JP4305070B2 - 絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐粉吹き性に優れ、歪取り焼鈍後の耐キズ性にも優れるクロムフリーの絶縁被膜付き電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁鋼板は多様な用途に使用されるため、その用途に応じて種々の絶縁被膜の開発が行われている。たとえばモータや変圧器等に使用される電磁鋼板の絶縁被膜は、層間抵抗だけでなく、加工成形時の利便さおよび保管、使用時の安定性など種々の特性が要求される。
また電磁鋼板は、打抜き加工、せん断加工、曲げ加工などを施すと、残留歪みにより磁気特性が劣化する。この劣化した磁気特性を回復させるため、加工後の電磁鋼板に750〜850℃程度で歪取り焼鈍を行う場合が多い。この場合には、絶縁被膜は歪取り焼鈍に耐えるものでなければならない。
【0003】
従来公知の絶縁被膜は、(1)無機被膜、(2)樹脂含有無機被膜、(3)有機被膜の3種に大別される。このうち(3)は、歪取り焼鈍不可の特殊用途の絶縁被膜であるが、無機質を含む絶縁被膜(1)および(2)は、歪取り焼鈍に耐える汎用品である。このうちでも溶接性、耐熱性を重視した無機被膜(1)に対し、樹脂含有無機被膜(2)は溶接性と打抜き性との両立を図ることができ、特に無機被膜(1)に比べて打抜き性が格段に優れている。またこの(2)の絶縁被膜は、無機有機樹脂と無機質とを含む処理液を電磁鋼板の表面に塗布した後、常法により焼付けして、すなわち1コート1ベークで絶縁被膜を得ることができるため広く利用されている。(2)の具体例としては、たとえば2価金属を含む重クロム酸塩系水溶液中に、酢酸ビニル/ベオバ系樹脂エマルションとともに有機還元剤を含ませた処理液を使用する、溶接時の悪臭発生抑制を図った絶縁被膜の開示(たとえば特許文献1など参照)などがある。
【0004】
しかしながら従来汎用の歪取り焼鈍可能な絶縁被膜は、いずれも無機質としてCr化合物を含むものであった。昨今、環境意識の高まりから、電磁鋼板の製造現場あるいはこれを使用する環境においても、Crを含まない絶縁被膜が望まれている。このため実質的にCrを含まないが、従来のCr含有絶縁被膜と同様に打抜き性の良好な絶縁被膜(クロムフリー絶縁被膜と通称される)が模索されており、無機質として、Si、Al、Mo、W、Ti、Zr、Sbなどをシリカ、アルミナなどの酸化物の形態で含む上記(2)のタイプのクロムフリー絶縁被膜がいくつか提案されている。このうち、コロイダルシリカおよび樹脂を含む水系塗料を用いて絶縁被膜を形成する具体例として、コロイダルシリカ(アルミナ含有シリカ)と、Tg30〜150℃の樹脂との組あわせにより、沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良好な絶縁被膜を低温焼付けにより製造できるとする開示がある(たとえば特許文献2など参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公昭60−36476号公報
【特許文献2】
特開平10−130858号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記コロイダルシリカおよび樹脂を含む水系塗料を電磁鋼板に塗布・焼付けした絶縁被膜は、歪取り焼鈍前の電磁鋼板(製品板)のスリット加工におけるテンションパッドにおいて粉塵が多量に発生したり、歪取り焼鈍板のハンドリング時にキズが入り被膜が剥離することがある。
本発明は、上記のような課題を解決し、打抜き加工性などの被膜特性に優れることに加え、特に製品板の耐粉吹き性、歪取り焼鈍板の耐キズ付き性も改善されたクロムフリーの絶縁被膜付き電磁鋼板を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、後述するように通常のコロイダルシリカに含有させるAl量よりもはるかに多い量のAlをSiとともに特定量で被膜中に含ませることによって、上記のような被膜特性を有する絶縁被膜付き電磁鋼板が得られることを見出した。さらに、このような絶縁被膜は被膜特性が良好で、このため少量の樹脂の添加により、場合によっては樹脂を含ませなくても従来の樹脂含有絶縁被膜相当の打抜き加工性などの被膜特性を有し、歪取り焼鈍板は良好な耐擦りキズ性を有するという知見を得て本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、表面に絶縁被膜を有する電磁鋼板であって、前記絶縁被膜が、該被膜全量中、水酸基を含むAlの有機酸化合物および/またはその脱水反応物であるAl化合物およびSi化合物をAlおよびSiO換算の合計量で40mass%以上含有し、かつこれらAl化合物およびSi化合物中のAl化合物の比率がAl/(Al+SiO)換算で40〜95mass%であるとともに、樹脂を、樹脂固形分/(Al+SiO+樹脂固形分)換算で50%未満の量で含有する耐粉吹き性および耐キズ付き性に優れた絶縁被膜付き電磁鋼板を提供する。
【0009】
記水酸基を含むAlの有機酸化合物としては、具体的に、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性クエン酸アルミニウムおよび塩基性酒石酸アルミニウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の組合わせが好適である。
【0010】
また上記Si化合物は、平均粒子径10nm以下のコロイダルシリカが好ましい。
【0011】
本発明では、Al、SiおよびOの元素で構成され、耐キズ付き性に優れた絶縁被膜を有する、歪取り焼鈍が施された上記絶縁被膜付き電磁鋼板(焼鈍板)も提供する。歪取り焼鈍は、通常500℃以上で実施される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る絶縁被膜付き電磁鋼板を、その製造プロセス例に基づいて具体的に説明する。
本発明において、電磁鋼板(電気鉄板)は、比抵抗を変化させて所望の磁気特性を得るために調整されたどのような組成の鋼板でもよく、特に制限されない。また絶縁被膜が形成される電磁鋼板の表面は、未処理のままでもよく、あるいは前処理されていてもよい。前処理は任意であるが、アルカリなどによる脱脂処理、塩酸、硫酸、リン酸などによる酸洗処理が好ましく適用される。
【0013】
上記電磁鋼板の表面に、無機質としてAl化合物とSi化合物を含む処理液を使用して、実質的にクロムを含まない電磁被膜を形成する。
処理液を水系塗料の形態で鋼板に塗布焼付するには、上記Al化合物は水溶性であるか、またはコロイドないし懸濁状態で分散できるものであることが好ましい。本発明では、特に上記Al化合物として、水酸基を含むAlの有機酸化合物および/またはその脱水反応物を使用することが好ましい。水酸基を含むAlの有機酸化合物としては、具体的に塩基性酢酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性クエン酸アルミニウムおよび塩基性酒石酸アルミニウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の組合わせが挙げられる。同等の効果が得られれば有機酸を他のものに置換することは可能である。
【0014】
これらのうちでも、分子式Alx (OH)y (CH3 COO)z (x、y、zはそれぞれ1以上)で表される塩基性酢酸アルミニウムが好ましく、特にAl2 (OH)5 (CH3 COO)が好ましい。これは分子レベルでの溶解状態から数nm程度のコロイド状態で存在でき、微細な均質分散系塗料を形成することができるためである。またその熱分析では、およそ200〜230℃で大きな脱水反応のピークが観察されることから、脱水縮合による分子間のネットワークを形成して造膜することができる。さらなる加熱により、およそ500℃までに脱水、脱酢酸反応が起こってネットワークが更に強固なものとなり、500℃〜625℃を超え、歪取り焼鈍温度に達すれば無定形アルミナ、γ−アルミナあるいはδ−アルミナになり強い被膜が形成されると考えられる。
【0015】
Si化合物としては、コロイダルシリカが好ましく適用される。
コロイダルシリカは、SiO2 を主成分とする無機コロイドでありアモルファス状であることが多い。粒子径は、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下であり、小さいほど良好な被膜ができるため、下限は特に限定されない。これは、コロイダルシリカの粒子が微細なほど表面積が大きく、Al化合物または樹脂との相互作用が高くなって被膜の強さが増すものと考えられる。ただし、粒子径が小さくなるに従いシリカ粒子同士およびAl化合物との間で凝集しやすくなるため、コロイダルシリカの濃度を低くしなければならなくなる。これらの点を考慮して実用に耐えうる粒子径に設定することができる。
平均粒子径はBET法(吸着法による比表面積から換算)により測定できる。また、電子顕微鏡写真から実測した平均値で代用することも可能である。なお、上記粒子径は、コロイダルシリカそのものの粒子径であって、表面処理剤(Al化合物など)の厚みは含まない。
【0016】
本発明では、絶縁被膜中に、上記のようなAl化合物とSi化合物とを、Al2 3 /(Al2 3 +SiO2 )換算比率が40〜95mass%となる量でそれぞれ含む。上記で計算されるAl化合物の比率40mass%未満では、造膜成分である塩基性酢酸アルミニウムが不足し、十分強い被膜が形成されない。一方、95mass%を超えると、反応性の高い塩基性酢酸アルミニウムのため塗液が安定せず、均一な被膜を得ることが困難となる。Al化合物とSi化合物との合計量中のAl化合物の比率は、上記酸化物換算比率の範囲のうちであればよく、最適な比率はコロイダルシリカ粒径などによっても異なり、一概には規定できないが、好ましくは50〜85mass%である。この好ましい組成は、ムライト(3Al2 3 ・2SiO2 組成)の計算上の比率72mass%に近い組成である。
【0017】
Al化合物とSi化合物とを、上記量比で絶縁被膜中に含ませるに際しては、Al化合物とSi化合物との組み合わせとして、上述の分子式で示される塩基性酢酸アルミニウムと、コロイダルシリカとの混合物が好適に適用できる。塩基性酢酸アルミニウムをコロイダルシリカの表面改質に使用する場合には、コロイダルシリカ表面の(−)電荷を(+)電荷に反応させ、表面を覆う最低限の添加量が処方される。このときの塩基性酢酸アルミニウムの比率はコロイダルシリカ粒径によりその表面積が変わるため、コロイダルシリカ粒径により上記比率も異なる。たとえばコロイダルシリカの粒径が13nmの場合には、Al化合物の上記比率は9%程度、9nmの場合には13%程度、5nmの場合には21%程度である。
【0018】
本発明では、通常のシリカ表面処理量よりはるかに多いAl化合物を含んでおり、表面処理というよりもむしろコロイダルシリカと塩基性酢酸アルミニウムの混合物というべきものである。すなわち塩基性酢酸アルミニウムは、コロイダルシリカの表面に吸着したもの以外にもフリーな状態のものが多く存在するという形態をとっているものと考えられる。このようなAl化合物とSi化合物とは、歪取り焼鈍温度で処理後は、無定形アルミナおよび/またはγ−アルミナおよび/またはδ−アルミナと、シリカとの混合物になっていると考えられる。なお、水酸化アルミニウムと硅砂との組合わせでは約1400℃で、アルミナゾルとコロイダルシリカとの組合わせでは約1200℃で、それぞれムライトが得られるのに比べ、本発明において粒子径の小さいコロイダルシリカを使用した場合には、部分的には低温でもムライトまたはムライトに近い組成のアルミノケイ酸塩にもなりうると推定される。
【0019】
Al化合物の安定化剤は特に指定しないが、たとえば塩基性酢酸アルミニウムの安定化剤として、ギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸などの有機酸が好適に適用される。本発明の被膜特性を損なわなければ、他の安定化剤を使用してもよい。
【0020】
本発明では、絶縁被膜中に、上記のようなAl化合物とSi化合物とを、Al2 3 およびSiO2 換算の合計量で40mass%以上、好ましくは50mass%以上含有する。Al化合物とSi化合物との上記合計量が40mass%未満では、充分なネットワークを形成できずに粉吹き状態となって好ましくない。
【0021】
本発明では、絶縁被膜を形成するための上記Al化合物とSi化合物とを含む処理液中に、後述する特定量以下で樹脂を含ませることが望ましい。樹脂を含まなくても構わないが、適量含む方が、歪取り焼鈍前の被膜特性が向上する傾向にある。これは、樹脂と複合化されることにより、Al化合物好ましくは塩基性酢酸アルミニウムの造膜を補助するためであると考えられる。また、樹脂の分解温度以上、たとえば300℃以上では、樹脂の分解と塩基性酢酸アルミニウムの脱水・脱酢酸がほぼ同時に進行するため、一次造膜だけでなく二次造膜をスムーズに進行させる働きがあるものと考えられる。
【0022】
このような効果を得るためには、樹脂を、樹脂固形分/(Al2 3 +SiO2 +樹脂固形分)換算で5mass%以上含ませることが望ましい。一方、50mass%以上になると、塩基性酢酸アルミニウムのネットワーク形成を阻害するため、歪取り焼鈍前後において却って被膜が脆弱になる傾向があるので、50mass%未満とする。より好ましい上記で規定される樹脂量は5〜40mass%である。
【0023】
樹脂としては、特に指定しないが、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等の1種または2種以上の水性樹脂(エマルション、ディスパーション、水溶性)を用いることが好ましい。またガラス転移点(Tg)が30〜150℃の樹脂を用いることが好ましい。
【0024】
また被膜の性能および均一性を一層向上させるために、処理液中には、必要に応じて界面活性剤、防錆剤等の添加剤を配合してもよい。この場合、十分な被膜特性を維持するために、その添加量は合計でも乾燥後の被膜に対して、通常10%程度以下とすることが好ましい。
【0025】
電磁鋼板上に、Al化合物、Si化合物、樹脂などを含む上記処理液を塗布して焼き付けることにより被膜を形成させる。塗布方法は、一般工業的に用いられるロールコーター、フローコーター、スプレー、ナイフコーター等種々の方法が適用可能である。焼き付け方法についても通常実施されるような熱風式、赤外式、誘導加熱式等が適用可能である。
【0026】
電磁鋼板表面への絶縁被膜の付着量(乾燥後重量)は特に指定しないが、片側の表面で0.05〜5g/m2 であることが好ましい。付着量が0.05g/m2 未満であると耐食性が不足し、一方、付着量が5g/m2 超であると、密着性が低下し、高温乾燥時にふくれが発生するなど塗装性が低下する傾向がある。より好ましくは0.1〜3.0g/m2 である。絶縁被膜は、通常は両面に形成するが、場合によっては片面のみに形成してもかまわない。
【0027】
上記のような絶縁被膜を有する電磁鋼板(製品板)は、打抜き加工時などの被膜特性に優れるだけでなく、スリット加工におけるテンションパッドにおいて粉塵が多量に発生したりせず、耐粉吹性に優れている。
また本発明の製品板は、歪取り焼鈍の適用が可能であり、歪取り焼鈍を施しても焼鈍板のハンドリング時にキズが入りにくい。
【0028】
歪取り焼鈍後の耐キズ性は、歪取り焼鈍条件、特に温度に影響され、高温である方が樹脂の分解が進むとともに塩基性酢酸アルミニウムの脱水・脱酢酸反応による造膜が進みやすく、良好な絶縁被膜が形成できる。このため、500℃以上の温度で歪取り焼鈍を行ない樹脂を分解させて塩基性酢酸アルミニウムを造膜させる必要がある。500℃以上で歪取り焼鈍を施すことにより、上記Al化合物、Si化合物および場合によっては樹脂、さらに他の添加剤を含む絶縁被膜は、主にAl、SiおよびOの元素、および残留Cなどの不純物で構成される絶縁被膜となる。
好ましい歪取り焼鈍雰囲気としては、N2 雰囲気、DXガス雰囲気などの酸化されにくい雰囲気が好ましく適用される。このとき、露点を高く(〜Dp60℃程度)設定することもできる。また、好ましい歪取り焼鈍温度としては700〜900℃、より好ましくは750〜850℃である。歪取り焼鈍温度の保持期間は長い方が好ましいが通常の2時間以上が特に好ましい。
【0029】
歪取り焼鈍が施された態様の本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板は、優れた耐キズ性を発揮する。
【0030】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜36および比較例1〜9)
表1に記載のAl化合物、Si化合物(コロイダルシリカ)および樹脂を表1に示す量比で含む各処理液を調製した。
塩基性酢酸アルミニウムは、分子式Al2 (OH)5 (CH3 COO)のものを使用した。
板厚0.5mm、巾150mm、長さ300mmの電気鉄板(電磁鋼板)の表面に、上記処理液をロールコーターで塗布し、プロパンガス直火により、到達板温230℃で焼付けした後、放冷し、絶縁被膜を形成した。
上記で得られた各絶縁皮膜付き電磁鋼板(製品板)の耐粉吹き性評価を表1に示す。
【0031】
<製品板の耐粉吹き性>
試験条件:フェルト接触面10×10mm、荷重:7kg、40m
判定基準
◎;ほとんど粉の発生が認められない
○;若干の擦り跡および若干の粉吹きが認められる程度
△;擦り跡および粉吹きがはっきりわかる程度
×;地鉄が露出するほど剥離し粉塵が甚大
【0032】
また上記製品板に、750℃で2時間、歪取り焼鈍を施した。焼鈍板の耐キズ(スクラッチ)性を表1に示す。
<焼鈍板の耐キズ性>
被膜表面上でせん断端部を10往復させて引っ掻き、目視により被膜のキズの程度を判定した。
判定基準
◎;ほとんどのキズが認められない
○;キズ跡が若干判別できる程度
△;地鉄が若干露出する程度
×;剥離し地鉄が露出
【0033】
【表1】
Figure 0004305070
【0034】
【表2】
Figure 0004305070
【0035】
実施例および比較例における評価結果(製品板の耐粉吹き性および焼鈍板の耐キズ性)を、絶縁被膜のAl2 3 /(Al2 3 +SiO2 )比率との関係で図1に、樹脂固形分/(Al2 3 +SiO2 +樹脂固形分)比率との関係で図2にそれぞれ示す。
表1、図1および図2から明らかなように、本発明の構成規定を満たす実施例は、いずれも製品板の耐粉吹き性、歪取り焼鈍前後の耐キズ性に優れている。
【0036】
【発明の効果】
本発明により、耐粉吹き性に優れ、歪取り焼鈍後の耐キズ性にも優れるクロムフリーの絶縁被膜付き電磁鋼板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における製品板および焼鈍板の評価結果を示す図である。
【図2】 本発明の実施例における製品板および焼鈍板の評価結果を示す図である。

Claims (4)

  1. 表面に絶縁被膜を有する電磁鋼板であって、前記絶縁被膜が、該被膜全量中、水酸基を含むAlの有機酸化合物および/またはその脱水反応物であるAl化合物およびSi化合物をAlおよびSiO換算の合計量で40mass%以上含有し、かつこれらAl化合物およびSi化合物中のAl化合物の比率がAl/(Al+SiO)換算で40〜95mass%であるとともに、樹脂を、樹脂固形分/(Al+SiO+樹脂固形分)換算で50%未満の量で含有する耐粉吹き性および耐キズ付き性に優れた絶縁被膜付き電磁鋼板。
  2. 前記水酸基を含むAlの有機酸化合物が、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性クエン酸アルミニウムおよび塩基性酒石酸アルミニウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の組合わせである請求項に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
  3. 前記Si化合物が平均粒子径10nm以下のコロイダルシリカである請求項1または2に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
  4. Al、SiおよびOの元素で構成され、耐キズ付き性に優れた絶縁被膜を有する、歪取り焼鈍が施された請求項1ないしのいずれかに記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
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