JP2016065120A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム用軟化剤や可塑剤などの低分子量の柔軟性付与剤を含ませていないにも係らず、ASTM D2240に従い測定したAタイプデュロメータ硬さの15秒値が50〜95の優れた柔軟性を有し、かつ、成形加工性、成形外観、機械的強度、及び機械的強度の保持性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供すること【解決手段】(a)エチレンを主体とするハードセグメントと、エチレンとα−オレフィンとからなるソフトセグメントとを含むオレフィン系ブロック共重合体30〜95質量部;及び(b)示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーが20〜60J/gであるところのプロピレン系ブロック共重合体70〜5質量部;を含み、ここで上記成分(a)と上記成分(b)との和は100質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、ゴム用軟化剤や可塑剤などの低分子量の柔軟性付与剤を含有しないにも係らず、高い柔軟性を有し、かつ機械的強度、及び機械的強度の保持性にも優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
近年、熱可塑性エラストマーは、医療用部品、食品包装材、及び生活資材等に多用されている。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、及びポリ塩化ビニル系等、様々な熱可塑性エラストマーが市販されている。これらの中で、医療用部品、食品包装材、及び生活資材等の分野においては、コスト、機械特性の安定性、及び高温環境下でのサービス安定性の観点から、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが注目されている。ところが、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーには、柔軟性を付与するために配合されているゴム用軟化剤や可塑剤が、ブリードアウトを起こし易いという問題があった。
そこで特許文献1には、「重合した形態のエチレンと1又はそれ以上の共重合性コモノマーとを含み、前記コポリマーがコモノマー含有率、結晶性、密度、融点、又はガラス転移温度の異なる2つ以上のセグメント又はブロックを含有する、マルチブロックコポリマー」が提案されている。しかし、高温環境下での機械的強度、及び機械的強度の保持性は不十分である。また、柔軟性を維持しつつ、これらの特性を向上させる方法については何の示唆も記載もない。
特表2007−529617号公報
本発明の課題は、ゴム用軟化剤や可塑剤などの低分子量の柔軟性付与剤を含ませていないにも係らず、ASTM D2240に従い測定したAタイプデュロメータ硬さの15秒値が50〜95の優れた柔軟性を有し、かつ、成形加工性、成形外観、機械的強度、及び機械的強度の保持性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、特定のオレフィン系ブロック共重合体とプロピレン系ブロック共重合体との組み合わせにより、上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(a)エチレンを主体とするハードセグメントと、エチレンとα−オレフィンとからなるソフトセグメントとを含むオレフィン系ブロック共重合体 30〜95質量部;及び
(b)示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーが20〜60J/gであるところのプロピレン系ブロック共重合体 70〜5質量部;
を含み、ここで上記成分(a)と上記成分(b)との和は100質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物である。
第2の発明は、上記成分(a)と上記成分(b)との合計を100質量部として、(c)示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーが60J/g超であるところのポリプロピレン系樹脂 2〜200質量部;を更に含むことを特徴とする第1の発明に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
第3の発明は、ASTM D2240に従い測定したAタイプデュロメータ硬さの15秒値が50〜95であることを特徴とする第1の発明又は第2の発明に記載の熱可塑性樹脂組成物である。
第4の発明は、第1〜3の発明の何れか1に記載の熱可塑性樹脂組成物を含む物品である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、柔軟性、成形加工性、成形外観、機械的強度、及び機械的強度の保持性に優れる。そのため医療用部品、食品包装材、及び生活資材等の材料として好適に用いることができる。
成分(a)
本発明の上記成分(a)は、エチレンを主体とするハードセグメントと、エチレンとα−オレフィンとからなるソフトセグメントとを含むオレフィン系ブロック共重合体である。
上記ハードセグメントは、エチレンを主体(通常、全構成モノマーの90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは97モル%以上がエチレン。)とするエチレン単独重合ブロック又はエチレンとα−オレフィンとの共重合ブロックである。そのため高い結晶性を有し、結晶化することにより分子鎖を拘束し、ハードセグメントとして、本発明の熱可塑性樹脂組成物にエラストマー性を付与する働きをする。
上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、及び1−ドデセンなどをあげることができる。α−オレフィンとしては、これらの1以上を用いることができる。これらの中で、上記成分(a)と上記成分(b)や上記成分(c)との混和性の観点から、1−オクテンが好ましい。
上記ソフトセグメントは、エチレンとα−オレフィンとの共重合ブロックである。該共重合ブロックは、α−オレフィンの含量が、通常、全構成モノマーの30〜90モル%、好ましくは40〜80モル%であるため、非晶性又は低結晶性を有し、ソフトセグメントとなって、本発明の熱可塑性樹脂組成物にエラストマー性を付与する働きをする。
上記α−オレフィンとしては、ハードセグメントの説明において、上述したものをあげることができる。α−オレフィンとしては、これらの1以上を用いることができる。これらの中で、上記成分(a)と上記成分(b)や上記成分(c)との混和性の観点から、1−オクテンが好ましい。
上記成分(a)1分子中の上記ハードセグメントの数は1以上、好ましくは2以上である。また上記ソフトセグメントの数は、1以上、好ましくは2以上である。各セグメントが1以上、好ましくは2以上交互に繋がることにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物は機械的強度、及び機械的強度の保持性に優れたものになる。
上記成分(a)は直鎖状であってもよく、ラジアル状であってもよい。好ましくは、成形加工性、機械的強度及び機械的強度の保持性の観点から、直鎖状である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の柔軟性、成形加工性、成形外観、及び機械的強度のバランスの観点から、上記成分(a)は、JIS K6760に従い測定した密度が、好ましくは860〜930Kg/m、より好ましくは865〜890Kg/mである。成分(a)は、ASTM D1238に従い、190℃、21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが、好ましくは0.1〜100g/10分であり、より好ましくは0.3〜30g/10分である。成分(a)は、ASTM D2240に従い測定したAタイプデュロメータ硬さの15秒値が、好ましくは50〜95、より好ましくは55〜80、更に好ましくは60〜75である。更に成分(a)は、融点が、好ましくは110〜130℃、より好ましくは115〜125℃である。
本明細書において、上記成分(a)の融点とは、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用して、190℃で5分間保持し、10℃/分で−10℃まで冷却し、−10℃で5分間保持し、10℃/分で190℃まで昇温するプログラムで測定されるセカンド融解曲線(最後の昇温過程で測定される融解曲線)において、最も高い温度側のピークトップ融点をいう。
従来、メタロセン系触媒を用いて重合されたエチレンとα−オレフィンとの共重合体は、エチレンとα−オレフィンとがランダムに共重合したランダム共重合体であった。それに対して、上記成分(a)は、上述のようにブロック共重合体であるという点で異なる。
また上記成分(a)と類似の分子構造を有する重合体としては、ブタジエン等の共役ジエンからなるブロック共重合体を80モル%以上水素添加して得られるブロック共重合体、例えばJSR株式会社の「ダイナロンCEBC(商品名)」をあげることができる。上記ブロック共重合体のハードセグメントは、主として1−4重合させたポリブタジエンブロックの水素添加物であるポリエチレン構造のブロックであり、ソフトセグメントは1−4重合と1−2重合とをランダムにさせたポリブタジエンブロックの水素添加物であるエチレン−1−ブテン共重合構造のブロックである。しかし、上記ブロック共重合体には、炭素と炭素との二重結合が、水素添加されずに多数残存しているという点で、成分(a)とは明確に区別される。また炭素と炭素との二重結合が、多数残存しているため、耐熱性に劣る。
上記成分(a)を製造する方法は、特に制限されないが、例えば、特表2007−529617号公報に開示された技術を用いて製造することができる。成分(a)の市販例としては、ダウ・ケミカル社の「INFUSE(商品名)」などをあげることができる。
成分(b)
本発明の上記成分(b)は、示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーが20〜60J/gであるところのプロピレン系ブロック共重合体であり、結晶性プロピレン系重合体成分とプロピレンとα−オレフィンとの非晶性共重合体成分とを含む。
上記結晶性プロピレン系重合体成分は、結晶性プロピレン単独重合体、又はプロピレンと少量(通常、10モル%未満。)のα−オレフィンとの結晶性ランダム共重合体であり、高い結晶性を有し、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐溶出性に重要な働きをする。また上記成分(c)を用いる場合には、上記成分(a)と成分(c)との混和性を向上させる働きをする。
上記結晶性プロピレン単独重合体は、モノマーとしてプロピレンのみからなる、プロピレン連鎖の立体構造が高アイソタクチック分率又は高シンジオタクチック分率のポリプロピレンである。
上記結晶性ランダム共重合体は、プロピレンと少量(通常、10モル%未満。)のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、プロピレン連鎖の立体構造が高アイソタクチック分率又は高シンジオタクチック分率であるポリプロピレンである。上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、及び1−ドデセンなどをあげることができる。α−オレフィンとしては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記プロピレンとα−オレフィンとの非晶性共重合体成分は、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体である。該共重合体は、α−オレフィンの含量が、通常、全構成モノマーの10〜90モル%、好ましくは15〜70モル%であるため、非晶性又は低結晶性を有し、本発明の熱可塑性樹脂組成物の柔軟性に重要な働きをする。
上記α−オレフィンとしては、結晶性プロピレン系重合体成分の説明において上述したものをあげることができる。α−オレフィンとしては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記成分(b)の示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーは、成分(b)中の結晶性プロピレン系重合体成分の含量の指標であり、柔軟性の観点から、60J/g以下、好ましくは50J/g以下である。また機械的強度、及び上記成分(c)を用いる場合の混和性の観点から20J/g以上、好ましくは30J/g以上である。
本明細書において、上記成分(b)の示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーとは、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用して、230℃で5分間保持し、10℃/分で−10℃まで冷却し、−10℃で5分間保持し、10℃/分で230℃まで昇温するプログラムで測定されるセカンド融解曲線(最後の昇温過程で測定される融解曲線)から算出される融解エンタルピーをいう。セカンド融解曲線からの融解エンタルピー算出方法の概念図を示す(図1)。
上記成分(b)中の上記プロピレンとα−オレフィンとの非晶性共重合体成分の含量は、柔軟性の観点から、通常30質量%以上(上記結晶性プロピレン系重合体成分70質量%以下)、好ましくは40質量%以上(結晶性プロピレン系重合体成分60質量%以下)である。一方、機械的強度の観点から、90質量%以下(結晶性プロピレン系重合体成分10質量%以上)、好ましくは80質量%以下(結晶性プロピレン系重合体成分20質量%以上)である。
上記成分(b)中の上記プロピレンとα−オレフィンとの非晶性共重合体成分の含量は、以下の方法で求めることができる。成分(b)1gを、140℃の沸騰(パラ)キシレン300ミリリットルに、攪拌下で溶解させた。溶解後、攪拌を続けながら、更に1時間、140℃に保持した後、30分間かけて100℃まで降温した。次に急冷用油浴槽を用いて、攪拌下に23℃まで急冷し、更に20分間放置した後、濾紙を用いて析出物を自然濾過した。エバポレーターを用いて濾液を蒸発乾固し、更に120℃で2時間減圧乾燥した後、常温まで放冷した。得られた乾固物を、プロピレンとα−オレフィンとの非晶性共重合体成分として、その質量を測定し、含量を算出する。
上記成分(b)は、成形加工性と機械的強度とのバランスの観点から、ASTM D1238に従い、230℃、21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは0.3〜30g/10分である。
上記成分(b)は、高温環境下での機械特性保持の観点から、融点が好ましくは130℃以上、好ましくは135℃以上である。融点の上限は特にないが、結晶性プロピレン系重合体であることから、通常167℃程度である。
本明細書において、上記成分(b)の融点とは、株式会社パーキンエルマージャパンのDiamond DSC型示差走査熱量計を使用して、230℃で5分間保持し、10℃/分で−10℃まで冷却し、−10℃で5分間保持し、10℃/分で230℃まで昇温するプログラムで測定されるセカンド融解曲線(最後の昇温過程で測定される融解曲線)において、最も高い温度側のピークトップ融点をいう。
上記成分(b)の配合量は、上記成分(a)と成分(b)との合計を100質量部として、機械的強度の観点から、また上記成分(c)を用いる場合には、上記成分(a)と成分(c)との混和性の観点から、5質量部以上(成分(a)95質量部以下)、好ましくは10質量部以上(成分(a)90質量部以下)である。また柔軟性の観点から、70質量部以下(成分(a)30質量部以上)、好ましくは40質量部以下(成分(a)60質量部以上)である。
上記成分(b)の市販例としては、サンアロマー株式会社の「Adflex(商品名)」などをあげることができる。
成分(c)
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、柔軟性、機械的強度、成形加工性、及び耐熱性の観点から、所望に応じて、成分(c)示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーが60J/g超であるところのポリプロピレン系樹脂を更に含ませることができる。
上記成分(c)としては、融解エンタルピーが60J/g超であること以外は制限されず、任意のポリプロピレン系樹脂、例えば、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレンと少量(通常、10モル%未満。)のα−オレフィンとの結晶性ランダム共重合体、及び結晶性プロピレン系重合体成分とプロピレンとα−オレフィンとの非晶性共重合体成分とを含むブロック共重合体をあげることができる。何れも上記成分(b)の説明において上述した。成分(c)としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(c)の示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーは、高温環境下での機械特性保持の観点から、60J/g超、好ましくは70J/g以上、より好ましくは80J/g以上である。融解エンタルピーの上限は特にないが、結晶性プロピレン系重合体であることから、通常120J/g程度である。ここで成分(c)の融解エンタルピーとは、上記成分(b)と同様に測定される融解エンタルピーである。
上記成分(c)の融点は、高温環境下での機械特性保持の観点から、好ましくは135℃以上、より好ましくは155℃以上である。融点の上限は特にないが、結晶性プロピレン系重合体であることから、通常167℃程度である。ここで成分(c)の融点とは、上記成分(b)と同様に測定される融点である。
また上記成分(c)は、成形加工性の観点から、ASTM D1238に従い、230℃、21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが、好ましくは0.1〜7g/10分、より好ましくは0.3〜5g/10分である。
上記成分(c)の配合量は、上記成分(a)と上記成分(b)との合計を100質量部として、柔軟性の観点から、200質量部以下、好ましくは150質量部以下である。配合量の下限は、任意成分であるから特にないが、成分(c)の配合効果を得る観点から、通常2質量部以上、好ましくは5質量部以上である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的に反しない限度において、無機充填剤を、更に含ませることができる。引張強度の向上効果や、増量による経済上の利点を有する。上記無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、硫酸バリウム、天然珪酸、合成珪酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン、及びカーボンブラックなどをあげることができる。無機充填剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。無機充填剤の配合量は、上記成分(A)〜(C)の合計量を100質量部として、通常50質量部以下である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的に反しない限度において、フェノール系、リン系、及び硫黄系などの酸化防止剤;老化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤などの耐候剤;酸アミド、脂肪酸、脂肪酸金属塩、ワックス、シリコンオイル、及び変性シリコンオイルなどの滑剤;芳香族リン酸金属塩系、及びゲルオール系などの造核剤;グリセリン脂肪酸エステル系などの帯電防止剤;有機系・無機系の各種難燃剤;及び銅害防止剤;などの各種の添加剤を更に含ませることができる。これら添加剤は成形品の表面に、これらがブリードアウトするなどのトラブルを防止するため、本発明の熱可塑性樹脂組成物の必須成分である上記成分(a)や上記成分(b)との相溶性ないしは相容性の高いものが好ましい。
更に本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的に反しない限度において、プロセスオイル、パラフィンオイル、及びナフテンオイルなどの非芳香族系ゴム用軟化剤を少量含むことは、差支えない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記成分(a)、(b)、及び所望により用いる任意成分を、任意の溶融混練機を使用して溶融混練することにより得ることができる。組成物の各成分が、実質的に均一に分散される方法であれば、どのような製造方法を採用してもよく、制限されない。例えば、組成物の各成分をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、及びタンブラーミキサーなどを使用してドライブレンドあるいはホットブレンドした後、加圧ニーダー及びミキサー等のバッチ式混練機;コニーダー、同方向回転二軸押出機、異方向回転二軸押出機等の押出混練機;カレンダーロール混練機;及びこれらを任意に組み合わせた混練機などを使用して得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(1)硬さ:
ASTM D2240に従い、下記試験(2)で得た射出シートを用い、予熱220℃、3分間、加圧220℃、3分間の条件で熱プレスして得た6mm厚のシートをサンプルとして、Aタイプデュロメータ硬さの15秒値を測定した。
(2)射出成型性:
型締力120トンの射出成型機を使用し、樹脂温度230℃、金型温度40℃、射出速度55mm/秒、射出圧力600Kg/cm、保圧圧力400Kg/cm、射出時間6秒、冷却時間15秒の条件で縦13.5cm×横13.5cm×厚み2mmのシートを成型した。デラミネーション、表層剥離、ひけ、変形、及びフローマークの有無などの外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:全く不具合がない。
○:僅かにフローマークが認められるのみであり、他の問題はない。
△:フローマーク、及びひけが認められる。
×:外観が悪い。
(3)押出成形性
単軸押出機(L/D=28)とTダイを使用し、ダイ出口樹脂温度230℃の条件で、幅50mm×厚み1mmのシートを押出成形した。ドローダウン性、シートの表面外観及び形状を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:全く不具合がない。
○:シート表面に僅かな荒れを認めるが、それ以外の問題はない。
△:シート表面に荒れを認める。またシート形状(エッジ部の再現性)に問題がある。
×:ドローダウン性、シートの表面外観及び形状の何れにも問題がある。
(4)機械的強度の保持性:
JIS K6251:2010に規定されるダンベル状3号形試験片を用い、中央部に20mm幅の標線を記した後、ダンベルをたわみが無いように両端を冶具で固定し、標線間が200%、すなわち60mmまで引張り、80℃の温槽内に取り付けた。セットしてから試験片が破断するまでの時間を記録した。以下の基準で評価した。なお○以上(12時間以上)を合格とした。
◎:24時間以上
○:12〜24時間
△:6〜12時間
×:6時間未満
(5)耐ブリードアウト性:
上記試験(2)で成型したシートを、70℃のギアオーブン中に168時間曝した後、その表面を目視観察したり手で触れたりし、以下の基準で評価した。
○:シート表面にベタツキを感じない
△:シート表面にベタツキ感がある
×:シート表面に触れると、汚れが付く
使用した原材料
成分(a):
(a1)ダウ・ケミカル社のエチレンを主体とするハードセグメントと、エチレンと1−オクテンとからなるソフトセグメントとを含むオレフィン系ブロック共重合体「INFUSE D9100(商品名)」。メルトフローレート(190℃、21.18N)1.0g/10分、密度877Kg/m、Aタイプデュロメータ硬さ(15秒値)75、融点120℃。
(a2)ダウ・ケミカル社のエチレンを主体とするハードセグメントと、エチレンと1−オクテンとからなるソフトセグメントとを含むオレフィン系ブロック共重合体「INFUSE D9507(商品名)」。メルトフローレート(190℃、21.18N)5.0g/10分、密度866Kg/m、Aタイプデュロメータ硬さ(15秒値)60、融点119℃。
比較成分(a’):
(a’1)ダウ・ケミカル社のエチレンと1−オクテンとのランダム共重合体「エンゲージ8440(商品名)」。メルトフローレート(190℃、21.18N)1.6g/10分、密度897Kg/m、Aタイプデュロメータ硬さ(15秒値)92、融点95℃。
(a’2)JSR株式会社の結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン・ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC) 「ダイナロン E6100P(商品名)」 。メルトフローレート0.6g/10分、 Aタイプデュロメータ硬さ(15秒値)85、融点99℃。
成分(b):
(b1)サンアロマー株式会社の結晶性プロピレン系重合体成分(プロピレンと少量のエチレンとの共重合体)40質量%と、プロピレンとエチレンとの非晶性共重合体成分60質量%とを含む(両者の合計は100質量%である。)プロピレン系ブロック共重合体「Adflex Q−100F(商品名)」。メルトフローレート(230℃、21.18N)0.6g/10分、融点142℃、融解エンタルピー36J/g。
比較成分(b’):
(b’1)日本ポリプロ株式会社の結晶性プロピレン系重合体成分85質量%と、プロピレンとエチレンとの非晶性共重合体成分15質量%とを含む(両者の合計は100質量%である。)プロピレン系ブロック共重合体「ノバテックPP BC−8(商品名)」。メルトフローレート(230℃、21.18N)1.8g/10分、融点162℃。融解エンタルピー100J/g。
(b’2)ダウ・ケミカル社のエチレンと1−オクテンとのランダム共重合体「エンゲージ8100(商品名)」。メルトフローレート(190℃、21.18N)2.0g/10分、密度870Kg/m3、Aタイプデュロメータ硬さ(15秒値)75、融点60℃。
成分(c):
(c1)サンアロマー株式会社のポリプロピレン系樹脂「PB270A(商品名)」。メルトフローレート(230℃、21.18N)0.7g/10分、融点161℃。融解エンタルピー98J/g。
比較成分(d’):
(d’1)出光興産株式会社のパラフィンオイル「PW−90(商品名)」。
実施例1〜10、比較例1〜11
表1〜3の何れか1に示す配合比(質量部)の配合物を、L/D=47の二軸押出機を使用し、スクリュウ回転数80rpm、ダイス出口樹脂温度230℃の条件で溶融混練し、ストランドカット法により、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。上記試験(1)〜(5)を行った。結果を表1〜3の何れか1に示す。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、柔軟性、射出成型性、押出成形性、機械的強度保持性、及び耐ブリードアウト性に優れている。一方、比較例は、柔軟性、射出成型性、押出成形性、機械的強度保持性、及び耐ブリードアウト性の少なくとも何れか1が不十分である。
示差走査熱量計により測定したセカンド融解曲線の概念図である。
1:融点曲線
2:ベースライン
3:融解エンタルピーを表す領域
4:融点
5:融解エンタルピー計算の積分始点
6:融解エンタルピー計算の積分終点

Claims (4)

  1. (a)エチレンを主体とするハードセグメントと、エチレンとα−オレフィンとからなるソフトセグメントとを含むオレフィン系ブロック共重合体 30〜95質量部;及び
    (b)示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーが20〜60J/gであるところのプロピレン系ブロック共重合体 70〜5質量部;
    を含み、ここで上記成分(a)と上記成分(b)との和は100質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 上記成分(a)と上記成分(b)との合計を100質量部として、
    (c)示差走査熱量計により測定される融解エンタルピーが60J/g超であるところのポリプロピレン系樹脂 2〜200質量部;
    を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. ASTM D2240に従い測定したAタイプデュロメータ硬さの15秒値が50〜95であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含む物品。
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