JP2019077851A - エラストマー樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】オゾン耐性に優れたエラストマー樹脂組成物、及び該エラストマー樹脂組成物からなる成形体を提供する。【解決手段】エラストマー樹脂(A)、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であるポリプロピレン系樹脂(B)、及び添加剤(D)を含有するエラストマー樹脂組成物であって、前記エラストマー樹脂(A)及び前記ポリプロピレン系樹脂(B)の合計量100質量%に対して、前記エラストマー樹脂(A)を50質量%以上99.5質量%以下、前記ポリプロピレン系樹脂(B)を0.5質量%以上50質量%以下含み、かつ、230℃で流動性を示さない、エラストマー樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、エラストマー樹脂組成物及び該エラストマー樹脂組成物からなる成形体に関する。
自動車や機械、電気製品等、種々の分野で使用されるエラストマーには、機械的特性や加工性等を向上させる目的でオイル等の添加剤が配合されている。例えば特許文献1に記載の防振ゴム部材では、ブリード性潤滑剤を含有しており、摺動性を付与するためにオイルブリード性を制御する工夫をしている。しかしながら、オイルブリード性を制御するには、エラストマー組成物のミクロ構造を精密に制御する必要があった。
一方、エラストマー製品は、大気中に曝露されると、大気中のオゾンの影響で製品の表面に無数の亀裂が入るという問題がある。そのため、オゾン耐性に優れるエラストマー製品が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、オゾン耐性に優れた架橋エラストマー樹脂組成物、及び該エラストマー樹脂組成物からなる成形体を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、下記の発明により当該課題を解決できることを見出した。すなわち、本願開示は、以下に関する。
[1]エラストマー樹脂(A)、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であるポリプロピレン系樹脂(B)、及び添加剤(D)を含有するエラストマー樹脂組成物であって、
前記エラストマー樹脂(A)及び前記ポリプロピレン系樹脂(B)の合計量100質量%に対して、前記エラストマー樹脂(A)を50質量%以上99.5質量%以下、前記ポリプロピレン系樹脂(B)を0.5質量%以上50質量%以下含み、かつ、230℃で流動性を示さない、エラストマー樹脂組成物。
[2]前記ポリプロピレン系樹脂(B)が、下記(1)を満たす、上記[1]に記載のエラストマー樹脂組成物。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が、観測されないか又は0℃以上120℃以下である。
[3]前記ポリプロピレン系樹脂(B)の極限粘度[η]が、0.01dL/g以上2.50dL/g以下である、上記[1]又は[2]に記載のエラストマー樹脂組成物。
[4]前記ポリプロピレン系樹脂(B)が、エチレン及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つの構成単位を0モル%を超え20モル%以下含む、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[5]前記エラストマー樹脂(A)が、スチレン、ジエン、ケイ素含有モノマー、フッ素含有モノマー、エチレン及びイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位を含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[6]前記ジエンが、ブタジエン、イソプレン、β−ファルネセン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン及び1,4−ヘキサジエンからなる群より選ばれる少なくとも1つである、上記[5]に記載のエラストマー樹脂組成物。
[7]前記エラストマー樹脂(A)がスチレンに由来する構成単位を含む、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[8]前記エラストマー樹脂(A)がスチレンと共役ジエンとの共重合体である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[9]前記エラストマー樹脂(A)がエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムである、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[10]前記エラストマー樹脂(A)が共役ジエン系ゴムである、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[11]前記添加剤(D)がオイルを含有する、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[12]上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物からなる成形体。
[1]エラストマー樹脂(A)、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であるポリプロピレン系樹脂(B)、及び添加剤(D)を含有するエラストマー樹脂組成物であって、
前記エラストマー樹脂(A)及び前記ポリプロピレン系樹脂(B)の合計量100質量%に対して、前記エラストマー樹脂(A)を50質量%以上99.5質量%以下、前記ポリプロピレン系樹脂(B)を0.5質量%以上50質量%以下含み、かつ、230℃で流動性を示さない、エラストマー樹脂組成物。
[2]前記ポリプロピレン系樹脂(B)が、下記(1)を満たす、上記[1]に記載のエラストマー樹脂組成物。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が、観測されないか又は0℃以上120℃以下である。
[3]前記ポリプロピレン系樹脂(B)の極限粘度[η]が、0.01dL/g以上2.50dL/g以下である、上記[1]又は[2]に記載のエラストマー樹脂組成物。
[4]前記ポリプロピレン系樹脂(B)が、エチレン及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つの構成単位を0モル%を超え20モル%以下含む、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[5]前記エラストマー樹脂(A)が、スチレン、ジエン、ケイ素含有モノマー、フッ素含有モノマー、エチレン及びイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位を含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[6]前記ジエンが、ブタジエン、イソプレン、β−ファルネセン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン及び1,4−ヘキサジエンからなる群より選ばれる少なくとも1つである、上記[5]に記載のエラストマー樹脂組成物。
[7]前記エラストマー樹脂(A)がスチレンに由来する構成単位を含む、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[8]前記エラストマー樹脂(A)がスチレンと共役ジエンとの共重合体である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[9]前記エラストマー樹脂(A)がエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムである、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[10]前記エラストマー樹脂(A)が共役ジエン系ゴムである、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[11]前記添加剤(D)がオイルを含有する、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
[12]上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物からなる成形体。
本発明のエラストマー樹脂組成物は、オゾン耐性に優れる。また、本発明のエラストマー樹脂組成物は、添加剤のブリードアウトを制御することができ、樹脂組成物の表面がブリードアウトした添加剤によってコーティングされ、オゾン耐性を向上することができる。
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、エラストマー樹脂(A)、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であるポリプロピレン系樹脂(B)、及び添加剤(D)を含有するエラストマー樹脂組成物であって、前記エラストマー樹脂(A)及び前記ポリプロピレン系樹脂(B)の合計量100質量%に対して、前記エラストマー樹脂(A)を50質量%以上99.5質量%以下、前記ポリプロピレン系樹脂(B)を0.5質量%以上50質量%以下含み、かつ、230℃で流動性を示さない、エラストマー樹脂組成物である。
<エラストマー樹脂(A)>
本実施形態で用いるエラストマー樹脂(A)は、特に限定されないが、公知の各種オレフィン系ゴムを用いることができる。ここで、エラストマー樹脂(A)は、スチレン、ジエン、ケイ素含有モノマー、フッ素含有モノマー、エチレン及びイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位を含むことが、弾性回復性の観点から好ましく、中でも、スチレンあるいはジエンに由来する構成単位を含むことが耐熱性、成形性及び弾性回復性のバランスが良く、より好ましい。
本実施形態で用いるエラストマー樹脂(A)は、特に限定されないが、公知の各種オレフィン系ゴムを用いることができる。ここで、エラストマー樹脂(A)は、スチレン、ジエン、ケイ素含有モノマー、フッ素含有モノマー、エチレン及びイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位を含むことが、弾性回復性の観点から好ましく、中でも、スチレンあるいはジエンに由来する構成単位を含むことが耐熱性、成形性及び弾性回復性のバランスが良く、より好ましい。
ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、β−ファルネセン等の共役ジエン;シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエンが挙げられる。ジエンは、ブタジエン、イソプレン、β−ファルネセン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン及び1,4−ヘキサジエンからなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
エラストマー樹脂(A)としては、例えば、スチレンと共役ジエンとの共重合体、及びその水添物、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム、共役ジエン系ゴム、ブタジエンラバー及びニトリルラバー等が挙げられる。また、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び非共役ポリエンからなるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムを挙げることもでき、その具体例としては、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムが挙げられる。エラストマー樹脂(A)としては、スチレンと共役ジエンとの共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムが好ましい。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムは、エチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとからなる無定形ランダムな弾性共重合体が好ましく、ペルオキシドと混合し、加熱下で混練することによって、架橋して流動性が低下するか、あるいは流動しなくなるオレフィン系共重合体ゴムをいう。このようなオレフィン系共重合体ゴムとしては、具体的には、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム[エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜50/50]が挙げられ、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム[エチレン/α−オレフィン(モル比)=90/10〜51/49]が好ましい。
上記非共役ジエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらのうちでは、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合体ゴムが好ましく、特にエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、中でもエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴムが特に好ましい。
また、非共役ジエン以外の非共役ポリエンとしては、具体的には、6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、6,9−ジメチル−1,5,8−デカトリエン、6,8,9−トリメチル−1,5,8−デカトリエン、6−エチル−10−メチル−1,5,9−ウンデカトリエン、4−エチリデン−1,6−オクタジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、7−エチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、4−エチリデン−1,6−デカジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−デカジエン、7−メチル−6−プロピル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−1,7−ノナジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の非共役トリエン等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムのムーニー粘度[ML(1+4)、125℃]は、成形性と物性のバランスの観点から、好ましくは5以上、より好ましくは20以上であり、そして、好ましくは150以下、より好ましくは100以下である。また、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムのヨウ素価は、10以下であることが好ましい。ヨウ素価がこのような範囲にあると、部分的にバランスよく架橋された熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
エラストマー樹脂(A)の具体例としては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ポリブタジエン、スチレン−イソプレン−ブタジエン三元共重合体、アクリロニトリル−クロロプレンゴム(ACR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体(SEP)等が挙げられる。また、これらが含酸素不飽和エチレン性モノマーで変性されたものを用いてもよい。
その他にも、エラストマー樹脂(A)の具体例として、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン−アクリルゴム(EA)、ポリノルボルネンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、プロピレンオキシドゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
その他にも、エラストマー樹脂(A)の具体例として、天然ゴム(NR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン−アクリルゴム(EA)、ポリノルボルネンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、プロピレンオキシドゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
スチレン系エラストマー樹脂の市販品としては、クレイトン社製の「Dシリーズ」、「Gシリーズ」、JSR(株)製の「TRシリーズ」、「ダイナロン」、旭化成(株)製の「タフプレン」、「アサプレン」、「タフテック」、(株)クラレ製の「セプトン」、「ハイブラー」等が挙げられる。
前記エラストマー樹脂組成物中におけるエラストマー樹脂(A)の含有量は、エラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)の合計量100質量%に対して、50質量%以上99.5質量%以下である。50質量%未満では、エラストマー樹脂組成物のエラストマー性を低下させるおそれがあり、99.5質量%を超えるとエラストマー樹脂組成物の添加剤のブリードアウトの制御が困難となるおそれがある。このような観点から、エラストマー樹脂(A)の含有量は、エラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)の合計量100質量%に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
<ポリプロピレン系樹脂(B)>
本実施形態で用いるポリプロピレン系樹脂(B)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下である。融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g未満であると、エラストマー樹脂組成物において添加剤のブリードアウトを制御することができず、80J/gを超えると、エラストマー樹脂組成物の柔軟性を低下させるおそれがある。このような観点から、融解吸熱量(ΔH−D)は、好ましくは20J/g以上、より好ましくは25J/g以上、更に好ましくは27J/g以上、より更に好ましくは30J/g以上であり、そして、好ましくは50J/g以下、より好ましくは45J/g以下、更に好ましくは40J/g以下である。
上記融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、DSC測定により得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御することができる。
本実施形態で用いるポリプロピレン系樹脂(B)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下である。融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g未満であると、エラストマー樹脂組成物において添加剤のブリードアウトを制御することができず、80J/gを超えると、エラストマー樹脂組成物の柔軟性を低下させるおそれがある。このような観点から、融解吸熱量(ΔH−D)は、好ましくは20J/g以上、より好ましくは25J/g以上、更に好ましくは27J/g以上、より更に好ましくは30J/g以上であり、そして、好ましくは50J/g以下、より好ましくは45J/g以下、更に好ましくは40J/g以下である。
上記融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、DSC測定により得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御することができる。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、下記(1)を満たすことが好ましい。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が、観測されないか又は0℃以上120℃以下である。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が、観測されないか又は0℃以上120℃以下である。
ポリプロピレン系樹脂(B)の融点(Tm−D)は、エラストマー樹脂組成物の柔軟性を高め、添加剤のブリードアウトを制御する観点から、観測されないか又は0℃以上120℃以下であることが好ましい。融点が観測される場合には、同様の観点から、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは35℃以上、より更に好ましくは40℃以上であり、そして、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは90℃以下、より更に好ましくは85℃以下である。
なお、融点は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御可能である。
なお、融点は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御可能である。
また、ポリプロピレン系樹脂(B)の極限粘度[η]は、好ましくは0.01dL/g以上、より好ましくは0.10dL/g以上、更に好ましくは0.30dL/g以上、より更に好ましくは0.40dL/g以上であり、そして、好ましくは2.50dL/g以下、より好ましくは2.00dL/g以下、更に好ましくは1.80dL/g以下、より更に好ましくは1.70dL/g以下、より更に好ましくは1.00dL/g以下である。極限粘度[η]を0.01dL/g以上とすることで、前記エラストマー樹脂(A)とポリプロピレン系樹脂(B)との混合性をより高めることができる。また、2.50dL/g以下とすることで、加工性をより改善することができる。このことは、例えば、タルク等のフィラーを含む樹脂組成物においても同様である。
なお、上記極限粘度[η]は、135℃のテトラリン中、ウベローデ型粘度計で還元粘度(ηSP/c)を測定し、下記式(ハギンスの式)を用いて算出される。
ηSP/c=[η]+K[η]2c
ηSP/c(dL/g):還元粘度
[η](dL/g):極限粘度
c(g/dL):ポリマー粘度
K=0.35(ハギンス定数)
ηSP/c=[η]+K[η]2c
ηSP/c(dL/g):還元粘度
[η](dL/g):極限粘度
c(g/dL):ポリマー粘度
K=0.35(ハギンス定数)
ポリプロピレン系樹脂(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.8以下、更に好ましくは2.6以下、より更に好ましくは2.5以下であり、そして、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.7以上、より更に好ましくは1.8以上である。分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内とすることで、エラストマー樹脂組成物の柔軟性をより高め、エラストマー樹脂組成物のべたつきをより抑制することができる。
なお、本実施形態において、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
なお、本実施形態において、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、上述の融解吸熱量(ΔH−D)が上記範囲を満たせば、特に限定されないが、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン三元ランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又はプロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等から選択されるプロピレン系重合体であることが好ましく、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン三元ランダム共重合体から選択されるプロピレン系重合体であることがより好ましく、プロピレン単独重合体であることが更に好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)が共重合体である場合は、エチレン及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つの構成単位を、0モル%を超えて20モル%以下含むことが、架橋によるブツ発生を抑制し、エラストマー樹脂組成物の柔軟性を高める観点から好ましい。このような観点から、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは1.0モル%以上であり、そして、より好ましくは18.5モル%以下、更に好ましくは15.0モル%以下、より更に好ましくは10.0モル%以下である。
また、ポリプロピレン系樹脂(B)は、炭素数が2のオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が2のオレフィン(すなわち、エチレンモノマー)の構成単位が、好ましくは0モル%を超え20モル%以下、より好ましくは0モル%を超え18モル%以下、更に好ましくは0モル%を超え16モル%以下、より更に好ましくは0モル%を超え14モル%以下である。また、炭素数が4以上のαオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が4以上のα−オレフィン含有量が、好ましくは0モル%を超え30モル%以下、より好ましくは0モル%を超え25モル%以下、更に好ましくは0モル%を超え20モル%以下である。
ポリプロピレン系樹脂(B)としては市販品を用いることができる。具体例としては、「L−MODU」(登録商標)(出光興産(株)製)の「S400」、「S600」、「S901」が挙げられる。非晶質ポリα−オレフィンの市販品として、REXtac,LLC社製の「REXtac」、エボニック社製の「Vestoplast」、Eastman社製の「Eastoflex」、「Aerafin」等も挙げられる(いずれも商品名)。プロピレン系エラストマーの市販品として、三井化学(株)製の「タフマーXM」、「タフマーPN」、「タフマーSN」;住友化学(株)製の「タフセレン」;(株)プライムポリマー製の「プライムTPO」;ダウ・ケミカル(株)製の「Versify」;エクソンモービル社製の「Vistamaxx」、「Linxar」、クラリアント社製の「Licocene」;バセル社製の「Adflex」等も挙げられる(いずれも商品名)。
特にポリプロピレン系樹脂(B)として「L−MODU」を用いた場合、ブリードアウトして樹脂組成物表面に形成されるコーティング層の透明性がワックスと比較して高く、外観に優れるという特徴がある。また、コーティング層の機械的強度についても、「L−MODU」を使用した場合は靭性が高く、ワックスを使用した場合と比較して脆くないため亀裂が入りにくく、耐久性がより高くなるという特徴がある。
特にポリプロピレン系樹脂(B)として「L−MODU」を用いた場合、ブリードアウトして樹脂組成物表面に形成されるコーティング層の透明性がワックスと比較して高く、外観に優れるという特徴がある。また、コーティング層の機械的強度についても、「L−MODU」を使用した場合は靭性が高く、ワックスを使用した場合と比較して脆くないため亀裂が入りにくく、耐久性がより高くなるという特徴がある。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、チーグラーナッタ型の触媒やメタロセン触媒等の重合触媒の存在下で単量体を重合させて得ることができる。中でも、ポリプロピレン系樹脂(B)は、メタロセン触媒により得られるポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。メタロセン触媒は均一系触媒の一種であり、得られる重合体は狭い分子量分布や狭い組成分布を有する均一な重合体となる。
前記エラストマー樹脂組成物中におけるポリプロピレン系樹脂(B)の含有量は、エラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)の合計量100質量%に対して、0.5質量%以上50質量%以下である。0.5質量%未満では、エラストマー樹脂組成物の柔軟性を低下させるおそれがあり、50質量%を超えるとエラストマー樹脂組成物の弾性回復性を低下させるおそれがある。このような観点から、ポリプロピレン系樹脂(B)の含有量は、エラストマー樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
前記エラストマー樹脂組成物中におけるエラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)の合計含有量は、エラストマー樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは35質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上である。
<ポリプロピレン系樹脂(C)>
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、更に、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超え180℃以下であるポリプロピレン系樹脂(C)を含有することが、強度の観点から好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の融点(Tm−D)は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下である。ポリプロピレン系樹脂(C)の融点が上記範囲内であれば、高温での硬度維持の観点から好ましい。
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、更に、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超え180℃以下であるポリプロピレン系樹脂(C)を含有することが、強度の観点から好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の融点(Tm−D)は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは170℃以下、より好ましくは165℃以下である。ポリプロピレン系樹脂(C)の融点が上記範囲内であれば、高温での硬度維持の観点から好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等から選択されるプロピレン系重合体(C’)であることが好ましい。
さらに、得られる成形体の剛性の観点から、プロピレン系重合体(C’)は、重合体中に含まれるエチレン構成単位の含有量が1モル%以下であることが好ましく、エチレン構成単位を含まないプロピレン単独重合体であることがより好ましい。
なお、上記の重合体は、石油・石炭由来のモノマーを用いた重合体でもよいし、バイオマス由来のモノマーを用いた重合体でもよい。
なお、上記の重合体は、石油・石炭由来のモノマーを用いた重合体でもよいし、バイオマス由来のモノマーを用いた重合体でもよい。
本実施形態のエラストマー樹脂組成物がポリプロピレン系樹脂(C)を含有する場合、その含有量は、エラストマー樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは11質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。5質量%以上であれば組成物の強度向上が期待でき、30質量%以下であれば柔軟性を損なわない。
<その他の熱可塑性樹脂>
本実施形態のエラストマー樹脂組成物においては、目的に応じて、前記エラストマー樹脂(A)及び/又は前記ポリプロピレン系樹脂(C)の一部又は全部を前記エラストマー樹脂(A)及び前記ポリプロピレン系樹脂(C)以外の、その他の熱可塑性樹脂に置き換えることもできる。その他の熱可塑性樹脂の具体例としては、特に限定されず、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン酸樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和エステル系樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹脂、シリコーン樹脂を例示できる。
本実施形態のエラストマー樹脂組成物においては、目的に応じて、前記エラストマー樹脂(A)及び/又は前記ポリプロピレン系樹脂(C)の一部又は全部を前記エラストマー樹脂(A)及び前記ポリプロピレン系樹脂(C)以外の、その他の熱可塑性樹脂に置き換えることもできる。その他の熱可塑性樹脂の具体例としては、特に限定されず、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン酸樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和エステル系樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ化ビニル系樹脂、シリコーン樹脂を例示できる。
<添加剤(D)>
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、添加剤(D)を含有する。添加剤の種類は、エラストマー樹脂組成物の使用目的に応じて適宜決定される。例えば、柔軟性や潤滑性の観点からは、添加剤(D)がオイルを含有することが好ましい。本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、1種の添加剤を含有してもよく、2種以上の添加剤を含有してもよい。
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、添加剤(D)を含有する。添加剤の種類は、エラストマー樹脂組成物の使用目的に応じて適宜決定される。例えば、柔軟性や潤滑性の観点からは、添加剤(D)がオイルを含有することが好ましい。本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、1種の添加剤を含有してもよく、2種以上の添加剤を含有してもよい。
(オイル)
オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、イソパラフィン系オイル等の鉱物油、芳香族系の鉱物油系炭化水素、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリ(α−オレフィン)等の低分子量物等の合成樹脂系炭化水素、アルキルベンゼンやひまし油、あまに油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤等が例示できる。中でも、鉱物油系炭化水素、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルが好ましく用いられる。特にパラフィン系炭化水素の炭素数が全炭素数の50%を占めるパラフィン系オイルが好ましい。
また、鉱物油系炭化水素の重量平均分子量は50〜2,000、特に100〜1,500のものが好ましく、40℃の動粘度は3〜800cSt、特に5〜600cStであるのが好ましく、更に流動点は−40〜0℃、特に−30〜0℃であるのが好ましく、引火点(COC法)は200〜400℃、特に250〜350℃であることが好ましい。
なお、動粘度は、ISO3104に準拠して測定した値であり、流動点はJIS K2269:1987に準拠して測定した値であり、引火点はJIS K2265−4:2007(ASTM−D92、クリーブランド開放式)に準拠して測定した値である。
オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、イソパラフィン系オイル等の鉱物油、芳香族系の鉱物油系炭化水素、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリ(α−オレフィン)等の低分子量物等の合成樹脂系炭化水素、アルキルベンゼンやひまし油、あまに油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤等が例示できる。中でも、鉱物油系炭化水素、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルが好ましく用いられる。特にパラフィン系炭化水素の炭素数が全炭素数の50%を占めるパラフィン系オイルが好ましい。
また、鉱物油系炭化水素の重量平均分子量は50〜2,000、特に100〜1,500のものが好ましく、40℃の動粘度は3〜800cSt、特に5〜600cStであるのが好ましく、更に流動点は−40〜0℃、特に−30〜0℃であるのが好ましく、引火点(COC法)は200〜400℃、特に250〜350℃であることが好ましい。
なお、動粘度は、ISO3104に準拠して測定した値であり、流動点はJIS K2269:1987に準拠して測定した値であり、引火点はJIS K2265−4:2007(ASTM−D92、クリーブランド開放式)に準拠して測定した値である。
パラフィン系プロセスオイルの市販品としては、出光興産(株)製の「ダイアナプロセスオイルPW−32」、「ダイアナプロセスオイルPW−90」、「ダイアナプロセスオイルPW−150」、「ダイアナプロセスオイルPS−32」、「ダイアナプロセスオイルPS−90」、「ダイアナプロセスオイルPS−430」;シェブロンUSA社製の「Kaydolオイル」、「ParaLuxオイル」等が挙げられる(いずれも商品名)。
オイル以外の添加剤としては、例えば、表面改質剤、老化防止剤(アミン系、フェノール系、硫黄系、リン系、ワックス);加硫剤;加硫促進剤(スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、グアニジン系);亜鉛華等の加硫促進助剤;加硫抑制剤;素練り促進剤;白色充填剤;カップリング剤;ラジカル発生剤;ポリオレフィン;スリップ剤;アンチブロッキング剤;熱安定剤;フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等の酸化防止剤;光安定剤;紫外線吸収剤;結晶核剤;ブロッキング防止剤;シール性改良剤;ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤;ポリエチレンワックス等の滑剤;着色剤;セラミック、カーボンブラック、アンバー、シェンナ、カオリン、ニッケルチタンイエロー、コバルトブルー、プラマスターグレー、キノフタロン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の顔料;タルク、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維、合成繊維、天然繊維、ガラス粉、ガラスバルーン等の無機中空フィラー;セラミックス粉、マイカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、クレー等の無機充填剤;コルク粉末、木粉、グラファイト等の有機充填剤;発泡剤;水和化合物、赤燐、ポリりん酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン等の難燃剤;帯電防止剤;抗菌剤;分散剤、相溶化剤、ロジン誘導体等の粘着付与剤(タッキファイヤー);「レオストマー(登録商標)B」(商品名、リケンテクノス(株)製)等の接着性エラストマー;クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂等が挙げられる。
酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、アデカスタブ 1178((株)ADEKA製、「アデカスタブ」は登録商標)、スミライザー TNP(住友化学(株)製、「スミライザー」は登録商標)、イルガフォス 168(BASF社製、「イルガフォス」は登録商標)、Sandostab P−EPQ(サンド社製、「Sandostab」は登録商標)等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イルガノックス 1010(BASF社製、「イルガノックス」は登録商標)等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、スミライザー TPL(住友化学(株)製)、DSTP「ヨシトミ」(三菱化学(株)製、「ヨシトミ」は登録商標)、アンチオックス L(日油(株)製、「アンチオックス」は登録商標)等のイオウ系酸化防止剤等を例示できる。
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、発泡させてもよい。発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ系化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トリメチレントリニトロアミン等のN−ニトロソ系化合物;パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジン系化合物;p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等のスルホニルセミカルバジド系化合物を挙げることができる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
添加剤(D)がオイルである場合の含有量は、エラストマー樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。10質量%以上であれば添加剤に由来する効果が期待でき、70質量%以下であれば添加剤のブリードアウトの制御が期待できる。
さらに、本実施形態のエラストマー樹脂組成物においては、架橋剤や架橋助剤等を添加して部分架橋させることも可能である。
架橋剤としては、有機パーオキサイド、イオウ、イオウ化合物、フェノール樹脂等のフェノール系加硫剤等が挙げられる。これらの中では、有機パーオキサイドが好ましい。有機パーオキサイドの具体例としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−ヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ジクミルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド;1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;ベンゾイルパーオキサイド;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。これらの中では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートが好ましく、中でも、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
架橋剤としては、有機パーオキサイド、イオウ、イオウ化合物、フェノール樹脂等のフェノール系加硫剤等が挙げられる。これらの中では、有機パーオキサイドが好ましい。有機パーオキサイドの具体例としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−ヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ジクミルパーオキサイド;t−ブチルクミルパーオキサイド;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド;1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;ベンゾイルパーオキサイド;1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。これらの中では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレートが好ましく、中でも、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
また、架橋助剤としては、例えば、N−メチル−N,4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、ビスマレイミド、フェニレンビスマレイミド、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミド、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ビニルブチラート、ビニルステアレート、不飽和シラン化合物、硫黄等が挙げられる。このような架橋助剤を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。
これらの架橋助剤の中では、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ビスマレイミドが好ましい。これらは、取扱いが容易であり、被架橋処理物の主成分であるエラストマー樹脂(A)と、ポリプロピレン系樹脂(B)との相溶性が良好であり、かつ、有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、柔軟性と物性とのバランスのとれたエラストマー樹脂組成物が得られる。
これらの架橋助剤の中では、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ビスマレイミドが好ましい。これらは、取扱いが容易であり、被架橋処理物の主成分であるエラストマー樹脂(A)と、ポリプロピレン系樹脂(B)との相溶性が良好であり、かつ、有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、柔軟性と物性とのバランスのとれたエラストマー樹脂組成物が得られる。
架橋剤及び架橋助剤は、それぞれ1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤及び架橋助剤を使用する場合は、(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲で任意に使用し、架橋度を調整することができる。
なお、架橋助剤として不飽和シラン化合物を使用した場合には、更にシラノール縮合触媒の存在下で水分と接触させて架橋を進行させることができる。
架橋剤及び架橋助剤を使用する場合は、(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲で任意に使用し、架橋度を調整することができる。
なお、架橋助剤として不飽和シラン化合物を使用した場合には、更にシラノール縮合触媒の存在下で水分と接触させて架橋を進行させることができる。
<エラストマー樹脂組成物の製造>
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、前記エラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)、更に必要に応じてポリプロピレン系樹脂(C)、及び添加剤(D)を加えて配合、溶融混練することにより得られる。本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、加硫ゴムの製造方法を採用して製造することができる。
また、本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物の製造方法を採用して製造することもできる。例えば、エラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)のペレットをドライブレンド後、押出機のホッパーに投入して溶融混練することができる。また、重合装置によってポリプロピレン系樹脂(B)を製造した後、エラストマー樹脂(A)のペレットを添加し、重合装置に連結された押出機を用いて溶融混練してもよい。また、溶媒中にポリプロピレン系樹脂(B)が存在する状態で、エラストマー樹脂(A)を添加し、溶媒除去及び乾燥工程を経てペレットあるいはベール(塊)を得てもよい。さらに、エラストマー樹脂(A)を重合した後、溶媒脱気前にポリプロピレン系樹脂(B)を溶液混合・脱溶媒してエラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)の組成物を製造してもよい。その後、必要に応じてペレタイズを行うこともできる。ペレタイズ工程の有無に関わらず、エラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)からなる前記混練後の組成物と、更にポリプロピレン系樹脂(C)及び/又は添加剤(D)とを混練することもできる。このような工程を採ることで、例えば添加剤(D)がオイルである場合に、エラストマー樹脂(A)とオイルとを混練する際、予めエラストマー樹脂(A)をオイルに浸さなくとも、両者を容易に混練することが可能となる。
混練は、通常用いられている機器、例えば、高速ミキサー、バンバリーミキサー、連続ニーダー、一軸又は二軸押出機、ロール、ブラベンダープラストグラフ等の通常の混合混練機を使用して行うことができる。押出機以外の混練機で混練後、押出機を用いてペレット化してもよい。
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、前記エラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)、更に必要に応じてポリプロピレン系樹脂(C)、及び添加剤(D)を加えて配合、溶融混練することにより得られる。本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、加硫ゴムの製造方法を採用して製造することができる。
また、本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物の製造方法を採用して製造することもできる。例えば、エラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)のペレットをドライブレンド後、押出機のホッパーに投入して溶融混練することができる。また、重合装置によってポリプロピレン系樹脂(B)を製造した後、エラストマー樹脂(A)のペレットを添加し、重合装置に連結された押出機を用いて溶融混練してもよい。また、溶媒中にポリプロピレン系樹脂(B)が存在する状態で、エラストマー樹脂(A)を添加し、溶媒除去及び乾燥工程を経てペレットあるいはベール(塊)を得てもよい。さらに、エラストマー樹脂(A)を重合した後、溶媒脱気前にポリプロピレン系樹脂(B)を溶液混合・脱溶媒してエラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)の組成物を製造してもよい。その後、必要に応じてペレタイズを行うこともできる。ペレタイズ工程の有無に関わらず、エラストマー樹脂(A)及びポリプロピレン系樹脂(B)からなる前記混練後の組成物と、更にポリプロピレン系樹脂(C)及び/又は添加剤(D)とを混練することもできる。このような工程を採ることで、例えば添加剤(D)がオイルである場合に、エラストマー樹脂(A)とオイルとを混練する際、予めエラストマー樹脂(A)をオイルに浸さなくとも、両者を容易に混練することが可能となる。
混練は、通常用いられている機器、例えば、高速ミキサー、バンバリーミキサー、連続ニーダー、一軸又は二軸押出機、ロール、ブラベンダープラストグラフ等の通常の混合混練機を使用して行うことができる。押出機以外の混練機で混練後、押出機を用いてペレット化してもよい。
<エラストマー樹脂組成物の物性>
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、耐熱性の観点から、230℃で流動性を示さないことを要する。本発明において「230℃で流動性を示さない」とは、エラストマー樹脂組成物を熱プレス成形して得られる5mm×5mm×厚み1mmの成形体を、オーブン空気下で230℃15分間加熱した際に形状を維持していることを意味する。
本実施形態のエラストマー樹脂組成物は、耐熱性の観点から、230℃で流動性を示さないことを要する。本発明において「230℃で流動性を示さない」とは、エラストマー樹脂組成物を熱プレス成形して得られる5mm×5mm×厚み1mmの成形体を、オーブン空気下で230℃15分間加熱した際に形状を維持していることを意味する。
本実施形態のエラストマー樹脂組成物はオゾン耐性に優れる。オゾン耐性は高ければ高いほど耐久性が高くなるため、JIS K6259−1:2015の附属書JAに準拠して行った亀裂の状態についての評価が、96時間後に破断していないことが好ましく、「A−5」、「B−5」及び「C−5」に至らないことがより好ましく、「A−4」、「B−4」及び「C−4」に至らないことが更に好ましく、「A−3」、「B−3」及び「C−3」に至らないことがより更に好ましく、「A−2」、「B−2」及び「C−2」に至らないことが特に好ましい。
なお、JIS K6259−1:2015の附属書JAに記載のとおり、亀裂の数及び大きさを組み合わせて評価する。亀裂の数については、A、B、Cの3段階で評価し、亀裂の少ないA評価が好ましい。また、亀裂の大きさについては、1〜5の5段階で評価し、亀裂の小さい1評価が好ましい。
なお、JIS K6259−1:2015の附属書JAに記載のとおり、亀裂の数及び大きさを組み合わせて評価する。亀裂の数については、A、B、Cの3段階で評価し、亀裂の少ないA評価が好ましい。また、亀裂の大きさについては、1〜5の5段階で評価し、亀裂の小さい1評価が好ましい。
<成形体>
本発明の成形体は、上記樹脂組成物からなる成形体である。
上記樹脂組成物を、公知の成形方法、例えば金型によるプレス成形等方法で成形することにより、所望形状の成形体を得ることができる。また、成形体は、上記樹脂組成物を圧延、積層、金型、押出、圧入式成形により成形した後、加熱して架橋させることで得ることもできる。
本発明の成形体は、上記樹脂組成物からなる成形体である。
上記樹脂組成物を、公知の成形方法、例えば金型によるプレス成形等方法で成形することにより、所望形状の成形体を得ることができる。また、成形体は、上記樹脂組成物を圧延、積層、金型、押出、圧入式成形により成形した後、加熱して架橋させることで得ることもできる。
次に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
<エラストマー樹脂(A)>
・(A−1)「Nordel(登録商標) IP 4760P」:エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、ダウ・ケミカル社製、エチレン単位含有量:67重量%、エチリデンノルボルネン単位含有量:4.9重量%、ムーニー粘度(ML(1+4)、125℃):60
・(A−2)「JSR IR2200」:ポリイソプレンゴム、JSR(株)製、ムーニー粘度(ML(1+4)、125℃):82
・(A−3)「JSR SL552」:溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)、JSR(株)製、結合スチレン:23.5%、ビニル結合量:33.5%、比重:0.94、ムーニー粘度(ML(1+4)、125℃):55
・(A−4)天然ゴム(NR)、RSS3号
<エラストマー樹脂(A)>
・(A−1)「Nordel(登録商標) IP 4760P」:エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、ダウ・ケミカル社製、エチレン単位含有量:67重量%、エチリデンノルボルネン単位含有量:4.9重量%、ムーニー粘度(ML(1+4)、125℃):60
・(A−2)「JSR IR2200」:ポリイソプレンゴム、JSR(株)製、ムーニー粘度(ML(1+4)、125℃):82
・(A−3)「JSR SL552」:溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)、JSR(株)製、結合スチレン:23.5%、ビニル結合量:33.5%、比重:0.94、ムーニー粘度(ML(1+4)、125℃):55
・(A−4)天然ゴム(NR)、RSS3号
<ポリプロピレン系樹脂(B)>
・(B−1)「エルモーデュ S400」:メタロセン触媒により得られたポリプロピレン系樹脂、出光興産(株)製、融解吸熱量(ΔH−D)=36J/g、融点(Tm−D)=80℃、極限粘度[η]=0.51dL/g、分子量分布(Mw/Mn)=2.0
・(B−1)「エルモーデュ S400」:メタロセン触媒により得られたポリプロピレン系樹脂、出光興産(株)製、融解吸熱量(ΔH−D)=36J/g、融点(Tm−D)=80℃、極限粘度[η]=0.51dL/g、分子量分布(Mw/Mn)=2.0
<添加剤(D)>
・(D1−1)「ダイアナプロセスオイルPW−90」:パラフィン系オイル、出光興産(株)製、40℃における動粘度90cSt、流動点−17.5℃、引火点266℃
・(D1−2)「ダイアナプロセスオイルNS−100」:ナフテン系オイル、出光興産(株)製、40℃における動粘度95cSt、流動点−37.5℃、引火点226℃
・(D2−1)ステアリン酸、分散剤・滑剤、日油(株)製
・(D2−2)「ストラクトールEF44」、分散剤・滑剤、エスアンドエスジャパン(株)製
・(D3)酸化亜鉛(第2種)、加硫促進助剤、堺化学工業(株)製
・(D4−1)カーボンブラック(HAF)、補強剤、三菱ケミカル(株)製
・(D4−2)カーボンブラック(SAF)、補強剤、東海カーボン(株)製
・(D4−3)「ニップシールVN3」:シリカ、補強剤、東ソー・シリカ(株)製
・(D5−1)「サンセラーNS」:スルフェンアミド(SA)系加硫促進剤、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、三新化学工業(株)製
・(D5−2)「ノクセラーCZ」:スルフェンアミド(SA)系加硫促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業(株)製
・(D5−3)「ノクセラーD」:グアニジン系加硫促進剤、1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業(株)製
・(D6)硫黄、加硫剤、細井化学工業(株)製
・(D7−1)「サンノック」:特殊ワックス系老化防止剤、大内新興化学工業(株)製
・(D7−2)「ノクラック6C」:芳香族第二級アミン系老化防止剤、大内新興化学工業(株)製
・(D7−3)「ノクラック224」:アミン−ケトン系老化防止剤、大内新興化学工業(株)製
・(D8)「Si69」:シランカップリング剤、エボニック社製
・(D9)「ストラクトールAW−1」、帯電防止剤、エスアンドエスジャパン(株)製
・(D1−1)「ダイアナプロセスオイルPW−90」:パラフィン系オイル、出光興産(株)製、40℃における動粘度90cSt、流動点−17.5℃、引火点266℃
・(D1−2)「ダイアナプロセスオイルNS−100」:ナフテン系オイル、出光興産(株)製、40℃における動粘度95cSt、流動点−37.5℃、引火点226℃
・(D2−1)ステアリン酸、分散剤・滑剤、日油(株)製
・(D2−2)「ストラクトールEF44」、分散剤・滑剤、エスアンドエスジャパン(株)製
・(D3)酸化亜鉛(第2種)、加硫促進助剤、堺化学工業(株)製
・(D4−1)カーボンブラック(HAF)、補強剤、三菱ケミカル(株)製
・(D4−2)カーボンブラック(SAF)、補強剤、東海カーボン(株)製
・(D4−3)「ニップシールVN3」:シリカ、補強剤、東ソー・シリカ(株)製
・(D5−1)「サンセラーNS」:スルフェンアミド(SA)系加硫促進剤、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、三新化学工業(株)製
・(D5−2)「ノクセラーCZ」:スルフェンアミド(SA)系加硫促進剤、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業(株)製
・(D5−3)「ノクセラーD」:グアニジン系加硫促進剤、1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業(株)製
・(D6)硫黄、加硫剤、細井化学工業(株)製
・(D7−1)「サンノック」:特殊ワックス系老化防止剤、大内新興化学工業(株)製
・(D7−2)「ノクラック6C」:芳香族第二級アミン系老化防止剤、大内新興化学工業(株)製
・(D7−3)「ノクラック224」:アミン−ケトン系老化防止剤、大内新興化学工業(株)製
・(D8)「Si69」:シランカップリング剤、エボニック社製
・(D9)「ストラクトールAW−1」、帯電防止剤、エスアンドエスジャパン(株)製
<架橋剤>
・「パーヘキサ25B」:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日油(株)製
・「パーヘキサ25B」:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日油(株)製
なお、ポリプロピレン系樹脂(B−1)の物性は下記方法で測定した。
〔DSC測定〕
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC−7」)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから融解吸熱量(ΔH−D)として求めた。また、得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップから融点(Tm−D)を求めた。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC−7」)を用いた、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
〔DSC測定〕
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC−7」)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから融解吸熱量(ΔH−D)として求めた。また、得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップから融点(Tm−D)を求めた。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、「DSC−7」)を用いた、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
〔極限粘度[η]〕
粘度計((株)離合社製、商品名:「VMR−053U−PC・F01」)、ウベローデ型粘度管(測時球容積:2〜3mL、毛細管直径:0.44〜0.48mm)、溶媒としてテトラリンを用いて、0.02〜0.16g/dLの溶液を135℃にて測定した。
〔分子量分布(Mw/Mn)〕
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定には、下記の装置及び条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量を得た。分子量分布(Mw/Mn)は、これらの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)より算出した値である。
<GPC測定装置>
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0mL/分
試料濃度 :2.2mg/mL
注入量 :160μL
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
粘度計((株)離合社製、商品名:「VMR−053U−PC・F01」)、ウベローデ型粘度管(測時球容積:2〜3mL、毛細管直径:0.44〜0.48mm)、溶媒としてテトラリンを用いて、0.02〜0.16g/dLの溶液を135℃にて測定した。
〔分子量分布(Mw/Mn)〕
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定には、下記の装置及び条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量を得た。分子量分布(Mw/Mn)は、これらの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)より算出した値である。
<GPC測定装置>
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0mL/分
試料濃度 :2.2mg/mL
注入量 :160μL
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
(評価)
以下に示す測定条件により、各実施例及び比較例で得られたエラストマー樹脂組成物及びプレス板の特性の測定、並びに評価を行った。
以下に示す測定条件により、各実施例及び比較例で得られたエラストマー樹脂組成物及びプレス板の特性の測定、並びに評価を行った。
(1)オイルブリード性
予め重量を測定しておいた油取り紙(65mm×97mm)で、サンプルのプレス板を挟んだ後、油取り紙で挟んだサンプルの上下をアルミニウム板(45mm×45mm)で更に挟んだ。これをバットに置き、その上に0.5kgの分銅を置いて、予め70℃に設定した恒温槽に設置した。24時間後に恒温槽からサンプルを取り出し、室温で24時間放置後、油取り紙の重量を測定し、増加した重量をブリードした油の重量とした。ブリードした油の重量が、0g/m2を超え0.40g/m2以下であれば合格と判定した。
予め重量を測定しておいた油取り紙(65mm×97mm)で、サンプルのプレス板を挟んだ後、油取り紙で挟んだサンプルの上下をアルミニウム板(45mm×45mm)で更に挟んだ。これをバットに置き、その上に0.5kgの分銅を置いて、予め70℃に設定した恒温槽に設置した。24時間後に恒温槽からサンプルを取り出し、室温で24時間放置後、油取り紙の重量を測定し、増加した重量をブリードした油の重量とした。ブリードした油の重量が、0g/m2を超え0.40g/m2以下であれば合格と判定した。
(2)引張弾性率
作製したプレス板から、採取した200mm×15mmの短冊状の試験片を用いて、引張試験機でチャック間距離150mm、引張速度100mm/minで引張り、伸度(ひずみ)を横軸とし、応力を縦軸とした二次元座標軸上に関係線(曲線)を引き、降伏点前の関係線の傾きを「引張弾性率」として求めた。なお、引張弾性率は値が高いほど、プレス板の剛性が優れる。
作製したプレス板から、採取した200mm×15mmの短冊状の試験片を用いて、引張試験機でチャック間距離150mm、引張速度100mm/minで引張り、伸度(ひずみ)を横軸とし、応力を縦軸とした二次元座標軸上に関係線(曲線)を引き、降伏点前の関係線の傾きを「引張弾性率」として求めた。なお、引張弾性率は値が高いほど、プレス板の剛性が優れる。
(3)引張破断強度
上記(2)引張弾性率測定において、サンプルが破断したときの応力をサンプル断面積で除することにより、算出した。
上記(2)引張弾性率測定において、サンプルが破断したときの応力をサンプル断面積で除することにより、算出した。
(4)引張破断伸び
上記(2)引張弾性率測定において、サンプルが破断したときの伸度を引張破断伸びとした。
上記(2)引張弾性率測定において、サンプルが破断したときの伸度を引張破断伸びとした。
(5)ショアA硬度
JIS K6253−3:2012(タイプA)に準拠して測定した。
JIS K6253−3:2012(タイプA)に準拠して測定した。
(6)230℃流動性
エラストマー樹脂組成物を200℃で4分間プレス機を用いて熱プレス成形し、15mm×15mm×厚み1mmのプレス板を得た。そのプレス板より5mm×5mm×厚み1mmのサンプルを切り出した。ガラスチューブオーブン(柴田科学(株)製、「GTO−200型」)内を230℃まで予め昇温しておき、その中にサンプルをアルミフォイルに乗せて設置した。15分間加熱した後、サンプルの形状を維持しているかどうか目視観察した。サンプルの形状を維持している場合を「無し:230℃で流動性を示さない」、サンプルの形状を維持していない場合を「有り:230℃で流動性を示す」と判定した。
エラストマー樹脂組成物を200℃で4分間プレス機を用いて熱プレス成形し、15mm×15mm×厚み1mmのプレス板を得た。そのプレス板より5mm×5mm×厚み1mmのサンプルを切り出した。ガラスチューブオーブン(柴田科学(株)製、「GTO−200型」)内を230℃まで予め昇温しておき、その中にサンプルをアルミフォイルに乗せて設置した。15分間加熱した後、サンプルの形状を維持しているかどうか目視観察した。サンプルの形状を維持している場合を「無し:230℃で流動性を示さない」、サンプルの形状を維持していない場合を「有り:230℃で流動性を示す」と判定した。
(7)オゾン劣化試験
エラストマー樹脂組成物を、電熱プレス機(大竹機械工業(株)製)を用いて160℃で12分間熱プレス成形し、ダンベル状1号形の形状の試験片を得た。JIS K6259−1:2015に準拠して、以下の条件で静的オゾン劣化試験を行った。
オゾン濃度 :50±5pphm
試験温度 :40±2℃
状態調節温度 :23±2℃
引張ひずみ :20%
使用試験機 :「オゾンウェザーメータ OMS−HE」(スガ試験機(株)製)
エラストマー樹脂組成物を、電熱プレス機(大竹機械工業(株)製)を用いて160℃で12分間熱プレス成形し、ダンベル状1号形の形状の試験片を得た。JIS K6259−1:2015に準拠して、以下の条件で静的オゾン劣化試験を行った。
オゾン濃度 :50±5pphm
試験温度 :40±2℃
状態調節温度 :23±2℃
引張ひずみ :20%
使用試験機 :「オゾンウェザーメータ OMS−HE」(スガ試験機(株)製)
試験片をオゾンに暴露した後、試験開始から24時間後、48時間後、72時間後、96時間後に試験槽から取り出し、亀裂の状態を観察記録した。評価は、JIS K6259−1:2015の附属書JAに準拠して行った。なお、JIS K6259−1:2015の附属書JAに記載のとおり、亀裂の数及び大きさを組み合わせて評価した。亀裂の数については、A、B、Cの3段階で評価し、亀裂の少ないA評価が好ましい。また、亀裂の大きさについては、1〜5の5段階で評価し、亀裂の小さい1評価が好ましい。
本発明においては、亀裂の数よりも亀裂の大きさの方が重要な因子であり、亀裂が小さいことが好ましい。例えば、A−5評価とB−4評価とを比較すると、B−4評価に比べてA−5評価の方が、亀裂の数は少ないものの、亀裂が大きい。ここで、亀裂の数が少なくかつ亀裂が大きいA−5評価では、引張応力が、少ない亀裂に集中することとなる。そのため、亀裂の数が多くてもその長さが短いB−4評価に比べて、A−5評価の方が結果として開裂が起きやすくなる。
実施例1〜2、比較例1〜2、及び参考例1
表1に記載の種類及び配合量の各成分を、ラボプラストミルを用いて230℃で3分間溶融混練し、エラストマー樹脂組成物を調製した。得られたエラストマー樹脂組成物を200℃で4分間プレス機を用いて熱プレス成形し、30mm×30mm×厚み1mmのプレス板を得た。なお、表1中、空欄は配合なしを表す。
表1に記載の種類及び配合量の各成分を、ラボプラストミルを用いて230℃で3分間溶融混練し、エラストマー樹脂組成物を調製した。得られたエラストマー樹脂組成物を200℃で4分間プレス機を用いて熱プレス成形し、30mm×30mm×厚み1mmのプレス板を得た。なお、表1中、空欄は配合なしを表す。
実施例3〜4、比較例2
表2に記載の種類及び配合量の各成分を下記の条件でロールによる混練りを行い、エラストマー樹脂組成物を調製した。なお、表2中、空欄は配合なしを表す。
試験機 :池田機械工業(株)製、6インチ高温ロール
ロールサイズ :6”φ×16”
前ロール回転数 :25rpm
前後ロール回転比 :1(前):1.22(後)
ロール温度 :80±5℃
切り返し回数 :3/4切り返し3往復
丸め通し回数 :6回
表2に記載の種類及び配合量の各成分を下記の条件でロールによる混練りを行い、エラストマー樹脂組成物を調製した。なお、表2中、空欄は配合なしを表す。
試験機 :池田機械工業(株)製、6インチ高温ロール
ロールサイズ :6”φ×16”
前ロール回転数 :25rpm
前後ロール回転比 :1(前):1.22(後)
ロール温度 :80±5℃
切り返し回数 :3/4切り返し3往復
丸め通し回数 :6回
実施例5
表3に記載の種類及び配合量の各成分を下記の条件でロールによる混練りを行い、エラストマー樹脂組成物を調製した。
試験機 :(株)ダイハン製、8インチ水冷ロール「HF−2R」
ロールサイズ :8”φ×18”
前ロール回転数 :20rpm
前後ロール回転比 :1(前):1.15(後)
ロール温度 :23℃
切り返し回数 :左右3回ずつ
丸め通し幅 :ロール間隙約0.8mm
丸め通し回数 :5回
表3に記載の種類及び配合量の各成分を下記の条件でロールによる混練りを行い、エラストマー樹脂組成物を調製した。
試験機 :(株)ダイハン製、8インチ水冷ロール「HF−2R」
ロールサイズ :8”φ×18”
前ロール回転数 :20rpm
前後ロール回転比 :1(前):1.15(後)
ロール温度 :23℃
切り返し回数 :左右3回ずつ
丸め通し幅 :ロール間隙約0.8mm
丸め通し回数 :5回
表1〜3の結果より、本発明のエラストマー樹脂組成物は、オゾン耐性に優れることがわかる。また、表1の結果より、本発明のエラストマー樹脂組成物は、エラストマー樹脂組成物におけるオイルのブリードアウトを制御できることがわかる。ブリード量が適切な範囲に制御されることで、樹脂組成物の表面がブリードアウトした添加剤によってコーティングされ、オゾン耐性が向上すると考えられる。また、表2の結果より、ワックス系老化防止剤(D7−1)を用いた比較例2に比べて、ポリプロピレン系樹脂(B)を用いた実施例3及び4の方がオゾン耐性に優れることがわかる。
本発明のエラストマー樹脂組成物は、タイヤ;モール、ワイパー、バンパー等の自動車外装材;インストルメンタルパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバー等の自動車内装材;ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツ等の自動車機能部品;リモコンスイッチ、OA機器の各種キートップ、テレビ、ステレオ、掃除機等の家電部品;電化製品;水中眼鏡、水中カメラ等のカバー;各種パッキン;シール材、接着剤;ローラー;日用雑貨、工業資材、食品等の包装用シート、フィルム;食品容器;乳児・乳幼児品;電線被覆材、消音ギア;スポーツシューズ、ファッションサンダル等の履物;表皮材;ベルト、ホース、チューブ;スポーツ用品;ドア、窓枠材等の建材用資材;振動吸収材;各種継ぎ手;バルブ部品;医療用ギプス、カテーテル、輸液バッグ、医療用シリンジガスケット等の医療用品等に好適に用いることができる。
本発明のエラストマー樹脂組成物は、オゾン耐性に優れるため、エラストマー樹脂組成物からなる成形体の老化を抑制することができる。また、本発明によれば、エラストマー樹脂組成物からなる成形体において、添加剤のブリード速度を適度に制御して添加剤を徐々にブリードアウトさせることで、成形品表面において添加剤の効果を発揮させることができる。特にタイヤ用途において、添加剤としてオイルを含有する場合には、オイル抜けによるタイヤのひび割れを抑制することができる。また、タイヤ、ケーブル用途等において、添加剤としてワックスを含有する場合には、ワックスのブリード速度を適度に制御して、タイヤからワックスを徐々にブリードアウトさせることで、タイヤ表面をコートし、タイヤの老化を防止することができる。
Claims (12)
- エラストマー樹脂(A)、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから得られる融解吸熱量(ΔH−D)が0J/g以上80J/g以下であるポリプロピレン系樹脂(B)、及び添加剤(D)を含有するエラストマー樹脂組成物であって、
前記エラストマー樹脂(A)及び前記ポリプロピレン系樹脂(B)の合計量100質量%に対して、前記エラストマー樹脂(A)を50質量%以上99.5質量%以下、前記ポリプロピレン系樹脂(B)を0.5質量%以上50質量%以下含み、かつ、230℃で流動性を示さない、エラストマー樹脂組成物。 - 前記ポリプロピレン系樹脂(B)が、下記(1)を満たす、請求項1に記載のエラストマー樹脂組成物。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が、観測されないか又は0℃以上120℃以下である。 - 前記ポリプロピレン系樹脂(B)の極限粘度[η]が、0.01dL/g以上2.5dL/g以下である、請求項1又は2に記載のエラストマー樹脂組成物。
- 前記ポリプロピレン系樹脂(B)が、エチレン及び炭素数4〜30のα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1つの構成単位を0モル%を超え20モル%以下含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
- 前記エラストマー樹脂(A)が、スチレン、ジエン、ケイ素含有モノマー、フッ素含有モノマー、エチレン及びイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する構成単位を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
- 前記ジエンが、ブタジエン、イソプレン、β−ファルネセン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン及び1,4−ヘキサジエンからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項5に記載のエラストマー樹脂組成物。
- 前記エラストマー樹脂(A)がスチレンに由来する構成単位を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
- 前記エラストマー樹脂(A)がスチレンと共役ジエンとの共重合体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
- 前記エラストマー樹脂(A)がエチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴムである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
- 前記エラストマー樹脂(A)が共役ジエン系ゴムである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
- 前記添加剤(D)がオイルを含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載のエラストマー樹脂組成物からなる成形体。
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