JP5703257B2 - 非共鳴2光子吸収記録材料及び非共鳴高分子2光子吸収光情報記録媒体及び記録再生方法 - Google Patents
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Description
通常、非共鳴2光子吸収を誘起する場合には、化合物の(線形)吸収帯が存在する波長領域よりも長波でかつ吸収の存在しない、近赤外領域の短パルスレーザーを用いることが多い。いわゆる透明領域の近赤外光を用いるため、励起光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、非共鳴2光子吸収の2乗特性のために試料内部の1点を極めて高い空間分解能で励起できる。
例えば、特許文献1には、(2)屈折率または蛍光強度変調材料として、色素を発色させることで屈折率を変調するものと、無蛍光から蛍光発光または蛍光発光から無蛍光にさせることで蛍光変調するもの(色素発色または蛍光色素発色により屈折率または蛍光変調する材料)を用いた技術が開示されている。また、特許文献2には、(2)屈折率または蛍光強度変調材料として、極微小に色素発色または蛍光変化した種(潜像核)を形成し、その後に光照射または加熱することにより記録増幅するもの(屈折率/蛍光変調;潜像増幅方式、色素発色により屈折率/蛍光変調する潜像を形成する材料)を用いた技術が開示されている。また、特許文献3等には、(2)屈折率変調材料として、重合によって高分子のポリマーを作って屈折率を変調するもの(重合により屈折率変調する材料)を用いた技術が開示されている。さらに、特許文献4には、屈折率変調材料として、極微小の重合潜像核を形成した後に、重合の駆動を行うもの(屈折率変調;潜像重合方式、重合により屈折率変調する潜像を形成する材料)を用いた技術が開示されている。
なお、非特許文献1には、下記構造の化合物が450〜600nmの光に対して非共鳴2光子吸収特性を示すことが開示されている。
非共鳴高分子2光子吸収化合物を含む非共鳴2光子吸収記録材料であって、非共鳴高分子2光子吸収化合物が下記一般式(1)で表される構造を含む化合物であることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
(一般式(1)中、Yはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する置換基を表し、Xはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する2価の置換基を表す。X及びYは同一種でもそれぞれ異なってもよく、nは1〜4の整数を表し、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は2価の置換基を表し、R3は置換基を表し、R1、R2、R3は複数存在する場合は、同一種でもそれぞれ異なってもよく、lは1以上、mは0〜4の整数を表す。)
<2>
<1>に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、非共鳴高分子2光子吸収化合物の主鎖がポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、及びポリイミドより選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
<3>
<1>又は<2>に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、非共鳴高分子2光子吸収化合物が下記一般式(2)で表される構造を含む化合物であることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
(一般式(2)中、Yはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する置換基を表し、Xはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する2価の置換基を表す。X及びYは同一種でもそれぞれ異なってもよく、nは1〜4の整数を表し、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は2価の置換基を表し、R3は置換基を表し、R1、R2、R3は複数存在する場合は、同一種でもそれぞれ異なってもよく、lは1以上、mは0〜4の整数を表す。)
<4>
<1>から<3>のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、一般式(1)又は(2)で表される非共鳴高分子2光子吸収化合物が下記一般式(3)で表される構造を含む化合物であることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
(一般式(3)中、Yはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する置換基を表し、nは1〜4の整数を表し、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は2価の置換基を表し、R3は置換基を表し、R1、R2、R3は複数存在する場合は、同一種でもそれぞれ異なってもよく、lは1以上、mは0〜4の整数を表す。)
<5>
<1>から<4>のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、一般式(1)、(2)又は(3)で表される非共鳴高分子2光子吸収化合物が下記一般式(4)で表される構造を含む化合物であることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
(一般式(4)中、Yはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する置換基を表し、nは1〜4の整数を表し、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は2価の置換基を表し、R3は置換基を表し、R1、R2、R3は複数存在する場合は、同一種でもそれぞれ異なってもよく、lは1以上、mは0〜4の整数を表す。)
<6>
<1>から<5>のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、一般式(1)から(4)のいずれか少なくとも1種で表される非共鳴高分子2光子吸収化合物を共重合体成分とする高分子化合物を含むことを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
<7>
<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、記録層を形成する非共鳴2光子吸収記録材料が少なくとも、(a)<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物と,(b)2光子記録の前後で反射光強度を変化させることのできる材料とを含むことを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
<8>
<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、記録層を形成する非共鳴2光子吸収記録材料が少なくとも、(a)<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物と,(b)2光子記録の前後で屈折率を変化させることのできる材料とを含むことを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
<9>
<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、記録層を形成する非共鳴2光子吸収記録材料が、<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物を含み、<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物が2光子記録の前後で反射光強度を変化させることができることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
<10>
<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、記録層を形成する非共鳴2光子吸収記録材料が、<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物を含み、<1>から<6>のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物が2光子記録の前後で屈折率を変化させることができることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
<11>
<1>から<6>のいずれか1項に記載の記録材料を含んだ記録層を有する光情報記録媒体。
<12>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、該記録層厚みが50nmから5μmの範囲である光情報記録媒体。
<13>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、該記録層に隣接し、該記録層を物理的に隔て、膨張による記録マークが形成可能な界面を生成するための中間層を有する光情報記録媒体。
<14>
<13>に記載の光情報記録媒体であって、該記録層と中間層の屈折率差が0.01から0.5の範囲である光情報記録媒体。
<15>
<13>に記載の光情報記録媒体であって、該中間層厚みが2μmから20μmの範囲である光情報記録媒体。
<16>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、基板を有する光情報記録媒体。
<17>
<16>に記載の光情報記録媒体であって、基板厚みが0.02mmから2mmの範囲である光情報記録媒体。
<18>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、記録時にトラッキングサーボによる半径位置制御を行うためのガイド層を有する光情報記録媒体。
<19>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、該記録層よりも光入射側表面側にカバー層を有する光情報記録媒体。
<20>
<19>に記載の光情報記録媒体であって、該カバー層厚みが0.01mmから0.2mmの範囲である光情報記録媒体。
<21>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、反射層を有する光情報記録媒体。
<22>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、スペーサー層を有する光情報記録媒体。
<23>
<22>に記載の光情報記録媒体であって、該スペーサー層厚みが5μmから100μmの範囲である光情報記録媒体。
<24>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、マーキングを行うことを特徴とする光情報記録媒体。
<25>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、光入射側表面にハードコート層を有する光情報記録媒体。
<26>
<11>に記載の光情報記録媒体であって、カートリッジに収納された光情報記録媒体。
<27>
<12>から<26>のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
<28>
<27>に記載の光情報記録媒体への記録再生方法であって、記録用レーザのピークパワーが該光情報記録媒体の表面上で1Wから100Wの範囲であり、記録用レーザの平均パワーが該光情報記録媒体の表面上で100mW以下、かつ記録用レーザのパルス幅と発振周期の積が0.001から0.1の範囲である記録再生方法。
<29>
情報の再生時に共焦点光学系を用いることを特徴とする<28>に記載の光情報記録媒体の記録再生方法。
<30>
下記一般式(5)で表される化合物。
(一般式(5)中R4、R5、及びR6は水素原子又は置換基を表し、同一種でもそれぞれ異なってもよい。)
<31>
下記一般式(6)で表される化合物。
(一般式(6)中R7、R8、及びR9は水素原子又は置換基を表し、同一種でもそれぞれ異なってもよい。)
なお、本発明は上記<1>〜<31>に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記1〜32に記載の事項など)についても記載した。
本発明の非共鳴2光子吸収記録材料において用いる、(a)非共鳴高分子2光子吸収化合物について、以下に説明する。
非共鳴高分子2光子吸収化合物の分子量分布(重量平均分子量÷数平均分子量 Mw/Mn)としては特に限定はされないが、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、最も好ましくは2.0以下である。
非共鳴高分子2光子吸収化合物としては、後述する一般式(1)から(4)のいずれか少なくとも1種で表される非共鳴高分子2光子吸収化合物と、該非共鳴高分子2光子吸収化合物以外のモノマーとを共重合体成分とする高分子化合物であることが好ましい。
共重合体である場合の非共鳴高分子2光子吸収化合物の組成比としては特に限定はされないが、好ましくは該2光子吸収化合物の比率が1モル%以上80モル%以下、より好ましくは3モル%以上50モル%以下、最も好ましくは8モル%以上30モル%以下である。
非共鳴高分子2光子吸収化合物の共重合成分の数としては特に限定されないが、好ましくは10成分以下、より好ましくは5成分以下、最も好ましくは3成分以下である。
非共鳴高分子2光子吸収化合物の共重合体の構成としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
本発明の非共鳴高分子2光子吸収化合物を合成する重合反応において、その反応タイプがラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、重縮合のいずれかであることが好ましく、ラジカル重合またはカチオン重合であることがより好ましくラジカル重合が最も好ましい。
これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合してもよい。
トリアクリレート類、東亜合成化学工業(株)製、商品名、アロニックス M−315、東亜合成化学工業 (株)製、商品名、アロニックス M−325、また、2,2′−ビス(4−アクリロキシ・ジエトキシフェニル) プロパン(新中村化学 (株)製、商品名、NKエステル A−BPE−4 )、テトラメチロールメタンテトラアクリレート(新中村化学 (株)製、商品名、NKエステル A−TMMT)等が挙げられる。
具体的には以下のカチオン重合性モノマー及びそれらから成るプレポリマー(例えばダイマー、オリゴマー等)が挙げられる。
本発明の非共鳴2光子吸収記録材料において用いる、特に好ましい(a)非共鳴高分子2光子吸収化合物は、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物である。
XはYに類似し、結合位置を2箇所有する置換基(連結基)であり例えばジフルオロメチレン基、ヘテロ環基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、などが挙げられ、より好ましくはアシル基、アシルオキシ基、またはアルコキシカルボニル基であり、最も好ましくはベンゾイル基である。これらの置換基のうち、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシル基、アシルオキシ基、及びアルコキシカルボニル基は、溶媒への溶解性の付与等の他、様々な目的で、更に置換基を有してもよく、置換基としては、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、などが挙げられる。
R2は2価の置換基(連結基)を表し、好ましくは、カルボニル基、オキシ基、アルキレン基、アリーレン基、又はこれらを組み合わせてなる基であり、エステル結合(カルボニル基とオキシ基からなる基)、アルキレンオキサイド基(アルキレン基とオキシ基からなる基)、アリーレン基、及びこれらを組み合わせてなる基がより好ましい。これらの基は溶媒への溶解性の付与等の他、様々な目的で、更に置換基を有してもよく、置換基としては、好ましくは、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、などが挙げられる。
R3は置換基を表し、置換基としては特に限定されず、具体的にはアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基などが挙げられる。
T.Kogej, et al., Chem.Phys.Lett.,298,1(1998))によれば、有機化合物の2光子吸収効率、すなわち2光子吸収断面積δは、3次分子分極率(2次超分極率)γの虚数部と以下の関係にある。
従って、数式(2)の値を計算すれば、化合物の2光子吸収断面積を予測することが可能である。そこで、基底状態の最安定構造を6−31G*を基底関数としてB3LYP汎関数を用いたDFT法により計算し、その結果を基にMge、Mee’及びEgeを計算してImγの値を算出することができる。例えば、上記一般式(1)で表される構造を有する化合物において、X及びYに電子供与性置換基であるメトキシ基が置換したクアテルフェニル化合物の計算から得れたImγの極大値を1とした場合、その他の置換基として、ハメット式におけるσp値が正の値を取る、所謂電子求引性の基を有する分子のImγ極大値の相対値が大きいものとなる。
上記一般式(1)で表される構造を有する化合物において、X及びYに電子供与性基のメトキシ基が置換するクアテルフェニル化合物では、Imγは小さく、X及びYが共に電子求引性置換基で置換された分子では総じてImγが大きく増大する。先にも述べたが、理論的に2光子吸収断面積δは3次超分極率γの虚数部、すなわちImγに比例するため、これらの計算よりX及びYは共に電子求引性置換基が置換した構造が望ましい。
一般式(1)または一般式(2)で表される構造を有する化合物において、X及びYは、同一種でもそれぞれ異なってもよいが、異なっているほうが、2光子吸収断面積が大きくなる傾向にあり好ましい。
本発明の非共鳴2光子吸収記録材料において用いる反射光強度あるいは屈折率が変化する記録成分について、以下に説明する。
具体例としては特開2005−320502公報中、段落0022に記載されている化合物(アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル及び酸性重合体及びインターポリマー、ポリビニルエステル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体、ポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化合物、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリカーボネート、ノルボルネン系ポリマー、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)が挙げられる。また、同段落に記載のポリスチレン重合体及びその共重合体、コポリエステルのポリメチレングリコールと芳香族酸化合物の反応生成物から製造されたポリマーとその混合物、ポリN − ビニルカルバゾール及びその共重合体、カルバゾール含有重合体等が挙げられる。さらに、同公報中、段落0023〜0024に記載のフッ素原子含有高分子も好ましい具体例として挙げられる。
より好ましくはアクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステル、ポリスチレン、ポリアルキルスチレン、ポリスチレン共重合体が好ましく、アクリレート、アルファーアルキルアクリレート、ポリスチレン、ポリスチレン共重合体が検出感度の向上という点でさらに好ましい。これら具体例としては、アクリレート及びアルファーアルキルアクリレートエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンゼン環を持った(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に好ましいベンゼン環を持った(メタ)アクリレートは、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートである。これらの単量体は1種類のみ用いても2種類以上を併用してもよい。(メタ)アクリレート系共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート、ベンゼン環を持った(メタ)アクリレート、窒素を含むラジカル重合性単量体と共重合可能な他の共重合性単量体を共重合させてもよく、そのような他の共重合性単量体としては、アリルグリシジルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(無水)マレイン酸、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、等が挙げられる。親水性極性基を持つ化合物を共重合してもよく、極性基としては、−SO3M、−PO(OM)2、−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属あるいはアンモニウムを表す)。
バインダーとしては、溶媒可溶性の熱可塑性重合体が好ましく、単独又は互いに組合せて使用することができる。
上記色素モノマーの重合体と併用するバインダーは重合性化合物と屈折率が違うことが好ましく、重合性化合物の方がより屈折率が大きくても、バインダーの方がより屈折率が大きくてもどちらでも構わないが、重合性化合物の方がバインダーよりも屈折率が大きいことがより好ましい。
そのためには、重合性化合物またはバインダーのいずれか一方が、少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、残りの一方はそれらを含まないことが好ましく、より好ましくは、重合性化合物が少なくとも1個のアリール基、芳香族ヘテロ環基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫黄原子を含み、バインダーはそれらを含まないことが好ましい。
好ましい低屈折率バインダーの具体例としては、アクリレート及びアルファ−アルキルアクリレートエステル及び酸性重合体及びインターポリマー(例えばポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体及びほぼ4,000〜1,000,000の重量平均分子量を有するポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化物(例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物)、ポリアミド(例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアジパミド)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルベンジルセルロース)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール(例えば、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、米国特許3,458,311中及び米国特許4,273,857中に開示されている酸含有重合体及び共重合体、並びに米国特許4,293,635中開示されている両性重合体バインダーなどが挙げられ、より好ましくはセルロースアセテートブチレート重合体、セルロースアセテートラクテート重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル/メタクリル酸及びメタクリル酸メチル/アクリル酸共重合体を含むアクリル系重合体及びインターポリマー、メタクリル酸メチル/アクリル酸又はメタクリル酸C2〜C4アルキル/アクリル酸又はメタクリル酸の3元重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、並びにそれらの混合物などが挙げられる。
また、上記のバインダーは非3次元架橋構造を形成するものが多いが、本発明の光記録材料には3次元架橋構造を形成する構造のバインダーを用いることもできる。3次元架橋構造を形成する構造のバインダーは、塗膜性、膜強度、記録性能の向上という点で好ましい。なお、「3次元架橋構造を形成する構造のバインダー」を「マトリックス」と呼ぶ。
上記マトリックスは、その3次元架橋構造を形成する成分を含み、本発明における該成分は熱硬化性化合物を含むことができる。前記硬化性化合物としては、熱硬化性化合物、触媒などを使用して光照射により硬化する光硬化性化合物を用いることができ、熱硬化性化合物が好ましい。
前記多官能イソシアネートとしては、具体的には、ビスシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、1−メトキシフェニレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、シクロブチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−2,6−ジイソシアネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,3−ビス(メチルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メチルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ドデカメチレン−1,12−ジイソシアネート、フェニル−1,3,5−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,5,4’−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−2,4’,4”−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,2’,4’−テトライソシアネート、ジフェニルメタン−2,5,2’,5’−テトライソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリイソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、3,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネート)、ジシクロヘキシルメタン−2,4,2’−トリイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4,4’−トリイソシアネートリジンジイソシアネートメチルエステル、またはこれらの有機イソシアネート化合物の化学量論的過剰量と多官能性活性水素含有化合物との反応により得られる両末端イソシアネートプレポリマー、などが挙げられる。これらの中でも、ビスシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の光情報記録媒体は、基板を有することが好ましい。
本発明の記録媒体に用いられる基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料からなる基板を任意に選択して使用することができる。基板としては、円盤状基板を用いることが好ましい。
基板材料として、具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
前記材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
これらの樹脂を用いた場合、射出成型を用いて基板を作製することができる。また、樹脂をフィルム状に形成し、円盤状に切り抜くことで基板を形成することも可能である。
基板の厚さは、一般に0.02mm〜2mmの範囲が好ましく、0.6mm〜2mmの範囲がより好ましく、0.7mm〜1.5mmの範囲であることが更に好ましく、0.9mm〜1.2mmとすることが特に好ましい。また、2枚の記録媒体を貼り合せて両面記録可能な媒体とすることも可能である。その場合、基板1枚の厚さは0.2mm〜0.7mmの範囲であり、0.3mm〜0.6mmの範囲であることが好ましく、0.4〜0.5mmとすることがより好ましい。
また、高速での記録再生可能かつ、体積あたりの記録容量を向上させるため基板の厚さを、一般的な光ディスクよりも大きく低減し、可撓性を持たせることも可能である。その場合基板の厚さは0.02mm〜0.4mmの範囲であり、0.05mm〜0.35mmの範囲であることが好ましく、0.1mm〜0.3mmとすることがより好ましい。
基板の中心には、チャッキング用の孔を設けることが一般的である。また、孔の代わりにハブを設けることも可能である。
光記録媒体の記録時にトラッキングサーボによる半径位置制御を行うための、同心円状またはスパイラル状のガイド層を設けても良い。ガイド層は一般に、連続的または断続的な凹凸構造を有し、従来の光ディスクでは円盤状媒体の内周から外周まで一本の溝が連続してスパイラル状の形成されている。溝深さはトラッキングに用いるレーザー波長により好適な範囲が決まる。トラッキングにプッシュプル方式を用いる場合、溝から得られるトラッキング信号は、トラッキングレーザー波長をλ、溝内の屈折率をnとした場合、溝深さがλ/(8n)において最大となり、溝深さが0およびλ/(4n)において0となることから、溝深さdの範囲は0<d<λ/(4n)であり、溝深さdの範囲はλ/(12n)<d<λ/(6n)が好ましく、より好ましくはd=λ/(8n)である。
ガイド溝の幅はトラックピッチに応じて設定することが可能であり、一般にトラックピッチの半分程度にすることで強度の高いプッシュプル信号を得ることができる。
ガイド層には記録時の回転同期用クロック信号を生成する構造を設けることができる。一般には、溝を任意の周波数で蛇行させるウォブルグルーブ方式が用いられる。記録装置はウォブルグルーブから得られる周期的な信号変動を参照し、規定の記録線速度に制御することが可能である。また、ガイド層にはアドレス情報を設けることができる。ウォブルグルーブ方式の場合、搬送周波数に対して大小の周波数を組み合わせることにより、任意のアドレス情報を持たせる周波数変調方式や、ウォブルの位相を変化させることによる位相変調方式、アドレス情報を重畳させる方式、などを用いることが可能である。また、溝の横にマークを設け、その位置によりアドレス情報を形成する、いわゆるランドプリピット方式も可能であり、これらを組み合わせて用いることが可能である。また、アドレス情報と同様の方法を用いて、記録パワーのキャリブレーションや、対応線速度、信号極性等、記録再生制御に必要な情報を予めガイド層に記録しておくことも可能である。
ガイド層を設ける深さ方向の位置は、トラッキングレーザーにより再生可能な位置であればどこでも良く、ガイド層を基板表面に設ける場合は、基板成形時にガイド層形状が刻印されている金属スタンパを押し当てることにより、基板成形とガイド層形成を同時に行うことが可能である。また、成形基板に紫外線硬化樹脂等を塗布し、スタンパを押し当てた後樹脂を硬化させることにより形成することも可能である。各記録層と隣接して設ける場合、記録層の間の中間層に設ける場合、カバー層と隣接して設ける場合なども同様にガイド層を形成することが可能である。ガイド層を設ける樹脂層に樹脂の軟化温度以上に加熱した金属スタンパを押し当ててパターンを転写することも可能である。
反射信号強度を向上するために、ガイド層または記録層に隣接して反射層を設けることができる。
反射層材料としては再生波長において必要な反射率が得られる材料種から選択可能であり、例えば、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属、又は半金属を用いることが可能であり、中でもAg、Au、Alは高い反射率が得られ良好である。これら材料は単独で用いても良いし、複数を混合しても良い。また、改質のため少量の添加元素を加えることも可能である。
反射層として高屈折率または低屈折率材料を用いて、隣接する層との屈折率差を設けることにより反射光を生成することも可能である。高屈折率材料の例としては、酸化チタン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In2O3)などが挙げられる。低屈折率材料の例としては、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ナトリウム(NaF)などが挙げられる。これら材料は単独で用いても良いし、複数を混合しても良い。これらの無機化合物を、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、分子線エピタキシー等の方法により製膜することで反射層を形成することが可能である。
記録再生用レーザーとトラッキング用レーザーの波長が異なる場合、波長選択的な反射層材料を用いることにより、トラッキングレーザーの反射率を高く、記録再生レーザーの反射率を低く設定し、不要な反射光を低減することも可能である。具体的には、例えば記録再生レーザーとして波長405nmの光、トラッキング用レーザーとして波長660nmの光を用いる場合に、500nmよりも長波長においては高い反射率を示し、500nmよりも短波長において反射率が急激に低下するAuを反射層として用いることにより、トラッキング用レーザー光を強く反射し、記録再生光の反射率を下げ、記録再生光の反射による迷光成分を低減することが可能となる。
隣接する記録層の間には記録層を物理的に隔て、膨張による記録マークを形成可能な界面を生成するための中間層を設ける。
記録層と中間層の界面反射は、主に両者の屈折率差により生成するため、記録層と中間層に屈折率差を設ける必要がある。多層構造で記録層両側に中間層が位置する場合、記録層と、両方の中間層の屈折率差を同じとし記録層上下から界面反射を生成することも可能であるし、記録層両側に位置する中間層片側の中間層の屈折率を記録層と同じとし、もう片側の中間層の屈折率を記録層と異なる中間層とすることで、記録層片側界面のみから反射光を生成することも可能である。この場合、記録層両側界面から反射光を生成した場合に比べ、光の干渉による記録層反射率の変動を低減可能となる。また、この場合、記録層上下の中間層が異なる素材でも良い。
記録層と中間層の屈折率差は、一般に0.01〜0.5の範囲であり、0.04〜0.4の範囲であることが好ましく、0.08〜0.25とすることがより好ましい。小さすぎると必要な反射光が得られず、大きすぎると用いる材料が限られてしまう。
中間層膜厚は薄すぎると隣接する記録層同士の光学的な分離が困難となる、熱的な影響を受けるなどによりいわゆる層間クロストークが生じる問題があり、厚すぎると記録層数を増やすことが難しくなる。このため中間層厚みは、2μm〜20μmの範囲であり、4μm〜15μmの範囲であることが好ましく、6μm〜10μmとすることがより好ましい。
それぞれの中間層は膜厚が同じでも良いし、異なる膜厚でも良い。入射面からの距離が小さいほど光学系の収差が小さいことを考慮して、入射側に近い中間層をより薄くすることも有効である。
中間層材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、粘着材等を用いることが可能である。
紫外線硬化樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、パーフルオロポリエーテルなどのフッ素系ポリマーやポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系ポリマー、光重合開始剤などの混合物からなる。
光重合開始剤としては公知のものを用いることができ、光重合開始剤のうち、光ラジカル開始剤としては、例えば、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)が挙げられる。光重合開始剤の含有量は、例えば、紫外線硬化樹脂剤組成物(固形分として)中に0.5〜5質量%程度である。
紫外線硬化樹脂層は既知の製膜方法により形成することができる。例えばエアドクタコート、ブレードコート、ロッドコート、ナイフコート、スクイズコート、含侵コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、カーテンコート、カレンダコート、押出コート、スプレーコート、スピンコート、ホットメルトコート、蒸着、エクストルージョン等を用いることができる。
アクリル系の粘着剤としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、2−エチルヘキシルアクリレート等の低Tgモノマーを主モノマーとし、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル等の官能基モノマーと共重合することで得られたアクリル共重合体をイソシアネート系、メラミン系、エポキシ系、ウレタン系等の架橋剤にて架橋することにより得ることができる。他の光硬化性のオリゴマー・モノマーや、重合開始剤、希釈溶剤、粘着付与剤、酸化防止剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、熱可塑性樹脂・染料・顔料等が硬化や添加できる。これら粘着剤組成物をセパレータ上に塗工する。
本発明の記録層は、記録光を照射すると、色素部分が記録光を吸収して発生する熱により高分子部分が変形し、隣接する層との界面に凸形状が形成されることで情報が記録される。
記録再生に必要な信号強度を得るための形状変化には、膨張させるための、ある程度の厚みの記録層が必要であり、その範囲は、50nm〜5μmが望ましく、より望ましくは100nm〜3μm、更に望ましくは200nm〜2μmの厚さで形成されている。
記録層には必要に応じてバインダ、褪色防止剤、発熱剤、可塑剤、屈折率調整剤等の添加物を加えても良い。
褪色防止剤としては、有機酸化剤や一重項酸素クエンチャーを挙げることができる。褪色防止剤として用いられる有機酸化剤としては、特開平10−151861号公報に記載されている化合物が好ましい。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号、同59−81194号、同60−18387号、同60−19586号、同60−19587号、同60−35054号、同60−36190号、同60−36191号、同60−44554号、同60−44555号、同60−44389号、同60−44390号、同60−54892号、同60−47069号、同63−209995号、特開平4−25492号、特公平1−38680号、および同6−26028号等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁などに記載のものを挙げることができる。
屈折率調整剤としては各種高分子材料やSiO2、TiO2等透明な無機物の微粒子等を用いることが可能である。
溶剤コートを用いる場合は記録層成分を塗布溶媒に溶解もしくは分散させる。塗布溶媒は、記録層成分の溶解性、分解性と塗布適性等を考慮し選択することができ、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノール等のアルコール系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;水などが1種あるいは複数混合して用いられる。これら溶媒と記録層成分を混合した後、攪拌、超音波、加熱するなどして塗布溶剤を調整する。 使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
記録層の層数は1層以上あれば良く、記録層は中間層を隔てて積層することにより層数を増やすことも可能である。
ガイド層は凹凸形状を設けてあることから、ガイド層からの反射光は周波数成分をもつこととなり、記録再生信号に影響を及ぼす。そのためガイド層とガイド層に最も近い記録層を空間的に分離し、ガイド層からの反射光の影響を低減するためのスペーサー層を設けることができる。
スペーサー層の厚みは5μm〜100μmの範囲であり、10μm〜50μmの範囲であることが好ましく、20μm〜40μmとすることがより好ましい。
スペーサー層材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、粘着材等を用いることが可能である。また中間層と同じ材料でも良い。
記録層の保護の観点から、記録層よりも光入射側表面側に、カバー層を設けても良い。カバー層は薄すぎると、記録再生時にカバー層表面の表面の傷や汚れをコントラスト良く検出してしまい、一方、光学系の収差は入射側表面から記録層までの距離が大きくなるにつれ大きくなることから、カバー層厚みには好適な範囲がある。具体的には、一般にカバー層の厚さは0.01mm〜0.2mmの範囲であり、0.02mm〜0.1mmの範囲とすることが好ましく、0.03mm〜0.07mmの範囲であることがより好ましい。
カバー層形成手段としては従来の光ディスクで用いられている、紫外線硬化樹脂組成物を表面に形成し硬化する方式や、フィルムを接着剤、粘着材などを介して貼り付ける方式などを用いることができる。
紫外線硬化樹脂は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、パーフルオロポリエーテルなどのフッ素系ポリマーやポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系ポリマー、光重合開始剤などの混合物からなる。
光重合開始剤としては公知のものを用いることができ、光重合開始剤のうち、光ラジカル開始剤としては、例えば、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)が挙げられる。光重合開始剤の含有量は、例えば、紫外線硬化樹脂剤組成物(固形分として)中に0.5〜5質量%程度である。
また、紫外線硬化型組成物には、必要であれば、さらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、硬化型成分への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい。
これらの紫外線硬化樹脂は、フィルムを貼り付ける場合に、接着剤として用いることが可能である。
アクリル系の粘着剤としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、2−エチルヘキシルアクリレート等の低Tgモノマーを主モノマーとし、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル等の官能基モノマーと共重合することで得られたアクリル共重合体をイソシアネート系、メラミン系、エポキシ系、ウレタン系等の架橋剤にて架橋することにより得ることができる。他の光硬化性のオリゴマー・モノマーや、重合開始剤、希釈溶剤、粘着付与剤、酸化防止剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、熱可塑性樹脂・染料・顔料等が硬化や添加できる。これら粘着剤組成物をセパレータ上に塗工する。
セパレータには離型処理された厚み25〜100μmのポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のプラスチックフィルムもしくは紙が使用できる。これらの中で、更に平滑な表面が得易く生産性に優れる二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。セパレータの粘着剤層と接する面には離型剤処理を行っている。この離型剤としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アルキル基を有する樹脂等の単体や変性体、混合物等が挙げられる。その中で、接着剤層の軽剥離が容易に得ることができるシリコーン樹脂が好ましく使用でき、特に熱や紫外線、電子線等で硬化したシリコーン樹脂は、接着剤層へのシリコーン樹脂の転着が少ない等の理由からより好ましく使用できる。
フィルムを貼り合せる場合、用いるフィルムは、透明な材質であれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンまたは三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録および再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
記録再生装置の対物レンズの接触や、ハンドリングによる傷、指紋等の汚れを防ぐために、光入射側表面にハードコート層を設けることができる。ハードコート層は予めカバー層表面に形成しておいても良いし、紫外線硬化樹脂組成物の形態で準備しておいてディスク製造工程においてスピンコート等を用いて表面に塗布、硬化させて形成しても良い。
ハードコート層は一般に、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、パーフルオロポリエーテルなどのフッ素系ポリマーやポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系ポリマー、SiO2の微粒子、光重合開始剤などの混合物からなる。
光重合開始剤としては公知のものを用いることができ、光重合開始剤のうち、光ラジカル開始剤としては、例えば、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)が挙げられる。光重合開始剤の含有量は、例えば、ハードコート剤組成物(固形分として)中に0.5〜5質量%程度である。
ハードコート材料としては具体的には特開2004−292430、特開2005−112900記載の化合物や、市販品例えばHC―3(DIC株式会社製)を用いることも可能である。
ハードコート層は上述したカバー層を兼ねていても良く、その場合、カバー層として必要な厚みにハードコート層を形成することで形成できる。
上述の各構成要素を必要に応じた組み合わせ、順序で積層することで、本発明の光情報記録媒体を製造することが可能である。
本発明の光情報記録媒体は、非共鳴2光子吸収化合物を含む非共鳴2光子吸収記録材料からなる記録層を有することが好ましく、入射光に対して奥側から、基板、ガイド層、反射層、スペーサー層、中間層に挟まれた記録層の積層構造、及び入射光表面側にカバー層、ハードコート層を有する光情報記録媒体であることがより好ましい。
図2に本発明の光情報記録媒体の1例を示す。図2に記載の光情報記録媒体10は、基板上にガイド層12、反射層、スペーサー層、中間層、記録層11をこの順に有している。記録層は中間層に挟まれた構成となっている。また、入射光表面側にカバー層、ハードコート層を有している。
記録媒体1枚毎に識別情報等を設ける目的で、媒体の一部にバーコード等によるマーキングを行うことが可能である。
マーキング方法としては、特許第3143454号、特許第3385285号等に記載の従来の光ディスクで用いられている反射層へのレーザー照射による熱破壊による方法の他、記録層へのレーザー照射や印刷等の方法を用いることが可能である。
記録媒体を落下やハンドリングによる傷から守る、耐光性を持たせる目的で、記録媒体をカートリッジに収納することも可能である。その場合、従来の光ディスクで用いられているカートリッジを用いることができる。
記録再生装置1は、光情報記録媒体10に対面して対物レンズ21を有し、対物レンズ21の光軸上に、対物レンズ21から順に、DBS(ダイクロイックビームスプリッタ)22、λ/4板23a、収差補正のためのビームエキスパンダ24、PBS(偏光ビームスプリッタ)25a、λ/2板26a、PBS25b、ミラー27を備えている。
また、PBS25bの反射方向にはλ/2板26c、コリメートレンズ33、再生用レーザ34が順に配置されており、PBS25aの反射方向にはビームスプリッタ35が配置されており、ビームスプリッタ35で分岐される一方には集光レンズ36、ピンホール37、再生光受光素子38が配置され、もう一方には集光レンズ39、シリンドリカルレンズ40、再生フォーカス用受光素子41が配置されている。
DBS22の対物レンズ21の光軸方向に直交する方向には、λ/4板23b、PBS25cが配置されており、PBS25cの一方、対物レンズ21の光軸方向に直交する方向に、λ/2板26d、コリメートレンズ42、ガイド層用レーザ光源43が順に配置され、PBS25cのもう一方、対物レンズ21の光軸方向に平行な方向には、集光レンズ44、シリンドリカルレンズ45、ガイド光用受光素子46が順に配置されている。
同様に、PBS25cはガイド層用レーザ光源43からの光を光情報記録媒体10に向けて透過させるとともに、反射した光をガイド光用受光素子46に向けて反射させる。
情報の記録時において、記録再生装置1は、記録用レーザ32からパルスレーザ光を発し、変調器31によりパルスレーザ光の一部を間引いてパルスレーザ光に情報をエンコードする。情報をエンコードされた光は、PBS25b、λ/2板26a、PBS25aを透過し、ビームエキスパンダ24によって収束、発散状態が制御された後、λ/4板23a、DBS22を透過し、対物レンズ21で所定の記録層11に収束される。パルスレーザ光の照射と同時に、再生用レーザ34からCWレーザ光を発し、CWレーザ光は、PBS25bを反射した後、記録用レーザ光と同様に対物レンズ21で収束する。光情報記録媒体10から返ってきたCWレーザ光は、対物レンズ21、DBS22、λ/4板23a、ビームエキスパンダ24、を通過してPBS25aで反射され、集光レンズ36およびピンホール板37を通って再生光受光素子38に入射する。
本発明の非共鳴2光子吸収記録材料において用いる、2光子記録の前後で反射光強度を変化させることのできる材料としては、例えば、本発明の高分子2光子吸収化合物を含めた高分子化合物が挙げられる。
該高分子化合物としては、2光子記録波長に線形吸収を持たないものが好ましい。
該高分子化合物は、前述の2光子吸収記録材料において、バインダーとして記載したものと同じものを適宜用いることもできる。
<化合物D−1合成法>
化合物D−1は以下に示した方法で合成した。
アニソール27.0g(250mmol)と4−ブロモベンゾイルクロリド42.9g(200mmol)を塩化メチレン500mlに溶解させ、内温5℃まで冷却した後、6回に分けて塩化アルミニウムを33.4g(250mmol)添加して窒素雰囲気下で8時間攪拌した。反応溶液を水に注ぎ込んだ後に塩化メチレンで抽出し、ロータリーエバポレーターで蒸発乾固させて白色の化合物2を定量的に得た。得られた化合物1は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
原料化合物1 35.0g(120mmol)に対して臭化水素酸140ml、酢酸220mlを加えて内温110℃で12時間半攪拌した。室温まで放冷した後、反応溶液を水に注ぎ込み室温で20分間攪拌した。沈殿をろ過した後に純水、ヘキサン:酢酸エチル=5:1で洗浄し減圧乾燥させて白色の化合物3を定量的に得た。得られた化合物2は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
原料化合物2 9.74g(35.1mmol)をテトラヒドロフラン70mlに溶解させトリエチルアミン7.10g(70.2mmol)を加えて内温5℃まで冷却した。その後メタクリル酸クロリド3.67g(35.1mmol)を滴下しながら窒素雰囲気下で2時間攪拌した。反応溶液を水に注ぎ込み、室温で20分間攪拌した。析出した沈殿をろ別、室温乾燥して白色の化合物3を定量的に得た。得られた化合物3は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
5−ブロモ−2−ヨードトルエン63.5g(214mmol)、パラトリフルオロメチルフェニルボロン酸44.7g(235mmol)、酢酸パラジウム2.40g(10.7mmol)、炭酸ナトリウム68.0g(642mmol)に対して1,2−ジメトキシエタン350ml、水70mlを加え、窒素雰囲気下、外温90℃で72時間攪拌した。室温まで放冷した後、酢酸エチルで抽出しロータリーエバポレーターで濃縮した後にシリカゲルカラム(ヘキサン)で精製して白色の化合物4を57.9g(収率86%)得た。得られた化合物4は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
原料化合物4を57.9g(184mmol)、ビスピナコラートジボロン56.1g(221mmol)、[1、1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物4.25g(5.20mmol)、酢酸カリウム54.2g(552mmol)に対してジメチルスルホキシド400mlを加え、窒素雰囲気下、内温90℃で5時間攪拌した。室温まで放冷した後、酢酸エチルで抽出しロータリーエバポレーターで濃縮した後にシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して白色の化合物5を57.5g(収率86%)得た。得られた化合物5は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
原料化合物3を14.8g(42.9mmol)、原料化合物5を18.6g(51.5mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム2.48g(2.15mmol)、炭酸カリウム17.8g(129mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン1mgに対してトルエン170ml、水20mlを加え、窒素雰囲気下、外温90℃で12時間攪拌した。室温まで放冷した後、酢酸エチルで抽出しロータリーエバポレーターで濃縮した後にシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製し、酢酸エチル/ヘキサンで再結晶してろ別・乾燥して白色の化合物6を6.8g(収率32%)得た。得られた化合物6は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
1H NMR(CDCl3) 7.92(d,4H)、7.76(dd,2H)、7.71(d,2H)、7.59−7.55(m,2H)、7.50(d,2H)、7.34(d,1H)、7.29(dd,2H)、6.41(s,1H)、5.82(t,1H)、2.37(s,3H)
テトラヒドロフラン5gを窒素雰囲気下で外温70℃で攪拌した。そこにテトラヒドロフラン26.7gに溶解させた原料化合物6 2.00g(4.00mmol)、メタクリル酸メチル11.6g(116mmol)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)29.8mg(0.12mmol)を2時間かけて滴下し、その後8時間攪拌した。室温まで放冷した後、アセトンで希釈して、アセトン/ヘキサンで再結晶し、ろ別・乾燥して化合物D−1を4.77g得た。得られたポリマーは1H NMRによって組成を確認し、GPCによって分子量測定を行った(組成比 原料化合物6/メタクリル酸メチル=12/88(モル比)、Mw=367,000)。
メチルエチルケトン3.99gを窒素雰囲気下で外温70℃で攪拌した。そこにメチルエチルケトン35.9gに溶解させた原料化合物6 1.88g(3.76mmol)、メタクリル酸ブチル5.15g(36.2mmol)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)49.7mg(0.20mmol)を3時間かけて滴下し、その後4時間攪拌した。室温まで放冷した後、アセトンで希釈して、水/メタノールで再結晶し、ろ別・乾燥して化合物D−3を得た。得られたポリマーは1H NMRによって組成を確認し、GPCによって分子量測定を行った(組成比 原料化合物6/メタクリル酸ブチル=13.5/86.5(モル比)、Mw=32,000)。
上記の化合物R−1は、以下の方法により合成した。
p−トリフルオロメチルフェニルボロン酸6.98g(37mmol)と5−ブロモ−2−ヨードトルエン9.92g(33mmol)、炭酸ナトリウム10.6g(100mmol)をエチレングリコールジメチルエーテル−蒸留水混合溶媒190ml(14:5)に溶解させた後、酢酸パラジウム0.37g(1.7mmol)とトリフェニルホスフィン0.88g(3.3mmol)を加えて窒素気流下で7時間加熱した。反応溶液を放冷後、蒸留水と酢酸エチル約600mlを加えて抽出し、水層を除いて有機層を分離した後、この有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ別したろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固させて、シリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:400)で精製して白色の原料化合物7を10.1g(収率96%)得た。得られた化合物7は1H NMRスペクトルにより目的化合物であることを確認した。
原料化合物7を9.5g(30mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン9.9g(39mmol)、酢酸カリウム8.8g(90mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム0.73g(0.9mmol)をDMF170mlに懸濁させ、窒素気流下、80℃で4時間加熱した。反応溶液を放冷後、蒸留水と酢酸エチルを加えて抽出し、水層を除いて有機層を分離した後、この有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ別したろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固させて、シリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:100→1:10)で精製して無色の原料化合物8を5.9g(収率54%)得た。得られた化合物8は1H NMRスペクトルにより目的化合物であることを確認した。
原料化合物5を0.8g(2.2mmol)とp−ブロモベンゾフェノンを0.52g(2.0mmol)とをエチレングリコールジメチルエーテル−蒸留水混合溶媒35mL(6:1)に溶解させ、酢酸パラジウム 22.5mg(0.1mmol)、トリフェニルホスフィン52.4mg(0.2mmol)および炭酸カリウム0.64g(6mmol)を加えて2時間加熱還流した。反応溶液を放冷後、蒸留水と酢酸エチルを加えて抽出し、水層を除いて有機層を分離した後、この有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ別したろ液をロータリーエバポレーターで蒸発乾固させて粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:100→1:5)で精製して白色結晶を0.71g(収率77%)得た。得られた化合物はマススペクトル、1H NMRスペクトルにより目的化合物R−1であることを確認した。
1H NMR(CDCl3)2.37 (s,3H),7.34 (d,1H),7.48−7.55 (m,7H),7.7−7.8 (m,4H),7.85 (m,2H), 7.95 (m,2H)
以下の組成で、2光子吸収記録材料1を調製した。
塗布溶剤:メチルエチルケトン 93質量部
上記の2光子吸収化合物をD−1の代わりにR−1及びポリメタクリル酸メチルを用いた2光子吸収記録材料2を調製した。
バインダー:ポリメタクリル酸メチル 6質量部
(アルドリッチ社製、Mw=100,000)
塗布溶剤:メチルエチルケトン 91質量部
基板にスライドガラスを用い、上記により調製した2光子吸収記録材料1及び2の塗布液をそれぞれスピンコートして記録層を形成した。このとき記録層の厚さが1μmになるよう回転数を300rpm〜3000rpmの範囲で調整した。カバー層としては、片面に粘着層(ガラス転移温度−52℃)を有するポリカーボネートフィルム(帝人ピュアエース、厚さ80μm)を用い、該粘着層とポリカーボネートフィルムとの厚さの合計が100μmとなるように設定した。そして、記録層上にカバー層を粘着層を介して載置した後、そのカバー層を押し当てて部材にて圧接して貼り合せることによって記録層1層よりなる2光子吸収記録媒体5及び6をそれぞれ作製した。
2光子記録には、405nmのピコ秒レーザー(パルス幅2ps、繰返し76MHz、ピークパワー66W(平均パワー5mW)を用いた。記録信号の再生は405nmの半導体レーザー光照射による反射光シグナルを読み出した。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体5及び6を用いた記録層中の記録部において60℃90%RHの湿熱保存試験を行ったところ、2光子吸収記録材料2の記録マークは2時間で消失した。これに対して2光子吸収記録材料1の記録マーク高さは300時間後で10%低下にとどまった。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録材料1及び2を用いた記録層中の未記録部において300時間の湿熱保存試験を行った。試験前の各反射光強度を100とした場合の試験前後における反射光強度の相対変化を下記表1に示す。
<化合物D−21合成法>
化合物D−21は以下に示した方法で合成した。
原料化合物2 9.74g(35.1mmol)をテトラヒドロフラン70mlに溶解させトリエチルアミン7.10g(70.2mmol)を加えて内温5℃まで冷却した。その後アクリル酸クロリド3.18g(35.1mmol)を滴下しながら窒素雰囲気下で2時間攪拌した。反応溶液を水に注ぎ込み、室温で20分間攪拌した。析出した沈殿をろ別、室温乾燥して白色の化合物9を定量的に得た。得られた化合物9は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
原料化合物9を14.2g(42.9mmol)、原料化合物5を18.6g(51.5mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム2.48g(2.15mmol)、炭酸カリウム17.8g(129mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン1mgに対してトルエン170ml、水20mlを加え、窒素雰囲気下、外温90℃で12時間攪拌した。室温まで放冷した後、酢酸エチルで抽出しロータリーエバポレーターで濃縮した後にシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)で精製して白色の化合物10を6.8g(収率32%)得た。得られた化合物10は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
テトラヒドロフラン5gを窒素雰囲気下で外温70℃で攪拌した。そこにテトラヒドロフラン26.7gに溶解させた原料化合物10 1.95g(4.00mmol)、アクリル酸メチル9.98g(116mmol)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)29.8mg(0.12mmol)を2時間かけて滴下し、その後8時間攪拌した。室温まで放冷した後、アセトンで希釈して、アセトン/ヘキサンで再結晶し、ろ別・乾燥して化合物D−21を4.33g得た。得られたポリマーは1H NMRによって組成を確認し、GPCによって分子量測定を行った(組成比 原料化合物10/アクリル酸メチル=10/90(モル比)、Mw=34,000)。
2光子吸収記録媒体5の作成方法に基づき、D−1と同様に合成した高分子2光子吸収化合物D−21を用いて2光子吸収記録媒体7を、2光子吸収記録媒体6と同様にR−1及びポリアクリル酸メチルを用いて2光子吸収記録媒体8を作成した。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体7及び8を用いた記録層中の記録部において60℃90%RHの湿熱保存試験を行ったところ、R−1を用いた2光子吸収記録材料8の記録マークは2時間で消失した。これに対してD−21を用いた2光子吸収記録材料7の記録マーク高さは300時間後で14%低下にとどまった。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体7及び8を用いた記録層中の未記録部において300時間の湿熱保存試験を行った。試験前の各反射光強度を100とした場合の試験前後における反射光強度の相対変化を下記表2に示す。
<化合物D−77合成法>
化合物D−77は以下に示した方法で合成した。
4−ブロモベンゾイルクロリド11.0g(25.0mmol)、塩化アルミニウム8.34g(31.3mmol)に対して塩化メチレンを100ml加えて氷浴下外温0℃で窒素雰囲気下攪拌した。原料化合物S−1 12.9g(31.3mmol)を30分かけて滴下し、その後2時間攪拌した。反応液を氷水200mlに滴下した後酢酸エチルで抽出し、ロータリーエバポレーターで濃縮して白色の化合物11を8.53g(収率70%)得た。得られた化合物11は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
原料化合物11を2.74g(7.04mmol)、原料化合物5を2.80g(7.73mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム407mg(0.35mmol)、炭酸カリウム2.92g(21.1mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン7mgに対してジメトキシエタン35ml、水7mlを加え、窒素雰囲気下、外温90℃で12時間攪拌した。室温まで放冷した後、酢酸エチルで抽出しロータリーエバポレーターで濃縮した後にシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製して白色の化合物12を3.00g(収率78%)得た。得られた化合物12は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
1H NMR(CDCl3) 7.87(d,4H)、7.72(m,4H)、7.59−7.54(m,2H)、7.50(d,2H)、7.34(d,1H)、7.01(d,2H)、6.17(s,1H)、5.61(s,1H)、4.54(t,2H)、4.32(t,2H)、2.38(s,3H)、1.97(s,3H)
原料化合物12 2.45g(4.50mmol)、メタクリル酸メチル4.06g(40.6mmol)に対してプリピレングリコールモノメチルメーテルアセテート26gを加えて窒素雰囲気下で外温80℃で攪拌した。そこにプリピレングリコールモノメチルメーテルアセテート2mlに溶解させた2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)104mg(0.40mmol)を添加し、2時間攪拌した後にプリピレングリコールモノメチルメーテルアセテート2mlに溶解させた2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)51.8mg(0.20mmol)を添加し2時間攪拌し、さらにプリピレングリコールモノメチルメーテルアセテート2mlに溶解させた2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)51.8mg(0.20mmol)を添加して2時間攪拌した。その後外温90℃に上げて1時間攪拌した。室温まで放冷した後、反応液を撹拌しているメタノール中に注ぎ込み晶析し、ろ過・減圧乾燥して化合物を5.13g得た。得られたポリマーは1H NMRスペクトルによって組成を確認し、GPCによって分子量測定を行った(組成比:原料化合物12/メタクリル酸メチル=8.6/91.4(モル比)、Mw=30,000)。
2光子吸収記録媒体5の作成方法に基づき、D−1と同様に合成した高分子2光子吸収化合物D−77を用いて2光子吸収記録媒体9を、2光子吸収記録媒体6と同様にR−1及びポリメタクリル酸メチルを用いて2光子吸収記録媒体10を作成した。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体9及び10を用いた記録層中の記録部において60℃90%RHの湿熱保存試験を行ったところ、R−1を用いた2光子吸収記録材料10の記録マークは2時間で消失した。これに対してD−77を用いた2光子吸収記録材料9の記録マーク高さは300時間後で26%低下にとどまった。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体9及び10を用いた記録層中の未記録部において300時間の湿熱保存試験を行った。試験前の各反射光強度を100とした場合の試験前後における反射光強度の相対変化を下記表3に示す。
<化合物D−273合成法>
化合物D−273は以下に示した方法で合成した。
原料化合物2 8.00g(28.9mmol)、炭酸カリウム7.99g(57.8mmol)に対してアセトニトリル100mlを加えて窒素雰囲気下、外温50℃で1時間攪拌した。その後4−ビニルベンジルクロリド4.85g(31.8mmol)を滴下しながらさらに30時間攪拌した。反応溶液を水に注ぎ込み、室温で20分間攪拌した。析出した沈殿をろ別した後、シリカゲルカラムで精製して白色の化合物13を5.11g(収率45%)得た。得られた化合物13は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
原料化合物13を3.00g(7.63mmol)、原料化合物5を3.04g(8.39mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム439mg(0.38mmol)、炭酸カリウム3.17g(22.9mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン7mgに対してジメトキシエタン35ml、水7mlを加え、窒素雰囲気下、外温90℃で12時間攪拌した。室温まで放冷した後、酢酸エチルで抽出しロータリーエバポレーターで濃縮した後にシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製して白色の化合物14を2.72g(収率65%)得た。得られた化合物14は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
原料化合物14 1.73g(3.15mmol)、スチレン4.36g(41.9mmol)に対してプリピレングリコールモノメチルメーテルアセテート24.4gを加えて窒素雰囲気下で外温80℃で攪拌した。そこにプリピレングリコールモノメチルメーテルアセテート2mlに溶解させた2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)104mg(0.40mmol)を添加し、2時間攪拌した後にプリピレングリコールモノメチルメーテルアセテート2mlに溶解させた2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)51.8mg(0.20mmol)を添加し2時間攪拌し、さらにプリピレングリコールモノメチルメーテルアセテート2mlに溶解させた2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)51.8mg(0.20mmol)を添加して2時間攪拌した。その後外温90℃に上げて1時間攪拌した。室温まで放冷した後、反応液を撹拌しているメタノール中に注ぎ込み晶析し、ろ過・減圧乾燥して化合物を4.89g得た。得られたポリマーは1H NMRスペクトルによって組成を確認し、GPCによって分子量測定を行った(組成比:原料化合物14/スチレン=9.5/90.5(モル比)、Mw=43,000)。
2光子吸収記録媒体5の作成方法に基づき、D−1と同様に合成した高分子2光子吸収化合物D−273を用いて2光子吸収記録媒体11を、2光子吸収記録媒体6と同様にR−1及びポリスチレンを用いて2光子吸収記録媒体12を作成した。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体11及び12を用いた記録層中の記録部において60℃90%RHの湿熱保存試験を行ったところ、R−1を用いた2光子吸収記録材料12の記録マークは27時間で消失した。これに対してD−273を用いた2光子吸収記録材料11の記録マーク高さは300時間後で7%低下にとどまった。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体11及び12を用いた記録層中の未記録部において300時間の湿熱保存試験を行った。試験前の各反射光強度を100とした場合の試験前後における反射光強度の相対変化を下記表4に示す。
<2光子吸収記録媒体13及び14の作製>
2光子吸収記録媒体5の作成方法に基づき、D−1と同様に合成した高分子2光子吸収化合物D−3を用いて2光子吸収記録媒体13を、2光子吸収記録媒体6と同様にR−1及びポリメタクリル酸ブチルを用いて2光子吸収記録媒体14を作成した。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体13及び14を用いた記録層中の記録部において30℃90%RHの湿熱保存試験を行ったところ、R−1を用いた2光子吸収記録材料14の記録マークは27時間で消失した。これに対してD−3を用いた2光子吸収記録材料13の記録マーク高さは300時間後で5%低下にとどまった。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体13及び14を用いた記録層中の未記録部において300時間の湿熱保存試験を行った。試験前の各反射光強度を100とした場合の試験前後における反射光強度の相対変化を下記表5に示す。
<化合物D−106合成法>
化合物D−106は以下に示した方法で合成した。
原料化合物5を11.0g(30.4mmol)、4−ヨードブロモベンゼン8.20g(29.0mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.68g(1.45mmol)、水酸化ナトリウム3.48g(87.0mmol)に対して1,2−ジメトキシエタン97ml、純水35mlを加え、窒素雰囲気下、外温100℃で3時間攪拌した。室温まで放冷した後、反応液を水中に注ぎ込み生じた沈殿をろ過して粗体のまま後続反応に用いた。
原料化合物15を13.0g(33.2mmol)、ビスピナコラートジボロン9.27g(36.5mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン付加物1.36g(1.66mmol)、酢酸カリウム9.77g(99.6mmol)に対してトルエン90mlを加え、窒素雰囲気下、外温90℃で6時間攪拌した。室温まで放冷した後、酢酸エチルで抽出しロータリーエバポレーターで濃縮した後にシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して白色の化合物16を8.26g(2工程で収率65%)得た。得られた化合物は1H NMRスペクトルによりにより目的生成物であることを確認した。
原料化合物3を2.15g(6.22mmol)、原料化合物16を3.00g(6.84mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム359mg(0.311mmol)、炭酸カリウム2.58g(18.7mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン14mgに対してジメトキシエタン31ml、純水6mlを加え、窒素雰囲気下、外温100℃で4時間攪拌した。室温まで放冷した後、反応液を水中に注ぎ込み室温で20分撹拌した。析出した沈殿をろ過した後にヘキサン:酢酸エチル=1:1、メタノールの順に撹拌洗浄した後、ろ過・乾燥して白色の化合物を1.68g(収率47%)得た。得られた化合物は1H NMRスペクトルにより目的生成物であることを確認した。
1H NMR (CDCl3): 7.93−7.91(m,4H), 7.79−7.77(m,6H), 7.71(d,2H), 7.59−7.55(m,2H), 7.50(d,2H), 7.33(d,1H), 7.29(d,2H), 6.41(s,1H), 5.82(t,1H), 2.37(s,3H), 2.10(s,3H)
原料化合物を1.81g(3.15mmol)、メタクリル酸メチル4.19g(41.9mmol)にシクロヘキサノン24gを加えて窒素雰囲気下で外温80℃で攪拌した。30分後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)103.6mg(0.450mmol)を添加し、その後2時間攪拌した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)51.8mg(0.225mmol)を添加しさらに2時間撹拌した。その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)51.8mg(0.225mmol)を添加しさらに2時間撹拌した。最後に外温を90℃に上げて2時間撹拌した。室温まで放冷した後、反応液を撹拌しているメタノール中に注ぎ込み晶析し、ろ過・減圧乾燥して化合物を4.16g得た。得られたポリマーは1H NMRスペクトルによって組成を確認し、GPCによって分子量測定を行った(組成比:原料化合物17/メタクリル酸メチル=8.6/91.4(モル比)、Mw=30,000)。
4−ベンゾイルー4’−ブロモビフェニルを5.00g(14.8mmol)、原料化合物5を5.90g(16.3mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム855mg(0.74mmol)、炭酸カリウム6.14g(44.4mmol)に対してトルエン60ml、水10mlを加え、窒素雰囲気下、外温90℃で12時間攪拌した。室温まで放冷した後、酢酸エチルで抽出しロータリーエバポレーターで濃縮した後にシリカゲルカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製して白色の化合物R−2を5.47g(収率75%)得た。得られた化合物R−2は1H NMRにより目的生成物であることを確認した。
1H NMR(CDCl3) 7.93(d,2H)、7.86(d,2H)、7.80−7.69(m,8H)、7.64−7.49(m,7H)、7.33(d,1H)、2.37(s,3H)
2光子吸収記録媒体5の作成方法に基づき、D−1と同様に合成した高分子2光子吸収化合物D−106を用いて2光子吸収記録媒体15を、2光子吸収記録媒体6と同様にR−2及びポリメタクリル酸メチルを用いて2光子吸収記録媒体16を作成した。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録媒体15及び16を用いた記録層中の記録部において60℃90%RHの湿熱保存試験を行ったところ、2光子吸収記録材料16の記録マークは2時間で消失した。これに対して2光子吸収記録材料15の記録マーク高さは300時間後で10%低下にとどまった。
2光子吸収記録後の2光子吸収記録材料1及び2を用いた記録層中の未記録部において300時間の湿熱保存試験を行った。試験前の各反射光強度を100とした場合の試験前後における反射光強度の相対変化を下記表6に示す。
10 光情報記録媒体
Claims (31)
- 非共鳴高分子2光子吸収化合物を含む非共鳴2光子吸収記録材料であって、非共鳴高分子2光子吸収化合物が下記一般式(1)で表される構造を含む化合物であることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
(一般式(1)中、Yはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する置換基を表し、Xはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する2価の置換基を表す。X及びYは同一種でもそれぞれ異なってもよく、nは1〜4の整数を表し、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は2価の置換基を表し、R3は置換基を表し、R1、R2、R3は複数存在する場合は、同一種でもそれぞれ異なってもよく、lは1以上、mは0〜4の整数を表す。) - 請求項1に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、非共鳴高分子2光子吸収化合物の主鎖がポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、及びポリイミドより選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
- 請求項1又は2に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、非共鳴高分子2光子吸収化合物が下記一般式(2)で表される構造を含む化合物であることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
(一般式(2)中、Yはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する置換基を表し、Xはハメットのシグマパラ値(σp値)がゼロ以上の値を有する2価の置換基を表す。X及びYは同一種でもそれぞれ異なってもよく、nは1〜4の整数を表し、R1は水素原子又は置換基を表し、R2は2価の置換基を表し、R3は置換基を表し、R1、R2、R3は複数存在する場合は、同一種でもそれぞれ異なってもよく、lは1以上、mは0〜4の整数を表す。) - 請求項1から5のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、一般式(1)から(4)のいずれか少なくとも1種で表される非共鳴高分子2光子吸収化合物を共重合体成分とする高分子化合物を含むことを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、記録層を形成する非共鳴2光子吸収記録材料が少なくとも、(a)請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物と,(b)2光子記録の前後で反射光強度を変化させることのできる材料とを含むことを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、記録層を形成する非共鳴2光子吸収記録材料が少なくとも、(a)請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物と,(b)2光子記録の前後で屈折率を変化させることのできる材料とを含むことを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、記録層を形成する非共鳴2光子吸収記録材料が、請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物を含み、請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物が2光子記録の前後で反射光強度を変化させることができることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴2光子吸収記録材料であって、記録層を形成する非共鳴2光子吸収記録材料が、請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物を含み、請求項1から6のいずれか1項に記載の非共鳴高分子2光子吸収化合物が2光子記録の前後で屈折率を変化させることができることを特徴とする非共鳴2光子吸収記録材料。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の記録材料を含んだ記録層を有する光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、該記録層厚みが50nmから5μmの範囲である光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、該記録層に隣接し、該記録層を物理的に隔て、膨張による記録マークが形成可能な界面を生成するための中間層を有する光情報記録媒体。
- 請求項13に記載の光情報記録媒体であって、該記録層と中間層の屈折率差が0.01から0.5の範囲である光情報記録媒体。
- 請求項13に記載の光情報記録媒体であって、該中間層厚みが2μmから20μmの範囲である光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、基板を有する光情報記録媒体。
- 請求項16に記載の光情報記録媒体であって、基板厚みが0.02mmから2mmの範囲である光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、記録時にトラッキングサーボによる半径位置制御を行うためのガイド層を有する光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、該記録層よりも光入射側表面側にカバー層を有する光情報記録媒体。
- 請求項19に記載の光情報記録媒体であって、該カバー層厚みが0.01mmから0.2mmの範囲である光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、反射層を有する光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、スペーサー層を有する光情報記録媒体。
- 請求項22に記載の光情報記録媒体であって、該スペーサー層厚みが5μmから100μmの範囲である光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、マーキングを行うことを特徴とする光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、光入射側表面にハードコート層を有する光情報記録媒体。
- 請求項11に記載の光情報記録媒体であって、カートリッジに収納された光情報記録媒体。
- 請求項12から請求項26のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
- 請求項27に記載の光情報記録媒体への記録再生方法であって、記録用レーザのピークパワーが該光情報記録媒体の表面上で1Wから100Wの範囲であり、記録用レーザの平均パワーが該光情報記録媒体の表面上で100mW以下、かつ記録用レーザのパルス幅と発振周期の積が0.001から0.1の範囲である記録再生方法。
- 情報の再生時に共焦点光学系を用いることを特徴とする請求項28に記載の光情報記録媒体の記録再生方法。
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