JPH0994925A - 熱可塑性エラストマー積層体を用いた逐次射出成形自動車内外装部品 - Google Patents

熱可塑性エラストマー積層体を用いた逐次射出成形自動車内外装部品

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JPH0994925A
JPH0994925A JP25162695A JP25162695A JPH0994925A JP H0994925 A JPH0994925 A JP H0994925A JP 25162695 A JP25162695 A JP 25162695A JP 25162695 A JP25162695 A JP 25162695A JP H0994925 A JPH0994925 A JP H0994925A
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JP
Japan
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weight
parts
thermoplastic elastomer
isoprene
polyolefin
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Pending
Application number
JP25162695A
Other languages
English (en)
Inventor
Kyoko Kobayashi
恭子 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Filing date
Publication date
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Publication of JPH0994925A publication Critical patent/JPH0994925A/ja
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  • Body Structure For Vehicles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オレフィン系組成物を材料とし、耐傷付性に
優れた自動車内外装部品を得る。 【解決手段】 下記成分(A)および(B)を含む熱可
塑性エラストマー組成物からなる表皮層とポリプロピレ
ン樹脂からなる基材層とから構成される逐次射出成形自
動車内外装部品。 (A)超高分子量ポリオレフィン(a)と、低分子量な
いし高分子量ポリオレフィン(b)からなり、135℃
デカリン溶媒中で測定した極限粘度〔η〕が3.5〜
8.3dl/gのポリオレフィン組成物10〜50重量
部;(B)スチレンまたはその誘導体の重合体ブロック
(c)と、イソプレン重合体ブロックまたはイソプレン
・ブタジエン共重合体ブロックであって、全イソプレン
単位に対する1,2−位および3,4−位で結合してい
るイソプレン単位含有量が40%以上である重合体また
は共重合体ブロック(d)とからなるブロック共重合体
90〜50重量部。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車内装部品に
関する。さらに詳しくは、耐傷付性に優れ、表皮層と基
材層の逐次射出成形により得られる自動車内外装部品に
関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系材料は、軽量でリサイクル
が容易であることから、省エネルギー省資源タイプの材
料として自動車部品等に広く使用されている。また近
年、地球環境保護の観点から、焼却時に有害なガスの出
ないオレフィン系材料が多く使われるようになってきて
いる。
【0003】しかし、従来のオレフィン系材料は、塩化
ビニル樹脂に比べて耐傷付性が劣るという欠点があり、
自動車部品等に用いる場合には、スプレー塗装やナイフ
コーターなどにより傷が付かないように表面加工する方
法もとられているが、製造工程が煩雑になり、またコス
トがかかるという問題点もあり、改良が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術に伴う問題点を解決するものであって、オレフ
ィン系組成物を材料とし、耐傷付性に優れ、軽量で、リ
サイクルが容易で、かつ焼却しても有害なガスを発生し
ない自動車内外装部品を低コストでしかも容易に提供す
ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の逐次射出成形自
動車内外装部品は、表皮層と基材層を逐次射出成形する
ことによりより得られる。表皮層を構成する第1の熱可
塑性エラストマー組成物〔I〕は、 (A)(a)135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘
度〔η〕が7〜40dl/gの範囲にある超高分子量ポ
リオレフィンと、(b)135℃デカリン溶媒中で測定
した極限粘度〔η〕が0.1〜5dl/gの範囲にある
低分子量ないし高分子量ポリオレフィンとから実質的に
なるポリオレフィン組成物であって、超高分子量ポリオ
レフィン(a)が、超高分子量ポリオレフィン(a)お
よび低分子量ないし高分子量ポリオレフィン(b)の総
重量100重量%に対して15〜40重量%の割合で存
在し、かつ135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度
〔η〕が3.5〜8.3dl/gの範囲にあるポリオレ
フィン組成物10〜50重量部、および (B)(c)スチレンまたはその誘導体の重合体ブロッ
クと、(d)イソプレン重合体ブロックまたはイソプレ
ン・ブタジエン共重合体ブロックであって、全イソプレ
ン単位に対する1,2−位および3,4−位で結合して
いるイソプレン単位含有量が40%以上である重合体ま
たは共重合体ブロックとからなる水素添加されていても
よいブロック共重合体90〜50重量部〔成分(A)お
よび(B)の合計量は100重量部である〕を含む熱可
塑性エラストマー組成物である。
【0006】また表皮層を構成する第2の熱可塑性エラ
ストマー組成物〔III〕は、 (A)(a)135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘
度〔η〕が7〜40dl/gの範囲にある超高分子量ポ
リオレフィンと、(b)135℃デカリン溶媒中で測定
した極限粘度〔η〕が0.1〜5dl/gの範囲にある
低分子量ないし高分子量ポリオレフィンとから実質的に
なるポリオレフィン組成物であって、超高分子量ポリオ
レフィン(a)が、超高分子量ポリオレフィン(a)お
よび低分子量ないし高分子量ポリオレフィン(b)の総
重量100重量%に対して15〜40重量%の割合で存
在し、かつ135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度
〔η〕が3.5〜8.3dl/gの範囲にあるポリオレ
フィン組成物10〜50重量部、 (B)(c)スチレンまたはその誘導体の重合体ブロッ
クと、(d)イソプレン重合体ブロックまたはイソプレ
ン・ブタジエン共重合体ブロックであって、全イソプレ
ン単位に対する1,2−位および3,4−位で結合して
いるイソプレン単位含有量が40%以上である重合体ま
たは共重合体ブロックとからなる水素添加されていても
よいブロック共重合体90〜25重量部、 (C)(e)スチレンまたはその誘導体の重合体ブロッ
クと、(f)イソプレン重合体ブロックまたはイソプレ
ン・ブタジエン共重合体ブロックであって、全イソプレ
ン単位に対する1,2−位および3,4−位で結合して
いるイソプレン単位含有量が30%以下である重合体ま
たは共重合体ブロック(f1)、またはブタジエン重合
体ブロック(f2)とからなる水素添加されていてもよ
いブロック共重合体0〜30重量部、 (D)オレフィン系ゴム0〜40重量部、 (E)軟化剤0〜40重量部、および (F)結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系ゴムと
を含有してなる部分的ないし完全に架橋された熱可塑性
エラストマー0〜50重量部を含む熱可塑性エラストマ
ー組成物であって、前記成分(C)、(D)、(E)お
よび(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成
分を含み〔成分(A)、(B)、(C)、(D)、
(E)および(F)の合計量は100重量部である〕、
かつ成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)およ
び(F)の合計量に対する成分(A)、(B)、(C)
および(D)の合計量の比率が100〜40重量%であ
る熱可塑性エラストマー組成物である。
【0007】本発明に係る表皮層を構成する第1または
第2の熱可塑性エラストマー組成物中には、成分
(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)
のほかに、必要に応じて、シリコーンオイル(G)、脂
肪族アルコールとジカルボン酸または脂肪酸とのエステ
ル(H)、およびフッ素系ポリマー(I)からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の成分を、前記成分(A)、
(B)、(C)、(D)、(E)および(F)の合計量
100重量部に対して0.01〜10重量部配合するこ
とができる。
【0008】また、上記のような本発明に係る表皮層を
構成する第1または第2の熱可塑性エラストマー組成物
中には、高級脂肪酸アミド(J)を、前記成分(A)、
(B)、(C)、(D)、(E)および(F)の合計量
100重量部に対して0.1〜10重量部配合すること
ができる。また、基材層はポリプロピレン樹脂、または
無機フィラーを含有するポリプロピレン樹脂組成物から
なる。
【0009】以下、本発明に係る表皮層を構成する第1
および第2の熱可塑性エラストマー組成物について説明
する。本発明に係る表皮層を構成する第1の熱可塑性エ
ラストマー組成物〔I〕は、ポリオレフィン組成物
(A)と、ブロック共重合体(B)とからなる。また、
本発明に係る表皮層を構成する第2の熱可塑性エラスト
マー組成物〔III〕は、本発明に係る第1の熱可塑性エ
ラストマー組成物〔I〕中に、ポリオレフィン組成物
(A)およびブロック共重合体(B)のほかに、ブロッ
ク共重合体(C)、オレフィン系ゴム(D)、軟化剤
(E)および熱可塑性エラストマー(F)からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の成分を配合してなる組成物
である。
【0010】本発明に係る表皮層を構成する第1または
第2の熱可塑性エラストマー組成物中には、成分
(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)
のほかに、必要に応じて、シリコーンオイル(G)、脂
肪族アルコールとジカルボン酸または脂肪酸とのエステ
ル(H)、およびフッ素系ポリマー(I)からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の成分、および/または高級
脂肪酸アミド(J)を配合することができる。
【0011】《ポリオレフィン組成物(A)》本発明で
用いられるポリオレフィン組成物(A)は、135℃デ
カリン溶媒中で測定した極限粘度〔η〕が7〜40dl
/g、好ましくは7〜35dl/gの範囲にある超高分
子量ポリオレフィン(a)と、135℃デカリン溶媒中
で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜5dl/g、好ま
しくは0.1〜3dl/gの範囲にある低分子量ないし
高分子量ポリオレフィン(b)とから実質的になるポリ
オレフィン組成物であって、超高分子量ポリオレフィン
(a)が、超高分子量ポリオレフィン(a)と低分子量
ないし高分子量ポリオレフィン(b)の総重量100重
量%に対して15〜40重量%、好ましくは15〜35
重量%の割合で存在し、かつ135℃デカリン溶媒中で
測定した極限粘度〔η〕が3.5〜8.3dl/g、好
ましくは4.0〜8.0dl/gの範囲にある。
【0012】上記のような超高分子量ポリオレフィン
(a)は、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−
デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3
−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンの単独重
合体または共重合体からなる。本発明においては、エチ
レン単独重合体およびエチレンと50モル%以下の他の
α−オレフィンとからなる共重合体が望ましい。
【0013】上記ポリオレフィン組成物(A)中には、
ポリオレフィン組成物(A)当たり1〜20重量%の液
体ないし固体の潤滑油を配合することができる。上記液
体潤滑油としては、石油系潤滑油、合成潤滑油などが使
用される。石油系潤滑油としては、具体的には流動パラ
フィン、スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ油、タービ
ン油、マシン油、シリンダー油などが使用される。
【0014】合成潤滑油としては、具体的には合成炭化
水素油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油、
エステル油、リン酸エステル油、ポリクロロトリフルオ
ロエチレン油、フルオロエステル油、塩素化ビフェニル
油、シリコーン油などが使用される。
【0015】上記固体潤滑油としては、具体的には黒
鉛、二硫化モリブデンが主に使用されるが、他に窒化ホ
ウ素、二硫化タングステン、酸化鉛、ガラス粉、金属石
けんなども使用することができる。固体潤滑油は、単独
で使用することができ、また液体潤滑油と組合わせて使
用することができ、たとえば粉末、ゾル、ゲル、サスペ
ンソイドなどの形態で固体潤滑油と液体潤滑油をポリオ
レフィン組成物(A)に配合することができる。
【0016】上記のポリオレフィン組成物(A)には、
必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止
剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤な
どの添加物を、本発明の目的を損なわない範囲で配合す
ることができる。
【0017】上記のようなポリオレフィン組成物(A)
は、ポリオレフィン組成物(A)、ブロック共重合体
(B)、ブロック共重合体(C)、オレフィン系ゴム
(D)、軟化剤(E)および熱可塑性エラストマー
(F)の合計量100重量部に対して10〜50重量
部、好ましくは15〜40重量部の割合で用いられる。
ただし、上記成分(C)、(D)、(E)および(F)
は任意成分であるので、これらの成分は0重量部となる
場合がある。
【0018】《ブロック共重合体(B)》本発明で用い
られるブロック共重合体(B)は、スチレンまたはその
誘導体の重合体ブロック(c)と、特定のイソプレン重
合体または特定のイソプレン・ブタジエン共重合体から
なるブロック(d)とからなり、水素添加されていても
よい。
【0019】上記ブロック(c)を構成する重合体成分
は、スチレンまたはその誘導体である。スチレンの誘導
体としては、具体的にはα−メチルスチレン、1−ビニ
ルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−メチルスチ
レン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチ
レン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジ
ルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなどがあ
げられる。ブロック(c)を構成する重合体成分として
は、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0020】上記ブロック(d)を構成する重合体また
は共重合体は、イソプレン重合体またはイソプレン・ブ
タジエン共重合体であって、下記に示すイソプレン単位
全体に対する1,2−位および3,4−位で結合してい
るイソプレン単位含有量が40%以上、好ましくは45
%以上である。
【0021】
【化1】
【0022】本発明において、全イソプレン単位に対す
る1,2−位および3,4−位で結合しているイソプレ
ン単位含有量が40%以上であるとき、耐傷付性に優れ
た成形体を提供し得る熱可塑性エラストマー組成物
〔I〕、〔III〕を得ることができる。
【0023】ブロック共重合体(B)におけるスチレン
またはその誘導体の重合体ブロック(c)の割合は、好
ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜45
重量%の範囲である。すなわち、上記のイソプレン重合
体ブロックまたはイソプレン・ブタジエン共重合体ブロ
ック(d)の割合は、好ましくは95〜50重量%、さ
らに好ましくは90〜55重量%の範囲である。
【0024】本発明においては、水素添加されたブロッ
ク共重合体(B)が好ましい。水素添加されたブロック
共重合体(B)を用いると、耐候性と耐熱性により優れ
た成形体を提供し得る熱可塑性エラストマー組成物
〔I〕、〔III〕が得られる。
【0025】本発明で用いられるブロック共重合体
(B)のメルトフローレート(MFR;ASTM D
1238、230℃、2.16kg荷重)は、好ましく
は0.01〜30g/10分、さらに好ましくは0.0
1〜10g/10分の範囲にある。メルトフローレート
が上記のような範囲にあるブロック共重合体(B)を用
いると、耐傷付性に優れた成形体を提供し得る熱可塑性
エラストマー組成物〔I〕、〔III〕が得られる。
【0026】本発明で用いられるブロック共重合体
(B)の形態としては、ブロック(c)−ブロック
(d)−ブロック(c)の形態が最も好ましいが、これ
に限られるものではない。
【0027】このようなブロック共重合体(B)は、た
とえば以下のような方法により製造することができる。 (1)アルキルリチウム化合物を開始剤としてスチレン
またはその誘導体、イソプレンまたはイソプレン・ブタ
ジエン混合物を逐次重合させる方法。 (2)スチレンまたはその誘導体、次いでイソプレンま
たはイソプレン・ブタジエン混合物を重合し、これをカ
ップリング剤によりカップリングする方法。 (3)ジリチウム化合物を開始剤としてイソプレンまた
はイソプレン・ブタジエン混合物、次いでスチレンまた
はその誘導体を逐次重合させる方法。 上記ブロック共重合体(B)の製造方法の詳細は、たと
えば特開平2−300250号公報に記載されている。
【0028】また、上記のような方法により得られたブ
ロック共重合体(B)に水添処理を行えば、水素添加さ
れたブロック共重合体(B)が得られる。水添されるブ
ロックは、イソプレン重合体ブロックまたはイソプレン
・ブタジエン共重合体ブロック(d)である。
【0029】本発明で用いられる第1の熱可塑性エラス
トマー組成物〔I〕においては、ブロック共重合体
(B)は、ポリオレフィン組成物(A)およびブロック
共重合体(B)の合計量100重量部に対して90〜5
0重量部、好ましくは85〜60重量部の割合で用いら
れる。
【0030】また、本発明で用いられる第2の熱可塑性
エラストマー組成物〔III〕においては、ブロック共重
合体(B)は、ポリオレフィン組成物(A)、ブロック
共重合体(B)、ブロック共重合体(C)、オレフィン
系ゴム(D)、軟化剤(E)および熱可塑性エラストマ
ー(F)の合計量100重量部に対して90〜25重量
部、好ましくは85〜30重量部の割合で用いられる。
ただし、上記成分(C)、(D)、(E)および(F)
は任意成分であるので、これらの成分は0重量部となる
場合がある。
【0031】ブロック共重合体(B)を上記のような割
合で用いると、耐熱性に優れるとともに耐傷付性および
耐摩耗性に優れた成形体を提供し得る熱可塑性エラスト
マー組成物〔I〕、〔III〕が得られる。
【0032】《ブロック共重合体(C)》本発明におい
て用いられるブロック共重合体(C)は、スチレンまた
はその誘導体の重合体ブロック(e)と、特定のイソプ
レン重合体または特定のイソプレン・ブタジエン共重合
体からなる(f1)、またはブタジエン重合体ブロック
(f2)とからなり、水素添加されていてもよい。
【0033】上記ブロック(e)を構成する重合体成分
は、スチレンまたはその誘導体である。スチレンの誘導
体の具体例としては、上記ブロック共重合体(B)の項
で例示した化合物と同じ化合物があげられる。ブロック
(e)を構成する重合体成分としては、スチレン、α−
メチルスチレンが好ましい。
【0034】上記ブロック(f1)を構成する重合体ま
たは共重合体は、イソプレン重合体またはイソプレン・
ブタジエン共重合体であって、全イソプレン単位に対す
る1,2−位および3,4−位で結合しているイソプレ
ン単位含有量が30%以下、好ましくは25%以下であ
る。本発明において、全イソプレン単位に対する1,2
−位および3,4−位で結合しているイソプレン単位含
有量が30%以下であるとき、良好な外観を有する成形
体を提供し得る熱可塑性エラストマー組成物〔III〕を
得ることができる。
【0035】本発明で用いられるブロック共重合体
(C)は、ブロック(e)とブロック(f1)とからな
っていてもよいし、また、ブロック(e)とブタジエン
重合体からなるブロック(f2)とからなっていてもよ
い。
【0036】ブロック共重合体(C)におけるスチレン
またはその誘導体の重合体ブロック(e)の割合は、好
ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜45
重量%の範囲である。すなわち、上記のイソプレン重合
体ブロックまたはイソプレン・ブタジエン共重合体ブロ
ック(f1)、またはブタジエン重合体ブロック(f
2)の割合は、好ましくは95〜50重量%、さらに好
ましくは90〜55重量%の範囲である。
【0037】本発明においては、水素添加されたブロッ
ク共重合体(C)が好ましい。水素添加されたブロック
共重合体(C)を用いると、耐候性と耐熱性により優れ
た成形体を提供し得る熱可塑性エラストマー組成物〔II
I〕が得られる。
【0038】本発明で用いられるブロック共重合体
(C)のメルトフローレート(MFR;ASTM D
1238、230℃、2.16kg荷重)は、好ましく
は0.01〜100g/10分、さらに好ましくは0.
01〜50g/10分の範囲にある。メルトフローレー
トが上記のような範囲にあるブロック共重合体(C)を
用いると、耐傷付性に優れた成形体を提供し得る熱可塑
性エラストマー組成物〔III〕が得られる。
【0039】本発明で用いられるブロック共重合体
(C)のブロック形態としては、ブロック(e)−ブロ
ック(f1)または(f2)−ブロック(e)の形態が
最も好ましいが、これに限られるものではない。
【0040】このような水素添加されていてもよいブロ
ック共重合体(C)は、たとえば上述したようなブロッ
ク共重合体(B)の製造方法と同様の方法により製造す
ることができる。なお、水素添加されたブロック共重合
体(C)を調製する際に、水添されるブロックは、イソ
プレン重合体ブロックまたはイソプレン・ブタジエン共
重合体ブロック(f1)、またはブタジエン重合体ブロ
ック(f2)である。
【0041】本発明においては、ブロック共重合体
(C)は、ポリオレフィン組成物(A)、ブロック共重
合体(B)、ブロック共重合体(C)、オレフィン系ゴ
ム(D)、軟化剤(E)および熱可塑性エラストマー
(F)の合計量100重量部に対して0〜30重量部、
好ましくは0〜25重量部、さらに好ましくは0〜20
重量部の割合で用いられる。ただし、上記成分(C)、
(D)、(E)および(F)は任意成分であるので、こ
れらの成分は0重量部となる場合がある。
【0042】ブロック共重合体(C)を上記のような割
合で用いると、耐傷付性、耐摩耗性に優れるとともに、
外観に優れた成形体を提供し得る熱可塑性エラストマー
組成物〔III〕が得られる。
【0043】《オレフィン系ゴム(D)》本発明におい
て用いられるオレフィン系ゴム(D)としては、炭素原
子数2〜20のα−オレフィン含量が50モル%以上の
無定形ランダムな弾性共重合体があげられる。また、本
発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、オ
レフィン系ゴム(D)と、オレフィン系ゴム(D)以外
のゴム、たとえばスチレン・ブタジエンゴム(SB
R)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブ
チルゴム(IIR)等のジエン系ゴム、ポリイソブチレ
ンゴムなどとを組合わせて用いることもできる。
【0044】上記の炭素原子数2〜20のα−オレフィ
ン含量が50モル%以上の無定形ランダムな弾性共重合
体としては、2種以上のα−オレフィンからなるα−オ
レフィン共重合体、2種以上のα−オレフィンと非共役
ジエンとからなるα−オレフィン・非共役ジエン共重合
体などがあり、具体的には以下のようなゴムなどがあげ
られる。 (1)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム 〔エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10
〜50/50〕 (2)エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合
体ゴム 〔エチレン/α−オレフィン(モル比)=約90/10
〜50/50〕 (3)プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム 〔プロピレン/α−オレフィン(モル比)=約90/1
0〜50/50〕 (4)ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム 〔ブテン/α−オレフィン(モル比)=約90/10〜
50/50〕 上記α−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、プ
ロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1
−ヘキセン、1−オクテンなどがあげられる。
【0045】上記非共役ジエンとしては、具体的にはジ
シクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオ
クタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボ
ルネンなどがあげられる。このような非共役ジエンが共
重合している上記(2)のエチレン・α−オレフィン・
非共役ジエン共重合体ゴムのヨウ素価は25以下が好ま
しい。上記(1)〜(4)の共重合体ゴムのムーニー粘
度〔ML1+4(100℃)〕は10〜250であり、特
に30〜150が好ましい。
【0046】本発明においては、オレフィン系ゴム
(D)は、ポリオレフィン組成物(A)、ブロック共重
合体(B)、ブロック共重合体(C)、オレフィン系ゴ
ム(D)、軟化剤(E)および熱可塑性エラストマー
(F)の合計量100重量部に対して0〜40重量部、
好ましくは0〜30重量部、さらに好ましくは0〜25
重量部の割合で用いられる。ただし、上記成分(C)、
(D)、(E)および(F)は任意成分であるので、こ
れらの成分は0重量部となる場合がある。
【0047】オレフィン系ゴム(D)を上記のような割
合で用いると、耐傷付性に優れるとともに柔軟性に優れ
た成形体を提供し得る熱可塑性エラストマー組成物〔II
I〕が得られる。
【0048】《軟化剤(E)》本発明において用いられ
る軟化剤(E)としては、通常ゴムに使用される軟化剤
が適当であり、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、
パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、
ポリプロピレンワックス、石油アスファルト、ワセリン
等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等
のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大
豆油、椰子油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウ
バロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、12−水酸化ステアリン酸、モン
タン酸、オレイン酸、エルカ酸等の脂肪酸またはその金
属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチック
ポリプロピレン等の合成高分子;ジオクチルフタレー
ト、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の
エステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワック
ス、液状ポリブタジエンまたはその変性物あるいは水添
物、液状チオコールなどがあげられる。
【0049】本発明においては、軟化剤(E)は、ポリ
オレフィン組成物(A)、ブロック共重合体(B)、ブ
ロック共重合体(C)、オレフィン系ゴム(D)、軟化
剤(E)および熱可塑性エラストマー(F)の合計量1
00重量部に対して0〜40重量部、好ましくは0〜3
0重量部、さらに好ましくは0〜20重量部の割合で用
いられる。ただし、上記成分(C)、(D)、(E)お
よび(F)は任意成分であるので、これらの成分は0重
量部となる場合がある。
【0050】軟化剤(E)を上記のような割合で用いる
と、成形時の流動性に優れた熱可塑性エラストマー組成
物が得られる。この熱可塑性エラストマー組成物〔II
I〕からなる成形品は、耐傷付性が良好である。
【0051】《熱可塑性エラストマー(F)》本発明に
おいて用いられる熱可塑性エラストマー(F)は、結晶
性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系ゴムとから構成さ
れている。上記結晶性ポリオレフィン樹脂としては、炭
素原子数2〜20のα−オレフィンの単独重合体または
共重合体があげられる。
【0052】上記結晶性ポリオレフィン樹脂の具体的な
例としては、以下のような重合体または共重合体があげ
られる。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでもよい) (2)エチレンと、10モル%以下の他のα−オレフィ
ンまたは酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニル
モノマーとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのランダム共重合体 (5)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのブロック共重合体 (6)1−ブテン単独重合体 (7)1−ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのランダム共重合体 (8)4−メチル−1−ペンテン単独重合体 (9)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下の他
のα−オレフィンとのランダム共重合体
【0053】上記のα−オレフィンとしては、具体的に
はエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1
−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどがあげら
れる。上記の結晶性ポリオレフィン樹脂の中では、プロ
ピレン単独重合体、およびプロピレン含量が50モル%
以上のプロピレン・α−オレフィン共重合体が特に好ま
しい。
【0054】上記のような結晶性ポリオレフィン樹脂は
単独で、あるいは組合わせて用いることができる。本発
明で用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂は、メルトフ
ローレート(MFR;ASTM D 1238、230
℃、2.16kg荷重)が、好ましくは0.01〜10
0g/10分、さらに好ましくは0.3〜70g/10
分の範囲にある。
【0055】また、結晶性ポリオレフィン樹脂のX線法
により求めた結晶化度は、通常5〜100%、好ましく
は20〜80%の範囲にある。熱可塑性エラストマー
(F)を構成する結晶性ポリオレフィン樹脂は、結晶性
ポリオレフィン樹脂およびオレフィン系ゴムの合計量1
00重量部に対して10〜90重量部、好ましくは10
〜80重量部、さらに好ましくは20〜70重量部の割
合で用いられる。
【0056】結晶性ポリオレフィン樹脂を上記のような
割合で配合した熱可塑性エラストマー(F)を用いる
と、耐傷付性に優れるとともに耐熱性に優れた成形体を
提供し得る、成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成
物〔III〕が得られる。
【0057】上記オレフィン系ゴムとしては、前述のオ
レフィン系ゴム(D)を用いることができる。オレフィ
ン系ゴムは、熱可塑性エラストマー(F)中において、
部分的に架橋された状態、または完全に架橋された状態
で存在している。本発明では、オレフィン系ゴムが部分
的に架橋された状態にあることが好ましい。
【0058】また、本発明においては、本発明の目的を
損なわない範囲で、オレフィン系ゴムとオレフィン系ゴ
ム以外のゴムとを組合わせて用いることもできる。この
ようなオレフィン系ゴム以外のゴムとしては、たとえば
スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム
(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)
等のジエン系ゴム、ポリイソブチレンゴムなどがあげら
れる。
【0059】熱可塑性エラストマー(F)においてオレ
フィン系ゴムは、結晶性ポリオレフィン樹脂およびオレ
フィン系ゴムの合計量100重量部に対して10〜90
重量部、好ましくは20〜90重量部、さらに好ましく
は30〜80重量部の割合で用いられる。
【0060】また、オレフィン系ゴムとオレフィン系ゴ
ム以外のゴムとを組合せて用いる場合には、オレフィン
系ゴム以外のゴムは、結晶性ポリオレフィン樹脂および
オレフィン系ゴムの合計量100重量部に対して40重
量部以下、好ましくは5〜20重量部の割合で用いられ
る。
【0061】オレフィン系ゴムを上記のような割合で配
合した熱可塑性エラストマー(F)、またはオレフィン
系ゴムおよびオレフィン系ゴム以外のゴムを上記のよう
な割合で配合した熱可塑性エラストマー(F)を用いる
と、耐傷付性に優れるとともに柔軟性に優れた成形体を
提供し得る熱可塑性エラストマー組成物〔III〕が得ら
れる。
【0062】本発明で用いられる熱可塑性エラストマー
(F)には、必要に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定
剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着
色剤、滑剤などの添加物を、本発明の目的を損なわない
範囲で配合することができる。
【0063】本発明で好ましく用いられる熱可塑性エラ
ストマー(F)は、結晶性ポリプロピレン樹脂と、エチ
レン・α−オレフィン共重合体ゴムまたはエチレン・α
−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとからなり、
熱可塑性エラストマー(F)中において、これらの成分
が部分架橋された状態で存在し、かつ結晶性ポリプロピ
レン樹脂とオレフィン系ゴムとの重量配合比(結晶性ポ
リプロピレン樹脂/オレフィン系ゴム)が70/30〜
10/90の範囲内にある。
【0064】本発明で好ましく用いられる熱可塑性エラ
ストマー(F)のより具体的な例としては、結晶性ポリ
プロピレン樹脂60〜10重量部と、オレフィン系ゴム
としてエチレン・プロピレン共重合体ゴムまたはエチレ
ン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム40〜90重量部
〔結晶性ポリプロピレン樹脂およびオレフィン系ゴムの
合計量は100重量部とする〕と、オレフィン系ゴム以
外のゴム5〜40重量部および/または鉱物油系軟化剤
5〜100重量部とからなり、オレフィン系ゴムが部分
的に架橋されている熱可塑性エラストマーがあげられ
る。
【0065】本発明で用いられる熱可塑性エラストマー
(F)は、結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系ゴ
ムとを含有するブレンド物を、有機過酸化物の存在下で
動的に熱処理することにより得ることができる。
【0066】上記有機過酸化物としては、具体的にはジ
クミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキ
ジ、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチ
ルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−
ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、
1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピ
ル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオ
キシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−
ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)
バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベン
ゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペル
オキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、
tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチル
ペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペル
オキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル
クミルペルオキシドなどがあげられる。
【0067】これらの中では、臭気性、スコーチ安定性
の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−
ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,
5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプ
ロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペ
ルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキ
シ)バレレートが好ましく、中でも1,3−ビス(te
rt−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も
好ましい。
【0068】本発明においては、有機過酸化物は、結晶
性ポリオレフィン樹脂およびオレフィン系ゴムの合計量
100重量%に対して0.05〜3重量%、好ましくは
0.1〜1重量%の割合で用いられる。
【0069】本発明においては、上記有機過酸化物によ
る部分架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、
p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル
−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジ
フェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,
N′−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ
架橋用助剤;あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシ
アヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジ
エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレング
リコールジメタクリレート、トリメチロールプロパント
リメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性
メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルス
テアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合する
ことができる。
【0070】上記のような化合物を用いることにより、
均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明に
おいては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニル
ベンゼンは取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分で
ある結晶性ポリオレフィン樹脂およびオレフィン系ゴム
との相溶性が良好であり、かつ有機過酸化物を可溶化す
る作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、
熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバラ
ンスのとれた熱可塑性エラストマー(F)が得られる。
【0071】本発明においては、上記のような架橋助剤
もしくは多官能性ビニルモノマーは、上記の被架橋処理
物全体に対して0.1〜2重量%、特に0.3〜1重量
%の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤もしくは多官
能性ビニルモノマーの配合割合が上記範囲にあると、得
られる熱可塑性エラストマー(F)は、架橋助剤および
多官能性ビニルモノマーがエラストマー中に未反応のモ
ノマーとして残存することがないため、加工成形の際に
熱履歴による物性の変化が生じることがなく、しかも流
動性に優れている。
【0072】上記の「動的に熱処理する」とは、上記の
ような各成分を融解状態で混練することをいう。動的な
熱処理は、ミキシングロール、インテンシブミキサー
(たとえばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸また
は二軸押出機などの混練装置を用いて行われるが、非開
放型の混練装置中で行うことが好ましい。また、動的な
熱処理は、窒素等の不活性ガス中で行うことが好まし
い。
【0073】また、混練は、使用する有機ペルオキシド
の半減期が1分未満となる温度で行うのが望ましい。混
練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜
240℃であり、混練時間は1〜20分間、好ましくは
1〜5分間である。また、混練の際に加えられる剪断力
は、通常、剪断速度で10〜104sec-1、好ましく
は102〜104sec-1の範囲内で決定される。
【0074】上記のようにしてオレフィン系ゴムが部分
的に、または完全に架橋された熱可塑性エラストマー
(F)を得ることができる。ここに、「部分的に架橋さ
れた」とは、下記の方法で測定したゲル含量(シクロヘ
キサン不溶解分)が、たとえば10%以上、特に20%
以上98%未満である場合をいう。本発明においては、
ゲル含量が30%以上であることが好ましい。また、
「完全に架橋された」とは、下記の方法で測定したゲル
含量(シクロヘキサン不溶解分)が98%以上100%
である場合をいう。上記範囲にある熱可塑性エラストマ
ー(F)を用いると、得られる熱可塑性エラストマー組
成物〔III〕は成形時の流動性が良好であり、機械強度
および耐熱性に優れた成形体を提供することができる。
【0075】〔ゲル含量(シクロヘキサン不溶解分)の
測定法〕熱可塑性エラストマー(F)の試料を約100
mg秤量して0.5mm×0.5mm×0.5mmの細
片に裁断した後、得られた細片を密閉容器中にて30m
lのシクロヘキサンに23℃で48時間浸漬する。次
に、この試料を濾紙上に取り出し、室温にて72時間以
上恒量になるまで乾燥する。この乾燥残渣の重量からポ
リマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フ
ィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、「補正
された最終重量(Y)」とする。
【0076】一方、試料の重量からポリマー成分以外の
シクロヘキサン可溶性成分(たとえば軟化剤)の重量お
よびポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊
維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、
「補正された初期重量(X)」とする。ここに、ゲル含
量(シクロヘキサン不溶解分)は、次式により求められ
る。
【数1】ゲル含量〔重量%〕=〔補正された最終重量
(Y)〕÷〔補正された初期重量(X)〕×100
【0077】本発明においては、熱可塑性エラストマー
(F)は、上記のポリオレフィン組成物(A)、ブロッ
ク共重合体(B)、ブロック共重合体(C)、オレフィ
ン系ゴム(D)、軟化剤(E)および熱可塑性エラスト
マー(F)の合計量100重量部に対して0〜50重量
部、好ましくは0〜40重量部、さらに好ましくは0〜
30重量部の割合で用いられる。ただし、上記成分
(C)、(D)、(E)および(F)は任意成分である
ので、これらの成分は0重量部となる場合がある。
【0078】熱可塑性エラストマー(F)を上記のよう
な割合で用いると、耐熱性に優れるとともに耐傷付性に
優れた成形体を提供し得る熱可塑性エラストマー組成物
〔III〕が得られる。
【0079】《シリコーンオイル(G)、エステル
(H)およびフッ素系ポリマー(I)》本発明において
必要に応じて用いられるシリコーンオイル(G)として
は、具体的にはジメチルシリコーンオイル、フェニルメ
チルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テ
トラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコ
ーン油などがあげられる。中でも、ジメチルシリコーン
オイル、フェニルメチルシリコーンオイルが好ましく用
いられる。
【0080】このシリコーンオイル(G)の動粘度〔J
IS K2283、25℃〕は10〜30,000cS
t、好ましくは50〜10,000cSt、さらに好ま
しくは100〜5,000cStの範囲である。
【0081】また、本発明において必要に応じて用いら
れるエステル(H)は、脂肪族アルコールと、ジカルボ
ン酸または脂肪酸とのエステルである。このようなエス
テル(H)としては、具体的にはセチルアルコールと酢
酸とのエステル、セチルアルコールとプロピオン酸との
エステル、セチルアルコールと酪酸とのエステル、牛脂
アルコールと酢酸とのエステル、牛脂アルコールとプロ
ピオン酸とのエステル、牛脂アルコールと酪酸とのエス
テル、ステアリルアルコールと酢酸とのエステル、ステ
アリルアルコールとプロピオン酸とのエステル、ステア
リルアルコールと酪酸とのエステル、ジステアリルアル
コールとフタル酸とのエステル、グリセリンモノオレー
ト、グリセリンモノステアレート、12−水酸化ステア
レート、グリセリントリステアレート、トリメチロール
プロパントリステアレート、ペンタエリスリトールテト
ラステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステ
アレート、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステ
ル、ベヘン酸エステル、カルシウムソープ含有エステ
ル、イソトリデシルステアレート、セチルパルミテー
ト、セチルステアレート、ステアリールステアレート、
ベヘニルベヘネート、モンタン酸エチレンブリコールエ
ステル、モンタン酸グリセリンエステル、モンタン酸ペ
ンタエリスリトールエステル、カルシウム含有モンタン
酸エステルなどがあげられる。中でも、ジステアリルア
ルコールとフタル酸とのエステル、グリセリンモノオレ
ート、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸エス
テル、モンタン酸グリセリンエステルが好ましい。特に
ジステアリルアルコールとフタル酸とのエステル、グリ
セリンモノステアレート、モンタン酸グリセリンエステ
ルが好ましい。
【0082】さらに、本発明において必要に応じて用い
られるフッ素系ポリマー(I)としては、具体的にはポ
リテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド共
重合物などがあげられる。これらの中では、ポリテトラ
フルオロエチレンが好ましい。
【0083】本発明においては、上記のシリコーンオイ
ル(G)、エステル(H)およびフッ素系ポリマー
(I)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分
が、ポリオレフィン組成物(A)、ブロック共重合体
(B)、ブロック共重合体(C)、オレフィン系ゴム
(D)、軟化剤(E)および熱可塑性エラストマー
(F)の合計量100重量部に対して0.01〜10重
量部、好ましくは0.01〜5重量部の割合で用いられ
る。ただし、上記成分(C)、(D)、(E)および
(F)は任意成分であるので、これらの成分は0重量部
となる場合がある。
【0084】上記のようなシリコーンオイル(G)、エ
ステル(H)またはフッ素系ポリマー(I)を上記のよ
うな割合で用いると、耐傷付性に優れた熱可塑性エラス
トマー組成物〔I〕、〔III〕を得ることができる。
【0085】《高級脂肪酸アミド(J)》本発明におい
て必要に応じて用いられる高級脂肪酸アミド(J)とし
ては、具体的にはラウリン酸アミド、パルミチン酸アミ
ド、ステアリン酸アミド、ベヘミン酸アミド等の飽和脂
肪酸アミド;エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラ
シジン酸アミド、エライジン酸アミド等の不飽和脂肪酸
アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビ
スオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミ
ド、エチレンビスオレイン酸アミド等のビス脂肪酸アミ
ドなどがあげられる。中でも、エルカ酸アミド、オレイ
ン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドが好まし
い。
【0086】上記のような高級脂肪酸アミド(J)は、
ポリオレフィン組成物(A)、ブロック共重合体
(B)、ブロック共重合体(C)、オレフィン系ゴム
(D)、軟化剤(E)および熱可塑性エラストマー
(F)の合計量100重量部に対して0.1〜10重量
部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
ただし、上記成分(C)、(D)、(E)および(F)
は任意成分であるので、これらの成分は0重量部となる
場合がある。
【0087】上記のような高級脂肪酸アミド(J)を上
記のような割合で用いると、表面改良効果により、耐傷
付性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物
〔I〕、〔III〕が得られる。
【0088】《その他の成分》本発明においては、熱可
塑性エラストマー組成物〔I〕、〔III〕中に、本発明
の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、公知の無機
充填剤、耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防
止剤、金属セッケン、ワックス等の滑剤などの添加剤を
添加することができる。
【0089】このような無機充填剤としては、具体的に
は炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、カオリ
ン、タルク、シリカ、けいそう土、雲母粉、アスベス
ト、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊
維、ガラス球、シラスバルーン、グラファイト、アルミ
ナなどがあげられる。
【0090】また公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候
安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェ
ニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系安定剤な
どがあげられる。
【0091】《熱可塑性エラストマー組成物〔III〕》
本発明で用いられる熱可塑性エラストマー組成物〔II
I〕においては、ポリオレフィン組成物(A)、ブロッ
ク共重合体(B)、ブロック共重合体(C)、オレフィ
ン系ゴム(D)、軟化剤(E)および熱可塑性エラスト
マー(F)の合計量に対する重合体成分、すなわちポリ
オレフィン組成物(A)、ブロック共重合体(B)、ブ
ロック共重合体(C)およびオレフィン系ゴム(D)の
合計量の比率は100〜40重量%、好ましくは100
〜50重量%である。
【0092】《熱可塑性エラストマー組成物〔I〕、
〔III〕の調製》本発明に係る表皮層を構成する第1の
熱可塑性エラストマー組成物〔I〕は、ポリオレフィン
組成物(A)と、ブロック共重合体(B)とを、上述し
た割合で配合し、有機過酸化物の不存在下で動的な熱処
理を行うことにより調製することができる。
【0093】また本発明に係る表皮層を構成する第2の
熱可塑性エラストマー組成物〔III〕は、ポリオレフィ
ン組成物(A)と、ブロック共重合体(B)と、ブロッ
ク共重合体(C)、オレフィン系ゴム(D)、軟化剤
(E)および熱可塑性エラストマー(F)からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の成分とを、上述した割合で
配合し、有機過酸化物の不存在下で動的な熱処理を行う
ことにより調製することができる。
【0094】また、本発明で用いる第1および第2の熱
可塑性エラストマー組成物〔I〕、〔III〕の調製にお
いて、上記の各成分を配合する際に、必要に応じて、シ
リコーンオイル(G)、エステル(H)およびフッ素系
ポリマー(I)からなる群から選ばれる少なくとも1種
の成分、および/または高級脂肪酸アミド(J)を配合
することができる。
【0095】上記の動的な熱処理の方法としては、熱可
塑性エラストマー(F)の調製で上述した動的な熱処理
の方法が望ましい。ただし、この動的な熱処理は有機過
酸化物の不存在下で行われる。
【0096】《ポリプロピレン樹脂》本発明に係る基材
層は、ポリプロピレン樹脂からなるか、または無機フィ
ラーとポリプロピレン樹脂の組成物からなる。ポリプロ
ピレン樹脂の具体的な例としては、以下のような(共)
重合体があげられる。 (1)プロピレン単独重合体 (2)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのランダム共重合体 (3)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィ
ンとのブロック共重合体 上記のα−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、
1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテンなどがあげられる。その中でも、プロ
ピレンの単独重合体あるいはプロピレンを主成分とした
プロピレンとエチレンとの共重合体が特に好ましい。
【0097】ポリプロピレン樹脂には必要に応じて無機
フィラーを含有させることができる。無機フィラーの例
としては、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、
カオリン、タルク、シリカ、けいそう土、雲母粉、アス
ベスト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、グラ
ファイト等をあげることができる。この中でも特にタル
クが好ましく用いられる。
【0098】ポリプロピレン樹脂または無機フィラーと
ポリプロピレン樹脂とからなる組成物は、1種類でもか
まわないし、2種類以上用いてもかまわない。ポリプロ
ピレン樹脂または無機フィラーとポリプロピレン樹脂と
からなる組成物のMFR(メルトフローレート;230
℃、2.16kg荷重)は、0.01〜100の範囲の
ものが好ましい。上記のポリプロピレン樹脂には、必要
に応じて、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、
耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤などの
添加物を本発明の目的を損なわない範囲で配合すること
ができる。
【0099】《逐次射出成形自動車内外装部品》本発明
の逐次射出成形自動車内装部品の具体的な例としては、
インストゥルメンタルパネル、ステアリングホイール、
ピラーガーニッシュ、エアバッグカバー、ドアグラブ、
コンソールボックス、シフトノブ、アシストグリップ、
シートアジャスタ、ルーバーガーニッシュ、ガレージオ
ープナー、サンバイザー、バックミラーカバー、ルーム
ミラーカバー、カップホルダー、コインボックス、レジ
スト、灰皿アッパー、ドアフレームガーニッシュ、ドア
トリム、アームレスト、コラムカバー、インナーパネ
ル、ガレージオープナーのハウジング等をあげることが
できる。
【0100】また、本発明の逐次射出成形自動車外装部
品の具体的な例としては、バンパー、バンパーコーナ
ー、フェンダー部品、マッドガード、サイドモール、ガ
ーニッシュ、エアースポイラー等をあげることができ
る。
【0101】本発明の逐次射出成形自動車内外装部品は
基材層および表皮層を逐次射出成形、例えば二色ロータ
リー成形またはインサート成形等により一体成形するこ
とにより得られる。通常は、まず基材層を成形した後、
表皮層を成形するが逆の順序でもよい。基材層と表皮層
とは後工程の射出成形により、接着剤を使用することな
しに、熱融着により接合される。この場合、基材層と表
皮層の固着性は優れ、剥離は起こらない。基材層の厚は
0.1〜50mm、表皮層の厚さは5μm〜20mmで
あるのが好ましい
【0102】
【発明の効果】本発明の逐次射出成形自動車内外装部品
は、特定の熱可塑性エラストマー組成物からなる表皮層
と、ポリプロピレン樹脂またはその組成物からなる基材
層とから構成されているので、ポリオレフィン系組成物
を材料として用いているにもかかわらず、耐傷付性に優
れている。しかも軽量で、リサイクルが容易で、焼却し
ても有害なガスは発生せず、しかも低コストで容易に製
造することができる。
【0103】本発明は上記の組成物において、シリコー
ンオイル、脂肪族アルコールとジカルボン酸または脂肪
酸のエステル、フッ素系ポリマー、または高級脂肪酸ア
ミドを熱可塑性エラストマー組成物に配合することによ
り、耐傷付性をさらに改善することができ、特に成分
(A)に対して成分(B)の配合割合が多い軟質の表皮
層の場合でも優れた耐傷付性が得られる。
【0104】
〔ポリオレフィン組成物(A)〕
(A−1)ポリエチレン組成物:135℃のデカリン溶
媒中で測定した極限粘度〔η〕が14dl/gの超高分
子量ポリエチレン25重量%と、135℃のデカリン溶
媒中で測定した極限粘度〔η〕が0.7dl/gの低分
子量ポリエチレン75重量%とからなるポリエチレン組
成物〔135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度
〔η〕:3.9dl/g、密度:0.965g/c
3〕 (A−2)ポリエチレン:135℃のデカリン溶媒中で
測定した極限粘度〔η〕;3.7dl/g、密度:0.
968g/cm3
【0105】〔ブロック共重合体(B)〕 (B−1)スチレン・イソプレン・スチレンブロック共
重合体の水素添加物 1)スチレン含有量:20重量% 2)全イソプレン単位に対する1,2−位および3,4
−位で結合しているイソプレン単位含有量:55%、 3)MFR(ASTM D 1238−65T、230
℃、2.16kg荷重):2.0g/10分 〔ブロック共重合体(C)〕 (C−1)スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共
重合体の水素添加物 1)スチレン含有量:30重量% 2)MFR(ASTM D 1238−65T、230
℃、2.16kg荷重):2.5g/10分
【0106】〔オレフィン系ゴム(D)〕 (D−1)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2
−ノルボルネン共重合体ゴム 1)エチレン含有量:70モル% 2)ヨウ素価:14 3)ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕:62 〔軟化剤(E)〕 (E−1)鉱物油系プロセスオイル:出光興産(株)
製、PW−380(商標)
【0107】〔熱可塑性エラストマー(F)〕 (F−1)以下の方法により製造されたオレフィン系熱
可塑性エラストマー:結晶性ポリオレフィン樹脂として
ポリプロピレン〔MFR:13g/10分、X線法によ
り求めた結晶化度:72%〕30重量部と、オレフィン
系ゴムとしてエチレン・プロピレン・5−エチリデン−
2−ノルボルネン共重合体ゴム〔エチレン含有量:70
モル%、ヨウ素価:12、ムーニー粘度(ML1+4(1
00℃):120〕70重量部とをバンバリーミキサー
を用いて、窒素雰囲気中で、180℃で5分間混練した
後、得られた混練物をロールに通してシート状にし、シ
ートカッターで裁断して角ペレットを製造した。次い
で、この角ペレット100重量部と、1,3−ビス(t
ert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン0.
3重量部と、ジビニルベンゼン0.5重量部とをヘンシ
ェルミキサーで攪拌混合した後、得られた混合物をL/
D=30、スクリュー径50mmの一軸押出機を用い
て、窒素雰囲気中で、220℃で押出して熱可塑性エラ
ストマー(F−1)のペレットを製造した。得られた熱
可塑性エラストマー(F−1)のゲル含量は86%であ
った。
【0108】〔シリコーンオイル(G)〕 (G−1)シリコーンオイル:東レシリコーン社製、S
H200(商標) 〔エステル(H)〕 (H−1)ジステアリルフタレート 〔フッ素系ポリマー(I)〕 (I−1)ポリビニリデンフルオライド樹脂:クレハ社
製、KFポリマー W−1000(商標) 〔高級脂肪酸アミド(J)〕 (J−1)エルカ酸アミド (J−2)オレイン酸アミド (J−3)エチレンビスオレイン酸アミド
【0109】実施例1 ポリエチレン組成物(A−1)のペレット40重量部
と、ブロック共重合体(B−1)のペレット60重量部
とを充分混合した後、L/D=30、スクリュー径50
mmの二軸押出機を用いて、窒素雰囲気中、220℃で
押出して熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造
した。
【0110】次いで、このペレットおよびプロピレンホ
モポリマー〔MFR:15g/10分(230℃)〕の
ペレットから2色ロータリー射出成形物〔(株)名機製
作所製 M−700AII−VR2−2CJ(商標)〕
にて逐次成形し、基材層(ポリプロピレン)と表皮層
(熱可塑性エラストマー組成物)とから構成される成形
体を得た。この成形体の基材層の厚みは3mm、表皮層
の厚みは2mmであった。得られた成形体の表皮層の耐
傷付性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0111】表皮層の平滑な部分にフェルト布を置き、
さらにその上に200g/cm2の圧力が掛かるように
重りを載せて表皮層上を100回往復させ、その往復操
作後の表面状態をもって耐傷付性の評価を行った。 (耐傷付き性の5段階評価) A:傷が殆ど目立たない B:傷がやや目立つ C:傷が目立つ D:傷がかなり目立つ E:表面が白化した
【0112】実施例2 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)とス
チレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素
添加物(B−1)の配合量をそれぞれ15重量部、85
重量部とした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エ
ラストマー組成物のペレットを製造し、さらに実施例1
と同様にして2層成形体を成形し、耐傷付性の評価を行
った。その結果を表1に示す。
【0113】実施例3 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)とス
チレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素
添加物(B−1)の配合量をそれぞれ30重量部、40
重量部とし、さらに熱可塑性エラストマー組成物(F−
1)30重量部を配合した以外は、実施例1と同様にし
て熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造し、さ
らに実施例1と同様にして2層成形体を成形し、耐傷付
性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0114】実施例4 ポリエチレン組成物(A−1)30重量部と、スチレン
・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物
(B−1)40重量部と、スチレン・ブタジエン・スチ
レンブロック共重合体の水素添加物(C−1)10重量
部と、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノ
ルボルネン共重合体ゴム(D−1)10重量部と、鉱物
油系プロセスオイル(E−1)10重量部とをバンバリ
ーミキサーを用いて、窒素雰囲気中、180℃で5分間
混練した後、得られる混練物をロールに通してシート状
にし、シートカッターで裁断して角ペレットを製造し
た。
【0115】次いで、この角ペレットをL/D=30、
スクリュー径50mmの二軸押出機を用いて、窒素雰囲
気中、220℃で押出して熱可塑性エラストマー組成物
のペレットを製造した。さらに、この熱可塑性エラスト
マー組成物のペレットから、実施例1と同様にして2層
成形体を成形し、耐傷付性の評価を行った。その結果を
表1に示す。
【0116】実施例5 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)25
重量部、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重
合体の水素添加物(B−1)75重量部、さらにシリコ
ーンオイル(G−1)3重量部を配合した以外は、実施
例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレッ
トを製造し、さらに2層成形体を成形し、耐傷付性の評
価を行った。その結果を表1に示す。
【0117】実施例6 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)25
重量部、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重
合体の水素添加物(B−1)75重量部、さらにジステ
アリルフタレート(H−1)1重量部を配合した以外
は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物
のペレットを製造し、さらに2層成形体を成形し、耐傷
付性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0118】実施例7 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)25
重量部、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重
合体の水素添加物(B−1)75重量部、さらにポリビ
ニリデンフルオライド樹脂(I−1)5重量部を配合し
た以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー
組成物のペレットを製造し、さらに2層成形体を成形
し、耐傷付性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0119】実施例8 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)25
重量部、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重
合体の水素添加物(B−1)75重量部、さらにエルカ
酸アミド(J−1)3重量部を配合した以外は、実施例
1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレット
を製造し、さらに2層成形体を成形し、耐傷付性の評価
を行った。その結果を表1に示す。
【0120】実施例9 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)25
重量部、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重
合体の水素添加物(B−1)75重量部、さらにオレイ
ン酸アミド(J−2)3重量部を配合した以外は、実施
例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレッ
トを製造し、さらに2層成形体を成形し、耐傷付性の評
価を行った。その結果を表1に示す。
【0121】実施例10 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)25
重量部、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重
合体の水素添加物(B−1)75重量部、さらにエチレ
ンビスオレイン酸アミド(J−3)3重量部を配合した
以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組
成物のペレットを製造し、さらに2層成形体を成形し、
耐傷付性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0122】比較例1 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)とス
チレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素
添加物(B−1)の配合量をそれぞれ15重量部、0重
量部とし、さらにスチレン・ブタジエン・スチレンブロ
ック共重合体の水素添加物(C−1)85重量部を配合
した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマ
ー組成物のペレットを製造し、さらに実施例1と同様に
して2層成形体を成形し、耐傷付性の評価を行った。そ
の結果を表1に示す。
【0123】比較例2 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)とス
チレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素
添加物(B−1)の配合量をそれぞれ5重量部、95重
量部とした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラ
ストマー組成物のペレットを製造し、さらに実施例1と
同様にして2層成形体を成形し、耐傷付性の評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0124】比較例3 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)とス
チレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素
添加物(B−1)の配合量をそれぞれ15重量部、15
重量部とし、さらにスチレン・ブタジエン・スチレンブ
ロック共重合体の水素添加物(C−1)70重量部を配
合した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラスト
マー組成物のペレットを製造し、さらに実施例1と同様
にして2層成形体を成形し、耐傷付性の評価を行った。
その結果を表1に示す。
【0125】比較例4 熱可塑性エラストマー(F−1)のペレット100重量
部から、実施例1と同様にして2層成形体を成形し、耐
傷付性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0126】比較例5 熱可塑性エラストマー(F−1)のペレット100重量
部とエルカ酸アミド(J−1)3重量部を実施例1と同
様に二軸押出機を用いて押出し、熱可塑性エラストマー
組成物のペレットを製造した。さらに、実施例1と同様
にして2層成形体を成形し、耐傷付性の評価を行った。
その結果を表1に示す。
【0127】比較例6 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)の代
わりにポリエチレン(A−2)を用い、ポリエチレン
(A−2)とスチレン・イソプレン・スチレンブロック
共重合体の水素添加物(B−1)の配合量をそれぞれ1
5重量部、85重量部とした以外は、実施例1と同様に
して熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造し、
さらに実施例1と同様にして2層成形体を成形し、耐傷
付性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0128】比較例7 実施例1において、ポリエチレン組成物(A−1)の代
わりにポリエチレン(A−2)を用い、ポリエチレン
(A−2)25重量部、スチレン・イソプレン・スチレ
ンブロック共重合体の水素添加物(B−1)75重量
部、さらにシリコーンオイル(G−1)3重量部配合し
た以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー
組成物のペレットを製造し、さらに2層成形体を成形
し、耐傷付性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0129】
【表1】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年10月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】《ブロック共重合体(C)》本発明におい
て用いられるブロック共重合体(C)は、スチレンまた
はその誘導体の重合体ブロック(e)と、特定のイソプ
レン重合体または特定のイソプレン・ブタジエン共重合
体からなるブロック(f1)、あるいはブタジエン重合
体ブロック(f2)とからなり、水素添加されていても
よい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 53/02 LLY C08L 53/02 LLY

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 〔I〕(A)(a)135℃デカリン溶
    媒中で測定した極限粘度〔η〕が7〜40dl/gの範
    囲にある超高分子量ポリオレフィンと、(b)135℃
    デカリン溶媒中で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜5
    dl/gの範囲にある低分子量ないし高分子量ポリオレ
    フィンとから実質的になるポリオレフィン組成物であっ
    て、超高分子量ポリオレフィン(a)が、超高分子量ポ
    リオレフィン(a)および低分子量ないし高分子量ポリ
    オレフィン(b)の総重量100重量%に対して15〜
    40重量%の割合で存在し、かつ135℃デカリン溶媒
    中で測定した極限粘度〔η〕が3.5〜8.3dl/g
    の範囲にあるポリオレフィン組成物10〜50重量部、
    および (B)(c)スチレンまたはその誘導体の重合体ブロッ
    クと、(d)イソプレン重合体ブロックまたはイソプレ
    ン・ブタジエン共重合体ブロックであって、全イソプレ
    ン単位に対する1,2−位および3,4−位で結合して
    いるイソプレン単位含有量が40%以上である重合体ま
    たは共重合体ブロックとからなる水素添加されていても
    よいブロック共重合体90〜50重量部〔成分(A)お
    よび(B)の合計量は100重量部である〕を含む熱可
    塑性エラストマー組成物からなる表皮層、並びに 〔II〕ポリプロプレン樹脂、または無機フィラーとポリ
    プロピレン樹脂との組成物からなる基材層から構成され
    る逐次射出成形自動車内外装部品。
  2. 【請求項2】 熱可塑性エラストマー組成物〔I〕は、
    成分(A)および(B)の他に、シリコーンオイル
    (G)、脂肪族アルコールとジカルボン酸または脂肪酸
    とのエステル(H)、およびフッ素系ポリマー(I)か
    らなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を、成分
    (A)および(B)の合計量100重量部に対して0.
    01〜10重量部含有していることを特徴とする請求項
    1記載の逐次射出成形自動車内外装部品。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマー組成物〔I〕は、
    さらに高級脂肪酸アミド(J)を、成分(A)および
    (B)の合計量100重量部に対して0.1〜10重量
    部含有していることを特徴とする請求項1または2記載
    の逐次射出成形自動車内外装部品。
  4. 【請求項4】 〔III〕(A)(a)135℃デカリン
    溶媒中で測定した極限粘度〔η〕が7〜40dl/gの
    範囲にある超高分子量ポリオレフィンと、(b)135
    ℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜
    5dl/gの範囲にある低分子量ないし高分子量ポリオ
    レフィンとから実質的になるポリオレフィン組成物であ
    って、超高分子量ポリオレフィン(a)が、超高分子量
    ポリオレフィン(a)および低分子量ないし高分子量ポ
    リオレフィン(b)の総重量100重量%に対して15
    〜40重量%の割合で存在し、かつ135℃デカリン溶
    媒中で測定した極限粘度〔η〕が3.5〜8.3dl/
    gの範囲にあるポリオレフィン組成物10〜50重量
    部、 (B)(c)スチレンまたはその誘導体の重合体ブロッ
    クと、(d)イソプレン重合体ブロックまたはイソプレ
    ン・ブタジエン共重合体ブロックであって、全イソプレ
    ン単位に対する1,2−位および3,4−位で結合して
    いるイソプレン単位含有量が40%以上である重合体ま
    たは共重合体ブロックとからなる水素添加されていても
    よいブロック共重合体90〜25重量部、 (C)(e)スチレンまたはその誘導体の重合体ブロッ
    クと、(f)イソプレン重合体ブロックまたはイソプレ
    ン・ブタジエン共重合体ブロックであって、全イソプレ
    ン単位に対する1,2−位および3,4−位で結合して
    いるイソプレン単位含有量が30%以下である重合体ま
    たは共重合体ブロック(f1)、またはブタジエン重合
    体ブロック(f2)とからなる水素添加されていてもよ
    いブロック共重合体0〜30重量部、 (D)オレフィン系ゴム0〜40重量部、 (E)軟化剤0〜40重量部、および (F)結晶性ポリオレフィン樹脂とオレフィン系ゴムと
    を含有してなる部分的ないし完全に架橋された熱可塑性
    エラストマー0〜50重量部を含む熱可塑性エラストマ
    ー組成物であって、前記成分(C)、(D)、(E)お
    よび(F)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成
    分を含み〔成分(A)、(B)、(C)、(D)、
    (E)および(F)の合計量は100重量部である〕、
    かつ成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)およ
    び(F)の合計量に対する成分(A)、(B)、(C)
    および(D)の合計量の比率が100〜40重量%であ
    る熱可塑性エラストマー組成物からなる表皮層、並びに 〔II〕ポリプロプレン樹脂、または無機フィラーとポリ
    プロピレン樹脂との組成物からなる基材層から構成され
    る逐次射出成形自動車内外装部品。
  5. 【請求項5】 熱可塑性エラストマー組成物〔III〕
    は、さらにシリコーンオイル(G)、脂肪族アルコール
    とジカルボン酸または脂肪酸とのエステル(H)、およ
    びフッ素系ポリマー(I)からなる群から選ばれる少な
    くとも1種の成分を、成分(A)、(B)、(C)、
    (D)、(E)および(F)の合計量100重量部に対
    して0.01〜10重量部含有していることを特徴とす
    る請求項4記載の逐次射出成形自動車内外装部品。
  6. 【請求項6】 熱可塑性エラストマー組成物〔III〕
    は、さらに高級脂肪酸アミド(J)を、成分(A)、
    (B)、(C)、(D)、(E)および(F)の合計量
    100重量部に対して0.1〜10重量部含有している
    ことを特徴とする請求項4または5記載の逐次射出成形
    自動車内外装部品。
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