JP4636823B2 - 2光子吸収光記録材料、それを用いた2光子吸収光記録方法及び2光子吸収光記録再生方法 - Google Patents
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Description
通常、非共鳴2光子吸収を誘起する場合には、化合物の(線形)吸収帯が存在する波長領域よりも長波でかつ吸収の存在しない、近赤外領域の短パルスレーザーを用いることが多い。いわゆる透明領域の近赤外光を用いるため、励起光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、非共鳴2光子吸収の2乗特性のために試料内部の1点を極めて高い空間分解能で励起できる。
したがって、非共鳴2光子吸収により得た励起エネルギーを用いて重合を起こすことができれば、3次元空間の任意の場所に重合を起こせ、究極の高密度記録媒体と考えられる3次元光記録媒体や、微細3次元光造形材料等への応用も可能となる。
1)2光子吸収化合物の2光子吸収断面積が小さい
2)2光子吸収化合物を用いずに、2光子吸収断面積の極めて低い重合開始剤に直接2光子吸収させている
3)重合開始剤を用いていない
4)重合開始剤を用いていても、2光子吸収化合物とのマッチングが悪い
等、高効率な2光子吸収化合物及び適切な重合開始剤を用いていないため、重合の効率が悪く、重合により光造形等を行うためには強いレーザーを長時間照射しなければならず、実用上問題であった。
また、これらの文献には光重合により光重合組成物の屈折率が重合部と非重合部で変調されるような工夫はされておらず、またそのような記載も一切ない。
例えば、DVD−Rの代表的な構造は、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そして更に必要により保護層からなる。
DVD−Rへの情報の記録は、可視レーザー光(通常は630nm〜680nmの範囲)を照射し、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより行われる。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。この反射率の違いはいわゆる「屈折率の変調」に基づくものであり、記録部分と非記録部分の屈折率差が大きい程、光の反射率の比が大きい、すなわち再生のS/N比が大きくなり好ましい。
さらにコンピューターバックアップ用途、放送バックアップ用途等、業務用途においては、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる光記録媒体が求められている。
そのような中、DVD−Rのような従来の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
2光子吸収材料を用いる3次元光記録媒体では、上記で説明した物理原理に基づいて何十、何百倍にもわたっていわゆるビット記録が可能であって、より高密度記録が可能であり、まさに究極の高密度、高容量光記録媒体であると言える。
2光子吸収材料を用いた3次元光記録媒体としては、記録再生に蛍光性物質を用いて蛍光で読み取る方法(レウ"ィッチ、ユージーン、ポリス他、特表2001−524245号[特許文献1]、パベル、ユージエン他、特表2000−512061号[特許文献2])、フォトクロミック化合物を用いて吸収または蛍光で読み取る方法(コロティーフ、ニコライ・アイ他、特表2001−522119号[特許文献3]、アルセノフ、ウ"ラディミール他、特表2001−508221号[特許文献4])等が提案されているが、いずれも具体的な2光子吸収材料の提示はなく、また抽象的に提示されている2光子吸収化合物の例も2光子吸収効率の極めて小さい2光子吸収化合物を用いており、さらに、非破壊読み出し、記録の長期保存性、再生のS/N比等に問題があり、光記録媒体として実用性のある方式であるとは言えない。
特に非破壊読出し、記録の長期保存性等の点では、不可逆材料を用いて反射率(屈折率)の変化で再生するのが好ましいが、このような機能を有する2光子吸収材料を具体的に開示している例はなかった。
また、河田聡、川田善正、特開平6−28672号、河田聡、川田善正他、特開平6−118306号には、屈折率変調により3次元的に記録する記録装置、及び再生装置、読み出し方法等が開示されているが、2光子吸収重合性組成物を用いた方法についての具体的な記載はない。
B.H.Cumpston et al.,Nature.1999年,398巻,51頁 K.D.Belfield et al.,J.Phys.Org.Chem.,2000年、13巻、837頁 C.Li et al.,Chem.Phys.Lett.,2001年、340巻、444頁 K.D.Belfield et al.,J.Am.Chem.Soc.,2000年、122巻、1217頁 S.Maruo et al.,Opt.Lett.,1997年、22巻、132頁
しかし、現時点で利用可能な2光子吸収化合物では、2光子吸収能が低いため、光源としては非常に高出力のレーザーが必要で、かつ記録時間も長くかかる。特に3次元光記録媒体に使用するためには、速い書き込み速度達成のために、高感度にて2光子吸収による屈折率変調を行うことができる2光子吸収3次元光記録材料の構築が必須である。そのためには、高効率に2光子を吸収し励起状態を生成することができる2光子吸収化合物と、2光子吸収による記録は潜像形成のみに留め、その潜像を利用して光の線形吸収または熱にて重合を起こし記録する方法が有力であるが、そのような材料は今まで全く開示されておらず、そのような材料の構築が望まれていた。
なお、本発明は、下記(4)、(8)、(9)および(16)並びにこれらと引用関係にあるものであるが、本発明の理解の参考の為に、その他の事項についても記載した。
(1)少なくとも、2光子吸収可能な光を照射して潜像を形成する第1の工程と、その潜像を励起することにより重合を起こす第2の工程を有することを特徴とする2光子吸収重合方法。
(2)(1)にて、第2の工程の励起が光照射、熱印加のいずれかによることを特徴とする(1)記載の2光子吸収重合方法。
(3)(2)にて、第2の工程が光照射であることを特徴とする(2)記載の2光子吸収重合方法。
(4)少なくとも、2光子吸収により発色体潜像を生成する第1の工程と、その発色体潜像に光を照射して発色体の線形吸収に基づく重合を起こすことにより、屈折率差を形成して記録する第2の工程を有することを特徴とする2光子吸収光記録方法。
(5)前記第2の工程において、その発色体潜像に光を照射して発色体の線形吸収に基づき発色体を自己増感増幅生成しつつ、かつ、重合を起こすことにより、屈折率差を形成して記録することを特徴とする(4)記載の2光子吸収光記録方法。
(6)2光子光記録が乾式工程にて行われることを特徴とする(4)または(5)記載の2光子吸収光記録方法。
(7)2光子吸収光記録がライトワンス方式、つまり書き換えできない方式であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載の2光子吸収光記録方法。
(8)少なくとも、
1)自身の線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収のモル吸光係数が10以下の波長の光の照射により2光子吸収して励起状態を生成する2光子吸収化合物、
2)前記2光子吸収化合物の励起状態から、電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつ2光子吸収化合物の線形吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域に吸収を有する発色体となることができる色素前駆体、
3)前記色素前駆体から生成した発色体の線形吸収により形成される励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、および
5)バインダー、
を有することを特徴とする2光子吸収光記録材料及び2光子吸収重合材料。
(9)(8)記載の2光子吸収光記録材料及び2光子吸収重合材料を用いることを特徴とする2光子吸収光記録方法及び2光子吸収重合方法。
(10)第2の工程にて照射する光が、2光子吸収化合物の線形吸収のモル吸光係数が5000以下である領域の波長の光であることを特徴とする(4)〜(7)、(9)のいずれかに記載の2光子吸収光記録方法。
(11)(10)にて、第2の工程にて照射する光が、2光子吸収化合物の線形吸収のモル吸光係数が1000以下である領域の波長の光であることを特徴とする(10)記載の2光子吸収光記録方法。
(12)(10)にて、第2の工程にて照射する光が、2光子吸収化合物の線形吸収のモル吸光係数が500以下である領域の波長の光であることを特徴とする(10)または(11)記載の2光子吸収光記録方法。
(13)第2の工程にて照射する光が、発色体のモル吸光係数が5000以上である領域の波長の光であることを特徴とする(4)〜(7)、(9)〜(12)のいずれかに記載の2光子吸収光記録方法。
(14)第1の工程にて2光子吸収による潜像形成を行う光の波長と、第2の工程にてその潜像により重合を起こす光の波長が同じであることを特徴とする(4)〜(7)、(9)〜(13)のいずれかに記載の2光子吸収光記録方法。
(15)第1の工程にて2光子吸収による潜像形成を行う光の波長よりも、第2の工程にてその潜像により重合を起こす光の波長が短波長であり、かつ2光子吸収化合物線形(1光子)吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域であることを特徴とする(4)〜(7)、(9)、(10)〜(14)のいずれかに記載の2光子吸収光記録方法。
(16)前記(4)〜(7)、(9)〜(15)のいずれかに記載の第1の工程及び第2の工程による記録を行った後、該記録部に光を照射して、屈折率差による反射率の違いを検出することにより再生することを特徴とする2光子吸収光記録再生方法。
(17)(16)にて、第1の工程にて2光子吸収による記録を行う際に照射する光の波長と、再生時に反射率の違いを検出するために照射する光の波長が同じであることを特徴とする(16)記載の2光子吸収光記録再生方法。
(18)前記重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、記録部と非記録部で重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調による2光子吸収光記録が可能であることを特徴とする(4)〜(7)、(9)、(10)〜(15)のいずれかに記載の2光子吸収光記録方法。
(19)形成される屈折率変調量が0.001以上であることを特徴とする(18)記載の2光子吸収光記録方法。
(20)第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより2光子吸収化合物を分解して定着することを特徴とする(4)〜(7)、(9)、(10)〜(15)、(18)、(19)のいずれかに記載の2光子吸収光記録方法。
(21)(20)にて、第1の工程、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより2光子吸収化合物を、第2の工程、またはその後の光照射、熱印加、またはその両方による定着工程のいずれかにより発色体を分解して定着することを特徴とする(20)記載の2光子吸収光記録方法。
(22)バインダーは重合性化合物よりも屈折率が低いことを特徴とする(4)〜(7)、(9)、(10)〜(15)、(18)〜(21)のいずれかに記載の2光子吸収光記録方法及び(8)記載の2光子吸収光記録材料。
(23)重合性化合物が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または硫黄原子を含み、バインダーは重合性化合物より低屈折率であることを特徴とする、(8)または(22)記載の2光子吸収光記録材料。
(24)重合性化合物の少なくとも1個が沸点100℃以上の液体であることを特徴とする、(8)、(22)または(23)記載の2光子吸収光記録材料。
(25)重合開始剤が少なくとも1種のラジカルを発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種のラジカルにより重合するラジカル重合性化合物を含むことを特徴とする(8)、(22)、(23)または(24)記載の2光子吸収光記録材料。
(26)(25)にて、少なくとも1種のラジカルを発生するラジカル発生剤がケトン、有機過酸化物、ビスイミダゾール、トリハロメチル置換トリアジン、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、トリフェニルアルキルホウ酸塩、ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体、スルホニウム有機ホウ素錯体、カチオン性2光子吸収化合物有機ホウ素錯体、アニオン性色素オニウム塩錯体、金属アレーン錯体、のいずれかであることを特徴とする、(25)記載の2光子吸収光記録材料。
(27)重合開始剤が少なくとも1種の酸発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種の酸により重合するカチオン重合性化合物を含むことを特徴とする(8)、(22)、(23)または(24)記載の2光子吸収光記録材料。
(28)(27)にて、少なくとも1種の酸を発生する酸発生剤が、トリハロメチル置換トリアジン、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、金属アレーン錯体、スルホン酸エステルのいずれかであることを特徴とする(27)記載の2光子吸収光記録材料。
(29)重合開始剤が少なくとも1種の塩基発生剤を含み、重合性化合物が少なくとも1種の塩基により重合するアニオン重合性化合物を含むことを特徴とする(8)、(22)、(23)または(24)記載の2光子吸収光記録材料。
(30)(29)にて、少なくとも1種の塩基発生剤が下記一般式(31−1)〜(31−4)で表されることを特徴とする(29)記載の2光子吸収光記録材料。
(31)一般式(31−1)、(31−2)にて、n201が1であることを特徴とする(30)記載の2光子吸収光記録材料。
(32)一般式(31−1)にて、R203が2位または2,6位に置換したニトロ基、あるいは3、5位に置換したアルコキシ基のいずれかであることを特徴とする(30)または(31)記載の2光子吸収光記録材料。
(33)一般式(31−2)にて、R206が3、5位に置換したアルコキシ基であることを特徴とする(30)または(31)記載の2光子吸収光記録材料。
(34)色素前駆体が、酸発色型色素前駆体であり、好ましくはさらに酸発生剤を含むことを特徴とする(8)、(22)〜(33)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(35)(34)にて、酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、金属アレーン錯体、トリハロメチル置換トリアジンまたはスルホン酸エステルであることを特徴とする(34)記載の2光子吸収光記録材料。
(36)酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、またはスルホン酸エステルであることを特徴とする(34)または(35)記載の2光子吸収光記録材料。
(37)酸発色型色素前駆体から生成する発色体がキサンテン色素、フルオラン色素またはトリフェニルメタン色素であることを特徴とする(34)〜(36)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(38)さらに酸増殖剤を含むことを特徴とする(34)〜(37)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(39)(38)にて、酸増殖剤が下記一般式(34−1)〜(34−6)で表される化合物であることを特徴とする(37)記載の2光子吸収光記録材料。
(40)一般式(34−1)〜(34−6)にて、R101はR101OHがスルホン酸、電子求引性基置換カルボン酸のいずれかである基であることを特徴とする(39)記載の2光子吸収光記録材料。
(41)色素前駆体が、塩基発色型色素前駆体であり、好ましくはさらに塩基発生剤を含むことを特徴とする(8)、(22)〜(33)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(42)(41)にて、塩基発生剤が前期一般式(31−1)〜(31−4)で表されることを特徴とする(41)記載の2光子吸収光記録材料。
(43)塩基発色型色素前駆体が解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン色素、解離型フルオラン色素、解離型トリフェニルメタン型色素の非解離体であることを特徴とする(41)または(42)記載の2光子吸収光記録材料。
(44)さらに塩基増殖剤を含むことを特徴とする(41)〜(43)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(45)(44)にて、塩基増殖剤が下記一般式(35)で表されることを特徴とする(44)記載の2光子吸収光記録材料。
(46)一般式(35)にて、n102が1であることを特徴とする(45)記載の2光子吸収光記録材料。
(47)一般式(35)の塩基増殖剤が一般式(36−1)または(36−2)で表されることを特徴とする(45)または(46)記載の2光子吸収光記録材料。
(48)色素前駆体が、下記一般式(32)にて表される色素前駆体であることを特徴とする(8)、(22)〜(33)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(49)一般式(32)の色素前駆体が一般式(33−1)〜(33−6)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする(48)記載の2光子吸収光記録材料。
(50)一般式(32)または(33−1)〜(33−6)にて、PDが解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素のいずれかから成る基であり、クロモフォア上でA1と共有結合で連結していることを特徴とする(48)または(49)記載の2光子吸収光記録材料。
(51)色素前駆体が下記一般式(37)で表わされる色素前駆体であることを特徴とする(8)、(22)〜(33)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
R132、R133 R138、R139はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R134は置換基を表し、n131は0から4までの整数を、n132は0〜3までの整数を表す。
(52)一般式(37)にてX131が−CR136R137−で表わされることを特徴とする(51)記載の2光子吸収光記録材料。
(53)色素前駆体が、少なくとも2光子吸収化合物励起状態との電子移動により反応し、吸収形を長波長に変化した発色体となることができる色素前駆体であることを特徴とする(8)、(22)〜(52)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(54)2光子吸収化合物が有機色素であることを特徴とする(8)、(22)〜(53)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(55)2光子吸収化合物がメチン色素またはフタロシアニン色素で表されることを特徴とする(8)、(22)〜(54)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(56)2光子吸収化合物がシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、フタロシアニン色素または下記一般式(1)にて表される化合物であることを特徴とする、(55)記載の2光子吸収光記録材料。
一般式(1)
一般式(2)
(57)一般式(1)で表される化合物において、R1 とR3 が連結して環を形成することを特徴とする(56)記載の2光子吸収光記録材料。
(58)一般式(1)で表される化合物において、R1 とR3 が連結して、カルボニル基と共にシクロペンタノン環を形成することを特徴とする(57)記載の2光子吸収光記録材料。
(59)一般式(1)で表される化合物のX1、X2が一般式(2)にて表されることを特徴とする(56)〜(58)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(60)一般式(1)で表される化合物において、X1 、X2 が一般式(2)で表され、R6 はアルキル基であり、Z1 で形成される環が、インドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、キノリン環のいずれかで表されることを特徴とする(59)記載の2光子吸収光記録材料。
(61)一般式(1)で表される化合物において、X1 、X2 が一般式(2)で表され、R6 はアルキル基であり、Z1 で形成される環が、インドレニン環、アザインドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール環のいずれかで表されることを特徴とする(59)または(60)記載の2光子吸収光記録材料。
(62)(56)にて、シアニン色素が下記一般式(3)にて、メロシアニン色素が下記一般式(4)にて、オキソノール色素が一般式(5)にて表されることを特徴とする、(56)記載の2光子吸収光記録材料。
Ma1〜Ma14はそれぞれ独立にメチン基を表わし、置換基を有していても良く、他のメチン基と環を形成しても良い。na1、na2及びna3はそれぞれ0または1であり、ka1、及びka3はそれぞれ0〜3の整数を表わす。ka1が2以上の時、複数のMa3、Ma4は同じでも異なってもよく、ka3が2以上の時、複数のMa12、Ma13は同じでも異なってもよい。ka2は0〜8の整数を表わし、ka2が2以上の時、複数のMa10、Ma11は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
(63)2光子吸収化合物が少なくとも1個の水素結合性基を有することを特徴とする(8)、(22)〜(62)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(64)(63)にて、水素結合性基が−COOH基または−CONH2基であることを特徴とする(63)記載の2光子吸収光記録材料。
(65)2光子吸収光記録材料が2光子吸収化合物または色素前駆体から生成する発色体のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物もしくは2光子吸収化合物または色素前駆体から生成する発色体のラジカルアニオンを酸化する能力を有する電子受容性化合物を含むことを特徴とする(8)、(22)〜(64)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料。
(66)(65)にて、2光子吸収光記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(65)記載の2光子吸収光記録材料。
(67)2光子吸収光記録材料が電子受容性化合物を含み、電子受容性化合物がジニトロベンゼン、ジシアノベンゼン等、電子求引性基が導入された芳香族化合物、ヘテロ環化合物または電子求引性基が導入されたヘテロ環化合物、N−アルキルピリジニウム塩類、ベンゾキノン類、イミド類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(65)または(66)記載の2光子吸収光記録材料。
(68)(8)記載の2光子吸収光記録材料にて、重合開始剤が酸発生剤であり、重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、色素前駆体が酸発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる酸発生剤から成ることを特徴とする(8)、(27)または(28)記載の2光子吸収光記録材料。
(69)(8)記載の2光子吸収光記録材料にて、重合開始剤が酸及びラジカル発生剤であり、重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、色素前駆体群が酸発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる酸発生剤を含むことを特徴とする(8)、(25)または(27)記載の2光子吸収光記録材料。
(70)(8)記載の2光子吸収光記録材料にて、重合開始剤が塩基発生剤であり、重合性化合物がアニオン重合性化合物であり、色素前駆体が塩基発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる塩基発生剤を含むことを特徴とする(8)、(29)または(41)記載の2光子吸収光記録材料。
(71)(8)記載の2光子吸収光記録材料にて、重合開始剤がラジカルまたはカチオン発生剤であり、重合性化合物がラジカルまたはカチオン重合性化合物であり、色素前駆体群が一般式(37)で表される化合物を含むことを特徴とする(8)、(25)または(51)記載の2光子吸収光記録材料。
(72)(8)記載の2光子吸収光記録材料にて、重合開始剤がラジカルまたはアニオン発生剤であり、重合性化合物がラジカルまたはアニオン重合性化合物であり、色素前駆体群が一般式(32)で表される化合物を含むことを特徴とする(8)、(25)または(48)記載の2光子吸収光記録材料。
(73)(8)、(22)〜(72)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料を用いた光記録媒体。
(74)(8)、(22)〜(72)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料から成る2光子吸収3次元光記録媒体。
(75)(8)、(22)〜(72)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料を用いた近接場光記録媒体。
(76)(8)、(22)〜(75)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする光記録媒体。
(77)(8)、(22)〜(72)のいずれかに記載の2光子吸収光記録材料から成る光学材料。
本発明の2光子吸収重合方法及びそのような重合が可能な2光子吸収重合材料は、2光子吸収可能な光を照射して潜像を形成する第1の工程と、その潜像により重合を起こす第2の工程を有することを特徴とする。
用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、赤外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
本発明に用いるレーザーはパルス発振レーザーであってもCWレーザーであっても良い。
1)第1の工程にて自身の線形(1光子)吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収のモル吸光係数が10以下の波長の光の照射により2光子吸収して励起状態を生成する2光子吸収化合物、
2)第1の工程にて2光子吸収化合物励起状態から、電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつ2光子吸収化合物の線形吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域に吸収を有する発色体となることができる色素前駆体群、
3)第2の工程にて色素前駆体から生成した発色体の線形吸収により形成される励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、
5)バインダー、
を有することが好ましい。
また、第2の工程にて照射する光が、2光子吸収化合物の線形吸収のモル吸光係数が5000以下である領域の波長の光であることが好ましく、1000以下である領域の波長の光であることがより好ましく、500以下である領域の波長の光であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、発色体のモル吸光係数が5000以上であることがより好ましく、10000以上であることがさらに好ましい。
なお、発色体の線形吸収は、2光子吸収化合物線形吸収よりも長波長側に現われることが好ましい。
なお、第1の工程においても重合は若干起こることがあるが、本発明においてそれは一向に構わない。
さらに、本発明の2光子吸収光記録材料において、湿式処理を行わない、つまり乾式工程であることが好ましい。
なぜなら、光子吸収光記録材料を用いた光記録媒体においては、屈折率変調した材料に光を照射することによりデジタル信号の記録、再生が可能になるからである。
その際、第1の工程にて2光子吸収による記録を行う際に照射する光の波長と、再生時に反射率の違いを検出するために照射する光の波長が同じである2光子吸収光記録再生方法がより好ましい。
そのためには、重合性化合物が、少なくとも1個の、アリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または硫黄原子を含むことが好ましく、バインダーはそれらを含まないことがより好ましい。
なお、記録部と非記録部における屈折率変調は0.001以上〜0.5以下であることが好ましく、0.005以上〜0.2以下であることがより好ましい。
特に本発明の2光子吸収光記録材料に酸増殖剤または塩基増殖剤を用いる場合、酸増殖剤または塩基増殖剤を有効に機能させる点においても定着に加熱を用いることが好ましい。
光定着の場合は、2光子吸収光記録材料全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)する。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
なお、光定着の光源に記録に用いるレーザーをそのまま、あるいはパワー、パルス、集光度、波長などを変えて用いることも好ましい。
熱定着の場合は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃にて定着工程を行うことが好ましい。
光定着と熱定着を両方行う際は、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加えてもよい。
なお、本発明において、上記第1及び第2の工程が定着を兼ねても良く、第2の工程が定着も兼ねることが好ましい。
本発明の2光子吸収重合材料及び方法、2光子吸収光記録材料及び記録(再生)方法は、より好ましくは2光子吸収3次元光記録方法及びそのような記録が可能である2光子吸収3次元光記録材料であることが好ましく、その際は、3次元光記録媒体に用いることがより好ましい。
例えば780nmのレーザーを再び用い、記録を行った2光子吸収光記録材料に照射すると、記録部と非記録部との屈折率の違いに基く光の反射率差による再生が可能となり、2光子吸収(3次元)光記録媒体を与えることができる。
この場合は、第1の工程による記録、第2の工程による光重合増幅、再生いずれも780nmのレーザーを用いることができる。
2光子吸収光記録材料、特に2光子吸収3次元光記録材料に応用する際は、速い転送(記録)速度達成のために、高感度にて2光子吸収を行って励起状態を効率良く生成することができる2光子吸収化合物が必要である。
2光子吸収化合物が2光子吸収を行う効率は2光子吸収断面積δで表され、1GM = 1×10-50 cm4 s / photonで定義される。本発明の2光子吸収光記録材料における2光子吸収化合物の2光子吸収断面積δは100GM以上であることが、書き込み速度向上、レーザー小型化・安価化等の点で好ましく、1000GM以上であることがより好ましく、5000GM以上であることがより好ましく、10000GM以上であることが最も好ましい。
なお、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りの無い限りは、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、どのような置換基でも良い。
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
本発明における2光子吸収化合物としてはいかなるものでも良いが、例えば、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、フルオレノン色素、ジアリールエテン色素、スピロピラン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、ポルフィリン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、スチレン系色素、メタロセン色素、金属錯体色素、フェニレンビニレン色素、スチルバゾリウム色素であり、より好ましくは、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、ペリレン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、ポルフィリン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、スチレン系色素、メタロセン色素、金属錯体色素、スチルバゾリウム色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、メタロセン色素、金属錯体色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、ポリエン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、アゾ色素、フタロシアニン色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素であり、最も好ましくはシアニン色素である。
Ma1〜Ma7は無置換メチン基またはアルキル基(好ましくはC数1〜6)置換メチン基であることが好ましく、より好ましくは無置換、エチル基置換、メチル基置換のメチン基である。
Ma1〜Ma7は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
ka1が2以上の時、複数のMa3、Ma4は同じでも異なってもよい。
Za4から形成される環としてより好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、またはクマリンー2,4−ジオンであり、さらに好ましくは、ピラゾリジン−3,5−ジオン、インダン−1,3−ジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、または2−チオバルビツール酸であり、さらに好ましくはピラゾリジン−3,5−ジオン、バルビツール酸、または2−チオバルビツール酸であり、最も好ましくは、2−チオバルビツール酸であり
Ma8〜Ma11は無置換メチン基またはアルキル基(好ましくはC数1〜6)置換メチン基であることが好ましく、より好ましくは無置換、エチル基置換、メチル基置換のメチン基である。
Ma8〜Ma11は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
ka2が2以上の時、複数のMa10、Ma11は同じでも異なってもよい。
Za5及びZa6から形成される環としてより好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、またはクマリンー2,4−ジオンであり、さらに好ましくはバルビツール酸、または2−チオバルビツール酸であり、最も好ましくはバルビツール酸である。
Ma12〜Ma14は無置換メチン基であることが好ましい。
Ma12〜Ma14は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
ka3が2以上の時、Ma12、Ma13は同じでも異なってもよい。
R1 、R2 、R3 、R4 として好ましくは水素原子またはアルキル基である。R1 、R2 、R3 、R4 のうちのいくつか(好ましくは2つ)が互いに結合して環を形成してもよい。特に、R1 とR3 が結合して環を形成することが好ましく、その際カルボニル炭素原子と共に形成する環が6員環または5員環または4員環であることが好ましく、5員環または4員環であることがより好ましく、5員環であることが最も好ましい。
nおよびmが2以上の場合、複数個のR1 、R2 、R3 およびR4 は同一でもそれぞれ異なってもよい。
R6 は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基(これらの置換基の好ましい例はR1 〜R4 と同じ)を表し、好ましくはアルキル基(好ましくはC数1〜6のアルキル基)である。
形成されるヘテロ環として好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、またはピリジン環であり、より好ましくはインドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、またはキノリン環であり、最も好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、またはベンゾイミダゾール環である。
Z1 により形成されるヘテロ環は置換基を有しても良く(好ましい置換基の例はZa1、Za2上の置換基の例と同じ)、置換基としてより好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
また本発明の水素結合性基を有する化合物は溶液または固体状態にて水素結合性基同士の相互作用により会合的相互作用することが好ましく、分子内相互作用でも分子間相互作用でも良いが、分子間相互作用である方がより好ましい。
R11としてより好ましくは水素原子、アルキル基、または−SO2R19基を表し、最も好ましくは水素原子を表す。
R12として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、−COR18基、または−SO2R19基を表し。その際R18、R19としてはアルキル基またはアリール基が好ましい。
R12としてより好ましくは水素原子、アルキル基、または−COR18基を表し、最も好ましくは水素原子を表す。
R13として好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、より好ましくは水素原子を表す。
R14として好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
R15として好ましくはアルキル基、またはアリール基を表す。
R16として好ましくは水素原子を表し、R17として好ましくは水素原子、アルキル基、
ここで、色素発色団同士が特定の空間配置に、共有結合又は配位結合、あるいは種々の分子間力(水素結合、ファン・デル・ワールス力、クーロン力等)などの結合力によって固定されている状態を、一般的に会合(又は凝集)状態と称している。
本発明の2光子吸収化合物は、分子間会合状態で用いても、2光子吸収を行うクロモフォアを分子内に2個以上有し、それらが分子内会合状態にて2光子吸収を行う状態で用いても良い。
モノマーとは単量体を意味する。会合体の吸収波長の観点では、モノマー吸収に対して、吸収が短波長にシフトする会合体をH会合体(2量体は特別にダイマーと呼ぶ)、長波長にシフトする会合体をJ会合体と呼ぶ。
矢はず(Herringbone)会合体については、チャールズ・ライヒ(Charles Reich)著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第18巻、第3号、第335頁(1974年)に記載されている。矢はず会合体は、会合体に由来する2つの吸収極大を持つ。
本発明の化合物は会合により短波長化(H会合)しても長波長化(J会合)してもその両方でもいずれでも良いが、J会合体を形成することがより好ましい。
例えば溶液系では、ゼラチンのようなマトリックスを添加した水溶液(例えばゼラチン0.5wt%・化合物10-4M水溶液)、KClのような塩を添加した水溶液(例えばKCl5%・化合物2×10-3M水溶液)に化合物を溶かす方法、良溶媒に化合物を溶かしておいて後から貧溶媒を加える方法(例えばDMF−水系、クロロホルム−トルエン系等)等が挙げられる。
また膜系では、ポリマー分散系、アモルファス系、結晶系、LB膜系等の方法が挙げられる。
さらに、バルクまたは微粒子(μm〜nmサイズ)半導体(例えばハロゲン化銀、酸化チタン等)、バルクまたは微粒子金属(例えば金、銀、白金等)に吸着、化学結合、または自己組織化させることにより分子間会合状態を形成させることもできる。カラー銀塩写真における、ハロゲン化銀結晶上のシアニン色素J会合吸着による分光増感はこの技術を利用したものである。
分子間会合に関与する化合物数は2個であっても、非常に多くの化合物数であっても良い。
本発明の重合開始剤は好ましくは、ラジカルを発生して重合性化合物のラジカル重合を開始することができるラジカル重合開始剤と、ラジカルを発生することなく酸のみ発生して重合性化合物のカチオン重合のみを開始することができるカチオン重合開始剤と、ラジカル及び酸を両方発生して、ラジカル及びカチオン重合両方を開始することができる重合開始剤、塩基を発生してアニオン重合を開始できるアニオン重合開始剤のいずれかである。
本発明の重合開始剤としては好ましくは、以下の14個の系が挙げられる。なお、これらの重合開始剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
2)有機過酸化物系重合開始剤
3)ビスイミダゾール系重合開始剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
5)ジアゾニウム塩系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
8)ホウ酸塩系重合開始剤
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
11)カチオン性2光子吸収化合物有機ホウ素錯体系重合開始剤
12)アニオン性2光子吸収化合物オニウム塩錯体系重合開始剤
13)金属アレーン錯体系重合開始剤
14)スルホン酸エステル系重合開始剤
好ましい例としては例えば、ベンゾフェノン誘導体(例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン)、ベンゾイン誘導体(例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン)、アセトイン誘導体(アセトイン、ピバロイン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、アシロインエーテル誘導体(例えばジエトキシアセトフェノン)、α−ジケトン誘導体(ジアセチル、ベンジル、4,4´−ジメトキシベンジル、ベンジルジメチルケタール、2,3−ボルナンジオン(カンファーキノン)、2,2,5,5−テトラメチルテトラヒドロ−3,4−フラン酸(イミダゾールトリオン))、キサトン誘導体(例えばキサントン)、チオキサントン誘導体(例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン)、ケトクマリン誘導体等が挙げられる。
置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、またはカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
R24は好ましくは−CR21R22R23を、より好ましくは−CCl3基を表し、R25 は好ましくは、 −CR21R22R23、アルキル基、アルケニル基、またはアリール基である。
R27は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、a21は0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR27は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
X21 -は、HX21がpKa4以下(水中、25℃)、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の酸となる陰イオンで、好ましくは例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
a22、a23はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜1の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR28、R29は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
また、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、第10巻、p1307(1977年)に記載の化合物、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類も挙げられる。
より好ましくはR33、R34、R35はそれぞれ独立にアリール基であり、R36がアルキル基であり、最も好ましくはR33、R34、R35は全てフェニル基であり、R36はn−ブチル基である。
カチオン性2光子吸収化合物有機ホウ素錯体系重合開始剤は好ましくは一般式(18)にて表される。
アニオン性2光子吸収化合物オニウム塩系重合開始剤は好ましくは一般式(19)にて表される。
具体的には、特開平1−54440号、ヨーロッパ特許第109851号、ヨーロッパ特許第126712号および「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の鉄アレーン錯体、「オルガノメタリックス(Organometallics)」、第8巻、第2737頁(1989年)記載の鉄アレーン有機ホウ素錯体、「Prog.Polym.Sci、第21巻、7〜8頁(1996年)記載の鉄アレーン錯体塩、特開昭61−151197号公報に記載されるチタセノン類、などが好ましい例として挙げられる。
a)ラジカル重合を活性化できる重合開始剤、
b)カチオン重合のみ活性化できる重合開始剤、
c)ラジカル重合とカチオン重合を同時に活性化できる重合開始剤、
に分類することができる。
前記の中では、以下の系がラジカル重合を活性化することができる重合開始剤系である。
1)ケトン系重合開始剤
2)有機過酸化物系重合開始剤
3)ビスイミダゾール系重合開始剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
5)ジアゾニウム塩系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
8)ホウ酸塩系重合開始剤
9)ジアリールヨードニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
10)スルホニウム有機ホウ素錯体系重合開始剤
11)カチオン性2光子吸収化合物有機ホウ素錯体系重合開始剤
12)アニオン性2光子吸収化合物オニウム塩錯体系重合開始剤
13)金属アレーン錯体系重合開始剤
1)ケトン系重合開始剤
3)ビスイミダゾール系重合開始剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
11)カチオン性2光子吸収化合物有機ホウ素錯体系重合開始剤
12)アニオン性2光子吸収化合物オニウム塩錯体系重合開始剤
が挙げられ、さらに好ましくは、
3)ビスイミダゾール系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
11)カチオン性2光子吸収化合物有機ホウ素錯体系重合開始剤
12)アニオン性2光子吸収化合物オニウム塩錯体系重合開始剤
が挙げられる。
14)スルホン酸エステル系重合開始剤
4)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
5)ジアゾニウム塩系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
13)金属アレーン錯体系重合開始剤
6)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
7)スルホニウム塩系重合開始剤
を挙げることができる。
その際、塩基発生剤とは、2光子吸収化合物または発色体励起状態からのエネルギー移動または電子移動により塩基を発生することができる化合物である。塩基発生剤は暗所では安定であることが好ましい。本発明における塩基発生剤は、2光子吸収化合物または発色体励起状態からの電子移動により塩基を発生することができる化合物であることが好ましい。
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
R201、R202は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
R201、R202のより好ましい組み合わせとしては、R201が置換しても良いシクロヘキシル基でR202が水素原子、R201が置換しても良いアルキル基でR202が水素原子、R201、R202が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
一般式(31−1)にて、n202は0〜5の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。n202が2以上の時、複数のR203は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(31−1)にて、R203がニトロ基である時、2位または2,6位に置換することが好ましく、R203がアルコキシ基である時、3、5位に置換することが好ましい。
R204、R205のより好ましい組み合わせとしては、R204、R205共水素原子、R204がメチル基でR205が水素原子、R204、R205共メチル基、R204 が2−ニトロフェニル基でR205が水素原子、等が挙げられ、さらに好ましくはR204、R205共水素原子である。
一般式(31−2)にて、n203、n204はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。n203、n204が2以上の時、複数のR206、R207は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(31−2)にて、R206は3、5位に置換したアルコキシ基であることがより好ましく、3、5位に置換したメトキシ基であることがさらに好ましい。
なお、一般式(31−3)で表される化合物はR209からポリマー鎖に連結した化合物であっても良い。
R210、R211は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としては例えばフルオレン環が好ましい。
したがって、本発明の色素前駆体は、再生光波長に吸収を有さずに、それよりも短波長側に吸収を有する発色体となることが好ましい。
または一方で、再生光波長に吸収を有する場合でも、第2の工程またはその後の定着の際に発色体が分解してその吸収及び増感機能を失うことも好ましい。
また、2光子吸収化合物も、第1の工程の2光子吸収による潜像形成、第2の工程、またはその後の定着のいずれかの際に分解してその吸収及び増感機能を失うことが好ましい。
なお、本発明の2光子吸収光記録再生方法においては2光子吸収記録と再生波長が同じであることが好ましい。
B)少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含む組み合わせ、必要によりさらに塩基増殖剤を含む組み合わせ。
C)2光子吸収化合物または発色体励起状態との電子移動またはエネルギー移動により共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位と、共有結合が切断されて放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位が共有結合している化合物を含む場合。あるいはさらに塩基を含む組み合わせ。
D)2光子吸収化合物または発色体励起状態との電子移動により反応し、吸収形を変化させることができる化合物を含む場合。
その際、エネルギー移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物または発色体の励起エネルギーが、色素前駆体の励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
また、2光子吸収化合物または発色体励起状態が色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤に電子を与えても、電子を受け取っても良い。2光子吸収化合物または発色体励起状態から電子を与える場合、電子移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物または発色体の励起状態における励起電子の存在する軌道(LUMO)エネルギーが、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤のLUMO軌道のエネルギーよりも高いことが好ましい。
2光子吸収化合物または発色体励起状態が電子を受け取る場合、電子移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物または発色剤の励起状態におけるホールの存在する軌道(HOMO)エネルギーが、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤のHOMO軌道のエネルギーよりも低いことが好ましい。
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
が挙げられる。
なお、これらの酸発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
なお、これらの酸発色型色素前駆体は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
さらには、特開2000−281920号公報に開示されているスピロピラン系色素前駆体も具体例として挙げることができる。
本発明の酸増殖剤は、酸が存在しない場合は安定であるのに対し、酸が存在すると分解して酸を放出し、その酸でまた別の酸増殖剤を分解させてまた酸を放出する、というように酸発生剤により発生した小量の酸をトリガーとして酸を増殖する化合物である。
その際、酸増殖剤としては、上記一般式(34−1)〜(34−6)で表されることが好ましい。
R101はR101OHがスルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸のいずれかである基であることが好ましく、スルホン酸、電子求引性基置換カルボン酸のいずれかであることがより好ましく、その際電子求引性基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基が好ましい。R101はR101OHがスルホン酸である基であることが最も好ましい。
R105、R106、R116は全て水素原子であることがより好ましい。R107、R110、R113はアルキル基であることがより好ましい。
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
なお、アニオン重合と塩基発色型色素前駆体を同時に用いる時は、アニオン重合開始剤と塩基発生剤は同じ化合物がその機能を果たすことが好ましい。
なお、これらの塩基発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明の塩基発色型色素前駆体としては、塩基により吸収が長波長化する化合物が好ましく、塩基により無色から発色する化合物がより好ましい。
ここで、R91、R92、R96はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR203の例と同じ)、好ましくは水素原子またはアルキル基を表す。R93はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR203の例と同じ)、好ましくは置換しても良いアルキル基または置換しても良いアリール基を表し、置換しても良いアルキル基であることがより好ましく、その際、置換基としては電子求引性であることが好ましく、フッ素であることが好ましい。
R94、R95はそれぞれ独立に置換基を表す(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)が、電子求引性の置換基が好ましく、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基であることが好ましい。
本発明の解離型色素の解離基としては、OH基、COOH基、NHSO2R93基、NHR96 基、CHR94R95基がより好ましく、OH基、CHR94R95基がさらに好ましく、OH基が最も好ましい。
本発明の塩基増殖剤は、塩基が存在しない場合は安定であるのに対し、塩基が存在すると分解して塩基を放出し、その塩基でまた別の塩基増殖剤を分解させてまた塩基を放出する、というように塩基発生剤により発生した小量の塩基をトリガーとして塩基を増殖する化合物である。
その際、塩基増殖剤としては、前記一般式(35)で表されることが好ましい。
R121、R122は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
R121、R122のより好ましい組み合わせとしては、R121が置換しても良いシクロヘキシル基でR122が水素原子、R121が置換しても良いアルキル基でR122が水素原子、R121、R122が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
R123、R124は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはフルオレン環が挙げられる。
一般式(36−1)、(36−2)中、R121、R122は一般式(35)と同義である。
なお、A1は2光子吸収化合物または発色体励起状態との電子移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であることがより好ましい。
PDとしては解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素のいずれかであることがより好ましい。
R72は置換基(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくは電子吸引性基を表し、より好ましくはニトロ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、またはハロゲン原子を表す。a71は0〜5の整数を表し、a71が2以上の時、複数のR 72は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。a71は好ましくは1または2であり、2位か4位にR72が置換することが好ましい。
a73は0または1を表す。
a76は0または1を表す。
本発明で色素前駆体として用いるエレクトロクロミック化合物として好ましくは、ポリピロール類(好ましくは例えばポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(N−メチルインドール)、ポリピロロピロール)、ポリチオフェン類(好ましくは例えばポリチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリジチエノチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン)、ポリアニリン(好ましくは例えばポリアニリン、ポリ(N−ナフチルアニリン)、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(アニリン−m−スルホン酸)、ポリ(2−メトキシアニリン)、ポリ(o−アミノフェノール))、ポリ(ジアリ−ルアミン)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、Coピリジノポルフィラジン錯体、Niフェナントロリン錯体、Feバソフェナントロリン錯体である。
X131は−O−、−S−、−NR135−、−CR136R137−のいずれかを表し、R135は水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた例に同じ)、好ましくはアルキル基を表す。R136、R137はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基のいずれかを表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた例に同じ)、好ましくはアルキル基を表し、より好ましくは共にメチル基を表す。X131は好ましくは−CR136R137−を表す。
R132、R133 、R138、R139はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた例に同じ)、好ましくは水素原子である。
R134は置換基を表し(置換基として好ましくはR24にて挙げた例に同じ)、好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはシアノ基を表す。
n131は0から4までの整数を表し、好ましくは0または1を表す。
n132は0から3までの整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。
屈折率変調を大きくするためには重合性化合物とバインダーのバルクでの屈折率差は大きいことが好ましく、屈折率差は0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個の、アリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましく、より好ましくは、重合性化合物が少なくとも1個の、アリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、または硫黄原子を含み、バインダーはそれらを含まないことが好ましい。
また、屈折率変調を大きくするためには、2光子吸収光記録材料中、重合性化合物が移動しやすいことが好ましい。
本発明の重合性化合物としては、単官能性でも多官能性でも良く、一成分でも多成分でも良く、モノマー、プレポリマー(例えばダイマー、オリゴマー)でもこれらの混合物でもいずれでも良いが、モノマーであることが好ましい。
また、その形態は、室温において液状であっても固体状であっても良いが、沸点100℃以上の液状であるか、沸点100℃以上の液状モノマーと固体状モノマーの混合物であることが好ましい。
以下に、ラジカル重合可能な重合性化合物とカチオンまたはアニオン重合可能な重合性化合物ごとに、A)屈折率:重合性化合物>バインダーの場合と、B)屈折率:バインダー>重合性化合物、の場合にわけて好ましい重合性化合物の例を説明する。
また沸点100℃以上の液体であることが好ましい。
具体的には以下の重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(ダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
本発明のアニオン重合性化合物として好ましいくは、オキシラン環、オキセタン環、ビニルエーテル基、N−ビニルカルバゾール部位、電子吸引性置換基を備えるエチレン性二重結合部位、ラクトン部位、ラクタム部位、環状ウレタン部位、環状尿素部位、または、環状シロキサン部位を分子中に少なくとも1個有する化合物であり、より好ましくはオキシラン環部位を有する化合物である。
バインダーとしては、溶媒可溶性の熱可塑性重合体が好ましく、単独又は互いに組合せて使用することができる。
また、バインダーはラジカル重合やカチオン重合が起こる際に反応しうる反応性バインダーであっても良い。その際は、具体的にはエチレン性不飽和基やオキシラン環等を有する反応性オリゴマーが好ましい。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個の、アリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましく、より好ましくは、重合性化合物が少なくとも1個の、アリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、バインダーはそれらを含まないことが好ましい。
また他に、以下に挙げられるエポキシオリゴマー化合物も低屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
またポリ(メチルフェニルシロキサン)や、1,3,5−トリメチル−1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシロキサンなどのケイ素化合物、芳香族を多く含むシリコンオイル等も好ましい例として挙げられる。
また他に、以下に挙げられるエポキシオリゴマー化合物も高屈折率反応性バインダーとして使用することができる。
特に重合開始剤が2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーの場合は連鎖移動剤を用いることが好ましい。
連鎖移動剤の使用量は、組成物全体に対して1.0〜30質量%が好ましい。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2-ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。Pazos氏の米国特許第4,168,982号中に述べられた、ジニトロソダイマ類もまた有用である。
バインダー:好ましくは0〜90質量%、より好ましくは25〜75質量%、
重合性化合物:好ましくは5〜60質量%、より好ましくは15〜50質量%、
重合開始剤:好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜20質量%
色素前駆体:好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、
2光子吸収化合物:好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%
電子供与性化合物または電子受容性化合物:好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
1)重合開始剤が酸発生剤であり、重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、色素前駆体が酸発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる酸発生剤である組み合わせ。
2)重合開始剤が酸及びラジカル発生剤であり、重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、色素前駆体が酸発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる酸発生剤である組み合わせ。
3)重合開始剤が塩基発生剤であり、重合性化合物がアニオン重合性化合物であり、色素前駆体が塩基発色型色素前駆体と、重合開始剤を兼ねる塩基発生剤である組み合わせ。
4)重合開始剤がラジカル発生剤であり、重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、色素前駆体が一般式(7)で表される化合物である組み合わせ。
5)重合開始剤がカチオン発生剤であり、重合性化合物がカチオン重合性化合物であり、色素前駆体が一般式(7)で表される化合物である組み合わせ。
6)重合開始剤がラジカル発生剤であり、重合性化合物がラジカル重合性化合物であり、色素前駆体が一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする組み合わせ。
7)重合開始剤がアニオン発生剤であり、重合性化合物がアニオン重合性化合物であり、色素前駆体が一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする組み合わせ。
また記録に2光子吸収を用いるため、レーザー焦点(記録)部と非焦点(非記録)部にて、重合により屈折率を3次元的に変調でき、その結果光の反射率を変えることができて3次元光記録媒体及びその記録再生方法に応用が可能である。
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明する。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお構造はNMRスペクトル、MSスペクトル、元素分析にて確認した。
[重合による屈折率変調記録評価]
次に、本発明の2光子吸収光記録材料及び2光子光記録方法について詳しく述べる。
照射波長は2光子吸収化合物の10-4M溶液において、2光子吸収断面積δが最大となる波長付近を用いた。
試料101〜105、比較試料1〜5に対しては740nmのレーザー光を照射して2光子吸収を起こした所(第1の工程)、試料101〜105において、光照射部のレーザー焦点部(記録部)にて潜像としての発色がわずかに確認できた。さらに、680〜740nmの波長範囲の光を全面露光し(第2の工程)、第1の工程の記録部にて重合が起こることが確認できた。
記録部と非記録部の屈折率差を測定した所、0.03の屈折率差が確認できた。740nmのレーザーを照射した所、記録部と非記録部にて屈折率の違いによる反射率の違いを確認することができた。
なお、試料101〜105について、第1の工程における740nmレーザー照射のみで、第2の工程も行った場合と同様な屈折率変調を行うことを試みると、約10倍長い照射時間を必要とする。すなわち、本発明の記録方式は、第2の工程にて約10倍程度の増幅が可能であることを示す。第2の工程の照射時間をさらに長くするなどにより、さらなる増幅も可能であることも確認している。
また、レーザー焦点位置を水平及び深さ方向に走査することにより、3次元方向の任意の場所にて重合による屈折率変調を起こすことができ、さらに、3次元的屈折率変調による光の反射率変調が可能である。
Claims (10)
- 少なくとも、
1)自身の線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収のモル吸光係数が10以下の波長の光の照射により2光子吸収して励起状態を生成する2光子吸収化合物、
2)前記2光子吸収化合物の励起状態から、電子移動またはエネルギー移動することにより、元の状態から吸収が長波長化しかつ2光子吸収化合物の線形吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域に吸収を有する発色体となることができる色素前駆体、
3)前記色素前駆体から生成した発色体の線形吸収により形成される励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより、重合性化合物の重合を開始することができる重合開始剤、
4)重合性化合物、および
5)バインダー、
を有することを特徴とする2光子吸収光記録材料。 - 請求項1記載の2光子吸収光記録材料を用いて記録する2光子吸収光記録方法であって、
少なくとも、2光子吸収により発色体潜像を生成する第1の工程と、その発色体潜像に光を照射して発色体の線形吸収に基づく重合を起こすことにより、屈折率差を形成して記録する第2の工程を有することを特徴とする2光子吸収光記録方法。 - 前記第2の工程において、その発色体潜像に光を照射して発色体の線形吸収に基づき発色体を自己増感増幅生成しつつ、かつ、重合を起こすことにより、屈折率差を形成して記録することを特徴とする請求項2記載の2光子吸収光記録方法。
- 第1の工程にて2光子吸収による潜像形成を行う光の波長と、第2の工程にてその潜像により重合を起こす光の波長が同じであることを特徴とする請求項2記載の2光子吸収光記録方法。
- 第1の工程にて2光子吸収による潜像形成を行う光の波長よりも、第2の工程にてその潜像により重合を起こす光の波長が短波長であり、かつ2光子吸収化合物線形吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域であることを特徴とする請求項2記載の2光子吸収光記録方法。
- 前記請求項2〜5のいずれかに記載の第1の工程及び第2の工程による記録を行った後、該記録部に光を照射して、屈折率差による反射率の違いを検出することにより再生することを特徴とする2光子吸収光記録再生方法。
- 前記重合性化合物とバインダーの屈折率が異なり、記録部と非記録部で重合性化合物及びその重合反応物とバインダーとの組成比の不均一化が起こることにより屈折率変調による2光子吸収光記録が可能であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の2光子吸収光記録方法。
- 重合性化合物が、アリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1つを含み、バインダーは重合性化合物より低屈折率であることを特徴とする、請求項1記載の2光子吸収光記録材料。
- 請求項1の色素前駆体が、酸発色型色素前駆体または塩基発色型色素前駆体であることを特徴とする請求項1または8に記載の2光子吸収光記録材料。
- 前記2光子吸収化合物がメチン色素またはフタロシアニン色素であることを特徴とする、請求項1、8または9記載の2光子吸収光記録材料。
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