JP2005309359A - ホログラム記録材料、ホログラム記録方法、光記録媒体、3次元ディスプレイホログラムおよびホログラフィック光学素子。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも1種の消色性色素を有し、該消色性色素がホログラム露光により消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成するホログラム記録方法。
【選択図】 なし
Description
一方、互いにホログラム記録材料の反対側から入射させて形成したホログラムを、一般に反射型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に平行または平行に近い形で1mmに3000〜7000本程度の間隔で形成される。
透過型ホログラムは、例えば特開平6−43634号[特許文献1]などで開示されているような公知の方法によって作成できる。また、反射型ホログラムは、例えば特開平2−3082号[特許文献2]、特開平3−50588号[特許文献3]などに開示された公知の方法によって作成できる。
それに対し膜厚が干渉縞間隔の5倍以下程度または1μm以下程度のホログラムを平面型または表面型という。
特に反射型の体積位相型ホログラムはリップマン型ホログラムとも呼ばれ、ブラック回折による波長選択的反射により、高回折効率にてフルカラー化、白色再生、高解像度化が可能となり、高解像フルカラー3次元ディスプレイの提供が可能となる。
また最近ではその波長選択的反射を生かして、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板等に代表されるホログラム光学素子(HOE)に広く実用化されてきている。
他にも例えば、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス等に実用または応用が検討されている。
さらにコンピューター高容量化等の流れの中で、コンピューターバックアップ用途や放送バックアップ用途等の業務用途においても、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる超高密度記録媒体が求められている。
そのような中、ランダムアクセスが不可能な磁気テープ媒体や可換不可能で故障しやすいハードディスクに対し、可換かつランダムアクセス可能で小型、安価な光記録媒体がより注目されてきている。しかしながら、DVD−Rのような既存の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい片面25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
(1)高感度であること
(2)高解像力を有すること
(3)ホログラムの回折効率が高いこと
(4)記録時の処理が乾式であり迅速であること
(5)多重記録が可能であること(ダイナミックレンジが広いこと)
(6)記録後の収縮率が小さいこと
(7)ホログラムの保存性が良いこと
具体的には例えば、重クロム酸ゼラチン方式は高い回折効率と低ノイズ特性という長所を有するが、保存性が極めて悪く、湿式処理が必要で低感度という問題を有し、ホログラフィックメモリ用途には適さない。
漂白ハロゲン化銀方式は高感度という長所を有するが、湿式処理が必要でかつ漂白処理が煩雑であり、また、散乱が大きい、耐光性に劣るという問題点を有し、ホログラフィックメモリ用途にはやはり一般的に適さない。
フォトリフラクティブ材料は書き換え可能という長所を有するが、記録時に高電場印加が必要、記録保存性が悪いという問題点を有する。
アゾベンゼン高分子材料等に代表されるフォトクロミック高分子方式も書き換え可能という長所を有するが、感度が極めて低く記録保存性も悪いという問題点を有する。例えば、WO9744365A1号[特許文献4]には、アゾベンゼン高分子(フォトクロミック高分子)の屈折率異方性と配向制御を用いた書き換え可能なホログラム記録材料が提示されているが、アゾベンゼン異性化の量子収率が低い上に配向変化を伴う方式であるがために感度が極めて低く、また書き換え可能であることとの相反で記録保存性も悪いという問題点を有し、実用には程遠い。
しかしながら、漂白ハロゲン化銀方式に比べると感度が1000分の1程度であること、回折効率を高めるためには2時間近い加熱定着処理を必要とすること、ラジカル重合であるため、酸素による重合阻害の影響を受け、また露光、定着後記録材料の収縮を伴い、再生時の回折波長及び角度が変化してしまう問題点があること、膜が柔らかいため保存性の点でも不足していること等からホログラフィックメモリ用途としては到底使用に耐えるものではない。
例えば、特開平5−107999号[特許文献5]、特開平8−16078号[特許文献6]等に、カチオン重合性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をバインダーの代わりに用い、さらに増感色素、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル重合性化合物を組み合わせたホログラム記録材料が開示されている。
また、特表2001―523842号[特許文献7]、特表11−512847号[特許文献8]等に、ラジカル重合を用いずに、増感色素、カチオン重合開始剤、カチオン重合性化合物及びバインダーのみを用いたホログラム記録材料が開示されている。
しかしこれらのカチオン重合方式はラジカル重合方式に比べて、収縮率の改善が見られるものの、その相反として、感度が低下しており、実用の際には転送速度の点で大きな問題となると考えられる。また回折効率も低下しており、S/N比や多重記録の点で問題となると考えられる。
そこで、ホログラム記録材料をホログラフィックメモリへ応用するためには、そのような課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と低収縮性、良保存性、乾式処理、多重記録特性を両立できる全く新しい記録方式の開発が強く望まれていた。
「ホログラフィックディスプレイ」、辻内順平編、産業図書
(2)(1)にて、該消色性色素がホログラム露光波長に吸収を有する増感色素であり、ホログラム露光の際光を吸収し、その結果自身を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする(1)記載のホログラム記録方法。
(3)(1)にて、少なくともホログラム露光波長に吸収を有する増感色素及びホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素を有し、ホログラム露光の際増感色素が光を吸収し、その励起エネルギーを用いた電子移動またはエネルギー移動により消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする(1)記載のホログラム記録方法。
(4)(3)にて、消色性色素のホログラム再生光波長におけるモル吸光係数が100以下であることを特徴とする(3)記載のホログラム記録方法。
(5)(1)〜(4)にて、消色性色素がシアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、金属錯体色素のいずれかであることを特徴とする(1)〜(4)記載のホログラム記録方法。
(6)(1)〜(5)にて、消色性色素がシアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、キサンテン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、金属錯体色素のいずれかであることを特徴とする(5)記載のホログラム記録方法。
(7)(1)〜(5)にて、消色性色素が解離型アリーリデン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型アゾ色素の解離体であることを特徴とする(5)記載のホログラム記録方法。
(8)(2)〜(7)にて、増感色素のホログラム露光波長におけるモル吸光係数が1以上5000以下であることを特徴とする(2)〜(7)記載のホログラム記録方法。
(9)(8)にて、増感色素のホログラム露光波長におけるモル吸光係数が5以上2000以下であることを特徴とする(8)記載のホログラム記録方法。
(10)(2)〜(9)にて、増感色素がシアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アントラキノン色素、金属錯体色素、メタロセン色素のいずれかであることを特徴とする(2)〜(9)記載のホログラム記録方法。
(11)(10)にて、増感色素がシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、金属錯体色素、メタロセン色素であることを特徴とする(10)記載のホログラム記録方法。
(12)(11)にて、金属錯体色素がRu錯体色素であることを特徴とする(11)記載のホログラム記録方法。
(13)(11)にて、メタロセン色素がフェロセン誘導体であることを特徴とする(11)記載のホログラム記録方法。
(14)(1)〜(13)にて、消色性色素、増感色素とは別の消色剤前駆体を有し、増感色素または消色性色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、該消色剤が消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする(1)〜(13)記載のホログラム記録方法。
(15)(14)にて、消色剤がラジカル、酸、塩基、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであることを特徴とする(14)記載のホログラム記録方法。
(16)(14)または(15)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることを特徴とする(14)または(15)記載のホログラム記録方法。
(17)(16)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤のいずれかであることを特徴とする(16)記載のホログラム記録方法。
(18)(14)〜(17)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤または酸発生剤、あるいはその両方の機能を有するものであり、1)ケトン系ラジカル発生剤、2)有機過酸化物系ラジカル発生剤、3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤、4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤、5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤、9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、11)カチオン性色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、12)アニオン性色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤、13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤、14)スルホン酸エステル系酸発生剤、のいずれかであることを特徴とする(14)〜(17)のいずれかに記載のホログラム記録方法。なお、11)、12)においては、増感色素または消色性色素としての機能も兼ねる。
(19)(18)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤であり、1)ケトン系ラジカル発生剤、2)有機過酸化物系ラジカル発生剤、3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤、4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル発生剤、5)ジアゾニウム塩系ラジカル発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル発生剤、7)スルホニウム塩系ラジカル発生剤、8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤、9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、11)カチオン性色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、12)アニオン性色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤、13)金属アレーン錯体系ラジカル発生剤のいずれかであることを特徴とする(18)記載のホログラム記録方法。なお、11)、12)においては、増感色素または消色性色素としての機能も兼ねる。
(20)(18)にて、消色剤前駆体が酸発生剤であり、4)トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤、5)ジアゾニウム塩系酸発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤、7)スルホニウム塩系酸発生剤、13)金属アレーン錯体系酸発生剤、14)スルホン酸エステル系酸発生剤、のいずれかであることを特徴とする(18)記載のホログラム記録方法。
(21)(18)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤、酸発生剤両方の機能を有するものであり、4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤、5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤、のいずれかであることを特徴とする(18)記載のホログラム記録方法。
(22)(14)〜(21)にて、消色剤前駆体が酸発生剤であり、消色性色素が解離型色素解離体であることを特徴とする(14)〜(21)記載のホログラム記録方法。
(23)(14)〜(17)にて、消色剤前駆体が塩基発生剤であり、下記一般式(1−1)〜(1−4)で表されることを特徴とする(14)〜(17)記載のホログラム記録方法。
(24)一般式(1−1)、(1−2)にて、n1が1であることを特徴とする(23)記載のホログラム記録方法。
(25)一般式(1−1)にて、R3が2位または2,6位に置換したニトロ基、あるいは3、5位に置換したアルコキシ基のいずれかであることを特徴とする(23)または(24)記載のホログラム記録方法。
(26)一般式(1−2)にて、R6が3、5位に置換したアルコキシ基であることを特徴とする(23)(24)記載のホログラム記録方法。
(27)光塩基発生剤が一般式(1−1)または(1−3)で表されることを特徴とする(23)〜(25)記載のホログラム記録方法。
(28)光塩基発生剤が一般式(1−1)で表されることを特徴とする(27)記載のホログラム記録方法。
(29)(14)、(23)〜(28)にて、消色剤前駆体が塩基発生剤であり、消色性色素がトリフェニルメタン色素、キサンテン色素、フルオラン色素等酸発色色素発色体であることを特徴とする(14)、(23)〜(28)記載のホログラム記録方法。
(30)(3)〜(29)にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、その励起エネルギーを用いてホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下(好ましくは100以下、最も好ましくは0)の消色性色素を消色し、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする(3)〜(29)記載のホログラム記録方法。
(31)(30)にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、(14)〜(29)記載の消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、エネルギー移動または電子移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする(30)記載のホログラム記録方法。
(32)(30)、(31)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が5000以下である領域の波長の光であることを特徴とする(30)または(31)記載のホログラム記録方法。
(33)(32)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が1000以下(好ましくは500以下)である領域の波長の光であることを特徴とする(32)記載のホログラム記録方法。
(34)(32)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が500以下である領域の波長の光であることを特徴とする(32)記載のホログラム記録方法。
(35)(30)、(31)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ消色性色素のモル吸光係数が1000以上である領域の波長の光であることを特徴とする(30)〜(34)記載のホログラム記録方法。
(36)(30)、(31)にて、消色性色素はホログラム再生光波長とホログラム再生光波長から200nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有することを特徴とする(30)〜(35)記載のホログラム記録方法。
(37)(3)、(30)、(31)にて、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を分解して定着することを特徴とする(3)〜(36)記載のホログラム記録方法。
(38)(30)、(31)にて、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより残存する消色性色素を分解して定着することを特徴とする(30)〜(36)記載のホログラム記録方法。
(39)(1)〜(38)のいずれかに記載のホログラム記録方法に用いられることを特徴とするホログラム記録材料。
(40)(39)記載のホログラム記録方法に用いられるホログラム記録材料が、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接または消色剤前駆体に電子移動またはエネルギー移動する結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、
を含むことを特徴とする(39)記載のホログラム記録材料。
(41)(40)にて、重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、光重合により干渉明部と干渉暗部にて重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調による干渉縞記録が可能であることを特徴とする(40)記載のホログラム記録材料。
(42)(40)または(41)にて、重合性化合物またはバインダーのどちらか一方が、少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、どちらか一方は含まないことを特徴とする(40)または(41)記載のホログラム記録材料。
(43)(40)〜(42)にて、重合性化合物の少なくとも1個が沸点100℃以上の液体であることを特徴とする(40)〜(42)記載のホログラム記録材料。
(44)(30)〜(43)にて、重合開始剤が少なくとも1種のラジカル発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種のラジカルにより重合するラジカル重合性化を含むことを特徴とする(30)〜(43)記載のホログラム記録材料。
(45)(44)にて、少なくとも1種のラジカルを発生するラジカル発生剤がケトン、有機過酸化物、ビスイミダゾール、トリハロメチル置換トリアジン、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、トリフェニルアルキルホウ酸塩、ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体、スルホニウム有機ホウ素錯体、カチオン性増感色素有機ホウ素錯体、アニオン性色素オニウム塩錯体、金属アレーン錯体、のいずれかであることを特徴とする(44)記載のホログラム記録材料。
(46)(30)〜(43)にて、重合開始剤が少なくとも1種の酸発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種の酸により重合するカチオン重合性化合物を含むことを特徴とする(30)〜(43)記載のホログラム記録材料。
(47)(46)にて、少なくとも1種の酸を発生する酸発生剤が、トリハロメチル置換トリアジン、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、金属アレーン錯体、スルホン酸エステルのいずれかであることを特徴とする(46)記載のホログラム記録材料。
(48)(47)にて、酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、またはスルホン酸エステルであることを特徴とする(47)記載のホログラム記録材料。
(49)(30)〜(43)にて、重合開始剤が少なくとも1種の塩基発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種の塩基により重合するアニオン重合性化合物を含むことを特徴とする(30)〜(43)記載のホログラム記録材料。
(50)(49)にて、少なくとも1種の塩基発生剤が一般式(1−1)〜(1−4)で表されることを特徴とする(49)記載のホログラム記録材料。
(51)(31)〜(50)にて、消色剤前駆体と重合開始剤が一部または全部同じで両方の機能を兼ねることを特徴とする(31)〜(50)記載のホログラム記録材料。
(52)(3)〜(51)記載のホログラム記録材料が増感色素または消色性色素のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物もしくは増感色素または消色性色素のラジカルアニオンを酸化する能力を有する電子受容性化合物を含むことを特徴とする(3)〜(50)記載のホログラム記録材料。
(53)(52)にて、ホログラム記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(52)記載のホログラム記録材料。
(54)(53)にて、ホログラム記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がトリフェニルアミン類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類のいずれかであることを特徴とする(53)記載のホログラム記録材料。
(55)(53)にて、ホログラム記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする(53)記載のホログラム記録材料。
(56)(52)にて、ホログラム記録材料が電子受容性化合物を含み、電子受容性化合物がジニトロベンゼン、ジシアノベンゼン等、電子求引性基が導入された芳香族化合物、ヘテロ環化合物または電子求引性基が導入されたヘテロ環化合物、N−アルキルピリジニウム塩類、ベンゾキノン類、イミド類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(52)記載のホログラム記録材料。
(57)(1)〜(38)記載のホログラム記録方法または(39)〜(56)記載のホログラム記録材料を用いて体積位相型ホログラム記録を行うことを特徴とする体積位相型ホログラム記録方法及びそのような体積位相型記録が可能である体積位相型ホログラム記録材料。
(58)(39)〜(56)記載のホログラム記録材料を用いてホログラム記録を行う際、ホログラム露光した後に、または第2の工程にて、あるいは第2の工程後に加熱処理を行うことを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料。
(59)(39)〜(57)記載のホログラム記録材料を用いて、10回以上の多重ホログラム記録を行うことを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料。
(60)(1)〜(59)にて、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料。
(61)(1)〜(60)にて、ホログラム露光後湿式処理を行わないことを特徴とする記載のホログラム記録方法及びそのような処理が可能であるホログラム記録材料。
(62)(1)〜(61)にて、ホログラム記録が書き換えできない方式であることを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料。
(63)(39)〜(62)記載のホログラム記録材料が、記録光及び再生光以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターをホログラム記録材料の表面、裏面またはその両面に備え付けていることを特徴とする(39)〜(62)記載のホログラム記録材料。
(64)(39)〜(63)記載のホログラム記録材料を用いる光記録媒体及び(39)〜(63)記載のホログラム記録再生方法を用いる光記録媒体への記録再生方法。
(65)(39)〜(64)記載のホログラム記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
(66)(39)〜(64)記載のホログラム記録材料を用いる3次元ディスプレイホログラム及び(39)〜(64)記載のホログラム記録方法を用いる3次元ディスプレイホログラムの製造方法。
(67)(39)〜(63)記載のホログラム記録材料を用いるホログラフィック光学素子及び(1)〜(38)、(57)〜(62)記載のホログラム記録方法を用いるホログラフィック光学素子の製造方法。
本発明のホログラム記録方法は、少なくとも1種の消色性色素を有し、該消色性色素がホログラム露光により消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法である。
本発明にて消色性色素とは、200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光の領域に吸収を有し、光照射により直接または間接的にλmaxが短波長化、吸収のモル吸光係数の減少のいずれかを起こすような色素の総称を示し、さらに好ましくはその両方を起こすような色素である。消色反応は200〜1000nmの波長領域で起こることがより好ましく、300〜900nmの波長領域で起こることがさらに好ましい。
よって、ホログラム露光により消色性色素を消色させることにより、干渉明部と干渉暗部にて消色の度合いを異ならせることによる大きな屈折率差変調が可能となり、結果干渉縞として記録することが可能となる。
(A)該消色性色素がホログラム露光波長に吸収を有する増感色素であり、ホログラム露光の際光を吸収し、その結果自身を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。ホログラム記録材料は少なくとも消色性色素兼増感色素を有する。
(B)少なくともホログラム露光波長に吸収を有する増感色素とホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下、好ましくは100以下の消色性色素を有し、ホログラム露光の際増感色素が光を吸収し、その励起エネルギーを用いた電子移動またはエネルギー移動により消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。ホログラム記録材料は少なくとも増感色素と消色性色素を有する。
ここで、消色剤としてはがラジカル、酸、塩基、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであるが好ましく、ラジカル、酸、塩基のいずれかであることがより好ましい。また、消色剤前駆体としてはラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることが好ましく、ラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤のいずれかであることがより好ましい。なお、消色剤前駆体については後ほど詳しく説明する。
本発明のホログラム記録材料は、書き換えできない方式であることが好ましい。なおここで、書き換えできない方式とは、不可逆反応により記録される方式であり、一度記録されたデータは、さらに上書き記録して書き換えしようとしても書き換えされることなく保存できる方式を示す。したがって重要でかつ長期保存が必要なデータの保存に適する。ただし無論、まだ記録されていない領域に新たに追記して記録していくことは可能である。そのような意味で、一般には「追記型」または「ライトワンス型」と呼ばれる。
さらに、本発明の化学作用放射線としては、コヒーレントな(位相及び波長のそろった)レーザー光が好ましい。用いられるレーザーとしては、固体レーザー、半導体レーザー、気体レーザー、液体レーザーのいずれでも良いが、好ましいレーザー光としては例えば、532nmのYAGレーザー2倍波、355nmのYAGレーザー3倍波、405〜415nm付近のGaNレーザー、488または515nmのArイオンレーザー、632または633nmのHe−Neレーザー、647nmのKrイオンレーザー、694nmのルビーレーザーや636、634、538、534、442nmのHe−Cdレーザーなどが挙げられる。
また、ナノ秒やピコ秒オーダーのパルスレーザーを用いることも好ましい。
本発明のホログラム記録材料を光記録媒体に使用する場合は、532nmのYAGレーザー2倍波または405〜415nm付近のGaNレーザーを用いることが好ましい。
ホログラム露光(記録)に用いる光の波長に対し、ホログラム再生に用いる光の波長は同じであるか、長波長であることが好ましく、同じであることがより好ましい。
特に本発明のホログラム記録材料に酸増殖剤または塩基増殖剤を用いる場合、酸増殖剤または塩基増殖剤を有効に機能させる点においても定着に加熱を用いることが好ましい。
光定着の場合は、ホログラム記録材料全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)する。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
熱定着の場合は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃にて定着工程を行うことが好ましい。
光定着と熱定着を両方行う際は、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加えてもよい。
η=Idiff/Io (式1)
ここでIoは回折さらない透過光の強度であり、Idiffは回折(透過型)または反射(反射型)された光強度である。回折効率は0〜100%のいずれかの値を取るが、30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
また、クーゲルニックの理論式より、ある回折効率を与えるための屈折率変調量Δnは膜厚dに反比例する。つまり、ある回折効率を与えるための感度は膜厚によっても異なり、膜厚dが厚くなる程少ない屈折率変調量Δnで済む。したがって、膜厚等の条件を揃えない限り、感度は一概には比較することはできない。
本発明においては、感度は「最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量(mJ/cm2)」と定義する。本発明のホログラム記録材料の感度は、例えば膜厚が10〜200μm程度の場合、2J/cm2以下であることが好ましく、1J/cm2以下であることがより好ましく、500mJ/cm2以下であることがさらに好ましく、200mJ/cm2以下であることが最も好ましい。
その他に「色素ハンドブック」(大河原信他編 講談社 1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編 シーエムシー 1981年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編 シーエムシー 1986年)に記載される色素および染料も本発明の増感色素として用いることができる。なお、本発明の増感色素はこれらに限定されるものではなく、可視域の光に対して吸収を示す色素および染料であればどれでも用いることができる。これらの増感剤は、使用目的に応じて光源となる輻射線の波長に合うように選択することができ、用途によっては2種類以上の増感色素を組み合わせて使用しても構わない。
特に増感色素がシアニン色素やメロシアニン色素のような有機色素の時は20分の1以下であることがより好ましく、50分の1以下であることがさらに好ましく、100分の1以下であることが最も好ましい。
本発明の増感色素の好ましい例としては他に、特願2003−300059号に記載されている。本発明の増感色素は市販品であるか、あるいは公知の方法により合成することができる。
先述した(A)の方式では、増感色素と消色性色素を兼ねるため、消色性色素の好ましい例としては先述した増感色素の例が挙げられる。増感色素兼消色性色素のλmaxはホログラム記録光波長とホログラム記録光波長から100nm短い波長域の間にあることが好ましい。
これらの消色性色素は元々はシアニン色素であるが、電子移動による結合の切断によりシアニンベース(ロイコシアニン色素)に変化し、吸収の消色または短波長化が起こるものである。
ここで、消色剤としてはラジカル、酸、塩基、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであるが好ましく、ラジカル、酸、塩基のいずれかであることがより好ましい。また、消色剤前駆体としてはラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることが好ましく、ラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤のいずれかであることがより好ましい。
さらに消色剤前駆体としては、特に、酸や塩基やラジカル等を発生しなくても、増感色素励起状態から不可逆的に電子を受け取るまたは渡すことにより増感色素ラジカルカチオンまたはラジカルアニオンを発生させることにより、効率良く増感色素兼消色性色素を光分解することもできる。
その際、エネルギー移動が効率良く起こるためには、増感色素の励起エネルギーが、色素前駆体の励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
また、増感色素励起状態が消色剤前駆体に電子を与えても、電子を受け取っても良い。増感色素励起状態から電子を与える場合、電子移動が効率良く起こるためには、増感色素の励起状態における励起電子の存在する軌道(LUMO)エネルギーが消色剤前駆体のLUMO軌道のエネルギーよりも高いことが好ましい。
増感色素励起状態が電子を受け取る場合、電子移動が効率良く起こるためには、増感色素の励起状態におけるホールの存在する軌道(HOMO)エネルギーが、消色剤前駆体のHOMO軌道のエネルギーよりも低いことが好ましい。
2)有機過酸化物系ラジカル発生剤
3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤
5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤
13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤
14)スルホン酸エステル系酸発生剤
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
好ましい例としては例えば、ベンゾフェノン誘導体(例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン)、ベンゾイン誘導体(例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン)、アセトイン誘導体(アセトイン、ピバロイン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、アシロインエーテル誘導体(例えばジエトキシアセトフェノン)、α−ジケトン誘導体(ジアセチル、ベンジル、4,4´−ジメトキシベンジル、ベンジルジメチルケタール、2,3−ボルナンジオン(カンファーキノン)、2,2,5,5−テトラメチルテトラヒドロ−3,4−フラン酸(イミダゾールトリオン))、キサトン誘導体(例えばキサントン)、チオキサントン誘導体(例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン)、ケトクマリン誘導体等が挙げられる。
置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、カルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
R24は好ましくは−CR21R22R23を、より好ましくは−CCl3基を表し、R25は好ましくは、 −CR21R22R23、アルキル基、アルケニル基、アリール基である。
R27は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、a21は0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR27は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
X21 -は、HX21がpKa4以下(水中、25℃)、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の酸となる陰イオンで、好ましくは例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
a22、a23はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜1の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR28、R29は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
また、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、第10巻、p1307(1977年)に記載の化合物、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類も挙げられる。
より好ましくはR33、R34、R35はアリール基であり、R36がアルキル基であり、最も好ましくはR33、R34、R35はフェニル基であり、R36はn−ブチル基である。
カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤は好ましくは一般式(18)にて表される。
アニオン性増感色素オニウム塩系ラジカル発生剤は好ましくは一般式(19)にて表される。
具体的には、特開平1−54440号、ヨーロッパ特許第109851号、ヨーロッパ特許第126712号および「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の鉄アレーン錯体、「オルガノメタリックス(Organometallics)」、第8巻、第2737頁(1989年)記載の鉄アレーン有機ホウ素錯体、「Prog.Polym.Sci、第21巻、7〜8頁(1996年)記載の鉄アレーン錯体塩、特開昭61−151197号公報に記載されるチタセノン類、などが好ましい例として挙げられる。
a)ラジカルを発生するラジカル発生剤
b)酸のみ発生する酸発生剤
c)ラジカルと酸を同時に発生するラジカル及び酸発生剤
に分類することができる。
1)ケトン系ラジカル発生剤
2)有機過酸化物系ラジカル発生剤
3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル発生剤
5)ジアゾニウム塩系ラジカル発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル発生剤
8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤
13)金属アレーン錯体系ラジカル発生剤
1)ケトン系ラジカル発生剤
3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル発生剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤
が挙げられ、さらに好ましくは、
3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル発生剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤
が挙げられる。
14)スルホン酸エステル系酸発生剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤
5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
を挙げることができる。
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
R1、R2は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、イミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
R1、R2のより好ましい組み合わせとしては、R1が置換しても良いシクロヘキシル基でR2が水素原子、R1が置換しても良いアルキル基でR2が水素原子、R1、R2が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
一般式(1−1)にて、n2は0〜5の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。n2が2以上の時、複数のR3は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(1−1)にて、R3がニトロ基である時、2位または2,6位に置換することが好ましく、R3がアルコキシ基である時、3、5位に置換することが好ましい。
R4、R5のより好ましい組み合わせとしては、R4、R5共水素原子、R4がメチル基でR5が水素原子、R4、R5共メチル基、R4が2−ニトロフェニル基でR5が水素原子、等が挙げられ、さらに好ましくはR4、R5共水素原子である。
一般式(1−2)にて、n3、n4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。n3、n4が2以上の時、複数のR6、R7は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(1−2)にて、R6は3、5位に置換したアルコキシ基であることがより好ましく、3、5位に置換したメトキシ基であることがさらに好ましい。
なお、一般式(1−3)で表される化合物はR9からポリマー鎖に連結した化合物であっても良い。
R10、R11は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としては例えばフルオレン環が好ましい。
発生する求核剤として好ましくは例えば、Cアニオン、Oアニオン、Sアニオン、窒素、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられる。
以下に本発明の求核剤発生剤の好ましい例について具体的を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の求電子剤発生剤としては、フェニルカチオン等を発生可能な、酸発生剤として先述したジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩等を好ましく挙げることができる。
用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、赤外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
また、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ消色性色素のモル吸光係数が1000以上である領域の波長の光であることが好ましい。
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接または消色剤前駆体に電子移動またはエネルギー移動する結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
なお、2)にて消色剤前駆体に電子移動またはエネルギー移動する場合は、第1の工程にて増感色素励起状態から、電子移動またはエネルギー移動することにより消色剤を発生することができる消色剤前駆体も含むことが好ましい。なお場合により3)の重合開始剤も兼ねる。
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、
を含むことが好ましい。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましい。なお、重合性化合物の方がより屈折率が大きくても、バインダーの方がより屈折率が大きくても、どちらでも構わない。
本発明の重合性化合物としては、単官能性でも多官能性でも良く、一成分でも多成分でも良く、モノマー、プレポリマー(例えばダイマー、オリゴマー)でもこれらの混合物でもいずれでも良いが、モノマーであることが好ましい。
また、その形態は、室温において液状であっても固体状であっても良いが、沸点100℃以上の液状であるか、沸点100℃以上の液状モノマーと固体状モノマーの混合物であることが好ましい。
以下に、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオンまたはアニオン重合可能な重合性化合物ごとに、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて好ましい重合性化合物の例を説明する。
2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート又はジメタクリレート、ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、などが挙げられ、より好ましくはアクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチルなどが挙げられる。
また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
本発明のアニオン重合性化合物として好ましいくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N−ビニルカルバゾール部位、電子吸引性置換基を備えるエチレン性二重結合部位、ラクトン部位、ラクタム部位、環状ウレタン部位、環状尿素部位、または、環状シロキサン部位を分子中に少なくとも1個以上有する化合物であり、より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
好ましい低屈折率バインダーの具体例としては、アクリレート及びアルファ−アルキルアクリレートエステル及び酸性重合体及びインターポリマー(例えばポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル,メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体及びほぼ4,000〜1,000,000の平均分子量を有するポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化物(例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物)、ポリアミド(例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアジパミド)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルベンジルセルロース)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などが挙げられる。
また他に、芳香族を含まないエポキシオリゴマー化合物も低屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
好ましい高屈折率バインダーの具体例としては、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニル及び共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH2)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸、(3)テレフタル酸及びセバシン酸、(4)テレフタル酸及びイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコール及び(i)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸及び(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸及びアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾール及びその共重合体、炭酸エステルとビスフェノールから成るポリカーボネートなどが挙げられる。
また他に、芳香族を多く含むエポキシオリゴマー化合物も高屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
重合開始剤、重合性化合物、バインダーの好ましい例として具体的には例えば、特願2004−238932号に記載されている例が挙げられる。
酸増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。酸増殖剤の好ましい例として具体的に例えば、特願2003−182849号に記載されている例が挙げられる。
また、アニオン重合及び塩基発生剤(塩基発生剤)を用いる場合も好ましい。
好ましい例としては、消色剤前駆体における塩基発生剤に挙げた通りである。
さらにその場合塩基増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。それらの場合好ましい例として具体的には例えば、特願2003−178083号に記載されている例が挙げられる。
本発明における重合開始剤として好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
増感色素とは別に消色性色素を添加する場合にて、消色剤前駆体と重合開始剤が異なる場合(例えば消色剤前駆体が酸発生剤または塩基発生剤、重合開始剤はラジカル重合開始剤、あるいは、消色剤前駆体がラジカル発生剤または求核剤発生剤、重合開始剤が酸発生剤または塩基発生剤)は、増感色素は消色剤前駆体に対してのみ電子移動増感可能で、重合開始剤は消色性色素によってのみ電子移動増感可能であることが好ましい。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から消色剤前駆体にエネルギー移動または電子移動させることにより消色剤を発生させて、消色性色素を消色させる。その結果、残存した消色性色素による潜像を形成することができる(以上第1の工程)。次に360〜420nmの波長域の光を照射して、残存消色色素潜像の吸収を起こし、重合開始剤に電子移動またはエネルギー移動させることにより活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が小さい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が低くなる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉明部となった部分では潜像となる残存消色性色素が少ないため第2の工程においても重合はあまり起きずバインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。第1及び第2の工程、あるいはさらにその後の定着工程により増感色素及び残存消色性色素を分解して消色できれば、非破壊再生及び保存性に優れたホログラム記録材料を提供することができる。
例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
特に電子供与性化合物は、色素前駆体群への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンを素早く再生できるため高感度のために有用である。電子供与性化合物としては、酸化電位が増感色素の酸化電位よりも卑なものが好ましい。電子供与性化合物の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の具体例として好ましい例は、特願2004−238392号に記載されている例が挙げられる。
連鎖移動剤として好ましくは、チオール類であり、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、p−ブロモベンゼンチオール、チオシアヌル酸、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、p−トルエンチオールなどが挙げられる。
特に重合開始剤が2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーの場合は連鎖移動
剤を用いることが好ましい。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2-ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。
例えば、本発明のホログラム記録材料の製膜方法としては、前記のバインダーや各成分を溶媒等に溶かしてスピンコーターまたはバーコーター等を用いて塗布しても良い。
その際、溶媒として好ましくは例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒が挙げられる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
また、バインダーを形成するモノマー溶液に各成分を溶解させておいた上でモノマーを熱重合または光重合させてポリマーとし、バインダーとして使用する方法も好ましく使用できる。その際の重合法としても、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。
そのため、例えば本発明のホログラム記録材料に特開2000−86914号記載の膨張剤を用いたり、特開2000−250382号、2000−172154、特開平11−344917号記載の耐収縮性のあるバインダーを用いることも好ましい。
また、特開平3−46687号、5−204288号、特表平9−506441号等記載の拡散要素を用いて干渉縞間隔を調節することも好ましい。
それに対し、特に本発明の「消色反応方式」の記録方法は干渉縞記録に重合を伴わない方式であり、また、「残存消色色素潜像−潜像増感重合反応方式」においても、ホログラム露光(第1の工程)の際に重合反応をほとんど伴わなわず、第2の工程の全面露光にて一括して重合による屈折率変調を行う方式である。
したがって、どちらの方法においても多くの多重記録が可能であり、さらに、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま、つまり露光量に対して屈折率変調量がリニアに上昇しながら多重記録することができるため、広いダイナミックレンジを取ることができる。このように、消色方式または潜像重合方式を用いる本発明の記録方式は、上記多重記録適性の点で大変有利である。
これは、高容量化、記録システム簡略化、S/N比向上等の点で好ましい。
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明した。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ホログラム記録材料201、202における露光量に対する回折効率の変化、最大回折効率を評価した結果、感度はそれぞれ290、250mJ/cm2、最大回折効率は84、82%となった。なお、最大回折効率の半分の値を示した時の露光エネルギーを感度とする。
さらに、露光量に応じてほぼリニアーに回折効率が上昇した。
以上より、本発明の「消色反応方式」のホログラム記録材料及び記録方法により、比較的高い感度かつ多重記録適性を有したホログラム記録が可能であることがわかった。
それに対し、本発明のホログラム記録方法は、ホログラム記録(第1の工程)に重合ではなく消色反応をしかも潜像として用いるために前記のようなことが起こらず、公知のフォトポリマー方式に対して優れている。
また、実施例201、202にて増感色素兼消色性色素をS−1、S−4、S−8、S−10、S−11、S−19、S−21、S−25、S−26、S−27、S−28、S−29、S−42、S−45、S−58に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料201、202、301〜308,401、402にて消色剤前駆体(酸発生剤、場合により兼酸またはラジカル重合開始剤)をI−3,I−4,I−6、I−7,I−8,I−9,I−10,トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロペンタノエート、ビス(1−(4−ジフェニルスルホニウム)フェニルスルフィドジトリフラート、ジメチルフェナシルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、ベンゾイントシレート、I−22,I−23に変更しても、試料301〜308、401,402にて酸消色性色素をG−31,G−33,G−35,G−36,G−38,G−39,G−40,G−42,G−45,G−50,G−51,G−62,G−66,G−70に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料309、403にて消色剤前駆体(塩基発生剤、場合により兼アニオン重合開始剤)をPB−3,PB−4,PB−5、PB−6、PB−7、PB−8,PB−9に変更しても、試料309、403にて塩基消色性色素をG−71、G−82,G−84,G−86,G−87,G−88,G−89に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料404にてラジカル重合開始剤をI−1,I−11〜I−20等に変更しても、試料404にて消色性色素をG−92,G−93,G−95,G−96に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料301〜305、308、309、402〜404にて電子供与体をA-2、A-3、A-4、A-5、A-6、A-9、A-10、A-11に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料201、202、301〜309にてバインダーをポリメチルメタクリレート(Mw996000、350000、120000)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート)共重合体(Mw75000)、ポリビニルアセテート(Mw83000)、ポリカーボネート等に変更しても同様な効果が得られた。
なお、上記の際、全面露光を行う光はそれぞれの系にて最適な波長を用いた。
12 レーザービーム
14 鏡
20 ビームスプリッター
22 ビームセグメント
24 鏡
26 空間フィルター
40 ビームエキスパンダー
30 ホログラム記録材料
28 試料
32 He−Neレーザービーム
34 He−Neレーザー
36 検出器
38 回転ステージ
Claims (22)
- 少なくとも1種の消色性色素を有し、該消色性色素がホログラム露光により消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。
- 請求項1にて、該消色性色素がホログラム露光波長に吸収を有する増感色素であり、ホログラム露光の際光を吸収し、その結果自身を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする請求項1記載のホログラム記録方法。
- 請求項1にて、少なくともホログラム露光波長に吸収を有する増感色素及びホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素を有し、ホログラム露光の際増感色素が光を吸収し、その励起エネルギーを用いた電子移動またはエネルギー移動により消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする請求項1記載のホログラム記録方法。
- 請求項1〜3にて、消色性色素、増感色素とは別の消色剤前駆体を有し、増感色素または消色性色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、該消色剤が消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする請求項1〜3記載のホログラム記録方法。
- 請求項4にて、消色剤がラジカル、酸、塩基、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであることを特徴とする請求項4記載のホログラム記録方法。
- 請求項4または5にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることを特徴とする請求項4または5記載のホログラム記録方法。
- 請求項4〜6にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤または酸発生剤、あるいはその両方の機能を有するものであり、1)ケトン系ラジカル発生剤、2)有機過酸化物系ラジカル発生剤、3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤、4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤、5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤、9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、11)カチオン性色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、12)アニオン性色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤、13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤、14)スルホン酸エステル系酸発生剤、のいずれかであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のホログラム記録方法。なお、11)、12)においては、増感色素または消色性色素としての機能も兼ねる。
- 請求項4〜7にて、消色剤前駆体が酸発生剤であり、消色性色素が解離型色素解離体であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のホログラム記録方法。
- 請求項4〜7にて、消色剤前駆体が塩基発生剤であり、下記一般式(1−1)〜(1−4)で表されることを特徴とする請求項4〜7記載のホログラム記録方法。
- 請求項3〜9にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、その励起エネルギーを用いてホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素を消色し、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする請求項3〜9記載のホログラム記録方法。
- 請求項10にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、請求項4〜9記載の消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、エネルギー移動または電子移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする請求項10記載のホログラム記録方法。
- 請求項1〜11記載のホログラム記録方法に用いられることを特徴とするホログラム記録材料。
- 請求項10〜12記載のホログラム記録方法に用いられるホログラム記録材料が、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接または消色剤前駆体に電子移動またはエネルギー移動する結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、および
5)バインダー、
を含むことを特徴とするホログラム記録材料。 - 請求項13にて、重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、光重合により干渉明部と干渉暗部にて重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調による干渉縞記録が可能であることを特徴とする請求項13記載のホログラム記録材料。
- 請求項1〜11記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いて体積位相型ホログラム記録を行うことを特徴とする体積位相型ホログラム記録方法。
- 請求項1〜11、15記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いて、10回以上の多重ホログラム記録を行うことを特徴とする請求項1〜11、15記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料。
- 請求項1〜11、15、16記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いて、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることを特徴とする請求項1〜11、15、16記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料。
- 請求項1〜11、15〜17記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いて、ホログラム露光後湿式処理を行わないことを特徴とする請求項1〜11、15〜17記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料。
- 請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いる光記録媒体。
- 請求項12〜14記載のホログラム記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いる3次元ディスプレイホログラム。
- 請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いるホログラフィック光学素子。
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