JP4512446B2 - ホログラム記録方法およびホログラム記録材料 - Google Patents

ホログラム記録方法およびホログラム記録材料 Download PDF

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本発明は、高密度光記録媒体、3次元ディスプレイ、ホログラフィック光学素子等への応用可能なホログラム記録材料及びホログラム記録方法に関するものである。
ホログラム作製に関する一般的原理は、いくつかの文献や専門書、たとえば「ホログラフィックディスプレイ」(辻内順平編、産業図書[非特許文献1])2章に記載されている。これらによれば、2光束のコヒーレントなレーザー光の一方を記録対象物に照射し、それからの全反射光を受け取れる位置に感光性のホログラム記録材料が置かれる。ホログラム記録材料には、対象物からの反射光の他に、もう一方のコヒーレントな光が、対象物に当たらずに直接照射される。対象物からの反射光を物体光、また直接記録材料に照射される光を参照光といい、参照光と物体光との干渉縞が画像情報として記録される。次に、処理された記録材料に参照光と同じ光(再生照明光)を照射すると、記録の際に対象物から記録材料に最初に到達した反射光の波面を再現するようにホログラムによって回折され、その結果、対象物の実像とほぼ同じ物体像を3次元的に観測することができる。
参照光と物体光を同じ方向からホログラム記録材料に入射させて形成されるホログラムを透過型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に垂直または垂直に近い形で1mmに1000〜3000本程度の間隔で形成される。
一方、互いにホログラム記録材料の反対側から入射させて形成したホログラムを、一般に反射型ホログラムと呼ぶ。干渉縞は記録材料膜面方向に平行または平行に近い形で1mmに3000〜7000本程度の間隔で形成される。
透過型ホログラムは、例えば特開平6−43634号[特許文献1]などで開示されているような公知の方法によって作成できる。また、反射型ホログラムは、例えば特開平2−3082号[特許文献2]、特開平3−50588号[特許文献3]などに開示された公知の方法によって作成できる。
一方、干渉縞間隔に対して膜厚が十分に厚い(通常は干渉縞間隔の5倍以上程度、または1μm以上程度の膜厚を言う)ホログラムを体積型ホログラムという。
それに対し膜厚が干渉縞間隔の5倍以下程度または1μm以下程度のホログラムを平面型または表面型という。
さらに、色素や銀などの吸収により干渉縞を記録するホログラムを振幅型ホログラムと呼び、表面レリーフまたは屈折率変調により記録するホログラムを位相型ホログラムと呼ぶ。振幅型ホログラムは光の吸収により、光の回折効率または反射効率が著しく低下するため光の利用効率の点で好ましくなく、通常は位相型ホログラムが好ましく用いられる。
従来、ホログラムは3次元立体像の再生が可能であることから、その優れた意匠性、装飾効果から書籍、雑誌等の表紙、POPなどのディスプレイ、ギフトなどに利用されている。また特に、偽造防止用のセキュリティ目的としてクレジットカード、紙幣、包装などにも用いられ、現在大きな市場を形成している。
これらのホログラムは平面型の表面レリーフ位相型ホログラムである。通常はフォトレジストにより作成したマスターによりエンボスを作成して大量複製するため、エンボス型ホログラムとも呼ばれる。
しかしながら、表面レリーフ位相型ホログラムでは、フルカラー化、白色再生、高解像化、高回折効率化が困難であり、最近では、それらが可能となる体積位相型ホログラムが注目されてきている。
体積位相型ホログラムでは、ホログラム記録材料中に光学的吸収ではなく屈折率の異なる干渉縞を多数形成することによって、光を吸収することなく光の位相を変調することができる。
特に反射型の体積位相型ホログラムはリップマン型ホログラムとも呼ばれ、ブラック回折による波長選択的反射により、高回折効率にてフルカラー化、白色再生、高解像度化が可能となり、高解像フルカラー3次元ディスプレイの提供が可能となる。
また最近ではその波長選択的反射を生かして、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板等に代表されるホログラム光学素子(HOE)に広く実用化されてきている。
他にも例えば、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス等に実用または応用が検討されている。
ここで、公知の体積位相型ホログラム記録材料には、ライトワンス方式として重クロム酸ゼラチン方式、漂白ハロゲン化銀塩方式及びフォトポリマー方式などが知られ、リライタブル方式として、フォトリフラクティブ方式及びフォトクロミック高分子方式などが知られる。
しかしこれらの公知の体積位相型ホログラム記録材料において、特に高感度高解像フルカラー3次元ディスプレイ用途においては、求められる要件をすべて満たす材料は未だなく改良が望まれている。
具体的には例えば、重クロム酸ゼラチン方式は高い回折効率と低ノイズ特性という長所を有するが、保存性が極めて悪く、湿式処理が必要で低感度という問題を有する。
漂白ハロゲン化銀方式は高感度という長所を有するが、湿式処理が必要でかつ漂白処理が煩雑であり、耐光性に劣るという問題点を有する。
フォトリフラクティブ材料は書き換え可能という長所を有するが、記録時に高電場印加が必要、記録保存性が悪いという問題点を有する。
アゾベンゼン高分子材料等に代表されるフォトクロミック高分子方式も書き換え可能という長所を有するが、感度が極めて低く記録保存性も悪いという問題点を有する。
そのような中、前述の特許文献1〜3に開示された乾式処理フォトポリマー方式は、バインダー、ラジカル重合可能なモノマーおよび光重合開始剤を基本組成とし、屈折率変調を向上させるためにバインダーまたはラジカル重合可能なモノマーのどちらか一方に芳香環または塩素、臭素を有する化合物を用いて屈折率差を持たせる工夫をしており、その結果、ホログラム露光の際形成される干渉縞の明部にモノマーが、暗部にバインダーが集まりつつ重合が進行することにより屈折率差を形成することができる。したがって、高回折効率と乾式処理を両立できうる比較的実用的な方式といえる。
しかしながら、漂白ハロゲン化銀方式に比べると感度が1000分の1程度であること、回折効率を高めるためには2時間近い加熱定着処理を必要とすること、ラジカル重合であるため、酸素による重合阻害の影響を受け、また露光、定着後記録材料の収縮を伴い、再生時の回折波長及び角度が変化してしまう問題点があり、さらなる改良が望まれている。
ところで、最近の高度情報化社会の流れの中で、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、民生用途においても100GB以上の画像情報を安価簡便に記録するための高密度記録媒体の要求が高まっている。
さらにコンピューター高容量化等の流れの中で、コンピューターバックアップ用途や放送バックアップ用途等の業務用途においても、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる超高密度記録媒体が求められている。
そのような中、ランダムアクセスが不可能な磁気テープ媒体や可換不可能で故障しやすいハードディスクに対し、可換かつランダムアクセス可能で小型、安価な光記録媒体がより注目されてきている。しかしながら、DVD−Rのような既存の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
そこで、究極の超高密度記録媒体として、膜厚方向に記録を行う3次元光記録媒体が注目されてきている。その有力な方法として2光子吸収材料を用いる方法とホログラフィ(干渉)を用いる方法とがあり、そのため体積位相型ホログラム記録材料は、3次元光記録媒体として、最近俄然注目を集めるようになった。
体積位相型ホログラム記録材料を用いた光記録媒体では、3次元物体から反射する物体光の代わりに、DMDやLCDといった空間光変調素子(SLM)を用いた2次元デジタル情報(信号光と呼ぶ)を数多く記録していく。記録の際、角度多重、位相多重、波長多重、シフト多重などの多重記録を行うため1TBにも達する高容量化が可能となる。また、読み出しには通常CCDやCMOS等を用い、それらの並列書き込み、読み出しにより、1Gbpsにも達する高転送速度化も可能となる。
ところが、ホログラフィックメモリに用いるホログラム記録材料に求められる要件は、下記の如く3次元ディスプレイやHOE用途よりもさらに厳しいものである。
(1)高感度であること
(2)高解像力を有すること
(3)ホログラムの回折効率が高いこと
(4)記録時の処理が乾式であり迅速であること
(5)多重記録が可能であること(ダイナミックレンジが広いこと)
(6)記録後の収縮率が小さいこと
(7)ホログラムの保存性が良いこと
特に、(1)高感度であることに対し、(3)回折効率が高いこと、(4)乾式処理であること、(6)記録後の収縮率が低いこと、(7)保存性が良いこと、は化学的に考えて相反する物性であり、その両立は極めて困難である。
例えば、漂白ハロゲン化銀方式は高感度であるが、湿式処理が必要であるため、高密度記録材料用途には一般的に適さない。
また、WO9744365A1号[特許文献4]には、アゾベンゼン高分子(フォトクロミック高分子)の屈折率異方性と配向制御を用いた書き換え可能なホログラム記録材料が提示されているが、アゾベンゼン異性化の量子収率が低い上に配向変化を伴う方式であるがために感度が極めて低く、また書き換え可能であることとの相反で記録保存性も悪いという問題点を有し、実用には程遠い。
一方で、前述した特許文献1〜3記載のラジカル重合を用いる乾式フォトポリマー方式は、フォトポリマー方式の中では比較的感度が高いものの、収縮率が極めて大きくホログラフィックメモリ用途としては到底使用に耐えるものではない。さらに、膜が柔らかいため保存性の点でも不足している。
ここで一般に、ラジカル重合に対しカチオン重合、特にエポキシ化合物等の開環を伴うカチオン重合は、重合後の収縮が少なく、また酸素による重合阻害も受けず、剛性のある膜を与える。したがって、ホログラフィックメモリ用途としてはカチオン重合の方が適しているという指摘もある。
例えば、特開平5−107999号[特許文献5]、特開平8−16078号[特許文献6]等に、カチオン重合性化合物(モノマーまたはオリゴマー)をバインダーの代わりに用い、さらに増感色素、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル重合性化合物を組み合わせたホログラム記録材料が開示されている。
また、特表2001―523842号[特許文献7]、特表11−512847号[特許文献8]等に、ラジカル重合を用いずに、増感色素、カチオン重合開始剤、カチオン重合性化合物及びバインダーのみを用いたホログラム記録材料が開示されている。
しかしこれらのカチオン重合方式はラジカル重合方式に比べて、収縮率の改善が見られるものの、その相反として、感度が低下しており、実用の際には転送速度の点で大きな問題となると考えられる。また回折効率も低下しており、S/N比や多重記録の点で問題となると考えられる。
前述したように、フォトポリマー方式は物質移動を伴う方式であるため、ホログラフィックメモリへの応用を検討する際、保存性を良く、収縮性を小さくしようとすれば感度が低下し(カチオン重合方式)、逆に感度を向上させようとすれば、保存性、収縮性が悪化する(ラジカル重合方式)というジレンマに陥る。また、ホログラフィックメモリの記録密度を向上させるためには、50回を超えて好ましくは100回以上にも及ぶ多重記録が必須であるが、フォトポリマー方式では記録に物質移動を伴う重合を用いるため、多重記録初期の記録速度に対して、多くの化合物の重合が進んだ後の多重記録後期の記録速度が低下してしまい、それを制御して露光量を調節すること、広いダイナミックレンジをとることが実用上大きな問題となっている。
一方で、ハロゲン化銀方式は、銀塩写真同様、ホログラム露光時わずかな光でも潜像を形成して、現像処理時にそれを増幅するため、フォトポリマー方式等他の方式に比べて感度が高い点は最大の魅力ではある。
しかしながら、ハロゲン化銀方式は、現像時にハロゲン化銀を現像銀(黒色)に変える方式であるが、湿式処理であること、位相型ではなく振幅型であるため回折効率が極めて低いこと等の問題点からホログラフィックメモリ用途としては適当ではない。
現像銀を漂白(酸化)してハロゲン化銀に戻す漂白ハロゲン化銀方式では、位相型となって回折効率は改善されるものの、保存性悪化、散乱が大きい、湿式処理でかつ処理が煩雑という新たな問題点も生まれ、やはりホログラフィックメモリ用途としては適当ではない。
このような高感度と良保存性、低収縮率、乾式処理のジレンマ、多重記録特性の問題点は、従来のフォトポリマー方式を用いている限りは物理法則上避けがたい。またハロゲン化銀方式にてホログラフィックメモリに求められる要件を満たすことも、特に乾式処理化の点で原理的に困難である。
そこで、ホログラム記録材料をホログラフィックメモリへ応用するためには、そのような課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と低収縮性、良保存性、乾式処理、多重記録特性を両立できる全く新しい記録方式の開発が強く望まれていた。
「ホログラフィックディスプレイ」、辻内順平編、産業図書 特開平6−43634号公報 特開平2−3082号公報 特開平3−50588号公報 国際公開第97/44365号パンフレット 特開平5−107999号公報 特開平8−16078号公報 特表2001―523842号公報 特表平11−512847号公報
そこで本発明の目的は、高密度光記録媒体、3次元ディスプレイ、ホログラフィック光学素子等への応用可能な高感度かつ高回折効率、良保存性、低収縮率、乾式処理、多重記録特性を両立することができるホログラム記録材料及びホログラム記録方法を提供することである。
発明者らの鋭意検討の結果、本発明の目的は、下記の手段により達成された。
A.少なくとも、ホログラム露光により潜像を生成する第1の工程と、その潜像の存在により重合が起こることによって干渉縞を屈折率変調として形成する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うホログラム記録方法により記録するホログラム記録材料であって、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光により光を吸収し励起状態を生成しうる増感色素、
2)第1の工程において生成した増感色素励起状態から、または第2の工程において生成した発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体、
3)第1の工程において生成した増感色素励起状態から、または第2の工程において生成した発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、および
5)バインダー、
を有することを特徴とするホログラム記録材料。
B.ホログラム記録材料が増感色素のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物を有することを特徴とする前記A記載のホログラム記録材料。
C.電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする前記B記載のホログラム記録材料。
D.前記重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、光重合により干渉明部と干渉暗部において重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調によるホログラム記録が可能であることを特徴とする前記A〜Cのいずれかに記載のホログラム記録材料。
E.前記A〜Dのいずれかに記載のホログラム記録材料を用いることを特徴とする光記録媒体。
F.前記光記録媒体が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする前記E記載の光記録媒体。
G.前記A〜Dのいずれかに記載のホログラム記録材料を用いることを特徴とする3次元ディスプレイホログラム。
H. 前記A〜Dのいずれかに記載のホログラム記録材料を用いることを特徴とするホログラフィック光学素子。
I.少なくとも、ホログラム露光により潜像を生成する第1の工程と、その潜像の存在により重合が起こることによって干渉縞を屈折率変調として形成する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うホログラム記録方法であって、
少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光により光を吸収し励起状態を生成しうる増感色素、
2)第1の工程において生成した増感色素励起状態から、または第2の工程において生成した発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体、
3)第1の工程において生成した増感色素励起状態から、または第2の工程において生成した発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、および
5)バインダー、
を有するホログラム記録材料に記録することを特徴とするホログラム記録方法。
J.第2の工程が光照射、熱印加のいずれかであることを特徴とする前記Iのホログラム記録方法。
K.前記第1の工程が潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体を生成する工程であり、第2の工程がその発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する工程であることを特徴とする前記IまたはJのホログラム記録方法。
L.前記第2の工程がその発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより発色体を自己増感増幅生成しつつ、かつ、重合を起こすことにより干渉縞を屈折率変調として記録する工程であることを特徴とする前記Kのホログラム記録方法。
M.前記第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なり、かつ、増感色素のモル吸光係数が5000以下である領域の波長の光であることを特徴とする前記KまたはLのホログラム記録方法。
N.第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより発色体を分解して定着することを特徴とする前記J〜Mのいずれかに記載のホログラム記録方法。
O.前記ホログラム記録方法が体積位相型ホログラム記録を行うことを特徴とする前記J〜Mのいずれかに記載のホログラム記録方法。
P.前記第1の工程において、10回以上の多重ホログラム記録を行って潜像を形成した後、その潜像を用いて干渉縞を形成する第2の工程を行うことを特徴とする前記J〜M、Oのいずれかに記載のホログラム記録方法。
Q.前記多重ホログラム記録を行う際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録することを特徴とする前記Pに記載のホログラム記録方法。
なお、本発明は、上記A〜Qのホログラム記録材料、光記録媒体、3次元ディスプレイホログラム、ホログラフィック光学素子及びホログラム記録方法に関するものであるが、本明細書には、参考の為、以下のその他の事項についても記載する。
(1)少なくとも、ホログラム露光により潜像を生成する第1の工程と、その潜像の存在により重合が起こることによって干渉縞を屈折率変調として形成する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とするホログラム記録方法。
(2)第2の工程が光照射、熱印加のいずれかであることを特徴とする(1)記載のホログラム記録方法。
(3)第2の工程が光照射であることを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能である(1)または(2)記載のホログラム記録方法。
(4)前記第1の工程が潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体を生成する工程であり、第2の工程がその発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する工程であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のホログラム記録方法。
(5)前記第2の工程がその発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより発色体を自己増感増幅生成しつつ、かつ、重合を起こすことにより干渉縞を屈折率変調として記録する工程であることを特徴とする(4)記載のホログラム記録方法。
(6)ハロゲン化銀を用いないことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のホログラム記録方法。
(7)ホログラム記録が書き換えできない方式であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のホログラム記録方法。
(8)(4)または(5)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が5000以下である領域の波長の光であることを特徴とする(4)または(5)ホログラム記録方法。
(9)(8)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が1000以下である領域の波長の光であることを特徴とする(8)記載のホログラム記録方法。
(10)(8)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が500以下である領域の波長の光であることを特徴とする(8)または(9)記載のホログラム記録方法。
(11)(8)にて、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ発色体のモル吸光係数が1000以上である領域の波長の光であることを特徴とする(8)〜(10)のいずれかに記載のホログラム記録方法。
(12)(1)〜(11)記載のホログラム記録方法により記録するホログラム記録材料であって、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、または第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体、
3)第1の工程にて増感色素励起状態から、第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、および
5)バインダー、
を有することを特徴とするホログラム記録材料。
(13)(12)にて、色素前駆体が、元の状態から吸収が長波長化し、かつホログラム再生光波長に吸収を有さず、ホログラム再生光波長とホログラム再生光波長から200nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有する発色体となることができることを特徴とする(12)記載のホログラム記録材料。
(14)第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を分解して定着することを特徴とする(1)〜(11)記載のホログラム記録方法及び(12)または(13)記載のホログラム記録材料。
(15)第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより発色体を分解して定着することを特徴とする(1)〜(11)、(14)記載のホログラム記録方法及び(12)、(13)または(14)記載のホログラム記録材料。
(16)重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、光重合により干渉明部と干渉暗部にて重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調によるホログラム記録が可能であることを特徴とする(12)〜(15)記載のホログラム記録材料。
(17)バインダーが重合性化合物よりも屈折率が低いことを特徴とする(12)〜(16)記載のホログラム記録材料。
(18)重合性化合物が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、バインダーは重合性化合物より低屈折率であることを特徴とする、(12)〜(17)記載のホログラム記録材料。
(19)重合性化合物の少なくとも1個が沸点100℃以上の液体であることを特徴とする、(12)〜(18)記載のホログラム記録材料。
(20)重合開始剤が少なくとも1種のラジカル発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種のラジカルにより重合するラジカル重合性化合物を含むことを特徴とする(12)〜(19)記載のホログラム記録材料。
(21)少なくとも1種のラジカルを発生するラジカル発生剤がケトン、有機過酸化物、ビスイミダゾール、トリハロメチル置換トリアジン、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、トリフェニルアルキルホウ酸塩、ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体、スルホニウム有機ホウ素錯体、カチオン性増感色素有機ホウ素錯体、アニオン性増感色素オニウム塩錯体、金属アレーン錯体、のいずれかであることを特徴とする、(20)記載のホログラム記録材料。
(22)重合開始剤が少なくとも1種の酸を発生する酸発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種の酸により重合するカチオン重合性化合物を含むことを特徴とする(12)〜(19)記載のホログラム記録材料。
(23)少なくとも1種の酸を発生する酸発生剤が、トリハロメチル置換トリアジン、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、金属アレーン錯体、スルホン酸エステルのいずれかであることを特徴とする(22)記載のホログラム記録材料。
(24)重合開始剤が少なくとも1種の塩基発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種の塩基により重合するアニオン重合性化合物を含むことを特徴とする(12)〜(19)記載のホログラム記録材料。
(25)(24)にて、少なくとも1種の塩基発生剤が下記一般式(1−1)〜(1−4)で表される化合物であることを特徴とする(24)記載のホログラム記録材料。
Figure 0004512446
一般式(1−1)〜(1−4)中、R1、R2、R13、R14、R15はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、R1、R2は互いに連結して環を形成しても良く、R13、R14、R15は互いに連結して環を形成しても良い。R3、R6、R7、R9はそれぞれ独立に置換基を表し、R4、R5、R8、R10、R11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R10、R11は互いに連結して環を形成しても良い。R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R12はアリール基またはヘテロ環基を表す。n1は0または1の整数を表し、n2〜n4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
(26)一般式(1−1)、(1−2)にて、n1が1であることを特徴とする(25)記載のホログラム記録材料。
(27)一般式(1−1)にて、R3が2位または2,6位に置換したニトロ基、あるいは3、5位に置換したアルコキシ基のいずれかであることを特徴とする(25)または(26)記載のホログラム記録材料。
(28)一般式(1−2)にて、R6が3、5位に置換したアルコキシ基であることを特徴とする(25)または(26)記載のホログラム記録材料。
(29)(12)の色素前駆体が、少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤を含むことを特徴とする(12)〜(28)記載のホログラム記録材料。
(30)(29)にて、酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、金属アレーン錯体、トリハロメチル置換トリアジンまたはスルホン酸エステルであることを特徴とする(29)記載のホログラム記録材料。
(31)(30)にて、酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、またはスルホン酸エステルであることを特徴とする(30)記載のホログラム記録材料。
(32)(29)にて、酸発色型色素前駆体から生成する発色体がキサンテン(フルオラン)色素またはトリフェニルメタン色素であることを特徴とする(29)〜(31)記載のホログラム記録材料。
(33)さらに酸増殖剤を含むことを特徴とする(29)〜(32)のいずれかに記載のホログラム記録材料。
(34)(33)にて、酸増殖剤が下記一般式(4−1)〜(4−6)で表される化合物であることを特徴とする(33)記載のホログラム記録材料。
Figure 0004512446
一般式(4−1)〜(4−6)中、R101はR101OHがpKa5以下の酸となる基を表す。R102は2−アルキル−2−プロピル基、2−アリール−2−プロピル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、ビス(p−アルコキシフェニル)メチル基のいずれかを表す。R103、R104、R115、R117はそれぞれ独立に置換基を表し、R105、R106、R107、R110、R113、R116はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R118、R119はアルキル基を表し、互いに連結して環を形成しても良い。R111、R112は互いに連結して環を形成するアルキル基を表し、R114は水素原子またはニトロ基を表す。n101は0〜3の整数を表す。
(35)一般式(4−1)〜(4−6)にて、R101はR101OHがスルホン酸、電子求引性基置換カルボン酸のいずれかである基であることを特徴とする(34)記載のホログラム記録材料。
(36)色素前駆体が、少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含むことを特徴とする(12)〜(28)記載のホログラム記録材料。
(37)(36)にて、塩基発生剤が前期一般式(1−1)〜(1−4)で表される化合物であることを特徴とする(36)記載のホログラム記録材料。
(38)塩基発色型色素前駆体が解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン(フルオラン)色素、解離型トリフェニルメタン型色素の非解離体であることを特徴とする(36)または(37)記載のホログラム記録材料。
(39)(36)にて、さらに塩基増殖剤を含むことを特徴とする(36)〜(38)のいずれかに記載のホログラム記録材料。
(40)(39)にて、塩基増殖剤が下記一般式(5)で表される化合物であることを特徴とする(39)記載のホログラム記録材料。
Figure 0004512446
一般式(5)中、R121、R122はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、R121、R122は互いに連結して環を形成しても良く、R123、R124はそれぞれ独立に置換基を表し、R123、R124は互いに連結して環を形成しても良く、R125、R126はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。n102は0または1の整数を表す。
(41)一般式(5)にて、n102が1であることを特徴とする(40)記載のホログラム記録材料。
(42)一般式(5)の塩基増殖剤が一般式(6−1)または(6−2)で表される化合物であることを特徴とする(40)または(41)記載のホログラム記録材料。
Figure 0004512446
一般式(6−1)、(6−2)中、R121、R122は一般式(5)と同義である。
(43)(12)の色素前駆体が、少なくとも下記一般式(2)にて表される色素前駆体であることを特徴とする(12)〜(28)記載のホログラム記録材料。
Figure 0004512446
一般式(2)中、A1とPDは共有結合しており、A1は増感色素または発色体励起状態との電子移動またはエネルギー移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であり、PDはA1と共有結合している際とA1との共有結合が切断されて放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位を表す。
(44)一般式(2)の色素前駆体が一般式(3−1)〜(3−6)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする(43)記載のホログラム記録材料。
Figure 0004512446
一般式(3−1)〜(3−6)中、PDは一般式(2)と同義であり、R71、R80、R81は水素原子または置換基を表し、R72、R73、R78、R79、R82、R83はそれぞれ独立に置換基を表し、a71、a72、a74、a75はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a73、a76はそれぞれ独立に0または1を表す。a71、a72、a74、a75が2以上の時、複数のR72、R73、R78、R79は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。また、R80とR81、R82とR83は互いに連結して環を形成しても良い。
(45)一般式(2)または(3−1)〜(3−6)にて、PDが解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素のいずれかから成る基であり、クロモフォア上でA1と共有結合で連結していることを特徴とする(43)または(44)記載のホログラム記録材料。
(46)(12)の色素前駆体が、少なくとも増感色素または発色体の励起状態との電子移動により反応し、吸収形を長波長に変化した発色体となることができる色素前駆体を含むことを特徴とする(12)〜(28)のいずれかに記載のホログラム記録材料。
(47)(46)の色素前駆体が少なくとも下記一般式(7)で表わされる色素前駆体であることを特徴とする(46)記載のホログラム記録材料。
Figure 0004512446
一般式(7)中、R131は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、X131は−O−、−S−、−NR135−、−CR136137−のいずれかを表し、R135は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、R136、R137はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基のいずれかを表す。
132、R133はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R134は置換基を表し、n131は0から4までの整数を表す。
(48)一般式(7)にてX131が−CR136137−で表わされることを特徴とする(47)記載のホログラム記録材料。
(49)(12)〜(48)のいずれかに記載のホログラム記録材料が増感色素または色素前駆体から生成する発色体のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物を含むことを特徴とする(12)〜(48)記載のホログラム記録材料。
(50)(49)にて、ホログラム記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(49)記載のホログラム記録材料。
(51)(50)にて、電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする(50)記載のホログラム記録材料。
(52)(12)〜(48)のいずれかに記載のホログラム記録材料が増感色素または色素前駆体から生成する発色体のラジカルアニオンを酸化する能力を有する電子受容性化合物を含むことを特徴とする(12)〜(48)記載のホログラム記録材料。
(53)(52)にて、ホログラム記録材料が電子受容性化合物を含み、電子受容性化合物がジニトロベンゼン、ジシアノベンゼン等、電子求引性基が導入された芳香族化合物、ヘテロ環化合物または電子求引性基が導入されたヘテロ環化合物、N−アルキルピリジニウム塩類、ベンゾキノン類、イミド類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(52)記載のホログラム記録材料。
(54)(12)記載のホログラム記録材料にて、重合開始剤が酸発生剤であり、重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、色素前駆体が酸発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる酸発生剤から成ることを特徴とする(12)〜(53)記載のホログラム記録材料。
(55)(12)記載のホログラム記録材料にて、重合開始剤が酸及びラジカル発生剤であり、重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、色素前駆体群が酸発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる酸発生剤を含むことを特徴とする(12)〜(53)記載のホログラム記録材料。
(56)(12)記載のホログラム記録材料にて、重合開始剤が塩基発生剤であり、重合性化合物がアニオン重合性化合物であり、色素前駆体群が塩基発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる塩基発生剤を含むことを特徴とする(12)〜(53)記載のホログラム記録材料。
(57)(12)記載のホログラム記録材料にて、重合開始剤がラジカルまたはカチオン発生剤であり、重合性化合物がラジカルまたはカチオン重合性化合物であり、色素前駆体群が一般式(7)で表される化合物を含むことを特徴とする(12)〜(53)記載のホログラム記録材料。
(58)(12)記載のホログラム記録材料にて、重合開始剤がラジカルまたはアニオン発生剤であり、重合性化合物がラジカルまたはアニオン重合性化合物であり、色素前駆体群が一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする(12)〜(53)記載のホログラム記録材料。
(59)(1)〜(11)のいずれかに記載のホログラム記録方法および(12)〜(58)のいずれかに記載のホログラム記録材料を用いて体積位相型ホログラム記録を行うことを特徴とする体積位相型ホログラム記録方法及び体積位相型ホログラム記録材料。
(60)(1)〜(11)のいずれかに記載のホログラム記録方法および(12)〜(59)記載のホログラム記録材料を用いてホログラム記録を行う際、ホログラム露光した後、第2の工程にて、さらにその後に加熱処理を行うことを特徴とするホログラム記録方法及びホログラム記録材料。
(61)(1)〜(11)のいずれかに記載のホログラム記録方法および(12)〜(60)のいずれかに記載のホログラム記録材料を用いて、第1の工程にて50回以上の多重ホログラム記録を行って潜像を形成した後、その潜像を用いて干渉縞を形成する第2の工程を行うことを特徴とするホログラム記録方法及びホログラム記録材料。
(62)(61)記載のホログラム記録材料を用いて、第1の工程にて100回以上の多重ホログラム記録を行って潜像を形成した後、その潜像を用いて干渉縞を形成する第2の工程を行うことを特徴とする(61)記載のホログラム記録方法及びホログラム記録材料。
(63)第1の工程にて多重ホログラム記録を行う際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることを特徴とする(61)または(62)記載のホログラム記録材料及びホログラム記録方法
(64)(12)〜(63)記載のホログラム記録材料を用いる光記録媒体及び(1)〜(11)、(59)〜(63)記載のホログラム記録(再生)方法を用いる光記録媒体への記録(再生)方法。
(65)(12)〜(63)記載のホログラム記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
(66)(12)〜(63)記載のホログラム記録材料を用いる3次元ディスプレイホログラム及び(1)〜(63)記載のホログラム記録方法を用いる3次元ディスプレイホログラムの製造方法。
(67)(12)〜(63)記載のホログラム記録材料を用いるホログラフィック光学素子及び(1)〜(11)、(59)〜(63)記載のホログラム記録方法を用いるホログラフィック光学素子の製造方法。
本発明のホログラム露光潜像発色−別波長光重合方式ホログラム記録材料及び記録方法を用いることで、高感度かつ高回折効率、さらに露光量に対しリニアーに屈折率変調量が上昇してホログラム記録が行えることがわかり、また記録時の収縮もないためホログラフィックメモリ等への応用の際、転送速度、多重記録特性等の点で有利である。
以下に本発明のホログラム記録方法及びホログラム記録材料について詳しく説明する。
本発明のホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料は、少なくともホログラム露光により潜像を生成する第1の工程と、その潜像の存在により重合が起こることによって屈折率変調として干渉縞を形成する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料である。
なお、ここで本発明の第1の工程における「潜像」とは、「第2の工程後形成される屈折率変調の好ましくは2分の1以下の屈折率変調が行われた干渉縞」のこと(つまり好ましくは第2の工程により2倍以上の増幅工程が行われること、あるいは第2の工程により5倍以上の回折効率の増加が見られること)を示し、より好ましくは第2の工程後形成される屈折率変調の5分の1以下、より好ましくは10分の1以下、さらに好ましくは30分の1以下の屈折率変調が行われた干渉縞であること(つまり第2の工程により、より好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上、さらに好ましくは30倍以上の増幅工程(回折効率の増加)が行われること)を示す。
また、第2の工程は光照射、熱印加のいずれかであることが好ましい。これらは記録材料の全面的に行われることが好ましい。
第2の工程は光照射であることが最も好ましい。
また第2の工程が光照射の際は、照射する光は全面露光(いわゆるベタ露光、ブランケット露光、ノンイメージワイズ露光)であることが好ましい。
用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、赤外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
本発明のホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料はより好ましくは、少なくとも潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料である。
また好ましくは、少なくとも潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体をホログラム露光により生成する第1の工程と、その発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより発色体を自己増感増幅生成しつつ、かつ、重合を起こすことにより干渉縞を屈折率変調として記録する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うことを特徴とするホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料である。
ここで、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ増感色素のモル吸光係数が5000以下である領域の波長の光であることが好ましく、1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なりかつ発色体のモル吸光係数が1000以上である領域の波長の光であることが好ましい。
第2の工程にて照射する光はホログラム露光波長より短波長であることが好ましい。
なお、第1の工程においても重合は若干起こることがあるが、本発明においてそれは一向に構わない。
なお、本発明のホログラム記録材料は、ハロゲン化銀を用いないことが好ましい。
また、ホログラム記録が書き換えできない方式であることが好ましい。ここで書き換えできない方式とは、不可逆反応により記録される方式であり、一度記録されてデータは、さらに上書き記録されることなく(書き換えされることなく)保存できる方式を示す。従って、重要かつ長期保存が必要なデータの保存に適する。但し、まだ記録されていない領域に新たに追記して記録することは可能である。このような意味で、一般には追記型またはライトワンス方式と呼ばれる。
さらに、本発明のホログラム記録材料は好ましくは、少なくとも、
1)第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素、
2)第1の工程にて増感色素励起状態から、または第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体、
3)第1の工程にて増感色素励起状態から、第2の工程にて発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、および
5)バインダー、
を有するホログラム記録材料である。
ここで、色素前駆体は、元の状態から吸収が長波長化し、かつホログラム再生光波長に吸収を有さず、ホログラム再生光波長とホログラム再生光波長から200nm、より好ましくは100nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有する発色体となることが好ましい。本発明では「色素前駆体」は少なくとも1種の色素前駆体である化合物(色素前駆体として機能する化合物)を意味し、即ち2種以上の化合物を含んでいる場合をも意味することとする。
また、本発明のホログラム記録材料においては、重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、光重合により干渉明部と干渉暗部にて重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調によるホログラム記録が可能であることが好ましい。その際、バインダーは重合性化合物よりも屈折率が低いことが好ましく、0.05以上低いことが好ましく、0.1以上低いことがより好ましい。
そのためには、重合性化合物が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含むことが好ましく、バインダーはそれらを含まないことがより好ましい。
本発明のホログラム記録材料は増感色素、色素前駆体、重合開始剤、重合性化合物、バインダーの他に、必要に応じて電子供与性化合物、電子受容性化合物、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の添加物を用いることができる。
本発明のホログラム記録材料は好ましくは体積位相型のホログラム記録を行うための記録材料である。体積位相型のホログラム記録とは、先述したように、記録材料の膜面と平行もしくは平行に近い形(反射型)または垂直もしくは垂直に近い形(透過型)で、膜厚方向に1mmに1000〜7000本の多数の干渉縞を屈折率変調として記録するものである。
本発明の第1の工程におけるホログラム露光に用いる光は好ましくは波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかであり、より好ましくは波長300〜700nmの紫外光または可視光であり、さらに好ましくは400〜700nmの可視光である。
さらに、本発明に用いる光としては、コヒーレントな(位相及び波長のそろった)レーザー光が好ましい。用いられるレーザーとしては、固体レーザー、半導体レーザー、気体レーザー、液体レーザーのいずれでも良いが、好ましいレーザー光としては例えば、532nmのYAGレーザー2倍波、355nmのYAGレーザー3倍波、405〜415nm付近のGaNレーザー、488または515nmのArイオンレーザー、632または633nmのHe−Neレーザー、647nmのKrイオンレーザー、694nmのルビーレーザーや636、634、538、534、442nmのHe−Cdレーザーなどが挙げられる。
また、ナノ秒やピコ秒オーダーのパルスレーザーを用いることも好ましい。
本発明のホログラム記録材料を光記録媒体に使用する場合は、532nmのYAGレーザー2倍波または405〜415nm付近のGaNレーザーを用いることが好ましい。
ホログラム露光(記録)に用いる光の波長に対し、ホログラム再生に用いる光の波長は同じであるか、長波長であることが好ましく、同じであることがより好ましい
本発明のホログラム記録材料においては、ホログラム露光の後に、光または熱、あるいはその両方により定着工程を行っても良い。
特に本発明のホログラム記録材料に酸増殖剤または塩基増殖剤を用いる場合、酸増殖剤または塩基増殖剤を有効に機能させる点においても定着に加熱を用いることが好ましい。 光定着の場合は、ホログラム記録材料全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)する。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
熱定着の場合は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃にて定着工程を行うことが好ましい。
光定着と熱定着を両方行う際は、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加えてもよい。
なお、本発明において、上記第1及び第2の工程が定着を兼ねても良く、第2の工程が定着も兼ねることが好ましい。
本発明のホログラム記録方法及びそのような記録が可能であるホログラム記録材料においては、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を分解して定着することが保存性及び非破壊再生の点で好ましく、さらには、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより発色体を分解して定着することがより好ましい。
なお、干渉縞記録の際の屈折率変調は0.00001〜0.5であることが好ましく、0.0001〜0.3であることがより好ましい。
ホログラム記録材料の回折効率ηは以下の式で与えられる。
η=Idiff/Io (式1)
ここでIoは入射光強度であり、Idiffは回折(透過型)または反射(反射型)された光強度である。回折効率は0〜100%のいずれかの値を取るが、30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが最も好ましい。
ホログラム記録材料の感度は、一般に単位面積当たりの露光量(mJ/cm2)で表され、この値が小さい程感度が高いと言える。しかし、どの時点の露光量をもって感度とするかは、文献、特許によってまちまちであり、記録(屈折率変調)のはじまる露光量とする場合、最大回折効率(最大屈折率変調)を与える露光量とする場合、最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量とする場合、露光量Eに対し、回折効率の傾きが最大となる露光量とする場合などある。
また、クーゲルニックの理論式より、ある回折効率を与えるための屈折率変調量Δnは膜厚dに反比例する。つまり、ある回折効率を与えるための感度は膜厚によっても異なり、膜厚dが厚くなる程少ない屈折率変調量Δnで済む。したがって、膜厚等の条件を揃えない限り、感度は一概には比較することはできない。
本発明においては、感度は「最大回折効率の半分の回折効率を与える露光量(mJ/cm2)」と定義する。本発明のホログラム記録材料の感度は、例えば膜厚が10〜200μm程度の場合、2J/cm2以下であることが好ましく、1J /cm2以下であることがより好ましく、500mJ/cm2以下であることがさらに好ましく、200mJ/cm2以下であることが最も好ましい。
本発明のホログラム記録材料を光記録媒体としてホログラフィックメモリに用いる際は、DMDやLCDといった空間光変調素子(SLM)を用いて2次元デジタル情報(信号光と呼ぶ)を数多く記録していくことが好ましい。記録には記録密度を上げるために多重記録を用いることが好ましく、多重記録の方法には、角度多重、位相多重、波長多重、シフト多重などの多重記録を行う方法があるが、角度多重記録またはシフト多重記録を用いることが好ましい。また、再生される2次元データの読み出しにはCCDやCMOSが好ましく用いられる。
本発明のホログラム記録材料は、光記録媒体に用いる際、容量(記録密度)を向上させるために多重記録を行うことが必須である。その際、50回以上の多重記録を行うことがより好ましく、100回以上の多重記録を行うことがさらに好ましい。さらに、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録できることが記録システム簡略化、S/N比向上等の点でより好ましい。
以下に本発明のホログラム記録の概念を示すが、当然ながら本発明はこれに限定されるものではない。また、下記の値はあくまでも定性的説明のために与えた値であり、必ずしも定量的な値を反映しているものではない。
例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から干渉縞記録成分にエネルギー移動または電子移動させることにより、干渉縞記録成分に含まれる色素前駆体を発色体に変化させて発色による潜像を形成する(以上第1の工程)。次に400〜450nmの波長域の光を照射して、発色体の吸収を起こし、発色体の自己増感により発色体を増幅生成させつつ、重合開始剤を電子移動またはエネルギー移動により活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が大きい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が高くなる(以上第2の工程)。第1の工程にて干渉暗部では潜像があまり生成しないため第2の工程においても重合はあまり起きずバインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
一方、本発明のホログラム記録材料のうち、第2の工程にて自己増感発色増幅は行わず、重合のみ行うタイプのホログラム記録は、例えば、532nmのYAG・SHGレーザーをホログラム記録材料に照射し、増感色素に吸収させ励起状態を生成させる。その増感色素励起状態から干渉縞記録成分にエネルギー移動または電子移動させることにより、干渉縞記録成分に含まれる色素前駆体を発色体に変化させて発色による潜像を形成する(以上第1の工程)。次に400〜450nmの波長域の光を照射して、発色体の吸収を起こし、重合開始剤に電子移動またはエネルギー移動させることにより活性化して重合を開始させる。例えば、重合性化合物がバインダーよりも屈折率が大きい場合、重合が起こる部分に重合性化合物が集まるため屈折率が高くなる(以上第2の工程)。第1の工程にてレーザーを照射していない未記録部では潜像があまり生成しないため第2の工程においても重合はあまり起きず、バインダーの存在比が高くなり、その結果干渉明部と干渉暗部にて大きな屈折率変調を形成することができ、干渉縞として記録することができる。第1及び第2の工程、あるいはさらにその後の定着工程により増感色素及び発色体を分解して消色できれば、非破壊再生及び保存性に優れたホログラム記録材料を提供することができる。
例えば532nmのレーザーを再び用い、記録を行ったホログラム記録材料に照射すると、記録した情報、画像等を再生する、あるいは所望の光学材料として機能することができる。
以下に本発明のホログラム記録材料用の各成分について詳しく説明する。
まず、本発明のホログラム記録材料において第1の工程のホログラム露光にて光を吸収し励起状態を生成する増感色素について詳しく説明する。
本発明の増感色素としては好ましくは、波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかを吸収して励起状態を生成するものであり、より好ましくは波長300〜700nmの紫外光または可視光を吸収して励起状態を生成するものであり、さらに好ましくは400〜700nmの可視光を吸収して励起状態を生成するものである。
本発明の増感色素として好ましくはシアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、フタロシアニン色素、アザポルフィリン色素、ポルフィリン色素、縮環芳香族系色素、ペリレン色素、アゾメチン色素、アントラキノン色素、金属錯体色素、メタロセン色素等が挙げられ、より好ましくは、シアニン色素、スクワリリウムシアニン色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、縮環芳香族系色素、金属錯体色素、メタロセン色素等が挙げられ、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、金属錯体色素、メタロセン色素が挙げられる。なお、金属錯体色素としては特にRu錯体色素が、メタロセン色素としてはフェロセン類が好ましい。
その他に「色素ハンドブック」(大河原信他編 講談社 1986年)、「機能性色素の化学」(大河原信他編 シーエムシー 1981年)、「特殊機能材料」(池森忠三郎他編 シーエムシー 1986年)に記載される色素および染料も本発明の増感色素として用いることができる。なお、本発明の増感色素はこれらに限定されるものではなく、可視域の光に対して吸収を示す色素および染料であればどれでも用いることができる。これらの増感剤は、使用目的に応じて光源となる輻射線の波長に合うように選択することができ、用途によっては2種類以上の増感色素を組み合わせて使用しても構わない。
なお、ホログラム記録材料は厚膜で使用しかつ光が膜を透過する必要があるため、ホログラム露光波長における増感色素のモル吸光係数を小さくすることにより増感色素添加量を極力多くすることが高感度化のために好ましい。ホログラム露光波長における増感色素のモル吸光係数は1以上10000以下であることが好ましく、1以上5000以下であることがより好ましく、5以上2500以下であることがさらに好ましく、10以上1000以下であることが最も好ましい。
またホログラム記録材料の記録波長光の透過率は、10〜99%であることが好ましく、20〜95%であることがより好ましく、30〜90%であることがさらに好ましく、40〜85%であることが、回折効率、感度、記録密度の点で好ましい。したがってそのようになるようにホログラム記録材料の膜厚にあわせて、増感色素の記録波長におけるモル吸光係数と添加モル濃度を調整することが好ましい。また、増感色素のλmaxはホログラム記録波長と同じから100nm短波長な範囲の間であることが好ましい。さらに、増感色素の記録波長におけるモル吸光係数はλmaxのモル吸光係数の5分の1以下であることが好ましく、10分の1以下であることがより好ましい。特に増感色素がシアニン色素やメロシアニン色素のような有機色素のときは、20分の1以下であることがより好ましく、50分の1以下であることがさらに好ましく、100分の1以下であることが最も好ましい。
以下に本発明の増感色素の具体的な例を挙げるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 0004512446
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本発明の増感色素は市販品であるか、あるいは公知の方法により合成することができる。
なお、ホログラム記録波長が532nmのYAGレーザー2倍波の場合、増感色素としてはベンゾオキサゾール環を有するトリメチンシアニン色素、Ru錯体色素、フェロセン類が特に好ましく、405〜415nmのGaNレーザーの場合、ベンゾオキサゾール環を有するモノメチンシアニン色素、Ru錯体色素、フェロセン類が特に好ましい。
次に本発明のホログラム記録材料における重合開始剤について詳しく説明する。
本発明の重合開始剤とは、増感色素の励起状態からエネルギー移動または電子移動(電子を与えるまたは電子を受ける)を行うことによりラジカルまたは酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)、塩基(ブレンステッド塩基またはルイス塩基)を発生し、重合性化合物の重合を開始することができる化合物のことである。
本発明の重合開始剤は好ましくは、ラジカルを発生して重合性化合物のラジカル重合を開始することができるラジカル重合開始剤と、ラジカルを発生することなく酸のみ発生して重合性化合物のカチオン重合のみを開始することができるカチオン重合開始剤と、ラジカル及び酸を両方発生して、ラジカル及びカチオン重合両方を開始することができる重合開始剤、塩基を発生してアニオン重合を開始できるアニオン重合開始剤のいずれかである。
まず、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤及びその両方を開始することができる開始剤について説明する。
本発明の重合開始剤としては好ましくは、以下の14個の系が挙げられる。なお、これらの重合開始剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
1)ケトン系重合開始剤
2)有機過酸化物系重合開始剤
3)ビスイミダゾール系重合開始剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
5)ジアゾニウム塩系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
8)ホウ酸塩系重合開始剤
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系重合開始剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系重合開始剤
13)金属アレーン錯体系重合開始剤
14)スルホン酸エステル系重合開始剤
以下に好ましい上記の系について具体的に説明していく。なお、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りの無い限りは、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、どのような置換基でも良い。
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
1)ケトン系重合開始剤
ケトン系重合開始剤としては、好ましくは芳香族ケトン、芳香族ジケトン等が挙げられる。
好ましい例としては例えば、ベンゾフェノン誘導体(例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン)、ベンゾイン誘導体(例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン)、アセトイン誘導体(アセトイン、ピバロイン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、アシロインエーテル誘導体(例えばジエトキシアセトフェノン)、α−ジケトン誘導体(ジアセチル、ベンジル、4,4´−ジメトキシベンジル、ベンジルジメチルケタール、2,3−ボルナンジオン(カンファーキノン)、2,2,5,5−テトラメチルテトラヒドロ−3,4−フラン酸(イミダゾールトリオン))、キサトン誘導体(例えばキサントン)、チオキサントン誘導体(例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン)、ケトクマリン誘導体等が挙げられる。
市販品としては例えば、チバガイギー社より上市されている下記式で表されるイルガキュアー184、651、907等が挙げられる。
Figure 0004512446
また、好ましい例としてキノン系重合開始剤(例えば、9,10−アンスラキノン、1−クロロアンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、2−メチルアンスラキノン、2−エチルアンスラキノン、2−t−ブチルアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンスレンキノン、1,2−ベンズアンスラキノン、2,3−ベンズアンスラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、2−フェニルアンスラキノン、2,3−ジメチルアンスラキノン、アンスラキノンアルファ−スルホン酸のナトリウム塩、3−クロロ−2−メチルアンスラキノン、レテネキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセンキノン、並びに1,2,3,4−テトラヒドロベンズ(a)アンスラセン−7,12−ジオン)も挙げられる。
2)有機過酸化物系重合開始剤
好ましい例としては、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、特開昭59−189340号公報および特開昭60−76503号公報記載の3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
3)ビスイミダゾール系重合開始剤
ビスイミダゾール系重合開始剤にて好ましいのは、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール誘導体であり、例えばビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(m−メトキシフェニル)−イミダゾールダイマー(CDM−HABI)、1,1′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′5,5′−テトラフェニル(o−Cl−HABI)、1H−イミダゾール、2,5−ビス(o−クロロフェニル)−4−〔3,4−ジメトキシフェニル〕−ダイマー(TCTM−HABI)などが挙げられる。
ビスイミダゾール系重合開始剤は水素供与体と共に用いられることが好ましい。水素供与体として好ましくは、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、などが挙げられる。
4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤(酸発生剤)
トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤(酸発生剤)は好ましくは以下の一般式(11)にて表される。
Figure 0004512446
一般式(11)中、R21、R22、R23はそれぞれ独立にハロゲン原子を表し、好ましくは塩素原子を表す。R24、R25はそれぞれ独立に水素原子、−CR212223、置換基を表す。
置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、カルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
24は好ましくは−CR212223を、より好ましくは−CCl3基を表し、R25は好ましくは、 −CR212223、アルキル基、アルケニル基、アリール基である。
トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤(酸発生剤)の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4'−メトキシ−1'−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが例示される。好ましい例として、英国特許1388492号および特開昭53−133428号公報記載の化合物も挙げられる。
5)ジアゾニウム塩系重合開始剤(酸発生剤)
ジアゾニウム塩系重合開始剤(酸発生剤)は好ましくは以下の一般式(12)にて表される。
Figure 0004512446
26はアリール基またはヘテロ環基を表し、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。
27は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、a21は0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR27は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
X21 -は、HX21がpKa4以下(水中、25℃)、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の酸となる陰イオンで、好ましくは例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
ジアゾニウム系重合開始剤(酸発生剤)の具体例としては例えば、ベンゼンジアゾニウム、4−メトキシジアゾニウム、4−メチルジアゾニウムの上記X21 -塩などが挙げられる。
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤(酸発生剤)
ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤(酸発生剤)は好ましくは以下の一般式(13)にて表される。
Figure 0004512446
一般式(13)中、X21 -は一般式(12)と同義である。R28、R29はそれぞれ独立に置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基を表す。
a22、a23はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜1の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR28、R29は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤(酸発生剤)の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4'−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4'−ジメチルジフェニルヨードニウム、4,4'−ジ−t-ブチルジフェニルヨードニウム、4,4'−ジ−t-アミルジフェニルヨードニウム、3,3'−ジニトロジフェニルヨードニウム、フェニル(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、フェニル(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−シアノフェニル)ヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、パークロロブタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネートなどが挙げられる。
また、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、第10巻、p1307(1977年)に記載の化合物、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類も挙げられる。
7)スルホニウム塩系重合開始剤(酸発生剤)
スルホニウム塩系重合開始剤(酸発生剤)は好ましくは以下の一般式(14)にて表される化合物である。
Figure 0004512446
一般式(14)中、X21 -は一般式(12)と同義である。R30、R31、R32はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基(以上好ましい例はR24に同じ)を表し、好ましくは、アルキル基、フェナシル基、アリール基を表す。
スルホニウム塩系重合開始剤(酸発生剤)の具体例としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジメチルフェナシルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−フェニルチオトリフェニルスルホニウム、ビス−1−(4−(ジフェニルスルホニウム)フェニル)スルフィドなどのスルホニウム塩のクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、パークロロブタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネートなどが例示される。
8)ホウ酸塩系重合開始剤
ホウ酸塩系重合開始剤は好ましくは以下の一般式(15)にて表される。
Figure 0004512446
一般式(15)中、R33、R34、R35、R36はそれぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基を表し(以上好ましい例はR24に同じ)、好ましくはアルキル基またはアリール基である。ただし、R33、R34、R35、R36の全てが同時にアリール基となることはない。X22 + は陽イオンを表す。
より好ましくはR33、R34、R35はアリール基であり、R36がアルキル基であり、最も好ましくはR33、R34、R35はフェニル基であり、R36はn−ブチル基である。
ホウ酸塩系重合開始剤の具体例としては、テトラブチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルボレート、テトラメチルアンモニウムsec−ブチルトリフェニルボレートなどが挙げられる。
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤は好ましくは以下の一般式(16)にて表される。
Figure 0004512446
一般式(16)中、R28、R29、a22、a23は一般式(13)と同義であり、R33、R34、R35、R36は一般式(15)と同義である。
ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤の具体例としては以下に示すI-1〜I-3が挙げられる。
Figure 0004512446
さらに、特開平3−704号公報記載のジフェニルヨードニウム(n−ブチル)トリフェニルボレートなどのヨードニウム有機ホウ素錯体も好ましい例として挙げられる。
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤は好ましくは以下の一般式(17)にて表される。
Figure 0004512446
一般式(17)中、R33、R34、R35、R36は一般式(15)と同義である。R37、R38、R39はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基であり(以上好ましい例はR24に同じ)、より好ましくはアルキル基、フェナシル基、アリール基、アルケニル基である。R37、R38、R39は互いに連結して環を形成しても良い。R40は酸素原子もしくは孤立電子対を表す。
スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤の具体例としては以下に示すI-4〜I-10が挙げられる。
Figure 0004512446
さらに、特開平5−255347号、特開平5−213861号記載のスルホニウム有機ホウ素錯体も好ましい例として挙げられる。
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系重合開始剤
本発明の重合開始剤がカチオン性増感色素有機ホウ素錯体系重合開始剤の場合は、そのカチオン性増感色素が本発明の増感色素の役割を行っても良い。
カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系重合開始剤は好ましくは一般式(18)にて表される。
Figure 0004512446
一般式(18)中、(Dye-1)+はカチオン性増感色素であり、好ましい例としては、先述した増感色素の中のカチオン性の増感色素である。例えばシアニン色素、メロシアニン色素が好ましく、シアニン色素がより好ましい。R33、R34、R35、R36は一般式(15)と同義である。
カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系重合開始剤の具体例としては例えば、以下に示すI-11、I-12、I-13、I-14等が挙げられる。
Figure 0004512446
また、特開昭62−143044号、62−150242号公報に記載の陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体も具体例として挙げられる。
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系重合開始剤
本発明の重合開始剤がアニオン性増感色素オニウム塩錯体系重合開始剤の場合は、そのアニオン性増感色素が本発明の増感色素の役割を行っても良い。
アニオン性増感色素オニウム塩系重合開始剤は好ましくは一般式(19)にて表される。
Figure 0004512446
一般式(19)中、(Dye-2)-はアニオン性の増感色素であり、好ましい例としては先述した増感色素の中のアニオン性の増感色素である。例えばシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素が好ましく、シアニン色素、オキソノール色素がより好ましい。 X23 +は一般式(12)のジアゾニウム塩のカチオン部分、一般式(13)のジアリールヨードニウム塩のカチオン部分、一般式(14)のスルホニウム塩のカチオン部分を表し(いずれも好ましい例は先述した通り)、好ましくは一般式(13)のジアリールヨードニウム塩のカチオン部分または一般式(14)のスルホニウム塩のカチオン部分である。
アニオン性増感色素オニウム塩系重合開始剤の具体例としては例えば、以下に示すI−15〜I−32等が挙げられる。
Figure 0004512446
13)金属アレーン錯体系重合開始剤
金属アレーン錯体系重合開始剤としては、金属は鉄またはチタンが好ましい。
具体的には、特開平1−54440号、ヨーロッパ特許第109851号、ヨーロッパ特許第126712号および「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の鉄アレーン錯体、「オルガノメタリックス(Organometallics)」、第8巻、第2737頁(1989年)記載の鉄アレーン有機ホウ素錯体、「Prog.Polym.Sci、第21巻、7〜8頁(1996年)記載の鉄アレーン錯体塩、特開昭61−151197号公報に記載されるチタセノン類、などが好ましい例として挙げられる。
14)スルホン酸エステル系重合開始剤
スルホン酸エステル系重合開始剤としては、好ましくはスルホン酸エステル類、スルホン酸ニトロベンジルエステル類、イミドスルホネート類、等を挙げることができる。
スルホン酸エステル類の具体例としては好ましくは、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、スルホン酸ニトロベンジルエステル類の具体例としては好ましくは、o−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、2',6'−ジニトロベンジル−4−ニトロベンゼンスルホネート、p−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメチルスルホネート、イミドスルホネート類の具体例として好ましくはN−トシルフタル酸イミド、9−フルオレニリデンアミノトシレート、α−シアノベンジリデントシルアミン、等が挙げられる。
15)その他の重合開始剤
前記1)〜14)以外の重合開始剤としては、4,4’−ジアジドカルコンのような有機アジド化合物、N−フェニルグリシンなどの芳香族カルボン酸、ポリハロゲン化合物(CI4、CHI3、CBrCI3)、1−ベンジル−2−シアノピリジニウム塩ヘキサフルオロアンチモネートのようなピリジニウム塩、フェニルイソオキサゾロン、シラノールアルミニウム錯体、特開平3−209477号公報に記載されるアルミナート錯体などが挙げられる。
ここで、本発明のラジカルまたはカチオン重合開始剤は、
a)ラジカル重合を活性化できる重合開始剤
b)カチオン重合のみ活性化できる重合開始剤
c)ラジカル重合とカチオン重合を同時に活性化できる重合開始剤
分類することができる。
a)ラジカル重合を活性化できる重合開始剤とは、増感色素の励起状態からエネルギー移動または電子移動(増感色素に電子を与えるまたは増感色素から電子を受ける)を行うことによりラジカルを発生し、重合性化合物のラジカル重合を開始することができる重合開始剤のことである。
前記の中では、以下の系がラジカル重合を活性化することができる重合開始剤系である。
1)ケトン系重合開始剤
2)有機過酸化物系重合開始剤
3)ビスイミダゾール系重合開始剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
5)ジアゾニウム塩系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
8)ホウ酸塩系重合開始剤
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系重合開始剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系重合開始剤
13)金属アレーン錯体系重合開始剤
ラジカル重合を活性化できる重合開始剤としてより好ましくは、
1)ケトン系重合開始剤
3)ビスイミダゾール系重合開始剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系重合開始剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系重合開始剤
が挙げられ、さらに好ましくは、
3)ビスイミダゾール系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
11)カチオン性増感色素有機ホウ素錯体系重合開始剤
12)アニオン性増感色素オニウム塩錯体系重合開始剤
が挙げられる。
カチオン重合のみ活性化できる重合開始剤とは、増感色素の励起状態からエネルギー移動または電子移動を行うことによりラジカルを発生することなく酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)を発生し、酸により重合性化合物のカチオン重合を開始することができる重合開始剤のことである。
前記の系の中では、以下の系がカチオン重合のみを活性化することができる重合開始剤系である。
16)スルホン酸エステル系重合開始剤
なお、カチオン重合開始剤としては、例えば「UV硬化;科学と技術(UVCURING;SCIENCE AND TECHNOLOGY)」[p.23〜76、S.ピーター・パーパス(S.PETER PAPPAS)編集、ア・テクノロジー・マーケッティング・パブリケーション(A TECHNOLOGY MARKETING PUBLICATION)]及び「コメンツ・インオーグ.ケム.(Comments Inorg.Chem.)」[B.クリンゲルト、M.リーディーカー及びA.ロロフ(B.KLINGERT、M.RIEDIKER and A.ROLOFF)、第7巻、No.3、p109−138(1988)]などに記載されているものを用いることもできる。
ラジカル重合とカチオン重合を同時に活性化できる重合開始剤とは、増感色素の励起状態からエネルギー移動または電子移動を行うことによりラジカルまたは酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)を同時発生し、発生するラジカルにより重合性化合物のラジカル重合を、また発生する酸により重合性化合物のカチオン重合を開始することができる重合開始剤のことである。
前記の系の中では、以下の系がラジカル重合とカチオン重合を同時に活性化できる重合開始剤系である。
4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
5)ジアゾニウム塩系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
13)金属アレーン錯体系重合開始剤
ラジカル重合とカチオン重合を活性化できる重合開始剤として好ましくは、
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
を挙げることができる。
次に、本発明のアニオン重合開始剤について述べる。本発明のアニオン重合開始剤は、好ましくは塩基(ブレンステッド塩基またはルイス塩基)を発生してアニオン重合を開始できる塩基発生剤のことである。
その際、塩基発生剤とは、増感色素または発色体励起状態からのエネルギー移動または電子移動により塩基を発生することができる化合物である。塩基発生剤は暗所では安定であることが好ましい。本発明における塩基発生剤は、増感色素または発色体励起状態からの電子移動により塩基を発生することができる化合物であることが好ましい。
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
本発明のアニオン重合開始剤、つまり塩基発生剤として好ましくは、前記一般式(1−1)〜(1−4)で表される。なお、これらの塩基発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
一般式(1−1)または(1−2)にて、R1、R2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数(以下C数という)1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクタデシル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1、3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)のいずれかを表し、より好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基を表し、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基を表す。
1、R2は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、イミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
1、R2のより好ましい組み合わせとしては、R1が置換しても良いシクロヘキシル基でR2が水素原子、R1が置換しても良いアルキル基でR2が水素原子、R1、R2が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
一般式(1−1)または(1−2)にて、n1は0または1であり、好ましくは1である。
一般式(1−1)にて、R3は置換基を表し、置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、またはカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
一般式(1−1)にて、R3はニトロ基またはアルコキシ基であることが好ましく、ニトロ基またはメトキシ基であることがより好ましく、ニトロ基であることが最も好ましい。
一般式(1−1)にて、n2は0〜5の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。n2が2以上の時、複数のR3は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(1−1)にて、R3がニトロ基である時、2位または2、6位に置換することが好ましく、R3がアルコキシ基である時、3、5位に置換することが好ましい。
一般式(1−1)にて、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)好ましい例はR3に同じ)、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基のいずれかを表し、より好ましくは水素原子、メチル基、2−ニトロフェニル基のいずれかを表す。
4、R5のより好ましい組み合わせとしては、R4、R5共水素原子、R4 がメチル基でR5が水素原子、R4、R5共メチル基、R4が2−ニトロフェニル基でR5が水素原子、等が挙げられ、さらに好ましくはR4、R5共水素原子である。
一般式(1−2)にて、R6、R7はそれぞれ独立に置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、またはアルキル基を表し、より好ましくはメトキシ基を表す。
一般式(1−2)にて、n3、n4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。n3、n4が2以上の時、複数のR6、R7は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(1−2)にて、R6は3、5位に置換したアルコキシ基であることがより好ましく、3、5位に置換したメトキシ基であることがさらに好ましい。
一般式(1−2)にて、R8は水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子またはアリール基であり、より好ましくは水素原子である。
一般式(1−3)にて、R9は置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくはアルキル基、アリール基、ベンジル基、またはアミノ基であり、より好ましくは置換しても良いアルキル基、t−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、置換しても良いアニリノ基、またはシクロヘキシルアミノ基を表す。
なお、一般式(1−3)で表される化合物はR9からポリマー鎖に連結した化合物であっても良い。
一般式(1−3)にて、R10、R11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、より好ましくはメチル基、フェニル基、または2−ナフチル基を表す。
10、R11は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としては例えばフルオレン環が好ましい。
一般式(1−4)にて、R12はアリール基またはヘテロ環基を表し、より好ましくは下記アリール基またはヘテロ環基である。
Figure 0004512446
一般式(1−4)にて、R13、R14、R15はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基(以上好ましい例はR1、R2に同じ)のいずれかを表し、好ましくはアルキル基を表し、より好ましくはブチル基を表す。なお、R13、R14、R15は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環である。
一般式(1−4)にて、R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R16、R17、R18は全てフェニル基であり、R19はn−ブチル基またはフェニル基であることがより好ましい。
本発明の塩基発生剤は一般式(1−1)または(1−3)で表されることが好ましく、一般式(1−1)で表されることがより好ましい。
以下に、本発明の塩基発生剤の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004512446
Figure 0004512446
Figure 0004512446
Figure 0004512446
次に本発明のホログラム記録材料において、増感色素または発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体について詳しく説明する。
その際、発色反応が起こる所(干渉明部)と起こらない所(干渉暗部)にて屈折率が異なることが重要である。一般に、色素の屈折率は、吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては2を超え、さらには2.5を超えるような高い値をとる。
一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
したがって、本発明の色素前駆体は、増感色素または発色体励起状態から直接電子移動またはエネルギー移動することにより、あるいは増感色素または発色体励起状態から酸発生剤または塩基発生剤に電子移動またはエネルギー移動することにより発生した酸または塩基により、元の状態から吸収が変化した発色体となることができる色素前駆体であることが好ましい。
また、本発明のホログラム記録材料は、屈折率変調により干渉縞を記録する位相型ホログラム記録材料であることが高回折効率の点で好ましい。つまり、ホログラム再生時には、ホログラム記録材料が再生光波長に吸収を有さないか、ほとんど吸収を有さないことが好ましい。
したがって、本発明のホログラム記録材料の色素前駆体は、増感色素または発色体励起状態から直接電子移動またはエネルギー移動することにより、あるいは増感色素または発色体励起状態から酸発生剤または塩基発生剤に電子移動またはエネルギー移動することにより発生した酸または塩基により、元の状態から吸収が長波長化した発色体となることができることが好ましく、さらに、ホログラム露光後反応して発色体になる際には、ホログラム再生光波長に吸収を有さずに、それよりも短波長側に吸収を有する発色体となることが好ましい。また増感色素の方は、ホログラム記録またはその後の定着の際に分解してその吸収及び増感機能を失うことが好ましい。
その結果、本発明のホログラム記録材料は、屈折率変調により干渉縞を記録することができる位相型ホログラム記録材料を提供することができる。
さらに、大きな屈折率変調を与えるためには、色素前駆体は、ホログラム露光後、ホログラム再生光波長に吸収を有さず、ホログラム再生光波長とホログラム再生光波長から200nm短波長な波長の間の領域に、吸収極大を有する発色体となることが好ましく、ホログラム再生光波長とホログラム再生光波長から100nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有する発色体となることがより好ましい。
なお前述したように、ホログラム露光(記録)に用いる光の波長とホログラム再生に用いる光の波長は同じであることがより好ましいため、発色体はホログラム記録光及び再生光の波長に吸収を有さないことが好ましい。
本発明のホログラム記録材料における色素前駆体として好ましくは、以下の組み合わせが挙げられる。
A)少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤を含む組み合わせ。必要によりさらに酸増殖剤を含む組み合わせ。
B)少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含む組み合わせ、必要によりさらに塩基増殖剤を含む組み合わせ。
C)増感色素または発色体励起状態との電子移動またはエネルギー移動により共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位と、共有結合している際と放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位が共有結合している化合物を含む場合。あるいはさらに塩基を含む組み合わせ。
D)増感色素または発色体励起状態との電子移動により反応し、吸収形を変化させることができる化合物を含む場合。
いずれの場合も増感色素または発色体励起状態からのエネルギー移動機構による場合は、増感色素または発色体の1重項励起状態からエネルギー移動が起こるフェルスター型機構でも、3重項励起状態からエネルギー移動が起こるデクスター型機構でもどちらでも良い。
その際、エネルギー移動が効率良く起こるためには、増感色素または発色体の励起エネルギーが、色素前駆体の励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
一方、増感色素または発色体励起状態からの電子移動機構の場合は、増感色素または発色体の1重項励起状態から電子移動が起こる機構でも、3重項励起状態から電子移動が起こる機構でもどちらでも良い。
また、増感色素または発色体励起状態が色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤に電子を与えても、電子を受け取っても良い。増感色素または発色体励起状態から電子を与える場合、電子移動が効率良く起こるためには、増感色素または発色体の励起状態における励起電子の存在する軌道(LUMO)エネルギーが、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤のLUMO軌道のエネルギーよりも高いことが好ましい。
増感色素または発色体励起状態が電子を受け取る場合、電子移動が効率良く起こるためには、増感色素または発色剤の励起状態におけるホールの存在する軌道(HOMO)エネルギーが、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤のHOMO軌道のエネルギーよりも低いことが好ましい。
以下に本発明のホログラム記録材料における色素前駆体群の好ましい組み合わせについて詳しく説明する。
まず、本発明のホログラム記録材料における色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤を含む場合について説明する。
その際、酸発生剤とは、増感色素または発色体励起状態からのエネルギー移動または電子移動により酸を発生することができる化合物である。酸発生剤は暗所では安定であることが好ましい。本発明における酸発生剤は増感色素または発色剤励起状態からの電子移動により酸を発生することができる化合物であることが好ましい。
本発明の色素前駆体における酸発生剤として好ましくは以下の6個の系が挙げられ、好ましい例は先述したカチオン重合開始剤と同じである。
1)トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
本発明の酸発生剤としては、より好ましくは、
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
が挙げられる。
なお、カチオン重合と酸発色型色素前駆体を同時に用いる時は、カチオン重合開始剤と酸発生剤は同じ化合物がその機能を果たすことが好ましい。
なお、これらの酸発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
次に、本発明のホログラム記録材料における色素前駆体群が少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、さらに酸発生剤を含む場合における酸発色型色素前駆体について説明する。
本発明における酸発色型色素前駆体は、酸発生剤により発生した酸により、元の状態から吸収が変化した発色体となることができる色素前駆体である。本発明の酸発色型色素前駆体としては、酸により吸収が長波長化する化合物が好ましく、酸により無色から発色する化合物がより好ましい。
酸発色型色素前駆体として好ましくは、トリフェニルメタン系、フタリド系(インドリルフタリド系、アザフタリド系、トリフェニルメタンフタリド系を含む)、フェノチアジン系、フェノキサジン系、フルオラン系、チオフルオラン系、キサンテン系、ジフェニルメタン系、クロメノピラゾール系、ロイコオーラミン、メチン系、アゾメチン系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、フルオレン系、スピロピラン系の化合物が挙げられる。これらの化合物の具体例は、例えば特開2002−156454およびその引用特許、特開2000‐281920、特開平11‐279328、特開平8‐240908等に開示されている。
酸発色型色素前駆体としてより好ましくは、ラクトン、ラクタム、オキサジン、スピロピラン等の部分構造を有するロイコ色素であり、フルオラン系、チオフルオラン系、フタリド系、ローダミンラクタム系、スピロピラン系の化合物が挙げられる。
本発明の酸発色型色素前駆体から生成する色素はキサンテン系色素、フルオラン系色素またはトリフェニルメタン色素であることが好ましい。
なお、これらの酸発色型色素前駆体は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
以下に、本発明の色素前駆体として好ましい酸発色型色素前駆体の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例のみに限定されるものではない。
フタリド系色素前駆体として好ましくは下記の一般式(21)にて示される。
Figure 0004512446
一般式(21)中、X41はCHまたはNを表し、R33、R34はそれぞれ独立に炭素数(以下C数という)1〜20のアルキル基、C数6〜24のアリール基、C数1〜24のヘテロ環基または下記の一般式(22)で表される基を表し、R35は置換基を表す(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)。R35としてより好ましくは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、またはヘテロ環基を表し、k41は0〜4の整数を表し、k41が2以上の整数のとき、複数個のR35はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
一般式(21)中、R33、R34で表される基として好ましくは下記一般式(22)で表される基である。
Figure 0004512446
一般式(22)中、R36はC数1〜3のアルキレン基を表し、k42は0〜1の整数を表し、R37は置換基を表す(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)。R37としてより好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、またはヘテロ環基を表し、k43は0〜5の整数を表し、k43が2以上の整数のとき、複数個のR37はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
一般式(21)中、R33、R34で表されるヘテロ環基としてさらに好ましくは、下記の一般式(23)で表されるインドリル基である。
Figure 0004512446
一般式(23)中、R38は置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、R38としてより好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、またはヘテロ環基を表し、k44は0〜4の整数を表し、k44が2以上の整数のとき、複数個のR38はそれぞれ独立して上記の基を表す。R39は水素原子またはC数1〜20のアルキル基を表し、R40はC数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
フタリド系色素前駆体(インドリルフタリド系色素前駆体、アザフタリド系色素前駆体を含む)の具体例としては、3,3−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1、3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−6−ヒドロキシフタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)−6−メトキシフタリド、等が挙げられる。
一般式(21)で示されるフタリド系色素前駆体としてさらに好ましくは、下記の一般式(24)にて示されるトリフェニルメタンフタリド系色素前駆体である。
Figure 0004512446
一般式(24)中、R41、R42、R43はそれぞれ独立に置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、R41、R42、R43の置換基として好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、またはヘテロ環基を表し、k45、k46、k47はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、k45、k46、k47のそれぞれが2以上の整数のとき、複数個のR41、R42、R43はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
トリフェニルメタンフタリド系色素前駆体の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(すなわちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジヘキシルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジオクチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、4−ヒドロキシ‐4’−ジメチルアミノトリフェニルメタンラクトン、4,4’−ビスジヒドロキシ‐3,3’−ビスジアミノトリフェニルメタンラクトン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)−6−メトキシフタリド、等が挙げられる。
フルオラン系色素前駆体として好ましくは下記の一般式(25)にて示される。
Figure 0004512446
一般式(25)中、R44、R45、R46はそれぞれ独立に置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、R44、R45、R46の置換基として好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜14のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、またはヘテロ環基を表し、k48、k49、k50はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、k48、k49、k50のそれぞれが2以上の整数のとき、複数個のR44、R45、R46はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基はさらに置換基を有してもよく、好ましい置換基としてR24にて挙げた基を挙げることができる。
フルオラン系色素前駆体の具体例としては、3−ジエチルアミノ−6−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ)−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−6−キシリジノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシ−6、7−ベンゾフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メトシキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシフルオラン、3,6−ビスジエチルアミノフルオラン、3,6―ジヘキシルオキシフルオラン、3,6−ジクロロフルオラン、3,6−ジアセチルオキシフルオラン等が挙げられる。
ローダミンラクタム系色素前駆体の具体例としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(o−クロロアニリノ)ラクタム等が挙げられる。
スピロピラン系色素前駆体の具体例としては、3−メチル−スピロジナフトピラン、3−エチル−スピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロジナフトピラン、3−ベンジル−スピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロジベンゾピラン、3−フェニル−8’−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、8’−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、4,7,8’−トリメトキシベンゾインドリノスピロピラン等が挙げられる。
さらには、特開2000-281920号公報に開示されているスピロピラン系色素前駆体も具体例として挙げることができる。
また、本発明の酸発色型色素前駆体としては、特開2000−284475公報に開示されている一般式(6)で示されるBLD化合物や特開2000−144004に開示されているロイコ色素、および下記に示した構造のロイコ色素も好適に用いることができる。
Figure 0004512446
特にR−2、R−3が本発明の酸発色型色素前駆体として好ましい。
さらに本発明の色素前駆体は酸(プロトン)付加により発色するロイコシアニン色素であってもよい。ロイコシアニン色素が酸によりシアニン色素として発色する例を以下に示す。
Figure 0004512446
以下に本発明のロイコシアニン色素として好ましい例を示すが、本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 0004512446
本発明の色素前駆体が、少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、酸発生剤を含む時、さらに酸増殖剤を含んでも良い。
本発明の酸増殖剤は、酸が存在しない場合は安定であるのに対し、酸が存在すると分解して酸を放出し、その酸でまた別の酸増殖剤を分解させてまた酸を放出する、というように酸発生剤により発生した小量の酸をトリガーとして酸を増殖する化合物である。
その際、酸増殖剤としては、下記一般式(4−1)〜(4−6)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(4−1)〜(4−6)中、R101はR101OHがpKa5以下の酸となる基を表し、好ましくはpKa3以下の酸となる基を表す。
101はR101OHがスルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸のいずれかである基であることが好ましく、スルホン酸、電子求引性基置換カルボン酸のいずれかであることがより好ましく、その際電子求引性基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはヘテロ環基が好ましい。R101はR101OHがスルホン酸である基であることが最も好ましい。
以下にR101の好ましい具体例を挙げるが本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 0004512446
一般式(4−1)中、R102は2−アルキル−2−プロピル基、2−アリール−2−プロピル基、シクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、ビス(p−アルコキシフェニル)メチル基のいずれかを表し、好ましくは2−アルキル−2−プロピル基、2−アリール−2−プロピル基のいずれかを表し、より好ましくは2−アルキル−2−プロピル基を表し、最も好ましくはt−ブチル基を表す。
一般式(4−1)中、R103、R104はそれぞれ独立に置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、より好ましくはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、さらに好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、最も好ましくはアルキル基を表す。
一般式(4−1)〜(4−6)中、R105、R106、R107、R110、R113 、R116はそれぞれ独立に水素原子または置換基(置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
105、R106、R116は全て水素原子であることがより好ましい。R107、R110、R113はアルキル基であることがより好ましい。
一般式(4−2)中、R108、R109はそれぞれ独立にアルキル基を表し、好ましくはメチル基、エチル基であり、また互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としてはジオキサール環及びジオキサン環が好ましい。
一般式(4−3)中、R111、R112は互いに連結して環を形成するアルキル基を表す。形成する環としては飽和シクロアルカン環が好ましい。
一般式(4−4)中、R114は水素原子またはニトロ基を表し、ニトロ基であることが好ましい。R115は置換基を表し、n101は0〜3の整数を表し、好ましくはn101は0または1であり、より好ましくは0である。
一般式(4−6)中、R117は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、より好ましくはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、さらに好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、最も好ましくはアルキル基を表す。
本発明の酸増殖剤は一般式(4−1)、(4−3)または(4−4)のいずれかで表されることがより好ましく、一般式(4−1)で表されることが最も好ましい。
以下に本発明の酸増殖剤の具体例を示すが本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 0004512446
Figure 0004512446
Figure 0004512446
酸増殖時には加熱することが好ましいため、ホログラム露光後、加熱処理することが好ましい。
次に、本発明のホログラム記録材料における色素前駆体が少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含む場合について説明する。
その際、塩基発生剤とは、増感色素または発色体励起状態からのエネルギー移動または電子移動により塩基を発生することができる化合物である。塩基発生剤は暗所では安定であることが好ましい。本発明における塩基発生剤は、増感色素または発色体励起状態からの電子移動により塩基を発生することができる化合物であることが好ましい。
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
本発明の色素前駆体における塩基発生剤として好ましい例は、先述したアニオン重合開始剤用塩基発生剤と同じである。
なお、アニオン重合と塩基発色型色素前駆体を同時に用いる時は、アニオン重合開始剤と塩基発生剤は同じ化合物がその機能を果たすことが好ましい。
なお、これらの塩基発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
次に、本発明のホログラム記録材料における色素前駆体が少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含む場合における塩基発色型色素前駆体について説明する。
本発明における塩基発色型色素前駆体は、塩基発生剤により発生した塩基により、元の状態から吸収が変化した発色体となることができる色素前駆体である。
本発明の塩基発色型色素前駆体としては、塩基により吸収が長波長化する化合物が好ましく、塩基により無色から発色する化合物がより好ましい。
本発明における塩基発色型色素前駆体は好ましくは解離型色素の非解離体である。なお、解離型色素とは、色素クロモフォア上にpKa12以下、より好ましくはpKa10以下の解離してプロトンを放出しやすい解離基を有しており、非解離型から解離型になることにより、吸収が長波長化、あるいは無色から有色となる化合物のことである。解離基として好ましくは、OH基、SH基、COOH基、PO32基、SO3H基、NR9192+基、NHSO293基、CHR9495基、NHR96基が挙げられる。
ここで、R91、R92、R96はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR3の例と同じ)、好ましくは水素原子またはアルキル基を表す。R93はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR3の例と同じ)、好ましくは置換しても良いアルキル基または置換しても良いアリール基を表し、置換しても良いアルキル基であることがより好ましく、その際、置換基としては電子求引性であることが好ましく、フッ素であることが好ましい。
94、R95は、それぞれ独立に置換基を表す(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)が、電子求引性の置換基が好ましく、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基であることが好ましい。
本発明の解離型色素の解離基としては、OH基、COOH基、NHSO293基、NHR96基、CHR9495基がより好ましく、OH基、CHR9495基がさらに好ましく、OH基が最も好ましい。
本発明における塩基発色型色素前駆体として好ましい解離型色素非解離体としては、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素、解離型キサンテン系色素、解離型フルオラン系色素、解離型トリフェニルアミン型色素の非解離体であり、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素の非解離体であることがさらに好ましい。
以下に、本発明の塩基発色型色素前駆体の例として、解離型色素非解離体の例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004512446
Figure 0004512446
Figure 0004512446
本発明の色素前駆体が、少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、塩基発生剤を含む時、さらに塩基増殖剤を含んでも良い。
本発明の塩基増殖剤は、塩基が存在しない場合は安定であるのに対し、塩基が存在すると分解して塩基を放出し、その塩基でまた別の塩基増殖剤を分解させてまた塩基を放出する、というように塩基発生剤により発生した小量の塩基をトリガーとして塩基を増殖する化合物である。
その際、塩基増殖剤としては、下記一般式(5)で表されることが好ましい。
一般式(5)中、R121、R122はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上置換基として好ましくはR1にて挙げた置換基の例に同じ)、より好ましくは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基を表し、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、またはシクロヘキシル基、それぞれ独立にシクロペンチル基を表す。
121、R122は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
121、R122のより好ましい組み合わせとしては、R121が置換しても良いシクロヘキシル基でR122が水素原子、R121が置換しても良いアルキル基でR122が水素原子、R121、R122が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
123、R124はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子、アリール基またはアリールスルホニル基を表し、より好ましくはアリール基を表す。
123、R124は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはフルオレン環が挙げられる。
125、R126はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子またはアルキル基を表し、より好ましくは水素原子またはメチル基を表す。
n102は0または1の整数を表し、好ましくは1を表す。
本発明の塩基増殖剤はより好ましくは一般式(6−1)または(6−2)で表される。 一般式(6−1)、(6−2)中、R121、R122は一般式(5)と同義である。
本発明の塩基増殖剤は一般式(6−1)で表される化合物であることがより好ましい。
以下に本発明の塩基増殖剤の具体例を示すが本発明はこれに限定されるわけではない。
Figure 0004512446
塩基増殖時には加熱することが好ましいため、本発明のホログラム記録材料において塩基増殖剤を用いる場合は、ホログラム露光後、加熱処理することが好ましい。
次に、本発明の色素前駆体が、増感色素または発色体励起状態との電子移動またはエネルギー移動により共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位と、共有結合している際と放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位が共有結合している化合物である場合について説明する。
その際、本発明の色素前駆体が、少なくとも下記一般式(2)にて表される色素前駆体であることが好ましい。
一般式(2)中、A1とPDは共有結合しており、A1は増感色素または発色体励起状態との電子移動またはエネルギー移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であり、PDはA1と共有結合している際とA1との共有結合が切断されて放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位を表す。
なお、A1は増感色素または発色体励起状態との電子移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であることがより好ましい。
PDとして好ましくは解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素等の解離型色素、またはトリフェニルメタン色素、キサンテン(フルオラン)色素等のいわゆる「ロイコ色素」となりうる色素などのいずれかから成る基であり、これらはクロモフォア上でA1と共有結合で連結している。
PDとしては解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素のいずれかであることがより好ましい。
PDとしては、A1と共有結合している際は無色または淡色、あるいは吸収が短波長で、A1との共有結合が切断されて放出された際は強く着色または吸収が長波長化することが好ましい。
以下にPDの好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004512446
Figure 0004512446
Figure 0004512446
Figure 0004512446
PDはA1と共有結合を作る際、色素クロモフォア上であればA1上のどの部分で共有結合しても良いが、上図で矢印で示した原子でA1と共有結合することが好ましい。
一般式(2)の色素前駆体が一般式(3−1)〜(3−6)のいずれかで表される化合物であることがより好ましい。
一般式(3−1)〜(3−6)中、PDは一般式(2)と同義である。
一般式(3−1)にて、R71は水素原子または置換基(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、より好ましくはt−ブチル基、メチル基、フェニル基であり、さらに好ましくはメチル基またはt−ブチル基である。
72は置換基(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくは電子吸引性基を表し、より好ましくはニトロ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、またはハロゲン原子を表す。a71はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a71が2以上の時、複数のR72は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。a71は好ましくは1または2であり、2位か4位にR72が置換することが好ましい。
一般式(3−2)にて、R73は置換基(置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくは電子吸引性基を表し、より好ましくはニトロ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、またはハロゲン原子を表し、より好ましくはニトロ基を表す。a72はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a72が2以上の時、複数のR73は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。a72は好ましくは1または2であり、a72が1の時、2位に置換することが好ましく、a72が2の時、2位、4位または2位、6位に置換することが好ましく、2位、6位に置換することがより好ましい。
a73は0または1を表す。
一般式(3−3)にて、R74〜R77はそれぞれ独立にアルキル基を表し、好ましくはいずれもメチル基を表す。
一般式(3−4)にて、R78、R79はそれぞれ独立に置換基(以上置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、R79は好ましくはアルコキシ基を表し、より好ましくはメトキシ基を表す。a74、a75はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a74、a75が2以上の時、複数のR78、R79は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。a74、a75は好ましくは0〜2であり、a74はより好ましくは0または1であり、a75はより好ましくは2である。a75が2の際、3位及び5位にR79が置換することが好ましい。
a76は0または1を表す。
一般式(3−5)にて、R80、R81はそれぞれ独立に水素原子または置換基(以上置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、R80とR81は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としてはベンゼン環、ノルボルネン環が好ましい。環を形成しない際はR80、R81共水素原子であることが好ましい。
一般式(3−6)にて、R82、R83はそれぞれ独立に置換基(以上置換基として好ましくはR3にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。R82とR83は互いに連結して環を形成することが好ましく、形成する環としては、フルオレン環、ジベンゾピラン環、テトラヒドロナフタレン環が好ましい。
一般式(2)で表される色素前駆体として好ましくは、一般式(3−1)、(3−2)、(3−4)で表される化合物である。
以下に、一般式(3−1)〜(3−6)で表される本発明の色素前駆体の好ましい例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004512446
Figure 0004512446
Figure 0004512446
なお、本発明の色素前駆体が、少なくとも下記一般式(2)または(3−1)〜(3−6)にて表される色素前駆体であるとき、本発明のホログラム記録材料は、生成する解離型色素を解離させる目的で、必要によりさらに塩基を含むことも好ましい。塩基は有機塩基でも無機塩基でも良く、好ましくは例えば、アルキルアミン類、アニリン類、イミダゾール類、ピリジン類、炭酸塩類、水酸化物塩類、カルボン酸塩類、金属アルコキシドなどが挙げられる。あるいは、それらの塩基を含むポリマーも好ましく挙げられる。
次に、本発明の色素前駆体が増感色素または発色体励起状態との電子移動により反応し吸収形を変化させることができる化合物である場合を説明する。
前記を起こすことができる化合物は、いわゆる「エレクトロクロミック化合物」として総称されている。
本発明で色素前駆体として用いるエレクトロクロミック化合物として好ましくは、ポリピロール類(好ましくは例えばポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(N−メチルインドール)、ポリピロロピロール)、ポリチオフェン類(好ましくは例えばポリチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリジチエノチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン)、ポリアニリン(好ましくは例えばポリアニリン、ポリ(N−ナフチルアニリン)、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(アニリン−m−スルホン酸)、ポリ(2−メトキシアニリン)、ポリ(o−アミノフェノール)、ポリ(ジアリルアミン))、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、Coピリジノポルフィラジン錯体、Niフェナントロリン錯体、Feバソフェナントロリン錯体である。
またさらに、ビオローゲン類、ポリビオローゲン類、ランタノイドジフタロシアニン類、スチリル色素類、TNF類、TCNQ/TTF錯体類、Ruトリスビピリジル錯体類等のエレクトロクロミック材料も好ましい。
色素前駆体が増感色素または発色体励起状態との電子移動により反応し吸収形を変化させることができる化合物である場合、本発明の色素前駆体は少なくとも下記一般式(7)で表わされる色素前駆体であることが好ましい。
一般式(7)中、R131は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた例に同じ)、好ましくはアルキル基を表す。
X131は−O−、−S−、−NR135−、−CR136137−のいずれかを表し、R135は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた例に同じ)、好ましくはアルキル基を表す。R136、R137はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基のいずれかを表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた例に同じ)、好ましくはアルキル基を表し、より好ましくは共にメチル基を表す。X131は好ましくは−CR136137−を表す。
132、R133はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた例に同じ)、好ましくは水素原子である。
134は置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた例に同じ)、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシアノ基を表す。
n131は0から4までの整数を表し、好ましくは0または1を表す。
以下に一般式(7)で表される本発明の色素前駆体の好ましい例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0004512446
本発明の色素前駆体群は市販品であるか、あるいは公知の方法により合成することができる。
本発明のホログラム記録材料には、増感色素または発色体のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物、もしくは増感色素または発色体のラジカルアニオンを酸化する能力を有する電子受容性化合物を好ましく用いることができる。
電子供与性化合物として好ましくは例えば、アルキルアミン類(好ましくは例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N、N−ジメチルドデシルアミン、トリエタノールアミン、トリエトキシエチルアミン)、アニリン類(好ましくは例えば、N、N−ジオクチルアニリン、N、N−ジメチルアニリン、4−メトキシ−N、N−ジブチルアニリン、2−メトキシ−N、N −ジブチルアニリン)、フェニレンジアミン類(好ましくは例えば、N、N、N’、N’−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、N、N、N’、N’−テトラメチル−1,2−フェニレンジアミン、N、N、N’、N’―テトラエチル−1,3−フェニレンジアミン、N,N’−ジブチルフェニレンジアミン)、トリフェニルアミン類(好ましくは例えばトリフェニルアミン、トリ(4−メトキシフェニル)アミン、トリ(4−ジメチルアミノフェニル)アミン、TPD)、カルバゾール類(好ましくは例えば、N−ビニルカルバゾール、N−エチルカルバゾール)、フェノチアジン類(好ましくは例えば、N−メチルフェノチアジン、N−フェニルフェノチアジン)、フェノキサジン類(好ましくは例えば、N−メチルフェノキサジン、N−フェニルフェノキサジン)、フェナジン類(好ましくは例えば、N、N’−ジメチルフェナジン、N、N’−ジフェニルフェナジン)、ハイドロキノン類(好ましくは例えば、ハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジクロロハイドロキノン、2,3,4,5−テトラクロロハイドロキノン、2、6−ジクロロ−3、5−ジシアノハイドロキノン、2、3−ジクロロ−5、6−ジシアノハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、カテコール類(好ましくは例えば、カテコール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン)、アルコキシベンゼン類(好ましくは例えば、1,2−ジメトキシベンゼン、1,2−ジブトキシベンゼン、1,2,4−トリブトキシベンゼン、1,4−ジヘキシルオキシベンゼン)、アミノフェノール類(好ましくは例えば、4−(N、N−ジエチルアミノ)フェノール、N−オクチルアミノフェノール)、イミダゾール類(好ましくは例えば、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−オクチルイミダゾール、N−ブチル−2−メチルイミダゾール)、ピリジン類(好ましくは例えばピリジン、ピコリン、ルチジン、4−t−ブチルピリジン、4−オクチルオキシピリジン、4−(N、N−ジメチルアミノ)ピリジン、4−(N、N−ジブチルアミノ)ピリジン、2−(N−オクチルアミノ)ピリジン)、メタロセン類(好ましくは例えば、フェロセン、チタノセン、ルテノセン)、金属錯体類(好ましくは例えば、Ruビスビピリジン錯体類、Cuフェナントロリン錯体類、Coトリスビピリジン錯体類、FeEDTA錯体類、他にもRu、Fe、Re、Pt、Cu、Co、Ni、Pd、W、Mo、CR、Mn、IR、Ag錯体等)、半導体微粒子(好ましくは例えば、Si、CdSe、GaP、PbS、ZnS)等が挙げられる。電子供与性化合物としてはより好ましくはフェノチアジン類が挙げられ、最も好ましくはN−メチルフェノチアジンが挙げられる。
一方、電子受容性化合物として好ましくは例えば、電子求引性基が導入された芳香族化合物(好ましくは例えば、1,4−ジニトロベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、4,5−ジクロロ−1,2−ジシアノベンゼン、4−ニトロ−1,2−ジシアノベンゼン、4−オクタンスルホニル−1,2−ジシアノベンゼン、1,10−ジシアノアントラセン)、ヘテロ環化合物または電子求引性基が導入されたヘテロ環化合物(好ましくは例えば、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ジクロロピラジン、3−シアノピラゾール、4,5−ジシアノ−1−メチル−2−オクタノイルアミノイミダゾール、4,5−ジシアノ−イミダゾール、2,4−ジメチル−1,3,4−チアジアゾール、5−クロロ−3−フェニル−1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、2−クロロベンゾチアゾール、N−ブチル−1,2,4−トリアゾール)、N−アルキルピリジニウム塩類(好ましくは例えば、N−ブチルピリジニウムヨージド、N−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ブチル−3−エトキシカルボニル−ピリジニウムブタンスルホネート、N−オクチル−3−カルバモイルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチルビオローゲンジ(ヘキサフルオロホスフェート)、N,N−ジフェニルビオローゲンビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、ベンゾキノン類(好ましくは例えば、ベンゾキノン、2,5−ジメチルベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、2,3,4,5−テトラクロロベンゾキノン、2、6−ジクロロ−3、5−ジシアノベンゾキノン、2、3−ジクロロ−5、6−ジシアノベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン)、イミド類(好ましくは例えば、N,N’−ジオクチルピロメリットイミド、4−ニトロ−N−オクチルフタルイミド)、金属錯体類(好ましくは例えば、Ruトリスビピリジン錯体類、Ruビスビピリジン錯体類、Coトリスビピリジン錯体類、CRトリスビピリジン錯体類、PtCl6錯体類、他にもRu、Fe、Re、Pt、Cu、Co、Ni、Pd、W、Mo、CR、Mn、IR、Ag錯体等)、半導体微粒子(好ましくは例えば、TiO2、Nb25、ZnO、SnO2、Fe23、WO3 )等が挙げられる。
電子供与性化合物の酸化電位は増感色素または発色体の酸化電位、もしくは増感色素または発色体の励起状態の還元電位よりも卑(マイナス側)であることが好ましく、電子受容性化合物の還元電位は増感色素または発色体の還元電位、もしくは増感色素または発色体の励起状態の酸化電位よりも貴(プラス側)であることが好ましい。
次に本発明のホログラム記録材料における重合性化合物について説明する。
本発明のホログラム記録材料においては、重合性化合物とバインダーの屈折率が異なることが好ましい。その結果、第2の工程(場合により第1の工程も)により起こる光重合によって、干渉明部(増幅部)と干渉暗部(非増幅部)にて重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こり、屈折率変調による干渉縞記録が可能になる。
重合性化合物とバインダーの屈折率の違いは、重合性化合物の方がより屈折率が大きくても、バインダーの方がより屈折率が大きくてもどちらでも構わないが、重合性化合物の方がバインダーよりも屈折率が大きいことがより好ましい。
屈折率変調を大きくするためには重合性化合物とバインダーのバルクでの屈折率差は大きいことが好ましく、屈折率差は0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましく、より好ましくは、重合性化合物が少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、バインダーはそれらを含まないことが好ましい。
また、屈折率変調を大きくするためには、ホログラム記録材料中、重合性化合物が移動しやすいことが好ましい。
本発明の重合性化合物とは、増感色素(または発色体)と重合開始剤に光を照射することにより発生したラジカルまたは酸(ブレンステッド酸またはルイス酸)により、付加重合を起こしてオリゴマーまたはポリマー化が可能な化合物のことである。
本発明の重合性化合物としては、単官能性でも多官能性でも良く、一成分でも多成分でも良く、モノマー、プレポリマー(例えばダイマー、オリゴマー)でもこれらの混合物でもいずれでも良いが、モノマーであることが好ましい。
また、その形態は、室温において液状であっても固体状であっても良いが、沸点100℃以上の液状であるか、沸点100℃以上の液状モノマーと固体状モノマーの混合物であることが好ましい。
本発明の重合性化合物は、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオンまたはアニオン重合可能な重合性化合物に大別される。
以下に、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオンまたはアニオン重合可能な重合性化合物ごとに、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて好ましい重合性化合物の例を説明する。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のラジカル重合性化合物の好ましい例
この場合、ラジカル重合性化合物は屈折率が高いことが好ましく、本発明の高屈折率ラジカル重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を分子中に有し、さらに少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含む化合物が好ましく、また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
高屈折率ラジカル重合性モノマーとして好ましくは、スチレン、2−クロロスチレン、2−ブロモスチレン、メトキシスチレン、アクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチル、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート又はジメタクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ポリオキシエチル−2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジメタクリレート、ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、エトキシ化ビスフェノール−Aジアクリレート、ビスフェノール−Aのジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−Aのジ(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラクロロ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−Aのジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、テトラブロモ−ビスフェノール−Aのジ(2−メタクリロキシエチル)エーテル、ジフェノール酸のジ(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)エーテル、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5−トリイソプロペニルベンゼン、ベンゾキノンモノメタクリレート、アクリル酸2−〔β−(N−カルバジル)プロピオニロキシ〕エチル、フェニルチオアクリレート、4−ヨードフェニルアクリレートなどが挙げられ、より好ましくはアクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸フェノールエトキシレートアクリレート、アクリル酸2−(p−クロロフェノキシ)エチル、アクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−フェニルエチル、ビスフェノール−Aのジ(2−アクリロキシエチル)エーテル、エトキシル化ビスフェノール−Aジアクリレート、並びにアクリル酸2−(1−ナフチロキシ)エチルなどが挙げられる。
本発明において有用である重合性化合物は液体であるが、それらはN−ビニルカルバゾール、H.カモガワらによりJouRnal of PolymeR Science:PolymeR ChemistRyEdition,18巻、9〜18頁(1979)に開示されているようなエチレン系不飽和カルバゾールモノマー、アクリル酸2−ナフチル、アクリル酸ペンタクロロフェニル、アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、ビスフェノール−Aジアクリレート、アクリル酸2−(2−ナフチロキシ)エチル、並びにN−フェニルマレイミドのような第2の固体重合性化合物と混合して使用してよい。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のラジカル重合性化合物の好ましい例
この場合、ラジカル重合性化合物は屈折率が低いことが好ましく、本発明の低屈折率ラジカル重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を分子中に有し、さらにアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まないことが好ましい。
また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
低屈折率ラジカル重合性モノマーとして好ましくは、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソ−ボルニル、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメタクリレート及び米国特許3,380,831中開示されている類縁化合物、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパンジアクリレート(462)、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、フマル酸ジアリル、アクリル酸1H,1H−パーフロロオクチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチル、並びに1−ビニル−2−ピロリジノンなどが挙げられ、より好ましくは、デカンジオールジアクリレート、アクリル酸イソ−ボルニル、トリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸エトキシエトキシエチル、エトキシル化トリメチロールプロパンのトリアクリレートエステル、並びに1−ビニル−2−ピロリジンなどが挙げられる。
有用である重合性化合物は液体であるが、それらは、第2の固体重合性化合物モノマー、例えばN−ビニルカプロラクタム等と混合して使用してよい。
本発明のカチオン重合性化合物は、増感色素または発色体とカチオン重合開始剤により発生した酸により重合が開始される化合物で、本発明のアニオン重合性化合物は増感色素または発色体とアニオン重合開始剤により発生した塩基により重合が開始される化合物であり、例えば「ケムテク・オクト・(Chemtech.Oct.)」[J.V.クリベロ(J.V.CRivello)、第624頁、(1980)]、特開昭62−149784号公報、日本接着学会誌[第26巻、No.5, 第179−187頁(1990)]などに記載されているような化合物が挙げられる。
本発明のカチオン重合性化合物として好ましくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N−ビニルカルバゾール部位を分子中に少なくとも1個以上有する化合物であり、より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
本発明のアニオン重合性化合物として好ましいくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N−ビニルカルバゾール部位、電子吸引性置換基を備えるエチレン性二重結合部位、ラクトン部位、ラクタム部位、環状ウレタン部位、環状尿素部位、または、環状シロキサン部位を分子中に少なくとも1個以上有する化合物であり、より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のカチオンまたはアニオン重合性化合物の好ましい例
この場合、カチオンまたはアニオン重合性化合物は屈折率が高いことが好ましく、本発明の高屈折率カチオンまたはアニオン重合性化合物としては、少なくとも1個のオキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル、N−ビニルカルバゾール部位を分子中に有し、さらに少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含む化合物が好ましく、少なくとも1個のアリール基を含むことが好ましい。また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
オキシラン環を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーとして好ましくは、フェニルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、4,4'−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、p−ブロモスチレンオキサイド、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテルなどが挙げられる。1,3-ビス(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)エチル)−1,3,−ジフェニル−1,3,−ジメチルジシロキサンなどが挙げられる。
また他に、以下に挙げられる化合物も高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーとして好ましい。
Figure 0004512446
オキセタン環を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては、前記のオキシラン環を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例のオキシラン環をオキセタン環に置き換えた化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル基部位を有する高屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては例えば、ビニル−2−クロロエチルエーテル、4−ビニルエーテルスチレン、ハイドロキノンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、フェノキシエチレンビニルエーテル、p−ブロモフェノキシエチレンビニルエーテルなどが挙げられる。
他に、N−ビニルカルバゾールも高屈折率カチオン重合性モノマーとして好ましい。
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のカチオンまたはアニオン重合性化合物の好ましい例
この場合、カチオンまたはアニオン重合性化合物は屈折率が低いことが好ましく、本発明の低屈折率カチオンまたはアニオン重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を分子中に有し、さらにアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を一切含まない化合物が好ましい。また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
オキシラン環を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては、、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールモノグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル)アジペート、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン、1,2,5,6−ジエポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3',4'−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス( 3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4',5'−エポキシ−2'−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また他に、以下に挙げられる化合物も低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーとして好ましい。
Figure 0004512446
オキセタン環を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては、前記のオキシラン環を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例のオキシラン環をオキセタン環に置き換えた化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル基部位を有する低屈折率カチオンまたはアニオン重合性モノマーの具体例としては例えば、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、エチレングリゴールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルグリコール、ネオペンチルグリコールモノビニルグリコール、グリセロールジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジグリセロールトリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、アリルビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)プロパンジビニルエーテル、2,2−ビス(4−シクロヘキサノール)トリフルオロプロパンジビニルエーテルなどが挙げられる。
本発明のホログラム記録材料におけるバインダーは重合前の組成物の成膜性、膜厚の均一性、保存時安定性を向上させる等の目的で通常使用される。バインダーとしては、重合性化合物、重合開始剤、増感色素または発色体と相溶性の良いものが好ましい。
バインダーとしては、溶媒可溶性の熱可塑性重合体が好ましく、単独又は互いに組合せて使用することができる。
また、バインダーはラジカル重合やカチオン重合が起こる際に反応しうる反応性バインダーであっても良い。その際は、具体的にはエチレン性不飽和基やオキシラン環等を有する反応性オリゴマーが好ましい。
先述したように本発明のバインダーは重合性化合物と屈折率が違うことが好ましく、重合性化合物の方がより屈折率が大きくても、バインダーの方がより屈折率が大きくてもどちらでも構わないが、重合性化合物の方がバインダーよりも屈折率が大きいことがより好ましい。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましく、より好ましくは、重合性化合物が少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、バインダーはそれらを含まないことが好ましい。
以下に、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて好ましいバインダーの例を説明する。
A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合のバインダーの好ましい例。
好ましい低屈折率バインダーの具体例としては、アクリレート及びアルファ−アルキルアクリレートエステル及び酸性重合体及びインターポリマー(例えばポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体及びほぼ4,000〜1,000,000の重量平均分子量を有するポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化物(例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物)、ポリアミド(例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアジパミド)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルベンジルセルロース)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、米国特許3,458,311中及び米国特許4,273,857中に開示されている酸含有重合体及び共重合体、並びに米国特許4,293,635中開示されている両性重合体バインダーなどが挙げられ、より好ましくはセルロースアセテートブチレート重合体、セルロースアセテートラクテート重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/メタクリル酸及びメタクリル酸メチル/アクリル酸共重合体を含むアクリル系重合体及びインターポリマー、メタクリル酸メチル/アクリル酸又はメタクリル酸C2〜C4アルキル/アクリル酸又はメタクリル酸の3元重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、並びにそれらの混合物などが挙げられる。
また、フッ素原子含有高分子も低屈折率バインダーとして好ましい。好ましいものとしては、フルオロオレフィンを必須成分とし、アルキルビニルエーテル、アリサイクリックビニルエーテル、ヒドロキシビニルエーテル、オレフィン、ハロオレフィン、不飽和カルボン酸およびそのエステル、およびカルボン酸ビニルエステルから選ばれる1種もしくは2種以上の不飽和単量体を共重合成分とする有機溶媒に可溶性の重合体である。好ましくは、その重量平均分子量が5,000から200,000で、またフッ素原子含有量が5ないし70質量%であることが望ましい。
フッ素原子含有高分子におけるフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが使用される。また、他の共重合成分であるアルキルビニルエーテルとしては、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなど、アリサイクリックビニルエーテルとしてはシクロヘキシルビニルエーテルおよびその誘導体、ヒドロキシビニルエーテルとしてはヒドロキシブチルビニルエーテルなど、オレフィンおよびハロオレフィンとしてはエチレン、プロピレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなど、カルボン酸ビニルエステルとしては酢酸ビニル、n−酪酸ビニルなど、また不飽和カルボン酸およびそのエステルとしては(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸のC1 からC18のアルキルエステル類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC2からC8のヒドロキシアルキルエステル類、およびN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらラジカル重合性単量体はそれぞれ単独でも、また2種以上組み合わせて使用しても良く、更に必要に応じて該単量体の一部を他のラジカル重合性単量体、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリルなどのビニル化合物と代替しても良い。また、その他の単量体誘導体として、カルボン酸基含有のフルオロオレフィン、グリシジル基含有ビニルエーテルなども使用可能である。
前記したフッ素原子含有高分子の具体例として、例えば水酸基を有する有機溶媒可溶性の「ルミフロン」シリーズ(例えばルミフロンLF200、重量平均分子量:約50,000、旭硝子社製)が挙げられる。この他にも、ダイキン工業(株)、セントラル硝子(株)、ペンウオルト社などからも有機溶媒可溶性のフッ素原子含有高分子が市販されており、これらも使用することができる。
またポリ(ジメチルシロキサン)などのケイ素化合物や芳香族を含まないシリコンオイル等も好ましい例として挙げられる。
また他に、以下に挙げられるエポキシオリゴマー化合物も低屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
Figure 0004512446
B)屈折率:バインダー>重合性化合物の場合のバインダーの好ましい例。
好ましい高屈折率バインダーの具体例としては、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニル及び共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH2)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸、(3)テレフタル酸及びセバシン酸、(4)テレフタル酸及びイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコール及び(i)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸及び(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸及びアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾール及びその共重合体、並びにH.カモガワらによりJouRnal of PolymeR Science:Polymer Chemistry Edition,18巻、9〜18頁(1979)中開示されているようなカルバゾール含有重合体、ビスフェノールと炭酸エステルからなるポリカーボネートなどが挙げられ、より好ましくはポリスチレン、ポリ(スチレン/アクリロニトリル)、ポリ(スチレン/メタクリル酸メチル)、並びにポリビニルベンザル及びそれらの混合物などが挙げられる。
本発明のホログラム記録材料は、必要により連鎖移動剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の添加物を適宜用いることができる。
またポリ(メチルフェニルシロキサン)や、1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシロキサンなどのケイ素化合物、芳香族を多く含むシリコンオイル等も好ましい例として挙げられる。
また他に、以下に挙げられるエポキシオリゴマー化合物も高屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
Figure 0004512446
本発明のホログラム記録材料は連鎖移動剤を用いる方が好ましい場合がある。好ましい連鎖移動剤としてはチオール類であり、例えば、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、4,4−チオビスベンゼンチオール、p−ブロモベンゼンチオール、チオシアヌル酸、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、p−トルエンチオールなど、また、米国特許第4414312号や特開昭64−13144号記載のチオール類、特開平2−291561号記載のジスルフィド類、米国特許第3558322号や特開昭64−17048号記載のチオン類、特開平2−291560号記載のO−アシルチオヒドロキサメートやN−アルコキシピリジンチオン類なども挙げられる。
特に重合開始剤が2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーの場合は連鎖移動剤を用いることが好ましい。
連鎖移動剤の使用量は、組成物全体に対して1.0〜30質量%が好ましい。
本発明のホログラム記録材料には、保存時の保存性を向上させるために熱安定剤を添加することができる。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2-ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。Pazos氏の米国特許第4,168,982号中に述べられた、ジニトロソダイマ類もまた有用である。
可塑剤はホログラム記録材料の接着性、柔軟性、硬さ、およびその他の機械的諸特性を変えるために用いられる。可塑剤としては例えば、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、ジエチルセバケート、ジブチルスベレート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフタレート等が挙げられる。
本発明のホログラム記録材料中の各成分の割合は、一般的に組成物の全質量を基準に以下の%の範囲内であることが好ましい。
バインダー:好ましくは0〜90質量%、より好ましくは35〜75質量%、
重合性化合物:好ましくは5〜60%、より好ましくは15〜50質量%、
重合開始剤:好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%
色素前駆体群:好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、
増感色素:好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%
電子供与性化合物または電子受容性化合物:好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%
本発明のホログラム記録材料は通常の方法で調製されてよい。
例えば本発明のホログラム記録材料の製膜方法としては、前記バインダーや各成分を溶媒等に溶かしてスピンコーターまたはバーコーター等を用いて塗布しても良い。
その際、溶媒としては好ましくは例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒などが挙げられる。
本発明のホログラム記録材料は、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストしついで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらによりホログラム記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
また、本発明のホログラム記録材料は、各成分を含むバインダーをバインダーのガラス転移温度または融点以上の温度にしてメルトさせ溶融押し出しまたは射出成型して製膜しても良い。その際、バインダーとして反応性架橋バインダーを使用し、押し出しまたは成型後に架橋させて膜を硬化させ、膜強度を増しても良い。その場合、架橋反応にはラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。また、特開2000−250382号、特開2000−172154号等記載の方法も好ましく使用することができる。
また、バインダーを形成するモノマー溶液に各成分を溶解させておいた上でモノマーを熱重合または光重合させてポリマーとし、バインダーとして使用する方法も好ましく使用できる。その際の重合法としても、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。
さらに、ホログラム記録材料の上に、酸素遮断のための保護層を形成してもよい。保護層は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布してもよい。また、ガラス板を貼合わせてもよい。また、保護層と感光膜の間および/または、基材と感光膜の間に、気密性を高めるために粘着剤または液状物質を存在させてもよい。
本発明のホログラム記録材料をホログラフィック光メモリ用途に用いる場合、ホログラム記録材料はホログラム記録前後で収縮等が起こらない方が信号再生時のS/N比向上の点でより好ましい。
そのため、例えば本発明のホログラム記録材料に特開2000−86914号記載の膨張剤を用いたり、特開2000−250382号、2000−172154、特開平11−344917号記載の耐収縮性のあるバインダーを用いることも好ましい。
また、特開平3−46687号、5−204288号、特表平9−506441号等記載の拡散要素を用いて干渉縞間隔を調節することも好ましい。
本発明のホログラム記録材料として好ましい組み合わせとしては、以下が挙げられる。
1)重合開始剤が酸発生剤であり、重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、色素前駆体が酸発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる酸発生剤である組み合わせ。
2)重合開始剤が酸及びラジカル発生剤であり、重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、色素前駆体が酸発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる酸発生剤である組み合わせ。
3)重合開始剤が塩基発生剤であり、重合性化合物がアニオン重合性化合物であり、色素前駆体が塩基発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる塩基発生剤である組み合わせ。
4)重合開始剤がラジカル発生剤であり、重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、色素前駆体が一般式(7)で表される化合物である組み合わせ。
5)重合開始剤がカチオン発生剤であり、重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、色素前駆体が一般式(7)で表される化合物である組み合わせ。
6)重合開始剤がラジカル発生剤であり、重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、色素前駆体が一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする組み合わせ。
7)重合開始剤がアニオン発生剤であり、重合性化合物がアニオン重合性化合物であり、色素前駆体が一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする組み合わせ。
特許文献1〜3、5〜8のような公知の通常のフォトポリマーでは多重記録を行うと、多重記録後半の方では重合がかなり進んだ所に記録することとなるため、多重記録前半に比べて、同じ信号を記録するにも露光時間を必要とする(感度が低下)することとなり、システム設計上重大な問題とされていた。つまり、露光量に対して、屈折率変調量がリニアに上昇する範囲が非常に狭いことが問題とされたいた。
それに対し、本発明の方法は、ホログラム露光(第一の工程)の際に重合反応をほとんど伴わなわず、第2の工程の全面露光にて一括して重合による屈折率変調を行うために、多くの多重記録が可能であり、さらに、多重記録の際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま、つまり露光量に対して屈折率変調量がリニアに上昇しながら多重記録することができるため、広いダイナミックレンジを取ることができる。このように、潜像増幅方式を用いる本発明の方式は、上記多重記録適性の点で大変有利である。
これは、高容量化、記録システム簡略化、S/N比向上等の点で好ましい。
しかもホログラム露光により潜像を形成する第1の工程と、その潜像を増幅して屈折率変調を行うことにより干渉縞を形成する第2の工程を有する本発明のホログラム記録方法では、公知の方式に比べて非常に高感度での記録が可能である。
一方、特許文献4で開示されている、アゾベンゼン高分子のように複屈折率を有する化合物の配向変化による記録方法に比べて、本発明の方式は量子収率が高いために高感度であり、さらに、ホログラム記録時、または記録後の熱または光定着時あるいは第1、第2の工程にて増感色素を分解することにより非破壊再生も可能となるため、保存性にも優れている。
以上のように、本発明のホログラム記録材料は、前述の課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と良保存性、乾式処理、多重記録特性を両立できる全く新しい記録方式を与えるものであり、特に、光記録媒体(ホログラフィック光メモリ)に用いることが好ましい。
なお、本発明のホログラム記録材料を光記録媒体に用いる際は、保存時ホログラム記録材料は遮光カートリッジ内に保存されていることが好ましい。
また、記録光及び再生光波長以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターをホログラム記録材料の表面、裏面またはその両面に備え付けていることも好ましい。
本発明のホログラム記録材料を光記録媒体に用いる際は、光記録媒体はディスク状でもカード状でもテープ状であっても良くいかなる形状であっても良い。
さらに、本発明のホログラム記録材料は、光記録媒体の他にも、3次元ディスプレイホログラム、ホログラフィック光学素子(HOE、例えば、自動車搭載用のヘッドアップディスプレイ(HUD)、光ディスク用ピックアップレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、液晶用カラーフィルター、反射型液晶反射板、レンズ、回折格子、干渉フィルター、光ファイバー用結合器、ファクシミリ用光偏光器、建築用窓ガラス)、書籍、雑誌等の表紙、POPなどのディスプレイ、ギフト、偽造防止用のセキュリティ目的としてクレジットカード、紙幣、包装などに好ましく用いることができる。
[実施例]
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
赤色灯下にて、表1に示した増感色素、電子供与性化合物、色素前駆体群+重合開始剤、重合性化合物及びバインダーを2〜5倍量の塩化メチレン(必要によりアセトン、アセトニトリル、メタノールを一部使用)溶解し、ホログラム記録材料101〜106を調液した。なお、%は質量%を示す。
Figure 0004512446
Figure 0004512446
このホログラム記録材料101〜106を厚さが約80μmになるようにブレードを用いてガラス基板に塗布(必要により重ね塗り)し感光層を形成した後、40℃で3分間加熱乾燥して溶媒を留去した。さらに感光層上をTAC膜で覆うことにより、ホログラム記録材料101〜106を作製した。なお、比較例として特開平6−43634号実施例1のラジカル重合フォトポリマー方式ホログラム記録材料を作製した。
ホログラム記録材料を、図1に示す透過型ホログラム記録用の2光束光学系により、光源としてYAGレーザー2倍波(532nm、出力2W)を用いて露光し記録した。物体光と参照光のなす角は30度である。ビームは0.6cmの直径と8mW/cm2の強度を有しており、ホログラフィー露光時間を0.1〜40秒の範囲(照射エネルギーにして0.8〜320mJ/cm2の範囲)変化させて露光し、(第1の工程)He−Neレーザー632nmのビームをブラック角にて露光領域の中心に通し、その入射光に対する回折光の比(回折効率)を実時間で測定した。さらにそれぞれについて、370〜410nmの波長範囲の光を全面照射し(第2の工程)、回折効率を測定した。
以上、ホログラム記録材料101〜106における、第1の工程のホログラム露光後の回折効率、第2の工程の光照射後の最大回折効率及び収縮率(記録前後の膜厚比で計算)の評価結果を表2に示す。
Figure 0004512446
増幅率は第2の工程を用いずに第1の工程で最大回折効率を出すのに必要な照射光量を、第2の工程を用いる場合に第1の工程に必要な照射光量で割ったもの、と定義する。
表2より本発明のホログラム記録材料においては、第1の工程に照射する光量は第2の工程を用いる場合に比べて1/5〜1/7にすることができる。第2の工程は一括露光が可能なため、第2の工程における第1の工程の発色体を潜像として重合を起こすことによる屈折率変調記録の増幅により、第1の工程の短縮化つまり高感度化が可能であることがわかる。当然ながら公知の材料では、そのような増幅による高感度化は不可能である。
さらに、本発明のホログラム記録材料は第1の工程後及び第2の工程後共、露光量(mJ/cm2)に応じてリニアーにΔn(屈折率変調量、回折効率と膜厚からクーゲルニックの式に基づいて計算)が上昇し、多重記録の際有利であることもわかった。
実際に、本発明のホログラム記録材料を用い、前記第1の工程における露光量の10分の1の光量で、参照光の角度を2度ずつ変えて同じ場所に10回の多重記録を行った後(第1の工程)、370〜410nmの波長範囲の光を全面照射して(第2の工程)ホログラム多重記録を行った後、再生光の角度を2度ずつ変更して照射することによりそれぞれの物体光を再生することが可能なことを確かめた。つまり、本発明のホログラム記録材料は同じ露光量にて多重記録が可能であり、多重記録適正を有していることがわかる。つまり本発明のホログラム記録材料は数多くの多重記録が可能であり、高密度(容量)記録が可能である。
それに対し、特開平6−43634号をはじめとする公知のフォトポリマー方式ホログラム記録材料は、多重記録後期はフォトポリマーの重合が進んで記録に必要なモノマーの移動が遅くなり、同じ記録を行うのに際し初期に比べて、より多くの照射光量を必要とすることがわかり、多重度つまり記録密度を向上させるに際し問題であることがわかった。
本発明のホログラム記録方法は、ホログラム記録(第1の工程)に重合ではなく発色反応をしかも潜像として用いるために前記のようなことが起こらず、公知のフォトポリマー方式に対して優れている。
なお、ホログラム記録材料(試料)101〜106にて、増感色素をD−1、D−8、D−17、D−22、D−31、D−33、D−34、D−46、D−49、D−50、D−55、D−74、D−87、D−91、D−93、D−94、D−95、D−97、D−100、D−101、D−107、D−116、D−117、D−119、D−120、D−121、D−122に変更しても、
さらに、試料101、102にて色素前駆体の酸発生剤(兼カチオンまたはラジカル重合開始剤)を2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、4−ジエチルアミノフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロペンタノエート、ビス(1−(4−ジフェニルスルホニウム)フェニルスルフィドジトリフラート、ベンゾイントシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、N−トシルフタル酸イミド、I−101、I−102、I−103に変更しても、試料101、102にて色素前駆体群の酸発色型色素前駆体をR−1、R−2、R−4、R−6、R−7に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料103、106にて色素前駆体群の塩基発生剤(兼アニオン重合開始剤)を、PB−4、PB−8、PB−10、PB−12、PB−13、PB−19、PB−22、PB−32、PB−33、PB−52に変更しても、試料103にて塩基発色型色素前駆体(解離型色素非解離体)をDD−1、DD−4、DD−7、DD−10、DD−16、DD−23、DD−25、DD−35、DD−39、DD−43、DD−47、DD−48、DD−49に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料104、105にて、ラジカル重合開始剤をイルガキュア651、I−2、I−4、I−12、I−18、I−19、I−22、I−32、CDM−HABI、TCTM−HABI、テトラブチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルボレート等に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料105、106にて色素前駆体をE−4、E−5、E−13、E−15、E−16、E−18、E−24、E−25、E−28、E−29、E−32、E−33、E−37、E−38、E−42、E−44に変更しても同様な効果が得られた。
なお、上記の際、全面露光を行う光はそれぞれの系にて最適な波長を用いた。
ホログラム露光用の2光束光学系を説明する概略図である。
符号の説明
10 YAGレーザー
12 レーザービーム
14 鏡
20 ビームスプリッター
22 ビームセグメント
24 鏡
26 空間フィルター
40 ビームエクスパンダー
30 ホログラム記録材料
28 試料
32 He−Neレーザービーム
34 He−Neレーザー
36 検出器
38 回転ステージ

Claims (17)

  1. 少なくとも、ホログラム露光により潜像を生成する第1の工程と、その潜像の存在により重合が起こることによって干渉縞を屈折率変調として形成する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うホログラム記録方法により記録するホログラム記録材料であって、少なくとも、
    1)第1の工程のホログラム露光により光を吸収し励起状態を生成しうる増感色素、
    2)第1の工程において生成した増感色素励起状態から、または第2の工程において生成した発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体、
    3)第1の工程において生成した増感色素励起状態から、または第2の工程において生成した発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
    4)重合性化合物、および
    5)バインダー、
    を有することを特徴とするホログラム記録材料。
  2. 請求項1にて、ホログラム記録材料が増感色素のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物を有することを特徴とする請求項1記載のホログラム記録材料。
  3. 請求項2にて、電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする請求項2記載のホログラム記録材料。
  4. 前記重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、光重合により干渉明部と干渉暗部において重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調によるホログラム記録が可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホログラム記録材料。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のホログラム記録材料を用いることを特徴とする光記録媒体。
  6. 前記光記録媒体が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする請求項記載の光記録媒体。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のホログラム記録材料を用いることを特徴とする3次元ディスプレイホログラム。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載のホログラム記録材料を用いることを特徴とするホログラフィック光学素子。
  9. 少なくとも、ホログラム露光により潜像を生成する第1の工程と、その潜像の存在により重合が起こることによって干渉縞を屈折率変調として形成する第2の工程を有し、それらを乾式処理にて行うホログラム記録方法であって、
    少なくとも、
    1)第1の工程のホログラム露光により光を吸収し励起状態を生成しうる増感色素、
    2)第1の工程において生成した増感色素励起状態から、または第2の工程において生成した発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつホログラム再生光波長に吸収を有さない発色体となることができる色素前駆体、
    3)第1の工程において生成した増感色素励起状態から、または第2の工程において生成した発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
    4)重合性化合物、および
    5)バインダー、
    を有するホログラム記録材料に記録することを特徴とするホログラム記録方法。
  10. 第2の工程が光照射、熱印加のいずれかであることを特徴とする請求項9のホログラム記録方法。
  11. 前記第1の工程が潜像としてホログラム再生光波長に吸収のない発色体を生成する工程であり、第2の工程がその発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより重合を起こし、干渉縞を屈折率変調として記録する工程であることを特徴とする請求項9または10のホログラム記録方法。
  12. 前記第2の工程がその発色体潜像にホログラム露光とは異なる波長の光を照射することにより発色体を自己増感増幅生成しつつ、かつ、重合を起こすことにより干渉縞を屈折率変調として記録する工程であることを特徴とする請求項11のホログラム記録方法。
  13. 前記第2の工程にて照射する光が、ホログラム露光波長とは異なり、かつ、増感色素のモル吸光係数が5000以下である領域の波長の光であることを特徴とする請求項11または12のホログラム記録方法。
  14. 第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより増感色素を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより発色体を分解して定着することを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載のホログラム記録方法。
  15. 前記ホログラム記録方法が体積位相型ホログラム記録を行うことを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載のホログラム記録方法。
  16. 前記第1の工程において、10回以上の多重ホログラム記録を行って潜像を形成した後、その潜像を用いて干渉縞を形成する第2の工程を行うことを特徴とする請求項9〜13、15のいずれかに記載のホログラム記録方法。
  17. 前記多重ホログラム記録を行う際の露光量がいずれの多重記録の際も終始一定のまま多重記録することを特徴とする請求項16に記載のホログラム記録方法。
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