JP2019001888A - 柔らかい触感の熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents

柔らかい触感の熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性、成形外観に優れ、かつ触感に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供する。【解決手段】オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)80〜99重量部と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)20〜1重量部と(成分(A)及び(B)の合計量は100重量部である)、シリコーン系滑剤(C)0.1〜6重量部とを含む組成物であり、JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)45から70で、かつJIS K7120に準拠する230℃、10kg荷重におけるメルトフローレートが40g/10分以上である熱可塑性エラストマー組成物、及び前記組成物を成形して得られる熱可塑性エラストマー成形体であって、該成分(A)〜(C)が特定の要件を満たす熱可塑性エラストマー組成物及び熱可塑性エラストマー成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、柔らかい触感の熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体に関する。
熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易であることから、省エネルギー、省資源タイプのエラストマーとして、特に加硫ゴムや塩化ビニル樹脂の代替として自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。
中でも、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体(EPDM)とポリプロピレンなどの結晶性ポリオレフィンを原料としていることから、他の熱可塑性エラストマーに比べて、比重が軽く、耐熱老化性、耐候性などの耐久性に優れている。
しかしながら、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、加硫ゴムに比べて、引張強度、破断伸度、ゴム弾性が劣るという欠点があり、その改良が強く求められていた。
これらの特性を改良したオレフィン系熱可塑性エラストマーの一つとして、メタロセン系触媒で重合したエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを用いた熱可塑性エラストマーが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、このような熱可塑性エラストマーは従来品に比べて引張強度、破断伸度及びゴム弾性は改良されているものの、成形性あるいはその成形体の外観に問題があるため、使用される用途が限られていた。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性エラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物が報告されているが(例えば、特許文献2、特許文献3)、特許文献2では自動車用ウェザーストリップのコーナー部分を対象にしており、比較的使用者から見えにくく、触りにくい部品であることから触感が考慮されておらず、その他部材への適用が難しい。また、耐傷付き性を考慮して用いる原料も硬度が高いものを使用しており、触感が劣る。特許文献3は射出発泡成形による柔軟な成形体を対象にしているが、通常射出発泡成形では成形体表面にスワルマークといわれる発泡ガスの跡が残るため、良好な成形品外観を得ることが難しい。また、射出発泡成形にはそれに適した成形設備を使用する必要があり、特殊性が高い。
特開平9−137001号公報 特開2000−119447号公報 特開2010−24356号公報
本発明の課題は、成形性、成形外観に優れ、かつ触感に優れる熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)80〜99重量部と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)20〜1重量部と(成分(A)及び(B)の合計量は100重量部である)、シリコーン系滑剤(C)0.1〜6重量部とを含む組成物であり、JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)45から70で、かつJIS K7120に準拠する230℃、10kg荷重におけるメルトフローレートが40g/10分以上である熱可塑性エラストマー組成物であって、該成分(A)が下記(i)〜(iii)を満たし、該成分(B)が下記(iv)〜(v)を満たし、該成分(C)が下記(vi)を満たすことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
(i)JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)((b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含有する高分子量シリコーンマスターバッチを使用する場合は、当該マスターバッチと混合する前のタイプA硬度(瞬間値))40から70;
(ii)熱可塑性エラストマー組成物中に含まれる(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックの含有量が該成分(A)全体(熱可塑性エラストマー組成物中に含まれるすべての(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含む)の10〜23重量部である(該成分(A)全体を100重量部とする);
(iii)JIS K7120に準拠する230℃、10kg荷重におけるメルトフローレート((b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含有する高分子量シリコーンマスターバッチを使用する場合は、当該マスターバッチと混合する前のメルトフローレート)が40g/10分以上である;
(iv)JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)60以下;
(v)スチレン含有量が15wt%以下である;
(vi)(c−1)動粘度5000mm/s未満のシリコーンオイルと(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)からなる;
(2)前記(1)に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる熱可塑性エラストマー成形体。
(3)前記(2)に記載の熱可塑性エラストマー成形体をポリオレフィン系樹脂基材と積層してなる複合成形体。
(4)前記(2)に記載の熱可塑性エラストマー成形体を用いた自動車内装部品。
(5)前記(3)に記載の複合成形体を用いた自動車内装部品。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、成形外観に優れ、かつ触感に優れるものである。
以下に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物について具体的に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)及びシリコーン系滑剤(C)を含有している。
[オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)]
本発明で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)としては、特に制限はなく、例えば従来公知のポリオレフィン系の完全又は部分架橋熱可塑性エラストマーが用いられる。
このようなポリオレフィン系の完全又は部分架橋熱可塑性エラストマーのうち、部分架橋熱可塑性エラストマーとしては、例えば、
(1)(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとからなる混合物、又は(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックと、(c)ペルオキシド非架橋型ゴム状物質及び/又は(d)鉱物油系軟化剤とからなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下に動的に熱処理して得られた、部分的に架橋された熱可塑性エラストマー、
(2)(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックと、(c)ペルオキシド非架橋型ゴム状物質及び/又は(d)鉱物油系軟化剤とからなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下に動的に熱処理して得られた架橋されたゴム組成物に、(e)オレフィン系プラスチックを均一に配合せしめた、部分的に架橋された熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
ここに、前記の(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとは、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム、エチレン・ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする無定形ランダムな弾性共重合体であって、ペルオキシドと混合し、加熱下に混練することにより架橋して流動性の低下又は流動しなくなるゴムをいう。
前記ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムの具体的な例としては、以下のようなゴムが挙げられる。
(1)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約95/5〜50/50]
(2)エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム
[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約95/5〜50/50]
前記のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
前記非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン)、エチリデンノルボルネン(例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン)、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状ジエンが挙げられる。
これらの共重合体ゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)は、通常10〜300、好ましくは30〜250である。また、前記非共役ジエンが共重合している場合のヨウ素価は、25以下が好ましい。
前記オレフィン系共重合体ゴムは、熱可塑性エラストマー中において、未架橋、部分架橋、完全架橋等、すべての架橋状態で存在することができるが、本発明においては、部分架橋状態で存在していることが好ましい。
また、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとは、ペルオキシドと混合し、加熱下で混合することにより熱分解して分子量を減じ、樹脂の流動性が増加するオレフィン系のプラスチックをいい、例えばアイソタクチックポリプロピレンや、プロピレンと他の少量のα−オレフィンとの共重合体、例えばプロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等を挙げることができる。
前記の(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとしては、炭素数2〜20のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。
前記のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
前記(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックの具体的な例としては、以下のような(共)重合体が挙げられる。
(1)プロピレン単独重合体
(2)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
(4)1−ブテン単独重合体
(5)1−ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(6)4−メチル−1−ペンテン単独重合体
(7)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
前記の(c)ペルオキシド非架橋型ゴム状物質とは、例えばポリイソブチレン、ブチルゴム、アタクチックポリプロピレン、プロピレン含量が50モル%以上のプロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム等のように、ペルオキシドと混合し、加熱下に混練しても架橋せず、流動性が低下しない炭化水素系のゴム状物質をいう。
前記の(d)鉱物油系軟化剤とは、通常ゴムをロール加工する際、ゴムの分子間作用力を弱め、加工を容易にするとともに、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の分散を助けたり、あるいは加硫ゴムの硬さを低下せしめて柔軟性、弾性を増す目的で使用されている高沸点の石油留分で、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等に区別されている。鉱物油系軟化剤としては、例えばパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等が挙げられる。
前記の(e)オレフィン系プラスチックとは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体もしくは共重合体、あるいはα−オレフィンと少量の例えば10モル%以下の他の重合性単量体との共重合体、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体等をいう。
本発明において用いられるゴムとしては、前記のオレフィン系共重合体ゴムのほかに、他のゴム、例えばスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム等が挙げられる。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマー(A)において、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックと(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとの重量配合比((b)/(a))は、通常39/61〜15/85、好ましくは35/65〜18/82の範囲である。
なお、本発明の組成物の成分として、前記「(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック」に包含される物質、例えばポリプロピレンを含有する成分(例えば、高分子量シリコーン(シリコーンガム)とポリプロピレンとからなるマスターバッチ)を用いる場合、前記物質(例えばポリプロピレン)の配合量は、本発明の組成物における「(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック」及び「オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)」の配合量に組み込むものとする。
また、ゴムとして、オレフィン系共重合体ゴムとその他のゴムを組合わせて用いる場合には、その他のゴムは、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとゴムとの合計量100重量部に対して、通常40重量部以下、好ましくは5〜20重量部の割合で配合する。
本発明で好ましく用いられる熱可塑性エラストマー(A)は、結晶性ポリプロピレンと、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとからなり、熱可塑性エラストマー中においてこれらが部分架橋された状態で存在し、かつ、結晶性ポリプロピレンとゴムとの重量配合比(結晶性ポリプロピレン/ゴム)が35/65〜18/82の範囲内にある熱可塑性エラストマーである。
本発明で好ましく用いられる熱可塑性エラストマー(A)のより具体的な例としては、エチレン・プロピレン共重合体ゴム又はエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴムからなるゴム(a−1)65〜82重量部と結晶性ポリプロピレン(b−1)35〜18重量部[成分(a−1)及び(b−1)の合計量は、100重量部とする]と、前記ゴム(a−1)以外のゴム(c)及び/又は鉱物油系軟化剤(d)5〜150重量部とからなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得られる、前記ゴム(a−1)が部分的に架橋された熱可塑性エラストマーが挙げられる。
前記有機ペルオキシドとしては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
これらのうち、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、なかでも、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
本発明においては、有機ペルオキシドは、結晶性ポリオレフィンとゴムとの合計量100重量部に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部の割合で用いられる。
前記有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、イオウ、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N,4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートのような架橋助剤、あるいはエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
前記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、前記の被架橋処理物の主成分である結晶性ポリオレフィン及びゴムとの相溶性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマーが得られる。
前記のような架橋助剤又は多官能性ビニルモノマーは、前記の被架橋処理物全体に対して、0.01〜5重量部、特に0.05〜3重量部の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤又は多官能性ビニルモノマーの配合割合が5重量部を超えると、有機ペルオキシドの配合量が多い場合には、架橋反応が速く進行し過ぎるため、得られる熱可塑性エラストマーは、流動性に劣り、一方、有機ペルオキシドの配合量が少ない場合には、架橋助剤及び多官能性ビニルモノマーが、熱可塑性エラストマー中に未反応のモノマーとして残存し、熱可塑性エラストマーは、加工成形の際に熱履歴による物性の変化が生じたりする。したがって、架橋助剤及び多官能性ビニルモノマーは、過剰に配合すべきではない。
前記の「動的に熱処理する」とは、前記のような各成分を融解状態で混練することをいう。混練装置としては、従来公知の混練装置、例えば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が用いられる。これらのうちでは、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
また、混練は、使用する有機ペルオキシドの半減期が1分未満となる温度で行うのが望ましい。混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜270℃であり、混練時間は、通常0.5〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度として通常10〜50,000sec−1、好ましくは100〜10,000sec−1の範囲内で決定される。
なお、完全に架橋された熱可塑性エラストマーは、前記(1)、(2)の熱可塑性エラストマーの調製方法に準じて有機ペルオキシドの使用量、混練時間等の条件を変えることによって調製することができる。
本発明で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)は、JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)((b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含有する高分子量シリコーンマスターバッチを使用する場合は、当該マスターバッチと混合する前のタイプA硬度(瞬間値))が40から70であることが必要である。前記タイプA硬度(瞬間値)が70を超えると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のJIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)を70以下にすることが困難になり、一方、40未満であると、柔軟過ぎるために耐熱性が不足し、またベタツキが強くなり良触感を得ることが難しい。前記タイプA硬度(瞬間値)は、好ましくは42〜68、更に好ましくは45〜66である。
本発明で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)は、熱可塑性エラストマー組成物中に含まれる(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックの含有量が、該成分(A)全体(熱可塑性エラストマー組成物中に含まれるすべての(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含む)の10〜23重量部である(該成分(A)全体を100重量部とする)ことが必要である。前記(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックの含有量が10重量部未満であると、最終的に得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物中のオレフィン系プラスチックの量が少なくなり、高温で軟化しやすくなることから耐熱性が不足する。一方、前記(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックの含有量が23重量部を超えると、最終的に得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物中のオレフィン系プラスチックの量が多くなり、JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)((b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含有する高分子量シリコーンマスターバッチを使用する場合は、当該マスターバッチと混合する前のタイプA硬度(瞬間値))を70以下にすることが困難になる。前記(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックの含有量は、好ましくは11〜19重量部(該成分(A)全体を100重量部とする)である。
本発明で用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)は、JIS K7120に準拠するメルトフローレート(230℃、10kg荷重)((b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含有する高分子量シリコーンマスターバッチを使用する場合は、当該マスターバッチと混合する前のメルトフローレート)が40g/10分以上であることが必要である。前記メルトフローレートが40g/10分未満であると、最終的に得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形した際に、流動性不足による充填不足やフローマークなどの外観不良が発生し、良好な成形品を得ることができない。前記メルトフローレートは、好ましくは50g/10分以上、更に好ましくは60g/10分以上である。
[スチレン系熱可塑性エラストマー(B)]
本発明で用いられるスチレン系熱可塑性エラストマー(B)としては、具体的には、スチレン・イソプレンブロック共重合体、スチレン・イソプレンブロック共重合体の水添物(SEP)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水添物(SEPS;ポリスチレン・ポリエチレン/プロピレン・ポリスチレンブロック共重合体)、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水添物(SEBS;ポリスチレン・ポリエチレン/ブチレン・ポリスチレンブロック共重合体)等が挙げられ、より具体的には、セプトン[クラレ(株)製]、EARNESTON[クラレプラスチック(株)製]、ハイブラー(HYBRAR)[クラレ(株)製]、クレイトン(KRATON)、クレイトンG[Kraton Polymer社製]、ユーロプレンSOLT[Versalis社製]、JSR−TR、JSR−SIS[JSR(株)製]、クインタック[日本ゼオン(株)製]、タフテック[旭化成工業(株)製](以上商品名)等が挙げられる。
本発明で用いられるスチレン系熱可塑性エラストマー(B)は、JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)が60以下であることが必要である。前記タイプA硬度(瞬間値)が60を超えると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のJIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)を70以下にするのが困難になり、本発明の効果が得られない。前記タイプA硬度(瞬間値)は、好ましくは1〜50である。
本発明で用いられるスチレン系熱可塑性エラストマー(B)は、スチレン含有量が15wt%以下であることが必要である。前記スチレン含有量が15wt%を超えると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物のJIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)を70以下にするのが困難になり、本発明の効果が得られない。前記スチレン含有量は、好ましくは5〜14wt%である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)とスチレン系熱可塑性エラストマー(B)を(A)/(B)=80/20〜99/1の重量比で含有する。前記の割合で両者をブレンドすることにより、良好な成形性、成形外観、触感を得ることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)の割合が前記の下限より少ないと、本発明の熱可塑性エラストマーの耐熱性が不足し、一方、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)の割合が前記の上限を超えると、柔軟性が不足し、ベタツキが強くなり触感が低下する。前記(A)/(B)は、好ましくは82/18〜98/2、更に好ましくは85/15〜97/3である。
[シリコーン系滑剤(C)]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、滑剤としてシリコーン系滑剤を添加することにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる熱可塑性エラストマー成形体の表面触感に滑性が加わり、良好な触感となる。
シリコーン系滑剤としては、例えば、シリコーンオイル、高分子量シリコーン(シリコーンガム)、シリコーンパウダー等が挙げられるが、本発明で用いられるシリコーン系滑剤は、(c−1)動粘度5000mm/s未満のシリコーンオイルと(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)からなることが必要である。
耐傷付き性の観点では、(c−1)動粘度5000mm/s未満のシリコーンオイルは、(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)に比べて、分子量が低く、耐傷付き性試験を実施した際に、試験片表面から取れやすく、表面の滑性が低下して耐傷付き性が低下する。一方で、(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)は分子量が高く、耐傷付き性試験を実施した際に、試験片表面から取れにくく、長期的に表面滑性を維持することができる。
また、成形品の触感(滑り)の観点では、(c−1)動粘度5000mm/s未満のシリコーンオイルは、(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)に比べて、分子量が低く、成形後に成形品表面にブリードしやすいことから、成形直後から滑性を発現することができ、良好な触感を付与することができる。一方で、(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)は分子量が高く、成形後に成形品表面にブリードしにくく、成形直後から滑性を発現することが難しい。
これらより、本発明で用いられるシリコーン系滑剤は、(c−1)動粘度5000mm/s未満のシリコーンオイルと(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)からなることが必要であり、(c−1)動粘度5000mm/s未満のシリコーンオイルと(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)との重量配合比((c−1)/(c−2))は、通常90/10〜10/90、好ましくは75/25〜25/75の範囲である。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコーン油等が挙げられる。
高分子量シリコーン(シリコーンガム)としては、通常、重量平均分子量が10万以上のものを用いる。かかる高分子量シリコーン(シリコーンガム)を使用することによって、構成材料の分子と絡まり、長期に渡って表面状態を維持することができる。シリコーンガムの重量平均分子量は、好ましくは10万〜80万、更に好ましくは45万〜65万である。また、高分子量シリコーン(シリコーンガム)としては、非架橋性のものが好ましい。
ここで、重量平均分子量は、例えば、下記条件のGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定することができる。
[ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)の測定条件]
機器 :東ソー株式会社製HLC−8120
カラム :Polymer Laboratories製PL 10u Mixed B(7.5mm I.D×30cm×2)
検出器 :示差屈折率検出器(RI/内蔵)
溶媒 :トルエン(特級)
温度 :40℃
流速 :1.0mL/分
注入量 :110μL
濃度 :0.1重量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法 :ポリスチレン換算
なお、マスターバッチ中の高分子量シリコーン(シリコーンガム)のGPC測定は、予めマスターバッチに、例えば下記処理を行って、高分子量シリコーン(シリコーンガム)とポリプロピレンとに分離した後、得られた高分子量シリコーン(シリコーンガム)について測定することにより行うことができる。
[高分子量シリコーン(シリコーンガム)とポリプロピレンとの分離処理]
はじめに、試料(マスターバッチ)を0.05g秤量し、0.1g/L BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)添加キシレン10mLを加えた後、125℃で60分攪拌してマスターバッチを溶解させる。マスターバッチが全溶したことを目視で確認した後、溶液を室温で3時間程度静置して、液中に結晶性ポリプロピレンを析出させる。この結晶が析出した溶液を住友電工製Fluoropore FP−100(1μm)を用いて吸引ろ過し、キシレン3mLで洗浄して、CXS(キシレン可溶部、高分子量シリコーン(シリコーンガム))とCXIS(キシレン不可溶部、ポリプロピレン)とに分離する。CXSを室温の窒素ブローにより予備乾固した後、60℃で真空乾燥する。真空乾燥は重量減少が認められなくなるまで行う。真空乾燥後のCXS分を用いてGPC測定を行う。
高分子量シリコーン(シリコーンガム)としては、例えば東レ・ダウコーニング(株)製BY27−001、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製CF−9150、信越化学工業(株)製X−21−3043、信越化学工業(株)製X−22−2101を用いることができる。
シリコーン系滑剤は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)及びスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜6重量部の割合で用いられる。シリコーン系滑剤の割合が前記の下限より少ないと、得られる成形品の表面滑性が低く良好な触感が得られず、一方、シリコーン系滑剤の割合が前記の上限を超えると、シリコーン系滑剤を本発明の熱可塑性エラストマー組成物に十分に混練することが難しくなり、射出成形時にシリコーン系滑剤が分離して表面外観が悪化し、又は、得られた成形品にシリコーン系滑剤がブリードし過ぎてぬめり感が発生し触感が低下する。シリコーン系滑剤は、好ましくは、前記合計量100重量部に対して、0.5〜5重量部の割合で用いられる。
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)が45から70であることが必要である。前記タイプA硬度(瞬間値)が70を超えると、柔軟性が低く、得られた成形品の触感が低下し、一方、45未満であると、柔軟性が強すぎてベタツキを感じたり、表面の滑性が低くなり触感が低下する。前記タイプA硬度(瞬間値)は、好ましくは47〜68、更に好ましくは50〜66である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K7120に準拠する230℃、10kg荷重におけるメルトフローレートが40g/10分以上であることが必要である。前記メルトフローレートが40g/10分未満であると、フローマークが発生する。前記メルトフローレートは、好ましくは50g/10分以上、更に好ましくは60g/10分以上である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)及びシリコーン系滑剤(C)、更にその他の成分を溶融混練して製造することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、特にソリッド成形に用いるのに適するものであり、通常、発泡剤等は用いない。
混練装置としては、ミキシングロール及びインテンシブミキサー(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー)、一軸又は二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物からソリッド成形体を調製する方法としては、特に制限はなく、公知の樹脂加工方法に使用される成形機を用いて、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、スタンピングモールド成形、圧縮成形及びビーズ成形等により調製することができる。
次いで、射出成形方法により本発明の熱可塑性エラストマー成形体を調製する方法を例に挙げる。すなわち、熱可塑性エラストマー組成物を射出成形機で加熱溶融した後、ノズル先端部から金型内に射出し、ソリッド成形体を成形する方法がある。射出時の樹脂温度は160〜250℃の範囲が好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、流動性が高いため、射出成形方法より成形体を成形するのが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、前記のオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)及びシリコーン系滑剤(C)以外の成分、例えば、従来公知のその他樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
その他樹脂としては、炭素数2〜20のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。
前記のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
前記その他樹脂の具体的な例としては、以下のような(共)重合体が挙げられる。
(1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法のいずれでもよい)
(2)エチレンと、10モル%以下の他のα−オレフィン又は酢酸ビニル、エチルアクリレート等のビニルモノマーとの共重合体
(3)プロピレン単独重合体
(4)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(5)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
(6)1−ブテン単独重合体
(7)1−ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(8)4−メチル−1−ペンテン単独重合体
(9)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、前記のオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)及びシリコーン系滑剤(C)((c−1)動粘度5000mm/s未満のシリコーンオイル及び(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム);以下同様)以外の成分、例えば、従来公知の無機充填剤、補強材、軟化剤、耐熱安定剤(加工熱安定剤)、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、着色剤、及び滑剤(シリコーン系滑剤(C)以外の滑剤)等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
無機充填剤、補強材、軟化剤、耐熱安定剤(加工熱安定剤)、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤、着色剤及び滑剤(シリコーン系滑剤(C)以外の滑剤)の合計量は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物全量100重量部に対して、通常100重量部以下、好ましくは50重量部以下である。
また、前記のオレフィン系熱可塑性エラストマー(A)及びスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の合計量は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物全量100重量部に対して、通常50〜100重量部、好ましくは65〜100重量部である。
前記軟化剤は、通常ゴムに用いられる軟化剤である。具体的には、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト及びワセリン等の石油系物質;低分子量エチレン・α−オレフィンランダム共重合体等の合成油;コールタール及びコールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油及びヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ及びラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム及びステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂及びアタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート及びジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン及び液状チオコールなどが挙げられる。なかでも、パラフィン系のプロセスオイルが特に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に、軟化剤を添加する場合は、熱可塑性エラストマー組成物の製造時に添加してもよいし、予め、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)の基となるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムに軟化剤を添加して用いてもよいが、それに限定はされない。軟化剤は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)及びスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の合計100重量部に対して、通常5〜130重量部、好ましくは8〜128重量部、更に好ましくは10〜126重量部となるような量で用いられる。軟化剤が、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれると、より柔軟性が得られる点で好ましい。
前記「シリコーン系滑剤(C)以外の滑剤」としては、動粘度5000mm/s以上のシリコーンオイル、シリコーンパウダー、高級脂肪酸アミド、金属セッケン、ワックス、フッ素系ポリマー等が挙げられる。なかでも、高級脂肪酸アミド、フッ素系ポリマーが好ましい。
高級脂肪酸アミドとしては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベへミン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミド等が挙げられる。
フッ素系ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物等が挙げられる。
前記無機充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。
[熱可塑性エラストマー組成物の用途]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、種々公知の成形方法、具体的には、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、カレンダー成形、中空成形等の各種の成形方法により、熱可塑性エラストマー成形体とすることができる。更に、前記成形方法で得られたシートなど成形体を熱成形などで二次加工することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー成形体は特にその使用用途を限定されるものではないが、例えば、自動車用部品など種々公知の用途に好適である。
<自動車部品>
本発明の熱可塑性エラストマー成形体の使用しえる自動車部品としては、自動車内装部品があり、例えば、インストルメントパネル、コンソールボックス、センターコンソール、グローブボックス、オープントレイ、カップホルダー、ダイヤルつまみ、スイッチカバー等を例示でき、中でも本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形性に優れるため、射出成形で得られる成形品が特に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー成形体の使用しえる用途として、前記用途に限らず、種々の用途に使用しえる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下において実施した物性の測定方法及び評価方法は次のとおりである。
(1)MFR(g/10分)
メルトフローレートは、JIS K7120に準拠して、230℃で10kgfの荷重にて測定した。
(2)ショアー硬度測定
JIS K6253に準拠して、厚さ2mmのプレスシートを用い、厚み6mm(厚み2mm片の3枚重ね)の積層されたシートを用いてショアーA硬度計により測定した。ショアーA硬度については、測定直後の値(瞬間値)を求めた。
(3)射出外観(剥離の有無)
滑剤成分が多い場合や混練が不十分な場合は、射出成形時に滑剤が分離して表層剥離が起きる可能性があるため、得られた射出成形品を外観観察し、表層剥離が起きているか、いないかを評価した。
○ 成形品に表層剥離現象はなく良好
× ゲート付近で表層剥離があり
(4)フローマークの有無
得られた射出成形品で外観にフローマークが見られるか評価した。
○ 成形品にフローマークが見られず良好な状態
△ 成形品の一部でフローマークが目立つ、又は、全体的に薄くフローマークが見える
× フローマークが顕著に見える
(5)ベタツキ
得られた射出成形品に指先を軽く接触させ、指を上に持ち上げた際に指が材料にくっついてひっぱられるかを下記の基準で評価した。
○ 指から材料がすぐに離れ、くっつき感がない
△ 指の持ち上げ初期のみ材料が指にくっつく
× 指を持ち上げた際に、指全体が材料にくっついたままになる
(6)滑り
得られた射出成形品の表面に指を横方向に滑らして触った際に下記の基準で評価した。○ 触った際に指に成形品表面が引っ掛からず、滑らかに滑る
△ 触った際に指に成形品表面が若干引っ掛かるが、指を横方向に動かすには抵抗感がない
× 触った際に指が成形品表面に引っ掛かり、指を横方向に動かすのに抵抗感がある
(7)硬軟感
得られた射出成形品の表面を指で押した際に下記の基準で評価した。
○ 良好(ソフト感あり)
△ やや不良(やや硬質)
× 不良(硬質感あり)
(8)耐傷付き性
得られた射出成形品(試験用角板、厚み3mm)にて、JIS L0849に準拠して、摩擦試験機 II 形(学振形)を用いて、白綿布を摩耗子に取り付け、試験荷重200g、試験速度毎分30回往復、往復回数100回で染色堅牢度試験を実施した。試験後の角板表面を目視観察し、下記の基準で評価した。
○ 傷がほとんど認められないもの
△ 傷が認められるもの
× 深い傷が認められるもの
(9)耐熱性
得られた射出成形品を、130℃のオーブン中でクリップにて吊るし、100時間経過までに自重で千切れかどうかを評価した。
○ 千切れず
△ クリップ跡がつくが千切れず
× クリップ部でつぶれ千切れる
[実施例1〜4及び比較例1〜9]
(成形材料)
(1)オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)
(1−1):オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−1)
ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとしてエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム:商品名 三井EPT(商標)3072EPM(三井化学社製)77重量部、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとしてホモポリプロピレン:商品名 プライムポリプロ(商標)J105G(プライムポリマー製)23重量部、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル:商品名 ダイアナプロセスオイルPW−100(出光興産製)45重量部を、予め密閉式混合機[神戸製鋼(株)ミクストロンBB16]で混合し、シーティングロールに通しシート状にした後、朋来鉄工社製ペレタイザーにより角ペレットを製造した。
次いで、得られたペレット145重量部、架橋剤1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.4重量部と架橋助剤ジビニルベンゼン0.3重量部の混合溶液0.7重量部、フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)0.2重量部をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
次いで、この架橋剤、架橋助剤と酸化防止剤が表面に付着したペレット145.9重量部を押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製)にて220℃で1時間当たり50kgの処理速度で混練を行い、部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−1)を得た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−1)のショアーA硬度(瞬間値)は65、230℃、10kg荷重におけるメルトフローレート:150g/10分であった。
(1−2):オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−2)
ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとしてエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム:商品名 三井EPT(商標)3072EPM(三井化学社製)75重量部、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとしてホモポリプロピレン:商品名 プライムポリプロ(商標)J105G(プライムポリマー製)15重量部、ペルオキシド非架橋型ゴム状物質としてブチルゴム:商品名 IIR065(エクソンモービルケミカル社製、不飽和度:0.8モル%、ムーニー粘度ML(1+8)125℃:32)10重量部、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル:商品名 ダイアナプロセスオイルPW−100(出光興産製)20重量部を、予め密閉式混合機[神戸製鋼(株)ミクストロンBB16]で混合し、シーティングロールに通しシート状にした後、朋来鉄工社製ペレタイザーにより角ペレットを製造した。
次いで、得られたペレット120重量部、架橋剤1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.2重量部と架橋助剤ジビニルベンゼン0.2重量部の混合溶液0.4重量部、フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)0.1重量部をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
次いで、この架橋剤、架橋助剤と酸化防止剤が表面に付着したペレット120.5重量部を押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製)にて220℃で1時間当たり50kgの処理速度で混練を行い、部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−2)を得た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−2)のショアーA硬度(瞬間値)は62、230℃、10kg荷重におけるメルトフローレート:80g/10分であった。
(1−3):オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−3)
ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとしてエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム:商品名 三井EPT(商標)3072EPM(三井化学社製)80重量部、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとしてホモポリプロピレン:商品名 プライムポリプロ(商標)J105G(プライムポリマー製)20重量部、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル:商品名 ダイアナプロセスオイルPW−100(出光興産製)50重量部を、予め密閉式混合機[神戸製鋼(株)ミクストロンBB16]で混合し、シーティングロールに通しシート状にした後、朋来鉄工社製ペレタイザーにより角ペレットを製造した。
次いで、得られたペレット150重量部、架橋剤1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.3量部と架橋助剤ジビニルベンゼン0.3重量部の混合溶液0.6重量部、フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)0.2重量部をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
次いで、この架橋剤、架橋助剤と酸化防止剤が表面に付着したペレット150.8重量部を押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製)にて220℃で1時間当たり50kgの処理速度で混練を行い、部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−3)を得た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−3)のショアーA硬度(瞬間値)は51、230℃、10kg荷重におけるメルトフローレート:20g/10分であった。
(1−4):オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−4)
ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとしてエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム:商品名 三井EPT(商標)3072EPM(三井化学社製)70重量部、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとしてホモプロピレン:商品名 プライムポリプロ(商標)J105G(プライムポリマー製)30重量部、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル:商品名 ダイアナプロセスオイルPW−100(出光興産製)20重量部を、予め密閉式混合機[神戸製鋼(株)ミクストロンBB16]で混合し、シーティングロールに通しシート状にした後、朋来鉄工社製ペレタイザーにより角ペレットを製造した。
次いで、得られたペレット120重量部、架橋剤1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.4重量部と架橋助剤ジビニルベンゼン0.2重量部の混合溶液0.6重量部、フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)0.1重量部をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
次いで、この架橋剤、架橋助剤と酸化防止剤が表面に付着したペレット120.7重量部を押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製)にて220℃で1時間当たり50kgの処理速度で混練を行い、部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−4)を得た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−4)のショアーA硬度(瞬間値)は78、230℃、10kg荷重におけるメルトフローレート:120g/10分であった。
(1−5):オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−5)
ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとしてエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム:商品名 三井EPT(商標)X−3042E(三井化学社製)87重量部、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとしてホモポリプロピレン:商品名 プライムポリプロ(商標)J105G(プライムポリマー製)13重量部、軟化剤としてパラフィン系プロセスオイル:商品名 ダイアナプロセスオイルPW−100(出光興産製)50重量部を、予め密閉式混合機[神戸製鋼(株)ミクストロンBB16]で混合し、シーティングロールに通しシート状にした後、朋来鉄工社製ペレタイザーにより角ペレットを製造した。
次いで、得られたペレット150重量部、架橋剤1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン1.0重量部と架橋助剤ジビニルベンゼン0.3重量部の混合溶液1.3重量部、フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)0.2重量部をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
次いで、この架橋剤、架橋助剤と酸化防止剤が表面に付着したペレット151.5重量部を押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製)にて220℃で1時間当たり40kgの処理速度で混練を行い、部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−5)を得た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV−5)のショアーA硬度(瞬間値)は37、230℃、10kg荷重におけるメルトフローレート:145g/10分であった。
(2)スチレン系熱可塑性エラストマー(B)
(2−1):スチレン系熱可塑性エラストマー(St−1)
商品名 セプトン(商標)2063(クラレ製):JIS K6253に準拠するショアーA硬度:36、スチレン含有量13wt%
(2−2):スチレン系熱可塑性エラストマー(St−2)
商品名 タフテック(商標)H1062(旭化成ケミカルズ製):JIS K6253に準拠するショアーA硬度:67、スチレン含有量18wt%
(3)シリコーン系滑剤(C)
(c−1)動粘度5000mm/s未満のシリコーンオイル
(3−1):シリコーンオイル[東レ・ダウコーニング社製、SH200(3000mm/s,商標)]
(3−2):シリコーンオイル[東レ・ダウコーニング社製、SH200(100mm/s,商標)]
(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)
(3−3):高分子量シリコーン(シリコーンガム)50重量%とポリプロピレン50重量%とからなるマスターバッチ(東レ・ダウコーニング社製、BY27−001、シリコーン含有量50重量%)
(混練、成形及び評価)
各材料を表1に記載した量で、それぞれ秤量し、各材料の混合物100重量部に対して、耐熱安定剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、BASF社製)0.1重量部と、耐候安定剤としてジアゾ系耐候安定剤(チヌビン326、BASF社)0.1重量部とをヘンシェルミキサーで充分に混合し、押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製)にて200℃で1時間当たり60kgの処理速度で混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
次に、得られた熱可塑性エラストマー組成物を、射出成形機(名機製作所製150トン射出成形機)を用いて成形を行った。射出温度220℃、金型温度50℃にて、厚さ3mm、縦12cm、横15cmの角板金型を使用して、試験用角板を採取した。
熱可塑性エラストマー組成物及び射出成形品を上述した方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
Figure 2019001888
表1に示す結果から、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、成形外観に優れ、かつ触感に優れたものであることがわかる。

Claims (5)

  1. オレフィン系熱可塑性エラストマー(A)80〜99重量部と、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)20〜1重量部と(成分(A)及び(B)の合計量は100重量部である)、シリコーン系滑剤(C)0.1〜6重量部とを含む組成物であり、JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)45から70で、かつJIS K7120に準拠する230℃、10kg荷重におけるメルトフローレートが40g/10分以上である熱可塑性エラストマー組成物であって、該成分(A)が下記(i)〜(iii)を満たし、該成分(B)が下記(iv)〜(v)を満たし、該成分(C)が下記(vi)を満たすことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
    (i)JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)((b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含有する高分子量シリコーンマスターバッチを使用する場合は、当該マスターバッチと混合する前のタイプA硬度(瞬間値))40から70;
    (ii)熱可塑性エラストマー組成物中に含まれる(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックの含有量が該成分(A)全体(熱可塑性エラストマー組成物中に含まれるすべての(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含む)の10〜23重量部である(該成分(A)全体を100重量部とする);
    (iii)JIS K7120に準拠する230℃、10kg荷重におけるメルトフローレート((b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックを含有する高分子量シリコーンマスターバッチを使用する場合は、当該マスターバッチと混合する前のメルトフローレート)が40g/10分以上である;
    (iv)JIS K6253に準拠するタイプA硬度(瞬間値)60以下;
    (v)スチレン含有量が15wt%以下である;
    (vi)(c−1)動粘度5000mm/s未満のシリコーンオイルと(c−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)からなる;
  2. 請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形して得られる熱可塑性エラストマー成形体。
  3. 請求項2に記載の熱可塑性エラストマー成形体をポリオレフィン系樹脂基材と積層してなる複合成形体。
  4. 請求項2に記載の熱可塑性エラストマー成形体を用いた自動車内装部品。
  5. 請求項3に記載の複合成形体を用いた自動車内装部品。
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