JP3888706B2 - 積層体およびそれを用いた自動車用内装部品 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系材料からなる耐傷付き性に優れた積層体およびそれを用いた自動車内装部品に関する。
【従来の技術】
【0002】
従来、自動車内装材には、塩化ビニール樹脂が広く用いられている。塩化ビニル樹脂を用いた自動車内装部材は、表面がエンボス加工によりシボ付けされて皮革模様を有する塩化ビニル樹脂層に、ウレタン発泡体層および必要に応じて樹脂骨材層で順次裏打ちされた積層体として用いられている。しかしながら、このような積層体は、煩雑な工程を経て製造されている。また、塩化ビニル樹脂は、焼却時に有害なガスを発生するため、環境を汚染するという問題がある。
【0003】
ところで、オレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易であることから、省エネルギー、省資源タイプの材料として、自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。
また、近年、地球環境保護の観点から、焼却時に有害なガスを発生する塩化ビニル樹脂に代わって、有害なガスが発生しないオレフィン系樹脂あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーが使われるようになってきている。
【0004】
しかしながら、従来のオレフィン系樹脂あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる成形体は、塩化ビニル樹脂からなる成形体と比較して、耐傷付き性が劣るという欠点があり、その改良が強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、軽量で、リサイクル使用が容易で、しかも焼却しても有害なガスを発生しない等のオレフィン系重合体材料の長所を生かし、耐傷付き性に優れ、自動車内装部品に用いることができる積層体を提供することである。
本発明の他の目的は、上記積層体を用いた自動車内装部品を提供することである。
【0006】
【課題解決するための手段】
本発明の上記目的および利点は、
[1]結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィン系ゴム(b)とを含有する熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)を含有し、そして熱可塑性エラストマー(A)とポリ1−ブテン樹脂(B)との重量割合[(A)/(B)]が95/5〜0/100の範囲にある熱可塑性エラストマー組成物からなる表皮層、
[2]結晶性ポリオレフィン樹脂(a')と架橋オレフィン系ゴム(b')とを含有する熱可塑性エラストマー(A')からなる中間層、並びに
[3]該中間層を介して上記表皮層の反対側に位置しているポリオレフィン系樹脂発泡層からなり、そして結晶性ポリオレフィン樹脂(a)および(a ' )が結晶性ポリプロピレン樹脂であり、架橋オレフィン系ゴム(b)および(b ' )がエチレン・プロピレンランダム共重合体ゴムおよびエチレン・プロピレン・非共役ジエンランダム共重合体ゴムの少なくともいずれかの架橋ゴムである積層体およびこの積層体からなる自動車内装部品により達成される。
【0007】
以下、本発明を詳述するが、それにより本発明の他の目的および利点が明らかとなろう。
まず、表皮層を構成する熱可塑性エラストマー組成物について説明する。該熱可塑性エラストマーは、熱可塑性エラストマー(A)とポリ1−ブテン樹脂(B)を含有する。
【0008】
熱可塑性エラストマーを構成する結晶性ポリオレフィン樹脂(a)は、結晶性ポリプロピレン樹脂(a)であり、その具体的な例としては、以下のような重合体または共重合体が挙げられる。
(1)プロピレン単独重合体
(2)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
上記のコモノマーとしての他のα−オレフィンは、例えばエチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等から1種以上適宜に選択することができる。
なお、上記でコモノマーとしての他のα−オレフィンのモル%は、共重合体を構成する全繰返し単位を基準とする。以下、オレフィンのモル%はこれと同じくポリマーを構成する全繰返し単位を基準とする。
【0009】
上記の結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の中でも、プロピレン単独重合体、プロピレンと10モル%以下のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレン含量が50モル%以上のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体が特に好ましい。
上記のような結晶性ポリオレフィン樹脂(a)は、単独であるいは組合せて用いることができる。
結晶性ポリオレフィン樹脂(a)のメルトフローレート(MFR;ASTMD 1238、230℃、2.16kg荷重、以下同じ)は好ましくは0.01〜100g/10分、さらに好ましくは0.3〜70g/10分の範囲にある。
また、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)のX線法により求めた結晶化度は、通常5〜100%、好ましくは20〜80%の範囲にある。
【0010】
熱可塑性エラストマー(A)中、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィン系ゴム(b)の合計量100重量部に対し、好ましくは10〜90重量部、より好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは10〜70重量部の割合で用いられる。
上記割合で結晶性ポリオレフィン樹脂(a)が用いられると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形性が良好で、該組成物からなる表皮層の耐傷付き性および耐熱性が優れる結果となる。
【0011】
熱可塑性エラストマー(A)を構成する成分である架橋オレフィン系ゴム(b)は、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴムおよびエチレン・プロピレン・非共役ジエンランダム共重合体ゴムである。具体的に下記(1)〜(2)で示されるゴムを例示することができる。
(1)エチレン・プロピレン共重合体ゴム
[エチレン/プロピレン(モル比)=約90/10〜50/50]
(2)エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム
[エチレン/プロピレン(モル比)=約90/10〜50/50]
【0013】
また、上記非共役ジエンとしては、炭素原子数6〜20のものが好ましく、具体的にはジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
このような非共役ジエンが共重合している上記(2)のエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムのヨウ素価は、25以下が好ましく、5〜20がより好ましい。
上記(1)〜(2)の共重合体ゴムのムーニー粘度[ML1+4 21℃)]は10〜250が好ましく、特に30〜150が好ましい。
【0014】
また、α−オレフィンランダム共重合ゴムの結晶化度は、X線法で測定して20%未満のものが好ましい。
【0015】
架橋オレフィン系ゴム(b)は、上述したα−オレフィンランダム共重合ゴムが架橋したものである。
【0016】
α−オレフィンランダム共重合ゴムから、架橋オレフィン系ゴム(b)を得るには、それ自体公知の方法、例えば少量割合の架橋剤の存在下にα−オレフィンランダム共重合体を溶融混練する方法によって得ることができる。このとき、後で詳述する方法により、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)を共存させ、1回の操作で結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィン系ゴム(b)とを含有する熱可塑性エラストマー(A)を製造することもできる。
【0017】
熱可塑性エラストマー(A)中に、架橋オレフィン系ゴム(b)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)および架橋オレフィン系ゴム(b)の合計100重量部に対して10〜90重量部、好ましくは20〜90重量部、さらに好ましくは30〜90重量部の割合で用いられる。
【0019】
好ましく用いられる熱可塑性エラストマー(A)のより具体的な例として、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)として結晶性ポリプロピレン樹脂を、架橋オレフィン系ゴム(b)として架橋エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴムおよび架橋エチレン・プロピレン・非共役ジエンランダム共重合体ゴムの少なくともいずれかを含み、その重合割合が70/30〜90/10[(a)/(b)]であり、さらにこれらの成分の合計量100重量部に対して、後述するオレフィン系ゴム以外のゴムおよび/または鉱物油系軟化剤を5〜100重量部含むものを挙げることができる。
【0020】
熱可塑性エラストマー(A)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィンランダム共重合ゴムとを含有するブレンド物を架橋剤、例えば有機過酸化物の存在下、該ブレンド物を溶融、混練することにより得ることができる。
【0021】
上記有機過酸化物としては、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
【0022】
これらのうちでは、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペンチルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、中でも、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0023】
有機過酸化物は、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)およびα−オレフィンランダム共重合ゴムの合計量100重量部に対して、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜1重量%の割合で用いられる。
上記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N'−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤;あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等のような多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
【0024】
上記のような化合物を用いることにより、α−オレフィンランダム共重合ゴムの均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、結晶性ポリオレフィン(a)およびα−オレフィンランダム共重合ゴムとの相溶性が良好であり、かつ有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋が均一で、流動性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマー(A)が得られる。
【0025】
上記のような架橋助剤、多官能性メタクリレートモノマーもしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の溶融混練物全体に対して0.1〜2重量%、特に0.3〜1重量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤、多官能性メタクリレートモノマーもしくは多官能性ビニルモノマーの配合割合が、上記範囲にあると、得られる熱可塑性エラストマー(A)は、架橋助剤、多官能性メタクリレートモノマーもしくは多官能性ビニルモノマーが、エラストマー中に未反応のモノマーとして残存することが少ないため、加工の際に熱履歴による物性の変化が生じることが少なく、しかも流動性に優れている。
【0026】
混練装置としては、従来公知の混練装置、例えば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が用いられる。これらの内では、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
【0027】
また、混練は、使用する有機ペルオキシドの半減期が1分未満となる温度で行うのが望ましい。混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜240℃であり、混練時間は1〜20分間、好ましくは1〜5分間である。また、加えられる剪断力は、通常剪断速度で10〜104sec-1、好ましくは102〜104sec-1の範囲である。
上記のようにして結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィンゴム(b)を含有する熱可塑性エラストマー(A)を得ることができる。
【0028】
ここに、「架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)が10%以上である場合をいう。本発明においては、熱可塑性エラストマーのゲル含量が20%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40〜70%である。ゲル含量が上記範囲にある熱可塑性エラストマー(A)は、ゴム弾性が良好であり、機械強度および破断伸度に優れた成形体を提供することができる。
【0029】
[ゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)の測定法]
熱可塑性エラストマーの試料を約100mg秤量して0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に裁断し、次いで、得られた細片を密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬する。
次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温にて72時間以上恒量になるまで乾燥する。
この乾燥残渣の重量からポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、含量等)の重量を減じた値を「補正された最終重量(Y)」とする。
一方、試料の重量からポリマー成分以外のシクロヘキサン可溶性成分(例えば軟化剤)の重量およびポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を「補正された初期重量(X)」とする。
ここに、ゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)は、下記数式により求められる。
【0030】
【数1】
【0031】
熱可塑性エラストマーを構成するポリ1−ブテン樹脂(B)としては、以下の(1)、(2)および(3)で例示される(共)重合体が好ましく用いられる。
(1)1−ブテン単独重合体
(2)1−ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3)1−ブテンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
上記のコモノマーとしての他のα−オレフィンは、具体的にはエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。その中でも、1−ブテンの単独重合体あるいは1−ブテンを主成分とした1−ブテンとエチレンまたはプロピレンとのランダム共重合体が特に好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独であるいは2種以上併用して用いられる。
【0032】
また、ポリ1−ブテン樹脂は1種単独であるいは2種以上併用して用いられる。
ポリ1−ブテン樹脂(B)のMFR(メトルフローレート;ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重)は、0.01〜30の範囲のものが好ましい。
【0033】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前述した熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)を含有する。そして、これらの重量割合[(A)/(B)]は95/5〜0/100である。
【0034】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的の達成を損なわない範囲で、必要に応じて任意成分として、オレフィン系ゴム以外のゴムを配合することができる。
【0035】
オレフィン系ゴム以外のゴムとしては、例えばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、ポリイソブチレンゴム等を挙げることができる。
【0036】
上記オレフィン系ゴム以外のゴムは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造する任意の段階で添加することができるが、前述した熱可塑性エラストマー(A)を調製する段階で添加することが好ましい。
オレフィン系ゴム以外のゴムは、結晶性オレフィン樹脂(a)と架橋オレフィンゴム(b)との合計量100重量部に対して、40重量部以下の割合で使用することが好ましく、より好ましくは5〜20重量部の割合で使用する。オレフィン系ゴム以外のゴムを使用することにより、柔軟性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
【0037】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、耐傷付き性を良好とする目的で、シリコーンオイル(C)、エステル化合物(D)、フッ素系ポリマー(E)および高級脂肪酸アミド(F)からなる群から選択される少なくとも1種を配合することが好ましい。そして、その配合量は熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)の合計量100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部である。
【0038】
上記シリコーンオイル(C)としては、具体的にはジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコーン油等が挙げられる。中でも、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイルが好ましく用いられる。
【0039】
シリコーンオイル(C)の動粘度[JIS K2283、25℃]は、10〜30,000cSt、好ましくは50〜10,000cSt、さらに好ましくは100〜5,000cStの範囲である。
【0040】
また、上記エステル化合物(D)は、脂肪族アルコールとジカルボン酸あるいは脂肪酸とのエステルである。
このようなエステル化合物(D)としては、具体的にはセチルアルコールと酢酸とのエステル、セチルアルコールとプロピオン酸とのエステル、セチルアルコールと酪酸とのエステル、牛脂アルコールと酢酸とのエステル、牛脂アルコールとプロピオン酸とのエステル、牛脂アルコールと酪酸とのエステル、ステアリルアルコールと酢酸とのエステル、ステアリルアルコールとプロピオン酸とのエステル、ステアリルアルコールと酪酸とのエステル、ジステアリルアルコールとフタル酸とのエステル、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、グリセリン12−ヒドロキシステアレート、グリセリントリステアレート、トリメチロールプロパントリステアレート、ペンタエリストールテトラステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、ベヘン酸エステル、カルシウムソープ含有エステル、イソトリデシルステアレート、セチルパルミテート、セチルステアレート、ステアリールステアレート、ベヘニルベヘネート、モンタン酸エチレングリコールエステル、モンタン酸グリセリンエステル、モンタン酸ペンタエリストールエステル、カルシウム含有モンタン酸エステル等が挙げられる。中でもジステアリルアルコールとフタル酸とのエステル、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、モンタン酸グリセリンエステルが好ましく、特にジステアリルアルコールとフタル酸とのエステル、グリセリンモノステアレート、モンタン酸グリセリンエステルが好ましい。
【0041】
上記フッ素系ポリマー(E)としては、具体的にはポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物等が挙げられる。中でもポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0042】
上記高級脂肪酸アミド(F)としては、具体的には、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヘベミン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミド等が挙げられる。中でもエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドが好ましい。
【0043】
上記(C)〜(E)成分は、あらかじめ熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)の少なくともいずれかに配合されていてもよい。
【0044】
さらに、本発明においては、熱可塑性エラストマー組成物中に、本発明の目的の達成を損なわない範囲で、必要に応じて、公知の鉱物油系軟化剤、無機充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケンおよびワックス等で例示される滑剤等の添加剤を添加することができる。これらはあらかじめ、熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)の少なくともいずれかに配合されていてもよい。
【0045】
このような無機充填剤としては、具体的には炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、けいそう土、雲母粉、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、グラファイト、アルミナ等が挙げられる。
【0046】
また、公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系安定剤等が挙げられる。
【0047】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマー(A)と、ポリ1−ブテン樹脂(B)とを、前述した割合で配合し、溶融混練することにより調製することができる。
【0048】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の調製において、上記の各成分を配合する際に、必要に応じて、シリコーンオイル(C)、エステル化合物(D)、フッ素系ポリマー(E)および高級脂肪酸アミド(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分、オレフィン系ゴム以外のゴム、その他前述した任意成分を配合することができる。
【0049】
上記の溶融混練の方法としては、熱可塑性エラストマー(A)の調製で上述すた溶融混練の方法が望ましい。
【0050】
本発明の積層体の中間層を形成する熱可塑性エラストマー(A')は、前述した熱可塑性エラストマー(A)に関する記載を好ましい態様を含めて、そのまま適用することができる。
すなわち、熱可塑性エラストマー(A')を構成する結晶性ポリオレフィン樹脂(a')および架橋オレフィン系ゴム(b')は熱可塑性エラストマー(A)を構成する結晶性(a)および架橋オレフィン系ゴム(b)に好ましい態様を含めて該当する。また任意成分、調製法に関する熱可塑性エラストマー(A)に関する記載はすべて熱可塑性エラストマー(A')に適用され得る。
【0051】
本発明の積層体のポリオレフィン樹脂発泡層を構成するポリオレフィン樹脂発泡体としてはポリエチレンおよびポリプロピレンの発泡体が好ましく、より好ましくはこれらの架橋発泡体である。上記架橋発泡体は、ポリエチレンまたはポリプロピレンに発泡剤および架橋剤を混合して、得られた混合物の軟化点以上の温度で加熱することにより得ることができる。
【0052】
上記発泡剤としては、例えばアゾビス(ホルムアミド)、ジアゾアミノベンゼン、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルイミド、P,P'−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)、アゾビス(イソブチロニトリル)、P,P'−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、P,P'−ジフェニル−ビス(スルホニルヒドラジド)、ベンゼンスルホニルヒドラジド、m−ベンゼン−ビス(スルホニルヒドラジド)、モノクロロトリフルオロメタン、モノクロロジフルオロメタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等が挙げられる。
【0053】
上記架橋剤としては、例えば1,7−ヘプタン−ビス(スルホンアザイド)、1,11−ウンデカン−ビス(スルホンアザイド)、1,12−ドデカン−ビス(スルホンアザイド)、1,9,18−オクタデカン−トリス(スルホンアザイド)、ポリ(エチレンスルホンアアザイド)、1,3−ベンゼンビス(スルホンアザイド)、1−オクチル−2,4,6−ベンゼントリス(スルホンアザイド)、4,4'−ジフェニルメタンビス(スルホンアザイド)、4,4'−ジフェニルジサルファイドビス(スルホンアザイド)等のポリ(スルホンアザイド)化合物;n−オクタデシルアジドホーメート、テトラメチレン−ビス(アジドホーメート)、フェニルアジドホーメート、2,2−イソプロピリデン−ビス(P,P'−フェニルアジドホーメート)、2,2'−オキシジエチル−ビス(アジドホーメート)、2,2'−エチレンジオキシジエチル−ビス(アジドホーメート)、2,2'−チオジエチル−ビス(アジドホーメート)等のアジドホーメート化合物;m−フェニレンジアザイド、2,4,6−トリアジドベンゼン、4,4'−ジアジドフェニルアミン等の芳香族ポリアザイド化合物等が挙げられる。
【0054】
架橋発泡体の製造方法は、例えば特公昭39−25500号公報、同40−25351号公報および同40−25352号公報等に詳細に記載されている。また放射線により架橋した架橋発泡体を使用することもできる。また架橋発泡体としては市販品をそのまま使用することもできる。これらの発泡体は、約10〜50倍程度の発泡倍率であることが望ましい。
【0055】
ポリオレフィン樹脂発泡体には、必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0056】
本発明の積層体の表皮層の厚さは、通常0.01〜1mm、好ましくは0.01〜0.5mmであり、中間層の厚さは、通常0.1〜3mm、好ましくは0.3〜2mm、ポリオレフィン樹脂発泡層の厚さは、通常0.5〜10mm、好ましくは1〜5mmである。そして積層体の全体の厚さは、通常0.5〜13mm、好ましくは1〜10mmである。
【0057】
本発明の積層体は、それ自体公知の手段を組み合わせて製造することができ、その例を以下に示す。
(1)予めシート状に成形された表皮層、中間層およびポリオレフィン樹脂発泡層をカレンダー成形機等の手段を用いて、熱圧着する方法。
(2)表皮層と中間層を共押出成形によりこれら二層からなる積層体を作製し、これをシート状のポリオレフィン樹脂発泡層に熱圧着する方法。
【0058】
本発明の積層体を自動車内装用部品に用いるときは、形状保持性(剛性)を付与する目的で、積層体側に骨材層を設けてもよい。骨材層の結晶性ポリオレフィン樹脂としてはプロピレン単独重合体、プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体が好ましい。結晶性のポリオレフィン樹脂は単独で、あるいは組合わせて用いることができる。
【0059】
骨材層を成形するのに用いるポリオレフィン樹脂中には、骨材層に要求される物性を損なわない範囲において、あるいは物性をさらに改善する目的で、木粉、繊維片、無機充填剤等を混合することができる。これらのポリオレフィン樹脂骨剤は、例えば一般にレジンボード、プラスチックダンボール、レジンフェルト等の状態で所定形状に骨材層用成形品として成形される。
【0060】
ポリオレフィン樹脂またはその組成物が所定形状に成形された骨材層用成形品は、予備加熱された本発明の積層体の発泡層が接触するように載置、熱成形されて本発明の積層体と一体化される。
【0061】
本発明の積層体からそれ自体公知の方法で自動車内装部品を好適に製造することができる。このとき表皮層の厚さは0.01〜0.3mm、中間層の厚さは0.2〜2mm、ポリオレフィン樹脂発泡層の厚さは1〜30mmであることが好ましい。なお、表皮層の厚さは、天井材の場合、比較的薄くし、ダッシュボード、ホイルハウスカバー、各種ピラー、シート等の場合、比較的厚くする。表皮層はエンボス加工されていてよい。
また骨材層を積層するときは、その厚さは0.5〜5mmであることが好ましい。
【0062】
本発明の自動車内装部品は、表面層が熱可塑性エラストマー組成物から形成されているので、特に耐傷付性に優れている。また、表皮層に熱可塑性エラストマーが積層されてるので、成形性、特に部品加工時にエンボス模様が消えにくいという特長を有している。更に、発泡層が積層されているので、柔軟性、クッション性に優れている。さらに骨材層が積層された積層体は、強度、剛性に優れた自動車内装部品を与える。
【0063】
本発明の自動車内装部品の具体的な例としては、インストゥルメンタルパネル、ステアリングホイール、ピラーガーニッシュ、エアバッグカバー、ドアグラブ、コンソールボックス、シフトノブ、アシストグリップ、シートアジャスタ、ルーバーガーニッシュ、ガレージオープナー、サンバイザー、バックミラーカバー、ルームミラーカバー、カップホルダー、コインボックス、レジスト、灰皿アッパー、ドアフレームガーニッシュ、ドアトリム、アームレスト、コラムカバー、インナーパネル、ガレージオープナーのハウジング、ダッシュボード、ホイルハウスカバー等を挙げることができる。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における熱可塑性エラストマー組成物の製造に際して用いた原材料を以下に記す。
(1)熱可塑性エラストマー(A)および(A')
結晶性ポリオレフィン樹脂(a)としてポリプロピレン[MFR:13g /10分、X線法により求めた結晶化度:72%]20重量部と、オレフィン系ゴム(b)としてエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含有量:78モル%、ヨウ素価:15、ムーニー粘度(ML1+4、121℃):61]80重量部とこれらの混合物100重量部に対し、ジ−tert−ブチルペルオキシド50重量%、ジビニルベンゼン40重量%及びパラフィン系鉱物油10重量%よりなる混合物0.7重量部をヘンシェルミキサーで攪拌混合した。
【0065】
次いで、これらの混合物を2軸押出機のホッパーからシリンダー内に供給するとともにパラフィン系プロセスオイルが19重量部となるようにプランジャーポンプを用いてシリンダー部へ直接注入しながら、窒素雰囲気下210℃で押し出して熱可塑性エラストマー(TPO)のペレットを製造した。
ゲル含量は90%であった。これを熱可塑性エラストマー(A)および(A')として用いた。
【0066】
(2)ポリ1−ブテン樹脂(B):1−ブテンホモポリマー MFR:20g/10分(230℃)
(3)シリコーンオイル(C):東レシリコーン社製、SH200
(4)エステル化合物(D):グリセリンモノステアレート
(5)フッ素系ポリマー(E):ポリビニリデンフルオライド樹脂(クレハ社製、KFポリマーW−1000)
(6)高級脂肪酸アミド(F):エルカ酸アミド
【0067】
実施例1〜6および比較例1、2
(熱可塑性エラストマー組成物の調製)
熱可塑性エラストマー(A)のペレットとポリ1−ブテン樹脂(B)のペレットまたは結晶性ポリオレフィン樹脂(a)およびシリコーンオイル(C)、エステル化合物(D)、フッ素系ポリマー(E)、高級脂肪酸アミド(F)をそれぞれ表1に示す比率でヘンシェルミキサーで混合した後、再び押出機で混練し、熱可塑性エラストマー組成物ペレットを製造した。
【0068】
(積層体の調製)
熱可塑性エラストマー(A')のペレットを(株)東芝製90mmφT−ダイ押出機(フルフライトスクリュー、L/D=26、コートハンガーダイ)を用いて、220℃、引き取り速度2.5m/分でシート状に押出し、押出された溶融状態にあるシート状の熱可塑性エラストマー(A')と、ポリエチレンの架橋発泡体シート[積水化学(株)製、商品名 ソフトロン、発泡倍率30倍、厚さ3mm]と積層させた状態で一対のロール間を通し、積層体(i)を成形した。
【0069】
さらに、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを同様にt−ダイ押し出し機でシート状にし、直ちに予め作製した積層体(i)の熱可塑性エラストマー(A')層上に積層させた。その際、熱可塑性エラストマー組成物のシートはロール温度60℃のエンボス加工ロール側に、また積層体(i)シートは加熱されていない通常ロール側に接触させるようにし、熱可塑性エラストマー組成物層が0.1mm、熱可塑性エラストマー層が1.0mmの厚さを有する、エンボス加工された積層体(ii)を製造した。
【0070】
上記のようにして得た積層体(ii)とは別に、タルク[松村産業(株)製、商品名ET−5)を30%充填したポリプロピレン[プロピレン・エチレンブロック共重合体、エチレン含量9モル%、MFR(ASTM D 1238−65T、230℃、2.16kg荷重)0.5]から成形したプラスチックダンボール(ピッチ10mm、厚さ3mm)から自動車天井用骨材を成形するために、雄型および雌型のホットプレスを用い、95℃、2kg/cm2の加熱加圧条件下で40秒間のプレス成形を行ない、その間に170℃に予備加熱された前記積層体(ii)を発泡体層が接するように骨材成形品上に載置し、再度プレスして両者を熱成形一体化させ、自動車用天井材を成形した。
【0071】
得られた天井材の熱可塑性エラストマー組成物からなる表皮層の平滑な部分にフェルト布を置き、さらにその上に200g/cm2の圧力が掛かるように重りを載せて、天井材上を100回往復させ、その往復操作後の表面状態をもって耐傷付性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0072】
(耐傷付き性の5段階評価)
A:傷が殆ど目立たない
B:傷がやや目立つ
C:傷が目立つ
D:傷がかなり目立つ
E:表面が白化している
また、得られた天井材の縁の部分のエンボス模様の残り方を以下の基準で評価した。
A:成形前とほぼ変わり無く残っている
B:殆ど残っている
C:かなり残っている
D:やや残っている
E:あまり残っていない
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】
本発明の積層体からは、軽量でリサイクル使用が容易で、しかも焼却にしても有害なガスを発生しない等のオレフィン系重合体材料の長所を生かし、耐傷付き性に優れ、部品加工時にエンボス模様が消えにくい自動車内装部品が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系材料からなる耐傷付き性に優れた積層体およびそれを用いた自動車内装部品に関する。
【従来の技術】
【0002】
従来、自動車内装材には、塩化ビニール樹脂が広く用いられている。塩化ビニル樹脂を用いた自動車内装部材は、表面がエンボス加工によりシボ付けされて皮革模様を有する塩化ビニル樹脂層に、ウレタン発泡体層および必要に応じて樹脂骨材層で順次裏打ちされた積層体として用いられている。しかしながら、このような積層体は、煩雑な工程を経て製造されている。また、塩化ビニル樹脂は、焼却時に有害なガスを発生するため、環境を汚染するという問題がある。
【0003】
ところで、オレフィン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易であることから、省エネルギー、省資源タイプの材料として、自動車部品、工業機械部品、電気・電子部品、建材等に広く使用されている。
また、近年、地球環境保護の観点から、焼却時に有害なガスを発生する塩化ビニル樹脂に代わって、有害なガスが発生しないオレフィン系樹脂あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーが使われるようになってきている。
【0004】
しかしながら、従来のオレフィン系樹脂あるいはオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる成形体は、塩化ビニル樹脂からなる成形体と比較して、耐傷付き性が劣るという欠点があり、その改良が強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、軽量で、リサイクル使用が容易で、しかも焼却しても有害なガスを発生しない等のオレフィン系重合体材料の長所を生かし、耐傷付き性に優れ、自動車内装部品に用いることができる積層体を提供することである。
本発明の他の目的は、上記積層体を用いた自動車内装部品を提供することである。
【0006】
【課題解決するための手段】
本発明の上記目的および利点は、
[1]結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィン系ゴム(b)とを含有する熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)を含有し、そして熱可塑性エラストマー(A)とポリ1−ブテン樹脂(B)との重量割合[(A)/(B)]が95/5〜0/100の範囲にある熱可塑性エラストマー組成物からなる表皮層、
[2]結晶性ポリオレフィン樹脂(a')と架橋オレフィン系ゴム(b')とを含有する熱可塑性エラストマー(A')からなる中間層、並びに
[3]該中間層を介して上記表皮層の反対側に位置しているポリオレフィン系樹脂発泡層からなり、そして結晶性ポリオレフィン樹脂(a)および(a ' )が結晶性ポリプロピレン樹脂であり、架橋オレフィン系ゴム(b)および(b ' )がエチレン・プロピレンランダム共重合体ゴムおよびエチレン・プロピレン・非共役ジエンランダム共重合体ゴムの少なくともいずれかの架橋ゴムである積層体およびこの積層体からなる自動車内装部品により達成される。
【0007】
以下、本発明を詳述するが、それにより本発明の他の目的および利点が明らかとなろう。
まず、表皮層を構成する熱可塑性エラストマー組成物について説明する。該熱可塑性エラストマーは、熱可塑性エラストマー(A)とポリ1−ブテン樹脂(B)を含有する。
【0008】
熱可塑性エラストマーを構成する結晶性ポリオレフィン樹脂(a)は、結晶性ポリプロピレン樹脂(a)であり、その具体的な例としては、以下のような重合体または共重合体が挙げられる。
(1)プロピレン単独重合体
(2)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
上記のコモノマーとしての他のα−オレフィンは、例えばエチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等から1種以上適宜に選択することができる。
なお、上記でコモノマーとしての他のα−オレフィンのモル%は、共重合体を構成する全繰返し単位を基準とする。以下、オレフィンのモル%はこれと同じくポリマーを構成する全繰返し単位を基準とする。
【0009】
上記の結晶性ポリオレフィン樹脂(a)の中でも、プロピレン単独重合体、プロピレンと10モル%以下のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレン含量が50モル%以上のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体が特に好ましい。
上記のような結晶性ポリオレフィン樹脂(a)は、単独であるいは組合せて用いることができる。
結晶性ポリオレフィン樹脂(a)のメルトフローレート(MFR;ASTMD 1238、230℃、2.16kg荷重、以下同じ)は好ましくは0.01〜100g/10分、さらに好ましくは0.3〜70g/10分の範囲にある。
また、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)のX線法により求めた結晶化度は、通常5〜100%、好ましくは20〜80%の範囲にある。
【0010】
熱可塑性エラストマー(A)中、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィン系ゴム(b)の合計量100重量部に対し、好ましくは10〜90重量部、より好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは10〜70重量部の割合で用いられる。
上記割合で結晶性ポリオレフィン樹脂(a)が用いられると、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形性が良好で、該組成物からなる表皮層の耐傷付き性および耐熱性が優れる結果となる。
【0011】
熱可塑性エラストマー(A)を構成する成分である架橋オレフィン系ゴム(b)は、エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴムおよびエチレン・プロピレン・非共役ジエンランダム共重合体ゴムである。具体的に下記(1)〜(2)で示されるゴムを例示することができる。
(1)エチレン・プロピレン共重合体ゴム
[エチレン/プロピレン(モル比)=約90/10〜50/50]
(2)エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム
[エチレン/プロピレン(モル比)=約90/10〜50/50]
【0013】
また、上記非共役ジエンとしては、炭素原子数6〜20のものが好ましく、具体的にはジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
このような非共役ジエンが共重合している上記(2)のエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムのヨウ素価は、25以下が好ましく、5〜20がより好ましい。
上記(1)〜(2)の共重合体ゴムのムーニー粘度[ML1+4 21℃)]は10〜250が好ましく、特に30〜150が好ましい。
【0014】
また、α−オレフィンランダム共重合ゴムの結晶化度は、X線法で測定して20%未満のものが好ましい。
【0015】
架橋オレフィン系ゴム(b)は、上述したα−オレフィンランダム共重合ゴムが架橋したものである。
【0016】
α−オレフィンランダム共重合ゴムから、架橋オレフィン系ゴム(b)を得るには、それ自体公知の方法、例えば少量割合の架橋剤の存在下にα−オレフィンランダム共重合体を溶融混練する方法によって得ることができる。このとき、後で詳述する方法により、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)を共存させ、1回の操作で結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィン系ゴム(b)とを含有する熱可塑性エラストマー(A)を製造することもできる。
【0017】
熱可塑性エラストマー(A)中に、架橋オレフィン系ゴム(b)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)および架橋オレフィン系ゴム(b)の合計100重量部に対して10〜90重量部、好ましくは20〜90重量部、さらに好ましくは30〜90重量部の割合で用いられる。
【0019】
好ましく用いられる熱可塑性エラストマー(A)のより具体的な例として、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)として結晶性ポリプロピレン樹脂を、架橋オレフィン系ゴム(b)として架橋エチレン・プロピレンランダム共重合体ゴムおよび架橋エチレン・プロピレン・非共役ジエンランダム共重合体ゴムの少なくともいずれかを含み、その重合割合が70/30〜90/10[(a)/(b)]であり、さらにこれらの成分の合計量100重量部に対して、後述するオレフィン系ゴム以外のゴムおよび/または鉱物油系軟化剤を5〜100重量部含むものを挙げることができる。
【0020】
熱可塑性エラストマー(A)は、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)とα−オレフィンランダム共重合ゴムとを含有するブレンド物を架橋剤、例えば有機過酸化物の存在下、該ブレンド物を溶融、混練することにより得ることができる。
【0021】
上記有機過酸化物としては、具体的にはジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
【0022】
これらのうちでは、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペンチルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、中でも、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0023】
有機過酸化物は、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)およびα−オレフィンランダム共重合ゴムの合計量100重量部に対して、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜1重量%の割合で用いられる。
上記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N'−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤;あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等のような多官能性メタクリレートモノマー;ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
【0024】
上記のような化合物を用いることにより、α−オレフィンランダム共重合ゴムの均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、結晶性ポリオレフィン(a)およびα−オレフィンランダム共重合ゴムとの相溶性が良好であり、かつ有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋が均一で、流動性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマー(A)が得られる。
【0025】
上記のような架橋助剤、多官能性メタクリレートモノマーもしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の溶融混練物全体に対して0.1〜2重量%、特に0.3〜1重量%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤、多官能性メタクリレートモノマーもしくは多官能性ビニルモノマーの配合割合が、上記範囲にあると、得られる熱可塑性エラストマー(A)は、架橋助剤、多官能性メタクリレートモノマーもしくは多官能性ビニルモノマーが、エラストマー中に未反応のモノマーとして残存することが少ないため、加工の際に熱履歴による物性の変化が生じることが少なく、しかも流動性に優れている。
【0026】
混練装置としては、従来公知の混練装置、例えば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が用いられる。これらの内では、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
【0027】
また、混練は、使用する有機ペルオキシドの半減期が1分未満となる温度で行うのが望ましい。混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜240℃であり、混練時間は1〜20分間、好ましくは1〜5分間である。また、加えられる剪断力は、通常剪断速度で10〜104sec-1、好ましくは102〜104sec-1の範囲である。
上記のようにして結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィンゴム(b)を含有する熱可塑性エラストマー(A)を得ることができる。
【0028】
ここに、「架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)が10%以上である場合をいう。本発明においては、熱可塑性エラストマーのゲル含量が20%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40〜70%である。ゲル含量が上記範囲にある熱可塑性エラストマー(A)は、ゴム弾性が良好であり、機械強度および破断伸度に優れた成形体を提供することができる。
【0029】
[ゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)の測定法]
熱可塑性エラストマーの試料を約100mg秤量して0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に裁断し、次いで、得られた細片を密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬する。
次に、この試料を濾紙上に取り出し、室温にて72時間以上恒量になるまで乾燥する。
この乾燥残渣の重量からポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、含量等)の重量を減じた値を「補正された最終重量(Y)」とする。
一方、試料の重量からポリマー成分以外のシクロヘキサン可溶性成分(例えば軟化剤)の重量およびポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を「補正された初期重量(X)」とする。
ここに、ゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)は、下記数式により求められる。
【0030】
【数1】
【0031】
熱可塑性エラストマーを構成するポリ1−ブテン樹脂(B)としては、以下の(1)、(2)および(3)で例示される(共)重合体が好ましく用いられる。
(1)1−ブテン単独重合体
(2)1−ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3)1−ブテンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
上記のコモノマーとしての他のα−オレフィンは、具体的にはエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。その中でも、1−ブテンの単独重合体あるいは1−ブテンを主成分とした1−ブテンとエチレンまたはプロピレンとのランダム共重合体が特に好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独であるいは2種以上併用して用いられる。
【0032】
また、ポリ1−ブテン樹脂は1種単独であるいは2種以上併用して用いられる。
ポリ1−ブテン樹脂(B)のMFR(メトルフローレート;ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重)は、0.01〜30の範囲のものが好ましい。
【0033】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前述した熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)を含有する。そして、これらの重量割合[(A)/(B)]は95/5〜0/100である。
【0034】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的の達成を損なわない範囲で、必要に応じて任意成分として、オレフィン系ゴム以外のゴムを配合することができる。
【0035】
オレフィン系ゴム以外のゴムとしては、例えばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、ポリイソブチレンゴム等を挙げることができる。
【0036】
上記オレフィン系ゴム以外のゴムは、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造する任意の段階で添加することができるが、前述した熱可塑性エラストマー(A)を調製する段階で添加することが好ましい。
オレフィン系ゴム以外のゴムは、結晶性オレフィン樹脂(a)と架橋オレフィンゴム(b)との合計量100重量部に対して、40重量部以下の割合で使用することが好ましく、より好ましくは5〜20重量部の割合で使用する。オレフィン系ゴム以外のゴムを使用することにより、柔軟性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
【0037】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、耐傷付き性を良好とする目的で、シリコーンオイル(C)、エステル化合物(D)、フッ素系ポリマー(E)および高級脂肪酸アミド(F)からなる群から選択される少なくとも1種を配合することが好ましい。そして、その配合量は熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)の合計量100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部である。
【0038】
上記シリコーンオイル(C)としては、具体的にはジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコーン油等が挙げられる。中でも、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイルが好ましく用いられる。
【0039】
シリコーンオイル(C)の動粘度[JIS K2283、25℃]は、10〜30,000cSt、好ましくは50〜10,000cSt、さらに好ましくは100〜5,000cStの範囲である。
【0040】
また、上記エステル化合物(D)は、脂肪族アルコールとジカルボン酸あるいは脂肪酸とのエステルである。
このようなエステル化合物(D)としては、具体的にはセチルアルコールと酢酸とのエステル、セチルアルコールとプロピオン酸とのエステル、セチルアルコールと酪酸とのエステル、牛脂アルコールと酢酸とのエステル、牛脂アルコールとプロピオン酸とのエステル、牛脂アルコールと酪酸とのエステル、ステアリルアルコールと酢酸とのエステル、ステアリルアルコールとプロピオン酸とのエステル、ステアリルアルコールと酪酸とのエステル、ジステアリルアルコールとフタル酸とのエステル、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、グリセリン12−ヒドロキシステアレート、グリセリントリステアレート、トリメチロールプロパントリステアレート、ペンタエリストールテトラステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、ベヘン酸エステル、カルシウムソープ含有エステル、イソトリデシルステアレート、セチルパルミテート、セチルステアレート、ステアリールステアレート、ベヘニルベヘネート、モンタン酸エチレングリコールエステル、モンタン酸グリセリンエステル、モンタン酸ペンタエリストールエステル、カルシウム含有モンタン酸エステル等が挙げられる。中でもジステアリルアルコールとフタル酸とのエステル、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、モンタン酸グリセリンエステルが好ましく、特にジステアリルアルコールとフタル酸とのエステル、グリセリンモノステアレート、モンタン酸グリセリンエステルが好ましい。
【0041】
上記フッ素系ポリマー(E)としては、具体的にはポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共重合物等が挙げられる。中でもポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0042】
上記高級脂肪酸アミド(F)としては、具体的には、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヘベミン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミド等が挙げられる。中でもエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドが好ましい。
【0043】
上記(C)〜(E)成分は、あらかじめ熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)の少なくともいずれかに配合されていてもよい。
【0044】
さらに、本発明においては、熱可塑性エラストマー組成物中に、本発明の目的の達成を損なわない範囲で、必要に応じて、公知の鉱物油系軟化剤、無機充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケンおよびワックス等で例示される滑剤等の添加剤を添加することができる。これらはあらかじめ、熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)の少なくともいずれかに配合されていてもよい。
【0045】
このような無機充填剤としては、具体的には炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、けいそう土、雲母粉、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、グラファイト、アルミナ等が挙げられる。
【0046】
また、公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系安定剤等が挙げられる。
【0047】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマー(A)と、ポリ1−ブテン樹脂(B)とを、前述した割合で配合し、溶融混練することにより調製することができる。
【0048】
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の調製において、上記の各成分を配合する際に、必要に応じて、シリコーンオイル(C)、エステル化合物(D)、フッ素系ポリマー(E)および高級脂肪酸アミド(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分、オレフィン系ゴム以外のゴム、その他前述した任意成分を配合することができる。
【0049】
上記の溶融混練の方法としては、熱可塑性エラストマー(A)の調製で上述すた溶融混練の方法が望ましい。
【0050】
本発明の積層体の中間層を形成する熱可塑性エラストマー(A')は、前述した熱可塑性エラストマー(A)に関する記載を好ましい態様を含めて、そのまま適用することができる。
すなわち、熱可塑性エラストマー(A')を構成する結晶性ポリオレフィン樹脂(a')および架橋オレフィン系ゴム(b')は熱可塑性エラストマー(A)を構成する結晶性(a)および架橋オレフィン系ゴム(b)に好ましい態様を含めて該当する。また任意成分、調製法に関する熱可塑性エラストマー(A)に関する記載はすべて熱可塑性エラストマー(A')に適用され得る。
【0051】
本発明の積層体のポリオレフィン樹脂発泡層を構成するポリオレフィン樹脂発泡体としてはポリエチレンおよびポリプロピレンの発泡体が好ましく、より好ましくはこれらの架橋発泡体である。上記架橋発泡体は、ポリエチレンまたはポリプロピレンに発泡剤および架橋剤を混合して、得られた混合物の軟化点以上の温度で加熱することにより得ることができる。
【0052】
上記発泡剤としては、例えばアゾビス(ホルムアミド)、ジアゾアミノベンゼン、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルイミド、P,P'−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)、アゾビス(イソブチロニトリル)、P,P'−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、P,P'−ジフェニル−ビス(スルホニルヒドラジド)、ベンゼンスルホニルヒドラジド、m−ベンゼン−ビス(スルホニルヒドラジド)、モノクロロトリフルオロメタン、モノクロロジフルオロメタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等が挙げられる。
【0053】
上記架橋剤としては、例えば1,7−ヘプタン−ビス(スルホンアザイド)、1,11−ウンデカン−ビス(スルホンアザイド)、1,12−ドデカン−ビス(スルホンアザイド)、1,9,18−オクタデカン−トリス(スルホンアザイド)、ポリ(エチレンスルホンアアザイド)、1,3−ベンゼンビス(スルホンアザイド)、1−オクチル−2,4,6−ベンゼントリス(スルホンアザイド)、4,4'−ジフェニルメタンビス(スルホンアザイド)、4,4'−ジフェニルジサルファイドビス(スルホンアザイド)等のポリ(スルホンアザイド)化合物;n−オクタデシルアジドホーメート、テトラメチレン−ビス(アジドホーメート)、フェニルアジドホーメート、2,2−イソプロピリデン−ビス(P,P'−フェニルアジドホーメート)、2,2'−オキシジエチル−ビス(アジドホーメート)、2,2'−エチレンジオキシジエチル−ビス(アジドホーメート)、2,2'−チオジエチル−ビス(アジドホーメート)等のアジドホーメート化合物;m−フェニレンジアザイド、2,4,6−トリアジドベンゼン、4,4'−ジアジドフェニルアミン等の芳香族ポリアザイド化合物等が挙げられる。
【0054】
架橋発泡体の製造方法は、例えば特公昭39−25500号公報、同40−25351号公報および同40−25352号公報等に詳細に記載されている。また放射線により架橋した架橋発泡体を使用することもできる。また架橋発泡体としては市販品をそのまま使用することもできる。これらの発泡体は、約10〜50倍程度の発泡倍率であることが望ましい。
【0055】
ポリオレフィン樹脂発泡体には、必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤等の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0056】
本発明の積層体の表皮層の厚さは、通常0.01〜1mm、好ましくは0.01〜0.5mmであり、中間層の厚さは、通常0.1〜3mm、好ましくは0.3〜2mm、ポリオレフィン樹脂発泡層の厚さは、通常0.5〜10mm、好ましくは1〜5mmである。そして積層体の全体の厚さは、通常0.5〜13mm、好ましくは1〜10mmである。
【0057】
本発明の積層体は、それ自体公知の手段を組み合わせて製造することができ、その例を以下に示す。
(1)予めシート状に成形された表皮層、中間層およびポリオレフィン樹脂発泡層をカレンダー成形機等の手段を用いて、熱圧着する方法。
(2)表皮層と中間層を共押出成形によりこれら二層からなる積層体を作製し、これをシート状のポリオレフィン樹脂発泡層に熱圧着する方法。
【0058】
本発明の積層体を自動車内装用部品に用いるときは、形状保持性(剛性)を付与する目的で、積層体側に骨材層を設けてもよい。骨材層の結晶性ポリオレフィン樹脂としてはプロピレン単独重合体、プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体が好ましい。結晶性のポリオレフィン樹脂は単独で、あるいは組合わせて用いることができる。
【0059】
骨材層を成形するのに用いるポリオレフィン樹脂中には、骨材層に要求される物性を損なわない範囲において、あるいは物性をさらに改善する目的で、木粉、繊維片、無機充填剤等を混合することができる。これらのポリオレフィン樹脂骨剤は、例えば一般にレジンボード、プラスチックダンボール、レジンフェルト等の状態で所定形状に骨材層用成形品として成形される。
【0060】
ポリオレフィン樹脂またはその組成物が所定形状に成形された骨材層用成形品は、予備加熱された本発明の積層体の発泡層が接触するように載置、熱成形されて本発明の積層体と一体化される。
【0061】
本発明の積層体からそれ自体公知の方法で自動車内装部品を好適に製造することができる。このとき表皮層の厚さは0.01〜0.3mm、中間層の厚さは0.2〜2mm、ポリオレフィン樹脂発泡層の厚さは1〜30mmであることが好ましい。なお、表皮層の厚さは、天井材の場合、比較的薄くし、ダッシュボード、ホイルハウスカバー、各種ピラー、シート等の場合、比較的厚くする。表皮層はエンボス加工されていてよい。
また骨材層を積層するときは、その厚さは0.5〜5mmであることが好ましい。
【0062】
本発明の自動車内装部品は、表面層が熱可塑性エラストマー組成物から形成されているので、特に耐傷付性に優れている。また、表皮層に熱可塑性エラストマーが積層されてるので、成形性、特に部品加工時にエンボス模様が消えにくいという特長を有している。更に、発泡層が積層されているので、柔軟性、クッション性に優れている。さらに骨材層が積層された積層体は、強度、剛性に優れた自動車内装部品を与える。
【0063】
本発明の自動車内装部品の具体的な例としては、インストゥルメンタルパネル、ステアリングホイール、ピラーガーニッシュ、エアバッグカバー、ドアグラブ、コンソールボックス、シフトノブ、アシストグリップ、シートアジャスタ、ルーバーガーニッシュ、ガレージオープナー、サンバイザー、バックミラーカバー、ルームミラーカバー、カップホルダー、コインボックス、レジスト、灰皿アッパー、ドアフレームガーニッシュ、ドアトリム、アームレスト、コラムカバー、インナーパネル、ガレージオープナーのハウジング、ダッシュボード、ホイルハウスカバー等を挙げることができる。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における熱可塑性エラストマー組成物の製造に際して用いた原材料を以下に記す。
(1)熱可塑性エラストマー(A)および(A')
結晶性ポリオレフィン樹脂(a)としてポリプロピレン[MFR:13g /10分、X線法により求めた結晶化度:72%]20重量部と、オレフィン系ゴム(b)としてエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン含有量:78モル%、ヨウ素価:15、ムーニー粘度(ML1+4、121℃):61]80重量部とこれらの混合物100重量部に対し、ジ−tert−ブチルペルオキシド50重量%、ジビニルベンゼン40重量%及びパラフィン系鉱物油10重量%よりなる混合物0.7重量部をヘンシェルミキサーで攪拌混合した。
【0065】
次いで、これらの混合物を2軸押出機のホッパーからシリンダー内に供給するとともにパラフィン系プロセスオイルが19重量部となるようにプランジャーポンプを用いてシリンダー部へ直接注入しながら、窒素雰囲気下210℃で押し出して熱可塑性エラストマー(TPO)のペレットを製造した。
ゲル含量は90%であった。これを熱可塑性エラストマー(A)および(A')として用いた。
【0066】
(2)ポリ1−ブテン樹脂(B):1−ブテンホモポリマー MFR:20g/10分(230℃)
(3)シリコーンオイル(C):東レシリコーン社製、SH200
(4)エステル化合物(D):グリセリンモノステアレート
(5)フッ素系ポリマー(E):ポリビニリデンフルオライド樹脂(クレハ社製、KFポリマーW−1000)
(6)高級脂肪酸アミド(F):エルカ酸アミド
【0067】
実施例1〜6および比較例1、2
(熱可塑性エラストマー組成物の調製)
熱可塑性エラストマー(A)のペレットとポリ1−ブテン樹脂(B)のペレットまたは結晶性ポリオレフィン樹脂(a)およびシリコーンオイル(C)、エステル化合物(D)、フッ素系ポリマー(E)、高級脂肪酸アミド(F)をそれぞれ表1に示す比率でヘンシェルミキサーで混合した後、再び押出機で混練し、熱可塑性エラストマー組成物ペレットを製造した。
【0068】
(積層体の調製)
熱可塑性エラストマー(A')のペレットを(株)東芝製90mmφT−ダイ押出機(フルフライトスクリュー、L/D=26、コートハンガーダイ)を用いて、220℃、引き取り速度2.5m/分でシート状に押出し、押出された溶融状態にあるシート状の熱可塑性エラストマー(A')と、ポリエチレンの架橋発泡体シート[積水化学(株)製、商品名 ソフトロン、発泡倍率30倍、厚さ3mm]と積層させた状態で一対のロール間を通し、積層体(i)を成形した。
【0069】
さらに、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを同様にt−ダイ押し出し機でシート状にし、直ちに予め作製した積層体(i)の熱可塑性エラストマー(A')層上に積層させた。その際、熱可塑性エラストマー組成物のシートはロール温度60℃のエンボス加工ロール側に、また積層体(i)シートは加熱されていない通常ロール側に接触させるようにし、熱可塑性エラストマー組成物層が0.1mm、熱可塑性エラストマー層が1.0mmの厚さを有する、エンボス加工された積層体(ii)を製造した。
【0070】
上記のようにして得た積層体(ii)とは別に、タルク[松村産業(株)製、商品名ET−5)を30%充填したポリプロピレン[プロピレン・エチレンブロック共重合体、エチレン含量9モル%、MFR(ASTM D 1238−65T、230℃、2.16kg荷重)0.5]から成形したプラスチックダンボール(ピッチ10mm、厚さ3mm)から自動車天井用骨材を成形するために、雄型および雌型のホットプレスを用い、95℃、2kg/cm2の加熱加圧条件下で40秒間のプレス成形を行ない、その間に170℃に予備加熱された前記積層体(ii)を発泡体層が接するように骨材成形品上に載置し、再度プレスして両者を熱成形一体化させ、自動車用天井材を成形した。
【0071】
得られた天井材の熱可塑性エラストマー組成物からなる表皮層の平滑な部分にフェルト布を置き、さらにその上に200g/cm2の圧力が掛かるように重りを載せて、天井材上を100回往復させ、その往復操作後の表面状態をもって耐傷付性の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0072】
(耐傷付き性の5段階評価)
A:傷が殆ど目立たない
B:傷がやや目立つ
C:傷が目立つ
D:傷がかなり目立つ
E:表面が白化している
また、得られた天井材の縁の部分のエンボス模様の残り方を以下の基準で評価した。
A:成形前とほぼ変わり無く残っている
B:殆ど残っている
C:かなり残っている
D:やや残っている
E:あまり残っていない
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】
本発明の積層体からは、軽量でリサイクル使用が容易で、しかも焼却にしても有害なガスを発生しない等のオレフィン系重合体材料の長所を生かし、耐傷付き性に優れ、部品加工時にエンボス模様が消えにくい自動車内装部品が得られる。
Claims (9)
- [1]結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィン系ゴム(b)とを含有する熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)を含有し、そして熱可塑性エラストマー(A)とポリ1−ブテン樹脂(B)との重量割合[(A)/(B)]が95/5〜0/100の範囲にある熱可塑性エラストマー組成物からなる表皮層、
[2]結晶性ポリオレフィン樹脂(a')と架橋オレフィン系ゴム(b')とを含有する熱可塑性エラストマー(A')からなる中間層、並びに
[3]該中間層を介して上記表皮層の反対側に位置しているポリオレフィン系樹脂発泡層、
からなり、そして結晶性ポリオレフィン樹脂(a)および(a ' )が結晶性ポリプロピレン樹脂であり、架橋オレフィン系ゴム(b)および(b ' )がエチレン・プロピレンランダム共重合体ゴムおよびエチレン・プロピレン・非共役ジエンランダム共重合体ゴムの少なくともいずれかの架橋ゴムであることを特徴とする積層体。 - 表皮層を構成する可塑性エラストマー組成物が、シリコーンオイル(C),エステル化合物(D),フッ素系ポリマー(E)および高級脂肪酸アミド(F)からなる群から選択される少なくとも1種を熱可塑性エラストマー(A)およびポリ1−ブテン樹脂(B)の合計量100重量部に対して0.01〜10重量部含有する請求項1に記載の積層体。
- 熱可塑性エラストマー(A)中に、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)が結晶性オレフィン樹脂(a)と架橋オレフィン系ゴム(b)との合計量100重量部に対して10〜70重量部存在し、かつ熱可塑性エラストマー(A')中に、結晶性ポリオレフィン樹脂(a')が結晶性ポリオレフィン樹脂(a')と架橋オレフィン系ゴム(b')との合計量100重量部に対して10〜70重量部存在する請求項1または2に記載の積層体。
- 熱可塑性エラストマー(A)中にスチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、ブチルゴムおよびポリイソブチレンゴムから選択される少なくとも1種のゴムおよび/または鉱油系軟化剤が、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)と架橋オレフィン系ゴム(b)との合計量100重量部に対して5〜100重量部存在し、かつ熱可塑性エラストマー(A')中にスチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、ブチルゴムおよびポリイソブチレンゴムから選択される少なくとも1種のゴムおよび/または鉱油系軟化剤が、結晶性ポリオレフィン樹脂(a')と架橋オレフィン系ゴム(b')との合計量100重量部に対して5〜100重量部存在する請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 熱可塑性エラストマー(A)が、結晶性ポリオレフィン樹脂(a)および架橋オレフィン系ゴム(b)の溶融下、有機過酸化物の存在下に混練して得られ、熱可塑性エラストマー(A')が、結晶性ポリオレフィン樹脂(a')および架橋オレフィン系ゴム(b')の溶融下、有機過酸化物の存在下に混練して得られる請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- ポリオレフィン樹脂発泡層が架橋ポリエチレン発泡体または架橋ポリプロピレン発泡体からなる請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- ポリオレフィン樹脂発泡層にさらに骨材層が積層している請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 積層体が自動車内装部品用であり、表皮層の厚さが、0.01〜0.3mmであり、中間層の厚さが0.2〜2mmであり、そしてポリオレフィン樹脂発泡層の厚さが1〜30mmである請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜8のいずれかの積層体からなる自動車内装部品。
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