JP2007508929A - 多層要素の塗布方法 - Google Patents

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Abstract

本発明では、a)支持体を搬送し、b)当該支持体上に、チルセット性層及び非チルセット性層を同時に塗布し、c)当該層の温度を低下させて、当該層を不動にし、そして、d)当該層を乾燥することを含む支持体上への多層の塗布方法が提供される。また、本発明によれば、この方法によって作製される画像形成要素が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、支持体上への多層の塗布方法に関し、詳細には、画像形成要素の形成方法に関し、そして更に詳細には、感熱性又は感圧性のマイクロカプセルを含む感光性画像形成ユニットを含む、感光性で熱現像又は圧力現像可能な画像形成要素であって、当該画像形成要素が二層の保護オーバーコート層を更に含む画像形成要素の形成方法に関する。
多層構造の製品の場合に、製造上の生産性を改善するために、多層を同時に塗布することが好都合である。画像形成要素、特に写真ハロゲン化銀画像形成要素の場合には、その多層は、典型的に、米国特許第2,716,419号明細書に記載されるような多層スライドビード塗工法及び米国特許第3,508,947号明細書に記載されるような多層スライドカーテン塗工法を用いて塗布される。相互に混ざることのない多層塗布を許容する重要な要素は、二つ折り、高粘度の塗布溶液及び速やかに溶液を不動化する能力である。水性ゼラチン溶液は、特異な熱可逆性ゲル化特性を有し、そのゲル化温度を超えると液体であり、ゲル化温度より低いとゲル化する(T.H. James 著の「The Theory of the Photographic Process (写真処理の理論)」、第2章を参照のこと)。この特異な特性は、屡、「チルセット性」と呼ばれ、後塗布処理の極めて重大な最初の工程、つまり、層構造を適所に固定し、そして乾燥時の混乱状態に対してそれに機械的安定性を与えるために重要であり、有用である。ゼラチンは、一般に、写真製品にチルセットを迅速に起こさせるために、あらゆる塗布層にビヒクルとして使われている。発生するチルセット温度は、ゼラチンのタイプ、ゼラチン濃度、pH,塗工液のイオン強度、溶液中の他の成分、時間、及び一般に30℃〜0℃にわたる種々な他の要因に左右される。
最近では、発色反応又は退色反応によって可視像を生成できるカラー形成成分を使用する、種々なドライタイプ画像の画像形成処理が、特許文献に開示されている。これらの画像形性処理は、液体の現像液などは使わず、したがって廃棄物を発生しない。感光性で熱現像可能な処理及び感光性で圧力現像可能な処理の両者は、極めて詳細に議論されてきた。両方法は、原画を通る光で画像形成要素を照射して、あるいはデジタル画像ファイルを用いて潜像を造るのに光重合組成物を利用する。潜像は、(未露光域から完全露光域までの)異なる程度で光に曝された領域からなる。その完全露光領域では最も高度な硬化を有し、その未露光領域では最も低度な硬化を有している。熱又は圧力、あるいは両者の下では、可視像は、発色形成成分の易動度における差異によって形成されるが、この易動度は、硬化の程度によってコントロールされる。例えば、未露光領域では、発色形成成分が発色形成反応を可能とするように自由に動くことができ、そして完全露光領域では、発色形成成分が動くことができないので、発色形成反応が抑制される。
マイクロカプセル化した放射線感光組成物を用いる画像形成システムは、米国特許第4,399,209号、同第4,416,966号、同第4,440,846号、同第4,766,050号及び同第5,783,353号明細書に開示されている。これらの画像形成システムは、不連続相に光硬化性組成物を含有するマイクロカプセルの層を含む画像形成シートが、光に像様露光される点に特徴を有する。最も典型的な実施態様では、当該光硬化性組成物は、ポリエチレン系不飽和化合物及び光重合開始剤を含む光重合組成物である。発色形成剤は、光重合組成物でカプセル化される。光に露光すると、マイクロカプセルの不連続相が硬化する。露光を継続すると、現像剤の存在下でそれに均一な破断力が作用して、画像形成シートが現像される。
現像材料が別個の現像剤として別の基体、即ち複写シートに塗布される画像転写システムは、米国特許第4,399,209号明細書に開示されている。カプセル化された発色形成剤及び現像剤が一層又は相互に作用する二層中に存在する自蔵画像形性システムは、米国特許第4,440,846号明細書に開示されている。不透明支持体を有する自蔵画像形性システムは、一般承継された米国特許第6,080,520号明細書に開示されている。両面画像形成材料は、一般承継された米国特許第6,030,740号明細書に開示されている。
画像形成システムは、マイクロカプセルがそれぞれ赤色光、緑色光及び青色光に感光性のシアン、マゼンタ、及びイエロー発色形成剤を三つ組みで含有する完全な発色画像形成材料を与えることができる。良好なカラーバランスの場合、当該感光性マイクロカプセルは、それぞれ、約450nm、540nm、及び650nmで感光性(X最大)である。かかるシステムは、反射画像形成の直接透過における可視光源で有効である。更に、それは、コンタクトプリント、カラー写真スライドの照射プリントの作成、又はデジタルプリントにおいて有用である。また、それは、レーザ又は適当な波長の鉛筆光源を用いる電子画像形成に有用である。デジタル画像形成システムは、可視光を必要としないので、光開始剤の吸収スペクトルを拡大しまた混信を回避するために、感度をUV及びIRにまで拡大することができる。
米国特許第5,783,353号明細書には、画像形成層が二枚の支持体間でシールされて、一体のユニット(積層構造)を形成する自蔵画像形成システムが開示されている。このシール様式は、それが酸素の透過を低減し、媒体の安定度を改善できる点で好都合である。米国特許第6,365,319号明細書には、二枚の支持体部材間に配置された現像剤及び光硬化性のマイクロカプセルを含有する画像形成層を有する自蔵画像形成集成体であって、その一方の支持体が透明で、一方の支持体が不透明であり、そして金属バリアー層を含み、0.77g/m2/日(0.05g/100インチ2/日)未満の水蒸気透過度を示すものが開示されている。米国特許第6,544,711号明細書には、二枚の支持体部材間に配置された現像剤及び光硬化性のマイクロカプセルを含有する画像形成層を有する自蔵画像形成システムであって、少なくとも一方の支持体が透明で、少なくとも一方の支持体がセラミックバリアー層を含み、そして約0.47g/m2/日(0.03g/100インチ2/日)を超えない水蒸気透過度を示すものが開示されている。この積層構造は、改善された媒体安定度及び耐損傷保護性を有するが、その透明な被覆積層体を透して、画像の鮮鋭度と解像度が減成する画像の崩壊が見えてしまう。加えて、当該積層構造体では、複雑性と製造コストが増大してしまう。
米国特許出願2002/0045121号明細書には、支持体上に感光性マイクロカプセルと現像剤の画像形成層を含み、そしてこの画像形成層上に保護塗膜を含む自蔵感光材料が開示されている。その保護塗膜には、水溶性又は水分散性の樹脂が含まれ、当該画像形成媒体に耐スクラッチ性と耐水性を与えている。また、その保護塗膜には、架橋剤、UV吸収化合物、及び含量が含まれている。かかる要素は、以下の多くの不都合を有している。当該要素は、本来的に、低い表面光沢を有する。露光前の、感光性マイクロカプセルの不慮の崩壊を避けるため、注意して扱うことが必要である。加えて、かかる要素は、製造上の巻き取り、巻き戻し、及び仕上げ操作時に、引掻き傷、圧痕、締め痕が発生し易い。
ゼラチン又は他のチルセット性物質を含まない多層を塗布することは、塗布溶液が混合し、かつ意図する層構造が得られないため、困難である。一度に、一層を塗布することは、塗工機に必要な過剰な時間とエネルギーを要するため、容易であるが、望ましいことではない。非ゼラチン層を用いる新たな画像形成要素が発展しているので、生産設備での、かかる材料の効率的で、効果的な生産的塗工法を開発することが、極めて重要となってきている。
本発明によれば、
a)支持体を搬送し、
b)当該支持体上に、第1のチルセット性層及び非チルセット性層を同時に塗布し、
c)当該層の温度を低下させて、当該層を不動にし、そして
d)当該層を乾燥する
ことを含む支持体上への多層の塗布方法が提供される。更に詳細には、画像形成要素の塗布方法が提供される。
また、本発明では、支持体、非チルセット性層、及びチルセット性層を含み、当該非チルセット性層が支持体とチルセット性層の間に存在し、しかもこの非チルセット性層が好ましくは10μmを超える乾燥厚さを有する画像形成要素が提供される。
本発明によれば、現存する製造設備を用いて、非チルセット性層を含む多層要素、特に画像形成要素の高速製造が可能となる。得られる要素は、良好な塗布均一性を有する。また、本発明方法により塗布された画像形成要素は、優れた画質も有する。
本発明方法は、支持体上への多層塗布に好適である。一実施態様では、それは画像形成要素の製造に使用されるが、この技術は、剥離可能な多層の水性塗布接着層を高速で塗布するような他の分野において利用することもできる。また、それは、液晶、特に、キラルのネマティック又はコレスティック液晶を含む多層を塗布するにも有効である。支持体上に液体の多層を同時に塗布する分野で知られる如何なる方法も、本発明に使用することができる。支持体上に多層を適用、塗布する好ましい方法は、Gutoff 等によって提案される定義によって要約でき、そこでは、塗膜は「間隙を通って混ざることの無い、可動ウェッブ上の傾斜した平面上に存在する多層流であり、当該流れは、間隙を通ってスライド上に現れた瞬間からウェッブ上に塗布されて、最終的に乾燥塗膜となるまで分離して別個に存在する」(Gutoff, Edger B., Cohen Edward D. (1995年)著の、「Coating and Drying Defects Troubleshooting Operating Problems(塗装及び乾燥欠陥を点検修理する操作上の問題点)、John Wiley & Sons社発行、101頁」)と記載されている。また、同時多層塗布法は、米国特許第2,716,419号明細書(多層スライドビード塗布法を用いる方法)及び米国特許第3,508,947号明細書(多層スライドカーテン塗布法を用いる方法)にも記載されている。好ましくは、当該ウェッブ(支持体)は、塗工位置まで搬送されて、そこで当該多層が間隙を通して同時に塗布される。好ましくは多段スロットスライドホッパーが、本発明方法に使用される。
本発明方法では、第1の一のチルセット性層及び非チルセット性層が支持体上に同時に塗布される。第1のチルセット性層は、好ましくは、非チルセット性層の湿潤付着層の厚さの20%を超える、より好ましくはその30%を超える湿潤付着層の厚さを有する。
当該支持体は、多層塗膜を受け入れるのに好適な如何なる基体であってもよい。当該支持体は、低コストで、使用し易いものであることが好ましい。加えて、特に画像形成要素のプリント用には、当該支持体は、高剛性、優れた表面均一性と平滑性、高い不透明度、耐湿度カール性、及び耐皺性を有していることが望ましい。好適な支持体の具体例には、紙又は樹脂コート紙、例えばポリオレフィン系樹脂又はポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル樹脂、セロファン、アセテートプラスチック、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、塩化ビニル樹脂、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエステルジアセテートのようなプラスチックス、種々なガラス材料など、又はポリオレフィン又はポリエステルから作られるもののような孔質構造を含むものが含まれる。本発明に用いられる支持体の厚さは、例えば、約12〜約500μm、好ましくは約75〜約300μmであってよい。好ましくは、当該支持体は、紙又は樹脂コート紙、例えばポリオレフィン系樹脂又はポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエステルジアセテートのようなプラスチックス、又はポリオレフィン又はポリエステルから作られるもののような孔質構造を含むものであることが、画像形成要素の使用に好適である。支持体、特に画像形成要素用には、紙又はポリマーコアと数層の樹脂被覆層のような複数の層が含まれてよい。これらの塗膜は、支持体の一部であると考えられ、前記方法で塗布される多層の定義に含まれない。その種々な層をもつ支持体は、別の処理で製造される。その後、当該支持体は、以下に記載する多層を塗布するための適当な塗工装置に移送される。
一の好ましい実施態様では、当該支持体は、以下に記載するような熱又は圧力現像可能な画像形成要素用に好適なものである。圧力現像可能な要素用に特に好適な支持体は、その基体が、0.9g/ccより大きい、好ましくは1.0g/ccより大きい密度を有する、ポリオレフィン又はその共重合体を含む支持体である。当該圧力現像可能な画像形成要素の一実施態様では、当該支持体には、ポリオレフィン又はその共重合体を含む少なくとも一層の非配向層(以後、「フランジ層」という。)が更に含まれる。該層の目的は、主として支持体を強化させることであるが、それは、また、キャリパー、光学特性、接着性及び平滑性のような他の機能を与えることにある。好ましい実施態様では、当該支持体には二層の非配向フランジ層が含まれ、そして、ポリオレフィン基体が当該二層の非配向フランジ層間に挟まれて、ポリオレフィン支持体のコアが形成されている。
第1のチルセット性層は、塗布液の温度が下がるときに当該材料の粘度が増加し、また当該層が乾燥処理に付されるときに、乾燥に用いる空気流又は空気温度によって観察される塗膜の厚さ及び総体的な欠陥に何らの変化も生じないように、当該材料が遷移固体の結合又はネットワークを形成するような材料から作られる。最も普通に使われるチルセット性材料はゼラチンであり、当該チルセット性層の組成にも、ゼラチンが含まれるが、これに限定されない。寒天、海草由来の多糖は、チルセット性材料のその他の例である。チルセットが起こる温度は、ゼラチンのタイプ、ゼラチン濃度、pH、塗布液のイオン強度及び当該溶液中の他の成分に左右される。また、それは、時間のような種々な他の要因にも左右される。その典型的な温度は、30℃より低く、0℃より高い。一の実施態様では、第1のチルセット性層には、以下に記載される感光性で、熱現像及び圧力現像可能な画像形成要素の保護層と同じバインダー成分(親水性コロイド及び水分散性樹脂)が含まれる。第1のチルセット性層には、全ての副層がチルセット性でかつ同時に塗布される限り、種々な組成からなる副層が含まれてよい。
非チルセット性層は、その層組成が、他に何らかの成分又は層部分を存在させること無しに当該層の温度を単に下げるだけでは、当該層の粘度が、その塗膜の厚さ又は総体的な欠陥に変化を起こさずに、乾燥工程を通じてこの層の通過が可能となるに十分な程度まで実質的に増大しないような層である。かかる層は、それが実際に凍結し又は乾燥するまで不動化しない。しかしながら、塗布層を凍結させるには、より多くのエネルギーが必要となるばかりでなく、水の結晶構造の生成とは異なるタイプの欠陥が発生する。非チルセット性材料の具体例には、ラテックスのような水性分散ポリマー、ポリウレタンやポリエステル、無機酸化物の分散液、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル)、多糖、カゼインなどのようなポリマーを含有する水溶液が含まれ、そして合成の水透過性コロイドには、ポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリ(ビニルアルコール)及びその誘導体、加水分解ポリビニルアセテート、アルキル及びスルホアルキルアクリレート及びメタクリレートのポリマー、ポリアミド、ポリビニルピリジン、アクリル酸ポリマー、マレイン酸無水物コポリマー、ポリアルキレンオキシド、メタクリルアミドコポリマー、ポリビニルオキサゾリジノン、マレイン酸コポリマー、ビニルアミンコポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸コポリマー、ビニルイミダゾールコポリマー、ビニルスルフィドコポリマー、スチレンスルホン酸を含有するホモポリマー又はコポリマーが含まれる。チルセット性材料、例えばゼラチン、寒天などを含まない溶液は、通常、非チルセット性である。一の実施態様では、非チルセット性層には、以下に記載する感光性で熱現像及び圧力現像可能な画像形成要素の画像形成ユニットと同じバインダー成分が含まれてよい。当該非チルセット性層には、その副層の全てが非チルセット性であり、かつ同時に塗布される限り、種々の組成からなる副層が含まれてもよい。
当該非チルセット性層は、それが乾燥された後に多孔質であることが好ましい。その孔は、非チルセット性層における材料の凝集(フィルム形成性)温度より低い温度下での乾燥によって形成される。また、それには、当該層の多孔質度を変えることができる材料が含まれてもよい。
好ましい実施態様では、非チルセット性層は、支持体に最も近接して、即ち、支持体と第1のチルセット性層の間にある。これは、また、非チルセット性層の上方又は上部にある第1のチルセット性層としても記載される。一の実施態様では、当該非チルセット性層は、以下に記載する感光性で熱現像及び圧力現像可能な画像形成要素の画像形成ユニットに相当し、そして、第1のチルセット性層は、当該要素に関して記載される保護層に相当する。非チルセット性層の副層(存在する場合)は、画像形成ユニットの異なる層に相当する。第1のチルセット性層は、以下に記載する内部及び外部保護層に相当する外層の副層及び内層の副層を有していてもよい。その外層のチルセット性副層は、一度、水が除かれて層が乾燥するときに、内層のチルセット性副層のヤング率よりも大きいヤング率を有することが好ましい。一の実施態様では、内層のチルセット性副層は3GPa未満のヤング率を有し、そして、外層のチルセット性副層は3GPaを超えるヤング率を有する。第1のチルセット性層及び非チルセット性層は、前記した保護層及び画像形成ユニットに含まれる如何なる成分が含まれてもよい。
一度、第1のチルセット性層及び非チルセット性層が塗布されると、これらの層は、塗膜温度がその塗布温度より低く下げられるチル処理に付される。この処理では、当該塗膜は、高くて30℃、低くて0℃である条件下に、通過する。好ましくは、この温度は20℃未満であり、より好ましくは10℃未満である。塗膜が塗布され、チルセット処理を通過した後に、次いで、当該塗膜は、強制通風乾燥によるように、溶剤が除去されるにつれて層厚即ち均一性が乱されないようにして乾燥される。塗膜が乾燥される温度は、50℃を超えてはならない。
一の実施態様では、当該方法を用いて、支持体、非チルセット性層及び第1のチルセット性層を含み、当該非チルセット性層が支持体と第1のチルセット性層の間にあり、かつ当該非チルセット性層が少なくとも10μmの乾燥厚さを有する画像形成要素が製造される。一の実施態様では、この画像形成要素は、以下に記載するような感光性で熱現像又は圧力現像可能な画像形成要素である。非チルセット性層が、感光性で熱現像又は圧力現像可能な要素からなる画像形成ユニットであるときは、当該画像形成ユニットの厚さは、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは5〜35μm、そして最も好ましくは10〜30μmの範囲である。
その他の実施態様では、非チルセット性層が支持体と第1のチルセット性層の間に塗布される画像形成要素に限定されないが、付加的な(第2の)チルセット層が、非チルセット性層の下方に、即ち、非チルセット性層が二つのチルセット性層の間に挟まれるように塗布される。三層は、全てが同時に塗布されることが好ましい。この第2のチルセット性層は、例えば、化学バリアー層として用いられてもよい。当該第2のチルセット性層は、第1のチルセット性層でのチルセットに係る同じ定義が当てはまる。それには、好ましくは、ゼラチンが含まれる。一の好適な実施態様では、第2のチルセット性層は、画像形成要素、好ましくは、感光性で熱現像及び圧力現像可能な要素に使用される。
当該塗膜の塗布方法では、非チルセット性層とチルセット性層、並びに支持体との間に水の動きを許容するような方法を採ることが望ましい。この水の拡散は、不動化処理に役立つ。一の好ましい実施態様では、支持体が水を吸収するか、あるいは水を吸収する付加的な層が支持体上に塗布されるかのいずれかである。水を吸収する層が存在する場合には、それは支持体と非チルセット性層の間にあり、そして一般的には、支持体と直接に接している。水を吸収する層は、チルセット性であってよい。好ましくは、この層はゼラチン層である。一の実施態様では、この層は、以下に記載する感光性で熱現像又は圧力現像可能な画像形成要素に係る非画像形成層に相当する。水を吸収する層は、一般に、別個に塗布され、次いで、チルセット性層及び非チルセット性層が塗布される前に乾燥される。この水を吸収する層を、チルセット性層及び非チルセット性層と同時に塗布することも、可能である。仮に、第2のチルセット性層が用いられるならば、当該水を吸収する層は、一般に、支持体と第2のチルセット性層の間に存在する。
本発明の画像形成要素は、感光性で熱現像可能な又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニット、あるいは別個の画像形成層を形成するための塗布液、及び、例えば、個々の構成成分を溶剤中に溶解又は分散させてなる保護層又は中間層を形成するための塗布液を調製する段階を含む工程によって作製することができる。当該塗布液は、所望の支持体上に、好ましくは多スロットホッパーによって同時に塗布され、次いで乾燥される。当該塗布液の調製に用いられる溶剤の具体例には、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、メチルセロソルブ、及び1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコール;塩化メチレン及び塩化エチレンのようなハロゲン系溶剤;アセトン、シクロヘキサノン、及びメチルエチルケトンのようなケトン;メチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、酢酸メチルのようなエステル;トルエン;キシレン;及びこれらの二種以上の混合物が含まれる。これらの溶剤の中でも、水が特に好ましい。
塗布工程の温度で、保護層(第1のチルセット性層)用の塗布溶液の粘度は、非チルセット性層のそれよりも高い、好ましくは少なくとも2倍高い、ことが好ましい。外層のチルセット性層用の塗布溶液の粘度は、内層のチルセット性層のそれよりも高いことが好ましい。最外層は、全ての塗布溶液の中で最も高い粘度を有していることが好ましい。
本明細書中で使用される語句「画像形成要素」には、以下に記載するように、感光性で熱現像及び圧力現像可能な画像形成要素が含まれる。また、この語句には、画像形成要素上で画像の移行を支配する多種多様な技術に適用される画像受容層も含まれる。かかる技術には、感熱色素転写、ゼオグラフ及びサーモグラフ、又はインクジェットプリントのような電子写真印刷、並びに写真ハロゲン化銀画像用の支持体が含まれる。本明細書で用いられているように、語句「画像形成要素」には、また、画像の形成に感光性のハロゲン化銀を用いる材料も含まれる。この語句の画像形成要素には、また、液晶、特にキラルなネマティック又はコレスティック液晶を含む要素も含まれる。好ましいことに、当該液晶は、米国特許出願2003/0174264号明細書に記載されるように、電場を用いて反射能の状態を変化させて書込みが可能であり、また画像の書き込みに用いる電場の不存在下でこの書き込み状態を保持することも可能である。
好ましくは、本発明を用いて、支持体、マイクロカプセルと現像剤を含む感光性の画像形成ユニット、当該画像形成ユニットを覆う、即ち、支持体から反対側の画像形成ユニット上の内部保護層を含む画像形成要素が作製される。それには、内部保護層を覆う外部保護層が更に含まれてもよい。この外層の保護被覆層は、内層の保護層のモジュラスよりも大きいモジュラスを有することが好ましい。その最も外層の保護層は、引掻き傷、圧痕、締付痕、及び耐水性に対して画像形成要素を保護する。その内層の保護被覆層は、紫外線による損傷から画像形成要素を保護する。また、その内層の保護層は、クッション層として働き、画像形成要素を取り扱いによる損傷からも保護している。また、この二層様式は、単一の保護層に優る重要な光沢の改良にも貢献している。
当該外層の保護被覆層は、内層の保護層のモジュラスよりも大きいモジュラスを有していること、即ち、当該内層は当該外層よりも柔軟であることが好ましい。好ましくは、内層の保護被覆層は、3GPa未満のヤング率を有し、そして外層の保護層は、3GPaを超えるヤング率を有する。内層の保護層に対する外層の保護層のヤング率の比は、1.2を超えていることが好ましく、そして1.5を超えていることがより好ましい。外層の保護層の厚さは、0.1〜6μmであり、そして好ましくは0.3〜4μm、より好ましくは0.5〜3μmである。内層の保護層の厚さは、0.5μmを超え、そして好ましくは1μmを超え、より好ましくは2〜15μmである。外層の保護層の厚さに対する内層の保護層の厚さの比は、1より大きい。
当該内層の保護被覆層は、チルセット性であり、好ましくは親水性コロイドを含む。本発明に有用な親水性コロイドには、合成及び天然の水溶性ポリマーの両者が含まれる。本発明での使用に好適な親水性ポリマーには、更に、架橋剤で共有化学結合を形成することができるいずれかの化学成分が含まれていることが好ましい。天然産物質には、蛋白質、カゼイン誘導体、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル)、多糖、カゼインなどが含まれ、合成の水透過性コロイドには、ポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリ(ビニルアルコール)及びその誘導体、加水分解ポリビニルアセテート、アルキル及びスルホアルキルアクリレート及びメタクリレートのポリマー、ポリアミド、ポリビニルピリジン、アクリル酸ポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキシド、メタクリルアミドコポリマー、ポリビニルオキサゾリジノン、マレイン酸コポリマー、ビニルアミンコポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸コポリマー、ビニルイミダゾールコポリマー、ビニルスルフィドコポリマー、スチレンスルホン酸含有ホモポリマー又はコポリマーなど、及びその混合溶液がチルセット性であることを条件として、これらの混合物が含まれる。ゼラチンは、本発明に係る最も好ましい親水性コロイドである。
当該内層の保護被覆層には、更に、水分散性樹脂が含まれてよい。本発明の保護塗膜に使用できる樹脂には、フィルム形成性を有するものが含まれる。乾燥又は硬化によってフィルムに形成されるときに、当該樹脂は、本質的に透明であり、かつ、広い温度範囲にわたって曇りや黄変がない透明が維持されることが必要である。また、この樹脂は、耐引掻き傷性、耐水性、光沢、及び保護塗膜に対する耐候性も付与しなければならない。水分散性樹脂の具体例には、アクリルラテックス(例えば、アクリルエステル、変性アクリルエステル、アクリルエステルコポリマー、変性アクリルエステルコポリマー)及び他のポリマーラテックス(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ブタジエン−メタクリレートコポリマー、ビニルアセテート−塩化ビニル−エチレンコポリマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマーなど)が含まれる。一の実施態様では、当該保護塗膜に使用される樹脂は、アクリルラテックスである。アクリルラテックスの具体例には、アクリルエステル、変性アクリルエステル、アクリルエステルコポリマー、及び変性アクリルエステルコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。本発明のその他の実施態様では、当該保護オーバーコートに使用される樹脂は、水分散性ポリウレタン、又はアクリル−ポリウレタン混成物である。
また、当該外層の保護被覆層には、チルセット性であり、上記した内層の保護層用と同じ親水性コロイド及び水分散性樹脂が含まれてもよい。異なる量及びタイプの水分散性樹脂によって、当該層のモジュラスは決定される。架橋剤が、使用されるポリマーのタイプによっても異なるが、保護塗膜が所望の特性、即ち、耐水性、耐引掻き傷性、及び光沢を付与することを確保するために、内層及び外層の保護塗布組成物中に添加されてもよい。保護塗膜に使用される好ましい架橋剤の具体例には、グリオキサール、グルタルアルデヒド、及び遊離のアルデヒド基を保有するこれら化合物の誘導体のような多価アルデヒド化合物が含まれるが、これらに限定されない。グリオキサールは、好ましいポリアルデヒドである。本発明に有効な他の架橋剤には、ジ−イソシアネート化合物、エポキシ化合物、ビス−エチレンイミン化合物、ジ−ビニル化合物(例えば、ジビニルベンゼン)、多価アルコールのメタクリル(又はアクリル)エステル(例えば、TMPTA)、アリルグリシジルエーテル、多価アルコールのジ−エポキシド、無水メタクリル酸、N−メチロールアクリルアミド、有機過酸化物、ジ−アミン化合物、ビス−2−オキサゾリン化合物、2−オキサゾリン基を有するポリマー及びカルボジイミド基を有するポリマーが含まれる。当該架橋剤は、典型的に、保護塗膜の全個体含有量に対して、約2%〜20%、そして好ましくは約4%〜10%の量で存在する。
また、当該内層の保護層及び外層の保護層には、界面活性剤、UV吸収化合物、光安化剤、顔料、艶消し剤、フィラーなどのような他の付加的な成分が含まれてもよい。湿潤剤のような界面活性剤を含有させると、水性の塗布液が感光性層の表面にわたって均一に拡散して、平滑な塗膜を得ることが可能となる。一般に、塗布溶液における湿潤剤の量は、塗布溶液の約1重量%〜約10重量%、より好ましくは約4重量%〜約8重量%とすべきである。湿潤剤の具体例には、ジアルキルスルホスクシネートのナトリウム塩及びアニオンフルオロアルキルタイプの界面活性剤が含まれる。これらの界面活性剤は、それぞれ、花王(株)(PELEX OTP)及び大日本インキ化学(株)(Megafac F140NK F140NK) から市販されている。
紫外(UV)線吸収化合物は、内層の保護層にあることが望ましい。かかる化合物は、画像媒体の耐光性及び安定性を改善する。本発明の実施に使用できるUV線吸収剤のタイプは、その吸収最大波長が300〜400nmの範囲にあり、それが要素の画像形成特性に悪影響を有さない限り、特に限定されない。かかるUV色素には、チアゾリドンタイプ、ベンゾトリアゾールタイプ、桂皮酸エステルタイプ、ベンゾフェノンタイプ、及びアミノブタジエンタイプの紫外線吸収剤が含まれ、詳しくは、例えば、米国特許第1,023,859号、同第2,685,512号、同第2,739,888号、同第2,748,021号、同第3,004,896号、同第3,052,636号、同第3,215,530号、同第3,253,921号、同第3,533,794号、同第3,692,525号、同第3,705,805号、同第3,707,375号、同第3,738,837号及び同第3,754,919号明細書、及び英国特許第1,321,355号明細書に記載されている。好ましくは、UV吸収剤はベンゾトリアゾール化合物であり、特に、高分子量ベンゾトリアゾール乳剤が好ましい。このタイプの特定材料は、Ipposha Oil 製のULS−1383MGである。紫外線吸収剤化合物の量は、特に限定されず、それは、保護塗膜の全固体含量に対し、好ましくは5%〜30%までの量に調整することが望ましい。
また、外層の保護層には、10GPaを超えるモジュラスを有する硬質のフィラーが含まれてもよい。代表的な硬質フィラーには、コロイド状シリカ、コロイド状酸化錫、コロイド状二酸化チタン、雲母、粘土、ドープした金属酸化物、酸素欠陥を有する金属酸化物、金属アンチモン酸塩、導電性窒化物、炭化物、又は硼化物、例えば、TiO2、SnO2、Al23、Zr23、In23、MgO、ZnSb22、InSbO2、TiB2、ZrB2、NbB2、TaB2、TaB3、CrB2、MoB、WB、LaB6、ZrN、TiN、TiC、及びWCが含まれる。好ましくは、当該硬質フィラーは、2.1以下、そして最も好ましくは1.6以下の屈折率を有する。好ましくは、外層の保護層には、10%を超える、より好ましくは15%を超える硬質フィラーが含まれる。当該層の良好な透明性を与えるためには、フィラーの屈折率を限定することが重要である。また、当該フィラーは、500nm以下、好ましくは100nm未満の粒度を有する。
外層の保護層には、取り扱いを改善し、また粘着を避ける、即ち何らかの表面との粘着から媒体の前面を保護するために、更に顔料が含まれてもよい。この顔料は、0.5μmよりも大きい粒度を有することが定められている。当該顔料の具体例には、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、タルク、カオリン、粘土及びコロイダルシリカのような無機顔料、及びポリスチレン又はポリ(メチルメタクリレート)粒子、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、尿素−ホルムアルデヒド樹脂フィラー、及び原料澱粉粒子のような有機顔料が含まれてよい。
外層の保護層には、更に滑剤が含まれてもよい。当該滑剤の具体例には、(1)例えば、米国特許第3,489,567号、同第3,080,317号、同第3,042,522号、同第4,004,927号及び同第4,047,958号明細書、及び英国特許第955,061号及び同第1,143,118号明細書に開示されるようなシリコーン系材料、(2)米国特許第2,454,043号、同第2,732,305号、同第2,976,148号、同第3,206,311号、同第3,933,516号、同第2,588,765号、同第3,121,060号、同第3,502,473号、同第3,042,222号及び同第4,427,964号明細書、及び英国特許第1,263,722号、同第1,198,387号、同第1,430,997号、同第1,466,304号、同第1,320,757号、同第1,320,565号、及び同第1,320,756号明細書、及び独国特許第1,284,295号及び同第1,284,294号明細書に開示される高級脂肪酸及び誘導体、高級アルコール及び誘導体、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸の多価アルコールエステル、(3)液体パラフィン及びパラフィン又はカルナウバワックス、天然又は合成ワックス、石油ワックス、鉱物ワックスなどのようなワックス様物質など、(4)ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)、ポリ(ビニリデンフロリド)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン−co−塩化ビニル)、ペルフルオロ側鎖基を含有するポリ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリルアミドを含むペルフルオロ−又はフルオロ−又はフルオロクロロ含有物質、などが含まれる。本発明で有用な滑剤は、更に詳細には、1989年12月発行の Research Disclosure No.308 、1006頁に記載されている。
本発明の画像形成要素には、支持体と画像形成ユニットの間に配置された親水性コロイドを含む少なくとも一層の非画像形成層が更に含まれてもよい。好適な親水性コロイドの具体例には、合成及び天然の水溶性ポリマーの両者が含まれる。好ましくは、本発明の使用に好適な親水性ポリマーには、架橋剤と共役化学結合を形成することが可能な化学成分のいずれかが更に含まれる。天然産出物質には、蛋白質、蛋白質誘導体、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル)、多糖、カゼインなどが含まれ、そして合成の水透過性コロイドには、ポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリ(ビニルアルコール)及びその誘導体、加水分解ポリビニルアセテート、アルキル及びスルホアルキルアクリレート及びメタクリレートのポリマー、ポリアミド、ポリビニルピリジン、アクリル酸ポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキシド、メタクリルアミドコポリマー、ポリビニルオキサゾリジドン、マレイン酸コポリマー、ビニルアミンコポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸コポリマー、ビニルイミダゾールコポリマー、ビニルスルフィドコポリマー、スチレンスルホン酸を含有するホモポリマー又はコポリマーなどが含まれる。ゼラチンは、本発明の最も好ましい親水性コロイドである。
非画像形成層には、更にラテックスまたは水分散性樹脂が含まれてもよい。本発明の非画像形成層に使用できる樹脂には、フィルム形成性を有するものが含まれる。乾燥又は硬化によってフィルムに形成されるときには、当該樹脂は、本質的に、透明であって、かつ広い温度範囲にわたって曇りや黄変がなく透明性が保持されねばならない。水分散性樹脂の具体例には、アクリルラテックス(例えば、アクリルエステル、変性アクリルエステル、アクリルエステルコポリマー、変性アクリルエステルコポリマー)及び他のポリマーラテックス(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ブタジエン−メタクリレートコポリマー、ビニルアセテート−塩化ビニル−エチレンコポリマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリルコポリマーなど)が含まれる。一の実施態様では、非画像形成層に用いられるフィラーは、アクリルラテックスである。アクリルラテックスの具体例には、アクリルエステル、変性アクリルエステル、アクリルエステルコポリマー、変性アクリルエステルコポリマーが含まれるがこれらに限定されない。本発明のその他の実施態様では、非画像形成層に使われるフィラーは、水分散性ポリウレタン又はアクリル−ポリウレタン混成体である。一の実施態様では、この非画像形成層には、保護層に関して上記した架橋剤が含まれてもよい。
必要な場合には、使用される支持体表面に、ハレーション防止層が設けられてもよい。また、画像形成要素には、好ましくは、支持体の裏面、つまり支持体の画像形成ユニットとは反対側に帯電防止層が含まれてもよい。更に、滑り層、カール防止層、接着層などが、使用される支持体の裏面に設けられてもよい。また、必要ならば、接着層が、支持体と感光性で熱現像可能な又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニットとの間に設けられ、それにより、当該支持体が、剥離紙として使用されてシールを有する形態とされてもよい。
ハレーション防止層が、支持体と感光性で熱現像可能な又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニットとの間に設けられるとき、あるいはそれに代わって透明支持体の場合に画像形成ユニットを有する側の面の支持体表面に設けられるときには、当該ハレーション防止層は、光の照射によって、あるいは加熱することによって漂白可能なものであってもよい。
光の照射によって漂白される層を形成する場合には、例えば、前記した有機色素と有機硼酸塩化合物との組み合わせが使用できる。加熱によって漂白される層を形成する場合には、例えば、熱によって存在している有機色素を漂白できる基剤、即ち求核試薬を発生する組成物が使用できる。
本発明の画像形成要素には、支持体と当該支持体の上方の画像形成ユニットが含まれる。それは、その上に設けられた少なくとも一層の感光性で熱現像可能な画像形成ユニットを有する支持体を含む、感光性で熱現像可能なタイプの画像形成要素、あるいは、その上に設けられた少なくとも一層の感光性で圧力現像可能な画像形成ユニットを有する支持体を含む、感光性で圧力現像可能なタイプの画像形成要素であってよい。これら画像形成要素の具体例には、以下の画像形成要素のタイプ(a)、(b)及び(c)が含まれる。
要素のタイプ(a)は、カラー形成成分Aを封入した熱感応性マイクロカプセルを含有する感光性で熱現像可能な画像形成ユニットを有する支持体を含む、感光性で熱現像可能な画像形成要素である。当該マイクロカプセルの外側には、少なくとも実質的に無色の、分子中に1個の重合性基とカラー形成成分Aと反応してカラーを現像する1個の部位とを有する化合物B(重合性の現像剤)、及び光重合開始剤を含む光重合組成物が存在する。この感光性で熱現像可能な画像形成要素(a)では、所望の画像に応じて光が照射されると、マイクロカプセルの外側に存在する光重合組成物(化合物B)を、光重合開始剤から発生するラジカルに起因する重合反応によって硬化させ、それによって所望形状の潜像が形成される。次いで、この画像形成要素が加熱されると、重合していない未照射部分に存在する化合物Bが画像形成要素内を移動してマイクロカプセル内のカラー形成成分Aと反応して、カラーが現像される。したがって、この感光性で熱現像可能な画像形成要素(a)は、そのカラー形成が露光部分では起こらず、硬化しない未露光部分で起こるように画像形成が実行される、ポジタイプの感光性で熱現像可能な画像形成要素である。
要素のタイプ(b)は、カラー形成成分Aを封入した熱感応性マイクロカプセルを含有する感光性で熱現像可能な画像形成ユニットを有する支持体を含む、感光性で熱現像可能な画像形成要素である。当該マイクロカプセルの外側には、少なくとも実質的に無色の、カラー形成成分Aと反応してカラーを現像する化合物C(現像剤)、実質的に無色の、分子中に1個の重合性基を有する化合物D(光重合性化合物)、及び光重合開始剤を含む光重合組成物が存在する。この感光性で熱現像可能な画像形成要素(b)では、所望の画像に応じて光が照射されると、1個の重合性基を有する化合物Dを、光重合開始剤から発生するラジカルに起因する重合反応によって硬化させ、それによって所望形状の潜像が形成される。次いで、この潜像(即ち、硬化部分)のフィルム特性によって、当該要素が加熱されると、化合物Cが移動してマイクロカプセル内のカラー形成成分Aと反応して、画像が形成される。
要素のタイプ(c)は、カラー形成成分Aを封入した光及び圧力感応性マイクロカプセル、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性で圧力現像可能な画像形成ユニットを有する支持体を含む、感光性で圧力現像可能な画像形成要素である。当該マイクロカプセルの外側には、実質的に無色の、カラー形成成分Aと反応してカラーを現像するように設計された化合物E(現像剤)が存在する。この感光性で圧力現像可能な画像形成要素(c)では、所望の画像に応じて光が照射されると、マイクロカプセル内に存在する重合性化合物が、照射時に光重合開始剤から発生するラジカルに起因する重合反応によって当該マイクロカプセル内で硬化され、それによって所望形状の潜像が形成される。つまり、その露光部分において、マイクロカプセル外に存在する化合物Eとのカラー形成反応が開始する。次いで、当該画像形成要素が加圧されると、硬化していなかったマイクロカプセル(未照射マイクロカプセル)は破壊され、そして未露光部分に存在する化合物Eが画像形成要素内を移動して、マイクロカプセル内に存在するカラー形成成分Aと反応して、カラーが現像される。したがって、この感光性で圧力現像可能な画像形成要素(c)は、そのカラー形成が露光部分では作られず、硬化しない未露光部分で作られるように画像形成が実行される、ポジタイプの感光性でかつ圧力現像可能な画像形成要素である。
前記した画像形成要素には、その上に設けられた感光性で熱現像可能な画像形成ユニット又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニットを有する支持体が含まれる。好ましい実施態様では、当該要素には、感光性で圧力現像可能な、即ち、それが光に照射されて、加圧によって選択的にマイクロカプセルが破壊されて現像される、画像形成要素が含まれる。種々な要素タイプからなる画像形成ユニットには、一層以上の層が含まれてよい。マイクロカプセル及び現像剤は、同じ層又は異なる層に存在してもよい。好ましくは、それらは同一層に存在する。スペクトルの異なる波長に感光性であるマイクロカプセルは、同じ層にあっても、また異なる層にあってもよい。好ましくは、それらは同一層に存在する。
本発明の実施に有用な画像形成成分Aには、色素が現像剤(即ち、化合物B,化合物C、又は化合物E)と反応してカラーを現像するような電子供与性の、無色な色素が含まれる。これらカラー形成成分の特定の具体例には、Ramaiah Muthyala 編の、「Chemistry and Applications of Leuco Dye(ロイコ色素の化学と応用)」、Plenum Publishing 社発行、1997年に記載されているものが含まれる。かかるカラー形成剤の代表例には、それらの部分骨格にラクトン、ラクタム、スルトン、スピロピラン、エステル又はアミド構造を有する実質的に無色の化合物が含まれる。より詳細には、具体例には、トリアリールメタン化合物、ビスフェニルメタン化合物、キサンテン化合物、チアジン化合物及びスピロピラン化合物が含まれる。カラー形成剤の典型的な具体例には、クリスタルバイオレットラクトン、ベンゾイルロイコメチンブルー、マラカイトグリーンラクトン、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、3−ジアルキルアミノ−7−ジアルキルアミノ−フルオラン、3−メチル−2,2′−スピロビ(ベンゾ−f−クロム)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス−(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス−(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル) −6−ジメチルアミノフタリド、4,4′−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−β−アニリノラクタム、トーダミン−(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−β−(p−クロロアニリノ)ラクタム、3−ジメチルアミノ−6−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(アセチルメチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(メチルベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(クロロエチルメチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(ジエチルアミノ)フルオラン、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシベンゾ)−スピロピラン、3−プロピル−スピロジベンゾイルジピランなどが含まれる。これらのカラー先駆体の混合物も、必要なら、使用してもよい。また、米国特許第3,920,510号明細書に開示されるフルオランカラー形成剤も、本発明に有用であるが、これを引用したことにより本明細書中に含める。前記色素先駆体に加えて、米国特許第3,920,510号明細書に開示されるようなフルオラン化合物も使用できる。更に、重金属塩と反応して着色金属錯体、キレート又は塩を与える有機化合物も、本発明の用途に使用することができる。
実質的に無色の化合物B(重合性現像剤)は、分子中に、カラー形成成分Aと反応してカラーを現像する重合性基及び部位を有する。実質的に無色の化合物Bは、重合性基を有する電子受容性化合物、又は重合性基を有し、二つの機能、即ちカラー形成成分Aと反応してカラーを現像すること及び光重合によって硬化させること、を有する重合性基を有するカプラー化合物のような如何なる化合物であってもよい。
重合性基を有さず、カラー形成成分Aと反応してカラーを現像する、実質的に無色の化合物C(現像剤)も、使用することができる。化合物Cは、重合性基を有さず、光重合によって画像形成層に対してフィルムを硬化させる機能を付与する必要があるので、重合性基を有する化合物Dを含む光重合組成物と併用することが必要である。化合物Cは、重合性基を有しないで、カラー形成成分Aと反応してカラーを現像する如何なる電子受容性化合物であってもよい。化合物Cの具体例は、酸性粘土、活性粘土、アタパルジャイトなどのような粘土鉱物;タンニン酸、没食子酸、プロピルガレートなどのような有機酸;フェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノールアセチレン縮合樹脂、少なくとも1個のヒドロキシドを有する有機カルボン酸とホルムアルデヒドとの縮合物などのような酸ポリマー;サリチル酸亜鉛、サリチル酸錫、2−ヒドロキシナフトエ酸亜鉛、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸亜鉛、3,5−ジ−(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛のような芳香族カルボン酸又はその誘導体の金属塩;米国特許第3,732,120号明細書に開示されるような亜鉛変性オイル溶解性のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、カルボン酸亜鉛塩などのようなオイル溶解性の金属塩又はフェノール−ホルムアミドノボラック樹脂(例えば、米国特許第3,672,935号及び同第3,732,120号明細書参照)、及びこれらの混合物である。
少なくとも1個の重合性基を有する化合物Dは、末端に、少なくとも1個の、好ましくは2個以上のエチレン系不飽和結合を有する化合物のうちから選ばれる付加重合性化合物である。かかる化合物は、当該業界で周知であって、それらは、何ら特定の制限も受けずに、本発明に使用することができる。かかる化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち、ダイマー、トリマー及びオリゴマー又は混合物及びそれらのコポリマーの化学形態を有する。それらのモノマー及びコポリマーの具体例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)、及びそれらのエステル及びアミドが例示でき、そして好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが使用される。加えて、不飽和カルボン酸及び水酸基、アミノ基及びメルカプト基のような求核性置換基を有するアミドと、一官能性又は多官能性イソシアネート及びエポキシとの付加反応生成物、及びこれら化合物と一官能性又は多価官能性カルボン酸との脱水縮合反応生成物も、好ましく使用される。また、不飽和カルボン酸のエステル及びイソシアネート基及びエポキシ基のような求電子性の置換基を有するアミドと、一官能性又は多価官能性のアルコール、アミン及びチオールとの付加反応生成物、及び不飽和カルボン酸エステル及びハロゲン基及びトシロキシ基のような解放性置換基を有するアミドと、一官能性又は多価官能性のアルコール、アミン及びチオールとの置換反応生成物も、好ましく使用される。その他の具体例として、前記不飽和カルボン酸に変えて、不飽和リン酸、スチレン、ビニルエーテルなどで置換された化合物を使用することも、可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルモノマーの特定の具体例には、アクリレートとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマーなどが含まれる。メタクリレートとしては、具体例には、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、及びビス[p−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)フェニル]ジメチルメタン、ビス[p−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]ジメチルメタンが含まれる。イタコネートとしては、具体例には、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコレート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、及びソルビトールテトライタコネートが含まれる。クロトネートとしては、具体例には、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、及びソルビトールテトラクロトネートが含まれる。イソクロコネートとしては、具体例には、エチレングリコールジイソクロコネート、ペンタエリスリトールジイソクロコネート、及びソルビトールテトライソクロコネートが含まれる。マレートとしては、具体例には、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、及びソルビトールテトラマレートが含まれる。更に、前記したエステルモノマーの混合物も使用することができる。また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸のアミドモノマーの特定の具体例には、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリス−アクリルアミド、キシリレンビス−アクリルアミド、及びキシリレンビス−メタクリルアミドが含まれる。
また、イソシアネートとヒドロキシ基の付加反応により得られるウレタン系付加重合性化合物も、本発明に好ましく使用される。特定の具体例は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートに、以下の式(V)によって表されるヒドロキシル基を有するビニルモノマーを付加することによって得られる、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を有するビニルウレタン化合物である。
CH2=C(R)COOCH2CH(R′)OH
式中、R及びR′は、それぞれH又はCH3を表す。
他の具体例には、エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られるポリエステルアクリレート、及びエポキシアクリレートのような、多官能性アクリレートおよびメタクリレートが含まれる。更に、Sartomer 社によるSartomer 製品カタログ(1999年)に掲載されている光硬化性モノマー及びオリゴマーが同様に使用できる。
付加重合性化合物の使用における詳細、例えば、どのような構造が使用されるべきか、当該化合物は単独であるいは組み合わせて使用されるべきか、又はいかなる量が用いられるべきかは、感光性物質の特性についての最終設計に応じて任意に設定されてよい。例えば、その条件は、以下の観点から選択される。感光感度に関しては、分子当たり多くの不飽和基を含有する構造が好ましく、多くの場合には、二官能性以上の官能基が好ましい。画像部分の強度、即ち、硬化したフィルムの強度を強化する場合には、三官能性以上の基が好ましい。感度及び強度の両者をコントロールするためには、異なる官能価と異なる重合性の基(例えば、アクリレート、メタクリレート、スチレン化合物、ビニルエーテル化合物)を組み合わせて使用すると効果的である。大きな分子量を有する化合物及び高度の疎水性を有する化合物は、感度及びフィルム強度では優れているが、現像速度及び現像液中での沈降性の点では好ましくないことがある。付加重合性化合物の選定及び使用は、光重合組成物中の他の成分(例えば、バインダーポリマー、開始剤、着色剤など)との相溶性及び分散性に関する重要な因子である。例えば、時々、相溶性は、低純度の化合物又は二種以上の化合物を組み合わせて用いることによって改善されることがある。また、支持体及び被覆層の接着性を改善する目的で、特定の構造を有する化合物を選定することも可能である。光重合性組成物における付加重合性化合物の配合比に関して、その量を増やすにつれて、感度が高くなる。しかし、あまりに過剰な量では、時に、不都合な層分離、重合性組成物の付着による製造工程上の問題(例えば、感光材料成分の移行及び付着から発生する製造上の失敗)、及び現像液からの沈殿が生ずる結果となる。この付加重合性化合物は、単独であるいは二種以上組み合わせて使用されてよい。更に、付加重合性化合物の好適な構造、配合比及び添加量は、酸素による重合障害の程度、解像力、カブリ特性、反射率の変化及び表面付着力を考慮して、任意に選択することができる。また、当該層構成及び下塗り及び上塗りの塗工方法は、状況に応じて実施することができる。
種々な光重合開始剤が、上記した画像形成システムの使用に当たり選定されてよい。しかしながら、ずば抜けて有用な光重合開始剤は、米国特許第5,112,752号、同第5,100,755号、同第5,057,393号、同第4,865,942号、同第4,842,980号、同第4,800,149号、同第4,772,530号及び同第4,772,541号明細書に開示されるような有機色素と有機硼酸塩からなる。当該光重合開始剤は、好ましくは、米国特許第5,230,982号明細書に記載されるようなジスルフィド共開始剤及び遊離のラジカル鎖工程で酸素を消滅させることができる自動酸化剤と組み合わせて使用される。
使用される有機色素の量は、光重合組成物の全量に対して0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%の範囲であることが好ましい。本発明の光重合組成物に含まれる硼酸塩化合物の量は、光重合組成物の全量に対して好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.3〜5重量%、そして最も好ましくは0.3〜2重量%である。
有機色素と有機硼酸塩の比は、高感度及び後述する記録工程の定着工程での光照射による十分な脱色を得る観点から重要である。当該硼酸塩に対する当該有機色素の重量比は、好ましくは2/1〜1/50、より好ましくは1/1〜1/20、最も好ましくは1/1〜1/10の範囲である。
本発明で使用する有機色素は、300〜1000nmの範囲内にある最大吸収波長を有する慣用的に公知な化合物から適宜選択されてよい。高感度は、前記した範囲内の波長範囲を有する所望の色素を選定し、かつその感光波長を使用光源と一致するように調整することによって、達成することができる。また、光に対する像様露光を使用するためには、青色、緑色、又は赤色、あるいは赤外LED(発光ダイオード)、固体レーザ、OLED(有機発光ダイオード)又はレーザなどのような光源を適宜選定することが可能である。
有機色素の特定の具体例には、3−ケトクマリン化合物、チオピリリウム塩、ナフトチアゾールメロシアニン化合物、メロシアニン化合物、及びチオバルビツル酸を含有するメロシアニン色素、ヘミオキサノール色素、及びシアニン、ヘミシアニン、及びインドレニン核を有するメロシアニン色素が含まれる。有機色素の他の具体例には、「Chemistry of Functional Dyes (機能性色素の化学)」(1981年、CMC社発行、393〜416頁)及び「Coloring Materials (着色材料)」(60巻4号、212〜224頁、1987年)に記載される色素が含まれる。これら有機色素の特定の具体例には、カチオンメチン色素、カチオンカルボニウム色素、カチオンキノイミン色素、カチオンインドリン色素、及びカチオンスチリル色素が含まれる。前記した色素の具体例には、クマリン色素(ケトクマリン及びスルホノクマリンを含む)、メロスチリル色素、オキサノール色素、及びヘミオキソノール色素のようなケト色素;ノンケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、及びアゾ色素のようなノンケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、及びスチリル色素のようなノンケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、及びチアゾール色素のようなノキノンイミン色素が含まれる。
好ましくは、本発明に有用な色素は、カチオン色素とアニオン有機硼酸塩から形成されるカチオン色素−硼酸塩アニオン錯体である。そのカチオン色素は、300〜1000nmの範囲内にある最大吸収波長を吸収し、そのアニオン硼酸塩は、4個のR基を有し、そのうちの3個のR基は、それぞれ置換基を有してもよいアリール基を表し、そして1個のR基はアルキル基、又は置換アルキル基である。かかるカチオン色素−硼酸塩アニオン錯体は、米国特許第5,112,752号、同第5,100,755号、同第5,075,393号、同第4,865,942号、同第4,842,980号、同第4,800,149号、同第4,772,530号及び同第4,772,541号明細書に開示されている。
当該カチオン色素−硼酸塩アニオン錯体が、本発明の光重合組成物における有機色素として使われるときは、有機硼酸塩を使用する必要がない。しかしながら、光重合の感度を高め、かつカチオン色素の汚染を減らすためには、このカチオン色素−硼酸塩アニオン錯体と組み合わせて有機硼酸塩を使用することが好ましい。当該有機色素は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
前記した水不溶性フェノールの特定の具体例は、以下に示される。しかしながら、本発明ではこれらの具体例に限定されないことが留意されるべきである。
Figure 2007508929
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本発明の感光性組成物に有用な硼酸塩は、以下の一般式(I):
[BR4]-+ (I)
で表される。
式中、Zは、カチオンを形成できる基を表して、感光性でなく、そして、[BR4]-は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、置換アラルキル基、アルカリール基、置換アルカリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、脂環式基、置換脂環式基、ヘテロ環式基、置換ヘテロ環式基から選ばれる4個のR基を有する硼酸塩化合物、及びそれらの誘導体である。複数個のRは、それぞれ同じであっても、異なってもよい。加えて、これらの基の2個以上は、共に直接結合され、あるいは置換基を経由して硼素含有へテロ環を形成してもよい。Z+は、光を吸収せず、そしてアルカリ金属、4級アンモニウム、ピリジニウム、キノリニウム、ジアゾニウム、モルホリニウム、テトラゾニウム、アクリジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、オキソスルホニウム、インドニウム、S、P、Cu、Ag、Hg、Pd、Fe、Co、Sn、Mo、Cr、Ni、As、又はSeを表す。
前記した硼酸塩の特定の具体例は、以下に示される。しかしながら、本発明はこれらの具体例に限定されないことが留意されるべきである。
Figure 2007508929
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重合速度を変えるため、種々な添加剤を光開始剤系と共に使用することができる。例えば、酸素掃去剤のような還元剤又は活性水素ドナーの連鎖移動助剤、あるいは他の化合物を用いて重合を促進させることができる。また、酸素掃去剤は、自動酸化剤としても知られており、遊離ラジカルの連鎖工程での酸素を奪うことができる。有用な自動酸化剤の具定例には、N,N−ジアルキルアニリンがある。好ましいN,N−ジアルキルアニリンの具体例は、以下の基:メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、3,4−テトラメチレン、フェニル、トリフルオロメチル、アセチル、エトキシカルボニル、カルボキシ、カルボキシレート、トリメチルシリメチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメチルゲルマニル、トリエチルゲルマニル、トリメチルスタンニル、トリエチルスタンニル、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、フェノキシ、ヒドロキシ、アセチル−オキシ、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、チオ−(メルカプト)、アセチルチオ、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードによって、オルソ、メタ、又はパラ−位の1個所以上の位置に置換されたジアルキルアニリンである。本発明に有用なN,N−ジアルキルアニリンの代表例は、4−シアノ−N,N−ジメチルアニリン、4−アセチル−N,N−ジメチルアニリン、4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート、3−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、4−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、3−エトキシ−N,N−ジメチルアニリン、4−フルオロ−N,N−ジメチルアニリン、4−メチル−N,N−ジメチルアニリン、4−エトキシ−N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルチオアニシジン、4−アミノ−N,N−ジメチルアニリン、3−ヒドロキシ−N,N−ジメチルアニリン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,4−ジアニリン、4−アセトアミド−N,N−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピル−N,N−ジメチルアニリン(DIDMA)、2,6−ジエチル−N,N−ジメチルアニリン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン(PMA)及びp−t−ブチル−N,N−ジメチルアニリンである。本発明のその他の態様によれば、当該色素の硼酸塩光開始剤は、ジスルフィド共開始剤と組み合わせて使用される。
有用なジスルフィドの具体例は、米国特許第5,230,982号明細書に記載されているが、これを、ここで援用したことにより本明細書に含める。最も好ましいジスルフィドの2例は、メルカプトベンゾチアゾール−2−イルジスルフィド及び6−エトキシメルカプトベンゾチアゾール−2−イルジスルフィドである。参考特許に記載されるようなこれらのジスルフィドを使用することによって、マイクロカプセル内で使われる光開始剤の量は、その背景の着色又は残留汚染を顕著に減らせるようなレベルまで減量することが可能である。これらの低レベルでは、画像形成層の低濃度画像領域の着色が、受け入れ難いほど、画質を損なうということはない。加えて、チオール、チオケトン、トリハロメチル化合物、ロフィン(lophine)ダイマー化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アジニウム塩、有機過酸化物、及びアジドは、重合促進剤として有用な化合物の具体例である。
本発明の光重合組成物に配合される他の添加剤には、種々な紫外線吸収剤及びヒンダードアミン光安定化剤、J.F. Rabek 著の「Photostabilization of Polymers, Principles and Applications(ポリマーの光安定化、原理及び応用)」、Elsevier Applied Science社、1990年に記載される光安定剤が含まれる。
カラーを現像するためカラー形成成分Aと反応する実質的に無色な化合物Eは、重合性基を有していても、有していなくてもよい。例えば、上記したように、実質的に無色な化合物Eは、重合性基を有する化合物Bと同じであっても、また、重合性基を有しない化合物Cとして挙げられた電子受容性化合物又はカプラー化合物と同じであってもよい。
上記した実質的に無色な成分B、C、又はE(現像剤)は、これらが本発明の画像形成ユニットに添加されるときには、水溶性ポリマー、増感剤、及び他のカラー形成助剤の存在下にサンドミルのような手段で製造された分散形態にあることが好ましい。また、この分散は、有機溶剤にこれらの成分を溶解させる段階、得られた溶液を、保護コロイドとして界面活性剤及び/又は水溶性ポリマーを含有するポリマー水溶液(即ち、水性相)とブレンドする段階、及びこのブレンドを、ホモジナイザーのような手段によって乳化させる段階、及び使用する分散液が得られるように蒸発によってその有機溶剤を取り除く段階を含む工程によって製造されてもよい。当該分散液の粒度は、5μm未満、より好ましくは2μm未満であることが好ましい。当該粒度は、0.1μmを超えることが好ましい。
本発明の画像形成要素には、支持体と、その支持体の上方に、感光性で熱現像可能な画像形成ユニット又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニットとが含まれる。一の実施態様では、多色画像は、それぞれの単一のカラー画像形成層が異なるカラーを形成させるように設計されたカラー形成成分Aを封じ込んだマイクロカプセルを含む当該複数の単一カラー画像形成層を画像形成ユニット内に設けることによって製造された画像形成要素を用い、それぞれが異なる波長を有する複数の光源をもって当該画像形成要素を照射することによって実現することができる。つまり、この感光性で熱現像可能な画像形成層又は感光性で圧力現像可能な画像形成層は、支持体上に、イエローカラーを現像するためのカラー形成成分とλ1の中心波長を有する光源に感光する光重合組成物を含有するマイクロカプセルを含む第1の画像形成層を設け、この第1の画像形成層の上部に、マゼンタカラーを現像するためのカラー形成成分とλ2の中心波長を有する光源に感光する光重合組成物を含有するマイクロカプセルを含む第2の画像形成層を設け、そして、この第2の画像形成層上に、シアンカラーを現像するためのカラー形成成分とλ3の中心波長を有する光源に感光する光重合組成物を含有するマイクロカプセルを含む第3の画像形成層を設けることによって製造される構造を有している。更に、必要な場合には、当該画像形成層は、異なる発色画像形成層間に中間層を有していてもよい。上記した中心波長λ1、λ2、及びλ3の光源は、相互に異なっている。
本発明の感光性で熱現像可能な画像形成ユニット又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニットは、如何なる数の画像形成層を有していてもよい。好ましくは、当該画像形成層は、第1〜第i層を有してよく、それぞれの層は、他の層が感光性である中心波長を有する光とは異なる中心波長を有する光に感光性であり、そして、それぞれの層は、他の層のカラーとは異なるカラーを現像する。例えば、第1の画像形成層は、λ1の中心波長を有する光に感光性して、一つのカラーを現像し、第2の画像形成層は、λ2の中心波長を有する光に感光して、第1の画像形成層のカラーと異なるカラーを現像し、そして、第i番目の画像形成層は、λiの中心波長を有する光に感光して、第i−1番目の画像形成層のカラーと異なるカラーを現像する。
また、多色画像は、全てのマイクロカプセルが一つの層にある多色画像形成ユニットを設けることによる画像形成要素を用いて実現することも可能である。それぞれのタイプが異なるカラーのカラー形成成分Aを含有するマイクロカプセルを含む当該層は、他のタイプのマイクロカプセルが感光性である中心波長を有する光と異なる中心波長を有する光に感光して、他のタイプが現像するカラーと異なるカラーを現像する。例えば、第1のタイプのマイクロカプセルは、中心波長λ1を有する光に感光して、一つのカラーを現像し、第2のタイプは、中心波長λ2を有する光に感光して、第1のタイプのマイクロカプセルのカラーと異なるカラーを現像し、そして第i番目のタイプのマイクロカプセルは、中心波長λiを有する光に感光して、第i−1番目のタイプのマイクロカプセルのカラーと異なるカラーを現像する。本発明では、iは、好ましくは1〜10から選ばれる整数のいずれかであり、より好ましくは2〜6から選ばれる整数のいずれかであり、そして最も好ましくは2〜4から選ばれる整数のいずれかである。
本発明使用のものと同様な多色画像形成ユニットを有する画像形成材料を用いて画像が形成されるときは、その露光工程は、波長が画像形成層の吸収波長とそれぞれ調和するが、互いに異なっている複数の光源を用いて像様露光することからなる。この露光によって、吸収波長がそれぞれの光源の波長と調和する画像形成層に選択的に潜像を形成させることが可能となる。このため、多色画像は、高感度かつ高鮮鋭度で形成することが可能である。更に、分光増感化合物と光重合開始剤のような化合物で発色される背景は、その画像形成層の表面を光で照射することによって脱色することができるので、高いコントラストを有する高画質の画像を形成することができる。
また、本発明の感光性で熱現像可能な又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニット又はその画像形成層には、バインダー材料が含まれる。一の実施態様では、この画像形成ユニットは非チルセット性である。バインダー材料は、それが当該層又はユニットに含まれる他の成分と相溶性である限り、バインダー材料の選定に制約はない。バインダー材料には、例えば、水溶性ポリマー、水分散性ポリマー及びラテックスが含まれる。特定の具体例には、蛋白質、蛋白質誘導体、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル)、多糖、カゼイン等、及びポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリ(ビニルアルコール)及びその誘導体、加水分解されたポリビニルアセテート、アルキル及びスルホアルキルアクリレート及びメタクリレートのポリマー、ポリアミド、ポリビニルピリジン、アクリル酸ポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキシド、メタクリルアミドコポリマー、ポリビニルオキサゾリジノン、マレイン酸コポリマー、ビニルアミンコポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸コポリマー、ビニルイミダゾールコポリマー、ビニルスルフィドコポリマー、及びスチレンスルホン酸を含有するホモポリマー又はコポリマーのような合成水透過性コロイドが含まれる。また、バインダーには、ポリスチレン、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、及びそれらのコポリマー)、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エチルセルロース、エポキシ樹脂、及びウレタン樹脂、及びかかるポリマーのラテックスのような溶剤溶解性のポリマーから作られる分散液も含まれる。
当該バインダーは、高度の粘着及び接着を与えるように架橋されることが好ましい。本発明の塗布組成物に効果的に使用される架橋剤又は硬膜剤には、アルデヒド、エポキシ化合物、多官能アジリジン,ビニルスルホン、メトキシアルキルメラミン、トリアジン、ポリイソシアネート、ジヒドロキシジオキサンのようなジオキサン誘導体、カルボジイミド、クロム明礬、ジルコニウムスルフェートなどが含まれる。
また、感光性で熱現像可能な又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニット又はその画像形成層には、塗工助剤、帯電防止剤、滑り特性改良剤、乳化剤、粘着防止剤のような目的のための種々な界面活性剤が含まれてもよい。
使用できる界面活性剤の具体例には、サポニン、ポリエチレンオキシド、及びポリエチレンオキシド誘導体、例えばポリエチレンオキシドのアルキルエーテルのような非イオン界面活性剤;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナナフタレンスルホネート、アルキル硫酸エステル、N−アシル−N−アルキルタウリン、スルホコハク酸エステル、及びスルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのようなアニオン界面活性剤;アルキルベタイン及びアルキルスルホベタインのような両性界面活性剤;及び脂肪族又は芳香族4級アンモニウム塩のようなカチオン界面活性剤が含まれる。
更にまた、感光性で熱現像可能な又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニット又はその画像形成層には、前記した以外の添加剤が含まれてもよい。例えば、色素、紫外線吸収剤、可塑剤、蛍光増白剤、艶消し剤、塗工助剤、硬膜剤、帯電防止剤、及び滑り特性改善剤が含まれてもよい。これら添加剤の典型的な具体例は、Research Disclosure、176巻(1978年12月、第17643項)及びResearch Disclosure、187巻(1979年11月、第18716項)に開示されている。
本発明の画像形成要素では、その画像形成材料に、マイクロカプセルに封じ込めたカラー形成成分Aが使われる。カプセル化に関しては、慣用の公知手段が採用される。当該方法の具体例には、米国特許第2,800,457号及び同第2,800,458号明細書に記載される親水性壁形成材料のクアセルベーションを用いる方法、米国特許第3,287,154号明細書、英国特許第990,443号明細書、及び特公昭38−19574号、特公昭42−446号及び特公昭42−771号公報に記載される界面重合方法、米国特許第3,418,250号及び同第3,660,304号明細書に記載されるポリマー析出を用いる方法、米国特許第3,796,669号明細書に記載されるイソシアネート−ポリオール壁形成材料を用いる方法、米国特許第3,914,511号明細書に記載されるイソシアネート壁形成材料を用いる方法、米国特許第4,001,140号、同第4,087,376号及び同第4,089,802号明細書に記載される尿素−ホルムアルデヒド及び尿素−アルデヒド−レゾルシノール壁形成材料を用いる方法、米国特許第4,025,455号明細書に記載されるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂及びヒドロキシプロピルセルロースのような壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号及び特開昭51−9079号公報に記載されるモノマーの重合を用いる現場での方法、英国特許第952,807号及び同第965,074号明細書に記載される電解分散冷却を用いる方法、及び米国特許第3,111,407号明細書及び英国特許第930.442号明細書に記載される噴霧乾燥方法が含まれる。
カプセル化方法は、前掲した方法に限定されない。しかしながら、本発明の画像形成材料では、特に、マイクロカプセルのコアとなる疎水性の有機相にカラー形成成分を溶解又は分散させて得られるオイル相と、水溶性ポリマーを溶解させた水性相とを混合する段階、ホモジナイザーなどの手段によってこの混合物を乳化する段階、及び液体粒子の界面でポリマー形成反応が生ずるようにこの乳化物を加熱して、ポリマーのマイクロカプセル壁を形成させる段階の各工程を含む、界面重合方法を用いることが好ましい。この方法によれば、短時間で均一な粒子径を有するマイクロカプセルを形成させること、及び原料画像形性材料としての貯蔵性に優れた画像形成材料を得ることが可能となる。
当該ポリマーを形成する反応体は、液体粒子の内側及び/又は液体粒子の外側に添加される。当該ポリマー物質の具体例には、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレン−メタクリレートコポリマー、スチレン−アクリレートコポリマーなどが含まれる。これらの物質のうち、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエステル、及びポリカーボネートが好ましく、そしてポリウレタン及びポリ尿素が、特に好ましい。前掲したポリマー物質は、二種以上の組み合わせで使用されてもよい。
オイル相と混合される水性相に保護コロイドとして存在する水溶性ポリマーは、慣用的に知られているアニオンポリマー、ノニオンポリマー、及び両性ポリマーから、適宜選定されてよい。使用できる当該アニオンポリマーの具体例には、天然のもの又は合成のものが含まれる。いくつかの具定例は、−COO−、−SO2−などのような基を有するポリマーである。その特定の具体例には、アラビアゴム、アルギン酸、及びペクチンのような天然産生物質;カルボキシメチルセルロース、ゼラチン誘導体、例えばフタル化ゼラチン、スルフェート化ゼラチン、スルフェート化セルロース、及びリグニンスルホン酸のような半合成製品;及び無水マレイン酸系(加水分解物を含む)コポリマー、アクリル酸系(メタクリル酸系を含む)ポリマー及びコポリマー、ビニルベンゼンスルホン酸系ポリマー及びコポリマー、及びカルボキシ変性ポリビニルアルコールのような合成製品が含まれる。ノニオンポリマーの具体例には、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、及びメチルセルロースが含まれる。両性ポリマーの具体例には、ゼラチンなどが含まれる。この水溶性ポリマーは、0.01〜10質量%溶液として使われる。
また、界面活性剤は、水性相に含まれていてもよい。当該界面活性剤は、保護コロイドとの相互作用によって沈殿又は凝集が発生しないアニオン又はノニオン界面活性剤から、適宜選定される。当該界面活性剤の好ましい具体例には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、及びポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)が含まれる。
ポリウレタンがマイクロカプセルの壁材料に使用されるときは、当該マイクロカプセル壁は、水溶性ポリマーの水性溶液(即ち、水性相)中で、あるいは閉じ込められるオイル状媒体(オイル相)中で、多価イソシアネート及びこれと反応してマイクロカプセル壁を形成する第2の物質(例えば、ポリオール又はポリアミン)を混合すること、当該混合物を乳化させること、そして、液体粒子の界面でポリマー形成反応が起こるように、得られた乳濁液を加熱することによって形成することができる。多価イソシアネート及びそれと反応するポリオール又はポリアミンとしては、米国特許第3,281,383号、同第3,773,695号及び同第3,793,268号明細書、及び特公昭48−40347号及び同49−24159号公報、特開昭48−80191号及び同48−84086号公報に記載されるものが、使用できる。
カラー形成成分を含有するマイクロカプセルが作製されるときは、マイクロカプセル内に閉じ込まれるカラー形成成分は、室温下のマイクロカプセルの内部に溶液状態で存在してもよいし、あるいは固体状態で存在してもよい。仮に、それが溶液状態で存在するならば、当該カラー形成成分は、高沸点を有する有機溶剤と混合して、マイクロカプセルのコアが形成される。仮にそれが固体状態で存在するならば、当該カラー形成剤は、熱溶剤又は補助溶剤に溶解している。補助溶剤は、カプセル後に除かれる。マイクロカプセルのコアには、主として、カラー形成成分が他の添加剤と共に含まれている。熱溶剤は、室温で固体であり、高温で、例えばカプセル化工程時の硬化温度で液体となる。この場合、マイクロカプセルのコアには、熱溶剤中に分散されたコア形成成分が含まれている。
本発明の熱溶剤は、30℃未満の温度では固体であり、30℃を超える温度、好ましくは40℃を超える温度で液体となる化合物として定義される。典型的な熱溶剤には、1,
12−ジヒドロキシドデカン、パラフィンワックス、蜂蝋、脂肪酸、脂肪酸アミド、ステアリン酸、ステアラミド、ステアリン酸亜鉛が含まれ、そしてより好ましくは、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、チオジエチレンヒドロシンナメート(IRGANOXTM 1035、Ciba-Geigy製)、テトラキスメタン(IRUGANOX(登録商標)1010、Ciba-Geigy製)。ビスフェノールAジアセテート(BPADA)、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジフェニルオキサレート、ベンジルオキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエート、ロジン及びm−ターフェニル誘導体、1,2−ビス−(3,4−ジメチルフェニル)エタンのようなビス−ジアルキルアリールエタン、米国特許第4,885,271号及び同第4,885,271号明細書に記載されるものが含まれる。
本発明の好ましい実施態様では、カラー形成成分は、光重合組成物と共に混合されて、マイクロカプセルのコア、即ちマイクロカプセルの分散相が形成される。マイクロカプセルの殻即ちマイクロカプセルの壁材料は、ポリ尿素、即ちポリウレタン−尿素である。本発明のその他の好ましい実施態様では、カラー形成成分は、光重合組成物と混合されて、マイクロカプセルのコア、即ちマイクロカプセルの分散相が形成される。そのマイクロカプセルの殻即ちマイクロカプセルの壁材料には、ポリ尿素の殻即ちポリウレタン−尿素の殻及びメラミン−ホルムアルデヒド又は尿素−ホルムアルデヒドの殻が含まれる。
好ましくは、当該カラー形成成分Aを含有マイクロカプセルは、酢酸エチルのような補助有機溶剤又は熱溶剤に、カラー形成成分A、即ち光重合性組成物を溶解させて溶液を形成させること、この溶液に、多官能価イソシアネートのようなある量のマイクロカプセル壁材料を添加して油相を形成させること、当該油相を、保護コロイドとしてのポリビニルアルコール又はフタル化ゼラチンのような水溶性ポリマー、及び選択的に界面活性剤を含む水性溶液に添加して混合物を形成させること、当該混合物を、ホモジナイザーを用いて乳化して乳濁液とすること、当該乳濁液に、選択的に硬化剤のような多官能価アミンを添加すること、そして当該乳濁液を、高温で硬化させてマイクロカプセルを形成させることからなる各工程によって作製される。
第2の殻を形成させることが望ましいならば、メラミン及びホルムアミド又は縮合物の水溶液が、上記乳濁液に添加される。そのメラミン−ホルムアルデヒド殻は、中性又は酸性pH、例えばpH7以下で、得られる混合物の温度を高めることによって形成される。このカプセル化の温度は、約20〜95℃、好ましくは約30〜85℃、そして最も好ましくは約45〜80℃に維持される。
本発明の画像形成材料に使われるマイクロカプセルの平均粒径は、高解像度を得るという見地から、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、そして最も好ましくは6μm以下である。この平均粒径は、マイクロカプセルの平均粒径が小さ過ぎると、固体成分の単位量当りの表面積が大きくなって大量の壁形成材料が必要となるため、好ましくは0.1μm以上である。
本発明の画像形成材料に使われる支持体の具体例には、紙;コート紙;ラミネート紙のような合成紙;ポリエチレンテレフタレートフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムのようなフィルム;アルミニウム、亜鉛、及び銅のような金属板;及びその表面が表面処理、下塗り層又は金属蒸着で処理されているこれらの支持体が含まれる。更なる具体例は、Research Disclosure、第200巻(1980年12月、20036項のXVII)に記載されている支持体である。これらの支持体には、蛍光増伯剤、青色色素、顔料、又は他の添加剤が含まれていてもよい。更に、支持体それ自体は、ポリウレタンフォーム又はゴムシートのような弾性シートから作られていてもよい。支持体と感光性で熱現像可能な又は感光性で圧力現像可能な画像形成ユニットとの間には、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、又は低酸素透過速度を有する同好物のようなポリマーを含む層が、設けられてもよい。この層が存在すると、形成される画像の光酸化のため、効果的に退色を防ぐことが可能となる。
本発明の画像要素には、少なくとも一層の導電層が含まれてよく、それは表面保護層であってもあるいは下塗り層であってもよい。当該支持体の少なくとも片側の表面抵抗率は、25℃、20%相対湿度下で、好ましくは1×1012Ω(オーム)-/平方未満、より好ましくは、1×1011Ω-/平方未満である。この表面抵抗率を下げるための好ましい方法は、導電層内に少なくとも一つのタイプの導電材料を混入することである。かかる材料には、導電性金属酸化物及び導電性のポリマー又はオリゴマー化合物の両者が含まれる。かかる材料は、例えば、米国特許第4,203,769号、同第4,237,194号、同第4,272,616号、同第4,542,095号、同第4,582,781号、同第4,610,955号、同第4,916,011号、及び同第5,340,676号明細書に詳細に記載されている。
本発明の画像要素には、記録要素の機械取り扱い性及びカールを改善すること、その摩擦及び低効率などをコントロールすることを目的として、画像形成ユニットに対する支持体の反対側に位置したカール調整層又は裏打ち層が含まれていてもよい。典型的に、その裏打ち層には、バインダー及びフィラー、及び選択的に滑剤が含まれてよい。典型的なフィラーには、非晶質及び結晶質のシリカ、ポリ(メチルメタクリレート)、中空球ポリスチレンビーズ、マイクロクリスタリンセルロース、酸化亜鉛及びタルクが含まれる。その裏打ち層に添加されるフィラーは、一般に、バインダー成分の5重量%未満であり、フィラー材料の平均粒径は、1〜30μmの範囲である。裏打ち層に使われる典型的なバインダーは、ポリアクリレート、ゼラチン、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、ゼラチン及びセルロース誘導体のようなポリマーである。滑剤は、裏打ち層に対して反対側に位置する外層の保護層に混入されたものと同じであってよい。更にまた、帯電防止剤が、画像要素の帯電障害を防ぐために、裏打ち層に含まれてもよい。特に好適な帯電防止剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、オクチルスルホン酸カリウム塩、オリゴスチレンスルホン酸ナトリウム塩、及びラウリルスルホコハク酸ナトリウム塩などのような化合物である。当該帯電防止剤は、バインダーの重量に対して、0.1〜20重量%の量でバインダーに添加されてよい。また、画像形成ユニットは、所望の場合、その裏面に塗布されていてもよい。
可視像は、もしも本発明の画像形成要素が感光性で熱現像可能な画像形成要素であるならば熱現像によって、もしも本発明の画像形成要素が感光性で圧力現像可能な画像形成要素であるならば圧力現像によって、作られる。当該熱現像又は圧力現像は、潜像の形成のための露光と同時に、あるいは露光後に実施されてもよい。
当該熱現像のために、慣用的に周知な加熱方法が採られてよい。一般に、加熱温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは83〜160℃、そして最も好ましくは85〜130℃である。加熱時間は、好ましくは3秒〜1分、より好ましくは4〜45秒、そして最も好ましくは5〜30秒である。圧力現像は、圧力塗工装置を用いて実施することができる。例えば、画像形成材料は、マイクロカプセルを破壊して、それによって反応するカラー形成成分と現像剤とを接触させて画像を現像させる一対のカレンダーロール間に露光した画像形成媒体を通過させることによって現像される。また、画像形成材料は、弾性的にバイアスをかけて画像形成シートと噛み合わせる点接触を移動させることによって現像されてもよい。典型的に、その画像形成シートは、シリンダーに確保されて、その点接触が、画像形成シートと弾性的に圧力接触するように位置決めされる。このシリンダーが回転すると、点接触がシリンダーの回転と同期してシリンダーに沿って同時に移動して、マイクロカプセルを破壊し、画像形成シートに画像を現像するか、あるいはその画像形成シートが平面プラットホーム上に固定されて、その点接触が、X−Y輸送装置のねじ山を用いて、シートの表面を横切って移動する。かけられる圧力は、好ましくは10〜300kg/cm2、より好ましくは80〜250kg/cm2、そして最も好ましくは130〜200kg/cm2である。仮に、当該圧力が10kg/cm2未満であると、十分な現像カラー濃度が得られず、逆に、その圧力が300kg/cm2を超えると、硬化したマイクロカプセルが破壊するので、画像の識別が十分でなくなる。
本発明の画像形成要素には、光重合開始剤や分光増感剤のようなものが含まれる。したがって、本発明の画像形成要素は、光重合開始剤などで発色する。また、背景も当該化合物で発色するので、本発明の方法にとって、その着色した背景が熱現像後の照射によって脱色されることが、非常に重要である。よって、熱現像後に、当該画像形成ユニットの表面は、光を照射して、生成した画像を定着し、そして画像形成層に残留する分光増感化合物のような成分を脱色、分解し、あるいは不活性化させて、背景の白色度を低下させることが好ましい。この照射を行うことによって、発色反応を抑制することが可能である。結果として、画像における濃度変化が抑制されて、画像の記録性が飛躍的に向上する。
本発明の画像形成要素は、所望の画像形態のパターンに応じて光に像様露光され、その光重合によって、潜像が形成される。このカラー現像工程は、熱及び/又は圧力によって行われ、カラー形成成分が当該潜像に応じてカラーを現像し、それによって画像が作られる。定着工程では、画像形成層の表面が光に照射されて、形成された画像が定着し、有機色素が分解する。
露光工程では、例えば、それぞれのカラー感光領域に対応する波長を有する光量に、全面を露光させて、所望の現像カラー濃度を与えることができる手段を採ることが、可能である。当該露光工程に使われる光源は、もしも感光性で熱現像可能な画像形成層が、特定波長域で吸収を示す分光像感化合物のような光吸収材料を含有するならば、紫外光から赤外光に亘る波長を有する光源から選定される如何なる光源であってもよい。より好ましくは、300〜1000nmの範囲に亘り最大吸収波長域を与える光源が好ましい。光源は、その光源の波長が使用する有機色素のような光吸収材料の吸収波長と調和するものを選定使用することが好ましい。かかる光吸収材料を使用すると、青色から赤色の光源を用いることが可能となり、また、小規模で、安価な赤外レーザ装置を使用することも可能となり、結果として、本発明の画像形成材料の使用を広げるばかりでなく、感度及び画像の鮮明さを上げることも可能となる。光源のうち、青色、緑色、又は赤色レーザ光源のようなレーザ光源又はLEDを使用することが、装置の簡素化、小型化、及び低価格化の観点から、特に好ましい。
本発明の画像形成処理によれば、カラー現像工程後に、画像形成ユニットの表面が定着工程に付され、その工程で、画像形成層の全体表面が特定光源からの光に照射されて、形成された画像が定着され、画像形成層に残留する光重合開始剤の成分が脱色される。定着工程で使われる光源については、広範囲の光源、例えば、水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電タイプの水銀灯、キセノンランプ、タングステンランプ、ハロゲン化金属ランプ及び蛍光ランプを、適宜、使用することができる。当該定着工程において、光源からの光で画像形成ユニットを照射する方法は、特に限定されない。画像形成ユニットの全体表面は、一度に光照射されてもよく、また、その画像形成ユニットの表面は、表面の照射が最終的に終わるまで、スキャンなどによって徐々に照射されてもよい。つまり、略均一な光で、画像形成後の画像形成ユニット材料の全体表面に対する照射が最終的に可能となる方法であれば、いずれの方法が採用されてもよい。全体の画像形成ユニット層への照射は、本発明の効果を高めるという見地から好ましい。光源からの光の照射時間は、作成された画像が定着され、かつその背景が十分に脱色されることを可能とする時間であることが必要である。十分な画像の定着と脱色を行うために、その照射時間は、数秒〜十数分の範囲であることが好ましく、そしてより好ましくは、数秒〜数分の範囲である。
本発明で使用される感熱色素画像形成要素、即ち、受容要素の受容層には、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ポリビニル、ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)、ポリ(カプロラクトン)、又はそれらの混合物が含まれてよい。当該色素受容層は、意図する目的に効果的ないかなる量で存在していてもよい。一般に、良好な結果は、約1〜約10g/m2の濃度で得られている。Harrison 等の米国特許第4,775,657号明細書に記載されているように、オーバーコート層が、色素受容層を覆って更に塗布されてもよい。
当該色素受容画像形成要素と共に用いられる色素供与体要素は、通常、その上に色素含有層を有する支持体が含まれる。いかなる色素も、それが熱の作用によって色素受容層に転写可能であることを条件として、本発明で用いる色素供与体に使用することができる。特に良好な結果は、昇華性色素で得られている。本発明の使用の好適な色素供与体は、例えば、米国特許第4,916,112号、同第4,927,803号及び同第5,023,228号明細書に記載されている。前述したように、色素供与体要素は、色素転写画像を形成するために使用される。かかる処理には、色素供与体要素を像様加熱すること、及び色素画像を前述した色素受容要素に転写して色素転写画像を形成させることが含まれる。感熱色素転写のプリント法の好ましい実施態様では、シアン、マゼンタ、及びイエロー色素の逐次繰り返し領域で被覆されたポリ(エチレンテレフタレート)支持体を含む色素供与体要素が用いられ、当該色素の転写工程は、それぞれのカラーに対して逐次的に行われて、3色の色素転写画像が得られる。その処理が単一の色に対してのみ行われるときは、単色の色素転写画像が得られる。
色素供与体要素から受容要素へ色素を転写するために使われる感熱プリントヘッドは、商業的に入手可能である。例えば、Fujitsu サーマルヘッド(FTP−040 MCS001)、TDKサーマルヘッド F415 HH7−1089、又はRohm サーマルヘッド KE2008−F3が使用可能である。これに代えて、感熱色素転写用の他の公知なエネルギー源としては、例えば、英国特許第2,083,726号明細書に記載されるようなレーザが使用されてもよい。
感熱色素転写の集成体には、(a)色素供与体要素、及び(b)前記した色素受容要素が含まれ、その色素受容要素は、供与体要素の色素層が受容要素の色素画像受容層と接しているように、色素供与体要素と重畳関係にある。
3色画像が得られるときには、前記集成体は、熱プリントヘッドによって熱が付与される時点で、三回形成される。第1の色素が転写された後、当該両要素は剥がされる。次いで、第2の色素供与体要素(又は異なる色素領域をもつ供与体要素のその他の領域)が、色素受容要素と正しく重ね合わされて、その処理が繰り返される。第3のカラーが、同様にして得られる。
エレクトログラフ方式及び電子写真方式とそれらの個々の工程は、先行技術において詳しく記載されている。それらの処理では、静電画像を形成すること、その画像を荷電した着色粒子(トナー)で現像すること、選択的に、その得られる現像画像を第2の基板に移行させること、そして当該画像を基板に定着することからなる基本的な工程が含まれる。これらの処理及び基本工程には種々な変形があり、ドライトナーに変えて液体トナーを使用することは、これら変形の単なる一例である。
この第1の基本工程、静電画像の形成は、種々な方法で達成することができる。一つの形態では、複写機の電子写真方式では、アナログ又はデジタル露光を通じて、均一放電光導電素子の像様光放電が使われる。この光導電素子は、使い捨て方式であってもよく、また、それは、セレン又は有機光受容体に基づくもののような、再充電可能で再画像化が可能であってもよい。
これに代わるエレクトログラフ方式では、静電画像は、イオン記録的に形成される。この潜像が、誘電(電化保持性)媒体の、紙かフィルムのいずれかの上に形成される。電位が、媒体の幅を横切って間隔を空けて配置された一列の尖筆から、選定された金属尖筆又は筆記用尖筆にかけられると、その選定された尖筆と媒体との間に空気の絶縁破壊が起こる。イオンが発生し、それが媒体上に潜像を形成する。
しかしながら、発生した静電画像は、反対荷電のトナー粒子で現像される。液体トナーでの現像の場合は、液体現像液が、この静電画像と直接接触させられる。通常は、液体流が使用されて、十分なトナー粒子を現像に利用することが確保される。静電画像によって作られる電場により、非導電性液体中に懸濁した荷電粒子が生じ、電気泳動によって移動する。この潜像の静電画像の荷電は、かくして、反対荷電粒子によって中性化される。液体トナーでの電気泳動現像の理論及び物理的現象は、多くの書物及び刊行物に詳しく記載されている。
仮に、再画像化可能な光受容体又はエレクトログラフマスターが使われるならば、色調を変えた画像が紙(又は他の基体)に転写される。当該紙が選定された極性をもつように静電的に荷電され、それによりトナー粒子の紙への転写が引き起こされる。最終的に、色調を変えた画像が紙に定着される。自己定着トナーの場合、残留液体は、空気乾燥又は加熱によって紙から取り除かれる。溶剤の蒸発時に、これらのトナーは、紙と結着したフィルムが形成される。熱溶融性トナーの場合は、熱可塑性ポリマーが粒子の一部として使用される。加熱は、残留液体を蒸発させると共に、当該トナーを紙に定着させる。
インクジェット画像形成媒体として使われるときは、画像形成要素又は媒体には、典型的に、その少なくとも一つの表面にインク受容層又は画像形成層を有する基体又は支持体材料が含まれる。所望の場合、その支持体へのインク受容層の接着を改良するために、支持体表面は、当該支持体に溶剤吸収層が塗布される前に、コロナ放電処理が施されてよく、あるいはこれに代えて、ハロゲン化フェノール又は部分加水分解された塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーから形成される層のような下塗り層が、支持体表面に塗布されてもよい。インク受容層は、3〜75μm、好ましくは8〜50μmの乾燥厚さで、水又は水−アルコール溶液から支持体層上に塗布されることが、好ましい。
いかなる公知のインクジェット受容層も、本発明で使用することができる。例えば、当該インク受容層は、主として、シリカ、変性シリカ、粘土、アルミナのような無機酸化物粒子、熱可塑性又は熱硬化性ポリマーからなるビーズのような可融性ビーズ、非可融性有機ビーズ、又は天然産の親水性コロイドのような親水性ポリマー、及びゼラチン、アルブミン、グアルゴム、キサンタン、アラビアゴムのようなゴム、キトーサン、澱粉及びそれらの誘導体など、機能性蛋白、機能性ガム及び澱粉のような天然ポリマーの誘導体、及びセルロースエーテル及びその誘導体、及びポリビニルオキサゾリン、ポリビニルメチルオキサゾリン、ポリオキシド、ポリエーテル、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリアクリルアミドとポリビニルピロリドンを含むn−ビニルアミド、及びポリ(ビニルアルコール)、その誘導体及びコポリマーのような合成ポリマー、及びこれら材料の組み合わせからなってよい。親水性ポリマー、無機酸化物粒子、及び有機ビーズは、基体上の一以上の層に、そして層内に種々の組み合わせで存在してよい。
親水性ポリマーからなるインク需要層中には、セラミック又は硬いポリマー粒子を添加することによって、塗工時に発泡させ又は吹込成形することによって、あるいは非溶剤を導入することにより層内に相分離を起こさせることによって、多孔質構造が導入されてもよい。一般に、ベースの層は親水性で、多孔質でないことが好ましい。このことは、特に写真画質のプリントの場合に当てはまり、その場合には、気孔性は光沢を喪失させてしまう。特に、当該インク受容層は、当該分野で周知なように添加剤を含むあるいは含まない、いかなる親水性ポリマー又はポリマーの組み合わせからなっていてもよい。
所望ならば、当該インク受容層は、例えば、セルロース誘導体又はカチオン変性セルロース誘導体又はこれらの混合物を含む、インク透過性で、耐粘着性の保護層で被覆されてもよい。特に好ましいオーバーコートは、ポリβ−1,4−アンヒドロ−グルコース−g−オキシエチレン−g−(2′−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチル−N−ドデシルアンモニウムクロリドである。この被覆層は、非孔質であるが、インク透過性であり、しかも、水性インクで要素上にプリントされた画像の光学濃度を改良する役割を果たす。また、当該被覆層は、インク受容層を、摩耗、汚れ、及び水の損傷から保護することを可能とする。一般に、この被覆層は、約0.1〜約5μm、好ましくは約0.25〜約3μmの乾燥厚さで存在しているのがよい。
実際上、種々の添加剤が、インク受容層及びオーバーコートに用いられてよい。これらの添加剤には、塗工性を改善し、乾燥塗膜の表面張力を調整する界面活性剤のような表面活性剤、pHを調整する酸又は塩基、帯電防止剤、懸濁剤、塗膜を架橋させる硬膜剤、酸化防止剤、UV安定化剤、光安定化剤などが含まれる。更に、水耐久性を改善するため、媒染剤が少量で(ベースの層の2〜10重量%)添加されてもよい。有用な媒染剤は、米国特許第5,474,843号明細書に開示されている。
DRL(色素受容層)は、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの厚さで、接合層又はTLを覆って塗布される。色素受容層として有用な多くの公知の配合物がある。主要な要件は、当該DRLがインクと相溶性であり、それによって望ましいカラー域及びカラー濃度が得られるように画像形成されることである。インク滴はDRLを通過するので、その色素はDRL内に残留し又は媒染され、一方、インク溶剤はDRLを自由に通過して、速やかにTLによって吸収される。更に、当該DRL配合物は、好ましくは、水から塗布され、TLに対して適当な粘着性を示して、表面光沢のコントロールを容易にする。
例えば、Misuda 等の米国特許第4,879,166号、同第5,264,275号、同第5,104,730号、同第4,879,166号明細書、及び日本特許第1,095,091号、同第2,276,671号、同第2,276,670号、同第4,267,180号、同第5,024,335号、及び同第5,016,517号特許明細書には、擬似ベーマイトとある種の水溶性樹脂の混合物を含む水性系のDRL配合物が開示されている。Light 等の米国特許第4,903,040号、同第4,930,041号、同第5,084,338号、同第5,126,194号、同第5,126,195号、及び同5,147,717号明細書には、他のポリマー及び添加剤と共に、ビニルピロリドンポリマーとある種の水分散性及び/又は水溶性ポリエステルとからなる混合物を含む水性系のDRL配合物が開示されている。Butters 等の米国特許第4,857,386号及び同第5,102,717号明細書には、ビニルピロドンポリマーとアクリル又はメタクリルポリマーとの混合物を含むインク吸収性樹脂層が開示されている。Sato 等の米国特許第5,194,317号及びHiguma 等の同第5,059,983号明細書には、ポリ(ビニルアルコール)に基づく水性塗工性のDRL配合物が開示されている。Iqbal の米国特許第5,208,092号明細書には、引き続いて架橋されるビニルコポリマーを含む水性系DRL配合物が開示されている。これらの具体例に加えて、前述したDRLの第1及び第2の要件に合致する、他の公知な又は意図したDRL配合物がある。
好ましいDRLは、0.1〜10μmの厚さであり、アルモキサン5部とポリ(ビニルピロリドン)5部とからなる水性分散液として塗布される。また、当該DRLには、可変量及び大きさの、光沢、摩擦、及び/又は耐指紋性をコントロールするための艶消し剤、表面の均一性を向上させ、乾燥塗膜の表面張力を調整するための界面活性剤、媒染剤、酸化防止剤、UV吸収化合物、光安定化剤などが含まれてよい。
画像形成要素の耐候性を増大させるために、DRLを被覆することが望ましい。かかるオーバーコートは、当該要素が画像形成される前又は後のいずれかの時点で、DRLに塗布されてよい。例えば、当該DRLは、インクを自由に通過するインク透過層で被覆されてよい。このタイプの層は、米国特許第4,686,118号、及び同第5,102,717号明細書に記載されている。二者択一的には、オーバーコートは、当該要素が画像形成された後に加えられる。この目的には、公知の積層フィルム及び装置のいずれが使われてもよい。前述した画像形成処理に使われるインクは周知であり、そして当該インク配合物は、屡、その特定の処理、即ち、連続、圧電性、又は感熱処理と密接に関連している。したがって、その特定のインク処理によって、当該インクには、広く異なる量及び組合せの溶剤、着色料、保恒剤、界面活性剤、保湿剤などが含まれてよい。本発明で使用される画像記録要素との組み合わせで用いられるのに好ましいインクは、例えば、Hewlett−Packard Desk Writer(登録商標)560Cプリンター用に現在市販されているような、水性系である。しかしながら、前述したような代替可能な実施態様の画像記録要素は、所定のインク記録処理又は所定の商業的ベンダーに特定されるインク向けに使用されるように配合されている。
ハロゲン化銀写真要素は、単色要素又は多色要素であってよい。多色要素には、スペクトルの3原色域のそれぞれに感光性の画像色素形成ユニットが含まれる。各ユニットには、スペクトルの所定域に感光性の単一の乳剤層又は複数の乳剤層が含まれる。当該要素の各層は、画像形成ユニットの各層を含めて、当該分野で知られる種々な順に配置されてよい。一つの代替的な様式では、スペクトルの3原色域のそれぞれに感光性の乳剤は、単一の画分された層として配置されてもよい。
本発明に有用な写真乳剤は、一般に、当該分野で慣用の方法により、ハロゲン化銀結晶をコロイドマトリクスに沈降させることによって調製される。当該コロイドは、典型的に、ゼラチン、アルギン酸、又はそれらの誘導体のような親水性フィルム形成剤である。
沈降工程で形成される結晶は洗浄され、次いで、分光増感色素及び化学増感剤が添加されて化学増感及び分光増感され、その間に、当該乳剤温度が、典型的に40℃から70℃まで上げられる加熱工程に付されて、一定時間保持される。本発明で採用する乳剤の調製に用いられる沈降法、及び分光及び化学増感法は、当該分野で公知な方法であってよい。
乳剤の化学増感には、典型的に、硫黄含有化合物、例えばアリルイソチオシアネート、ナトリウムチオスルフェート及びアリルチオ尿素、還元剤、例えばポリアミン及び錫酸塩、貴金属化合物、例えば金、白金、及び重合剤、例えばポリアルキレンオキシドのような増感剤が用いられる。前記したように、加熱処理が用いられて、化学増感が完了する。分光増感は、可視又は赤外スペクトル内で関連する波長域に設計された色素と組合せると効果を発揮する。かかる色素は、加熱処理の前後の両方に添加することが知られている。
分光増感後に、当該乳剤は、支持体上に塗布される。種々の塗工技術には、浸漬塗布、エアナイフ塗布、カーテン塗布及び押出塗布が含まれる。
本発明に使用されるハロゲン化銀乳剤は、いかなるハロゲン化物分布からなってもよい。よって、それらは、塩化銀、臭化銀、臭塩化銀、塩臭化銀、沃塩化銀、沃臭化銀、臭沃塩化銀、塩沃臭化銀、沃臭塩化銀、及び沃塩臭化銀の乳剤からなってよい。しかしながら、当該乳剤は、主として塩化銀乳剤であることが好ましい。主として塩化銀とは、その乳剤粒子が、約50モル%の塩化銀を超えていることを意味する。好ましくは、それらは、約90モル%の塩化銀を超え、そして最適には、約95モル%の塩化銀を超えている。
このハロゲン化銀乳剤には、いかなる大きさ及び形態の粒子が含まれてもよい。よって、当該粒子は、立方体、八面体、立方晶八面体、又は他の自然発生的な形態の立方格子タイプのハロゲン化銀粒子の形態を採ってもよい。更に、当該粒子は、球状粒子又は板状粒子のような不規則であってもよい。板状又は立方状形態を有する粒子が、好ましい。
本発明で使用する写真要素は、T.H. James 著の「The theory of the Photographic Process (写真処理の理論)」、第4版、Macmillan Publishing 社、1977年、151〜152頁に記載されるような乳剤が用いられてよい。還元増感は、ハロゲン化銀乳剤の写真感度を改善することが知られている。還元増刊されたハロゲン化銀乳剤は、一般に、良好な写真感度を示すが、それらは、屡、望ましくないカブレ及び貧弱な貯蔵安定性という欠点を有する。
還元増感は、銀イオンを還元して金属銀原子にする還元増感剤、化学剤を添加するか、あるいは高pH(過剰な水酸化イオン)及び/又は低pH(過剰な銀イオン)のような還元性雰囲気を与えることによって、意図的に実施することができる。ハロゲン化銀乳剤の沈降時に、例えば、硝酸銀又はアルカリ溶液が急速に加えられるとか、混合が不十分のまま乳剤が形成されるときには、意図しない還元増感が起こることがある。また、チオエーテル、セレノエーテル、チオ尿素、又はアンモニアのような熟成剤(結晶生長調整剤)の存在下にハロゲン化銀乳剤を沈降させると、還元増感が起こりやすい傾向がある。
沈降時に、あるいは乳剤を還元増感させるための分光・化学増感時に使用されてよい還元増感剤及び還元性雰囲気の具体例には、米国特許第2,487,850号、同第2,512,925号明細書、及び英国特許第789,823号明細書に記載されるアスコルビン酸誘導体、錫化合物、ポリアミン化合物、及びチオ尿素二酸化物系化合物が含まれる。ジメチルアミンボラン、塩化第一錫、ヒドラジン、高pH(pH8〜11)及び低pH(pH1〜7)の熟成のような、還元増感剤又は雰囲気の特定具体例は、S. Collier 著の「Photographic Science and Engineering(写真科学と工学)」、23巻、113号(1979年)により議論されている。意図的に還元増感されたハロゲン化銀乳剤の調製方法の具体例は、欧州特許第0348934号(山下)、同第0369491号(山下)、同第0371388号(大橋)、同第0396424号(高田)、同第0404142号(山田)、及び同第0435355号(牧野)明細書に記載されている。
本発明で使用される写真要素は、英国、ハンプシャー州、PO10 7DQ、エムスワース、12a北通り、ダッドレイアネックス、Kenneth Mason Publications 社発行の、「Research Disclosure」、1994年9月、第36544項、第I節に記載されるような、イリジウム、ロジウム、オスミウム、及び鉄のような第VII族金属でドープされた乳剤が用いられてもよい。更に、ハロゲン化銀乳剤の増感におけるイリジウム使用の総括は、「Photographic Science and Engineering (写真科学と工学)」、24巻、6号、1980年のCarroll による「Iridium Sensitization:A Literature Review(イリジウム増感:文献論評)」に含まれている。イリジウム塩及び写真分光増感色素の存在下で乳剤を化学増感することによるハロゲン化銀乳剤の製造法は、米国特許第4,693,965号明細書に記載されている。いくつかの事例では、かかるドーパントが含まれるときには、「The British Journal of Photography Annual(英国写真年報ジャーナル)」、1982年、201〜203頁に記載されるようなカラーリバーサルE−6処理で処理されるときに、乳剤が、増大した新たなカブリと低コントラストのセンシトメトリー曲線を示す。
典型的な多色写真要素には、少なくとも一種のシアン色素形成カプラーを含有する少なくとも一層の赤感性ハロゲン化銀乳剤層を含むシアン色素画像形成ユニット、少なくとも一種のマゼンタ色素形成カプラーを含有する少なくとも一層の緑感性ハロゲン化銀乳剤層を含むマゼンタ色素画像形成ユニット、及び少なくとも一種のイエロー色素形成カプラーを含有する少なくとも一層の青感性ハロゲン化銀乳剤層を含むイエロー色素画像形成ユニットを支承する本発明の積層支持体が含まれる。当該要素には、付加的な層、例えばフィルター層、中間層、オーバーコート層、下塗り層などが含まれてよい。また、本発明の支持体は、黒白写真のプリント要素に使用されてもよい。
また、当該写真要素には、米国特許第4,279,945号及び同第4,302,523号明細書に記載されるように、透明支持体の下側に磁性粒子を有する層のような透明な磁気記録層を有してもよい。典型的に、当該要素は、約5〜約30μmの全体の厚さ(支持体を除く)を有している。
以下の表では、英国、ハンプシャー州、PO10 7DQ、エムスワース、12a北通り、ダッドレイアネックス、Kenneth Mason Publications 社により全てが発行された、(1)「Research Disclosure」、1978年12月、第17643項、(2)「Research Disclosure」、1989年12月、第308119項、(3)「Research Disclosure」、1994年9月、第36544項、及び(4)「Research Disclosure」、1996年9月、第38957項「Research Disclosure」に言及されるが、これらの開示はここで参照したことにより本明細書に含める。表及び当該表において引用した参照は、本発明のハロゲン化銀要素における使用に適した特定の成分として読解されるべきである。また、この表及びその引用した参照には、好適な要素の製造方法、露光方法、処理方法及び操作方法も記載されている。本発明での使用に特に好適な写真要素及びかかる要素を処理する方法は、英国、ハンプシャー州、PO10 7DQ、エムスワース、12a北通り、ダッドレイアネックス、Kenneth Mason Publications 社により発行された、「Research Disclosure」、1995年2月、第37038項、及び「Research Disclosure」、1997年9月、第40145項に記載されるが、この開示は、ここで参照したことにより本明細書に含める。
Figure 2007508929
当該写真要素は、電磁スペクトルの紫外、可視、及び赤外領域を包含する種々な形態のエネルギーで、並びに電子ビーム、β放射線、γ放射線、X線、α粒子、中性子線、及びレーザで得られるような、ノンコヒーラント(ランダム相)形態又はコヒーラント(同位相)形態のいずれかにある、他の形態の粒子及び波動様放射線エネルギーで露光されてよい。写真要素をX線で露光することを意図するときには、それには、慣用の放射線要素に見られる特徴が含まれる。
写真要素は、好ましくは、典型的にスペクトルの可視領域にある化学放射線に露光されて、潜像が形成され、次いで、好ましくは熱処理以外の他の方法で処理されて、可視像が形成される。当該処理は、好ましくは公知のRA−4(登録商標)(Eastman Kodak 社)処理で、又は他の高塩化物乳剤を現像するのに適した処理システムで行われる。また、本発明では、支持体及び前記したようなハロゲン化銀粒子を含む少なくとも1層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を含む写真記録要素を指向している。
その他の実施態様では、堅くて非常に平滑な白色ベースを与える本発明に有用な画像形成媒体は、画像形成されるラベル又はスティッカープリントとして用いられてよい。当業者に周知な手段によって接着層を塗布すれば、当該画像形成ベースを画像形成される自己接着性ラベル又はプリントに変える手段となる。この接着層は、永久不変のものであっても、あるいは復帰可能なものであってもよい。当該接着剤は、延伸コア上に塗布されても、あるいは別のやり方で、引き続いて延伸コア上に接着剤を覆ってフランジ層を押出してもよく、又はこの接着剤が、押出されたフランジ層に塗布されてもよい。
また、この接着剤を覆う剥離ライナーが、当該材料に写真仕上げのような必要な画像形成処理を遂行させるために、加えられてもよい。耐引裂性のポリマーからなる剥離シートは、容易に剥離可能な剥離シートとなる。自己接着性のスティッカープリント又はラベルは、ハロゲン化銀、インクジェット、感熱色素転写又は電子写真を含む、前記した画像形成技術のいずれと使用されてもよい。
本発明の実施例を以下に説明するが、本発明が、これらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
実施例1.多層要素1の作製
ゼラチン、LP−1及び硬膜剤ビス(ビニルスルホニルメタン)が100:100:3の重量比からなる水吸収層Pを、スライドホッパーによって、先にコロナ放電処理をしておいた可動の白色不透明な支持体(両面にポリオレフィン樹脂の塗布層を有する、8ミル厚のGrandwell Polylith GC2延伸ポリプロピレン合成紙)上に塗布した。このウェッブを、4〜6℃の冷却区域を通過させて、塗布溶液を不動にし、引き続いて一連の乾燥区域を通過させて過剰な水を取り除いた。得られた乾燥層の厚さは、約16μmである。
要素1を作製するための本発明の多層塗工処理用の塗布溶液は、以下に記載される成分の全てを水中で混合することによって調製した。層2及び層3に使用したゼラチンは、Croda 製の酸処理オセインである。層2及び層3用の塗布溶液を50℃で調製した。感光性で感圧性の層1用の塗布溶液の調製は、米国特許出願第2002/0045121号明細書に詳細に前記されており、それを室温で調製した。
要素1
Figure 2007508929
要素1に使用した成分の構造:
Figure 2007508929
前記したように水吸収層Pで予備塗布された合成支持体の上面に、層1、層2、及び層3用の塗布溶液を、多段スロットスライドホッパーによって同時に塗布した。層1は下部に、層3は上部にある。塗布後、得られた多層構造を4〜6℃でチルセットし、当該塗布溶液が不動にされたまま、13℃から30℃まで変わる条件下で、徐々に乾燥した。
実施例2.要素2〜4の作製
要素2〜4を、以下に挙げるように層2の組成及び湿潤配合量が異なることを除き、要素1と同様に作製した。
Figure 2007508929
LP−2は、ガラス転移温度−35℃以下、及び平均粒度345nmを有する、Ashland Specialty Chemical 社(オハイオ州、コロンブス)製のアクリルエマルジョンポリマーAroset 3240(登録商標)である。
Figure 2007508929
要素5を、チルセット性の保護層2及び3を除き、単に非チルセット性の層1を塗布したことを除き、要素1と同様に作製した。
要素6を、それを水吸収性でない支持体上に塗布したことを除き、要素1と同様に作製した。得られた塗膜には、多くの均一性の欠陥が見られた。この欠陥は、多層を不動化することの困難性のために乾燥時に形成された。
実施例3.層1、2、及び3用の塗布溶液のレオロジー
要素3を作製するために使用した層1、層2、及び層3用の塗布溶液を、それらのチルセット性に関して測定した。調整された張力レオメーター、レオメトリクス AREAS 流体スペクトロメーターを、クエット構造で使用した。その構造は、カップ径34mm、ボブ径及び長さはそれぞれ32.4mmと33mmを有していた。12mLのサンプル量を用いた。動的粘度を、周波数1rad/秒で記録し、温度を45℃から5℃まで、1℃/分で傾斜して下げた。動的粘度のlog対線温度のプロットを、作出させた。チルセット(ゲル化)温度は、粘度変化の速度が最も大きい温度、即ち、その傾斜が動的粘度のlog対線温度のプロットについて最も大きい温度として定義した。
層2用の塗布溶液は、29℃のチルセット温度を有し、層3用の塗布溶液は、28℃のチルセット温度を有する。層1用の塗布溶液は、何らのチルセット挙動を示さなかった。つまり、その動的粘度は、45℃から5℃までの全温度傾斜を通じて、表面上、変化しないままであった。
要素1、2、及び4の層2用に使用する溶液の変化は、要素3の層2のそれに比して、極めて類似したチルセット温度を有することが予見される。
実施例4. 画像形成処理
全ての要素を、450nm、530nm、及び620nmの波長を有する発光ダイオードを用いて、35℃で露光した。その放射線エネルギーを、階段楔画像が形成されるように、階段状に変化させた。それぞれのカラー画像(赤色、緑色、青色、中性色など)を、露光用の光のエネルギー及び波長を適当に組合せることによって形成させた。
前記した露光後の潜像を有する記録要素を、ボール処理機を用いて、約6000psiの圧力で、引き続いて90℃のホットプレート上で10秒間加熱することによって現像した。最後に、当該要素に、38ルックスの蛍光ランプを用いて、約10秒間光を照射した。最大露光域(Dmin)及び最小露光域(Dmin)における赤、緑、及び青の光学濃度を、X−Rite濃度計を用いて読み取った。最小露光域(黒)における光沢を、20度の角度で、ガードナーミクロ−トリ−光沢計で測定した。結果は、中性の階段スケールに関して以下の表1及び表2に示す。
Figure 2007508929
保護オーバーコート(層1及び層2)を有しない要素5は、極めて低い光沢しか有しないのみならず、画像処理時に激しく引っ掻き傷がつけられ、顧客の扱いに応じられないことが示されている。
Figure 2007508929
上記表から明らかなように、ラテックスの厚さ及び量が層2では増加し、光沢が劇的に改善されている。
実施例5. 両チルセット性層間に塗布された非チルセット性層
2層のチルセット性層間に非チルセット性層を同時に塗布することの実現可能性を調査するために、実験を行った。先にコロナ放電処理をしておいた可動の白色不透明な支持体(両面にポリオレフィン樹脂の塗布層を有する、8ミル厚のGrandwell Polylith GC2延伸ポリプロピレン合成紙)上に、以下の各層を、スライドホッパーを用いて同時に塗布した。つまり、下部のチルセット性のゼラチン溶液層は、約2.6g/m2の乾燥被覆量で、その下部のゼラチン層上のポリ(ビニルアルコール)及びポリ(メチルアクリレート)ラテックスを0.6:1の比で含む非セット性の層は、約20g/m2の乾燥被覆量で、その非セット性層上のゼラチン及びポリ(メチルアクリレート)ラテックスを含むチルセット性層は、約6g/m2の乾燥被覆量で、そしてそのゼラチン/ラテックス層上のチルセット性のゼラチン層は、約1g/m2の乾燥被覆量で、塗布した。塗布後に、当該各層を、実施例1に記載したと同じようにセットし、乾燥した。これらの塗布層は、優れた塗工品質を示した。

Claims (34)

  1. a)支持体を搬送し、
    b)当該支持体上に、第1のチルセット性層及び非チルセット性層を同時に塗布し、
    c)当該層の温度を低下させて、当該層を不動にし、そして
    d)当該層を乾燥する
    ことを含む支持体上への多層の塗布方法。
  2. 得られる製品が画像形成要素である、請求項1に記載の塗布方法。
  3. 前記非チルセット性層が感光性マイクロカプセルと現像剤を含む画像形成ユニットを形成する、請求項2に記載の塗布方法。
  4. 前記温度を30℃未満まで低下させる、請求項2に記載の塗布方法。
  5. 前記温度を20℃未満まで低下させる、請求項2に記載の塗布方法。
  6. 前記温度を10℃未満まで低下させる、請求項2に記載の塗布方法。
  7. 前記第1のチルセット性層が非チルセット性層の上部に層状に重ねられる、請求項2に記載の塗布方法。
  8. 第2のチルセット性層が前記非チルセット性層の下方に塗布される、請求項7に記載の塗布方法。
  9. 前記第2のチルセット性層が非チルセット性層及び第1のチルセット性層と同時に塗布される、請求項8に記載の塗布方法。
  10. 前記第1のチルセット性層がゼラチンを含む、請求項2に記載の塗布方法。
  11. 前記第2のチルセット性層がゼラチンを含む、請求項8に記載の塗布方法。
  12. 前記チルセット性層が、非チルセット性層の湿潤付着層の厚さの20%を超える湿潤付着層の厚さを有する、請求項1に記載の塗布方法。
  13. 前記第1のチルセット性層及び非チルセット性層が多段スロットスライドホッパーで同時に塗布される、請求項2に記載の塗布方法。
  14. 前記支持体が水を吸収するか、あるいは水を吸収する付加層が支持体上に塗布されている、請求項2に記載の塗布方法。
  15. 付加的な水吸収層が支持体上に塗布され、当該層がゼラチンを含む、請求項14に記載の塗布方法。
  16. 前記非チルセット性層が乾燥後に多孔質である、請求項2に記載の塗布方法。
  17. 前記第1のチルセット性層が複数の副層を含む、請求項2に記載の塗布方法。
  18. チルセット性の副層が異なる組成を有する、請求項17に記載の塗布方法。
  19. 前記チルセット性の副層が内層のチルセット性副層及び外層のチルセット性副層を形成し、かつ当該外層のチルセット性副層が、塗布され乾燥された後に、内層のチルセット性副層のモジュラスよりも大きいモジュラスを有する、請求項18に記載の塗布方法。
  20. 前記内層のチルセット性副層が3GPa未満のモジュラスを有する、請求項19に記載の塗布方法。
  21. 前記外層のチルセット性副層が3GPaを超えるモジュラスを有する、請求項19に記載の塗布方法。
  22. 前記画像形成要素が圧力現像可能である、請求項3に記載の塗布方法。
  23. 前記各層が50℃未満の温度で乾燥される、請求項2に記載の塗布方法。
  24. 支持体、非チルセット性層及びチルセット性層を含み、当該非チルセット性層が支持体とチルセット性層の間に存在し、かつ当該非チルセット性層が少なくとも10μmの乾燥厚さを有する、画像形成要素。
  25. 前記非チルセット性層が多孔質である、請求項24に記載の画像形成要素。
  26. 前記非チルセット性層が感光性マイクロカプセル及び現像剤を含む画像形成ユニットを形成する、請求項24に記載の画像形成要素。
  27. 前記画像形成要素が圧力現像可能である、請求項26に記載の画像形成要素。
  28. 前記支持体が水を吸収するか、あるいは水を吸収する付加層が支持体上に塗布されている、請求項24に記載の画像形成要素。
  29. 付加的な水吸収層がゼラチンである、請求項28に記載の画像形成要素。
  30. 前記チルセット性層が複数の副層を含む、請求項24に記載の画像形成要素。
  31. 前記チルセット性の副層が異なる組成を有する、請求項30に記載の画像形成要素。
  32. 前記チルセット性の副層が内層のチルセット性副層及び外層のチルセット性副層を形成し、かつ当該外層のチルセット性副層が内層のチルセット性副層のモジュラスよりも大きいモジュラスを有する、請求項31に記載の画像形成要素。
  33. 前記内層のチルセット性副層が3GPa未満のモジュラスを有する、請求項24に記載の画像形成要素。
  34. 前記外層のチルセット性副層が3GPaを超えるモジュラスを有する、請求項24に記載の画像形成要素。
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