JP3805505B2 - エンジンユニットのブリーザ構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンユニット、特に、姿勢変化してその後に元の姿勢に復帰し得るエンジンユニットのブリーザ構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
4サイクルエンジンユニットは、一般に、エンジン本体の各潤滑部に潤滑油を供給するための潤滑装置を備える。このような4サイクルエンジンユニットは、小型船等に搭載される船舶用エンジンとして、提案されている。船舶用エンジンは、排気による大気汚染を防止するために、エンジン本体に設けたブリーザ装置のブリーザ経路をエンジン吸気ラインに接続し、潤滑油のオイルミストやブローバイガスを燃焼するようにしている。
【0003】
ところで、船舶用エンジンは姿勢が変化した場合に、潤滑油がブリーザ経路を経てエンジン吸気ラインへ流入することを防止する必要があり、このような技術として、例えば、実公昭60−8109号公報「内燃機関の潤滑装置」がある。上記内燃機関の潤滑装置は、その公報の第1図及び第2図(a)によれば、機関7(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)の下部にオイルパン1を備え、このオイルパン1からメインギャラリ5へ潤滑油ポンプ3で潤滑油を供給するというものである。
【0004】
内燃機関のブリーザ系統は、その公報の第2図(a)によれば、機関7のブリーザ装置18→ブリーザパイプ19→ミストセパレータ6→連結管9の経路で、機関7内のオイルミストを吸気マニホールド8に流入させるというものである。しかも、上記内燃機関の潤滑装置は、その公報の第2図(a)〜(e)によれば、ミストセパレータ6の内部をミスト分離室10と貯油槽21とに概ね仕切ったものである。機関7の姿勢が変化すると、オイルパン1内の潤滑油は貯油槽21に流入する。機関7が元の姿勢に復帰すると、貯油槽21の潤滑油はオイルパン1に流入する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術では、第2図(a)に示すように、機関7が通常の姿勢のときに下部のオイルパン1に潤滑油を溜めるようにしたので、内燃機関の高さは比較的大きい。しかも、機関7の姿勢が変化した際に、貯油槽21に多くの潤滑油を回収するためには、貯油槽21を機関7よりも上位に配置する必要がある。このため、内燃機関の高さは大きい。このようなことから、内燃機関は全体が大型にならざるを得ない。小型船の機関室は狭いので、内燃機関は小型であることが要求される。
【0006】
そこで本発明の目的は、エンジンユニットの姿勢が変化した場合であっても、ブリーザ経路内の潤滑油を十分に回収することができ、しかも、エンジンユニットを小型にすることができる技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、クランク室の側方に備えた潤滑油タンクからエンジン本体の各潤滑部に供給ポンプで潤滑油を供給し、潤滑後の潤滑油をクランク室の底部に集め、集めた潤滑油を返送ポンプで潤滑油タンクに汲み上げる形式のドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットであって、下位のクランク室にブリーザ通路を介して上位の動弁室を連通し、この動弁室の下位に潤滑油タンクを配置し、この潤滑油タンクに第1ブリーザチューブを介して動弁室の第1連通口を連通し、この第1連通口の下位において動弁室に第2連通口を開け、この第2連通口にヘッドカバーの上端から突出しないレベルのオイルミスト分離用第1ブリーザ室を連通し、この第1ブリーザ室に第2ブリーザチューブを介して第1ブリーザ室より下位のオイルミスト分離用第2ブリーザ室を連通し、この第2ブリーザ室に第3ブリーザチューブを介してエンジン吸気ラインを連通したことを特徴とする。
【0008】
エンジンユニットが通常の姿勢のときに、潤滑油はクランク室の側方に備えた潤滑油タンクに溜まる。
一方、エンジンユニットの姿勢が変化した場合に、潤滑油タンク内の潤滑油は第1ブリーザチューブを通って、姿勢が変化した動弁室の低部に流入する。しかし、供給ポンプ及び返送ポンプが停止したときに、姿勢が変化した潤滑油タンク内は真空状態に近くなる。このため、動弁室には所定量の潤滑油しか流入することがない。すなわち、姿勢が変化した動弁室と第1ブリーザチューブと潤滑油タンク内とからなる経路は、いわゆる「トリチェリ(Torricelli)の真空」の原理が適用されることになり、所定量の潤滑油しか流れない。そして、エンジンユニットの姿勢が変化した状態では、第2連通口が第1連通口よりも上位になるので、潤滑油がエンジン吸気ラインへ流れることはない。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットを搭載した小型船の側面図であり、想像線にて示す小型船1はレジャー用等に使用するものであって、船体2のエンジン室2aにドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット3を搭載し、このエンジンユニット3でジェットポンプ4を駆動し、このジェットポンプ4で船体2の底部から吸い込んだ水を加圧し、ジェット水流として後方に吐出することで、前進するものである。
なお、2dはバルクヘッド、2eはシート、2fはデッキ、2gはステアリングバー、5は給水口、6は吐出ノズル、7は燃料タンクである。
【0010】
図2は図1の2−2線断面図であり、エンジン室2a(ロアハル2bとアッパハル2cとで形成)にドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット3を搭載した姿を示す。
ドライサンプ潤滑式は、半割クランクケースの外部に備えた潤滑油タンクからエンジンの各潤滑部に潤滑油を供給し、余分な潤滑油を半割クランクケースの底部に一時的に集め、集めた潤滑油を潤滑油ポンプで速やかに潤滑油タンクに汲み上げる潤滑方式である。
エンジンユニット3は、クランクシャフト15を小型船1の前後方向(図表裏方向)に延し、シリンダ軸線Lを図左上方向に傾斜し、前後左右の4つのマウント8…(…は複数を示す。以下同じ。)をロアハル2bの取付台2h…に取付けた横置型エンジンユニットである。9…はマウントラバーである。
【0011】
図3は図2の3−3線断面図であり、小型船1の後方(図左側)に向ってエンジン動力を取出すようにした、エンジンユニット3の断面構成を示す。
なお、この図において、吸入管72及び吸入油路24a廻り(符号A−Aで示す範囲)は、図2の3−3線からずれた位置にあるが、説明の便宜上他の部位と同一断面にて示す。
エンジンユニット3は、エンジン本体10と、このエンジン本体10の前部に取付けた動弁駆動機構40及びフライホイールユニット50と、エンジン本体10の後部に取付けた潤滑ユニット60とからなる横置型3気筒エンジンである。
【0012】
エンジン本体10は、半割クランクケース11と、前後方向に3つのシリンダ12a…を備えたシリンダブロック12と、シリンダヘッド13と、ヘッドカバー14と、横向きのクランクシャフト15と、このクランクシャフト15に連結し各シリンダ12a…に挿通したピストン16…と、クランクシャフト15の後端部に連結したPTO軸(動力取出し軸)17と、シリンダヘッド13とヘッドカバー14とで形成した動弁室18と、この動弁室18に収納した動弁機構30とを、主要構成とする。
【0013】
半割クランクケース11とシリンダブロック12とで形成した構造は、クランク室19をなす。このため、エンジン本体10は、下位部分にクランク室19を配置し、上位部分に動弁室18を配置したものである(クランク室19の上位に動弁室18がある。)。
ヘッドカバー14は内部の一部を仕切って、動弁室18の上部に第1ブリーザ室18aを形成したものである。第1ブリーザ室18aは、動弁室18を通って流入したガス中から、オイルミスト(潤滑油等のミスト)を分離する役割を果たす。
動弁室18は第2連通口18cを開け、この第2連通口18cに第1ブリーザ室18aを連通したものである。
なお、PTO軸17は潤滑ユニット60よりも後方(反エンジン側)に延び、図1に示すジェットポンプ4の駆動軸4aに連結するものである。17aはクランクシャフト15に連結する連結部、17bは動力取出し用連結部であり、これら連結部17a,17bは、めすねじ又はめすスプラインからなる。
【0014】
半割クランクケース11は底部に、各摺動部を潤滑して余った潤滑油(潤滑後の潤滑油)を捕集するための3つの捕集部11a…と、これらの捕集部11a…で捕集した潤滑油を誘導するための誘導路11bと、この誘導路11bから潤滑ユニット60へ潤滑油を戻すための戻し油路11cとを備える。
捕集部11a…は、溜まった潤滑油がクランクシャフト15のカウンタウェイト(ウェブ)に接触しない程度にクランクシャフト15に接近し、クランクシャフト15と下方の油面との間をバッフルプレート21…で仕切った、小容量の油溜めである。このため、半割クランクケース11は底部をクランクシャフト15に近づけることができるので、小型になる。その結果、小型船1(図2参照)にエンジンユニット2の搭載位置を設定する際に、エンジンユニット2の底部と船底との干渉による影響を少なくできる。そして、半割クランクケース11が小型であるにもかかわらず、クランクシャフト15は潤滑油に接触し難く、回転した際のフリクションロスが抑えられ、エアレーション(油の飛散)も防止される。
【0015】
動弁駆動機構40は、クランクシャフト15で動弁機構30のカムシャフト31をベルト駆動する機構であり、半割クランクケース11の前側部から突出するクランクシャフト15に固定した駆動プーリ41と、シリンダヘッド13の前側部から突出するカムシャフト31に固定した従動プーリ42と、これら駆動・従動プーリ41,42間に掛けたタイミングベルト43と、このタイミングベルト43の張力を調整するベルトテンショナ44とからなる。45はベルトカバーである。
【0016】
フライホイールユニット50は、クランクシャフト15の前端部にボルト止めしたフライホイール51と、このフライホイール51を収納するためにシリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の前側部にボルト止めしたホイールケース52と、このホイールケース52の開放端(前端部)を覆うためにボルト止めした平板状の蓋53とからなる。
すなわち、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の側部に、且つ、クランクシャフト15と直交する面に、フライホイールユニット50を取付けたものであり、このフライホイールユニット50は駆動プーリ41よりも前方(反シリンダブロック12側)にある。
【0017】
なお、54は発電機であり、フライホイール51の内周面に取付けたロータ54aと、ホイールケース52に取付けたコイル54bからなる。55はフライホイール51の外周面に取付けたリングギヤであり、後述するスターターモータに連結される。57は点検用キャップであり、クランク角度を確認するための孔を塞ぐものである。
【0018】
潤滑ユニット60は、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の後側部にボルト止めした潤滑油タンク61と、この潤滑油タンク61の開放端(後端部)を閉塞した蓋63と、半割クランクケース11の捕集部11aから潤滑油タンク61に潤滑油を戻す返送ポンプ64と、潤滑油タンク61からエンジン本体10の各摺動部に潤滑油を供給する供給ポンプ65と、管路等からなる。
返送ポンプ64は潤滑油タンク61に内蔵したポンプであり、供給ポンプ65は潤滑油タンク61から独立したポンプである。
【0019】
詳しくは、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の側部(クランク室19の側方)に、且つ、クランクシャフト15と直交する面に、タンク取付けパッキン面(フランジ)22を形成した。一方、潤滑油タンク61に、互いに平行な第1パッキン面(フランジ)61a及び第2パッキン面(フランジ)61bを形成した。第2パッキン面61bは第1パッキン面61aの後方(シリンダブロック12からPTO軸17側へ離反する方向)にある。
そして、タンク取付けパッキン面22に、パッキン23を介して第1パッキン面61aを合せて、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体に、潤滑油タンク61を取付け、第2パッキン面61bに、パッキン62を介して蓋63を合せて、ボルト止めしたものである。このような潤滑油タンク61は、組立体の側壁と蓋63とで密閉して、潤滑油を溜める密閉タンクであり、この密閉タンクは動弁室18の下位にある。
【0020】
返送ポンプ64は、潤滑油タンク61に一体に形成したケース部61cと、このケース部61cを閉塞した内部カバー64aと、ケース部61cに収納したインナロータ64b及びアウタロータ64cと、これらインナ・アウタロータ64b,64cを駆動するべくクランクシャフト15に駆動機構(駆動ギヤ64d及び従動ギヤ64eからなる。)を介して連結した軸64fとからなる、スカベンジングポンプである。駆動機構は、潤滑油タンク61と組立体との間の空間部66に収納したものである。
なお、空間部66は、動弁室18とクランク室19とを連通するためのブリーザ通路の一部を兼ねる。67はケース部61cに内部カバー64aを取付けるためのボルトである。
【0021】
供給ポンプ65は、シリンダヘッド13とヘッドカバー14とからなる組立体の側部にボルト止めしたケース本体65aと、このケース本体65aを閉塞したカバー65bと、ケース本体65aに収納したインナロータ65c及びアウタロータ65dと、これらインナ・アウタロータ65c,65dを駆動するべく動弁機構30のカムシャフト31に直結した軸65eとからなるポンプである。
なお、返送ポンプ64の軸及び供給ポンプ65の軸64f,65eは、クランクシャフト15及びカムシャフト31と平行に延びる。
シリンダブロック12とシリンダヘッド13とからなる組立体は、供給ポンプ65のための吸入油路24a及び吐出油路24b(図7参照)を備える。
なお、58,58はハンガである。
【0022】
図4は本発明に係るエンジン本体の断面図であり、シリンダ軸線Lを図左上方向に傾斜したエンジン本体10を示す。
動弁機構30は、カムシャフト31とロッカシャフト32,32とロッカアーム33,33と吸気バルブ34と排気バルブ35とからなる。
シリンダヘッド13は吸気通路13a及び排気通路13bを備え、吸気通路13aに吸気管81を介してフロートレスのダイヤフラム式キャブレタ82が連通し、排気通路13bにシリンダブロック12の排気通路12bが連通する。
【0023】
各バッフルプレート21…は、半割クランクケース11に固定し、クランクシャフト15の回転方向の下流側(図左側)に相当する範囲を仕切るものであり、本実施の形態では、半割クランクケース11の底部に、1箇所を回り止め用の係止突起11dと係止し、他の1箇所をボルト止めすることで、固定するものである。なお、必要な範囲全体を1つのバッフルプレートで仕切ってもよい。
26は供給油路であり、吐出油路24b(図7参照)及びフィルタ25を介して供給ポンプ65(図7参照)に接続し、エンジン本体10の各摺動部に潤滑油を供給する油路である。
27は動弁室18からクランク室19に潤滑油を戻す油戻しチューブであり、本実施の形態では、シリンダヘッド13のノズル13cと、半割クランクケース11の下半部にあるノズル11eとの間を接続することで、捕集部11aや誘導部11bに連通する。
動弁室18とクランク室19とは、第1ブリーザ通路28によって連通している。
11fは捕集部11aからドレンを抜き取るためのドレン孔、12c…は冷却水通路である。
【0024】
図5は本発明に係る潤滑油タンク及び蓋の分解平面図であり、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体に沿ってクランクシャフト15の軸線S方向(クランクシャフト15の延出方向)に潤滑油タンク61を膨出し、この膨出部61dにも潤滑油を溜めるようにしたことを示す。
潤滑油タンク61のうち、組立体に沿った膨出部61dにも潤滑油を溜めることができるので、同一容量の潤滑油タンク61であっても、前後寸法及び上下寸法を小さくでき、このため、エンジンユニット3を小型にできる。
図中、61rは潤滑油供給口用キャップ、68は半割クランクケース11及びシリンダブロック12に潤滑油タンク61を取付けるボルト、69は潤滑油タンク61に蓋63を取付けるボルトである。
【0025】
図6は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑油タンクを外した背面図であり、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体のタンク取付けパッキン面22が、開放されていることを示す。
動弁室18とクランク室19(図3参照)とは、第2ブリーザ通路29A,29B…によって連通している。具体的には、動弁室18と、第2ブリーザ通路29Aと、タンク取付けパッキン面22で囲まれた空間部(図3の空間部66に相当)と、複数の第2ブリーザ通路29B…と、クランク室19とは連通する。
56はスタータモータであり、図3に示すリングギヤ55を介してフライホイール51を回転することで、エンジンユニット3を始動するものである。
キャブレタ82に吸気消音箱83を接続することで、吸気管81とキャブレタ82と吸気消音箱83とでエンジン本体10の吸気ライン84(エンジン吸気ライン84)をなす。
83aは吸気口、85はマウント8に吸気消音箱83を取付けるボルトである。
【0026】
図7は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑油タンク用蓋を外した背面図であり、潤滑油タンク61の第2パッキン面61bが、開放されていることを示す。
潤滑油タンク61は、返送ポンプ64のための吸入油路61e及び吐出油路61fと、膨出部61d(図5参照)に連なり潤滑油を溜める油溜め部61gと、この油溜め部61gよりも上位の第2ブリーザ室61hと、エンジン排気口61iとを一体に形成したものである。
第2ブリーザ室61hは、図3に示す動弁室18及び第1ブリーザ室18aよりも下位にあり、第1ブリーザ室18aを通って流入したガス中から、オイルミスト(潤滑油等のミスト)を分離する役割を果たす。
【0027】
吸入油路61eと油溜め部61gとは、PTO軸17を跨ぐように左右に分れた位置にあり、返送ポンプ64及び供給ポンプ65は、シリンダ軸線Lを通る位置にあり、しかも、PTO軸17よりも上位に返送ポンプ64があり、この返送ポンプ64よりも上位に供給ポンプ65がある。
油溜め部61gは、供給ポンプ65のためのストレーナ71付き吸入管72を収納し、この吸入管72の上端は、供給ポンプ65用吸入油路24a(図3参照)に連通する。
【0028】
油溜め部61gは、上記図3に示す動弁室18よりも下位にある。そして、油溜め部61gは上部にガス口61qを開け、このガス口61qは第1ブリーザチューブ73を介して、動弁室18の第1連通口18bと連通する。
ところで、図4に示す第2連通口18cは、動弁室18に開けた孔であり、この孔は第1連通口18bよりも下位に開けた孔である。
エンジン排気口61iは、図6に示す排気通路12bと外部排気配管とを連通する排気口である。
図中、9aはマウント用ボルト、61m…は油溜め部61g内に上下方向に3段に設けた油飛散防止用バッフル壁、61nは図6に示す冷却水通路12cと外部冷却配管と連通する冷却水口である。
【0029】
図8は本発明に係る潤滑油タンクの断面図であり、潤滑油タンク61の膨出部61dが、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体に沿って膨出した形状を示す。
膨出部61dは、ストレーナ71の吸入口位置に対し、上方に配置されており、これにより、船体2(図2参照)の動きに伴うエンジンユニット3の傾斜に際しても、吸入口が油中にあるように配慮されている。
【0030】
第2ブリーザ室61hは、油戻しチューブ76を介してクランク室19と連通し、第2ブリーザ室61hで補集したオイルミストをクランク室19に戻すようにしている。具体的には、第2ブリーザ室61hは油戻しチューブ76と、壁部61sに開けた開口とを介してクランク室19と連通する。第2ブリーザ室61hはラビリンス構造であり、その詳細については図9にて説明する。
図中、12dはシリンダブロック12の壁部、61sは潤滑油タンク61の壁部、61tは膨出部61dの傾斜底部、71aはストレーナ71の支持ステーである。
【0031】
図9は本発明に係る第2ブリーザ室の平断面斜視図であり、潤滑油タンク61の3つの仕切壁61o…と蓋63の3つの仕切壁63a…とを突合せて第2ブリーザ室61hを3室に仕切り、更に、各仕切壁61o…,63a…に交互に小さな切欠き61p,63b…を設けることで、第2ブリーザ室61hをラビリンス構造としたことを示す。
【0032】
第2ブリーザ室61hは、ガス入口61j及びガス出口61kを開けたものである。
ガス入口61jは、第2ブリーザチューブ74を介して第1ブリーザ室18a(図4参照)と連通するものである。
ガス出口61kは、第3ブリーザチューブ75を介して、図6のエンジン吸気ライン84と連通する。具体的には、ガス出口61kは、第3ブリーザチューブ75を介して図6に示すキャブレレタ82の上流(吸気消音箱83とキャブレレタ82との間の図示せぬ連通管)に連通する。
【0033】
図10は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑系統及びブリーザ系統の概念図であり、エンジン本体10と潤滑ユニット60との間の潤滑系統、及び、エンジン本体10回りのブリーザ系統を概念的に示した。
潤滑系統とは、主に、潤滑油タンク61からエンジン本体10の各潤滑部に供給ポンプ65で潤滑油を供給し、潤滑後の潤滑油をクランク室19の底部に集め、集めた潤滑油を返送ポンプ64で潤滑油タンク61に汲み上げる系統のことである。
【0034】
ブリーザ系統とは、クランク室19内のブローバイガス等のガスからオイルミスト(潤滑油ミスト)を分離するとともに、ガスをエンジン吸気ライン84に還流する系統のことである。
ブリーザ系統については、上記図2〜図9において説明しているが、以下に整理して要約する。
ブリーザ系統は、下位のクランク室19にブリーザ通路(第1・第2ブリーザ通路28,29A,29B)を介して上位の動弁室18を連通し、この動弁室18の下位に潤滑油タンク61を配置し、この潤滑油タンク61に第1ブリーザチューブ73を介して動弁室18の第1連通口18bを連通し、この第1連通口18bの下位において動弁室18に第2連通口18cを開け、この第2連通口18cにヘッドカバー14(図3参照)の上端から突出しないレベルの第1ブリーザ室18aを連通し、この第1ブリーザ室18aに第2ブリーザチューブ74を介して第1ブリーザ室18aより下位の第2ブリーザ室61hを連通し、この第2ブリーザ室61hに第3ブリーザチューブ75を介してエンジン吸気ライン84を連通した系統である。
【0035】
潤滑油タンク61を、クランク室19の側方に備えたので、クランク室19の上又は下に備えた場合に比べて、エンジンユニット3の高さは小さい。しかも、第1・第2ブリーザ室18a,61hを、クランクケース11の下端とヘッドカバー14の上端との間に配置したので、エンジンユニット3の高さは小さい。このため、エンジンユニット3は小型である。
【0036】
次に上記構成のエンジンユニット3の作用を、図10に基づき説明する。
先ず、潤滑系統の作用を説明する。
クランクシャフト15が回転すると、返送ポンプ64及び供給ポンプ65は作動する。
供給ポンプ65は、潤滑油タンク61内の潤滑油を、エンジン本体10の各潤滑部に供給する。すなわち、油溜め部61gに溜まった潤滑油は、潤滑油供給経路(ストレーナ71→吸入管72→吸入油路24a→供給ポンプ65→吐出油路24b→フィルタ25→供給油路26の経路)を経て、エンジン本体10の各摺動部に供給される。
各摺動部を潤滑した後の潤滑油は、クランク室19から補集部11a…へ集まり、又は、動弁室18から油戻しチューブ27を介して戻し油路11cへ戻る。返送ポンプ64は、潤滑後の潤滑油を潤滑油タンク61に汲み上げる。すなわち、補集部11a…に集まった潤滑油は、潤滑油返送経路(誘導路11b→戻し油路11c→吸入油路61e→返送ポンプ64→吐出油路61fの経路)を経て、油溜め部61gに戻る(図3参照)。
【0037】
次に、ブリーザ系統の作用を説明する。
クランク室19には、図3に示すシリンダ12a…とピストン16…との間からブローバイガスが漏れ、また、潤滑油のオイルミストや蒸気(ベーパ)が発生する。これらのガス、ミスト、ベーパは第1・第2ブリーザ通路28,29A,29Bを通って動弁室18に入る。動弁室18には、さらに油溜め部61g内の潤滑油のベーパが第1ブリーザチューブ73を通って入る。
動弁室18内のガス、ミスト、ベーパ(以下、総称して「ガス」と言う。)は、第2連通口18cを通って第1ブリーザ室18aに入る。この中で、ガスは含有しているオイルミストの一部が分離される。第1ブリーザ室18aを出たガスは、第1ブリーザ室18aから第2ブリーザチューブ74を通って第2ブリーザ室61hに入る。この中で、ガスは含有しているオイルミストの残部が分離される。第2ブリーザ室61hを出たガスは、第3ブリーザチューブ75を介してエンジン吸気ライン84に還流し、再燃焼する。
【0038】
次に、エンジンユニット3が通常の姿勢のときと、姿勢が変化したときの、潤滑油の挙動について、図11及び図12に基づいて説明する。
図11は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの作用図(その1)であり、エンジンユニット3が通常の姿勢のときの潤滑系統及びブリーザ系統を示す。
エンジンユニット3が通常の姿勢のときには、返送ポンプ64で汲み上げられた潤滑油Oが潤滑油タンク61の油溜め部61gに溜まる。
【0039】
図12は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの作用図(その2)であり、エンジンユニット3の姿勢が変化した場合の潤滑系統及びブリーザ系統を示す。
エンジンユニット3の姿勢が変化した場合(図11に示す姿勢から上下反転した場合)に、油溜め部61g内の潤滑油は第1ブリーザチューブ73を通って、姿勢が変化した動弁室18の低部に流入する。
【0040】
ところで、返送ポンプ64及び供給ポンプ65は停止状態において、吸引口と吐出口との間を閉塞した状態になる。すなわち、返送・供給ポンプ64,65は、簡易的な弁の役割を果たすことになる。このため、姿勢が変化した油溜め部61g内は、真空状態に近くなる。この結果、動弁室18には所定量の潤滑油Oしか流入することがない。換言すれば、姿勢が変化した動弁室18と第1ブリーザチューブ73と油溜め部61g内とからなる経路は、いわゆる「トリチェリ(Torricelli)の真空」の原理が適用されることになり、所定量の潤滑油Oしか流れない。
【0041】
そして、エンジンユニット3の姿勢が図12のように変化した状態では、第2連通口18cが第1連通口18bよりも上位になる。また、エンジンユニット3の姿勢が変化したときに、動弁室18へ流入する潤滑油Oの最大レベルH1が、第2連通口18cのレベルH2よりも下位になるように、予め設定してある。このため、潤滑油Oが動弁室18から第2連通口18cへ流入して、エンジン吸気ライン84へ流れることはない。
【0042】
その後、エンジンユニット3が上記図11に示す通常の姿勢に復帰すると、動弁室18内の潤滑油Oは、第1ブリーザチューブ73を通って、油溜め部61gに戻る。従って、エンジンユニット3の姿勢が変化した場合であっても、ブリーザ経路内の潤滑油Oを十分に回収することができる。
なお、上記図11及び図12で説明したエンジンユニット3の姿勢の変化には、エンジンユニット3の上下反転の他に、エンジンユニット3の傾き作動も含む。
【0043】
図3に示す潤滑油タンク61は、エンジン本体10に対して着脱可能であり、エンジンユニット3の設置具合等に合せて自由に交換することができる。例えば、次の図13〜図15のようにエンジンユニット3のシリンダ軸線Lの向きを変えた変更例とすることもできる。
【0044】
図13は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の背面図であり、シリンダ軸線Lを図右上方向に傾斜したエンジン本体10を小型船1に搭載した姿を示す。
この場合には、上記図2のダイヤフラム型キャブレタ82及び吸気消音箱83からなる吸気系の代りに、電子制御燃料噴射装置を設置する。電子制御燃料噴射装置は、スロットルボディ91と、加速ポンプ92と、インジェクションバルブ93と、図示せぬ制御用コンピュータ等を備える。吸気管81を狭いエンジン室2aのスペースに合せて引回すことで、スロットルボディ91の位置を自由に設定できる。
【0045】
図14は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の潤滑油タンクを外した背面図であり、タンク取付けパッキン面22が図右上方向に傾斜した状態を示す。
このように、エンジンユニット3は、上記図2に示すシリンダ軸線Lを図左上方向に傾斜した場合と、図14に示すシリンダ軸線Lを図右上方向に傾斜した場合とで、エンジン本体10を共用できる。
なお、シリンダ軸線Lを図右上方向に傾斜したことで、上記図4に示す連通路28は斜め下向きになり、動弁室18からクランク室19内に潤滑油を戻すための油戻し通路の役割を果たす。このため、油戻しチューブ27が不要である。
【0046】
図15は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の潤滑油タンク用蓋を外した背面図であり、潤滑油タンク61を、膨出した部分をシリンダ軸線Lに対して左右反対としたものに交換した状態を示す。
このようにすれば、図15に示すシリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体を変える必要がないので、設計の自由度が大きい。
また、半割クランクケース11やシリンダブロック12を成形するための比較的大きな成形型に対し、潤滑油タンク61等の比較的小さな成形型側で対応できるので、型費用を安くできる。
【0047】
なお、上記本発明の実施の形態において、エンジンユニット3は気筒数を限定するものではなく、例えば、4気筒でもよい。
潤滑油タンク61は、少なくともシリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の側部に、且つ、クランクシャフト15と直交する面に取付けるものであればよい。例えば、組立体において、PTO軸17が突出する側部に動弁駆動機構40及びフライホイールユニット50を取付け、反対方向(上記図3の右側)の側部に潤滑ユニット60を取付ける。その場合には、潤滑油タンク61は小型船1の前方に向く。
動弁室18とクランク室19とを連通するブリーザ通路は、第1・第2ブリーザ通路28,29A,29B…のいずれか1つだけであってもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
エンジンユニットが通常の姿勢のときに、潤滑油はクランク室の外部に備えた潤滑油タンクに溜まる。
一方、エンジンユニットの姿勢が変化した場合に、潤滑油タンク内の潤滑油は第1ブリーザチューブを通って、姿勢が変化した動弁室の低部に流入する。しかし、供給ポンプ及び返送ポンプが停止したときに、姿勢が変化した潤滑油タンク内は真空状態に近くなる。このため、動弁室には所定量の潤滑油しか流入することがない。すなわち、姿勢が変化した動弁室と第1ブリーザチューブと潤滑油タンク内とからなる経路は、いわゆる「トリチェリ(Torricelli)の真空」の原理が適用されることになり、所定量の潤滑油しか流れない。そして、エンジンユニットの姿勢が変化した状態では、第2連通口が第1連通口よりも上位になるので、潤滑油がエンジン吸気ラインへ流れることはない。従って、エンジンユニットの姿勢が変化した場合であってもブリーザ経路内の潤滑油を十分に回収することができる。
【0049】
クランク室の側方に潤滑油タンクを備えたので、エンジンユニットの高さは小さくてすむ。しかも、ヘッドカバーの上端から突出しないレベルに第1ブリーザ室及び第2ブリーザ室を配置したので、エンジンユニットの高さは小さくてすむ。このため、エンジンユニットは小型になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットを搭載した小型船の側面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】本発明に係るエンジン本体の断面図
【図5】本発明に係る潤滑油タンク及び蓋の分解平面図
【図6】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑油タンクを外した背面図
【図7】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑油タンク用蓋を外した背面図
【図8】本発明に係る潤滑油タンクの断面図
【図9】本発明に係る第2ブリーザ室の平断面斜視図
【図10】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑系統及びブリーザ系統の概念図
【図11】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの作用図(その1)
【図12】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの作用図(その2)
【図13】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の背面図
【図14】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の潤滑油タンクを外した背面図
【図15】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の潤滑油タンク用蓋を外した背面図
【符号の説明】
1…小型船、3…ドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット、10…エンジン本体、11…半割クランクケース、12…シリンダブロック、13…シリンダヘッド、14…ヘッドカバー、18…動弁室、18a…第1ブリーザ室、18b…動弁室の第1連通口、18c…動弁室の第2連通口、19…クランク室、28…ブリーザ通路(第1ブリーザ通路)、29A,29B…ブリーザ通路(第2ブリーザ通路)、60…潤滑ユニット、61…潤滑油タンク、61h…第2ブリーザ室、63…蓋、64…返送ポンプ、65…供給ポンプ、73…第1ブリーザチューブ、74…第2ブリーザチューブ、75…第3ブリーザチューブ、81…吸気管、82…キャブレタ、83…吸気消音箱、84…エンジン吸気ライン、H1…動弁室へ流入する潤滑油の最大レベル、H2…第2連通口のレベル。
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンユニット、特に、姿勢変化してその後に元の姿勢に復帰し得るエンジンユニットのブリーザ構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
4サイクルエンジンユニットは、一般に、エンジン本体の各潤滑部に潤滑油を供給するための潤滑装置を備える。このような4サイクルエンジンユニットは、小型船等に搭載される船舶用エンジンとして、提案されている。船舶用エンジンは、排気による大気汚染を防止するために、エンジン本体に設けたブリーザ装置のブリーザ経路をエンジン吸気ラインに接続し、潤滑油のオイルミストやブローバイガスを燃焼するようにしている。
【0003】
ところで、船舶用エンジンは姿勢が変化した場合に、潤滑油がブリーザ経路を経てエンジン吸気ラインへ流入することを防止する必要があり、このような技術として、例えば、実公昭60−8109号公報「内燃機関の潤滑装置」がある。上記内燃機関の潤滑装置は、その公報の第1図及び第2図(a)によれば、機関7(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)の下部にオイルパン1を備え、このオイルパン1からメインギャラリ5へ潤滑油ポンプ3で潤滑油を供給するというものである。
【0004】
内燃機関のブリーザ系統は、その公報の第2図(a)によれば、機関7のブリーザ装置18→ブリーザパイプ19→ミストセパレータ6→連結管9の経路で、機関7内のオイルミストを吸気マニホールド8に流入させるというものである。しかも、上記内燃機関の潤滑装置は、その公報の第2図(a)〜(e)によれば、ミストセパレータ6の内部をミスト分離室10と貯油槽21とに概ね仕切ったものである。機関7の姿勢が変化すると、オイルパン1内の潤滑油は貯油槽21に流入する。機関7が元の姿勢に復帰すると、貯油槽21の潤滑油はオイルパン1に流入する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術では、第2図(a)に示すように、機関7が通常の姿勢のときに下部のオイルパン1に潤滑油を溜めるようにしたので、内燃機関の高さは比較的大きい。しかも、機関7の姿勢が変化した際に、貯油槽21に多くの潤滑油を回収するためには、貯油槽21を機関7よりも上位に配置する必要がある。このため、内燃機関の高さは大きい。このようなことから、内燃機関は全体が大型にならざるを得ない。小型船の機関室は狭いので、内燃機関は小型であることが要求される。
【0006】
そこで本発明の目的は、エンジンユニットの姿勢が変化した場合であっても、ブリーザ経路内の潤滑油を十分に回収することができ、しかも、エンジンユニットを小型にすることができる技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、クランク室の側方に備えた潤滑油タンクからエンジン本体の各潤滑部に供給ポンプで潤滑油を供給し、潤滑後の潤滑油をクランク室の底部に集め、集めた潤滑油を返送ポンプで潤滑油タンクに汲み上げる形式のドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットであって、下位のクランク室にブリーザ通路を介して上位の動弁室を連通し、この動弁室の下位に潤滑油タンクを配置し、この潤滑油タンクに第1ブリーザチューブを介して動弁室の第1連通口を連通し、この第1連通口の下位において動弁室に第2連通口を開け、この第2連通口にヘッドカバーの上端から突出しないレベルのオイルミスト分離用第1ブリーザ室を連通し、この第1ブリーザ室に第2ブリーザチューブを介して第1ブリーザ室より下位のオイルミスト分離用第2ブリーザ室を連通し、この第2ブリーザ室に第3ブリーザチューブを介してエンジン吸気ラインを連通したことを特徴とする。
【0008】
エンジンユニットが通常の姿勢のときに、潤滑油はクランク室の側方に備えた潤滑油タンクに溜まる。
一方、エンジンユニットの姿勢が変化した場合に、潤滑油タンク内の潤滑油は第1ブリーザチューブを通って、姿勢が変化した動弁室の低部に流入する。しかし、供給ポンプ及び返送ポンプが停止したときに、姿勢が変化した潤滑油タンク内は真空状態に近くなる。このため、動弁室には所定量の潤滑油しか流入することがない。すなわち、姿勢が変化した動弁室と第1ブリーザチューブと潤滑油タンク内とからなる経路は、いわゆる「トリチェリ(Torricelli)の真空」の原理が適用されることになり、所定量の潤滑油しか流れない。そして、エンジンユニットの姿勢が変化した状態では、第2連通口が第1連通口よりも上位になるので、潤滑油がエンジン吸気ラインへ流れることはない。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットを搭載した小型船の側面図であり、想像線にて示す小型船1はレジャー用等に使用するものであって、船体2のエンジン室2aにドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット3を搭載し、このエンジンユニット3でジェットポンプ4を駆動し、このジェットポンプ4で船体2の底部から吸い込んだ水を加圧し、ジェット水流として後方に吐出することで、前進するものである。
なお、2dはバルクヘッド、2eはシート、2fはデッキ、2gはステアリングバー、5は給水口、6は吐出ノズル、7は燃料タンクである。
【0010】
図2は図1の2−2線断面図であり、エンジン室2a(ロアハル2bとアッパハル2cとで形成)にドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット3を搭載した姿を示す。
ドライサンプ潤滑式は、半割クランクケースの外部に備えた潤滑油タンクからエンジンの各潤滑部に潤滑油を供給し、余分な潤滑油を半割クランクケースの底部に一時的に集め、集めた潤滑油を潤滑油ポンプで速やかに潤滑油タンクに汲み上げる潤滑方式である。
エンジンユニット3は、クランクシャフト15を小型船1の前後方向(図表裏方向)に延し、シリンダ軸線Lを図左上方向に傾斜し、前後左右の4つのマウント8…(…は複数を示す。以下同じ。)をロアハル2bの取付台2h…に取付けた横置型エンジンユニットである。9…はマウントラバーである。
【0011】
図3は図2の3−3線断面図であり、小型船1の後方(図左側)に向ってエンジン動力を取出すようにした、エンジンユニット3の断面構成を示す。
なお、この図において、吸入管72及び吸入油路24a廻り(符号A−Aで示す範囲)は、図2の3−3線からずれた位置にあるが、説明の便宜上他の部位と同一断面にて示す。
エンジンユニット3は、エンジン本体10と、このエンジン本体10の前部に取付けた動弁駆動機構40及びフライホイールユニット50と、エンジン本体10の後部に取付けた潤滑ユニット60とからなる横置型3気筒エンジンである。
【0012】
エンジン本体10は、半割クランクケース11と、前後方向に3つのシリンダ12a…を備えたシリンダブロック12と、シリンダヘッド13と、ヘッドカバー14と、横向きのクランクシャフト15と、このクランクシャフト15に連結し各シリンダ12a…に挿通したピストン16…と、クランクシャフト15の後端部に連結したPTO軸(動力取出し軸)17と、シリンダヘッド13とヘッドカバー14とで形成した動弁室18と、この動弁室18に収納した動弁機構30とを、主要構成とする。
【0013】
半割クランクケース11とシリンダブロック12とで形成した構造は、クランク室19をなす。このため、エンジン本体10は、下位部分にクランク室19を配置し、上位部分に動弁室18を配置したものである(クランク室19の上位に動弁室18がある。)。
ヘッドカバー14は内部の一部を仕切って、動弁室18の上部に第1ブリーザ室18aを形成したものである。第1ブリーザ室18aは、動弁室18を通って流入したガス中から、オイルミスト(潤滑油等のミスト)を分離する役割を果たす。
動弁室18は第2連通口18cを開け、この第2連通口18cに第1ブリーザ室18aを連通したものである。
なお、PTO軸17は潤滑ユニット60よりも後方(反エンジン側)に延び、図1に示すジェットポンプ4の駆動軸4aに連結するものである。17aはクランクシャフト15に連結する連結部、17bは動力取出し用連結部であり、これら連結部17a,17bは、めすねじ又はめすスプラインからなる。
【0014】
半割クランクケース11は底部に、各摺動部を潤滑して余った潤滑油(潤滑後の潤滑油)を捕集するための3つの捕集部11a…と、これらの捕集部11a…で捕集した潤滑油を誘導するための誘導路11bと、この誘導路11bから潤滑ユニット60へ潤滑油を戻すための戻し油路11cとを備える。
捕集部11a…は、溜まった潤滑油がクランクシャフト15のカウンタウェイト(ウェブ)に接触しない程度にクランクシャフト15に接近し、クランクシャフト15と下方の油面との間をバッフルプレート21…で仕切った、小容量の油溜めである。このため、半割クランクケース11は底部をクランクシャフト15に近づけることができるので、小型になる。その結果、小型船1(図2参照)にエンジンユニット2の搭載位置を設定する際に、エンジンユニット2の底部と船底との干渉による影響を少なくできる。そして、半割クランクケース11が小型であるにもかかわらず、クランクシャフト15は潤滑油に接触し難く、回転した際のフリクションロスが抑えられ、エアレーション(油の飛散)も防止される。
【0015】
動弁駆動機構40は、クランクシャフト15で動弁機構30のカムシャフト31をベルト駆動する機構であり、半割クランクケース11の前側部から突出するクランクシャフト15に固定した駆動プーリ41と、シリンダヘッド13の前側部から突出するカムシャフト31に固定した従動プーリ42と、これら駆動・従動プーリ41,42間に掛けたタイミングベルト43と、このタイミングベルト43の張力を調整するベルトテンショナ44とからなる。45はベルトカバーである。
【0016】
フライホイールユニット50は、クランクシャフト15の前端部にボルト止めしたフライホイール51と、このフライホイール51を収納するためにシリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の前側部にボルト止めしたホイールケース52と、このホイールケース52の開放端(前端部)を覆うためにボルト止めした平板状の蓋53とからなる。
すなわち、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の側部に、且つ、クランクシャフト15と直交する面に、フライホイールユニット50を取付けたものであり、このフライホイールユニット50は駆動プーリ41よりも前方(反シリンダブロック12側)にある。
【0017】
なお、54は発電機であり、フライホイール51の内周面に取付けたロータ54aと、ホイールケース52に取付けたコイル54bからなる。55はフライホイール51の外周面に取付けたリングギヤであり、後述するスターターモータに連結される。57は点検用キャップであり、クランク角度を確認するための孔を塞ぐものである。
【0018】
潤滑ユニット60は、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の後側部にボルト止めした潤滑油タンク61と、この潤滑油タンク61の開放端(後端部)を閉塞した蓋63と、半割クランクケース11の捕集部11aから潤滑油タンク61に潤滑油を戻す返送ポンプ64と、潤滑油タンク61からエンジン本体10の各摺動部に潤滑油を供給する供給ポンプ65と、管路等からなる。
返送ポンプ64は潤滑油タンク61に内蔵したポンプであり、供給ポンプ65は潤滑油タンク61から独立したポンプである。
【0019】
詳しくは、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の側部(クランク室19の側方)に、且つ、クランクシャフト15と直交する面に、タンク取付けパッキン面(フランジ)22を形成した。一方、潤滑油タンク61に、互いに平行な第1パッキン面(フランジ)61a及び第2パッキン面(フランジ)61bを形成した。第2パッキン面61bは第1パッキン面61aの後方(シリンダブロック12からPTO軸17側へ離反する方向)にある。
そして、タンク取付けパッキン面22に、パッキン23を介して第1パッキン面61aを合せて、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体に、潤滑油タンク61を取付け、第2パッキン面61bに、パッキン62を介して蓋63を合せて、ボルト止めしたものである。このような潤滑油タンク61は、組立体の側壁と蓋63とで密閉して、潤滑油を溜める密閉タンクであり、この密閉タンクは動弁室18の下位にある。
【0020】
返送ポンプ64は、潤滑油タンク61に一体に形成したケース部61cと、このケース部61cを閉塞した内部カバー64aと、ケース部61cに収納したインナロータ64b及びアウタロータ64cと、これらインナ・アウタロータ64b,64cを駆動するべくクランクシャフト15に駆動機構(駆動ギヤ64d及び従動ギヤ64eからなる。)を介して連結した軸64fとからなる、スカベンジングポンプである。駆動機構は、潤滑油タンク61と組立体との間の空間部66に収納したものである。
なお、空間部66は、動弁室18とクランク室19とを連通するためのブリーザ通路の一部を兼ねる。67はケース部61cに内部カバー64aを取付けるためのボルトである。
【0021】
供給ポンプ65は、シリンダヘッド13とヘッドカバー14とからなる組立体の側部にボルト止めしたケース本体65aと、このケース本体65aを閉塞したカバー65bと、ケース本体65aに収納したインナロータ65c及びアウタロータ65dと、これらインナ・アウタロータ65c,65dを駆動するべく動弁機構30のカムシャフト31に直結した軸65eとからなるポンプである。
なお、返送ポンプ64の軸及び供給ポンプ65の軸64f,65eは、クランクシャフト15及びカムシャフト31と平行に延びる。
シリンダブロック12とシリンダヘッド13とからなる組立体は、供給ポンプ65のための吸入油路24a及び吐出油路24b(図7参照)を備える。
なお、58,58はハンガである。
【0022】
図4は本発明に係るエンジン本体の断面図であり、シリンダ軸線Lを図左上方向に傾斜したエンジン本体10を示す。
動弁機構30は、カムシャフト31とロッカシャフト32,32とロッカアーム33,33と吸気バルブ34と排気バルブ35とからなる。
シリンダヘッド13は吸気通路13a及び排気通路13bを備え、吸気通路13aに吸気管81を介してフロートレスのダイヤフラム式キャブレタ82が連通し、排気通路13bにシリンダブロック12の排気通路12bが連通する。
【0023】
各バッフルプレート21…は、半割クランクケース11に固定し、クランクシャフト15の回転方向の下流側(図左側)に相当する範囲を仕切るものであり、本実施の形態では、半割クランクケース11の底部に、1箇所を回り止め用の係止突起11dと係止し、他の1箇所をボルト止めすることで、固定するものである。なお、必要な範囲全体を1つのバッフルプレートで仕切ってもよい。
26は供給油路であり、吐出油路24b(図7参照)及びフィルタ25を介して供給ポンプ65(図7参照)に接続し、エンジン本体10の各摺動部に潤滑油を供給する油路である。
27は動弁室18からクランク室19に潤滑油を戻す油戻しチューブであり、本実施の形態では、シリンダヘッド13のノズル13cと、半割クランクケース11の下半部にあるノズル11eとの間を接続することで、捕集部11aや誘導部11bに連通する。
動弁室18とクランク室19とは、第1ブリーザ通路28によって連通している。
11fは捕集部11aからドレンを抜き取るためのドレン孔、12c…は冷却水通路である。
【0024】
図5は本発明に係る潤滑油タンク及び蓋の分解平面図であり、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体に沿ってクランクシャフト15の軸線S方向(クランクシャフト15の延出方向)に潤滑油タンク61を膨出し、この膨出部61dにも潤滑油を溜めるようにしたことを示す。
潤滑油タンク61のうち、組立体に沿った膨出部61dにも潤滑油を溜めることができるので、同一容量の潤滑油タンク61であっても、前後寸法及び上下寸法を小さくでき、このため、エンジンユニット3を小型にできる。
図中、61rは潤滑油供給口用キャップ、68は半割クランクケース11及びシリンダブロック12に潤滑油タンク61を取付けるボルト、69は潤滑油タンク61に蓋63を取付けるボルトである。
【0025】
図6は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑油タンクを外した背面図であり、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体のタンク取付けパッキン面22が、開放されていることを示す。
動弁室18とクランク室19(図3参照)とは、第2ブリーザ通路29A,29B…によって連通している。具体的には、動弁室18と、第2ブリーザ通路29Aと、タンク取付けパッキン面22で囲まれた空間部(図3の空間部66に相当)と、複数の第2ブリーザ通路29B…と、クランク室19とは連通する。
56はスタータモータであり、図3に示すリングギヤ55を介してフライホイール51を回転することで、エンジンユニット3を始動するものである。
キャブレタ82に吸気消音箱83を接続することで、吸気管81とキャブレタ82と吸気消音箱83とでエンジン本体10の吸気ライン84(エンジン吸気ライン84)をなす。
83aは吸気口、85はマウント8に吸気消音箱83を取付けるボルトである。
【0026】
図7は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑油タンク用蓋を外した背面図であり、潤滑油タンク61の第2パッキン面61bが、開放されていることを示す。
潤滑油タンク61は、返送ポンプ64のための吸入油路61e及び吐出油路61fと、膨出部61d(図5参照)に連なり潤滑油を溜める油溜め部61gと、この油溜め部61gよりも上位の第2ブリーザ室61hと、エンジン排気口61iとを一体に形成したものである。
第2ブリーザ室61hは、図3に示す動弁室18及び第1ブリーザ室18aよりも下位にあり、第1ブリーザ室18aを通って流入したガス中から、オイルミスト(潤滑油等のミスト)を分離する役割を果たす。
【0027】
吸入油路61eと油溜め部61gとは、PTO軸17を跨ぐように左右に分れた位置にあり、返送ポンプ64及び供給ポンプ65は、シリンダ軸線Lを通る位置にあり、しかも、PTO軸17よりも上位に返送ポンプ64があり、この返送ポンプ64よりも上位に供給ポンプ65がある。
油溜め部61gは、供給ポンプ65のためのストレーナ71付き吸入管72を収納し、この吸入管72の上端は、供給ポンプ65用吸入油路24a(図3参照)に連通する。
【0028】
油溜め部61gは、上記図3に示す動弁室18よりも下位にある。そして、油溜め部61gは上部にガス口61qを開け、このガス口61qは第1ブリーザチューブ73を介して、動弁室18の第1連通口18bと連通する。
ところで、図4に示す第2連通口18cは、動弁室18に開けた孔であり、この孔は第1連通口18bよりも下位に開けた孔である。
エンジン排気口61iは、図6に示す排気通路12bと外部排気配管とを連通する排気口である。
図中、9aはマウント用ボルト、61m…は油溜め部61g内に上下方向に3段に設けた油飛散防止用バッフル壁、61nは図6に示す冷却水通路12cと外部冷却配管と連通する冷却水口である。
【0029】
図8は本発明に係る潤滑油タンクの断面図であり、潤滑油タンク61の膨出部61dが、シリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体に沿って膨出した形状を示す。
膨出部61dは、ストレーナ71の吸入口位置に対し、上方に配置されており、これにより、船体2(図2参照)の動きに伴うエンジンユニット3の傾斜に際しても、吸入口が油中にあるように配慮されている。
【0030】
第2ブリーザ室61hは、油戻しチューブ76を介してクランク室19と連通し、第2ブリーザ室61hで補集したオイルミストをクランク室19に戻すようにしている。具体的には、第2ブリーザ室61hは油戻しチューブ76と、壁部61sに開けた開口とを介してクランク室19と連通する。第2ブリーザ室61hはラビリンス構造であり、その詳細については図9にて説明する。
図中、12dはシリンダブロック12の壁部、61sは潤滑油タンク61の壁部、61tは膨出部61dの傾斜底部、71aはストレーナ71の支持ステーである。
【0031】
図9は本発明に係る第2ブリーザ室の平断面斜視図であり、潤滑油タンク61の3つの仕切壁61o…と蓋63の3つの仕切壁63a…とを突合せて第2ブリーザ室61hを3室に仕切り、更に、各仕切壁61o…,63a…に交互に小さな切欠き61p,63b…を設けることで、第2ブリーザ室61hをラビリンス構造としたことを示す。
【0032】
第2ブリーザ室61hは、ガス入口61j及びガス出口61kを開けたものである。
ガス入口61jは、第2ブリーザチューブ74を介して第1ブリーザ室18a(図4参照)と連通するものである。
ガス出口61kは、第3ブリーザチューブ75を介して、図6のエンジン吸気ライン84と連通する。具体的には、ガス出口61kは、第3ブリーザチューブ75を介して図6に示すキャブレレタ82の上流(吸気消音箱83とキャブレレタ82との間の図示せぬ連通管)に連通する。
【0033】
図10は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑系統及びブリーザ系統の概念図であり、エンジン本体10と潤滑ユニット60との間の潤滑系統、及び、エンジン本体10回りのブリーザ系統を概念的に示した。
潤滑系統とは、主に、潤滑油タンク61からエンジン本体10の各潤滑部に供給ポンプ65で潤滑油を供給し、潤滑後の潤滑油をクランク室19の底部に集め、集めた潤滑油を返送ポンプ64で潤滑油タンク61に汲み上げる系統のことである。
【0034】
ブリーザ系統とは、クランク室19内のブローバイガス等のガスからオイルミスト(潤滑油ミスト)を分離するとともに、ガスをエンジン吸気ライン84に還流する系統のことである。
ブリーザ系統については、上記図2〜図9において説明しているが、以下に整理して要約する。
ブリーザ系統は、下位のクランク室19にブリーザ通路(第1・第2ブリーザ通路28,29A,29B)を介して上位の動弁室18を連通し、この動弁室18の下位に潤滑油タンク61を配置し、この潤滑油タンク61に第1ブリーザチューブ73を介して動弁室18の第1連通口18bを連通し、この第1連通口18bの下位において動弁室18に第2連通口18cを開け、この第2連通口18cにヘッドカバー14(図3参照)の上端から突出しないレベルの第1ブリーザ室18aを連通し、この第1ブリーザ室18aに第2ブリーザチューブ74を介して第1ブリーザ室18aより下位の第2ブリーザ室61hを連通し、この第2ブリーザ室61hに第3ブリーザチューブ75を介してエンジン吸気ライン84を連通した系統である。
【0035】
潤滑油タンク61を、クランク室19の側方に備えたので、クランク室19の上又は下に備えた場合に比べて、エンジンユニット3の高さは小さい。しかも、第1・第2ブリーザ室18a,61hを、クランクケース11の下端とヘッドカバー14の上端との間に配置したので、エンジンユニット3の高さは小さい。このため、エンジンユニット3は小型である。
【0036】
次に上記構成のエンジンユニット3の作用を、図10に基づき説明する。
先ず、潤滑系統の作用を説明する。
クランクシャフト15が回転すると、返送ポンプ64及び供給ポンプ65は作動する。
供給ポンプ65は、潤滑油タンク61内の潤滑油を、エンジン本体10の各潤滑部に供給する。すなわち、油溜め部61gに溜まった潤滑油は、潤滑油供給経路(ストレーナ71→吸入管72→吸入油路24a→供給ポンプ65→吐出油路24b→フィルタ25→供給油路26の経路)を経て、エンジン本体10の各摺動部に供給される。
各摺動部を潤滑した後の潤滑油は、クランク室19から補集部11a…へ集まり、又は、動弁室18から油戻しチューブ27を介して戻し油路11cへ戻る。返送ポンプ64は、潤滑後の潤滑油を潤滑油タンク61に汲み上げる。すなわち、補集部11a…に集まった潤滑油は、潤滑油返送経路(誘導路11b→戻し油路11c→吸入油路61e→返送ポンプ64→吐出油路61fの経路)を経て、油溜め部61gに戻る(図3参照)。
【0037】
次に、ブリーザ系統の作用を説明する。
クランク室19には、図3に示すシリンダ12a…とピストン16…との間からブローバイガスが漏れ、また、潤滑油のオイルミストや蒸気(ベーパ)が発生する。これらのガス、ミスト、ベーパは第1・第2ブリーザ通路28,29A,29Bを通って動弁室18に入る。動弁室18には、さらに油溜め部61g内の潤滑油のベーパが第1ブリーザチューブ73を通って入る。
動弁室18内のガス、ミスト、ベーパ(以下、総称して「ガス」と言う。)は、第2連通口18cを通って第1ブリーザ室18aに入る。この中で、ガスは含有しているオイルミストの一部が分離される。第1ブリーザ室18aを出たガスは、第1ブリーザ室18aから第2ブリーザチューブ74を通って第2ブリーザ室61hに入る。この中で、ガスは含有しているオイルミストの残部が分離される。第2ブリーザ室61hを出たガスは、第3ブリーザチューブ75を介してエンジン吸気ライン84に還流し、再燃焼する。
【0038】
次に、エンジンユニット3が通常の姿勢のときと、姿勢が変化したときの、潤滑油の挙動について、図11及び図12に基づいて説明する。
図11は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの作用図(その1)であり、エンジンユニット3が通常の姿勢のときの潤滑系統及びブリーザ系統を示す。
エンジンユニット3が通常の姿勢のときには、返送ポンプ64で汲み上げられた潤滑油Oが潤滑油タンク61の油溜め部61gに溜まる。
【0039】
図12は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの作用図(その2)であり、エンジンユニット3の姿勢が変化した場合の潤滑系統及びブリーザ系統を示す。
エンジンユニット3の姿勢が変化した場合(図11に示す姿勢から上下反転した場合)に、油溜め部61g内の潤滑油は第1ブリーザチューブ73を通って、姿勢が変化した動弁室18の低部に流入する。
【0040】
ところで、返送ポンプ64及び供給ポンプ65は停止状態において、吸引口と吐出口との間を閉塞した状態になる。すなわち、返送・供給ポンプ64,65は、簡易的な弁の役割を果たすことになる。このため、姿勢が変化した油溜め部61g内は、真空状態に近くなる。この結果、動弁室18には所定量の潤滑油Oしか流入することがない。換言すれば、姿勢が変化した動弁室18と第1ブリーザチューブ73と油溜め部61g内とからなる経路は、いわゆる「トリチェリ(Torricelli)の真空」の原理が適用されることになり、所定量の潤滑油Oしか流れない。
【0041】
そして、エンジンユニット3の姿勢が図12のように変化した状態では、第2連通口18cが第1連通口18bよりも上位になる。また、エンジンユニット3の姿勢が変化したときに、動弁室18へ流入する潤滑油Oの最大レベルH1が、第2連通口18cのレベルH2よりも下位になるように、予め設定してある。このため、潤滑油Oが動弁室18から第2連通口18cへ流入して、エンジン吸気ライン84へ流れることはない。
【0042】
その後、エンジンユニット3が上記図11に示す通常の姿勢に復帰すると、動弁室18内の潤滑油Oは、第1ブリーザチューブ73を通って、油溜め部61gに戻る。従って、エンジンユニット3の姿勢が変化した場合であっても、ブリーザ経路内の潤滑油Oを十分に回収することができる。
なお、上記図11及び図12で説明したエンジンユニット3の姿勢の変化には、エンジンユニット3の上下反転の他に、エンジンユニット3の傾き作動も含む。
【0043】
図3に示す潤滑油タンク61は、エンジン本体10に対して着脱可能であり、エンジンユニット3の設置具合等に合せて自由に交換することができる。例えば、次の図13〜図15のようにエンジンユニット3のシリンダ軸線Lの向きを変えた変更例とすることもできる。
【0044】
図13は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の背面図であり、シリンダ軸線Lを図右上方向に傾斜したエンジン本体10を小型船1に搭載した姿を示す。
この場合には、上記図2のダイヤフラム型キャブレタ82及び吸気消音箱83からなる吸気系の代りに、電子制御燃料噴射装置を設置する。電子制御燃料噴射装置は、スロットルボディ91と、加速ポンプ92と、インジェクションバルブ93と、図示せぬ制御用コンピュータ等を備える。吸気管81を狭いエンジン室2aのスペースに合せて引回すことで、スロットルボディ91の位置を自由に設定できる。
【0045】
図14は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の潤滑油タンクを外した背面図であり、タンク取付けパッキン面22が図右上方向に傾斜した状態を示す。
このように、エンジンユニット3は、上記図2に示すシリンダ軸線Lを図左上方向に傾斜した場合と、図14に示すシリンダ軸線Lを図右上方向に傾斜した場合とで、エンジン本体10を共用できる。
なお、シリンダ軸線Lを図右上方向に傾斜したことで、上記図4に示す連通路28は斜め下向きになり、動弁室18からクランク室19内に潤滑油を戻すための油戻し通路の役割を果たす。このため、油戻しチューブ27が不要である。
【0046】
図15は本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の潤滑油タンク用蓋を外した背面図であり、潤滑油タンク61を、膨出した部分をシリンダ軸線Lに対して左右反対としたものに交換した状態を示す。
このようにすれば、図15に示すシリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体を変える必要がないので、設計の自由度が大きい。
また、半割クランクケース11やシリンダブロック12を成形するための比較的大きな成形型に対し、潤滑油タンク61等の比較的小さな成形型側で対応できるので、型費用を安くできる。
【0047】
なお、上記本発明の実施の形態において、エンジンユニット3は気筒数を限定するものではなく、例えば、4気筒でもよい。
潤滑油タンク61は、少なくともシリンダブロック12と半割クランクケース11とからなる組立体の側部に、且つ、クランクシャフト15と直交する面に取付けるものであればよい。例えば、組立体において、PTO軸17が突出する側部に動弁駆動機構40及びフライホイールユニット50を取付け、反対方向(上記図3の右側)の側部に潤滑ユニット60を取付ける。その場合には、潤滑油タンク61は小型船1の前方に向く。
動弁室18とクランク室19とを連通するブリーザ通路は、第1・第2ブリーザ通路28,29A,29B…のいずれか1つだけであってもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
エンジンユニットが通常の姿勢のときに、潤滑油はクランク室の外部に備えた潤滑油タンクに溜まる。
一方、エンジンユニットの姿勢が変化した場合に、潤滑油タンク内の潤滑油は第1ブリーザチューブを通って、姿勢が変化した動弁室の低部に流入する。しかし、供給ポンプ及び返送ポンプが停止したときに、姿勢が変化した潤滑油タンク内は真空状態に近くなる。このため、動弁室には所定量の潤滑油しか流入することがない。すなわち、姿勢が変化した動弁室と第1ブリーザチューブと潤滑油タンク内とからなる経路は、いわゆる「トリチェリ(Torricelli)の真空」の原理が適用されることになり、所定量の潤滑油しか流れない。そして、エンジンユニットの姿勢が変化した状態では、第2連通口が第1連通口よりも上位になるので、潤滑油がエンジン吸気ラインへ流れることはない。従って、エンジンユニットの姿勢が変化した場合であってもブリーザ経路内の潤滑油を十分に回収することができる。
【0049】
クランク室の側方に潤滑油タンクを備えたので、エンジンユニットの高さは小さくてすむ。しかも、ヘッドカバーの上端から突出しないレベルに第1ブリーザ室及び第2ブリーザ室を配置したので、エンジンユニットの高さは小さくてすむ。このため、エンジンユニットは小型になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットを搭載した小型船の側面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】本発明に係るエンジン本体の断面図
【図5】本発明に係る潤滑油タンク及び蓋の分解平面図
【図6】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑油タンクを外した背面図
【図7】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑油タンク用蓋を外した背面図
【図8】本発明に係る潤滑油タンクの断面図
【図9】本発明に係る第2ブリーザ室の平断面斜視図
【図10】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの潤滑系統及びブリーザ系統の概念図
【図11】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの作用図(その1)
【図12】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットの作用図(その2)
【図13】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の背面図
【図14】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の潤滑油タンクを外した背面図
【図15】本発明に係るドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット(変形例)の潤滑油タンク用蓋を外した背面図
【符号の説明】
1…小型船、3…ドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニット、10…エンジン本体、11…半割クランクケース、12…シリンダブロック、13…シリンダヘッド、14…ヘッドカバー、18…動弁室、18a…第1ブリーザ室、18b…動弁室の第1連通口、18c…動弁室の第2連通口、19…クランク室、28…ブリーザ通路(第1ブリーザ通路)、29A,29B…ブリーザ通路(第2ブリーザ通路)、60…潤滑ユニット、61…潤滑油タンク、61h…第2ブリーザ室、63…蓋、64…返送ポンプ、65…供給ポンプ、73…第1ブリーザチューブ、74…第2ブリーザチューブ、75…第3ブリーザチューブ、81…吸気管、82…キャブレタ、83…吸気消音箱、84…エンジン吸気ライン、H1…動弁室へ流入する潤滑油の最大レベル、H2…第2連通口のレベル。
Claims (1)
- クランク室の側方に備えた潤滑油タンクからエンジン本体の各潤滑部に供給ポンプで潤滑油を供給し、潤滑後の潤滑油をクランク室の底部に集め、集めた潤滑油を返送ポンプで潤滑油タンクに汲み上げる形式のドライサンプ潤滑式4サイクルエンジンユニットであって、下位のクランク室にブリーザ通路を介して上位の動弁室を連通し、この動弁室の下位に潤滑油タンクを配置し、この潤滑油タンクに第1ブリーザチューブを介して動弁室の第1連通口を連通し、この第1連通口の下位において動弁室に第2連通口を開け、この第2連通口にヘッドカバーの上端から突出しないレベルのオイルミスト分離用第1ブリーザ室を連通し、この第1ブリーザ室に第2ブリーザチューブを介して第1ブリーザ室より下位のオイルミスト分離用第2ブリーザ室を連通し、この第2ブリーザ室に第3ブリーザチューブを介してエンジン吸気ラインを連通したことを特徴とするエンジンユニットのブリーザ構造。
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