JP2011076691A - 光記録媒体 - Google Patents

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啓佑 田嶋
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Abstract

【課題】青色レーザを用いた高密度光記録媒体において、記録層材料として色素材料を用い、記録層を2層以上有する多層型の光記録媒体の具体的な構成を提案し、かつ、優れた記録特性を得る。
【解決手段】少なくとも案内溝を有する基板上に第1反射層、色素材料を含有する第1色素記録層、誘電体を含有する第1保護層、硬化性樹脂からなる中間層、案内溝を転写させた転写層、第2反射層、色素材料を含有する第2色素記録層、誘電体を含有する第2保護層、樹脂からなるカバー層をこの順に有する光記録媒体を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録層を2層以上有する多層型の光記録媒体に関する。
近年、超高密度の記録が可能となる青色レーザの開発は急速に進んでおり、それに対応した追記型の光記録媒体の開発が行なわれている。中でも、比較的安価なコストで効率的な生産が可能となる色素塗布型の追記型媒体の開発が強く望まれている。これに対し、405nm前後の波長を用いたいわゆるブルーレイディスクとして、単層の記録層に色素材料を用いた光記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1、2)。また、記録層に無機材料を用い、複数の記録層を有する光記録媒体も提案されている(例えば特許文献3)。
特開2008−262661 特開2008−262671 特開2009−004063
しかしながら、安価なコストで効率的な生産が可能となる色素材料を記録層に用いた上で、更に記録容量の増大が可能な多層型のブルーレイディスクについては、未だ具体的な光記録媒体の構成の提案がなされていないのが実情である。前述した記録層に無機材料を用いた2層の記録層を有する光記録媒体において、単に記録層を色素記録層に置き換えただけでは、記録再生光を入射する側から遠い側の第1層目の記録特性と、記録再生光を入射する側から近い側の第2層目の反射率や記録感度、プッシュプル特性、変調度などの記録特性を両立させる事が難しい。その原因として、第1記録層に情報の記録を行う場合に、入射する記録再生光が手前側の第2記録層に吸収されてしまい、十分な記録再生光が第1記録層に到達しないことが挙げられる。そのため、第2記録層には、光透過性の高い層構成の設計と、十分な透過率を持ちながら良好な記録特性を有する色素材料を用いる必要がある。一方で、第1記録層には、高い反射率と良好な記録感度を有する層構成の設計と色素材料が求められる。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、青色レーザを用いた高密度光記録媒体において、記録層材料として色素材料を用い、記録層を2層以上有する多層型の光記録媒体の具体的な構成を提案し、かつ、優れた記録特性を得ることにある。
本発明の要旨は、少なくとも案内溝を有する基板上に第1反射層、色素材料を含有する第1色素記録層、誘電体を含有する第1保護層、硬化性樹脂からなる中間層、案内溝を転写させた転写層、第2反射層、色素材料を含有する第2色素記録層、誘電体を含有する第2保護層、樹脂からなるカバー層をこの順に有することを特徴とする光記録媒体に存する(請求項1)。
このとき、前記カバー層の側から記録再生光を入射して記録再生を行い、かつ、前記記録再生光が前記カバー層に入射する面から遠い側の案内溝部を記録溝部とし、前記記録溝部に形成された記録ピット部の反射光強度が、当該記録溝部における未記録時の反射光強度より高くなることが好ましい(請求項2)。
また、前記第1色素記録層、及び前記第2色素記録層の色素材料として、含金属アゾ系化合物を用いることが好ましい(請求項3)。
本発明によれば、多層型の色素記録層を有する光記録媒体において、優れた記録再生特性を得ることが出来る。
本発明の光記録媒体の層構成を示す図である。 実施例の光記録媒体の2倍速記録におけるジッタ特性を表す。 実施例の光記録媒体の4倍速記録におけるジッタ特性を表す。
以下、本発明の実施の形態につき、大容量の光記録媒体である追記型のブルーレイディスクを想定して詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
[1.光記録媒体の構成]
図1は、本実施の形態が適用される色素材料を含有する複数の記録層を有する膜面入射構成の追記型光記録媒体を説明する図である。
本発明の光記録媒体は、少なくとも案内溝を有する基板上に第1反射層、色素材料を含有する第1色素記録層、誘電体を含有する第1保護層、硬化性樹脂からなる中間層と案内溝を転写させた転写層、第2反射層、色素材料を含有する第2色素記録層、誘電体を含有する第2保護層、樹脂からなるカバー層をこの順に有する。
ここで、記録再生光はカバー層の側から入射させて情報の記録再生を行うが、記録再生光がカバー層に入射する面から遠い側の案内溝部を記録溝部とし(以下、in−groove記録と記載することがある)、前記記録溝部に形成された記録ピット部の反射光強度が、当該記録溝部における未記録時の反射光強度より高くなるように記録すること(以下、LtoH記録と記載することがある)が好ましい。
以下、本発明の光記録媒体の各構成ごとに詳述する。
<1−1.基板>
基板は、適度な加工性と剛性を有するプラスチック、金属、ガラス等を用いることができる。従来の基板面入射構成と異なり、透明性や複屈折に対する制限はない。基板上には案内溝を形成するのであるが、金属、ガラスでは、表面に光や熱硬化性の薄い樹脂層を設け、そこに、溝を形成する必要がある。この点、プラスチック材料を用い、射出成型によって、基板表面形状、特に好ましくは円盤状、と表面の案内溝を一挙に形成するほうが製造上は好ましい。
射出成型できるプラスチック材料としては、従来のCDやDVDで用いられたポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。基板の厚みとしては0.5mm〜1.2mmとするのが好ましいが、基板の厚みとカバー層の厚みを合わせて、従来のCDやDVDと同じ1.2mmとすることが好ましい。従来のCDやDVDで使われるケース等をそのまま用いることができるからである。基板の厚みを1.1mm、カバー層の厚みを0.1mmとすることが、ブルーレイディスクでは規定されている。
基板にはトラッキング用の案内溝が形成されている。本実施の形態では、記録再生光はカバー層側から入射させる膜面入射構造を有するが、記録再生光の入射面から遠い側、すなわち入射面から見て凹部を記録溝部として記録ピット部の形成を行うことが好ましい。この際のトラックピッチは、CD−R、DVD−Rより高密度記録を達成するために、好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上、また、好ましくは0.6μm以下、さらに好ましくは0.4μm以下とする。溝深さは、前記範囲内で、未記録状態の記録溝部反射率、記録信号の信号特性、プッシュプル信号特性、色素記録層の光学特性等を考慮して適宜最適化されるが、20nm以上が好ましく、30nm以上がさらに好ましく、また70nm以下が好ましく、60nm以下がさらに好ましい。
案内溝の形状は、通常、矩形となる。特に、後述の塗布による色素記録層形成時に、色素を含む溶液の溶剤がほとんど蒸発するまでの数十秒間に、基板溝部上に、色素が選択的に溜まることが望ましい。このため、矩形溝の基板溝間の肩を丸くして、色素溶液が基板溝部に落下して溜まりやすくすることも好ましい。このような丸い肩を有する溝形状は、プラスチック基板もしくは、スタンパの表面を、プラズマやUVオゾン等に数秒から数分さらしてエッチングすることで得られる。プラズマによるエッチングでは、基板の溝部の肩(溝間部のエッジ)のようなとがった部分が選択的に削られる性質があるので、丸まった溝部の肩の形状を得るのに適している。
案内溝は、通常は、アドレスや同期信号等の付加情報を付与するために、溝蛇行、溝深さ変調等の溝形状の変調、記録溝部あるいは記録溝間部の断続による凹凸ピット等による付加信号を有する。例えば、ブルーレイディスクでは、MSK(minimum−shift−keying)とSTW(saw−tooth−wobbles)という2変調方式を用いたウォブル・アドレス方式が用いられている。
[1−2.第1反射層]
第1反射層には、記録再生光の波長(以下、λと記載することがある)に対する反射率が高く、記録再生光の波長に対して70%以上の反射率を有するものが好ましい。一般に、記録再生光として用いられる可視光の波長範囲で高反射率を示すものとして、Au、Ag、Al及びこれらを主成分とする合金が挙げられる。本発明においては、この中でも、波長λ=350〜450nmでの反射率が高く、吸収が小さいAgを主成分とする合金が好ましい。ここで、「Agを主成分とする」とは、反射層におけるAgの含有量が50原子%以上であることを意味し、好ましくは80原子%以上、より好ましくは90原子%以上、特に好ましくは95原子%以上である。Agを主成分として、Au、Cu、希土類元素(特に、Nd)、Nb、Ta、V、Mo、Mn、Mg、Cr、Bi、Al、Si、Ge等を0.01原子%〜10原子%加えることで、水分、酸素、硫黄等に対する耐食性が高めることができ好ましい。この他に、誘電体層を複数積層した誘電体ミラーを用いることも可能である。
第1反射層の膜厚は、好ましくは40nm以上、さらに好ましくは60nm以上、また好ましくは120nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。膜厚が厚いほど高い反射率が得られるが、厚くしすぎると案内溝が埋まってしまい、満足な信号特性が得られないと考えられる。一方、第1反射層の反射光は第2記録層等に遮られてしまうため、膜厚が薄すぎると満足な反射率を得ることができない。
第1反射層は、スパッタリング法、イオンプレーティング法や、電子ビーム蒸着法など公知の方法で形成することができる。
[1−3.第1色素記録層]
本実施の形態において第1色素記録層に使用する色素材料は、300nm〜800nmの可視光(及びその近傍)波長領域に、その構造に起因した顕著な吸収帯を有する有機化合物である。このような色素材料を第1記録層として形成した場合に、未記録(記録前)の状態において記録再生光の波長λに吸収を有し、記録により変質して記録層に再生光の反射光強度の変化として検出されうる光学的変化を起こす色素材料を、「主成分色素」と呼ぶ。主成分色素は、複数の色素の混合物として、上記の機能を発揮するものであってもよい。
主成分色素含有量は、色素記録層の全重量に対して50重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。主成分色素は単独の色素が記録再生光の波長λに対して吸収があり、記録によって変質して上記光学的変化を生じることが好ましいが、記録再生光の波長λに対する吸収を有し、発熱することで、間接的に他方の色素を変質させ光学的変化を起こさせるように機能分担されていてもよい。主成分色素にはこの他、光吸収機能を有する色素の経時安定性(温度、湿度、光に対する安定性)を改善するためのいわゆるクエンチャーとしての色素が混合されていてもよい。主成分色素以外の含有物としては、低・高分子材料からなる結合剤(バインダー)、誘電体等が挙げられる。
主成分色素は、特に、構造によって限定されるものではない。本実施の形態においては、記録により、記録層内に屈折率が変化を生じるものであり、未記録(記録前)状態での吸収係数が0より大きい値である限り、原則として光学的特性に対する強い制約はない。主成分色素が記録再生光の波長λに対する吸収を有し、且つ、自らの吸光、発熱によって、変質を起こし、屈折率の変化を生じればよい。ここで、変質とは、具体的には、主成分色素の吸収・発熱による膨張、分解、昇華、溶融等の現象をいう。主成分となる色素そのものが変質して、なんらかの構造変化を伴い、屈折率が変化してもよい。また、屈折率の変化は記録層内及び/または界面に空洞が形成されてもよいし、記録層の熱膨張による屈折率変化であってもよい。
ここで、前述のLtoH記録を実現するためには、記録により色素記録層の屈折率が低下することが好ましい。
このような変質を示す温度としては、100℃以上が好ましく、また、500℃以下が好ましく、400℃以下が更に好ましい。保存安定性、耐再生光劣化の観点からは、150℃以上であることがさらに好ましい。また、変質を示す温度が300℃以下であれば、特に10m/s以上の高線速度での記録感度が良好になる傾向があり好ましい。変質を示す温度が280℃以下であることが、さらに高速記録での記録感度を良好にする可能性があるので、好ましい。通常は、以上で述べた、変質挙動は主成分色素の熱特性として測定され、熱重量分析−示差熱分析(TG−DTA)法によって、重量減少開始温度として大まかな挙動を測定できる。
上記のような特性を有する色素としては、メチン系、(含金)アゾ系、ヒドラジド系、ピロン系、ポルフィリン系化合物等及びこれらの混合物が挙げられる。より具体的には、含金アゾ系色素、ヒドラジド系色素、ピロン系色素は、本来、耐光性に優れ、かつ、TG−DTAでの重量減少開始温度Tdが、150℃〜400℃にあり、急峻な減量特性(分解物の揮発性が高く、空洞を形成しやすい)を有する点で好ましい。特に好ましいのは、含金アゾ系色素や含金ヒドラジド系色素である。
アゾ系色素としては、下記式[I]または[II]で示される環状β−ジケトンアゾ化合物と金属イオンからなる含金属環状β−ジケトンアゾ化合物が好ましい。
Figure 2011076691
(式[I]〜[II]中、環Aは、炭素原子及び窒素原子とともに形成される含窒素複素芳香環であり、X、X’、Y、Y’、Zは各々独立に、水素原子以外に置換基(スピロ含む)を有していてもよい炭素原子、酸素原子、硫黄原子、N−Rで表される窒素原子、C=O、C=S、C=NRのいずれかを表し、βジケトン構造とともに5または6員環構造を形成する。Rは水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、環状アルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、−CORで表されるアシル基、−NRを表すアミノ基のいずれかを表し、Rは水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、アリール基を表す。Rは炭化水基、又は複素環基を表し、R、Rは水素原子、炭化水素基または複素環基を表す。またこれらは必要に応じて置換されてもよい。またX、X’、Y、Y’、Zが炭素原子またはN−Rで表される窒素原子の場合、隣接する両者の結合は単結合であっても二重結合であってもよい。さらに、X、X’、Y、Y’、Zが炭素原子、N−Rで表される窒素原子、C=NRの場合、隣接するもの同士で互いに縮合して、飽和又は不飽和の炭化水素環あるいは複素環を形成してもよい。)
また、アゾ系色素としては、下記式[III]〜[V]を有する含金属ピリドンアゾ化合物が好ましい。
Figure 2011076691
(式[III]〜[V]中、R〜R15は、それぞれ独立に、水素原子または1価の官能基である。)
アゾ系色素としては、下記式[VI]で示される化合物と金属からなる含金族アゾ化合物もまた好ましい
Figure 2011076691
(式[VI]中、Aは、これが結合している炭素原子及び窒素原子とともに複素芳香環を形成する残基を表し、Xは活性水素を有する基を表し、R16及びR17は各々独立に水素また
は任意の置換基を表す。)
さらに、アゾ系色素としては、下記式[VII]で表される含金族アゾ化合物も挙げられる。
Figure 2011076691
(式[VII]中、環Aは、炭素原子及び窒素原子とともに形成される含窒素複素芳香環であり、XLは、Lが脱離することによりXが陰イオンとなり金属が配位可能となる置換基を表す。R18、R19は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、アラルキル基又はアルケニル基を表し、これらは各々隣接する置換基同士または互いに縮合環を形成してもよい。R20、R21、R22は各々独立に水素または任意の置換基を表す。)
これらのアゾ系色素は、従来CD−RやDVD−Rで用いられたアゾ系色素より、さら
に、短波長よりの主吸収帯を有しており、400nm近傍での吸収係数kdが、0.3〜
1程度の大きな値となるので好ましい。金属イオンとしては、Ni、Co、Cu、Zn、
Fe、Mnの2価の金属イオンが挙げられるが、特に、Ni、Coを含有する場合が、耐
光性、耐高温高湿環境性に優れており、好ましい。
ヒドラジド系色素としては、より具体的には下記式[VIII]を有する化合物が好ましい。
Figure 2011076691
(式[VIII]中、Aは、連結基Yと結合し、任意のカチオンを有する、置換基を有していても良い芳香族置換基、または、任意のカチオンを有する、置換基を有していても良い非芳香族置換基を示し、Bは、任意のカチオンを有する、置換基を有していても良い芳香族置換基、または、任意のカチオンを有する、置換基を有していても良い非芳香族置換基を示す。AとBは、どちらかがカチオンを有していても良く、または、両方がカチオンを有しても良い。Xは、カチオンA、かつ/または、カチオンBとで中性になる任意のアニオンを示す。連結基Yは、任意である。mは、0または1である。R23、R24、R25はそれぞれ独立に、水素原子、または、置換基を有していても良い芳香族置換基、または、置換基を有していても良い非芳香族置換基を示す。nは、0または1である。また、Xは、A内、または、B内で分子内塩を形成するか、あるいは、A,または、Bに結合した任意の置換基を介して、分子内塩を形成しても良い。Yは、Aと直接縮合環を形成しても良い。)
式[VIII]で表される化合物としては、通常、分子量1500以下、好ましくは、1000以下、より好ましくは750以下であるである。式[VIII]において、Aは、以下の場合に分ける。
(1.AのYへの結合点が、ヘテロ原子の場合)
Aの具体例として、置換基を有していても良い複素環基(例えば、ピリジン環、キノリン環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、ピラゾール環、インダゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、イソチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、カルバゾール環、パーイミジン環、アクリジン環、などの窒素含有の単環、縮合環の芳香族へテロ環や、トリピラゾリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、インドリン環、イソインドリン環、キナクリジン環、モルホリン環などの窒素含有の単環、縮合環の非芳香族へテロ環や、アルキルアミンなどの窒素含有の非環式非芳香族アミン)などが挙げられる。
特に、窒素含有の単環、縮合環の芳香族へテロ環では、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環が好ましい。また、窒素含有の単環、縮合環の非芳香族へテロ環やアルキルアミンは、反応性が高いことから好ましい。
また、置換基を有していても良いアミノ基があげられる。
Yの具体例として、置換基を有しても良い芳香族置換基(例えば、フェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基)などがあげられる。また、置換基を有していても良い非芳香族置換基(例えば、メチレン基、ジメチルメチレン基、シアノメチレン基)など、置換基を有してもよいメチレン基、あるいは、アルカン(C=C)やアルキン(C≡C)からなる連結基が挙げられる。
(ケース1)AとYの結合点でカチオンになる場合と、(ケース2)AとYの結合点では、中性で、Aがカチオンになる場合がある。(ケース2)の場合、上記Aの具体例で述べた具体例のヘテロ原子に14族原子が結合し、カチオンになる。この14族原子は、具体的に、芳香環基あるいは非芳香環基あるいは、置換基を有するケイ素原子でもよいが、好ましくは、溶解性の面で、非芳香環基であり、より好ましくは、置換基を有していても良いアルキル基であり、感度向上の面から、特に好ましくは、炭素数が、1〜5のアルキル基である。
(2.AのYへの結合点が、炭素原子の場合)
Aの具体例としては、(1.AのYへの結合点が、ヘテロ原子の場合)で挙げたものが当てはまる。Yの具体例としては、(1.AのYへの結合点が、ヘテロ原子の場合)で挙げたものが当てはまる。ヘテロ原子を有する連結基、(例えば、−NH−、C=O、−O−、−S−)などがあげられる。AとXが、リンカーを介して、あるいは、直接、分子内塩を形成してもよいが、より好ましくは、Xが、分子間で塩を形成している方が、好ましい。
このとき、該芳香環基、複素環基、非芳香環基の置換基としては、錯体の性能に悪影響を与えない基であれば、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アミノ基、アシル基、アミノアシル基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、イミド基、及び、シリル基などからなる群より選択された基が挙げられる。
これらの置換基として具体的には、メチル基、エチル基などの炭素数1〜6のアルキル基、エチニル基、プロペニル基などの炭素数1〜6のアルケニル基、アセチレニル基などの炭素数1〜6のアルキニル基、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜20のアリール基、チエニル基、フリル基、ピリジル基などの炭素数3〜20の複素環基、エトキシ、プロポキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基などの炭素数6〜20のアリールオキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基などの炭素数3〜20の複素環オキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基などの炭素数1〜6のアルキルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基などの炭素数6〜20のアリールチオ基、ピリジルチオ基、チエニルチオ基などの炭素数3〜20の複素環チオ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの炭素数1〜20の置換基を有してもよいアミノ基、アセチル基、ピバロイル基などの炭素数2〜20のアシル基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基などの炭素数2〜20のアシルアミノ基、3−メチルウレイド基などの炭素数2〜20のウレイド基、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基などの炭素数1〜20のスルホンアミド基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基などの炭素数1〜20のあるバモイル基、エチルスルファモイル基などの炭素数1〜20のスルファモイル基、ジメチルスルファモイルアミノ基などの炭素数1〜20のスルファモイルアミノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基などの炭素数6〜20のアリールオキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基などの炭素数6〜20の複素環オキシカルボニル基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基などの炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、モノフルオロベンゼンスルホニル基などの炭素数6〜20のアリールスルホニル基、チエニルスルホニル基などの炭素数3〜20の複素環スルホニル基、フタルイミドなどの炭素数4〜20のイミド基、又は、アルキル基及びアリール基の郡から選ばれる置換基で3置換されているシリル基があげられる。
Xは、一般に、カチオンを中和するアニオン種であればよいが、例えば、ハロゲン原子、AsF 、SbF 、PF 、BF 、(CFSO、(CFSO、CFSO 、CFCO 、CHCO 、B(C などが挙げられる。特に、PF とCFSO が安定性の面で好ましい。
mは、0または1を表す。mは1であることが錯体化合物の耐性向上の面で好ましい。
nは0もしくは1を表す。nは0であることが錯体化合物の耐性向上の面で好ましい。
(キレート錯体化合物)
Figure 2011076691
(式[IX]中、A、B、X、Y、R26、R27、R28、m、および、nは、いずれも式[VIII]と同義であり、Mは、遷移金属原子を表し、aとbは、分子全体を中性にする整数の組み合わせを示す。さらに、上記分子は、さらに、カウンターイオンを有しても良い。)
式[IX]において、Mは2〜12族元素を表す。その具体例としては、ヒドラジド化合物と錯体を形成し得るものであれば何でもよく、具体例としてはTi,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Mo,Ru,Rh,Pd,Ag,Pt,Au,Er等が挙げられる。
該2〜12族元素カチオンを構成する元素は、周期表第4周期元素であることが好ましく、耐光性向上の面からCo、Ni、Cuが好ましく、溶解性をあわせて、特に、Coであることが特に好ましい。aは1〜3の整数である。
なお、錯体の中心該2〜12族元素カチオンはヒドラジド化合物の他に、溶媒や他のキレート配位子と追加的に配位しても良い。
溶媒としては、アルコール性溶媒、ケトン系溶媒あるいはアミノ系溶媒など金属のアキシアル位あるいは別の位置から配位可能なものが挙げられる。
他のキレートとしては、ピリジン、ピリミジン、ピリダジンあるいはピラジンなどの配位性原子を有する配位子が挙げられる。
また、ヒドラジドキレート錯体化合物は、該化合物が分子全体として電気的に中性となるように、カウンターイオンを適宜有していても良い。この場合、有していても良いカウンターアニオンとしては、具体的には、BF 、ClO 、PF 、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、酢酸イオンなどが挙げられ、カウンターカチオンとしては、周期表第1族カチオンなど、特に1価のカチオンが挙げられる。
本発明に記載の錯体化合物の分子量は、該2〜12族元素カチオンとヒドラジドを合計して通常2,000以下、中でも1,500以下であることが好ましい。カウンターイオンは、これに含めない。ヒドラジドキレート錯体化合物は、記録媒体の保存安定性を向上させる理由から、通常水不溶性であることが好ましい。ここで「水不溶性」とは、25℃、1気圧の条件下における水に対する溶解度が、通常0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下であることを言う。
本実施の形態においては、第1色素記録層は塗布法、真空蒸着法等で形成するが、特に、塗布法で形成することが好ましい。即ち、上記色素を主成分に結合剤、クエンチャー等とともに適当な溶剤に溶解して第1色素記録層塗布液を調整し、前述の第1反射層上に塗布する。溶解液中の主成分色素の濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.2重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。これにより、通常、1nm〜100nm程度の厚みに第1色素記録層が形成される。その厚みを50nm未満とするために、上記色素濃度を1重量%未満とするのが好ましく、0.8重量%未満とするのがより好ましい。また、塗布の回転数をさらに調整することも好ましい。
主成分色素材料等を溶解する溶剤としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;テトラフルオロプロパノール(TFP)、オクタフルオロペンタノール(OFP)等のフッ素化炭化水素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;ジクロルメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン等を挙げることができる。これらの溶剤を溶解すべき主成分色素材料等の溶解性を考慮して適宜選択し、また、2種以上を混合して用いることができる。
結合剤としては、セルロース誘導体、天然高分子物質、炭化水素系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ポリビニールアルコール、エポキシ樹脂等の有機高分子等を使うことができる。さらに、記録層22には、耐光性を向上させるために、種々の色素又は色素以外の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、前記記録層材料に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、また、好ましくは50重量%以下、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下である。
また、本願発明において、耐光性が低い色素については、耐光性が良好な他の色素や、例えば、従来CD−R等に使用されている有機色素化合物等を混合することにより、耐光性を光記録媒体の実用レベルに向上させることが可能である。カップラー成分との組み合わせや金属の種類により変動するが、およその傾向として耐光性はジアゾ成分に由来する割合が高く、波長的に短いジアゾ成分であるイソキサゾール、トリアゾールが低めの傾向が見られ、波長的に長いチアゾールやベンゾチアゾール、ピラゾールの方が耐光性のよい結果が得られている。一方で、耐光性が良好な色素は光感応性が低いため記録感度が悪化する傾向がある。
本願発明においては、第1色素記録層は入射光が手前の層で吸収されてしまうため、第2色素記録層の記録感度よりも高くする必要がある。そのため、イソキサゾールをジアゾ成分として含む耐光性が低く光感応性が高い(記録感度がよい)含金アゾ色素AAとピラゾールをジアゾ成分として含む耐光性が高く記録感度の悪い含金アゾ色素BBを混合する際に、AAの色素の比率をBBの色素に対して多くすることで、感度が良く、かつ耐光性に優れた色素記録層を形成することが好ましい。
このように、本願発明においては、特性の異なる2種類以上の色素を混合することにより記録特性を補うことが可能である。
[1−4.第1保護層]
本実施の形態においては、第1色素記録層と中間層との間に第1保護層を設けることで、光学的に好ましい特性を得ることができる。
第1保護層は、金属、半導体等の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等のフッ化物等の誘電体化合物やその混合物が好ましい。第1保護層の硬度や厚みにより、第1色素記録層の変形、特に、中間層側へのふくらみ変形を促進したり、抑制したりすることができる。ふくらみ変形を有効に活用するためには、比較的、硬度の低い誘電体材料が好ましく、特に、ZnO、In、Ga、ZnSや希土類金属の硫化物に、他の金属、半導体の酸化物、窒化物、炭化物を混合した材料が好ましい。これらは反応性スパッタ等、従来公知の方法で形成することができる。
第1保護層として特に好ましいのは、ITO(In−SnO)を含有する材料である。ITOにおけるSnの含有量は、好ましくは0原子%以上、さらに好ましくは5原子%以上、また、好ましくは50原子%以下、さらに好ましくは20原子%以下である。第1保護層の膜厚は、膜として形成されれば効果が現れるので、通常1nm以上、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、また、通常50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下の範囲とする。第1保護層の膜厚をこの範囲内に制御すれば、中間層側へのふくらみ変形を良好に制御することができるようになる。また、第1保護層の厚みが厚すぎると第1保護層の反射、吸収が大きくなり記録感度が悪化するため好ましくない。
第1保護層における反射は、できるだけ小さいことが望ましい。主反射面である第1反射層からの反射光の位相変化を選択的に利用するためである。第1保護層に主反射面があることは、本実施の形態においては好ましいことではない。このため、第1保護層と第1色素記録層、或いは第1保護層と中間層の屈折率の差が小さいことが望ましい。その差は、何れも1以下であることが好ましく、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.5以下である。
[1−5.中間層]
本実施の形態においては、第1保護層と転写層の間に硬化性樹脂からなる中間層を形成する。
中間層に用いる硬化性樹脂としては、例えば、放射線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂がある。これら材料の中で、工業的に好ましいのは、放射線硬化性樹脂である。放射線硬化性樹脂としては、電子線や紫外線の照射で硬化する材料を挙げることができるが、工業生産性を考慮すると、紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
中間層は、一般的に以下の3つの性質を有することが望まれる。
第一に、第1色素記録層に入射する記録再生光に対して光透過性を有するようにするために、上記記録再生光の波長に対して十分な透明性を確保できる材料を用いることが好ましい。ここで、本実施の形態が適用される光記録媒体において、「光透過性(又は透明)」とは、記録再生光の波長に対して十分な透過性を有することを意味する。「光透過性(又は透明)」とは、具体的には、記録・再生のための光の波長(例えば、405nm)に対して、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の透過性があることをいう。尚、光透過性の上限は、理想的には100%である。
第二に、光記録媒体全体の反りを抑制するために、比較的柔らかい又は収縮率が小さい材料を用いることが好ましい。後述するように、転写性や転写層上に形成される第2色素記録層の記録特性を良好にするために、転写層に用いる紫外線硬化性樹脂として、収縮率の大きい材料を用いる場合がある。この場合においては、光記録媒体全体が反りやすくなる傾向になる。従って、中間層に、常温での弾性率が小さい樹脂(やわらかい性質を有する樹脂)や、収縮率の小さい樹脂を用いることが好ましい。
より具体的には、光記録媒体全体の反りをより良好に抑えるために、中間層に用いる樹脂は、常温での弾性率が小さくかつ収縮率の小さい樹脂を用いることが好ましい。
第三に、本願発明における光記録媒体の記録メカニズムは、記録層の中間層側へのふくらみ変形を利用することが好ましい。そのために、中間層は適度なやわらかさ、即ち、一定以下の貯蔵弾性率を有することが好ましい。貯蔵弾性率が高すぎると、記録層のふくらみ変形が抑制されるために、大きな記録レーザパワーが必要となり、また、変形が不十分だと記録特性が低下すると考えられる。
上記観点から、中間層に用いる樹脂の25℃における弾性率は、通常1500MPa以下、好ましくは500MPa以下、より好ましくは300MPa以下、さらに好ましくは100MPa以下とする。25℃における弾性率を上記範囲とすれば、良好な記録特性を得ることができる。
また、中間層に用いる樹脂の収縮率は、通常4%以下、好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは3%以下とする。中間層に用いる樹脂の収縮率を上記範囲とすれば、光記録媒体の反りを効果的に抑制することができる。但し、収縮率は、理想的には0%である。ここで、収縮率とは、比重法により測定した収縮率である。また、収縮率は、JISのK7112等に従って測定することもできる。
また、記録再生光に対する吸収が大きいと、第1色素記録層に到達する光量、および反射光量が低下することから、中間層に用いる樹脂の再生光に用いる光の波長における透過率は通常90%以上、好ましくは95%以上であることが好ましい。
第1色素記録層のふくらみ変形量(中間層側へのふくらみ高さ)は通常200nm以下であることから、第1色素記録層に一番近い側に配置される中間層材料の厚みがおよそ5μm以上であれば、ふくらみ変形量は第1色素記録層に一番近い中間層に十分に吸収されて、その上に配置される転写層材料の弾性率特性によって、記録の際のふくらみ変形に影響が及ぶことはない。弾性率が低く、かつ使用温度範囲で変化が少ない材料としては、例えば分子量の大きい分子鎖を含有し、かつ架橋密度が低い架橋構造を有する樹脂材料であって、該樹脂材料のガラス転移温度(Tg)が使用温度範囲に存在しないものが挙げられる。具体的には、高分子量の分子鎖を持つ(メタ)アクリレートポリマーおよび/またはオリゴマー、低分子量(メタ)アクリレートの混合組成物で、必要に応じて光重合開始剤を添加し、放射線で硬化させて得られた硬化物などがある。
また、転写層(詳細は後述する。)との密着性を確保するために十分な接着性を有する材料を中間層に用いることも好ましい。転写層と密着性を確保する観点からは、転写層及び中間層に用いる材料の種類を揃える(具体的には紫外線硬化性樹脂とする)、中間層の表面に接着層を設ける等の手法を用いることができる。
また、図示していないが、本実施の形態において、中間層は単層構造であっても、複数層を積層した構造であってもよい。複数層を積層した構造として、それぞれの層に用いる樹脂の種類を適宜制御することにより、中間層全体の弾性率や収縮率を精密に制御して、光記録媒体の反りをより低減しやすくなる利点が発揮される。
中間層を構成する樹脂層の数は、特に限定されない。光記録媒体の反りを良好に抑制するためには、樹脂層の数は、通常10層以下、好ましくは5層以下、より好ましくは4層以下とする。一方、樹脂層の数は、1層以上とする。但し、生産効率の観点からは、中間層を構成する樹脂層の数は、1層以上、5層以下とすることが好ましい。生産効率の観点から特に好ましいのは、中間層を1層構造とすることである。
中間層の膜厚は、特に制限されず、用いられる光記録媒体の種類に応じて所定の範囲を適宜用いればよい。例えば、中間層の膜厚は、通常10μm以上、好ましくは15μm以上とする。一方、中間層の膜厚は、通常30μm以下、好ましくは25μm以下とする。
以下に、中間層に用いる硬化性樹脂について説明する。硬化性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等を挙げることができる。材料は、上記樹脂から適宜選択すればよい。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は、通常、適当な溶剤に溶解して塗布液を調製する。その後、この塗布液を塗布し、乾燥(加熱)することによって、中間層を形成することができる。
紫外線硬化性樹脂は、通常、そのまま若しくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製する。その後、この塗布液を塗布し、紫外光を照射して硬化させることによって、中間層を形成することができる。
上記材料は単独または混合して用いても良い。
塗布方法としては、スピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられ、この中でもスピンコート法が好ましい。高粘度の樹脂を用いた中間層は、スクリーン印刷等によっても塗布形成できる。紫外線硬化性樹脂は、20℃〜40℃において液状であるものを用いると、生産性の観点から、溶媒を用いることなく塗布しやすくなるので好ましい。また、塗布液の粘度は20MPa・s〜1500MPa・sとなるように調製するのが好ましい。より好ましくは、塗布液の粘度を1000MPa・s以下とすることである。
また、転写層に用いる樹脂は中間層材料と同様の理由で記録再生光の波長における透過率は通常90%以上、好ましくは95%以上であることが好ましい。
硬化性樹脂材料としては紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化性樹脂は、透明度が高く、硬化時間が短く製造上有利な点で好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、ラジカル系紫外線硬化性樹脂とカチオン系紫外線硬化性樹脂とが挙げられ、いずれも使用することができる。
カチオン系紫外線硬化性樹脂は、収縮率が小さい性質を有するので、光記録媒体の反りを低減するために用いることが好ましい。以下、ラジカル系紫外線硬化性樹脂及びカチオン系紫外線硬化性樹脂について説明する。
ラジカル系紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を含む組成物が用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1、3−ブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、これらの重合性モノマーと同時に併用できるものとしては、重合性オリゴマーとして、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、ラジカル系紫外線硬化性樹脂には、通常、光重合開始剤を配合する。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが好ましい。このような光重合開始剤として、分子開裂型としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
さらに、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良い。水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等が挙げられる。
また、これらの光重合開始剤とともに、増感剤を併用することができる。増感剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N、N−ジメチルベンジルアミン及び4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
カチオン系紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン重合型の光重合開始剤を含むエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA−エピクロールヒドリン型、脂環式エポキシ、長鎖脂肪族型、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、複素環式系等が挙げられる。エポキシ樹脂としては遊離した塩素及び塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。塩素の量は、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。
カチオン重合型の光重合開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられる。ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェード、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
さらに、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
カチオン型紫外線硬化性樹脂100重量部当たりの光重合型開始剤の割合は、通常0.1重量部以上、好ましくは0.2重量部以上、また、通常20重量部以下、好ましくは5重量部以下である。尚、紫外線光源の波長域の近紫外領域や可視領域の波長をより有効に利用するため、公知の光増感剤を併用することができる。この際の光増感剤としては、例えばアントラセン、フェノチアジン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
また、紫外線硬化性樹脂には、必要に応じてさらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤、及びエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる。
[1−6.転写層]
本実施の形態における転写層は、第2色素記録層への記録再生に必要とされる案内溝が形成される層である。
多層の記録層を有する光記録媒体において、基板表面以外の樹脂層に案内溝を形成する場合は、フォトポリメリゼーション法(Photo Polymerization:以下、「2P法」と記すことがある。)と呼ばれる製造方法を用いることが一般的である。
2P法の場合、基板表面以外の樹脂層への案内溝の形成は、通常、以下のようにして行われる。すなわち、まず、基板上に形成した第1の記録層及びそれに付随する反射層、保護層等を形成した後に、光(光としては、例えば紫外線等の放射線を挙げることができる。)により硬化する光硬化性樹脂原料等を塗布して樹脂層を形成した後、この上に案内溝の転写用の凹凸形状(以下適宜、「転写用凹凸形状」という)を有するスタンパを載置する。次いで、上記光硬化性樹脂原料等を硬化させた後に、スタンパを剥離する。このようにして、光硬化性樹脂の表面にスタンパの転写用凹凸形状を転写させて、凹凸形状を有する樹脂層を硬化性樹脂の硬化物によって形成することができるようになっている。
ここで、本実施の形態においては、中間層として第1の樹脂層を形成後、より転写性に優れた材料である第2の樹脂層を転写層として形成し、案内溝を形成することとしている。その場合、上述のように転写層を形成する第2の樹脂層材料を中間層上に塗布形成してからスタンパを載置してもよいが、転写層を形成する第2の樹脂層材料をスタンパに塗布形成して仮硬化を行い、その後、中間層を形成した基板と貼り合せ、再度十分な硬化を行うことで中間層と転写層を接着させた後に、スタンパを剥離し、転写層を中間層上に形成する方法も好ましく用いられる。この場合、スタンパ剥離後に、更に硬化を行うことが好ましい。
本実施の形態における転写層は、上記樹脂層に当たり、紫外線硬化性樹脂からなることが好ましい。転写層は通常以下のようにして形成される。すなわち、転写層を形成する紫外線硬化性樹脂の膜は、必要に応じて添加剤(例えば、光重合開始剤、増感剤等の添加剤)や溶媒と共に、スタンパの転写用凹凸形状を有する面に塗布することによって形成される。塗布の方法は、特に制限はされないが、均一な膜厚を形成しやすい点、工業生産に適する点等の理由から、スピンコート法を用いることが一般的である。
スピンコート法を用いる場合、紫外線硬化性樹脂の組成物の粘度は、通常50MPa・s以上、350MPa・s以下とする。この粘度範囲内とすることにより、転写層の厚みを所定の範囲内に制御しやすくなる。また、上記粘度範囲とすれば、転写層の膜厚範囲を大きく変化させることが容易になる。具体的には、薄い転写層(例えば5μm程度)が良好に作製しやすくなる一方で、比較的膜厚の厚い転写層も作製しやすくなる。
紫外線硬化性樹脂の膜に用いる紫外線硬化性樹脂としては特に制限はない。スタンパの転写性及び転写層上に設けられる第2色素記録層(後述)の記録特性を向上させる観点から、硬化して得られる転写層が相対的に固くなるような紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。具体的には、紫外線硬化性樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とすることが好ましい。これは、弾性率の高い樹脂は一般に硬い性質を有するためである。尚、弾性率とは、一般的な動的粘弾性測定機にて測定された動的弾性率である。
転写層に用いる紫外線硬化性樹脂の150℃における弾性率は高ければ高いほど好ましい。150℃における弾性率は、好ましくは300MPa以上、より好ましくは330MPa以上、さらに好ましくは350MPa以上、さらに好ましくは500MPa以上、さらに好ましくは750MPa以上、特に好ましくは950MPa以上、さらに特に好ましくは1000MPa以上とする。但し、生産性の観点から、紫外線硬化性樹脂の150℃における弾性率は、通常2500MPa以下とする。
尚、150℃における弾性率が300MPa以上の場合は、一般的に、樹脂のガラス転移温度が高くなる傾向にある。具体的には、150℃における弾性率が300MPa以上の樹脂のガラス転移温度は、通常、140℃以上となる。一方、ガラス転移温度の上限は、通常、200℃となる。
また、転写層に用いる紫外線硬化性樹脂の収縮率は、光記録媒体の反りを抑制する観点からは小さいことが好ましい。ただ、上記弾性率を有する紫外線硬化性樹脂においては、収縮率は相対的に大きい値となりやすい。また、収縮率を大きくすると後述する利点が発揮されやすくなる。収縮率は、通常6%以上、好ましくは9%以上、より好ましくは9.5%以上、さらに好ましくは10%以上である。但し、収縮率は、20%以下であることが好ましい。ここで、収縮率とは、比重法により測定した収縮率である。また、収縮率は、JIS K7112等に従い測定することもできる。
転写層に用いる紫外線硬化性樹脂の収縮率が6%以上の樹脂を用いて形成することにより、樹脂製のスタンパを用いて転写層に案内溝を形成する際に、スタンパからの剥離性が良好となりやすいので好ましい。スタンパの剥離性が良好な理由としては、例えば、スタンパの溝に入った樹脂が硬化する際に収縮し、わずかな歪又は隙間が生じることによるものと考えられる。
上記の通り、スタンパとの剥離性を確保するために、転写層に用いる樹脂は、所定以上の収縮率を有することが好ましい。一方で、転写層を比較的収縮率の大きい樹脂で形成する結果、転写層の成膜時の収縮が大きくなる傾向にある。これは、光記録媒体全体が反りやすくなることを意味する。この点については、中間層の材料を適宜制御して、光記録媒体全体の反りを緩和すればよい。この点については、中間層に用いる材料の説明の際にすでに説明した通りである。
転写層に用いる材料の好ましい組み合わせについて以下に説明する。
上述の通り、本実施形態においては、「高温(例えば、150℃)での弾性率の高い紫外線硬化性樹脂」、「収縮率の比較的大きな紫外線硬化性樹脂」を転写層に用いることが好ましい。
以下に、上記の性質を有する樹脂(具体的には、紫外線硬化性樹脂)を得るための具体的方法について説明する。
(高温(例えば150℃)での弾性率の高い紫外線硬化性樹脂を得る方法)
紫外線硬化性樹脂の高温の弾性率を高くするためには、硬化させて得られる架橋構造のブラウン運動が束縛されるようにすればよい。つまり、架橋密度が高くなるようにすればよい。より具体的には、アクリルモノマーを用いて紫外線硬化性樹脂を形成する場合には、例えば、以下の(a)〜(c)を行うことにより、高温での弾性率が高い紫外線硬化性樹脂を得ることができる。
(a)架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーを用いる。
(b)架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーを用いる。
(c)架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーと架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとを組み合わせて用いる。
架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーとしては、アクリロイル基1個あたりの分子量が小さい多官能アクリルモノマー(多官能(メタ)アクリレート)を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1、3−ブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たテトラアルコールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート(例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート又は、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトール1モルに6モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たヘキサアルコールのペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの中でも、高温での弾性率を大きくできる点から好ましいのは、以下の材料である。すなわち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たテトラアルコールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール1モルに6モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得たヘキサアルコールのペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート、等の多官応(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
高温での弾性率を大きくする点から、さらに好ましいのは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
次に、架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとしては、剛直な環状構造を有するアクリルモノマーを挙げることができる。
このようなアクリルモノマーの具体例としては、ノルボリナンジメタノールジアクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサオイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの中でも、高温での弾性率を高くできる観点から好ましいのは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートである。
このほか、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート等を挙げることもできる。
高温での弾性率を高くできる観点から特に好ましいのは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレートである。
架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーと架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとを組み合わせて用いる場合には、以下のようにすればよい。すなわち、上記説明した架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーの具体的な化合物を1以上選択する。さらに、上記説明した架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーの具体的な化合物を1以上選択する。そして、これら化合物を、所望の弾性率にあわせて任意の割合で組み合わせて用いればよい。
(収縮率の比較的高い紫外線硬化性樹脂を得る方法)
紫外線硬化性樹脂の場合、収縮率とは硬化収縮率のことをいう。硬化収縮率は、硬化前の密度に対する硬化時の密度変化の割合である。このため、収縮率を大きくするためには、硬化時の密度変化が大きくなるようにすればよい。具体的には、アクリルモノマーを用いて紫外線硬化性樹脂を形成する場合には、アクリロイル基の密度が高くなるようにすればよい。換言すれば、架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーを用いればよい。
架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーとしては、アクリロイル基1個あたりの分子量が小さい多官能アクリルモノマー(多官能(メタ)アクリレート)を挙げることができる。このような多官能アクリルモノマー(多官能(メタ)アクリレート)の具体例としては、上記「高温(例えば150℃)での弾性率の高い樹脂を得る方法」で説明した多官能(メタ)アクリレートと同様のものを用いればよい。
高温(例えば150℃)での弾性率を高くして、かつ、収縮率を比較的大きくするような樹脂を得る場合には、例えば、上記「高温(例えば150℃)での弾性率の高い樹脂を得る方法」で説明したように、架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーを併用すればよい。架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーの含有量は、所望される弾性率及び収縮率を得られるような含有量とすればよい。
[1−7.第2反射層]
本実施の形態における第2反射層は、案内溝が形成された転写層上に形成される。第2反射層に好ましく用いられる材料、形成方法については、第1反射層と同様である。
ただし、第1色素記録層への記録再生の際、記録再生光は第2反射層を透過して第1色素記録層に照射されるため、第2反射層には、記録再生光の波長において適度な透過率を有することが求められる。従って、第2反射層の膜厚は通常、第1反射層に比べ薄くする必要がある。具体的には、第2反射層の厚さは、通常50nm以下、好ましくは30nm以下、更に好ましくは20nm以下である。上記範囲とすることにより、適度な光透過率を確保しやすくなる。但し、当然ながら第2色素記録層への記録再生のためには適度な反射率を有することも必要であるため、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上である。適度な反射率を有していれば、金属反射膜を使わない構成も可能である。
[1−8.第2色素記録層]
本実施の形態における第2色素記録層に好ましく用いられる材料、形成方法については、概ね第1色素記録層と同様である。しかしながら、第2反射層の場合と同じ理由で、第2色素記録層にも適度な透過率が求められる。更には、特に再生時の耐久性を高くする必要があり、第1色素記録層とは若干異なる特性を有することが求められる。
第2色素記録層に再生時の高耐久性が求められる理由は以下の通りである。再生光のレーザパワーは通常、第1色素記録層と第2色素記録層において変更されない仕様となっている。ここで、第1色素記録層の再生光は、第2色素記録層や第2反射層等を透過してから第1色素記録層に照射されるため、再生光のエネルギーは、第2色素記録層に照射される場合に比べ必然的に弱まってしまう。すなわち、第1色素記録層の再生に十分なレーザパワーを再生光に適用すると、必然的に第2色素記録層に対しては最適なレーザパワーよりも過大なレーザパワーとなるため、繰り返し再生を行うと第2色素記録層の色素材料がダメージを受け、再生特性が劣化しやすい傾向となってしまう。従って再生光である弱いレーザ光照射によって分解されてしまうほど該色素の耐光性が低いと、記録データの読み出しを行う際にデータエラーを生じる原因となるため、第2色素記録層の色素には高い耐光性が求められる。再生光耐久性に優れた色素として、好ましくはアゾ系色素や、ヒドラジド系色素、ピロン系色素であり、特に好ましくはアゾ系色素、ヒドラジド系色素である。
本願発明においては、第2記録層で用いる色素は第1記録層と比べて高い耐光性が求められるためAAに対するBBの比率を第1色素記録層よりも高くすることが好ましい。
[1−9.第2保護層]
本実施の形態における第2保護層に好ましく用いられる材料、形成方法については、概ね第1保護層と同様である。
[1−10.カバー層]
本実施の形態における、記録再生光の入射側の光記録媒体表面にはカバー層が形成される。カバー層は、記録再生光に対して透明で複屈折の少ない材料が選ばれ、通常は、プラスチック板(シートと呼ぶ)を接着剤で貼り合せるか、塗布後、光、放射線、または熱等で硬化して形成する。カバー層は、記録再生光の波長λに対して透過率70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
シート材として用いられるプラスチックは、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル、三酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート等である。接着には、光、放射線硬化、熱硬化樹脂や、感圧性の接着剤が用いられる。感圧性接着剤としては、また、アクリル系、メタクリレート系、ゴム系、シリコン系、ウレタン系の各ポリマーからなる粘着剤を使用できる。
例えば、接着層を構成する光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を記録層22または後述の界面層上に塗布して塗布膜を形成し、塗布膜上にポリカーボネートシートを重ね合わせる。その後、必要に応じて重ね合わせた状態で、媒体を回転させるなどして塗布液をさらに延伸展開した後、UVランプで紫外線を照射して硬化させる。あるいは、感圧性接着剤をあらかじめシートに塗布しておき、シートを記録層22あるいは界面層上に重ね合わせた後、適度な圧力で押さえつけて圧着する。
前記粘着剤としては、透明性、耐久性の観点から、アクリル系、メタクリレート系のポリマー粘着剤が好ましい。より具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−オクチルアクリレートなどを主成分モノマーとし、これらの主成分モノマーを、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の極性モノマーを共重合させる。主成分モノマーの分子量調整、その短鎖成分の混合、アクリル酸による架橋点密度の調整により、ガラス転移温度Tg、タック性能(低い圧力で接触させたときに直ちに形成される接着力)、剥離強度、せん断保持力等の物性を制御することができる。アクリル系ポリマーの溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等が用いられる。上記粘着剤は、さらに、ポリイソシアネート系架橋剤を含有することが好ましい。
また、粘着剤は、前述のような材料を用いるが、カバー層シート材の記録層側に接する表面に所定量を均一に塗布し、溶剤を乾燥させた後、記録層側表面(界面層を有する場合はその表面)に貼り合わせローラー等により圧力をかけて硬化させる。該粘着剤を塗布されたカバー層シート材を記録層を形成した記録媒体表面に接着する際には、空気を巻き込んで泡を形成しないように、真空中で貼り合せるのが好ましい。
また、離型フィルム上に上記粘着剤を塗布して溶剤を乾燥した後、カバー層シートを貼り合わせ、さらに離型フィルムを剥離してカバー層シートと粘着剤層を一体化した後、記録媒体と貼りあわせても良い。
塗布法によってカバー層を形成する場合には、スピンコート法、ディップ法等が用いられるが、特に、ディスク上媒体に対してはスピンコート法を用いることが多い。塗布によるカバー層材料としては、同様に、ウレタン、エポキシ、アクリル系の樹脂等を用い、塗布後、紫外線、電子線、放射線を照射し、ラジカル重合もしくは、カチオン重合を促進して硬化する。
前記カバー層材料としては、透明性、耐久性の観点から、アクリル系、メタクリレート系のオリゴマーおよび/またはモノマーからなる組成物が好ましい。より具体的には、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、iso−オクチルアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレートモノマーの1種または2種以上が均一に混合された組成物が好ましい。オリゴマーの分子量調整、モノマーの種類および混合量の調整により、ガラス転移温度Tg、タック性能(低い圧力で接触させたときに直ちに形成される接着力)、剥離強度、せん断保持力等の物性を制御することができる。
本願発明における光記録媒体においては、第2色素記録層がカバー層側へふくらむように変形することが好ましい。そのために、カバー層は適度なやわらかさ、即ち、一定以下の貯蔵弾性率を有することが好ましい。貯蔵弾性率が高すぎると、記録層のふくらみ変形が抑制されるために、記録マークの形成が困難になるからである。
具体的には、カバー層の貯蔵弾性率の値は、25℃の場合(以下、E25b’と記載することがある)1500MPa以下であることが好ましい。より好ましくは500MPa以下であり、更に好ましくは300MPa以下、特に好ましくは100MPa以下である。
第2色素記録層のふくらみ変形量(カバー層側へのふくらみ高さ)は通常200nm以下であることから、第2色素記録層に一番近い側に配置されるカバー層材料の厚みがおよそ5μm以上であれば、ふくらみ変形量は第1色素記録層に一番近いカバー層に十分に吸収されて、その上に配置されるカバー層材料の弾性率特性によって、記録の際のふくらみ変形に影響が及ぶことはない。従って、カバー層が組成の異なる2層以上の構成を有する場合は、記録層に最も近い側に配置されるカバー層が上記特性を有していれば、それ以外のカバー層の貯蔵弾性率は上記範囲から外れていても構わない。
また、カバー層に用いる材料の記録再生光の波長における透過率は通常90%以上、好ましくは95%以上であることが好ましい。
また、カバー層には、さらにその入射光側表面に耐擦傷性、耐指紋付着性といった機能を付与するために、表面に厚さ0.1μm〜50μm程度のハードコート層を別途設けることもある。カバー層の厚みは、記録再生光ビームの波長λや対物レンズ28のNA(開口数)にもよるが、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がさらに好ましく、また、0.3mm以下が好ましく、0.15mm以下がより好ましい。接着層やハードコート層等の厚みを含む全体の厚みが、光学的に許容される厚み範囲となるようにするのが好ましい。たとえば、いわゆるブルーレイディスクでは、75μm±3μm程度以下に制御するのが好ましい。
[1−11.その他の構成]
なお、本実施形態の光記録媒体は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の各層の他に任意の層を有していてもよい。
例えば、上述の各層の界面に、相互の層の接触・拡散防止や、位相差及び反射率の調整のために、更に適当な界面層を挿入することができる。
また、3層以上の色素記録層を設けた多層型の光記録媒体においても、本発明を適用することが可能である。
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに詳細に説明する。尚、本実施の形態は実施
例に限定されない。
(実施例)
トラックピッチ0.32μmで溝幅約0.19μm、溝深さ約40nmの案内溝を形成したポリカーボネート樹脂基板上に、Ag98.1Nd1.0Cu0.9合金ターゲット(組成はいずれも原子%)をスパッタして厚さ約80nmの第1反射層を形成した。更にその上に、下記構造式で表される配位子AXと二価のNiとからなる含金アゾ色素AWと、配位子BXと二価のCoとからなる含金アゾ色素BWを、重量%でAW:BW=3:1の割合で混合し、トリフルオロペンタノール(TFP)で0.7重量%に希釈した混合溶液をスピンコートで成膜し第1色素記録層を形成した。
Figure 2011076691
第1色素記録層のスピンコート法の条件は、以下のとおりである。すなわち、前記混合溶液をディスク中央付近に0.6g環状に塗布し、ディスクを250rpmで3秒間回転させ混合溶液を延伸し、その後、6000rpmで2秒回転させ混合溶液を振り切ることによる塗布を行った。尚、塗布後にはディスクを40℃の環境下に20分保持することで溶媒であるTFPを蒸発除去した。
その後、第1色素記録層上にITO(In−SnO(95:5原子%))ターゲットをスパッタして約20nmの厚みの第一保護層を形成した。その上に、UV硬化樹脂1(大日本インキ株式会社製SD6036)をスピンコートし、高圧水銀ランプにて約17mJ/cmの紫外線を照射することで仮硬化して約20μmの中間層を形成した。次に、トラックピッチ0.32μmで溝幅約0.18μm、溝深さ約40nmの溝のついた転写用凹凸形状を有するスタンパにUV硬化樹脂2(日本化薬株式会社製MPZ3882)をスピンコートし、前記高圧水銀ランプで紫外線を210mJ/cm照射して仮硬化を行い、その後中間層までを形成した基板と前記スタンパを貼りあわせて、高圧水銀ランプで紫外線を68mJ/cm照射し、スタンパを剥離した後に、前記高圧水銀ランプで紫外線を約200mJ/cm照射して、UV硬化樹脂1とUV硬化樹脂2を共に十分に硬化させることにより、合計25μmの中間層と転写層を形成した。
その後、案内溝を転写した転写層上に、Ag99.9Bi0.1合金ターゲット(組成はいずれも原子%)をスパッタして厚さ約15nmの第2反射層を形成した。更にその上に、第1色素記録層で用いた含金アゾ色素AWと、含金アゾ色素BWを重量%AW:BW=で3:2の比率で混合し、トリフルオロペンタノール(TFP)で0.5重量%に希釈した混合溶液をスピンコートで成膜し第2色素記録層を形成した。
第2色素記録層のスピンコート法の条件は、以下のとおりである。すなわち、前記混合溶液をディスク中央付近に0.6g環状に塗布し、ディスクを250rpmで3秒間回転させ混合溶液を延伸し、その後、7000rpmで2秒回転させ混合溶液を振り切ることによる塗布を行った。尚、塗布後にはディスクを40℃の環境下に20分保持することで溶媒であるTFPを蒸発除去した。その後、ITO(In−SnO(95:5原子%))ターゲットをスパッタして約18nmの厚みの第2保護層を形成した。その後、カバー層として粘着材のついた厚みが75μmのシート(リンテック社:OPTERIA C−751R−2)を貼り合わせてカバー層とした。
光記録媒体の記録再生評価は、記録再生光波長λ=406nm、NA(開口数)=0.85、集束ビームスポット径約0.42μm(1/e強度となる点)の光学系を有するパルステック社製ODU1000テスターを用いて行った。光記録媒体は、線速度9.83m/s(以下、2xと記載)もしくは、19.67m/s(以下、4xと記載)で回転させ、記録光のパワーを12〜19mWの範囲で変化させて記録を行った。再生は線速度を4.9m/sとし、再生光のパワーは0.70mWとした。記録には、マーク変調信号(1−7PP)を用いた。基準クロック周期Tは15.15ns(チャンネルクロック周波数66MHz)とした。ジッタ測定は、記録信号をリミット・イコライザーにより波形等化した後、2値化を行い、2値化した信号の立ち上がりエッジ及び立下りエッジと、チャンネルクロック信号に立ち上がりエッジとの時間差の分布σをタイムインターバルアナライザにより測定し、チャンネルクロック周期をTとして、σ/Tにより測定した(データ・トゥー・クロック・ジッター Data to Clock Jitter)。ジッタの最低値は、十分なエラーレートを得るために、第1色素記録層の場合は7.0%以下、第2色素記録層の場合は8.5%以下であることが好ましい。また、ジッタが最も低い値となる記録パワーを記録感度として測定結果より算出した。記録感度は、2xの場合は6〜14mW、4xの場合は7〜18mW程度であることが好ましい。
トラッキングサーボ特性については、Push−Pull信号を評価して行った。Push−Pull信号は、下記式で定義される。
Figure 2011076691
式中、Iは、光記録媒体からの再生信号を4分割フォトディテクタにより、4分割されたディテクタ(PD1、PD2、PD3、PD4)に受光したとき、案内溝の仮想中心に対して左側に位置するPD1及びPD2の出力の和である。Iは、案内溝の仮想中心に対して右側に位置するPD3及びPD4の出力の和である。また、(I−Ippは、(I−I)信号の頂点間振幅である。(I+Imaxは、(I+I)の最大値である。(I+Iminは(I+I)の最小値である。また、変調度は、最も長いマークの信号振幅I8PPを信号の最大出力レベル値I8Hで割ることで求めた。Push−Pullの値は、確実なトラッキングサーボを行うために0.21〜0.80程度であることが好ましい。変調度については0.4以上あることが好ましい。
また、記録トラックは、第1色素記録層、第2色素記録層ともにin−groove記録により行った。
これらの測定条件は概ねブルーレイディスクにおける測定条件に準拠している。
図2及び図3に、光記録媒体の第1色素記録層と第2色素記録層の記録光パワー(Pw)を変化させた場合のジッタの値を、2xの場合と4xの場合について測定した結果を示す。すべての測定は光記録媒体の半径40mmにおいて行った。図2及び以下の記載において「L0」は第1色素記録層を、「L1」は第2色素記録層のデータを示す。図2から、いずれの層でも良好なパワーマージンが得られており、L0の記録感度は2x記録では11.0mW程度であり、ジッタは6.2%、4x記録では記録感度は15.6mW程度であり、ジッタは7.0%、L1の記録感度は2x記録では9.8mW程度であり、ジッタは7.5%、4x記録では15.6mW程度であり、ジッタは8.1%であった。また、表1に実施例の光記録媒体の記録特性示す。
Figure 2011076691
表1のR8H(4x記録)は、記録後の最大の反射率を示しているが、本願発明の光記録媒体はL0、L1ともに未記録時の反射率より記録後の反射率が高くなっているLtoH記録であることがわかる。また、いずれの線速においても変調度、Push−pullの値は良好であった。これらの結果からいずれの線速においても本願発明の2層光記録媒体がL0、L1ともに良好な記録特性を示すことが確認できた。

Claims (3)

  1. 少なくとも案内溝を有する基板上に第1反射層、色素材料を含有する第1色素記録層、誘電体を含有する第1保護層、硬化性樹脂からなる中間層、案内溝を転写させた転写層、第2反射層、色素材料を含有する第2色素記録層、誘電体を含有する第2保護層、樹脂からなるカバー層をこの順に有する
    ことを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記カバー層の側から記録再生光を入射して記録再生を行い、かつ、前記記録再生光が前記カバー層に入射する面から遠い側の案内溝部を記録溝部とし、前記記録溝部に形成された記録ピット部の反射光強度が、当該記録溝部における未記録時の反射光強度より高くなる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記第1色素記録層、及び前記第2色素記録層の色素材料として、含金属アゾ系化合物を用いる
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光記録媒体。
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