JP2001114978A - 熱可塑性エラストマー樹脂組成物 - Google Patents
熱可塑性エラストマー樹脂組成物Info
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Abstract
みが低く、成形加工性が良く、且つ、得られる成形体表
面のベタツキが無い熱可塑性エラストマー樹脂組成物を
提供する。 【解決手段】(a−1)ビニル芳香族化合物を主体とす
る重合体ブロックA1の少なくとも2個と、共役ジエン
化合物を主体とする重合体ブロックB1の少なくとも1
個とからなるブロック共重合体 85〜15重量%、及
び(a−2)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブ
ロックA2の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主
体とする重合体ブロックB2の少なくとも1個とからな
るブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロッ
ク共重合体 15〜85重量%、よりなるブロック共重
合体樹脂成分(a) 100重量部、(b)非芳香族系
ゴム用軟化剤 30〜300重量部、(c)パーオキサ
イド分解型オレフィン系樹脂、 10〜300重量部、
(d)有機過酸化物 0.5〜5.0重量部(e)架橋
助剤 1.0〜10.0重量部を含有する熱可塑性エラ
ストマー樹脂組成物。
Description
ー樹脂組成物に関し、より詳細には圧縮歪み等の機械的
特性、耐油性、及び成形加工性に優れ、且つ、該組成物
からの成形体はベタツキがない、熱可塑性エラストマー
樹脂組成物に関するものである。
ー(SBS)やスチレン・イソプレン‐プロックポリマ
ー(SIS)などのポリスチレン系熱可塑性エラストマ
ー樹脂の水素添加物を用いた熱可塑性エラストマー樹脂
組成物は、例えば、特開昭58−132032号公報、
特開昭58−145751号公報、特開昭59−535
48号公報、特開昭62−48757号公報などから知
られている。
例えば加熱加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム
弾性を改良するものとして、組成物をシラン変性した架
橋組成物、または、このようなブロック共重合体の水素
添加誘導体を含む組成物を有機過酸化物の存在下に架橋
させて得られる架橋体が提案されており、例えば、特開
昭59−6236号公報、特開昭62−57662号公
報、特公平3−49927、特公平3−11291、特
公平6−13628に示されている。
体は、ショアA硬さで40以上のものばかりである。そ
のため軟化剤の添加量を増量して軟化させることが行わ
れているが、成形品表面にベタツキを生じたり、加熱応
力下において軟化剤のブリードアウトを生じ、実用上好
ましくないと言う問題点がある。また、機械的特性およ
び高温下、例えば100℃における圧縮永久歪みに劣
る。
ロック共重合体、水添石油樹脂、オレフィン系樹脂等を
有機過酸化物により架橋させた樹脂組成物が特開平9−
151295号から知られている。しかし、高温下での
圧縮永久歪みおよびベタツキに関してさらなる改良が望
まれる。
械的特性、特に高温下での圧縮歪みが低く、成形加工性
が良く、且つ、得られる成形体表面のベタツキが無い熱
可塑性エラストマー樹脂組成物に関する。
(a−1)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロ
ックA1の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体
とする重合体ブロックB1の少なくとも1個とからなる
ブロック共重合体 85〜15重量%、及び(a−2)
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA2の
少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合
体ブロックB2の少なくとも1個とからなるブロック共
重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体
15〜85重量%、よりなるブロック共重合体樹脂成分
(a) 100重量部、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤
30〜300重量部、(c)パーオキサイド分解型オ
レフィン系樹脂、 10〜300重量部、(d)有機過
酸化物 0.5〜5.0重量部(e)架橋助剤 1.0
〜10.0重量部を含有する熱可塑性エラストマー樹脂
組成物である。上記組成物に1〜50重量部の(f)液
状ポリブタジエンをさらに配合することが好ましい。ま
た、上記(a−1)ビニル芳香族化合物を主体とする重
合体ブロックA1の少なくとも2個と、共役ジエン化合
物を主体とする重合体ブロックB1の少なくとも1個と
からなるブロック共重合体の重量平均分子量が、10
0,000〜300,000である事が好ましい。
ついて、説明する。 (a)成分 ブロック共重合体樹脂成分 本発明における(a)ブロック共重合体樹脂成分は、
(a−1)成分と(a−2)成分からなる。(a−1)
成分は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロッ
クA1の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロックB1の少なくとも1個とからなるブ
ロック共重合体であり、(a−2)成分は、ビニル芳香
族化合物を主体とする重合体ブロックA2の少なくとも
2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック
B2の少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水
素添加して得られるものである。例えば、A−B−A、
B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどの構造を有す
るビニル芳香族化合物‐共役ジエン化合物ブロック共重
合体、あるいは、これらの水素添加されたもの等を挙げ
ることができる。
の割合で併用することにより、柔軟性、耐油性、および
高温下での圧縮永久歪みが向上され、且つ、成形体のベ
タツキがなくなる。(a−1)成分は、(b)成分の軟
化剤を樹脂内に取り込み、成形体のベタツキを無くし、
また、耐油性、高温での物性劣化を抑える。(a−2)
成分は、耐摩耗性および耐候性を向上し、また、耐油
性、高温での物性劣化を抑える。
ロックA1は、好ましくは、ビニル芳香族化合物のみか
ら成るか、またはビニル芳香族化合物50重量%超、好
ましくは70重量%以上と共役ジエン化合物との共重合
体ブロックである。
ロックA2は、好ましくは、ビニル芳香族化合物のみか
ら成るか、またはビニル芳香族化合物50重量%超、好
ましくは70重量%以上と共役ジエン化合物及び/又は
水素添加された共役ジエン化合物との共重合体ブロック
である。
ックB1およびB2は、好ましくは共役ジエン化合物の
みから成るか、または共役ジエン化合物50重量%超、
好ましくは70重量%以上とビニル芳香族化合物との共
重合体ブロックである。
重合体ブロックA1およびA2、共役ジエン化合物を主
体とする重合体ブロックB1およびB2のそれぞれにお
いて、分子鎖中のビニル化合物または共役ジエン化合物
の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマ
ー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状ま
たはこれらの任意の組合せでなっていてもよい。ビニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロック或いは共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックが2個以上ある
場合には、それぞれが同一構造であっても異なる構造で
あってもよい。
化合物としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、p‐第3ブチルスチレンなどのう
ちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレン
が好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、
ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,
3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種
または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレ
ンおよびこれらの組合せが好ましい。
ては、SBS、SIS等を挙げることができる。本発明
において、特に好ましいブロック共重合体は、スチレン
を主体とする重合体ブロックA1と、ブタジエン又はイ
ソプレンを主体としかつブタジエン又はイソプレンの4
0〜100重量%が1,2−ミクロ構造、1,3−ミク
ロ構造、又は3,4−ミクロ構造を有するところの重合
体ブロックB1とからなるブロック共重合体である。好
ましくは、ブタジエン又はイソプレンの45〜100重
量%が1,2−ミクロ構造、1,3−ミクロ構造、又は
3,4−ミクロ構造を有するところの重合体ブロックB
とからなる重量平均分子量が100,000〜300,
000、好ましくは150,000〜250,000のブロック共重合
体である。該分子量が100,000未満であると、耐
油性、高温下での永久圧縮歪みの改良が見られず、一
方、300,000を超えると、樹脂組成物中で相分離
を生じる場合がある。
としては、SEBS、SEPS等を挙げることができ
る。本発明において、特に好ましい水添ブロック共重合
体は、スチレンを主体とする重合体ブロックA2と、イ
ソプレンを主体としかつイソプレンの70〜100重量
%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレンに基
づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加され
たところの重合体ブロックB2とからなる重量平均分子
量が50,000〜550,000の水添ブロック共重
合体である。更に好ましくは、イソプレンの90〜10
0重量%が1,4−ミクロ構造を有する水添ブロック共
重合体である。
〜85重量%:85〜15重量%、好ましくは55〜8
0重量%:45〜20重量%、さらに好ましくは、60
〜80重量%:40〜20重量%で配合する。(a−
2)成分が15重量%未満であると、耐油性、高温下で
の圧縮永久歪みが劣り、一方85重量%を超えると 樹脂
組成物中で相分離したり、成形が困難となる。(a−
1)成分と(a−2)成分は他の成分と一括混練して、
又は、予め双方の成分をブレンドしてブロック共重合体
樹脂成分にした後に他の成分と混練してもよい。
ては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法と
しては、例えば特公昭40−23798号明細書に記載
された方法により、リチウム触媒またはチーグラー型触
媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて得るこ
とができる。上記方法により得られたブロック共重合体
に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加
することにより水添ブロック共重合体が得られる。
は液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることがで
きる。ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族
環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさ
った混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の
50%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテ
ン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族
炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別さ
れている。
油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフ
テン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用に
より成分(a)が可溶となり、架橋反応を阻害し、得ら
れる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。
成分(b)としては、パラフィン系のものが好ましく、
更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが
特に好ましい。これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状
は、37.8℃における動的粘度が20〜500cS
t、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が1
70〜300℃を示す。
重量部に対して、30〜300重量部、好ましくは、8
0〜200重量部である。300重量部を越える配合
は、軟化剤のブリードアウトを生じやすく、最終製品に
粘着性を与えるおそれがあり、機械的性質も低下せしめ
る。また、配合量が30重量部未満では、得られる組成
物の柔軟性が失われることになる。成分(b)の一部
を、パーオキサイド存在下での熱処理の後に配合するこ
ともできるが、ブリードアウトを生じる要因となるので
好ましくない。成分(b)は、重量平均分子量が100
〜2,000のものが好ましい。
フィン系樹脂 本発明の成分(c)は、得られる組成物中のゴム分散を
良好にし、成形品の外観を良好にする効果を有する。本
発明の成分(c)として適したパーオキサイド分解型オ
レフィン系樹脂は、そのホモ部分のDSC測定により、
Tmが150℃〜167℃、△Hmが25mJ/mg〜
83mJ/mgの範囲のものである。結晶化度はTm、
△Hmから推定することができる。Tm及び△Hmが上
記範囲以外のものでは、得られるエラストマー組成物
の、100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
は、次の2種類を組み合わせて用いるのが好ましい。架
橋反応前に配合するパーオキサイド分解型オレフィン系
樹脂は、高分子量のホモ型のポリプロピレン、例えばア
イソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他の少量
のα−オレフィン例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘ
キセン、4−メチル−1−ペンテン等との共重合体が好
ましい。該樹脂のMFR(ASTM‐D‐1238、L
条件、230℃)は、好ましくは0.1〜10g/10
分、より好ましく0.1〜5g/10分、更に好ましく
は0.1〜3g/10分である。架橋反応後に配合する
パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、良流動性の
ブロック、ランダム、ホモタイプのPPの一以上、例え
ばアイソタクチックポリプロピレン、又はプロピレンと
他の少量のα−オレフィン例えばエチレン、1−ブテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等との共
重合体が好ましい。該樹脂のMFRは、好ましくは5〜
200g/10分、より好ましくは8〜150g/10
分、更に好ましくは10〜100g/10分である。
ド分解型オレフィン系樹脂のMFRが0.1g/10分
未満では、得られるエラストマーの成形性が低下し、M
FRが10g/10分を越えると、得られるエラストマ
ー組成物のゴム弾性が悪化するので好ましくない。架橋
反応後に配合する場合、パーオキサイド分解型オレフィ
ン系樹脂のMFRが5g/10分未満では、得られるエ
ラストマーの成形性が低下し、MFRが200g/10
分を越えると、得られるエラストマー組成物のゴム弾性
が悪化するので好ましくない。
重量部に対して10〜300重量部、好ましくは20〜
200重量部である。10重量部未満では成形性が悪化
し、300重量部を越えると、得られるエラストマー組
成物の硬度が高くなりすぎて柔軟性が失われれ、ゴム的
感触の製品が得られない。本発明において、成分(c)
の一部、好ましくは少なくとも3重量部が有機過酸化物
の存在下での熱処理に付され、そして成分(c)の残
部、好ましくは少なくとも5重量部が該熱処理後に配合
される。このように成分(c)を分割して加えることに
より、各成分が均一に分散するので、成形品の表面での
ベタツキがなくなるとともに成形性が良好になる。
後に配合する量(Y)の割合は、X<Yにした方が、よ
り優れたゴム弾性を有した樹脂が得られるので好まし
い。上記添加割合X、Yは、射出成形、押出成形などの
それぞれの最終成形方法によって決定することができ
る。
クミルパーオキサイド、ジ‐tert‐ブチルパーオキ
サイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐
ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,
5ジ(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3、
1,3−ビス(tert‐ブチルパーオキシイソプロピ
ル)ベンゼン、1,1‐ビス(tert‐ブチルパーオ
キシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、n‐
ブチル‐4,4‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)
バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p‐クロロベ
ンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイル
パーオキサイド、tert‐ブチルパーオキシベンゾエ
ート、tert‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボ
ネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオ
キサイド、tert‐ブチルクミルパーオキサイドなど
を挙げることができる。
安定性の点で、2,5‐ジメチル2,5‐ジ‐(ter
t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル
2,5‐ジ‐(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキシン
‐3が最も好ましい。
0重量部に対して0.5〜5.0重量部が好ましく、更
に好ましくは1.0〜3.0重量部である。
ては、有機過酸化物による部分架橋処理に際し、ジビニ
ルベンゼン、トリアリルシアヌレートのような多官能性
ビニルモノマー、又はエチレングリコールジメタクリレ
ート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエ
チレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリ
コールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能
性メタクリレートモノマーを架橋助剤として配合するこ
とができる。このような化合物により、均一かつ効率的
な架橋反応が期待できる。
リコールジメタクリレートが、取扱いやすく、かつ有機
過酸化物可溶化作用を有し、有機過酸化物の分散助剤と
して働くため、熱処理による架橋効果が均一かつ効果的
で、硬さとゴム弾性のバランスのとれた架橋熱可塑性エ
ラストマーが得られるため、最も好ましい。更に、トリ
エチレングリコールジメタクリレートは、ポリエステル
系熱可塑性エラストマーとの相溶性も良好で、成形品の
表層剥離が抑えられる。
成分(a)100重量部に対して、0.1〜10.0重
量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.0〜8.
0重量部であり、より好ましくは1.5〜4.0重量部
である。架橋助剤の添加量は有機過酸化物の添加量の約
2〜2.5倍の割合が好ましい。
―結合型、トランス1,4−結合型、シス1,4−結合
型からなる、室温において透明な液状の重合体である。
ここでビニル1,2−結合は30重量%以下であること
が好ましく、ビニル1,2−結合が30重量%を越えて
は、得られる組成物の低温特性が低下するため好ましく
ない。
上限が好ましくは5000、更に好ましくは、4000
であり、下限が好ましくは、1000、更に好ましくは
3000である。前記下限未満では、得られる組成物の
耐熱変形性が低下し、前記上限を超えては、得られる組
成物の相溶性が低下する。
基、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基から選
ばれる1種又は2種の基を有する共重合性物であること
が好ましい。なかでも、水酸基と共重合反応性不飽和二
重結合とを有するものが特に好ましく、市販品として
は、例えば、出光石油化学株式会社製 R−45HTが
挙げられる。
重量部に対して、上限が50重量部、好ましくは、10
重量部であり、下限は0重量部、好ましくは1重量部、
より好ましくは、3重量部である。上限を超えては、組
成物の機械的特性が悪化する。
必要に応じて無機充填剤を配合することができる。無機
充填剤は成形品の圧縮永久歪みなど一部の物性を改良す
る効果のほかに、増量による経済上の利点を有する。用
いられる無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タル
ク、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、硫酸バリウ
ム、天然けい酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、酸
化チタン、カーボンブラックなどがある。これらのう
ち、炭酸カルシウム、タルクが特に好ましい。配合量は
成分(a)100重量部に対して、好ましくは100重
量部以下、特に好ましくは60重量部以下である。10
0重量部を越えると、得られるエラストマー組成物の機
械的強度の低下が著しく、かつ、硬度が高くなって柔軟
性が失われ、ゴム的な感触の製品が得られなくなる。
各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色
剤等を含有することも可能である。ここで、酸化防止剤
としては、例えば、2,6‐ジ‐tert‐p‐ブチル
‐p‐クレゾール、2,6‐ジ‐tert‐ブチルフェ
ノール、2,4‐ジメチル‐6‐tert‐ブチルフェ
ノール、4,4‐ジヒドロキシジフェニル、トリス(2
‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐tert‐ブチルフェ
ニル)ブタンなどのフェノール系酸化防止剤、ホスファ
イト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げ
られる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイ
ト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、上記の
成分(a)〜(e)の合計100重量部に対して、上限
が好ましくは3.0重量部、特に好ましくは1.0重量
部である。
上記(a)〜(e)及び(f)を任意の順序で又は同時
に溶融混練することにより製造することができる。溶融
混練の方法に特に制限はなく、公知の方法を使用し得
る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバ
リーミキサー又は各種のニーダー等を使用し得る。2軸
混練機を用いる場合には、例えば、スクリュー回転数1
00rpm、混練温度180〜240℃で溶融混練を行
う。以下、実施例、及び、比較例により本発明を更に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
法は次の通りである。 1)硬さ:JIS K 7215に準拠した。試験片は、溶融混練
によって得られたペレットを、240℃で、6.3mm厚
にプレスしたシートを用いた。 2)引張強さ:JIS K 7161に準拠し、試験片は1mm厚プ
レスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。
引っ張り速度は500mm/分とした。 3)100%伸び応力:JIS K 7161に準拠し、試験片1m
m厚プレスシートを、ダンベルで3号3号型に打抜いて使
用した。引っ張り速度は500mm/分とした。 4)破断伸び: JIS K 7161に準拠し、試験片1mm厚プレ
スシートを、ダンベルで3号3号型に打抜いて使用した。
引っ張り速度は500mm/分とした。 5)圧縮永久歪み: JIS K7181に準拠し、試験片は6.
3mm厚プレスシートを使用した。120℃×72時間、25%変
形の条件にて測定した。 6)耐油性: JIS K 7161に準拠し、試験片は1mm厚プレ
スシートをダンベルで3号型に打抜いて使用した。ASTM2
号油(IRM #902)を使用し、100℃×24時間の引張
強さ残率、伸び残率を測定した。引っ張り速度は500mm
/分とした。 7)テーバー耐摩耗性:JIS K 7204に準拠し、試験片と
して2mm厚プレスシートを用い、磨耗輪H-22、100
0回転後の摩耗量(mg)を測定した。 8)射出成形性:型締め圧120トンの射出成形機で、12.
5×13.5×1mmのシートを下記の成形条件で成形した。 成形温度 220℃ 金型温度 40℃ 射出速度 55mm/秒 射出圧力 1400kg/cm2 保圧圧力 4001400kg/cm2 射出時間 6秒 冷却時間 45秒 デラミネーション、変形及び著しく外観を悪化させる様
なフローマークの有無を評価した。表1中、フローマー
ク等が認められないものを○、若干でも認められたもの
を×とした。 9)押出・ブロー成形性 押出成形性 40mm押出機で、幅 40mm、厚さ1mm、の帯状のシー
トを押出した。この時の成形条件は、成形温度:ダイス
温度200℃、スクリュー回転数 40rpmであった。ブツが
なく、エッジ成形性が良好、であり且つ光沢も均一であ
るものを○、ブツが多く、外観不良があり、光沢が不均
一であるものを×とした。 ブロー成形性 65mm押出機で、50mm径の中空円柱形の成形品を押出ブ
ローで得た。この時の成形条件は、成形温度: 170〜20
0℃、ブロー時間 5秒、空気圧:1kg/cm2、冷却時間:
10秒であった。ドローダウンがなく、十分に延伸し、
表面性が良好であるものを○、ドローダウンが若干発生
したが、十分に延伸し、表面性が良好であるものを△、
ドローダウンが激しく、また外観不良が認められたもの
を×とした。 10)成形品のベタツキ 試験片の6.3mm厚プレスシートを、100℃×22
時間の環境下で50%圧縮した後、目視による低分子量
物のブリード及びブルーミングの有無、更に触感による
ベトツキの有無により評価した。ベトツキのないものを
○、若干ベトツキがあるものを△、ベトツキがあるもの
を×とした。
下記の通りである。 成分(a−1): ブロック共重合体−1 スチレン・ブタジエン・スチレ
ン共重合体 商品名:アサプレン T−430 スチレンの含有量:30重量% 数平均分子量:130,000 重量平均分子量:200,000 分子量分布:1.5 ブロック共重合体−2 スチレン・ブタジエン・スチレ
ン共重合体 重量平均分子量 80,000 成分(a−2):水添ブロック共重合体 製造会社:クラレ社製 商品名:セプトン4077 (商標) 種類:スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重
合体 スチレンの含有量:30重量% イソプレンの含有量:70重量% 数平均分子量:260,000 重量平均分子量:320,000 分子量分布1.23 水素添加率:90%以上 成分(b):非芳香族系ゴム軟化剤 製造会社:出光興産社製 商品名:ダイアナプロセスオイル PW−90 (商
標) 種類:パラフィン系オイル 重量平均分子量:540 芳香族成分の含有量:0.1%以下 成分(c):ポリプロピレン系樹脂 製造会社:グランドポリマー社製 商品名:CJ−700 種類:ホモポリプロピレン 密度:0.9g/cm3 結晶化度:Tm 166℃、△Hm:82mJ/mg 成分(d):有機過酸化物 製造会社:日本油脂株式会社製 商品名:パーヘキサ25B 種類:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキサン 成分(e):架橋助剤 製造会社:新中村化学社製 商品名:NKエステル3G 種類:トリエチレングリコールジメタクリレート 成分(f):液状ポリブタジエン 製造会社:出光石油化学工業株式会社製 商品名:R‐45HT 種類:官能基として水酸基(アクリル型1級)と共重合
反応性不飽和二重結合(1, 4結合:80%)を持
つ。 数平均分子量:2800
対して40重量部の炭酸カルシウム(三共精粉株式会社
製、商品名:RS400)を一括で、2軸押出機(L/
D=46)を使用し、混練温度180〜240℃および
スクリュー回転数350rpmで溶融混練した。
らの樹脂は、高温での圧縮永久歪みをはじめとして各種
機械的強度、耐摩耗性、および耐油性に優れる。これに
対して、(a−1)成分を含まないもの(比較例1
0)、又は(a−1)成分が(a)の15重量%未満で
あるもの(比較例1)は、共に耐油性が悪かった。(a
−1)成分の分子量が8万の組成物(実施例6)は、分
子量が20万の組成物(実施例1〜5)に比べ、押出・ブ
ロー成形性およびべたつきが若干劣った。また、(a−
2)成分を含まないもの(比較例11)、又は(a−
2)成分が(a)の15重量%未満であるもの(比較例
2)は、共に、テーバー耐摩耗性が悪かった。成分
(b)ゴム用軟化剤を、本発明の範囲を超えて含有する
もの(比較例3および4)は、成形性が悪く、機械的強
度の評価を行なうことができなかった。成分(c)パー
オキサイド分解型オレフィン系樹脂を多くすることによ
り(比較例6)、耐油性は向上するが、成形体が大変に
硬くなりA硬度の範囲を超えた。
および共役ジエン化合物から主としてなるブロック共重
合体と水添ブロック共重合体を所定割合で含有する樹脂
成分を含むので、ベタツキがなく、耐油性、耐摩耗性、
および機械的強度に優れる。
Claims (3)
- 【請求項1】(a−1)ビニル芳香族化合物を主体とす
る重合体ブロックA1の少なくとも2個と、共役ジエン
化合物を主体とする重合体ブロックB1の少なくとも1
個とからなるブロック共重合体 85〜15重量%、及
び(a−2)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブ
ロックA2の少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主
体とする重合体ブロックB2の少なくとも1個とからな
るブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロッ
ク共重合体 15〜85重量%、よりなるブロック共重
合体樹脂成分(a) 100重量部、(b)非芳香族系
ゴム用軟化剤 30〜300重量部、(c)パーオキサ
イド分解型オレフィン系樹脂、 10〜300重量部、
(d)有機過酸化物 0.5〜5.0重量部(e)架橋
助剤 1.0〜10.0重量部を含有する熱可塑性エラ
ストマー樹脂組成物。 - 【請求項2】(f)液状ポリブタジエン 1〜50重量
部をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の
熱可塑性エラストマー樹脂組成物。 - 【請求項3】(a−1)ビニル芳香族化合物を主体とす
る重合体ブロックA1の少なくとも2個と、共役ジエン
化合物を主体とする重合体ブロックB1の少なくとも1
個とからなるブロック共重合体の重量平均分子量が10
0,000〜300,000である事を特徴とする請求
項1、又は、請求項2に記載の熱可塑性エラストマー樹
脂組成物。
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- 1999-10-21 JP JP29973699A patent/JP2001114978A/ja active Pending
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