JP2005268630A - クロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Si化合物、Al化合物、P化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物を主成分とする絶縁被膜を有する電磁鋼板において、該絶縁被膜が、該無機物の各々をSiO2換算、Al2O3換算、PO4換算し合計した量で100質量部に対し、Zr化合物をZrO2換算で10〜90質量部含有する、耐食性、耐粉吹き性、および耐ベタツキ性に優れたクロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板。
【選択図】なし
Description
また、特許文献4に記載されているリン酸塩被膜でクロムを含まない組成の場合にはベタツキが発生し、前記の問題が顕在化する傾向があった。
(a) Si化合物、Al化合物、P化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物を主成分とする絶縁被膜を有する電磁鋼板において、
該絶縁被膜が、
該無機物の各々をSiO2換算、Al2O3換算、PO4換算し合計した量で100質量部に対し、
Zr化合物をZrO2換算で10〜90質量部含有する、
耐食性、耐粉吹き性、および耐ベタツキ性に優れたクロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板。
さらに樹脂を、50質量部以下含有する、前記(a)または(b)に記載のクロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板。
本発明は、
Si化合物、Al化合物、P化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物を主成分とする絶縁被膜を有する電磁鋼板において、
該絶縁被膜が、
該無機物の各々をSiO2換算、Al2O3換算、PO4換算し合計した量で100質量部に対し、
Zr化合物をZrO2換算で10〜90質量部含有する、
耐食性、耐粉吹き性、および耐ベタツキ性に優れたクロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板
である。
本発明ではZr化合物を特定量含有することが必要である。適切な量としては、Si化合物、Al化合物、P化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物を、各々、SiO2換算、Al2O3換算、PO4換算し、それらを合計した量の100質量部に対して、10〜90質量部であり、好ましくは15〜80質量部であり、さらに好ましくは20〜70質量部である。Zr化合物は3つ以上、一般には4つの結合手を持つので、架橋反応を起こすことでクロム化合物を使用しなくても強靭な被膜を形成することができるが、特に、Si化合物、Al化合物、P化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物を主成分として、Zr化合物を該特定含有量で含有した場合においてのみ、大きな効果が得られるからである。
Zr化合物が単体または主成分とした場合では結合手が多いためネットワークがうまく形成されず、却って脆弱な被膜になり耐食性も劣ると考えられ、逆に添加量が少ない場合には当然ながらその効果が発揮されない。つまり、他の特定の無機物の存在があって始めてその効果を発揮できるものと考えられる。
つまり、Si、Al、Pからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、Zr元素とを含有する複合酸化物被膜が形成されていると考えられる。
Si化合物としては、コロイダルシリカが好ましく適用される。
コロイダルシリカはSiO2を主成分とする無機コロイドでありアモルファス状であることが多い。粒子径は、好ましくは20nm以下、さらに好ましくは10nm以下であり、小さいほど良好な被膜が形成されるため、下限は特に限定されない。超微細な粒子はその表面積が大きいことにより、他の成分との相互作用が高くなって被膜の強さが増すものと考えられる。ただし、粒子径が小さくなるに従いシリカ粒子同士および他成分との間で凝集が起こりやすくなるため、コロイダルシリカの濃度を低くしなければならなくなる。これらの点を考慮して実用に耐え得る粒子径に設定することができる。
平均粒子径はBET法(吸着法による比表面積から換算)により測定できる。また、電子顕微鏡写真から実測した平均値で代用することも可能である。
Al化合物としては水酸基および有機酸からなるAl化合物および/またはその脱水反応物が好ましく適用され、例えば、アルミナゾルを挙げることができる。水系塗料にて鋼板に塗布焼付けするため、Al化合物は水に溶解またはコロイドや懸濁状態で分散できるものであることが好ましい。また、形状は特性上問題なければ羽毛状、球状など、どのようなものでも構わない。
P化合物としてはリン酸塩が適用でき、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸鉄、リン酸亜鉛などを挙げることができる。
本発明では、絶縁被膜を形成するための上記処理液中に、Si化合物、Al化合物、P化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物を、各々、SiO2換算、Al2O3換算、PO4換算し、それらとZr化合物をZrO2換算した量との合計した量の100質量部に対して、50質量部以下で樹脂を含ませることが好ましい。樹脂を含まなくても実用上十分な被膜を形成できるが、樹脂を少量添加することにより更に耐食性を向上させることができる。これは、無機成分のみでは造膜時などの収縮によりクラックが入りやすいが、樹脂添加により収縮応力が緩和されるためと考えられる。
尚、被膜の性能や均一性を一層向上させるために、必要に応じて、界面活性剤、防錆剤、ホウ酸、シランカップリング剤、潤滑剤、酸化防止剤等の添加剤を配合してもよい。この場合、十分な被膜特性を維持するために乾燥後の被膜固形分重量に対して10質量%程度以下とすることが好ましい。
電磁鋼板上にSi化合物、Al化合物、P化合物、Zr化合物、そして必要ならば樹脂等を含む処理液を塗布して焼付けることにより被膜を形成する。絶縁被膜形成方法は一般工業的に用いられるロールコーター、フローコーター、スプレー、ナイフコーター等種々の方法が適用可能である。焼付け方法についても通常実施されるような熱風式、赤外式、誘導加熱式等の通常の方法が適用可能である。焼付け温度も通常レベルであればよく、到達温度で150〜350℃程度であればよい。
本発明のクロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板は、歪取り焼鈍を施して、例えば、打抜き加工による歪みを除去することができる。好ましい歪取り焼鈍雰囲気としては、N2雰囲気、DXガス雰囲気などの鉄が酸化されにくい雰囲気が適用される。ここで、露点を高く、例えばDp5〜60℃程度に設定し、表面および切断端面を若干酸化させることで耐食性をさらに向上させることができる。また、好ましい歪取り焼鈍温度としては700〜900℃、より好ましくは750〜850℃である。歪取り焼鈍温度の保持時間は長い方が好ましいが、2時間以上がより好ましい。
絶縁被膜の付着量は特に指定しないが、片面あたり0.05〜5g/m2であることが好ましい。付着量が0.05g/m2未満であると耐食性ばかりか絶縁性が不足する傾向があり、付着量が5g/m2超であると、密着性が低下し、塗装焼付時にふくれが発生するなど塗装性が低下する傾向があるからである。より好ましくは0.1〜3.0g/m2である。
付着量、即ち、被膜固形分重量はアルカリ剥離による被膜除去後の重量減少から測定することができる。
絶縁被膜は鋼板の両面にあることが好ましいが、目的によっては片面のみでも横わない。
Si化合物、Al化合物、P化合物、Zr化合物、および樹脂を、第1表に示す質量部(換算量)となるように脱イオン水に添加し、各処理液を調整した。ここで、SiO2、Al2O3、PO4、ZrO2換算量の合計が脱イオン水量に対して、50g/l添加された処理液となるように調整した。
これらの各処理液を、板厚0.5mmの電磁鋼板から幅150mm、長さ300mmの大きさに切り出した試験片の表面にロールコーターで塗布し、プロパンガス直火により到達温度230℃で焼付けした後、常温で放冷し、絶縁被膜を形成した。
各性能評価法は以下の通りである。
各処理液を塗布した各試験片を、相対湿度98%、50℃の恒温恒湿槽に2日間保持し、試験片表面の錆び発生面積率を求め、耐食性を下記の判定基準に従って評価した。尚、錆び発生面積率とは、目視による観測全面積に対する、錆び発生面積の合計の百分率である。
(判定基準)
◎;錆び発生面積率=0〜5%
○;錆び発生面積率=5〜20%
△;錆び発生面積率=20〜50%
×;錆び発生面積率=50%以上
試験条件:フェルト接触面幅20×10mm、荷重:2kg/cm2(0.2MPa)、被膜表面を400m単純往復。試験後の擦り跡を観察し、被膜の剥離状態および粉吹き状態を評価した。
(判定基準)
◎;ほとんど擦り跡が認められない
○;若干の擦り跡および若干の粉吹が認められる程度
△;被膜の剥離が進行し擦り跡および粉吹きがはっきりわかる程度
×;地鉄が露出するほど剥離し粉塵が甚大
各処理液を塗布した各試験片を、相対湿度80%、50℃の恒温恒湿槽に7日間保持した後、試験片表面の被膜状態を目視等行いベタツキ性を調査し、下記の判定基準に従って評価した。
(判定基準)
あり:吸湿して被膜が白く変色、または、触ってヌメリがある状態
なし:試験前と変化なし
Claims (3)
- Si化合物、Al化合物、P化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物を主成分とする絶縁被膜を有する電磁鋼板において、
該絶縁被膜が、
該無機物の各々をSiO2換算、Al2O3換算、PO4換算し合計した量で100質量部に対し、
Zr化合物をZrO2換算で10〜90質量部含有する、
耐食性、耐粉吹き性、および耐ベタツキ性に優れたクロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板。 - 前記Zr化合物が、水溶性のZr化合物を含む組成物を鋼板に塗布し、焼付けて得られる、請求項1に記載のクロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板。
- 前記絶縁被膜が、前記無機物の各々と前記Zr化合物とをSiO2換算、Al2O3換算、PO4換算、ZrO2換算し合計した量で100質量部に対し、
さらに樹脂を、50質量部以下含有する、請求項1または2に記載のクロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板。
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