JP4253621B2 - フォトンモード記録方法および3次元光記録方法 - Google Patents
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Description
特に、少なくとも光照射により2光子吸収が起こることにより潜像を形成する第1の工程と、その潜像を増幅することにより屈折率差または吸収率差を形成する第2の工程を有することを特徴とする2光子吸収光記録方法及びそのような記録が可能である2光子吸収光記録材料に関するものである。
通常、非共鳴2光子吸収を誘起する場合には、化合物の(線形)吸収帯が存在する波長領域よりも長波でかつ吸収の存在しない、近赤外領域の短パルスレーザーを用いることが多い。いわゆる透明領域の近赤外光を用いるため、励起光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、非共鳴2光子吸収の2乗特性のために試料内部の1点を極めて高い空間分解能で励起できる。
例えば、DVD−Rの代表的な構造は、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そして更に必要により保護層からなる。
DVD−Rへの情報の記録は、可視レーザー光(通常は630nm〜680nmの範囲)を照射し、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより行われる。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。この反射率の違いはいわゆる「屈折率の変調」に基づくものであり、記録部分と非記録部分の屈折率差が大きい程、光の反射率の比が大きい、すなわち再生のS/N比が大きくなり好ましい。
さらにコンピューターバックアップ用途、放送バックアップ用途等、業務用途においては、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる光記録媒体が求められている。
そのような中、DVD−Rのような従来の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
2光子吸収材料を用いる3次元光記録媒体では、上記で説明した物理原理に基づいて何十、何百倍にもわたっていわゆるビット記録が可能であって、より高密度記録が可能であり、まさに究極の高密度、高容量光記録媒体であると言える。
2光子吸収材料を用いた3次元光記録媒体としては、記録再生に蛍光性物質を用いて蛍光で読み取る方法(レウ"ィッチ、ユージーン、ポリス他、特表2001−524245号[特許文献1]、パベル、ユージエン他、特表2000−512061号[特許文献2])、フォトクロミック化合物を用いて吸収または蛍光で読み取る方法(コロティーフ、ニコライ・アイ他、特表2001−522119号[特許文献3]、アルセノフ、ウ"ラディミール他、特表2001−508221号[特許文献4])等が提案されているが、いずれも具体的な2光子吸収材料の提示はなく、また抽象的に提示されている2光子吸収化合物の例も2光子吸収効率の極めて小さい2光子吸収化合物を用いており、さらに、非破壊読み出し、記録の長期保存性、再生のS/N比等に問題があり、光記録媒体として実用性のある方式であるとは言えない。
特に非破壊読出し、記録の長期保存性等の点では、不可逆材料を用いて反射率(屈折率または吸収率)の変化で再生するのが好ましいが、このような機能を有する2光子吸収材料を具体的に開示している例はなかった。
また、河田聡、川田善正、特開平6−28672号[特許文献5]、河田聡、川田善正他、特開平6−118306号[特許文献6]には、屈折率変調により3次元的に記録する記録装置、及び再生装置、読み出し方法等が開示されているが、2光子吸収3次元光記録材料を用いた方法についての記載はない。
しかし、現時点で利用可能な2光子吸収化合物では、2光子吸収能が低いため、光源としては非常に高出力のレーザーが必要で、かつ記録時間も長くかかる。
特に3次元光記録媒体に使用するためには、速い書き込み速度達成のために、高感度にて2光子吸収による屈折率または吸収率変調を行うことができる2光子吸収3次元光記録材料の構築が必須である。そのためには、高効率に2光子を吸収し励起状態を生成することができる2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより化学反応し、屈折率差または吸収率差を記録することができる記録成分を含む材料が有力であり、さらにそこに増幅機能を導入してさらなる高感度化を達成する必要があるが、そのような材料は今まで全く開示されておらず、そのような材料の構築が望まれていた。
(2)(1)にて、第2の工程が光照射、熱印加、電場印加、磁場印加のいずれか(好ましくは光照射)であることを特徴とする(1)記載のフォトンモード記録方法。
(3)前記増感色素が2光子吸収化合物であり、第1の工程が、少なくとも光照射により2光子吸収が起こることにより潜像を生成することを特徴とする(1)または(2)記載のフォトンモード記録方法。
(4)少なくとも
1)増感色素、および
2)元の状態から吸収が長波長化し、増感色素と異なる波長域に吸収を有する発色体となることができる色素前駆体を含み、かつ、該増感色素または該発色体の励起状態から電子移動またはエネルギー移動過程を経て屈折率差または吸収率差として記録することができる記録成分、を有するフォトンモード記録材料の記録方法であって、少なくとも、光照射により該発色体を潜像として生成する第1の工程と、その発色体潜像に増感色素線形吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射して該発色体潜像の線形吸収を起こすことにより発色体を自己増感増幅生成して屈折率差または吸収率差として記録する第2の工程とを有し、それらの工程を乾式処理にて行うことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(5)第2の工程の照射する光の波長域にて、増感色素のモル吸光係数が1000以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(6)第2の工程の照射する光の波長域にて、発色体のモル吸光係数が5000以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(7)(2)にて、第2の工程が光照射、熱印加のいずれかであることを特徴とするフォトンモード記録方法。
(8)(3)にて、少なくとも2光子吸収化合物の線形吸収とは吸収形の異なる発色体を2光子吸収露光により潜像として生成する第1の工程と、その発色体潜像に2光子吸収化合物線形(1光子)吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射して発色体の線形吸収を起こすことにより発色体を自己増感増幅生成して屈折率差または吸収率差として記録する第2の工程を有することを特徴とする(3)〜(7)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(9)(8)記載の第2の工程にて照射する光の波長域にて、2光子吸収化合物線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることを特徴とする(8)記載のフォトンモード記録方法。
(10)(8)記載の第2の工程にて照射する光の波長域にて、発色体のモル吸光係数が5000以上であることを特徴とする(8)または(9)記載のフォトンモード記録方法。
(11)第1の工程にて潜像形成を行う光の波長と、第2の工程にて潜像を増幅して屈折率差または吸収率差を形成する光の波長が同じであることを特徴とする(1)〜(10)記載のフォトンモード記録方法。
(12)第1の工程にて2光子吸収記録による潜像形成を行う光の波長よりも、第2の工程にて潜像を増幅して屈折率差または吸収率差を形成する光の波長が短波長であることを特徴とする(1)〜(10)記載のフォトンモード記録方法。
(13)(1)〜(12)にて、記録が書き換えできない方式であることを特徴とする(1)〜(12)記載のフォトンモード記録方法。
(14)(1)〜(13)のいずれかに記載された方法により記録されたフォトンモード記録材料を用い、光を該記録材料に照射して、屈折率差または吸収率差による反射率または透過率の違いを検出することにより再生することを特徴とする光記録再生方法。
(15)(14)にて、記録を行う際に照射する光の波長と、再生時に反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長が同じであることを特徴とする(14)記載の2光子吸収光記録再生方法。
(16)(14)にて、第1の工程にて2光子吸収記録による潜像形成を行う光の波長よりも、第2の工程にて潜像を増幅して屈折率差または吸収率差を形成する光の波長が短波長であり、かつ2光子吸収化合物線形(1光子)吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域であり、さらに、2光子吸収による記録を行う際に照射する光の波長と、再生時に反射率または透過率の違いを検出するために照射する光の波長が同じであることを特徴とする(14)記載の2光子吸収光記録再生方法。
(17)前記記録成分が、少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、酸発生剤を含むことを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(18)(17)にて、酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、金属アレーン錯体、トリハロメチル置換トリアジンまたはスルホン酸エステルであることを特徴とする(17)記載のフォトンモード記録方法。
(19)酸発生剤がジアリールヨードニウム塩、スルホニウム塩、またはスルホン酸エステルであることを特徴とする(17)または(18)記載の2光子吸収光記録材料。
(20)(17)にて、酸発色型色素前駆体から生成する色素がキサンテン系(好ましくはフルオラン系)色素またはトリフェニルメタン色素であることを特徴とする(17)〜(19)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(21)(17)の記録成分が、少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、酸発生剤、さらに酸増殖剤を含むことを特徴とする(17)〜(20)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(22)(21)にて、酸増殖剤が下記一般式(34−1)〜(34−6)で表されることを特徴とする(21)記載のフォトンモード記録方法。
(23)一般式(34−1)〜(34−6)にて、R101はR101OHがスルホン酸、電子求引性基置換カルボン酸のいずれかである基であることを特徴とする(23)記載のフォトンモード記録方法。
(24)前記記録成分が、少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、塩基発生剤を含むことを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(25)(24)にて、塩基発生剤が下記一般式(31−1)〜(31−4)で表されることを特徴とする(24)記載のフォトンモード記録方法。
(26)一般式(31−1)、(31−2)にて、n201が1であることを特徴とする(25)記載の2光子吸収光記録材料。
(27)一般式(31−1)にて、R203が2位または2,6位に置換したニトロ基、あるいは3、5位に置換したアルコキシ基のいずれかであることを特徴とする(25)または(26)記載のフォトンモード記録方法。
(28)一般式(31−2)にて、R206が3、5位に置換したアルコキシ基であることを特徴とする(25)または(26)記載のフォトンモード記録方法。
(29)塩基発色型色素前駆体が解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型キサンテン(フルオラン)色素、解離型トリフェニルメタン型色素の非解離体であることを特徴とする(24)〜(28)記載のフォトンモード記録方法。
(30)(24)の記録成分が、少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、塩基発生剤、さらに塩基増殖剤を含むことを特徴とする(24)〜(29)記載のフォトンモード記録方法。
(31)(30)にて、塩基増殖剤が下記一般式(35)で表されることを特徴とする(33)記載のフォトンモード記録方法。
(32)一般式(35)にて、n102が1であることを特徴とする(31)記載のフォトンモード記録方法。
(33)一般式(35)の塩基増殖剤が一般式(36−1)または(36−2)で表されることを特徴とする(31)または(32)記載のフォトンモード記録方法。
(34)前記記録成分が、少なくとも下記一般式(32)にて表される色素前駆体を含むことを特徴とする(1)〜(16)記載のフォトンモード記録方法。
(35)一般式(32)の色素前駆体が一般式(33−1)〜(33−6)のいずれかで表されることを特徴とする(34)記載のフォトンモード記録方法。
(36)一般式(32)または(33−1)〜(33−6)にて、PDが解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素のいずれかから成る基であり、クロモフォア上でA1と共有結合で連結していることを特徴とする(34)または(35)記載のフォトンモード記録方法。
(37)(1)記載の記録成分が、(17)〜(36)記載の記録成分で表されることを特徴とする(1)〜(3)記載のフォトンモード記録方法。
(38)増感色素が有機色素であることを特徴とする(1)〜(37)記載のフォトンモード記録方法。
(39)増感色素がメチン色素またはフタロシアニン色素であることを特徴とする(1)〜(38)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(40)増感色素がシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、フタロシアニン色素または下記一般式(1)にて表される化合物であることを特徴とする、(38)記載のフォトンモード記録方法。
一般式(1)
一般式(2)
(41)一般式(1)で表される化合物において、R1 とR3 が連結して環を形成することを特徴とする(40)記載のフォトンモード記録方法。
(42)一般式(1)で表される化合物において、R1 とR3 が連結して、カルボニル基と共にシクロペンタノン環を形成することを特徴とする(41)記載のフォトンモード記録方法。
(43)一般式(1)で表される化合物のX1、X2が一般式(2)にて表されることを特徴とする(40)〜(42)記載のフォトンモード記録方法。
(44)一般式(1)で表される化合物において、X1 、X2 が一般式(2)で表され、R6 はアルキル基であり、Z1 で形成される環が、インドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、キノリン環のいずれかで表されることを特徴とする(46)記載の2光子吸収光記録材料。
(48)一般式(1)で表される化合物において、X1 、X2 が一般式(2)で表され、R6 はアルキル基であり、Z1 で形成される環が、インドレニン環、アザインドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイミダゾール環のいずれかで表されることを特徴とする(40)〜(43)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(46)(40)にて、シアニン色素が下記一般式(3)にて、メロシアニン色素が下記一般式(4)にて、オキソノール色素が一般式(5)にて表されることを特徴とする、(40)記載のフォトンモード記録方法。
Ma1〜Ma14はそれぞれ独立にメチン基を表わし、置換基を有していても良く、他のメチン基と環を形成しても良い。na1、na2及びna3はそれぞれ0または1であり、ka1、及びka3はそれぞれ0〜3の整数を表わす。ka1が2以上の時、複数のMa3、Ma4は同じでも異なってもよく、ka3が2以上の時、複数のMa12、Ma13は同じでも異なってもよい。ka2は0〜8の整数を表わし、ka2が2以上の時、複数のMa10、Ma11は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
(47)(1)〜(46)にて増感色素が少なくとも1個の水素結合性基を有することを特徴とする(1)〜(46)記載のフォトンモード記録方法。
(48)(47)にて、水素結合性基が−COOH基または−CONH2基であることを特徴とする(47)記載のフォトンモード記録方法。
(49)増感色素が2光子吸収化合物であり、しかも線形(1光子)吸収を行うことにより増感色素として機能することを特徴とする(1)〜(48)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(50)(1)〜(49)記載のフォトンモード記録方法に用いられるフォトンモード記録材料(好ましくは2光子吸収光記録材料)が増感色素、2光子吸収化合物または色素前駆体から生成する発色体のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物、もしくは増感色素、2光子吸収化合物または色素前駆体から生成する発色体のラジカルアニオンを酸化する能力を有する電子受容性化合物を含むことを特徴とする(1)〜(49)のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
(51)(50)にて、フォトンモード記録材料が電子供与性化合物を含み、電子供与性化合物がアルキルアミン類、アニリン類、フェニレンジアミン類、トリフェニルアミン類、カルバゾール類、フェノチアジン類、フェノキサジン類、フェナジン類、ハイドロキノン類、カテコール類、アルコキシベンゼン類、アミノフェノール類、イミダゾール類、ピリジン類、メタロセン類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(50)記載のフォトンモード記録方法。
(52)前記電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする(50)または(51)に記載のフォトンモード記録方法。
(53)(50)にて、フォトンモード記録材料が電子受容性化合物を含み、電子受容性化合物がジニトロベンゼン、ジシアノベンゼン等、電子求引性基が導入された芳香族化合物、ヘテロ環化合物または電子求引性基が導入されたヘテロ環化合物、N−アルキルピリジニウム塩類、ベンゾキノン類、イミド類、金属錯体類、半導体微粒子のいずれかであることを特徴とする(50)記載のフォトンモード記録方法。
(54)第1の工程で2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収の存在しない波長のレーザー光を2光子吸収光記録材料に照射して、誘起された2光子吸収を利用して潜像を形成することを特徴とするフォトンモード記録方法。
(55)(1)〜(54)記載のフォトンモード記録方法を行うフォトンモード記録材料(好ましくは2光子吸収光記録材料)。
(56)前記記載の2光子吸収光記録材料から成る2光子吸収3次元光記録媒体及び2光子吸収3次元光記録方法及び再生方法。
(57)前記記載のフォトンモード光記録材料、2光子吸収光記録材料または2光子吸収3次元光記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とするフォトンモード光記録媒体、2光子吸収記録媒体または2光子吸収3次元光記録媒体。
(58)前記2光子吸収光記録材料から成る3次元ボリュームディスプレイ及び3次元ボリュームディスプレイ製造方法。
(59)前記記載のフォトンモード記録材料または2光子吸収光記録材料を用いた光記録媒体及び光記録方法及び再生方法。
(60)(59)記載の光記録媒体を用いた近接場光記録媒体及び近接場記録方法及び再生方法。
さらに、本発明の2光子吸収光記録材料を用いることで、レーザー焦点部(記録部)と非焦点部(非記録部)にて屈折率または吸収率を非常に高感度にて3次元的に変調でき、3次元光記録媒体及びその高速記録再生方法等への応用が可能である。
1)増感色素、と、
2)元の状態から吸収が長波長化しかつ増感色素と異なる波長域に吸収を有する発色体となることができる色素前駆体を含み、かつ増感色素または発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより屈折率差または吸収率差として記録することができる記録成分、
を有する。
ここで、増感色素は非共鳴2光子吸収により2光子吸収を行って2光子吸収増感色素として機能しても、通常の線形(1光子)吸収により増感色素として機能しても良い。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、増感色素線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、発色体のモル吸光係数が5000以上であることがより好ましく、10000以上であることがさらに好ましい。
第1の工程と第2の工程で照射する光は違う波長であることが好ましい。また第2の工程で照射する光は全面露光(いわゆるベタ露光、ブランケット露光、ノンイメージワイズ露光)であることが好ましい。
その際は、DVD−R、DVD−BL(BR)のような光記録媒体、近接場光記録媒体、3次元光記録媒体、3次元イメージング材料(3次元ボリュームディスプレイ材料)等に用いることが好ましい。
本発明のフォトンモード記録方法及びそのような記録が可能であるフォトンモード記録材料は、より好ましくは上記の特徴を有する2光子吸収3次元光記録方法及びそのような記録が可能である2光子吸収3次元光記録材料であることが好ましく、その際は、3次元光記録媒体、3次元イメージング材料(3次元ボリュームディスプレイ材料)等に用いることがより好ましい。
第2の工程は光照射、熱印加、電場印加のいずれかであることがより好ましく、光照射または熱印加のいずれかであることがさらに好ましく、光照射であることが最も好ましい。
また第2の工程が光照射の際は、照射する光は全面露光(いわゆるベタ露光、ブランケット露光、ノンイメージワイズ露光)であることが好ましい。
用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、赤外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
なお、第2の工程にて照射する光の波長域では、2光子吸収化合物の線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、第2の工程にて照射する光の波長域では、発色体のモル吸光係数が5000以上であることがより好ましく、10000以上であることがさらに好ましい。
1)第1の工程にて2光子を吸収し励起状態を生成することができる2光子吸収化合物、と、
2)元の状態から吸収が長波長化しかつ2光子吸収化合物線形吸収と異なる波長域に吸収を有する発色体となることができる色素前駆体を含み、かつ2光子吸収化合物または発色体励起状態から電子移動またはエネルギー移動することにより屈折率差または吸収率差として記録することができる記録成分、
を有することを特徴とする2光子吸収光記録方法及びそのような記録が可能である2光子吸収光記録材料が好ましい。
イ)第1の工程にて2光子吸収記録による潜像形成を行う光の波長と、第2の工程にて潜像を増幅して屈折率差または吸収率差を形成する光の波長が同じである場合、
ロ)第1の工程にて2光子吸収記録による潜像形成を行う光の波長よりも、第2の工程にて潜像を増幅して屈折率差または吸収率差を形成する光の波長が短波長であり、かつ2光子吸収化合物線形(1光子)吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域である場合、
のいずれかであることが好ましい。
なお、上記イ)の場合、第1の工程及び第2の工程にて照射する光の波長にて、2光子吸収化合物の線形(1光子)吸収のモル吸光係数が10以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましく、線形吸収がないことが最も好ましい。
また、上記ロ)の場合、第2の工程にて照射する光の波長域にて2光子吸収化合物線形吸収のモル吸光係数が1000以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。
また、上記イ)ロ)共に、第2の工程にて照射する光の波長域にて、発色体のモル吸光係数が5000以上であることがより好ましく、10000以上であることが最も好ましい。
上記イ)またはロ)のうち、ロ)であることがより好ましい。
なぜなら、光記録媒体においては、吸収率または屈折率変調した材料に光を照射することによりデジタル信号の記録、再生が可能になり、イメージング(ディスプレイ)材料においては、吸収率または屈折率を変調した材料に光を照射することにより画像を鑑賞することが可能となるからである。
よって、色素前駆体を発色させることは、吸収率差だけでなく、大きな屈折率差も好ましく形成できることがわかる。
なお、記録成分から形成される色素の色素単独膜において、記録波長での屈折率は1.8以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましく、2.2以上であることが最も好ましい。
また、本発明のフォトンモード記録材料または2光子吸収光記録材料において、記録に吸収率差を用いる場合は、再生波長付近で、記録部と非記録部の吸収率差が最大となるように記録材料を設計することが好ましい。
用いることができるレーザーは特に限定されないが、具体的には、中心波長1000nm付近に発振波長を有するTi−サファイア等の固体レーザーやファイバーレーザー、780nm付近の発振波長を有するCD-Rなどでも用いられている半導体レーザーや固体レーザー、ファイバーレーザー、620〜680nmの範囲の発振波長を有するDVD-Rなどでも用いられている半導体レーザーや固体レーザー、400〜415nm付近の発振波長を有するGaNレーザーなどを好ましく用いることができる。
また他にも、可視光域に発振波長を有するYAG・SHGレーザーなどの固体SHGレーザー、半導体SHGレーザーなども好ましく用いることができる。
本発明に用いるレーザーはパルス発振レーザーであってもCWレーザーであっても良い。
したがって、2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収の存在しない波長のレーザー光を照射して2光子吸収を誘起することにより生成する発色体の線形吸収が、2光子吸収化合物線形吸収の長波長側吸収端よりも長波長側に現われることを用いて、屈折率差または吸収率差記録を行うことがより好ましい。
また、記録材料の再生を可能にするためには、反応部または発色部の大きさは照射光波長の1/20〜20倍の大きさであることが好ましく、1/10〜10倍の大きさであることがより好ましく、1/5〜5倍の大きさであることが最も好ましい。
特に本発明のフォトンモード記録材料及び2光子吸収光記録材料に酸増殖剤または塩基増殖剤を用いる場合、酸増殖剤または塩基増殖剤を有効に機能させる点においても定着に加熱を用いることが好ましい。
光定着の場合は、フォトンモード記録材料及び2光子吸収光記録材料全域に紫外光または可視光を全面照射(非干渉露光)する。用いる光源として好ましくは、可視光レーザー、紫外光レーザー、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。
なお、光定着の光源に記録に用いるレーザーをそのまま、あるいはパワー、パルス、集光度、波長などを変えて用いることも好ましい。
熱定着の場合は、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは60℃〜130℃にて定着工程を行うことが好ましい。
光定着と熱定着を両方行う際は、光と熱を同時に加えても、光と熱を別々に加えてもよい。
なお、本発明において、上記第1及び第2の工程が定着を兼ねても良く、第2の工程が定着も兼ねることが好ましい。
また本発明の2光子吸収光記録材料において、2光子吸収を行うことにより起こる化学反応、発色反応等は熱分解によらない反応、すなわちフォトンモードにて起こることが特に高感度化の点で好ましい。
すなわち、既存のCD−RやDVD−Rにて実用されている方法とは異なる機構で記録することが、特に記録材料における書き込み転送速度を考える際に好ましい。
例えば、780nmのレーザーを2光子吸収光記録材料に照射し、2光子吸収化合物に2光子吸収させ励起状態を生成させる(780nmには該2光子吸収化合物の線形吸収はない)。その2光子吸収化合物の励起状態から記録成分にエネルギー移動または電子移動させることにより、記録成分に含まれる色素前駆体の一部を発色体に変化させて発色による潜像を形成する(以上第1の工程)。次に680〜740nmの波長域の光を照射して、該発色体の線形吸収を起こし、発色体の自己増感により発色体を増幅生成させる(以上第2の工程)。第1の工程にてレーザーを照射していない未記録部では潜像が生成しないため第2の工程においても自己増感発色反応はほとんど起きず、その結果記録部と非記録部にて大きな屈折率変調または吸収率変調を形成することができる。例えば780nmのレーザーを再び用い、記録を行った2光子吸収光記録材料に照射すると、記録部と非記録部との大きな屈折率の違いに基く光の反射率または透過率差による再生が可能となり、780nm光記録再生による2光子吸収(3次元)光記録媒体を与えることができる。
ここで、本発明の増感色素は非共鳴2光子吸収により2光子吸収を行って2光子吸収増感色素として機能しても、通常の線形(1光子)吸収により増感色素として機能しても良い。
2光子吸収光記録材料、特に2光子吸収3次元光記録材料に応用する際は、速い転送(記録)速度達成のために、高感度にて2光子吸収を行って励起状態を効率良く生成することができる2光子吸収化合物が必要である。
2光子吸収化合物が2光子吸収を行う効率は2光子吸収断面積δで表され、1GM=1×10-50 cm4 s/photonで定義される。本発明の2光子吸収光記録材料における2光子吸収化合物の2光子吸収断面積δは100GM以上であることが、書き込み速度向上、レーザー小型化・安価化等の点で好ましく、1000GM以上であることがより好ましく、5000GM以上であることがより好ましく、10000GM以上であることが最も好ましい。
なお、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りの無い限りは、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、どのような置換基でも良い。
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
本発明における2光子吸収化合物としてはいかなるものでも良いが、例えば、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、フルオレノン色素、ジアリールエテン色素、スピロピラン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、ポルフィリン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、スチレン系色素、メタロセン色素、金属錯体色素、フェニレンビニレン色素、スチルバゾリウム色素であり、より好ましくは、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、ペリレン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、ポルフィリン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、スチレン系色素、メタロセン色素、金属錯体色素、スチルバゾリウム色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、メタロセン色素、金属錯体色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、ポリエン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、金属錯体色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、アゾ色素、フタロシアニン色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素であり、最も好ましくはシアニン色素である。
Ma1〜Ma7は無置換メチン基またはアルキル基(好ましくはC数1〜6)置換メチン基であることが好ましく、より好ましくは無置換、エチル基置換、メチル基置換のメチン基である。
Ma1〜Ma7は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
ka1が2以上の時、複数のMa3、Ma4は同じでも異なってもよい。
Za4から形成される環としてより好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、またはクマリンー2,4−ジオンであり、さらに好ましくは、ピラゾリジン−3,5−ジオン、インダン−1,3−ジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、または2−チオバルビツール酸であり、最も好ましくはピラゾリジン−3,5−ジオン、バルビツール酸、または2−チオバルビツール酸であり、最も好ましくは2−チオバルビツール酸である。
Ma8〜Ma11は無置換メチン基またはアルキル基(好ましくはC数1〜6)置換メチン基であることが好ましく、より好ましくは無置換、エチル基置換、メチル基置換のメチン基である。
Ma8〜Ma11は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
ka2が2以上の時、複数のMa10、Ma11は同じでも異なってもよい。
Za5及びZa6から形成される環としてより好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、またはクマリンー2,4−ジオンであり、さらに好ましくはバルビツール酸、または2−チオバルビツール酸であり、最も好ましくはバルビツール酸である。
Ma12〜Ma14は無置換メチン基であることが好ましい。
Ma12〜Ma14は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
ka3が2以上の時、Ma12、Ma13は同じでも異なってもよい。
R1、R2、R3、R4として好ましくは水素原子またはアルキル基である。R1、R2、R3、R4のうちのいくつか(好ましくは2つ)が互いに結合して環を形成してもよい。特に、R1とR3が結合して環を形成することが好ましく、その際カルボニル炭素原子と共に形成する環が6員環または5員環または4員環であることが好ましく、5員環または4員環であることがより好ましく、5員環であることが最も好ましい。
nおよびmが2以上の場合、複数個のR1、R2、R3およびR4は同一でもそれぞれ異なってもよい。
R6は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基(これらの置換基の好ましい例はR1〜R4と同じ)を表し、好ましくはアルキル基(好ましくはC数1〜6のアルキル基)である。
形成されるヘテロ環として好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、またはピリジン環であり、より好ましくはインドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、またはキノリン環であり、最も好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、またはベンゾイミダゾール環である。
Z1 により形成されるヘテロ環は置換基を有しても良く(好ましい置換基の例はZa1、Za2上の置換基の例と同じ)、置換基としてより好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
また本発明の水素結合性基を有する化合物は溶液または固体状態にて水素結合性基同士の相互作用により会合的相互作用することが好ましく、分子内相互作用でも分子間相互作用でも良いが、分子間相互作用である方がより好ましい。
R11としてより好ましくは水素原子、アルキル基、−SO2R19基を表し、最も好ましくは水素原子を表す。
R12として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、−COR18基、または−SO2R19基を表し、その際R18、R19としてはアルキル基またはアリール基が好ましい。
R12としてより好ましくは水素原子、アルキル基、または−COR18基を表し、最も好ましくは水素原子を表す。
R13として好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表し、より好ましくは水素原子を表す。
R14として好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
R15として好ましくはアルキル基、またはアリール基を表す。
R16として好ましくは水素原子を表し、R17として好ましくは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
ここで、色素発色団同士が特定の空間配置に、共有結合又は配位結合、あるいは種々の分子間力(水素結合、ファン・デル・ワールス力、クーロン力等)などの結合力によって固定されている状態を、一般的に会合(又は凝集)状態と称している。
本発明の増感色素及び2光子吸収化合物は、分子間会合状態で用いても、2光子吸収を行うクロモフォアを分子内に2個以上有し、それらが分子内会合状態にて2光子吸収を行う状態で用いても良い。
モノマーとは単量体を意味する。会合体の吸収波長の観点では、モノマー吸収に対して、吸収が短波長にシフトする会合体をH会合体(2量体は特別にダイマーと呼ぶ)、長波長にシフトする会合体をJ会合体と呼ぶ。
矢はず(Herringbone)会合体については、チャールズ・ライヒ(Charles Reich)著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第18巻、第3号、第335頁(1974年)に記載されている。矢はず会合体は、会合体に由来する2つの吸収極大を持つ。
本発明の化合物は会合により短波長化(H会合)しても長波長化(J会合)してもその両方でもいずれでも良いが、J会合体を形成することがより好ましい。
例えば溶液系では、ゼラチンのようなマトリックスを添加した水溶液(例えばゼラチン0.5wt%・化合物10-4M水溶液)、KClのような塩を添加した水溶液(例えばKCl5%・化合物2×10-3M水溶液)に化合物を溶かす方法、良溶媒に化合物を溶かしておいて後から貧溶媒を加える方法(例えばDMF−水系、クロロホルム−トルエン系等)等が挙げられる。
また膜系では、ポリマー分散系、アモルファス系、結晶系、LB膜系等の方法が挙げられる。
さらに、バルクまたは微粒子(μm〜nmサイズ)半導体(例えばハロゲン化銀、酸化チタン等)、バルクまたは微粒子金属(例えば金、銀、白金等)に吸着、化学結合、または自己組織化させることにより分子間会合状態を形成させることもできる。カラー銀塩写真における、ハロゲン化銀結晶上のシアニン色素J会合吸着による分光増感はこの技術を利用したものである。
分子間会合に関与する化合物数は2個であっても、非常に多くの化合物数であっても良い。
先述したように色素の屈折率は一般に、吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては2を超え、さらには2.5を超えるような高い値をとる。
一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
したがって、本発明の記録成分は、増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態から直接電子移動またはエネルギー移動することにより、あるいは増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態から酸発生剤または塩基発生剤に電子移動またはエネルギー移動することにより発生した酸または塩基により、元の状態から吸収が変化した発色体となることができる色素前駆体を含むことが好ましい。
B)少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、さらに塩基発生剤を含む組み合わせ、必要によりさらに塩基増殖剤を含む組み合わせ。
C)増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態との電子移動またはエネルギー移動により共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位と、共有結合している際と放出された際に発色体となる特徴を有する有機化合物部位が共有結合している化合物を含む場合。必要によりさらに塩基を含む組み合わせ。
D)増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態との電子移動により反応し、吸収形を変化させることができる化合物を含む場合。
その際、エネルギー移動が効率良く起こるためには、増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態の励起エネルギーが、色素前駆体の励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
また、増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態が色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤に電子を与えても、電子を受け取っても良い。増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態から電子を与える場合、電子移動が効率良く起こるためには、増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態における励起電子の存在する軌道(LUMO)エネルギーが、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤のLUMO軌道のエネルギーよりも高いことが好ましい。
増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態が電子を受け取る場合、電子移動が効率良く起こるためには、増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態におけるホールの存在する軌道(HOMO)エネルギーが、色素前駆体、酸発生剤または塩基発生剤のHOMO軌道のエネルギーよりも低いことが好ましい。
なお、これらの酸発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、またはカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
R24は好ましくは−CR21R22R23を、より好ましくは−CCl3基を表し、R25 は好ましくは、 −CR21R22R23、アルキル基、アルケニル基、またはアリール基である。
R27は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、a21は0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR27は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
X21 -は、HX21がpKa4以下(水中、25℃)、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の酸となる陰イオンで、好ましくは例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
a22、a23はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜1の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR28、R29は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
また、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、第10巻、p1307(1977年)に記載の化合物、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類も挙げられる。
具体的には、特開平1−54440号、欧州特許第109851号、欧州特許第126712号および「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の鉄アレーン錯体、「オルガノメタリックス(Organometallics)」、第8巻、第2737頁(1989年)記載の鉄アレーン有機ホウ素錯体、「Prog.Polym.Sci、第21巻、7〜8頁(1996年)記載の鉄アレーン錯体塩、特開昭61−151197号公報に記載されるチタセノン類、などが好ましい例として挙げられる。
本発明の酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物として具体的には、M.E.Woodhouseetal,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappasetal,J.ImagingSci.,30(5),218(1986)、S.Kondoetal.Makromol.Chem.,RapidCommun.,9,625(1988)、J.V.Crivelloetal.J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146037、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、特開2000‐143796号に開示されている化合物を用いることができる。
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
6)スルホン酸エステル系酸発生剤
が挙げられる。
また、
1)トリハロメチル置換トリアジン系酸発生剤
2)ジアゾニウム塩系酸発生剤
3)ジアリールヨードニウム塩系酸発生剤
4)スルホニウム塩系酸発生剤
5)金属アレーン錯体系酸発生剤
は、カチオン重合開始剤とラジカル重合開始剤を兼ねることができる。
したがって、本発明のフォトンモード記録材料及び2光子吸収記録材料、及びその組成物に、重合性モノマーや重合性バインダー、反応性バインダーや架橋剤を併用して、記録を行いながら、重合、架橋等による膜の硬化等を行うこともできる。
なお、これらの酸発色型色素前駆体は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
さらには、特開2000-281920号公報に開示されているスピロピラン系色素前駆体も具体例として挙げることができる。
本発明の酸増殖剤は、酸が存在しない場合は安定であるのに対し、酸が存在すると分解して酸を放出し、その酸でまた別の酸増殖剤を分解させてまた酸を放出する、というように酸発生剤により発生した小量の酸をトリガーとして酸を増殖する化合物である。
その際、酸増殖剤としては、下記一般式(34−1)〜(34−6)で表されることが好ましい。
R101はR101OHがスルホン酸、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸のいずれかである基であることが好ましく、スルホン酸、電子求引性基置換カルボン酸のいずれかであることがより好ましく、その際電子求引性基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基が好ましい。R101はR101OHがスルホン酸である基であることが最も好ましい。
R105、R106、R116は全て水素原子であることがより好ましい。R107、R110、R113は全てアルキル基であることがより好ましい。
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
R201、R202は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、イミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
R201、R202のより好ましい組み合わせとしては、R201が置換しても良いシクロヘキシル基でR202が水素原子、R201が置換しても良いアルキル基でR202が水素原子、R201、R202が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
一般式(31−1)にて、n202は0〜5の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。n202が2以上の時、複数のR203は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(31−1)にて、R203がニトロ基である時、2位または2,6位に置換することが好ましく、R203がアルコキシ基である時、3、5位に置換することが好ましい。
R204、R205のより好ましい組み合わせとしては、R204、R205共水、R204がメチル基でR205が水素原子、R204、R205共メチル基、R204が2−ニトロフェニル基でR205が水素原子、等が挙げられ、さらに好ましくはR204、R205共水素原子である。
一般式(31−2)にて、n203、n204はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。n203、n204が2以上の時、複数のR206、R207は同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(31−2)にて、R206は3、5位に置換したアルコキシ基であることがより好ましく、3、5位に置換したメトキシ基であることがさらに好ましい。
なお、一般式(31−3)で表される化合物はR209からポリマー鎖に連結した化合物であっても良い。
R210、R211は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としては例えばフルオレン環が好ましい。
ここで、R91、R92、R96はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR203の例と同じ)、好ましくは水素原子またはアルキル基を表す。R93はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR203の例と同じ)、好ましくは置換しても良いアルキル基または置換しても良いアリール基を表し、置換しても良いアルキル基であることがより好ましく、その際、置換基としては電子求引性であることが好ましく、フッ素であることが好ましい。
R94、R95は、それぞれ独立に置換基を表す(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)が、電子求引性の置換基が好ましく、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基であることが好ましい。
本発明の解離型色素の解離基としては、OH基、COOH基、NHSO2R93基、NHR96 基、またはCHR94R95基がより好ましく、OH基、またはCHR94R95基がさらに好ましく、OH基が最も好ましい。
本発明の塩基増殖剤は、塩基が存在しない場合は安定であるのに対し、塩基が存在すると分解して塩基を放出し、その塩基でまた別の塩基増殖剤を分解させてまた塩基を放出する、というように塩基発生剤により発生した小量の塩基をトリガーとして塩基を増殖する化合物である。
その際、塩基増殖剤としては、前記一般式(35)で表されることが好ましい。
R121、R122は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、イミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
R121、R122のより好ましい組み合わせとしては、R121が置換しても良いシクロヘキシル基でR122が水素原子、R121が置換しても良いアルキル基でR122が水素原子、R121、R122が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
R123、R124は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはフルオレン環が挙げられる。
一般式(36−1)、(36−2)中、R121、R122は一般式(35)と同義である。
なお、A1は増感色素励起状態または2光子吸収化合物の2光子励起状態との電子移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であることがより好ましい。
PDとしては解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素のいずれかであることがより好ましい。
R72は置換基(置換基として好ましくはR203にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくは電子吸引性基を表し、より好ましくはニトロ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、またはハロゲン原子を表す。a71はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a71が2以上の時、複数のR72は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。a71は好ましくは1または2であり、2位か4位にR72が置換することが好ましい。
a73は0または1を表す。
a76は0または1を表す。
前記を起こすことができる化合物は、いわゆる「エレクトロクロミック化合物」として総称されている。
本発明で色素前駆体として用いるエレクトロクロミック化合物として好ましくは、ポリピロール類(好ましくは例えばポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(N−メチルインドール)、ポリピロロピロール)、ポリチオフェン類(好ましくは例えばポリチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリイソチアナフテン、ポリジチエノチオフェン、ポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン)、ポリアニリン(好ましくは例えばポリアニリン、ポリ(N−ナフチルアニリン)、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(アニリン−m−スルホン酸)、ポリ(2−メトキシアニリン)、ポリ(o−アミノフェノール)、ポリ(ジアリルアミン))、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、Coピリジノポルフィラジン錯体、Niフェナントロリン錯体、Feバソフェナントロリン錯体である。
バインダーとしては、溶媒可溶性の熱可塑性重合体が好ましく、単独又は互いに組合せて使用することができる。
さらに、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニル及び共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH2)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸、(3)テレフタル酸及びセバシン酸、(4)テレフタル酸及びイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコール及び(i)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸及び(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸及びアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾール及びその共重合体、並びにH.カモガワらによりJournal of Polymer Science:Polymer Chemistry Edition,18巻、9〜18頁(1979)中開示されているようなカルバゾール含有重合体などが挙げられる。
有用な熱安定剤にはハイドロキノン、フェニドン、p−メトキシフェノール、アルキルおよびアリール置換されたハイドロキノンとキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、フェノチアジン、およびクロルアニールなどが含まれる。Pazos氏の米国特許第4,168,982号中に述べられた、ジニトロソダイマ類もまた有用である。
(反応性)バインダー、重合性モノマー、重合性オリゴマー、架橋剤:
好ましくは0〜95質量%、より好ましくは30〜95質量%、
記録成分:好ましくは3〜80質量%、より好ましくは5〜60質量%、
増感色素または2光子吸収化合物:
好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%
電子供与性化合物または電子受容性化合物:
好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%
溶媒としては例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒等が挙げられる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明する。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお構造はNMRスペクトル、MSスペクトル、元素分析にて確認した。
以下の組成にて、本発明の2光子吸収3次光記録材料の試料101〜103及び比較試料1〜3を作成した。
2光子吸収化合物:D−128 1質量部
記録成分:酸発生剤I−103 23質量部
酸発色型色素前駆体R−9 10質量部
電子供与性化合物ED−1 20質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリ(メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体)(平均分子量101000) 46質量部
溶媒:クロロホルム(必要によりアセトニトリル使用) 上記成分の3倍質量
<比較試料1>
記録成分:酸発生剤I−103 23質量部
酸発色型色素前駆体R−9 10質量部
電子供与性化合物ED−1 20質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリ(メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体)(平均分子量101000) 47質量部
溶媒:クロロホルム(必要によりアセトニトリル使用) 上記成分の3倍質量
2光子吸収化合物:D−128 1質量部
記録成分:塩基発生剤PB−3 20質量部
塩基発色型色素前駆体DD−17 10質量部
電子供与性化合物ED−1 20質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリメチルメタクリレート(平均分子量120000) 49質量部
溶媒:クロロホルム 上記成分の3倍質量
<比較試料2>
記録成分:塩基発生剤PB−3 20質量部
塩基発色型色素前駆体DD−17 10質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリメチルメタクリレート(平均分子量120000) 70質量部
溶媒:クロロホルム 上記成分の3倍質量
2光子吸収化合物:D−128 1質量部
記録成分:色素前駆体E−14 24質量部
電子供与性化合物ED−1 20質量部
塩基:トリオクチルアミン 5質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリメチルメタクリレート(平均分子量120000) 50質量部
溶媒:クロロホルム 上記成分の3倍質量
<比較試料1>
記録成分:色素前駆体E−14 24質量部
塩基:トリオクチルアミン 5質量部
バインダー:アルドリッチ社製 ポリメチルメタクリレート(平均分子量120000) 71質量部
溶媒:クロロホルム 上記成分の3倍質量
照射波長は2光子吸収化合物の10-4M溶液において、2光子吸収断面積δが最大となる波長付近を用いた。
試料101〜103、比較試料1〜3に対しては740nmのレーザー光を照射して2光子吸収を起こした所(第1の工程)、試料101〜103において、光照射部のレーザー焦点部(記録部)にて発色がわずかに確認できた。発色部の屈折率をエリプソメーターにて測定した所、740nmで1.50、1.48、1.49とレーザー非焦点部(非記録部)に比較してはわずかに増加したか、ほとんど変わらなかった。
さらに、680〜720nmの波長範囲の光を全面露光した結果(第2の工程)、第1の工程の記録部にて発色がはっきりと確認できた。記録部と非記録部の吸収率の変化は目視にて確認することができた。発色部の屈折率をエリプソメーターにて測定した所、740nmで1.57、1.56、1.57とレーザー非焦点部(非記録部)に比較して増加した。740nmのレーザーを照射した所、発色した記録部と非記録部にて屈折率の違いによる反射率の違いを確認することができた。
また、記録した試料101〜103に660nmのレーザーを照射した所、記録部と非記録部にて吸収率の違いによる反射率の違いを確認することができた。
なお、試料101〜103について、第1の工程における740nmレーザー照射のみで、第2の工程も行った場合と同様な吸収率、屈折率変調を行うことを試みると、約10倍長い照射時間を必要とした。すなわち、本発明の潜像発色−自己増感増幅記録方式は、第2の工程にて約10倍程度の増幅が可能であることを示す。第2の工程の照射時間をさらに長くするなどにより、さらなる増幅も可能であることも確認した。
また、レーザー焦点位置を水平及び深さ方向に走査することにより、3次元方向の任意の場所に発色させることができ、3次元的屈折率変調及び吸収率変調による光の反射率変調が可能であることを確認した。
さらに、試料101にて記録成分の酸発生剤を2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、4−ジエチルアミノフェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロペンタノエート、ビス(1−(4−ジフェニルスルホニウム)フェニルスルフィドジトリフラート、ベンゾイントシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、N−トシルフタル酸イミドに変更しても、試料101にて記録成分の酸発色型色素前駆体をクルスタルバイオレットラクトン、R−7、R−8に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料102にて記録成分の塩基発生剤を、PB−4、PB−8、PB−10、PB−12、PB−13、PB−19、PB−22、PB−32、PB−33、PB−52に変更しても、試料102にて塩基発色型色素前駆体(解離型色素非解離体)をDD−3、DD−9、DD−12、DD−23、DD−24、DD−30、DD−32、DD−33、DD−34、DD−37、DD−38、DD−43、DD−45、DD−46に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料103にて記録成分をE−4、E−5、E−11、E−12、E−13、E−16、E−17、E−18、E−19、E−25、E−26、E−27、E−29、E−32、E−34、E−37、E−38、E−39、E−42に変更しても同様な効果が得られた。
なお、上記の際、2光子吸収を起こす際のレーザー波長、全面露光を行う光の波長、屈折率変調による反射率変化を見る光の波長、吸収率変化による反射率変化を見る光の波長はそれぞれの系にて最適な波長を用い、電子供与性化合物も必要がある場合、最適なものに変更にした。
Claims (14)
- 少なくとも
1)増感色素、および
2)元の状態から吸収が長波長化し、増感色素と異なる波長域に吸収を有する発色体となることができる色素前駆体を含み、かつ、該増感色素または該発色体の励起状態から電子移動またはエネルギー移動過程を経て屈折率差または吸収率差として記録することができる記録成分、を有するフォトンモード記録材料の記録方法であって、少なくとも、光照射により該発色体を潜像として生成する第1の工程と、その発色体潜像を自己増感増幅生成して屈折率差または吸収率差として記録する第2の工程とを有し、それらの工程を乾式処理にて行うことを特徴とするフォトンモード記録方法。 - 前記増感色素が2光子吸収化合物であり、第1の工程が光照射により2光子吸収が起こることにより潜像を生成することを特徴とする請求項1のフォトンモード記録方法。
- 前記第2の工程が、光照射、熱印加、電場印加、磁場印加のいずれかであることを特徴とする請求項1または2のフォトンモード記録方法。
- 前記第2の工程が、前記発色体潜像に増感色素線形吸収のモル吸光係数が5000以下の波長域の光を照射して該発色体潜像の線形吸収を起こすことにより発色体を自己増感増幅生成して屈折率差または吸収率差として記録することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
- 前記第1の工程で潜像生成を行う光の波長と、第2の工程で潜像を増幅して屈折率差または吸収率差を形成する光の波長が同じであるか、または第2の工程の光の波長が短波長であることを特徴とする請求項4に記載のフォトンモード記録方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載された方法により記録されたフォトンモード記録材料を用い、光を該記録材料に照射して、屈折率差または吸収率差による反射率または透過率の違いを検出することにより再生することを特徴とする光記録再生方法。
- 前記記録成分が、少なくとも色素前駆体としての酸発色型色素前駆体と、酸発生剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
- 前記記録成分が、少なくとも色素前駆体としての塩基発色型色素前駆体と、塩基発生剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
- 前記増感色素がメチン色素またはフタロシアニン色素で表されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
- 前記フォトンモード記録材料が増感色素、2光子吸収化合物または色素前駆体から生成する発色体のラジカルカチオンを還元する能力を有する電子供与性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
- 前記電子供与性化合物がフェノチアジン類であることを特徴とする請求項10に記載のフォトンモード記録方法。
- 前記フォトンモード記録材料が増感色素、2光子吸収化合物または色素前駆体から生成する発色体のラジカルアニオンを酸化する能力を有する電子受容性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
- 前記第1の工程で2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長で、かつ、線形吸収の存在しない波長のレーザー光を2光子吸収光記録材料に照射して、誘起された2光子吸収を利用して潜像を形成することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のフォトンモード記録方法。
- 請求項1〜13のいずれかに記載のフォトンモード記録方法を用いた3次元光記録方法。
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