JP2004243544A - 熱可塑性エラストマーを基材とした積層体及び積層管状体 - Google Patents

熱可塑性エラストマーを基材とした積層体及び積層管状体 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性、耐塩素水性に優れた水道用ホース、チューブ、パイプとして有用な積層体及び積層管状体を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマー層と架橋したオレフィン系樹脂層とを積層してなる積層体及び積層管状体であって、上記熱可塑性エラストマー層が下記成分(イ)〜(ハ)を含有することを特徴とする。
成分(イ) 重量平均分子量が8万〜100万であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体及び/又はその水添ブロック共重合体
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n ……(I)
(式中、Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック、Bはエラストマー性重合体ブロックであり、nは1〜5の整数である。)
成分(ロ) 炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(ハ) オレフィン系樹脂
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は積層体及び積層管状体に関し、さらに詳しくは柔軟性、耐塩素水性に優れた水道用ホース、チューブ、パイプとして有効に使用される積層体及び積層管状体に関する。
【0002】
【従来の技術】
給水、給湯設備用パイプ分野において使用されている金属管はサビによる赤水発生や施工の省力化等の問題が存在するため、近年、金属管から樹脂管への転換が進んでいる。このパイプ用樹脂としては高温での内圧クリープ耐久性及び温度特性及び耐塩素水性の良好なシラン架橋ポリエチレンが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この樹脂は非常に硬く柔軟性に劣り、曲げて使用することは難しい。また、近年ゴム的な軟質材料であって加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性を有する熱可塑性エラストマーが、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、雑貨、履物等の分野で広く用いられている。このような熱可塑性エラストマーとしてオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー等多種の熱可塑性エラストマーが提案されているが(例えば、特許文献2参照。)、これらをチューブやホースに押出成形したものは耐塩素水性が不十分であり、高温水下での使用に問題が指摘されている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−170684号公報
【特許文献2】特開昭58−206644号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、さらに詳しくは柔軟性、耐塩素水性に優れた水道用ホース、チューブ、パイプとして有効に使用される積層体及び積層管状体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性エラストマー層に架橋したオレフィン系樹脂層を積層してなる積層体が前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明の要旨は、熱可塑性エラストマー層と、架橋したオレフィン系樹脂層とを積層してなる積層体、及び熱可塑性エラストマー層の内面に架橋したオレフィン系樹脂層を積層して得られる積層管状体にある。
【0006】
また、詳しくは上記熱可塑性エラストマー層が下記の成分(イ)〜成分(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲であって、且つ成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部分あたり成分(ハ)の含有量が1〜300重量部の混合物を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる積層体および積層管状体にある。
成分(イ) 重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体、及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n ……(I)
(ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
成分(ロ) 炭化水素系ゴム用軟化剤
成分(ハ) オレフィン系樹脂
【0007】
【発明の実施の形態】
[1]熱可塑性エラストマー
本発明の熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系樹脂とエチレン−α−オレフィン系共重合体を架橋剤の存在下で動的に熱処理したオレフィン系熱可塑性エラストマーや、オレフィン系樹脂とスチレン系ゴムと炭化水素系ゴム用軟化剤からなるスチレン系熱可塑性エラストマーや、エステル系熱可塑性エラストマーが使用可能であるが、材料の成形性、柔軟性の観点から、中でもスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0008】
1)成分(イ)
本発明で用いられる熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分(イ)は下記一般式(I)で示されるブロック共重合体および/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n ……(I)
(ただし、式中Aはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
上記ブロック共重合体においてビニル芳香族炭化水素の重合体であるAブロックはハードセグメントを、エラストマー性重合体であるBブロックはソフトセグメントを構成する。ブロック共重合体の代表例は、Aブロック−Bブロック又はAブロック−Bブロック−Aブロックで表される共重合体構造を有し、Bブロックの二重結合が部分的に或いは完全に水素添加されていてもよいブロック共重合体であって、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとして知られているものである。
【0009】
上記ブロック共重合体を構成するAブロックにおけるビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられ、中でも、スチレンが好ましく、又、Bブロックとしてはエラストマー性が発現されれば共役ジエンからなるものでも共役ジエン以外のものからなるものでもよく、特に制約は無いが、共役ジエンからなるものが好ましく、共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、中でも、ブタジエン、イソプレン、又は、ブタジエン/イソプレンが重量比で2/8〜6/4の割合の両者混合物であるのが好ましい。
【0010】
本発明において、上記ブロック共重合体及び水素添加ブロック共重合体としては、Aブロックの含有量が10〜50重量%であるものが好ましく、15〜45重量%であるものが更に好ましく、20〜40重量%であるものが特に好ましい。Aブロックの含有量が前記範囲未満では、積層体として機械的強度、耐熱性が劣る傾向となり、一方、前記範囲超過では、柔軟性、ゴム弾性が劣ると共に、後述する成分(ロ)の炭化水素系ゴム用軟化剤のブリードが生じ易い傾向となる。
【0011】
又、Bブロックを構成する共役ジエンとしてブタジエンのみが用いられている場合、積層体としての触感を良好にする面から、Bブロックにおける共役ジエンの1,2−結合の割合が20〜50%、特に25〜45%であるものが好ましい。
また、成分(イ)は上記ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であることが好ましい。この時のBブロックとしての共役ジエン重合体ブロックの二重結合の水素添加率は、30%以上、好ましくは50%以上、特に90%以上であるものが好ましい。水素添加率が前記範囲未満では、積層体として耐候性、耐熱性が劣る傾向となる。
【0012】
又、本発明におけるブロック共重合体及び水素添加ブロック共重合体は、重量平均分子量が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量として、80,000〜1,000,000であることが必須であり、100,000〜500,000であるのが好ましく、150,000〜400,000であるのが特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲未満では、積層体としてゴム弾性、機械的強度が劣り押出成形加工性も劣る傾向にある。一方、前記範囲超過では、押出成形加工性が劣ることとなる。
【0013】
本発明に用いるブロック共重合体の製造方法としては、上記の構造・物性が得られるものであればどのような製造方法を用いてもよい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって得ることができる。また、これらのブロック共重合体の水素添加処理は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、あるいは特開昭59−133203号公報および特開昭60−79005号公報に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下で行うことができる。このようなブロック共重合体の市販品としては、「KRATON−G」(クレイトンポリマー社)、「セプトン」(株式会社クラレ)、「タフテック」(旭化成株式会社)等の商品が例示できる。また、スチレンまたはその誘導体、次いでエラストマー性ブロックを重合し、これをカップリング剤によりカップリングして得ることもできる。また、ジリチウム化合物を開始剤としてエラストマー性ブロックを重合し、次いで、スチレンまたはその誘導体を逐次重合して得ることもできる。
【0014】
2)成分(ロ)
本発明で用いる熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分(ロ)の炭化水素系ゴム用軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系の鉱物油系炭化水素、及び、ポリブテン系、ポリブタジエン系等の低分子量物等の合成樹脂系炭化水素等が挙げられるが、中でも、鉱物油系炭化水素が好ましく、又、重量平均分子量で300〜2,000、特に500〜1,500の分子量を有するものが好ましい。
【0015】
鉱物油系炭化水素からなるゴム用軟化剤は、一般に、芳香族系炭化水素、ナフテン系炭化水素、及びパラフィン系炭化水素の混合物で、パラフィン系炭化水素の炭素数が全炭素数中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイル、ナフテン系炭化水素の炭素数が全炭素数中の30〜45%のものがナフテン系オイル、芳香族系炭化水素の炭素数が全炭素数中の30%以上のものが芳香族系オイルと、それぞれ呼ばれているが、本発明においては、パラフィン系オイルが特に好ましい。
【0016】
又、ゴム用軟化剤としての前記鉱物油系炭化水素は、40℃の動粘度が20〜800cSt(センチストークス)、特に50〜600cStであるもの、流動点が−40〜0℃、特に−30〜0℃であるもの、引火点が200〜400℃、特に250〜350℃であるもの、がそれぞれ好ましい。
3)成分(ハ)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構成する成分(ハ)のオレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン系樹脂を挙げることができる。これらのオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が好適に用いられ、その具体例としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂、プロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂等が例示できる。重合様式は、樹脂状物が得られればどのような重合様式を採用しても差し支えない。
【0017】
これらのプロピレン系樹脂のメルトフローレート(JIS−K7210、230℃、21.2N荷重)は通常0.05〜200g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分である。メルトフローレートが上記範囲以外のものを用いたときには、積層体の二次加工時における均一延展性が不良となる傾向となる。
4)配合割合
本発明の積層体は、前記成分(イ)、前記成分(ロ)及び前記成分(ハ)を含有してなるが、これら各成分の組成割合は、成分(イ)と成分(ロ)との合計に対して、前記成分(イ)が20〜80重量%、前記成分(ロ)が80〜20重量%であって、その成分(イ)と成分(ロ)との合計100重量部に対して前記成分(ハ)が1〜300重量部であるのが必須であり、成分(イ)が25〜70重量%、成分(ロ)が75〜30重量%であって、成分(ハ)が5〜200重量部であるのが好ましく、成分(イ)が30〜60重量%、成分(ロ)が70〜40重量%であって、成分(ハ)が10〜100重量部であるのが特に好ましい。
【0018】
ここで、成分(イ)が前記範囲未満で成分(ロ)が前記範囲超過では、積層体として触感が劣ると共に軟化剤の耐ブリード性が低下することとなり、一方、成分(イ)が前記範囲超過で成分(ロ)が前記範囲未満では、柔軟性及び押出成形加工性が劣ることとなる。又、成分(ハ)が前記範囲未満では、積層体として押出成形加工性が劣ることとなり、一方、前記範囲超過では、柔軟性及びゴム弾性が劣ることとなる。
【0019】
尚、本発明で用いられる熱可塑性エラストマーは、前記成分(イ)、(ロ)、及び(ハ)を含有してなる組成物であるが、架橋剤の存在下に動的に熱処理されていてもよく、この動的熱処理により、積層体の耐熱性、耐油性、積層管状体の耐キンク性を向上させることが可能となる。架橋剤としては有機過酸化物、マレイミド系架橋剤、硫黄、フェノール系架橋剤、オキシム類、ポリアミン等が用いられるが有機過酸化物、マレイミド系架橋剤、フェノール系架橋剤が好ましく、特には有機過酸化物が好ましい。
【0020】
5)動的熱処理
ここで、動的に熱処理するとは、前記成分(イ)、(ロ)、及び(ハ)、必要に応じ有機過酸化物又は更に架橋助剤をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等の混練装置を用いて溶融混練した組成物を、必要に応じ架橋剤の存在下に又は更に架橋助剤の存在下にて混練することであり、通常、有機過酸化物を成分(イ)〜(ハ)の合計100重量部に対して0.1〜3重量部、好ましくは0.1〜1重量部、架橋助剤を5重量部以下、好ましくは0.1〜3重量部用いて、通常、100〜300℃、好ましくは110〜280℃の温度で、10秒〜30分、好ましくは20秒〜20分間の時間行う。また、動的熱処理時の材料の状態は使用する材料の種類や動的熱処理温度によって異なり、通常は半溶融状態または溶融状態となるが、特に制限されない。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いても良い。
【0021】
尚、前記動的熱処理時に用いられる有機過酸化物としては、具体的には、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。中でも、1分間の半減期温度が140℃以上のものが好ましく、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン又は2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が好ましい。
【0022】
又、前記動的熱処理時に前記有機過酸化物と共に必要に応じて用いられる架橋助剤としては、具体的に、例えば、硫黄、p−キノンジオキシム、p−ジニトロソベンゼン、1,3−ジフェニルグアニジン、m−フェニレンビスマレイミド等の過酸化物架橋用助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。中でも、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0023】
架橋処理を行うことにより、組成物のゲル分率が上がり、ゴム弾性(圧縮永久歪み率)、耐油性等が改善される。ここでいう「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測定したゴム成分のゲル分率(沸騰キシレン不溶解分)が例えば10%以上、特に20%以上98%未満である場合をいう。「完全に架橋された」とは、98%以上である場合をいう。本発明においては30%以上であることが好ましい。
【0024】
ゲル分率(沸騰キシレン不溶解分)の測定法としては熱可塑性エラストマーの試料を約100mg秤量し、50mlの沸騰キシレンに10時間浸漬する。次にこの試料を濾紙上に取り出し室温にて72時間静置し乾燥させる。この乾燥残さの重量からポリマー成分以外の沸騰キシレン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた値を「補正された最終重量」とする。一方、試料の重量からポリマー成分以外の沸騰キシレン可溶成分(軟化剤等)の重量及びポリマー成分以外の沸騰キシレン不溶成分(フィラー、充填剤等)の重量を減じた値を「補正された初期重量」とする。
【0025】
ゲル分率は次式により求められる。
ゲル分率=「補正された最終重量」/「補正された初期重量」×100
6)その他の配合成分
また本発明では、本発明の目的を損わない範囲内において、必要に応じて、各種熱可塑性樹脂やゴム、及び、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、タルク、マイカ、シリカ、チタニア、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の充填剤、並びに、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、分散剤、難燃剤、導電性付与剤、分子量調整剤、防菌剤、防黴材、蛍光増白剤、着色剤等を含有していてもよく、これらは、前記成分(イ)又は前記成分(ロ)又は前記成分(ハ)のいずれかに予め含有させておくか、又は、各成分を均一に混合する時、溶融混練する時或いは動的熱処理する時に配合される。
【0026】
ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を挙げることができる。
【0027】
また、任意のゴムとしては、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィン系ゴム、ポリブタジエン等、また必須成分以外のスチレン系共重合体ゴム等を挙げることができる。
[2]架橋オレフィン系樹脂
架橋オレフィン系樹脂としては、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、結晶性ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を挙げることができる。これらのオレフィン系樹脂の中でも、エチレン系樹脂が柔軟性の観点から好適に用いられ、その具体例としては、高密度ポリエチレン(低圧法ポリエチレン)、低密度ポリエチレン(高圧法ポリエチレン)、線状低密度ポリエチレン(エチレンと少量の好ましくは1〜10モル%のブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのα−オレフィンとのコポリマー)などのポリエチレン系樹脂が挙げられる。
【0028】
このポリエチレン系樹脂の架橋体を得るには有機過酸化物や放射線によるものやシラン架橋法により可能であるが、中でも耐塩素水性や熱可塑性エラストマーとの熱融着の観点から、シラン架橋法が好ましい。
シラン架橋するには、特公昭48−1711号公報、特開昭55−9611号公報、特開昭61−195141号公報等に記載されているように不飽和シラン化合物でグラフト変性したエチレン系共重合体、若しくはエチレンと不飽和シラン化合物とをラジカル重合して得られるエチレン系共重合体にシラヌール縮合触媒を配合し、温水で処理することにより可能である。更に特筆すべきことに、一般的にポリエチレンとポリプロピレンベースの熱可塑性エラストマーは融着し辛いが、シラン架橋することにより、融着性が向上する。
【0029】
[3]積層体、及び積層管状体の製造
本発明の積層体及び積層管状体の成形方法としては、例えばプレス成形や、多層の押出機を用いて同時に押出す方法、また最内層を単層の押出機で押出した後に、これに外層を押出機により被覆する方法等が使用される。また、更に外層の外側に、金属、樹脂等で構成される層を設けることができる。架橋オレフィン系樹脂を積層することにより、耐塩素水性、耐傷つき性、耐磨耗性が改良される。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で用いた成分(イ)、成分(ロ)、成分(ハ)及び架橋オレフィン系樹脂を以下に示す。
【0031】
<原材料>
成分(イ)
イ−1;スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量33重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量245,000)。
イ−2(比較例用);スチレンブロック−ブタジエンブロック−スチレンブロックの共重合構造からなるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量29重量%、水素添加率98%以上、重量平均分子量75,000)。
【0032】
成分(ロ);パラフィン系オイル(重量平均分子量746、40℃の動粘度382cSt、流動点−15℃、引火点300℃、出光興産(株)製「PW380」)。
成分(ハ);プロピレン重合体樹脂(日本ポリケム(株)製、メルトフローレート0.9g/10分)(230℃、21.2N荷重)
架橋剤
POX;1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ(株)製「パーカドックス14」)
架橋助剤
DVB;ジビニルベンゼン(三成化成(株)製、55%品)
架橋オレフィン系樹脂
PO−1;三菱化学(株)社製 リンクロン「XHE740」(ポリエチレンベース)
オレフィン系樹脂(比較例用)
PO−2;エチレン系樹脂(LLDPE、メルトフローレート0.7g/10分、密度0.922g/cm
<評価方法>
(1)押出成形加工性
押出成形上に問題が無く、さらに得られた積層体の著しい外観不良が無い場合、成形加工性を良好とした。
【0033】
(2)柔軟性
積層管状体を手で屈曲して、その感触を3段階表示した。
3…柔らかい
2…普通
1…硬い
(3)耐塩素水性
積層管状体に塩素濃度50ppm、80℃の塩素水を4週間通水し、層剥離や外観の異常の有無等を目視評価し、異常のないものを良好とした。
【0034】
(4)積層体の剥離強度
積層管状体を中心より半円状に切断し、熱可塑性エラストマー層と架橋したオレフィン系樹脂層を180度方向に引張速度200mm/分で引張試験を行ない、熱可塑性エラストマー層/架橋オレフィン系樹脂層の融着界面の剥離強度を測定した。
【0035】
実施例1〜2および比較例1〜3
熱可塑性エラストマーの製造
表1に示す配合量(重量部)にて配合したエラストマー組成物の成分(イ)〜(ハ)の合計量100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」チバスペシャリティケミカルズ社製)0.1重量部を添加し、更に表1に示す量のPOX、DVBを添加し、圧縮比L/Dが41、シリンダー径44mmの二軸押出機を用いて110〜220℃の温度に設定し溶融混練した。これをダイよりストランド状に押出してカッティングして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。
【0036】
積層管状体の製造
積層管状体の成形においては、最内層配合物として架橋オレフィン系樹脂のリンクロン「XHE740」100重量部とジブチル錫ジラウレートを1重量%配合したポリエチレンである触媒マスターバッチ5重量部を混合したものを用いた。また外層配合物として熱可塑性エラストマーを用いた。そして、押出機を複数組み合わせた多層押出機にて、約180〜250℃の温度で溶融し、口金を通し、バキュームサイジングで型付けし、約15℃の水で冷却し、引き取り巻き取りして、内径10mm、最内層0.1mm厚み、外層1.5mm厚みの2層の積層管状体を得た。
得られた積層管状体を80℃温水中に7時間浸漬し、シラン架橋処理を行った。
【0037】
比較例4
積層管状体の製造
積層管状体の製造において上記架橋オレフィン系樹脂のリンクロン「XHE740」100重量部とジブチル錫ジラウレートを1重量%配合したポリエチレンである触媒マスターバッチ5重量部を混合したものの代わりにエチレン系樹脂を用いて、積層管状体を得た。
【0038】
比較例5
単層管状体の製造
単層管状体の成形においては、配合物として架橋オレフィン系樹脂100重量部とジブチル錫ジラウレートを1重量%配合したポリエチレンである触媒マスターバッチ5重量部を混合したものを用いた。そして、押出機にて、約180〜250℃の温度で溶融し、口金を通し、バキュームサイジングで型付けし、約15℃の水で冷却し、引き取りして、内径15mm、1.6mm厚みの単層管状体を得た。
【0039】
【表1】
Figure 2004243544
*表中の空欄は、配合量が「0」であることを表す。
<評価の結果>
1)比較例1は、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(イ−2)を用いているため、対応する実施例1に比較して押出成形加工性、耐塩素水性、剥離強度が劣っている。
【0040】
2)比較例2は、重量平均分子量が本発明の範囲外である成分(イ−2)を用いているため、対応する実施例2に比較して押出成形加工性、耐塩素水性、剥離強度が劣っている。
3)比較例3は、成分(ハ)の配合量が本発明の範囲外であるため、対応する実施例1に比較して柔軟性が劣っている。
【0041】
4)比較例4は、内層材として、本発明の範囲外である架橋してないエチレン系重合体を用いているため、対応する実施例1に比較して、耐塩素水性が劣っている。
5)比較例5は、本発明の熱可塑性エラストマーとの積層体を用いていないため、対応する実施例1に比較して、柔軟性が劣っている。
【0042】
【発明の効果】
本発明により、柔軟性、耐塩素水性に優れた水道用ホース、チューブ、パイプとして有効に使用される積層体、積層管状体を提供することが可能となり、本発明の工業的価値は顕著である。

Claims (9)

  1. 熱可塑性エラストマー層と架橋したオレフィン系樹脂層とを積層してなる積層体。
  2. 熱可塑性エラストマー層の内面に、架橋したオレフィン系樹脂層を積層して得られる積層管状体。
  3. 上記熱可塑性エラストマー層が下記の成分(イ)〜成分(ハ)を含有し、成分(イ)と成分(ロ)との配合比(重量)が(イ)/(ロ)=20/80〜80/20の範囲にあり、且つ成分(イ)及び成分(ロ)の合計量100重量部あたり成分(ハ)の含有量が1〜300重量部の混合物を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる請求項1又は2に記載の積層体又は積層管状体。
    成分(イ) 重量平均分子量が8.0万〜100万であるブロック共重合体であって、一般式(I)で表されるブロック共重合体、及び/又はこれを水素添加して得られる水添ブロック共重合体
    一般式 A(B−A)nおよび/または(A−B)n ……(I)
    (ただし、式中のAはビニル芳香族炭化水素の重合体ブロック(以下「Aブロック」と略記する)、Bはエラストマー性重合体ブロック(以下「Bブロック」と略記する)であり、nは1〜5の整数である)
    成分(ロ) 炭化水素系ゴム用軟化剤
    成分(ハ) オレフィン系樹脂
  4. 一般式(I)に記載のBブロックが共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックである請求項3に記載の積層体又は積層管状体。
  5. 一般式(I)に記載のAブロックがスチレン重合体ブロックであり、Bブロックがブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック又はブタジエン・イソプレン共重合体ブロックであり、かつ成分(イ)中のAブロックの割合が10〜50重量%である請求項3又は4に記載の積層体又は積層管状体。
  6. 成分(ハ)が、プロピレン系樹脂である請求項3乃至5のいずれかに記載の積層体又は積層管状体。
  7. 熱可塑性エラストマー組成物が、少なくとも部分的に架橋されたものである請求項3乃至6のいずれかに記載の積層体又は積層管状体。
  8. 上記の架橋したオレフィン系樹脂がエチレン系重合体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の積層体又は積層管状体。
  9. 上記の架橋したエチレン系共重合体が、不飽和シラン化合物でグラフト変性したエチレン系共重合体、若しくはエチレンと不飽和シラン化合物とをラジカル重合して得られるエチレン系共重合体であって、水でシラン架橋されていることを特徴とする請求項8に記載の積層体又は積層管状体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007253424A (ja) * 2006-03-22 2007-10-04 Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp 暖房用途の樹脂管
JP2007253423A (ja) * 2006-03-22 2007-10-04 Mitsubishi Kagaku Sanshi Corp 給水給湯用樹脂管
JP2009083421A (ja) * 2007-10-02 2009-04-23 Nichirin Co Ltd シラン架橋ポリエチレン/ゴム複合体
JP2018179111A (ja) * 2017-04-11 2018-11-15 株式会社トヨックス 断熱管

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