JP4902383B2 - オレフィン系熱可塑性エラストマー成形体 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマー成形体 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマーから得られるスラッシュ成形体に関する。
従来、自動車のインストゥルメントパネル表皮には軟質塩化ビニル樹脂が広く用いられていた。軟質塩化ビニル樹脂は、部品への成形加工性に優れる上に、比較的安価であるため、インパネ、ドアや天井などの各種内装表皮に多数使用されていた。しかしながら近年、塩化ビニル樹脂は焼却時に有害ガスの原因になる可能性が指摘されており、上記部品については軟質塩化ビニル樹脂以外の材料へ置き換える検討がなされている。
特に自動車内装部品において、軟質塩化ビニル樹脂の代替として最も広く用いられているのがオレフィン系熱可塑性エラストマーである。オレフィン系熱可塑性エラストマー材料は、軽量であり、成形性、部品加工性に優れ、リサイクル性し易く、燃焼時に有害なガスを発生しない等の点で優れた材料である反面、耐傷つき性に劣るという欠点を有している。
このため、耐傷つき性を要求される部品にはオレフィン系熱可塑性エラストマーそのままでは殆ど用いられておらず、表面処理をするなどして表面の耐傷つき性を改良したものが用いられているのが実状である(例えば特許文献1)。
また、耐傷付き性が改良されたオレフィン系熱可塑性エラストマーとして、ポリプロピレンとEPDM を基本成分とし、動的架橋により製造された架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマーに、ポリイソプレンブロック部の3,4−結合量が多いスチレン・イソプレンブロック共重合体の水添品を添加した組成物が提案されている(例えば特許文献2)。しかしながら、該水添品は、粘着性があることに加えて、従来主に使われていた軟質塩化ビニル樹脂に比べて高価であるため、用途が限られているのが実状である。
さらに、上記の架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマーにポリブテンを添加することで耐傷付き性を改良した組成物が提案されている(例えば特許文献3)。しかしながら、その耐傷付性は、汎用の架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマーよりは優れるものの、従来使用されていた軟質塩化ビニル樹脂に比べると見劣りするのが実状である。
このような状況において、発明者らは、シンジオタクティック構造を有するプロピレン・エチレン共重合体、及び同構造をするプロピレン・ブテン・エチレン共重合体とポリオレフィン樹脂との組成物が耐傷付性・耐摩耗性に非常に優れ、適当な滑剤などと組み合わせることで軟質塩ビ樹脂に匹敵する耐傷付性・耐摩耗性を発現することを見出した(例えば特許文献4、5)。しかしながら、これらの組成物は、耐熱老化性に劣り、インストゥルメントパネルに求められる100℃程度での耐熱老化試験では、僅か24時間程度で光沢が大きく変化するためその用途での使用は困難である。
特公平3−070742 特開平7−053789 特許第2904708号 PCT WO2005/053951 PCT WO2005/103141
従来技術に伴う問題点を解決するものであって、従来のインストゥルメントパネル表皮などに比べて、環境負荷が少なく、耐傷付き性、耐摩耗性に優れ、更に耐熱老化性に優れたポリオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体を提案するものである。
<概要>
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体は、
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)とポリオレフィン樹脂(B)からなることを特徴とするポリオレフィン組成物の粉体スラッシュ成形することによって得られる成形体であって、
ここで、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)は、1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.5以上であり、
(a−1)プロピレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−2)エチレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−3)炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、必要に応じて、
(a−4)共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位とからなり、
前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位との合計量を100モル%としたとき前記(a−1)単位を30〜78モル%、前記(a−2)単位を1〜30モル%、前記(a−3)単位を1〜50モル%の量で含み(ただし(a−2)単位と(a−3)単位との合計量は22から70モル%である)、前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位の合計量100モル%に対して前記(a−4)単位を0〜30モル%の量で含み、かつ実質的にシンジオタクティック構造である。
ここで、ポリオレフィン樹脂(B)は、シンジタクティックポリプロピレン、および/または、アイソタクティックポリプロピレンであることが好ましい。
更に、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)に加えて、ポリブテン(C)を含むであることが好ましい。
また、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、及びポリブテン(C)に加えて、更に、エチレン系共重合体ゴム(D)を含んでもよく、そのエチレン系共重合体ゴム(D)は架橋されていてもよい。
更に、前記シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した融解ピークが存在せず、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、GPCによる分子量分布が5以下であり、ガラス転移温度Tgが−5℃以下であることが好ましい。
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)が架橋されていてもよい。
また、ポリブテン(C)は、1−ブテンのホモポリマー、或いは1−ブテンと、1-ブテンを除くオレフィンとの共重合体であって、1−ブテン含有量が50モル%以上であるコポリマーであることが好ましい。
そして、該オレフィン系熱可塑性エラストマー成形体は、自動車内装表皮部品、特に、インストゥルメントパネル表皮に使用することが好適である。
上記のようなオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体は、環境負荷が少なく、成形性、耐熱性、耐傷付性、耐摩耗性および柔軟性バランスに優れ、更に耐熱老化性に優れている。
<発明の具体的説明>
以下、本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体について具体的に説明する。
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体は、
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)とポリオレフィン樹脂(B)、からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の粉体をスラッシュ成形して得られることを特徴とする。
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)とポリオレフィン樹脂(B)の合計100重量部に対して、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)1〜99重量部、好ましくは10〜95重量部、さらに好ましくは30〜90重量部、特に好ましくは50〜90重量部、最も好ましくは70〜90重量部、ポリオレフィン樹脂(B)99〜1重量部、好ましくは90〜5重量部、さらに好ましくは70〜10重量部、特に好ましくは50〜10重量部、最も好ましくは30〜10重量部の割合で配合される。
また、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)とポリオレフィン樹脂(B)に加えて、ポリブテン(C)を配合することも出来る。
その場合には、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)とポリブテン(C)の合計100重量部に対して、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)1〜98重量部、好ましくは10〜95重量部、さらに好ましくは30〜90重量部、特に好ましくは50〜90重量部、最も好ましくは70〜90重量部、ポリオレフィン樹脂(B)98〜1重量部、好ましくは89〜4重量部、さらに好ましくは67〜7重量部、特に好ましくは47〜7重量部、最も好ましくは25〜5重量部、および、ポリブテン(C)1〜70重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは3〜25重量部、最も好ましくは5〜20重量部の割合で配合される。
さらに、必要に応じて、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)とポリブテン(C)の合計100重量部に対して、エチレン系共重合体ゴム(D)を5〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは15〜300重量部、特に好ましくは20〜200重量部、最も好ましくは30〜100重量部配合することができる。
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)
まずシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)について説明する。
本発明に係るシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)は1,2,4-トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.5以上であり、好ましくは0.6以上、更に好ましくは、0.7以上である。
このシンジオタクティック構造は、以下のようにして測定される。すなわち、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子製GX-500型NMR測定装置を用い、120℃で13C−NMR測定を行う。積算回数は、10,000回以上とする。 シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)がこのような範囲にあるとシンジオタクティック性に優れ透明性、柔軟性、耐摩耗性に優れる傾向にある。
本発明に係るシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)はエチレン成分単位を1〜30モル%、プロピレン成分単位を30〜78モル%、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位を10〜50モル%、(ここで該共重合体(A)中の全成分単位量を100モル%とし、エチレン成分単位と炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位との合計量は22〜70モル%である)、好ましくはエチレン成分単位を3〜25モル%、プロピレン成分単位を35〜75モル%、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位を10〜45モル%(ここで該共重合体(A)中の全成分単位量を100モル%とし、エチレン成分単位と炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位との合計量は25〜65モル%である)、特に好ましくはエチレン成分単位を3〜25モル%、プロピレン成分単位を35〜65モル%、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位を20〜45モル%(ここで該共重合体(A)中の全成分単位量を100モル%とし、エチレン成分単位と炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位との合計量は35〜65モル%である)、さらに好ましくはエチレン成分単位を5〜25モル%、プロピレン成分単位を40〜65モル%、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位を20〜40モル%含んでいる(ここで該共重合体(I)中の全成分単位量を100モル%とし、エチレン成分単位と炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位との合計量は35〜60モル%である)。さらに、エチレン成分単位、プロピレン成分単位、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分単位の合計量100モル%に対して、共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位を0〜30モル%、好ましくは0〜25モル%含んでも良い。このような量でエチレン成分、プロピレン成分、炭素数4〜20のα-オレフィン由来の成分、必要に応じて使用される共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエン由来の成分を含有するシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)は、熱可塑性樹脂との相溶性が良好となり、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体は、柔軟性、ゴム弾性、耐傷付性、耐摩耗性を発揮する傾向がある。
このようなシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)を調製する際に用いられる(a−3)成分としては、炭素数が4〜20、好ましくは4〜12の範囲にあれば特に限定されず、直鎖状であっても、分岐を有していてもよい。
このような(a−3)成分としては、具体的には、例えば、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプタン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1―ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン等が挙げられ、1―ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテンが好ましく、さらに1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンが好ましく、特に1-ブテンが好ましい。これらの(a−3)成分は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。例えば、炭素数4〜20のα-オレフィンの内から選択される1種のα-オレフィン(イ)と、該炭素数4〜20のα-オレフィンの内から選択され、上記と異なるα-オレフィン(ロ)とを、(イ)/(ロ)=(50〜99モル%)/(1〜50モル%)((イ)+(ロ)=100モル%)の量比で用いることができる。
また、シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)を調製する際に用いられる(a−4)共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位としては、下記共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位である。
共役ポリエンとして具体的には、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1-フェニル-1,3-ブタジエン、1-フェニル-2,4-ペンタジエン、イソプレン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-プロピル-1,3-ブタジエン、2-ブチル-1,3-ブタジエン、2-ペンチル-1,3-ブタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、2-ヘプチル-1,3- ブタジエン、2-オクチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエンなどの共役ジエン;1,3,5-ヘキサトリエンなどの共役トリエンなどが挙げられる。これらのうちでは、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンが共重合性に優れる点で特に好ましい。
非共役ポリエンとして具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、8-メチル-1,7-ノナジエン、7-エチル-1,7-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、7-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-ウンデカジエンなどの非共役ジエン;
6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、6,9-ジメチル-1,5,8-デカトリエン、6,8,9-トリメチル-1,5,8-デカトリエン、6-エチル-10-メチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4-エチリデン-1,6-オクタジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、7-エチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-6-プロピル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-1,7-ノナジエン、8-メチル-4- エチリデン-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエンなどの非共役トリエンなどが挙げられる。
このような非共役ポリエンは、架橋した場合に耐摩耗性に優れるなどの点で好ましい。
これらのなかでは5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMND)が望ましい。(aー4)単位は、2種以上含まれていてもよい。
シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)中にはスチレンなどの芳香族ビニル化合物由来の成分単位、2個以上の2重結合を有する上記ポリエン系不飽和化合物(ポリエン)由来の成分単位、アルコール、カルボン酸、アミン及びこれら誘導体等からなる成分単位等が含まれていてもよい。
シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.01〜10dl/g、好ましくは0.05〜10dl/gの範囲にあることが望ましい。該シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)の極限粘度[η]が、前記範囲内にあると、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、低温特性、耐動的疲労性などの特性に優れたシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体となる。
このシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)は、単一のガラス転移温度を有し、かつ示差走査熱量計(DSC)によって測定したガラス転移温度Tgが、通常-5℃以下、好ましくは-10℃以下、特に好ましくは-15℃以下の範囲にあることが望ましい。該シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)のガラス転移温度Tgが前記範囲内にあると、耐寒性、低温特性に優れる。
またGPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn、ポリスチレン換算、Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)は5.0以下、好ましくは1.5〜4.0、更に好ましくは1.5〜3.0であることが好ましい。この範囲にあると、該オレフィン系熱可塑性エラストマー成形体の耐傷付性、耐摩耗性、耐衝撃性が良好となるため好ましい。
また示差走査熱量計(DSC)によって測定した融解ピークが、存在しないことが望ましい。この場合、該オレフィン系熱可塑性エラストマー成形体の柔軟性、耐傷付性、耐摩耗性、耐衝撃性に優れる。
[シンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)の製造]
このようなシンジオタクティック構造α-オレフィン共重合体(A)は、下記に示すメタロセン系触媒の存在下にプロピレンとエチレンとα-オレフィンを共重合させて得ることができる。このようなメタロセン系触媒としては、
(x)下記一般式(1)で表される遷移金属化合物と、
(y)(y-1)上記遷移金属化合物(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物、
(y-2)有機アルミニウムオキシ化合物、
(y-3)有機アルミニウム化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる少なくとも1つの触媒系が挙げられる。
Figure 0004902383
[式(1)中、MはTi,Zr、Hf、Rn,Nd、SmまたはRuであり、Cp1およびCp2はMとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基、またはそれらの誘導体基であり、X1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、ZはC,O,B,S,Ge,SiまたはSn原子あるいはこれらの原子を含有する基である。]
上記一般式(1)で表される遷移金属化合物の内でも、Cp1とCp2が異なる基である遷移金属化合物が挙げられ、より好ましくはCp1およびCp2のうちのいずれか一方の基がシクロペンタジエニル基またはその誘導体基であり、もう一方の基がフルオレニル基またはその誘導体基であるような遷移金属化合物が挙げられる。これらの内でも、Cp1およびCp2のうちのいずれか一方の基がシクロペンタジエニル基またはその誘導体基であり、もう一方の基がフルオレニル基またはその誘導体基であることが好ましい。
本発明においては、上記シンジオタクティックα-オレフィン共重合体(A)製造用の触媒としては、上記のようなメタロセン系触媒が好ましく用いられるが、場合によっては上記メタロセン系触媒以外の、従来より公知の固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒や、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いることもできる。
本発明では、上記のようなメタロセン系触媒の存在下に、エチレン、プロピレンとα-オレフィン、必要に応じて共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンを通常液相で共重合させる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレンを溶媒として用いてもよい。共重合はバッチ法または連続法のいずれの方法でも行うことができる。
メタロセン系触媒を用い、共重合をバッチ法で実施する場合には、重合系内の遷移金属化合物(x)は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.5ミリモルとなるような量で用いられる。
イオン化イオン性化合物(y-1)は、遷移金属化合物(x)に対するイオン化イオン性化合物のモル比((y-1)/(x))で、0.5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用いられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(y-2)は、遷移金属化合物(x)中の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)のモル比(Al/M)で、1〜10000、好ましくは10〜5000となるような量で用いられる。また有機アルミニウム化合物(y-3)は、重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。
共重合反応は、通常、温度が-20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が0を超えて〜80kg/cm2、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2の範囲の条件下に行なわれる。
また反応時間(重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ましくは10分間〜1.5時間である。
エチレンとプロピレンとα-オレフィンは、上述のような特定組成のシンジオタクティックα-オレフィン共重合体(A)が得られるような量でそれぞれ重合系に供給される。なお共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。 上記のようにしてエチレンとプロピレンとα-オレフィンを共重合させると、シンジオタクティックα-オレフィン共重合体(A)は通常これを含む重合液として得られる。この重合液は常法により処理され、シンジオタクティックα-オレフィン共重合体(A)が得られる。
ポリオレフィン樹脂(B)
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は、結晶性を有するオレフィン重合体であって、適当な原料オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、2-メチル-1- プロペン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、5-メチル-1- ヘキセンなどが挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、または2種以上混合して用いられる。このようなポリオレフィンとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などを挙げることができるが、ポリブテン(C)は含まない。これらの中でもポリプロピレン、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましく、特に230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが、0.1〜200g/10分であるポリプロピレンが最も好ましい。また、耐熱性の観点から、広角X線回折などから求められる結晶化度は5%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上のものが用いられる。
ポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタチックポリプロピレンのいずれを用いても良い。
上記のような熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに上記の熱可塑性樹脂とともに、上記以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
ポリブテン(C)
本発明で必要に応じて用いられるポリブテン(C)は、1−ブテンのホモポリマー、或いは1−ブテンと、1−ブテンを除くオレフィンとの共重合体である。具体的なオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、2-メチル-1- プロペン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、5-メチル-1- ヘキセンなどが挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、または2種以上混合して用いられる。このようなポリオレフィンとして、例えば、1−ブテン・エチレンランダム共重合体、1−ブテン・プロピレンランダム共重合体、1−ブテン・メチルペンテン共重合体、1−ブテン・メチルブテン共重合体、1−ブテン・プロピレン・エチレン共重合体などが挙げられる。このような共重合体において、耐熱老化性の点から、1−ブテン含有量が50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることが更に好ましく、85%以上であることが特に好ましい。
エチレン系共重合体ゴム(D
本発明で必要に応じて用いられるエチレン系共重合体ゴム(D)は、エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィンからなる無定型ランダムな弾性共重合体ゴム、或いはエチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィンと非共役ポリエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴムである。
このようなエチレン系共重合体(D)のエチレンとα−オレフィンのモル比は通常40/60〜85/15であり、その中でも60/40〜83/17の範囲にある物が好ましい。
非共役ポリエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンなどが挙げられる。これらのうちでは、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン・1-ブテン・非共役ジエン共重合体ゴムが好ましく、特にエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム、中でもエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ビニルノルボルネン共重合体ゴムが、特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン系共重合体ゴム(D)のムーニー粘度[ML1+4 (100℃)]は、50〜300、好ましくは100〜200の範囲内にあることが好ましい。
また、このエチレン系共重合体ゴム(D)のヨウ素価は、3〜30であることが好ましく、5〜25の範囲にあることが特に好ましい。
本発明で用いられるエチレン系共重合体ゴム(D)は、軟化剤を含んだいわゆる油展品でも構わない。油展品に用いることの出来る軟化剤は、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;
低・中分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体等の合成油;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;
トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;
石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;
その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコールなどが挙げられる。
これらの軟化剤の中でも、パラフィン系のプロセスオイル、または低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体が特に好ましく、更に、揮発しやすい低分子量成分の含有量が少ない高粘度タイプのパラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。ここで高粘度タイプとは、40℃における動粘度が100〜10000センチストークスの範囲にあるものを言う。
本発明においては、軟化剤は、エチレン系共重合体ゴム(D)100重量部に対し、150重量部以下、好ましくは2〜100重量部、さらに好ましくは5〜60重量部の割合で用いられる。
本発明においてシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、ポリブテン(C)、及びエチレン系共重合体ゴム(D)の他に、本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体の特長を損なわない範囲でその他の熱可塑性樹脂を添加することができる。その他の熱可塑性樹脂としては融点が50℃以上、好ましくは80℃以上、または明確な融点が存在しない場合は、ガラス転移点が40℃以上、好ましくは80℃以上の熱可塑性樹脂であれば特に制限無く用いることができる。
本発明に係るその他の熱可塑性樹脂としては、たとえばポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、軟質塩ビ、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマーなどの結晶性熱可塑性樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイドなどの非結晶性熱可塑性樹脂が用いられる。
また、本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、エチレン系共重合体ゴム(D)の他に、エチレン系共重合体ゴム(D)以外のゴムとエチレン系共重合体ゴム(D)とを組み合わせて用いることもできる。このようなエチレン系共重合体ゴム(D)以外のゴムとしては、たとえばプロピレン・エチレン共重合体ゴム(プロピレン含量60モル%以上)、プロピレン・α-オレフィン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴムおよびその水添品、スチレン・イソプレンゴム及びその水添品、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコンゴムなどが挙げられる。
<その他の成分>
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体は、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、ポリブテン(C)、及びエチレン系共重合体ゴム(D)に加えて、軟化剤および/または無機充填剤をブレンドすることができる。
軟化剤は、先に述べた様にエチレン系共重合体ゴム(D)に油展しても良いし、油展せずに後から加えても良い。エチレン系共重合体ゴム(D)に油展せずに後から加える場合も先に述べたのと同様な軟化剤を用いることが出来る。
油展せずに後から加える場合には、軟化剤の量は、油展分と併せて、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、必要に応じて用いられるポリブテン(C)、及びエチレン系共重合体ゴム(D)の合計量100重量部に対し、100重量部以下、好ましくは3〜80重量部、さらに好ましくは5〜50重量部の割合で用いられる。軟化剤を上記のような割合で用いると、得られる組成物は成形時の流動性に優れ、その成形体の機械的物性を低下させることはない。本発明において、軟化剤の使用量が100重量部を超えると、得られる成形体の機械的強度や耐熱性が低下する傾向にある。
また、本発明で用いられる無機充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカーなどが挙げられる。
本発明においては、無機充填剤は、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、必要に応じて用いられるポリブテン(C)、及びエチレン系共重合体ゴム(D)の合計量100重量部に対して、100重量部以下、好ましくは2〜30重量部の割合で用いられる。本発明において、無機充填剤の使用量が100重量部を超えると、得られる組成物及び成形体のゴム弾性、成形加工性は低下する傾向にある。
さらに、本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体には、従来公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、滑剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。特に滑剤は得られる成形体の耐傷付性、耐摩耗性をさらに向上させる効果があり、上記滑剤としては、高級脂肪酸アミド、金属セッケン、ワックス、シリコーンオイル、フッ素系ポリマー等が挙げられる。
本発明にオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体には、なかでもシリコーンオイル、フッ素系ポリマー、高級脂肪酸アミドが用いられる。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコーン油などが、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物などが挙げられ、好ましくは、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物、特に好ましくはエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ジメチルシリコーンオイル、ビニリデンフルオライド共重合物が用いられる。
高級脂肪酸アミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベへミン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミド;などが用いられる。
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマーは、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、必要に応じて用いられるポリブテン(C)、及びエチレン系共重合体ゴム(D)と、必要に応じて配合される軟化剤および/または無機充填剤等および/または添加剤とを混合した後、動的に熱処理することによって得られる組成物を所望の形状に成形することにより得られる。ここに、「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
ここで、全ての成分を一度に動的に熱処理しても良いし、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)およびポリオレフィン樹脂(B)、必要に応じて使用されるポリブテン(C)、及びエチレン系共重合体ゴム(D)のうち2種以上と、必要に応じて配合される軟化剤および/または無機充填剤等および/または添加剤とを予め動的に熱処理してから、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)およびポリオレフィン樹脂(B)、必要に応じて使用されるポリブテン(C)、及びエチレン系共重合体ゴム(D)のうち1種以上と、必要に応じて配合される軟化剤および/または無機充填剤等および/または添加剤を加え、再度動的に熱処理を行っても良い。
動的な熱処理を架橋剤の存在下で行う場合は、エチレン系共重合体ゴム(D)を架橋させることが出来る。エチレン系共重合体ゴム(D)を架橋させることにより、本発明に掛かる成形体の耐熱性が向上する。また、動的な熱処理を架橋剤の存在下で行うことで、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)を架橋させることもできる。シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)を架橋させることにより、本発明に係る成形体の耐熱性が向上する。特にシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)が(a−4)単位を含むことで、架橋効率が高まり、耐熱性に加えてゴム弾性の向上に寄与する。
その際の用いられる架橋剤は、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート等、熱硬化型ゴムで一般に使用される架橋剤が挙げられる。これら架橋剤の中でも有機過酸化物が特に好ましい。
本発明で用いられる有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチルペルオキシベンゾエート、tert- ブチルペルベンゾエート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert- ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
これらの内では、反応性、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等の2官能の有機過酸化物が特に好ましい。更にそのなかでも、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
このような有機過酸化物は、被処理物全体100重量部に対して、0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部、更に好ましくは0.2〜1.2重量部となるような量で用いられる。
本発明においては、上記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4- ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分であるシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)とポリオレフィン樹脂(B)、エチレン系共重合体ゴム(D)との相溶性が良好であり、かつ、有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた組成物が得られる。
上記のような架橋助剤あるいは多官能性ビニルモノマーなどの化合物は、上記被処理物全体100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは0.1〜3重量部、更に好ましくは0.3〜1.5重量部となるような量で用いられる。
また、有機過酸化物の分解を促進するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6-トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等のナフテン酸塩などの分解促進剤を用いてもよい。
本発明における動的な熱処理は、非開放型の装置中で行なうことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。熱処理の温度は、ポリオレフィン樹脂(B)の融点から300℃の範囲であり、通常120〜290℃、好ましくは140℃〜270℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度で10〜10,000sec-1、好ましくは100〜5,000sec-1の範囲である。
混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(たとえばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。この中でも特に、二軸押出機を用いることが生産性や、得られる成形体の性能の転から好ましい。
さらに、上記のような動的熱処理の後に熱風中で静的に熱処理されることが望ましい。熱処理は80〜130℃で1〜10時間程度行われることが好ましい。この熱処理によって、架橋剤の残査などを除去することができ、臭気が少なく、フォギング性の良好な成形体を得ることが出来る。
本発明の係るオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体は、オレフィン系熱可塑性エラストマーの粉体をパウダースラッシュ成形することにより得られる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、一般にペレットの形状で供されることが多いが、ペレットから本発明に好適な粉体を得るには、例えば粉砕により得ることが出来る。その際、液体窒素等の冷媒を用いて非常に低温で粉砕するのが微細な粉体を獲る上で好ましい。また、動的な熱処理工程において、溶融状態の被処理物を微細な穴から押出し、カッティングすることで、微細な粉体ペレットを製造することも出来る。粉体の大きさの目安としては、500μmを超えるものが5重量%以下で、かつ30μm未満であるものが10重量%以下であることが好ましく、90重量%以上の粒子が30μmから300μmの範囲にあることが特に好ましい。
本発明に掛かるオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体は、上記のような粉体をスラッシュ成形することで得られる。スラッシュ成形の方法や装置は公知の、例えば軟質塩化ビニル樹脂や熱可塑性ポリウレタン樹脂のスラッシュ成形に使用するのと同様の方法、装置により行うことが出来る。
例えば、以下の工程からなる。
表面にシボ模様が入ったインストゥルメントパネルの金型を230〜300℃に加熱し、その金型内に、オレフィン系熱可塑性エラストマーの粉体を入れて金型を回転、振動或いは往復運動されることで、粉体を溶融可塑状態にして金型内面に密着させることで薄くて均一な厚さの膜状の溶融体を形成させ、次いで金型を冷却することで膜状の溶融体を固化させて脱型し、成形体を得る。
本発明に掛かるオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体の具体的には次のようなものが挙げられる。
インストゥルメントパネル表皮、ドア表皮、天井表皮、コンソール表皮、ハンドル表皮、アームレスト表皮、シフトノブ表皮、パーキングレバーグリップ表皮、アシストグリップ表皮、シートアジャストグリップ表皮などの各種自動車用内装表皮、
住宅、ビルの内装に使用される合成皮革様表皮。家具の一部に使用される合成皮革様表皮。
(重合例1;シンジオタクティック プロピレン・ブテン・エチレン ランダム共重合体(A−1)の重合)
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、100mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン480gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を35℃に昇温し、プロピレンで0.54MPaに加圧し、次いでエチレンで0.62MPaに加圧した。その後、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド0.005mmolとアルミニウム換算で1.5mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温50℃、エチレン圧0.62MPaを保ちながら5分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたポリマーは、36.1gであった。また、ポリマーの組成は、プロピレン含量が61.3mol%、エチレン含量が10.3mol%、1−ブテン含量が28.4mol%であり、極限粘度[η]が1.6dl/gであり、ガラス転移温度Tgは−28℃であり、融解ピークは存在せず、GPCによる分子量分布は2.4であった。1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.8であった。
(重合例2;シンジオタクティック プロピレン・エチレン ランダム共重合体(A−2)の重合)
減圧乾燥および窒素置換してある1.5リットルのオートクレーブに、常温でヘプタンを750ml加え、続いてトリイソブチルアルミニウムの1.0ミリモル/mlトルエン溶液をアルミニウム原子に換算してその量が0.3ミリモルとなるように0.3ml加え、撹拌下にプロピレンを50.7リットル(25℃、1気圧)装入し、昇温を開始し50℃に到達させた。その後、系内をエチレンで5.5kg/cm2Gとなるように加圧し、公知の方法で合成したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのヘプタン溶液(0.0002mM/ml)を3.75ml、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液(0.002mM/ml)を2.0ml加え、プロピレンとエチレンの共重合を開始させた。この時の触媒濃度は、全系に対してジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドが0.001ミリモル/リットル、トリフェニルカルベニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートが0.004ミリモル/リットルであった。
重合中、エチレンを連続的に供給することにより、内圧を5.5kg/cm2Gに保持した。重合を開始して30分後、重合反応をメチルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、このポリマー溶液に対して、「水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液」を1:1の割合で用いてこのポリマー溶液を洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この触媒混合溶液を静置したのち、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回洗浄し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強撹拌下に接触させ、重合体を析出させたのち、アセトンで十分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。
以上のようにして得られたプロピレン・エチレン共重合体の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は1.5dl/gであり、SP値は0.94であり、ガラス転移温度は−28℃であり、エチレン含量は24モル%であり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は3.0であった。
参考例1]
重合例1で得られた、シンジオタクティック プロピレン・ブテン・エチレン ランダム共重合体(A−1)70重量部とアイソタクティックポリプロピレン(B−1)(ホモポリマー、MFR(230℃、2.16kg荷重、以下同じ測定条件)45(g/10分))30重量部、カーボンブラックマスターバッチ2重量部(黒に着色するため、以下同じ)とシリコーンオイル(東レ・ダウコーニングシリコン社製、商品名SH100(100cs))2重量部とをバッチ式高速ミキサーで攪拌混合した後、最高温度230℃に設定した2軸押出機で混練し、組成物のペレットを得た。
得られたペレットを冷凍粉砕法により粉体化し、平均粒径約50μmのパウダーを得た。インストゥルメントパネル形状で内表面に深さ150μmのシボ模様を施したシボ転写用金型に、得られたパウダーを所定量入れた後、この金型をヒーターで加熱しながら回転させ金型内のパウダーを流動可塑化して溶融した。この間、金型は220℃に昇温されてから3分間保持された。次いで金型を60℃まで冷却しスラッシュ成形体を得た。平均厚みは0.8mmであった。成形体の平らな部分を切り出し、テーバー式スクラッチテスター(テスター産業製、HA−201)により傷付きテストを行ない、傷が認められる最小荷重を測定した。また、東洋精機製、学振摩耗試験機を用いて、厚さ2mmの試験片を用いて、45R、SUS製の摩耗圧子470gの先端を綿帆布#10に覆い、これを23℃、往復回数100回、往復速度33回/min、ストローク100mmで試料を摩耗させ、その前後のグロス変化を以下の通り評点を評価した。
5:外観の変化が全く認められない
4:微かに摩耗跡が認められる
3:はっきりと摩耗跡が認められる
2:3と1の中間
1:著しい摩耗跡が認められる
更に、成形体の一部を80℃のギアオーブンに24時間入れ、取り出した後の外観をギアオーブンに入れる前と比較して、耐熱老化による光沢変化を以下の評点で評価した。
5:光沢の変化が全く認められない
4:微かに光沢変化が認められる
3:はっきりと光沢変化が認められる
2:3と1の中間
1:著しい光沢変化が認められる
それぞれの評価結果を表1に示す。
参考例2]
シンジオタクティック プロピレン・ブテン・エチレン ランダム共重合体(A−1)70重量部とアイソタクティックポリプロピレン(B−1)30重量部、カーボンブラックマスターバッチ2重量部とシリコーンオイル2重量部、ポリテトラフルオロエチレンパウダー(PTFE)0.3重部から参考例1と同様に組成物のペレットを得た。
更に、得られたペレットから参考例1と同様にパウダーを得、スラッシュ成形を行った。参考例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。それぞれの評価結果を表1に示す。
[実施例3]
シンジオタクティック プロピレン・ブテン・エチレン ランダム共重合体(A−1)70重量部とアイソタクティックポリプロピレン(B−1)20重量部、1−ブテンホモポリマー(C−1)(MFR25(g/10分))10重量部、カーボンブラックマスターバッチ2重量部とシリコーンオイル2重量部、ポリテトラフルオロエチレンパウダー(PTFE)0.3重部から参考例1と同様に組成物のペレットを得た。
更に、得られたペレットから参考例1と同様にパウダーを得、スラッシュ成形を行った。参考例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。それぞれの評価結果を表1に示す。
[実施例4]
シンジオタクティック プロピレン・ブテン・エチレン ランダム共重合体(A−1)50重量部とアイソタクティックポリプロピレン(B−1)20重量部、1−ブテンホモポリマー(C−1)10重量部、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムの油展品(EPDM(D−1))(油展量40部(油:鉱物油系パラフィンオイル)、ムーニー粘度ML1+4(100℃)70、エチレン含量79モル%、ヨウ素価11)のペレット20重量部と、架橋剤(POX)として2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン0.4重量部、架橋助剤としてジビニルベンゼン(DVB)0.4重量部、カーボンブラックマスターバッチ2重量部とシリコーンオイル2重量部、ポリテトラフルオロエチレンパウダー(PTFE)0.3重部から参考例1と同様に組成物のペレットを得た。
更に、得られたペレットから実施例1と同様にパウダーを得、スラッシュ成形を行った。参考例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。それぞれの評価結果を表1に示す。
[実施例5]
アイソタクティックポリプロピレン(ホモポリマー、MFR30(g/10分))40重量部、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムの油展品(EPDM(D−1))のペレット60重量部と、架橋剤(POX)として2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン0.4重量部、架橋助剤としてジビニルベンゼン(DVB)0.4重量部をヘンシェルミキサーで充分撹拌混合し、160℃〜220℃に設定した2軸押出機に供給して、動的架橋を行い、架橋型熱可塑性エラストマー(TPV−1)のペレットを製造した。このTPV−1のペレット30重量部、シンジオタクティック プロピレン・ブテン・エチレン ランダム共重合体(A−1)40重量部とアイソタクティックポリプロピレン(B−1)15重量部、シンジオタクティックポリプロピレン(B−2)(MFR1(g/10分))5重量部、1−ブテンホモポリマー(C−1)10重量部、カーボンブラックマスターバッチ2重量部とシリコーンオイル2重量部、ポリテトラフルオロエチレンパウダー(PTFE)0.3重部から参考例1と同様に組成物のペレットを得た。
更に、得られたペレットから参考例1と同様にパウダーを得、スラッシュ成形を行った。実施例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。それぞれの評価結果を表1に示す。
参考例6]
重合例2で得られた、シンジオタクティックプロピレン・エチレンランダム共重合体(A−2)70重量部とシンジオタクティックポリプロピレン(B−1)30重量部、カーボンブラックマスターバッチ2重量部とシリコーンオイル2重量部、ポリテトラフルオロエチレンパウダー(PTFE)0.3重部から参考例1と同様に組成物のペレットを得た。
更に、得られたペレットから参考例1と同様にパウダーを得、スラッシュ成形を行った。参考例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。それぞれの評価結果を表1に示す。
[実施例7]
重合例2で得られた、シンジオタクティックプロピレン・エチレンランダム共重合体(A−2)70重量部とシンジオタクティックポリプロピレン(B−1)20重量部、1−ブテンホモポリマー(C−1)10重量部、カーボンブラックマスターバッチ2重量部とシリコーンオイル2重量部、ポリテトラフルオロエチレンパウダー(PTFE)0.3重部から参考例1と同様に組成物のペレットを得た。
更に、得られたペレットから参考例1と同様にパウダーを得、スラッシュ成形を行った。参考例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。それぞれの評価結果を表1に示す。
[比較例1]
参考例1において、シンジオタクティック プロピレン・ブテン・エチレン ランダム共重合体(A−1)の代わりに、既存のアイソテクティック構造のプロピレン・ブテン・エチレン共重合体(A−3)(135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は1.5dl/g、プロピレン含量が62mol%、エチレン含量が10mol%、1−ブテン含量が28mol%、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.2)を使用した以外は、参考例1と同様に組成物のペレットを得た。
更に、得られたペレットから参考例1と同様にパウダーを得、スラッシュ成形を行った。参考例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。それぞれの評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例5において、シンジオタクティック プロピレン・ブテン・エチレン ランダム共重合体(A−1)の代わりに、既存のアイソテクティック構造のプロピレン・ブテン・エチレン共重合体(A−3)を使用した以外は、実施例5と同様に組成物のペレットを得た。
更に、得られたペレットから参考例1と同様にパウダーを得、スラッシュ成形を行った。参考例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。それぞれの評価結果を表1に示す。
[比較例3]
参考例6において、シンジオタクティック プロピレン・エチレン ランダム共重合体(A−2)の代わりに、既存のアイソテクティック構造のプロピレン・エチレン共重合体(A−4)(135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は1.5dl/g、エチレン含量は24モル%であり、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は3.0)を使用した以外は、参考例6と同様に組成物のペレットを得た。
更に、得られたペレットから参考例1と同様にパウダーを得、スラッシュ成形を行った。参考例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。それぞれの評価結果を表1に示す。
[参考例]
黒に着色された軟質塩化ビニル樹脂(デンカ製、ビニコンM−2510 、ショアA硬度89)のシート(厚さ1.0mm)を参考例1と同様に傷付きテスト、学振摩耗試験、耐熱老化試験を行なった。
Figure 0004902383

Claims (8)

  1. シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)とシンジオタクティックポリプロピレン、および/または、アイソタクティックポリプロピレンであるポリオレフィン樹脂(B)及びポリブテン(C)からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の粉体をスラッシュ成形して得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体。
    ここで、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)は、
    1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.5以上であり、
    (a−1)プロピレンから導かれる繰り返し単位と、
    (a−2)エチレンから導かれる繰り返し単位と、
    (a−3)炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、必要に応じて
    (a−4)共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位とからなり、
    前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位との合計量を100モル%としたとき前記(a−1)単位を30〜78モル%、前記(a−2)単位を1〜30モル%、前記(a−3)単位を1〜50モル%の量で含み(ただし(a−2)単位と(a−3)単位との合計量は22から70モル%である)、前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位の合計量100モル%に対して前記(a−4)単位を0〜30モル%の量で含み、かつ実質的にシンジオタクティック構造である。
  2. シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、及びポリブテン(C)に加えて、更に、エチレン系共重合体ゴム(D)を含むことを特徴とする請求項1記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体。
  3. エチレン系共重合体ゴム(D)が架橋されていることを特徴とする請求項2記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体。
  4. 前記シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)が、示差走査型熱量計(DSC)により測定した融解ピークが存在せず、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、GPCによる分子量分布が5以下であり、ガラス転移温度Tgが−5℃以下である請求項1から3のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体。
  5. シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)が架橋されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体。
  6. ポリブテン(C)が、1−ブテンのホモポリマー、或いは、1−ブテンと、1-ブテンを除くオレフィンとの共重合体であって、1−ブテン含有量が50モル%以上であるコポリマーであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体から得られる自動車内装表皮。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー成形体から得られる自動車インストゥルメントパネル表皮。
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