JP2007161816A - 自動車内装表皮部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)と、他の熱可塑性樹脂(B)、および必要によりエチレン系共重合体ゴム(C)とからなることを特徴とする自動車内装表皮部材。組成割合は、(A):(B)=1〜99:1〜99(重量部)((A)+(B)=100重量部)に対し、(C)=5〜1000重量部が好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明の自動車内装表皮部材は、
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)と他の熱可塑性樹脂(B)、および、必要に応じて、エチレン系共重合体ゴム(C)からなることを特徴とする自動車内装表皮部材である。
(ここで、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)は、
1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.5以上であり、
(a−1)プロピレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−2)エチレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−3)炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、必要に応じて、
(a−4)共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位とからなり、
前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位との合計量を100モル%としたとき前記(a−1)単位を30〜79モル%、前記(a−2)単位を1〜30モル%、前記(a−3)単位を10〜50モル%の量で含み(ただし(a−2)単位と(a−3)単位との合計量は21から70モル%である)、前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位の合計量100モル%に対して前記(a−4)単位を0〜30モル%の量で含み、かつ実質的にシンジオタクティック構造である。)
また、エチレン系共重合体ゴム(C)が架橋されていることが望ましい。
以下、本発明に係る自動車内装表皮部材について具体的に説明する。
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)と他の熱可塑性樹脂(B)、および、必要に応じて、エチレン系共重合体ゴム(C)からなることを特徴とする自動車内装表皮部材である。
まずシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)について説明する。
6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、6,9-ジメチル-1,5,8-デカトリエン、6,8,9-トリメチル-1,5,8-デカトリエン、6-エチル-10-メチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4-エチリデン-1,6-オクタジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、7-エチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-6-プロピル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-1,7-ノナジエン、8-メチル-4- エチリデン-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエンなどの非共役トリエンなどが挙げられる。
また示差走査熱量計(DSC)によって測定した融解ピークが、存在しないことが望ましい。この場合、柔軟性、耐傷付性、透明性、耐白化性に優れる。
このようなシンジオタクティック構造α-オレフィン共重合体(A)は、下記に示すメタロセン系触媒の存在下にプロピレンとエチレンとα-オレフィンを共重合させて得ることができる。
(x)下記一般式(1)で表される遷移金属化合物と、
(y)(y-1)上記遷移金属化合物(a)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物、
(y-2)有機アルミニウムオキシ化合物、
(y-3)有機アルミニウム化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる少なくとも1つの触媒系が挙げられる。
本発明に係るシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(A)以外のその他の熱可塑性樹脂としては、融点が50℃以上、好ましくは80℃以上、または融点が存在しない場合はガラス転移点が40℃以上、好ましくは80℃以上の熱可塑性樹脂であれば特に制限無く用いることができる。
本発明で用いられるエチレン系共重合体ゴム(C)は、エチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィンからなる無定型ランダムな弾性共重合体ゴム、或いはエチレンと炭素原子数が3〜20のα- オレフィンと非共役ポリエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体ゴムである。
低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体等の合成油;
コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;
ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;
トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;
リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;
石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;
その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコールなどが挙げられる。
これらの軟化剤の中でも、パラフィン系のプロセスオイルまたは低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体が特に好ましく、更に、揮発しやすい低分子量成分の含有量が少ない高粘度タイプのパラフィン系プロセスオイルが特に好ましい。ここで高粘度タイプとは、40℃における動粘度が100〜10000センチストークスの範囲にあるものを言う。
本発明に係る自動車内装表皮部材は、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)および他の熱可塑性樹脂(B)、必要に応じて用いられるエチレン系共重合体ゴム(C)に加えて、軟化剤および/または無機充填剤をブレンドすることができる。
ムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカーなどが挙げられる。
シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)および他の熱可塑性樹脂(B)、必要に応じて用いられるエチレン系共重合体ゴム(C)と、必要に応じて配合される軟化剤および/または無機充填剤等および/または添加剤とを混合した後、動的に熱処理することによって得られる組成物を所望の形状に成形することにより得られる。ここに、「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチルペルオキシベンゾエート、tert- ブチルペルベンゾエート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert- ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
本発明の係る自動車内装表皮部材としては、具体的には次のようなものが挙げられる。
i)本発明の組成物を押出成形、或いはカレンダー成形することにより得られたシート状成形体をを真空成形、或いはスタンピング成形することにより加工される、インパネ(インストゥルメントパネル)表皮、ドア表皮、天井表皮、コンソール表皮など。
ii)本発明の組成物を粉砕により1.0mm以下の粉体状にし、パウダースラッシュ成形することにより加工される、インパネ(インストゥルメントパネル)表皮、ドア表皮、天井表皮、コンソール表皮など。
iii)本発明の組成物を射出成形により成形・加工される、ハンドル表皮、コンソール表皮、アームレスト表皮、シフトノブ表皮、パーキングレバーグリップ表皮、アシストグリップ表皮、シートアジャストグリップ表皮などの各種表皮。この場合、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂との逐次射出成形、同時射出成形によりオレフィン系樹脂の基材と本発明の表皮を一体成形することもできる。
(重合例1;シンジオタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体の合成)
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、100mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン480gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を35℃に昇温し、プロピレンで0.54MPaに加圧し、次いでエチレンで0.62MPaに加圧した。その後、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド0.005mmolとアルミニウム換算で1.5mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温35℃、エチレン圧0.62MPaを保ちながら5分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたポリマーは、36.1gであった。また、ポリマーの組成は、プロピレン含量が61.3mol%、エチレン含量が10.3mol%、1−ブテン含量が28.4mol%であり、極限粘度[η]が2.67dl/gであり、ガラス転移温度Tgはー27.7℃であり、融解ピークは存在せず、GPCによる分子量分布は2.0であった。1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.8であった
ΔGloss=(摩耗前のGloss−摩耗後のGloss)/摩耗前のGloss×100
上記条件によるΔGlossは5%であった。
既存のアイソテクティック構造のプロピレン・ブテン・エチレン共重合体(135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は2.5dl/g、プロピレン含量が62mol%、エチレン含量が10mol%、1−ブテン含量が28mol%、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.2)80重量部とアイソタクティックポリプロピレン(ホモポリマー、MFR(230℃、2.16kg荷重、以下同じ)0.5(g/10分))20重量部、カーボンブラックマスターバッチ1重量部(黒に着色するため)とを230℃に設定した2軸押出機で混練し、組成物(II)のペレットを得た。
得られた組成物(II)ペレットから実施例1と同様にシボ付きシートを成形し、実施例1と同様に凸引き真空成形した。成形外観は、所々に光沢のムラが見られた。伸びが均一でなかったためと思われる。
また、実施例1と同様に学振摩耗試験前後のグロスを測定した。ΔGlossは、65%であった。
組成物(III)のペレット100重量部に対して、
重合例1で得られた、プロピレン・ブテン・エチレン共重合体35重量部とアイソタクティックポリプロピレン(ホモポリマー、MFR(230℃、2.16kg荷重、以下同じ)0.5(g/10分))10重量部、カーボンブラックマスターバッチ1重量部(黒に着色するため)とを230℃に設定した2軸押出機で混練し、組成物(IV)のペレットを得た。
得られた組成物(IV)ペレットから、実施例1と同様にシボ付きシートを成形し、実施例1と同様に凸引き真空成形した。成形外観は特に問題無く、良好であった。
実施例2で得られた組成物(III)100重量部に対して、既存のアイソテクティック構造のプロピレン・ブテン・エチレン共重合体(135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は2.5dl/g、プロピレン含量が62mol%、エチレン含量が10mol%、1−ブテン含量が28mol%、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)は2.2)80重量部とアイソタクティックポリプロピレン(ホモポリマー、MFR(230℃、2.16kg荷重、以下同じ)0.5(g/10分))20重量部、カーボンブラックマスターバッチ1重量部(黒に着色するため)とを230℃に設定した2軸押出機で混練し、組成物(V)のペレットを得た。
また、実施例1と同様に学振摩耗試験前後のグロスを測定した。ΔGlossは、56%であった。
5点:傷が認められない
4点:僅かに傷が認められる
3点:明らかに傷が認められる
2点:表面が削れて摩耗している
1点:表面が著しく摩耗している
評点は4点であった。
比較例1で得られた組成物(II)ペレットから実施例と同様に射出成形により、グリップを成形した。更に実施例2と同様に復摩耗試験を行ない、試験前後の変化を目視で評価した。評点は2点であった。
Claims (7)
- シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)と他の熱可塑性樹脂(B)からなることを特徴とする自動車内装表皮部材。
(ここで、シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)は、
1,2,4−トリクロロベンゼン溶液で測定した13C−NMRで、プロピレン単位のメチル基の吸収がテトラメチルシランを基準として約20.0〜21.0ppmに観測される吸収強度の総和がプロピレンメチルに帰属される約19.0〜22.0ppmの吸収強度の0.5以上であり、
(a−1)プロピレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−2)エチレンから導かれる繰り返し単位と、
(a−3)炭素原子数4〜20のオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる繰り返し単位と、必要に応じて、
(a−4)共役ポリエンおよび非共役ポリエンから選ばれる少なくとも1種のポリエンから導かれる繰り返し単位とからなり、
前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位との合計量を100モル%としたとき前記(a−1)単位を30〜79モル%、前記(a−2)単位を1〜30モル%、前記(a−3)単位を10〜50モル%の量で含み(ただし(a−2)単位と(a−3)単位との合計量は21から70モル%である)、前記(a−1)単位と(a−2)単位と(a−3)単位の合計量100モル%に対して前記(a−4)単位を0〜30モル%の量で含み、かつ実質的にシンジオタクティック構造である。) - 更にエチレン系共重合体ゴム(C)を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車内装表皮部材。
- エチレン系共重合体ゴム(C)が架橋されていることを特徴とする請求項2に記載の自動車内装表皮部材。
- 前記他の熱可塑性樹脂(B)が、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜200g/10分の範囲にあるポリプロピレンであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動車内装表皮部材。
- 前記シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)が、示差走査型熱量計(DSC)により測定した融解ピークが存在せず、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gの範囲にあり、GPCによる分子量分布が4以下であり、ガラス転移温度Tgが−5℃以下である請求項1から4のいずれかに記載の自動車内装表皮部材。
- 該内装表皮が真空成形、スタンピング成形、パウダースラッシュ成形、射出成形により製造されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の自動車内装表皮部材。
- シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(A)が架橋されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の自動車内装表皮部材。
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