JP2006037965A - 内燃機関及び自動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドレイン・パイプ内へのオイルの蓄積を防止する。
【解決手段】内燃機関8に、オイル・ポンプ2を含む内燃機関8に組み合わせられたターボチャージャー3の一つ又は複数のベアリングへメイン・オイル・リザーバー6からオイルを供給するためのオイル・ポンプ2、ターボチャージャーのベアリングからオイルを受けるためのセカンダリ・リザーバー4、ターボチャージャーのベアリングからセカンダリ・リザーバー4へオイルを流しそしてセカンダリ・リザーバー4からメイン・オイル・リザーバー6へオイルを戻すためのバキューム・ポンプ5を含む、潤滑システムが備えられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の潤滑に関し、より具体的には、内燃機関に組み合わせられたターボチャージャーの潤滑に関する。
排気ターボチャージャーを用いることにより、内燃機関の性能を向上できることは良く知られている。オイルがターボチャージャーへオイル・フィードによりエンジンから供給され、重力によりエンジンのサンプ(sump)へ戻される、ターボチャージャーのための潤滑システムを提供することも知られている。そのようなターボチャージャーからのドレイン・パイプ内にオイルが蓄積するのを防止するために、ドレイン・パイプを出来るだけ長くするようにターボチャージャーを出来るだけ高く配置し、オイルの抜けを促進するように略鉛直なドレイン・パイプを用いるのが普通である。しかし、これは、自動車のボンネット・ラインを、そのほかの場合におけるよりも高くする必要性を生じることが多く、不利である。
ターボチャージャーからのドレイン・パイプにおけるオイルの蓄積は、排気スモークを起こすことになるターボチャージャーへのオイルの逆流につながり、そして、ディーゼル・エンジンの場合には、エンジン内へのオイルの吸入のためにエンジン暴走(runaway)につながることもあるので、かなりの問題である。そのような状態の下では事実上、ターボチャージャーが、小さな制御されていないガス・タービン・エンジンとして機能し、そのような暴走状態は、ターボチャージャー又はエンジン自体の故障を殆どいつも招くことになる。
通常の重力リターン・システムに伴う問題の一つに、サンプ内のオイルのレベルが、自動車の傾き及び動的状態ゆえに、自動車の使用中に変動することになる、というものがある。例えば、車両が曲線走行中、オイルは、遠心力によりサンプの一方側に寄せられることになり、その場合に、オイルは、サンプのその側で盛り上がることになる。これは、オイル・リターン又はドレイン・パイプの下端が覆われると、オイルがサンプ内に排出されるのを防ぐことになり、そしてリターン・パイプ内のオイルの蓄積につながり易いので、問題となり得る。この種のシステムが問題となる更なる状況は、オフロードにおけるような急傾斜路で車両が用いられる場合である。この種の従来技術の状況は、図6及び7を参照すると、より良く理解することが出来、それらの図において、ターボチャージャー(不図示)からのリターン又はドレイン・パイプ221の下端が、エンジン(同じく不図示)のサンプ206に入り込んでいるのが、示されている。
図6においては、車両が水平な地面に乗っている状態が示され、図7には、傾斜θに車両が乗っている状態が示されている。
車両が傾斜θにあるとき、ドレイン・パイプ221の端部がオイル・レベルより下にあり、そして、ドレイン・パイプ221内のオイルの蓄積が起こり易いことが、判る。サンプ206内のオイル・レベルの大きな変動は、エンジンが必要とする分を供給するために、サンプ内に大量のオイルを蓄えなければならない、という事実に一部起因する。
本件発明者は、サンプ内のオイルが非常に少量であるときは、車両の傾斜が変化しても、ドレイン・チューブが覆われる危険性が殆どない、ということを認識した。しかしながら、通常のサンプ内のオイルを少量にすることは、オイルの収集上の問題そしてエンジンへのオイル供給の不足の可能性につながることになるので、そのようにすることは不可能である。
上記の点に鑑み、本発明の課題は、潤滑システムが改良された内燃機関を提供することである。
本発明の第1の観点によれば、少なくとも一つのターボチャージャー及び、該ターボチャージャーのための潤滑システムを持つ内燃機関が提供される。潤滑システムは、上記ターボチャージャーを潤滑するために用いられるオイルを蓄えるためのメイン・オイル・リザーバー、該メイン・オイル・リザーバーから上記ターボチャージャーへオイルを供給するためのオイル・ポンプ、上記ターボチャージャーからのオイルを受けるためのセカンダリ・リザーバー、及び、該セカンダリ・リザーバーで受けたオイルを上記メイン・オイル・リザーバーへ戻すためのバキューム・ポンプ、を有する。バキューム・ポンプは、上記ターボチャージャーから上記セカンダリ・リザーバーへのオイルの流れを補助し、そして、上記セカンダリ・リザーバーから上記メイン・オイル・リザーバーへオイルを圧送するように、上記セカンダリ・リザーバー内に負圧を生成する働きが可能である。
オイル・ポンプは、ターボチャージャー及び内燃機関へオイルを供給するために用いられるエンジン・オイル・ポンプとすることが出来る。
内燃機関の作動中に、バキューム・ポンプの流量を、セカンダリ・リザーバーに蓄えられるオイルが実質的に無いように、セカンダリー・リザーバーに接続されたターボチャージャーからのオイルの流量に少なくとも等しいものと出来る。
その流量は、ターボチャージャーからセカンダリ・リザーバーへの流量よりも大きいのが好ましい。
ターボチャージャーは、オイル・ポンプからオイルを受けるためのオイル入口ポート及び、リターン通路を用いてターボチャージャーからセカンダリ・リザーバーへオイルを戻すためのオイル出口ポート、を持つように出来る。
ターボチャージャーはリターン通路によりセカンダリ・リザーバーへ接続されることが出来、そして、セカンダリ・リザーバーは、バキューム・ポンプへ接続された出口、リターン通路と同様の数の入口及び、セカンダリ・リザーバー内の過剰な負圧の生成を防止するためのベントを持つ、閉空間とすることが出来る。
ベントは、内燃機関のクランクケース領域へ接続され得る。
セカンダリ・リザーバーは、メイン・オイル・リザーバー内に配置され得る。
メイン・オイル・リザーバーは基本的にワンピース鋳物として形成され得て、そして、セカンダリ・リザーバーが、メイン・オイル・リザーバーを形成するワンピース鋳物の一部として形成され得る。その場合に、ベントの少なくとも一部を、ワンピース鋳物内に鋳造された通路として形成することが出来る。
内燃機関を少なくとも一つのカムシャフトを持つものとし、そしてバキューム・ポンプを内燃機関のカムシャフトの一端により駆動されるようにすることが出来る。
少なくとも一つのカムシャフトがチェーンケースに収容されたチェーンにより駆動され、そして、バキューム・ポンプが、オイルをチェーンケースに排出することによりオイルをメイン・オイル・リザーバーへ戻すように構成された出口ポートを持つ、ように出来る。
内燃機関が、チェーンにより駆動される第1カムシャフト及び、第1カムシャフトから歯車駆動部により駆動される第2カムシャフトを持ち、バキューム・ポンプから排出されたオイルが、第1と第2のカムシャフトの間の歯車駆動部を形成する少なくとも一つの歯車に対して衝突する、ように出来る。
バキューム・ポンプは、回転摺動形ベーン・ポンプであるのが好ましい。
内燃機関が二つのターボチャージャーを持ち、そして、ターボチャージャーのそれぞれが、セカンダリ・リザーバーへ接続されたリターン通路を持つ、ように出来る。
内燃機関が、二つの気筒バンクを持つV型エンジンとし、そして、ターボチャージャーの一方が気筒バンクの一方からの排気を受けるように構成され、そしてターボチャージャーの他方が上記気筒バンクの他方からの排気を受けるように構成することが出来る。この場合に、ターボチャージャーのそれぞれを排気を受ける気筒バンクより下方に配置することが出来る。
バキューム・ポンプは、ターボチャージャーより上方に取り付けることが出来る。
本発明の第2の観点によれば、本発明の第1の観点による内燃機関を持つ自動車が提供される。
自動車がバキューム・システムを持ち、そして、そのバキューム・システムへ負圧を供給し、そしてターボチャージャーからのオイルの流れを促進するために、バキューム・ポンプが用いられる、ように出来る。
バキューム・システムがバキューム・アシスト形制動システムであり、そして、バキューム・ポンプが、バキューム・アシスト形制動システムの一部を構成するブレーキ・ブースターのバキューム・リザーバーにおいて負圧を発生する働きが可能である、ように出来る。
バキューム・ポンプを、バキューム・システムに接続された第1入口とセカンダリ・リザーバーへ接続された第2入口とを持つ回転摺動形ベーン・ポンプとすることが出来る。
内燃機関(エンジン)8を持つ自動車10を示す図1を特に参照して、本発明について説明する。エンジン8は、クランクケース7及びメイン・オイル・リザーバー若しくはサンプ6を含む。
エンジン8は、エンジンの様々な運動部品を潤滑するだけでなく、エンジン性能を向上させるためにそれの排気マニフォールドに接続されて動作するターボチャージャー3を潤滑するための潤滑システムと組み合わせられる。
潤滑システムが、メイン・オイル・リザーバー6からターボチャージャー3へ具体的にはターボチャージャー3のベアリングへオイルの形態の潤滑油を圧送するためのオイル・ポンプ2、ターボチャージャーのベアリングからオイルを受けるためのセカンダリ・リザーバー4及び、負圧をセカンダリー・リザーバーへ供給し、それにより、オイルがターボチャージャー・ベアリングからセカンダリ・リザーバー4へ流れるように付勢し、そしてまた、セカンダリ・リザーバー4に収集されたオイルをメイン・オイル・リザーバー6へと圧送して戻す、エンジン駆動形バキューム・ポンプ5、を有する。
セカンダリ・リザーバー4は、そこに取り付けられたターボチャージャー3からのリターン通路若しくはドレイン・パイプ、そこに取り付けられたバキューム・ポンプ5からのオイル・リターン・パイプの形態の出口通路及び、エンジン8のクランクケース7へのベント・パイプにより接続されたベント、を持つ閉空間の形態をしている。
ドレイン・パイプは、セカンダリ・リザーバー4の上面に取り付けられ、そして、セカンダリ・リザーバー4に収集されたいかなるオイルによっても覆われることがないように、セカンダリ・リザーバー4の上面近くに配置された下端を持つ。クランクケース7内の圧力がセカンダリ・リザーバー内の圧力よりも低いときに、ターボチャージャーから戻るオイルからのベーパーがクランクケース7へ戻され得るように、ベント・パイプもセカンダリ・リザーバー4の上面近くに接続される。
ベント(vent)の機能は、セカンダリ・リザーバー4内にポンプ5により形成される過剰な負圧を防止することである。セカンダリ・リザーバー4を、エンジン8の動作中常時大気圧を下回る圧力に、そしてターボチャージャー・ベアリングのオイルの圧力より低い圧力に維持するのが望ましいものの、セカンダリ・リザーバー内の圧力が下がり過ぎるのは、ターボチャージャーのベアリング内の油膜を破壊し、そして早期のベアリング故障を生じ易くなるので、望ましくない。例えば、そして限定するものでなく、セカンダリ・リザーバー内の圧力が一定の圧力を下回ると、ベアリング故障が起こり易くなる。ベント及びバキューム・ポンプ5へのリターン・パイプを正しい大きさとすることにより、余分なバルブ又は制御部なしに、セカンダリ・リザーバー内の負圧を低いレベルに維持することが可能である。
バキューム・ポンプ5はまた、バキューム・アシスト形制動システムの一部を形成するブレーキ・ブースターのためのバキューム・リザーバー9の形態のバキューム・システムに接続される。負圧をセカンダリ・リザーバーへ供給するともに、自動車10のいかなるバキューム作動形の装置のための負圧源を提供するのに、単一のバキューム・ポンプ5が用いられる。これは、自動車10のエンジンがディーゼル・エンジンであるときに特に有利である。その場合、制動回路へ負圧を供給するのにバキューム・ポンプを用いるのが通常であり、それで、制動システムへ負圧を供給するだけに通常用いられるのと同じバキューム・ポンプを明らかにコストを削減しつつ用いることが出来るので、余分なポンプの必要性をなくして、本発明の有利な効果を得ることが出来る。
システムの動作は以下のとおりである。エンジン8の始動に際し、少量のオイルが、ターボチャージャー3から排出され、そしてセカンダリ・リザーバー4内に収集されることになる。エンジンが動作するとすぐに、オイルがポンプ2によりメイン・オイル・リザーバー6からターボチャージャー・ベアリングへと圧送され、そして、ポンプ5によりセカンダリ・リザーバー4内に形成された負圧により強いられて、ドレイン・パイプを通ってターボチャージャー3からセカンダリ・リザーバー4へと流れ始める。エンジン8がアイドリングしているとき、ポンプ5の流量はターボチャージャー3からセカンダリ・リザーバー4への流量とほぼ同じであり、セカンダリ・リザーバー4内の圧力は大気圧よりわずかに低いか又は殆ど等しいが、エンジン8の速度が増大させられるとすぐに、セカンダリ・リザーバー4内の負圧は増大する。これは、バキューム・ポンプがエンジン8により駆動され、それで、エンジン速度により影響される、からである。バキューム・ポンプは油圧駆動又は電気駆動とすることも出来ることが理解されるであろう。それらの場合に、ポンプの流量は、エンジン速度からは独立したものとなろう。
エンジン8がアイドル速度より上で動作しているとき、ポンプ5の流量は、数分の動作後に、セカンダリ・リザーバー4内に残るオイルが殆ど又は全く無いように、セカンダリ・リザーバ4へ戻るオイルの流量を越える。
これは、自動車の安定性の限界内で、車両の動作がターボチャージャー3からのオイルの流れに悪い影響を及ぼすことがなく、そして、オイルが、ドレイン・パイプからターボチャージャー3へオイルが逆流出来ない、ということを確実なものとする。
ターボチャージャー3から出るオイル及びベーパー(vapor)は、セカンダリ・リザーバー4を通してメイン・リザーバー6へバキューム・ポンプ5により吸引され、その場合にそれらが再利用のために分離される。メイン・オイル・リザーバー6へ戻されたオイルは、エンジン8とターボチャージャー3を潤滑するために再利用され、そして、含有するベーパー又はオイル・ミストは、クランクケースへ供給され、そこで気体と液体とに分離される。ベーパーからの気体はそして、通常の態様でクランクケース・ベンチレーション・システムを介して導かれ、そしてその液体は、メイン・オイル・リザーバー6へ戻されるのが可能とされる。
本発明による潤滑システムは、実質的にコスト又は複雑さを高めることなしに、ターボチャージャーの潤滑性を向上することが、判るであろう。
図2乃至5を参照すると、二つの気筒バンクを持つV型8気筒ディーゼル・エンジンに適用された本発明の好ましい実施形態が示されている。気筒の各バンクは、エンジン108から排気マニフォールドを介して排気を受けるようにされたターボチャージャー103を持つ。ターボチャージャー103のそれぞれは、それが動作可能に結合される気筒のバンクよりも下方に取り付けられ、それにより、エンジン108の高さを最小にする。
ターボチャージャー103のそれぞれには、エンジン108の他の様々な構成部へオイルを供給するのにも用いられるエンジン・オイル・ポンプ(不図示)からのオイルが供給される。そのオイルは、エンジン108の下端に固定されたメイン・オイル・リザーバー若しくはサンプ106に蓄えられ、そして、エンジン108内に形成された様々な内部通路を通じてサンプ106からエンジン・オイル・ポンプにより圧送される。各ターボチャージャー103は、エンジン内の内部オイル・フィードを介してエンジン・オイル・ポンプからオイルを受けるためのオイル入口ポート、及び、対応するターボチャージャーからセカンダリ・リザーバー若しくはターボ・サンプ104へ戻すためのオイル出口ポート、を持つ。
各ターボチャージャー103のオイル入口ポート及び出口ポートは、各ターボチャージャー103内に配置されたベアリングに接続され、そして、ターボチャージャー103のベアリングへオイルを供給し、そこから戻すのに用いられる。
ドレイン・パイプ121の形態のリターン通路が、オイルがベアリングからターボ・サンプ104へ戻されるのを可能とするように、各ターボチャージャー103とターボ・サンプ104との間に接続される。
図4を参照して最も良く判るように、メイン・オイル・リザーバー106がワンピース鋳物として形成され、そしてセカンダリ・リザーバー若しくはターボ・サンプ104がメイン・オイル・リザーバー106内に配置され、そしてメイン・オイル・リザーバー106を形成するために用いられるワンピース鋳物の一部として形成される。
ターボ・サンプ104は、実際の使用に際して、閉空間を形成するようにリッドと係合され、そして後述のように様々なパイプと結合されるので、図4に示されるのは不完全な状態である。
ターボチャージャー103からのドレイン・パイプ121は、メイン・オイル・リザーバー106を形成するのに用いられる鋳物の壁に形成された孔140を密封状態で貫通し、ターボ・サンプ104の上端近くに形成された孔130に密封状態で取り付けられる。
ターボ・サンプ104のためのベントが、メイン・オイル・リザーバー106を形成する鋳物内に鋳造される通路142の形態で設けられる。通路142は、使用中に、エンジン108内に形成され、エンジン108のクランクケース領域との間で上記が流れるのを可能とする別の通路(不図示)と協働する。この接続が、ターボ・サンプ104内に形成され得る負圧を制限する。というのが、ターボ・サンプ104内の負圧が一定レベルの到達すると、ガス及び/又はオイルベーパーが、エンジン108のクランクケースからターボ・サンプ104へ流れ込む傾向を持つことになるからである。もし、ターボ・サンプ104内に生成される負圧が高すぎると、オイルがターボチャージャーのベアリングから吸引される傾向を持ち、ベアリングに存在する必要がある油膜を破壊し、それにより、早期のベアリング不良を生じることになるので、ターボ・サンプ104内に生成され得る負圧を制限することが重要である。
更なる孔150がメイン・オイル・リザーバー106の壁に形成され、そこには、オイル及びオイルベーパーをターボ・サンプ104からエンジン駆動のロータリー・バキューム・ポンプ105へ移送するのに用いられるオイル・リターン・パイプ122が密封状態で接続される。
ターボ・サンプ104内に収集されたオイルが実質的に全てバキューム・ポンプ105により外に圧送され、メイン・オイル・リザーバー106へ戻されるのが可能であるように、オイル・リターン・パイプ122は、ターボ・サンプ104の底部近くの孔151へ接続される。
図2、3及び5を特に参照すると、オイル・リターン・パイプ122の上端が、ロータリー・バキューム・ポンプ105の第2の入口に接続される。図5を参照すると判るように、ロータリー・バキューム・ポンプは、チャンバー内に摺動可能にベーン112を支持するローター110を持つ通常の形態を持つ。ロータリー・ポンプ105のチャンバーへの第1入口113が、使用中に、バキューム・アシスト形制動システム(不図示)のようなバキューム・システムに接続される。ローター110が矢印Rの方向に回転させられるときに、チャンバーから液体とベーパーを排出するために、出口ポート115が設けられる。ポンプ105の背面のリード弁(不図示)が、出口ポート115を通り液体が外に出るのは可能にするが、中に入るのは可能としない。
ポンプ105は、エンジン108のクランクシャフト(不図示)をカムシャフト125へ接続して駆動するチェーン126を内包するのに用いられるチェーンケース120へ固定される。ロータリー・バキューム・ポンプ105は、ターボチャージャー103を出るいかなるオイルもターボ・サンプ104へ下向きにそれからポンプ105へ上向きに流れるように、二つのターボチャージャー103よりも上に取り付けられる。ベーン112がチャンバーに対して正しく密封出来るのを確実なものとするためには、エンジン108からポンプ105へ少量のオイルが供給される。しかしながら、用いられるポンプの形式故に、実際には、ポンプのプライミング(priming)は必要とされず、ローター110が回転し始めるや否やポンプ105は動作を開示することになる。
チェーンケース120が、カムシャフト125を支持するエンジン108の端壁124に密封状態で取り付けられる。エンジン108は全部で4本、気筒バンクあたり2本のカムシャフトを持ち、右側気筒バンクの外側カムシャフト125が、ポンプ105のローター110を直接駆動するのに用いられる。右側気筒バンクの他方の(内側)カムシャフト(不図示)は、外側カムシャフトの端部に取り付けられて駆動され内側カムシャフトに固定された歯車(不図示)と噛み合う歯車127により駆動される。
ベーン・ポンプ105の出口ポートは、ポンプ105を出るオイルとベーパーがチェーンケース内に入れられて歯車127に衝突するように、チェーンケース120に形成された孔128と協働する。これは、一定の状態の下で、バキューム・ポンプから出る流れが、ミスト状に近く、そして歯車127への衝突が、液滴の大きさを高める傾向を持ち、それにより、オイルの収集と再循環を促進する。
チェーンケース120へ吐出されるオイルは、重力の影響でチェーンケース120を通り下に流れ、そこから再利用され得るメイン・オイル・リザーバー106で収集される。
エンジン108は、戻ってくるオイルから抽出されたガスをエンジン108の吸気マニフォールド(不図示)へ再循環するために、クランクケース・ブリーザー・システムと組み合わせられる。
エンジン108の動作中にターボ・サンプ104内に蓄えられるオイルが殆ど無いのを確実なものとするために、バキューム・ポンプ105の圧送能力は、二つのターボチャージャー103からターボ・サンプ103への流量よりもわずかに大きくなるように選択される。エンジン停止状態の間の重力によるドレインのために、エンジン始動時にターボ・サンプ104内に少量のオイルが存在する場合があるものの、エンジンが動作を開始するや否や、このオイルはターボ・サンプ104から速やかに取り除かれ、メイン・オイル・リザーバー106へと戻される。それで、ターボ・サンプ104にオイルが入ると、オイルがドレイン・パイプ121を上に戻されることは出来ないので、ターボ・サンプ104は、ターボチャージャー103からメイン・オイル・リザーバー106へ戻る流路を途切れさせる。
エンジンがアイドリングしているとき、ベント142の流通能力がポンプ105の流量とほぼ同じであるので、ターボ・サンプ内に実質的に負圧が無いが、エンジン速度が上昇すると、ポンプの流量が増大し、それで、ターボ・サンプ104内の負圧を増大させることが出来る。しかしながら、ベント142により形成される所定の漏れのために、ターボ・サンプ104に形成される負圧の大きさは、ターボチャージャー103のベアリング内の油膜が破壊されるほどに高いことは決してない。
上記の構成により、エンジンの全高は不変のままであり、用いられるバキューム・ポンプが、ディーゼル・エンジンにおいて負圧を供給するのに用いられる場合が多いものと同じものであるので、上記のシステムを実施するためのコストは比較的低い。加えて、エンジンに組み合わせられたターボチャージャーからのオイルの排出を促進するためと、車両に組み合わせられた負圧作動システムへ負圧を供給するためとに、同じポンプを用いることが出来る。
エンジンの作動中に、ターボチャージャー・ベアリング内のオイルの圧力とターボ・サンプ104内の圧力との間には常時小さな差圧があるので、オイルは、エンジン108の向きに関わらず、常にターボ・サンプ104に向け流れる傾向を持つことになる。
この好ましい実施形態において、バキューム・ポンプがエンジンから直接駆動されるものの、必ずしもそうである必要はなく、適切なものであれば、いかなる動力源により駆動されることも可能である。
本発明は、自動車に組み合わせられた内燃機関のための使用に関して、記載され、そして特に有利であるものの、いかなるターボ過給エンジンにおいて用いられ得ることが理解されるであろう。
本発明を複数の具体的な実施形態を例に挙げて述べてきたものの、本発明はそれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなしに、様々な実施形態又は開示の実施形態に対する改良がなされ得る、ことが本発明の当業者により、理解されるであろう。
本発明による自動車及び内燃機関の概略図である。 本発明による内燃機関の端面図である。 図2に示された内燃機関の一部を構成するチェーンケースを貫通して部分断面図である。 図2に示された内燃機関のメイン・オイル・リザーバーの一部を示す斜視図である。 図2に示される内燃機関のための潤滑システムで用いられるバキューム・ポンプの、エンド・カバーが取り外されて入口及び出口ポートの位置を見せる、概略図である。 従来技術の内燃機関とターボチャージャーのドレイン・パイプのオイル・リザーバーの、内燃機関が組み合わせられる車両が水平な地面に乗っているときの、オイルのレベルを示す、概略図である。 図6と同様であるが、車両が斜面に乗っているときのオイル・レベルを示す、概略図である。
符号の説明
2 オイル・ポンプ
3, 103 ターボチャージャー
4, 104 セカンダリ・オイル・リザーバー
5, 105 バキューム・ポンプ
6, 106 メイン・オイル・リザーバー
8 内燃機関
9 バキューム・アシスト形システム
10 自動車

Claims (21)

  1. 少なくとも一つのターボチャージャー及び、該ターボチャージャーのための潤滑システムを持つ内燃機関であって、上記潤滑システムが、
    上記ターボチャージャーを潤滑するために用いられるオイルを蓄えるためのメイン・オイル・リザーバー、
    該メイン・オイル・リザーバーから上記ターボチャージャーへオイルを供給するためのオイル・ポンプ、
    上記ターボチャージャーからのオイルを受けるためのセカンダリ・リザーバー、及び
    該セカンダリ・リザーバーで受けたオイルを上記メイン・オイル・リザーバーへ戻すためのバキューム・ポンプ、を有し、
    該バキューム・ポンプが、上記ターボチャージャーから上記セカンダリ・リザーバーへのオイルの流れを補助し、そして、上記セカンダリ・リザーバーから上記メイン・オイル・リザーバーへオイルを圧送するように、上記セカンダリ・リザーバー内に負圧を生成する働きが可能である、内燃機関。
  2. 上記オイル・ポンプが、上記ターボチャージャー及び上記内燃機関へオイルを供給するために用いられる、エンジン・オイル・ポンプである、請求項1に記載の内燃機関。
  3. 上記内燃機関の作動中に、上記バキューム・ポンプの流量が、上記セカンダリ・リザーバーに蓄えられるオイルが実質的に無いように、上記セカンダリー・リザーバーに接続された上記ターボチャージャーからのオイルの流量に少なくとも等しい、請求項1又は2に記載の内燃機関。
  4. 上記ターボチャージャーが、上記オイル・ポンプからオイルを受けるためのオイル入口ポート及び、リターン通路を用いて上記ターボチャージャーから上記セカンダリ・リザーバーへオイルを戻すためのオイル出口ポート、を持つ、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関。
  5. 上記ターボチャージャーが上記リターン通路により上記セカンダリ・リザーバーへ接続され、そして、該セカンダリ・リザーバーが、上記バキューム・ポンプへ接続された出口、上記リターン通路と同様の数の入口及び、該セカンダリ・リザーバー内の過剰な負圧の生成を防止するためのベントを持つ、閉空間である、請求項4に記載の内燃機関。
  6. 上記ベントが上記内燃機関のクランクケース領域に接続される、請求項5に記載の内燃機関。
  7. 上記セカンダリ・リザーバーが上記メイン・オイル・リザーバー内に配置される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内燃機関。
  8. 上記メイン・オイル・リザーバーが基本的にワンピース鋳物として形成され、そして、上記セカンダリ・リザーバーが、上記メイン・オイル・リザーバーを形成する上記ワンピース鋳物の一部として形成される、請求項7に記載の内燃機関。
  9. 上記メイン・オイル・リザーバーが基本的にワンピース鋳物として形成され、そして、上記セカンダリ・リザーバーが、上記メイン・オイル・リザーバーを形成する上記ワンピース鋳物の一部として形成され、
    上記ベントの少なくとも一部が上記ワンピース鋳物内に鋳造された通路として形成される、
    請求項5又は請求項6に記載の内燃機関。
  10. 上記内燃機関が少なくとも一つのカムシャフトを持ち、そして上記バキューム・ポンプが上記内燃機関の上記カムシャフトの一端により駆動される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の内燃機関。
  11. 上記少なくとも一つのカムシャフトがチェーンケースに収容されたチェーンにより駆動され、そして、上記バキューム・ポンプが、オイルを上記チェーンケースに排出することによりオイルを上記メイン・オイル・リザーバーへ戻すように構成された出口ポートを持つ、請求項10に記載の内燃機関。
  12. 上記内燃機関が、上記チェーンにより駆動される第1カムシャフト及び、該第1カムシャフトから歯車駆動部により駆動される第2カムシャフトを持ち、上記バキューム・ポンプから排出されたオイルが、上記第1と第2のカムシャフトの間の歯車駆動部を形成する少なくとも一つの歯車に対して衝突する、請求項11に記載の内燃機関。
  13. 上記バキューム・ポンプが、回転摺動形ベーン・ポンプである、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の内燃機関。
  14. 上記内燃機関が二つのターボチャージャーを持ち、そして、該ターボチャージャーのそれぞれが、上記セカンダリ・リザーバーへ接続されたリターン通路を持つ、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の内燃機関。
  15. 上記内燃機関が、二つの気筒バンクを持つV型エンジンであり、そして、上記ターボチャージャーの一方が上記気筒バンクの一方からの排気を受けるように構成され、そして上記ターボチャージャーの他方が上記気筒バンクの他方からの排気を受けるように構成される、請求項14に記載の内燃機関。
  16. 上記ターボチャージャーのそれぞれが、排気を受ける気筒バンクより下方に配置される、請求項15に記載の内燃機関。
  17. 上記バキューム・ポンプが、上記ターボチャージャーより上方に取り付けられる、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の内燃機関。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の内燃機関を持つ自動車。
  19. バキューム・システムを持ち、そして、該バキューム・システムへ負圧を供給し、そして上記ターボチャージャーからのオイルの流れを促進するために、上記バキューム・ポンプが用いられる、請求項18に記載の自動車。
  20. 上記バキューム・システムが、バキューム・アシスト形制動システムであり、そして、上記バキューム・ポンプが、上記バキューム・アシスト形制動システムの一部を構成するブレーキ・ブースターのバキューム・リザーバーにおいて負圧を発生する働きが出来る、請求項19に記載の自動車。
  21. 上記バキューム・ポンプが、上記バキューム・システムに接続された第1入口と上記セカンダリ・リザーバーへ接続された第2入口とを持つ回転摺動形ベーン・ポンプである、請求項19又は20に記載の自動車。
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