JP2006235209A - 光情報記録装置のホログラム情報記録方法 - Google Patents

光情報記録装置のホログラム情報記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ホログラム記録を高感度,高密度に行える様にする。
【解決手段】 情報を担持した物体光を生成する物体光生成手段と、記録用参照光を生成する記録用参照光生成手段と、光情報記録媒体1の情報記録層3に対して前記物体光と前記記録用参照光とを同一面側より照射し前記物体光と前記記録用参照光との干渉による干渉パターンによって情報をホログラムで記録する記録光学系と、該記録光学系に設けられ該記録光学系内で発生する散乱光をカットする散乱光遮断光学手段とを備える光情報記録装置のホログラム記録方法において、1)発色反応、2)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、3)潜像発色−発色体増感重合反応、4)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、5)色素消色反応、6)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として前記情報記録層3に情報を記録する。
【選択図】 図1

Description

本発明は光情報記録装置のホログラム情報記録方法に関する。
ホログラム作製に関する一般的原理は、いくつかの文献や専門書、たとえば「ホログラフィックディスプレイ」(辻内順平編、産業図書[非特許文献1])2章に記載されている。これらによれば、2光束のコヒーレントなレーザー光の一方を記録対象物に照射し、それからの全反射光を受け取れる位置に感光性のホログラム記録材料が置かれる。ホログラム記録材料には、対象物からの反射光の他に、もう一方のコヒーレントな光が、対象物に当たらずに直接照射される。対象物からの反射光を物体光、また直接記録材料に照射される光を参照光といい、参照光と物体光との干渉縞が画像情報として記録される。次に、処理された記録材料に参照光と同じ光(再生照明光)を照射すると、記録の際に対象物から記録材料に最初に到達した反射光の波面を再現するようにホログラムによって回折され、その結果、対象物の実像とほぼ同じ物体像を3次元的に観測することができる。
参照光と物体光を同じ方向からホログラム記録材料に入射させて形成されるホログラムを透過型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に垂直または垂直に近い形で1mmに1000〜3000本程度の間隔で形成される。
一方、互いにホログラム記録材料の反対側から入射させて形成したホログラムを、一般に反射型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に平行または平行に近い形で1mmに3000〜7000本程度の間隔で形成される。
透過型ホログラムは、例えば特開平6−43634号[特許文献1]などで開示されているような公知の方法によって作成できる。また、反射型ホログラムは、例えば特開平2−3082号[特許文献2]、特開平3−50588号[特許文献3]などに開示された公知の方法によって作成できる。
一方、干渉縞間隔に対して膜厚が十分に厚い(通常は干渉縞間隔の5倍以上程度、または1μm以上程度の膜厚を言う)ホログラムを体積型ホログラムという。それに対し膜厚が干渉縞間隔の5倍以下程度または1μm以下程度のホログラムを平面型または表面型という。
さらに、色素や銀などの吸収により干渉縞を記録するホログラムを振幅型ホログラムと呼び、表面レリーフまたは屈折率変調により記録するホログラムを位相型ホログラムと呼ぶ。振幅型ホログラムは光の吸収により、光の回折効率または反射効率が著しく低下するため光の利用効率の点で好ましくなく、通常は位相型ホログラムが好ましく用いられる。
体積位相型ホログラムでは、ホログラム記録材料中に光学的吸収ではなく屈折率の異なる干渉縞を多数形成することによって、光を吸収することなく光の位相を変調することができる。 特に反射型の体積位相型ホログラムはリップマン型ホログラムとも呼ばれ、ブラック回折による波長選択的反射により、高回折効率にてフルカラー化、白色再生、高解像度化が可能となり、高解像フルカラー3次元ディスプレイの提供が可能となる。
また最近ではその波長選択的反射を生かして、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板等に代表されるホログラム光学素子(HOE)に広く実用化されてきている。
他にも例えば、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス等に実用または応用が検討されている。
ところで、最近の高度情報化社会の流れの中で、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、民生用途においても100GB以上の画像情報を安価簡便に記録するための高密度記録媒体の要求が高まっている。
さらにコンピューター高容量化等の流れの中で、コンピューターバックアップ用途や放送バックアップ用途等の業務用途においても、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる超高密度記録媒体が求められている。
そのような中、ランダムアクセスが不可能な磁気テープ媒体や可換不可能で故障しやすいハードディスクに対し、可換かつランダムアクセス可能で小型、安価な光記録媒体がより注目されてきている。しかしながら、DVD−Rのような既存の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい片面25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
そこで、究極の超高密度記録媒体として、膜厚方向に記録を行う3次元光記録媒体が注目されてきている。その有力な方法として2光子吸収材料を用いる方法とホログラフィ(干渉)を用いる方法とがあり、そのため体積位相型ホログラム記録材料は、3次元光記録媒体(ホログラフィックメモリ)として、最近俄然注目を集めるようになった。
体積位相型ホログラム記録材料を用いたホログラフィックメモリでは、3次元物体から反射する物体光の代わりに、DMDやLCDといった空間光変調素子(SLM)を用いた2次元デジタル情報(信号光と呼ぶ)を数多く記録していく。記録の際、角度多重、位相多重、波長多重、シフト多重などの多重記録を行うため1TBにも達する高容量化が可能となる。また、読み出しには通常CCDやCMOS等を用い、それらの並列書き込み、読み出しにより、1Gbpsにも達する高転送速度化も可能となる。
ところが、ホログラフィックメモリに用いるホログラム記録材料に求められる要件は、下記の如く3次元ディスプレイやHOE用途よりもさらに厳しいものである。
(1)高感度であること
(2)高解像力を有すること
(3)ホログラムの回折効率が高いこと
(4)記録時の処理が乾式であり迅速であること
(5)多重記録が可能であること(ダイナミックレンジが広いこと)
(6)記録後の収縮率が小さいこと
(7)ホログラムの保存性が良いこと
特に、(1)高感度であることに対し、(3)回折効率が高いこと、(4)乾式処理であること、(6)記録後の収縮率が低いこと、(7)保存性が良いこと、は化学的に考えて相反する物性であり、その両立は極めて困難である。
ここで、公知の体積位相型ホログラム記録材料には、ライトワンス方式として重クロム酸ゼラチン方式、漂白ハロゲン化銀塩方式及びフォトポリマー方式などが知られ、リライタブル方式として、フォトリフラクティブ方式及びフォトクロミック高分子方式などが知られる。
しかしこれらの公知の体積位相型ホログラム記録材料において、特に高感度光記録媒体用途においては、求められる要件をすべて満たす材料は未だなく改良が望まれている。
具体的には例えば、重クロム酸ゼラチン方式は高い回折効率と低ノイズ特性という長所を有するが、保存性が極めて悪く、湿式処理が必要で低感度という問題を有し、ホログラフィックメモリ用途には適さない。
漂白ハロゲン化銀方式は高感度という長所を有するが、湿式処理が必要でかつ漂白処理が煩雑であり、また、散乱が大きい、耐光性に劣るという問題点を有し、ホログラフィックメモリ用途にはやはり一般的に適さない。
フォトリフラクティブ材料は書き換え可能という長所を有するが、記録時に高電場印加が必要、記録保存性が悪いという問題点を有する。
アゾベンゼン高分子材料等に代表されるフォトクロミック高分子方式も書き換え可能という長所を有するが、感度が極めて低く記録保存性も悪いという問題点を有する。例えば、WO9744365A1号[特許文献4]には、アゾベンゼン高分子(フォトクロミック高分子)の屈折率異方性と配向制御を用いた書き換え可能なホログラム記録材料が提示されているが、アゾベンゼン異性化の量子収率が低い上に配向変化を伴う方式であるがために感度が極めて低く、また書き換え可能であることとの相反で記録保存性も悪いという問題点を有し、実用には程遠い。
そのような中、前述の特許文献1〜3に開示された乾式処理フォトポリマー方式は、バインダー、ラジカル重合可能なモノマーおよび光重合開始剤を基本組成とし、屈折率変調を向上させるためにバインダーまたはラジカル重合可能なモノマーのどちらか一方に芳香環または塩素、臭素を有する化合物を用いて屈折率差を持たせる工夫をしており、その結果、ホログラム露光の際形成される干渉縞の明部にモノマーが、暗部にバインダーが集まりつつ重合が進行することにより屈折率差を形成することができる。したがって、高回折効率と乾式処理を両立できうる比較的実用的な方式といえる。
しかしながら、漂白ハロゲン化銀方式に比べると感度が1000分の1程度であること、回折効率を高めるためには2時間近い加熱定着処理を必要とすること、ラジカル重合であるため、酸素による重合阻害の影響を受け、また露光、定着後記録材料の収縮を伴い、再生時の回折波長及び角度が変化してしまう問題点があること、膜が柔らかいため保存性の点でも不足していること等からホログラフィックメモリ用途としては到底使用に耐えるものではない。
ここで一般に、ラジカル重合に対しカチオン重合、特にエポキシ化合物等の開環を伴うカチオン重合は、重合後の収縮が少なく、また酸素による重合阻害も受けず、剛性のある膜を与える。したがって、ホログラフィックメモリ用途としてはカチオン重合の方が適しているという指摘もある。
例えば、特開平5−107999号[特許文献5]、特開平8−16078号[特許文献6]等に、カチオン重合性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をバインダーの代わりに用い、さらに増感色素、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル重合性化合物を組み合わせたホログラム記録材料が開示されている。
また、特表2001―523842号[特許文献7]、特表平11−512847号[特許文献8]等に、ラジカル重合を用いずに、増感色素、カチオン重合開始剤、カチオン重合性化合物及びバインダーのみを用いたホログラム記録材料が開示されている。
しかしこれらのカチオン重合方式はラジカル重合方式に比べて、収縮率の改善が見られるものの、その相反として、感度が低下しており、実用の際には転送速度の点で大きな問題となると考えられる。また回折効率も低下しており、S/N比や多重記録の点で問題となると考えられる。
前述したように、フォトポリマー方式は物質移動を伴う方式であるため、ホログラフィックメモリへの応用を検討する際、保存性を良く、収縮性を小さくしようとすれば感度が低下し(カチオン重合方式)、逆に感度を向上させようとすれば、保存性、収縮性が悪化する(ラジカル重合方式)というジレンマに陥る。また、ホログラフィックメモリの記録密度を向上させるためには、50回を超えて好ましくは100回以上にも及ぶ多重記録が必須であるが、フォトポリマー方式では記録に物質移動を伴う重合を用いるため、多重記録初期の記録速度に対して、多くの化合物の重合が進んだ後の多重記録後期の記録速度が低下してしまい、それを制御して露光量を調節すること、広いダイナミックレンジをとることが実用上大きな問題となっている。
このような高感度と良保存性、低収縮率、乾式処理のジレンマ、多重記録特性(高記録密度)の問題点は、従来のフォトポリマー方式を用いている限りは物理法則上避けがたい。またハロゲン化銀方式にてホログラフィックメモリに求められる要件を満たすことも、特に乾式処理化の点で原理的に困難である。
そこで、ホログラム記録材料をホログラフィックメモリへ応用するためには、そのような課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と低収縮性、良保存性、乾式処理、多重記録特性(高記録密度)を両立できる全く新しい記録方式の開発が強く望まれていた。
その一方で、光情報記録媒体に情報をホログラム記録し、あるいは再生する装置として様々な装置が提案されているが、その中でも、特許文献9記載の光情報記録再生装置は、偏光を用いることで同軸上に参照光と物体光をおき、反射板を用いた疑似反射型(干渉縞記録は透過型)の偏光コリニア方式を採用しており、装置の小型化とDVDと同様のトラッキングサーボを実現している。しかし、この光情報記録再生装置の性能を十分に引き出すホログラム材料やホログラム記録方法については分かっていない。
「ホログラフィックディスプレイ」、辻内順平編、産業図書 特開平6−43634号公報 特開平2−3082号公報 特開平3−50588号公報 WO9744365A1号公報 特開平5−107999号公報 特開平8−16078号公報 特表2001―523842号公報 特表平11−512847号公報 特開2004―335044号公報
そこで本発明の目的は、高密度光記録媒体、3次元ディスプレイ、ホログラフィック光学素子等への応用可能な高感度かつ高回折効率、良保存性、低収縮率、乾式処理、多重記録特性(高記録密度)を両立することができるホログラム記録材料を用いたホログラム記録方法を提供することにある。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、情報を担持した物体光を生成する物体光生成手段と、記録用参照光を生成する記録用参照光生成手段と、光情報記録媒体の情報記録層に対して前記物体光と前記記録用参照光とを同一面側より照射し前記物体光と前記記録用参照光との干渉による干渉パターンによって情報をホログラムで記録する記録光学系と、該記録光学系に設けられ該記録光学系内で発生する散乱光をカットする散乱光遮断光学手段とを備える光情報記録装置のホログラム記録方法において、1)発色反応、2)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、3)潜像発色−発色体増感重合反応、4)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、5)色素消色反応、6)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として前記情報記録層に情報を記録することを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記記録用参照光は輪帯状の光をなしており、前記物体光はその輪帯の内側に配置されていることを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記散乱光遮断光学手段に入射前の前記記録用参照光と前記物体光とは偏光方向が互いに直交することを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法の前記散乱光遮断光学手段は、前記物体光が占める輪帯内側に対応する領域において、前記物体光と同じ偏光方向の光のみを通過させ、それと直交する光をブロックすることを特徴とする。
本発明のホログラム記録方法の前記散乱光遮断光学手段は、前記記録用参照光が占める輪帯部分に対応する領域において、前記記録用参照光と同じ偏光方向の光のみを通過させ、それと直交する光をブロックすることを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法の前記散乱光遮断光学手段は、前記物体光が占める輪帯内側に対応する領域において、入射してきた前記物体光の偏光方向を90度変更し、前記記録用参照光の偏光方向と一致させることを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記輪帯状の記録用参照光の中心線と前記物体光の光軸が一致していることを特徴とする。
本発明のホログラム記録方法は、前記光情報記録媒体は反射層を備え、該反射層と前記情報記録層との間に1/4波長板からなる層を有することを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応が、少なくとも、潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なり、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射し発色体を自己増感増幅生成することにより、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記発色反応または前記潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応によりホログラム記録が可能である化合物群として、少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、増感色素または発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、発色による屈折率変調を用いて干渉縞を記録することができる干渉縞記録成分、
を含むことを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記潜像発色−発色体増感重合反応が、少なくとも潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、ホログラム記録が可能な化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、または第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化し、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域に吸収を有しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体群、
3)第1の工程にて増感色素励起状態から、第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、
を有することを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記色素消色反応によりホログラム記録が可能な化合物群として、少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)干渉縞記録成分として消色性色素、または消色剤前駆体及び消色性色素、
を有し、増感色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色性色素へ直接エネルギー移動または電子移動して消色性色素を消色することにより、または消色剤前駆体へエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする。ここで、消色剤前駆体はラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかである。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記残存消色色素潜像−潜像増感重合反応が、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、請求項13記載の消色性色素へ直接エネルギー移動または電子移動して消色性色素を消色することにより、または消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、エネルギー移動または電子移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、ホログラム記録が可能な化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接エネルギー移動または電子移動する結果、または消色剤前駆体へエネルギー移動または電子移動することにより消色剤を発生させる結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤(場合により2)の消色剤前駆体を兼ねる)、
4)重合性化合物、
5)バインダー、
を有することを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記情報記録媒体のホログラム記録が書き換え不可能な方式であることを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記情報記録媒体のホログラム記録材料が多重記録であることを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録を行うことを特徴とする。
本発明の光情報記録装置のホログラム記録方法は、前記情報記録媒体が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする。
本発明の光情報再生装置のホログラム情報再生方法は、再生用参照光を生成する再生用参照光生成手段と、前記再生用参照光を情報記録媒体の情報記録層に形成された干渉パターンに対し照射すると共に前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層より発生される再生光を前記情報記録層に対して前記再生用参照光を照射する側と同じ面側より収集する再生光学系と、前記再生光学系によって収集された再生光を検出する検出手段と、前記再生光学系に設けられ該再生光学系内で発生する散乱光をカットするための散乱光遮断光学手段とを備える光情報再生装置のホログラム情報再生方法において、上述したいずれかに記載のホログラム記録方法で記録された情報記録媒体に記録されている情報を再生することを特徴とする。
本発明の光情報再生装置のホログラム情報再生方法は、前記再生用参照光は輪帯状をなしており、この輪帯状の再生用参照光が前記干渉パターンに照射されることにより発生された前記再生光は、前記再生用参照光の輪帯の内側に配置されていることを特徴とする。
本発明の光情報再生装置のホログラム情報再生方法は、前記散乱光遮断光学手段に入射前の前記記録用参照光と、前記散乱光遮断光学手段から出射した前記再生光とは、偏光方向が互いに直交することを特徴とする。
本発明の光情報再生装置のホログラム情報再生方法の前記散乱光遮断光学手段は、前記再生光が占める輪帯内側に対応する領域において、前記再生光と同じ偏光方向の光のみを通過させ、それと直交する光をブロックすることを特徴とする。
本発明の光情報再生装置のホログラム情報再生方法の前記散乱光遮断光学手段は、前記再生用参照光が占める輪帯部分に対応する領域において、前記再生用参照光と同じ偏光方向の光のみを通過させ、それと直交する光をブロックすることを特徴とする。
本発明の光情報再生装置のホログラム情報再生方法の前記光情報記録媒体は反射層を備え、該反射層と前記情報記録層との間に、1/4波長板からなる層を有することを特徴とする。
本発明の光情報再生装置のホログラム情報再生方法の前記散乱光遮断光学手段は、前記再生用参照光が前記光情報記録媒体の前記1/4波長板からなる層を往復した再生用参照光を、前記散乱光遮断光学手段より先に進行しないようにブロックすることを特徴とする。
本発明の光情報再生装置のホログラム情報再生方法の前記散乱光遮断光学手段は、前記干渉パターンから発生した時点での再生光の偏光方向を保ちつつ、前記散乱光遮断光学手段から先に出射させることを特徴とする。
本発明によれば、高密度光記録が可能となり、3次元ディスプレイを実現でき、高感度かつ高回折効率、良保存性、低収縮率、乾式処理、多重記録が可能となる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光情報記録再生装置のピックアップ装置と光情報記録媒体の構成説明図であり、図2は、本実施形態に係る光情報記録再生装置の全体構成図である。尚、光情報記録再生装置とは、光情報記録装置と光情報再生装置とを一体に構成したものである。
図2に示す光情報記録媒体1は、その断面構造が図1に示される様に、ポリカーボネート等によって形成された円板状透明基板2の一面に、ボリュームホログラフィを利用して情報が記録される情報記録層としてのホログラム記録層3と、保護層の機能をも有する1/4波長板層4と、反射膜5とをこの順番で積層して構成されている。1/4波長板層4は、例えば、インジェクションで作成されたアドレスが付加されている。その1/4波長板層4には、円板状の光情報記録媒体1を上面から視たとき半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス・サーボエリア6が所定の角度間隔で設けられ、隣り合うアドレス・サーボエリア6間の扇形の区間がデータエリア7になっている。このアドレス・サーボエリア6の上にも反射膜5が形成されている。アドレス・サーボエリア6には、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット等によってプリフォーマットにより記録されている。なお、フォーカスサーボは、反射膜5の反射面を用いて行うことができる。トラッキングサーボを行うための情報としては、例えばウォブルピットを用いることができる。さらに反射層5の上に透明基板2’(図1には図示せず。図7,図8参照)を積層しても良い。反射膜5は、例えばアルミニウムによって形成されている。
また、本実施形態では、例えば、透明基板2の厚さは0.5〜0.4mm、ホログラム記録層3は0.2〜0.3mm、1/4波長板層4は0.5mmで、光情報記録媒体1の合計の厚さは1.2mmである。反射膜5の厚さは、オングストロームのオーダーであり、記録媒体1全体の厚さに比べたら無視できるほどの厚さである。
本実施形態では、光情報記録媒体1全体の厚みが1.2mmで、CDやDVDと同じ厚さとなるように構成しているので、ホログラム記録媒体1としてCDやDVDとの互換性を保つことができるようになる。尚、ホログラム記録層3は、光が照射されたときに光の強度に応じて屈折率、誘電率、反射率等の光学的特性が変化するホログラム材料によって形成されている。本実施形態の光情報記録再生装置で用いる光情報記録媒体1を構成するホログラム材料およびこのホログラム材料への記録方法についての詳細は、後述する。
図2に示す本実施形態の光情報記録再生装置10は、光情報記録媒体1が取り付けられるスピンドル11と、このスピンドル11を回転させるスピンドルモータ12と、光情報記録媒体1の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ12を制御するスピンドルサーボ回路13とを備えている。光情報記録再生装置10は、更に、光情報記録媒体1に対して物体光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、光情報記録媒体1に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光情報記録媒体1に記録されている情報を再生するためのピックアップ装置14と、このピックアップ装置14を光情報記録媒体1の半径方向に移動可能とする駆動装置15とを備えている。
光情報記録再生装置10は、更に、ピックアップ装置14の出力信号よりフォーカスエラー信号FE,トラッキングエラー信号TEおよび再生信号RFを検出するための検出回路16と、この検出回路16によって検出されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ装置14内のアクチュエータを駆動して対物レンズを光情報記録媒体1の厚み方向に移動させフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路17と、検出回路16によって検出されるトラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ装置14内のアクチュエータを駆動して対物レンズを光情報記録媒体1の半径方向に移動させトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路18と、トラッキングエラー信号TEおよび後述のコントローラ19からの指令に基づいて駆動装置15を制御しピックアップ装置14を光情報記録媒体1の半径方向に移動させるスライドサーボ回路20とを備えている。
光情報記録再生装置10は、更に、ピックアップ装置14に内蔵されているイメージセンサ(CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサなど)の出力データをデコードして、光情報記録媒体1のデータエリア7に記録されたデータを再生したり、検出回路16から出力される再生信号RFに基づいて基本クロックを再生したりアドレスを判別したりする信号処理回路21と、光情報記録再生装置10の全体を制御するコントローラ19と、このコントローラ19に対してユーザが種々の指示を与える操作部22とを備えている。
コントローラ19は、信号処理回路21から出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、ピックアップ装置14、スピンドルサーボ回路13およびスライドサーボ回路20等を制御するようになっている。スピンドルサーボ回路13は、信号処理回路21から出力される基本クロックを入力するようになっている。コントローラ19は、図示しないCPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)およびRAM(ランダム・アクセス・メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ19の機能を実現する。
また、光情報記録再生装置10は、光学素子動作回路23を有する。この光学素子動作回路23は、詳細は後述する様に、ピックアップ装置14内の後述する散乱光遮断光学素子24のガラス板部分をスライドさせたり、散乱光遮断光学素子24の1/2波長板24bを45度だけ回転させる。
次に、図1を用い、本実施形態に係るピックアップ装置14の構成について説明する。 ピックアップ装置14は、スピンドル11に光情報記録媒体1が固定されたとき、光情報記録媒体1の透明基板2側に対面する対物レンズ25を光情報記録媒体1の厚み方向および半径方向にアクチュエータ26により移動可能となっている。対物レンズ25における光情報記録媒体1の反対側には、対物レンズ25側から順に、散乱光遮断光学素子24、ダイクロイックミラー27、ミラー28、偏光ビームスプリッタ29を備えている。
ここで、散乱光遮断光学素子24は、図3(図1とは上下を逆に図示している。)に示されるように、ガラス基板24aの中心部に1/2波長板部24bを設け、その素子上に偏光板24cおよび24dを配置して構成される。偏光板24dは光軸中心付近を占める物体光の領域に配置され、物体光の偏光と同じS偏光のみを通過させる。また、その外周側に配置される偏光板24cは参照光の偏光と同じP偏光のみを通過させる。そして、1/2波長板部24bによって、物体光と参照光の偏光方向がP偏光に統一されることになる。物体光と参照光の偏光方向がPとSで互いに直交したままだと両者は干渉を起こさず、干渉パターンを記録層3に形成することができないからである。なお、参照光の領域に設けられたガラス基板24aは光学的な距離を補正するためのものである。
この散乱光遮断光学素子24を簡単にまとめると、散乱光遮断光学素子24の外周辺に設けた偏光板24cはP偏光の光のみを通過させ、中央部に設けた偏光板24dはS偏光の光のみを通過させる。
ピックアップ装置14は、偏光ビームスプリッタ29の偏光分離面29aで光情報記録媒体1からの戻り光(再生光)が反射する側に再生光を検出するための検出手段であるCCDやCMOS等のイメージセンサ30を備え、偏光分離面29aに参照光又は物体光が入射してくる方向(図1で右側)にハーフミラー31を備えている。さらに、このハーフミラー31による反射光の方向(図1で下側)には参照光生成手段を構成するディフラクション光学素子ペア32、ミラー33および34、1/2波長板35が配置されている。 ディフラクション光学素子ペア32は、多分割位相輪帯(ウォルシュ関数)部32cを有するフレネル凹レンズ32aと計算機ホログラム32b(CGH:Computer Generated Hologram)からなり、入射する光をリング状の光に変換する作用を有する。このリング状の光がホログラム記録・再生時に用いられる参照光となるものである。より具体的には、参照光は、図5(a)で示されるようにリング状で、かつ位相変調された光となっている。
また、ピックアップ装置14は、1/2波長板35の光の入射方向(1/2波長板35の右側)に偏光ビームスプリッタ36を備えている。さらに、ハーフミラー31の図1の右側には空間光変調器37、ミラー38、光シャッタ39が備えられている。空間光変調器37は、格子状に配列された多数の画素を有し、各画素毎に光の透過状態と遮断状態とを選択することによって、光強度によって光を空間的に変調して、情報を担持した物体光を生成することができるようになっている。空間光変調器37は、本実施形態における物体光生成手段を構成する。空間光変調器37としては、例えば、DMDや液晶素子を用いることができる。
ピックアップ装置14は、更に、ビームスプリッタ36の図1の下側に、1/2波長板40と、コリメータレンズ41と、光源装置42とをこの順に備える。ここで、1/2波長板40の角度を変えることにより、光情報記録媒体1に入射する物体光と記録用参照光の強度の比が最適になるように適宜に設定することができる。また、光源装置42は、コヒーレントな直線偏光の光を出射するもので、例えば半導体レーザを用いることができる。また、ピックアップ装置14は、サーボ用光源装置45側からの光が光情報記録媒体1に照射され、その戻り光が、対物レンズ25、ダイクロイックミラー27、偏光ビームスプリッタ(ハーフミラーでも良い)46、凸レンズ47、シリンドリカルレンズ48を経由して4分割フォトディテクタ49に入射する様に構成されている。
なお、ピックアップ装置14内の空間光変調器37および光源装置42,45は、図2に示すコントローラ19によって制御される。また、本実施形態によるピックアップ装置14においては、図示していないが、ミラー33の入射側に位相空間変調器が配置されるようにしても良いし、ミラー33または34と同位置にミラーの代わりに反射型の位相空間変調器を配置しても良い。この場合、位相空間変調器は、格子状に配列された多数の画素を有し、各画素毎に出射光の位相を選択することによって、光の位相を空間的に変調することができるものを用いるのがよい。この位相空間光変調器としては、液晶素子を用いることができる。また、微小ミラーが出射光軸に対して平行に移動するマイクロミラーデバイスを用いても良い。この位相空間変調器も図2に示すコントローラ19によって制御される。コントローラ19は、位相空間光変調器において光の位相を空間的に変調するための複数の変調パターンの情報を保持している。また、操作部22は、複数の変調パターンの中から任意の変調パターンを選択することができるようになっている。そして、コントローラ19は、所定の条件に従って自らが選択した変調パターンまたは操作部22によって選択された変調パターンの情報を位相空間光変調器に与え、位相空間光変調器は、コントローラ19により与えられる変調パターンの情報に従って、対応する変調パターンで光の位相を空間的に変調するようになっている。
さらに、本実施形態におけるピックアップ装置14は、偏光ビームスプリッタ36からミラー38、さらに空間光変調器37を経由してハーフミラー31までの光路長と、ビームスプリッタ36からミラー34および33、さらにディフラクション光学素子ペア32を経由してハーフミラー31までの光路長が等しくなるように光学系が設定されている。 このようにすることにより、記録用参照光と物体光の光路長を等しくすることができる。また、ホログラム記録光源であるレーザの可干渉距離(コヒーレンシー)が短い場合でも干渉縞のコントラストを最大限にすることができるというメリットを有する。
次に、本実施形態に係る光情報記録再生装置の記録時の動作と再生時の動作を順に説明する。なお、記録時、再生時のいずれのときも、光情報記録媒体1は規定の回転数を保つように制御されてスピンドルモータ12によって回転される。
(記録時の動作)
光源装置42から、記録用に、パルス的に高出力の光が出射される。コントローラ19は、再生信号RFより再生された基本クロックに基づいて、対物レンズ25の出射光がデータエリア7を通過するタイミングを予測し、対物レンズ25の出射光がデータエリア7を通過する間、記録用の光を光源装置42から出射させる。対物レンズ25の出射光がデータエリア7を通過する間は、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボはサーボエリア7を通過したときの状態を保持し、対物レンズ25は固定される。また、以下の説明では、光源装置42が偏光ビームスプリッタ36に対してS偏光の光を出射するものとする。
図7において、光源装置42から出射されたS偏光の光は、コリメータレンズ41によって平行光束とされた後、1/2波長板(例えば、+22.5度)40により偏光方向が変更され、偏光ビームスプリッタ36に対してP偏光成分とS偏光成分を持つような光となる。この光は、ビームスプリッタ36に入射し、光量の一部(S偏光成分)が偏光分離面36aを透過し、残りの一部(P偏光成分)が偏光分離面36aで反射される。なお、ビームスプリッタ36の分離面36aはハーフミラーで構成しても良い。
この反射光(P偏光成分)は、ミラー34,33を介してディフラクション光学素子ペア32に入射する。これにより、リング状に位相変調された記録用参照光が生成される。 生成された記録用参照光は、ハーフミラー31で反射される。位相変調は、ディフラクション光学素子ペア32を構成するフレネル凹レンズ32aに設けられたウォルシュ関数を有する多分割位相輪帯部32cで行われる。一方、ビームスプリッタ36の偏光分離面36aを透過したS偏光の光は、記録時はシャッタ39は開いているので、ミラー38で反射され、空間光変調器37に入射する。この空間光変調器37おいて、光情報記録媒体1に記録すべき情報に応じて各画素毎に反射状態(以下、オンとも言う。)と遮断状態(以下、オフとも言う。)を選択して、反射する光を空間的に変調して、物体光が生成される。本実施形態では、2画素で1ビットの情報を表現し、必ず、1ビットの情報に対応する2画素のうちの一方をオン、他方をオフとする。なお、空間光変調器としてDMDを用いることができる。
生成された物体光(S偏光の光)は、ハーフミラー31を透過する。ここで、S偏光の物体光とP偏光の記録用参照光は、再度、互いに光軸が同一になるように統合される。ただ、物体光は光軸付近に配置され、記録用参照光は物体光を取り囲むようにリング状に配置される。図5(b)は物体光と記録用参照光が統合されたときの様子を示す図である。 その後、物体光は、例えば532nmの緑レーザであるので、ダイクロイックミラー27を通過する。また、図6に示されるように、物体光はS偏光の光であるので、散乱光遮断光学素子24の偏光板24dを通過し、さらに1/2波長板部24bでS偏光がP偏光の光に変更される。このP偏光の物体光は、対物レンズ25により平行光から集束され、光情報記録媒体1の反射層5に照射される。
記録用参照光も例えば緑レーザであるので、ダイクロイックミラー27を通過する。また、図6に示されるように、参照光は散乱光遮断光学素子24の偏光板24cをP偏光のまま通過し、対物レンズ25によって平行光から光情報記録媒体1の反射層3に収束するように照射される。この散乱光遮断光学素子24によって、ピックアップ装置14の光学系を構成する様々な光学素子から発生する散乱光(ノイズ)が物体光に紛れ込んでしまったとしても、P偏光の散乱光は散乱光遮断光学素子24の偏光板24dによってブロックされるので、記録時に悪い影響を与えることが無い。つまり、ノイズとともに物体光が担持する情報がホログラム記録層3に記録されることを避けることができる。
次に、図7,図8を用いてホログラム記録層3に干渉パターンが記録される様子を説明する。
図7に示される様に、P偏光の物体光50とP偏光の記録用参照光51は、反射層5で反射される前に、ホログラム記録層3の領域Xに干渉パターン(バーティカルフリンジ)を形成する。なお、50a、50b、50cは、順に物体光の0次光、+1次光、−1次光を示し、51a、51b、51cは、順に入射する記録用参照光の0次光、+1次光、−1次光を示す。さらに、記録用参照光51が1/4波長板層4を往復することによってP偏光からS偏光の光に変更される。そして、52a、52b、52cはそれぞれ、反射層5によって反射された記録用参照光の0次光、+1次光、−1次光を示すものである。
また、P偏光で入射した物体光50は、図8に示す様ように、1/4波長板層4を往復することによってS偏光の物体光53になる。そして、同様にS偏光の光となった記録用参照光52と物体光53は干渉し合い、干渉パターン(バーティカルフリンジ)がホログラム記録層3の領域Yに形成される。
本実施形態では、物体光の光軸と記録用参照光の光軸が同一線上に配置されるように、物体光と記録用参照光とがホログラム層3に対して同一面側より照射される。
また、本実施形態では、ホログラム記録層3の同一箇所において、記録用参照光の変調パターンを変えて複数回の記録動作を行うことで、位相符号化多重により、ホログラム層3の同一箇所に情報を多重記録することも可能である。
このようにして、本実施形態では、ホログラム記録層3内に透過型ホログラム(バーティカルフリンジ)のみが生成され、反射型のホログラム(ホリゾンタルフリンジ)は生成されない。従って、再生時にノイズとなってしまうゴースト映像を発生させる原因を排除することも可能である。
なお、本実施形態では、サーボ用の光学系と記録再生用の光学系の光路が分離されているため、記録時にもフォーカスサーボを行うことが可能である。
(再生時の動作)
図9は再生時におけるピックアップ装置14の状態を示す説明図である。
再生時には、ミラー38と偏光ビームスプリッタ36との間に配置されたシャッタ39がオンにされ、空間光変調器37への光の入射はカットされる。空間光変調器37への入射光は、再生時にはシャッタ39によって遮断されるが、念のため空間光変調器37の全画素がオンになるようにしてもよい。
光源装置42の出射光出力は、再生用の低出力にされる。なお、コントローラ19は、再生信号RFより再生された基本クロックに基づいて、対物レンズ25の出射光がデータエリア7を通過するタイミングを予測し、対物レンズ25の出射光がデータエリア7を通過する間、光源装置42の出射光出力を再生用の低出力に維持する。また、以下の説明では、再生時も記録時と同様に、光源装置42がビームスプリッタ36に対してS偏光の光を出射するものとする。
図9に示す様に、光源装置42から出射されたS偏光の光は、コリメータレンズ41によって平行光束とされた後、1/2波長板(+22.5度)40により偏光方向が変更され、ビームスプリッタ36に対してP波成分とS波成分を持つような光を生成する。この光は、ビームスプリッタ36に入射し、光量の一部(S偏光)が偏光分離面36aを透過し、残りの一部(P偏光)が偏光分離面36aで反射される。この反射光(P)は、1/2波長板(+45度)35に入射し、ここで、このP偏光の光は、ミラー34,33を介してディフラクション光学素子ペア32に入射する。このディフラクション光学素子32によってリング状に位相変調された再生用参照光が生成される(図5(a)参照)。この再生用参照光は記録時に用いられた記録用参照光と同じものである。生成された再生用参照光は、ハーフミラー31で反射され、偏光ビームスプリッタ29に入射する。なお、コントローラ19は、再生しようとする情報の記録時における記録用参照光の変調パターンの情報を位相空間光変調器37に与える。この位相空間光変調器37は、コントローラ19より与えられる変調パターンの情報に従って、通過する光の位相を空間的に変調して、光の位相が空間的に変調された再生用参照光を生成する。
偏光ビームスプリッタ29に入射した再生用参照光は、P偏光の光であり、偏光ビームスプリッタ29の偏光分離面29aを透過し、ミラー28によって反射されて進行方向が変更される。この再生用参照光は、例えば緑レーザであるので、ダイクロイックミラー27を通過する。また、図10に示す様に、P偏光の再生用参照光は、散乱光遮断光学素子24の偏光板24cをP偏光のまま通過し、対物レンズ25によって反射層5上で収束するように照射される。
再生時は、図4(a)に示す様に、散乱光遮断光学素子24のガラス板24aをスライドさせて、光軸付近の再生光が通過する部分が1/2波長板から単なるガラスになるようにされる。このようにすれば再生光の偏光がS偏光のまま散乱光遮断光学素子24を出射することになる。この制御は図2の光学素子動作回路23によってなされる。図4(a)ではガラス板をスライドさせたが、図4(b)のように1/2波長板24bを45度だけ回転させることにより、再生光の偏光がS偏光のままにすることができる。この場合も回転の制御は光学素子動作回路23によって行われる。
再生用参照光がホログラム記録層3に照射されると、再生光が発生する。この場合も、再生用参照光が様々な光学部品によって散乱して生成された散乱光(ノイズ)が光軸付近に存在しても偏光板24dでブロックされるので、散乱ノイズが再生光に紛れることを防止でき、イメージセンサ30において再生像を検出し易くなるという利点がある。なお、反射層5で反射した再生用参照光はP偏光の光からS偏光の光に変わるので、偏光板24cでブロックされて散乱光遮断光学素子24より先には入り込むことは無い。よって、不要になった再生用参照光によって、再生像検出に悪影響を与えることもない。
次に、図11,図12を参照して、より詳細な再生時の動作について説明する。図11に示す様に、P偏光の再生用参照光60が記録層3の領域Xに照射されると、干渉パターンから反射層5に向ってP偏光の再生光61が生成され、1/4波長板層4を往復することによってS偏光の再生光61となる。この再生光61は、S偏光のまま散乱光遮断光学素子24を通過する。
また、図12に示す様に、P偏光の再生用参照光60が1/4波長板層4を往復することによってS偏光の再生用参照光62が生成される。この再生用参照光62がホログラム記録層3の領域Yを通過するときに、再生光63が生成される。この再生光63はS偏光の光であり、S偏光のまま散乱光遮断光学素子24を通過することになる。
散乱光遮断光学素子24を出射した再生光は、ダイクロイックミラー27を通過し、ミラー28およびビームスプリッタ29で反射され、再生像検出回路であるイメージセンサ30によって検出されることになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、記録時には、散乱光遮断光学素子24における偏光板24dがS偏光の光だけを通過させるので、P偏光の記録用参照光が散乱されて物体光に紛れ込んだノイズ成分をカットすることができる。従って、不要なホログラムが記録層3に書き込まれることを防止することができる。
また、対物レンズ25入射前に再生用参照光から物体光(再生光)の領域内に紛れ込んできた散乱光が散乱光遮断光学素子24の偏光板24dによってカットされるので、再生像検出の際に妨げとなる散乱光ノイズを低減することができ、CMOSセンサにおける再生像検出が容易になる。
なお、記録用参照光の変調パターンを変えて、ホログラム層3に複数の情報が多重記録されている場合には、複数の情報のうち、再生用参照光の変調パターンと同じ変調パターンの記録用参照光に対応する情報のみが再生される。
また、本実施形態では、再生用参照光の光軸と再生光の光軸が同一線上に配置されるように、再生用参照光の照射と再生光の収集とが、ホログラム層3の同一面側より行われる。
次に、上述した実施形態に係る光情報記録再生装置に好適なホログラム記録方法と光情報記録媒体(以下、光記録媒体ともいう。)に用いるホログラム記録材料について詳しく説明する。
本実施形態のホログラム記録方法は、1)重合反応、2)発色反応、3)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として記録することが好ましく、2)発色反応、4)潜像発色−発色体増感重合反応、5)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、6)色素消色反応、7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により記録することが好ましい。
なお、ホログラム記録材料は、湿式処理を行わないことが好ましい。
ホログラム記録材料は、書き換えできない方式であることが好ましい。なおここで、書き換えできない方式とは、不可逆反応により記録される方式であり、一度記録されたデータは、さらに上書き記録して書き換えしようとしても書き換えされることなく保存できる方式を示す。したがって重要でかつ長期保存が必要なデータの保存に適する。ただし無論、まだ記録されていない領域に新たに追記して記録していくことは可能である。そのような意味で、一般には「追記型」または「ライトワンス型」と呼ばれる。
ホログラム記録に用いる光は好ましくは波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかであり、より好ましくは波長300〜700nmの紫外光または可視光であり、さらに好ましくは400〜700nmの可視光である。
さらに、ホログラム記録に用いる光としては、コヒーレントな(位相及び波長のそろった)レーザー光が好ましい。用いられるレーザーとしては、固体レーザー、半導体レーザー、気体レーザー、液体レーザーのいずれでも良いが、好ましいレーザー光としては例えば、532nmのYAGレーザー2倍波、355nmのYAGレーザー3倍波、400〜415nm付近のGaNやc等の半導体レーザー、650〜660nm付近のAlGaInP等の半導体レーザー、488または515nmのArイオンレーザー、632または633nmのHe−Neレーザー、647nmのKrイオンレーザー、694nmのルビーレーザーや636、634、538、534、442nmのHe−Cdレーザーなどが挙げられる。
また、ナノ秒やピコ秒オーダーのパルスレーザーを用いることも好ましい。
ホログラム記録材料を光記録媒体に使用する場合は、532nmのYAGレーザー2倍波または400〜415nm付近のGaNやInGaNレーザー、650〜660nm付近のAlGaInP等の半導体レーザーを用いることが好ましい。
ホログラム露光(記録)に用いる光の波長に対し、ホログラム再生に用いる光の波長は同じであるか、長波長であることが好ましく、同じであることがより好ましい。
ホログラム記録材料においては、ホログラム露光の後に、光または熱、あるいはその両方により定着工程を行っても良い。
特にホログラム記録材料に酸増殖剤または塩基増殖剤を用いる場合、酸増殖剤または塩基増殖剤を有効に機能させる点においても定着に加熱を用いることが好ましい。
光定着の場合は、ホログラム記録材料全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)する。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
熱定着の場合は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃にて定着工程を行うことが好ましい。
光定着と熱定着を両方行う際は、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加えてもよい。
なお、干渉縞記録の際の屈折率変調量は0.00001〜0.5であることが好ましく、0.0001〜0.3であることがより好ましい。なお、ホログラム記録材料の膜厚が厚い程屈折率変調量は少ない方が好ましく、ホログラム記録材料の膜厚が薄い程屈折率変調量は多い方が好ましい。
ホログラム記録材料の(相対)回折効率ηは以下の式で与えられる。
η=Idiff/Io (式1)
ここでIoは回折されない透過光の強度であり、Idiffは回折(透過型)または反射(反射型)された光強度である。回折効率は0〜100%のいずれかの値を取るが、30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
ホログラム記録材料の感度は、一般に単位面積当たりの露光量(mJ/cm2)で表され、この値が小さい程感度が高いと言える。しかし、どの時点の露光量をもって感度とするかは、文献、特許によってまちまちであり、記録(屈折率変調)のはじまる露光量とする場合、最大回折効率(屈折率変調)を与える露光量とする場合、最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量とする場合、露光量Eに対し、回折効率の傾きが最大となる露光量とする場合などある。
また、クーゲルニックの理論式より、ある回折効率を与えるための屈折率変調量Δnは膜厚dに反比例する。つまり、ある回折効率を与えるための感度は膜厚によっても異なり、膜厚dが厚くなる程少ない屈折率変調量Δnで済む。したがって、膜厚等の条件を揃えない限り、感度は一概には比較することはできない。
本実施形態においては、感度は「最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量(mJ/cm2)」と定義する。本実施形態で用いるホログラム記録材料の感度は、例えば膜厚が10〜200μm程度の場合、2J/cm2以下であることが好ましく、1J/cm2以下であることがより好ましく、500mJ/cm2以下であることがさらに好ましく、200mJ/cm2以下であることが最も好ましい。
ホログラム記録材料を光記録媒体としてホログラフィックメモリに用いる際は、DMDやLCDといった空間光変調素子(SLM)を用いて2次元デジタル情報(信号光と呼ぶ)を数多く記録していくことが好ましい。記録には記録密度を上げるために多重記録を用いることが好ましく、多重記録の方法には、角度多重、位相多重、波長多重、シフト多重などの多重記録を行う方法があるが、角度多重記録またはシフト多重記録を用いることが好ましい。また、再生される2次元データの読み出しにはCCDやCMOSが好ましく用いられる。
ホログラム記録材料は、光記録媒体としてホログラフィックメモリに用いる際は、容量(記録密度)を向上させるために多重記録を行うことが必須である。その際、10回以上の多重記録を行うことがより好ましく、50回以上の多重記録を行うことがさらに好ましく、100回以上の多重記録を行うことが最も好ましい。さらに、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることが記録システム簡略化、S/N比向上等の点でより好ましい。
なお、ホログラム記録材料を光記録媒体に用いる際は、保存時ホログラム記録材料は遮光カートリッジ内に保存されていることが好ましい。また、記録光及び再生光波長以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターをホログラム記録材料の表面、裏面またはその両面に備え付けていることも好ましい。
ホログラム記録材料を光記録媒体に用いる際は、光記録媒体はディスク状でもカード状でもテープ状であっても良くいかなる形状であっても良い。
以下に各ホログラム記録方法及びそのような記録方法が可能なホログラム記録材料の各成分について詳しく説明する。
1)発色反応による干渉縞記録
発色反応とは、200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光の領域にて、吸収スペクトル形が変化するような反応を示し、より好ましくは吸収スペクトルにおいてλmaxが長波長化、εが増大のいずれかが起こるような反応を示し、さらに好ましくはその両方が起こるような反応を示す。また、発色反応は200〜1000nmの波長領域で起こることがより好ましく、300〜900nmの波長領域で起こることがさらに好ましい。
記録が発色反応による場合、ホログラム記録材料は好ましくは、
少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、と、
2)元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、増感色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、発色による屈折率変調を用いて干渉縞を記録することができる干渉縞記録成分、を含むことが好ましい。
ここで、色素の屈折率は一般に、線形吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては1.8を超え、場合によっては2を超えるような高い値をとる。その一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
よって、ホログラム露光により色素前駆体を発色させることは、吸収率差だけでなく、大きな屈折率差も好ましく形成できることがわかる。
ホログラム記録材料は、屈折率変調により干渉縞を記録する位相型ホログラム記録材料であることが高回折効率の点で好ましい。つまり、ホログラム再生時には、ホログラム記録材料が再生光波長に吸収を有さないか、ほとんど吸収を有さないことが好ましい。
したがって、色素前駆体がホログラム露光後発色体になる際には、ホログラム記録及び再生波長に吸収を有さずに、それよりも短波長側に吸収を有する発色体となることが好ましい。また増感色素の方は、ホログラム記録またはその後の定着の際に分解してその吸収及び増感機能を失うことが好ましい。
さらに、大きな屈折率変調を与え感度やダイナミックレンジを増すためには、色素前駆体は、ホログラム露光後、ホログラム記録及び再生波長に吸収を有さず、ホログラム記録波長とホログラム記録波長から200nm短波長な波長の間の領域に、吸収極大を有する発色体となることが好ましく、ホログラム記録波長とホログラム記録波長から100nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有する発色体となることがより好ましい。
まず、ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素について詳しく説明する。
増感色素としては好ましくは、波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかを吸収して励起状態を生成するものであり、より好ましくは波長300〜700nmの紫外光または可視光を吸収して励起状態を生成するものであり、さらに好ましくは400〜700nmの可視光を吸収して励起状態を生成するものである。
増感色素として好ましくはシアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、ベンジリデン色素、オキソノール色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アントラキノン色素、金属錯体色素、メタロセン色素等が挙げられ、より好ましくは、シアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、縮環芳香族系色素、金属錯体色素、メタロセン色素が挙げられ、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、金属錯体色素、メタロセン色素が挙げられる。なお、金属錯体色素としては特にRu錯体色素が、メタロセン色素としては特にフェロセン類が好ましい。
その他に「色素ハンドブック」(大河原信他編 講談社 1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編 シーエムシー 1981年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編 シーエムシー 1986年)に記載される色素および染料も増感色素として用いることができる。なお、増感色素はこれらに限定されるものではなく、可視域の光に対して吸収を示す色素および染料であればどれでも用いることができる。これらの増感色素は、使用目的に応じて光源となるレーザーの波長に合うように選択することができ、用途によっては2種類以上の増感色素を組み合わせて使用しても構わない。
なお、ホログラム記録材料は厚膜で使用しかつ記録光の多くが膜を透過する必要があるため、ホログラム露光波長における増感色素のモル吸光係数を小さくすることにより増感色素添加量を極力多くすることが高感度化のために好ましい。ホログラム露光波長における増感色素のモル吸光係数は1以上10000以下であることが好ましく、1以上5000以下であることがより好ましく、5以上2500以下であることがさらに好ましく、10以上1000以下であることが最も好ましい。
また、ホログラム記録材料の記録波長光の透過率は10〜99%であることが好ましく、20〜95%であることがより好ましく、30〜90%であることがさらに好ましく、40〜85%であることが、回折効率、感度、記録密度(多重度)の点で最も好ましい。したがって、そのようになるようにホログラム記録材料の膜厚に合わせて増感色素の記録波長におけるモル吸光係数と添加モル濃度を調整することが好ましい。
また、増感色素のλmaxはホログラム記録波長よりも短波長であることがより好ましく、ホログラム記録波長と同じから100nm短波長な範囲の間であることがさらに好ましい。
さらに、増感色素の記録波長におけるモル吸光係数はλmaxのモル吸光係数の5分の1以下であることが好ましく、10分の1以下であることがより好ましい。
特に増感色素がシアニン色素やメロシアニン色素のような有機色素の時は20分の1以下であることがより好ましく、50分の1以下であることがさらに好ましく、100分の1以下であることが最も好ましい。
以下に増感色素の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2006235209
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なお、ホログラム記録波長が532nmのYAGレーザー2倍波の場合、増感色素としてはベンゾオキサゾール環を有するトリメチンシアニン色素、Ru錯体色素、フェロセン類が特に好ましく、400〜415nmのGaNやInGaN等のレーザーの場合、ベンゾオキサゾール環を有するモノメチンシアニン色素、Ru錯体色素、フェロセン類が特に好ましい。
増感色素の好ましい例としては他に、特願2004−238427号に記載されている。増感色素は市販品であるか、あるいは公知の方法により合成することができる。
干渉縞記録成分として好ましくは、以下の組み合わせが挙げられる。これらについては、具体例として好ましくは、特願2004−238077号に記載されている例が挙げられる。
i)少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤を含む
組み合わせ。必要によりさらに酸増殖剤を含む組み合わせ。
酸発生剤としてはジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、スルホン酸エステルが好ましく、先述の酸発生剤(カチオン重合開始剤)を好ましく用いることができる。
酸発色型色素前駆体から生成する発色体はキサンテン色素、フルオラン色素またはトリフェニルメタン色素が好ましい。酸発色型色素前駆体の特に好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2006235209
また、酸発色型色素前駆体としては、酸(プロトン)付加により発色するシアニンベース(ロイコシアニン色素)も好ましく用いられる。シアニンベースの好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2006235209
ii)少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含む組み合わせ、必要によりさらに塩基増殖剤を含む組み合わせ。
塩基発生剤としては、先述の塩基発生剤(アニオン重合開始剤)が好ましく挙げられ、塩基発色型色素前駆体としては、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型フルオラン色素、解離型トリフェニルメタン型色素の非解離体が挙げられる。
塩基発色型色素前駆体の特に好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2006235209
Figure 2006235209
Figure 2006235209
iii) 増感色素励起状態との電子移動またはエネルギー移動により共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位と、共有結合している際と放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位が共有結合している化合物を含む場合。必要によりさらに塩基を含む組み合わせ。特に好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2006235209
Figure 2006235209
iV) 増感色素励起状態との電子移動により反応し、吸収形を変化させることができる化合物を含む場合。
いわゆるエレクトロクロミック化合物を好ましく用いることができる。さらには、バインダーポリマーを含むことがより好ましく、バインダーポリマーとしては、3)潜像発色−発色体増感重合反応による干渉縞記録の所で後述する例や、特願2004−238077号に記載されている例が好ましく挙げられる。
2)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応による干渉縞記録
このホログラム記録方法は、好ましくは、少なくとも、潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なり、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射し発色体を自己増感増幅生成することにより、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とし、高速書き込み、高S/N比再生等の点で好ましい。
なお、ここで「潜像」とは、「第2の工程後形成される屈折率差の好ましくは2分の1以下の屈折率差」のこと(つまり好ましくは第2の工程にて2倍以上の増幅工程が行われること)を示し、より好ましくは5分の1以下、さらに好ましくは10分の1以下、最も好ましくは30分の1以下の屈折率差画像であること(つまり第2の工程にてより好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上、最も好ましくは30倍以上の増幅工程が行われること)を示す。
ここで、第2の工程は光照射、熱印加のいずれかまたはその両方であることが好ましく、光照射であることがより好ましく、照射する光は全面露光(いわゆるベタ露光、ブランケット露光、ノンイメージワイズ露光)であることが好ましい。
用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、赤外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
さらに、そのようなホログラム記録方法が可能であるホログラム記録材料としては、少なくとも、
1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素と、
2)元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、増感色素または発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、発色による屈折率変調を用いて干渉縞を記録することができる干渉縞記録成分、
を含むことが好ましい。
増感色素、干渉縞記録成分として好ましい例は、1)発色反応の所で述べた例と同じである。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、発色体のモル吸光係数が1000以上であることが好ましい。
以下に「潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応方式」の概念を説明する。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から干渉縞記録成分にエネルギー移動または電子移動させることにより、干渉縞記録成分に含まれる色素前駆体を発色体に変化させて発色による潜像を形成する(以上第1の工程)。次に350〜420nmの波長域の光を照射して、発色体の吸収を起こし、発色体の自己増感により発色体を増幅生成させる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉暗部である部分では潜像があまり生成しないため第2の工程においても自己増感発色反応はほとんど起きず、その結果、干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応の具体例として好ましくは、特願2004−238427号に記載されている例が挙げられる。
3)潜像発色−発色体増感重合反応による干渉縞記録
このホログラム記録方法は、好ましくは、少なくとも、潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とし、高速書き込み、保存性等に優れる。
なお、第2の工程にて、発色体を自己増感増幅生成しつつかつ重合を起こす方法も好ましい。
さらに、そのようなホログラム記録方法が可能であるホログラム記録材料としては、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、または第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化し、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域に吸収を有しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体群、
3)第1の工程にて増感色素励起状態から、第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、
を含むことが好ましい。
増感色素、干渉縞記録成分として好ましい例は、1)発色反応の所で述べた例と同じである。
重合開始剤、重合性化合物、バインダーとして好ましい例を以下に詳しく述べる。
重合反応による干渉縞記録の際には、バインダーは重合性化合物と屈折率が違うことが好ましい。屈折率変調を大きくするためには重合性化合物とバインダーのバルクでの屈折率差は大きいことが好ましく、屈折率差は0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましい。なお、重合性化合物の方がより屈折率が大きくても、バインダーの方がより屈折率が大きくても、どちらでも構わない。
重合性化合物とは、増感色素(または発色体)と重合開始剤に光を照射することにより発生したラジカル、酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)または塩基(ブレンステッド塩基またはルイス塩基)により、付加重合を起こしてオリゴマーまたはポリマー化が可能な化合物のことである。
重合性化合物としては、単官能性でも多官能性でも良く、一成分でも多成分でも良く、モノマー、プレポリマー(例えばダイマー、オリゴマー)でもこれらの混合物でもいずれでも良いが、モノマーであることが好ましい。
また、その形態は、室温において液状であっても固体状であっても良いが、沸点100℃以上の液状であるか、沸点100℃以上の液状モノマーと固体状モノマーの混合物であることが好ましい。
重合性化合物は、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオンまたはアニオン重合可能な重合性化合物に大別される。
以下に、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオンまたはアニオン重合可能な重合性化合物ごとに、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて好ましい重合性化合物の例を説明する。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のラジカル重合性化合物の好ましい例
この場合、ラジカル重合性化合物は屈折率が高いことが好ましく、高屈折率ラジカル重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を分子中に有し、さらに少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含む化合物が好ましく、また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
高屈折率ラジカル重合性モノマーとして好ましくは、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート又はジメタクリレート、ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、などが挙げられ、より好ましくはアクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチルなどが挙げられる。
好ましい重合性化合物は液体であるが、それらはN−ビニルカルバゾール、アクリル酸2−ナフチル、アクリル酸ペンタクロロフェニル、アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、ビスフェノール−Aジアクリレート、アクリル酸2−(2−ナフチロキシ)エチル、並びにN−フェニルマレイミドのような第2の固体重合性化合物と混合して使用してよい。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のラジカル重合性化合物の好ましい例
この場合、ラジカル重合性化合物は屈折率が低いことが好ましく、低屈折率ラジカル重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を分子中に有し、さらにアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まないことが好ましい。
また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
低屈折率ラジカル重合性モノマーとして好ましくは、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソ−ボルニル、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、フマル酸ジアリル、アクリル酸1H,1H−パーフロロオクチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、1−ビニル−2−ピロリジノンなどが挙げられ、より好ましくは、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、エトキシル化トリメチロールプロパンのトリアクリレートエステル、並びに1−ビニル−2−ピロリジンなどが挙げられ、より好ましくは、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、アクリル酸1H,1H−パーフロロオクチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、1−ビニル−2−ピロリジンなどが挙げられる。
好ましい重合性化合物は液体であるが、それらは、第2の固体重合性化合物モノマー、例えばN−ビニルカプロラクタム等と混合して使用してよい。
カチオン重合性化合物は、増感色素とカチオン重合開始剤に光照射することにより発生した酸により重合が開始される化合物で、アニオン重合性化合物は、増感色素とアニオン重合開始剤に光照射することにより発生した塩基により重合が開始される化合物である。
カチオン重合性化合物として好ましくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、スチリル基、N−ビニルカルバゾール部位を分子中に少なくとも1個以上有する化合物であり、より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
アニオン重合性化合物として好ましくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、スチリル基、N−ビニルカルバゾール部位、電子吸引性置換基を備えるエチレン性二重結合部位、ラクトン部位、ラクタム部位、環状ウレタン部位、環状尿素部位、または、環状シロキサン部位を分子中に少なくとも1個以上有する化合物であり、より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のカチオンまたはアニオン重合性化合物の好ましい例
この場合、カチオンまたはアニオン重合性化合物は屈折率が高いことが好ましく、高屈折率カチオンまたはアニオン重合性化合物としては、少なくとも1個のオキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、スチリル基、N−ビニルカルバゾール部位を分子中に有し、さらに少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含む化合物が好ましく、少なくとも1個以上のアリール基を含むことが好ましい。また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
オキシラン環を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーとして好ましくは、フェニルグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリメリト酸トリグリシジルエステル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、4,4'−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、p−ブロモスチレンオキサイド、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、1,3−ビス(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル)−1,3,−ジフェニル−1,3,−ジメチルジシロキサンなどが挙げられる。
オキセタン環を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては、前記のオキシラン環を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例のオキシラン環をオキセタン環に置き換えた化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル基部位を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては例えば、ビニル−2−クロロエチルエーテル、4−ビニルエーテルスチレン、ハイドロキノンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、フェノキシエチレンビニルエーテル、p−ブロモフェノキシエチレンビニルエーテルなどが挙げられる。
他に、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン等のスチレン系モノマーやN−ビニルカルバゾールも高屈折率カチオン重合性モノマーとして好ましい。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のカチオンまたはアニオン重合性化合物の好ましい例
この場合、カチオンまたはアニオン重合性化合物は屈折率が低いことが好ましく、低屈折率カチオンまたはアニオン重合性化合物としては、少なくとも1個のオキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基を分子中に有し、さらにアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まない化合物が好ましい。また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
オキシラン環を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3',4'−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,3−ビス(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサンなどが挙げられる。
オキセタン環を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては、前記のオキシラン環を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例のオキシラン環をオキセタン環に置き換えた化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル基部位を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては例えば、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、エチレングリゴールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルグリコール、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、アリルビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)プロパンジビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)トリフルオロプロパンジビニルエーテルなどが挙げられる。
次に、重合反応による干渉縞記録の際の好ましいバインダーについて、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて例を説明する。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のバインダーの好ましい例
この場合、バインダーは低屈折率であることが好ましく、アリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まないバインダーであることが好ましい。
好ましい低屈折率バインダーの具体例としては、アクリレート及びアルファ−アルキルアクリレートエステル及び酸性重合体及びインターポリマー(例えばポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル,メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体及びほぼ4,000〜1,000,000の平均分子量を有するポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化物(例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物)、ポリアミド(例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアジパミド)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルベンジルセルロース)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などが挙げられる。
また、フッ素原子含有高分子も低屈折率バインダーとして好ましい。好ましいものとしては、フルオロオレフィンを必須成分とし、アルキルビニルエーテル、アリサイクリックビニルエーテル、ヒドロキシビニルエーテル、オレフィン、ハロオレフィン、不飽和カルボン酸およびそのエステル、およびカルボン酸ビニルエステルから選ばれる1種もしくは2種以上の不飽和単量体を共重合成分とする有機溶媒に可溶性の重合体である。好ましくは、その重量平均分子量が5,000から200,000で、またフッ素原子含有量が5ないし70重量%であることが望ましい。
前記したフッ素原子含有高分子の具体例として、例えば水酸基を有する有機溶媒可溶性の「ルミフロン」シリーズ(例えばルミフロンLF200、重量平均分子量:約50,000、旭硝子社製)が挙げられる。この他にも、ダイキン工業(株)、セントラル硝子(株)、ペンウオルト社などからも有機溶媒可溶性のフッ素原子含有高分子が上市されており、これらも使用することができる。
またポリ(ジメチルシロキサン)などのケイ素化合物や芳香族を含まないシリコンオイル等も好ましい例として挙げられる。
また他に、芳香族を含まないエポキシオリゴマー化合物も低屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のバインダーの好ましい例
この場合、バインダーは高屈折率であることが好ましく、少なくとも1個以上のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含むバインダーであることが好ましく、アリール基を含むバインダーであることがより好ましい。
好ましい高屈折率バインダーの具体例としては、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニル及び共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH2)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸、(3)テレフタル酸及びセバシン酸、(4)テレフタル酸及びイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコール及び(i)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸及び(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸及びアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾール及びその共重合体、炭酸エステルとビスフェノールから成るポリカーボネートなどが挙げられる。
またポリ(メチルフェニルシロキサン)や、1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシロキサンなどのケイ素化合物、芳香族を多く含むシリコンオイル等も好ましい例として挙げられる。
また他に、芳香族を多く含むエポキシオリゴマー化合物も高屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
重合反応による干渉縞記録に用いる重合開始剤として好ましくは、ケトン系、有機過酸化物系、トリハロメチル置換トリアジン系、ジアゾニウム塩系、ジアリールヨードニウム塩系、スルホニウム塩系、ホウ酸塩系、ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系、スルホニウム有機ホウ素錯体系、カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系、アニオン性増感色素オニウム塩錯体系、金属アレーン錯体系、スルホン酸エステル系のいずれかのラジカル重合開始剤(ラジカル発生剤)またはカチオン重合開始剤(酸発生剤)、あるいはその両方の機能を有するものが挙げられる。
その際、酸増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。酸増殖剤の好ましい例として具体的に例えば、特願2003−182849号に記載されている例が挙げられる。
また、アニオン重合及びアニオン重合開始剤(塩基発生剤)を用いる場合も好ましい。 さらにその場合塩基増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。それらの場合、アニオン重合開始剤及び塩基増殖剤の好ましい例として具体的には例えば、特願2003−178083号に記載されている例が挙げられる。
重合開始剤、重合性化合物、バインダーの好ましい例として具体的には例えば、特願2004−238392号に記載されている例が挙げられる。
重合開始剤として好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない
Figure 2006235209
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なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、発色体のモル吸光係数が1000以上であることがより好ましい。
本実施形態のホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料においては、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を分解して定着することが保存性及び非破壊再生の点で好ましく、さらには、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより発色体を分解して定着することがより好ましい。
以下に「潜像発色−発色体増感重合反応方式」の概念を説明する。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から干渉縞記録成分にエネルギー移動または電子移動させることにより、干渉縞記録成分に含まれる色素前駆体を発色体に変化させて発色による潜像を形成する(以上第1の工程)。次に350〜420nmの波長域の光を照射して、発色体の吸収を起こし、重合開始剤に電子移動またはエネルギー移動させることにより活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が大きい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が高くなる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉暗部である部分では潜像があまり生成しないため第2の工程においても重合はあまり起きずバインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。第1及び第2の工程、あるいはさらにその後の定着工程により増感色素及び発色体を分解して消色できれば、非破壊再生及び保存性に優れたホログラム記録材料を提供することができる。
例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
潜像発色−発色体増感重合反応の具体例として好ましくは、特願2004−238392号に記載されている例が挙げられる。
4)固有複屈折率を有する化合物の配向変化による干渉縞記録
このホログラム記録方法は、好ましくは、ホログラム露光により固有複屈折率を有する化合物の配向変化を起こし、そのまま化学反応により固定化することにより、書き換えできない方式にて屈折率変調として干渉縞記録することを特徴とする。固有複屈折率を有する化合物としては液晶性化合物が好ましく、低分子液晶性化合物がより好ましく、重合性基を有する低分子液晶性化合物がさらに好ましい。重合性基を有する低分子液晶性化合物はネマチック液晶性化合物、スメクチック液晶性化合物、ディスコティックネマチック液晶性化合物、ディスコティック液晶性化合物、コレステリック液晶性化合物のいずれかであることが好ましく、ネマチック液晶性またはスメクチック液晶性であることがより好ましい。
さらに固有複屈折率を有する化合物の配向変化による干渉縞記録方式におけるホログラム記録材料においては、少なくとも重合性基を有する低分子液晶性化合物、光反応性化合物、重合開始剤を有することが好ましく、さらには、増感色素、バインダーポリマー等を有することも好ましい。重合開始剤、増感色素、バインダーポリマー等の好ましい例は先述した通りである。
なお光反応性化合物は光異性化化合物であることが好ましく、より好ましくはアゾベンゼン系化合物、スチルベン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、ジアリールエテン系化合物、フルギド系化合物、フルギミド系化合物、桂皮酸系化合物、クマリン系化合物、カルコン系化合物のいずれかであり、最も好ましくはアゾベンゼン系化合物である。
光反応性化合物は低分子化合物であっても、高分子化合物であっても良く、高分子化合物である際は、光反応性部位をペンダントした高分子化合物であることが好ましい。
なお、固有複屈折率を有する化合物の配向変化による干渉縞記録方式及び材料の具体例として好ましくは、特願2003−327594号に記載されている例が挙げられる。
5)色素消色反応
このホログラム記録方法は、好ましくは、少なくとも1種以上の消色性色素を有し、該消色性色素がホログラム露光により消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする。
消色性色素とは、200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光の領域に吸収を有し、光照射により直接または間接的にλmaxが短波長化、吸収のモル吸光係数の減少のいずれかが起こすような色素の総称を示し、さらに好ましくはその両方を起こすような色素である。また、消色反応は200〜1000nmの波長領域で起こることがより好ましく、300〜900nmの波長領域で起こることがさらに好ましい。
なお好ましい組み合わせとして、
(A)該消色性色素がホログラム露光波長に吸収を有する増感色素であり、ホログラム露光の際光を吸収し、その結果自身を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。
(B)少なくともホログラム露光波長に吸収を有する増感色素とホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下、好ましくは100以下の消色性色素を有し、ホログラム露光の際増感色素が光を吸収し、その励起エネルギーを用いた電子移動またはエネルギー移動により消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法。
が挙げられ、B)の方法の方がより好ましい。
さらに、消色性色素、増感色素とは別の消色剤前駆体を有し、増感色素または消色性色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することを用いた屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とするホログラム記録方法も好ましい。その際、消色剤はラジカル、酸、塩基、求核剤、求電子剤、一重項酸素のいずれかであることが好ましく、したがって、消色剤前駆体はラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかであることが好ましい。消色前駆体としては、ラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤のいずれかであることがより好ましい。
また、いずれの場合も、さらにバインダーポリマーを含むことがより好ましく、バインダーポリマーとしては、1)重合反応の所で先述した例や、特願2004−238077号に記載されている例が好ましく挙げられる。
次に「色素消色反応方式」において、干渉縞明部と暗部にて屈折率差を形成するための消色性色素について詳しく述べる。
先述した(A)の方式では、増感色素と消色性色素を兼ねるため、消色性色素の好ましい例としては先述した増感色素の例が挙げられる。増感色素兼消色性色素のλmaxはホログラム記録光波長とホログラム記録光波長から100nm短い波長域の間にあることが好ましい。
一方、先述した(B)の方式では、増感色素とは別に消色性色素を用いる。その際、消色性色素としてはホログラム記録光波長のモル吸光係数が1000以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、0であることが最も好ましい。消色性色素のλmaxはホログラム記録光波長とホログラム記録光波長から200nm短い波長域の間にあることが好ましい。
(B)の方式では、消色性色素としては、好ましくは、シアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、ベンジリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、アントラキノン色素、金属錯体色素のいずれかであり、さらに好ましくは、シアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、ベンジリデン色素、オキソノール色素、クマリン色素、キサンテン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、金属錯体色素のいずれかである。
特に、消色剤が酸の時、消色性色素としては、解離型ベンジリデン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型アゾ色素の解離体であることが好ましく、解離型ベンジリデン色素、解離型オキソノール色素、解離型アゾ色素の解離体であることがより好ましい。ここで解離型色素とは−OH基、−SH基、−COOH基、−NHSO2R基や−CONHSO2R基等、pKaが2〜14程度の範囲内にある活性水素を有し、プロトンが解離することによって、吸収が長波長化または高ε化する色素の総称である。したがって、解離型色素をあらかじめ塩基で処理して解離型としておけば、あらかじめ長波長化または高ε化した色素を調製することができ、光酸発生により非解離型に変化させ消色(短波長化または低ε化)することが可能となる。
また特に、消色剤が塩基の時は、あらかじめ酸で処理して発色体としたトリフェニルメタン色素、キサンテン色素、フルオラン色素等の酸発色性色素発色体を消色性色素として用いれば、光塩基発生により非プロトン付加体に変化させ消色(短波長化または低ε化)することが可能となる。
以下に消色性色素の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 2006235209
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また、消色性色素としては、ホログラム露光により生成する増感色素励起状態からの電子移動により結合が切断し、その結果消色することができる以下の消色性色素の例も好ましく挙げることができる。
これらの消色性色素は元々はシアニン色素であるが、電子移動による結合の切断によりシアニンベース(ロイコシアニン色素)に変化し、吸収の消色または短波長化が起こるものである。
Figure 2006235209
消色剤前駆体が酸発生剤の場合、好ましい例としては前述のカチオン重合開始剤の例が挙げられる。ラジカル発生剤の場合、好ましい例としては前述のラジカル重合開始剤の例が挙げられる。塩基発生剤の場合、好ましい例としては前述のアニオン重合開始剤の例が挙げられる。
色素消色反応の具体例として好ましくは、特願2004−88790号に記載されている例が挙げられる。
7)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応
このホログラム記録方法は、好ましくは、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、その励起エネルギーを用いてホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下、好ましくは100以下、最も好ましくは0の消色性色素を消色し、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とし、高速記録、多重記録適性、記録後の保存性等に優れる。
さらに、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、6)で述べた消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、エネルギー移動または電子移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とするホログラム記録方法、も好ましい。
さらに、そのようなホログラム記録方法が可能な化合物群として、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接電子移動する結果、または消色剤前駆体へ電子移動することにより消色剤を発生させる結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤(場合により2)の消色剤前駆体を兼ねる)、
4)重合性化合物、
5)バインダー、
を含むことが好ましい。なお、2)にて消色剤前駆体にエネルギー移動または電子移動する場合は、6)第1の工程にて増感色素励起状態から、電子移動またはエネルギー移動することにより消色剤を発生することができる消色剤前駆体、も含むことが好ましい。
なお、増感色素として好ましい例は、1)発色反応の所で述べた例と同じである。
重合開始剤、重合性化合物、バインダーとして好ましい例は、1)重合反応の所で述べた例と同じである。
消色性色素、消色剤前駆体の好ましい例は、5)消色反応の所で述べた例と同じである。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、消色性色素のモル吸光係数が1000以上であることが好ましい。
ここで、「残存消色色素潜像−潜像増感重合方式」において、消色剤前駆体と重合開始剤が一部または全部同じで両方の機能を兼ねることも好ましい。
増感色素とは別に消色性色素を添加する場合にて、消色剤前駆体と重合開始剤が異なる場合(例えば消色剤前駆体が酸発生剤または塩基発生剤、重合開始剤はラジカル重合開始剤、あるいは、消色剤前駆体がラジカル発生剤または求核剤発生剤、重合開始剤が酸発生剤または塩基発生剤)は、増感色素は消色剤前駆体に対してのみ電子移動増感可能で、重合開始剤は消色性色素によってのみ電子移動増感可能であることが好ましい。
ホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料は、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を分解して定着することが保存性及び非破壊再生の点で好ましく、さらには、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより残存している消色性色素を分解して定着することがより好ましい。
以下に「残存消色色素潜像−潜像増感重合反応方式」の概念を説明する。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から消色剤前駆体にエネルギー移動または電子移動させることにより消色剤を発生させて、消色性色素を消色させる。その結果、残存した消色性色素による潜像を形成することができる(以上第1の工程)。次に350〜420nmの波長域の光を照射して、残存消色色素潜像の吸収を起こし、重合開始剤に電子移動またはエネルギー移動させることにより活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が小さい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が低くなる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉明部となった部分では潜像となる残存消色性色素が少ないため第2の工程においても重合はあまり起きずバインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。第1及び第2の工程、あるいはさらにその後の定着工程により増感色素及び残存消色性色素を分解して消色できれば、非破壊再生及び保存性に優れたホログラム記録材料を提供することができる。
例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
残存消色色素潜像−潜像増感重合反応の具体例として好ましくは、特願2004−88790号に記載されている例が挙げられる。
ホログラム記録材料は、前記のような増感色素、干渉縞記録成分、重合開始剤、重合性化合物、バインダー、消色性色素、消色剤前駆体等に加えて、さらに必要に応じて電子供与性化合物、電子受容性化合物、連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の添加物を用いることができる。
電子供与性化合物は増感色素、発色体または消色性色素のラジカルカチオンを還元する能力を有し、電子受容性化合物は増感色素、発色体または消色性色素のラジカルアニオンを酸化する能力を有し、共に増感色素、発色体または消色性色素を再生する機能を有する。具体的には例えば、特願2004−238077号に記載されている例が好ましい例として挙げられる。
特に電子供与性化合物は、色素前駆体群への電子移動後の増感色素、発色体または消色性色素ラジカルカチオンを素早く再生できるため高感度のために有用である。電子供与性化合物としては、酸化電位が増感色素、発色体または消色性色素の酸化電位よりも卑なものが好ましい。電子供与性化合物の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2006235209
電子供与性化合物としては特に、フェノチアジン系化合物(例えば10−メチルフェノチアジン、10−(4‘−メトキシフェニル)フェノチアジン)、トリフェニルアミン系化合物(例えばトリフェニルアミン、トリ(4’−メトキシフェニル)アミン、TPD系化合物(例えばTPD)等が好ましく、フェノチアジン系化合物がさらに好ましく、N−メチルフェノチアジンが最も好ましい。
なお、前述してきた増感色素、酸発生剤、塩基発生剤、色素前駆体、消色性色素、消色剤前駆体、電子供与性化合物等はオリゴマーまたはポリマーでも良く、その際は主鎖に含まれても側鎖に含まれても良く、共重合体であっても良い。
ポリマー主鎖としてはどのような構造でも良いが、ポリアクリレートやポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド等が好ましく挙げられる。
その際、ポリマーまたはオリゴマーとしては繰り返し単位が2以上100万以下であり、好ましくは3以上100万以下であり、より好ましくは5以上50万以下であり、もっとも好ましくは10以上10万以下である。
またポリマーまたはオリゴマーの分子量としては好ましくは500以上1000万以下であり、より好ましくは1000以上500万以下であり、さらに好ましくは2000以上100万以下であり、最も好ましくは3000以上100万以下である。
連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の具体例として好ましい例は、特願2004−238392号に記載されている例が挙げられる。
連鎖移動剤として好ましくは、チオール類であり、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、p−ブロモベンゼンチオール、チオシアヌル酸、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、p−トルエンチオールなどが挙げられる。
特に重合開始剤が2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーの場合は連鎖移動剤を用いることが好ましい。
ホログラム記録材料には、保存時の保存性を向上させるために熱安定剤を添加するのが良い。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。
可塑剤はホログラム記録材料の接着性、柔軟性、硬さ、およびその他の機械的諸特性を変えるために用いられる。可塑剤としては例えば、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジエチルセバケート、ジブチルスベレート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフタレート、アルコール類、フェノール類等が挙げられる。
ホログラム記録材料は通常の方法で調製されてよい。
例えば、ホログラム記録材料の製膜方法としては、前記のバインダーや各成分を溶媒等に溶かしてスピンコーターまたはバーコーター等を用いて塗布しても良い。
その際、溶媒として好ましくは例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒が挙げられる。
ホログラム記録材料は、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストしついで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらによりホログラム記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
またホログラム記録材料は、各成分を含むバインダーをバインダーのガラス転移温度または融点以上の温度にしてメルトさせ溶融押し出しまたは射出成型して製膜しても良い。 その際、バインダーとして反応性架橋バインダーを使用し、押し出しまたは成型後に架橋させて膜を硬化させ、膜強度を増しても良い。その場合、架橋反応にはラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。また、特開2000−250382号、特開2000−172154号等記載の方法も好ましく使用することができる。
また、バインダーを形成するモノマー溶液に各成分を溶解させておいた上でモノマーを熱重合または光重合させてポリマーとし、バインダーとして使用する方法も好ましく使用できる。その際の重合法としても、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。
さらに、ホログラム記録材料の上に、酸素遮断のための保護層を形成してもよい。保護層は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布してもよい。また、ガラス板を貼合わせてもよい。また、保護層と感光膜の間および/または、基材と感光膜の間に、気密性を高めるために粘着剤または液状物質を存在させてもよい。
ホログラム記録材料をホログラフィック光メモリ用途に用いる場合、ホログラム記録材料はホログラム記録前後で収縮等が起こらない方が信号再生時のS/N比向上の点でより好ましい。
そのため、例えばホログラム記録材料に特開2000−86914号記載の膨張剤を用いたり、特開2000−250382号、2000−172154、特開平11−344917号記載の耐収縮性のあるバインダーを用いることも好ましい。
また、特開平3−46687号、5−204288号、特表平9−506441号等記載の拡散要素を用いて干渉縞間隔を調節することも好ましい。
特許文献1〜3、5〜8のような公知の通常のフォトポリマーでは多重記録を行うと、多重記録後半の方では重合がかなり進んだ所に記録することとなるため、多重記録前半に比べて、同じ信号を記録するにも露光時間を必要とする(感度が低下する)こととなり、システム設計上重大な問題とされていた。つまり、露光量に対して、屈折率変調量がリニアに上昇する範囲が非常に狭いことが問題とされていた。
それに対し、特に本実施形態の1)発色反応、2)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応及び5)色素消色反応の記録方法は干渉縞記録に重合を伴わない方式であり、また、3)潜像発色−発色体増感重合反応、6)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応による記録方法においても、ホログラム露光(第1の工程)の際に重合反応をほとんど伴なわず、第2の工程の全面露光にて一括して重合による屈折率変調を行う方式である。したがって、1)〜3)、5)、6)いずれの方法においても多くの多重記録が可能であり、さらに、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま、つまり露光量に対して屈折率変調量がリニアに上昇しながら多重記録することができるため、広いダイナミックレンジを取ることができる。このように、発色方式、消色方式または潜像増幅方式を用いる本実施形態の1)〜3)及び5)6)の記録方式は、上記多重記録適性の点で大変有利である。
これは、高密度(容量)化、記録システム簡略化、S/N比向上等の点で好ましい。
以上のように、本実施形態で用いるホログラム記録材料は、前述の課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と良保存性、乾式処理、多重記録特性(高記録密度)を両立できる全く新しい記録方式を与えるものであり、特に、光記録媒体(ホログラフィック光メモリ)に用いることが好ましい。
さらに、本実施形態で用いるホログラム記録材料は、光記録媒体の他にも、3次元ディスプレイホログラム、ホログラフィック光学素子(HOE、例えば、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス)、書籍、雑誌等の表紙、POPなどのディスプレイ、ギフト、偽造防止用のセキュリティ目的としてクレジットカード、紙幣、包装などに好ましく用いることができる。
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明する。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[発色方式によるホログラム記録方法]
赤色灯下にて、表1に示した増感色素、電子供与性化合物、干渉縞記録成分、添加剤、バインダーPMMA−EA(ポリ(メチルメタクリレート−5%エチルアクリレート)共重合体、Mw101000)を、2〜4倍重量の塩化メチレン(必要によりアセトンまたはアセトニトリルも併用した)に溶解し、ホログラム記録材料用組成物101〜110を調液した。なお%はすべてバインダーPMMA−EAに対した重量%を表す。
Figure 2006235209
(表1)
試料 増感色素 電子供与性化合物 干渉縞記録成分 添加剤
101 S−71 4% − I−5 50% +L−2 10% SO−1 8%
102 S−75 8% − 〃 〃
103 S−75 4% A−1 36% 〃 −
104 S−81 30% − 〃 SO−2 36%
105 S−88 30% − 〃 〃
106 S−92 0.84% A−1 42% 〃 SO−3 8%
107 S−93 1.6% 〃 〃 〃
108 S−6 0.5% 〃 PB−2 20% + DD− 33 10% −
109 S−93 1.6% 〃 E−3 25% トリオクチルアミン10%
110 S−81 30% − E−4 23% 〃
このホログラム記録材料用組成物101〜110を厚さが約200μmになるようにブレードを用いて透明基板2に塗布(必要なら重ね塗り)し、ホログラム記録層3を形成した後、室温で1日真空乾燥して溶媒を留去した。さらにホログラム記録層3上に1/4波長板層4,反射膜5を積層することにより、ホログラム記録媒体101〜110を作製した。
本実施形態のホログラム記録媒体を、本実施形態の光情報記録装置により、光源としてYAGレーザー2倍波(532nm)を用いて露光し記録した。なお、比較例として、特開平6−43634号の実施例1のラジカル重合フォトポリマー方式ホログラム記録材料を用いたサンプルを作成し評価した。なおこれは、特開2004―335044号記載のデュポン社製フォトポリマHRF―600に似た材料である。その結果、本実施形態のホログラム記録媒体101〜110を用い、本実施形態の情報記録装置にてホログラム記録及び再生が可能であることが分かった。
また、公知の特開平6−43634号記載の比較例は回折効率は高いもののラジカル重合を伴なうフォトポリマー方式のホログラム記録層であるため5%を超える大きな収縮を伴ない、本実施形態の光情報記録装置と組み合わせると、S/N比が極めて悪化し不向きであることが分かった。それに対し、本実施例のホログラム記録媒体101〜110は物質移動と重合を用いないで発色反応を用いた屈折率変調によるホログラム記録を行う、公知のホログラム記録材料とは全く異なる記録方式であるため、高い回折効率と0.01%以下の極めて小さい収縮率を両立できるため、本実施形態の光情報記録装置にて高いS/N比でホログラム記録再生が可能であることが分かった。また、公知の材料に比べて多重度もよりかせげることが分かった。
さらに、本実施例のホログラム記録媒体は露光量(mJ/cm)に応じてほぼリニアにΔn(干渉縞における屈折率変調量、回折効率と膜厚からクーゲルニックの式に基づいて計算)が上昇し、多重記録の際、露光量を変化させる必要がないため、有利である。
それに対し、特開平6−43634号を始めとする公知のフォトポリマー方式ホログラム記録材料を用いたホログラム記録媒体は、多重記録後期はフォトポリマーの重合が進んで記録に必要なモノマーの移動が遅くなり、同じ記録を行うのに際し初期に比べてより多くの照射光量を必要とすることがわかり、多重度つまり記録密度を向上させるに際し問題であることがわかった。
なお、試料101〜110にて、増感色素をS−1,S−4,S−8,S−10,S−11,S−19,S−23,S−31,S−33,S−34,S−43,S−45,S−46,S−50,S−58,S−67,S−73,S−74,S−77,S−80,S−91,S−94,S−95,S−96に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料101〜107にて干渉縞記録成分の酸発生剤をI−3,I−4,I−6、I−7,I−8,I−9,I−10,4−(オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロペンタノエート、ビス(1−(4−ジフェニルスルホニウム)フェニルスルフィドジトリフラート、ジメチルフェナシルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、ベンゾイントシレート、I−22,I−23,に変更しても、試料101〜107にて干渉縞記録成分の酸発色型色素前駆体をL−1,L−3,LC−1,LC−4,LC−9,LC−11,LC−12,LC−13に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料108にて干渉縞記録成分の塩基発生剤を、PB−3,PB−4,PB−5、PB−6、PB−7、PB−8,PB−9に変更しても、試料108にて塩基発色型色素前駆体(解離型色素非解離体)をDD−1、DD−13,DD−15、DD−17,DD−22,DD−30,DD−31,DD−32,DD−34,DD−35,DD−36,DD−37,DD−38に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料109,110にて干渉縞記録成分をE−5、E−9,E−10、E−11、E−12,E−13,E−14,E−15、E−16、E−18、E−20、E−25、E−26、E−27、E−28、E−29、E−30に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料103、106〜109にて電子供与体をA−2、A−3、A−4、A−5、A−6、A−9、A−10、A−11に変更しても同様な効果が得られた。
また試料101〜110にて、バインダーをポリメチルメタクリレート(Mw996000、350000、120000)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体(Mw75000),ポリビニルアセタール(Mw83000)、ポリカーボネート、セルロースアセテートブチレート等に変更しても同様な効果が得られた。
[実施例2]
[消色方式(増感色素+消色性色素)によるホログラム記録方法]
赤色灯下にて、表2に示した増感色素、電子供与性化合物、消色剤前駆体、消色性色素、バインダーPMMA−EA(ポリ(メチルメタクリレート−5%エチルアクリレート)共重合体、Mw101000)を2〜4倍重量の塩化メチレン(必要によりアセトンまたはアセトニトリルも併用する)に溶解し、ホログラム記録材料用組成物301〜307を調液した。なお%はすべてバインダーPMMA−EAに対する重量%を表す。
(表2)
試料 増感色素 電子供与性化合物 消色剤前駆体 消色性色素 301 S−6 0.5% A−1 42% I−5 50% G−16 16%
302 S−93 1.6% A−1 42% I−5 50% G−28 16%
303 S−92 0.84% A−1 42% I−5 50% G−15 8%
304 S−75 8% − I−5 50% G−16 8%
305 S−75 8% − I−5 50% G−13 8%
306 S−75 4% A−1 36% I−5 50% G−16 16%
307 S−93 1.3% A−1 42% PB−2 20% G−35 8%
(X51はPF6−)
このホログラム記録材料用組成物301〜307を厚さが約200μmになるようにブレードを用いて透明基板2に塗布(必要なら重ね塗り)し、ホログラム記録層3を形成した後、室温で1日真空乾燥して溶媒を留去した。さらにホログラム記録層3上に1/4波長板層4,反射膜5を積層することにより、ホログラム記録媒体301〜307を作製した。
本実施形態のホログラム記録媒体を、本実施形態の光情報記録装置により、光源としてYAGレーザー2倍波(532nm)を用いて露光し記録した。なお、比較例として、特開平6−43634号実施例1のラジカル重合フォトポリマー方式ホログラム記録材料を用いたサンプルを作成し評価した。
その結果、本実施形態のホログラム記録媒体301〜307を用い、本実施形態の光情報記録装置にてホログラム記録及び再生が可能であることが分かった。
また、公知の特開平6−43634号記載の比較例は回折効率は高いもののラジカル重合を伴なうフォトポリマー方式のホログラム記録層であるため5%を超える大きな収縮を伴ない、本実施形態の光情報記録装置と組み合わせるとS/N比が極めて悪化し不向きであることが分かった。それに対し、本実施例のホログラム記録媒体301〜307は物質移動と重合を用いないで消色反応を用いた屈折率変調によるホログラム記録を行う、公知のホログラム記録材料とは全く異なる記録方式であるため、高い回折効率と0.01%以下の極めて小さい収縮率を両立できるため、本実施形態の光情報記録装置にて高いS/N比でホログラム記録再生が可能であることが分かった。また、多重度もよりかせげることが分かった。
さらに、本実施例のホログラム記録媒体は露光量(mJ/cm)に応じてほぼリニアにΔn(干渉縞における屈折率変調量、回折効率と膜厚からクーゲルニックの式に基づいて計算)が上昇し、多重記録の際、露光量を変化させる必要がないため有利である。
それに対し、特開平6−43634号を始めとする公知のフォトポリマー方式ホログラム記録材料を用いた記録媒体は、多重記録後期はフォトポリマーの重合が進んで記録に必要なモノマーの移動が遅くなり、同じ記録を行うのに際し初期に比べてより多くの照射光量を必要とすることがわかり、多重度つまり記録密度を向上させるに際し問題であることがわかった。
なお、試料301〜307にて、増感色素をS−1,S−4,S−8,S−10,S−11,S−19,S−23,S−31,S−33,S−34,S−43,S−45,S−46,S−50,S−58,S−67,S−71,S−73,S−74,S−77,S−80,S−81,S−88,S−91,S−94,S−95,S−96に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料301〜306にて消色剤前駆体(酸発生剤、場合により兼酸またはラジカル重合開始剤)をI−3,I−4,I−6、I−7,I−8,I−9,I−10,4−(オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロペンタノエート、ビス(1−(4−ジフェニルスルホニウム)フェニルスルフィドジトリフラート、ジメチルフェナシルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、ベンゾイントシレート、I−22,I−23に変更しても、試料301〜306にて酸消色性色素をG−14,G−17,G−21,G−22,G−26,G−27,G−30に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料307にて消色剤前駆体(塩基発生剤、場合により兼アニオン重合開始剤)をPB−3,PB−4,PB−5、PB−6、PB−7、PB−8,PB−9に変更しても、試料307にて塩基消色性色素をG−29,G−32、G−38,G−40,G−42,G−43,G−44,G−45,G−47に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料301〜303、306、307にて電子供与体をA−2、A−3、A−4、A−5、A−6、A−9、A−10、A−11に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料301〜307にてバインダーをポリメチルメタクリレート(Mw996000、350000、120000)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート)共重合体(Mw75000)、ポリビニルアセテート(Mw83000)、ポリカーボネート、セルロースアセテートブチレート等に変更しても同様な効果が得られた。
尚、本実施形態のホログラム記録材料は、特表2004―537620号、特開2000―250382号等のホログラム記録材料作成方法と組み合わせても良く、特表2005―500581号、特表2005―501285号、特許3393064号、特開2003―85768号、特開2004―126040号、特開2004―265472号等に記載の記録媒体作成方法と組み合わせても良い。また、本実施形態のホログラム記録材料は、特開2004―272268号、特開2004―177958号、特開2003―43904号、特許3451663号、特開2004―361928号、特開2004―171611号、特開2003―228849号、特開2002―83431号、特開2002―123948号、特開2004―30734号、特開2004―362750号、特許3430012号、特開2003―178457号、特開2003―178458号、特開2003―178462号、特開2003―178484号、特開2003―151143号などに記載の記録再生装置を用いてホログラム記録及び再生を行うこともできる。
本発明に係る光情報記録装置のホログラム記録方法は、高密度光記録が可能となり、3次元ディスプレイを実現でき、高感度かつ高回折効率、良保存性、低収縮率、乾式処理、多重記録が可能となるので、ホログラムを用いた光情報の記録装置,再生装置として有用である。
本発明の一実施形態に係る光情報記録再生装置のピックアップ部分光情報記録媒体の説明図である。 本発明の一実施形態に係る光情報記録再生装置のブロック構成図である。 本発明の一実施形態に係る記録用参照光と物体光の光情報記録媒体に対する照射の様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係る散乱光遮断光学素子の構成を及び動作の説明図である。 本発明の一実施形態に係る記録用または再生用参照光と物体光または再生光の構成を示す図である。 本発明の一実施形態における記録時の記録用参照光と物体光の偏光の方向および散乱光がブロックされる様子を示す図である。 本発明の一実施形態における記録用参照光と物体光が干渉し光情報記録媒体の領域Xに干渉パターンを形成する様子を示す図である。 本発明の一実施形態において記録用参照光と物体光が干渉し光情報記録媒体の領域Yに干渉パターンを形成する様子を示す図である。 本発明の一実施形態に係る光情報記録再生装置におけるピックアップの再生時の状態を示す図である。 本発明の一実施形態における再生時の再生用参照光と再生光の偏光の方向および散乱光がブロックされる様子を示す図である。 本発明の一実施形態において再生用参照光が光情報記録媒体に照射され領域Xから再生光が発生される様子を示す図である。 本発明の一実施形態において再生用参照光が光情報記録媒体に照射され領域Yから再生光が発生される様子を示す図である。
符号の説明
1 情報記録媒体
2 透明基板
3 ホログラム記録層
4 1/4波長板層
5 反射膜
6 アドレス・サーボエリア
7 データエリア
10 光情報記録再生装置
14 光ピックアップ装置
24 散乱光遮断光学素子
25 対物レンズ
30 イメージセンサ
32 ディフラクション光学素子ペア
37 空間光変調器
42 光源装置(レーザ)

Claims (27)

  1. 情報を担持した物体光を生成する物体光生成手段と、記録用参照光を生成する記録用参照光生成手段と、光情報記録媒体の情報記録層に対して前記物体光と前記記録用参照光とを同一面側より照射し前記物体光と前記記録用参照光との干渉による干渉パターンによって情報をホログラムで記録する記録光学系と、該記録光学系に設けられ該記録光学系内で発生する散乱光をカットする散乱光遮断光学手段とを備える光情報記録装置のホログラム記録方法において、1)発色反応、2)潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応、3)潜像発色−発色体増感重合反応、4)固有複屈折率を有する化合物の配向変化、5)色素消色反応、6)残存消色色素潜像−潜像増感重合反応のいずれかの方法により干渉縞を屈折率変調として前記情報記録層に情報を記録することを特徴とする光情報記録装置のホログラム記録方法。
  2. 前記記録用参照光は輪帯状の光をなしており、前記物体光はその輪帯の内側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  3. 前記散乱光遮断光学手段に入射前の前記記録用参照光と前記物体光とは偏光方向が互いに直交することを特徴とする請求項2記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  4. 前記散乱光遮断光学手段は、前記物体光が占める輪帯内側に対応する領域において、前記物体光と同じ偏光方向の光のみを通過させ、それと直交する光をブロックすることを特徴とする請求項3記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  5. 前記散乱光遮断光学手段は、前記記録用参照光が占める輪帯部分に対応する領域において、前記記録用参照光と同じ偏光方向の光のみを通過させ、それと直交する光をブロックすることを特徴とする請求項3記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  6. 前記散乱光遮断光学手段は、前記物体光が占める輪帯内側に対応する領域において、入射してきた前記物体光の偏光方向を90度変更し、前記記録用参照光の偏光方向と一致させることを特徴とする請求項4記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  7. 前記輪帯状の記録用参照光の中心線と前記物体光の光軸が一致していることを特徴とする請求項2記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  8. 前記光情報記録媒体は反射層を備え、該反射層と前記情報記録層との間に1/4波長板からなる層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  9. 前記潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応が、少なくとも、潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なり、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射し発色体を自己増感増幅生成することにより、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  10. 前記発色反応または前記潜像発色−発色体自己増感増幅発色反応によりホログラム記録が可能である化合物群として、少なくとも、
    1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
    2)元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体を含み、増感色素または発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、発色による屈折率変調を用いて干渉縞を記録することができる干渉縞記録成分、
    を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  11. 前記潜像発色−発色体増感重合反応が、少なくとも潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  12. ホログラム記録が可能な化合物群として、少なくとも、
    1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
    2)第1の工程にて増感色素励起状態から、または第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化し、増感色素のモル吸光係数が5000以下の波長域に吸収を有しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体群、
    3)第1の工程にて増感色素励起状態から、第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
    4)重合性化合物、
    5)バインダー、
    を有することを特徴とする請求項11に記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  13. 前記色素消色反応によりホログラム記録が可能な化合物群として、少なくとも、
    1)ホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
    2)干渉縞記録成分として消色性色素、または消色剤前駆体及び消色性色素、
    を有し、増感色素がホログラム露光により励起状態を生成した後、消色性色素へ直接エネルギー移動または電子移動して消色性色素を消色することにより、または消色剤前駆体へエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、屈折率変調により干渉縞を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。ここで、消色剤前駆体はラジカル発生剤、酸発生剤、塩基発生剤、求核剤発生剤、求電子剤発生剤、三重項酸素のいずれかである。
  14. 前記残存消色色素潜像−潜像増感重合反応が、ホログラム露光波長に吸収を有する増感色素がホログラム露光時に光を吸収して励起状態を生成した後、請求項13記載の消色性色素へ直接エネルギー移動または電子移動して消色性色素を消色することにより、または消色剤前駆体とエネルギー移動または電子移動することにより消色剤前駆体から消色剤を発生させ、その消色剤が消色性色素を消色することにより、消色されなかった残存消色性色素を潜像とする第1の工程と、その残存消色性色素潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより、エネルギー移動または電子移動により重合開始剤を活性化させて重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかまたは請求項13に記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  15. ホログラム記録が可能な化合物群として、少なくとも、
    1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
    2)第1の工程にて増感色素励起状態から、直接エネルギー移動または電子移動する結果、または消色剤前駆体へエネルギー移動または電子移動することにより消色剤を発生させる結果、消色することができるホログラム再生光波長のモル吸光係数が1000以下の消色性色素、
    3)第2の工程にて残存消色性色素励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤(場合により2)の消色剤前駆体を兼ねる)、
    4)重合性化合物、
    5)バインダー、
    を有することを特徴とする請求項14に記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  16. 前記情報記録媒体のホログラム記録が書き換え不可能な方式であることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  17. 前記情報記録媒体のホログラム記録材料が多重記録であることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  18. 多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録を行うことを特徴とする請求項17に記載の光情報記録装置のホログラム記録方法。
  19. 前記情報記録媒体が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光情報記録装置のホログラム記録方法。
  20. 再生用参照光を生成する再生用参照光生成手段と、前記再生用参照光を情報記録媒体の情報記録層に形成された干渉パターンに対し照射すると共に前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層より発生される再生光を前記情報記録層に対して前記再生用参照光を照射する側と同じ面側より収集する再生光学系と、前記再生光学系によって収集された再生光を検出する検出手段と、前記再生光学系に設けられ該再生光学系内で発生する散乱光をカットするための散乱光遮断光学手段とを備える光情報再生装置のホログラム情報再生方法において、請求項1乃至請求項19のいずれかに記載のホログラム記録方法で記録された情報記録媒体に記録されている情報を再生することを特徴とする光情報再生装置のホログラム情報再生方法。
  21. 前記再生用参照光は輪帯状をなしており、この輪帯状の再生用参照光が前記干渉パターンに照射されることにより発生された前記再生光は、前記再生用参照光の輪帯の内側に配置されていることを特徴とする請求項20に記載の光情報再生装置のホログラム情報再生方法。
  22. 前記散乱光遮断光学手段に入射前の前記記録用参照光と、前記散乱光遮断光学手段から出射した前記再生光とは、偏光方向が互いに直交することを特徴とする請求項20または請求項21に記載の光情報再生装置のホログラム情報再生方法。
  23. 前記散乱光遮断光学手段は、前記再生光が占める輪帯内側に対応する領域において、前記再生光と同じ偏光方向の光のみを通過させ、それと直交する光をブロックすることを特徴とする請求項21に記載の光情報再生装置のホログラム情報再生方法。
  24. 前記散乱光遮断光学手段は、前記再生用参照光が占める輪帯部分に対応する領域において、前記再生用参照光と同じ偏光方向の光のみを通過させ、それと直交する光をブロックすることを特徴とする請求項21に記載の光情報再生装置のホログラム情報再生方法。
  25. 前記光情報記録媒体は反射層を備え、該反射層と前記情報記録層との間に、1/4波長板からなる層を有することを特徴とする請求項20に記載の光情報再生装置のホログラム情報再生方法。
  26. 前記散乱光遮断光学手段は、前記再生用参照光が前記光情報記録媒体の前記1/4波長板からなる層を往復した再生用参照光を、前記散乱光遮断光学手段より先に進行しないようにブロックすることを特徴とする請求項25に記載の光情報再生装置のホログラム情報再生方法。
  27. 前記散乱光遮断光学手段は、前記干渉パターンから発生した時点での再生光の偏光方向を保ちつつ、前記散乱光遮断光学手段から先に出射させることを特徴とする請求項20に記載の光情報再生装置のホログラム情報再生方法。
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