JP5929633B2 - ポリプロピレン系樹脂成形体および樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、最近は、医療用途や包装用途等の分野において、軟質ポリプロピレンの需要が高まりを見せている。ポリプロピレンの軟質化には、例えば、プロピレンとエチレンを代表とする少量のコモノマーを重合することにより、ランダム共重合体とする方法があるが、充分ではなく、更なる軟質化のためには、ポリプロピレンに、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPR)をはじめとするエチレン系エラストマーやスチレン系エラストマー等を配合する技術が良く行われる。中でも、多段重合の技術を使用して、ポリプロピレンにエチレン−プロピレン共重合ゴムを微分散させる技術は、当業者に良く知られている。
しかしながら、一般的に、ポリプロピレンにエチレン系エラストマーやスチレン系エラストマー等を配合する場合には、柔軟性は得られるものの、同時に耐熱性が失われることが課題であった。
しかしながら、特許文献1には、耐熱性が向上した具体的な数値は記載されておらず、どのようにすれば耐熱性に優れた組成物が得られるかが、開示されていない。
また、特許文献2には、透明性と柔軟性を併せ持つ、特定のモノマー組成範囲を有するプロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体およびそのプロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体とプロピレン系(共)重合体とを含む、柔軟性の改良されたプロピレン系樹脂組成物が開示されている。特許文献2によれば、エチレン系エラストマーに比べ、ブテン系共重合体がプロピレン系樹脂と相溶性が高いことが示されている。
しかしながら、特許文献2で開示される重合体、組成物は、もっぱら柔軟性と透明性の改良に主眼が置かれており、耐熱性を改良する手法については、なんら示唆もされていない。
例えば、特許文献3には、ポリプロピレンを含む成形体を155〜170℃で加熱処理して、剛性、耐熱性、硬度を向上させることが開示されている。また、特許文献4には、結晶化温度以下に冷却したオレフィン系樹脂の成形体を、ポリオレフィン系樹脂の融解温度より2〜10℃高い温度で1〜1,800秒加熱して、耐傷付き性を向上させることが開示されている。また、特許文献5には、ポリプロピレンを賦形して成形体前駆体を得た後、該成形体前駆体を150〜170℃で加熱して、剛性および衝撃強度を向上させることが開示されている。さらに、特許文献6には、ポリプロピレン予備成形体を、その(融解ピーク温度−15℃)〜(融解ピーク温度)の温度で加熱して、熱処理するポリプロピレン成形体の製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの加熱処理技術は、結晶化度を高めることが目的であり、従って材料の剛性は、向上してしまい、柔軟性が求められる分野の材料に適用することはできない。また、ポリプロピレン系樹脂に対し、前記エラストマー等を比較的多く配合し、柔軟性に富む組成物の場合、通常のポリプロピレンに対して行われるような特許文献3〜6のような高温での加熱処理を行うと、成形体が大きく変形してしまい、形状を保持できないという問題もある。
したがって、本発明の目的は、柔軟性と耐熱性が高度にバランスし、かつ優れた機械特性を有する樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。
該樹脂組成物を180℃以上の溶融状態にする工程(a)と、プロピレン系重合体(A)の融解温度より20℃以上低く、かつプロピレン−1−ブテン共重合体(B)の融解温度より高い保持温度(TQ)で保持する工程(b)を、含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、工程(b)は、保持温度(TQ)が62〜140℃であり、保持時間が5秒以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂成形体(以下、単に、成形体ということもある。)は、プロピレン系重合体(A)10〜90重量%とプロピレン−1−ブテン共重合体(B)10〜90重量%とからなる樹脂組成物を、特定の熱処理を施すことで製造される。
得られる樹脂組成物全体におけるプロピレン系重合体(A)の組成範囲は、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%である。これに従い、プロピレン−1−ブテン共重合体(B)の組成範囲としては、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%である。樹脂組成物の組成範囲がこの範囲を外れるものであると、柔軟性が不足するか、あるいは耐熱性が不足し、好ましくない。
上記コモノマーの種類としては、エチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられ、なかでもコストの観点からエチレン、1−ブテンが好ましく使用できる。無論、複数種のコモノマーを同時に使用してもよい。コモノマーの含量としては、一般に上限としては10重量%、好ましくは5重量%、さらに好ましくは3重量%と考えることができる。コモノマー含量が10重量%を超えると、成形体全体の耐熱性が低下するため、本発明の趣旨を外れるものとなる。
プロピレン−1−ブテン共重合体は、前述の特許文献2に開示されているように、柔軟性が高いにも関わらず、他の軟質ポリオレフィン樹脂、代表的にはエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−ブテン共重合体等のエチレン系エラストマーに比べて、プロピレン系重合体に対する相溶性が高い。
一般に、プロピレン系重合体(A)に対して、エチレン−プロピレン共重合体やエチレン−ブテン共重合体等のエチレン系エラストマーを配合すると、この両者は、相溶性に乏しいため、相分離構造を形成する(例えば、「Journal of Applied Polymer Science」1996年、第62巻、p87.を参照。)。
一方、本発明のプロピレン系重合体(A)とプロピレン−1−ブテン共重合体(B)は、相溶性が高いため、明確な相分離構造は、電子顕微鏡等では確認することができず、プロピレン−1−ブテン共重合体の含量がかなり多くなっても、なお、機械物性の低下が見られないという特徴を有する。
プロピレン−1−ブテン共重合体にも、無論、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、プロピレン、1−ブテン以外のコモノマーを含有することは許容される。コモノマーの例示としては、プロピレン及び1−ブテンを除く炭素数2〜20までのα−オレフィン等が挙げられる。コモノマーの含量としては、一般に上限としては10重量%、好ましくは5重量%、さらに好ましくは3重量%と、考えることができる。
好ましい触媒としては、例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照。)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照。)等を、例示することができる。
本発明のプロピレン系重合体(A)とプロピレン−1−ブテン共重合体(B)との樹脂組成物から、成形体を製造する手法について、詳細に述べる。
本発明の柔軟性と耐熱性が改良された成形体を製造するには、180℃以上の溶融状態にする工程(a)の後、プロピレン系重合体(A)の融解温度より20℃以上低くプロピレン−1−ブテン共重合体(B)の融解温度より高い温度TQにクエンチした後に、その温度(保持温度TQ)にて、一定時間保持することが必要である。本発明では、このTQで一定時間保持する工程を、工程(b)とする。
この際、工程(a)と工程(b)は、連続的に行われるべきであり、少なくとも、溶融状態の180℃以上の温度からTQへの温度の移行は、単調減少であることが好ましく、特に、移行途中に、プロピレン−1−ブテン共重合体(B)の融解温度以下にならないように配慮する必要がある。
一般的に、プロピレン単独重合体であれば、融解温度は160〜180℃程度であり、また、プロピレン系ランダム共重合体であれば、130〜160℃程度である。また、ブテン含量が10〜50重量%(7.69〜42.86モル%)のプロピレン−1−ブテン共重合体であれば、「Macromolecules」2011年、第44巻,p540で報告されているように、おおむね62〜110℃程度の値であるから、TQは、62〜140℃の範囲が好ましく、より好ましくは70〜130℃、さらに好ましくは75〜120℃、もっとも好ましくは80〜110℃である。ただし、TQは、使用したプロピレン系重合体(A)の融解温度より20℃以上低く、かつプロピレン−1−ブテン共重合体(B)の融解温度より高いことが必要である。
なお、本発明における(A)、(B)の融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)によって求められ、温度0℃から230℃まで、20℃/minの昇温速度で融解させた時の融解曲線のピーク温度である。
TQにおいて、プロピレン−1−ブテン共重合体(B)は融解しているが、プロピレン系重合体(A)は結晶化を開始する。すると、プロピレン−1−ブテン共重合体(B)のうちの一部、おそらく比較的高結晶性の成分は、プロピレン系重合体(A)の結晶部と共結晶を形成することで、樹脂組成物全体の結晶性が増大する。これにより、成形体の耐熱性が向上する。
逆に、プロピレン−1−ブテン共重合体(B)のうち、プロピレン系重合体(A)との共結晶を組むことのできない低結晶の成分が取り残されるため、この取り残された成分自体の弾性率は、元のプロピレン−1−ブテン共重合体(B)全体の弾性率よりも低く抑えられるので、成形体中には、より低弾性率の成分が存在することとなり、成形体全体の結晶性が増大しても、柔軟性が大きく損なわれることがなく、結果的に、柔軟性と耐熱性のバランスが向上する。
このように、TQの物理的な意義としては、プロピレン系重合体(A)は、結晶化し、プロピレン−1−ブテン共重合体(B)が単独では結晶化しない温度である。一般に、プロピレン系樹脂のDSCで測定される結晶化温度は、融解温度より20〜40℃程度低い。これが、TQがプロピレン系重合体(A)融解温度より20℃以上低いことが必要な理由である。
上記のように、プロピレン系重合体(A)とプロピレン−1−ブテン共重合体(B)の一部が共結晶を組むためには、両者の結晶系が類似していなくてはならない。これが、成分(B)として、プロピレン−1−ブテン共重合体を使用する理由のもうひとつの理由である。
本発明において、具体的な成形法としては、ポリオレフィン分野で従来行われている成形法を、特に制限無く、用いて製造することができる。例えば、射出成形、圧縮成形、各種フィルム成形、シート成形、回転成形、ブロー成形、各種繊維成形などが挙げられる。
これらの成形では、通常原料であるポリオレフィン樹脂を一旦溶融状態とし、その後、金型やダイを用いて、目的の形状に成形する。
従って、これらの成形で樹脂を溶融状態にする際の温度を180℃以上とすることで、工程(a)と、みなすことができる。本発明で言う溶融状態時の温度は、通常、上記で例示した各種成型機の溶融設定温度、例えば、射出成形であれば、シリンダーの温度、フィルム、シート、繊維成形では、ダイの温度である。
これらのシリンダーやダイの温度より、実際の樹脂の温度が明らかに低いということが、あらかじめ判明している場合には、樹脂温度を熱センサー等で実測し、樹脂温度が180℃以上となるように、調節することが好ましい。
TQの制御についても、通常は、ロール、ベルト、金型、熱媒、オーブンの設定温度をTQとみなすことができるが、例えば、フィルム・シート成形時のラインスピードが極めて速いとか、射出成形のサイクルタイムが短い等の事情で、樹脂温度の制御が十分でなく、実際の樹脂温度がTQより明らかに高いことが、あらかじめ分かっている場合には、適宜機械温度を調節し、工程(b)終了時に、樹脂温度がTQ±3℃程度の範囲に収まるようにすることが好ましい。
また、一旦、工程(a)、工程(b)を経て製造された成形体を、さらに、真空成形や圧縮成形等で二次加工する際には、プロピレン系重合体(A)の融解温度を超えて、加熱しないようにすることが好ましい。
プロピレン系重合体(A)とプロピレン−1−ブテン共重合体(B)の樹脂組成物を、あらかじめ配合しておく場合には、従来公知の種々のブレンド手法で製造することができる。もっとも一般的には、溶融混練法が用いられる。溶融混練には、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等が好適に用いられる。
本発明に係る樹脂組成物には、本発明に係る樹脂組成物の性能をより高めるために、或いは他の性能を付与するために、本発明の機能を損なわない範囲内で、添加剤を配合することもできる。
この付加的成分としては、ポリオレフィン樹脂用配合剤として汎用される、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌剤、防黴剤、蛍光増白剤、着色剤といった各種添加剤が挙げられる。
また、透明性および柔軟性を高めるために、樹脂組成物の特性を喪失しない程度に、汎用のソルビトール系造核剤、カルボン酸金属塩系造核剤、リン酸金属塩系造核剤を、併用することができる。同様に、テルペン、ロジン、鉱油、ワックス、天然樹脂、可塑剤のような柔軟化剤を併用することも、可能である。
これら添加剤の配合量は、一般に、樹脂組成物100重量%に対して、0.0001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
本発明に係る樹脂組成物には、本発明に係る樹脂組成物の性能をより高めるために、或いは他の性能を付与するために、本発明の機能を損なわない範囲内で、他の樹脂材料を配合することもできる。
この付加的樹脂成分の例示としては、ポリオレフィン樹脂用配合材として汎用されるLLDPE、LDPE、HDPE、エチレン系エラストマー、変成ポリエチレン、エチレンエチルアクリレート共重合体、変性ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、変性PPEなどが挙げられる。
これらの樹脂の配合量は、一般に、樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
本発明の手法で得られるポリプロピレン系樹脂成形体は、従来よりポリオレフィン系樹脂が使用されているあらゆる分野に、好適に用いることができる。例示すれば、トレー、皿、カップ、ふた材などの食品容器や、自動車ドアトリム、自動車トランクマット、バンパーなどの車両内外装材をはじめとする工業用資材、さらには、各種包装用資材、文具、建材などに好適に利用できる。特に、本発明のポリプロピレン系樹脂成形体は、柔軟性と耐熱性に富むものであり、これらの用途の中でも、柔軟性とともに耐熱性を要求される分野、例えば、滅菌工程を必要とする医療用の資材や、電子レンジでの加熱を前提とする食品包装用資材等に、特に好適に用いることができる。
なお、実施例で用いた物性測定、評価の各法、および試料の調製等は、以下の通りである。
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS K7210A法、条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃、公称荷重:2.16kg、ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.000mm。単位はg/10分である。
パーキンエルマー社製「Diamond DSC」を用いて測定した。温度0℃から230℃まで、20℃/minの昇温速度で融解させた時の融解曲線のピーク温度を融解温度とする。
Instron社製、引張試験機「Model4466」を用いて行った。ダンベルの形状は、ゲージ間距離5mm、幅1mmのものを用いた。
引張速度は10mm/min、試験温度は25℃で行い、柔軟性の指標であるヤング率と、材料の靱性の指標である破断歪を評価した。
なお、ヤング率は、歪0.015以下の範囲で、応力−歪曲線を直線で近似して求めた。破断歪とは、最終的に試料が破断した際の歪である。なお、歪は延伸した試料のゲージ間距離Lと初期のゲージ間距離L0より、(L−L0)/L0として、得られる公称歪である。
レオロジ社製、動的粘弾性測定装置「DVE−V4」を用いて、周波数10Hzの正弦歪を印加した際の荷重と歪との位相差を測定することにより、貯蔵弾性率と損失弾性率を算出した。
測定温度範囲は、−120あるいは−65℃から融解まで測定した。試験片は、幅5mm、長さ30mmの短冊状に切り出し、初期のチャック間は20mmとして、測定を行った。
なお、測定中は、装置の自動静荷重機能を利用して、25gの静荷重を印加した。
図1に測定結果の一例を示す。図1に示すように、温度100℃以上の領域において、貯蔵弾性率の温度依存性が急激に変化する温度を求めるために、その前後における貯蔵弾性率の温度依存性を、目視による二直線で近似し、傾きが大きく変化する温度を、その二直線の交差する点として求め、この温度を耐熱温度とした。
実施例、比較例において、試料として、以下の特性を有するプロピレン単独重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体を使用した。
(1)成分(A)のプロピレン系重合体(A):
プロピレン単独重合体(PP);MFR=10g/10分、Tm=163℃
(2)成分(B)のエラストマー:
プロピレン−1−ブテン共重合体(PBR);MFR=7g/10分、1−ブテン含量=30重量%、Tm=73℃
エチレン−ブテン共重合体(EBR);MFR=6.5g/10分、Tm=40℃、密度=0.86g/cm3
PPペレットとPBRペレットを重量比で40:60の割合でドライブレンドし、これを、DSM社製、「Micro Twin Screw Compounder」(15cc)を使用して、混練した。混練条件は、バレル設定温度180℃、スクリュー回転数40RPM、混練時間5分間である。
回収した樹脂を、薄い厚さ100μmのアルミ板ではさみ、テクノサプライ社製卓上ホットプレス機でプレス成形した。プレスは、予熱230℃、5分間後に、20MPaの加圧下で230℃、1分間保持する条件で行った。プレスにおいてはアルミ製のスペーサを使用して、厚みが約200μmになるように調節した。加圧プレス後に、金型ごと速やかに、100℃(TQ)に調整された湯浴中に投入し、5分間放置した。その後、金型を湯浴から取り出し室温にて放冷後、アルミ板よりサンプルを剥がして、樹脂シートを得た。
このシートより、ダンベル状に切り出した試験片を引張測定に、また、短冊状に切り出した試験片を動的粘弾性測定に使用し、各種物性値を得た。結果を表1に示す。
実施例1において、PPとPBRの配合比率を60:40にした以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
PPとPBRの配合比率を、表1に記載のとおりとし、かつ、TQを60℃に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
PBRの代わりにEBRを用い、配合比率を表1に記載のとおりにした以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
PPとPBRを、それぞれ単独で使用した以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
なお、PBR単独の耐熱性は、極めて低く、100℃より前に融解してしまい、図1に示したような方法では、評価できなかった。すなわち、PBR単独の耐熱温度は、100℃未満である。
実施例1、2及び比較例1、2のヤング率と耐熱温度をそれぞれ横軸、縦軸にとったプロットを図2に示す。
図2から明らかなように、TQ=100℃の熱処理を施した実施例1、2は、TQ=60℃の比較例1、2と比べて、ヤング率(柔軟性)見合いでの耐熱温度が格段に改善されている。
また、TQ=100℃ではあるけれども、EBRを用いた比較例3、4は、耐熱性の向上効果が得られているものの、材料の靱性である破断歪を見ると、実施例1、2に比べて、大きく劣っており、材料としてのバランスが良くない。これは、PPとEBR相が相分離しているために、EBR自身の凝集破壊や、あるいはPPとEBR界面からの破壊が容易に起こるためであると、推定される。
さらに、実施例1、2は、参考例1のPP単独と比べても、柔軟性と靱性が向上し、耐熱性は大きくは低下しないという良好な物性バランスを有している。また、参考例2のPBR単独品と比べると、柔軟性は低下するものの、耐熱性は、劇的に向上していることが分かる。
Claims (3)
- プロピレン系重合体(A)10〜90重量%とプロピレン−1−ブテン共重合体(B)10〜90重量%を含有する樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法であって、
該樹脂組成物を180℃以上の溶融状態にする工程(a)と、プロピレン系重合体(A)の融解温度より20℃以上低く、かつプロピレン−1−ブテン共重合体(B)の融解温度より高い保持温度(TQ)で保持する工程(b)を、含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。 - プロピレン−1−ブテン共重合体(B)のブテン含量が10〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
- 工程(b)は、保持温度(TQ)が62〜140℃であり、保持時間が5秒以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
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