫ゴムの中間の性能を示す材料として、オレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系プラスチックとからなる部分架橋された組成物が、熱可塑性エラストマーとして使用できることは、たとえば特許文献1、特許文献2により公知である。
しかしながら、これらの熱可塑性エラストマーにおいては、オレフィン系プラスチック成分は、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理した時に分解し、溶融時の張力が劣るため、脱泡しやすく、発泡体が得られてもせいぜい1.5倍程度の発泡倍率で、しかも脱泡による肌荒れが顕著であるという問題がある。
また、特許文献3によれば、結晶性ポリオレフィンプラスチックとゴムの混合物からなる熱可塑性エラストマー組成物を、水を使用して発泡さす方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、特殊な発泡専用押出機を使用し、極狭い温度範囲内でのみ発泡が可能なこと、完全フェノール架橋された熱可塑性エラストマー組成物を使用した場合は、押出外観が極めて悪いこと、部分架橋または非架橋の熱可塑性エラストマー組成物を使用した場合は、圧縮永久歪が大きく、加硫ゴムを代替できるほどの汎用性はないという問題がある。
一般に、熱可塑性樹脂発泡体の形成機構は非特許文献1に説明されているように、以下の4つの過程に大別できる。(1)気泡の生成 (2)気泡の成長 (3)気泡の維持と固化 (4)発泡体の安定化の4過程である。高倍率発泡体を得るためには、次のような技術課題の克服が必要である。
第1に気泡の成長過程で気泡膜(気泡壁)をいかに薄くするかという「気泡膜の薄膜化」、第2に流動可能な状態にある薄膜の気泡を固化に至るまでいかに維持するかという「気泡の維持と固化」、第3に気泡へのガスの出入りに起因する発泡体の形状(寸法)変化をいかに安定させるかという「発泡体の形状安定化」の課題である。
これら3つの課題において、「気泡の薄膜化」は、特に伸長粘度が関与する過程であると考えられている。
このような状況下、たとえば特許文献4では、特定の分子量M、分子量分布M/M、平衡クリープコンプライアンスJ 、及び回復可能なせん断ひずみで規定したポリプロピレンのシート状発泡体が開示されている。
しかしながら前記においては、均一な気泡構造と表面の平坦性を得るため、平衡クリープコンプライアンスJ は1.2×10−3Pa−1より上の値が必要としている。
特許文献5では伸長粘度、平衡クリープコンプライアンス、発泡体の密度、独立気泡率で規定したポリプロピレン系樹脂押出発泡体が開示されている。
伸長粘度がひずみ量の増加に伴って急激に上昇する樹脂で、かつ平衡クリープコンプライアンスが1.2×10−3Pa−1未満のものが、良好な発泡性を示し、厚肉であっても密度が低く均一かつ微細なポリプロピレン系樹脂押出発泡体が得られるとしている。しかしながら、伸長粘度がひずみ量の増加に伴って急激に上昇しない樹脂は、平衡クリープコンプライアンスが1.2×10−3Pa−1未満のものでも発泡性が悪いと比較例に記載されている。
このようにポリプロピレン系樹脂の発泡体では、平衡クリープコンプライアンスが1.2×10−3Pa−1以上でも、未満でも、良好な発泡成形品を得ることができる。実質上、ポリプロピレン系樹脂の発泡体では平衡クリープコンプライアンスは発泡性とは無関係であると考えられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、上記のポリプロピレン系樹脂組成物の発泡体と異なり、オレフィン系プラスチックの中に、架橋されたオレフィン系共重合体ゴムは分散粒子の形態で分散している構造をもつ。このような分散粒子の分散した構造を持つ物は、発泡成形の際にセル膜が破れやすく、低い密度の発泡体を得るのは容易でない。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の特徴として、一度は大きく膨らんだセルが、樹脂組成物のゴム弾性的性質により収縮してしまい、低い密度の良好な発泡体を得ることは容易でない。このように、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物においては、低い密度の発泡体が得られていないのが実情である。
したがって、汎用性の高い成形機で成形可能で、発泡体の外観が良好で、低密度で、圧縮永久歪が少ない、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体を提供可能な発泡用組成物、およびこの組成物を成形して成る発泡体の出現が強く望まれている。
また、最近は上記の性質に加えて、折れ皺の防止の観点から、より微細な気泡構造を有する発泡体が望まれる場合もある。
また、特許文献6によれば、オレフィン系熱可塑性エラストマーに有機あるいは無機系の熱分解型発泡剤を混合し、発泡体を得る方法が開示されているが、微細な気泡が得られず折れ皺が発生するという問題がある。
特許文献7により、これらの問題は解決されたが、自動車用ウェザーストリップまたは戸当たり部のシール部材のような、人や物に触れる部位または摺動を繰り返して行う部品を製造しても、耐摩耗性や耐傷つき性に劣るという欠点を有している。
このため、耐摩耗性や耐傷つき性を要求される部品にはオレフィン系熱可塑性エラストマーそのままでは殆ど用いられておらず、表面処理をするなどして(例えば特許文献8)表面の耐傷つき性を改良したものが用いられているのが実状である。
特開昭48−26838号公報 特開昭54−112967号公報 特開平6−73222号公報 特許2521388号公報 特開平10−195219号公報 特開平09−143297号公報 特開2004−99867号公報 特公平3−070742号公報 成形加工 第12巻 第11号 2000 706ページ
本発明の第1の課題は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、肌荒れがなく、発泡体の密度が低く、圧縮永久歪が少ない、加硫ゴム代替が可能な、優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、および該発泡体を製造することができる組成物を提供することにある。
第2の課題は、微細な気泡構造を有し、発泡体の概観が良好で折れ皺の発生が少なく、低密度で圧縮永久歪が少ない、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、およびその発泡体を製造しうる組成物を提供することにある。
第3の課題は、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体に耐摩耗性や耐傷つき性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有、あるいは、被覆することで、成形性、部品加工性に優れ、かつ耐摩耗性や耐傷つき性に優れるオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体を提案するものである。
<概要>
本発明者は上述の課題を解決すべく検討した結果、下記手段により目的を達成することを見出し、本発明を完成した。即ち本発明は、下記の発泡体、あるいは発泡積層体と、発泡体用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を包含する。
(1)シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)あるいは、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)を含み、かつ、
発泡体の密度ρが700kg/m未満の範囲にあり、かつ、
発泡体を50%圧縮し、70℃オーブン中に22時間保持後の圧縮永久歪Csが60%未満のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体(B)。
(ここで、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)は、
1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.5以上であり、
(a−1)プロピレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−2)エチレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−3)炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位とからなり、
または、
(a−1)プロピレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−2)エチレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−3)炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、必要に応じて、
(a−4)共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位とからなり、
前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位との合計量を100モル%としたとき前記(a−1)単位を30〜79モル%、前記(a−2)単位を1〜30モル%、前記(a−3)単位を10〜50モル%の量で含み(ただし(a−2)単位と(a−3)単位との合計量は21から70モル%である)、前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位の合計量100モル%に対して前記(a−4)単位を0〜30モル%の量で含み、かつ実質的にシンジオタクティック構造である。)
(2)シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)により表面が被覆され、かつ、
発泡体の密度ρが700kg/m未満の範囲にあり、かつ、
発泡体を50%圧縮し、70℃オーブン中に22時間保持後の圧縮永久歪Csが60%未満のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体(C)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
(3)更に前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)がエチレン系共重合体ゴム(c)を含むことを特徴とする(1)、(2)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、発泡積層体。
(4)エチレン系共重合体ゴム(c)が架橋されていることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
(5)前記他の熱可塑性樹脂(b)が、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜200g/10分の範囲にあるポリプロピレンであることを特徴とする特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
(6)前記シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)が、示差走査型熱量計(DSC)により測定した融解ピークが存在せず、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、GPCによる分子量分布が4以下であり、ガラス転移温度Tgが−5℃以下である(1)から(5)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
(7)シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)が架橋されていることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
(8)有効網目鎖濃度νが3.0×10−5(モル/cm)〜2.0×10−4(モル/cm)である(1)から(7)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
(9)発泡体の気泡の平均径が300μm未満の範囲にある(1)から(8)いずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
(10)(1)、(2)のいずれかに記載の発泡体(B)または(C)用のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物であって、オレフィン系プラスチックと架橋されたオレフィン系共重合体ゴムとを含有し、かつ、平衡クリープコンプライアンスJ が、1.0×10−6(Pa−1)から5.0×10−4(Pa−1)の範囲にあるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(11)架橋されたオレフィン系ゴムとオレフィン系プラスチックとの合計量100重量部に対し、架橋されたオレフィン系共重合体ゴム40〜90重量部と、オレフィン系プラスチック10〜60重量部を含有する(10)に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(12)架橋されたオレフィン系共重合体ゴムが有機ペルオキシドで架橋されたオレフィン系共重合体ゴムである(10)に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(13)架橋されたオレフィン系共重合体ゴムと、オレフィン系プラスチックの合計量100重量部に対し、軟化剤を0〜150重量部含有してなる(10)に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(14)オレフィン系プラスチックと架橋されたオレフィン系共重合体ゴムとの合計100重量部に対し、発泡助剤を0.01重量部〜10重量部含有してなる(10)に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(15)有機ペルオキシド非架橋型のオレフィン系プラスチック(d)と、
有機パーオキシド架橋型オレフィン系ゴムとを、
架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー(D)と、
有機ペルオキシド非架橋型のオレフィン系プラスチック(e)とを溶融混練して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物であって、
該有機パーオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック(e)は、135℃デカリン中で測定した[η]が5dl/g以上の高分子量成分を5〜40質量%含有し、かつ溶融張力が2〜20gであり、230℃、2.16kg荷重のMFRが0.1〜20g/10分の範囲にあることを特徴とする(10)に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(16)オレフィン系熱可塑性エラストマー(D)100重量部に対して有機パーオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック(e)を1〜40重量部用いることを特徴とする(10)に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(17)(10)に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を有機または無機の熱分解型発泡剤、二酸化炭素、窒素、水から選ばれる少なくとも1種の発泡剤を用いて発泡させてなるオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体。
(18)(10)に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を、熱分解型発泡剤と多価カルボン酸系の発泡助剤を用いて発泡させてなるオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体。
(19)発泡体が自動車用ウエザーストリップスポンジ、隙間埋め材用発泡シート、建築用サッシシールスポンジ、管継ぎ手用シールスポンジ、プロテクトスポンジまたは断熱スポンジチューブである(1)、(2)のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、発泡積層体。
上記のようなオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、あるいは、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体積層体は、成形性、耐熱性、耐傷付性、耐摩耗性および柔軟性バランスに優れている。
<発明の具体的説明>
以下、本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体について具体的に説明する。
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体は
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)あるいは、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)を含む、あるいは、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)により被覆され、
発泡体の密度ρが700kg/m未満の範囲にあり、かつ、
発泡体を50%圧縮し、70℃オーブン中に22時間保持後の圧縮永久歪Csが60%未満のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、発泡積層体である。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)はシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)1〜99重量部、好ましくは5〜95重量部、さらに好ましくは10〜90重量部、最も好ましくは50〜90重量部と、他の熱可塑性樹脂(b)99〜1重量部、好ましくは95〜5重量部、さらに好ましくは90〜10重量部、最も好ましくは50〜10重量部、および、必要に応じて、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)の合計100重量部に対して、エチレン系共重合体ゴム(c)を5〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは15〜300重量部からなる。
<オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)>
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と、他の熱可塑性樹脂(b)、必要に応じて、エチレン系共重合体ゴム(c)とからなる。
<シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)>
まずシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)について説明する。
本発明に係るシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)は1,2,4-トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.5以上であり、好ましくは0.6以上、更に好ましくは、0.7以上である。
このシンジオタクティック構造は、以下のようにして測定される。すなわち、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子製GX-500型NMR測定装置を用い、120℃で13C−NMR測定を行う。積算回数は、10,000回以上とする。 シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)がこのような範囲にあるとシンジオタクティック性に優れ透明性、柔軟性、耐摩耗性に優れる傾向にある。
本発明に係るシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)はエチレン成分単位を1〜30モル%、プロピレン成分単位を30〜79モル%、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位を10〜50モル%、(ここで該共重合体(a)中の全成分単位量を100モル%とし、エチレン成分単位と炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位との合計量は21〜70モル%である)、好ましくはエチレン成分単位を3〜25モル%、プロピレン成分単位を35〜75モル%、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位を20〜45モル%(ここで該共重合体(a)中の全成分単位量を100モル%とし、エチレン成分単位と炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位との合計量は25〜65モル%である)、特に好ましくはエチレン成分単位を3〜25モル%、プロピレン成分単位を35〜65モル%、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位を20〜45モル%(ここで該共重合体(a)中の全成分単位量を100モル%とし、エチレン成分単位と炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位との合計量は35〜65モル%である)、さらに好ましくはエチレン成分単位を5〜25モル%、プロピレン成分単位を40〜65モル%、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位を20〜40モル%含んでいる(ここで該共重合体(I)中の全成分単位量を100モル%とし、エチレン成分単位と炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位との合計量は35〜60モル%である)。
さらに、エチレン成分単位、プロピレン成分単位、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位の合計量100モル%に対して、共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位を0〜30モル%、好ましくは0〜25モル%含んでも良い。
このような量でエチレン成分、プロピレン成分、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分を含有するシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)は、熱可塑性樹脂との相溶性が良好となり、得られるシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体は、充分な透明性、柔軟性、ゴム弾性、耐摩耗性を発揮する傾向がある。
このようなシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)を調製する際に用いられるα-オレフィンとしては、炭素数が4〜20、好ましくは4〜12の範囲にあれば特に限定されず、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。
このようなα-オレフィンとしては、具体的には、例えば、1―ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプタン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1―ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン等が挙げられ、1―ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテンが好ましく、さらに1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンが好ましく、特に1-ブテンが好ましい。これらのα-オレフィンは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。例えば、炭素数4〜20のα-オレフィンの内から選択される1種のα-オレフィン(イ)と、該炭素数4〜20のα-オレフィンの内から選択され、上記と異なるα-オレフィン(ロ)とを、(イ)/(ロ)=(50〜99モル%)/(1〜50モル%)((イ)+(ロ)=100モル%)の量比で用いることができる。
また、シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)を調製する際に用いられる共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位としては、下記共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位である。
共役ポリエンとして具体的には、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1-フェニル-1,3-ブタジエン、1-フェニル-2,4-ペンタジエン、イソプレン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-プロピル-1,3-ブタジエン、2-ブチル-1,3-ブタジエン、2-ペンチル-1,3-ブタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、2-ヘプチル-1,3- ブタジエン、2-オクチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエンなどの共役ジエン;1,3,5-ヘキサトリエンなどの共役トリエンなどが挙げられる。これらのうちでは、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが共重合性に優れる点で特に好ましい。
非共役ポリエンとして具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、8-メチル-1,7-ノナジエン、7-エチル-1,7-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、7-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-ウンデカジエンなどの非共役ジエン;
6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、6,9-ジメチル-1,5,8-デカトリエン、6,8,9-トリメチル-1,5,8-デカトリエン、6-エチル-10-メチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4-エチリデン-1,6-オクタジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、7-エチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-6-プロピル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-1,7-ノナジエン、8-メチル-4- エチリデン-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエンなどの非共役トリエンなどが挙げられる。
このような非共役ポリエンは、架橋した場合に耐摩耗性に優れるなどの点で好ましい。
これらのなかでは5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMND)が望ましい。(c−3)単位は、2種以上含まれていてもよい。
シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)中にはスチレンなどの芳香族ビニル化合物由来の成分単位、2個以上の2重結合を有する上記ポリエン系不飽和化合物(ポリエン)由来の成分単位、アルコール、カルボン酸、アミン及びこれら誘導体等からなる成分単位等が含まれていてもよい。
シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.01〜10dl/g、好ましくは0.05〜10dl/gの範囲にあることが望ましい。該シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)の極限粘度[η]が、前記範囲内にあると、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの特性に優れたシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体となる。
このシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)は、単一のガラス転移温度を有し、かつ示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度Tgが、通常-5℃以下、好ましくは-10℃以下、特に好ましくは-15℃以下の範囲にあることが望ましい。該シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)のガラス転移温度Tgが前記範囲内にあると、耐寒性、低温特性に優れる。
またGPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn、ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は4.0以下、好ましくは1.5〜3.0であることが好ましい。この範囲にあると、透明性、耐傷付性、耐衝撃性が良好となるため好ましい。
また、示差走査熱量計(DSC)によって測定した融解ピークが、存在しないことが望ましい。この場合、柔軟性、耐傷付性、透明性、耐白化性に優れる。
[シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)の製造]
このようなシンジオタクティック構造α-オレフィン共重合体(a)は、下記に示すメタロセン系触媒の存在下にプロピレンとエチレンとα-オレフィンを共重合させて得ることができる。
このようなメタロセン系触媒としては、
(x)下記一般式(1)で表される遷移金属化合物と、
(y)(y-1)上記遷移金属化合物(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物、
(y-2)有機アルミニウムオキシ化合物、
(y-3)有機アルミニウム化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる少なくとも1つの触媒系が挙げられる。
Figure 2007269942
[式(1)中、MはTi,Zr、Hf、Rn,Nd、SmまたはRuであり、CpおよびCpはMとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、またはそれらの誘導体基であり、XおよびXは、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、ZはC,O,B,S,Ge,SiまたはSn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]
上記一般式(1)で表される遷移金属化合物の内でも、CpとCpが異なる基である遷移金属化合物が挙げられ、より好ましくはCpおよびCpのうちのいずれか一方の基がシクロペンタジエニル基またはその誘導体基であり、もう一方の基がフルオレニル基またはその誘導体基であるような遷移金属化合物が挙げられる。これらの内でも、CpおよびCpのうちのいずれか一方の基がシクロペンタジエニル基またはその誘導体基であり、もう一方の基がフルオレニル基またはその誘導体基であることが好ましい。
本発明においては、上記シンジオタクティックα-オレフィン共重合体(a)製造用の触媒としては、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用いられるが、場合によっては上記メタロセン系触媒以外の、従来より公知の固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒や、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いることもできる。
本発明では、上記のようなメタロセン系触媒の存在下に、エチレン、プロピレンとα-オレフィンを通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレンを溶媒として用いてもよい。共重合はバッチ法または連続法のいずれの方法でも行うことができる。
メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ法で実施する場合には、重合系内の遷移金属化合物(x)は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.5ミリモルとなるような量で用いられる。
イオン化イオン性化合物(y-1)は、遷移金属化合物(x)に対するイオン化イオン性化合物のモル比((y-1)/(x))で、0.5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(y-2)は、遷移金属化合物(x)中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5000となるような量で用いられる。また有機アルミニウム化合物(y-3)は、重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。
共重合反応は、通常、温度が-20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm、好ましくは0を超えて〜50kg/cmの範囲の条件下に行なわれる。
また反応時間(重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ましくは10分間〜1.5時間である。
エチレンとプロピレンとα-オレフィンは、上述のような特定組成のシンジオタクティックα-オレフィン共重合体(a)が得られるような量でそれぞれ重合系に供給される。なお共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。 上記のようにしてエチレンとプロピレンとα-オレフィンを共重合させると、シンジオタクティックα-オレフィン共重合体(a)は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、シンジオタクティックα-オレフィン共重合体(a)が得られる。
<他の熱可塑性樹脂(b)>
本発明に係るシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(a)以外のその他の熱可塑性樹脂としては融点が50℃以上、好ましくは80℃以上、または融点が存在しない場合はガラス転移点が40℃以上、好ましくは80℃以上の熱可塑性樹脂であれば特に制限無く用いることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂としては、たとえばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、軟質塩ビ、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマーなどの結晶性熱可塑性樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイドなどの非結晶性熱可塑性樹脂が用いられる。
このなかでも、ポリオレフィンが最も好ましく、ポリオレフィンの適当な原料オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、2-メチル-1- プロペン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、5-メチル-1- ヘキセンなどが挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、または2種以上混合して用いられる。このようなポリオレフィンとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などを挙げることができ、中でもポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリメチルペンテン、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましく、特に230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが、0.1〜200g/10分であるポリプロピレンが最も好ましい。
ポリプロピレンはアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタチックポリプロピレンのいずれを用いても良い。
上記のような熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに上記の熱可塑性樹脂とともに、上記以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
<エチレン系共重合体ゴム(c)>
本発明で用いられるエチレン系共重合体ゴム(c)は、エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィンからなる無定型ランダムな弾性共重合体ゴム、或いはエチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィンと非共役ポリエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴムである。
このようなエチレン系共重合体(c)のエチレンとα−オレフィンのモル比は通常40/60〜85/15であり、その中でも60/40〜83/17の範囲にある物が好ましい。
非共役ポリエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンなどが挙げられる。これらのうちでは、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン・1-ブテン・非共役ジエン共重合体ゴムが好ましく、特にエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、中でもエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ビニルノルボルネン共重合体ゴムが、特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン系共重合体ゴム(c)のムーニー粘度[ML1+4 (100℃)]は、50〜300、好ましくは100〜200の範囲内にあることが好ましい。
また、このエチレン系共重合体ゴム(c)のヨウ素価は、3〜30であることが好ましく、5〜25の範囲にあることが特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン系共重合体ゴム(c)は、軟化剤を含んだいわゆる油展品でも構わない。油展品に用いることの出来る軟化剤は、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;
低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体等の合成油;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;
トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;
石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;
その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコールなどが挙げられる。
これらの軟化剤の中でも、パラフィン系のプロセスオイルまたは低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体が特に好ましく、更に、揮発しやすい低分子量成分の含有量が少ない高粘度タイプのパラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。ここで高粘度タイプとは、40℃における動粘度が100〜10000センチストークスの範囲にあるものを言う。
本発明においては、軟化剤は、エチレン系共重合体ゴム(c)100重量部に対し、150重量部以下、好ましくは2〜100重量部、さらに好ましくは5〜60重量部の割合で用いられる。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、エチレン系共重合体ゴム(c)の他に、エチレン系共重合体ゴム(c)以外のゴムとエチレン系共重合体ゴム(c)とを組み合わせて用いることもできる。このようなエチレン系共重合体ゴム(c)以外のゴムとしては、たとえばプロピレン・エチレン共重合体ゴム(プロピレン含量60モル%以上)、プロピレン・α-オレフィン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴムおよびその水添品、スチレン・イソプレンゴム及びその水添品、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイシブチレンゴム、天然ゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。
<その他の成分>
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)および他の熱可塑性樹脂(b)、必要に応じて用いられるエチレン系共重合体ゴム(c)に加えて、軟化剤および/または無機充填剤をブレンドすることができる。
軟化剤は、先に述べた様に、エチレン系共重合体ゴム(c)に油展しても良いし、油展せずに後から加えても良い。エチレン系共重合体ゴム(c)に油展せずに後から加える場合も先に述べたのと同様な軟化剤を用いることが出来る。
油展せずに後から加える場合には、軟化剤の量は、油展分と併せて、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)および他の熱可塑性樹脂(b)、必要に応じて用いられるエチレン系共重合体ゴム(c)の合計量100重量部に対し、100重量部以下、好ましくは3〜80重量部、さらに好ましくは5〜50重量部の割合で用いられる。軟化剤を上記のような割合で用いると、得られる組成物は成形時の流動性に優れ、その成形体の機械的物性を低下させることはない。本発明において、軟化剤の使用量が100重量部を超えると、得られる組成物の耐熱性が低下する傾向にある。
また、本発明で用いられる無機充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカーなどが挙げられる。
本発明においては、無機充填剤は、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)および他の熱可塑性樹脂(b)、必要に応じて用いられるエチレン系共重合体ゴム(c)の合計量100重量部に対して、100重量部以下、好ましくは2〜30重量部の割合で用いられる。本発明において、無機充填剤の使用量が100重量部を超えると、得られる組成物のゴム弾性、成形加工性は低下する傾向にある。
さらに、本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、従来公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、滑材などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。特に滑材は得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)の耐傷付性、耐摩耗性をさらに向上させる効果があり、上記滑材としては、高級脂肪酸アミド、金属セッケン、ワックス、シリコーンオイル、フッ素系ポリマー等が挙げられる。本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)には、なかでも高級脂肪酸アミド、シリコーンオイル、フッ素系ポリマーが用いられる。高級脂肪酸アミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベへミン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミド;などが、シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコーン油などが、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物などが挙げられ、好ましくは、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物、特に好ましくはエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ジメチルシリコーンオイル、ビニリデンフルオライド共重合物が用いられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)および他の熱可塑性樹脂(b)、必要に応じて用いられるエチレン系共重合体ゴム(c)と、必要に応じて配合される軟化剤および/または無機充填剤等および/または添加剤とを混合した後、動的に熱処理することによって得られる組成物を所望の形状に成形することにより得られる。ここに、「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
ここで、全ての成分を一度に動的に熱処理しても良いし、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)および他の熱可塑性樹脂(b)、必要に応じて使用されるエチレン系共重合体ゴム(c)のうち2種以上と、必要に応じて配合される軟化剤および/または無機充填剤等および/または添加剤とを予め動的に熱処理してから、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)および他の熱可塑性樹脂(b)、必要に応じて使用されるエチレン系共重合体ゴム(c)のうち1種以上と、必要に応じて配合される軟化剤および/または無機充填剤等および/または添加剤を加え、再度動的に熱処理を行っても良い。
動的な熱処理を架橋剤の存在下で行う場合は、エチレン系共重合体ゴム(c)を架橋させることが出来る。エチレン系共重合体ゴム(c)を架橋させることにより、本発明に掛かる耐熱性、ゴム弾性が向上する。また、動的な熱処理を架橋剤の存在下で行うことで、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)を架橋させることもできる。シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)を架橋させることにより、本発明に係るモールの耐熱性、ゴム弾性が向上する。特にシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)が(c−4)単位を含むことで、架橋効率が高まり、耐熱性、ゴム弾性の向上に寄与する。
その際の用いられる架橋剤は、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート等、熱硬化型ゴムで一般に使用される架橋剤が挙げられる。これら架橋剤の中でも有機過酸化物が特に好ましい。
本発明で用いられる有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4- ビス
(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチルペルオキシベンゾエート、tert- ブチルペルベンゾエート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert- ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
これらの内では、反応性、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等の2官能の有機過酸化物が特に好ましい。更にそのなかでも、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
このような有機過酸化物は、被処理物全体100重量部に対して、0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部となるような量で用いられる。
本発明においては、上記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4- ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分であるシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)、エチレン系共重合体ゴム(c)との相溶性が良好であり、かつ、有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた組成物が得られる。
上記のような架橋助剤あるいは多官能性ビニルモノマーなどの化合物は、上記被処理物全体100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは0.3〜3重量部となるような量で用いられる。
また、有機過酸化物の分解を促進するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6-トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等のナフテン酸塩などの分解促進剤を用いてもよい。
本発明における動的な熱処理は、非開放型の装置中で行なうことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。熱処理の温度は、他の熱可塑性樹脂(B)の融点から300℃の範囲であり、通常150〜290℃、好ましくは170℃〜270℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度で10〜10,000sec-1、好ましくは100〜50,000sec-1の範囲である。
混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(たとえばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。
さらに、上記のような動的熱処理の後に熱風中で静的に熱処理されることが望ましい。熱処理は80〜130℃で1〜10時間程度行われることが好ましい。この熱処理によって、架橋剤の残査などを除去することができ、得られた製品の臭気を低減する、或いはフォギング性の良好な製品を得ることが出来る。
このように作製されたシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)あるいは、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)は、後述する発泡体用オレフィン系熱可塑エラストマーに混合して使用するか、あるいは、単独でオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体に被覆することにより使用される。
<オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体>
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなる本発明の発泡体の密度は700kg/m未満、好ましくは650kg/m未満、特に好ましくは300〜600kg/mの範囲にあることが望ましい。この範囲の密度の発泡体は、柔軟性、クッション性、軽量性、断熱性等を十分に発揮でき、実用性が高い。
発泡体密度の下限はその目的に応じて決定され、特に限定するものではないが、例えば 100kg/m以上であると発泡体の製造が容易である。
また、発泡体の気泡径は、好ましくは300μm未満、より好ましくは200 μm未満であることが、折り皺を少なくする観点から好ましい。気泡径の下限はその目的に応じて決定され、特に限定するものではないが、例えば 50μm以上であると発泡体の製造が容易である。
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体の圧縮永久歪は60%未満、好ましくは50%未満であることが望ましい。この範囲であると、自動車用ウエザーストリップ・スポンジを初めとし、隙間埋め材用発泡シート、建築用サッシシールスポンジ、管継ぎ手用シールスポンジ、プロテクトスポンジ、断熱スポンジチューブ等の殆どの密封材用途に加硫ゴムの代替として使用できる。
なお、発泡体の圧縮永久歪の測定は図1に例示したように、断面の大きさや、中空断面形状か充実断面形状かを問わず、長さ3cmの試験片を、最も平坦な面を基底面とし、2枚の平行で平滑に仕上げた研磨したステンレス鋼鈑から成る圧縮板に挟み、基底面に垂直な方向に50%圧縮し、70℃オーブン中に22時間保持後、オーブンから取りだし圧縮を開放し、平滑な台上に30分間静置後の値を示す。また断面形状により圧縮方向が規定されている場合は、規定の方向に圧縮し、前述の条件で測定して求める。なお図1の断面形状は極く一部の例であり、本発明はこの形状に限定されるものではない。
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体の有効網目鎖濃度νは3.0×10−5(モル/cm)〜2.0×10−4(モル/cm)であることが望ましい。発泡体の有効網目鎖濃度は、発泡体用のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の有効網目鎖濃度と同様である。有効網目鎖濃度の好ましい範囲、制御方法、測定方法は後述する。
<発泡体用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物>
前記オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体製造用のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、平衡クリープコンプライアンスJ が、1.0×10−6(Pa−1)から5.0×10−4(Pa−1)、好ましくは1.0×10−5(Pa−1)から3.0×10−4(Pa−1)、より好ましくは1.0×10−5(Pa−1)から1.5×10−4(Pa−1)の範囲にある。
ここで、平衡クリープコンプライアンスJ について説明する。
クリープコンプライアンスJ(t)(Pa−1)は、サンプルに与えた一定応力σ(Pa)及び測定より得られるひずみγ(t)から下記数式1で定義される。
Figure 2007269942
J(t)の測定は、動的粘弾性測定装置、例えば回転式レオメーター、ストレスレオメーター等を用いて測定温度(本発明においては170℃)及び応力σ(本発明においては1000Paから10000Pa)を一定に保ちながら行われる。
図2に示すようにこのクリープコンプライアンスJ(t)を、一定応力σを与え始めてからの時間t(s)に対してプロットすると十分な時間が経過したのち、クリープコンプライアンスJ(t)は時間tに対して直線関係を与えるようになる。
平衡クリープコンプライアンスJ は、下記数式2及び図2に示すようにこの直線部分を時間t=0に補外したときの切片として与えられる。
Figure 2007269942
続いて平衡リカバリーコンプライアンスJについて説明する。
一定応力σをある一定時間与えたのち、応力を0Paに開放すると、樹脂の弾性的な挙動によりひずみが回復する。図2に示すようにこの回復したひずみに対応するコンプライアンスを平衡リカバリーコンプライアンスJという。
平衡クリープコンプライアンスJ と平衡リカバリーコンプライアンスJは均一系の樹脂に関しては等しく、これは「RHEOLOGY −PRINCIPLES, MEASUREMENTS, AND APPLICATIONS」(Christopher W. Macosko)119〜121ページに説明されている。
樹脂組成物のクリープ特性と発泡成形との関連について、バネとダッシュポットを直列につないだ図3に示すようなマクスウェルモデルを基に考えることとする。樹脂に一定応力σを与えると、樹脂は、σを与えた直後の瞬間にバネの弾性的な性質によりひずみ、その後の長い時間にダッシュポットの粘性的な性質によりひずむ。したがってこの瞬間的なひずみに対応する平衡クリープコンプライアンスJ はバネの弾性率の逆数に相当し、長い時間のひずみから求まる直線の傾きは粘度の逆数に相当する。
応力を開放するとダッシュポットの粘性的なひずみは戻らないが、バネの弾性的なひずみは元に戻る。これは初期のひずみと等しくなる。
良好な発泡体を生成するためには微細な気泡を均一に分散させる必要がある。ガスが樹脂組成物に溶解している状態では、圧力は均一で等方的であるが、気泡核が生じ、気泡(セル)が大きさを持つようになると、急激なセルの体積膨張によりセル内部の圧力は急激に低下する。図4に数値シミュレーションによる、セル内圧力及びセル径の経時変化を示す。図で白抜きのプロットはセル内圧力を黒のプロットはセル径を示し、三角のプロットは粘度η=1×10Pa・s、四角のプロットはη=1×10Pa・s、ひし形のプロットはη=1×10Pa・sのケースを示している。
数値シミュレーションに用いた関係式は以下のものである。
Figure 2007269942
Figure 2007269942
Figure 2007269942
Figure 2007269942
Figure 2007269942
セル内部圧力は、図4に示す通り、短時間で急激に減少し、対応してセル径は急激に増大する。
このように短時間での急激な圧力変化による瞬間的な高い応力に対して、平衡クリープコンプライアンスが大きいもの(瞬間変形するバネの弾性率が小さいもの)は大きな変形をする。すなわち、セルが粗大化し、破泡しやすい。微細なセル径の発泡体を得るためには、瞬間的な高い応力に対して、平衡クリープコンプライアンスの小さいもの(瞬間変形するバネの弾性率が大きいもの)が要求される。
また、発泡したセルは、樹脂の粘弾性による力と、セル内部の圧力とが釣り合った状態になり、冷却固化されるまで釣り合った状態を保つ。平衡リカバリーコンプライアンスの大きいものは、大きく瞬間変形したバネが回復するため、冷却によるセル内部のガスの温度低下による体積収縮(圧力低下)により、セル壁を構成する樹脂の変形が回復し、セルが大きく収縮する。
平衡リカバリーコンプライアンスの小さいものは、瞬間的な高い応力で変形する量は少なく、冷却に伴うガスの圧力低下が起っても、回復するひずみが小さいため、膨らんだセル壁の樹脂の変形回復が小さいため、セルの収縮が小さい。熱可塑性エラストマー組成物に関して発泡成形における発泡成形性とクリープ特性との間には、上記の関係があり、この関係を利用すれば樹脂のレオロジー特性から気泡構造及び発泡性を制御することが可能となる。
本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、架橋されたオレフィン系共重合体ゴムが40〜90重量部、好ましくは50〜85重量部、より好ましくは55〜80重量部、オレフィン系プラスチックが10〜60重量部、好ましくは15〜50重量部、より好ましくは20〜45重量部であることが、成形性良好で、柔軟な発泡体を得る上で望ましい。(架橋されたオレフィン系ゴムとオレフィン系プラスチックの合計量を100重量部とする。)
架橋されたオレフィン系共重合体ゴムとしては、フェノール系架橋剤で架橋されたオレフィン系共重合体ゴムでもよいが、特に有機ペルオキシドで架橋されたオレフィン系共重合体ゴムが好ましい。
本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物においては、平衡クリープコンプライアンスの最適化を図るために、有機ペルオキシドの存在下で有機ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックの一部を動的に熱処理し、有機ペルオキシドの架橋・分解反応を終了した後に、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックの残部を混合することが好ましい。
本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に使用される有機ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムは、エチレンと炭素原子数が3〜20のα− オレフィンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体、またはエチレンと炭素原子数が3〜20のα− オレフィンと非共役ポリエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体であって、有機ペルオキシドと混合し、加熱下で混練することによって、架橋して流動性が低下するか、あるいは流動しなくなるオレフィン系共重合体ゴムをいい、動的架橋時の有機ペルオキシドによる有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックの分解を抑止し、発泡体へのゴム弾性付与と圧縮永久歪の低減に重要な役目を担う。このようなオレフィン系共重合体ゴムとして、具体的には、以下のようなゴムが挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ないしエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムであって、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムであることが好ましい。エチレンとα−オレフィンに由来する構造単位のモル比(エチレン/α−オレフィン)は55/45〜85/15、好ましくは60/40〜80/20の範囲にあるのが望ましい。
α−オレフィンとしては炭素原子数3〜20、好ましくは3〜10である。具体的なものとしてはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどがあげられる。これらの中ではプロピレン、1−ブテンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを製造する際の非共役ポリエンとしては、環状あるいは鎖状の非共役ポリエンが用いられる。環状非共役ポリエンとしては、たとえば5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデンなどが挙げられる。また、鎖状の非共役ポリエンとしては、たとえば1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエンなどが挙げられる。中でも5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンが好ましく使用できる.これらの非共役ポリエンは、単独あるいは2種以上混合して用いられ、その共重合量は、ヨウ素価表示で3〜50、好ましくは5〜45、より好ましくは8〜40であることが望ましく、動的架橋時の有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックの分解を抑止し、平衡クリープコンプライアンスの値を最適化し高発泡性を付与するため、及び有効網目鎖濃度を高め圧縮永久歪を改善するためには、ヨウ素価10よりも高い値であることが望ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ないしエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの135℃デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定した極限粘度[η]は、0.8〜6.0dl/g、好ましくは1.0〜5.0dl/g、より好ましくは1.1〜4.0dl/gの範囲にあるのが望ましい。
上記のような特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ないしエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会発行)」、309〜330頁などに記載されている従来公知の方法により調製することができる。
本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に使用されるオレフィン系プラスチックは、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックであることが好ましい。このようなオレフィン系プラスチックとしては、炭素原子数が3〜20のα− オレフィンの含有量が50〜100モル%である単独重合体、あるいは共重合体を挙げることができるが、アイソタクチックポリプロピレンまたはプロピレン・α− オレフィン共重合体が好ましい。アイソタクチックポリプロピレンはホモ、ランダム、ブロックタイプのいずれでもよく、任意のメルトフローレートのものが使用できるが、平衡クリープコンプライアンスの最適化を図るためには、次の方法によりオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造するのが特に好ましい。
即ち、有機ペルオキシド非架橋型のオレフィン系プラスチック(d)と、
有機パーオキシド架橋型オレフィン系ゴムとを、
架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー(D)と、
有機ペルオキシド非架橋型のオレフィン系プラスチック(e)とを溶融混練することによりオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法であり、
該有機パーオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック(e)は、極限粘度[η](135℃のデカリン中で測定)が5dl/g以上の高分子量成分を5〜40質量%、好ましくは8〜35質量%含有し、かつ溶融張力(押出ノズル径2.095mm、ノズル長さ8mm、押出温度230℃、押出速度15mm/min、引き取り速度15m/minで測定)が2〜20g、好ましくは2〜18gであり、230℃、2.16kg荷重のMFRが0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜15g/10分の範囲にあることを特徴とする。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(D)100重量部に対して有機パーオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック(e)は、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは 2 〜30重量部用いられる。
非架橋型オレフィン系プラスチック(b)として、従来技術で一般的に使用されているメルトフローレート値(ASTM−D−1238−65T,230℃、2.16kg荷重)0.01〜2g/10分の範囲のポリプロピレンを使用しても発泡性は改良されるとは限らないので、前記した高分子量成分の含有量、MFR、溶融張力を満たすものを使用することが好ましい。
なお、本発明においては、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック(d),(e)は、組成物の流動性、発泡性、機械的強度および耐熱性を付与する役割をもつ。(d)と(e)の重量比は、(d)100重量部に対して、(e)を好ましくは 10〜350 重量部、より好ましくは 20 〜300重量部用いる。
また、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック(a)のメルトフローレート値(ASTM−D−1238−65T,230℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5〜50g/10分であり、特に好ましくは1〜40g/10分である。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、有機ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、有機ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム以外のゴムを用いることもできる。このようなペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム以外のゴムとしては、たとえばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)等のジエン系ゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック以外の、有機ペルオキシド非架橋型ゴム状物質を含んでいてもよい。
この有機ペルオキシド非架橋型ゴム状物質は、有機ペルオキシドと混合し、加熱下で混練しても架橋せず、流動性が低下しない炭化水素系のゴム状物質であり、具体的には、ポリイソブチレン、ブチルゴム、プロピレン含量が70モル%以上のプロピレン・エチレン共重合体ゴム、プロピレン・1−ブテン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらの内では、ポリイソブチレン、ブチルゴムが性能および取扱い上好ましい。特にムーニー粘度[ML(1+4)100℃]が60以下であるポリイソブチレン、ブチルゴムが、組成物の流動性を改善する点で好ましい。
本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を製造する際に使用される架橋剤としては、有機ペルオキシドが好ましい。
有機ペルオキシドとしては、具体的には、ジクミル有機ペルオキシド、ジ−tert−ブチル有機ペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert− ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert− ブチルペルオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4− ビス(tert− ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル有機ペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイル有機ペルオキシド、tert− ブチルペルオキシベンゾエート、tert− ブチルペルベンゾエート、tert− ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチル有機ペルオキシド、ラウロイル有機ペルオキシド、tert− ブチルクミル有機ペルオキシドなどが挙げられる。
これらの内では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert− ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert− ブチルペルオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4− ビス(tert− ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、中でも、1,3−ビス(tert− ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
本発明においては、上記有機ペルオキシドによる部分架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p’− ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4− ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分である有機ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックとの相溶性が良好であり、かつ、有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた部分架橋熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
本発明においては、上記のような架橋助剤もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理物全体に対して、0.5〜5重量%、好ましくは0.6〜4重量%、より好ましくは0.7〜3重量%の割合で用いるのが好ましく、従来技術より多量配合することが望ましい。架橋助剤もしくは多官能性ビニルモノマーの配合割合が上記範囲にあると、圧縮永久歪が小さく、成形性の良好な発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、有効網目鎖濃度が、従来技術よりも高い、3.0×10−5(モル/cm)〜2.0×10−4(モル/cm)、好ましくは5.0×10−5(モル/cm)〜1.8×10−4(モル/cm)であることが、良好な発泡体外観と、発泡体の圧縮永久歪を改善するために望ましい。
有効網目鎖濃度を制御する方法としては、例えば架橋剤の使用量を制御すること、エチレンとα−オレフィンに由来する構造単位のモル比(エチレン/α−オレフィン)を制御すること、およびエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを製造する際の非共役ポリエンの含有量を制御することにより行うことができる。 架橋剤の使用量が多いほど、エチレンと非共役ポリエンの含有量が高いほど、有効網目鎖濃度が高くなる傾向にある。
本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中の架橋されたオレフィン系共重合体ゴムは、20μm未満、好ましくは10μm未満、より好ましくは5μm未満の平均直径を有する分散粒子の形態であることが、良好な成形性を得るために好ましい。20μm未満の平均直径を有する分散粒子の形態を得るには、オレフィン系共重合体ゴムと、オレフィン系プラスチックと、必要に応じて軟化剤とを、有機ペルオキシドの存在下、次式で示される条件に従って動的に熱処理することで得られる。動的に熱処理するとは、上記のような各成分を融解状態で混練することをいう。動的な熱処理は、解放型のミキシングロール、非解放型のバンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二軸押出機、連続ミキサーなどの混練装置を用いて行なわれるが、非開放型の混練装置中で行なうことが好ましい。また、動的な熱処理は、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
次式:
Figure 2007269942
式中、Tは押出機のダイス出口での樹脂温度(℃)であり、Xは押出機のスクリュー径(mm)であり、Yは押出機内で受ける最高せん断速度(sec−1)であり、Zは押出量(kg/h)である。
通常は、樹脂温度170℃〜270℃、混練時間1〜10分、せん断速度2000〜7000sec−1で、2軸押出機を用いて行うことが好ましい。
本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン系共重合体ゴムと、オレフィン系プラスチックの合計量100重量部に対し、軟化剤を0〜150重量部、好ましくは20〜135重量部含有することが、良好な成形性と、得られた発泡体の柔軟性付与の点で望ましい。
軟化剤としては、たとえば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩、ナフテン酸またはその金属石鹸、パイン油、ロジンまたはその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。中でも石油系軟化剤と炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、発泡剤を用いて発泡させ、発泡体となる。発泡剤としては、無機系あるいは有機系の熱分解型発泡剤(化学発泡剤)、二酸化炭素、窒素、二酸化炭素と窒素の混合物を挙げることができる。
無機系の熱分解型発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機炭酸塩、亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩を挙げることができる。
有機系の熱分解型発泡剤としては、 N,N’− ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’− ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;
アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレ−ト等のアゾ化合物;
ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’− オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;
カルシウムアジド、4,4’− ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。
二酸化炭素や窒素を使用する場合は、超臨界状態で発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中に混合することが、迅速・均一混合、気泡の微細化の面から好ましい。
発泡剤は、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
また、必要に応じて発泡助剤を加えることもできる。その添加量は、前記したオレフィン系プラスチックと架橋されたオレフィン系ゴムとの合計量100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましく、0.02〜5重量部であることがより好ましい。
発泡助剤としては、亜鉛、カルシウム、鉛、鉄、バリウム等の金属化合物、ステアリン酸等の高級脂肪酸、及びその金属塩、タルク、硫酸バリウム、シリカ等の微粒無機粒子等が挙げられる。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、発泡核の形成、気泡の均一化などの働きを示し、一般に使用することが望ましい。特に、原料ペレット時の押出温度、または、発泡体の押出温度程度付近で分解する化合物は、発泡セル径を細かく、且つ、均一に生成させる効果がある。
発泡助剤としては、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シクロヘキサン1、2ジカルボン酸、ショウノウ酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ニトリロ酸等の多価カルボン酸と、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムアルミニウム、炭酸水素カリウム等の無機炭酸化合物の混合物や、これらの反応により生じる中間体、例えばクエン酸ニ水素ナトリウム、シュウ酸カリウム等のポリカルボン酸の塩が挙げられる。
熱分解型発泡剤とともに、発泡助剤として多カルボン酸と炭酸水素塩の混合物(好ましくはクエン酸と炭酸水素ナトリウムの混合物、またはその反応中間体であるクエン酸ニナトリウム)を用いて、本発明の発泡用熱可塑性エラストマーを発泡させると、低密度、低圧縮歪みで、かつ、微細気泡構造を有する発泡体が得られるので特に好ましい。
これらの分解物化合物は、発泡押出時に分解する場合の他、予め、ペレット化等の工程で一部または全部が分解したものでも使用できる。分解物としての最適添加量は、未分解物に換算した添加量と同等である。
さらに、本発明の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中に、必要に応じて、従来公知の耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤、滑剤など添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
〔発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の調整〕
本発明において前記各成分を混合および混練する際の好ましい方法としては、有機ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックの一部と、必要に応じて鉱物油系軟化剤等とを予め混合し、均一に混練してペレット化した後、得られたペレットと、ジビニルベンゼン等に溶解させた有機ペルオキシドと、必要であれば、更に架橋助剤、加硫促進剤、酸化防止剤等とを、タンブラー型ブラベンダー、V型ブラベンダー、ヘンシェルミキサー等の公知の混練機で、好ましくは50℃以下の温度で均一に混合し、次に前記所定の条件下で動的に熱処理し、部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物を得る。
次いで、平衡クリープコンプライアンスの最適化を図るために、有機ペルオキシドの架橋・分解反応を終了した後に、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックの残部を混合し、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を調整することが好ましい。勿論、有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックの残部は、動的に熱処理する際の有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチックと異なる種類のものでも、他の有機ペルオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック以外の、有機ペルオキシド非架橋型ゴム状物質でもよい。
本発明においては、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中に、必要に応じて、公知の充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワックス等の滑剤、顔料、染料、核剤、難燃剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で、添加することができる。
上記充填剤としては、通常ゴムに使用される充填剤が適当であり、具体的には、カーボンブラック、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、けいそう土、雲母粉、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、グラファイト、アルミナなどが挙げられる。
これらの充填剤は、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成100重量部に対して、0〜120重量部、好ましくは2〜100重量部の割合で用いられる。
また、本発明において必要に応じて用いられる公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系安定剤などが挙げられる。
〔オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体の調製〕
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体を調製するに際しては、上記のようにして得られたペレット状の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物、または、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)あるいは、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)を混合した組成物に、発泡剤を上述した特定の割合で、および必要であれば更に発泡助剤、湿潤剤等の配合物を配合する。化学発泡剤を使用する場合は、発泡剤を一旦タンブラー型ブラベンダー、V型ブラベンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等で混練した後、必要であれば解放型のミキシングロールや非解放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等で混練するか、樹脂をバインダーとしペレット状にした発泡剤を、ペレット状の発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に、前述の混合機で混合する。
発泡剤として二酸化炭素や窒素を使用する場合は、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を、樹脂可塑化シリンダー内で、100〜300℃で溶融し、オレフィン系熱可塑性エラストマーと二酸化炭素や窒素が、相溶状態にある溶融発泡性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を形成する。なお、樹脂可塑化シリンダー内で発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に、二酸化炭素や窒素を溶解する際は、二酸化炭素や窒素は超臨界状態にあることが、相容性と発泡体のセルの均一性の点から好ましい。
次に、上記のようにして得られた発泡用組成物から発泡体を調製する方法としては、特に制限はなく、押出成形、射出成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、スタンピングモールド成形、圧縮成形、ビーズ成形等、公知の樹脂加工方法に使用される成形機を適用することができる。
例えば,熱分解型発泡剤を用いて押出成形方法により発泡体を調製する方法としては、たとえば上述した発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を押出機に供給し、バレル内で組成物の融点と発泡剤の分解温度のどちらか高い方の温度以上に加熱し、加圧しながら組成物中に発泡剤分解生成ガスを均一に分散さす。
次いで、発泡剤分解生成ガスが均一に分散された溶融オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を、最適発泡温度に設定した押出機先端部に接続したダイへと移送し、ダイから大気中または水中に押出し急激に圧力を低下させて発泡させ、後続の冷却装置で冷却固化し,目的の発泡体を製造する。なお、押出時の熱可塑性エラストマー組成物の温度は140〜250℃の範囲が好ましい。
例えば,超臨界状態の二酸化炭素を発泡剤とし、押出成形方法により発泡体を調製する方法としては、たとえば上述した発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を押出機で溶融し、二酸化炭素を臨界圧力(7.4MPa〜40MPa)の範囲内で、二酸化炭素の臨界温度(31℃)以上に昇温して、超臨界二酸化炭素としてから、押出機中の溶融したオレフィン系熱可塑性エラストマーに混合する。
次いで、超臨界二酸化炭素が混合された溶融オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を、最適発泡温度に設定した押出機先端部に接続したダイへと移送し、ダイから大気中に押出し急激に圧力を低下させて、二酸化炭素をガス化し発泡させ、後続の冷却装置で冷却固化し,目的の発泡体を得る.なお、押出時の熱可塑性エラストマー組成物の温度は110〜250℃の範囲が好ましい。
また、プレス成形方法により発泡体を調製する方法としては、たとえば上述した化学発泡剤を混練した発泡性組成物のペレットをプレス成形機の加熱した金型内に挿入し、型圧をかけながら、もしくは型圧をかけることなく、組成物を溶融させた後、発泡せしめて発泡体を成形する方法がある。金型の温度は110〜250℃の範囲が好ましい。
射出成形方法により発泡体を調製する方法としては、たとえば上述した発泡用組成物を射出成形機で加熱溶融した後、ノズル先端部で発泡せしめるようして金型内に射出し、発泡体を成形する方法がある。射出時の樹脂温度は110〜250℃の範囲が好ましい。
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)あるいは、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)が発泡体に含まれない場合、後述する方法でシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)を被覆した発泡積層体として成形する。
上記のような本発明に係る製造方法により得られた発泡体、または、発泡積層体は、有機ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴム部が架橋されているため、耐熱性、引張特性、柔軟性、耐候性、反発弾性等のゴム的性質が優れており、また加硫ゴムに較べ、リサイクルにも適しており、かつ、耐傷付性、耐摩耗性に優れている。
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体の用途としては、ウェザーストリップスポンジ、ボディパネル、ステアリングホイール、サイドシールド等の自動車部品;
靴底、サンダル等の履物;
電線被覆、コネクター、キャッププラグ等の電気部品;
配水管密封材、地盤改良用シート、騒音防止壁等の土木資材;
ゴルフクラブグリップ、野球バットグリップ、水泳用フィン、水中眼鏡等のレジャー用品;
ガスケット、防水布、スポンジたわし、水切りシート、化粧用パフ等の雑品が挙げられる。
<発泡積層体>
本発明の係るオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体としては、具体的には次のようなものが挙げられる。
i)オレフィン系発泡体(C)からなる基材層に、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる表面層を積層したシート状発泡積層成形体。
<好ましい実施形態>
成形方法:カレンダー成形または、Tダイからの押出発泡成形
積層方法:基材層からなるシートを発泡成形した後に表面層を基材層に積層する逐次法、または、Tダイ押出成形の場合は同時多層発泡押出成形も可能
オレフィン系発泡体(C)の厚み:0.1〜3mm
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)の厚み:0.01〜1.0mm
用途例:自動車内装表皮材(インパネ、ドア、天井の表皮材)、家具用シート、壁紙
自動車内装表皮材に用いる場合には、オレフィン系またはウレタン系の発泡材と更に積層することも出来、また、表面をエンボス加工しても良い。
ii)多層の押出発泡成形によりオレフィン系発泡体(C)からなる基材層に、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる表面層を積層した多層押出発泡成形体。
<好ましい実施形態>
成形方法:多層押出発泡成形
積層方法:基材層と表面層の同時多層押出発泡成形
オレフィン系発泡体(C)からなる基材層の厚み:0.2〜5mm
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)の厚み:0.01〜1mm
用途例:自動車外装部品(各種モール部品、シール部品)、及び土木建築用部材
iii)逐次射出発泡成形、或いは同時射出発泡成形によりオレフィン系発泡体(C)からなる基材層に、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる表面層を積層した積層射出発泡成形体。
<好ましい実施形態>
成形方法:逐次または同時射出発泡成形
積層方法:基材となるオレフィン系発泡体(C)を射出発泡した後に、表面層であるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)を射出し、金型内で積層する逐次射出発泡成形、または、いわゆるサンドウィッチ成形により基材層と表面層を同時に射出し、積層部品を発泡成形する同時法
オレフィン系発泡体(C)の厚み:0.3〜5mm
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)の厚み:0.5〜3mm
用途例:自動車内装部品(ハンドル、ピラー、インパネ、ドアトリム、ホイルハウスカバー、コンソールボックスの蓋、各種レバー、グリップ類)、家庭用電気製品のハウジング、スポーツ用品、日用品、雑貨
IV)多層の押出発泡ブロー成形によりオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物からなる基材層に、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる表面層を積層した積層押出成形体。
<好ましい実施形態>
成形方法:多層発泡ブロー成形
積層方法:ダイスから基材層と表面層を積層して押出し、発泡ブロー成形する
オレフィン系発泡体(C)の厚み:0.1〜5mm
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)の厚み:0.1〜2mm
用途例:自動車外装部品(サイドモール、バンパーフェイシア、スポイラー等)、家庭用電気製品のハウジング、スポーツ用品、雑貨
何れの場合の、オレフィン系発泡体(C)とオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)とは、接着剤を用いることなしに熱融着により接着積層化することが出来る。
v)多層の押出中空成形によりオレフィン系発泡体(C)からなる中空基材層に、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)からなる表面層を積層した多層押出中空発泡成形体。
<好ましい実施形態>
成形方法:多層押出中空発泡成形
積層方法:基材層と表面層の同時多層押出中空発泡成形
オレフィン系発泡体(C)からなる中空基材層の厚み:0.2〜5mm
オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)の厚み:0.01〜1mm
用途例:自動車外装部品(ウェザーストリップ部品、シール部品)、及び土木建築用部材
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(重合例1;シンジオタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体の合成)
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、100mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン480gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を35℃に昇温し、プロピレンで0.54MPcに加圧し、次いでエチレンで0.62MPcに加圧した。その後、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド0.005mmolとアルミニウム換算で1.5mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温35℃、エチレン圧0.62MPcを保ちながら5分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたポリマーは、36.1gであった。また、ポリマーの組成は、プロピレン含量が61.3mol%、エチレン含量が10.3mol%、1−ブテン含量が28.4mol%であり、極限粘度[η]が2.67dl/gであり、ガラス転移温度Tgはー27.7℃であり、融解ピークは存在せず、GPCによる分子量分布は2.0であった。1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.8であった
重合例1で得られた、シンジオタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体80重量部とアイソタクティックポリプロピレン(ホモポリマー、MFR(230℃、2.16kg荷重、以下同じ)0.5(g/10分))20重量部、カーボンブラックマスターバッチ1重量部(黒に着色するため)とを230℃に設定した2軸押出機で混練し、組成物(A−1)を得た。
エチレン含量が63モル%、ヨウ素価22、極限粘度[η]が3.2dl/gであるエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPT−1とする)100重量部に、鉱物油系軟化剤(出光興産製ダイナプロセスオイルPW−380)80重量部をブレンドした油展EPT180重量部と、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T,230℃、2.16kg荷重)が1.5g/10分であるホモタイプのポリプロピレン(PP−1とする)35重量部を、予め密閉式混合機[神戸製鋼(株)ミクストロンBB16]で間混合した後、シーティングロールに通しシート状にした後、朋来鉄工社製ペレタイザーによりペレットを製造した。
次いで、得られたペレット215重量部と、架橋剤1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン1.75重量部を架橋助剤ジビニルベンゼン1.75重量部に溶解分散させた溶液と、酸化防止剤テトラキスー[メチレン−3−(3’、5−ジ−第3−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.2重量部をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
次いで、この架橋剤、架橋助剤と酸化防止剤が表面に付着したペレットを、2軸押出機(東芝機械(株)製TEM−50)を用いて、220℃で1時間当たり40kgの処理速度で混練・押出して動的な熱処理を行い、PP中にEPTの架橋した分散粒子が均一に分散している部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物を得た。
次いで、得られた部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物に、極限粘度[η]が9dl/gの高分子量成分を10質量%含有し、メルトフローレートが4.0g/10分であり、溶融張力が3gのホモタイプのポリプロピレン(PP−2とする)を20重量部と、組成物(A−1)を20重量部と、前述の鉱物油系軟化剤20重量部とを、前述の2軸押出機を使用して、200℃で40kgの押出速度で混練・押出して、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100重量部当たり、発泡核剤としてハイドロセルロールCF(ベーリンガーインゲルハイムケミカル社製)0.05重量部を添加し、図5の押出発泡成形装置を使用し,押出温度200℃、押出速度20kg/時間、二酸化炭素供給圧力15MPa,二酸化炭素供給量を発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物100重量部当たり1重量部の条件で成形し、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体を得た。
発泡体の密度が380kg/m、圧縮永久歪Csが31%、有効網目鎖濃度が1.2×10モル/cm、気泡平均径100μm、平衡コンプライアンスJ が6.6×10―5であった。さらに、得られた発泡体を東洋精機製、学振摩耗試験機を用いて、厚さ2mmの試験片を用いて、45R、SUS製の摩耗圧子470gの先端を綿帆布#10に覆い、これを23℃、往復回数100回、往復速度33回/min、ストローク100mmで試料を摩耗させ、その前後のグロス変化率ΔGlossを以下のようにして求めた。
ΔGloss=(摩耗前のGloss−摩耗後のGloss)/摩耗前のGloss×100
上記条件によるΔGlossは8%であった。
[比較例1]
実施例1において、組成物(A−1)を混練しなかった以外は、実施例1と同様に押出発泡成形した。発泡体の密度が390kg/m、圧縮永久歪Csが32%、有効網目鎖濃度が1.2×10モル/cm、気泡平均径110μm、平衡コンプライアンスJ が6.6×10―5であった。しかし、学振摩耗試験によってを求めたグロス変化率ΔGlossは、60%であった。
実施例1おいて、得られた部分的に架橋された熱可塑性エラストマー組成物に、極限粘度[η]が9dl/gの高分子量成分を10質量%含有し、メルトフローレートが4.0g/10分であり、溶融張力が3gのホモタイプのポリプロピレン(PP−2とする)を20重量部と、前述の鉱物油系軟化剤20重量部とを、前述の2軸押出機を使用して、200℃で40kgの押出速度で混練・押出して、発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得た。
次いで、2台の1軸押出機と一つの積層ダイスからなる2層積層押出装置で、1台の押出機で上記発泡用オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を実施例1と同様の方法で押出発泡を行い、もう1台の押出機で、組成物(A−1)を押し出すことにより、オレフィン系発泡性組成物を発泡させた発泡体と、組成物(A−1)からなる積層体を得た。積層押出成形品はベルト状で、幅が5cm、発泡体の厚みが1.5mm、組成物A−1の厚みが0.5mmであった。
このように得られた発泡積層体の密度が400kg/m、圧縮永久歪Csが31%、有効網目鎖濃度が1.2×10モル/cm、気泡平均径100μm、平衡コンプライアンスJ が6.6×10―5、学振摩耗試験によってを求めたグロス変化率ΔGlossは、6%であった。
[比較例2]
実施例2において、重合例1で得られたシンジオタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体の代わりに、既存のアイソタクティック構造のプロピレン・ブテン・エチレン共重合体(135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は2.5dl/g、プロピレン含量が62mol%、エチレン含量が10mol%、1−ブテン含量が28mol%、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.2)を用い、実施例1と同様に積層押出発泡成形した。発泡積層体の密度が400kg/m、圧縮永久歪Csが32%、有効網目鎖濃度が1.2×10モル/cm、気泡平均径120μm、平衡コンプライアンスJ が6.6×10―5であった。しかし、学振摩耗試験によってを求めたグロス変化率ΔGlossは、783%であった。
[比較例3]
実施例1において、架橋剤1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンと、架橋助剤ジビニルベンゼンを使用せず、部分的に架橋しないい以外は、実施例1と同様に行った。 学振摩耗試験によってを求めたグロス変化率ΔGlossは、8%であった。しかし、発泡積層体の密度が770kg/m、圧縮永久歪Csが98%、有効網目鎖濃度が<105モル/cm、平衡コンプライアンスJ が5.8×10―4
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体は、前記した特定の発泡用オレフィン系エラストマーからなるので、発泡体の密度が低く、かつ圧縮永久歪が少なく、しかも破泡による肌荒れがなく、柔軟な感触で、しかも耐熱性、耐候性に優れている。 さらに、前記特定のオレフィン系エラストマーを熱分解型発泡剤と特定の発泡助剤を用いて発泡させた場合、得られる発泡体は、上記性質に加えて微細な気泡構造を有するため、折れ皺が少ないという利点を持っている。さらに、耐摩耗性、耐傷つき性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーを混練・積層することで、耐傷つき性にも優れる発泡成形体を提案することができる。
圧縮永久歪測定例を示す図(A〜Eは押出発泡成形体の断面形状の例矢印は圧縮方向。) クリープコンプライアンスの説明図 マクスウェルモデル図 セル内圧力経時変化及びセル径経時変化図 押出発泡成形装置
符号の説明
1… 二酸化炭素ボンベ
2… 二酸化炭素圧縮供給装置
3… 二酸化炭素供給ライン
4… 押出機
5… 発泡用熱可塑性エラストマー
6… 水噴射式冷却装置
7… 引き取り機
8… 発泡体

Claims (19)

  1. シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)あるいは、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)を含み、かつ、
    発泡体の密度ρが700kg/m未満の範囲にあり、かつ、
    発泡体を50%圧縮し、70℃オーブン中に22時間保持後の圧縮永久歪Csが60%未満のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体(B)。
    (ここで、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)は、
    1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.5以上であり、
    (a−1)プロピレンから導かれる繰り返し単位と、
    (a−2)エチレンから導かれる繰り返し単位と、
    (a−3)炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位とからなり、
    または、
    (a−1)プロピレンから導かれる繰り返し単位と、
    (a−2)エチレンから導かれる繰り返し単位と、
    (a−3)炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、必要に応じて、
    (a−4)共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位とからなり、
    前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位との合計量を100モル%としたとき前記(a−1)単位を30〜79モル%、前記(a−2)単位を1〜30モル%、前記(a−3)単位を10〜50モル%の量で含み(ただし(a−2)単位と(a−3)単位との合計量は21から70モル%である)、前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位の合計量100モル%に対して前記(a−4)単位を0〜30モル%の量で含み、かつ実質的にシンジオタクティック構造である。)
  2. シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)と他の熱可塑性樹脂(b)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)により表面が被覆され、かつ、
    発泡体の密度ρが700kg/m未満の範囲にあり、かつ、
    発泡体を50%圧縮し、70℃オーブン中に22時間保持後の圧縮永久歪Csが60%未満のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体(C)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
  3. 更に前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物(A)がエチレン系共重合体ゴム(c)を含むことを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、発泡積層体。
  4. エチレン系共重合体ゴム(c)が架橋されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
  5. 前記他の熱可塑性樹脂(b)が、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜200g/10分の範囲にあるポリプロピレンであることを特徴とする特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
  6. 前記シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)が、示差走査型熱量計(DSC)により測定した融解ピークが存在せず、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、GPCによる分子量分布が4以下であり、ガラス転移温度Tgが−5℃以下である請求項1から5のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
  7. シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(a)が架橋されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
  8. 有効網目鎖濃度νが3.0×10−5(モル/cm)〜2.0×10−4(モル/cm)である請求項1から7のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
  9. 発泡体の気泡の平均径が300μm未満の範囲にある請求項1から8いずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡積層体。
  10. 請求項1、2のいずれかに記載の発泡体(B)または(C)用のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物であって、オレフィン系プラスチックと架橋されたオレフィン系共重合体ゴムとを含有し、かつ、平衡クリープコンプライアンスJ が、1.0×10−6(Pa−1)から5.0×10−4(Pa−1)の範囲にあるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  11. 架橋されたオレフィン系ゴムとオレフィン系プラスチックとの合計量100重量部に対し、架橋されたオレフィン系共重合体ゴム40〜90重量部と、オレフィン系プラスチック10〜60重量部を含有する請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  12. 架橋されたオレフィン系共重合体ゴムが有機ペルオキシドで架橋されたオレフィン系共重合体ゴムである請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  13. 架橋されたオレフィン系共重合体ゴムと、オレフィン系プラスチックの合計量100重量部に対し、軟化剤を0〜150重量部含有してなる請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  14. オレフィン系プラスチックと架橋されたオレフィン系共重合体ゴムとの合計100重量部に対し、発泡助剤を0.01重量部〜10重量部含有してなる請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  15. 有機ペルオキシド非架橋型のオレフィン系プラスチック(d)と、
    有機パーオキシド架橋型オレフィン系ゴムとを、
    架橋剤の存在下で動的に熱処理して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー(D)と、
    有機ペルオキシド非架橋型のオレフィン系プラスチック(e)とを溶融混練して得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物であって、
    該有機パーオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック(e)は、135℃デカリン中で測定した[η]が5dl/g以上の高分子量成分を5〜40質量%含有し、かつ溶融張力が2〜20gであり、230℃、2.16kg荷重のMFRが0.1〜20g/10分の範囲にあることを特徴とする請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  16. オレフィン系熱可塑性エラストマー(D)100重量部に対して有機パーオキシド非架橋型オレフィン系プラスチック(e)を1〜40重量部用いることを特徴とする請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  17. 請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を有機または無機の熱分解型発泡剤、二酸化炭素、窒素、水から選ばれる少なくとも1種の発泡剤を用いて発泡させてなるオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、発泡積層体。
  18. 請求項10に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を、熱分解型発泡剤と多価カルボン酸系の発泡助剤を用いて発泡させてなるオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、発泡積層体。
  19. 発泡体が自動車用ウエザーストリップスポンジ、隙間埋め材用発泡シート、建築用サッシシールスポンジ、管継ぎ手用シールスポンジ、プロテクトスポンジまたは断熱スポンジチューブである請求項1、2のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体、または、発泡積層体。
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