JP2008275671A - ホログラフィック記録用組成物、ホログラフィック記録媒体、情報記録方法、および酸発生促進剤 - Google Patents

ホログラフィック記録用組成物、ホログラフィック記録媒体、情報記録方法、および酸発生促進剤 Download PDF

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Abstract

【課題】高回折効率、良保存性、低収縮率、乾式処理、多重記録特性(高記録密度)などの特性に優れるホログラフィック記録媒体を提供すること。
【解決手段】少なくとも、記録用化合物、酸発生剤、および酸発生促進剤を含むホログラフィック記録用組成物。記録用化合物は、1)重合反応、2)発色反応、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として記録することが可能な化合物であることを特徴とするホログラフィック記録用組成物及びホログラフィック記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、高密度光記録媒体や、3次元ディスプレイ、ホログラフィック光学素子等への応用可能なホログラフィック記録用組成物、ならびにホログラフィック記録媒体および前記媒体への情報記録方法に関するものである。更に本発明は、酸発生剤の酸発生を促進し得る酸発生促進剤に関する。
ホログラム作製に関する一般的原理は、いくつかの文献や専門書、たとえば「ホログラフィックディスプレイ」(辻内順平編、産業図書[非特許文献1])2章に記載されている。これらによれば、2光束のコヒーレントなレーザー光の一方を記録対象物に照射し、それからの全反射光を受け取れる位置に感光性のホログラム記録材料が置かれる。ホログラム記録材料には、対象物からの反射光の他に、もう一方のコヒーレントな光が、対象物に当たらずに直接照射される。対象物からの反射光を物体光、また直接記録材料に照射される光を参照光といい、参照光と物体光との干渉縞が画像情報として記録される。次に、処理された記録材料に参照光と同じ光(再生照明光)を照射すると、記録の際に対象物から記録材料に最初に到達した反射光の波面を再現するようにホログラムによって回折され、その結果、対象物の実像とほぼ同じ物体像を3次元的に観測することができる。
参照光と物体光を同じ方向からホログラム記録材料に入射させて形成されるホログラムを透過型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に垂直または垂直に近い形で1mmに1000〜3000本程度の間隔で形成される。透過型ホログラムは、例えば特開平6−43634号公報[特許文献1]などで開示されている。
一方、互いにホログラム記録材料の反対側から入射させて形成したホログラムを、一般に反射型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に平行または平行に近い形で1mmに3000〜7000本程度の間隔で形成される。反射型ホログラムは、例えば特開平2−3082号公報[特許文献2]、特開平3−50588号公報[特許文献3]などに開示されている。
一方、干渉縞間隔に対して膜厚が十分に厚い(通常は干渉縞間隔の5倍以上程度、または1μm以上程度の膜厚を言う)ホログラムを体積型ホログラムという。
それに対し膜厚が干渉縞間隔の5倍以下程度または1μm以下程度のホログラムを平面型または表面型という。
さらに、色素や銀などの吸収により干渉縞を記録するホログラムを振幅型ホログラムと呼び、表面レリーフまたは屈折率変調により記録するホログラムを位相型ホログラムと呼ぶ。振幅型ホログラムは光の吸収により、光の回折効率または反射効率が著しく低下するため光の利用効率の点で好ましくなく、通常は位相型ホログラムが好ましく用いられる。
体積位相型ホログラムでは、ホログラム記録材料中に光学的吸収ではなく屈折率の異なる干渉縞を多数形成することによって、光を吸収することなく光の位相を変調することができる。
特に反射型の体積位相型ホログラムはリップマン型ホログラムとも呼ばれ、ブラック回折による波長選択的反射により、高回折効率にてフルカラー化、白色再生、高解像度化が可能となり、高解像フルカラー3次元ディスプレイの提供が可能となる。
また最近ではその波長選択的反射を生かして、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板等に代表されるホログラム光学素子(HOE)に広く実用化されてきている。
他にも例えば、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス等に実用または応用が検討されている。
ところで、最近の高度情報化社会の流れの中で、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、民生用途においても100GB以上の画像情報を安価簡便に記録するための高密度記録媒体の要求が高まっている。
さらにコンピューター高容量化等の流れの中で、コンピューターバックアップ用途や放送バックアップ用途等の業務用途においても、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる超高密度記録媒体が求められている。
従来、記録媒体としては、磁気テープ媒体およびハードディスクが広く用いられていたが、近年、可換かつランダムアクセス可能で小型、安価な光記録媒体がより注目されてきている。しかしながら、DVD−Rのような既存の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしても、達成可能と考えられる記録容量は片面25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
そこで、究極の超高密度記録媒体として、膜厚方向に記録を行う3次元光記録媒体が注目されてきている。その有力な方法として2光子吸収材料を用いる方法とホログラフィー(干渉)を用いる方法とがある。かかる状況下、体積位相型ホログラム記録材料は、3次元光記録媒体(ホログラフィックメモリ)として、最近俄然注目を集めるようになった。
体積位相型ホログラム記録材料を用いたホログラフィックメモリでは、3次元物体から反射する物体光の代わりに、DMDやLCDといった空間光変調素子(SLM)を用いた2次元デジタル情報(信号光と呼ぶ)を数多く記録していく。記録の際、角度多重、位相多重、波長多重、シフト多重などの多重記録を行うため1TBにも達する高容量化が可能となる。また、読み出しには通常CCDやCMOS等を用い、それらの並列書き込み、読み出しにより、1Gbpsにも達する高転送速度化も可能となる。
ところが、ホログラフィックメモリに用いるホログラム記録材料に求められる要件は、下記の如く3次元ディスプレイやHOE用途よりもさらに厳しいものである。
(1)高感度であること
(2)高解像力を有すること
(3)ホログラムの回折効率が高いこと
(4)記録時の処理が乾式であり迅速であること
(5)多重記録が可能であること(ダイナミックレンジが広いこと)
(6)記録後の収縮率が小さいこと
(7)ホログラムの保存性がよいこと
特に、(1)高感度であることに対し、(3)回折効率が高いこと、(4)乾式処理であること、(6)記録後の収縮率が低いこと、(7)保存性がよいこと、は化学的に考えて相反する物性であり、その両立は極めて困難である。
前述の体積位相型ホログラム記録材料としては、ライトワンス方式として重クロム酸ゼラチン方式、漂白ハロゲン化銀塩方式およびフォトポリマー方式などが知られ、リライタブル方式として、フォトリフラクティブ方式およびフォトクロミック高分子方式などが知られる。
しかし、上記体積位相型ホログラム記録材料において、特に高感度光記録媒体用途においては、求められる要件をすべて満たす材料は未だなく改良が望まれている。
具体的には、例えば、重クロム酸ゼラチン方式は高い回折効率と低ノイズ特性という長所を有するが、保存性が極めて悪く、湿式処理が必要で低感度という問題を有し、ホログラフィックメモリ用途には適さない。
漂白ハロゲン化銀方式は高感度という長所を有するが、湿式処理が必要でかつ漂白処理が煩雑であり、また、散乱が大きい、耐光性に劣るという問題点を有し、ホログラフィックメモリ用途にはやはり一般的に適さない。
フォトリフラクティブ材料は書き換え可能という長所を有するが、記録時に高電場印加が必要、記録保存性が悪いという問題点を有する。
アゾベンゼン高分子材料等に代表されるフォトクロミック高分子方式も書き換え可能という長所を有するが、感度が極めて低く記録保存性も悪いという問題点を有する。例えば、国際公開第97/44365号パンフレット[特許文献4]には、アゾベンゼン高分子(フォトクロミック高分子)の屈折率異方性と配向制御を用いた書き換え可能なホログラム記録材料が提示されているが、アゾベンゼン異性化の量子収率が低い上に配向変化を伴う方式であるがために感度が極めて低く、また書き換え可能であることとの相反で記録保存性も悪いという問題点を有し、実用には程遠い。
これに対し、前述の特許文献1〜3に開示された乾式処理フォトポリマー方式は、バインダー、ラジカル重合可能なモノマーおよび光重合開始剤を基本組成とし、屈折率変調を向上させるためにバインダーまたはラジカル重合可能なモノマーのどちらか一方に芳香環または塩素、臭素を有する化合物を用いて屈折率差を持たせる工夫をしており、その結果、ホログラム露光の際形成される干渉縞の明部にモノマーが、暗部にバインダーが集まりつつ重合が進行することにより屈折率差を形成することができる。したがって、高回折効率と乾式処理を両立でき得る比較的実用的な方式といえる。
しかしながら、漂白ハロゲン化銀方式に比べると感度が1000分の1程度であること、回折効率を高めるためには2時間近い加熱定着処理を必要とすること、ラジカル重合であるため、酸素による重合阻害の影響を受け、また露光、定着後記録材料の収縮を伴い、再生時の回折波長および角度が変化してしまう問題点があること、膜が柔らかいため保存性の点でも不足していること等からホログラフィックメモリ用途としては到底使用に耐えるものではない。
ここで一般に、ラジカル重合に対しカチオン重合、特にエポキシ化合物等の開環を伴うカチオン重合は、重合後の収縮が少なく、また酸素による重合阻害も受けず、剛性のある膜を与える。したがって、ホログラフィックメモリ用途としてはカチオン重合の方が適しているという指摘もある。
例えば、特開平5−107999号公報[特許文献5]、特開平8−16078号公報[特許文献6]等に、カチオン重合性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をバインダーの代わりに用い、さらに増感色素、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル重合性化合物を組み合わせたホログラム記録材料が開示されている。
また、特表2001−523842号公報[特許文献7]、特表平11−512847号公報[特許文献8]等に、ラジカル重合を用いずに、増感色素、カチオン重合開始剤、カチオン重合性化合物およびバインダーのみを用いたホログラム記録材料が開示されている。
しかしこれらのカチオン重合方式はラジカル重合方式に比べて、収縮率の改善が見られるものの、その相反として、感度が低下しており、実用の際には転送速度の点で大きな問題となると考えられる。また回折効率も低下しており、S/N比や多重記録の点で問題となると考えられる。
前述したように、フォトポリマー方式は物質移動を伴う方式であるため、ホログラフィックメモリへの応用を検討する際、保存性を良く、収縮性を小さくしようとすれば感度が低下し(カチオン重合方式)、逆に感度を向上させようとすれば、保存性、収縮性が悪化する(ラジカル重合方式)というジレンマに陥る。また、ホログラフィックメモリの記録密度を向上させるためには、50回を超えて好ましくは100回以上にも及ぶ多重記録が行われるが、フォトポリマー方式では記録に物質移動を伴う重合を用いるため、多重記録初期の記録速度に対して、多くの化合物の重合が進んだ後の多重記録後期の記録速度が低下してしまい、それを制御して露光量を調節すること、広いダイナミックレンジをとることが実用上大きな問題となっている。
このような高感度と良保存性、低収縮率、乾式処理のジレンマ、多重記録特性(高記録密度)の問題点は、従来のフォトポリマー方式を用いている限りは物理法則上避けがたいと考えられる。またハロゲン化銀方式にてホログラフィックメモリに求められる要件を満たすことも、特に乾式処理化の点で原理的に困難である。
そこで、ホログラム記録材料をホログラフィックメモリへ応用するためには、そのような課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と低収縮性、良保存性、乾式処理、多重記録特性(高記録密度)を両立できる全く新しい記録方式の開発が強く望まれていた。
一方、上記課題を抜本的に解決し得る記録方式として、色素の発色または消色反応による屈折率変調を用いたホログラム記録方式が、特開2005−99751号公報[特許文献9]、特開2005−99753号公報[特許文献10]、特開2005−309359号公報[特許文献11]が開示されている。更に、特開2005−17730号公報[特許文献12]では、酸増殖剤を用いた高感度化技術が開示されている。しかし、特許文献9〜12に記載の技術でもなお、回折効率や多重記録特性、感度等の点にて未だ不十分な点があり、依然として更なる改良が求められている。
特開平6−43634号公報 特開平2−3082号公報 特開平3−50588号公報 国際公開第97/44365号パンフレット 特開平5−107999号公報 特開平8−16078号公報 特表2001−523842号公報 特表11−512847号公報 特開2005−99751号公報 特開2005−99753号公報 特開2005−309359号公報 特開2005−17730号公報 「ホログラフィックディスプレイ」、辻内順平編、産業図書
そこで本発明の目的は、高回折効率、良保存性、低収縮率、乾式処理、多重記録特性(高記録密度)などの特性に優れるホログラフィック記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、重合性化合物、色素、色素前駆体等の記録用化合物とともに、酸発生剤と酸発生促進剤を併用することにより、ホログラフィック記録特性、特に多重記録性および感度を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]少なくとも、記録用化合物、酸発生剤および酸発生促進剤を含むことを特徴とするホログラフィック記録用組成物。
[2]酸発生促進剤は、下記一般式(1)で表される化合物である[1]に記載のホログラフィック記録用組成物。
Figure 2008275671
[一般式(1)中、Xは酸素原子、硫黄原子、またはNR1で表される置換基を表し、R1は置換または無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは電子求引性基を表し、Zは置換または無置換のアミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
[3]酸発生剤は、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、金属アレーン錯体、トリハロメチル置換トリアジンまたはスルホン酸エステルから選ばれる少なくとも一種である[1]または[2]に記載のホログラフィック記録用組成物。
[4]増感色素を更に含む[1]〜[3]のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物。
[5]増感色素は、下記一般式(2−1)〜(2−5)のいずれかにて表される化合物を含む[4]に記載のホログラフィック記録媒体。
Figure 2008275671
[一般式(2−1)〜(2−5)中、R11、R12、R14、R15、R21、R22、R31、R32、R41およびR42は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、R13、R23およびR33は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、R43、R44、R51、R52、R53およびR54は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、R43とR44、R51とR52、R53とR54はそれぞれ連結して環を形成してもよい。一般式(2−5)中、n1は0、1、3、4いずれかの数字を表す。]
[6]記録用化合物は、1)重合反応、2)発色反応、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として記録することが可能な化合物である[1]〜[5]のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載のホログラフィック記録用組成物から形成された記録層を有するホログラフィック記録媒体。
[8]少なくとも、[7]に記載のホログラフィック記録媒体へ情報光および参照光を照射することにより、ホログラフィック記録媒体が有する記録層に干渉像を形成することを含む情報記録方法。
[9]書き換えできない記録方式により情報を記録する[8]に記載の情報記録方法。
[10]体積位相型ホログラム記録を行う[8]または[9]に記載の情報記録方法。
[11]10回以上の多重記録を行う[8]〜[10]のいずれかに記載の情報記録方法。
[12]下記一般式(1)で表される化合物を含む酸発生促進剤。
Figure 2008275671
[一般式(1)中、Xは酸素原子、硫黄原子、またはNR1で表される置換基を表し、R1はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは電子求引性基を表し、Zは置換もしくは無置換のアミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
本発明によれば、酸発生剤および酸発生促進剤を含むホログラフィック記録用組成物を用いることで、回折効率が高く、さらに高感度で露光量に対しリニアに屈折率変調量が上昇してホログラム記録を行うことができる。また記録時の収縮を低減することができ、暗保存性も良好であるため、多重記録、暗保存性等の点で有利である。
[ホログラフィック記録用組成物]
本発明のホログラフィック記録用組成物は、少なくとも、記録用化合物、酸発生剤および酸発生促進剤を含み、ボリュームホログラフィック記録用組成物として好適である。ホログラフィック記録とは、情報を含んだ情報光と参照光とを記録層中で重ね合わせ、そのときにできる干渉像を記録層に書き込むことによって情報を記録する情報記録方法であり、ボリュームホログラフィック記録とは、ホログラフィック記録のなかでも記録層に三次元的に干渉像を書き込む情報記録方法である。
本発明において、「記録用化合物」とは、情報記録のための光照射により干渉縞を屈折率変調として記録することが可能な化合物をいう。「酸発生剤」とは、光反応や熱反応などの化学反応により酸を発生することができる化合物を意味する。また、「酸発生促進剤」とは、光照射や加熱などによりそれ自体が酸を発生することはないが、酸発生剤と共存させた場合に、酸発生剤からの酸発生反応を促進することができる化合物を意味する。
以下に、本発明のホログラフィック記録用組成物に含まれる各成分の詳細を説明する。
酸発生剤
酸発生剤としては、加熱によって酸を発生するタイプのものであってもよく、光照射により酸を発生するタイプ(光酸発生剤)のものでもよい。加熱により酸を発生させる場合、加熱温度は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃の範囲である。光により酸を発生させる場合、照射する光としては、紫外光または可視光のいずれでもよく、使用する酸発生剤の種類に応じて選択すればよい。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
また、酸発生剤は、光照射により直接励起するものでもよく、増感色素を併用し、増感色素に光照射して光励起状態とし、この光励起状態の増感色素からの電子移動またはエネルギー移動により酸を発生するものでもよい。
酸発生剤としては、1)トリハロメチル置換トリアジン、2)ジアゾニウム塩、3)ジアリールヨードニウム塩、4)スルホニウム塩、5)金属アレーン錯体、6)スルホン酸エステルなどが好ましく用いられる。なお、これらの酸発生剤は必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。以下に、上記1)〜6)についてより詳細に説明する。
1)トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤
トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤は、好ましくは以下の一般式(11)にて表される。
Figure 2008275671
一般式(11)中、R31、R32、およびR33は、それぞれ独立にハロゲン原子を表し、好ましくは塩素原子を表す。R34、R35はそれぞれ独立に水素原子、−CR313233、または置換基を表す。
置換基として好ましい例は、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ベンジル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、カルボキシメチル基、5−カルボキシペンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メチルフェニル基、1−ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、例えば、エチニル基、2−プロピニル基、1,3−ブタジイニル基、2−フェニルエチニル基)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、サリチロイル基、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メトキシ基、ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、フェニルチオ基、4−クロロフェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メタンスルホニル基、ブタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル基、パラトルエンンスルホニル基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、例えばスルファモイル基、N−メチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N、N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、イミノ基(好ましくは炭素数2〜20、例えばフタルイミノ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20、例えばアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、例えば、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基)、カルバモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、例えばカルバモイルアミノ基、N−メチルカルバモイルアミノ基、N−フェニルカルバモイルアミノ基)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
34は、好ましくは−CR313233を、より好ましくは−CCl3基を表し、R35は、好ましくは−CR313233、アルキル基、アルケニル基、アリール基である。
トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが例示される。好ましい例として、英国特許1388492号および特開昭53−133428号公報記載の化合物も挙げられる。
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
ジアゾニウム塩系酸発生剤は好ましくは以下の一般式(12)にて表される。
Figure 2008275671
36はアリール基またはヘテロ環基を表し、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。
37は置換基を表し、その詳細は先にR34で表される置換基について述べた通りである。
31は0〜5の範囲の整数を表し、好ましくは0〜2の範囲の整数を表す。a31が2以上のとき、複数存在するR37は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。
31-は、HX31がpKa(水中、25℃)4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の酸となる陰イオンを表し、好ましくは、クロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
ジアゾニウム系酸発生剤の具体例としては、例えば、ベンゼンジアゾニウム、4−メトキシジアゾニウム、4−メチルジアゾニウムの上記X31-塩などが挙げられる。
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤は、好ましくは以下の一般式(13)にて表される。
Figure 2008275671
一般式(13)中、X31-は一般式(12)と同義である。
38およびR39は、それぞれ独立に置換基を表し、その詳細は先にR34で表される置換基について述べた通りである。R38、R39は、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基を表す。
32およびa33は、それぞれ独立に0〜5の範囲の整数を表し、好ましくは0〜1の範囲の整数を表す。a32、a33が2以上のとき、複数存在するR38、R39は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。
ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウム、4,4’−t−ブチルジフェニルヨードニウム、3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウム、フェニル(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、フェニル(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−シアノフェニル)ヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
また、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、第10巻、p1307(1977年)に記載の化合物、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特開平4−239505号公報に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類も挙げられる。
4)スルホニウム塩系酸発生剤
スルホニウム塩系酸発生剤は好ましくは以下の一般式(14)にて表される。
Figure 2008275671
一般式(14)中、X31-は一般式(12)と同義である。R40、R41およびR42は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。その詳細は、先にR34について説明した通りである。R40、R41およびR42は、好ましくは、アルキル基、フェナシル基、アリール基を表す。
スルホニウム塩系酸発生剤の具体例としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジメチルフェナシルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−チオフェニルトリフェニルスルホニウム、4−フェニルチオトリフェニルスルホニウム、ビス−1−(4−(ジフェニルスルホニウム)フェニル)スルフィドなどのスルホニウム塩のクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが例示される。
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
金属アレーン錯体系酸発生剤において、金属は鉄またはチタンが好ましい。
具体的には、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109851号、ヨーロッパ特許第126712号および「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の鉄アレーン錯体、「オルガノメタリックス(Organometallics)」、第8巻、第2737頁(1989年)記載の鉄アレーン有機ホウ素錯体、「Prog.Polym.Sci、第21巻、7〜8頁(1996年)記載の鉄アレーン錯体塩、特開昭61−151197号公報に記載されるチタセノン類などが好ましい例として挙げられる。
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
スルホン酸エステル系酸発生剤としては、好ましくはスルホン酸エステル類、スルホン酸ニトロベンジルエステル類、イミドスルホネート類等を挙げることができる。
スルホン酸エステル類の具体例としては、好ましくは、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、スルホン酸ニトロベンジルエステル類の具体例としては好ましくは、o−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジル−4−ニトロベンゼンスルホネート、p−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメチルスルホネート、イミドスルホネート類の具体例として好ましくはN−トシルフタル酸イミド、9−フルオレニリデンアミノトシレート、α−シアノベンジリデントシルアミン等が挙げられる。
他に、酸発生剤としては、例えば「UV硬化;科学と技術(UV CURING;SCIENCE AND TECHNOLOGY)」[p.23〜76、S.ピーター・パーパス(S.PETER PAPPAS)編集、ア・テクノロジー・マーケッティング・パブリケーション(A TECHNOLOGY MARKETING PUBLICATION)]および「コメンツ・インオーグ.ケム.(Comments Inorg.Chem.)」[B.クリンゲルト、M.リーディーカーおよびA.ロロフ(B.KLINGERT、M.RIEDIKER and A.ROLOFF)、第7巻、No.3、p109−138(1988)]などに記載されているものを用いることもできる。
本発明のホログラフィック記録媒体に含まれる酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、スルホン酸エステルがより好ましい。
なお、前述の
1)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
2)ジアゾニウム塩系重合開始剤
3)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
4)スルホニウム塩系重合開始剤
5)金属アレーン錯体系重合開始剤
は、酸発生剤としての機能を果たすとともに、ラジカル重合開始剤としての機能を果たすこともできる。また、本発明のホログラフィック記録用組成物では、酸発生剤とラジカル重合開始剤を併用してもよい。併用するラジカル重合開始剤として好ましくは、ケトン系重合開始剤、有機過酸化物系重合開始剤、ビスイミダゾール系重合開始剤、ホウ酸塩系重合開始剤、ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤、スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤、カチオン性色素有機ホウ素錯体系重合開始剤、アニオン性色素オニウム塩錯体系重合開始剤等が挙げられる。
本発明のホログラフィック記録用組成物における酸発生剤の含有量は、例えば0.1〜30質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜20質量%の範囲である。
酸発生促進剤
前述のように、本発明における「酸発生促進剤」とは、光照射や加熱などによりそれ自体が酸を発生することはないが、酸発生剤と共存させた場合に、酸発生剤からの酸発生反応を促進することができる化合物を意味する。また、酸発生促進剤としては、ホログラム記録を行う光の波長に吸収を有さないものを選択することが好ましい。
酸発生促進剤としては、下記一般式(1)で表される化合物を使用することが好ましい。
Figure 2008275671
[一般式(1)中、Xは酸素原子、硫黄原子、またはNR1で表される置換基を表し、R1はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは電子求引性基を表し、Zは置換もしくは無置換のアミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
以下に、一般式(1)の詳細を説明する。
Xは、酸素原子、硫黄原子、またはNR1で表される置換基を表し、R1は、置換または無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
1が表すアルキル基は、直鎖、分岐または環状の置換または無置換のアルキル基を表す。好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,5ジメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、ソディウムスルホエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ブトキシプロピル基、エトキシエトキシエチル基、n−ヘキシルオキシプロピル基等)、炭素数3〜18の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、シクロドデシル基等)を表す。また、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、(つまり炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基であり、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含する。
1が表すアリール基とは、好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基を表す。
1が表すヘテロ環基とは、好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子のうち少なくとも一つを含む5〜7員環の、置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和のヘテロ環である。これらは単環であってもよいし、更に他のアリール環もしくはヘテロ環と共に縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基としてより好ましくは、5〜6員のものであり、例えばピロリル基、ピロリジニル基、ピリジル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、フリル基、ピラニル基、クロメニル基、チエニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、モルホリニル基などが挙げられる。
Xは、酸素原子または硫黄原子であることが好ましく、硫黄原子であることがより好ましい。
一般式(1)において、Yは電子求引性基を表す。ここでいう電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σp値が正の値である置換基であり、好ましくはσp値が0.2以上であり、上限としては1.0以下の置換基を表す。σp値が0.2以上の電子求引性基の具体例としてはアシル基、チオアシル基、ホルミル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、ホスホリル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、カルボキシ基(またはその塩)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、アシルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σp値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基などが挙げられる。Yは、好ましくはアシル基、ホルミル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基、σp値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、またはハロゲン原子であり、より好ましくはアシル基、ホルミル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、更に好ましくはアシル基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルボキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基である。
一般式(1)において、Zは、置換もしくは無置換のアミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
Zで表されるアルキル基、アリール基またはヘテロ環基の詳細は、先にR1で表されるアルキル基、アリール基およびヘテロ環基ついて述べた通りである。
Zで表されるアルケニル基は、好ましくは、炭素数2〜16のアルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等)を表し、Zで表されるアルケニル基は、好ましくは、炭素数2〜10のアルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基等)を表す。
Zで表される置換または無置換のアミノ基とは、無置換アミノ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数6〜30のアニリノ基(例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基など)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、より具体的にはホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基など)、チオアシルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオカルボニルアミノ基、より具体的にはメチルチオカルボニルアミノ基、t-ブチルチオカルボニルアミノ基、フェニルチオカルボニル基など)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、より具体的には、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、より具体的には、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基など)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、より具体的には、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基など)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、より具体的には、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基など)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、より具体的には、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基など)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、より具体的には、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基など)を表す。Zは、無置換アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、アシルアミノ基などが好ましく、アシルアミノ基がより好ましい。
YおよびZは更に置換基を有していてもよい。置換基の例としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基(およびその塩を含む)、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、シリルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基(およびその塩を含む)、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基(およびその塩を含む)、シリル基などが挙げられる。なおここで塩とはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンやアンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンとの塩を意味する。なお、これら置換基は更にこれら置換基で置換されていてもよい。
一般式(1)で表される化合物は、好ましくはXが酸素原子または硫黄原子であり、Yが電子求引性基であり、Zが置換または無置換のアミノ基、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基である。より好ましくはXが酸素原子または硫黄原子であり、Yがアシル基であり、Zが置換または無置換のアミノ基であり、更に好ましくはXが硫黄原子であり、Yがアシル基であり、Zが置換または無置換のアミノ基である。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。但し本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2008275671
Figure 2008275671
前記酸発生促進剤は、市販品として入手可能であるか、または公知の方法により合成することができる。本発明のホログラフィック記録用組成物では、酸発生剤を1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のホログラフィック記録用組成物における酸発生促進剤の含有量は、例えば0.1〜30質量%であり、好ましくは0.5〜20質量%である。
記録用化合物
前述のように、本発明における「記録用化合物」とは、情報記録のための光照射により干渉縞を屈折率変調として記録することが可能な化合物をいう。記録用化合物としては、1)重合反応、2)発色反応、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として記録することが可能な化合物が好ましく、2)発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として記録することが可能な化合物がより好ましい。
以下に、各ホログラム記録方法およびそのような記録方法が可能な記録用化合物について詳しく説明する。
1)重合反応による干渉縞記録
本発明のホログラフィック記録用組成物が、上記記録方法に使用される場合、本発明のホログラフィック記録用組成物には記録用化合物として重合性化合物が含まれ、好ましくは、少なくとも増感色素、酸発生剤、酸発生促進剤、重合性化合物およびバインダーが含まれる。重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、増感色素による光吸収により起こる光重合によって、干渉明部と干渉暗部にて重合性化合物およびその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより、屈折率変調による干渉縞記録を行うことができる。この場合、酸発生剤が重合開始剤となり得る。また、増感色素と重合開始剤(酸発生剤)はその機能を兼ねてもよい。すなわち、重合開始剤を直接励起して記録を行ってもよく、増感色素を励起させ、この励起状態の増感色素からの電子移動またはエネルギー移動により重合開始剤(酸発生剤)を励起させてもよい。
以下に、ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素について詳しく説明する。
前記増感色素としては好ましくは、波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかを吸収して励起状態を生成するものであり、より好ましくは波長300〜700nmの紫外光または可視光を吸収して励起状態を生成するものであり、さらに好ましくは400〜700nmの可視光を吸収して励起状態を生成するものである。
増感色素としては、回折効率、多重度等の点から、下記一般式(2−1)〜(2−5)のいずれかで表される増感色素であることが好ましい。
Figure 2008275671
一般式(2−1)〜(2−5)中、R11、R12、R14、R15、R21、R22、R31、R32、R41およびR42は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−オクタデシル基、ベンジル基、2−メトキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−(2’−メトキシエトキシ)エチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、カルボキシメチル基、5−カルボキシペンチル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−(メチルスルホニル)エチル基、2−(フェニルスルホニル)エチル基、メトキシカルボニルメチル基、2−(アセチルオキシ)メチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20、例えば、フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基)のいずれかを表す。
11、R12、R21、R22、R31、R32は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基を表し、より好ましくはアルキル基を表し、最も好ましくはエチル基を表す。
14は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基を表し、より好ましくは水素原子またはメチル基を表す。
15は、好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、より好ましくは水素原子またはフェニル基を表す。
41、R42は好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、より好ましくはメチル基またはフェニル基を表し、最も好ましくはフェニル基を表す。
13、R23およびR33は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表す。それらの詳細は、先にR11等で表される置換基について述べた通りである。R13、R23およびR33は、好ましくはアルキル基を表す。
43、R44、R51、R52、R53およびR54は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表す。それらの詳細は、先にR11等で表される置換基について述べた通りである。R43、R44、R51、R52、R53およびR54は、好ましくはアルキル基を表す。
特に、R43、R51、R53は電子求引性基の置換したアルキル基であることが好ましい。
ここで電子求引性基とはHammetのσm値が負の値を示す置換基であり、電子求引性基として好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基であり、より好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、またはアルコキシ基である。
43、R51、R53としては、これらの電子求引性基がα位またはβ位で置換したアルキル基であることが好ましく、好ましい具体例としては例えば、2−メトキシエチル、2−ブトキシエチル基、2−(2’−メトキシエトキシ)エチル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−(メチルスルホニル)エチル基、2−(フェニルスルホニル)エチル基、メトキシカルボニルメチル基、2−(アセチルオキシ)メチル基等が挙げられ、より好ましい具体例としては例えば、2−メトキシエチル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、メトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
43とR44、R51とR52、R53とR54はそれぞれ連結して環を形成してもよく、形成する環としては好ましくはピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環などが挙げられる。
一般式(2−5)中、n1は0、1、3、4いずれかの数字を表し、好ましくは0または3を表し、より好ましくは3を表す。
以下に一般式(2−1)〜(2−5)のいずれかで表される増感色素の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2008275671
Figure 2008275671
なお、一般式(2−1)〜(2−5)のいずれかの増感色素を用いる場合は、ホログラム記録に用いるレーザーとしては532nmのYAG−SHGレーザーが好ましい。
なお本発明のホログラフィック記録用組成物は、一般式(2−1)〜(2−5)で表される増感色素以外の増感色素を含んでもよい。増感色素としては、好ましくはシアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、ベンジリデン色素、オキソノール色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アントラキノン色素、金属錯体色素、メタロセン色素等が挙げられ、より好ましくは、シアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、縮環芳香族系色素、金属錯体色素、メタロセン色素が挙げられ、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、金属錯体色素、メタロセン色素が挙げられる。なお、金属錯体色素としては特にRu錯体色素が、メタロセン色素としては特にフェロセン類が好ましい。
その他に「色素ハンドブック」(大河原信他編 講談社 1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編 シーエムシー 981年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編 シーエムシー 1986年)に記載される色素および染料も本発明の増感色素として用いることができる。なお、増感色素はこれらに限定されるものではなく、可視域の光に対して吸収を示す色素および染料であればどれでも用いることができる。これらの増感色素は、使用目的に応じて光源となるレーザーの波長に合うように選択することができ、用途によっては2種類以上の増感色素を組み合わせて使用しても構わない。
以下に、増感色素の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2008275671
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なお、ホログラフィック記録媒体において、ホログラム記録層は、一般に厚膜で使用されかつ記録光の多くが膜を透過する必要があるため、ホログラム露光波長における増感色素のモル吸光係数を小さくすることにより増感色素添加量を極力多くすることが高感度化のために好ましい。ホログラム露光波長における増感色素のモル吸光係数は1以上10000以下であることが好ましく、1以上5000以下であることがより好ましく、5以上2500以下であることがさらに好ましく、10以上1000以下であることが最も好ましい。
また、ホログラム記録層の記録波長光の透過率は10〜99%であることが好ましく、20〜95%であることがより好ましく、30〜90%であることがさらに好ましく、40〜85%であることが、回折効率、感度、記録密度(多重度)の点で最も好ましい。したがって、そのような透過率となるようにホログラム記録層の膜厚に合わせて増感色素の記録波長におけるモル吸光係数と添加モル濃度を調整することが好ましい。ホログラフィック記録用組成物における増感色素の使用量は、例えば0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
また、増感色素のλmaxはホログラム記録波長よりも短波長であることがより好ましく、ホログラム記録波長と同じから100nm短波長な範囲の間であることがさらに好ましい。
さらに、増感色素の記録波長におけるモル吸光係数はλmaxのモル吸光係数の5分の1以下であることが好ましく、10分の1以下であることがより好ましい。
特に増感色素がシアニン色素やメロシアニン色素のような有機色素の時は20分の1以下であることがより好ましく、50分の1以下であることがさらに好ましく、100分の1以下であることが最も好ましい。
なお、ホログラム記録波長が532nmのYAGレーザー2倍波の場合、増感色素としてはベンゾオキサゾール環を有するトリメチンシアニン色素、バツビツール酸性核を有するメロシアニン色素、ピラゾリジンジオン酸性核を有するベンジリデン色素、Ru錯体色素、フェロセン類が特に好ましく、400〜415nmのGaNやInGaN等のレーザーの場合、ベンゾオキサゾール環を有するモノメチンシアニン色素、メロシアニン色素、Ru錯体色素、フェロセン類が特に好ましい。
増感色素の好ましい例としては他に、特開2005−99751号公報に記載されているものを挙げることもできる。本発明において使用される増感色素は、市販品として入手可能であるか、または公知の方法により合成することができる。
重合反応による干渉縞記録の際には、バインダーは重合性化合物と屈折率が違うことが好ましい。屈折率変調を大きくするためには重合性化合物とバインダーのバルクでの屈折率差は大きいことが好ましく、屈折率差は0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましい。なお、重合性化合物の方がより屈折率が大きくても、バインダーの方がより屈折率が大きくても、どちらでも構わない。
前記重合性化合物とは、好ましくは、増感色素(または発色体)と重合開始剤に光を照射することにより発生したラジカルまたは酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)により、付加重合を起こしてオリゴマーまたはポリマー化が可能な化合物のことである。
前記重合性化合物としては、単官能性でも多官能性でもよく、一成分でも多成分でもよく、モノマー、プレポリマー(例えばダイマー、オリゴマー)でもこれらの混合物でもいずれでもよいが、モノマーであることが好ましい。
また、その形態は、室温において液状であっても固体状であってもよい。
前記重合性化合物は、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオン重合可能な重合性化合物に大別される。
以下に、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオン重合可能な重合性化合物ごとに、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて好ましい重合性化合物の例を説明する。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のラジカル重合性化合物の好ましい例
この場合、ラジカル重合性化合物は屈折率が高いことが好ましい。高屈折率ラジカル重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を分子中に有し、さらに少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含む化合物が好ましく、また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマーおよびそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
高屈折率ラジカル重合性モノマーとして好ましくは、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレートまたはジメタクリレート、ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、などが挙げられ、より好ましくはアクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチルなどが挙げられる。
好ましい重合性化合物は液体であるが、それらはN−ビニルカルバゾール、アクリル酸2−ナフチル、アクリル酸ペンタクロロフェニル、アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、ビスフェノール−Aジアクリレート、アクリル酸2−(2−ナフチロキシ)エチル、並びにN−フェニルマレイミドのような第2の固体重合性化合物と混合して使用してよい。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のラジカル重合性化合物の好ましい例
この場合、ラジカル重合性化合物は屈折率が低いことが好ましい。低屈折率ラジカル重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を分子中に有し、さらにアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まないことが好ましい。
また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマーおよびそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
低屈折率ラジカル重合性モノマーとして好ましくは、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソ−ボルニル、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、フマル酸ジアリル、アクリル酸1H,1H−パーフロロオクチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、1−ビニル−2−ピロリジノンなどが挙げられ、より好ましくは、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、エトキシル化トリメチロールプロパンのトリアクリレートエステル、並びに1−ビニル−2−ピロリジンなどが挙げられ、より好ましくは、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、アクリル酸1H,1H−パーフロロオクチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、1−ビニル−2−ピロリジンなどが挙げられる。
好ましい重合性化合物は液体であるが、それらは、第2の固体重合性化合物モノマー、例えばN−ビニルカプロラクタム等と混合して使用してよい。
カチオン重合性化合物は、好ましくは、増感色素と酸発生剤に光照射することにより発生した酸により重合が開始される化合物である。
カチオン重合性化合物として好ましくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、スチリル基、N−ビニルカルバゾール部位を分子中に少なくとも1個有する化合物であり、より好ましくは2個有する化合物である。より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のカチオン重合性化合物の好ましい例
この場合、カチオン重合性化合物は屈折率が高いことが好ましい。高屈折率カチオン重合性化合物としては、少なくとも1個、好ましくは2個のオキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、スチリル基、N−ビニルカルバゾール部位を分子中に有し、さらに少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含む化合物が好ましく、少なくとも1個のアリール基を含むことが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマーおよびそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
オキシラン環を有する高屈折率カチオン重合性モノマーとして好ましくは、フェニルグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリメリト酸トリグリシジルエステル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、p−ブロモスチレンオキサイド、ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、1,3−ビス(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル)−1,3,−ジフェニル−1,3,−ジメチルジシロキサンなどが挙げられる。
オキセタン環を有する高屈折率カチオン重合性モノマーの具体例としては、オキシラン環としてグリシジル基1を有する前記の高屈折率カチオン重合性モノマーの具体例のグリシジル基1を、オキセタン環を含む基2に置き換えた化合物等が挙げられる。
Figure 2008275671
さらに、高屈折率カチオン重合性モノマーとしては以下の化合物も好ましく挙げられる。
Figure 2008275671
なお、オキシラン環を有するモノマーとオキセタン環を有するモノマーを併用して用いることも好ましく、その際はオキシラン環を有するモノマーに対し、5〜95質量%のオキセタン環を有するモノマーを加えることが好ましい。
ビニルエーテル基部位を有する高屈折率カチオン重合性モノマーの具体例としては例えば、ビニル−2−クロロエチルエーテル、4−ビニルエーテルスチレン、ハイドロキノンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、フェノキシエチレンビニルエーテル、p−ブロモフェノキシエチレンビニルエーテルなどが挙げられる。
他に、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン等のスチレン系モノマーやN−ビニルカルバゾールも高屈折率カチオン重合性モノマーとして好ましい。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のカチオン重合性化合物の好ましい例
この場合、カチオン重合性化合物は屈折率が低いことが好ましい。低屈折率カチオン重合性化合物としては、少なくとも1個、好ましくは2個のオキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基を分子中に有し、さらにアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まない化合物が好ましい。また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマーおよびそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
オキシラン環を有する低屈折率カチオン重合性モノマーの具体例としては、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,3−ビス(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサンなどが挙げられる。
オキセタン環を有する低屈折率カチオン重合性モノマーの具体例としては、オキシラン環としてグリシジル基1を有する前記の低屈折率カチオン重合性モノマーの具体例のグリシジル基1を、オキセタン環を含む基2に置き換えた化合物等が挙げられる。
Figure 2008275671
さらに、低屈折率カチオン重合性モノマーとしては以下の化合物も好ましく挙げられる。
Figure 2008275671
なお、オキシラン環を有するモノマーとオキセタン環を有するモノマーを併用して用いることも好ましく、その際はオキシラン環を有するモノマーに対し、5〜95質量%のオキセタン環を有するモノマーを加えることが好ましい。
ビニルエーテル基部位を有する低屈折率カチオン重合性モノマーの具体例としては例えば、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、エチレングリゴールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルグリコール、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、アリルビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)プロパンジビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)トリフルオロプロパンジビニルエーテルなどが挙げられる。
次に、重合反応による干渉縞記録の際の好ましいバインダーについて、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて例を説明する。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のバインダーの好ましい例。
この場合、バインダーは低屈折率であることが好ましく、アリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まないバインダーであることが好ましい。
好ましい低屈折率バインダーの具体例としては、アクリレートおよびアルファ−アルキルアクリレートエステルおよび酸性重合体およびインターポリマー(例えばポリメタクリル酸メチルおよびポリメタクリル酸エチル、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニルおよび加水分解型ポリ酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和および不飽和ポリウレタン、ブタジエンおよびイソプレン重合体および共重合体およびほぼ4,000〜1,000,000の質量平均分子量を有するポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化物(例えば、アクリレートまたはメタクリレート基を有するエポキシ化物)、ポリアミド(例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアジパミド)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネートおよびセルロースアセテートブチレート)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルベンジルセルロース)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラールおよびポリビニルホルマール)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などが挙げられる。
また、フッ素原子含有高分子も低屈折率バインダーとして好ましい。好ましいものとしては、フルオロオレフィンを必須成分とし、アルキルビニルエーテル、アリサイクリックビニルエーテル、ヒドロキシビニルエーテル、オレフィン、ハロオレフィン、不飽和カルボン酸およびそのエステル、およびカルボン酸ビニルエステルから選ばれる1種もしくは2種以上の不飽和単量体を共重合成分とする有機溶媒に可溶性の重合体である。好ましくは、その質量平均分子量が5,000から200,000で、またフッ素原子含有量が5〜70質量%であることが望ましい。
前記したフッ素原子含有高分子の具体例として、例えば水酸基を有する有機溶媒可溶性の「ルミフロン」シリーズ(例えばルミフロンLF200、質量平均分子量:約50,000、旭硝子社製)が挙げられる。この他にも、ダイキン工業(株)、セントラル硝子(株)、ペンウオルト社などからも有機溶媒可溶性のフッ素原子含有高分子が上市されており、これらも使用することができる。
またポリ(ジメチルシロキサン)などのケイ素化合物や芳香族を含まないシリコンオイル等も好ましい例として挙げられる。
また他に、芳香族を含まないエポキシオリゴマー化合物も低屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のバインダーの好ましい例。
この場合、バインダーは高屈折率であることが好ましく、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含むバインダーであることが好ましく、アリール基を含むバインダーであることがより好ましい。
好ましい高屈折率バインダーの具体例としては、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸およびそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニルおよび共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH2)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸およびテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸およびセバシン酸、(3)テレフタル酸およびセバシン酸、(4)テレフタル酸およびイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコールおよび(i)テレフタル酸、イソフタル酸およびセバシン酸および(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸およびアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾールおよびその共重合体、炭酸エステルとビスフェノールから成るポリカーボネートなどが挙げられる。
またポリ(メチルフェニルシロキサン)や、1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシロキサンなどのケイ素化合物、芳香族を多く含むシリコンオイル等も好ましい例として挙げられる。
また他に、芳香族を多く含むエポキシオリゴマー化合物も高屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
本発明においては、酸増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。酸増殖剤とは、酸の存在しない状態では安定であるのに対し、酸存在下では分解して酸を放出し、その酸でまた別の酸増殖剤を分解させてまた酸を放出する、というように酸発生剤により発生した少量の酸をトリガーとして酸を増殖する化合物である。酸増殖剤の好ましい例として具体的に例えば、特開2005−17730号公報に記載されている例が挙げられる。
重合開始剤、重合性化合物、バインダーの好ましい例として具体的には例えば、特開2005−99753号公報に記載されている例が挙げられる。
2)発色反応による干渉縞記録
本発明にて発色反応とは、200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光の領域にて、吸収スペクトル形が変化するような反応を示し、より好ましくは吸収スペクトルにおいてλmaxが長波長化、εが増大のいずれかが起こるような反応を示し、さらに好ましくはその両方が起こるような反応を示す。また、発色反応は200〜1000nmの波長領域で起こることがより好ましく、300〜900nmの波長領域で起こることがさらに好ましい。
記録が発色反応による場合は、本発明のホログラフィック記録用組成物は、記録用化合物として酸が付加することにより元の状態から吸収が長波長化し、かつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素
2)増感色素励起状態からの電子移動により酸を発生する酸発生剤
3)酸発生反応を促進する酸発生促進剤
4)酸が付加することにより元の状態から吸収が長波長化し、かつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体
を含むことが好ましい。
ここで、色素の屈折率は一般に、線形吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては1.8を超え、場合によっては2を超えるような高い値をとる。その一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
よって、ホログラム露光により色素前駆体を発色させることは、吸収率差だけでなく、大きな屈折率差も好ましく形成できることがわかる。
本発明のホログラフィック記録用組成物は、屈折率変調により干渉縞を記録する位相型ホログラム記録材料であることが高回折効率の点で好ましい。つまり、ホログラム再生時には、ホログラム記録層が再生光波長に吸収を有さないか、ほとんど吸収を有さないことが好ましい。
したがって、前記色素前駆体がホログラム露光後発色体になる際には、ホログラム記録および再生波長に吸収を有さずに、それよりも短波長側に吸収を有する発色体となることが好ましい。また増感色素の方は、ホログラム記録またはその後の定着の際に分解してその吸収および増感機能を失うことが好ましい。
さらに、大きな屈折率変調を与え感度やダイナミックレンジを増すためには、前記色素前駆体は、ホログラム露光後、ホログラム記録および再生波長に吸収を有さず、ホログラム記録波長とホログラム記録波長から200nm短波長な波長の間の領域に、吸収極大を有する発色体となることが好ましく、ホログラム記録波長とホログラム記録波長から150nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有する発色体となることがより好ましい。
本記録方式において使用可能な増感色素は、1)重合反応による干渉縞記録で記載したものと同様であり、好ましいものもまた同様である。
干渉縞記録成分として好ましくは、以下の組み合わせが挙げられる。これらについては、具体例として好ましくは、特開2005−99751号公報に記載されている例が挙げられる。
i)少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤および酸発生促進剤を含む組み合わせ。必要によりさらに酸増殖剤を含む組み合わせ。
酸発生剤としてはジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、トリハロメチル置換トリアジン、スルホン酸エステルを用いることが好ましく、更に増感色素として一般式(2−1)〜(2−5)にて表される増感色素を用いることが好ましい。
また、酸発生剤としてジアリールヨードニウム塩を用いる際には、増感色素としては一般式(2−4)で表される増感色素を用いることが好ましい。
酸発色型色素前駆体から生成する発色体はキサンテン色素、フルオラン色素またはトリフェニルメタン色素が好ましい。酸発色型色素前駆体の特に好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2008275671
また、前記酸発色型色素前駆体としては、酸(プロトン)付加により発色するシアニンベース(ロイコシアニン色素)も好ましく用いられる。シアニンベースの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2008275671
Figure 2008275671
ii)増感色素励起状態との電子移動またはエネルギー移動により共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位と、共有結合している際と放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位が共有結合している化合物を含む場合。必要によりさらに塩基を含む組み合わせ。
特に好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2008275671
Figure 2008275671
Figure 2008275671
iii)増感色素励起状態との電子移動により反応し、吸収形を変化させることができる化合物を含む場合。いわゆるエレクトロクロミック化合物を好ましく用いることができる。
さらには、バインダーポリマーを含むことがより好ましく、バインダーポリマーとしては、1)重合反応の欄で記載した例や、特開2005−99751号公報に記載されている例が好ましく挙げられる。
3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応による干渉縞記録
好ましくは、少なくとも、潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なり、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射し発色体を自己増感増幅生成することにより、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とするホログラム記録方法であり、高速書き込み、高S/N比再生等の点で好ましい。
なお、ここで「潜像」とは、「第2の工程後形成される屈折率差の好ましくは2分の1以下の屈折率差」のこと(つまり好ましくは第2の工程にて2倍以上の増幅工程が行われること)を示し、より好ましくは5分の1以下、さらに好ましくは10分の1以下、最も好ましくは30分の1以下の屈折率差画像であること(つまり第2の工程にてより好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上、最も好ましくは30倍以上の増幅工程が行われること)を示す。
ここで、第2の工程は光照射、熱印加のいずれかまたはその両方であることが好ましく、光照射であることがより好ましく、照射する光は全面露光(いわゆるベタ露光、ブランケット露光、ノンイメージワイズ露光)であることが好ましい。
用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、赤外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
本発明のホログラフィック記録用組成物はそのようなホログラム記録方法に使用される場合、記録用化合物として、酸が付加することにより元の状態から吸収が長波長化し、かつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素
2)増感色素励起状態からの電子移動により酸を発生する酸発生剤
3)酸発生反応を促進する酸発生促進剤
4)酸が付加することにより元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体
を含むことが好ましい。
増感色素、干渉縞記録成分、色素前駆体として好ましい例は、2)発色反応の欄で述べた例と同じである。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、発色体のモル吸光係数が1000以上であることが好ましい。
以下に「潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応方式」の概念を説明する。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録層に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から干渉縞記録成分にエネルギー移動または電子移動させることにより、干渉縞記録成分に含まれる色素前駆体を発色体に変化させて発色による潜像を形成する(以上第1の工程)。次に350〜420nmの波長域の光を照射して、発色体の吸収を起こし、発色体の自己増感により発色体を増幅生成させる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉暗部である部分では潜像があまり生成しないため第2の工程においても自己増感発色反応はほとんど起きず、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録層に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応の具体例として好ましくは、特開2005−99753号公報に記載されている例が挙げられる。
4)潜像発色−発色体増感重合反応による干渉縞記録
好ましくは、少なくとも、潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とするホログラム記録方法であり、高速書きこみ、保存性等に優れる。
なお、第2の工程にて、発色体を自己増感増幅生成しつつかつ重合を起こす方法も好ましい。
本発明のホログラフィック記録用組成物が、そのようなホログラム記録方法に使用される場合、記録用化合物として酸が付加することにより元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、または第2の工程にて発色体励起状態からの電子移動により酸を発生する酸発生剤
3)酸発生反応を促進する酸発生促進剤
4)酸が付加することにより元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体
5)第1の工程にて増感色素励起状態から、第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤(場合により2)の酸発生剤が兼ねる)
6)重合性化合物
7)バインダー
を含むことが好ましい。
増感色素、干渉縞記録成分、色素前駆体として好ましい例は、2)発色反応の欄で述べた例と同じである。
重合開始剤、重合性化合物、バインダーとして好ましい例は、1)重合反応の欄で述べた例と同じである。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、発色体のモル吸光係数が1000以上であることがより好ましい。
前記ホログラム記録方法においては、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を分解して定着することが保存性および非破壊再生の点で好ましく、さらには、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより発色体を分解して定着することがより好ましい。
以下に「潜像発色−発色体増感重合反応方式」の概念を説明する。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録層に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から干渉縞記録成分にエネルギー移動または電子移動させることにより、干渉縞記録成分に含まれる色素前駆体を発色体に変化させて発色による潜像を形成する(以上第1の工程)。次に350〜420nmの波長域の光を照射して、発色体の吸収を起こし、重合開始剤に電子移動またはエネルギー移動させることにより活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が大きい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が高くなる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉暗部である部分では潜像があまり生成しないため第2の工程においても重合はあまり起きずバインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。第1および第2の工程、あるいはさらにその後の定着工程により増感色素および発色体を分解して消色できれば、非破壊再生および保存性に優れたホログラム記録材料を提供することができる。
例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録層に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
潜像発色−発色体増感重合反応の具体例として好ましくは、特開2005−99753号公報に記載されている例が挙げられる。
5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化による干渉縞記録
好ましくは、ホログラム露光により固有複屈折率を有する化合物の配向変化を起こし、そのまま化学反応により固定化することにより、書き換えできない方式にて屈折率変調として干渉縞記録することを特徴とするホログラム記録方法である。この場合、本発明のホログラフィック記録用組成物には、記録用化合物として、固有複屈折率を有する化合物が含まれる。固有複屈折率を有する化合物としては液晶性化合物が好ましく、低分子液晶性化合物がより好ましく、重合性基を有する低分子液晶性化合物がさらに好ましい。重合性基を有する低分子液晶性化合物はネマチック液晶性化合物、スメクチック液晶性化合物、ディスコティックネマチック液晶性化合物、ディスコティック液晶性化合物、コレステリック液晶性化合物のいずれかであることが好ましく、ネマチック液晶性またはスメクチック液晶性であることがより好ましい。
さらに固有複屈折率を有する化合物の配向変化による干渉縞記録方式に使用されるホログラフィック記録用組成物には、少なくとも重合性基を有する低分子液晶性化合物、光反応性化合物、重合開始剤が含まれることが好ましく、さらには、増感色素、バインダーポリマー等が含まれることも好ましい。重合開始剤、増感色素、バインダーポリマー等の好ましい例は先述した通りであり、増感色素として一般式(2−1)〜(2−5)のいずれかで表される増感色素を用いることが好ましい。
なお光反応性化合物は光異性化化合物であることが好ましく、より好ましくはアゾベンゼン系化合物、スチルベン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、ジアリールエテン系化合物、フルギド系化合物、フルギミド系化合物、桂皮酸系化合物、クマリン系化合物、カルコン系化合物のいずれかであり、最も好ましくはアゾベンゼン系化合物である。
光反応性化合物は低分子化合物であっても、高分子化合物であっても良く、高分子化合物である際は、光反応性部位をペンダントした高分子化合物であることが好ましい。
なお、固有複屈折率を有する化合物の配向変化による干渉縞記録方式および材料の具体例として好ましくは、特開2005−115361号公報に記載されている例が挙げられる。
6)色素消色反応
好ましくは、少なくとも1種以上の消色性色素を有し、該消色性色素がホログラム露光により消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法である。本発明のホログラフィック記録用組成物が、この記録方式に使用される場合、記録用化合物として消色性色素が含まれる。
本発明にて消色性色素とは、200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光の領域に吸収を有し、光照射により直接または間接的にλmaxが短波長化、吸収のモル吸光係数の減少のいずれかが起こすような色素の総称を示し、さらに好ましくはその両方を起こすような色素である。また、消色反応は200〜1000nmの波長領域で起こることがより好ましく、300〜900nmの波長領域で起こることがさらに好ましい。
なお好ましい組み合わせとして、
(A)該消色性色素がホログラム露光波長に吸収を有する増感色素であり、ホログラム露光の際光を吸収し、その結果自身を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。
(B)少なくともホログラム露光波長に吸収を有する増感色素とホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下、好ましくは100以下の消色性色素を有し、ホログラム露光の際増感色素が光を吸収し、その励起エネルギーを用いた電子移動またはエネルギー移動により消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。
が挙げられ、B)の方法の方がより好ましい。
さらに、消色性色素、増感色素とは別の消色剤前駆体を有し、増感色素または消色性色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法も好ましい。その際、消色剤はラジカル、酸、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであることが好ましく、したがって、消色剤前駆体はラジカル発生剤、酸発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることが好ましい。消色前駆体としては、ラジカル発生剤、酸発生剤のいずれかであることがより好ましく、酸発生剤であることがさらに好ましい。
また、いずれの場合も、さらにバインダーポリマーを含むことがより好ましく、バインダーポリマーとしては、1)重合反応の欄で先述した例や、特開2005−99751号公報に記載されている例が好ましく挙げられる。
次に「色素消色反応方式」において、干渉縞明部と暗部にて屈折率差を形成するための消色性色素について詳しく述べる。
先述した(A)の方式では、増感色素と消色性色素を兼ねるため、消色性色素の好ましい例としては先述した増感色素の例が挙げられる。増感色素兼消色性色素のλmaxはホログラム記録光波長とホログラム記録光波長から100nm短い波長域の間にあることが好ましい。
一方、先述した(B)の方式では、増感色素とは別に消色性色素を用いる。その際、消色性色素としてはホログラム記録光波長のモル吸光係数が1000以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、0であることが最も好ましい。消色性色素のλmaxはホログラム記録光波長とホログラム記録光波長から200nm短い波長域の間にあることが好ましい。
(B)の方式では、消色性色素としては、好ましくは、シアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、ベンジリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、金属錯体色素のいずれかであり、さらに好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、ベンジリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、キサンテン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、金属錯体色素のいずれかである。
特に、消色剤が酸の時、消色性色素としては、解離型ベンジリデン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型アゾ色素の解離体であることが好ましく、解離型ベンジリデン色素、解離型オキソノール色素、解離型アゾ色素の解離体であることがより好ましい。ここで解離型色素とは−OH基、−SH基、−COOH基、−NHSO2R基や−CONHSO2R基等、pKaが2〜14程度の範囲内にある活性水素を有し、プロトンが解離することによって、吸収が長波長化または高ε化する色素の総称である。したがって、解離型色素をあらかじめ塩基で処理して解離型としておけば、あらかじめ長波長化または高ε化した色素を調製することができ、光酸発生により非解離型に変化させ消色(短波長化または低ε化)することが可能となる。
以上より、本発明のホログラフィック記録用組成物は、前記記録方式に使用される場合、少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素
2)増感色素励起状態またはからの電子移動により酸を発生する酸発生剤
3)酸発生反応を促進する酸発生促進剤
4)ホログラム再生光波長に吸収を有さず、さらに酸により消色する消色性色素
を含むことが好ましい。
以下に消色性色素の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2008275671
Figure 2008275671
Figure 2008275671
また、消色性色素としては、ホログラム露光により生成する増感色素励起状態からの電子移動により結合が切断し、その結果消色することができる以下の消色性色素の例も好ましく挙げることができる。
これらの消色性色素は元々はシアニン色素であるが、電子移動による結合の切断によりシアニンベース(ロイコシアニン色素)に変化し、吸収の消色または短波長化が起こるものである。
Figure 2008275671
消色剤前駆体が酸発生剤の場合、好ましい例としては前述の例が挙げられる。ラジカル発生剤の場合、好ましい例としては前述のラジカル重合開始剤の例が挙げられる。
色素消色反応の具体例として好ましくは、特開2005−309359号公報に記載されている例が挙げられる。
7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応
好ましくは、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、その励起エネルギーを用いてホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下、好ましくは100以下、最も好ましくは0の消色性色素を消色し、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とするホログラム記録方法であり、高速記録、多重記録適性、記録後の保存性等に優れる。
さらに、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、6)で述べた消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、エネルギー移動または電子移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とするホログラム記録方法、も好ましい。
前記記録方式では、記録用化合物として、ホログラム再生光波長に吸収を有さず、さらに酸により消色する消色性色素が使用される。さらに、そのようなホログラム記録方法が可能な化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素
2)増感色素励起状態からの電子移動により酸を発生する酸発生剤
3)酸発生反応を促進する酸発生促進剤
4)ホログラム再生光波長に吸収を有さず、さらに酸により消色する消色性色素
5)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤(場合により2)の酸発生剤が兼ねる)
6)重合性化合物
7)バインダー
を含むことが好ましい。
なお、増感色素、重合開始剤、重合性化合物、バインダーとして好ましい例は、1)重合反応の欄で述べた例と同じである。
消色性色素、消色剤前駆体の好ましい例は、6)消色反応の欄で述べた例と同じである。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、消色性色素のモル吸光係数が1000以上であることが好ましい。
ここで、「残存消色色素潜像−潜像増感重合方式」において、消色剤前駆体と重合開始剤が一部または全部同じで両方の機能を兼ねることも好ましい。
増感色素とは別に消色性色素を添加する場合にて、消色剤前駆体と重合開始剤が異なる場合(例えば消色剤前駆体が酸発生剤、重合開始剤はラジカル重合開始剤、あるいは、消色剤前駆体がラジカル発生剤または求核剤発生剤、重合開始剤が酸発生剤)は、増感色素は消色剤前駆体に対してのみ電子移動増感可能で、重合開始剤は消色性色素によってのみ電子移動増感可能であることが好ましい。
前記ホログラム記録方法においては、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を分解して定着することが保存性および非破壊再生の点で好ましく、さらには、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより残存している消色性色素を分解して定着することがより好ましい。
以下に「残存消色色素潜像−潜像増感重合反応方式」の概念を説明する。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から消色剤前駆体にエネルギー移動または電子移動させることにより消色剤を発生させて、消色性色素を消色させる。その結果、残存した消色性色素による潜像を形成することができる(以上第1の工程)。次に350〜420nmの波長域の光を照射して、残存消色色素潜像の吸収を起こし、重合開始剤に電子移動またはエネルギー移動させることにより活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が小さい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が低くなる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉明部となった部分では潜像となる残存消色性色素が少ないため第2の工程においても重合はあまり起きずバインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。第1および第2の工程、あるいはさらにその後の定着工程により増感色素および残存消色性色素を分解して消色できれば、非破壊再生および保存性に優れたホログラム記録材料を提供することができる。
例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
残存消色色素潜像−潜像増感重合反応の具体例として好ましくは、特開2005−309359号公報に記載されている例が挙げられる。
以上説明したように、本発明のホログラフィック記録用組成物は、記録方式に応じた記録用化合物および各種成分を含有する。記録用化合物の含有量は、ホログラフィック記録用組成物中、例えば1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%である。また、先に説明した各成分の含有量は、記録用化合物の種類や使用量等に応じて設定すればよい。
その他の成分
本発明のホログラフィック記録用組成物は、前記のような増感色素、干渉縞記録成分、重合開始剤、重合性化合物、バインダー、消色性色素、消色剤前駆体等に加えて、さらに必要に応じて電子供与性化合物、電子受容性化合物、連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の添加物を用いることができる。
電子供与性化合物は増感色素、発色体または消色性色素のラジカルカチオンを還元する能力を有し、電子受容性化合物は増感色素、発色体または消色性色素のラジカルアニオンを酸化する能力を有し、共に増感色素、発色体または消色性色素を再生する機能を有する。具体的には例えば、特開2005−99751号公報に記載されている例が好ましい例として挙げられる。
特に電子供与性化合物は、色素前駆体群への電子移動後の増感色素、発色体または消色性色素ラジカルカチオンを素早く再生できるため高感度のために有用である。電子供与性化合物としては、酸化電位が増感色素、発色体または消色性色素の酸化電位よりも卑なものが好ましい。電子供与性化合物の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2008275671
電子供与性化合物としては特に、フェノチアジン系化合物(例えば10−メチルフェノチアジン、10−(4’−メトキシフェニル)フェノチアジン)、トリフェニルアミン系化合物(例えばトリフェニルアミン、トリ(4’−メトキシフェニル)アミン、TPD系化合物(例えばTPD)等が好ましく、フェノチアジン系化合物がさらに好ましい。
なお、前述してきた本発明の増感色素、酸発生剤、色素前駆体、消色性色素、消色剤前駆体、電子供与性化合物等はオリゴマーまたはポリマーでもよく、その際は主鎖に含まれても側鎖に含まれても良く、共重合体であってもよい。
ポリマー主鎖としてはどのような構造でもよいが、ポリアクリレートやポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、セルロースおよびアシル化セルロース等が好ましく挙げられる。
その際、ポリマーまたはオリゴマーとしては繰り返し単位が2以上100万以下であり、好ましくは3以上100万以下であり、より好ましくは5以上50万以下であり、もっとも好ましくは10以上10万以下である。
またポリマーまたはオリゴマーの質量平均分子量としては好ましくは500以上1000万以下であり、より好ましくは1000以上500万以下であり、さらに好ましくは2000以上100万以下であり、最も好ましくは3000以上100万以下である。
連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の具体例として好ましい例は、特開2005−99753号公報に記載されている例が挙げられる。
連鎖移動剤として好ましくは、チオール類であり、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、p−ブロモベンゼンチオール、チオシアヌル酸、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、p−トルエンチオールなどが挙げられる。
特に重合開始剤が2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーの場合は連鎖移動剤を用いることが好ましい。
本発明のホログラフィック記録用組成物には、保存時の保存性を向上させるために熱安定剤を添加することができる。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。
可塑剤はホログラム記録層の接着性、柔軟性、硬さ、およびその他の機械的諸特性を調整するために使用することができる。可塑剤としては例えば、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジエチルセバケート、ジブチルスベレート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフタレート、アルコール類、フェノール類等が挙げられる。
本発明のホログラフィック記録用組成物は、上記各成分を混合して調製することができる。また、塗布時の粘度調整等のために、必要に応じて溶媒を添加してもよい。溶媒として好ましくは、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒が挙げられる。
本発明のホログラフィック記録用組成物は、ホログラム記録前後で収縮等を起こさず信号再生時のS/N比を向上させるために、膨張剤を添加してもよく、耐収縮性を有するバインダーを使用してもよい。膨張剤としては、例えば特開2000−86914号公報に記載の膨張剤を用いることができる。また、耐収縮性を有するバインダーとしては、特開2000−250382号公報、特開2000−172154号公報、特開平11−344917号公報記載のものを挙げることができる。また、特開平3−46687号公報、特開平5−204288号公報、特表平9−506441号公報等記載の拡散要素を用いて干渉縞間隔を調節することも好ましい。
また、本発明のホログラフィック記録用組成物は、ホログラム記録光および/または再生光の散乱を防止するために散乱防止用添加剤を含んでもよい。散乱防止剤用添加剤の好ましい例としては、例えば特開2006−78877号公報に記載のものが挙げられ、添加量等の詳細は該公報を参照できる。
本発明のホログラフィック記録用組成物は、情報を含んだ光の照射によって該情報の記録を行える各種のホログラフィック記録用組成物に利用可能であって、特に、ボリュームホログラフィック記録用組成物として好適である。
[ホログラフィック記録媒体]
更に本発明は、本発明のホログラフィック記録用組成物から形成された記録層を有するホログラフィック記録媒体に関する。
前記記録層は、通常の製膜方法によって形成することができる。例えば、前記のマトリックスや各成分を溶媒等に溶かしてスピンコーターまたはバーコーター等を用いて塗布してもよい。本発明のホログラフィック記録用組成物を、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗してもよく、またはフィルムとしてキャストし、次いで通常の方法により基板にラミネートすることもできる。
ここで、「基板」とは、任意の天然または合成支持体、好適には柔軟性または剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎または静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。溶媒を使用した場合、溶媒は、記録層塗布後の乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いてもよい。
また、各成分を含むバインダーを、バインダーのガラス転移温度または融点以上の温度にしてメルトさせ溶融押し出しまたは射出成型して製膜し、記録層を形成してもよい。その際、バインダーとして反応性架橋バインダーを使用し、押し出しまたは成型後に架橋させて膜を硬化させ、膜強度を増してもよい。その場合、架橋反応にはラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。また、特開2000−250382号公報、特開2000−172154号公報等記載の方法も好ましく使用することができる。
また、バインダーを形成するモノマー溶液に各成分を溶解させておいた上でモノマーを熱重合または光重合させてポリマーとし、バインダーとして使用する方法も好ましく使用できる。その際の重合法としても、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。
さらに、記録層の上に酸素遮断のための保護層を形成してもよい。保護層は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布してもよい。また、ガラス板を貼合わせてもよい。また、保護層と記録層の間および/または、基板と記録層の間に、気密性を高めるために粘着剤または液状物質を存在させてもよい。
なお、本発明のホログラフィック記録用組成物から形成された記録層への情報記録は、乾式で行うことができる。湿式処理を行わずに記録ができることは、迅速性の点で好ましい。
本発明のホログラフィック記録媒体は、書き換えできない方式の記録媒体として好適である。なおここで、書き換えできない方式とは、不可逆反応により記録される方式であり、一度記録されたデータは、さらに上書き記録して書き換えしようとしても書き換えされることなく保存できる方式を示す。したがって重要でかつ長期保存が必要なデータの保存に適する。ただし無論、まだ記録されていない領域に新たに追記して記録していくことは可能である。そのような意味で、上記方式は、一般に「追記型」または「ライトワンス型」と呼ばれる。
また、本発明のホログラフィック記録媒体は、体積位相型ホログラム記録を行うために使用されることが好ましい。体積位相型ホログラム記録とは、ホログラム記録材料中に光学的吸収ではなく屈折率の異なる干渉縞を多数形成することによって、光を吸収することなく光の位相を変調することができる。特に反射型の体積位相型ホログラムはリップマン型ホログラムとも呼ばれ、ブラック回折による波長選択的反射により、高回折効率にてフルカラー化、白色再生、高解像度化が可能となり、高解像フルカラー3次元ディスプレイの提供が可能となる。
本発明のホログラフィック記録媒体へ情報を記録するために使用される光(情報光および参照光)は、好ましくは波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかであり、より好ましくは波長300〜700nmの紫外光または可視光であり、さらに好ましくは400〜700nmの可視光である。
さらに、情報記録のために使用される光としては、コヒーレントな(位相および波長のそろった)レーザー光が好ましい。用いられるレーザーとしては、固体レーザー、半導体レーザー、気体レーザー、液体レーザーのいずれでもよいが、好ましいレーザー光としては、例えば、532nmのYAGレーザー2倍波、355nmのYAGレーザー3倍波、400〜415nm付近のGaNやInGaN等の半導体レーザー、650〜660nm付近のAlGaInP等の半導体レーザー、488または515nmのArイオンレーザー、632または633nmのHe−Neレーザー、647nmのKrイオンレーザー、694nmのルビーレーザーや636、634、538、534、442nmのHe−Cdレーザーなどが挙げられる。
また、ナノ秒やピコ秒オーダーのパルスレーザーを用いることも好ましい。
中でも、532nmのYAGレーザー2倍波または400〜415nm付近のGaNやInGaNレーザー、650〜660nm付近のAlGaInP等の半導体レーザーを用いることが好ましい。
ホログラム露光(記録)に用いる光の波長に対し、ホログラム再生に用いる光の波長は同じであるか、長波長であることが好ましく、同じであることがより好ましい。
なお、干渉縞記録の際の屈折率変調量は0.00001〜0.5であることが好ましく、0.0001〜0.3であることがより好ましい。また、記録層の膜厚が厚い程、屈折率変調量は少ない方が好ましく、記録層の膜厚が薄い程、屈折率変調量は多い方が好ましい。
記録層の(相対)回折効率ηは以下の式で与えられる。
η=Idiff/Io (式1)
ここでIoは回折されない透過光の強度であり、Idiffは回折(透過型)または反射(反射型)された光強度である。回折効率は0〜100%のいずれかの値を取るが、30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
記録層の感度は、一般に単位面積当たりの露光量(mJ/cm2)で表され、この値が小さい程感度が高いと言える。しかし、どの時点の露光量をもって感度とするかは、文献、特許によってまちまちであり、記録(屈折率変調)のはじまる露光量とする場合、最大回折効率(屈折率変調)を与える露光量とする場合、最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量とする場合、露光量Eに対し、回折効率の傾きが最大となる露光量とする場合などある。
また、クーゲルニックの理論式より、ある回折効率を与えるための屈折率変調量Δnは膜厚dに反比例する。つまり、ある回折効率を与えるための感度は膜厚によっても異なり、膜厚dが厚くなる程少ない屈折率変調量Δnで済む。したがって、膜厚等の条件を揃えない限り、感度は一概には比較することはできない。
本発明においては、感度は「最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量(mJ/cm2)」と定義する。本発明のホログラフィック記録媒体の感度は、例えば記録層の膜厚が10〜200μm程度の場合、2J/cm2以下であることが好ましく、1J/cm2以下であることがより好ましく、500mJ/cm2以下であることがさらに好ましく、200mJ/cm2以下であることが最も好ましい。
本発明のホログラフィック記録媒体には、DMDやLCDといった空間光変調素子(SLM)を用いて2次元デジタル情報(信号光と呼ぶ)を数多く記録していくことが好ましい。記録には記録密度を上げるために多重記録を用いることが好ましく、多重記録の方法には、角度多重、位相多重、波長多重、シフト多重などの多重記録を行う方法があるが、角度多重記録またはシフト多重記録を用いることが好ましい。また、再生される2次元データの読み出しにはCCDやCMOSが好ましく用いられる。
本発明のホログラフィック記録媒体に対し多重記録を行うことにより、記録容量(記録密度)を向上させることができる。その際、10回以上の多重記録を行うことがより好ましく、50回以上の多重記録を行うことがさらに好ましく、100回以上(例えば5000回以下)の多重記録を行うことが最も好ましい。さらに、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることが記録システム簡略化、S/N比向上等の点でより好ましい。
なお、本発明のホログラフィック記録媒体は、保存時は遮光カートリッジ内に保存されていることが好ましい。また、記録光および再生光波長以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターを媒体の表面、裏面またはその両面に備え付けていることも好ましい。
本発明のホログラフィック記録媒体の形状は、特に限定されず、ディスク状、カード状、テープ状等のいずれの形状であってもよい。
本発明のホログラフィック記録媒体は、特開2004−265472号公報記載の媒体構成としてもよい。その際は特開2004−335044号公報記載のシステムを用いて記録再生を行うことが好ましい。また、特開2004−177958号公報、特開2004−272268号公報等記載のシステムを用いて記録再生を行うことも好ましい。
本発明のホログラフィック記録媒体は、前記記録層(ホログラフィック記録層)を有し、好ましくは、下側基板と、フィルタ層と、ホログラフィック記録層と、上側基板とを有し、必要に応じて、反射膜、フィルタ層、第1ギャップ層、第2ギャップ層等のその他の層を有することができる。
以下に、本発明のホログラフィック記録媒体に含まれ得る基板および各層の詳細を順次説明する。
−基板−
基板は、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その形状としては、例えば、ディスク形状、カード形状などが挙げられ、ホログラフィック記録媒体の機械的強度を確保できる材料のものを選定すべきである。また、記録および再生に用いる光が基板を通して入射する場合は、用いる光の波長領域で十分に透明であることが好ましい。基板材料の詳細は、先に説明した通りである。
基板には、通常、半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス−サーボエリアが所定の角度間隔で設けられ、隣り合うアドレス−サーボエリア間の扇形の区間がデータエリアになっている。アドレス−サーボエリアには、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット(サーボピット)等によって記録されている(プリフォーマット)。なお、フォーカスサーボは、反射膜の反射面を用いて行うことができる。トラッキングサーボを行うための情報としては、例えば、ウォブルピットを用いることができる。なお、ホログラフィック記録媒体がカード形状の場合には、サーボピットパターンは無くても構わない。
基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜5mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。基板の厚みが、0.1mm以上であれば、ディスク保存時の形状の歪みを抑えることができ、5mm以下であれば、ディスク全体の質量が大きくなってドライブモーターに過剰な負荷がかかることを回避することができる。
−記録層−
記録層は、本発明のホログラフィック記録用組成物から形成され、ホログラフィを利用して情報が記録され得るものである。記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。記録層の厚みが1〜1,000μmの範囲であれば、10〜300多重のシフト多重を行っても十分なS/N比を得ることができ、100〜700μmの範囲であればそれが顕著である点で有利である。
−反射膜−
反射膜は、基板のサーボピットパターン表面に形成することができる。
反射膜の材料としては、情報光や参照光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。情報光および参照光として使用する光の波長が400〜780nmである場合には、例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、などを使用することが好ましい。情報光および参照光として使用する光の波長が650nm以上である場合には、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金、TiN、などを使用することが好ましい。
なお、反射膜として、光を反射すると共に、追記および消去のいずれかが可能な光記録媒体、例えば、DVD(ディジタル ビデオ ディスク)などを用いることにより、ホログラムをどのエリアまで記録したか、いつ書き換えたか、どの部分にエラーが存在し交替処理をどのように行ったか、などのディレクトリ情報などをホログラムに影響を与えずに追記および書き換えすることも可能となる。
反射膜の形成方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などが用いられる。これらの中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等の点で優れている。
反射膜の厚みは、十分な反射率を実現し得るように、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
−フィルタ層−
フィルタ層は、基板のサーボピット上、反射層上または後述する第一ギャップ層上に設けることができる。
フィルタ層は、複数種の光線の中から特定の波長の光のみを反射する、波長選択反射機能を有し、第一の光を透過し、第二の光を反射する。特に、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、情報光および参照光による記録媒体の反射膜からの乱反射を防止し、ノイズの発生を防止する機能もあり、記録媒体にフィルタ層を積層することにより、高解像度、回折効率の優れた光記録を行うことができる。
フィルタ層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ダイクロイックミラー層、色材含有層、誘電体蒸着層、単層または2層以上のコレステリック層および必要に応じて適宜選択したその他の層の少なくともいずれかを積層した積層体により形成することができる。その厚さは、特に限定されないが、例えば0.5〜20μm程度である。
フィルタ層は、記録層などと共に、直接基板上に塗布などにより積層してもよく、フィルム等の基材上に積層してフィルタ層を作製し、これを基板上に積層してもよい。
−第1ギャップ層−
第1ギャップ層は、必要に応じてフィルタ層と反射膜との間に設けられ、下側基板表面を平滑化する目的で形成される。また、記録層内に生成されるホログラムの大きさを調整するためにも有効である。即ち、記録層は、記録用参照光および情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要があるので、記録層とサーボピットパターンとの間にギャップを設けることが有効となる。
第1ギャップ層は、例えば、サーボピットパターンの上から紫外線硬化樹脂等の材料をスピンコート等で塗布し、硬化させることにより形成することができる。また、フィルタ層として透明基材の上に塗布形成したものを使用する場合には、該透明基材が第1ギャップ層としても働くことになる。
第1ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
−第2ギャップ層−
第2ギャップ層は、必要に応じて記録層とフィルタ層との間に設けられる。
第2ギャップ層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメタクリル酸メチル=ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のような透明樹脂フィルム、または、JSR社製商品名ARTONフィルムや日本ゼオン社製商品名ゼオノアのような、ノルボルネン系樹脂フィルム、などが挙げられる。これらの中でも、等方性の高いものが好ましく、TAC、PC、商品名ARTON、および商品名ゼオノアが特に好ましい。
第2ギャップ層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜200μmが好ましい。
以下に、本発明のホログラフィック記録媒体について、具体的態様に基づき更に詳しく説明する。ただし、本発明は下記具体的態様に限定されるものではない。
<第一の実施形態>
図1は、第一の実施形態にかかるホログラフィック記録媒体の構成を示す概略断面図である。第一の実施形態にかかるホログラフィック記録媒体21では、ポリカーボネート樹脂製基板またはガラス基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3上にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射膜2が設けられている。なお、図1では下側基板1全面にサーボピットパターン3が形成されているが、サーボピットパターンは周期的に形成されていてもよい。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1750Å(175nm)であり、基板を始め他の層の厚みに比べて充分に小さいものである。
第1ギャップ層8は、紫外線硬化樹脂等の材料を下側基板1の反射膜2上にスピンコート等により塗布して形成される。第1ギャップ層8は、反射膜2を保護すると共に、記録層4内に生成されるホログラムの大きさを調整するためにも有効である。つまり、記録層4とサーボピットパターン3との間にギャップを設けることは、記録層4において記録用参照光と情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成するために有効である。
第1ギャップ層8上にはフィルタ層6が設けられ、該フィルタ層6と上側基板5(ポリカーボネート樹脂基板やガラス基板)によって記録層4を挟むことによってホログラフィック記録媒体21が構成される。
図1において、フィルタ層6は、赤色光のみを透過し、それ以外の色の光を通さないものである。従って、情報光、記録および再生用参照光は緑色または青色の光であるので、フィルタ層6を透過せず、反射膜2まで達することなく、戻り光となり、入出射面Aから出射することになる。
このフィルタ層6は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層蒸着膜である。
この多層蒸着膜からなるフィルタ層6は、第1ギャップ層8上に真空蒸着により直接形成してもよいし、基材上に多層蒸着膜を形成したフィルムをホログラフィック記録媒体形状に打ち抜いて配置してもよい。
本実施形態におけるホログラフィック記録媒体21は、ディスク形状でもいいし、カード形状であってもよい。カード形状の場合にはサーボピットパターンは無くてもよい。また、このホログラフィック記録媒体21では、下側基板1は0.6mm、第1ギャップ層8は100μm、フィルタ層6は2〜3μm、記録層4は0.6mm、上側基板5は0.6mmの厚みであって、合計厚みは約1.9mmとなっている。
次に、図3を参照して、ホログラフィック記録媒体21への情報の記録および再生に使用可能な光学系について説明する。
まず、サーボ用レーザーから出射した光(赤色光)は、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、対物レンズ12を通過する。対物レンズ12によってサーボ用光は反射膜2上で焦点を結ぶようにホログラフィック記録媒体21に対して照射される。つまり、ダイクロイックミラー13は緑色や青色の波長の光を透過し、赤色の波長の光をほぼ100%反射させるようになっている。ホログラフィック記録媒体21の光の入出射面Aから入射したサーボ用光は、上側基板5、記録層4、フィルタ層6、および第1ギャップ層8を通過し、反射膜2で反射され、再度、第1ギャップ層8、フィルタ層6、記録層4、および上側基板5を透過して入出射面Aから出射する。出射した戻り光は、対物レンズ12を通過し、ダイクロイックミラー13でほぼ100%反射して、サーボ情報検出器(不図示)でサーボ情報が検出される。検出されたサーボ情報は、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライドサーボ等に用いられる。記録層4を構成するホログラム材料が、赤色の光では感光しないものであれば、サーボ用光が記録層4を通過したり、サーボ用光が反射膜2で乱反射したとしても、記録層4には影響を与えない。また、サーボ用光の反射膜2による戻り光は、ダイクロイックミラー13によってほぼ100%反射するようになっているので、サーボ用光が再生像検出のためのCMOSセンサまたはCCD14で検出されることはなく、再生光に対してノイズとなることもない。
また、記録用/再生用レーザーから生成された情報光および記録用参照光は、偏光板16を通過して線偏光となり、ハーフミラー17を通過して1/4波長板15を通った時点で円偏光になる。ダイクロイックミラー13を透過し、対物レンズ12によって情報光と記録用参照光が記録層4内で干渉パターンを生成するようにホログラフィック記録媒体21に照射される。情報光および記録用参照光は入出射面Aから入射し、記録層4で干渉し合って干渉パターンをそこに生成する。その後、情報光および記録用参照光は、記録層4を通過し、フィルタ層6に入射するが、該フィルタ層6の底面までの間に反射されて戻り光となる。つまり、情報光と記録用参照光は反射膜2までは到達しない。フィルタ層6は高屈折率層と低屈折率層とを交互に複数積層した多層蒸着層であり、赤色光のみを透過する性質を有するからである。
<第二の実施形態>
図2は、第二の実施形態にかかるホログラフィック記録媒体の構成を示す概略断面図である。この第二の実施形態に係るホログラフィック記録媒体22では、ポリカーボネート樹脂またはガラス基板1にサーボピットパターン3が形成され、該サーボピットパターン3表面にアルミニウム、金、白金等でコーティングして反射膜2が設けられている。また、このサーボピットパターン3の高さは、通常1750Å(175nm)である点については、第一の実施形態と同様である。
第二の実施形態と第一の実施形態の構造の差異は、第二の実施形態にかかるホログラフィック記録媒体22では、フィルタ層6と記録層4との間に第2ギャップ層7が設けられていることである。この第2ギャップ層7には、情報光および再生光がフォーカシングするポイントが存在する。
高屈折率層と低屈折率層とを交互に複数積層した多層蒸着膜であるフィルタ層6は、第1ギャップ層8を形成した後、該第1ギャップ層8上に形成され、前記第一実施形態と同様のものを用いることができる。
また、第二実施形態のホログラフィック記録媒体22では、下側基板1は1.0mm、第1ギャップ層8は100μm、フィルタ層6は3〜5μm、第2ギャップ層7は70μm、記録層4は0.6mm、上側基板5は0.4mmの厚みであって、合計厚みは約2.2mmとなっている。
次に、情報の記録または再生を行う場合、上記のような構造を有する第二実施形態のホログラフィック記録媒体22に対して、赤色のサーボ用光および緑色の情報光並びに記録および再生用参照光が照射される。サーボ用光は、入出射面Aから入射し、記録層4、第2ギャップ層7、フィルタ層6、および第1ギャップ層8を通過して反射膜2で反射して戻り光となる。この戻り光は、再度、第1ギャップ層8、フィルタ層6、第2ギャップ層7、記録層4および上側基板5をこの順序で通過して、入出射面Aより出射する。出射した戻り光は、フォーカスサーボやトラッキングサーボ等に用いられる。記録層4を構成するホログラム材料が、赤色の光では感光しないものであれば、サーボ用光が記録層4を通過したり、サーボ用光が反射膜2で乱反射したとしても、記録層4には影響を与えない。緑色の情報光等は、入出射面Aから入射し、記録層4、第2ギャップ層7を通過して、フィルタ層6で反射して戻り光となる。この戻り光は、再度、第2ギャップ層7、記録層4および上側基板5をこの順序で通過して、入出射面Aより出射する。また、再生時についても再生用参照光はもちろん、再生用参照光を記録層4に照射することによって発生する再生光も反射膜2に到達せずに入出射面Aから出射する。なお、ホログラフィック記録媒体22周辺(図3における対物レンズ12、フィルタ層6、検出器としてのCMOSセンサまたはCCD14)での光学的動作は、第一の実施形態と同様なので説明を省略する。
[情報記録方法]
更に本発明は、本発明のホログラフィック記録媒体への情報記録方法に関する。本発明の情報記録方法は、少なくとも、ホログラフィック記録媒体へ情報光および参照光を照射することにより、ホログラフィック記録媒体が有する記録層に干渉像を形成すること(以下、「干渉像形成工程」ともいう)を含む。更に、干渉像が形成された記録層に対して定着操作を施すこと(以下、「定着工程」ともいう)を含むことができる。特に、干渉像形成のために照射する光と同じ波長の光を用いて再生を行う場合は、定着工程を行うことが好ましい。これは、情報再生のための光照射により、記録用化合物の反応が更に進行することを防ぐためである。
干渉像形成工程の詳細は、先に説明した通りである。干渉像形成工程後の定着工程は、干渉像を形成した媒体を加熱するか(熱定着)、媒体に対して光を照射する(光定着)ことにより行うことができる。または熱定着と光定着の両方を行ってもよい。光定着は、媒体全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)することにより行うことができる。熱定着と光定着を両方行う場合は、光と熱を同時に加えてもよく、別々に加えてもよい。この定着操作は、干渉像を定着させる作用があり、更に酸発生剤および酸発生促進剤を機能させ、光に対する安定性を高める作用がある。ただし、干渉像形成工程で酸発生剤および酸発生促進剤が作用すると、干渉像形成の妨げとなるおそれがある。そのため、光照射により酸を発生する酸発生剤を使用する場合や光照射により増感色素を励起させる場合、干渉像形成に使用される光とは異なる波長の光に反応する酸発生剤や増感色素を用いることが好ましく、干渉像形成に使用される光より短波長の光に反応する酸発生剤や増感色素を用いることが更に好ましい。具体的には、定着操作に使用される光の波長は200〜400nm程度とすることが好ましい。また、熱定着を行う場合の加熱温度は酸発生剤が酸を発生する温度とすればよく使用する酸発生剤の種類に応じて設定することができる。加熱温度については、先に説明した通りである。熱定着のための加熱時間は、適宜設定すればよいが、例えば1〜120分程度とすることができる。光定着のための光照射時間も、適宜設定すればよいが、例えば1〜120分程度とすることができる。
上記方法により形成された干渉像に参照光を照射することにより、情報を再生することができる。書き込んだ情報を読み出す(再生する)際には、記録時と同様の配置で参照光のみを記録層に照射し、記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する再生光が記録層から出射される。
次に、本発明のホログラフィック記録媒体への情報の記録および再生に好適に使用される光記録再生装置について、図4を参照して説明する。
図4に示す光記録再生装置100は、ホログラフィック記録媒体20が取り付けられるスピンドル81と、このスピンドル81を回転させるスピンドルモータ82と、ホログラフィック記録媒体20の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ82を制御するスピンドルサーボ回路83とを備えている。
また、光記録再生装置100は、ホログラフィック記録媒体20に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、ホログラフィック記録媒体20に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、ホログラフィック記録媒体20に記録されている情報を再生するためのピックアップ31と、このピックアップ31をホログラフィック記録媒体20の半径方向に移動可能とする駆動装置84とを備えている。
光記録再生装置100は、ピックアップ31の出力信号よりフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、および再生信号RFを検出するための検出回路85と、この検出回路85によって検出されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズ(不図示)をホログラフィック記録媒体20の厚み方向に移動させてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路86と、検出回路85によって検出されるトラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ31内のアクチュエータを駆動して対物レンズをホログラフィック記録媒体20の半径方向に移動させてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路87と、トラッキングエラー信号TEおよび後述するコントローラからの指令に基づいて駆動装置84を制御してピックアップ31をホログラフィック記録媒体20の半径方向に移動させるスライドサーボを行うスライドサーボ回路88とを備えている。
光記録再生装置100は、更に、ピックアップ31内のCMOSまたはCCDアレイの出力データをデコードして、ホログラフィック記録媒体20のデータエリアに記録されたデータを再生したり、検出回路85からの再生信号RFより基本クロックを再生したりアドレスを判別したりする信号処理回路89と、光記録再生装置100の全体を制御するコントローラ90と、このコントローラ90に対して種々の指示を与える操作部91とを備えている。コントローラ90は、信号処理回路89より出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、ピックアップ31、スピンドルサーボ回路83、およびスライドサーボ回路88等を制御するようになっている。スピンドルサーボ回路83は、信号処理回路89より出力される基本クロックを入力するようになっている。コントローラ90は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード オンリ メモリ)、およびRAM(ランダム アクセス メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ90の機能を実現することができる。
以下、実施例に基づき本発明について更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[発色方式によるホログラム記録方法]
赤色灯下にて、表1に示した増感色素、電子供与性化合物、酸発生剤、酸発生促進剤、色素前駆体、散乱防止用添加剤SO−3、バインダーPMMA−EA(ポリ(メチルメタクリレート−5%エチルアクリレート)共重合体、質量平均分子量101000)を、2〜4倍質量の塩化メチレン(必要によりアセトンまたはアセトニトリルも併用した)に溶解し、ホログラム記録用組成物101〜104を調液した。更に酸発生促進剤を添加しない比較試料1〜4も作製した。なお%はすべてバインダーPMMA−EAに対する質量%を表す。
Figure 2008275671
Figure 2008275671
ホログラム記録用組成物101〜104および比較試料1〜4を、厚さが約80μmになるようにブレードを用いてガラス基板に塗布(必要なら重ね塗り)し、記録層を形成した後、40℃で2日間乾燥して溶媒を留去した。さらに記録層上をTAC膜で覆うことにより、ホログラム記録媒体101〜104および比較媒体1〜4を作製した。
ホログラム記録媒体を、図5に示す透過型ホログラム記録用の2光束光学系により、光源としてYAGレーザー2倍波(532nm、出力2W)を用いて露光し記録した。物体光と参照光のなす角は30度とした。ビームは0.6cmの直径と8mW/cm2の強度とを有しており、ホログラフィー露光時間を0.1〜2000秒の範囲(照射エネルギーにして0.8〜16000mJ/cm2の範囲)変化させて露光した。ホログラムに露光している間、He−Neレーザー632nmのビームをブラック角にて露光領域の中心に通し、その透過光に対した回折光の比(相対回折効率)を実時間で測定した。なお632nmには増感色素の吸収がないため、He−Neレーザーはホログラム記録層を感光させない。また、本方法では、上記光照射により、増感色素が励起され、励起状態の増感色素からのエネルギー移動または電子移動により酸発生剤および酸発生促進剤を作用させた。
ホログラム記録媒体101〜104および比較媒体1〜4における最大回折効率η及び収縮率の評価結果を表2に記す。最大回折効率ηは、透過光に対する回折光の比(相対回折効率)を実時間で測定した結果から求め、収縮率は反射型ホログラムを記録した際の最大回折波長の変化から求めた。更に、比較媒体1〜4にて最大回折効率の半分の値を示した時の露光エネルギーを1とした時の対応するホログラム記録媒体101〜104における露光量を記した。即ちこの値が小さいほど感度が高い。なお、特開平6−43634号公報の実施例1に記載のラジカル重合フォトポリマー方式ホログラム記録媒体を作製し、同様の評価を行い、比較媒体Aとして表2に併記した。
Figure 2008275671
表2から、特開平6−43634号公報記載の比較媒体Aは回折効率は高いもののラジカル重合を伴うフォトポリマー方式であるため5%を越える大きな収縮を伴い、特にホログラフィックメモリ用途としてはS/N比が極めて悪化し不向きであることがわかる。一方、ホログラフィック記録媒体101〜104、更に比較媒体1〜4は、いずれも物質移動と重合を用いないで発色反応を用いた屈折率変調によるホログラム記録を行う、フォトポリマー方式とは全く異なる記録方式であるため、高い回折効率と0.1%以下の極めて小さい収縮率を両立できることが分かり、特にホログラフィックメモリ用途に適していることが分かる。
更に酸発生促進剤を含むホログラフィック記録媒体101〜104は酸発生促進剤を含まない比較媒体1〜4に比べて感度が5〜10倍も増加し、記録速度の点で好ましいことが分かる。また回折効率も比較試料1〜4と比べて同等以上であった。
更にホログラフィック記録媒体101〜104は、露光量(mJ/cm2)に応じてほぼリニアにΔn(干渉縞における屈折率変調量、回折効率と膜厚からクーゲルニックの式に基づいて計算)が上昇し、多重記録の際有利であることがわかる。
実際に、ホログラフィック記録媒体101〜104を用い、前記最大回折効率を与えた露光量の10分の1の光量で、参照光の角度を2度ずつ変えて同じ場所に10回の多重ホログラム記録を行った後、再生光の角度を2度ずつ変更して照射することによりそれぞれの物体光を再生することが可能なことを確かめた。つまり、ホログラフィック記録媒体101〜104は、同じ露光量にて多重記録が可能であり、多重記録適性を有することがわかる。数多くの多重記録が可能であることは、高密度(容量)記録が可能であることを意味する。
それに対し、特開平6−43634号公報記載のホログラフィック記録媒体を始めとするフォトポリマー方式ホログラフィック記録媒体は、多重記録後期はフォトポリマーの重合が進んで記録に必要なモノマーの移動が遅くなり、同じ記録を行う際、初期に比べてより多くの照射光量を必要とすることがわかり、多重度、つまり記録密度を向上させるためには不利であることがわかった。
なお、試料101〜104にて、増感色素をS−1、S−4、S−6、S−8、S−10、S−11、S−19、S−23、S−31、S−33、S−34、S−43、S−45、S−46、S−50、S−58、S−67、S−71、S−73〜S−75、S−77、S−80、S−81、S−88、S−91、S−92、S−94〜S−96、SS−2、SS−3、SS−5、SS−8、SS−11、SS−12、SS−13、SS−15、SS−16、SS−24、SS−25、SS−27、SS−29、SS−30に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料101〜104にて酸発色型色素前駆体をL−1、L−3、LC−9、LC−11、LC−12、LC−16〜LC−18、LC−20、LC−21、LC−23、LC−30、LC−32〜LC−36に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料101〜104にて電子供与体をA−2、A−4〜A−9、A−12〜A−14に変更しても同様な効果が得られた。
また試料101〜104にて、バインダーをポリメチルメタクリレート(質量平均分子量996000、350000、120000)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体(質量平均分子75000)、ポリビニルアセタール(質量平均分子量83000)、ポリカーボネート、セルロースアセテートブチレート等に変更しても同様な効果が得られた。
[消色方式(増感色素+消色性色素)によるホログラム記録方法]
赤色灯下にて、表3に示した増感色素、電子供与性化合物、酸発生剤、酸発生促進剤、酸消色性色素、バインダーPMMA−EA(ポリ(メチルメタクリレート−5%エチルアクリレート)共重合体、量平均分子量101000)を2〜4倍質量の塩化メチレン(必要によりアセトンまたはアセトニトリルも併用する)に溶解し、ホログラフィック記録用組成物201〜204および比較試料5〜8を調液した。なお%はすべてバインダーPMMA−EAに対する質量%を表す。
Figure 2008275671
ホログラフィック記録用組成物201〜204および比較試料5〜8を、厚さが約80μmになるようにブレードを用いてガラス基板に塗布(必要なら重ね塗り)し、記録層を形成した後、40℃で2日間乾燥して溶媒を留去した。さらに記録層上をTAC膜で覆うことにより、ホログラフィック記録媒体201〜204および比較媒体5〜8を作製した。
ホログラム記録材料を、図1に示す透過型ホログラム記録用の2光束光学系により、光源としてYAGレーザー2倍波(532nm、出力2W)を用いて露光し記録した。物体光と参照光のなす角は30度とした。ビームは0.6cmの直径と8mW/cm2の強度とを有しており、ホログラフィー露光時間を0.1〜2000秒の範囲(照射エネルギーにして0.8〜16000mJ/cm2の範囲)変化させて露光した。ホログラムに露光している間、He−Neレーザー632nmのビームをブラック角にて露光領域の中心に通し、その透過光に対する回折光の比(相対回折効率)を実時間で測定した。なお632nmには増感色素の吸収がないため、He−Neレーザーはホログラム記録層を感光させない。また、本方法では、上記光照射により、増感色素が励起され、励起状態の増感色素からのエネルギー移動または電子移動により酸発生剤および酸発生促進剤を作用させた。
前述と同様の方法により、ホログラフィック記録媒体201〜204および比較媒体5〜8における最大回折効率および収縮率を測定した。結果を表4に記す。さらに表4に、比較媒体5〜8にて最大回折効率の半分の値を示した時の露光エネルギーを1とした時の対応するホログラフィック記録媒体201〜204における露光量を記した。即ちこの値が小さいほど感度が高い。なお、特開平6−43634号公報の実施例1に記載のラジカル重合フォトポリマー方式ホログラフィック記録媒体についても同様の評価を行い、比較媒体Aとして結果を表4に併記した。
Figure 2008275671
表4から、特開平6−43634号公報記載の比較試料Aは回折効率は高いもののラジカル重合を伴うフォトポリマー方式であるため5%を越える大きな収縮を伴い、特にホログラフィックメモリ用途としてはS/N比が極めて悪化し不向きであることがわかる。一方、ホログラフィック記録媒体201〜204、更に比較媒体5〜8は、いずれも物質移動と重合を用いないで発色反応を用いた屈折率変調によるホログラム記録を行う、フォトポリマー方式とは全く異なる記録方式であるため、高い回折効率と0.01%以下の極めて小さい収縮率を両立できることが分かり、特にホログラフィックメモリ用途に適していることが分かる。
更に酸発生促進剤を含むホログラフィック記録媒体201〜204は、酸発生促進剤を含まない比較試料5〜8に比べて感度が7〜10倍も増加し、記録速度の点で好ましいことが分かる。また回折効率も比較試料5〜8と比べて同等以上であった。
更にホログラフィック記録媒体201〜204は、露光量(mJ/cm2)に応じてほぼリニアにΔn(干渉縞における屈折率変調量、回折効率と膜厚からクーゲルニックの式に基づいて計算)が上昇し、多重記録の際有利であることがわかる。
実際に、ホログラフィック記録媒体201〜204を用い、前記最大回折効率を与えた露光量の10分の1の光量で、参照光の角度を2度ずつ変えて同じ場所に10回の多重ホログラム記録を行った後、再生光の角度を2度ずつ変更して照射することによりそれぞれの物体光を再生することが可能なことを確かめた。つまり、ホログラフィック記録媒体201〜204は、同じ露光量にて多重記録が可能であり、多重記録適性を有することがわかる。数多くの多重記録が可能であることは、高密度(容量)記録が可能であることを意味する。
それに対し、前述のように、特開平6−43634号公報記載のホログラフィック記録媒体を始めとするフォトポリマー方式ホログラフィック記録媒体は、多重記録後期はフォトポリマーの重合が進んで記録に必要なモノマーの移動が遅くなり、同じ記録を行う際、初期に比べてより多くの照射光量を必要とすることがわかり、多重度、つまり記録密度を向上させるためには不利であることがわかった。
なお、試料201〜204にて、増感色素をS−1、S−4、S−6、S−8、S−10、S−11、S−19、S−23、S−31、S−33、S−34、S−43、S−45、S−46、S−50、S−58、S−67、S−71、S−73〜S−75、S−77、S−80、S−81、S−88、S−91、S−92、S−94〜S−96、SS−2、SS−3、SS−5、SS−8、SS−11、SS−12、SS−13、SS−15、SS−16、SS−24、SS−25、SS−27、SS−29、SS−30に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料201〜204にて酸発色型色素前駆体をL−1、L−3、LC−9、LC−11、LC−12、LC−16〜LC−18、LC−20、LC−21、LC−23、LC−30、LC−32〜LC−36に変更しても同様な効果が得られた。
本発明のホログラフィック記録媒体は、高密度画像記録が可能なボリュームホログラム型の各種光記録媒体として好適である。
第一の実施形態にかかるホログラフィック記録媒体の一例を示す概略断面図である。 第二の実施形態にかかるホログラフィック記録媒体の一例を示す概略断面図である。 ホログラフィック記録媒体への情報の記録および再生に使用可能な光学系の一例を示す説明図である。 本発明のホログラフィック記録媒体への情報の記録および再生に好適に使用される記録再生装置の全体構成の一例を表すブロック図である。 ホログラム露光用の2光束光学系を説明する概略図である。
符号の説明
1 下側基板
2 反射膜
3 サーボピットパターン
4 記録層
5 上側基板
6 フィルタ層
7 第2ギャップ層
8 第1ギャップ層
12 対物レンズ
13 ダイクロイックミラー
14 検出器
15 1/4波長板
16 偏光板
17 ハーフミラー
20 ホログラフィック記録媒体
21 ホログラフィック記録媒体
22 ホログラフィック記録媒体
31 ピックアップ
81 スピンドル
82 スピンドルモータ
83 スピンドルサーボ回路
84 駆動装置
85 検出回路
86 フォーカスサーボ回路
87 トラッキングサーボ回路
88 スライドサーボ回路
89 信号処理回路
90 コントローラ
91 走査部
100 光記録再生装置
A 入出射面
FE フォーカスエラー信号
TE トラッキングエラー信号
RF 再生信号
110 YAGレーザー
112 レーザービーム
114 鏡
120 ビームスプリッター
122 ビームセグメント
124 鏡
126 空間フィルター
128 試料
130 ホログラム記録材料
132 He−Neレーザービーム
134 He−Neレーザー
136 検出器
138 回転ステージ
140 ビームエキスパンダー

Claims (12)

  1. 少なくとも、記録用化合物、酸発生剤および酸発生促進剤を含むことを特徴とするホログラフィック記録用組成物。
  2. 酸発生促進剤は、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1に記載のホログラフィック記録用組成物。
    Figure 2008275671
    [一般式(1)中、Xは酸素原子、硫黄原子、またはNR1で表される置換基を表し、R1は置換または無置換のアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは電子求引性基を表し、Zは置換または無置換のアミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
  3. 酸発生剤は、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、金属アレーン錯体、トリハロメチル置換トリアジンまたはスルホン酸エステルから選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載のホログラフィック記録用組成物。
  4. 増感色素を更に含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のホログラフィック記録用組成物。
  5. 増感色素は、下記一般式(2−1)〜(2−5)のいずれかにて表される化合物を含む請求項4に記載のホログラフィック記録媒体。
    Figure 2008275671
    [一般式(2−1)〜(2−5)中、R11、R12、R14、R15、R21、R22、R31、R32、R41およびR42は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、R13、R23およびR33は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、R43、R44、R51、R52、R53およびR54は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、R43とR44、R51とR52、R53とR54はそれぞれ連結して環を形成してもよい。一般式(2−5)中、n1は0、1、3、4いずれかの数字を表す。]
  6. 記録用化合物は、1)重合反応、2)発色反応、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として記録することが可能な化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のホログラフィック記録用組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のホログラフィック記録用組成物から形成された記録層を有するホログラフィック記録媒体。
  8. 少なくとも、請求項7に記載のホログラフィック記録媒体へ情報光および参照光を照射することにより、ホログラフィック記録媒体が有する記録層に干渉像を形成することを含む情報記録方法。
  9. 書き換えできない記録方式により情報を記録する請求項8に記載の情報記録方法。
  10. 体積位相型ホログラム記録を行う請求項8または9に記載の情報記録方法。
  11. 10回以上の多重記録を行う請求項8〜10のいずれか1項に記載の情報記録方法。
  12. 下記一般式(1)で表される化合物を含む酸発生促進剤。
    Figure 2008275671
    [一般式(1)中、Xは酸素原子、硫黄原子、またはNR1で表される置換基を表し、R1はアルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、Yは電子求引性基を表し、Zは置換もしくは無置換のアミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。]
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JPWO2013172145A1 (ja) * 2012-05-15 2016-01-12 株式会社Adeka 光硬化性樹脂組成物
JP2017504827A (ja) * 2013-12-20 2017-02-09 コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトCovestro Deutschland Ag 改善された光感受性を備えるホログラフィック媒体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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