JP2005309359A - ホログラム記録材料、ホログラム記録方法、光記録媒体、3次元ディスプレイホログラムおよびホログラフィック光学素子。 - Google Patents

ホログラム記録材料、ホログラム記録方法、光記録媒体、3次元ディスプレイホログラムおよびホログラフィック光学素子。 Download PDF

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Abstract

【課題】高密度光記録媒体、3次元ディスプレイ、ホログラフィック光学素子等への応用可能な高感度かつ高回折効率、良保存性、低収縮率、乾式処理、多重記録特性を達成することができるホログラム記録材料、該ホログラム記録材料を用いるホログラム記録方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の消色性色素を有し、該消色性色素がホログラム露光により消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成するホログラム記録方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高密度光記録媒体、3次元ディスプレイ、ホログラフィック光学素子等への応用可能なホログラム記録材料及びホログラム記録方法に関するものである。
ホログラム作製に関する一般的原理は、いくつかの文献や専門書、たとえば「ホログラフィックディスプレイ」(辻内順平編、産業図書[非特許文献1])2章に記載されている。これらによれば、2光束のコヒーレントなレーザー光の一方を記録対象物に照射し、それからの全反射光を受け取れる位置に感光性のホログラム記録材料が置かれる。ホログラム記録材料には、対象物からの反射光の他に、もう一方のコヒーレントな光が、対象物に当たらずに直接照射される。対象物からの反射光を物体光、また直接記録材料に照射される光を参照光といい、参照光と物体光との干渉縞が画像情報として記録される。次に、処理された記録材料に参照光と同じ光(再生照明光)を照射すると、記録の際に対象物から記録材料に最初に到達した反射光の波面を再現するようにホログラムによって回折され、その結果、対象物の実像とほぼ同じ物体像を3次元的に観測することができる。
参照光と物体光を同じ方向からホログラム記録材料に入射させて形成されるホログラムを透過型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に垂直または垂直に近い形で1mmに1000〜3000本程度の間隔で形成される。
一方、互いにホログラム記録材料の反対側から入射させて形成したホログラムを、一般に反射型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に平行または平行に近い形で1mmに3000〜7000本程度の間隔で形成される。
透過型ホログラムは、例えば特開平6−43634号[特許文献1]などで開示されているような公知の方法によって作成できる。また、反射型ホログラムは、例えば特開平2−3082号[特許文献2]、特開平3−50588号[特許文献3]などに開示された公知の方法によって作成できる。
一方、干渉縞間隔に対して膜厚が十分に厚い(通常は干渉縞間隔の5倍以上程度、または1μm以上程度の膜厚を言う)ホログラムを体積型ホログラムという。
それに対し膜厚が干渉縞間隔の5倍以下程度または1μm以下程度のホログラムを平面型または表面型という。
さらに、色素や銀などの吸収により干渉縞を記録するホログラムを振幅型ホログラムと呼び、表面レリーフまたは屈折率変調により記録するホログラムを位相型ホログラムと呼ぶ。振幅型ホログラムは光の吸収により、光の回折効率または反射効率が著しく低下するため光の利用効率の点で好ましくなく、通常は位相型ホログラムが好ましく用いられる。
体積位相型ホログラムでは、ホログラム記録材料中に光学的吸収ではなく屈折率の異なる干渉縞を多数形成することによって、光を吸収することなく光の位相を変調することができる。
特に反射型の体積位相型ホログラムはリップマン型ホログラムとも呼ばれ、ブラック回折による波長選択的反射により、高回折効率にてフルカラー化、白色再生、高解像度化が可能となり、高解像フルカラー3次元ディスプレイの提供が可能となる。
また最近ではその波長選択的反射を生かして、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板等に代表されるホログラム光学素子(HOE)に広く実用化されてきている。
他にも例えば、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス等に実用または応用が検討されている。
ところで、最近の高度情報化社会の流れの中で、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、民生用途においても100GB以上の画像情報を安価簡便に記録するための高密度記録媒体の要求が高まっている。
さらにコンピューター高容量化等の流れの中で、コンピューターバックアップ用途や放送バックアップ用途等の業務用途においても、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる超高密度記録媒体が求められている。
そのような中、ランダムアクセスが不可能な磁気テープ媒体や可換不可能で故障しやすいハードディスクに対し、可換かつランダムアクセス可能で小型、安価な光記録媒体がより注目されてきている。しかしながら、DVD−Rのような既存の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい片面25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
そこで、究極の超高密度記録媒体として、膜厚方向に記録を行う3次元光記録媒体が注目されてきている。その有力な方法として2光子吸収材料を用いる方法とホログラフィ(干渉)を用いる方法とがあり、そのため体積位相型ホログラム記録材料は、3次元光記録媒体(ホログラフィックメモリ)として、最近俄然注目を集めるようになった。
体積位相型ホログラム記録材料を用いたホログラフィックメモリでは、3次元物体から反射する物体光の代わりに、DMDやLCDといった空間光変調素子(SLM)を用いた2次元デジタル情報(信号光と呼ぶ)を数多く記録していく。記録の際、角度多重、位相多重、波長多重、シフト多重などの多重記録を行うため1TBにも達する高容量化が可能となる。また、読み出しには通常CCDやCMOS等を用い、それらの並列書き込み、読み出しにより、1Gbpsにも達する高転送速度化も可能となる。
ところが、ホログラフィックメモリに用いるホログラム記録材料に求められる要件は、下記の如く3次元ディスプレイやHOE用途よりもさらに厳しいものである。
(1)高感度であること
(2)高解像力を有すること
(3)ホログラムの回折効率が高いこと
(4)記録時の処理が乾式であり迅速であること
(5)多重記録が可能であること(ダイナミックレンジが広いこと)
(6)記録後の収縮率が小さいこと
(7)ホログラムの保存性が良いこと
特に、(1)高感度であることに対し、(3)回折効率が高いこと、(4)乾式処理であること、(6)記録後の収縮率が低いこと、(7)保存性が良いこと、は化学的に考えて相反する物性であり、その両立は極めて困難である。
ここで、公知の体積位相型ホログラム記録材料には、ライトワンス方式として重クロム酸ゼラチン方式、漂白ハロゲン化銀塩方式及びフォトポリマー方式などが知られ、リライタブル方式として、フォトリフラクティブ方式及びフォトクロミック高分子方式などが知られる。
しかしこれらの公知の体積位相型ホログラム記録材料において、特に高感度光記録媒体用途においては、求められる要件をすべて満たす材料は未だなく改良が望まれている。
具体的には例えば、重クロム酸ゼラチン方式は高い回折効率と低ノイズ特性という長所を有するが、保存性が極めて悪く、湿式処理が必要で低感度という問題を有し、ホログラフィックメモリ用途には適さない。
漂白ハロゲン化銀方式は高感度という長所を有するが、湿式処理が必要でかつ漂白処理が煩雑であり、また、散乱が大きい、耐光性に劣るという問題点を有し、ホログラフィックメモリ用途にはやはり一般的に適さない。
フォトリフラクティブ材料は書き換え可能という長所を有するが、記録時に高電場印加が必要、記録保存性が悪いという問題点を有する。
アゾベンゼン高分子材料等に代表されるフォトクロミック高分子方式も書き換え可能という長所を有するが、感度が極めて低く記録保存性も悪いという問題点を有する。例えば、WO9744365A1号[特許文献4]には、アゾベンゼン高分子(フォトクロミック高分子)の屈折率異方性と配向制御を用いた書き換え可能なホログラム記録材料が提示されているが、アゾベンゼン異性化の量子収率が低い上に配向変化を伴う方式であるがために感度が極めて低く、また書き換え可能であることとの相反で記録保存性も悪いという問題点を有し、実用には程遠い。
そのような中、前述の特許文献1〜3に開示された乾式処理フォトポリマー方式は、バインダー、ラジカル重合可能なモノマーおよび光重合開始剤を基本組成とし、屈折率変調を向上させるためにバインダーまたはラジカル重合可能なモノマーのどちらか一方に芳香環または塩素、臭素を有する化合物を用いて屈折率差を持たせる工夫をしており、その結果、ホログラム露光の際形成される干渉縞の明部にモノマーが、暗部にバインダーが集まりつつ重合が進行することにより屈折率差を形成することができる。したがって、高回折効率と乾式処理を両立できうる比較的実用的な方式といえる。
しかしながら、漂白ハロゲン化銀方式に比べると感度が1000分の1程度であること、回折効率を高めるためには2時間近い加熱定着処理を必要とすること、ラジカル重合であるため、酸素による重合阻害の影響を受け、また露光、定着後記録材料の収縮を伴い、再生時の回折波長及び角度が変化してしまう問題点があること、膜が柔らかいため保存性の点でも不足していること等からホログラフィックメモリ用途としては到底使用に耐えるものではない。
ここで一般に、ラジカル重合に対しカチオン重合、特にエポキシ化合物等の開環を伴うカチオン重合は、重合後の収縮が少なく、また酸素による重合阻害も受けず、剛性のある膜を与える。したがって、ホログラフィックメモリ用途としてはカチオン重合の方が適しているという指摘もある。
例えば、特開平5−107999号[特許文献5]、特開平8−16078号[特許文献6]等に、カチオン重合性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をバインダーの代わりに用い、さらに増感色素、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル重合性化合物を組み合わせたホログラム記録材料が開示されている。
また、特表2001―523842号[特許文献7]、特表11−512847号[特許文献8]等に、ラジカル重合を用いずに、増感色素、カチオン重合開始剤、カチオン重合性化合物及びバインダーのみを用いたホログラム記録材料が開示されている。
しかしこれらのカチオン重合方式はラジカル重合方式に比べて、収縮率の改善が見られるものの、その相反として、感度が低下しており、実用の際には転送速度の点で大きな問題となると考えられる。また回折効率も低下しており、S/N比や多重記録の点で問題となると考えられる。
前述したように、フォトポリマー方式は物質移動を伴う方式であるため、ホログラフィックメモリへの応用を検討する際、保存性を良く、収縮性を小さくしようとすれば感度が低下し(カチオン重合方式)、逆に感度を向上させようとすれば、保存性、収縮性が悪化する(ラジカル重合方式)というジレンマに陥る。また、ホログラフィックメモリの記録密度を向上させるためには、50回を超えて好ましくは100回以上にも及ぶ多重記録が必須であるが、フォトポリマー方式では記録に物質移動を伴う重合を用いるため、多重記録初期の記録速度に対して、多くの化合物の重合が進んだ後の多重記録後期の記録速度が低下してしまい、それを制御して露光量を調節すること、広いダイナミックレンジをとることが実用上大きな問題となっている。
このような高感度と良保存性、低収縮率、乾式処理のジレンマ、多重記録特性の問題点は、従来のフォトポリマー方式を用いている限りは物理法則上避けがたい。またハロゲン化銀方式にてホログラフィックメモリに求められる要件を満たすことも、特に乾式処理化の点で原理的に困難である。
そこで、ホログラム記録材料をホログラフィックメモリへ応用するためには、そのような課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と低収縮性、良保存性、乾式処理、多重記録特性を両立できる全く新しい記録方式の開発が強く望まれていた。
「ホログラフィックディスプレイ」、辻内順平編、産業図書 特開平6−43634号公報 特開平2−3082号公報 特開平3−50588号公報 国際公開第9744365A1号パンフレット 特開平5−107999号公報 特開平8−16078号公報 特表2001―523842号公報 特表平11−512847号公報
そこで本発明の目的は、高密度光記録媒体、3次元ディスプレイ、ホログラフィック光学素子等への応用可能な高感度かつ高回折効率、良保存性、低収縮率、乾式処理、多重記録特性を両立することができるホログラム記録材料及びホログラム記録方法を提供することである。
発明者らの鋭意検討の結果、本発明の目的は、下記の手段により達成された。
(1)少なくとも1種の消色性色素を有し、該消色性色素がホログラム露光により消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。
(2)(1)にて、該消色性色素がホログラム露光波長に吸収を有する増感色素であり、ホログラム露光の際光を吸収し、その結果自身を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする(1)記載のホログラム記録方法。
(3)(1)にて、少なくともホログラム露光波長に吸収を有する増感色素及びホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素を有し、ホログラム露光の際増感色素が光を吸収し、その励起エネルギーを用いた電子移動またはエネルギー移動により消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする(1)記載のホログラム記録方法。
(4)(3)にて、消色性色素のホログラム再生光波長におけるモル吸光係数が100以下であることを特徴とする(3)記載のホログラム記録方法。
(5)(1)〜(4)にて、消色性色素がシアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、金属錯体色素のいずれかであることを特徴とする(1)〜(4)記載のホログラム記録方法。
(6)(1)〜(5)にて、消色性色素がシアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、キサンテン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、金属錯体色素のいずれかであることを特徴とする(5)記載のホログラム記録方法。
(7)(1)〜(5)にて、消色性色素が解離型アリーリデン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型アゾ色素の解離体であることを特徴とする(5)記載のホログラム記録方法。
(8)(2)〜(7)にて、増感色素のホログラム露光波長におけるモル吸光係数が1以上5000以下であることを特徴とする(2)〜(7)記載のホログラム記録方法。
(9)(8)にて、増感色素のホログラム露光波長におけるモル吸光係数が5以上2000以下であることを特徴とする(8)記載のホログラム記録方法。
(10)(2)〜(9)にて、増感色素がシアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アントラキノン色素、金属錯体色素、メタロセン色素のいずれかであることを特徴とする(2)〜(9)記載のホログラム記録方法。
(11)(10)にて、増感色素がシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、金属錯体色素、メタロセン色素であることを特徴とする(10)記載のホログラム記録方法。
(12)(11)にて、金属錯体色素がRu錯体色素であることを特徴とする(11)記載のホログラム記録方法。
(13)(11)にて、メタロセン色素がフェロセン誘導体であることを特徴とする(11)記載のホログラム記録方法。
(14)(1)〜(13)にて、消色性色素、増感色素とは別の消色剤前駆体を有し、増感色素または消色性色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、該消色剤が消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする(1)〜(13)記載のホログラム記録方法。
(15)(14)にて、消色剤がラジカル、酸、塩基、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであることを特徴とする(14)記載のホログラム記録方法。
(16)(14)または(15)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることを特徴とする(14)または(15)記載のホログラム記録方法。
(17)(16)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤のいずれかであることを特徴とする(16)記載のホログラム記録方法。
(18)(14)〜(17)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤または酸発生剤、あるいはその両方の機能を有するものであり、1)ケトン系ラジカル発生剤、2)有機過酸化物系ラジカル発生剤、3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤、4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤、5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤、9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、11)カチオン性色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、12)アニオン性色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤、13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤、14)スルホン酸エステル系酸発生剤、のいずれかであることを特徴とする(14)〜(17)のいずれかに記載のホログラム記録方法。なお、11)、12)においては、増感色素または消色性色素としての機能も兼ねる。
(19)(18)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤であり、1)ケトン系ラジカル発生剤、2)有機過酸化物系ラジカル発生剤、3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤、4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル発生剤、5)ジアゾニウム塩系ラジカル発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル発生剤、7)スルホニウム塩系ラジカル発生剤、8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤、9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、11)カチオン性色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、12)アニオン性色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤、13)金属アレーン錯体系ラジカル発生剤のいずれかであることを特徴とする(18)記載のホログラム記録方法。なお、11)、12)においては、増感色素または消色性色素としての機能も兼ねる。
(20)(18)にて、消色剤前駆体が酸発生剤であり、4)トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤、5)ジアゾニウム塩系酸発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤、7)スルホニウム塩系酸発生剤、13)金属アレーン錯体系酸発生剤、14)スルホン酸エステル系酸発生剤、のいずれかであることを特徴とする(18)記載のホログラム記録方法。
(21)(18)にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤、酸発生剤両方の機能を有するものであり、4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤、5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤、のいずれかであることを特徴とする(18)記載のホログラム記録方法。
(22)(14)〜(21)にて、消色剤前駆体が酸発生剤であり、消色性色素が解離型色素解離体であることを特徴とする(14)〜(21)記載のホログラム記録方法。
(23)(14)〜(17)にて、消色剤前駆体が塩基発生剤であり、下記一般式(1−1)〜(1−4)で表されることを特徴とする(14)〜(17)記載のホログラム記録方法。
Figure 2005309359
一般式(1−1)〜(1−4)中、R1、R2、R13、R14、R15はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、R1、R2は互いに連結して環を形成しても良く、R13、R14、R15は互いに連結して環を形成しても良い。R3、R6、R7、R9はそれぞれ独立に置換基を表し、R4、R5、R8、R10、R11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R10、R11は互いに連結して環を形成しても良い。R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R12はアリール基またはヘテロ環基を表す。n1は0または1の整数を表し、n2〜n4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
(24)一般式(1−1)、(1−2)にて、n1が1であることを特徴とする(23)記載のホログラム記録方法。
(25)一般式(1−1)にて、R3が2位または2,6位に置換したニトロ基、あるいは3、5位に置換したアルコキシ基のいずれかであることを特徴とする(23)または(24)記載のホログラム記録方法。
(26)一般式(1−2)にて、R6が3、5位に置換したアルコキシ基であることを特徴とする(23)(24)記載のホログラム記録方法。
(27)光塩基発生剤が一般式(1−1)または(1−3)で表されることを特徴とする(23)〜(25)記載のホログラム記録方法。
(28)光塩基発生剤が一般式(1−1)で表されることを特徴とする(27)記載のホログラム記録方法。
(29)(14)、(23)〜(28)にて、消色剤前駆体が塩基発生剤であり、消色性色素がトリフェニルメタン色素、キサンテン色素、フルオラン色素等酸発色色素発色体であることを特徴とする(14)、(23)〜(28)記載のホログラム記録方法。
(30)(3)〜(29)にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、その励起エネルギーを用いてホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下(好ましくは100以下、最も好ましくは0)の消色性色素を消色し、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする(3)〜(29)記載のホログラム記録方法。
(31)(30)にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、(14)〜(29)記載の消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、エネルギー移動または電子移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする(30)記載のホログラム記録方法。
(32)(30)、(31)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が5000以下である領域の波長の光であることを特徴とする(30)または(31)記載のホログラム記録方法。
(33)(32)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が1000以下(好ましくは500以下)である領域の波長の光であることを特徴とする(32)記載のホログラム記録方法。
(34)(32)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が500以下である領域の波長の光であることを特徴とする(32)記載のホログラム記録方法。
(35)(30)、(31)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ消色性色素のモル吸光係数が1000以上である領域の波長の光であることを特徴とする(30)〜(34)記載のホログラム記録方法。
(36)(30)、(31)にて、消色性色素はホログラム再生光波長とホログラム再生光波長から200nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有することを特徴とする(30)〜(35)記載のホログラム記録方法。
(37)(3)、(30)、(31)にて、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を分解して定着することを特徴とする(3)〜(36)記載のホログラム記録方法。
(38)(30)、(31)にて、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより残存する消色性色素を分解して定着することを特徴とする(30)〜(36)記載のホログラム記録方法。
(39)(1)〜(38)のいずれかに記載のホログラム記録方法に用いられることを特徴とするホログラム記録材料。
(40)(39)記載のホログラム記録方法に用いられるホログラム記録材料が、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接または消色剤前駆体に電子移動またはエネルギー移動する結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、
を含むことを特徴とする(39)記載のホログラム記録材料。
(41)(40)にて、重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、光重合により干渉明部と干渉暗部にて重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調による干渉縞記録が可能であることを特徴とする(40)記載のホログラム記録材料。
(42)(40)または(41)にて、重合性化合物またはバインダーのどちらか一方が、少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、どちらか一方は含まないことを特徴とする(40)または(41)記載のホログラム記録材料。
(43)(40)〜(42)にて、重合性化合物の少なくとも1個が沸点100℃以上の液体であることを特徴とする(40)〜(42)記載のホログラム記録材料。
(44)(30)〜(43)にて、重合開始剤が少なくとも1種のラジカル発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種のラジカルにより重合するラジカル重合性化を含むことを特徴とする(30)〜(43)記載のホログラム記録材料。
(45)(44)にて、少なくとも1種のラジカルを発生するラジカル発生剤がケトン、有機過酸化物、ビスイミダゾール、トリハロメチル置換トリアジン、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、トリフェニルアルキルホウ酸塩、ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体、スルホニウム有機ホウ素錯体、カチオン性増感色素有機ホウ素錯体、アニオン性色素オニウム塩錯体、金属アレーン錯体、のいずれかであることを特徴とする(44)記載のホログラム記録材料。
(46)(30)〜(43)にて、重合開始剤が少なくとも1種の酸発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種の酸により重合するカチオン重合性化合物を含むことを特徴とする(30)〜(43)記載のホログラム記録材料。
(47)(46)にて、少なくとも1種の酸を発生する酸発生剤が、トリハロメチル置換トリアジン、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、金属アレーン錯体、スルホン酸エステルのいずれかであることを特徴とする(46)記載のホログラム記録材料。
(48)(47)にて、酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、またはスルホン酸エステルであることを特徴とする(47)記載のホログラム記録材料。
(49)(30)〜(43)にて、重合開始剤が少なくとも1種の塩基発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種の塩基により重合するアニオン重合性化合物を含むことを特徴とする(30)〜(43)記載のホログラム記録材料。
(50)(49)にて、少なくとも1種の塩基発生剤が一般式(1−1)〜(1−4)で表されることを特徴とする(49)記載のホログラム記録材料。
(51)(31)〜(50)にて、消色剤前駆体と重合開始剤が一部または全部同じで両方の機能を兼ねることを特徴とする(31)〜(50)記載のホログラム記録材料。
(52)(3)〜(51)記載のホログラム記録材料が増感色素または消色性色素のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物もしくは増感色素または消色性色素のラジカルアニオンを酸化する能力を有する電子受容性化合物を含むことを特徴とする(3)〜(50)記載のホログラム記録材料。
(53)(52)にて、ホログラム記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(52)記載のホログラム記録材料。
(54)(53)にて、ホログラム記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がトリフェニルアミン類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類のいずれかであることを特徴とする(53)記載のホログラム記録材料。
(55)(53)にて、ホログラム記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする(53)記載のホログラム記録材料。
(56)(52)にて、ホログラム記録材料が電子受容性化合物を含み、電子受容性化合物がジニトロベンゼン、ジシアノベンゼン等、電子求引性基が導入された芳香族化合物、ヘテロ環化合物または電子求引性基が導入されたヘテロ環化合物、N−アルキルピリジニウム塩類、ベンゾキノン類、イミド類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(52)記載のホログラム記録材料。
(57)(1)〜(38)記載のホログラム記録方法または(39)〜(56)記載のホログラム記録材料を用いて体積位相型ホログラム記録を行うことを特徴とする体積位相型ホログラム記録方法及びそのような体積位相型記録が可能である体積位相型ホログラム記録材料。
(58)(39)〜(56)記載のホログラム記録材料を用いてホログラム記録を行う際、ホログラム露光した後に、または第2の工程にて、あるいは第2の工程後に加熱処理を行うことを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料。
(59)(39)〜(57)記載のホログラム記録材料を用いて、10回以上の多重ホログラム記録を行うことを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料。
(60)(1)〜(59)にて、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料。
(61)(1)〜(60)にて、ホログラム露光後湿式処理を行わないことを特徴とする記載のホログラム記録方法及びそのような処理が可能であるホログラム記録材料。
(62)(1)〜(61)にて、ホログラム記録が書き換えできない方式であることを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料。
(63)(39)〜(62)記載のホログラム記録材料が、記録光及び再生光以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターをホログラム記録材料の表面、裏面またはその両面に備え付けていることを特徴とする(39)〜(62)記載のホログラム記録材料。
(64)(39)〜(63)記載のホログラム記録材料を用いる光記録媒体及び(39)〜(63)記載のホログラム記録再生方法を用いる光記録媒体への記録再生方法。
(65)(39)〜(64)記載のホログラム記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
(66)(39)〜(64)記載のホログラム記録材料を用いる3次元ディスプレイホログラム及び(39)〜(64)記載のホログラム記録方法を用いる3次元ディスプレイホログラムの製造方法。
(67)(39)〜(63)記載のホログラム記録材料を用いるホログラフィック光学素子及び(1)〜(38)、(57)〜(62)記載のホログラム記録方法を用いるホログラフィック光学素子の製造方法。
本発明の消色方式ホログラム記録材料及び記録方法及び残存色素色素潜像−潜像増感重合方式ホログラム記録材料及び記録方法を用いることで、高感度かつ高回折効率、さらに露光量に対しリニアーに回折効率が上昇してホログラム記録が行えることがわかり、ホログラフィックメモリ等への応用の際、転送速度、多重記録特性等の点で有利である。
以下に本発明のホログラム記録方法及びホログラム記録材料について詳しく説明する。
本発明のホログラム記録方法は、少なくとも1種の消色性色素を有し、該消色性色素がホログラム露光により消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法である。
本発明にて消色性色素とは、200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光の領域に吸収を有し、光照射により直接または間接的にλmaxが短波長化、吸収のモル吸光係数の減少のいずれかを起こすような色素の総称を示し、さらに好ましくはその両方を起こすような色素である。消色反応は200〜1000nmの波長領域で起こることがより好ましく、300〜900nmの波長領域で起こることがさらに好ましい。
ここで、色素の屈折率は一般に、線形吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては1.8を超え、場合によっては2を超えるような高い値をとる。その一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
よって、ホログラム露光により消色性色素を消色させることにより、干渉明部と干渉暗部にて消色の度合いを異ならせることによる大きな屈折率差変調が可能となり、結果干渉縞として記録することが可能となる。
本発明のホログラム記録方法には大きく分けて以下の2つの方法がある。
(A)該消色性色素がホログラム露光波長に吸収を有する増感色素であり、ホログラム露光の際光を吸収し、その結果自身を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。ホログラム記録材料は少なくとも消色性色素兼増感色素を有する。
(B)少なくともホログラム露光波長に吸収を有する増感色素とホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下、好ましくは100以下の消色性色素を有し、ホログラム露光の際増感色素が光を吸収し、その励起エネルギーを用いた電子移動またはエネルギー移動により消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。ホログラム記録材料は少なくとも増感色素と消色性色素を有する。
本発明のホログラム記録方法としてより好ましくは、増感色素の他に消色性色素を有する(B)のホログラム記録方法である。なお、本発明にて好ましい増感色素及び消色性色素については後ほど詳しく説明する。
また、本発明のホログラム記録方法においては、前記(A)、(B)いずれの方法においても、消色性色素、増感色素とは別の消色剤前駆体を有し、増感色素または消色性色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することがより好ましい。
ここで、消色剤としてはがラジカル、酸、塩基、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであるが好ましく、ラジカル、酸、塩基のいずれかであることがより好ましい。また、消色剤前駆体としてはラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることが好ましく、ラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤のいずれかであることがより好ましい。なお、消色剤前駆体については後ほど詳しく説明する。
なお、本発明のホログラム記録材料は、ホログラム露光後湿式処理を行わないことが好ましい。
本発明のホログラム記録材料は、書き換えできない方式であることが好ましい。なおここで、書き換えできない方式とは、不可逆反応により記録される方式であり、一度記録されたデータは、さらに上書き記録して書き換えしようとしても書き換えされることなく保存できる方式を示す。したがって重要でかつ長期保存が必要なデータの保存に適する。ただし無論、まだ記録されていない領域に新たに追記して記録していくことは可能である。そのような意味で、一般には「追記型」または「ライトワンス型」と呼ばれる。
本発明のホログラム記録材料は好ましくは体積位相型のホログラム記録を行うための記録材料である。体積位相型のホログラム記録とは、先述したように、記録材料の膜面と平行もしくは平行に近い形(反射型)または垂直もしくは垂直に近い形(透過型)で、膜厚方向に1mmに1000〜100000本の多数の干渉縞を屈折率変調として記録するものである。
本発明のホログラム記録に用いる光は好ましくは波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかであり、より好ましくは波長300〜700nmの紫外光または可視光であり、さらに好ましくは400〜700nmの可視光である。
さらに、本発明の化学作用放射線としては、コヒーレントな(位相及び波長のそろった)レーザー光が好ましい。用いられるレーザーとしては、固体レーザー、半導体レーザー、気体レーザー、液体レーザーのいずれでも良いが、好ましいレーザー光としては例えば、532nmのYAGレーザー2倍波、355nmのYAGレーザー3倍波、405〜415nm付近のGaNレーザー、488または515nmのArイオンレーザー、632または633nmのHe−Neレーザー、647nmのKrイオンレーザー、694nmのルビーレーザーや636、634、538、534、442nmのHe−Cdレーザーなどが挙げられる。
また、ナノ秒やピコ秒オーダーのパルスレーザーを用いることも好ましい。
本発明のホログラム記録材料を光記録媒体に使用する場合は、532nmのYAGレーザー2倍波または405〜415nm付近のGaNレーザーを用いることが好ましい。
ホログラム露光(記録)に用いる光の波長に対し、ホログラム再生に用いる光の波長は同じであるか、長波長であることが好ましく、同じであることがより好ましい。
本発明のホログラム記録材料においては、ホログラム露光の後に、光または熱、あるいはその両方により定着工程を行っても良い。
特に本発明のホログラム記録材料に酸増殖剤または塩基増殖剤を用いる場合、酸増殖剤または塩基増殖剤を有効に機能させる点においても定着に加熱を用いることが好ましい。
光定着の場合は、ホログラム記録材料全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)する。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
熱定着の場合は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃にて定着工程を行うことが好ましい。
光定着と熱定着を両方行う際は、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加えてもよい。
なお、干渉縞記録の際の屈折率変調量は0.00001〜0.5であることが好ましく、0.0001〜0.3であることがより好ましい。なお、ホログラム記録材料の膜厚が厚い程屈折率変調量は少ない方が好ましく、ホログラム記録材料の膜厚が薄い程屈折率変調量は多い方が好ましい。
ホログラム記録材料の(相対)回折効率ηは以下の式で与えられる。
η=Idiff/Io (式1)
ここでIoは回折さらない透過光の強度であり、Idiffは回折(透過型)または反射(反射型)された光強度である。回折効率は0〜100%のいずれかの値を取るが、30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
ホログラム記録材料の感度は、一般に単位面積当たりの露光量(mJ/cm2)で表され、この値が小さい程感度が高いと言える。しかし、どの時点の露光量をもって感度とするかは、文献、特許によってまちまちであり、記録(屈折率変調)のはじまる露光量とする場合、最大回折効率(屈折率変調)を与える露光量とする場合、最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量とする場合、露光量Eに対し、回折効率の傾きが最大となる露光量とする場合などある。
また、クーゲルニックの理論式より、ある回折効率を与えるための屈折率変調量Δnは膜厚dに反比例する。つまり、ある回折効率を与えるための感度は膜厚によっても異なり、膜厚dが厚くなる程少ない屈折率変調量Δnで済む。したがって、膜厚等の条件を揃えない限り、感度は一概には比較することはできない。
本発明においては、感度は「最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量(mJ/cm2)」と定義する。本発明のホログラム記録材料の感度は、例えば膜厚が10〜200μm程度の場合、2J/cm2以下であることが好ましく、1J/cm2以下であることがより好ましく、500mJ/cm2以下であることがさらに好ましく、200mJ/cm2以下であることが最も好ましい。
本発明のホログラム記録材料を光記録媒体としてホログラフィックメモリに用いる際は、DMDやLCDといった空間光変調素子(SLM)を用いて2次元デジタル情報(信号光と呼ぶ)を数多く記録していくことが好ましい。記録には記録密度を上げるために多重記録を用いることが好ましく、多重記録の方法には、角度多重、位相多重、波長多重、シフト多重などの多重記録を行う方法があるが、角度多重記録またはシフト多重記録を用いることが好ましい。また、再生される2次元データの読み出しにはCCDやCMOSが好ましく用いられる。
本発明のホログラム記録材料は、光記録媒体としてホログラフィックメモリに用いる際は、容量(記録密度)を向上させるために多重記録を行うことが必須である。その際、10回以上の多重記録を行うことがより好ましく、50回以上の多重記録を行うことがさらに好ましく、100回以上の多重記録を行うことが最も好ましい。さらに、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることが記録システム簡略化、S/N比向上等の点でより好ましい。
なお、本発明のホログラム記録材料を光記録媒体に用いる際は、保存時ホログラム記録材料は遮光カートリッジ内に保存されていることが好ましい。また、記録光及び再生光波長以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターをホログラム記録材料の表面、裏面またはその両面に備え付けていることも好ましい。
本発明のホログラム記録材料を光記録媒体に用いる際は、光記録媒体はディスク状でもカード状でもテープ状であっても良くいかなる形状であっても良い。
以下に本発明の各ホログラム記録方法及びそのような記録方法が可能なホログラム記録材料の各成分について詳しく説明する。
まず、本発明のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素について詳しく説明する。
本発明の増感色素としては好ましくは、波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかを吸収して励起状態を生成するものであり、より好ましくは波長300〜700nmの紫外光または可視光を吸収して励起状態を生成するものであり、さらに好ましくは400〜700nmの可視光を吸収して励起状態を生成するものである。
本発明の増感色素として好ましくはシアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アントラキノン色素、金属錯体色素、メタロセン色素等が挙げられ、より好ましくは、シアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、縮環芳香族系色素、金属錯体色素、メタロセン色素が挙げられ、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、金属錯体色素、メタロセン色素が挙げられる。なお、金属錯体色素としては特にRu錯体色素が、メタロセン色素としては特にフェロセン類が好ましい。
その他に「色素ハンドブック」(大河原信他編 講談社 1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編 シーエムシー 1981年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編 シーエムシー 1986年)に記載される色素および染料も本発明の増感色素として用いることができる。なお、本発明の増感色素はこれらに限定されるものではなく、可視域の光に対して吸収を示す色素および染料であればどれでも用いることができる。これらの増感剤は、使用目的に応じて光源となる輻射線の波長に合うように選択することができ、用途によっては2種類以上の増感色素を組み合わせて使用しても構わない。
なお、ホログラム記録材料は厚膜で使用しかつ光が膜を透過する必要があるため、ホログラム露光波長における増感色素のモル吸光係数を小さくすることにより増感色素添加量を極力多くすることが高感度化のために好ましい。ホログラム露光波長における増感色素のモル吸光係数は1以上10000以下であることが好ましく、1以上5000以下であることがより好ましく、5以上2500以下であることがさらに好ましく、10以上1000以下であることが最も好ましい。
また、ホログラム記録材料の記録波長光の透過率は10〜99%であることが好ましく、20〜95%であることがより好ましく、30〜90%であることがさらに好ましく、40〜85%であることが、回折効率、感度、記録密度(多重度)の点で最も好ましい。したがって、そのようになるようにホログラム記録材料の膜厚に合わせて増感色素の記録波長におけるモル吸光係数と添加モル濃度を調整することが好ましい。
また、増感色素のλmaxはホログラム記録波長よりも短波長であることがより好ましく、ホログラム記録波長と同じから100nm短波長な範囲の間であることがさらに好ましい。
さらに、増感色素の記録波長におけるモル吸光係数はλmaxのモル吸光係数の5分の1以下であることが好ましく、10分の1以下であることがより好ましい。
特に増感色素がシアニン色素やメロシアニン色素のような有機色素の時は20分の1以下であることがより好ましく、50分の1以下であることがさらに好ましく、100分の1以下であることが最も好ましい。
以下に本発明の増感色素の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2005309359
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なお、ホログラム記録波長が532nmのYAGレーザー2倍波の場合、増感色素としてはベンゾオキサゾール環を有するトリメチンシアニン色素、Ru錯体色素、フェロセン類が特に好ましく、405〜415nmのGaNレーザーの場合、ベンゾオキサゾール環を有するモノメチンシアニン色素、Ru錯体色素、フェロセン類が特に好ましい。
本発明の増感色素の好ましい例としては他に、特願2003−300059号に記載されている。本発明の増感色素は市販品であるか、あるいは公知の方法により合成することができる。
次に本発明のホログラム記録材料において、干渉縞明部と暗部にて屈折率差を形成するための消色性色素について詳しく述べる。
先述した(A)の方式では、増感色素と消色性色素を兼ねるため、消色性色素の好ましい例としては先述した増感色素の例が挙げられる。増感色素兼消色性色素のλmaxはホログラム記録光波長とホログラム記録光波長から100nm短い波長域の間にあることが好ましい。
一方、先述した(B)の方式では、増感色素とは別に消色性色素を用いる。その際、消色性色素としてはホログラム記録光波長のモル吸光係数が1000以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、0であることが最も好ましい。消色性色素のλmaxはホログラム記録光波長とホログラム記録光波長から200nm短い波長域の間にあることが好ましい。
(B)の方式では、消色性色素としては、増感色素の例に挙げたような色素でも好ましく用いられるが、より好ましくは、シアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、金属錯体色素のいずれかであり、さらに好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、キサンテン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、金属錯体色素のいずれかである。
特に、消色剤が酸の時、消色性色素としては、解離型アリーリデン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型アゾ色素の解離体であることが好ましく、解離型アリーリデン色素、解離型オキソノール色素、解離型アゾ色素の解離体であることがより好ましい。ここで解離型色素とは−OH基、−SH基、−COOH基、−NHSO2R基や−CONHSO2R基等、pKaが2〜14程度の範囲内にある活性水素を有し、プロトンが解離することによって、吸収が長波長化または高ε化する色素の総称である。したがって、解離型色素をあらかじめ塩基で処理して解離型としておけば、あらかじめ長波長化または高ε化した色素を調製することができ、光酸発生により非解離型に変化させ消色(短波長化または低ε化)することが可能となる。
また特に、消色剤が塩基の時は、あらかじめ酸で処理して発色体としたトリフェニルメタン色素、キサンテン色素、フルオラン色素等の酸発色性色素発色体を消色性色素として用いれば、光塩基発生により非プロトン付加体に変化させ消色(短波長化または低ε化)することが可能となる。
以下に本発明の消色性色素の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2005309359
Figure 2005309359
Figure 2005309359
Figure 2005309359
Figure 2005309359
Figure 2005309359
Figure 2005309359
Figure 2005309359
また、本発明の消色性色素としては、ホログラム露光により生成する増感色素励起状態からの電子移動により結合が切断し、その結果消色することができる以下の消色性色素の例も好ましく挙げることができる。
これらの消色性色素は元々はシアニン色素であるが、電子移動による結合の切断によりシアニンベース(ロイコシアニン色素)に変化し、吸収の消色または短波長化が起こるものである。
Figure 2005309359
本発明の消色性色素は市販品であるか、あるいは公知の方法により合成することができる。
次に、本発明のホログラム記録材料は、増感色素、消色性色素とは別に消色剤前駆体を有し、増感色素または消色性色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することがより好ましい。
ここで、消色剤としてはラジカル、酸、塩基、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであるが好ましく、ラジカル、酸、塩基のいずれかであることがより好ましい。また、消色剤前駆体としてはラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることが好ましく、ラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤のいずれかであることがより好ましい。
さらに消色剤前駆体としては、特に、酸や塩基やラジカル等を発生しなくても、増感色素励起状態から不可逆的に電子を受け取るまたは渡すことにより増感色素ラジカルカチオンまたはラジカルアニオンを発生させることにより、効率良く増感色素兼消色性色素を光分解することもできる。
いずれの場合も増感色素励起状態から消色剤前駆体へのエネルギー移動機構による場合は、増感色素1重項励起状態からエネルギー移動が起こるフェルスター型機構でも、3重項励起状態からエネルギー移動が起こるデクスター型機構でもどちらでも良い。
その際、エネルギー移動が効率良く起こるためには、増感色素の励起エネルギーが、色素前駆体の励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
一方、増感色素励起状態と消色剤前駆体との電子移動機構の場合は、増感色素1重項励起状態から電子移動が起こる機構でも、3重項励起状態から電子移動が起こる機構でもどちらでも良い。
また、増感色素励起状態が消色剤前駆体に電子を与えても、電子を受け取っても良い。増感色素励起状態から電子を与える場合、電子移動が効率良く起こるためには、増感色素の励起状態における励起電子の存在する軌道(LUMO)エネルギーが消色剤前駆体のLUMO軌道のエネルギーよりも高いことが好ましい。
増感色素励起状態が電子を受け取る場合、電子移動が効率良く起こるためには、増感色素の励起状態におけるホールの存在する軌道(HOMO)エネルギーが、消色剤前駆体のHOMO軌道のエネルギーよりも低いことが好ましい。
まず、消色剤前駆体として、酸発生剤、ラジカル発生剤について詳しく説明する。本発明のラジカル発生剤、酸発生剤としては、ラジカルのみ発生するラジカル発生剤と、ラジカルを発生することなく酸のみ発生する酸発生剤と、ラジカル及び酸を両方発生するラジカル及び酸発生剤のいずれかである。
本発明の酸発生剤、ラジカル発生剤、ラジカル及び酸発生剤として好ましくは、以下の14個の系が挙げられる。なお、これらの酸発生剤、ラジカル発生剤、ラジカル及び酸発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
1)ケトン系ラジカル発生剤
2)有機過酸化物系ラジカル発生剤
3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤
5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤
13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤
14)スルホン酸エステル系酸発生剤
以下に好ましい上記の系について具体的に説明していく。なお、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りの無い限りは、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
1)ケトン系ラジカル発生剤
ケトン系ラジカル発生剤としては、好ましくは芳香族ケトン、芳香族ジケトン等が挙げられる。
好ましい例としては例えば、ベンゾフェノン誘導体(例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン)、ベンゾイン誘導体(例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン)、アセトイン誘導体(アセトイン、ピバロイン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、アシロインエーテル誘導体(例えばジエトキシアセトフェノン)、α−ジケトン誘導体(ジアセチル、ベンジル、4,4´−ジメトキシベンジル、ベンジルジメチルケタール、2,3−ボルナンジオン(カンファーキノン)、2,2,5,5−テトラメチルテトラヒドロ−3,4−フラン酸(イミダゾールトリオン))、キサトン誘導体(例えばキサントン)、チオキサントン誘導体(例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン)、ケトクマリン誘導体等が挙げられる。
市販品としては例えば、チバガイギー社より上市されている下記式で表されるイルガキュアー184、651、907等が挙げられる。
Figure 2005309359
また、好ましい例としてキノン系ラジカル発生剤(例えば、9,10−アンスラキノン、1−クロロアンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、2−メチルアンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−t−ブチルアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンスレンキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、2,3−ベンズアンスラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、2−フェニルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、アンスラキノンアルファ−スルホン酸のナトリウム塩、3−クロロ−2−メチルアンスラキノン、レテネキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセンキノン、並びに1,2,3,4−テトラヒドロベンズ(a)アンスラセン−7,12−ジオン)も挙げられる。
2)有機過酸化物系ラジカル発生剤
好ましい例としては、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、特開昭59−189340号公報および特開昭60−76503号公報記載の3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤
ビスイミダゾール系ラジカル発生剤にて好ましいのは、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール誘導体であり、例えばビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)−イミダゾールダイマー(CDM−HABI)、1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′5,5′−テトラフェニル(o−Cl−HABI)、1H−イミダゾール、2,5−ビス(o−クロロフェニル)−4−〔3,4−ジメトキシフェニル〕−ダイマー(TCTM−HABI)などが挙げられる。
ビスイミダゾール系ラジカル発生剤は水素供与体と共に用いられることが好ましい。 水素供与体として好ましくは、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、などが挙げられる。
4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤
トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤は好ましくは以下の一般式(11)にて表される。
Figure 2005309359
一般式(11)中、R21、R22、R23はそれぞれ独立にハロゲン原子を表し、好ましくは塩素原子を表す。R24、R25はそれぞれ独立に水素原子、−CR21R22R23、置換基を表す。
置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、カルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
R24は好ましくは−CR21R22R23を、より好ましくは−CCl3基を表し、R25は好ましくは、 −CR21R22R23、アルキル基、アルケニル基、アリール基である。
トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4'−メトキシ−1'−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが例示される。好ましい例として、英国特許1388492号および特開昭53−133428号公報記載の化合物も挙げられる。
5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤は好ましくは以下の一般式(12)にて表される。
Figure 2005309359
R26はアリール基またはヘテロ環基を表し、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。
R27は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、a21は0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR27は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
X21 -は、HX21がpKa4以下(水中、25℃)、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の酸となる陰イオンで、好ましくは例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤の具体例としては例えば、ベンゼンジアゾニウム、4−メトキシジアゾニウム、4−メチルジアゾニウムの上記X21 -塩などが挙げられる。
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤は好ましくは以下の一般式(13)にて表される。
Figure 2005309359
一般式(13)中、X21 -は一般式(12)と同義である。R28、R29はそれぞれ独立に置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基を表す。
a22、a23はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜1の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR28、R29は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメチルジフェニルヨードニウム、4,4'−t-ブチルジフェニルヨードニウム、3,3'−ジニトロジフェニルヨードニウム、フェニル(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、フェニル(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−シアノフェニル)ヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
また、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、第10巻、p1307(1977年)に記載の化合物、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類も挙げられる。
7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤は好ましくは以下の一般式(14)にて表される。
Figure 2005309359
一般式(14)中、X21 -は一般式(12)と同義である。R30、R31、R32はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基(以上好ましい例はR24に同じ)を表し、好ましくは、アルキル基、フェナシル基、アリール基を表す。
スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤の具体例としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジメチルフェナシルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−フェニルチオトリフェニルスルホニウム、ビス−1−(4−(ジフェニルスルホニウム)フェニル)スルフィドなどのスルホニウム塩のクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが例示される。
8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤
ホウ酸塩系ラジカル発生剤は好ましくは以下の一般式(15)にて表される。
Figure 2005309359
一般式(15)中、R33、R34、R35、R36はそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基を表し(以上好ましい例はR24に同じ)、好ましくはアルキル基またはアリール基である。ただし、R33、R34、R35、R36の全てが同時にアリール基となることはない。X22 +は陽イオンを表す。
より好ましくはR33、R34、R35はアリール基であり、R36がアルキル基であり、最も好ましくはR33、R34、R35はフェニル基であり、R36はn−ブチル基である。
ホウ酸塩系ラジカル発生剤の具体例としては、テトラブチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルボレート、テトラメチルアンモニウムsec−ブチルトリフェニルボレートなどが挙げられる。
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤は好ましくは以下の一般式(16)にて表される。
Figure 2005309359
一般式(16)中、R28、R29、a22、a23は一般式(13)と同義であり、R33、R34、R35、R36は一般式(15)と同義である。
ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤の具体例としては以下に示すI-1〜I-3が挙げられる。
Figure 2005309359
さらに、特開平3−704号公報記載のジフェニルヨードニウム(n−ブチル)トリフェニルボレートなどのヨードニウム有機ホウ素錯体も好ましい例として挙げられる。
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤は好ましくは以下の一般式(17)にて表される。
Figure 2005309359
一般式(17)中、R33、R34、R35、R36は一般式(15)と同義である。R37、R38、R39はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基であり(以上好ましい例はR24に同じ)、より好ましくはアルキル基、フェナシル基、アリール基、アルケニル基である。R37、R38、R39は互いに連結して環を形成しても良い。R40は酸素原子もしくは孤立電子対を表す。
スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤の具体例としては以下に示すI-4〜I-10が挙げられる。
Figure 2005309359
さらに、特開平5−255347号、特開平5−213861号記載のスルホニウム有機ホウ素錯体も好ましい例として挙げられる。
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
本発明のラジカル発生剤がカチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤の場合は、そのカチオン性増感色素が本発明の増感色素または消色性色素の役割を行っても良い。
カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤は好ましくは一般式(18)にて表される。
Figure 2005309359
一般式(18)中、(Dye-1)+はカチオン性増感色素であり、好ましい例としては、先述した増感色素の中のカチオン性の増感色素である。例えばシアニン色素、メロシアニン色素が好ましく、シアニン色素がより好ましい。R33、R34、R35、R36は一般式(15)と同義である。
カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤の具体例としては例えば、以下に示すI-11、I-12、I-13、I-14等が挙げられる。
Figure 2005309359
また、特開昭62−143044号、62−150242号公報に記載の陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体も具体例として挙げられる。
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤
本発明のラジカル発生剤がアニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤の場合は、そのアニオン性増感色素が本発明の増感色素または消色性色素の役割を行っても良い。
アニオン性増感色素オニウム塩系ラジカル発生剤は好ましくは一般式(19)にて表される。
Figure 2005309359
一般式(19)中、(Dye-2)―はアニオン性の増感色素であり、好ましい例としては先述した増感色素の中のアニオン性の増感色素である。例えばシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素が好ましく、シアニン色素、オキソノール色素がより好ましい。X23 +は一般式(12)のジアゾニウム塩のカチオン部分、一般式(13)のジアリールヨードニウム塩のカチオン部分、一般式(14)のスルホニウム塩のカチオン部分を表し(いずれも好ましい例は先述した通り)、好ましくは一般式(13)のジアリールヨードニウム塩のカチオン部分または一般式(14)のスルホニウム塩のカチオン部分である。
アニオン性増感色素オニウム塩系ラジカル発生剤の具体例としては例えば、以下に示すI-15〜I-32等が挙げられる。
Figure 2005309359
13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤
金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤としては、金属は鉄またはチタンが好ましい。
具体的には、特開平1−54440号、ヨーロッパ特許第109851号、ヨーロッパ特許第126712号および「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の鉄アレーン錯体、「オルガノメタリックス(Organometallics)」、第8巻、第2737頁(1989年)記載の鉄アレーン有機ホウ素錯体、「Prog.Polym.Sci、第21巻、7〜8頁(1996年)記載の鉄アレーン錯体塩、特開昭61−151197号公報に記載されるチタセノン類、などが好ましい例として挙げられる。
14)スルホン酸エステル系酸発生剤
スルホン酸エステル系酸発生剤としては、好ましくはスルホン酸エステル類、スルホン酸ニトロベンジルエステル類、イミドスルホネート類、等を挙げることができる。
スルホン酸エステル類の具体例としては好ましくは、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、スルホン酸ニトロベンジルエステル類の具体例としては好ましくは、o−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、2',6'−ジニトロベンジル−4−ニトロベンゼンスルホネート、p−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメチルスルホネート、イミドスルホネート類の具体例として好ましくはN−トシルフタル酸イミド、9−フルオレニリデンアミノトシレート、α−シアノベンジリデントシルアミン、等が挙げられる。
ここで、本発明のラジカルまたは酸発生剤は、
a)ラジカルを発生するラジカル発生剤
b)酸のみ発生する酸発生剤
c)ラジカルと酸を同時に発生するラジカル及び酸発生剤
に分類することができる。
a)ラジカルを発生するラジカル発生剤として、前記の中では、以下の系が挙げられる。
1)ケトン系ラジカル発生剤
2)有機過酸化物系ラジカル発生剤
3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル発生剤
5)ジアゾニウム塩系ラジカル発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル発生剤
8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤
13)金属アレーン錯体系ラジカル発生剤
ラジカルを発生するラジカル発生剤としてより好ましくは、
1)ケトン系ラジカル発生剤
3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル発生剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤
が挙げられ、さらに好ましくは、
3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル発生剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤
が挙げられる。
酸をのみ発生できる酸発生剤として、前記の中では、以下の系が挙げられる。
14)スルホン酸エステル系酸発生剤
なお、酸発生剤としては、例えば「UV硬化;科学と技術(UV CURING;SCIENCE AND TECHNOLOGY)」[p.23〜76、S.ピーター・パーパス(S.PETER PAPPAS)編集、ア・テクノロジー・マーケッティング・パブリケーション(A TECHNOLOGY MARKETING PUBLICATION)]及び「コメンツ・インオーグ.ケム.(Comments Inorg.Chem.)」[B.クリンゲルト、M.リーディーカー及びA.ロロフ(B.KLINGERT、M.RIEDIKER and A.ROLOFF)、第7巻、No.3、p109−138(1988)]などに記載されているものを用いることもできる。
ラジカルと酸を同時に発生することができるラジカル及び酸発生剤として、前記の中では、以下の系が挙げられる。
4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤
5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤
ラジカルと酸を同時発生できるラジカル及び酸発生剤として好ましくは、
6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤
を挙げることができる。
次に、本発明の塩基発生剤について述べる。塩基発生剤とは、増感色素または消色性色素励起状態からのエネルギー移動または電子移動により塩基を発生することができる化合物である。塩基発生剤は暗所では安定であることが好ましい。本発明における塩基発生剤は、増感色素または消色性色素励起状態からの電子移動により塩基を発生することができる化合物であることが好ましい。
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
本発明の塩基発生剤として好ましくは、一般式(1−1)〜(1−4)で表される。なお、これらの塩基発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
一般式(1−1)または(1−2)にて、R1、R2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数(以下C数という)1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクタデシル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)のいずれかを表し、より好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基を表し、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基を表す。
1、R2は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、イミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
1、R2のより好ましい組み合わせとしては、R1が置換しても良いシクロヘキシル基でR2が水素原子、R1が置換しても良いアルキル基でR2が水素原子、R1、R2が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
一般式(1−1)または(1−2)にて、n1は0または1であり、好ましくは1である。
一般式(1−1)にて、R3はそれぞれ独立に置換基を表し、置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、カルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
一般式(1−1)にて、R3はニトロ基またはアルコキシ基であることが好ましく、ニトロ基またはメトキシ基であることがより好ましく、ニトロ基であることが最も好ましい。
一般式(1−1)にて、n2は0〜5の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。n2が2以上の時、複数のR3は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(1−1)にて、R3がニトロ基である時、2位または2,6位に置換することが好ましく、R3がアルコキシ基である時、3、5位に置換することが好ましい。
一般式(1−1)にて、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)好ましい例はR3に同じ)、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基のいずれかを表し、より好ましくは水素原子、メチル基、2−ニトロフェニル基のいずれかを表す。
4、R5のより好ましい組み合わせとしては、R4、R5共水素原子、R4がメチル基でR5が水素原子、R4、R5共メチル基、R4が2−ニトロフェニル基でR5が水素原子、等が挙げられ、さらに好ましくはR4、R5共水素原子である。
一般式(1−2)にて、R6、R7は置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、アルキル基を表し、より好ましくはメトキシ基を表す。
一般式(1−2)にて、n3、n4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。n3、n4が2以上の時、複数のR6、R7は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(1−2)にて、R6は3、5位に置換したアルコキシ基であることがより好ましく、3、5位に置換したメトキシ基であることがさらに好ましい。
一般式(1−2)にて、R8は水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子またはアリール基であり、より好ましくは水素原子である。
一般式(1−3)にて、R9は置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくはアルキル基、アリール基、ベンジル基、アミノ基であり、より好ましくは置換しても良いアルキル基、t−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、置換しても良いアニリノ基、シクロヘキシルアミノ基を表す。
なお、一般式(1−3)で表される化合物はR9からポリマー鎖に連結した化合物であっても良い。
一般式(1−3)にて、R10、R11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、より好ましくはメチル基、フェニル基、2−ナフチル基を表す。
10、R11は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としては例えばフルオレン環が好ましい。
一般式(1−4)にて、R12はアリール基またはヘテロ環基を表し、より好ましくは下記アリール基またはヘテロ環基である。
Figure 2005309359
一般式(1−4)にて、R13、R14、R15はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基(以上好ましい例はR1、R2に同じ)のいずれかを表し、好ましくはアルキル基を表し、より好ましくはブチル基を表す。なお、R13、R14、R15は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、イミダゾール環である。
一般式(1−4)にて、R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R16、R17、R18はフェニル基であり、R19はn−ブチル基またはフェニル基であることがより好ましい。
本発明の塩基発生剤は一般式(1−1)または(1−3)で表されることが好ましく、一般式(1−1)で表されることがより好ましい。
以下に、本発明の塩基発生剤の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005309359
Figure 2005309359
Figure 2005309359
Figure 2005309359
次に本発明の求核剤発生剤について説明する。ここで求核剤発生剤とは、増感色素または消色性色素励起状態からのエネルギー移動または電子移動により結合を切断する等により求核剤を放出できる化合部である。求核剤発生剤は暗所では安定であることが好ましい。本発明における求核剤発生剤は、増感色素または消色性色素励起状態からの電子移動により求核剤を発生することができる化合物であることが好ましい。
発生する求核剤として好ましくは例えば、Cアニオン、Oアニオン、Sアニオン、窒素、ハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられる。
以下に本発明の求核剤発生剤の好ましい例について具体的を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005309359
Figure 2005309359
次に本発明の求電子剤発生剤について説明する。求電子剤発生剤とは、増感色素または消色性色素励起状態からのエネルギー移動または電子移動により求電子剤を発生することができる化合物である。求電子剤発生剤は暗所では安定であることが好ましい。本発明における求電子剤発生剤は、増感色素または消色性色素励起状態からの電子移動により求電子剤を発生することができる化合物であることが好ましい。発生する求電子剤として好ましくはアルキルカチオン、アリールカチオン等が挙げられる。
本発明の求電子剤発生剤としては、フェニルカチオン等を発生可能な、酸発生剤として先述したジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩等を好ましく挙げることができる。
さらに、本発明のホログラム記録材料にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、その励起エネルギーを用いてホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下、好ましくは100以下、最も好ましくは0の消色性色素を消色し、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とするホログラム記録方法(「残存消色色素潜像−潜像増感重合方式」と名付ける)も高速記録、多重記録適性、記録後の保存性等に優れるため好ましい。
なお、ここで「潜像」とは、「第2の工程後形成される屈折率差の好ましくは2分の1以下の屈折率差」のこと(つまり好ましくは第2の工程にて2倍以上の増幅工程が行われること)を示し、より好ましくは5分の1以下、さらに好ましくは10分の1以下、最も好ましくは30分の1以下の屈折率差画像であること(つまり第2の工程にてより好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上、最も好ましくは30倍以上の増幅工程が行われること)を示す。
さらに、「残存色素色素潜像−潜像増感重合方式」において、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、エネルギー移動または電子移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とするホログラム記録方法、も好ましい。
ここで、第2の工程は光照射、熱印加のいずれかまたはその両方であることが好ましく、光照射であることがより好ましく、照射する光は全面露光(いわゆるベタ露光、ブランケット露光、ノンイメージワイズ露光)であることが好ましい。
用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、赤外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
その際、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が5000以下である領域の波長の光であることが好ましく、1000以下である領域の波長の光であることがより好ましく、500以下であることが好ましい。
また、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ消色性色素のモル吸光係数が1000以上である領域の波長の光であることが好ましい。
さらに、消色性色素はホログラム再生光波長とホログラム再生光波長から200nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有することが好ましい。
さらに、そのようなホログラム記録方法が可能なホログラム記録材料用の化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接または消色剤前駆体に電子移動またはエネルギー移動する結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
なお、2)にて消色剤前駆体に電子移動またはエネルギー移動する場合は、第1の工程にて増感色素励起状態から、電子移動またはエネルギー移動することにより消色剤を発生することができる消色剤前駆体も含むことが好ましい。なお場合により3)の重合開始剤も兼ねる。
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、
を含むことが好ましい。
増感色素、消色性色素の好ましい例は先述した通りである。
重合性化合物、バインダーとしては、バインダーは重合性化合物と屈折率が違うことが好ましい。屈折率変調を大きくするためには重合性化合物とバインダーのバルクでの屈折率差は大きいことが好ましく、屈折率差は0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましい。なお、重合性化合物の方がより屈折率が大きくても、バインダーの方がより屈折率が大きくても、どちらでも構わない。
本発明の重合性化合物とは、増感色素(または発色体)と重合開始剤に光を照射することにより発生したラジカル、酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)または塩基(ブレンステッド塩基またはルイス塩基)により、付加重合を起こしてオリゴマーまたはポリマー化が可能な化合物のことである。
本発明の重合性化合物としては、単官能性でも多官能性でも良く、一成分でも多成分でも良く、モノマー、プレポリマー(例えばダイマー、オリゴマー)でもこれらの混合物でもいずれでも良いが、モノマーであることが好ましい。
また、その形態は、室温において液状であっても固体状であっても良いが、沸点100℃以上の液状であるか、沸点100℃以上の液状モノマーと固体状モノマーの混合物であることが好ましい。
本発明の重合性化合物は、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオンまたはアニオン重合可能な重合性化合物に大別される。
以下に、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオンまたはアニオン重合可能な重合性化合物ごとに、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて好ましい重合性化合物の例を説明する。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のラジカル重合性化合物の好ましい例
この場合、ラジカル重合性化合物は屈折率が高いことが好ましく、本発明の高屈折率ラジカル重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を分子中に有し、さらに少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含む化合物が好ましく、また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
高屈折率ラジカル重合性モノマーとして好ましくは、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、
2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート又はジメタクリレート、ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、などが挙げられ、より好ましくはアクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチルなどが挙げられる。
好ましい重合性化合物は液体であるが、それらはN−ビニルカルバゾール、アクリル酸2−ナフチル、アクリル酸ペンタクロロフェニル、アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、ビスフェノール−Aジアクリレート、アクリル酸2−(2−ナフチロキシ)エチル、並びにN−フェニルマレイミドのような第2の固体重合性化合物と混合して使用してよい。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のラジカル重合性化合物の好ましい例
この場合、ラジカル重合性化合物は屈折率が低いことが好ましく、本発明の低屈折率ラジカル重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を分子中に有し、さらにアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まないことが好ましい。
また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
低屈折率ラジカル重合性モノマーとして好ましくは、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソ−ボルニル、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、フマル酸ジアリル、アクリル酸1H,1H−パーフロロオクチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、1−ビニル−2−ピロリジノンなどが挙げられ、より好ましくは、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、エトキシル化トリメチロールプロパンのトリアクリレートエステル、並びに1−ビニル−2−ピロリジンなどが挙げられ、より好ましくは、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、アクリル酸1H,1H−パーフロロオクチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、1−ビニル−2−ピロリジンなどが挙げられる。
好ましい重合性化合物は液体であるが、それらは、第2の固体重合性化合物モノマー、例えばN−ビニルカプロラクタム等と混合して使用してよい。
本発明のカチオン重合性化合物は、増感色素とカチオン重合開始剤に光照射することにより発生した酸により重合が開始される化合物で、本発明のアニオン重合性化合物は、増感色素とアニオン重合開始剤に光照射することにより発生した塩基により重合が開始される化合物である。
本発明のカチオン重合性化合物として好ましくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N−ビニルカルバゾール部位を分子中に少なくとも1個以上有する化合物であり、より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
本発明のアニオン重合性化合物として好ましいくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N−ビニルカルバゾール部位、電子吸引性置換基を備えるエチレン性二重結合部位、ラクトン部位、ラクタム部位、環状ウレタン部位、環状尿素部位、または、環状シロキサン部位を分子中に少なくとも1個以上有する化合物であり、より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のカチオンまたはアニオン重合性化合物の好ましい例
この場合、カチオンまたはアニオン重合性化合物は屈折率が高いことが好ましく、本発明の高屈折率カチオンまたはアニオン重合性化合物としては、少なくとも1個のオキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N−ビニルカルバゾール部位を分子中に有し、さらに少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含む化合物が好ましく、少なくとも1個以上のアリール基を含むことが好ましい。また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
オキシラン環を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーとして好ましくは、フェニルグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリメリト酸トリグリシジルエステル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、4,4'−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、p−ブロモスチレンオキサイド、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、1,3-ビス(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル)−1,3,−ジフェニル−1,3,−ジメチルジシロキサンなどが挙げられる。
オキセタン環を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては、前記のオキシラン環を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例のオキシラン環をオキセタン環に置き換えた化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル基部位を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては例えば、ビニル−2−クロロエチルエーテル、4−ビニルエーテルスチレン、ハイドロキノンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、フェノキシエチレンビニルエーテル、p−ブロモフェノキシエチレンビニルエーテルなどが挙げられる。
他に、N−ビニルカルバゾールも高屈折率カチオン重合性モノマーとして好ましい。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のカチオンまたはアニオン重合性化合物の好ましい例
この場合、カチオンまたはアニオン重合性化合物は屈折率が低いことが好ましく、本発明の低屈折率カチオンまたはアニオン重合性化合物としては、少なくとも1個のオキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N−ビニルカルバゾール部位を分子中に有し、さらにアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まない化合物が好ましい。また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
オキシラン環を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3',4'−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,3-ビス(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサンなどが挙げられる。
オキセタン環を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては、前記のオキシラン環を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例のオキシラン環をオキセタン環に置き換えた化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル基部位を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては例えば、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、エチレングリゴールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルグリコール、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、アリルビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)プロパンジビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)トリフルオロプロパンジビニルエーテルなどが挙げられる。
次に、重合反応による干渉縞記録の際の、本発明における好ましいバインダーについて、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて例を説明する。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のバインダーの好ましい例。
この場合、バインダーは低屈折率であることが好ましく、アリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まないバインダーであることが好ましい。
好ましい低屈折率バインダーの具体例としては、アクリレート及びアルファ−アルキルアクリレートエステル及び酸性重合体及びインターポリマー(例えばポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル,メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体及びほぼ4,000〜1,000,000の平均分子量を有するポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化物(例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物)、ポリアミド(例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアジパミド)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルベンジルセルロース)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などが挙げられる。
また、フッ素原子含有高分子も低屈折率バインダーとして好ましい。好ましいものとしては、フルオロオレフィンを必須成分とし、アルキルビニルエーテル、アリサイクリックビニルエーテル、ヒドロキシビニルエーテル、オレフィン、ハロオレフィン、不飽和カルボン酸およびそのエステル、およびカルボン酸ビニルエステルから選ばれる1種もしくは2種以上の不飽和単量体を共重合成分とする有機溶媒に可溶性の重合体である。好ましくは、その重量平均分子量が5,000から200,000で、またフッ素原子含有量が5ないし70重量%であることが望ましい。
前記したフッ素原子含有高分子の具体例として、例えば水酸基を有する有機溶媒可溶性の「ルミフロン」シリーズ(例えばルミフロンLF200、重量平均分子量:約50,000、旭硝子社製)が挙げられる。この他にも、ダイキン工業(株)、セントラル硝子(株)、ペンウオルト社などからも有機溶媒可溶性のフッ素原子含有高分子が上市されており、これらも使用することができる。
またポリ(ジメチルシロキサン)などのケイ素化合物や芳香族を含まないシリコンオイル等も好ましい例として挙げられる。
また他に、芳香族を含まないエポキシオリゴマー化合物も低屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のバインダーの好ましい例。
この場合、バインダーは高屈折率であることが好ましく、少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含むバインダーであることが好ましく、アリール基を含むバインダーであることがより好ましい。
好ましい高屈折率バインダーの具体例としては、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニル及び共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH2)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸、(3)テレフタル酸及びセバシン酸、(4)テレフタル酸及びイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコール及び(i)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸及び(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸及びアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾール及びその共重合体、炭酸エステルとビスフェノールから成るポリカーボネートなどが挙げられる。
またポリ(メチルフェニルシロキサン)や、1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシロキサンなどのケイ素化合物、芳香族を多く含むシリコンオイル等も好ましい例として挙げられる。
また他に、芳香族を多く含むエポキシオリゴマー化合物も高屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
重合開始剤として好ましくは、ケトン系、有機過酸化物系、トリハロメチル置換トリアジン系、ジアゾニウム塩系、ジアリールヨードニウム塩系、スルホニウム塩系、ホウ酸塩系、ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系、スルホニウム有機ホウ素錯体系、カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系、アニオン性増感色素オニウム塩錯体系、金属アレーン錯体系、スルホン酸エステル系のいずれかのラジカル重合開始剤(ラジカル発生剤)またはカチオン重合開始剤(酸発生剤)、あるいはその両方の機能を有するものが挙げられ、好ましい例としては消色剤前駆体における酸発生剤及びラジカル発生剤に挙げた通りである。
重合開始剤、重合性化合物、バインダーの好ましい例として具体的には例えば、特願2004−238932号に記載されている例が挙げられる。
酸増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。酸増殖剤の好ましい例として具体的に例えば、特願2003−182849号に記載されている例が挙げられる。
また、アニオン重合及び塩基発生剤(塩基発生剤)を用いる場合も好ましい。
好ましい例としては、消色剤前駆体における塩基発生剤に挙げた通りである。
さらにその場合塩基増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。それらの場合好ましい例として具体的には例えば、特願2003−178083号に記載されている例が挙げられる。
ラジカル重合開始剤を用いる際は、重合性化合物としてアクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和基を有することが好ましく、カチオン重合開始剤または塩基発生剤を用いる際はオキシラン環、オキセタン環またはビニルエーテル基を有することが好ましい。
本発明における重合開始剤として好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2005309359
Figure 2005309359
ここで、本発明の「残存消色色素潜像−潜像増感重合方式」において、消色剤前駆体と重合開始剤が一部または全部同じで両方の機能を兼ねることも好ましい。
増感色素とは別に消色性色素を添加する場合にて、消色剤前駆体と重合開始剤が異なる場合(例えば消色剤前駆体が酸発生剤または塩基発生剤、重合開始剤はラジカル重合開始剤、あるいは、消色剤前駆体がラジカル発生剤または求核剤発生剤、重合開始剤が酸発生剤または塩基発生剤)は、増感色素は消色剤前駆体に対してのみ電子移動増感可能で、重合開始剤は消色性色素によってのみ電子移動増感可能であることが好ましい。
本発明のホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料においては、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を分解して定着することが保存性及び非破壊再生の点で好ましく、さらには、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより残存している消色性色素を分解して定着することがより好ましい。
以下に「残存消色色素潜像−潜像増感重合方式」の概念を説明する。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から消色剤前駆体にエネルギー移動または電子移動させることにより消色剤を発生させて、消色性色素を消色させる。その結果、残存した消色性色素による潜像を形成することができる(以上第1の工程)。次に360〜420nmの波長域の光を照射して、残存消色色素潜像の吸収を起こし、重合開始剤に電子移動またはエネルギー移動させることにより活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が小さい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が低くなる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉明部となった部分では潜像となる残存消色性色素が少ないため第2の工程においても重合はあまり起きずバインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。第1及び第2の工程、あるいはさらにその後の定着工程により増感色素及び残存消色性色素を分解して消色できれば、非破壊再生及び保存性に優れたホログラム記録材料を提供することができる。
例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
本発明のホログラム記録材料は、前記のような増感色素、消色性色素、消色剤前駆体、重合開始剤、重合性化合物、バインダー等に加えて、さらに必要に応じて電子供与性化合物、電子受容性化合物、連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の添加物を用いることができる。
電子供与性化合物は増感色素のラジカルカチオンを還元する能力を有し、電子受容性化合物は増感色素のラジカルアニオンを酸化する能力を有し、共に増感色素を再生する機能を有する。具体的には例えば、特願2004−238077号に記載されている例が好ましい例として挙げられる。
特に電子供与性化合物は、色素前駆体群への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンを素早く再生できるため高感度のために有用である。電子供与性化合物としては、酸化電位が増感色素の酸化電位よりも卑なものが好ましい。電子供与性化合物の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2005309359
電子供与性化合物としては特に、フェノチアジン系化合物(例えば10−メチルフェノチアジン、10−(4’−メトキシフェニル)フェノチアジン)、トリフェニルアミン系化合物(例えばトリフェニルアミン、トリ(4’−メトキシフェニル)アミン、TPD系化合物(例えばTPD)等が好ましく、フェノチアジン系化合物が最も好ましい。
連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の具体例として好ましい例は、特願2004−238392号に記載されている例が挙げられる。
連鎖移動剤として好ましくは、チオール類であり、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、p−ブロモベンゼンチオール、チオシアヌル酸、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、p−トルエンチオールなどが挙げられる。
特に重合開始剤が2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーの場合は連鎖移動
剤を用いることが好ましい。
本発明のホログラム記録材料には、保存時の保存性を向上させるために熱安定剤を添加することができる。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2-ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。
可塑剤はホログラム記録材料の接着性、柔軟性、硬さ、およびその他の機械的諸特性を変えるために用いられる。可塑剤としては例えば、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジエチルセバケート、ジブチルスベレート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフタレート、アルコール類、フェノール類等が挙げられる。
本発明のホログラム記録材料は通常の方法で調製されてよい。
例えば、本発明のホログラム記録材料の製膜方法としては、前記のバインダーや各成分を溶媒等に溶かしてスピンコーターまたはバーコーター等を用いて塗布しても良い。
その際、溶媒として好ましくは例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒が挙げられる。
本発明のホログラム記録材料は、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストしついで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらによりホログラム記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
また本発明のホログラム記録材料は、各成分を含むバインダーをバインダーのガラス転移温度または融点以上の温度にしてメルトさせ溶融押し出しまたは射出成型して製膜しても良い。その際、バインダーとして反応性架橋バインダーを使用し、押し出しまたは成型後に架橋させて膜を硬化させ、膜強度を増しても良い。その場合、架橋反応にはラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。また、特開2000-250382号、特開2000-172154号等記載の方法も好ましく使用することができる。
また、バインダーを形成するモノマー溶液に各成分を溶解させておいた上でモノマーを熱重合または光重合させてポリマーとし、バインダーとして使用する方法も好ましく使用できる。その際の重合法としても、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。
さらに、ホログラム記録材料の上に、酸素遮断のための保護層を形成してもよい。保護層は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布してもよい。また、ガラス板を貼合わせてもよい。また、保護層と感光膜の間および/または、基材と感光膜の間に、気密性を高めるために粘着剤または液状物質を存在させてもよい。
本発明のホログラム記録材料をホログラフィック光メモリ用途に用いる場合、ホログラム記録材料はホログラム記録前後で収縮等が起こらない方が信号再生時のS/N比向上の点でより好ましい。
そのため、例えば本発明のホログラム記録材料に特開2000−86914号記載の膨張剤を用いたり、特開2000−250382号、2000−172154、特開平11−344917号記載の耐収縮性のあるバインダーを用いることも好ましい。
また、特開平3−46687号、5−204288号、特表平9−506441号等記載の拡散要素を用いて干渉縞間隔を調節することも好ましい。
特許文献1〜3、5〜8のような公知の通常のフォトポリマーでは多重記録を行うと、多重記録後半の方では重合がかなり進んだ所に記録することとなるため、多重記録前半に比べて、同じ信号を記録するにも露光時間を必要とする(感度が低下)することとなり、システム設計上重大な問題とされていた。つまり、露光量に対して、屈折率変調量がリニアに上昇する範囲が非常に狭いことが問題とされたいた。
それに対し、特に本発明の「消色反応方式」の記録方法は干渉縞記録に重合を伴わない方式であり、また、「残存消色色素潜像−潜像増感重合反応方式」においても、ホログラム露光(第1の工程)の際に重合反応をほとんど伴わなわず、第2の工程の全面露光にて一括して重合による屈折率変調を行う方式である。
したがって、どちらの方法においても多くの多重記録が可能であり、さらに、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま、つまり露光量に対して屈折率変調量がリニアに上昇しながら多重記録することができるため、広いダイナミックレンジを取ることができる。このように、消色方式または潜像重合方式を用いる本発明の記録方式は、上記多重記録適性の点で大変有利である。
これは、高容量化、記録システム簡略化、S/N比向上等の点で好ましい。
以上のように、本発明のホログラム記録材料は、前述の課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と良保存性、乾式処理、多重記録特性を両立できる全く新しい記録方式を与えるものであり、特に、光記録媒体(ホログラフィック光メモリ)に用いることが好ましい。
さらに、本発明のホログラム記録材料は、光記録媒体の他にも、3次元ディスプレイホログラム、ホログラフィック光学素子(HOE、例えば、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス)、書籍、雑誌等の表紙、POPなどのディスプレイ、ギフト、偽造防止用のセキュリティ目的としてクレジットカード、紙幣、包装などに好ましく用いることができる。
[実施例]
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明した。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[消色方式(増感色素+消色性色素)によるホログラム記録方法]
赤色灯下にて、表1に示した増感色素、電子供与性化合物、消色剤前駆体、消色性色素、バインダーPMMA-EA(ポリ(メチルメタクリレート−5%エチルアクリレート)共重合体、Mw101000)を2〜4倍重量の塩化メチレン(必要によりアセトンまたはアセトニトリルも併用する)に溶解し、ホログラム記録材料用組成物301〜309を調液した。なお%はすべてバインダーPMMA-EAに対する重量%を表す。
Figure 2005309359
このホログラム記録材料用組成物301〜309を厚さが約80μmになるようにブレードを用いてガラス基板に塗布(必要なら重ね塗り)し、感光層を形成した後、40℃で3分間加熱乾燥して溶媒を留去した。さらに感光層上をTAC膜で覆うことにより、ホログラム記録材料301〜309を作製した。
ホログラム記録材料を、図1に示す透過型ホログラム記録用の2光束光学系により、光源としてYAGレーザー2倍波(532nm、出力2W)を用いて露光し記録した。物体光と参照光のなす角は30度である。ビームは0.6cmの直径と8mW/cm2の強度とを有しており、ホログラフィー露光時間を0.1〜400秒の範囲(照射エネルギーにして0.8〜3200mJ/cm2の範囲)変化させて露光した。ホログラムに露光している間、He−Neレーザー632nmのビームをブラック角にて露光領域の中心に通し、その透過光に対する回折光の比(相対回折効率)を実時間で測定した。
ホログラム記録材料301〜309における最大回折効率、感度、及び収縮率の評価結果を表2に記す。なお、収縮率は記録前後の膜厚変化から求めた。なお、比較例として、特開平6−43634号実施例1のラジカル重合フォトポリマー方式ホログラム記録材料を作成した。
Figure 2005309359
表2から、公知の特開平6−43634号記載の比較例は回折効率は高いもののラジカル重合を伴なうフォトポリマー方式であるため5%を超える大きな収縮を伴ない、特にホログラフィックメモリ用途としてはS/N比が極めて悪化し不向きである。それに対し、本発明のホログラム記録材料301〜309は物質移動と重合を用いないで消色反応を用いた屈折率変調によるホログラム記録を行う、公知のホログラム記録材料とは全く異なる記録方式であるため、高い回折効率と0.01%以下の極めて小さい収縮率を両立できることがわかり、特にホログラフィックメモリ用途に適している。
さらに、本発明のホログラム記録材料は露光量(mJ/cm2)に応じてほぼリニアーにΔn(干渉縞における屈折率変調量、回折効率と膜厚からクーゲルニックの式に基づいて計算)が上昇し、多重記録の際有利である。
実際に、本発明のホログラム記録材料を用い、前記最大回折効率を与えた露光量の10分の1の光量で、参照光の角度を2度ずつ変えて同じ場所に10回の多重ホログラム記録を行った後、再生光の角度を2度ずつ変更して照射することによりそれぞれの物体光を再生することが可能なことを確かめた。つまり、本発明のホログラム記録材料は同じ露光量にて多重記録が可能であり、多重記録適性を有したことがわかる。このように本発明のホログラム記録材料は数多くの多重記録が可能であるため、高密度(容量)記録が可能である。
それに対し、特開平6−43634号を始めとする公知のフォトポリマー方式ホログラム記録材料は、多重記録後期はフォトポリマーの重合が進んで記録に必要なモノマーの移動が遅くなり、同じ記録を行うのに際し初期に比べてより多くの照射光量を必要とすることがわかり、多重度つまり記録密度を向上させるに際し問題であることがわかった。
[自己消色方式(増感色素、消色性色素兼任)によるホログラム記録方法]
赤色灯下にて、表3に示した増感色素兼消色性色素、消色剤前駆体、バインダーPMMA-EA(ポリ(メチルメタクリレート−5%エチルアクリレート)共重合体、Mw101000)を2〜4倍質量の塩化メチレン(必要によりアセトンまたはアセトニトリルも併用する)に溶解し、ホログラム記録材料用組成物201、202を調液した。なお%はすべてバインダーPMMA-EAに対する質量%を表す。
Figure 2005309359
Figure 2005309359
このホログラム記録材料用組成物201、202を厚さが約100μmになるようにブレードを用いてガラス基板に塗布(必要なら重ね塗り)し、感光層を形成した後、40℃で3分間加熱乾燥して溶媒を留去した。さらに感光層上をTAC膜で覆うことにより、ホログラム記録材料201、202を作製した。
ホログラム記録材料を、図1に示す透過型ホログラム記録用の2光束光学系により、光源としてYAGレーザー2倍波(532nm、出力2W)を用いて露光し記録した。物体光と参照光のなす角は30度である。ビームは0.6cmの直径と12mW/cm2の強度とを有しており、ホログラフィー露光時間を0.1〜100秒の範囲(照射エネルギーにして1.2〜1200mJ/cm2の範囲)変化させて露光した。ホログラムに露光している間、He−Neレーザー632nmのビームをブラック角にて露光領域の中心に通し、その透過光に対する回折光の比(相対回折効率)を実時間で測定した。
ホログラム記録材料201、202における露光量に対する回折効率の変化、最大回折効率を評価した結果、感度はそれぞれ290、250mJ/cm2、最大回折効率は84、82%となった。なお、最大回折効率の半分の値を示した時の露光エネルギーを感度とする。
さらに、露光量に応じてほぼリニアーに回折効率が上昇した。
以上より、本発明の「消色反応方式」のホログラム記録材料及び記録方法により、比較的高い感度かつ多重記録適性を有したホログラム記録が可能であることがわかった。
実際に、本発明のホログラム記録材料を用い、前記最大回折効率の半分の値を与えた露光量の10分の1の光量で、参照光の角度を2度ずつ変えて同じ場所に10回の多重ホログラム記録を行った後、再生光の角度を2度ずつ変更して照射することによりそれぞれの物体光を再生することが可能なことを確かめた。つまり、本発明のホログラム記録材料は同じ露光量にて多重記録が可能であり、多重記録適性を有することがわかる。
[残存消色性色素潜像−潜像増感重合方式によるホログラム記録方法]
赤色灯下にて、表4に示した増感色素、電子供与性化合物、消色性色素、消色剤前駆体、重合開始剤、重合性化合物及びバインダーを2〜5倍量の塩化メチレン(必要によりアセトン、アセトニトリルまたはメタノールを一部使用)に溶解し、ホログラム記録材料401〜404を調液した。なお%は重量%を表す。
Figure 2005309359
このホログラム記録材料401〜404を厚さが約80μmになるようにブレードを用いてガラス基板に塗布(必要により重ね塗り)し、感光層を形成した後、40℃で3分間加熱乾燥して溶媒を留去した。さらに感光層上をTAC膜で覆うことにより、ホログラム記録材料401〜404を作製した。
ホログラム記録材料を、図1に示す透過型ホログラム記録用の2光束光学系により、光源としてYAGレーザー2倍波(532nm、出力2W)を用いて露光し記録した。物体光と参照光のなす角は30度である。ビームは0.6cmの直径と8mW/cm2の強度とを有しており、ホログラフィー露光時間を0.1〜40秒の範囲(照射エネルギーにして0.8〜320mJ/cm2の範囲)変化させて露光し、(第1の工程)He−Neレーザー632nmのビームをブラック角にて露光領域の中心に通し、その透過光に対する回折光の比(相対回折効率)を実時間で測定した(第1の工程後回折効率η)。さらにそれぞれについて、370〜410nmの波長範囲の光を全面照射し(第2の工程)、回折効率を測定した(第2の工程後回折効率η)。さらに、第2の工程を用いずに第1の工程のみで最大回折効率を出すのに必要な照射光量を、第2の工程を用いる場合に第1の工程に必要な照射光量で割ったものを「増幅率」とし、以上を表5にまとめた。
Figure 2005309359
表5より、本発明のホログラム記録材料においては、第1の工程に照射する光量は、第2の工程を用いない場合に比べ5分の1〜7分の1にすることができる。第2の工程は一括露光が可能なため、第2の工程における第1の工程の残存消色性色素を潜像として重合を起こすことによる屈折率変調記録の増幅により、第1の工程の短縮化つまり高感度化が可能であることがわかる。当然ながら、特開平6−43634号記載のような公知の材料では、そのような増幅による高感度化は不可能である。
さらに、本発明のホログラム記録材料は第1の工程後及び第2の工程後共、露光量(mJ/cm2)に応じてほぼリニアーにΔn(干渉縞における屈折率変調量、回折効率と膜厚からクーゲルニックの式に基づいて計算)が上昇し、多重記録の際有利である。
実際に、本発明のホログラム記録材料を用い、前記の第1の工程における露光量の10分の1の光量で、参照光の角度を2度ずつ変えて同じ場所に10回の多重ホログラム記録を行った後(第1の工程)、370〜410nmの波長範囲の光を全面照射して重合による記録増幅を行った(第2の工程)ところ、再生光の角度を2度ずつ変更して照射することによりそれぞれの物体光を再生することが可能なことを確かめた。つまり、本発明のホログラム記録材料は同じ露光量にて多重記録が可能であり、多重記録適性を有していることがわかる。つまり、本発明のホログラム記録材料は数多くの多重記録が可能であり、高密度(容量)記録が可能である。
それに対し、特開平6−43634号を始めとする公知のフォトポリマー方式ホログラム記録材料は、多重記録後期はフォトポリマーの重合が進んで記録に必要なモノマーの移動が遅くなり、同じ記録を行うのに際し初期に比べてより多くの照射光量を必要とすることがわかり、多重度つまり記録密度を向上させるに際し問題であることがわかった。
それに対し、本発明のホログラム記録方法は、ホログラム記録(第1の工程)に重合ではなく消色反応をしかも潜像として用いるために前記のようなことが起こらず、公知のフォトポリマー方式に対して優れている。
なお、実施例301〜309、401〜404にて、増感色素をS−1,S−4,S−8,S−10,S−11,S−19,S−23,S−31,S−33,S−34,S−43,S−45,S−46,S−50,S−58,S−67,S−71,S−73,S−74,S−77,S−80,S−81,S−87,S−91,S−94,S−95,S−96に変更しても同様な効果が得られた。
また、実施例201、202にて増感色素兼消色性色素をS−1、S−4、S−8、S−10、S−11、S−19、S−21、S−25、S−26、S−27、S−28、S−29、S−42、S−45、S−58に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料201、202、301〜308,401、402にて消色剤前駆体(酸発生剤、場合により兼酸またはラジカル重合開始剤)をI−3,I−4,I−6、I−7,I−8,I−9,I−10,トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロペンタノエート、ビス(1−(4−ジフェニルスルホニウム)フェニルスルフィドジトリフラート、ジメチルフェナシルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、ベンゾイントシレート、I−22,I−23に変更しても、試料301〜308、401,402にて酸消色性色素をG−31,G−33,G−35,G−36,G−38,G−39,G−40,G−42,G−45,G−50,G−51,G−62,G−66,G−70に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料309、403にて消色剤前駆体(塩基発生剤、場合により兼アニオン重合開始剤)をPB−3,PB−4,PB−5、PB−6、PB−7、PB−8,PB−9に変更しても、試料309、403にて塩基消色性色素をG−71、G−82,G−84,G−86,G−87,G−88,G−89に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料404にてラジカル重合開始剤をI−1,I−11〜I−20等に変更しても、試料404にて消色性色素をG−92,G−93,G−95,G−96に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料301〜305、308、309、402〜404にて電子供与体をA-2、A-3、A-4、A-5、A-6、A-9、A-10、A-11に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料201、202、301〜309にてバインダーをポリメチルメタクリレート(Mw996000、350000、120000)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート)共重合体(Mw75000)、ポリビニルアセテート(Mw83000)、ポリカーボネート等に変更しても同様な効果が得られた。
なお、上記の際、全面露光を行う光はそれぞれの系にて最適な波長を用いた。
ホログラム露光用の2光束光学系を説明する概略図である。
符号の説明
10 YAGレーザー
12 レーザービーム
14 鏡
20 ビームスプリッター
22 ビームセグメント
24 鏡
26 空間フィルター
40 ビームエキスパンダー
30 ホログラム記録材料
28 試料
32 He−Neレーザービーム
34 He−Neレーザー
36 検出器
38 回転ステージ

Claims (22)

  1. 少なくとも1種の消色性色素を有し、該消色性色素がホログラム露光により消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。
  2. 請求項1にて、該消色性色素がホログラム露光波長に吸収を有する増感色素であり、ホログラム露光の際光を吸収し、その結果自身を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする請求項1記載のホログラム記録方法。
  3. 請求項1にて、少なくともホログラム露光波長に吸収を有する増感色素及びホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素を有し、ホログラム露光の際増感色素が光を吸収し、その励起エネルギーを用いた電子移動またはエネルギー移動により消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする請求項1記載のホログラム記録方法。
  4. 請求項1〜3にて、消色性色素、増感色素とは別の消色剤前駆体を有し、増感色素または消色性色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、該消色剤が消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする請求項1〜3記載のホログラム記録方法。
  5. 請求項4にて、消色剤がラジカル、酸、塩基、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであることを特徴とする請求項4記載のホログラム記録方法。
  6. 請求項4または5にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることを特徴とする請求項4または5記載のホログラム記録方法。
  7. 請求項4〜6にて、消色剤前駆体がラジカル発生剤または酸発生剤、あるいはその両方の機能を有するものであり、1)ケトン系ラジカル発生剤、2)有機過酸化物系ラジカル発生剤、3)ビスイミダゾール系ラジカル発生剤、4)トリハロメチル置換トリアジン系ラジカル及び酸発生剤、5)ジアゾニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、6)ジアリールヨードニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、7)スルホニウム塩系ラジカル及び酸発生剤、8)ホウ酸塩系ラジカル発生剤、9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、10)スルホニウム有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、11)カチオン性色素有機ホウ素錯体系ラジカル発生剤、12)アニオン性色素オニウム塩錯体系ラジカル発生剤、13)金属アレーン錯体系ラジカル及び酸発生剤、14)スルホン酸エステル系酸発生剤、のいずれかであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のホログラム記録方法。なお、11)、12)においては、増感色素または消色性色素としての機能も兼ねる。
  8. 請求項4〜7にて、消色剤前駆体が酸発生剤であり、消色性色素が解離型色素解離体であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のホログラム記録方法。
  9. 請求項4〜7にて、消色剤前駆体が塩基発生剤であり、下記一般式(1−1)〜(1−4)で表されることを特徴とする請求項4〜7記載のホログラム記録方法。
    Figure 2005309359
    一般式(1−1)〜(1−4)中、R1、R2、R13、R14、R15はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、R1、R2は互いに連結して環を形成しても良く、R13、R14、R15は互いに連結して環を形成しても良い。R3、R6、R7、R9はそれぞれ独立に置換基を表し、R4、R5、R8、R10、R11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R10、R11は互いに連結して環を形成しても良い。R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R12はアリール基またはヘテロ環基を表す。n1は0または1の整数を表し、n2〜n4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
  10. 請求項3〜9にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、その励起エネルギーを用いてホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素を消色し、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする請求項3〜9記載のホログラム記録方法。
  11. 請求項10にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、請求項4〜9記載の消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、エネルギー移動または電子移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする請求項10記載のホログラム記録方法。
  12. 請求項1〜11記載のホログラム記録方法に用いられることを特徴とするホログラム記録材料。
  13. 請求項10〜12記載のホログラム記録方法に用いられるホログラム記録材料が、少なくとも、
    1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
    2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接または消色剤前駆体に電子移動またはエネルギー移動する結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
    3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
    4)重合性化合物、および
    5)バインダー、
    を含むことを特徴とするホログラム記録材料。
  14. 請求項13にて、重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、光重合により干渉明部と干渉暗部にて重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調による干渉縞記録が可能であることを特徴とする請求項13記載のホログラム記録材料。
  15. 請求項1〜11記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いて体積位相型ホログラム記録を行うことを特徴とする体積位相型ホログラム記録方法。
  16. 請求項1〜11、15記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いて、10回以上の多重ホログラム記録を行うことを特徴とする請求項1〜11、15記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料。
  17. 請求項1〜11、15、16記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いて、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることを特徴とする請求項1〜11、15、16記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料。
  18. 請求項1〜11、15〜17記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いて、ホログラム露光後湿式処理を行わないことを特徴とする請求項1〜11、15〜17記載のホログラム記録方法または請求項12〜14記載のホログラム記録材料。
  19. 請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いる光記録媒体。
  20. 請求項12〜14記載のホログラム記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
  21. 請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いる3次元ディスプレイホログラム。
  22. 請求項12〜14記載のホログラム記録材料を用いるホログラフィック光学素子。
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