JP2007284641A - ジスアゾ顔料組成物、その製造方法及び印刷インキ - Google Patents

ジスアゾ顔料組成物、その製造方法及び印刷インキ Download PDF

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Abstract

【課題】より少量のジスアゾ顔料誘導体の含有率にあっても、より高い着色力の着色物が得られるジスアゾ顔料組成物を提供する。
【課題手段】質量基準でジスアゾ顔料(X)100部当たり、特定構造のジスアゾ顔料誘導体(Y)を合計で0.5〜30部を含有し、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に同ジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層が局在的に配置された着色粒子を主成分として含有し、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に特定構造のジスアゾ顔料誘導体(Y)のみの外層が局在的に存在する着色粒子を含有しないことを特徴とするジスアゾ顔料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ジスアゾ顔料組成物、その製造方法及び印刷インキに関する。
C.I.ピグメントイエロー12、同13及び同14は、黄色の着色剤として多用されている。これらのジスアゾ顔料を改良する方法としては、それに対応するジスアゾ顔料誘導体を任意の方法でそれに含有させてジスアゾ顔料組成物とする方法が知られている。この様なジスアゾ顔料組成物の製造方法としては、以下の様な製造方法が知られている(特許文献1参照)。
カップラー成分を含むカップラー水溶液と、ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、上記カップラー成分が反応系で実質的に析出しないように、かつ上記テトラゾ成分が直ちに反応するように、酸性水溶液中に同時に注入してカップリング反応をさせるジスアゾ顔料の製造方法において、上記カップラー成分として、一般式(A)で示されるカップラー成分を主成分とし、一般式(B)で示されるカップラー成分と一般式(C)で示されるカップラー成分を併用することを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法。
一般式(A)
CH3COCH2CONH-X(式中、Xはメチル基、メトキシ基および塩素原子から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
一般式(B)
CH3COCH2CONH-Y(式中、Yはメチル基、メトキシ基、塩素原子、−CONR2基、−SO2NR2基および−NHCOR基から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有するフェニル基であって、該フェニル基は−CONR2基、−SO2NR2基または−NHCOR基の少なくとも1種で置換されているフェニル基を表す。ただし、Rは同一でも互いに異なっていても良く、水素原子、C1〜C4アルキル基(該アルキル基は互いに結合して環を形成しても良い。)またはC1〜C4アルキレンNR’2 基を表し、R’は水素原子または互いに異なっていても良いC1〜C4アルキル基(該アルキル基は互いに結合して環を形成しても良い。)を表す。)
一般式(C)
CH3COCH2CONH-Z(式中、Zはメチル基、メトキシ基、塩素原子、カルボン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、水酸基およびスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有するフェニル基であって、該フェニル基はカルボン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、水酸基またはスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩の少なくとも1種で置換されているフェニル基を表す。)
特許文献1の様な製造方法では、カップラー水溶液とテトラゾ水溶液とを酸性水溶液中に同時注入することで、ジスアゾ顔料と極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体とを微細なレベルで同時に生成させることにより、これら両者の親和性を高めている。これにより得られたジスアゾ顔料組成物は、ジスアゾ顔料と極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体とを各々別々に調製しこれらを混合した同様のジスアゾ顔料組成物に比べて、ある程度は優れた着色特性を有している。
しかしながら、カップラー水溶液とテトラゾ水溶液とを酸性水溶液中に同時注入することで、C.I.ピグメントイエロー12の様なジスアゾ顔料と極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体とを微細なレベルで同時に生成させる様にしたジスアゾ顔料組成物においても、未だその着色特性は不充分であった。この原因は明らかではないが、極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体が対称型と非対称型の両方が生成する確率が比較的高いこと、また、ジスアゾ顔料と極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体とから構成される粒子構造に大きく起因すると推察される。
特許文献1の様な従来技術にて得られるジスアゾ顔料組成物に含有されている着色粒子は、対称型と非対称型の両方の極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体が含まれやすいこと、その着色粒子が粒子表面のみならず粒子内部にも極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体を巻き込んだ粒子であり、少量の極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体をその着色粒子に含ませただけでは、それらの大部分が着色粒子内部に入ってしまいジスアゾ顔料誘導体が非局在化した着色粒子となるため、印刷インキ用ワニスの様な被着色媒体への分散性を高めて、より高い着色力の着色被膜を得ることは困難である。
特開2001−354866公報
本発明が解決しようとする課題は、より少量のジスアゾ顔料誘導体の含有率にあってより高い着色力の着色被膜が得られるジスアゾ顔料組成物を提供することにある。
本発明者等は、より少量のジスアゾ顔料誘導体の含有率にあってより高い着色力の着色被膜が得られるジスアゾ顔料組成物及びその製造方法について鋭意検討したところ、極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体として非対称型のそれらを選択的に用いること、ジスアゾ顔料誘導体の含有率の低減に当たりその極性基を含有する非対称型ジスアゾ顔料誘導体が表面近傍のみに局在化したジスアゾ顔料からなる着色粒子とすることにより、極性基を含有するジスアゾ顔料誘導体のほとんどが内包された形で非局在化した着色粒子よりも、印刷インキ用ワニスの様な被着色媒体への分散性を高めて、より高い着色力の着色被膜を得ることが出来ることを見い出し本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、質量基準でジスアゾ顔料(X)100部当たり、下記式(1)及び/又は式(2)のジスアゾ顔料誘導体(Y)を合計で0.5〜30部を含有し、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に下記ジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層が局在的に配置された着色粒子を主成分として含有し、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に下記ジスアゾ顔料誘導体(Y)のみの外層が局在的に存在する着色粒子を含有しないことを特徴とするジスアゾ顔料組成物を提供する。
式(1)
Figure 2007284641
(式中、X及びYは、各々独立的に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を有するアルコキシカルボニル基を表わすが、X及びYは同時に水素原子を表わすことはない。 Z1は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基及び低級アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していても良いフェニル基又はナフチル基を表わす。Z2は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基及び低級アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していても良いフェニル基又はナフチル基であって、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を1〜4個有するフェニル基又はナフチル基を表わす。ただし、 Z2において、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基は、アルカリ土類金属、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛から成る群から選ばれる1種以上の金属の塩であっても良い。)
式(2)
Figure 2007284641
(式中、X及びYは、各々独立的に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を有するアルコキシカルボニル基を表わすが、X及びYは同時に水素原子を表わすことはない。 Z1は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基及び低級アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していても良いフェニル基又はナフチル基を表わす。 Z3は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基及び低級アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していても良いフェニル基又はナフチル基であって、カルボンアミド基、スルホンアミド基及びアセトアミノ基から成る群から選ばれる置換基を1〜4個有するフェニル基もしくはナフチル基、又は、ベンツイミダゾロン環残基もしくはフタルイミド環残基を表わす。)
また本発明は、ジスアゾ顔料(X)を含有する酸性溶液に、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩溶液と、CH3COCH2CONH-Z1(Zは前記と同義である。)を主成分とし、CH3COCH2CONH-Z2(Zは前記と同義である。)及び/又はCH3COCH2CONH-Z3(Zは前記と同義である。)を含有するカップラー溶液とを加えることを特徴とする前記記載のジスアゾ顔料組成物の製造方法を提供する。
さらに本発明は、前記ジスアゾ顔料組成物または前記製造方法により得られたジスアゾ顔料組成物を含有してなる印刷インキを提供する。
本発明のジスアゾ顔料組成物は、従来と異なり、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に特定のジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層が局在的に配置された着色粒子を主成分として含有し、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に特定ジスアゾ顔料誘導体(Y)のみの外層が局在的に存在する着色粒子を含有しないので、高い着色力の着色被膜の印刷インキが得られるという格別顕著な効果を奏する。また本発明の製造方法では、前記した顔料組成物を簡便に製造することが出来るという格別顕著な効果を奏する。
本発明のジスアゾ顔料組成物は、質量基準でジスアゾ顔料(X)と上記式(1)及び/又は式(2)のジスアゾ顔料誘導体(Y)とを含有する点では、従来技術のジスアゾ顔料組成物と同一である。しかしながら、本発明では、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に上記ジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層が局在的に配置された着色粒子を主成分として含有し、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に下記ジスアゾ顔料誘導体(Y)のみの外層が局在的に存在する着色粒子を含有しないことが特徴である。
従来技術のコカップリングという手法に従えば、ジスアゾ顔料(X)とジスアゾ顔料誘導体(Y)とが同時に生成する結果、一般的に両者は個別粒子の均一混合物となる。この均一混合物は、ジスアゾ顔料(X)の粒子の周囲をジスアゾ顔料誘導体(Y)粒子が包囲しているだけであり、外部応力によりジスアゾ顔料誘導体(Y)が脱落する等、両者粒子の間の相互作用は弱い。その結果、ジスアゾ顔料(X)に比較的多量のジスアゾ顔料誘導体(Y)を含有させても、例えば、高い着色力の着色被膜の印刷インキが得られない。
一方で、コカップリングの手法を工夫して、ジスアゾ顔料(X)とジスアゾ顔料誘導体(Y)の両者が混晶粒子や複合粒子を形成することで、両者の相互作用はより強くなるが、統計的には、ジスアゾ顔料(X)とジスアゾ顔料誘導体(Y)とが粒子中に均一に存在した粒子の生成が優勢となる。このため、この粒子は、粒子を球に見立てた場合に、球の中心層と球の表面層とで、ジスアゾ顔料誘導体(Y)の存在の確率分布は変わらないことになる(ジスアゾ顔料誘導体(Y)の粒子内の非局在化。)。その結果、両者の相互作用自体は高められるものの、ジスアゾ顔料(X)に比較的多量のジスアゾ顔料誘導体(Y)を含有させても、粒子表面に存在するジスアゾ顔料誘導体(Y)は相対的に少なくなり、やはり前記同様、例えば、高い着色力の着色被膜の印刷インキが得られない。
本発明者等は、この様な従来技術の欠点を解消するために、ジスアゾ顔料(X)とジスアゾ顔料誘導体(Y)の両者の相互作用を更に高めて、外部応力によるジスアゾ顔料誘導体(Y)の脱落を防止し、しかも、例えば、印刷インキ等の性能を高めるのに有効なジスアゾ顔料誘導体(Y)を最も有効に機能させる様に、それの粒子内の配置について検討を行った。その結果、ジスアゾ顔料(X)の中心層の外側に直接ジスアゾ顔料誘導体(Y)だけが配置された粒子よりも、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側にジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層に配置された着色粒子の方が、より相互作用が高く外部応力によるジスアゾ顔料誘導体(Y)の脱落を防止しやすいこと、ジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)の層を、ジスアゾ顔料誘導体(Y)を含まないジスアゾ顔料(X)中心層の外側に配置することで、ジスアゾ顔料誘導体(Y)を粒子内に非局在化させることなく粒子表面のみに局在化させることができ、従来よりも少量のジスアゾ顔料誘導体(Y)で印刷インキ等の性能を高めるが出来ることを見い出したのである。
まず第一に、本発明のジスアゾ顔料組成物は、質量基準でジスアゾ顔料(X)100部当たり、ジスアゾ顔料誘導体(Y)を合計で0.5〜30部を含有する。これは、中心層と外層とを含めた着色粒子一粒子における両者の割合を示す。ジスアゾ顔料組成物中のジスアゾ顔料誘導体(Y)は、従来と同一含有量における対比では、本発明のジスアゾ顔料組成物の方が、印刷インキ等の性能が高くなる。一方、ジスアゾ顔料組成物中のジスアゾ顔料誘導体(Y)は、従来と同性能の対比では、本発明のジスアゾ顔料組成物では、その含有量を低減させることが出来る。
なかでも、本発明のジスアゾ顔料組成物は、質量基準でジスアゾ顔料(X)100部当たり、ジスアゾ顔料誘導体(Y)を合計で1〜10部を含有することが好ましい。この含有量範囲は、従来の含有量に比べて2/3〜1/2に相当するものであり、従来並の性能をより少ないジスアゾ顔料誘導体(Y)含有量で達成出来る。
ジスアゾ顔料(X)に組み合わせる、ジスアゾ顔料誘導体(Y)としては、式(1)のジスアゾ顔料誘導体のみ、又は式(2)のジスアゾ顔料誘導体のみでも良いが、これら両方を併用することが好ましい。ジスアゾ顔料誘導体は、化学構造上、非対称型である方が、印刷インキの着色性と流動性を改良する効果がより高くなる。勿論、式(1)のジスアゾ顔料誘導体として異なる二種以上を併用しても良いし、更に、その他のジスアゾ顔料や各種ジスアゾ顔料誘導体を併用しても良い。
第二に、ジスアゾ顔料組成物を構成する着色粒子の主成分は、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側にジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層が局在的に配置された着色粒子である。
この着色粒子は、ジスアゾ顔料誘導体(Y)を含有しないジスアゾ顔料(X)中心層と、その外側に設けられたジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層とからなる。外層は、ジスアゾ顔料誘導体(Y)だけでなくジスアゾ顔料(X)をも含有しているので、この外層がジスアゾ顔料誘導体(Y)だけであるのに比べて、ジスアゾ顔料(X)中心層との相互作用はより高くなっている。また、ジスアゾ顔料誘導体(Y)が着色粒子の外層のみに局在化しているので、それの抽出は、粒子内部に深くそれが存在する様な従来のコカップリング手法により得られた着色粒子よりも、ジスアゾ顔料誘導体(Y)の抽出は容易となる。
中心層と外層との割合は、着色粒子一粒子の質量換算で100%とした際、中心層/外層=60/40〜99/1、好ましくは80/20〜95/5となる様にする。また、着色粒子の外層を構成するジスアゾ顔料誘導体(Y)とジスアゾ顔料(X)とは、両者の合計を質量換算で100%としたとき、ジスアゾ顔料誘導体(Y)/ジスアゾ顔料(X)=10/90〜60/40、好ましくは20/80〜40/60となる様にする。
第三に、本発明のジスアゾ顔料組成物は、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側にジスアゾ顔料誘導体(Y)のみの外層が局在的に存在する着色粒子を含有しない。この様な着色粒子は、別途調製したジスアゾ顔料(X)とジスアゾ顔料誘導体(Y)とを混合してやることで調製出来るが、ジスアゾ顔料(X)の周囲をジスアゾ顔料誘導体(Y)が包囲しているだけであり、両者間の相互作用が小さく、本発明で意図する様な優れた効果は期待できない。
前記した様な、従来とは異なり特定の層構造を有する着色粒子を主成分として含有する本発明のジスアゾ顔料組成物は、例えば、ジスアゾ顔料(X)を含有する酸性溶液に、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩(テトラゾ成分と呼ぶ場合がある)溶液と、CH3COCH2CONH-Z1(Zは前記と同義である。)を主成分とし、CH3COCH2CONH-Z2(Zは前記と同義である。)及び/又はCH3COCH2CONH-Z3(Zは前記と同義である。)を含有するカップラー溶液とを加えることで製造することが出来る。本発明において主成分とは、質量換算でカップラー全体の50%を越える量、好ましくはカップラー全体の60%〜98%であることを意味する。
本発明において、CH3COCH2CONH-Z1はカップラー成分(I)と呼び、CH3COCH2CONH-Z2及びCH3COCH2CONH-Z3はカップラー成分(II)と呼ぶものとする。このカップラー成分(I)はジスアゾ顔料誘導体(Y)における非極性構造を構成するものであり、一方、カップラー成分(II)はジスアゾ顔料誘導体(Y)における極性構造を構成するものである。これらの具体的な各カップラー成分については後記する。
着色粒子の中心層に相当するジスアゾ顔料(X)は、市販のジスアゾ顔料を用いることも出来るし、公知慣用の任意の製造方法により製造することが出来る。このジスアゾ顔料(X)としては、下記式(3)のジスアゾ顔料が挙げられる。
式(3)
Figure 2007284641
(式中、X、Y及びZはいずれも前記と同義である。)
この様なジスアゾ顔料(X)としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 12、13及び14等が挙げられる。
従来技術との相違を明確とするため、及び際立った技術的効果を与える本発明の着色粒子の特異な層構成に従い、着色粒子の中心層に相当するジスアゾ顔料(X)には、ジスアゾ顔料誘導体(Y)は併用されないし含有されていないことが好ましい。
本発明の前記した製造方法を行うに当たり準備されるジスアゾ顔料(X)を含有する酸性溶液は、市販のジスアゾ顔料を酸性の液媒体に分散させるか、事前にベンジジン化合物のテトラゾニウム塩とカップラー成分(I)だけを反応させて得たジスアゾ顔料の酸性溶液であっても良い。しかしながら、より微細なジスアゾ顔料粒子を含有する酸性溶液を、手間をかけることなく得ることが出来る点において、前者よりも後者に従って調製されたジスアゾ顔料(X)を含有する酸性溶液を用いることが好ましい。
こうして得られた中心層に相当するジスアゾ顔料の外側に、ジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層を局在的に配置するために、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩溶液と、カップラー成分(I)を主成分とし、カップラー成分(II)を含有するカップラー溶液とを加える。
ジスアゾ顔料誘導体を含有しないジスアゾ顔料(X)中心層と、その外側に設けられたジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)からなる外層とを引き続いて調製する場合には、事前にベンジジン化合物のテトラゾニウム塩とカップラー成分(I)だけを反応させてジスアゾ顔料(X)を含む酸性溶液を調製し、次いで、この酸性溶液と、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩溶液と、カップラー成分(I)を主成分とし、カップラー成分(II)を含有するカップラー溶液とを混合して反応を行うことが好ましい。
本発明の製造方法では、例えば、カップラー成分(I)のみを含むカップラー水溶液と、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)を含むカップラー水溶液と、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液とを、酸性水溶液中に段階的に注入してカップリング反応させることで、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に特定のジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層が局在的に配置された着色粒子を主成分として含有するジスアゾ顔料組成物を調製することが出来る。
カップラー成分(I)のみを含むカップラー水溶液と、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液とからは、着色粒子の中心層が、一方で、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)とを含むカップラー水溶液と、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液とからは、着色粒子の外層が、各々選択的に形成される。従って、カップラー水溶液をテトラゾ水溶液とを、酸性水溶液中に段階的に注入してカップリング反応させるに当たっては、まず、カップラー成分(I)のみを含むカップラー水溶液と、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液だけを、酸性水溶液中に注入する様にして、着色粒子の中心層を形成する様にしてから、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)とを含むカップラー水溶液と、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液を酸性水溶液中に注入する様にする。
この際には、カップラー成分いずれもが反応系で析出しない様に、かつ、未反応のテトラゾ成分が直ちに反応する様に、酸性水溶液中に注入してカップリング反応される。
本発明のジスアゾ顔料組成物の製造方法は、好適には、カップラー成分(I)とカップラー成分(I)とからなるジスアゾ顔料(X)のみの中心層と、同ジスアゾ顔料(X)とカップラー成分(I)とカップラー成分(II)から成る式(1)及び式(2)の両方のジスアゾ顔料誘導体とを同時に含有する外層とを段階的に生成させることにより、効率的にジスアゾ顔料(X)外層のみにジスアゾ顔料誘導体(Y)を配置させることが可能となる。このことにより、着色性や流動性が従来と同等性能で良ければ、従来よりも少ない量のカップラー成分(II)で、式(1)と式(2)の両方のジスアゾ顔料誘導体(Y)を、ジスアゾ顔料誘導体(Y)とジスアゾ顔料(X)とを含有する外層として中心層の表面にのみ形成することが可能となる。
本発明では、この様な製造方法により、従来よりも少量のカップラー成分(II)で、従来と同等の着色性、流動性を得ることが出来る。従来と同量のカップラー成分(II)なら、より高い着色性、流動性を得ることが出来る。さらにこのカップリング成分(II)は価格が高価なため、その減量によりコストダウンが可能となる。
中心層と外層を作り分けるためのカップラー成分(II)の添加タイミングは、適宜調整しうるが、例えば、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩と、まずカップラー成分(I)全量のうちの1/3〜2/3量とを反応させ、ジスアゾ顔料(X)だけを生成させた後、それの存在下にて、未反応のベンジジン化合物のテトラゾニウム塩と、従来の添加量の2/3〜1/3量に減量したカップラー成分(II)と残りのカップラー成分(I)とを反応させるというものである。
このように、カップリングの添加タイミングを変更すると、外層のジスアゾ顔料誘導体(Y)を含有するジスアゾ顔料(X)を、どの程度中心層のジスアゾ顔料(X)の外側に局在化させるかを調整することが出来る。外層中のジスアゾ顔料誘導体(Y)の濃度を調整するために、外層を形成するためのカップラー中のカップラー成分(II)の濃度を増減したり、中心層と外層との層の厚み比率を増減させるために、外層を形成するためのカップラーを減量しその添加時期を遅延させる様に調節するも出来る。従来と同比率の量となるようにカップラー成分(I)とカップラー成分(II)とをジアゾ成分と本発明の製造方法に従って反応させた場合には、着色粒子の外層に含まれるジスアゾ顔料誘導体(Y)濃度が相対的に高まる結果、例えば、印刷インキを調製した際により着色力や流動性が向上する。
本発明の効果は、例えば、ジスアゾ顔料誘導体(Y)とジスアゾ顔料(X)との全合計中に占めるジスアゾ顔料誘導体(Y)は従来と同等量であっても、外層すなわち機能発現に有効な着色粒子の表面近傍にのみジスアゾ顔料誘導体(Y)を含有させることが出来ること、また、着色粒子の経時変化を見たときに、外層の形成過程において、ジスアゾ顔料(X)とジスアゾ顔料誘導体(Y)とがほぼ同時に生成することとの相乗効果として発現される。
本発明においては、カップラーが酸性溶液中において析出しない様な条件で反応を行うことが好ましい。これは、反応させるカップラー成分(I)とカップラー成分(II)の種類や、カップラー水溶液の濃度、注入状態、酸性水溶液のpHや量など多くの要因により変化するものであるが、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)を含むカップラー水溶液とベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液とのカップリング速度、酸性水溶液中での拡散速度や溶解度などを考慮し、また、実験的にもカップラーの最適注入量を定めることが出来る。
具体的には、例えば、カップラー成分(I)が酸性水溶液に溶解する速度と、カップラー成分(II)が酸性水溶液に溶解する速度とが略同一となる様にすることで、透明性と流動性を改良する効果の高い式(1)や式(2)の様なジスアゾ顔料誘導体(Y)と、ジスアゾ顔料(X)とを同時に生成させることが出来、現在の印刷業界が要求している印刷インキでの、高度な透明性と流動性が得られやすくなる。式(1)や式(2)の様なジスアゾ顔料誘導体(Y)は、いずれも非対称型ジスアゾ顔料誘導体であり、カップラー(II)のうちCH3COCH2CONH-Z2のみから誘導された対称型ジスアゾ顔料誘導体や、カップラー(II)のうちCH3COCH2CONH-Z3のみから誘導された対称型ジスアゾ顔料誘導体に比べて、透明性と流動性を改良する効果は大きいので好ましい。
カップラー成分総量(合計)とテトラゾ成分とのモル比は、公知慣用の範囲から選択出来る。カップラー成分総量(合計)とテトラゾ成分とのモル比は、例えば2:0.8〜2:0.99である。このモル比は供給モル速度でより正確に表現出来る。
本発明の製造方法におけるジアゾカップリング反応の律速は、カップラー成分が前記酸性溶液に対し溶解する過程にあるため、カップラー成分の酸性溶液への溶解をより促進するため、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)との合計供給モル速度が、テトラゾ成分の供給モル速度よりも速いことが好ましく、中でも前者速度が後者速度の2.0〜2.5倍となるように選択し得る。
これは「カップラー成分(I)とカップラー成分(II)との合計供給モル数が、テトラゾ成分の供給モル数よりも、アゾ結合が2つ形成される(ジスアゾとなる)様に過剰であることが好ましく、中でも前者モル数が後者モル数の2.0〜2.5倍となるように選択し得る」と換言出来る。特に、テトラゾ水溶液注入時または注入中に、前者モル数が後者モル数の2.0〜2.5倍となる様にするのが最適である。
本発明のジスアゾ顔料組成物の好適な製造方法は、カップラー成分(I)のカップラー水溶液と、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)を含むカップラー水溶液との合計と、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液とを、酸性水溶液中に、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)との合計供給モル速度とテトラゾ成分の供給モル速度との比が、200:80から200:99となるように、適当な滴下時差をもって、連続的に注入してカップリング反応させることにより行うことが出来る。
こうすることで、テトラゾニウム塩は酸性水溶液に注入後、直ちに全てがカップラーと反応し、未反応のテトラゾニウム塩が反応系内に残存しなくなる。その結果、テトラゾニウム塩の分解や縮合による副反応が防止され、色の汚れが防止される。
本発明で使用されるカップラー成分(I)は、上記式で表されるものが挙げられ、この式で表されるものであれば、異なる2種類以上の成分を併用してもよい。
カップラー成分(I)としては、例えば、アセトアセトアニリド、アセトアセト−o−トルイジド、アセトアセト−m−キシリダイド、アセトアセト−o−アニシジド、アセトアセト−p−アニシジド、アセトアセト−o−クロロアニリド、アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニリド等がある。
なかでも、アセトアセトアニリド、アセトアセト−o−トルイジド、アセトアセト−m−キシリダイドが、本発明において透明性が著しく改良される点から好ましい。
本発明で使用されるカップラー成分(II)は、上記式で表されるものが挙げられ、この式で表されるものであれば、異なる2種類以上の成分を併用してもよい。
カップラー成分(II)としては、例えば、2−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸、3−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸、4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ−5−メチルベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ−4−クロロ−5−メチルベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ−5−クロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ−5−クロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸、4−アセトアセチルアミノ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ安息香酸、3−アセトアセチルアミノ安息香酸、4−アセトアセチルアミノ安息香酸、3−アセトアセチルアミノ−4−クロロ安息香酸、2−アセトアセチルアミノテレフタル酸、3−アセトアセチルアミノイソフタル酸、4−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸、5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸等およびこれらのアルカリ金属塩がある。
なかでも、4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ安息香酸、3−アセトアセチルアミノ安息香酸、4−アセトアセチルアミノ安息香酸、5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸が、本発明において流動性が著しく改良される点から好ましい。
本発明で使用されるカップラー成分(I)とカップラー成分(II)との比率は、特に制限されるものではないが、両者のみを用いる場合においてそれの合計を100モル%としたときには、例えば、カップラー成分(I)が85〜99モル%でありカップラー成分(II)が1〜15モル%である。
この際には、なかでも、カップラー成分(I)が90〜98モル%でありカップラー成分(II)が2〜10モル%であると、着色性と流動性が特に優れたジスアゾ顔料組成物を製造することが出来る。
このカップラー成分(I)と(II)のモル比から、ジスアゾ顔料誘導体(Y)の合計とジスアゾ顔料(X)の理論的な質量割合は算術的に計算でき、合計を100質量%とした時、例えば、ジスアゾ顔料(X)98.0〜72.3質量%と、ジスアゾ顔料誘導体(Y)2.0〜27.7質量%とすることが出来る。こうすることで、着色性と流動性により優れたジスアゾ顔料組成物とすることが出来る。
ジスアゾ顔料誘導体(Y)は、非対称型ジスアゾ顔料誘導体のみで構成されていても、非対称型ジスアゾ顔料誘導体と対称型ジスアゾ顔料誘導体とから構成されていても良いが、前記した様に、ジスアゾ顔料誘導体(Y)中の、非対称型ジスアゾ顔料誘導体が100%であるか、93重量部以上で出来るだけ含有率が高いほうが好ましい。
本発明で使用されるカップラー水溶液は、カップラー成分がカップラー成分(I)のみである水溶液と、カップラー成分がカップラー成分(I)とカップラー成分(II)とを含むカップラー水溶液である。前者が本発明における着色粒子の中心層の原料であり、一方、後者が外層の原料である。これらのカップラー水溶液は、アルカリ溶液であることが好ましく、カップラー成分(I)のみ或いはそれとカップラー成分(II)とをアルカリとともに溶解し、アルカリ性溶液とすることにより得ることが出来る。
アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。
本発明で使用されるベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液は、ベンジジン化合物を公知の方法でテトラゾ化して得れるものを含む。ベンジジン化合物としては、例えば、3,3'−ジクロロベンジジンや2,2',5,5'−テトラクロロベンジジンや3,3'−ジメトキシベンジジン等が挙げられる。この水溶液としては、酸性水溶液が好ましく、塩酸酸性水溶液が、特に好ましく使用される。
本発明の製造方法を行うに当たっては、上記カップラー水溶液がアルカリ水溶液で、かつ、テトラゾ水溶液が塩酸水溶液である場合の組み合わせを採用することが好ましい。
カップラー水溶液とテトラゾ水溶液を注入するべき酸性水溶液は、反応させるべき容器に予め仕込まれるが、この容器は、通常はバッチ式攪拌槽である。
本発明では、好適には、予め、バッチ式攪拌槽内に酸性水溶液が仕込まれる。バッチ式攪拌槽としては、公知慣用のものがいずれも使用出来るが、通常は、攪拌が必要な液媒体毎に水槽に加える必要がある液媒体を保持する水槽と、その液媒体を攪拌する攪拌翼を有する攪拌機とから構成されているものである。
本発明で使用されるバッチ式攪拌槽内の酸性水溶液は、カップリング反応系をpH3〜6.9の範囲、好ましくは3.5〜6.3に保つことができれば良く、従来法のカップリングで使用される公知の酸の水溶液でよい。
上記pH領域の保持は、テトラゾニウム塩の分解や縮合などの副反応を最小化するために好ましく、反応開始から終了時まで上記pHの範囲に維持することが、より好ましい。
反応系を必要なpHに維持するために、反応途中において酸あるいはアルカリを断続的にあるいは連続的に添加しても良いが、バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中に、pH緩衝剤を存在させることが好ましい。操作の容易さの面からはpH緩衝性のある水溶液系、例えば、従来のカップリング反応で良く使用される『酢酸−酢酸ナトリウム』系や『ギ酸−ギ酸ナトリウム』系等の緩衝性水溶液を用いると、pHの変動が少なく、pHの維持が容易となり好ましいものとなる。
本発明において、カップラー成分(I)のみのカップラー水溶液と、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)とを含むカップラー水溶液と、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液の、バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中への注入は、例えば、各々別々の注入管を通し、並行に行うことが出来る。
本発明のジスアゾ顔料組成物を製造するには、例えば、上記した通り、カップラーいずれもが反応系で析出しない様に、かつ、未反応のテトラゾニウム塩が直ちに反応する様に、酸性水溶液中に並行に注入してやれば良いが、より具体的には、例えば、カップラー水溶液とテトラゾ水溶液を、酸性水溶液に注入するに当たって、これら個々の水溶液の注入時間帯が少なくとも重複している部分を含む様にする。この形態としては、個々の水溶液の注入時間帯の一部が重複している場合もあるし、全部が重複している場合もある。好ましくは、両方の時間帯が全て重複している様にする。必要であれば、カップラー水溶液とテトラゾ水溶液のいずれか一方のみが注入される時間帯があってもよい。
カップラー水溶液とテトラゾ水溶液とが直接に接触すると、カップラーの析出が起きて固体となり、ジアゾカップリング反応が急激に遅延するので、流動性と着色性の改良効果が小さくなる場合がある。
これを避けるため、酸性水溶液を満たしたバッチ式攪拌槽を備える攪拌槽では、注入管出口を互いに離した位置に設け注入を行い(並行注入という場合がある。)、十分に攪拌を行い、確実にテトラゾニウム塩とカップラーとが酸性水溶液中で反応するようにすることが好ましい。
また、酸性水溶液を攪拌槽より抜き出して外部循環させ、この循環ラインのそれぞれにテトラゾ水溶液とカップラー水溶液とを、あるいは、一方を循環ラインに他方を攪拌槽へ注入するようにしても良い。
供給モル速度の比は、反応の全期間を通じて一定値に保つ必要はなく、上記供給モル速度比の範囲内で、注入の進行につれて変化させてもよい。また、カップラー水溶液の注入開始をテトラゾ水溶液の注入に先行させてもよい。さらに、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、各種ロジン溶液のような表面処理剤を注入し、生成した顔料粒子の表面処理を同時に行っても良い。
以上のように、テトラゾニウム塩とカップラーとを上記のモル比で並行注入すると、注入終了時点で反応系内にはテトラゾニウム塩は全く存在していないが、反応可能なカップラーが少し残っている状態となっている。そこで、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)を含むカップラー水溶液と、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩を含むテトラゾ水溶液とを、酸性水溶液中に、連続的に注入した後、テトラゾ水溶液だけを追加的に注入することが出来る。例えば、並行注入終了後、テトラゾ水溶液のみを追加注入して、完全にカップラー成分と反応させ、更にカップリング反応率を高めることも出来る。
本発明において、カップラー成分(I)の濃度とカップラー成分(II)の濃度の和が0.1〜1モル/リットルであるカップラー水溶液と、濃度が0.05〜0.8モル/リットルであるテトラゾ水溶液を酸性水溶液に注入することが操作上、また経済上、負担が軽い点で好ましい。
本発明において、酸性水溶液への、カップラー水溶液およびテトラゾ水溶液の1分間当たりの注入量は、特に制限されないが、酸性水溶液中でカップラーが析出しないような範囲で決められる。
カップラーが析出しないような範囲は、酸性水溶液の種類やpH、量や攪拌状態、注入する位置など種々の条件によって変化するものであり、注入量は製造に要する時間や製造工程なども考慮して総合的に決定される。
すなわち、酸性水溶液に対するカップラー水溶液の注入量が少なくなればなるほど、非極性カップラー成分(I)と極性カップラー成分(II)が析出しなくなるが、反応系内の濃度が薄くなるため顔料組成物の製造に時間がかかるようになる。
酸性水溶液と、カップラー水溶液およびテトラゾ水溶液の1分間当たりの注入量との比率が、1000:1〜1000:50の範囲で行うことが好ましい。
本発明において、カップリング中の温度やpHの値などの反応条件およびこの制御法は、従来のカップリング反応での公知の条件値および制御法から選択され、特段の制約はない。pHや温度を時間あるいは注入量と共に変化させても、あるいは終始一定に保っても良い。
なお、本発明が好ましい実施形態で実施される場合には、酸性であるテトラゾ水溶液とアルカリ性であるカップラー水溶液とが並行して注入されるので、これらの水溶液中の酸とアルカリとが中和されるようにそれぞれの溶液のpHや流量を調整することにより、初期のpHを最後まで保った状態でカップリング反応を行うことが出来る。
本発明のジスアゾ顔料組成物の製造方法は、ジスアゾ顔料誘導体で表面処理されたC.I.ピグメントイエロー 12、13及び14を得るのに特に有効である。
こうして得られた、本発明の顔料組成物は、ジスアゾ顔料(X)と、式(1)及び/又は式(2)で表されるジスアゾ顔料誘導体(Y)とを必須成分として含み、ジスアゾ顔料(X)98.0〜72.3質量%と、ジスアゾ顔料誘導体(Y)2.0〜27.7質量%とからなり、ジスアゾ顔料誘導体(Y)の合計を100質量部としたとき、前記非対称型ジスアゾ顔料誘導体が≧93質量部となる。
このようにして得られた、酸性水溶液中のジスアゾ顔料組成物は、連続的に固液分離することにより反応系から取り出すことも、また、反応を終了させた後、バッチ式に固液分離を行い反応系から回収することも出来る。また、得られたジスアゾ顔料組成物の顔料特性を向上させるため、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)や塩化アルミや塩化カルシウム等の水溶性無機塩を添加することや、ロジン処理等の一連の処理を行い、ジスアゾ顔料組成物を製造することも出来る。
本発明のジスアゾ顔料組成物は、例えば、顔料水スラリー、顔料ウエットケーキ、ドライパウダー、ドライグラニュール等の任意の形態をとることが出来る。
本発明のジスアゾ顔料組成物又は本発明の製造方法により得られたジスアゾ顔料組成物と印刷インキ用ビヒクルとから印刷インキを調製することが出来る。ジスアゾ顔料組成物は、印刷インキ用ビヒクルと混練されて、着色性と流動性に優れた印刷インキに使用することが出来る。
オフセットインキ用ビヒクルは、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂又はこれら乾性油変性樹脂等の樹脂と、必要に応じて、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油と、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマテック、ナフテン、α−オレフィン等の溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、質量比で、樹脂:植物油:溶剤=20〜50部:0〜30部:10〜60部の範囲が好ましい。
本発明のジスアゾ顔料組成物を配合したオフセットインキ用ビヒクルは、必要に応じて、インキ溶剤、ドライヤー、レベリング改良剤、増粘剤等の公知の添加剤を適宜配合して印刷インキと成る。
また、グラビアインキ用ビヒクルは、例えばガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、石灰化ロジン、ライムロジン、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、ギルソナイト、ダンマル、セラック、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム、エチルセルロース、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等の樹脂混合物と、n−ヘキサン、トルエン、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル、乳酸エチル、セロソルブ、イソプロピルアルコール、クロルベンゾール、エチルエーテル、アセタールエチルエーテル、アセト酢酸エチル、酢酸ブチルセロソルブ等の溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、質量比で、樹脂混合物:溶剤=10〜50部:30〜80部の範囲が好ましい。
本発明のジスアゾ顔料組成物を配合したグラビアインキ用ビヒクルは、必要に応じて、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、アルミナ白、クレー、シリカ、シリカ白、タルク、ケイ酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等の体質顔料の他、補助剤として、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を適宜配合して印刷インキと成る。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、部も%とは質量基準である。
ジクロロベンジジン 75gを容器に量りとった。この容器に、35%塩酸 93gと水 800mlを加え攪拌し、液温を5℃以下にした。次いで、ここに40%亜硝酸ナトリウム水溶液 107.5gを加えて攪拌し、ジクロロベンジジンテトラゾニウム塩溶液を得た(テトラゾ液という。)。
アセトアセトアニリド 53.5gを別の容器に量りとり、25%水酸化ナトリウム 80gと水 500gを加えて溶解させた(カップラーA液という。)。
さらに別の容器に、アセトアセトアニリド 53.5g、2−アセトアセチルアミノ安息香酸 1.4g、4−ヒドロキシ−3−アセトアセチルアミノ安息香酸 1.5g、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド 2.1g、25%水酸化ナトリウム 80g及び水 500gを加えて溶解させた(カップラーB液という。)。
カップラーA液とカップラーB液とテトラゾ液を各々別の滴下装置に入れ、撹拌機とpH計を設けた別の容器にセットした。この容器に、90%酢酸 8.1gと水 1700gを容器に量り取り、酸性水溶液を調製し、この撹拌下で、20℃±2℃となる様に、かつ、pHが5.0となるまで、カップラーA液を滴下した。
次いで、テトラゾ液の連続滴下を開始し、容器中の反応液のpH5.0が保たれるように、かつカップラーA液が1.3時間で無くなるように、それをこの容器へ滴下した。カップラーA液が無くなったら、容器中の反応液のpH5.0が保たれるようにカップラーB液を滴下した。カップラーB液は1.7時間でなくなるようにし、反応液の温度は20℃±2℃に保った。テトラゾ液全量の滴下終了前にカップラーB液が無くなったので、5%苛性ソーダを追加した。この間、H酸チェックにより過剰のテトラゾ液が存在しないようにした。
上で得られた反応液を水酸化ナトリウムによりpH12.5±0.5に調整にし、80℃に加熱し、1時間保温した。次いで、これに塩酸を加えてpH8.5に調整した。更に、10%ロジンWW(日辰貿易株式会社製ガムロジン) 102gと硫酸アルミニウム 6.6gを加えて、攪拌し顔料スラリーを得た。
この顔料スラリーの濾過を行ない、充分に水洗した後、再度濾過して、顔料ウエットケーキ1を得た。
この顔料ウエットケーキ1は、質量基準でC.I.ピグメントイエロー12(上記式(3)において、Xはいずれも塩素原子、Yはいずれも水素原子、Z1がフェニル基の化合物に相当する。)の100部当たり、下記2種の式(1)及び1種の式(2)の各ジスアゾ顔料誘導体を合計で3.6部を含有し、C.I.ピグメントイエロー12の中心層の外側に下記2種のジスアゾ顔料誘導体を含むC.I.ピグメントイエロー12の外層が局在的に配置された着色粒子を主成分として含有し、C.I.ピグメントイエロー12の中心層の外側に下記2種ジスアゾ顔料誘導体のみの外層が局在的に存在する着色粒子を含有しないジスアゾ顔料組成物を含有したものであると推定された。尚、前記着色粒子は、ガムロジンとアルミニウム塩で被覆されていると推定された。
式(1)
Figure 2007284641
ジスアゾ顔料誘導体(1)−1:
上記式(1)中、Xはいずれも塩素原子、Yはいずれも水素原子、Z1がフェニル基、Z2が1個の水酸基と1個のカルボン酸基だけを含有するフェニル基である化合物。カルボン酸基はアルミニウム塩となっている。
ジスアゾ顔料誘導体(1)−2:
上記式(1)中、Xはいずれも塩素原子、Yはいずれも水素原子、Z1がフェニル基、Z2が1個のカルボン酸基だけを含有するフェニル基である化合物。カルボン酸基はアルミニウム塩となっている。
式(2)
Figure 2007284641
ジスアゾ顔料誘導体(2)−1:
上記式(2)中、Xはいずれも塩素原子、Yはいずれも水素原子、Z1がフェニル基、Z2が1個のカルボンアミド基だけを含有するフェニル基である化合物。
比較例1
カップラーA液とカップラーB液とを同時に滴下する様にした以外は、実施例1と同様の操作を行い、顔料ウエットケーキ2を得た。
この顔料ウエットケーキ2は、質量基準でC.I.ピグメントイエロー12の100部当たり、下記式(1)及び式(2)のジスアゾ顔料誘導体を合計で3.6部を含有し、C.I.ピグメントイエロー12と実施例1と同様のジスアゾ顔料誘導体とが均一に混合された着色粒子を主成分として含有し、C.I.ピグメントイエロー12の中心層の外側に上記3種ジスアゾ顔料誘導体のみの外層が局在的に存在する着色粒子を含有しないジスアゾ顔料組成物を含有したものであった。尚、前記着色粒子は、ガムロジンとアルミニウム塩で被覆されていた。
比較例2
アセトアセトアニリド 107.0gを容器に量りとり、25%水酸化ナトリウム 80gと水 500gを加えて溶解させた(これをカップラーA’液という。)。
また、これとは別の容器に2−アセトアセチルアミノ安息香酸 1.4g、4−ヒドロキシ−3−アセトアセチルアミノ安息香酸 1.5g、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド 2.1g、25%水酸化ナトリウム 80g及び水 500gを加えて溶解させた(これをカップラーB’液という。)。
カップラーA液とカップラーB液の代わりに、上記カップラーA’液とカップラーB’液とを用いる様にした以外は、実施例1と同様の操作を行い、顔料ウエットケーキ3を得た。
この顔料ウエットケーキ3は、質量基準でC.I.ピグメントイエロー12の100部当たり、下記式(1)及び式(2)のジスアゾ顔料誘導体を合計で3.6部を含有し、C.I.ピグメントイエロー12の中心層の外側に実施例1と同様のジスアゾ顔料誘導体のみの外層が局在的に存在する着色粒子を含有するジスアゾ顔料組成物を含有したものであった。尚、前記着色粒子は、ガムロジンとアルミニウム塩で被覆されていた。
<試験例>
以下の方法により、実施例1により得られた顔料ウェットケーキ1、比較例1により得られた顔料ウェットケーキ2及び比較例2により得られた顔料ウェットケーキ3を、各々下記の様にしてインキ化した。
フラッシャーに50℃に加熱した平版インキ用途ワニス(大日本インキ化学工業(株)製のロジン変性フェノール樹脂を含有するワニス)240部を添加した後、固形分換算で100部に相当する各顔料ウエットケーキを添加し、30分混練しながら、フラッシングを行った。遊離した水を除いた後、真空脱水しながら、フラッシャー温度を75℃に昇温し、水分を除去した。水分が除去されたのを確認した後、平版インキ用途ワニス(大日本インキ化学工業(株)製のロジン変性フェノール樹脂を含有するワニス)230部及び軽油30部を徐々に加え、試験インキを得た。
上記方法により調整した各試験インキについて、着色力、光沢及び流動性を測定し、その結果を表1にまとめて示した。
<着色力の評価方法>
酸化チタンを上記ワニスに分散させて白色インキを調製した。試験用濃色インキ1gをこの白色インキ50gに混合し、淡色インキを調製した。黒インキを用いて黒帯を印刷した白い展色紙に、この淡色インキを展色し、黒帯の上の展色状態を目視で観察する。実施例1で得られた顔料ウエットケーキからの淡色インキの目視判定100%としたときの着色力を数値で表示した。
<光沢の評価方法>
試験インキ50gに上記ワニス40g及び軽油10gを加え、低粘度試験インキを調整した。日本工業規格JIS K 5701―1によって定められた展色方法に則って、低粘度試験インキ0.125mlをアート紙に展色して展色物を得た。この展色物を、Gardner社製反射型光沢計で光沢を測定し、その数値を表示した。
<流動性の評価方法>
上記低粘度試験インキ1mlを、傾斜角70度に傾けたガラス板の上方に静置し、1日放置後に下方に向かって流動したインキの長さ(静置した際のインキの上端から、流動後の下端までの長さ)をmm単位で測定し、その数値を表示した。
尚、実施例1により得られた顔料ウェットケーキ1を用いた印刷インキを実施例2、比較例1により得られた顔料ウェットケーキ2を用いた印刷インキを比較例3、比較例2により得られた顔料ウェットケーキ3を用いた印刷インキを比較例4として、各々、表1に表示した。
表1
Figure 2007284641
上記表1の実施例と各比較例の対比とから明らかな様に、本発明のジスアゾ顔料組成物を含有する印刷インキは、より少量のジスアゾ顔料誘導体の含有率にあって、より高い着色力ばかりでなく、結果的に、より優れた光沢及び流動性をも兼備した被膜が得られていることがわかる。

Claims (6)

  1. 質量基準でジスアゾ顔料(X)100部当たり、下記式(1)及び/又は式(2)のジスアゾ顔料誘導体(Y)を合計で0.5〜30部を含有し、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に下記ジスアゾ顔料誘導体(Y)を含むジスアゾ顔料(X)外層が局在的に配置された着色粒子を主成分として含有し、ジスアゾ顔料(X)中心層の外側に下記ジスアゾ顔料誘導体(Y)のみの外層が局在的に存在する着色粒子を含有しないことを特徴とするジスアゾ顔料組成物。
    式(1)
    Figure 2007284641

    (式中、X及びYは、各々独立的に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を有するアルコキシカルボニル基を表わすが、X及びYは同時に水素原子を表わすことはない。 Z1は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基及び低級アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していても良いフェニル基又はナフチル基を表わす。 Z2は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基及び低級アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していても良いフェニル基又はナフチル基であって、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を1〜4個有するフェニル基又はナフチル基を表わす。ただし、 Z2において、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基は、アルカリ土類金属、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛から成る群から選ばれる1種以上の金属の塩であっても良い。)
    式(2)
    Figure 2007284641

    (式中、X及びYは、各々独立的に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を有するアルコキシカルボニル基を表わすが、X及びYは同時に水素原子を表わすことはない。 Z1は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基及び低級アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していても良いフェニル基又はナフチル基を表わす。 Z3は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基及び低級アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していても良いフェニル基又はナフチル基であって、カルボンアミド基、スルホンアミド基及びアセトアミノ基から成る群から選ばれる置換基を1〜4個有するフェニル基もしくはナフチル基、又は、ベンツイミダゾロン環残基もしくはフタルイミド環残基を表わす。)
  2. ジスアゾ顔料(X)が、下記式(3)のジスアゾ顔料である請求項1記載のジスアゾ顔料組成物。
    式(3)
    Figure 2007284641
    (式中、X及びYは、各々独立的に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシル基を有するアルコキシカルボニル基を表わすが、X及びYは同時に水素原子を表わすことはない。 Z1は、低級アルキル基、低級アルコキシル基、ハロゲン原子、水酸基及び低級アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していても良いフェニル基又はナフチル基を表わす。)
  3. ジスアゾ顔料(X)を含有する酸性溶液に、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩溶液と、CH3COCH2CONH-Z1(Zは前記と同義である。)を主成分とし、CH3COCH2CONH-Z2(Zは前記と同義である。)及び/又はCH3COCH2CONH-Z3(Zは前記と同義である。)を含有するカップラー溶液とを加えることを特徴とする請求項1記載のジスアゾ顔料組成物の製造方法。
  4. ジスアゾ顔料(X)を含有する酸性溶液が、ベンジジン化合物のテトラゾニウム塩とCH3COCH2CONH-Z1(Zは前記と同義である。)だけを反応させることで得られたジスアゾ顔料を含有する酸性溶液である請求項3記載のジスアゾ顔料組成物の製造方法。
  5. 請求項1記載のジスアゾ顔料組成物を含有してなる印刷インキ。
  6. 請求項3記載の製造方法で得られたジスアゾ顔料組成物を含有してなる印刷インキ。



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