JP2005014442A - 積層体、およびそれを用いた積層成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐押圧性に優れるとともに、耐傷付き性、耐油性、ソフト感、成形性に優れた積層体とそれを用いた積層成形体の製造方法を提供することが可能となる。具体的には自動車部品の内装部材、例えばインストルメントパネル等に好適な積層体を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマー層、発泡ポリオレフィン層、プライマー層及び発泡ポリウレタン層をこの順で有する積層体において、熱可塑性エラストマー層が特定のブロック共重合体、炭化水素系ゴム用軟化剤、オレフィン系樹脂を特定の配合比で含有する熱可塑性エラストマー組成物よりなる積層体にある。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性エラストマー層、発泡ポリオレフィン層、プライマー層及び発泡ポリウレタン層をこの順で有する積層体において、熱可塑性エラストマー層が特定のブロック共重合体、炭化水素系ゴム用軟化剤、オレフィン系樹脂を特定の配合比で含有する熱可塑性エラストマー組成物よりなる積層体にある。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体、およびそれを用いた積層成形体の製造方法に関する。さらに詳しくは、インストルメントパネルなどの自動車内装材に好適な、耐傷付き性に優れるとともに、耐油性、成形性、耐押圧性に優れたソフト感のある積層体、およびこれを用いた積層成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インストルメントパネルなどの自動車内装材として用いられる積層体の一製造方法として、まず積層体の表皮として塩化ビニル樹脂とABS樹脂との混合物からなるシート、またはオレフィン系熱可塑性エラストマーのシートを真空成形して凹部を有する成形体を得、次いで、上記成形体の凹部内で軟質または半硬質の発泡ポリウレタン原料液を注入発泡させて、成形体の凹部を軟質または半硬質の発泡ポリウレタンを充填した後、軟質または半硬質の発泡ポリウレタンで充填された成形体の凹部を鉄板などの基板で遮蔽して積層体を得る方法がある。
【0003】
しかしながら、上記のような製造方法によれば、積層体を構成する発泡ポリウレタンの表皮近辺にボイドが多く発生することがあった。このようなボイドが発生すると、表皮を手で押した際に表皮が凹む、すなわち耐押圧性が悪い品となってしまうという問題点があった。
上記製造方法において、軟質および半硬質の発泡ポリウレタンの代わりに、硬質の発泡ポリウレタンを用いて積層体を製造する方法も採用されてきたが、得られる積層体は、耐押圧性に優れるものの、ソフト感が失われるという問題点があった。
【0004】
上記の問題点を解決すべく、オレフィン系熱可塑性エラストマーのシートからなる表皮層、および発泡ポリオレフィンシートからなるパッド層で構成される二層シートの、パッド層が凹部の内側に設けられている凹部を有する成形体と、該成形体の凹部に充填された半硬質または硬質の発泡ポリウレタンと、半硬質または硬質の発泡ポリウレタンで充填された成形体の凹部を遮蔽する基板とからなり、前記成形体を構成するパッド層の表面が特定のプライマー液で塗布されて乾燥されていることを特徴とする成形体が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この成形体では耐油性や、耐傷付き性に劣り、オレフィン系熱可塑性エラストマーのシート成形時に目やにが多く発生するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特許第2642700号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐傷付き性に優れるとともに、耐油性、ソフト感、成形性に優れた積層体、およびそれを用いた積層成形体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のブロック共重合体と炭化水素系ゴム用軟化剤とオレフィン系樹脂の混合物からなる熱可塑性エラストマー層、発泡ポリオレフィン層、プライマー層及び発泡ポリウレタン層をこの順で有する積層体が前記目的を達成することを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、熱可塑性エラストマー層、発泡ポリオレフィン層、プライマー層及び発泡ポリウレタン層をこの順で積層された積層体において、熱可塑性エラストマー層が下記の成分(イ)、(ロ)、(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)と成分(ロ)の合計100重量部に対し、成分(ハ)の割合が1〜300重量部である熱可塑性エラストマー組成物よりなる積層体にある。
(イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加してなる水添ブロック共重合体
【0009】
【数3】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系樹脂
本発明の他の要旨は、発泡ポリオレフィンシートの表面にプライマー層を形成した後、プライマー層の反対側に、下記成分(イ)〜(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)と成分(ロ)の合計100重量部に対し、成分(ハ)の割合が1〜300重量部である熱可塑性エラストマー組成物からなるシートを熱融着させて二層シートを得る第1の工程と、
前工程で得られた二層シートを、発泡ポリオレフィン層が内側になるように真空成形して、凹部を有する成形体を得る第2の工程と、
前工程で得られた成形体の凹部内で、半硬質または硬質発泡ポリウレタン原料液を注入発泡させて、成形体の凹部を半硬質または硬質の発泡ポリウレタンで充填する第3の工程とからなる積層成形体の製造方法に存している。
(イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加してなる水添ブロック共重合体
【0010】
【数4】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系樹脂
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る積層体の具体的構成、および積層成形体の製造方法を、一部、図に基いて説明する。第1図は、本発明による積層成形体の一断面概略図である。
1、積層体
1)熱可塑性エラストマー層
本発明で使用する成分(イ)は、下記の一般式(I)で表されるブロック共重合体および/またはこれを水素添加してなる水添ブロック共重合体である。
【0012】
【数5】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族炭化水素の重合体であるAブロックはハードセグメント、エラストマー性重合体であるBブロックはソフトセグメントを構成する。ブロック共重合体の代表例は、A−B又はA−B−Aで表される共重合体構造を有し、Bブロックの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていてもよいブロック共重合体であって、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。
【0013】
上記のAブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
上記のBブロックを構成するモノマーとしては、エラストマー性が発現される限り、その種類は特に制限されないが、共役ジエンからなるものが好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、特に、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの2/8〜6/4重量割合の混合物が好ましい。
【0014】
ブロック共重合体中、Aブロックの含有量は、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、機械的強度や耐熱性が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過では、柔軟性、ゴム弾性が劣る傾向となる。
共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、熱可塑性エラストマーとしてのゴム弾性を保持する面から、Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合は、通常20〜50%、好ましくは25〜45%である。
【0015】
また、成分(イ)は上記ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることが好ましい。この時、Bブロックの二重結合の水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは90%以上である。水素添加率が前記範囲未満では、組成物の耐候性、耐熱性が劣る傾向となる。
ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせの、いずれであってもよい。
【0016】
本発明におけるブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量として、8.0万〜100万であるが、好ましくは、10万〜50万、更に好ましくは、15万〜40万である。重量平均分子量が8.0万未満の場合は、ゴム弾性、機械的強度が低下し、成形加工性が劣る。一方、重量平均分子量が100万超過の場合は、成形加工が困難となる。また、好ましい分子量分布(Mw/Mn)は1〜10である。
【0017】
上記ブロック共重合体の製造方法は、上記の構造・物性が得られる限り、如何なる方法であってもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法、即ち、リチウム触媒の存在下に不活性溶媒中でブロック重合を行う方法を採用することができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
【0018】
また、上記のようなブロック共重合体は、スチレン又はその誘導体とエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることも出来る。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることも出来る。
上記の様なブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(クレイトンポリマー株式会社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。
【0019】
本発明で使用する成分(ロ)は炭化水素系ゴム用軟化剤である。炭化水素系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系の鉱物油系炭化水素、及び、ポリブテン系、ポリブタジエン系、ポリエステル系の低分子量物等の合成樹脂系炭化水素が挙げられる。中でも鉱物油系炭化水素が好ましく、又、重量平均分子量で300〜2,000、特には500〜1,500の分子量を有するものが好ましい。
【0020】
一般に鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。
【0021】
パラフィン系オイルの40℃での動粘度は通常20〜800cSt(センチストークス)、好ましくは50〜600cSt、流動点は通常−40〜0℃、好ましくは−30〜0℃、引火点(COC)は通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃である。炭化水素系ゴム用軟化剤(ロ)は、得られる組成物の流動性を向上して成形加工性に寄与する。
【0022】
本発明で使用する成分(ハ)はオレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合樹脂等が挙げられるが、プロピレン系樹脂が好適に用いられる。プロピレン系樹脂の具体例としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂等が挙げられる。重合様式は、樹脂状物が得られる限り、如何なる重合様式を採用しても差し支えない。
【0023】
上記のプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は、通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが上記範囲未満のものを用いた場合は、得られる組成物の成形性が悪化して外観に不良が生じやすく、積層体の二次加工時における均一延展性が不良となることがあり、上記範囲を超えるものを用いた場合は、積層体の二次加工時における均一延展性が不良となる傾向がある。
【0024】
本発明において、上記各成分の組成割合は次の通りである。すなわち、成分(イ)と成分(ロ)の配合比(重量)は、(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、好ましくは(イ)/(ロ)=25/75〜70/30であり、特に好ましくは30/70〜60/40である。(イ)/(ロ)の配合比において成分(イ)が20/80より少ない場合は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が劣り、積層体の触感が劣ると共に、軟化剤の耐ブリード性が低下し、成分(イ)が80/20超過の場合は、得られる組成物の柔軟性および成形加工性が劣る。
【0025】
一方、成分(ハ)の配合量は、成分(イ)及び(ロ)の合計量100重量部あたり、1〜300重量部、好ましくは5〜200重量部であり、特に好ましくは10〜100重量部である。成分(ハ)の量が1重量部未満の場合は得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性が劣り、300重量部超過の場合は得られる組成物の柔軟性およびゴム弾性が劣る。
【0026】
本発明において用いる熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(イ)、(ロ)、及び(ハ)を含有し、成分(イ)が少なくとも部分的に架橋されていることが好ましく、これによって、積層体の耐熱性、耐油性を向上させることが可能となる。このような架橋構造を形成するためには、架橋剤の存在下に動的な熱処理をすることが好ましい。
【0027】
ここに、動的熱処理とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを指す。通常、動的熱処理は、前記成分(イ)、(ロ)、及び(ハ)を均一に混合した後、必要に応じて架橋剤、架橋助剤の存在下に溶融混練することによって行なわれる。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が使用される。混練温度は通常、100〜300℃、好ましくは110〜280℃であり、混練時間は、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間である。また、動的熱処理時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。
【0028】
架橋剤としては有機過酸化物、硫黄、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤、オキシム類、ポリアミン等が用いられるが有機過酸化物、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤が好ましく、特に有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。これらの中では、1分間の半減期温度が140℃以上の有機過酸化物が好ましく、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
【0029】
前記の架橋助剤としては、例えば、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン、m−フェニレンビスマレイミド等の過酸化物架橋用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0030】
動的熱処理に用いる有機過酸化物の使用割合としては、通常0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部であり、架橋助剤の使用割合は0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
架橋処理を行うことにより、組成物のゲル分率が上がり、ゴム弾性(圧縮永久歪み率)、耐油性等が改善される。ここでいう「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測定したゴム成分のゲル分率(沸騰キシレン不溶解分)が例えば10%以上、特に20%以上98%未満である場合をいう。「完全に架橋された」とは、98%以上である場合をいう。本発明においては30%以上であることが好ましい。
【0031】
ゲル分率(沸騰キシレン不溶解分)の測定法としては熱可塑性エラストマーの試料を約100mg秤量し、50mlの沸騰キシレンに10時間含浸する。次にこの試料を濾紙上に取り出し室温にて72時間静置し乾燥させる。この乾燥残さの重量からポリマー成分以外の沸騰キシレン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた値を「補正された最終重量」とする。一方、試料の重量からゴム成分以外のポリマー成分(ポリプロピレン樹脂等)及びポリマー成分以外の沸騰キシレン可溶成分(軟化剤等)の重量及びポリマー成分以外の沸騰キシレン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた値を「補正された初期重量」とする。
【0032】
ゲル分率は次式により求められる。
【0033】
【数6】
ゲル分率=「補正された最終重量」/「補正された初期重量」×100
本発明において用いる熱可塑性エラストマー組成物には、酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。酸化防止剤として、例えば、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、フェニレンジアミン系のもの等が挙げられる。これらの中では、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の使用割合は、成分(イ)〜(ハ)の合計量に対し、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。この添加量が0.01重量%未満では、酸化防止剤の効果が得られにくく、また5重量%を越すと添加量の増加に見合う効果の向上が得られず経済的に不利になったり、着色などの影響が出る場合がある。
【0034】
また、本発明に用いる組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲内において、必要に応じて他の任意の配合成分を配合することができる。
任意成分としては、例えば、架橋剤、架橋助剤、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物、上記必須成分以外の熱可塑性樹脂、上記必須成分以外のエラストマー、フィラー等を挙げることができ、これらの中から任意のものを単独でまたは併用して用いることができる。
【0035】
ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げることができる。
【0036】
また、任意のエラストマーとしては、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィン系ゴム、ポリブタジエン等を挙げることができる。更に、充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。これらは、前記(イ)成分又は前記(ロ)成分又は前記(ハ)成分のいずれかに予め含有させておくか、又は、各成分を均一に混合時、溶融混練時、あるいは動的熱処理時に配合される。
【0037】
本発明において用いる熱可塑性エラストマー組成物は、通常、Tダイ成形法、カレンダー成形法などにより、シートへ押出成形される。シートの厚みは、通常、0.1〜2mm、好ましくは0.2〜1.5mmである。
2)発泡ポリオレフィン層
本発明の積層体における発泡ポリオレフィン層は、発泡倍率が通常、5〜30倍、好ましくは15〜25倍であり、厚みが1〜3mmであるポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド物のシートなどのポリオレフィン系樹脂からなる。本発明の積層体は、上記の発泡ポリオレフィン層を熱可塑性エラストマー層に積層しているので、熱可塑性エラストマー層側から触れた際、よりソフト感を付与することができる。
3)プライマー層
本発明においては、積層体を構成する発泡ポリオレフィン層と発泡ポリウレタン層とがプライマー層を介して接着されている。プライマーとしては飽和ポリエステル、塩素化ポリオレフィン、水酸基又はカルボキシル基を付加した無塩素の変性ポリオレフィン系樹脂を主体としたものが使用出来る。なかでも発泡ポリオレフィンシートとの密着性が良好な塩素化ポリオレフィン、飽和ポリエステルが好ましい。
【0038】
発泡ポリオレフィン層の表面上にプライマー層を形成するには、飽和ポリエステル及び塩素化ポリオレフィンから選ばれた少なくとも1種の化合物を有機溶剤に溶解させ、得られたプライマー層形成用塗布液を常法に従って基材の表面上に塗布すればよい。
上述の飽和ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびその誘導体等が挙げられる。また塩素化ポリオレフィン樹脂としては塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン・α−オレフィン共重合体などが用いられる。中でも耐熱性の観点から塩素化ポリプロピレンが好ましい。
【0039】
飽和ポリエステル、塩素化ポリオレフィンを溶解させるために用いられる有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサン等が挙げられる。プライマー層形成用塗布液中の固形分濃度は2〜50重量%好ましくは10〜15重量%程度である。
本発明においてはプライマーを塗布する前に必要に応じて発泡ポリオレフィンシートの表面にコロナ放電処理を行うことが出来る。コロナ放電処理は放電プラズマの1種であり、放電処理は、高周波発振器に接続する電極バーを非処理物体に対面して行う。出力電圧は約4〜8kV、処理時間は約5〜100秒程度である。コロナ放電処理装置は市販されているものを使用することができる。
【0040】
このようなプライマー処理を発泡ポリオレフィン層の表面に施すことによって発泡ポリオレフィン層と半硬質または硬質の発泡ポリウレタン層との接着性がより強固になる。
4)発泡ポリウレタン層
本発明では、プライマー層を介して発泡ポリオレフィン層に半硬質または硬質の発泡ポリウレタン層が積層されている。上記半硬質または硬質の発泡ポリウレタンとしては、半硬質または硬質の発泡ポリウレタンを、特に制限無く用いることができる。具体的には、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などのイソシアネートとポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリオール類と水との化学反応により発泡させて得られる発泡ポリウレタンなどが用いられる。
2、積層成形体の製造方法
本発明の積層体は、積層体を得た後で所望の形状に2次加工して最終製品とすることが出来る。または、特に自動車用インパネやアームレスト等のような部位毎の厚さが異なるような製品に本発明の積層体を適用する場合には、以下に述べるように一部の層を製品形状に合わせて積層加工する方法が好ましく用いられる。このような場合には、プライマー層を形成した熱可塑性エラストマー層と発泡ポリオレフィン層からなる二層シートで予め凹部を有する成形体を作成し、これに、発泡ポリウレタン層を形成してゆく方法が好適である。以下に各々の製造方法に関して説明する。
【0041】
熱可塑性エラストマー層と、発泡ポリオレフィン層で構成される二層シートは、たとえば上記のような熱可塑性エラストマー組成物のシートと、未発泡の発泡剤入りポリプロピレンシート、未発泡の発泡剤入りポリエチレンシートなどの未発泡の発泡剤入りポリオレフィンシートとを熱融着して一体化した後、上記未発泡のシートを加熱して発泡させることによって得ることができる。また、上記のようなスチレン系熱可塑性エラストマーのシートと、発泡ポリオレフィンシートとを熱融着して一体化することによっても得ることができる。
【0042】
上記二層シートの製造は、一般的にはカレンダーロール、Tダイ若しくは環状ダイを装着した押出機で押出された溶融状態もしくは半溶融状態にあるシート状の熱可塑性エラストマーを、発泡ポリオレフィンシートと積層させた状態で一対のロール間を通して製造することができる。その際熱可塑性エラストマーシートはロール温度約30〜70度の(エンボス加工用)ロール側に、また発泡ポリオレフィンシートは加熱されていない通常ロール側に接触させるようにして製造することが出来る。また、一度押し出し冷却した熱可塑性エラストマーシートを再度加熱し、溶融状態もしくは半溶融状態にし同様に積層する事もできる。他にシート状の熱可塑性エラストマーを発泡体シートと積層させた状態でプレスする方法、二層射出成形等によって積層することも出来る。
【0043】
本発明においては、熱可塑性エラストマーのシート表面に、あらかじめ表面処理および表面加工が施されていてもよい。例えば、熱可塑性エラストマーシートの表面を、後述のプライマー処理した後、エンボス加工してもよい。エンボス加工は、カレンダーロール、Tダイを装着した押出機等から成形されたシートをそのまま溶融あるいは半溶融状態でエンボス加工用ロールとゴムロール等の圧着ロールの間を通す方法、予め、巻き取ったシートを加熱ドラム、赤外線ヒーターにより再加熱し同様にエンボス加工用ロールとゴムロール等の圧着ロールの間を通す方法、断続的にエンボス模様を付した金型を用いてシートをプレスする方法が採用される。また、エンボス模様を付した雌雄金型を用い真空成形によりシートの賦形と同時にエンボス加工する方法も含まれる。なお、エンボス模様とは、シートの表面が皮革状あるいは幾何学状等の凹凸の浮き出し模様にエンボス加工された状態である。
【0044】
プライマー層の形成は、予め二層シートを形成してから、前述のプライマー液を塗布してもよいし、また、発泡ポリオレフィンシートの一方の面にプライマー液を塗布して乾燥した後、発泡ポリオレフィンシートのプライマー層を有していない面と熱可塑性エラストマーシートとを熱融着して二層シートを得てもよいが、後者の方法、即ち、前もってプライマー層を形成した後、二層シートを製造する方が好ましい。
【0045】
上記のようなプライマー液の塗布方法としては、具体的には、スプレーによる塗布、刷毛塗りなどの方法が挙げられる。プライマー液の塗布量は、いずれも固形分換算で、3〜30g/m2、好ましくは5〜15g/m2であり、プライマー層形成用塗布液を複数回に分けて塗布することによってプライマー層を形成してもよく、その際には本発明で特定する範囲内においてそれぞれ異なった組成のプライマー層形成用塗布液を用いることが出来る。上記プライマー液が塗布された発泡ポリオレフィンシートの乾燥条件は、通常、乾燥温度が常温から90℃であり、乾燥時間が約1〜15分である。
【0046】
凹部を有する成形体1の製造は、上記二層シートを凸型金型、あるいは凹型金型を用いて真空成形することによって製造することができる。このような真空成形は、通常、予備加熱温度が100〜190℃、真空圧が500〜700mmHgの条件で行う。
発泡ポリウレタン層の形成は、得られた成形体1の凹部内で、半硬質または硬質の発泡ポリウレタン原料液を注入発泡し、成形体1の凹部を半硬質または硬質の発泡ポリウレタン5で充填する方法で行うことができる。上記半硬質または硬質の発泡ポリウレタン原料液の注入発泡は通常、発泡成形時に、触媒その他の添加剤とともに、水またはフレオン等と、シリコン系界面活性剤を加えたポリオール成分と、イソシアネートとをノズルの先端部にて混合して行なわれる。
【0047】
半硬質または硬質の発泡ポリウレタン原料液としては、具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリオール成分と、MDI、TDI、NDIなどのイソシアネートとの混合液、好ましくは上記のようなポリオール成分およびイソシアネートに水を加えた混合液が用いられる。
上記注入発泡の成形条件は、通常、温度が30〜60℃であり、注入は常圧下で行なわれる。
【0048】
本発明においては、必要に応じて、半硬質または硬質の発泡ポリウレタン5で充填された成形体1の凹部を基板で遮蔽する工程を設けてもよい。上記密閉は、通常、接着剤を用いて行う。また接着剤は、前述した基板の種類に応じて選択すればよい。
本発明の積層成形体の好ましい製造方法は、発泡ポリウレタンシートの表面にプライマー層を形成した後、プライマー層の反対側に熱可塑性エラストマー層を熱融着させて二層シートを得る第1の工程と、前工程で得られた二層シートを、発泡ポリオレフィン層が内側になるように真空成形して、凹部を有する成形体を得る第2の工程と、前工程で得られた成形体の凹部内で、半硬質または硬質発泡ポリウレタン原料液を注入発泡させて、成形体の凹部を半硬質または硬質の発泡ポリウレタンで充填する第3の工程とからなる。
【0049】
この方法を用いて得られる積層成形体は、前記二層シートからなる成形体1の凹部を半硬質または硬質の発泡ポリウレタン5で充填しているので、耐押圧性に優れている。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で使用した材料、および評価方法は以下に示す通りである。
【0051】
<原材料>
成分(イ−1):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量33重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量245,000)。
成分(イ−2)(比較例用):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量29重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量75,000)。
成分(ロ):パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産(株)製「PW380」)。
成分(ハ):プロピレン系樹脂(日本ポリケム(株)製、メルトフローレート0.9g/10分(230℃、21.2N荷重)
架橋剤(POX):1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ(株)製「パーカドックス14」)
架橋助剤(DVB):ジビニルベンゼン(三成化成(株)製、55%品)
【0052】
<評価方法>
(1)目やに(成形性)
押出成形時のダイス出口への付着物状況を目視観察し、以下に示す5段階で表示した。
5…非常に少ない
4…少ない
3…普通
2…多い
1…非常に多い
(2)ソフト感(触感)
積層体の表面を手で触れてその感触を以下に示す5段階表示した。表面にベタツキ感があるものは本発明の趣旨からは不適であるが、その場合は(ベタツキ)と記載した。
5…非常に柔らかい
4…柔らかい
3…普通
2…硬い
1…非常に硬い
【0053】
(3)耐傷付き性
東洋精機株式会社製(テーバースクラッチテスタ)を用いて、積層体の熱可塑性エラストマー表面をタングステンカーバイト製のカッターで、加重500gにて引っ掻き、目視にて表面を観察し、以下に示す3段階で評価した。
○…傷付かない
△…殆ど傷付かない
×…傷が付く
(4)耐油性
積層体の表層に軽質流動パラフィンナカライテスク株式会社製を垂らし、80℃で24時間放置した。放置後のサンプルの表面を目視観察し、以下に示す3段階で評価した。
○…皺発生せず、膨潤していない
△…若干皺発生、または若干膨潤している
×…皺発生、または膨潤している
【0054】
(5)接着強度
(株)東洋ボールドウィン製(テンシロン200)を用いて、発泡ポリプロピレン層と発泡ウレタン層との接着強度を以下の条件で評価した。
剥離方向角度 180度
剥離速度 200mm/分
測定温度 常温
【0055】
<実施例1>
(1)熱可塑性エラストマーの製造
表1に示す配合量(重量部)にて配合したエラストマー組成物の成分(イ)〜(ハ)の合計量100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.1重量部を添加し、更に表1に示す量のPOX、DVBを添加し、圧縮比L/Dが41、シリンダー径44mmの二軸押出機を用いて110〜180℃の温度に設定して溶融混練させこれをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
(2)発泡ポリオレフィンシートの表面処理(プライマー層の形成)
発泡ポリプロピレンシート(東レ(株)社製PEF、発泡倍率10倍、厚さ1mm)の片面に、塩素化ポリプロピレン系プライマー(特殊色料工業(株)製「ハイコープU AD402」)をスプレーにてウエット付量140g/m2となるように塗布した後、60℃で1分間乾燥した。
(3)二層(熱可塑性エラストマー層/発泡ポリオレフィン層)シートの製造
渡辺加工機製の45mmφ押出機(シングルフライトタイプスクリュウ)のTダイから、シリンダー温度190℃、ダイス温度210℃、スクリュウ回転数70rpmの条件下、幅250mm、厚さ0.35mmの熱可塑性エラストマー組成物のシートを押し出し、エンボス模様加工用ロール(30℃)と圧着ゴムロールとの間を通すように押し出すに際し、この押し出した熱可塑性エラストマー組成物のシートに、圧着ゴムロールとの間に、更に、前述の表面処理したポリプロピレン発泡体シートを表面処理層と反対側が熱可塑性エラストマー組成物シートに接するように通して二層の積層体を得た。
【0056】
さらにこの熱可塑性エラストマー側のシート表面にコロナ放電処理を行い、濡れ指数40dyn/cmとした後、塩素化ポリプロピレン系プライマー(特殊色料工業(株)製「ハイコープU AD402」)及び無黄変ウレタン系トップコート(特殊色料工業(株)製「ハイコープU EU1110M」)を各々ウエット付量40g/m2、70g/m2となるようにスプレーにて塗布した。
(4)二層シートの真空成形
上記(3)で得られた二層シートを真空成形用凸引き金型を用いて下記の条件で真空成形して、発泡ポリオレフィン層が内側とした、凹部を有する成形体を得た。上記真空成形の条件は、熱可塑性エラストマーシート側の予備加熱温度が110℃であり、ポリプロピレン発泡シート側の予備加熱温度が180℃であり、真空圧が720mmHgである。
(5)注入発泡成形
得られた成形体をウレタン注入用木型にセットした後、下記の組成からなる2液型半硬質発泡ポリウレタン原料液をこの成形体の凹部に注入した。
【0057】
発泡ポリウレタン原料液の組成
TDIプレポリマー(NCOを15%含む) 100重量部
分子量4000の3官能ポリオール 180重量部
分子量400のアミンベースペンタオール 10重量部
水 1.5重量部
トリエチレンジアミン 0.2重量部
注入された原料液は、反応による発泡、膨張を起こし、成形体の開口部および木型に設けられているベントから上記原料液がオーバーフローし、反応が終了した。
【0058】
このようにして、熱可塑性エラストマー層/発泡ポリオレフィン層/発泡ウレタン層の構成を有する積層成形体を得た。得られた積層成形体の発泡ウレタンは、発泡倍率が10倍であり、硬度が85(JIS Cタイプ)であった。得られた積層成形体に対し上述の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0059】
<実施例2、比較例1〜2>
表1に記載の配合を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層成形体を得て、同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
<比較例3>
熱可塑性エラストマーとしてポリプロピレンとエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムのブレンド物の動的架橋品であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱化学社製サーモラン3602N)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層成形体を得て、同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0060】
<比較例4>
実施例1において、ポリプロピレン発泡シートの裏面処理工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、積層成形体を得て、同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスチレン系熱可塑性エラストマー積層体の一断面概略図である。
【符号の説明】
1 積層成形体
2 熱可塑性エラストマー層
3 発泡ポリオレフィン層
4 プライマー層
5 発泡ポリウレタン層
【発明の効果】
本発明により、耐押圧性に優れるとともに、耐傷付き性、耐油性、ソフト感、成形性に優れた積層体とそれを用いた積層成形体の製造方法を提供することが可能となる。本発明の積層体は自動車部品の内装部材、例えばインストルメントパネル等に有利に使用することが可能となり、本発明の工業的価値は顕著である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体、およびそれを用いた積層成形体の製造方法に関する。さらに詳しくは、インストルメントパネルなどの自動車内装材に好適な、耐傷付き性に優れるとともに、耐油性、成形性、耐押圧性に優れたソフト感のある積層体、およびこれを用いた積層成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インストルメントパネルなどの自動車内装材として用いられる積層体の一製造方法として、まず積層体の表皮として塩化ビニル樹脂とABS樹脂との混合物からなるシート、またはオレフィン系熱可塑性エラストマーのシートを真空成形して凹部を有する成形体を得、次いで、上記成形体の凹部内で軟質または半硬質の発泡ポリウレタン原料液を注入発泡させて、成形体の凹部を軟質または半硬質の発泡ポリウレタンを充填した後、軟質または半硬質の発泡ポリウレタンで充填された成形体の凹部を鉄板などの基板で遮蔽して積層体を得る方法がある。
【0003】
しかしながら、上記のような製造方法によれば、積層体を構成する発泡ポリウレタンの表皮近辺にボイドが多く発生することがあった。このようなボイドが発生すると、表皮を手で押した際に表皮が凹む、すなわち耐押圧性が悪い品となってしまうという問題点があった。
上記製造方法において、軟質および半硬質の発泡ポリウレタンの代わりに、硬質の発泡ポリウレタンを用いて積層体を製造する方法も採用されてきたが、得られる積層体は、耐押圧性に優れるものの、ソフト感が失われるという問題点があった。
【0004】
上記の問題点を解決すべく、オレフィン系熱可塑性エラストマーのシートからなる表皮層、および発泡ポリオレフィンシートからなるパッド層で構成される二層シートの、パッド層が凹部の内側に設けられている凹部を有する成形体と、該成形体の凹部に充填された半硬質または硬質の発泡ポリウレタンと、半硬質または硬質の発泡ポリウレタンで充填された成形体の凹部を遮蔽する基板とからなり、前記成形体を構成するパッド層の表面が特定のプライマー液で塗布されて乾燥されていることを特徴とする成形体が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この成形体では耐油性や、耐傷付き性に劣り、オレフィン系熱可塑性エラストマーのシート成形時に目やにが多く発生するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特許第2642700号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐傷付き性に優れるとともに、耐油性、ソフト感、成形性に優れた積層体、およびそれを用いた積層成形体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のブロック共重合体と炭化水素系ゴム用軟化剤とオレフィン系樹脂の混合物からなる熱可塑性エラストマー層、発泡ポリオレフィン層、プライマー層及び発泡ポリウレタン層をこの順で有する積層体が前記目的を達成することを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、熱可塑性エラストマー層、発泡ポリオレフィン層、プライマー層及び発泡ポリウレタン層をこの順で積層された積層体において、熱可塑性エラストマー層が下記の成分(イ)、(ロ)、(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)と成分(ロ)の合計100重量部に対し、成分(ハ)の割合が1〜300重量部である熱可塑性エラストマー組成物よりなる積層体にある。
(イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加してなる水添ブロック共重合体
【0009】
【数3】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系樹脂
本発明の他の要旨は、発泡ポリオレフィンシートの表面にプライマー層を形成した後、プライマー層の反対側に、下記成分(イ)〜(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)と成分(ロ)の合計100重量部に対し、成分(ハ)の割合が1〜300重量部である熱可塑性エラストマー組成物からなるシートを熱融着させて二層シートを得る第1の工程と、
前工程で得られた二層シートを、発泡ポリオレフィン層が内側になるように真空成形して、凹部を有する成形体を得る第2の工程と、
前工程で得られた成形体の凹部内で、半硬質または硬質発泡ポリウレタン原料液を注入発泡させて、成形体の凹部を半硬質または硬質の発泡ポリウレタンで充填する第3の工程とからなる積層成形体の製造方法に存している。
(イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加してなる水添ブロック共重合体
【0010】
【数4】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
(ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系樹脂
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る積層体の具体的構成、および積層成形体の製造方法を、一部、図に基いて説明する。第1図は、本発明による積層成形体の一断面概略図である。
1、積層体
1)熱可塑性エラストマー層
本発明で使用する成分(イ)は、下記の一般式(I)で表されるブロック共重合体および/またはこれを水素添加してなる水添ブロック共重合体である。
【0012】
【数5】
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n………(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
上記ブロック共重合体において、ビニル芳香族炭化水素の重合体であるAブロックはハードセグメント、エラストマー性重合体であるBブロックはソフトセグメントを構成する。ブロック共重合体の代表例は、A−B又はA−B−Aで表される共重合体構造を有し、Bブロックの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていてもよいブロック共重合体であって、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られている。
【0013】
上記のAブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
上記のBブロックを構成するモノマーとしては、エラストマー性が発現される限り、その種類は特に制限されないが、共役ジエンからなるものが好ましい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、特に、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンの2/8〜6/4重量割合の混合物が好ましい。
【0014】
ブロック共重合体中、Aブロックの含有量は、10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、機械的強度や耐熱性が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過では、柔軟性、ゴム弾性が劣る傾向となる。
共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、熱可塑性エラストマーとしてのゴム弾性を保持する面から、Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合は、通常20〜50%、好ましくは25〜45%である。
【0015】
また、成分(イ)は上記ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることが好ましい。この時、Bブロックの二重結合の水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、更に好ましくは90%以上である。水素添加率が前記範囲未満では、組成物の耐候性、耐熱性が劣る傾向となる。
ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせの、いずれであってもよい。
【0016】
本発明におけるブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量として、8.0万〜100万であるが、好ましくは、10万〜50万、更に好ましくは、15万〜40万である。重量平均分子量が8.0万未満の場合は、ゴム弾性、機械的強度が低下し、成形加工性が劣る。一方、重量平均分子量が100万超過の場合は、成形加工が困難となる。また、好ましい分子量分布(Mw/Mn)は1〜10である。
【0017】
上記ブロック共重合体の製造方法は、上記の構造・物性が得られる限り、如何なる方法であってもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法、即ち、リチウム触媒の存在下に不活性溶媒中でブロック重合を行う方法を採用することができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報、特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。
【0018】
また、上記のようなブロック共重合体は、スチレン又はその誘導体とエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることも出来る。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレン又はその誘導体を逐次重合して得ることも出来る。
上記の様なブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(クレイトンポリマー株式会社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。
【0019】
本発明で使用する成分(ロ)は炭化水素系ゴム用軟化剤である。炭化水素系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系の鉱物油系炭化水素、及び、ポリブテン系、ポリブタジエン系、ポリエステル系の低分子量物等の合成樹脂系炭化水素が挙げられる。中でも鉱物油系炭化水素が好ましく、又、重量平均分子量で300〜2,000、特には500〜1,500の分子量を有するものが好ましい。
【0020】
一般に鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の混合物である。全炭素量に対し、芳香族炭化水素の炭素の割合が35重量%以上のものは芳香族系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素の割合が30〜45重量%のものはナフテン系オイル、パラフィン系炭化水素の炭素の割合が50重量%以上のものはパラフィン系オイルと呼ばれる。本発明においては、パラフィン系オイルが好適に使用される。
【0021】
パラフィン系オイルの40℃での動粘度は通常20〜800cSt(センチストークス)、好ましくは50〜600cSt、流動点は通常−40〜0℃、好ましくは−30〜0℃、引火点(COC)は通常200〜400℃、好ましくは250〜350℃である。炭化水素系ゴム用軟化剤(ロ)は、得られる組成物の流動性を向上して成形加工性に寄与する。
【0022】
本発明で使用する成分(ハ)はオレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合樹脂等が挙げられるが、プロピレン系樹脂が好適に用いられる。プロピレン系樹脂の具体例としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂等が挙げられる。重合様式は、樹脂状物が得られる限り、如何なる重合様式を採用しても差し支えない。
【0023】
上記のプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は、通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが上記範囲未満のものを用いた場合は、得られる組成物の成形性が悪化して外観に不良が生じやすく、積層体の二次加工時における均一延展性が不良となることがあり、上記範囲を超えるものを用いた場合は、積層体の二次加工時における均一延展性が不良となる傾向がある。
【0024】
本発明において、上記各成分の組成割合は次の通りである。すなわち、成分(イ)と成分(ロ)の配合比(重量)は、(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、好ましくは(イ)/(ロ)=25/75〜70/30であり、特に好ましくは30/70〜60/40である。(イ)/(ロ)の配合比において成分(イ)が20/80より少ない場合は、得られる熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性が劣り、積層体の触感が劣ると共に、軟化剤の耐ブリード性が低下し、成分(イ)が80/20超過の場合は、得られる組成物の柔軟性および成形加工性が劣る。
【0025】
一方、成分(ハ)の配合量は、成分(イ)及び(ロ)の合計量100重量部あたり、1〜300重量部、好ましくは5〜200重量部であり、特に好ましくは10〜100重量部である。成分(ハ)の量が1重量部未満の場合は得られる熱可塑性エラストマー組成物の成形加工性が劣り、300重量部超過の場合は得られる組成物の柔軟性およびゴム弾性が劣る。
【0026】
本発明において用いる熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(イ)、(ロ)、及び(ハ)を含有し、成分(イ)が少なくとも部分的に架橋されていることが好ましく、これによって、積層体の耐熱性、耐油性を向上させることが可能となる。このような架橋構造を形成するためには、架橋剤の存在下に動的な熱処理をすることが好ましい。
【0027】
ここに、動的熱処理とは溶融状態又は半溶融状態で混練することを指す。通常、動的熱処理は、前記成分(イ)、(ロ)、及び(ハ)を均一に混合した後、必要に応じて架橋剤、架橋助剤の存在下に溶融混練することによって行なわれる。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等が使用され、混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等が使用される。混練温度は通常、100〜300℃、好ましくは110〜280℃であり、混練時間は、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間である。また、動的熱処理時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。
【0028】
架橋剤としては有機過酸化物、硫黄、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤、オキシム類、ポリアミン等が用いられるが有機過酸化物、フェノール系架橋剤、マレイミド系架橋剤が好ましく、特に有機過酸化物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。これらの中では、1分間の半減期温度が140℃以上の有機過酸化物が好ましく、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
【0029】
前記の架橋助剤としては、例えば、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン、m−フェニレンビスマレイミド等の過酸化物架橋用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0030】
動的熱処理に用いる有機過酸化物の使用割合としては、通常0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部であり、架橋助剤の使用割合は0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
架橋処理を行うことにより、組成物のゲル分率が上がり、ゴム弾性(圧縮永久歪み率)、耐油性等が改善される。ここでいう「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測定したゴム成分のゲル分率(沸騰キシレン不溶解分)が例えば10%以上、特に20%以上98%未満である場合をいう。「完全に架橋された」とは、98%以上である場合をいう。本発明においては30%以上であることが好ましい。
【0031】
ゲル分率(沸騰キシレン不溶解分)の測定法としては熱可塑性エラストマーの試料を約100mg秤量し、50mlの沸騰キシレンに10時間含浸する。次にこの試料を濾紙上に取り出し室温にて72時間静置し乾燥させる。この乾燥残さの重量からポリマー成分以外の沸騰キシレン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた値を「補正された最終重量」とする。一方、試料の重量からゴム成分以外のポリマー成分(ポリプロピレン樹脂等)及びポリマー成分以外の沸騰キシレン可溶成分(軟化剤等)の重量及びポリマー成分以外の沸騰キシレン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた値を「補正された初期重量」とする。
【0032】
ゲル分率は次式により求められる。
【0033】
【数6】
ゲル分率=「補正された最終重量」/「補正された初期重量」×100
本発明において用いる熱可塑性エラストマー組成物には、酸化防止剤を添加しておくことが好ましい。酸化防止剤として、例えば、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、フェニレンジアミン系のもの等が挙げられる。これらの中では、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリ以上のポリフェノール系、チオビスフェノール系の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の使用割合は、成分(イ)〜(ハ)の合計量に対し、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%である。この添加量が0.01重量%未満では、酸化防止剤の効果が得られにくく、また5重量%を越すと添加量の増加に見合う効果の向上が得られず経済的に不利になったり、着色などの影響が出る場合がある。
【0034】
また、本発明に用いる組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲内において、必要に応じて他の任意の配合成分を配合することができる。
任意成分としては、例えば、架橋剤、架橋助剤、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤等の各種添加物、上記必須成分以外の熱可塑性樹脂、上記必須成分以外のエラストマー、フィラー等を挙げることができ、これらの中から任意のものを単独でまたは併用して用いることができる。
【0035】
ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げることができる。
【0036】
また、任意のエラストマーとしては、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィン系ゴム、ポリブタジエン等を挙げることができる。更に、充填材としては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、金属石鹸、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げることができる。これらは、前記(イ)成分又は前記(ロ)成分又は前記(ハ)成分のいずれかに予め含有させておくか、又は、各成分を均一に混合時、溶融混練時、あるいは動的熱処理時に配合される。
【0037】
本発明において用いる熱可塑性エラストマー組成物は、通常、Tダイ成形法、カレンダー成形法などにより、シートへ押出成形される。シートの厚みは、通常、0.1〜2mm、好ましくは0.2〜1.5mmである。
2)発泡ポリオレフィン層
本発明の積層体における発泡ポリオレフィン層は、発泡倍率が通常、5〜30倍、好ましくは15〜25倍であり、厚みが1〜3mmであるポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド物のシートなどのポリオレフィン系樹脂からなる。本発明の積層体は、上記の発泡ポリオレフィン層を熱可塑性エラストマー層に積層しているので、熱可塑性エラストマー層側から触れた際、よりソフト感を付与することができる。
3)プライマー層
本発明においては、積層体を構成する発泡ポリオレフィン層と発泡ポリウレタン層とがプライマー層を介して接着されている。プライマーとしては飽和ポリエステル、塩素化ポリオレフィン、水酸基又はカルボキシル基を付加した無塩素の変性ポリオレフィン系樹脂を主体としたものが使用出来る。なかでも発泡ポリオレフィンシートとの密着性が良好な塩素化ポリオレフィン、飽和ポリエステルが好ましい。
【0038】
発泡ポリオレフィン層の表面上にプライマー層を形成するには、飽和ポリエステル及び塩素化ポリオレフィンから選ばれた少なくとも1種の化合物を有機溶剤に溶解させ、得られたプライマー層形成用塗布液を常法に従って基材の表面上に塗布すればよい。
上述の飽和ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびその誘導体等が挙げられる。また塩素化ポリオレフィン樹脂としては塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン・α−オレフィン共重合体などが用いられる。中でも耐熱性の観点から塩素化ポリプロピレンが好ましい。
【0039】
飽和ポリエステル、塩素化ポリオレフィンを溶解させるために用いられる有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサン等が挙げられる。プライマー層形成用塗布液中の固形分濃度は2〜50重量%好ましくは10〜15重量%程度である。
本発明においてはプライマーを塗布する前に必要に応じて発泡ポリオレフィンシートの表面にコロナ放電処理を行うことが出来る。コロナ放電処理は放電プラズマの1種であり、放電処理は、高周波発振器に接続する電極バーを非処理物体に対面して行う。出力電圧は約4〜8kV、処理時間は約5〜100秒程度である。コロナ放電処理装置は市販されているものを使用することができる。
【0040】
このようなプライマー処理を発泡ポリオレフィン層の表面に施すことによって発泡ポリオレフィン層と半硬質または硬質の発泡ポリウレタン層との接着性がより強固になる。
4)発泡ポリウレタン層
本発明では、プライマー層を介して発泡ポリオレフィン層に半硬質または硬質の発泡ポリウレタン層が積層されている。上記半硬質または硬質の発泡ポリウレタンとしては、半硬質または硬質の発泡ポリウレタンを、特に制限無く用いることができる。具体的には、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などのイソシアネートとポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリオール類と水との化学反応により発泡させて得られる発泡ポリウレタンなどが用いられる。
2、積層成形体の製造方法
本発明の積層体は、積層体を得た後で所望の形状に2次加工して最終製品とすることが出来る。または、特に自動車用インパネやアームレスト等のような部位毎の厚さが異なるような製品に本発明の積層体を適用する場合には、以下に述べるように一部の層を製品形状に合わせて積層加工する方法が好ましく用いられる。このような場合には、プライマー層を形成した熱可塑性エラストマー層と発泡ポリオレフィン層からなる二層シートで予め凹部を有する成形体を作成し、これに、発泡ポリウレタン層を形成してゆく方法が好適である。以下に各々の製造方法に関して説明する。
【0041】
熱可塑性エラストマー層と、発泡ポリオレフィン層で構成される二層シートは、たとえば上記のような熱可塑性エラストマー組成物のシートと、未発泡の発泡剤入りポリプロピレンシート、未発泡の発泡剤入りポリエチレンシートなどの未発泡の発泡剤入りポリオレフィンシートとを熱融着して一体化した後、上記未発泡のシートを加熱して発泡させることによって得ることができる。また、上記のようなスチレン系熱可塑性エラストマーのシートと、発泡ポリオレフィンシートとを熱融着して一体化することによっても得ることができる。
【0042】
上記二層シートの製造は、一般的にはカレンダーロール、Tダイ若しくは環状ダイを装着した押出機で押出された溶融状態もしくは半溶融状態にあるシート状の熱可塑性エラストマーを、発泡ポリオレフィンシートと積層させた状態で一対のロール間を通して製造することができる。その際熱可塑性エラストマーシートはロール温度約30〜70度の(エンボス加工用)ロール側に、また発泡ポリオレフィンシートは加熱されていない通常ロール側に接触させるようにして製造することが出来る。また、一度押し出し冷却した熱可塑性エラストマーシートを再度加熱し、溶融状態もしくは半溶融状態にし同様に積層する事もできる。他にシート状の熱可塑性エラストマーを発泡体シートと積層させた状態でプレスする方法、二層射出成形等によって積層することも出来る。
【0043】
本発明においては、熱可塑性エラストマーのシート表面に、あらかじめ表面処理および表面加工が施されていてもよい。例えば、熱可塑性エラストマーシートの表面を、後述のプライマー処理した後、エンボス加工してもよい。エンボス加工は、カレンダーロール、Tダイを装着した押出機等から成形されたシートをそのまま溶融あるいは半溶融状態でエンボス加工用ロールとゴムロール等の圧着ロールの間を通す方法、予め、巻き取ったシートを加熱ドラム、赤外線ヒーターにより再加熱し同様にエンボス加工用ロールとゴムロール等の圧着ロールの間を通す方法、断続的にエンボス模様を付した金型を用いてシートをプレスする方法が採用される。また、エンボス模様を付した雌雄金型を用い真空成形によりシートの賦形と同時にエンボス加工する方法も含まれる。なお、エンボス模様とは、シートの表面が皮革状あるいは幾何学状等の凹凸の浮き出し模様にエンボス加工された状態である。
【0044】
プライマー層の形成は、予め二層シートを形成してから、前述のプライマー液を塗布してもよいし、また、発泡ポリオレフィンシートの一方の面にプライマー液を塗布して乾燥した後、発泡ポリオレフィンシートのプライマー層を有していない面と熱可塑性エラストマーシートとを熱融着して二層シートを得てもよいが、後者の方法、即ち、前もってプライマー層を形成した後、二層シートを製造する方が好ましい。
【0045】
上記のようなプライマー液の塗布方法としては、具体的には、スプレーによる塗布、刷毛塗りなどの方法が挙げられる。プライマー液の塗布量は、いずれも固形分換算で、3〜30g/m2、好ましくは5〜15g/m2であり、プライマー層形成用塗布液を複数回に分けて塗布することによってプライマー層を形成してもよく、その際には本発明で特定する範囲内においてそれぞれ異なった組成のプライマー層形成用塗布液を用いることが出来る。上記プライマー液が塗布された発泡ポリオレフィンシートの乾燥条件は、通常、乾燥温度が常温から90℃であり、乾燥時間が約1〜15分である。
【0046】
凹部を有する成形体1の製造は、上記二層シートを凸型金型、あるいは凹型金型を用いて真空成形することによって製造することができる。このような真空成形は、通常、予備加熱温度が100〜190℃、真空圧が500〜700mmHgの条件で行う。
発泡ポリウレタン層の形成は、得られた成形体1の凹部内で、半硬質または硬質の発泡ポリウレタン原料液を注入発泡し、成形体1の凹部を半硬質または硬質の発泡ポリウレタン5で充填する方法で行うことができる。上記半硬質または硬質の発泡ポリウレタン原料液の注入発泡は通常、発泡成形時に、触媒その他の添加剤とともに、水またはフレオン等と、シリコン系界面活性剤を加えたポリオール成分と、イソシアネートとをノズルの先端部にて混合して行なわれる。
【0047】
半硬質または硬質の発泡ポリウレタン原料液としては、具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどのポリオール成分と、MDI、TDI、NDIなどのイソシアネートとの混合液、好ましくは上記のようなポリオール成分およびイソシアネートに水を加えた混合液が用いられる。
上記注入発泡の成形条件は、通常、温度が30〜60℃であり、注入は常圧下で行なわれる。
【0048】
本発明においては、必要に応じて、半硬質または硬質の発泡ポリウレタン5で充填された成形体1の凹部を基板で遮蔽する工程を設けてもよい。上記密閉は、通常、接着剤を用いて行う。また接着剤は、前述した基板の種類に応じて選択すればよい。
本発明の積層成形体の好ましい製造方法は、発泡ポリウレタンシートの表面にプライマー層を形成した後、プライマー層の反対側に熱可塑性エラストマー層を熱融着させて二層シートを得る第1の工程と、前工程で得られた二層シートを、発泡ポリオレフィン層が内側になるように真空成形して、凹部を有する成形体を得る第2の工程と、前工程で得られた成形体の凹部内で、半硬質または硬質発泡ポリウレタン原料液を注入発泡させて、成形体の凹部を半硬質または硬質の発泡ポリウレタンで充填する第3の工程とからなる。
【0049】
この方法を用いて得られる積層成形体は、前記二層シートからなる成形体1の凹部を半硬質または硬質の発泡ポリウレタン5で充填しているので、耐押圧性に優れている。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で使用した材料、および評価方法は以下に示す通りである。
【0051】
<原材料>
成分(イ−1):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量33重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量245,000)。
成分(イ−2)(比較例用):スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量29重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量75,000)。
成分(ロ):パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産(株)製「PW380」)。
成分(ハ):プロピレン系樹脂(日本ポリケム(株)製、メルトフローレート0.9g/10分(230℃、21.2N荷重)
架橋剤(POX):1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ(株)製「パーカドックス14」)
架橋助剤(DVB):ジビニルベンゼン(三成化成(株)製、55%品)
【0052】
<評価方法>
(1)目やに(成形性)
押出成形時のダイス出口への付着物状況を目視観察し、以下に示す5段階で表示した。
5…非常に少ない
4…少ない
3…普通
2…多い
1…非常に多い
(2)ソフト感(触感)
積層体の表面を手で触れてその感触を以下に示す5段階表示した。表面にベタツキ感があるものは本発明の趣旨からは不適であるが、その場合は(ベタツキ)と記載した。
5…非常に柔らかい
4…柔らかい
3…普通
2…硬い
1…非常に硬い
【0053】
(3)耐傷付き性
東洋精機株式会社製(テーバースクラッチテスタ)を用いて、積層体の熱可塑性エラストマー表面をタングステンカーバイト製のカッターで、加重500gにて引っ掻き、目視にて表面を観察し、以下に示す3段階で評価した。
○…傷付かない
△…殆ど傷付かない
×…傷が付く
(4)耐油性
積層体の表層に軽質流動パラフィンナカライテスク株式会社製を垂らし、80℃で24時間放置した。放置後のサンプルの表面を目視観察し、以下に示す3段階で評価した。
○…皺発生せず、膨潤していない
△…若干皺発生、または若干膨潤している
×…皺発生、または膨潤している
【0054】
(5)接着強度
(株)東洋ボールドウィン製(テンシロン200)を用いて、発泡ポリプロピレン層と発泡ウレタン層との接着強度を以下の条件で評価した。
剥離方向角度 180度
剥離速度 200mm/分
測定温度 常温
【0055】
<実施例1>
(1)熱可塑性エラストマーの製造
表1に示す配合量(重量部)にて配合したエラストマー組成物の成分(イ)〜(ハ)の合計量100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」チバスペシャリティーケミカルズ(株)製)0.1重量部を添加し、更に表1に示す量のPOX、DVBを添加し、圧縮比L/Dが41、シリンダー径44mmの二軸押出機を用いて110〜180℃の温度に設定して溶融混練させこれをダイよりストランド状に押し出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
(2)発泡ポリオレフィンシートの表面処理(プライマー層の形成)
発泡ポリプロピレンシート(東レ(株)社製PEF、発泡倍率10倍、厚さ1mm)の片面に、塩素化ポリプロピレン系プライマー(特殊色料工業(株)製「ハイコープU AD402」)をスプレーにてウエット付量140g/m2となるように塗布した後、60℃で1分間乾燥した。
(3)二層(熱可塑性エラストマー層/発泡ポリオレフィン層)シートの製造
渡辺加工機製の45mmφ押出機(シングルフライトタイプスクリュウ)のTダイから、シリンダー温度190℃、ダイス温度210℃、スクリュウ回転数70rpmの条件下、幅250mm、厚さ0.35mmの熱可塑性エラストマー組成物のシートを押し出し、エンボス模様加工用ロール(30℃)と圧着ゴムロールとの間を通すように押し出すに際し、この押し出した熱可塑性エラストマー組成物のシートに、圧着ゴムロールとの間に、更に、前述の表面処理したポリプロピレン発泡体シートを表面処理層と反対側が熱可塑性エラストマー組成物シートに接するように通して二層の積層体を得た。
【0056】
さらにこの熱可塑性エラストマー側のシート表面にコロナ放電処理を行い、濡れ指数40dyn/cmとした後、塩素化ポリプロピレン系プライマー(特殊色料工業(株)製「ハイコープU AD402」)及び無黄変ウレタン系トップコート(特殊色料工業(株)製「ハイコープU EU1110M」)を各々ウエット付量40g/m2、70g/m2となるようにスプレーにて塗布した。
(4)二層シートの真空成形
上記(3)で得られた二層シートを真空成形用凸引き金型を用いて下記の条件で真空成形して、発泡ポリオレフィン層が内側とした、凹部を有する成形体を得た。上記真空成形の条件は、熱可塑性エラストマーシート側の予備加熱温度が110℃であり、ポリプロピレン発泡シート側の予備加熱温度が180℃であり、真空圧が720mmHgである。
(5)注入発泡成形
得られた成形体をウレタン注入用木型にセットした後、下記の組成からなる2液型半硬質発泡ポリウレタン原料液をこの成形体の凹部に注入した。
【0057】
発泡ポリウレタン原料液の組成
TDIプレポリマー(NCOを15%含む) 100重量部
分子量4000の3官能ポリオール 180重量部
分子量400のアミンベースペンタオール 10重量部
水 1.5重量部
トリエチレンジアミン 0.2重量部
注入された原料液は、反応による発泡、膨張を起こし、成形体の開口部および木型に設けられているベントから上記原料液がオーバーフローし、反応が終了した。
【0058】
このようにして、熱可塑性エラストマー層/発泡ポリオレフィン層/発泡ウレタン層の構成を有する積層成形体を得た。得られた積層成形体の発泡ウレタンは、発泡倍率が10倍であり、硬度が85(JIS Cタイプ)であった。得られた積層成形体に対し上述の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0059】
<実施例2、比較例1〜2>
表1に記載の配合を用いたこと以外は実施例1と同様にして積層成形体を得て、同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
<比較例3>
熱可塑性エラストマーとしてポリプロピレンとエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムのブレンド物の動的架橋品であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(三菱化学社製サーモラン3602N)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層成形体を得て、同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0060】
<比較例4>
実施例1において、ポリプロピレン発泡シートの裏面処理工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、積層成形体を得て、同様の評価を実施した。評価結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスチレン系熱可塑性エラストマー積層体の一断面概略図である。
【符号の説明】
1 積層成形体
2 熱可塑性エラストマー層
3 発泡ポリオレフィン層
4 プライマー層
5 発泡ポリウレタン層
【発明の効果】
本発明により、耐押圧性に優れるとともに、耐傷付き性、耐油性、ソフト感、成形性に優れた積層体とそれを用いた積層成形体の製造方法を提供することが可能となる。本発明の積層体は自動車部品の内装部材、例えばインストルメントパネル等に有利に使用することが可能となり、本発明の工業的価値は顕著である。
Claims (7)
- 熱可塑性エラストマー層、発泡ポリオレフィン層、プライマー層及び発泡ポリウレタン層をこの順で有する積層体において、熱可塑性エラストマー層が下記の成分(イ)、(ロ)、(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)と成分(ロ)の合計100重量部に対し、成分(ハ)の割合が1〜300重量部である熱可塑性エラストマー組成物よりなる積層体。
(イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加してなる水添ブロック共重合体
(ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系樹脂 - 一般式(I)に記載のBブロックが共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックである請求項1に記載の積層体。
- 一般式(I)に記載のAブロックがスチレン重合体ブロックであり、Bブロックがブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック又はブタジエン・イソプレン共重合体ブロックであり、かつ成分(イ)中のAブロックの割合が10〜50重量%である請求項1または2に記載の積層体。
- 成分(ハ)が、プロピレン系樹脂である請求項1乃至3の何れか1項に記載の積層体。
- 熱可塑性エラストマー組成物が少なくとも部分的に架橋されたものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の積層体。
- プライマー層が飽和ポリエステル及び塩素化ポリオレフィンから選ばれた少なくとも1種の化合物を含む請求項1乃至5の何れか1項に記載の積層体。
- 発泡ポリオレフィンシートの表面にプライマー層を形成した後、プライマー層の反対側に下記成分(イ)〜(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)と成分(ロ)の合計100重量部に対し、成分(ハ)の割合が1〜300重量部である熱可塑性エラストマー組成物からなるシートを熱融着させて二層シートを得る第1の工程と、
前工程で得られた二層シートを、発泡ポリオレフィン層が内側になるように真空成形して、凹部を有する成形体を得る第2の工程と、
前工程で得られた成形体の凹部内で、半硬質または硬質発泡ポリウレタン原料液を注入発泡させて、成形体の凹部を半硬質または硬質の発泡ポリウレタンで充填する第3の工程とからなる積層成形体の製造方法。
(イ)重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はこれを水素添加してなる水添ブロック共重合体
(ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤
(ハ)オレフィン系樹脂
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