JP2010241933A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エチレンから導かれる単位、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位を含み、部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)15〜85重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、常温n−デカン可溶分が30重量%未満、およびゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1.80×105以下のポリプロピレン(B)5〜40重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、および常温n−デカン可溶分が30〜90重量%であるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)5〜80重量%(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
特許文献5〜8については、シンジオタクティック構造を有するプラスチックやさらに高分子量成分を配合させることなどが提案されているが、発泡倍率が2倍以上でも、均一な発泡セルを有する発泡体は得られていない。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エチレンから導かれる単位、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位を含み、部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)15〜85重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、常温n-デカン可溶分が30重量%未満、およびゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1.80×105以下のポリプロピレン(B)5〜40重量%と、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、および常温n−デカン分が30〜90重量%であるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)5〜80重量%(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)とを含むことを特徴とする。
P×0.8≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.2 (Lnは自然対数) (1)
ここで、式(1)中、EBは、温度190℃での測定される溶融伸び(最大引取速度)であり、Pは、温度190℃での切断時の最大溶融張力を示す。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)は、エチレンから導かれる単位、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位を含む共重合体ゴム(a)を部分的または完全に架橋してなる共重合体ゴム(A)(以下、「共重合体ゴム(A)」と略す場合がある。)である。
非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエンおよび4-エチリデン-1,7-ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、5-イソブテニル-2-ノルボルネン、シクロペンタジエンおよびノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。なかでも、5-エチリデン-2-ノルボルネンおよび5-ビニル-2-ノルボルネンが好ましい。
本発明に係る共重合体ゴム(A)およびその基となる共重合体ゴム(a)は、エチレンから導かれる構成単位(a)と、炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(b)とを、通常、40/60〜95/5、好ましくは60/40〜80/20、さらに好ましくは65/35〜75/25のモル比で含有している。上記組成であると、良好な柔軟性、架橋性を有する熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来るため、好ましい。
他のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムを構成するα-オレフィンとしては、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを構成するα-オレフィンと同じものが挙げられる。共重合体ゴムは、エチレンから導かれる構成単位を通常50モル%以上、好ましくは50〜90モル%、さらに好ましくは60〜85モル%の量で含み、炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位を通常50モル%以下、好ましくは50〜10モル%、さらに好ましくは40〜15モル%の量で含む。ただし、エチレンから導かれる単位およびα-オレフィンから導かれる単位の合計を100モル%とする。
本発明に係る共重合体ゴム(A)は、上記の共重合体ゴム(a)、および必要に応じて、他のエチレン・α-オレフィン共重合体ゴムを部分的または完全に架橋したものである。
架橋剤を用いる場合は、共重合体ゴム(a)100重量部に対して、0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部となるような量で用いられる。架橋剤が上記配合量で用いられると、良好な架橋性を有する熱可塑性エラストマー組成物を得ることが出来るため、好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれるポリプロピレン(B)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、常温n−デカン可溶分が30重量%未満、およびゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1.80×105以下のポリプロピレン(B)である。
本発明に係るポリプロピレン(B)は、その製造方法は、特に限定されず、種々公知の製造方法で製造される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、および常温でのn−デカン可溶分が30〜90重量%であるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)である。
あるいはプロピレン単独重合体または結晶性のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と常温でのn−デカンに可溶である非晶性あるいは低結晶性のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体とを溶融混練することにより得られる組成物(溶融混練系ブロック共重合体)、もしくは、重合系ブロック共重合体と溶融混練系ブロック共重合体とを併せて得られる重合体であってもよい。
本発明に係るプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)を構成する、プロピレン単独重合体あるいは結晶性のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、アイソタクティックな構造を有するものであってもよいし、シンジオタクティックな構造を有するものであってもよい、また両者をブレンドしたものであってもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に任意成分として含まれる非架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(D)は、エチレンから導かれる構成単位(a)と、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位(b)とを、(a)/(b)=60/40〜95/5のモル比で含有する非架橋の重合体である。
本発明に係る非架橋のエチレン・α-オレフィン共重合体(D)は、エチレンから導かれる構成単位(a)と、炭素数3〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(b)とを、60/40〜95/5、好ましくは65/35〜90/5のモル比で含有している。
なお、非共役ポリエンを含む場合、エチレンから導かれる構成単位、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位および非共役ポリエンから導かれる構成単位の合計100重量%中、非共役ポリエンから導かれる構成単位は、通常2〜20重量%の量で含まれる。
本発明に係る非架橋のエチレン・α-オレフィン共重合体(D)が非共役ポリエンから導かれる構成単位を含む場合、エチレン・α-オレフィン共重合体(D)のムーニー粘度[ML1+4(100℃)]は、通常1〜100、好ましくは3〜70である。
本発明に係る非架橋のエチレン・α-オレフィン共重合体(D)は、従来公知の方法により製造することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に任意成分として含まれるポリプロピレン(E)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、常温でのn−デカン可溶分が30重量%未満、およびゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1.80×105を超えるポリプロピレンである。なお、測定方法は、上記と同じである。
また、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる(標準サンプル)換算の重量平均分子量(Mw)が、1.80×105を超える、好ましくは1.85×105以上、さらに好ましくは1.90×105以上である。なお、Mwの上限は、特に限定されないが、1.00×106以下である。
本発明に係るポリプロピレン(E)は、190℃におけるメルトテンション(MT)の値が3.0gf以上、好ましくは3.5gf以上、さらに好ましくは4.0gf以上であるポリプロピレン(e)を含有すると、より発泡性および耐熱性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を得るため、好ましい。
本発明に係るポリプロピレン(e)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が、通常、5〜20、好ましくは6〜18、さらに好ましくは7〜15である。なお、分子量分布の測定は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)により、次に記載の条件で測定し、検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した値である。種類:150−CV(Waters(株)社製)、カラム:Shodex AD−80M/S(昭和電工(株)社製)、測定温度:135℃、溶媒:オルトジクロロベンゼン、サンプル濃度:8mg/4ml、流速:1ml/min。
本発明で用いられるポリプロピレン(E)および(e)は、その製造方法に限定されず、種々公知の方法で製造される。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、任意成分としてゴム用軟化剤(F)を含んでいてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれる任意成分であるシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(G)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140℃未満か、または融解ピークが存在せず、プロピレンから導かれる構成単位(G−1)、エチレンから導かれる構成単位(G−2)、および炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位(G−3)、必要に応じて、共役ポリエンまたは非共役ポリエンから導かれる構成単位(G−4)とを含み、
(G−1)、(G−2)および(G−3)の合計100モル%中、
(G−1)を30〜79モル%、(G−2)を1〜30モル%および(G−3)を10〜50モル%(ただし、(G−2)および(G−3)の合計を21〜70モル%とする)含み、
(G−1)、(G−2)および(G−3)の合計100モル%に対して、
(G−4)を0〜30モル%の量で含み、かつ、
1,2,4−トリクロロベンゼン溶液中、テトラメチルシランを基準物質として共重合体(G)の13C−NMRを測定したときの約20.0〜21.0ppmに観測されるプロピレン単位のメチル基の吸収の総和が、約19.0〜22.0ppmに観測されるプロピレン単位のメチル基の吸収の総和の0.5以上であり、かつ、実質的にシンジオタクティック構造である共重合体である。
α-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプタン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1―ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン等が挙げられ、1―ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテンが好ましく、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンがさらに好ましく、1-ブテンが特に好ましい。
たとえば、炭素数4〜20のα-オレフィンを2種組み合わせて用いる場合、炭素数4〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(イ)と、α-オレフィン(イ)以外の炭素数4〜20のα-オレフィンから導かれる構成単位(ロ)の合計100モル%中、(イ)を50〜99モル%、(ロ)を1〜50モル%)で用いることができる。
本発明に係るシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(G)は、スチレンなどの芳香族ビニル化合物から導かれる構成単位、二重結合を2つ以上有する上記ポリエン系不飽和化合物から導かれる構成単位、アルコール、カルボン酸、アミンおよびこれら誘導体等から導かれる構成単位等が含まれていてもよい。
本発明に係るシンジオタクティックα-オレフィン系共重合体(G)は、以下に示すメタロセン系触媒の存在下に、前記プロピレンとエチレンとα-オレフィンを共重合させて得ることができる。このようなメタロセン系触媒としては、
(x)下記一般式(1)で表される遷移金属化合物(以下「遷移金属化合物(x)」ともいう。)と、
(y)(y-1)遷移金属化合物(x)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物(以下「イオン化イオン性化合物(y-1)」という。)、
(y-2)有機アルミニウムオキシ化合物および
(y-3)有機アルミニウム化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とからなる少なくとも1つの触媒系が挙げられる。
上記一般式(1)中、Cp1およびCp2は異なる基であることが好ましく、より好ましくはCp1およびCp2のうちのいずれか一方の基がシクロペンタジエニル基またはその誘導体基であり、もう一方の基がフルオレニル基またはその誘導体基である。
共重合反応は、温度が通常-20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が通常0を超えて〜80kg/cm2、好ましくは0を超えて〜50kg/cm2の範囲の条件下に行なわれる。また、反応時間(重合が連続法で行われる場合には平均滞留時間)は、触媒濃度および重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ましくは10分間〜1.5時間である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記共重合体ゴム(A)を15〜85重量%、好ましくは17〜83重量%、さらに好ましくは19〜81重量%、前記ポリプロピレン(B)を5〜40重量%、好ましくは6〜39重量%、さらに好ましくは7〜38重量%および前記プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)を5〜80重量%、好ましくは7〜78重量%、さらに好ましくは9〜76重量%〔ただし、前記共重合体ゴム(A)、ポリプロピレン(B)およびプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)の合計を100重量%とする。〕含む組成物である。
P×0.8≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.2 (Lnは自然対数) (1)
ここで、式(1)中、EBは、温度190℃での測定される溶融伸び(最大引取速度)(m/min)であり、Pは、温度190℃での切断時の最大溶融張力(g)を示す。
P×0.82≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.19 (Lnは自然対数)
さらに好ましくは
P×0.84≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.18 (Lnは自然対数)
である。
発泡剤(J)としては、無機系または有機系の熱分解型発泡剤(化学発泡剤)、二酸化炭素、窒素ならびに二酸化炭素および窒素の混合物が挙げられる。
また、必要に応じて発泡助剤を加えることもできる。発泡助剤の添加量は、熱可塑性エラストマー組成物100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、従来公知のフェノール系などの酸化防止剤、無機充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、ジアゾ系などの耐候安定剤、帯電防止剤、結晶核剤および滑材などの添加剤を添加することができる。なかでも、滑材は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形性を向上させる効果がある。
上記無機充填剤としては、具体的には、カーボンブラック、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカーなどが挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記共重合体ゴム(A)、前記ポリプロピレン(B)および前記プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)に、必要に応じて、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(D)、前記ポリプロピレン(E)、前記ゴム用軟化剤(F)および前記シンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(G)等を、前記記載の量で、溶融混練など、従来公知の方法で混合することにより製造することができる。
また、混練装置としては、ミキシングロールおよびインテンシブミキサー(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。
本発明の発泡成形体は、本発明の前記熱可塑性エラストマー組成物を、種々公知の方法で発泡してなる成形体である。本発明では、本発明の前記熱可塑性エラストマー組成物を用いることで、発泡倍率が2倍以上であり、均一な発泡セルを有し、かつ外観が良好な発泡成形体を得ることができる。
本発明の複合発泡成形体は、たとえば、以下の実施形態1〜3に従って、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる発泡成形体と、ポリオレフィン系樹脂基材とを積層してなる。
成形方法:カレンダー成形またはTダイからの押出発泡成形
積層方法:ポリオレフィン系基材層からなるシートを発泡成形した後に熱可塑性エラストマー組成物からなる表面層を基材層に積層する逐次法、または、Tダイ押出成形の場合は同時多層発泡押出成形を行う。
成形方法:多層押出発泡成形
積層方法:ポリオレフィン系基材層と熱可塑性エラストマー組成物からなる表面層の同時多層押出発泡成形を行う。
成形方法:逐次または同時射出発泡成形
積層方法:ポリオレフィン系基材層を射出発泡した後に、表面層である熱可塑性エラストマー組成物を射出し、金型内で積層する逐次射出発泡成形、または、いわゆるサンドウィッチ成形により基材層と表面層を同時に射出し、積層部品を発泡成形する同時法を行う。
その場合、以下の成形方法を行うことが好ましい。
二色成形法ではポリオレフィン系樹脂基材を成形した後、続いて熱可塑性エラストマー組成物の射出発泡成形を行うことにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物からなる発泡成形体にポリオレフィン系樹脂基材が密着した複合発泡成形体が得られる。
インサート成形法ではポリオレフィン系樹脂基材を予め成形し、これを射出成形金型内に設置した後、熱可塑性エラストマー組成物の射出発泡成形を行うことにより射出発泡成形体にポリオレフィン系樹脂基材が密着した複合発泡成形体が得られる。
本発明の熱可塑性エラストマー発泡体の用途としては、インストゥメントパネル表皮、ドア表皮、インストゥメントパネル表皮やドア表皮の裏打ち発泡体、ドアトリム、ピラー、コンソールボックス、ステアリングホイール、ギアレバー、エアーボックス、ダッシュボード、取り替え式座席シート、デフガーニッシュ、カールトップガーニッシュ、天井材、ウェザーストリップスポンジ、トランクルームの内張り、エンジンルームの内張り、パンバー、フェンダー、ボンネットの表層、サイドシールド、クッション等の自動車部品、二輪部品としては、ハンドルの握り、ヘルメットの内側、レーシングスーツの表層等、OA機器関連としては、マウス、キーボード、OAハウジング、マウスパッド、デスクマット、ヘッドホーン、電卓、電話の受話器、PHS、その他の携帯電話等の筐体等が、雑貨としては。システム手帳、財布、ノート、ファイル、バッグ、便座、ペンシル、ボールペン、万年筆、カーペット、包丁の柄、植木鉢のグリップ、草履、下駄、スリッパ、靴底、サンダル等の履き物、電線被覆、コネクター、キャップ、プラグなどの電気部品、止水板、シールスポンジ、騒音防止等の土木資材、ゴルフクラブのグリップ、水泳用フィン、水中眼鏡などのレジャー用品、ガスケット、防水布、ガーデンホース、ベルト、工業用パッキン等の工業用雑品等が挙げられ、これらが容易に製造可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
〔1〕メルトフローレート(MFR)
ASTM D 1238に準拠して230℃、2.16kg荷重で測定した。
JIS K6253に準拠して、プレス成形機により溶融温度190℃にて10分加熱し、冷却温度20℃にて5分冷却して厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、A型測定器を用い、押針接触後直ちに目盛りを読み取った。
JIS K6251に準拠して、プレス成形機により溶融温度190℃にて10分加熱し、冷却温度20℃にて5分冷却して厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、JIS3号ダンベルにて、測定した。
JIS K6262に準拠して、プレス成形機により溶融温度190℃にて10分加熱し、冷却温度20℃にて5分冷却して厚さ2mmの試験片(シート)を作製し、スペーサーにより25%圧縮、70℃×24時間熱処理を行い、処理後23℃恒温室で30分放置した後、厚さを測定した。
JIS K7196に準拠し、プレス成形機により溶融温度190℃にて10分加熱し、冷却温度20℃にて5分冷却して作製した厚さ2mmの試験片を用いて、昇温速度5℃/minで1.8mmφの平面圧子に2Kg/cm2の圧力をかけ、TMA曲線より、0.1mm、0.5mm深さの針進入温度(℃)を求めた。
メルトテンションは、キャピラリーレオメーターを用いて、押出温度190℃、押出速度10mm/min、押出ノズル径2.095mm、ノズル長さ8mm、引取り速度4m/minで測定される。
溶融伸び(最大引取速度)(EB:〔m/min〕)、最大溶融張力(P:〔g〕)は、キャピラリーレオメーターを用いて、押出温度190℃、押出速度10mm/min、押出ノズル径2.095mm、ノズル長さ8mmで、引取り速度を変化させて測定される。
プレス成形機によりシートを作製し、DSCにより温度200℃にて5分間アニーリングし、320℃/minの降温速度320℃/minで110℃、120℃での半結晶化時間の測定を行った。
得られた発泡用熱可塑性エラストマー組成物を、プレス成形機で溶融温度170℃にて3mmのシートを作成し、その後170℃ポリエチレンテレフタレート(PET)不織布を用いて裏打ちシートを作成した。スペーサーでPET裏打ちシートを挟み、200℃のオイルバス中で発泡させた。その後、冷水に投入して冷却固化させた。発泡後のシート(t2)を発泡前のシート厚み(t1)で除した値(t2/t1)を発泡倍率として求めた。
得られた発泡成形品の発泡層を切断し、気泡生成状態を実体顕微鏡(10倍)にて観察した。
発泡セルの状態は下記のように評価した。
◎ 気泡の状態が均一で、気泡の破れ、裂け等がみられない。
○ 気泡の状態が一部不均一であるが、気泡の破れ、裂け等がみられない。
△ 気泡の状態が不均一であり、気泡の破れ、裂け等が一部みられる。
× 気泡の破れ、裂け等が激しい、もしくは膨れが発生し、評価不能である。
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、100mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン480gおよびトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を35℃に昇温し、プロピレンで0.54MPcに加圧し、次いでエチレンで0.62MPcに加圧した。その後、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド0.005mmolとアルミニウム換算で1.5mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)を接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温35℃、エチレン圧0.62MPcを保ちながら5分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下、130℃で12時間乾燥し、ポリマーを36.1g得た。
油展されたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPT−1)(エチレン単位含量/プロピレン単位含量/非共役ジエン単位含量=78モル%/22モル%/4.5重量%;ヨウ素価:13;極限粘度[η]:3.4dl/g;ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]74;油展量 ゴム100重量部に対して、ゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)を40重量部)30重量部と、油展されたエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(EPT−2)(エチレンから導かれる単位/プロピレンから導かれる単位=78モル%/22モル%;ヨウ素価13;極限粘度[η]3.4dl/g;ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]53;油展量 ゴム100重量部に対して、ゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)を62重量部)50重量部と、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が10g/10分であるブロックタイプのポリプロピレン(エチレン単位含量14モル%、常温でのn−デカン可溶分11.6wt%、融点161℃、PP−1)20重量部と、架橋剤として有機過酸化物(パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)0.42重量部と、架橋助剤としてジビニルベンゼン0.28重量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、日本チバガイギー(株)製)0.1重量部とをヘンシェルミキサーで充分に混合し、押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C14 200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:400rpm、押出量:80kg/h)にてゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)20重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)のペレットを得た。尚、x−0中のPP−1成分のMwは、1.70×105であった。
なお、表2に示すように、熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分は、部分的また完全に架橋されたエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンおよび非共役ポリエンからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A):20重量%、ポリプロピレン(B):9重量%、ポリプロピレンブロック共重合体(C):71重量%であった。
熱可塑性エラストマー組成物および発泡成形体を上述した方法にしたがって評価した。結果を表3に示す。
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)を60重量部、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)を40重量部とした以外は実施例1と同様に行った。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)を41重量部と、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)10重量部、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;190℃、2.16kg荷重)が4g/10分である非架橋のエチレン・ブテン−1共重合体ゴム(エチレン単位含量:82モル%、融点:50.3℃、極限粘度[η]=2.4dl/g、EBR−1)を29重量部、ポリプロピレン(E)(融点162℃、常温n−デカン可溶分5.3wt%、Mw:3.00×105)を17重量部、重合例1で得られたシンジオタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体を3重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、押出機にてゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)20重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。尚、ポリプロピレン(E)は、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が50g/10分であるブロックタイプのポリプロピレン(エチレン単位含量:14モル%、融点:162℃、常温のn−デカン可溶分:11.4wt%、Mw:1.75×105、PP−3)を47重量部と、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が4g/10分である高メルトテンションポリプロピレン(融点:162℃、常温のn−デカン可溶分:0.5wt%、Mw:4.2×105、メルトテンション:12gf、Mw/Mn:8、高分子量成分の極限粘度[η]:9dl/g、高分子量成分の含量:20wt%)(PP−4)を53重量部よりなる。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
実施例3において、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)を26重量部、重合例1で得られたシンジオタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体を6重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、押出機にてゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)20重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
EPT−1 30重量部と、EPT−2 50重量部とPP−1 20重量部と、架橋剤として有機過酸化物(パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)0.52重量部と、架橋助剤としてジビニルベンゼン0.32重量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、日本チバガイギー(株)製)0.1重量部とをヘンシェルミキサーで充分に混合し、押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C14 200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:400rpm、押出量:80kg/h)にてゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)20重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−1)のペレットを得た。尚、x−1中のPP−1成分のMwは1.5×105であった。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
実施例5において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−1)を31重量部と、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)20重量部、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)を29重量部、ポリプロピレン(E)を17重量部、重合例1で得られたシンジオタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体を3重量部としたこと以外は実施例5と同様にして、押出機にてゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)20重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
実施例3において、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)10重量部のかわりに、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が5g/10分である非架橋で低結晶性のエチレン・プロピレン共重合体ゴム(エチレン単位含量:81モル%、融点:21℃、常温でのn−デカン可溶分95wt%、EPR−1)を7重量部と、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分であるプロピレン単独重合体であるポリプロピレン(融点:160℃、常温のn−デカン可溶分:1.2wt%、PP−5)を3重量部とを使用し、ポリプロピレン(E)(融点:162℃、常温n−デカン可溶分:6.5wt%、Mw:2.90×105)を19重量部としたこと以外は実施例3と同様にして、押出機にてゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)20重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。なお、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)として、前記EPR−1とPP−5を用い、溶融混練することで共重合体(C)(融点:160℃、常温のデカン可溶分:67wt%)を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)100重量部とし、PP−2を使用しなかった以外は、実施例1と同様に熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。なお、比較例1のMFRは、ASTM D 1238に準拠して、230℃、10kg荷重にて測定した。
実施例1において、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−0)を使用せず、プロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)100重量部とした以外は、実施例1と同様に熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−1)を51重量部と、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)を22重量部、ポリプロピレン(E)(融点:162℃、常温n−デカン可溶分:6.9wt%、Mw:2.80×105)を21重量部、重合例1で得られたシンジオタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体を6重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、押出機にてゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)20重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマー組成物(x−1)を45重量部と、エチレン・ブテン−1共重合体ゴム(EBR−1)を17重量部、ポリプロピレン(E)(融点162℃、常温n−デカン可溶分:7.1wt%、Mw:2.80×105)を17重量部、重合例1で得られたシンジオタクティックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体を6重量部、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(G−1)(スチレン単位含量:30重量%、数平均分子量(Mn):100,000)16重量部として、実施例1と同様の方法で、押出機にてゴム用軟化剤(F−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)20重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を用いて、実施例1と同様にして発泡成形体を作製した。結果を表3に示す。
Claims (7)
- エチレンから導かれる単位、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位および非共役ポリエンから導かれる単位を含み、部分的または完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)15〜85重量%と、
示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、常温n-デカン可溶分が30重量%未満、およびゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1.80×105以下のポリプロピレン(B)5〜40重量%と、
示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、および常温n−デカン分が30〜90重量%であるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(C)5〜80重量%(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100重量%とする)と
を含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 - さらに前記(A)、(B)および(C)の合計100重量部に対して、
エチレンから導かれる構成単位(a)と、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位(b)とを、(a)/(b)=60/40〜95/5のモル比で含有する非架橋のエチレン・α−オレフィン共重合体(D)50〜140重量部と、
示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140〜170℃、常温n−デカン可溶分が30重量%未満、およびゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)が1.80×105を超える、ポリプロピレン(E)15〜85重量部と、
ゴム用軟化剤(F)20〜130重量部と、
示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が140℃未満か、または融解ピークが存在しないシンジオタクティックα−オレフィン系共重合体(G)2〜35重量部
を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、
該共重合体(G)が、
プロピレンから導かれる構成単位(G−1)、エチレンから導かれる構成単位(G−2)、および炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位(G−3)、必要に応じて、共役ポリエンまたは非共役ポリエンから導かれる構成単位(G−4)とを含み、
(G−1)、(G−2)および(G−3)の合計100モル%中、
(G−1)を30〜79モル%、(G−2)を1〜30モル%および(G−3)を10〜50モル%(ただし、(G−2)および(G−3)の合計を21〜70モル%とする)含み、
(G−1)、(G−2)および(G−3)の合計100モル%に対して、
(G−4)を0〜30モル%の量で含み、かつ、
1,2,4−トリクロロベンゼン溶液中、テトラメチルシランを基準物質として共重合体(G)の13C−NMRを測定したときの約20.0〜21.0ppmに観測されるプロピレン単位のメチル基の吸収の総和が、約19.0〜22.0ppmに観測されるプロピレン単位のメチル基の吸収の総和の0.5以上であり、かつ、実質的にシンジオタクティック構造であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 - 前記ポリプロピレン(E)が、190℃におけるメルトテンションが3.0gf以上であるポリプロピレン(e)を含み、
ポリプロピレン(E)100重量部中、該ポリプロピレン(e)を30〜80重量部の量で含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 - ASTM D1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.1(g/10分)以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物から得られた厚さ2mmの成形体を用いて、
JIS K6253に準拠して測定したショアーA硬度が85以下であり、かつ
JIS K7196に準拠して測定した0.5mm針進入温度が80℃以上である
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 - 下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
P×0.8≦−35×Ln(EB)+178≦P×1.2 (Lnは自然対数) (1)
EB:温度190℃での測定される溶融伸び(最大引取速度)
P:温度190℃での切断時の最大溶融張力 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性エラストマー組成物から得られた厚さ2mmの成形体を用いて、
JIS K6262に準拠して測定した70℃での圧縮永久歪が、60%以上であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
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