JP2011021137A - ポリプロピレン無延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン無延伸フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温ヒートシール性に優れた無延伸フィルムを得ること。
【解決手段】炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が10〜40重量%である、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A)(共重合体(A)の重量を100重量%とする)1種または2種以上を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムを、120℃以上で熱処理することを特徴とする、無延伸フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(A)を含むポリプロピレン無延伸フィルムの製造方法に関するものである。
プロピレン系共重合体からなるフィルムから、袋などの包装材料を製造する場合、一般に、熱融着によってフィルム同士を接着させる方法、すなわちヒートシール法が広く用いられている。ヒートシール法によって包装材料を製造するときに、融着温度が低いフィルムを用いることにより、包装材料の製造効率を上げることができる。このようなことから、低温ヒートシール性を持つフィルムが求められている。
例えば、特開2008−208362には、融点の低いプロピレン系共重合体を用いて得られる無延伸フィルムが、低温ヒートシール性に優れることが記載されている。
しかしながら、これらの方法で製造された無延伸フィルムにおいても、低温ヒートシール性は不充分であった。
一方、特表平8−508944には、延伸フィルムを加熱されたロールに接触させて、熱処理を施しヒートシール可能なフィルムを得ることが記載されている。
特開2008−208362 特表平8−508944
本発明の目的は、低温ヒートシール性に優れた無延伸フィルムの製造方法を提供することである。
すなわち、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が10〜40重量%である、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A)(共重合体(A)の重量を100重量%とする)1種または2種以上を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムを、120℃以上で熱処理することを特徴とする、無延伸フィルムの製造方法に関する。
本発明によれば、低温ヒートシール性に優れた無延伸フィルムを得ることが出来る。
<共重合体(A)>
共重合体(A)は、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が10〜40重量%である、プロピレンと前記α−オレフィンとの共重合体(A)である(共重合体(A)の重量を100重量%とする)。
炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が10重量%よりも少ないとヒートシール温度が高くなることがあり、炭素数4以上のα−オレフィンが40重量%よりも多いと耐ブロッキング性が悪化することがある。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、好ましくは1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、より好ましくは1−ブテンである。
プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A)の極限粘度[η]としては、特に制限は無いが、好ましくは0.5〜3.0dl/g、より好ましくは0.5〜2.5dl/gである。
プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A)としては、具体的に、
融点が115℃以上であり、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が10〜30重量%である、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(A−1)(共重合体(A−1)の重量を100重量%とする)、
融点が115℃未満であり、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が30〜40重量%である、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(A−2)共重合体(A−2)の重量を100重量%とする)が好適である。
共重合体(A−1)および共重合体(A−2)において、炭素数4以上のα−オレフィンとしては、上述のものが挙げられ、好ましくは、1−ブテンである。
プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(A−1)において、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量は、低温ヒートシール性や耐ブロッキング性の観点から、共重合体(A−1)全体に対し、10〜30重量%、好ましくは15〜30重量%、より好ましくは20〜30重量%である。融点は115℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上である。
共重合体(A−1)の極限粘度は、好ましくは0.5〜3.0dl/g、より好ましくは0.5〜2.5dl/gである。
共重合体(A−1)の重合用触媒としては、例えば、Mg化合物にTi化合物を複合化させた固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、この固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物および必要に応じて電子供与性化合物の第3成分を組み合わせた触媒系、及び、メタロセン系触媒が挙げられ、好ましくはMg化合物にTi化合物を複合化させた固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒である。
共重合体(A−1)の製造方法としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素に代表される不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマー中で行う気相重合法を用いることができる。
共重合体(A−1)は、より好ましくは、
下記(要件1)を満足するプロピレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体成分(A−1−1)1〜10重量%と、下記(要件2)を満足するプロピレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体成分(A−1−2)90〜99重量%を含み、下記(要件3)を満足し、前記共重合体成分(A−1−1)が不活性溶剤の不存在下で重合を行う第一工程で得られ、次いで前記共重合体成分(A−1−2)が気相で重合を行う第二工程以降の工程で得られる共重合体である。
(要件1)共重合体成分(A−1−1)中の炭素数4以上のα−オレフィン含有量が1〜19重量%未満である。
(要件2)共重合体成分(A−1−2)中の炭素数4以上のα−オレフィン含有量が19〜36重量%である。
(要件3)共重合体(A−1)のDSC曲線測定において、T−10(℃)〜T+10(℃)の範囲(ただし、Tは最大吸熱ピークを示す温度(℃)を表す)における吸熱量が、53〜170℃の範囲における吸熱量の15〜36%である。
プロピレン系共重合体(A−1)中の共重合体成分(A−1−1)と共重合体成分(A−1−2)の含有量は、成分(A−1−1)1〜30重量%:成分(A−1−2)99〜70重量%、好ましくは成分(A−1−1)5〜30重量%:成分(A−1−2)95〜70重量%、さらに好ましくは成分(A−1−1)5〜20重量%:成分(A−1−2)95〜80重量%である。ここで、成分(A−1−1)と成分(A−1−2)の合計は100重量%である。
上記共重合体成分(A−1−1)は、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンからなる。成分(A−1−1)に含まれる炭素数4以上のα−オレフィン含有量は1〜19重量%未満であり、好ましくは1〜15重量%であり、さらに好ましくは1〜13重量%である。
上記共重合体成分(A−1−2)は、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンからなる。成分(A−1−2)に含まれる炭素数4以上のα−オレフィン含有量は19重量%以上、36重量%以下であり、好ましくは19重量%以上、30重量%以下である。
要件3について説明する。DSC曲線測定は、共重合体(A−1)を熱プレス成形(230℃で5分間予熱後、3分間かけて50kgf/cm2まで昇圧し2分間保圧した後、30℃、30kgf/cm2で5分間冷却)して得られる、厚さ0.5mmのシートを、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、Diamond DSC)を用いて測定される。該シート10mgを窒素雰囲気下220℃で5分間熱処理した後、降温速度300℃/分で150℃まで冷却し、150℃において1分間保温し、さらに降温速度5℃/分で50℃まで冷却し、50℃において1分間保温して、50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱した際に得られる融解ピーク曲線において、53℃における点と170℃における点を結んで得られる直線(ベースライン)と融解ピーク曲線とで囲まれる面積(総吸熱量)に対する、T−10(℃)〜T+10(℃)の範囲(ただし、Tは最大吸熱ピークを示す温度を表す)における融解ピーク曲線とベースラインとで囲まれる面積(主吸熱量)の比が、15%ないし36%である。この総吸熱量に対する主吸熱量の比は、好ましくは、18%ないし35%であり、さらに好ましくは、20%ないし34%であり、特に好ましくは、22%ないし32%である。
上記成分(A−1−1)及び成分(A−1−2)において、炭素数4以上のα−オレフィンとしては、上述のものが挙げられ、好ましくは1−ブテンである。
成分(A−1−1)または成分(A−1−2)としては、例えば、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分等が挙げられ、好ましくはプロピレン−1−ブテン共重合体成分である。共重合体成分(A−1−1)および成分(A−1−2)は、同じモノマー種の共重合体であってもよく、異なっていてもよい。成分(A−1−1)と成分(A−1−2)は、化学的に結合したものであっても、化学的に結合していないものであっても、化学的に結合したものと化学的に結合していないものの混合物であってもよい。
プロピレン系共重合体(A−1)は、例えば、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンの共重合体成分(A−1−1)を第一工程で重合し、次いでプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンの共重合体成分(A−1−2)を第二工程以降で重合して得られる。
プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(A−2)において、α−オレフィンに由来する構成単位の含有量は、低温ヒートシール性や耐ブロッキング性の観点から、共重合体(A−2)全体に対し、30〜40重量%、好ましくは30〜35重量%である。また、融点は115℃未満、好ましくは105℃以下、より好ましくは95℃以下である。
共重合体(A−2)の極限粘度は、好ましくは0.5〜3.0dl/g、より好ましくは0.5〜2.5dl/gである。
共重合体(A−2)の重合用触媒としては、例えば、Mg化合物にTi化合物を複合化させた固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、この固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物および必要に応じて電子供与性化合物の第3成分を組み合わせた触媒系、及び、メタロセン系触媒が挙げられ、好ましくはメタロセン系触媒である。
共重合体(A−2)の製造方法としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素に代表される不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマー中で行う気相重合法を用いることができる。
<共重合体(B)>
共重合体(B)は、炭素数4以上のα−オレフィンおよび/またはエチレンと、プロピレンとの共重合体(B)である。炭素数4以上のα−オレフィンとしては、好ましくは1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、より好ましくは1−ブテンである。
炭素数4以上のα−オレフィンおよび/またはエチレンと、プロピレンとの共重合体(B)において、プロピレンに由来する構成単位の含有量は、ヒートシール性と耐ブロッキング性の観点から、91〜99重量%、好ましくは91〜96重量%である。
共重合体(B)がプロピレンとエチレンからなる場合、エチレンに由来する構成単位の含有量は100重量%から上記プロピレンに由来する構成単位の含有量を差し引いた値である。
プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンからなる場合、α−オレフィンに由来する構成単位の含有量は100重量%から上記プロピレンに由来する構成単位の含有量を差し引いた値である。
共重合体(B)がプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとからなる場合、エチレンに由来する構成単位の含有量と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量の合計は、エチレンに由来する構成単位の含有量は好ましくは、1〜9重量%、より好ましくは2〜9重量%であり、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量は好ましくは、1〜9重量%、より好ましくは2〜9重量%である(ここで、プロピレンに由来する構成単位の含有量と、エチレンに由来する構成単位の含有量と、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量の合計を100重量%とする)。
共重合体(B)は、好ましくは、結晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体、あるいは、プロピレン−エチレン−ブテンランダムターポリマーであり、より好ましくは結晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体である。
共重合体(B)の極限粘度は、好ましくは0.5〜3.0dl/g、より好ましくは0.5〜2.5dl/gである。
共重合体(B)の重合用触媒としては、例えば、Mg化合物にTi化合物を複合化させた固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、この固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物および必要に応じて電子供与性化合物の第3成分を組み合わせた触媒系、及び、メタロセン系触媒が挙げられ、好ましくはMg化合物にTi化合物を複合化させた固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒である。
共重合体(B)の製造方法としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素に代表される不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマー中で行う気相重合法を用いることができる。
<ポリプロピレン系樹脂組成物>
ポリプロピレン系樹脂組成物は、共重合体(B)を含むこともできるし、共重合体(B)を含まなくともよい。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、好ましくは、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A)25〜100重量%、および炭素数4以上のα−オレフィンおよび/またはエチレンと、プロピレンとの共重合体(B)0〜75重量%を含み、より好ましくは、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A)30〜100重量%、および炭素数4以上のα−オレフィンおよび/またはエチレンと、プロピレンとの共重合体(B)が0〜70重量%を含む(共重合体(A)の含有量と共重合体(B)の含有量との合計を100重量%とする)。
共重合体(A)は、前記共重合体(A−1)および前記共重合体(A−2)を、それぞれ単独で用いることもできるし、前記(A−1)および前記共重合体(A−2)の双方を用いることもできる。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて添加剤やその他の樹脂を含むことができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収材、帯電防止剤、滑剤、造核剤、防曇剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
その他の樹脂としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体や、エチレン単独重合体が挙げられる。
<無延伸フィルム>
無延伸フィルムを製膜する方法としては、通常用いられるインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法等を用いて製膜する方法等が挙げられる。特に好ましくは、Tダイによるキャスト法で無延伸フィルムに成形する方法である。
熱処理の方法としては、オーブンを用いた方法、加熱ロールを用いた方法、レーザーを用いた方法等が挙げられる。好ましくは、オーブンを用いた方法である。
オーブンを用いた方法では、ポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムをオーブンに入れて、熱処理を行うことができる。加熱ロールを用いた方法では、ポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムを加熱ロールに接触させて、熱処理を行うことができる。レーザーを用いた方法では、ポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムにレーザーを照射して、熱処理を行うことができる。
熱処理は、溶融押出された樹脂が冷却ロールで冷却されてから、ロールに巻かれる間で行っても良く、ロールに巻いたフィルムを別のロールで巻き取る間に行っても良く、フィルムを切り出して、行っても良い。
熱処理の処理温度は、120℃以上である。低温ヒートシール性の観点から、好ましくは、120℃〜300℃、好ましくは130℃〜200℃である。熱処理温度が120℃より低いと、充分な低温ヒートシール性を得るためには、熱処理に時間がかかるなどの問題がある。熱処理時間としては、3分以内が好ましい。ここで、熱処理の処理温度は、オーブンを用いた方法ではオーブン内の温度であり、加熱ロールを用いた方法では加熱ロールの表面温度であり、レーザーを用いた方法では、レーザーが照射されたフィルム表面の温度である。
本発明により得られる無延伸フィルムには、他のフィルム層が積層されていてもよい。本発明により得られる無延伸フィルムは、ヒートシール性に優れているため、複合フィルムの表層として用いることが好ましい。他のフィルム層としては、例えば、ポリプロピレン二軸延伸フィルム、無延伸または延伸のナイロンフィルム、延伸ポリテレフタル酸エチルフィルムやアルミニウム箔、紙等が挙げられる。本発明により得られる無延伸フィルムを含む複合フィルムは、金属アルミニウム、シリカ、酸化アルミニウムなどを蒸着してなる蒸着層を有することができる。
複合フィルムの製造方法としては、熱ラミネート法、ドライラミネート法、押出ラミネート法などが挙げられる。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。実施例および比較例で用いた試料の調整方法および物性の測定方法を下記に示した。
(1)エチレンに由来する構成単位の含有量(単位:重量%)
高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の第256頁に記載されているIRスペクトル測定法により求めた。
(2)1−ブテンに由来する構成単位の含有量(Bwt%、単位:重量%)
1−ブテンに由来する構成単位の含有量は、13C核磁気共鳴法を用いて、以下のようにして算出した。
<測定条件>
装置 :Bruker社製 AVANCE600
測定プローブ:10mmクライオプローブ
測定溶媒:1,2−ジクロロベンゼン/1,2−ジクロロベンゼン−A−24
=75/25(容積比)の混合液
測定温度:130℃
測定方法:プロトンデカップリング法
パルス幅:45度
パルス繰り返し時間:4秒
測定基準:トリメチルシラン
試料濃度:測定溶媒3mlに対して、ポリマー300mgを溶解。
積算回数:256回
<算出方法>
46.0〜47.5ppmに観測されるピークの積分強度をPP、43.1〜44.0ppmに観測される積分強度をPB、40.1〜40.5ppmに観測されるピークの積分強度をBBとしたとき、ブテンモル分率(Bmol%)とプロピレンモル分率(Pmol%)は
Bmol%=100×(BB+0.5×PB)/(BB+PB+PP)
Pmol%=100−Bmol%
1−ブテンに由来する構成単位の含有量は
Bwt%=100×Bmol%×56/(Bmol%×56+Pmol%×42)
より求めることができる。
(3)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
(4)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(5)融点(Tm、単位:℃)
共重合体(A)〜(B)を熱プレス成形(230℃で5分間予熱後、3分間かけて50kgf/cm2まで昇圧し2分間保圧した後、30℃、30kgf/cm2で5分間冷却)して、厚さ0.5mmのシートを作成した。示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、Diamond DSC)を用い、作成されたシートの10mgを窒素雰囲気下220℃で5分間熱処理後、降温速度300℃/分で150℃まで冷却し、150℃において1分間保温し、さらに降温速度5℃/分で50℃まで冷却し、50℃において1分間保温した後、50℃から180℃まで昇温速度5℃/分で加熱した際に得られた融解曲線において、最大吸熱ピークを示す温度(℃)を測定した。
(6)ヒートシール温度(HST、単位:℃)
フィルムの表面同士を重ね合わせ、所定の温度に加熱されたヒートシーラー(東洋精機製)で1kgf/cm2の荷重で1秒間圧着してヒートシールを行った。なお、シール面積は5mm×10mmとした。このサンプルを一昼夜23℃、湿度50%で状態調整した後、23℃、湿度50%で剥離速度200mm/分、剥離角度180度で剥離した時の剥離抵抗力が300gf/15mmになるシール温度を求め、ヒートシール温度とした。なお、剥離の方向はシール部分の剥離長が10mm、剥離幅が15mmとなる方向である。
<共重合体(A)>
<共重合体(A−1)>
特開2004−002760号公報の実施例1に記載の方法で、1−ブテンに由来する構成単位の含有量=22.2wt%、Tm=126℃、[η]=2.11dl/gの、プロピレン/1−ブテン共重合体の粉末(A−1)を得た。
該共重合体を共重合体(A−1)として用いた。また、総吸熱量に対する主吸熱量の比は29%であった。
<共重合体(A−2)>
タフマーXM7070(三井化学(株)社製)(1−ブテンに由来する構成単位の含有量=32.1wt%、Tm=79℃、[η]=1.49dl/g、MFR=6.8)をA−2として用いた。
<共重合体(B−1)>
特開平9−67416号公報の実施例1に記載の方法で、エチレンに由来する構成単位の含有量=3.4wt%、Tm=138℃、[η]=1.59dl/gの、プロピレン/エチレン共重合体の粉末(B−1)を得た。
該共重合体を共重合体(B−1)として用いた。
<共重合体(B−2)>
特開平6−73132号公報の実施例1に記載の方法で、エチレンに由来する構成単位の含有量=2.0wt%、1−ブテンに由来する構成単位の含有量=5.4wt%、Tm=138℃、[η]=1.70dl/gの、プロピレン/エチレン/1−ブテン共重合体の粉末(B−2)を得た。
該共重合体を共重合体(B−2)として用いた。
[実施例1]
(A−1)100重量%、(A−2)0重量%、(B−1)0重量%の合計100重量%に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)社製)0.01重量%、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製)0.15重量%、イルガフォス168(チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製)0.10重量%、およびMFR調整剤を0.14重量%混合した後、溶融混練してMFRが7.5g/10分であるペレットを得た。MFR調整剤には、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンをポリプロピレン粉末に8%含浸させたマスターバッチを使用した。
上記で得られたペレットを用い、50mmTダイ製膜装置(田辺プラスチックス株式会社製V−50−F600型フィルム成型装置、400mm幅Tダイ付き)を用いて樹脂温度210℃で溶融押出を行った。溶融押出されたものを13℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、厚さ30μmのフィルムを得た。
得られた無延伸フィルムを、150℃のオーブン内で、2分間保持し、熱処理した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表1に示した。
[実施例2]
オーブン温度を140℃とした以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表1に示した。
[実施例3]
オーブン温度を130℃とした以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表1に示した。
[比較例1]
オーブン温度での熱処理を行わなかった以外は実施例1と同様の方法で実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表1に示した。
Figure 2011021137
[実施例4]
(A−1)30重量%、(B−1)70重量%、MFR調整剤を0.04重量%とした以外は実施例1と同様の方法で、溶融混練してMFRが6.3g/10分であるペレットを得、実施例1と同様の方法で、フィルムの製膜を行い、オーブンでの熱処理を実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表2に示した。
[比較例2]
オーブン温度での熱処理を行わなかった以外は実施例4と同様の方法で実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表2に示した。
Figure 2011021137
[実施例5]
(A−1)45.5重量%、(A−2)30重量%、(B−1)24.5重量%、MFR調整剤を0.07重量%とした以外は実施例1と同様の方法で、溶融混練してMFRが7.2g/10分であるペレットを得、実施例1と同様の方法で、フィルムの製膜を行い、オーブンでの熱処理を実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表3に示した。
[比較例3]
オーブン温度での熱処理を行わなかった以外は実施例5と同様の方法で実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表3に示した。
Figure 2011021137
[比較例4]
(A−1)0重量%、(A−2)0重量%、(B−1)100重量%、MFR調整剤を0.01重量%とした以外は実施例1と同様の方法で、溶融混練してMFRが7.6g/10分であるペレットを得、実施例1と同様の方法で、フィルムの製膜を行い、オーブンでの熱処理を実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表4に示した。
[比較例5]
オーブン温度での熱処理を行わなかった以外は比較例4と同様の方法で実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表1に示した。
Figure 2011021137
[比較例6]
(A−1)0重量%、(A−2)0重量%、(B−2)100重量%、MFR調整剤を0.02重量%とした以外は実施例1と同様の方法で、溶融混練してMFRが6.9g/10分であるペレットを得、実施例1と同様の方法で、フィルムの製膜を行い、オーブンでの熱処理を実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表4に示した。
[比較例7]
オーブン温度での熱処理を行わなかった以外は比較例6と同様の方法で実施した。得られた無延伸フィルムの物性の評価結果を表1に示した。
Figure 2011021137
本発明の要件を満足する実施例は比較例に比べてヒートシール温度が低いことがわかる。

Claims (5)

  1. 炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が10〜40重量%である、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A)(共重合体(A)の重量を100重量%とする)1種または2種以上を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムを、120℃以上で熱処理することを特徴とする、無延伸フィルムの製造方法。
  2. ポリプロピレン系樹脂組成物は、
    プロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A)25〜100重量%、および
    炭素数4以上のα−オレフィンおよび/またはエチレンと、プロピレンとの共重合体(B)0〜75重量%を含む(共重合体(A)の含有量と共重合体(B)の含有量との合計を100重量%とする)、請求項1に記載の製造方法であって、
    共重合体(B)は、プロピレンに由来する構成単位の含有量が91〜99重量%であり、エチレンに由来する構成単位の含有量と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量との合計が1〜9重量%である(プロピレンに由来する構成単位の含有量、エチレンに由来する構成単位の含有量および炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量の合計を100重量%とする)共重合体であることを特徴とする、前記製造方法。
  3. 共重合体(A)は、
    融点が115℃以上であり、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が10〜30重量%であるプロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A−1)(共重合体(A−1)の重量を100重量%とする)、
    および/または
    融点が115℃未満であり、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する構成単位の含有量が30〜40重量%であるプロピレンとα−オレフィンとの共重合体(A−2)共重合体(A−2)の重量を100重量%とする)を含む、
    請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 共重合体(A−1)は、
    下記(要件1)を満足するプロピレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体成分(A−1−1)1〜10重量%と、下記(要件2)を満足するプロピレンおよび炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体成分(A−1−2)90〜99重量%を含み、下記(要件3)を満足し、前記共重合体成分(A−1−1)が不活性溶剤の不存在下で重合を行う第一工程で得られ、次いで前記共重合体成分(A−1−2)が気相で重合を行う第二工程以降の工程で得られる、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
    (要件1)共重合体成分(A−1−1)中の炭素数4以上のα−オレフィン含有量が1〜19重量%未満である。
    (要件2)共重合体成分(A−1−2)中の炭素数4以上のα−オレフィン含有量が19〜36重量%である。
    (要件3)共重合体(A−1)のDSC曲線測定において、T−10(℃)〜T+10(℃)の範囲(ただし、Tは最大吸熱ピークを示す温度(℃)を表す)における吸熱量が、53〜170℃の範囲における吸熱量の15〜36%である。
  5. 共重合体(A−1)および共重合体(A−2)がプロピレンと1−ブテンとの共重合体である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014047252A (ja) * 2012-08-30 2014-03-17 Japan Polypropylene Corp ポリプロピレン系樹脂成形体および樹脂成形体の製造方法
WO2019009389A1 (ja) * 2017-07-06 2019-01-10 出光興産株式会社 固体状ポリプロピレン系樹脂組成物

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