JP3672132B2 - 複合成形用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合成形用樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは柔軟性に富み、ゴム的特性、機械的強度および成形加工性に優れ、ベタツキのないという物性を有しながら、様々な樹脂と熱融着することができる複合成形用樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から自動車部材、建築部材、弱電製品において異なる樹脂を複合成形(例えば、2色成形)することが行われている。例えば、自動車部材では、自動車の窓枠、ランプパッキング、建築部材では、サッシの窓枠、弱電製品では、電話、無線機、TVリモコン、VTRリモコンのプッシュボタン等にこのような2色成形が行われている。異なる樹脂の複合成形品を得る場合、樹脂ごとに別々に成形した各成形品を接着剤を用いて結合させたり、両樹脂に凹凸をもたせ成形し、嵌合させることが行われている。
【0003】
しかしながら、上記の接着剤を用いる方法は、接着剤の塗布工程の複雑さによりコストが高くなったり、接着剤を効果的に塗布するための熟練を要したりしていた。また、勘合部分を設ける場合は、金型が複雑になるためコストも高くなり、さらに嵌合工程が作業工程を悪化させる等の欠点を有している。
【0004】
そこで最近、特開昭61−213145号、特開昭63−115711号、特開平1−139240号、特開平1−139241号および特開平2−139232号公報において、特定の樹脂を用いて、熱融着することにより成形品を複合化することが提案されているが、これらの方法に記載されている組成ではいずれも、柔軟性をコントロールすることが困難である。
【0005】
なお、組成物の柔軟性をコントロールし易くする目的とし、オイルを添加することが通常行われているが、上記の従来の組成物にオイルを添加すると、得られる成形品の表面又または個々の樹脂の界面からオイルがブリードする現象が見られる。したがって、両樹脂間での接着強度が低くなり、そのため成形品を長時間使用しているうちに剥離する問題がある。
【0006】
本発明は、上記のような従来の課題を解決し、且つ、ゴム的特性(特に加熱加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム弾性)、機械的強度および成形加工性が優れ、様々な樹脂と熱融着することができ、さらに柔軟性のコントロールが容易な複合成形樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、(a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体、及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体 100重量部
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤 40〜300重量部
(c)パーオキサイド架橋型オレフィン系樹1.0〜100重量部
(d)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体10〜150重量部を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法において、成分(a)及び(b)、成分(c)の少なくとも一部、並びに成分(d)の一部を、有機パーオキサイドの存在下にて熱処理して架橋せしめ、ついでこの架橋物と成分(d)の残部又は成分(c)及び(d)の残部とを配合することを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物である。
請求項2の発明は、更に、(e)ポリエステル系熱可塑性エラストマー 0〜130重量部及び(f)無機充填剤 0〜100重量部を任意の段階で配合する請求項1記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物である。
請求項3の発明は、成分(d)のうち少なくとも3重量部が有機パーオキサイド存在下での熱処理に付され、かつ少なくとも5重量部が該熱処理後に配合される請求項1又は2記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物である。
請求項4の発明は、成分(c)の少なくとも半分が上記熱処理に付される請求項1乃至3のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物である。
請求項5の発明は、有機パーオキサイドの存在下での熱処理を、成分(e)の少なくとも一部の存在下にて行う、請求項2乃至4のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物である。
請求項6の発明は、架橋を、エチレン性不飽和基を有するモノマーである架橋助剤の存在下にて行う、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物である。
請求項7の発明は、更に、(g)電子供与体 0〜15重量部を有機パーオキサイド存在下での熱処理前又は熱処理中に配合する請求項1乃至6のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物である。
請求項8の発明は、更に、(g)電子供与体 0〜25重量部を、有機パーオキサイド存在下での熱処理前に、成分(a)〜(f)と加熱混合(溶融混練を含む)する請求項1乃至6のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物である。
請求項9の発明は、熱可塑性樹脂に熱接着可能な請求項1乃至8のいずれか一つに記載の複合成形用樹脂組成物である。
【0009】
本発明は、上記方法により、従来の熱可塑性エラストマー樹脂組成物に比べ優れたゴム的特性、機械的強度を有し、ベタツキがなく様々な樹脂と熱融着することのできる複合成形樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
ここで本発明の組成物と熱融着可能な樹脂は、とくにポリオレフィン系樹脂(例えば低密度ポリエチレン樹脂、リニア低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(ブロック、ランダムおよびホモポリマーのいずれであってもよい)、アイオノマー樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂が含まれる)、スチレン系樹脂(例えば、一般ポリスチレン樹脂、耐衝撃ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニロトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体、アクリロニトリル−エチレンプロビレンゴム−スチレン共重合体、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が含まれる)が挙げられ、とくにポリオレフィン系樹脂にその効果が高い。
【0011】
また、本発明の樹脂組成物は、架橋ゲルの形成が殆どなく、良好である。
【0012】
更に、本発明の樹脂組成物から得られる成形品は外観が優れたものである。
【0013】
以下、各成分及び製造方法について詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
(a)成分 ブロック共重合体
本発明の成分(a)は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体又はこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物であり、例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどの構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体あるいは、これらの水素添加されたもの等を挙げることができる。上記(水添)ブロック共重合体(以下、(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体を意味する)は、ビニル芳香族化合物を5〜60重量%、好ましくは、20〜50重量%含む。ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAは好ましくは、ビニル芳香族化合物のみから成るか、またはビニル芳香族化合物50重量%超、好ましくは70重量%以上と(水素添加された)共役ジエン化合物(以下、(水素添加された)共役ジエン化合物とは、共役ジエン化合物及び/又は水素添加された共役ジエン化合物を意味する)との共重合体ブロックである。(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは好ましくは、(水素添加された)共役ジエン化合物のみから成るか、または(水素添加された)共役ジエン化合物50重量%超、好ましくは70重量%以上とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックである。これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBのそれぞれにおいて、分子鎖中のビニル化合物または(水素添加された)共役ジエン化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組合せでなっていてもよい。ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA或いは(水素添加された)共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが2個以上ある場合には、それぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0015】
(水添)ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
【0016】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおけるミクロ構造は任意に選ぶことができる。ブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が20〜50%、特に25〜45%が好ましい。ポリイソプレンブロックにおいては、該イソプレン化合物の70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0017】
上記した構造を有する本発明に供する(水添》ブロック共重合体の重量平均分子量は好ましくは5,000〜1,500,000であり、より好ましくは10,000〜550,000、さらに好ましくは100,000〜550,000の範囲であり、特に好ましくは10,000〜400,000である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn》の比(Mw/Mn))は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは、2以下である。
【0018】
(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖上、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0019】
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号明細書に記載された方法により、リチウム触媒またはチーグラー型触媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて得ることができる。上記方法により得られたブロック共重合体に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加することにより水添ブロック共重合体が得られる。
【0020】
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、SBS,SIS、SEBS、SEPS等を挙げることができる。本発明において、特に好ましい(水添)ブロック共重合体は、スチレンを主体とする重合体ブロックAと、イソプレンを主体としかつイソプレンの70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレンに基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたところの重合体ブロックBとからなる重量平均分子量が50,000〜550,000の水添ブロック共重合体である。更に好ましくは、イソプレンの90〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有する上記水添ブロック共重合体である。
【0021】
(b)成分 非芳香族系ゴム用軟化剤
本発明の成分(b)としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
【0022】
本発明の成分(b)として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用により成分(a)が可溶となり、架橋反応を阻害し、得られる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。成分(b)としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に好ましい。
【0023】
これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状は、37.8℃における動的粘度が20〜500cSt、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が170〜300℃を示す。
【0024】
成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、40〜300重量部、好ましくは、80〜150重量部である。300重量部を越える配合は、軟化剤のブリードアウトを生じやすく、最終製品に粘着性を与えるおそれがあり、機械的性質も低下せしめる。また、配合量が40重量部未満では、得られる組成物の柔軟性が失われることになる。成分(b)の一部を、パーオキサイド存在下での熱処理の後に配合することもできるが、ブリードアウトを生じる要因となるので好ましくない。成分(b)は、重量平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
【0025】
(c)成分 パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂及び/又はそれを含む共重合体ゴム
本発明の成分(c)としては、パーオキサイドの存在下で加熱処理することによって主として架橋反応を起こし、その流動性が低下するものを用いることができる。例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンの如く、ポリマー密度が0.88〜0.94g/cmの範囲内にあるポリエチレン、あるいはエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等の、オレフィンを主成分とする無定ランダム共重合体の弾性体である。このうちポリエチレンあるいはエチレン・プロピレン共重合体ゴムが好ましく、中でも、直鎖状低密度ポリエチレンは適度な架橋構造が得られる点で特に好ましい。
【0026】
例えば成分(c)がゴムの場合には、ムーニー粘度、ML1+4(100℃)は好ましくは10〜120、より好ましくは40〜100である。ムーニー粘度が10未満のものを用いた場合には、得られるエラストマー組成物のゴム的特性が劣る。また、120を越えたものを用いると成形加工性が悪くなり、特に成形品の外観が悪化する。
【0027】
共重合体中のエチレン含量は5〜50重量%が適当である。好ましくは6〜20重量%であり、更に好ましくは10〜15重量%である。エチレン含量が5重量%より少ないと、得られるエラストマー組成物の柔軟性が不足し、また50重量%より多い場合には機械的強度が低下する。
【0028】
用いられるパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂及び/又はそれを含む共重合体ゴムの重量平均分子量は50,000〜1,000,000,さらには70,000〜500,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が50,000未満のパーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂及び/又はそれを含む共重合体ゴムを用いた場合には得られるエラストマー組成物はゴム的特性が劣る。また、重量平均分子量が1,000,000を越えるものを用いると成形加工性が悪くなり特に成形品の外観が悪化する。
【0029】
成分(c)の配合量は、成分(a)100重量部に対して1.0〜100重量部、好ましくは3.0〜50重量部である。1.0重量部未満の場合は、得られるエラストマー組成物の機械特性が低下する。100重量部を越えると、得られるエラストマー組成物の柔軟性が低下し、成形加工性が悪化する。
【0030】
好ましくは成分(c)の量の少なくとも半分、特に3重量部以上が、パーオキサイド存在下での熱処理前に配合される。残部は該熱処理後に配分され、これによって、後述のように諸物性を調整できる。
【0031】
(d)成分 パーオキサイド分解型オトフィン系樹脂及び/又はそれを含む共重合体
本発明の成分(d)は、得られる組成物中のゴム分散を良好にし、成形品の外観を良好にする効果を有する。成分(d)の配合量は、成分(a)100重量部に対して10〜150重量部好ましくは25〜100重量部である。10重量部未満では、得られるエラストマー組成物の成形性が悪化し、150重量部を越えた場合は、得られるエラストマー組成物の柔軟性及びゴム弾性が悪化する。
【0032】
本発明の成分(d)として適したパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、そのホモ部分のDSC測定により、Tmが150℃〜167℃、△Hmが25mJ/mg〜83mJ/mgの範囲のものである。結晶化度はTm、△Hmから推定することができる。Tm及び△Hmが上記範囲以外のものでは、得られるエラストマー組成物の、100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
【0033】
パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、次の2種類を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0034】
架橋反応前に配合するパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、高分子量のホモ型のポリプロピレン、例えばアイソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他の少量のα−オレフィン例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等との共重合体が好ましい。該樹脂のMFR(ASTM−D−1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜10g/10分、より好ましくは0.1〜5g/10分、更に好ましくは0.1〜3g/10分である。架橋反応後に配合するパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、良流動性のブロック、ランダム、ホモタイプのPPの一以上、例えばアイソタクチックポリプロピレン、又はプロピレンと他の少量のα−オレフィン例えば1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ぺンテン等との共重合体が好ましい。該樹脂のMFRは、好ましくは5〜200g/10分、より好ましくは8〜150g/10分、更に好ましくは10〜100g/10分である。
【0035】
架橋反応前に配合する場合、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂のMFRが0.1g/10分未満では、得られるエラストマーの成形性が低下し、MFRが10g/10分を越えると、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が悪化するので好ましくない。
【0036】
架橋反応後に配合する場合、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂のMFRが5g/10分未満では、得られるエラストマーの成形性が低下し、MFRが200g/10分を越えると、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が悪化するので好ましくない。
【0037】
成分(d)の配合量は、成分(a)100重量部に対して10〜150重量部、好ましくは20〜80重量部である。10重量部未満では成形性が悪化し、150重量部を越えると、得られるエラストマー組成物の硬度が高くなりすぎて柔軟性が失われれ、ゴム的感触の製品が得られない。
【0038】
本発明において、成分(d)の一部、好ましくは少なくとも3重量部が有機パーオキサイド存在下での熱処理に付され、そして成分(d)の残部、好ましくは少なくとも5重量部が該熱処理後に配合される。このように成分(d)を分割して加えることにより、各成分が均一に分散するので、成形品の表面でのベタツキがなくなるとともに成形性が良好になる。
【0039】
架橋反応前に配合する量(X)と架橋反応後に配合する量(Y)の割合は、X<Yにした方が、より優れたゴム弾性を有した樹脂が得られるので好ましい。上記添加割合X、Yは、射出成形、押出成形などのそれぞれの最終成形方法によって決定することができる。
【0040】
(e)成分 ポリエステル系熱可塑性エラストマー
本発明のエラストマー樹脂組成物は、必要に応じ成分(e)としてポリエステル系熱可塑性エラストマーを含むことができる。本発明の成分(e)としては、ポリブチレンテレフタレートを主たるハードセグメントとし,、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重合体、またはポリブチレンテレフタレートを主たるハードセグメントとし、ポリ−ε−カプロラクトンをソフトセグメントとするポリエステルエステルブロック共重合体などの、パーオキサイドの存在下で加熱処理を行なっても架橋せず、流動性が低下しないものを用いることができる。成分(e)の配合量は、成分(a)100重量部に対して0〜130重量部、好ましくは10〜60重量部である。130重量部を越えると、得られるエラストマー組成物の柔軟性が低下し、成形加工性も悪化する。成分(e)は、特に、Tmが160〜220℃、D硬度35以上のものが好ましい。成分(e)を配合することにより、得られるエラストマー組成物の耐油性及び耐熱性が向上する。ここで言う耐熱性とは、圧縮永久歪みと硬度の温度依存性のことである。
【0041】
(f)成分 無機充填剤
必要に応じて成分(f)として、無機充填剤を配合することができる。この充填剤は成形品の圧縮永久歪みなど一部の物性を改良する効果のほかに、増量による経済上の利点を有する。慣用の無機充填剤を満足に用いることができるが、例えば、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、硫酸バリウム、天然けい酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン、カーボンブラックなどがある。これらのうち、炭酸カルシウムあるいはタルクが特に好ましい。
【0042】
成分(f)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、0〜100重量部、好ましくは0〜60重量部である。100重量部を越えるものは、得られるエラストマー組成物の機械的強度の低下が著しく、かつ、硬度が高くなって柔軟性が失われ、ゴム的な感触の製品が得られなくなるので好ましくない。
【0043】
(g)成分 電子供与体
本発明で用いられる(g)電子供与体とは、電子を相手に与え易い原子、イオンまたは分子を構造中に有するものを言う。例えば、ベンゼン、ナフタリンなどの芳香族炭化水素およびそれらの置換体、各種アミン、カルボン酸類、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、アルコレート類などがあげられる。電子供与原子、イオンとして、塩素イオン、フッ素イオン、ヨウ素イオンなどがあげられる。電子供与基として、アミノ基、イミノ基、水酸基、ハロゲン基、アルキル基、アリル基などがあげられる。電子供与性単量体として、エチレンイミンがあげられる。
【0044】
芳香族炭化水素の具体例として、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ヘミマリチン、プソイドクメン、プレニテン、イソジュレン、ジュレン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、スチレン、クメン、メシチレン、シメン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、インデン、フェナントレン、インダン、p−テルフェニル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ビベンジル、スチルベン、テトラリンなどがあげられる。
【0045】
カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプオン酸、ビバリン酸、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸等の脂肪族モノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバジン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンモノカルボン酸、シクロヘキセンモノカルボン酸、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−4−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式カルボン酸、安息香酸、トルイル酸、アニス酸、p−第三級ブチル安息香酸、ナフトエ酸、ケイ皮酸等の芳香族モノカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、メリット酸等の芳香族多価カルボン酸等があげられる。
【0046】
カルボン酸無水物としては、上記のカルボン酸類の酸無水物を使用できる。
【0047】
カルボン酸エステルとしては、上記カルボン酸類のモノ又は多価エステルが使用することができ、その具体例として、ギ酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、ビバリン酸プロピル、ビバリン酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソブチル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジエチル、グルタル酸ジブチル、グルタル酸ジイソブチル、アジビン酸ジイソブチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジイソブチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、マレイン酸モノメチル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジブチル、酒石酸ジイソブチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、p−トルイル酸メチル、p−第三級ブチル安息香酸エチル、p−アニス酸エチル、α−ナフトエ酸エチル、α−ナフトエ酸イソブチル、ケイ皮酸エチル、フタル酸モノメチル、フタル酸モノブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジアリル、フタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジブチル、ナフタル酸ジエチル、ナフタル酸ジブチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸ブチル、ピロメリット酸テトラメチル、ピロメリット酸テトラエチル、ピロメリット酸テトラブチル、等があげられる。
【0048】
カルボン酸ハロゲン化物としては、上記のカルボン酸類の酸ハロゲン化物を使用することができ、その具体例として、酢酸グロリド、酢酸ブロミド、酢酸アイオダイド、プロピオン酸クロリド、酪酸クロリド、酪酸ブロミド、酪酸アイオダイド、ピバリン酸クロリド、ピバリン酸ブロミド、アクリル酸クロリド、アクリル酸ブロミド、アクリル酸アイオダイド、メタクリル酸アイオダイド、クロトン酸クロリド、マロン酸クロリド、コハク酸ブロミド、グルタル酸クロリド、グルタル酸ブロミド、アジピン酸クロリド、アジピン酸ブロミド、セバシン酸クロリド、セバシン酸ブロミド、マレイン酸クロリド、マレイン酸ブロミド、フマル酸クロリド、フマル酸ブロミド、酒石酸クロリド、シクロヘキサンカルボン酸クロリド、1−シクロヘキセンカルボン酸クロリド、シス−4−メチルシクロヘキセンカルボン酸クロリド、シス−4−メチルシクロヘキセンカルボン酸ブロミド、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、p−トルイル酸クロリド、p−トルイル酸ブロミド、p−アニス酸クロリド、p−アニス酸ブロミド、α−ナフトエ酸クロリド、ケイ皮酸クロリド、ケイ皮酸ブロミド、イソフタル酸ジクロリド、フタル酸ジブロミド、イソフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジブロミド、テレフタル酸ジクロリド、ナフタル酸ジクロリドなどがあげられる。また、アジピン酸モノメチルクロリド、マレイン酸モノエチルクロリド、マレイン酸モノメチルクロリド、フタル酸ブチルクロリドの様なジカルボン酸のモノアルキルハロゲン化物も使用できる。
【0049】
アルコール類は一般式ROHで表される。式においてRは炭素数1〜12個のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルアルキル等である。具体例として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、アリルアルコール、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、p−ターシャリーブチルフェノール、n−オクチルフェノール等を挙げることができる。
【0050】
エーテル類は、一般式ROR’で表される。式においてR、R’は炭素数1〜12個のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルアルキル等である。R、R’は同じでも異なってもよく、また一緒になって環を形成しても良い。具体例として、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジ−2−エチルヘキシルエーテル、ジアリルエーテル、エチルアリルエーテル、ジアリルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール、エチルフェニルエーテル等を挙げることができる。テトラヒドロフラン、ピラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテル類、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等の環状のビニルエーテル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、2,5−ジヒドロフラン、5,6−ジヒドロ−2H−ピランなどの環状のアリルエーテル類、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンなどの脂肪族アミン類、ピリジン、ピコリンなどの芳香族アミン類、2−オキサゾリン、6H−1,2,4−オキサジアジンなどの複素環式化合物等があげられる。
【0051】
本発明において、電子供与体として好ましいものは、トルエン、メタノールであり、特に好ましいものはトルエンである。
【0052】
本発明の製造方法において、上記成分(a)〜(f)に加えて更に電子供与体を用いることにより、製造された熱可塑性エラストマー樹脂組成物中の架橋ゲルの生成が減少するという効果を生じる。即ち、本発明において電子供与体を用いることにより、架橋速度の緩和が起こり上記効果を生じると考えられる。本発明で用いられる電子供与体の配合量は、用いる電子供与体の電子供与能力に依存して変化しうるが、パーオキサイド存在下での熱処理前又は熱処埋中に配合する場合は、一般には、成分(a)100重量部に対して、15重量部以下、好ましくは0.5〜6.0重量部、更に好ましくは2.0〜3.0重量部であり、パーオキサイド存在下での熱処理前に成分(g)を成分(a)〜(f)と加熱混合(溶融混練を含む)する場合は、一般には、成分(a)100重量部に対して25重量部以下、好ましくは1.0〜10重量部である。一般には、上記上限を越えて加えると、成形品にベタツキ性が生じ好ましくない。しかしながら、電子供与能力が低いものは、15重量部を越えて加えることも可能である。上記電子供与能力は、一般には、電子供与体を用いた場合のポリマーラジカルの連鎖移動定数によって表すことができる。連鎖移動定数は、用いるポリマーの種類や反応温度等により異なるが、電子供与体を用いた場合の、60℃におけるスチレンポリマーラジカルの連鎖移動定数(Cs)は10−4〜10−6であることが好ましい。例えば、電子供与体としてトルエンを用いた場合は、スチレンポリマーラジカルの連鎖移動定数は1.25×10−5である。
【0053】
有機パーオキサイド
本発明で用いられる有機パーオキサイドとしては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルバーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルバーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイドなどを挙げることができる。
【0054】
これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が最も好ましい。
【0055】
パーオキサイドの添加量は、パーオキサイドの添加時における成分(a)〜(e)からなる組成物100重量部に対して0.1〜3.0重量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.5重量部であり、より好ましくは1.0〜2.5重量部である。
【0056】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法においては、有機パーオキサイドによる部分架橋処理に際し、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートのような多官能性ビニルモノマー、又はエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマーを架橋助剤として配合することができる。このような化合物により、均一かつ効率的な架橋反応が期待できる。
【0057】
特に、本発明においては、トリエチレングリコールジメタクリレートが、取扱いやすく、前記被処理物の主成分であるパーオキサイド架橋型オレフィン系重合体ゴム(c)との相溶性が良好であり、かつパーオキサイド可溶化作用を有し、パーオキサイドの分散助剤として働くため、熱処理による架橋効果が均一かつ効果的で、硬さとゴム弾性のバランスのとれた架橋熱可塑性エラストマーが得られるため、最も好ましい。更に、トリエチレングリコールジメタクリレートは、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとの相溶性も良好で、成形品の表層剥離が抑えられる。
【0058】
本発明で用いられる架橋助剤の添加量は、添加時における成分(a)〜(e)からなる組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.0〜8重量部であり、より好ましくは2〜6重量部であり。架橋助剤の添加量はパーオキサイドの添加量の約2〜2.5倍の割合が好ましい。
【0059】
また、場合により用いられる抗酸化剤としては、2,6−ジ−tert−pブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどのフェノール系抗酸化剤、ホスファイト系抗酸化剤及びチオエーテル系抗酸化剤などがある。中でも、フェノール系抗酸化剤とホスファイト系抗酸化剤が好ましい。
【0060】
抗酸化剤の添加量は、添加時における成分(a)〜(e)からなる組成物100重量部に対して、3重量部以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは1重量部以下である。また、抗酸化剤は、TPEEなどの耐加水分解性防止のために、後述の製造方法の第一工程に添加するのが好ましい。
【0061】
成分(a)〜(g》の配合割合は、特に得られる熱可塑性エラストマー組成物の品質に影響する架橋度を考慮して任意に決定される。
【0062】
[製造方法]
本発明の樹脂組成物を製造するための方法における熱処理及び配合を行う手段としては、慣用の方法が満足に使用できる。例えば、以下の3工程により製造することができるが、これに限定されない。
【0063】
第一工程において、まず成分(a)及び(b)、成分(c)の少なくとも一部、並びに成分(d)の一部、場合により更に抗酸化剤、光安定剤、着色剤、難燃剤等の各種添加剤及び成分(e)〜(g)を予め溶融混練する。混練方法としては、ゴム、プラスチックなどで通常用いられる方法であれば満足に使用でき、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーあるいは各種のニーダーなどが用いられる。この工程により、各成分が均一に分散された組成物を得ることができる。
【0064】
第二工程は、第一工程で得られた組成物に、パーオキサイドおよび所望により架橋助剤等を加え、更に加熱下に混練して架橋を生じせしめる。このように成分(a)〜成分(d)を予め溶融混練してミクロな分散を生じせしめてから、有機バーオキサイドを加えて架橋を起こすことが、特に好ましい物性をもたらす。この工程は、一般に、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練する方法で行うことができる。
【0065】
第三工程は、第二工程で得られた架橋した組成物に対し、残りの成分を加えて混練する。混練は、一般に、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーあるいは各種のニーダーなどを用いて行うことができる。この工程で、各成分の分散がさらに進むと同時に、反応が完了する。
【0066】
混練方法として、L/Dが47以上の二軸押出機やバンバリーミキサーを使用するとすべての工程を連続的に行なうことができるので好ましい。また、例えば、二軸押出機にて混練する場合スクリューの回転数は80〜250rpmが好ましくは80〜100rpmの条件で行うと各成分が分散が良好で、物性の良好なものを得ることができる。
【0067】
混練温度は、第一工程では、各成分が完全に溶融して混合しやすい状態になる様に温度設定することが望ましい。有機パーオキサイド、各成分に剪断力がかかり、且つ、反応が均一に進む様に温度設定することが望ましい。第三工程では、各成分の混合が進むと同時に、反応が完了する様に温度設定することが望ましい。
【0068】
成分(a)は、上記第一工程又は遅くとも第二工程で配合することが必要である。これにより、成分(a)の一部が架橋反応を生じ、その結果各成分の分散性が良好になるという効果を生じる。特開昭59−6236と異なり、本発明の実施例から明らかなように、本願発明の方法により得られる樹脂組成物は、耐熱性が向上するという効果を有する。
成分(b)は、上記第一工程で配合することが好ましい。成分(b)を第三工程で配合すると、ブリードアウトを生じる要因となり好ましくない。
成分(c)は、全量を第一工程で配合することができるが、加工特性、流動性、機械強度等を調整する目的で、適量を第一工程で配合し残量を第三工程で配合することもできる。後者の場合には、パーオキサイド存在下で部分架橋した組成物と第三工程で配合した成分(c)の一部が相溶して組成物中にミクロ分散し、得られるエラストマー組成物の機械強度等の物性が向上するという効果を有するので好ましい。
成分(d)は、上述のごとく、適量を第一工程で配合し残量を第三工程で配合する。それにより、パーオキサイド存在下で部分架橋した組成物と第三工程で配合した成分(d)の一部が相溶して組成物中にミクロ分散し、得られるエラストマー組成物の加工特性、流動性、機械強度等の物性が向上するという効果を有する。成分(e)は、得られるエラストマー組成物がさらに耐熱性、耐油性を有することが要求される場合に配合される。配合方法は、全量を第一工程で配合することができるが、より良い機能発現を得るためには適量を第一工程で配合し残量を第三工程で配合することが好ましい。
成分(f)は、第一工程及び第三工程の、いずれか一方或いは、両者において配合することができる。
成分(g)は、第一工程及び第ニ工程の、いずれか一方或いは、両者において配合することができる。より良い機能発現及び効果的な使用のためには、第ニ工程で配合することが好ましい。成分(g)を第一工程で配合する場合は、溶融混練により電子供与体の揮発が起こり得るので、第二工程で配合する場合に比べて多量に配合することが望ましい。
【0069】
このように架橋して得られた熱可塑性エラストマー組成物の架橋度は、ゲル分率と動的弾性率によって表すことができる。ゲル分率は、試料1gを100メッシュ金網に包み、ソックスレー抽出機を用い、沸騰キシレン中で10時間抽出した後、試料1gに対する残留固形分の重量の割合で表すことができる。動的弾性率は、パラレルプレートを用いた溶融粘弾性の貯蔵弾性率で表すことができる。
【0070】
本発明において、架橋度は、ゲル分率で好ましくは30〜45重量%、更に好ましくは40〜45重量%、貯蔵弾性率で好ましくは105〜107Paである。この範囲未満では、得られた熱可塑性エラストマー組成物の高温圧縮永久歪み、耐油性が悪い。またこの範囲を越えると、成形加工性が悪化すると同時に引張特性が低下する。
【0071】
この様にして得られた熱可塑性エラストマー組成物は、従来技術によって得られた組成物よりも、各成分が均一にミクロ分散しているので、圧縮永久歪み、引張強度等の物性が安定して良好な組成物である。
【0072】
【実施例】
以下実施例、比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例、比較例において用いた評価方法は次の方法によった。
1)硬さ:JIS K 6301に準拠し、試験片は6.3mm圧プレスシートを用いた。
2)引張強さ:J1S K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
3)引張伸び:JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
4)100%伸び応力:JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
5)100%永久伸び:JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。100%伸長した時点で10分間保持後、チャックを開放し、10分間放置後、標線間の長さを測定した。
6)反発弾性:BS903に準拠し、試験片は4mm厚さプレスシートを使用した。
7)圧縮永久歪み:JIS K 6262に準拠し、試験片は6.3mm厚さプレスシートを使用した。70℃×22時間、100℃×22時間、120℃×22時間、140℃×22時間、25%変形の条件にて測定した。
8)テーバー磨耗量:JIS K 7204に準拠し、試験片は3mm厚さプレスシートを使用した。1000回転後の磨耗質量を測定した。
9)スパイラルフロー:厚さ1mmのスパイラルフロー試験用金型に、樹脂温度220℃、射出圧800kg/cmの条件にて射出成形して、樹脂組成物の流動距離を測定した。
10)引裂強度:JIS K 6301に準拠し、試験片は2.5mm厚さプレスシートを、ダンベルでB型に打抜いて使用した。引張強度は500mm/分とした。
11)耐油性:JIS K 6301に準拠し、試験片は1mm厚さプレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。ASTM2号油を用い、70℃×24時間の重量変化と体積変化、引張強さ残率、100%伸び応力を測定した。
【0073】
12)成形性:80トンの射出成形機で8.5mm×5mm×3mm厚さシートを所定の条件で成形し、デラミネーションや変形がなく、著しく外観を悪化させるようなフローマークがない場合、成形性が良好であるとした。
13)ベトツキ性:上記成形品について低分子量物のブリードやブルームが見られず、手で触れてもベトツキがない場合、ベトツキ性良好であるとした。
14)架橋ゲル:ラボプラストミル(東洋精機社製)を用い、幅20mm、厚さ0.5mmの帯を押出、長さ20m中のゲル(大蔵省印刷局製造 きょう雑物測定図表において0.5mm以上のゲル)の個数を目視にて確認、評価した。押出温度は、220℃である。評価段階は、以下の通りである。
◎;架橋ゲルなし(0個)、○:架橋ゲル数が1〜5個
△:架橋ゲル数が6〜10個、×:架橋ゲル多数有り(11個以上)
15)長さ150mm、巾25mm、厚さ4mmの樹脂板を射出成形にて作成した。樹脂板作成に使用した樹脂は次のとおりである。
ポリプロピレン(徳山曹達製 RB110)。
ポリエチレン (出光石油化学製 モアテック V−0398CN)。
ポリスチレン (旭化成工業製 スタイロン G8073)。
ポリエステルエラストマー(東レ・デュポン製 ハイトレル 4056)。
射出条件は、
射出成形機:日精樹脂工業社製 FS−120
成形温度:180℃、200℃、250℃
射出速度:55mm/秒
射出圧力:1400kg/cm
保圧圧力:400kg/cm
射出時間:6秒
冷却時間:45秒
このようにして作成した樹脂板を金型内にインサートし(なお、このとき図2にもしめされているように、樹脂板の一部に紙を両面テープで貼り付けておく)下記のようにして得られた本発明の組成物を射出成形し、図1および図2に示すような試験片を作成した。
続いて、得られた試験片について180度剥離強さを測定した。なお、測定は、図3のように本発明の組成を折り曲げて樹脂板と組成物との両端をそれぞれ矢印の方向に引張ることにより行った。さらに、180度剥離強さは、試験片のヒートサイクル試験の前後においてそれぞれ測定された。このヒートサイクル試験は、試験片を70℃の恒温槽に1時間、さらにマイナス20℃の恒温槽に1時間浸漬することを10回繰り返すというものである。
【0074】
各成分としては、以下のものを用いた。
成分(a):水添ブロック共重合体
クラレ社製 セプトン4055
スチレンの含有量:30重量%
イソプレンの含有量:70重量%
重量平均分子量:130,000
分子量分布:1.3
水素添加率:90%以上
成分(b):非芳香族系ゴム軟化剤
出光興産社製 ダイアナプロセスオイルPW−90
種類:パラフィン系オイル
重量平均分子量:540
芳香族成分の含有量:0.1%以下
成分(c):パーオキサイド架橋型オレフィン系樹脂
PE−1 出光石油化学社製 V−0398CN
種類:LLDPE
重量平均分子量:80,000
EP−1 日本合成ゴム社製 EP961SP
種類:EPR
重量平均分子量:150,000
成分(d):パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂
PP−1 旭化成社製 E1100
種類:ホモPP
MFR:0.5 g/10分
PP−2
種類:Tm=160℃、△Hm=45mJ/mgの低結晶ポリプロピレン
MRF:2.5 g/10分
PP−3: 三菱油化社製 BC03B
種類:ブロックPP
MFR:30 g/10分
成分(e):ポリエステル系熱可塑性エラストマー
帝人社製 ELA4110N
種類:エステル−エステル系
成分(f):無機充填剤
三共精粉社製 RS400
種類:炭酸カルシウム
成分(g):電子供与体
トルエン:関東化学株式会社製 特級
メタノール:関東化学株式会社製 特級
パーオキサイド:
日本油脂社製 パーヘキサ25B
種類:2,5 −ジメチル−2,5 −ジ(t−ブチルペロオキシ)−ヘキサン
架橋助剤:
新中村化学社製 NKエステル 3G
種類:トリエチレングリコールジメタクリレート
抗酸化剤:
旭電化社製 PEP−36
【0075】
(実施例1)
前記第一〜第三工程に従って、樹脂組成物を製造した。第一工程において、成分(a)としてセプトン4055を100重量部、成分(b)としてPW−90を104重量部、成分(c)としてPE−1(V−0398CN)を4.2重量部、成分(d)としてPP−2(低結晶PP)を21重量部、成分(f)としてRS400を31重量部、抗酸化剤としてPEP−36を0.2重量部用いた。第二工程において、パーオキサイドとしてパーヘキサン25Bを2.1重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを4.7重量部用いた。第三工程において、成分(d)としてPP−3(BC03B)を10.4重量部を用いた。各工程において、以下の温度条件にて2軸混練機をスクリュー回転100rpmで用いた。第一工程混練温度:230〜240℃、第二工程混練温度:180〜220℃、第三工程混練温度:200〜220℃。
得られた樹脂の物性を上記評価方法に従って測定した。組成を表1に示し、結果を表2に示す。
【0076】
(実施例2)
成分(d)のPP−2の代わりにPP−1(E1100)10.4重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表1に示し、結果を表2に示す。
【0077】
(実施例3)
成分(c)のPE−1(V−0398CN)を14.6重量部、成分(d)のPP−1(E1100)を16重量部、PP−3(BC03B)を21重量部に変更した以外は実施例2と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表1に示し、結果を表2に示す。
【0078】
(実施例4)
成分(c)のPE−1(V−0398CN)を19.8重量部、成分(d)のPP−1(E1100)を16重量部、PP−3(BC03B)を31重量部に変更した以外は実施例2と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表1に示し、結果を表2に示す。
【0079】
(実施例5)
成分(c)のPE−1(V−0398CN)を25重量部、成分(d)のPP−1(E1100)を21重量部、PP−3(BC03B)を42重量部に変更した以外は実施例2と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表1に示し、結果を表2に示す。
【0080】
(実施例6)(参考例)
前記第一〜第三工程に従って樹脂組成物を製造した。第一工程において、成分(a)としてセプトン4055を100重量部、成分(b)としてPW−90を104重量部、成分(c)としてPE−1(V−0398CN)を4.2重量部及びEP−1(EP931SP)を25重量部、成分(d)としてPP−1(E1100)を10.4重量部、成分(e)としてELA4110Nを31重量部、成分(f)としてRS400を31重量部、抗酸化剤としてPEP−36を0.2重量部用いた。第二工程において、パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを2.1重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを4.7重量部用いた。第三工程において、成分(d)としてPP−3(BC03B)を21重量部を用いた。実施例1と同様にして樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表1に示し、結果を表2に示す。
【0081】
(実施例7)(参考例)
成分(c)のEP−1(EP961SP)を15.6重量部、成分(d)のPP−1(E1100)を16重量部、PP−3(BC03B)を42重量部に変更した以外は実施例6と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表1に示し、結果を表2に示す。
【0082】
(実施例8)
成分(e)としてELA4110Nを63重量部を配合したこと以外は実施例2と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表1に示し、結果を表2に示す。
【0083】
(実施例9)(参考例)
成分(f)RS400を配合しなかったこと以外は実施例6と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表1に示し、結果を表2に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0003672132
【0085】
【表2】
Figure 0003672132
【0086】
(実施例10)
前記第一〜第三工程に従って樹脂組成物を製造した。第一工程において、成分(a)としてセプトン4055を100重量部、成分(b)としてPW−90を104重量部、成分(c)としてPE−1(V−0398CN)を9.4重量部、成分(d)としてPP−2(低結晶PP)を21重量部、成分(e)としてELA4110Nを31重量部用いた。第二工程において、パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを3.1重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを4.7重量部、抗酸化剤としてPEP−36を0.2重量部を用いた。第三工程において、成分(d)としてPP−3(BC03B)を10.4重量部を用いた。実施例1と同様にして樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表3に示し、結果を表4に示す。
【0088】
(実施例11)
パーオキサイドを1重量部、架橋助剤を9重量部に変更した以外は実施例10と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表3に示す。結果を表4に示す。
(実施例12)
パーオキサイドを2.1重量部、架橋助剤を10.5重量部にした以外は実施例10と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表3に示し、結果を表4に示す。
【0089】
(実施例13)
前記第一〜第三工程に従って樹脂組成物を製造した。第一工程において、成分(a)としてセプトン4055を100重量部、成分(b)としてPW−90を104重量部、成分(c)としてPE−1(V−0398CN)を9.4重量部、成分(d)としてPP−3(BC03B)を21重量部、抗酸化剤としてPEP36を0.2重量部用いた。第二工程において、パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを2.1重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを4.7重量部用いた。第三工程にて、成分(d)としてPP−3(BC03B)を10.4重量部を用いた。実施例1と同様にして樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表3に、結果を表4に示す。
【0090】
(実施例14)
成分(c)のPE−1を14.6重量部に変更した以外は実施例13と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表3に、結果を表4に示す。
(実施例15)
成分(c)のPE−1を19.8重量部、第三工程で配合した成分(d)を31.2重量部に変更した以外は実施例13と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表3に、結果を表4に示す。
【0091】
(実施例16)
パーオキサイドを2.1重量部に変更した以外は実施例10と同様にして樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表3に示し、結果を表4に示す。
【0092】
【表3】
Figure 0003672132
【0093】
【表4】
Figure 0003672132
【0094】
(実施例17)
前記第一〜第三工程に従って、樹脂組成物を製造した。第一工程において、成分(a)としてセプトン4055を100重量部、成分(b)としてPW−90を104重量部、成分(c)としてPE−1(V−0398CN)を4.2重量部、成分(d)としてPP−2(低結晶PP)を21重量部、成分(f)としてRS400を31重量部、抗酸化剤としてPEP−36を0.2重量部用いた。第二工程において、パーオキサイドとしてパーヘキサン25Bを2.1重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを4.7重量部、成分(g)としてトルエンを2重量部用いた。第三工程において、成分(d)としてPP−3(BC03B)を5.2重量部を用いた。各工程において、以下の温度条件にて2軸混練機をスクリュー回転100rpmで用いた。
第一工程混練温度:230〜240℃、第二工程混練温度:180〜220℃、
第三工程混練温度:200〜220℃。
得られた樹脂の物性を上記評価方法に従って測定した。組成を表5に示し、結果を表6に示す。
【0095】
(実施例18)
成分(c)のPE−1を9.4重量部、第三工程で配合した成分(d)PP−3を10.4重量部に変更した以外は実施例17と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表5に示し、結果を表6に示す。
(実施例19)
成分(c)のPE−1を14.6重量部、第三工程で配合した成分(d)PP3を21重量部に変更した以外は実施例17と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表5に示し、結果を表6に示す。
【0096】
(実施例20)
成分(c)のPE−1を19.8重量部、第三工程で配合した成分(d)PP3を31重量部に変更した以外は実施例17と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表5に示し、結果を表6に示す。
【0097】
(実施例21)
前記第一〜第三工程に従って樹脂組成物を製造した。第一工程において、成分(a)としてセプトン4055を100重量部、成分(b)としてPW−90を104重量部、成分(c)としてPE−1(V−0398CN)を25重量部、成分(d)としてPP−2(低結晶PP)を21重量部、成分(f)としてRS400を31重量部、抗酸化剤としてPEP−36を0.2重量部用いた。第二工程において、パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを2.1重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを4.7重量部、成分(g)としてトルエンを2重量部用いた。第三工程において、成分(d)としてPP−3(BC03B)を42重量部を用いた。実施例17と同様にして樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表5に示し、結果を表6に示す。
【0098】
(実施例22)
前記第一〜第三工程に従って樹脂組成物を製造した。第一工程において、成分(a)としてセプトン4055を100重量部、成分(b)としてPW−90を104重量部、成分(c)としてPE−1(V−0398CN)を4.2重量部及びEP−1(EP931SP)を5.2重量部、成分(d)としてPP−1(E1100)を10.4重量部、成分(e)としてELA4110Nを31重量部、抗酸化剤としてPEP−36を0.2重量部用いた。第二工程において、パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを2.1重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを4.7重量部、成分(g)としてトルエンを2重量部用いた。第三工程において、成分(d)としてPP−3(BC03B)を10.4重量部を用いた。実施例17と同様にして樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表5に示し、結果を表6に示す。
(実施例23)
成分(c)のPE−2を15.6重量部、第三工程で配合した成分(d)PP−3を31重量部に変更した以外は実施例22と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表5に示し、結果を表6に示す。
【0099】
【表5】
Figure 0003672132
【0100】
【表6】
Figure 0003672132
【0101】
(実施例24)
成分(g)のトルエンを0.5重量部に変更した以外は実施例18と同様にして、樹脂組成物を製造し物性を評価した。組成を表7に示し、結果を表8に示す。
(実施例25)
成分(g)のトルエンを4重量部に変更した以外は実施例18と同様にして、樹脂組成物を製造し物性を評価した。組成を表7に示し、結果を表8に示す。
【0102】
(実施例26)
成分(g)のトルエンを6重量部に変更した以外は実施例18と同様にして、樹脂組成物を製造し物性を評価した。組成を表7に示し、結果を表8に示す。
(実施例27)
成分(g)のトルエンを10重量部に変更した以外は実施例18と同様にして、樹脂組成物を製造し物性を評価した。組成を表7に示し、結果を表8に示す。
(実施例28)
成分(g)のトルエンを15重量部に変更した以外は実施例18と同様にして、樹脂組成物を製造し物性を評価した。組成を表7に示し、結果を表8に示す。
【0103】
(実施例29)
成分(g)のトルエン2重量部をメタノール2重量部に変更した以外は実施例18と同様にして、樹脂組成物を製造し物性を評価した。組成を表7に示し、結果を表8に示す。
(実施例30)
成分(g)のトルエン2重量部をメタノール4重量部に変更した以外は実施例18と同様にして、樹脂組成物を製造し物性を評価した。組成を表7に示し、結果を表8に示す。
【0104】
【表7】
Figure 0003672132
【0105】
【表8】
Figure 0003672132
【0106】
(比較例1)
前記第一〜第三工程に従って樹脂組成物を製造した。第一工程において、成分(a)としてセプトン4055を100重量部、成分(b)としてPW−90を38重量部、成分(c)としてPE−1(V−0398CN)を9.4重量部、成分(d)としてPP−2(低結晶PP)を21重量部、成分(e)としてELA4110Nを31重量部、抗酸化剤としてPEP−36を0.2重量部用いた。第二工程において、パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを2.1重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを4.7重量部用いた。第三工程において、成分(d)としてPP−3(BC03B)を10.4重量部を用いた。実施例1と同様にして樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表9に、結果を表10に示す。
【0107】
(比較例2)
成分(b)のPW−90を308重量部に変更した以外は比較例1と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表9に、結果を表10に示す。
(比較例3)
成分(b)のPW−90を125重量部、成分(c)のPE−1(V−0398CN)を104重量部に変更した以外は比較例1と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表9に、結果を表10に示す。
【0108】
(比較例4)
成分(b)のPW−90を125重量部、成分(c)のPE−1(V−0398CN)を104重量部、成分(d)のPP−3(BC03B)を21重量部に変更した以外は比較例1と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表9に、結果を表10に示す。
【0112】
(比較例
成分(b)のPW−90を104重量部に変更し、パーオキサイドを用いなかったこと以外は比較例1と同様にして、樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表9に、結果を表10に示す。
【0113】
(比較例
前記第一〜第三工程に従って樹脂組成物を製造した。第一工程において、成分(a)としてセプトン4055を100重量部、成分(b)としてPW−90を104重量部、成分(c)としてPE−1(V−0398CN)を4.2重量部及びEP−1(EP961SP)を5.2重量部、成分(d)としてPP−1(E1100)を10.4重量部及びPP−3(BC03B)を21重量部、成分(e)としてELA4110Nを31重量部、抗酸化剤としてPEP−36を0.2重量部用いた。第二工程において、パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを2.1重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを4.7重量部用いた。第三工程においては、成分の配合は行わなかった。実施例1と同様にして樹脂組成物を製造し、物性を評価した。組成を表9に、結果を表10に示す。
【0114】
【表9】
Figure 0003672132
【0115】
【表10】
Figure 0003672132
【0116】
(比較例
パーオキサイドを用いなかった以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物を製造した。
(比較例
パーオキサイドを用いなかった以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物を製造した。
【0117】
上記実施例2、4及び比較例7、8に従って製造した樹脂組成物について、耐熱性を検討すべく、硬度の温度依存性を調べた。測定は、上記の方法に従って行ったが、温度を、室温、70℃、110℃とした。結果を表11に示す。
【0118】
【表11】
Figure 0003672132
【0128】
【発明の効果】
本発明方法により得られる複合成形用樹脂組成物は、各種樹脂と熱融着し、圧縮永久歪み等のゴム的特性に優れ、また、機械強度及び成形加工性に優れ,ベタツキがないので、従って従来の製造工程で必須とされていた接着剤を使用することや嵌合部分を設ける必要がないので大幅なコストダウンが可能となる。特に、自動車部品等の種々の分野において有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組成物と樹脂板からなる試験片の平面図である。
【図2】本発明の組成物と樹脂板からなる試験片の断面図である。
【図3】180度剥離強さの測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 試験片
2 本発明の組成物
3 樹脂板
4 紙
A 熱融着部分

Claims (9)

  1. (a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体、及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体 100重量部
    (b)非芳香族系ゴム用軟化剤 40〜300重量部
    (c)パーオキサイド架橋型オレフィン系樹1.0〜100重量部
    (d)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂、及び/又はそれを含む共重合体10〜150重量部を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法において、成分(a)及び(b)、成分(c)の少なくとも一部、並びに成分(d)の一部を、有機パーオキサイドの存在下にて熱処理して架橋せしめ、ついでこの架橋物と成分(d)の残部又は成分(c)及び(d)の残部とを配合することを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物。
  2. 更に、(e)ポリエステル系熱可塑性エラストマー 0〜130重量部及び(f)無機充填剤 0〜100重量部を任意の段階で配合する請求項1記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物。
  3. 成分(d)のうち少なくとも3重量部が有機パーオキサイド存在下での熱処理に付され、かつ少なくとも5重量部が該熱処理後に配合される請求項1又は2記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物。
  4. 成分(c)の少なくとも半分が上記熱処理に付される請求項1乃至3のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物。
  5. 有機パーオキサイドの存在下での熱処理を、成分(e)の少なくとも一部の存在下にて行う、請求項2乃至4のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物。
  6. 架橋を、エチレン性不飽和基を有するモノマーである架橋助剤の存在下にて行う、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物。
  7. 更に、(g)電子供与体 0〜15重量部を有機パーオキサイド存在下での熱処理前又は熱処理中に配合する請求項1乃至6のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物。
  8. 更に、(g)電子供与体 0〜25重量部を、有機パーオキサイド存在下での熱処理前に、成分(a)〜(f)と加熱混合(溶融混練を含む)する請求項1乃至6のいずれか一つに記載の製造方法によって得られた複合成形用樹脂組成物。
  9. 熱可塑性樹脂に熱接着可能な請求項1乃至8のいずれか一つに記載の複合成形用樹脂組成物。
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