JP2006078821A - ホログラム記録材料、ホログラム記録方法及び光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホログラム記録波長光を吸収し励起状態を生成する増感色素と、増感色素励起状態からの電子移動により干渉縞を屈折率変調として記録することができる干渉縞記録成分と、干渉縞記録成分への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、とを含むホログラム記録材料。
【選択図】 なし
Description
一方、互いにホログラム記録材料の反対側から入射させて形成したホログラムを、一般に反射型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に平行または平行に近い形で1mmに3000〜7000本程度の間隔で形成される。
透過型ホログラムは、例えば特開平6−43634号[特許文献1]などで開示されているような公知の方法によって作成できる。また、反射型ホログラムは、例えば特開平2−3082号[特許文献2]、特開平3−50588号[特許文献3]などに開示された公知の方法によって作成できる。
それに対し膜厚が干渉縞間隔の5倍以下程度または1μm以下程度のホログラムを平面型または表面型という。
特に反射型の体積位相型ホログラムはリップマン型ホログラムとも呼ばれ、ブラック回折による波長選択的反射により、高回折効率にてフルカラー化、白色再生、高解像度化が可能となり、高解像フルカラー3次元ディスプレイの提供が可能となる。
また最近ではその波長選択的反射を生かして、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板等に代表されるホログラム光学素子(HOE)に広く実用化されてきている。
他にも例えば、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス等に実用または応用が検討されている。
さらにコンピューター高容量化等の流れの中で、コンピューターバックアップ用途や放送バックアップ用途等の業務用途においても、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる超高密度記録媒体が求められている。
そのような中、ランダムアクセスが不可能な磁気テープ媒体や可換不可能で故障しやすいハードディスクに対し、可換かつランダムアクセス可能で小型、安価な光記録媒体がより注目されてきている。しかしながら、DVD−Rのような既存の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい片面25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
(1)高感度であること
(2)高解像力を有すること
(3)ホログラムの回折効率が高いこと
(4)記録時の処理が乾式であり迅速であること
(5)多重記録が可能であること(ダイナミックレンジが広いこと)
(6)記録後の収縮率が小さいこと
(7)ホログラムの保存性が良いこと
具体的には例えば、重クロム酸ゼラチン方式は高い回折効率と低ノイズ特性という長所を有するが、保存性が極めて悪く、湿式処理が必要で低感度という問題を有し、ホログラフィックメモリ用途には適さない。
漂白ハロゲン化銀方式は高感度という長所を有するが、湿式処理が必要でかつ漂白処理が煩雑であり、また、散乱が大きい、耐光性に劣るという問題点を有し、ホログラフィックメモリ用途にはやはり一般的に適さない。
フォトリフラクティブ材料は書き換え可能という長所を有するが、記録時に高電場印加が必要、記録保存性が悪いという問題点を有する。
アゾベンゼン高分子材料等に代表されるフォトクロミック高分子方式も書き換え可能という長所を有するが、感度が極めて低く記録保存性も悪いという問題点を有する。例えば、WO9744365A1号[特許文献4]には、アゾベンゼン高分子(フォトクロミック高分子)の屈折率異方性と配向制御を用いた書き換え可能なホログラム記録材料が提示されているが、アゾベンゼン異性化の量子収率が低い上に配向変化を伴う方式であるがために感度が極めて低く、また書き換え可能であることとの相反で記録保存性も悪いという問題点を有し、実用には程遠い。
しかしながら、漂白ハロゲン化銀方式に比べると感度が1000分の1程度であること、回折効率を高めるためには2時間近い加熱定着処理を必要とすること、ラジカル重合であるため、酸素による重合阻害の影響を受け、また露光、定着後記録材料の収縮を伴い、再生時の回折波長及び角度が変化してしまう問題点があること、膜が柔らかいため保存性の点でも不足していること等からホログラフィックメモリ用途としては到底使用に耐えるものではない。
例えば、特開平5−107999号[特許文献5]、特開平8−16078号[特許文献6]等に、カチオン重合性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をバインダーの代わりに用い、さらに増感色素、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル重合性化合物を組み合わせたホログラム記録材料が開示されている。
また、特表2001―523842号[特許文献7]、特表11−512847号[特許文献8]等に、ラジカル重合を用いずに、増感色素、カチオン重合開始剤、カチオン重合性化合物及びバインダーのみを用いたホログラム記録材料が開示されている。
しかしこれらのカチオン重合方式はラジカル重合方式に比べて、収縮率の改善が見られるものの、その相反として、感度が低下しており、実用の際には転送速度の点で大きな問題となると考えられる。また回折効率も低下しており、S/N比や多重記録の点で問題となると考えられる。
そこで、ホログラム記録材料をホログラフィックメモリへ応用するためには、そのような課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と低収縮性、良保存性、乾式処理、多重記録特性(高記録密度)を両立できる全く新しい記録方式の開発が強く望まれていた。
「ホログラフィックディスプレイ」、辻内順平編、産業図書
(1)少なくとも、ホログラム記録波長光を吸収し励起状態を生成する増感色素と、増感色素励起状態からの電子移動により干渉縞を屈折率変調として記録することができる干渉縞記録成分と、干渉縞記録成分への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物(又は電子供与性部位)、とを含むことを特徴とするホログラム記録材料。
(2)前記電子供与性化合物の酸化電位が増感色素酸化電位よりも卑であることを特徴とする(1)記載のホログラム記録材料。
(3)前記電子供与性化合物の酸化電位が増感色素酸化電位よりも0〜0.8Vの範囲で卑であることを特徴とする(1)または(2)記載のホログラム記録材料。
(4)前記電子供与性化合物の酸化電位が増感色素酸化電位よりも0.1〜0.6Vの範囲で卑であることを特徴とする(1)、(2)または(3)記載のホログラム記録材料。
(5)前記電子供与性化合物の酸化電位が0.4〜1.0VvsSCEの範囲内であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のホログラム記録材料。
(6)前記電子供与性化合物の酸化電位が0.6〜0.9VvsSCEの範囲内であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のホログラム記録材料。
(7)前記電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のホログラム記録材料
(8)前記電子供与性化合物がアニリン類、トリフェニルアミン類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類のいずれかであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のホログラム記録材料
(9)前記電子供与性化合物がトリフェニルアミン類、フェノチアジン類のいずれかであることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のホログラム記録材料
(10)前記電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のホログラム記録材料
(12)前記電子供与性化合物(又は電子供与性部位)が共有結合またはイオン結合にて連結されている増感色素がシアニン色素、メロシアニン色素またはRu錯体色素であることを特徴とする(11)記載のホログラム記録材料。
(13)前記電子供与性化合物(又は電子供与性部位)が共有結合またはイオン結合にて連結されている増感色素がシアニン色素であることを特徴とする(11)または(12)記載のホログラム記録材料。
(14)前記電子供与性化合物(又は電子供与性部位)がポリマーの主鎖または側鎖に組み込まれており、ホログラム記録材料がそのポリマーを含むことを特徴とする(1)〜(13)記載のホログラム記録材料。
(15)前記電子供与性化合物(又は電子供与性部位)がポリマーの側鎖に組み込まれており、ホログラム記録材料がそのポリマーを含むことを特徴とする(14)記載のホログラム記録材料。
(16)前記電子供与性化合物(又は電子供与性部位)がポリマーの主鎖または側鎖に組み込まれているポリマーをバインダーポリマーとして含むことを特徴とする(14)記載のホログラム記録材料。
(17)前記電子供与性化合物が増感色素の1〜100倍モル含まれていることを特徴とする(1)〜(16)記載のホログラム記録材料。
(18)前記電子供与性化合物が増感色素の5〜50倍モル含まれていることを特徴とする(1)〜(16)記載のホログラム記録材料。
(19)前記電子供与性化合物が下記一般式(1−1)、(1−2)または(1−3)にて表されることを特徴とする(1)〜(18)記載のホログラム記録材料。
一般式(1−2)にて、R4、R5、R6はそれぞれ独立に置換基を表し、a4、a5、a6はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。a4、a5、a6が2以上の時、複数のR4、R5、R6は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
一般式(1−3)にて、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基のいずれかを表し、R9は置換基を表し、a9は0〜5の整数を表す。a9が2以上の時、複数のR9は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
(20)前記電子供与性化合物が一般式(1−2)で表される時、a4、a5、a6がそれぞれ独立に0または1を表し、R4、R5、R6はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシルアミノ基、アルキル基またはアリール基が置換しても良いアミノ基を表すことを特徴とする(19)記載のホログラム記録材料。
(21)前記電子供与性化合物が一般式(1−1)で表される時、X1が−S−で表されることを特徴とする(19)記載のホログラム記録材料。
(22)前記電子供与性化合物が一般式(1−1)で表される時、a2、a3が共に0であることを特徴とする(19)または(21)記載のホログラム記録材料。
(23)前記電子供与性化合物が一般式(1−1)で表される時、R1がアルキル基またはアリール基であることを特徴とする(19)、(21)または(22)記載のホログラム記録材料。
(24)前記電子供与性化合物が一般式(1−1)または(1−2)で表されることを特徴とする(19)〜(23)のいずれかに記載のホログラム記録材料。
(25)前記電子供与性化合物が一般式(1−1)で表されることを特徴とする(24)記載のホログラム記録材料。
(26)前記電子供与性化合物がN−メチルフェノチアジンであることを特徴とする(25)記載のホログラム記録材料。
(27)前記干渉縞記録成分が、1)重合反応、2)発色反応、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として記録できる成分であることを特徴とする(1)〜(26)記載のホログラム記録材料。
(29)(27)記載の2)発色反応または3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応によりホログラム記録が可能である化合物群として、少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、増感色素または発色体励起状態から電子移動することにより、発色による屈折率変調を用いて干渉縞を記録することができる干渉縞記録成分、
3)干渉縞記録成分への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物
を含むことを特徴とする(27)または(28)記載のホログラム記録材料。
(30)前記干渉縞記録成分が、4)潜像発色−発色体増感重合反応により、少なくとも潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことができる成分であることを特徴とする(27)記載のホログラム記録材料。
(31)(30)記載のホログラム記録が可能な化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から電子移動することにより、または第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化し、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域に吸収を有しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体群、
3)第1の工程にて増感色素励起状態から、第2の工程にて発色体励起状態から電子移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、及び
6)色素前駆体群への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を有することを特徴とする(30)記載のホログラム記録材料。
(32)(27)記載の、6)色素消色反応によりホログラム記録が可能な化合物群にて、少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)干渉縞記録成分として消色性色素、または消色剤前駆体及び消色性色素、
3)消色性色素または消色剤前駆体への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を有し、増感色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色性色素へ直接電子移動して消色性色素を消色することにより、または消色剤前駆体へ電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする(27)記載のホログラム記録材料。ここで、消色剤前駆体はラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかである。
(34)(33)記載のホログラム記録方法が可能な化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接電子移動する結果、または消色剤前駆体へ電子移動することにより消色剤を発生させる結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤(場合により2)の消色剤前駆体を兼ねる)、
4)重合性化合物、
5)バインダー、及び
6)消色性色素または消色剤前駆体への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を有することを特徴とする(33)記載のホログラム記録材料。
(35)(33)記載のホログラム記録方法が可能な化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、電子移動することにより消色剤を発生することができる消色剤前駆体、
3)第1の工程にて消色剤前駆体から生成した消色剤により消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
4)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤(場合により2)の消色剤前駆体を兼ねる)、
5)重合性化合物、
6)バインダー、及び
7)消色剤前駆体への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を有することを特徴とする(33)または(34)記載のホログラム記録材料。
(37)前記干渉縞記録成分が、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応によりホログラム記録する方法において、少なくとも、潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なり、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射し発色体を自己増感増幅生成することにより、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とする(36)記載のホログラム記録方法。
(38)前記干渉縞記録成分が、4)潜像発色−発色体増感重合反応によりホログラム記録する方法において、少なくとも潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とする(36)記載のホログラム記録方法。
(39)前記干渉縞記録成分が、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応によりホログラム記録する方法において、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、(32)記載の消色性色素へ電子移動して消色性色素を消色することにより、または消色剤前駆体へ電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、電子移動またはエネルギー移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする(36)記載のホログラム記録方法。
(40)(1)〜(35)記載のホログラム記録材料を用いて体積位相型ホログラム記録を行うことを特徴とする体積位相型ホログラム記録材料。
(41)(1)〜(35)、(40)にて、ホログラム記録が書き換えできない方式であることを特徴とする(1)〜(35)、(40)のいずれかに記載のホログラム記録材料。
(42)(1)〜(35)、(40)、(41)記載のホログラム記録材料を用いて、10回以上の多重記録を行うことを特徴とするホログラム記録方法。
(43)(42)にて、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることを特徴とする(42)記載のホログラム記録方法。
(44)(1)〜(43)にて、ホログラム露光後湿式処理を行わないことを特徴とする(1)〜(43)記載のホログラム記録方法及びそのような処理が可能であるホログラム記録材料。
(45)(1)〜(35)、(40)、(41)、(44)記載のホログラム記録材料が、記録光及び再生光以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターをホログラム記録材料の表面、裏面またはその両面に備え付けていることを特徴とする(1)〜(35)、(40)、(41)、(44)のいずれかに記載のホログラム記録材料。
(46)(1)〜(35)、(40)、(41)、(44)のいずれかに記載のホログラム記録材料から成る光記録媒体。
(47)(46)記載のホログラム記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
(48)(1)〜(35)、(40)、(41)、(44)、(45)のいずれかに記載のホログラム記録材料を用いる3次元ディスプレイホログラム及び(36)〜(39)、(42)、(43)、(44)記載のホログラム記録方法を用いる3次元ディスプレイホログラムの製造方法。
(49)(1)〜(35)、(40)、(41)、(44)、(45)のいずれかに記載のホログラム記録材料を用いるホログラフィック光学素子及び(36)〜(39)、(42)、(43)、(44)記載のホログラム記録方法を用いるホログラフィック光学素子の製造方法。
本発明のホログラム記録材料は、書き換えできない方式であることが好ましい。なおここで、書き換えできない方式とは、不可逆反応により記録される方式であり、一度記録されたデータは、さらに上書き記録して書き換えしようとしても書き換えされることなく保存できる方式を示す。したがって重要でかつ長期保存が必要なデータの保存に適する。ただし無論、まだ記録されていない領域に新たに追記して記録していくことは可能である。そのような意味で、一般には「追記型」または「ライトワンス型」と呼ばれる。
さらに、本発明の化学作用放射線としては、コヒーレントな(位相及び波長のそろった)レーザー光が好ましい。用いられるレーザーとしては、固体レーザー、半導体レーザー、気体レーザー、液体レーザーのいずれでも良いが、好ましいレーザー光としては例えば、532nmのYAGレーザー2倍波、355nmのYAGレーザー3倍波、405〜415nm付近のGaNレーザー、488または515nmのArイオンレーザー、632または633nmのHe−Neレーザー、647nmのKrイオンレーザー、694nmのルビーレーザーや636、634、538、534、442nmのHe−Cdレーザーなどが挙げられる。
また、ナノ秒やピコ秒オーダーのパルスレーザーを用いることも好ましい。
本発明のホログラム記録材料を光記録媒体に使用する場合は、532nmのYAGレーザー2倍波または405〜415nm付近のGaNレーザーを用いることが好ましい。
ホログラム露光(記録)に用いる光の波長に対し、ホログラム再生に用いる光の波長は同じであるか、長波長であることが好ましく、同じであることがより好ましい。
特に本発明のホログラム記録材料に酸増殖剤または塩基増殖剤を用いる場合、酸増殖剤または塩基増殖剤を有効に機能させる点においても定着に加熱を用いることが好ましい。
光定着の場合は、ホログラム記録材料全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)する。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
熱定着の場合は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃にて定着工程を行うことが好ましい。
光定着と熱定着を両方行う際は、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加えてもよい。
η=Idiff/Io (式1)
ここでIoは回折されない透過光の強度であり、Idiffは回折(透過型)または反射(反射型)された光強度である。回折効率は0〜100%のいずれかの値を取るが、30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
また、クーゲルニックの理論式より、ある回折効率を与えるための屈折率変調量Δnは膜厚dに反比例する。つまり、ある回折効率を与えるための感度は膜厚によっても異なり、膜厚dが厚くなる程少ない屈折率変調量Δnで済む。したがって、膜厚等の条件を揃えない限り、感度は一概には比較することはできない。
本発明においては、感度は「最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量(mJ/cm2)」と定義する。本発明のホログラム記録材料の感度は、例えば膜厚が10〜200μm程度の場合、2J/cm2以下であることが好ましく、1J/cm2以下であることがより好ましく、500mJ/cm2以下であることがさらに好ましく、200mJ/cm2以下であることが最も好ましい。
さらに、電子供与性化合物の酸化電位が0.4〜1.0VvsSCEの範囲内であることがより好ましく、0.6〜0.9VvsSCEの範囲内であることがさらに好ましい。
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
一般式(1−1)中、a2、a3はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは0または1を表し、より好ましくは共に0を表す。
a2、a3が2以上の時、複数のR2、R3は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環等が挙げられる。
R9は置換基(好ましい例はR2、R3に挙げた置換基の例に同じ)を表し、
a9は0〜5の整数を表し、より好ましくは0〜2の整数を表す。
a9が2以上の時、複数のR9は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環等が挙げられる。
その他に「色素ハンドブック」(大河原信他編 講談社 1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編 シーエムシー 1981年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編 シーエムシー 1986年)に記載される色素および染料も本発明の増感色素として用いることができる。なお、本発明の増感色素はこれらに限定されるものではなく、可視域の光に対して吸収を示す色素および染料であればどれでも用いることができる。これらの増感剤は、使用目的に応じて光源となる輻射線の波長に合うように選択することができ、用途によっては2種類以上の増感色素を組み合わせて使用しても構わない。
特に増感色素がシアニン色素やメロシアニン色素のような有機色素の時は20分の1以下であることがより好ましく、50分の1以下であることがさらに好ましく、100分の1以下であることが最も好ましい。
以下に本発明の増感色素の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましい。なお、重合性化合物の方がより屈折率が大きくても、バインダーの方がより屈折率が大きくても、どちらでも構わない。
本発明の重合性化合物としては、単官能性でも多官能性でも良く、一成分でも多成分でも良く、モノマー、プレポリマー(例えばダイマー、オリゴマー)でもこれらの混合物でもいずれでも良いが、モノマーであることが好ましい。
また、その形態は、室温において液状であっても固体状であっても良いが、沸点100℃以上の液状であるか、沸点100℃以上の液状モノマーと固体状モノマーの混合物であることが好ましい。
以下に、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオンまたはアニオン重合可能な重合性化合物ごとに、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて好ましい重合性化合物の例を説明する。
また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
本発明のアニオン重合性化合物として好ましいくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N−ビニルカルバゾール部位、電子吸引性置換基を備えるエチレン性二重結合部位、ラクトン部位、ラクタム部位、環状ウレタン部位、環状尿素部位、または、環状シロキサン部位を分子中に少なくとも1個以上有する化合物であり、より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
好ましい低屈折率バインダーの具体例としては、アクリレート及びアルファ−アルキルアクリレートエステル及び酸性重合体及びインターポリマー(例えばポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体及びほぼ4,000〜1,000,000の平均分子量を有するポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化物(例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物)、ポリアミド(例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアジパミド)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルベンジルセルロース)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などが挙げられる。
また他に、芳香族を含まないエポキシオリゴマー化合物も高屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
好ましい高屈折率バインダーの具体例としては、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニル及び共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH2)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸、(3)テレフタル酸及びセバシン酸、(4)テレフタル酸及びイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコール及び(i)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸及び(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸及びアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾール及びその共重合体、炭酸エステルとビスフェノールから成るポリカーボネートなどが挙げられる。
また他に、芳香族を多く含むエポキシオリゴマー化合物も高屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
さらに好ましくはその両方が起こるような反応を示す。また、発色反応は200〜1000nmの波長領域で起こることがより好ましく、300〜900nmの波長領域で起こることがさらに好ましい。
少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、と、
2)元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、増感色素励起状態から電子移動ますることにより、発色による屈折率変調を用いて干渉縞を記録することができる干渉縞記録成分、
3)干渉縞記録成分への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物
を含むことが好ましい。
さらには、バインダーポリマーを含むことがより好ましく、バインダーポリマーとしては、1)重合反応の所で先述した例や、特願2004−238077号に記載されている例が好ましく挙げられる。
よって、ホログラム露光により色素前駆体を発色させることは、吸収率差だけでなく、大きな屈折率差も好ましく形成できることがわかる。
本発明のホログラム記録材料において、記録成分から形成される色素の屈折率は再生に用いるレーザー波長付近で最大となることが好ましい。
干渉縞記録成分として好ましくは、以下の組み合わせが挙げられる。これらについては、具体例として好ましくは、特願2004−238077号に記載されている例が挙げられる。
酸発生剤としてはジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、スルホン酸エステルが好ましく、先述の酸発生剤(カチオン重合開始剤)を好ましく用いることができる。
酸発色型色素前駆体から生成する発色体はキサンテン色素、フルオラン色素またはトリフェニルメタン色素が好ましい。酸発色型色素前駆体の特に好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
塩基発生剤としては、先述の塩基発生剤(アニオン重合開始剤)が好ましく挙げられ、塩基発色型色素前駆体としては、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型フルオラン色素、解離型トリフェニルメタン型色素の非解離体が挙げられる。
塩基発色型色素前駆体の特に好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、赤外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、と、
2)元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、増感色素または発色体励起状態から電子移動することにより、発色による屈折率変調を用いて干渉縞を記録することができる干渉縞記録成分、及び
3)干渉縞記録成分への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を含むことが好ましい。
増感色素、干渉縞記録成分として好ましい例は、2)発色反応の所で述べた例と同じである。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、発色体のモル吸光係数が1000以上であることが好ましい。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から干渉縞記録成分に電子移動させることにより、干渉縞記録成分に含まれる色素前駆体を発色体に変化させて発色による潜像を形成する(以上第1の工程)。次に350〜420nmの波長域の光を照射して、発色体の吸収を起こし、発色体の自己増感により発色体を増幅生成させる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉暗部である部分では潜像があまり生成しないため第2の工程においても自己増感発色反応はほとんど起きず、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
なお、第2の工程にて、発色体を自己増感増幅生成しつつかつ重合を起こす方法も好ましい。
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、または第2の工程にて発色体励起状態から電子移動することにより、元の状態から吸収が長波長化し、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域に吸収を有しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体群、
3)第1の工程にて増感色素励起状態から、第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、及び
6)色素前駆体群への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物
を含むことが好ましい。
増感色素、干渉縞記録成分として好ましい例は、2)発色反応の所で述べた例と同じである。
重合開始剤、重合性化合物、バインダーとして好ましい例は、1)重合反応の所で述べた例と同じである。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、発色体のモル吸光係数が1000以上であることがより好ましい。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から干渉縞記録成分に電子移動させることにより、干渉縞記録成分に含まれる色素前駆体を発色体に変化させて発色による潜像を形成する(以上第1の工程)。次に350〜420nmの波長域の光を照射して、発色体の吸収を起こし、重合開始剤に電子移動またはエネルギー移動させることにより活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が大きい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が高くなる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉暗部である部分では潜像があまり生成しないため第2の工程においても重合はあまり起きずバインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。第1及び第2の工程、あるいはさらにその後の定着工程により増感色素及び発色体を分解して消色できれば、非破壊再生及び保存性に優れたホログラム記録材料を提供することができる。
例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)干渉縞記録成分として消色性色素、または消色剤前駆体及び消色性色素、及び
3)消色性色素または消色剤前駆体への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を有することが好ましい。
これらの消色性色素は元々はシアニン色素であるが、電子移動による結合の切断によりシアニンベース(ロイコシアニン色素)に変化し、吸収の消色または短波長化が起こるものである。
なお消色性色素は、ホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下、好ましくは100以下、最も好ましくは0である。
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接電子移動する結果、または消色剤前駆体へ電子移動することにより消色剤を発生させる結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤(場合により2)の消色剤前駆体を兼ねる)、
4)重合性化合物、
5)バインダー、及び
6)消色性色素または消色剤前駆体への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を含むことが好ましい。なお、2)にて消色剤前駆体にエネルギー移動または電子移動する場合は、7)第1の工程にて増感色素励起状態から、電子移動することにより消色剤を発生することができる消色剤前駆体、も含むことが好ましい。
重合開始剤、重合性化合物、バインダーとして好ましい例は、1)重合反応の所で述べた例と同じである。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、消色性色素のモル吸光係数が1000以上であることが好ましい。
増感色素とは別に消色性色素を添加する場合にて、消色剤前駆体と重合開始剤が異なる場合(例えば消色剤前駆体が酸発生剤または塩基発生剤、重合開始剤はラジカル重合開始剤、あるいは、消色剤前駆体がラジカル発生剤または求核剤発生剤、重合開始剤が酸発生剤または塩基発生剤)は、増感色素は消色剤前駆体に対してのみ電子移動増感可能で、重合開始剤は消色性色素によってのみ電子移動増感可能であることが好ましい。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から消色剤前駆体にエネルギー移動または電子移動させることにより消色剤を発生させて、消色性色素を消色させる。その結果、残存した消色性色素による潜像を形成することができる(以上第1の工程)。次に360〜420nmの波長域の光を照射して、残存消色色素潜像の吸収を起こし、重合開始剤に電子移動またはエネルギー移動させることにより活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が小さい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が低くなる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉明部となった部分では潜像となる残存消色性色素が少ないため第2の工程においても重合はあまり起きずバインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。第1及び第2の工程、あるいはさらにその後の定着工程により増感色素及び残存消色性色素を分解して消色できれば、非破壊再生及び保存性に優れたホログラム記録材料を提供することができる。
例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
特に重合開始剤が2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーの場合は連鎖移動剤を用いることが好ましい。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2-ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。
例えば、本発明のホログラム記録材料の製膜方法としては、前記のバインダーや各成分を溶媒等に溶かしてスピンコーターまたはバーコーター等を用いて塗布しても良い。
その際、溶媒として好ましくは例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒が挙げられる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
また、バインダーを形成するモノマー溶液に各成分を溶解させておいた上でモノマーを熱重合または光重合させてポリマーとし、バインダーとして使用する方法も好ましく使用できる。その際の重合法としても、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。
そのため、例えば本発明のホログラム記録材料に特開2000−86914号記載の膨張剤を用いたり、特開2000−250382号、2000−172154、特開平11−344917号記載の耐収縮性のあるバインダーを用いることも好ましい。
また、特開平3−46687号、5−204288号、特表平9−506441号等記載の拡散要素を用いて干渉縞間隔を調節することも好ましい。
それに対し、特に本発明の2)発色反応、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応及び6)色素消色反応の記録方法は干渉縞記録に重合を伴わない方式であり、また、4)潜像発色−発色体増感重合反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応による記録方法においても、ホログラム露光(第1の工程)の際に重合反応をほとんど伴わなわず、第2の工程の全面露光にて一括して重合による屈折率変調を行う方式である。したがって、2)〜4)いずれの方法においても多くの多重記録が可能であり、さらに、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま、つまり露光量に対して屈折率変調量がリニアに上昇しながら多重記録することができるため、広いダイナミックレンジを取ることができる。このように、発色方式または潜像増幅方式を用いる本発明の2)〜4)及び6)7)の記録方式は、上記多重記録適性の点で大変有利である。
これは、高密度(容量)化、記録システム簡略化、S/N比向上等の点で好ましい。
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明した。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、試料1にて、電子供与性化合物をED−8、ED−13、ED−14、ED−17、ED−19、ED−26、ED−27、ED−30、ED−41、ED−49に変更しても同様な効果が得られた。
さらに、本発明の電子供与性化合物を有するホログラム記録材料101〜104は、電子供与性化合物を用いない対応する比較試料11〜14に比べて感度が5〜12.5倍も増加し、記録速度の点で好ましいことがわかる。また回折効率も、比較試料11〜14に比較して、同等か向上し好ましい。
また、試料101〜104にて、電子供与性化合物をED−8、ED−13、ED−14、ED−17、ED−19、ED−26、ED−27、ED−30、ED−41、ED−49に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料101〜103にて干渉縞記録成分の酸発生剤をI−3、I−4、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロペンタノエート、ビス(1−(4−ジフェニルスルホニウム)フェニルスルフィドジトリフラート、ジメチルフェナシルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、ベンゾイントシレート、I−22、I−23、に変更しても、試料101〜103にて干渉縞記録成分の酸発色型色素前駆体をL−1、L−3、LC−1、LC−4、LC−9、LC−11、LC−12、LC−13に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料104にて干渉縞記録成分の塩基発生剤を、PB−3、PB−4、PB−5、PB−6、PB−7、PB−8、PB−9に変更しても、試料104にて塩基発色型色素前駆体(解離型色素非解離体)をDD−1、DD−13、DD−15、DD−17、DD−22、DD−30、DD−31、DD−32、DD−34、DD−35、DD−36、DD−37、DD−38に変更しても同様な効果が得られた。
また試料101〜104にて、バインダーをポリメチルメタクリレート(Mw996000、350000、120000)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体(Mw75000)、ポリビニルアセタール(Mw83000)、ポリカーボネート、セルロースアセテートブチレート等に変更しても同様な効果が得られた。
なお%はすべてバインダーPMMA-EAに対した質量%を表す。
さらに、本発明の電子供与性化合物を有するホログラム記録材料301〜305は、電子供与性化合物を用いない対応する比較試料31〜35に比べて感度が3〜11.1倍も増加し、記録速度の点で好ましいことがわかる。また回折効率も、比較試料31〜35に比較して、同等か向上し好ましい。
また、試料301〜305にて、電子供与性化合物をED−8、ED−13、ED−14、ED−17、ED−19、ED−26、ED−27、ED−30、ED−41、ED−49に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料301〜304にて消色剤前駆体(酸発生剤)をI−3、I−4、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロペンタノエート、ビス(1−(4−ジフェニルスルホニウム)フェニルスルフィドジトリフラート、ジメチルフェナシルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、ベンゾイントシレート、I−22、I−23に変更しても、試料301〜304にて酸消色性色素をG−14、G−17、G−21、G−22、G−26、G−27に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料305にて消色剤前駆体(塩基発生剤)をPB−3、PB−4、PB−5、PB−6、PB−7、PB−8、PB−9に変更しても、試料305にて塩基消色性色素をG−29、G−32、G−38、G−40、G−42、G−43、G−44、G−45に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料301〜305にてバインダーをポリメチルメタクリレート(Mw996000、350000、120000)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート)共重合体(Mw75000)、ポリビニルアセテート(Mw83000)、ポリカーボネート、セルロースアセテートブチレート等に変更しても同様な効果が得られた。
12 レーザービーム
14 鏡
20 ビームスプリッター
22 ビームセグメント
24 鏡
26 空間フィルター
40ビームエキスパンダー
30 ホログラム記録材料
28 試料
32 He−Neレーザービーム
34 He−Neレーザー
36 検出器
38 回転ステージ
Claims (26)
- 少なくとも、ホログラム記録波長光を吸収し励起状態を生成する増感色素と、増感色素励起状態からの電子移動により干渉縞を屈折率変調として記録することができる干渉縞記録成分と、干渉縞記録成分への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、とを含むことを特徴とするホログラム記録材料。
- 前記電子供与性化合物の酸化電位が増感色素の酸化電位よりも卑であることを特徴とする請求項1記載のホログラム記録材料。
- 前記電子供与性化合物の酸化電位が0.4〜1.0VvsSCEの範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載のホログラム記録材料。
- 前記電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のホログラム記録材料。
- 前記電子供与性化合物がアニリン類、トリフェニルアミン類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類のいずれかであることを特徴とする請求項4記載のホログラム記録材料。
- 前記電子供与性化合物が増感色素に共有結合またはイオン結合にて連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のホログラム記録材料。
- 前記電子供与性化合物がポリマーの主鎖または側鎖に組み込まれており、ホログラム記録材料がそのポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のホログラム記録材料。
- 前記電子供与性化合物が下記一般式(1−1)、(1−2)または(1−3)にて表されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のホログラム記録材料。
一般式(1−2)にて、R4、R5、R6はそれぞれ独立に置換基を表し、a4、a5、a6はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。a4、a5、a6が2以上の時、複数のR4、R5、R6は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
一般式(1−3)にて、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基のいずれかを表し、R9は置換基を表し、a9は0〜5の整数を表す。a9が2以上の時、複数のR9は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。 - 前記電子供与性化合物が一般式(1−1)で表され、かつX1が−S−で表されることを特徴とする請求項8記載のホログラム記録材料。
- 前記干渉縞記録成分が、1)重合反応、2)発色反応、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として記録できる成分であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のホログラム記録材料。
- 前記干渉縞記録成分が、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応によりホログラム記録する方法において、少なくとも、潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なり、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射し発色体を自己増感増幅生成することにより、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことができる成分であることを特徴とする請求項10記載のホログラム記録材料。
- 請求項10記載の2)発色反応または3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応によりホログラム記録が可能である化合物群として、少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、増感色素または発色体励起状態から電子移動することにより、発色による屈折率変調を用いて干渉縞を記録することができる干渉縞記録成分、及び
3)干渉縞記録成分への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物
を含むことを特徴とする請求項10または11記載のホログラム記録材料。 - 前記干渉縞記録成分が、4)潜像発色−発色体増感重合反応によりホログラム記録する方法において、少なくとも潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことができる成分であることを特徴とする請求項10記載のホログラム記録材料。
- 請求項13記載のホログラム記録が可能な化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から電子移動することにより、または第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化し、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域に吸収を有しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体群、
3)第1の工程にて増感色素励起状態から、第2の工程にて発色体励起状態から電子移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、及び
6)色素前駆体群への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を有することを特徴とする請求項13記載のホログラム記録材料。 - 請求項10記載の、6)色素消色反応によりホログラム記録が可能な化合物群にて、少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)干渉縞記録成分として消色性色素、または消色剤前駆体及び消色性色素、
3)消色性色素または消色剤前駆体への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を有し、増感色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色性色素へ直接電子移動して消色性色素を消色することにより、または消色剤前駆体へ電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする請求項10記載のホログラム記録材料。ここで、消色剤前駆体はラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかである。 - 前記干渉縞記録成分が、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応によりホログラム記録する方法にて、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、請求項15記載の消色性色素へ電子移動して消色性色素を消色することにより、または消色剤前駆体へ電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、電子移動またはエネルギー移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することができる成分であることを特徴とする請求項10または15記載のホログラム記録材料。
- 請求項16記載のホログラム記録方法が可能な化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接電子移動する結果、または消色剤前駆体へ電子移動することにより消色剤を発生させる結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤(場合により2)の消色剤前駆体を兼ねる)、
4)重合性化合物、
5)バインダー、及び
6)消色性色素または消色剤前駆体への電子移動後の増感色素ラジカルカチオンに電子を供与することができる電子供与性化合物、
を有することを特徴とする請求項16記載のホログラム記録材料。 - 請求項1〜17にて、ホログラム記録が書き換えできない方式であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のホログラム記録材料。
- 請求項1〜18のいずれかに記載のホログラム記録材料を用いて、ホログラム記録する方法において、干渉縞記録成分が、1)重合反応、2)発色反応、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として記録することを特徴とするホログラム記録方法。
- 前記干渉縞記録成分が、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応によりホログラム記録する方法において、少なくとも、潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なり、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射し発色体を自己増感増幅生成することにより、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とする請求項19記載のホログラム記録方法。
- 前記干渉縞記録成分が、4)潜像発色−発色体増感重合反応によりホログラム記録する方法において、少なくとも潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とする請求項19記載のホログラム記録方法。
- 前記干渉縞記録成分が、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応によりホログラム記録する方法において、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、(32)記載の消色性色素へ電子移動して消色性色素を消色することにより、または消色剤前駆体へ電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、電子移動またはエネルギー移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする請求項19記載のホログラム記録方法。
- 請求項1〜18のいずれか1項に記載のホログラム記録材料を用いて、10回以上の多重記録を行うことを特徴とするホログラム記録方法。
- 請求項22にて、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることを特徴とする請求項22記載のホログラム記録方法。
- 請求項1〜18のいずれか1項に記載のホログラム記録材料から成ることを特徴とする光記録媒体。
- 請求項25記載のホログラム記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
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JP2004263456A JP2006078821A (ja) | 2004-09-10 | 2004-09-10 | ホログラム記録材料、ホログラム記録方法及び光記録媒体 |
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2004
- 2004-09-10 JP JP2004263456A patent/JP2006078821A/ja not_active Withdrawn
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