JP5830833B2 - 半有機絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents

半有機絶縁被膜付き電磁鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、クロム化合物の含有なしでも耐食性および耐水性の劣化がなく、またスティッキング性、TIG溶接性および打抜性に優れ、しかも焼鈍後の被膜外観の均一性にも優れる半有機絶縁被膜付き電磁鋼板に関するものである。
モータや変圧器等に使用される電磁鋼板の絶縁被膜には、層間抵抗だけでなく、加工成形時の利便性および保管、使用時の安定性など種々の特性が要求される。電磁鋼板は多様な用途に使用されるため、その用途に応じて種々の絶縁被膜の開発が行われている。電磁鋼板に打抜加工、せん断加工、曲げ加工などを施すと残留歪みにより磁気特性が劣化するので、これを解消するために700〜800℃程度の温度で歪取り焼純を行う場合が多い。従って、この場合には、絶縁被膜が歪取り焼鈍に耐え得るものでなければならない。
絶縁被膜は、大別して
(1) 溶接性、耐熱性を重視し、歪取り焼鈍に耐える無機被膜、
(2) 打抜性、溶接性の両立を目指し歪取り焼鈍に耐える樹脂含有の無機被膜(すなわち、半有機被膜)、
(3) 特殊用途で歪取り焼鈍不可の有機被膜
の3種に分類されるが、汎用品として歪取り焼鈍に耐えるのは、上記(1), (2)に示した無機成分を含む被膜であり、両者ともクロム化合物を含むものであった。
特に、(2)のタイプのクロム酸塩系絶縁被膜は、1コート1ベークの製造で無機系絶縁被膜に比較して打抜性を格段に向上させることができるので広く利用されている。
例えば、特許文献1には、少なくとも1種の2価金属を含む重クロム酸塩系水溶液に、該水溶液中のCrO3:100重量部に対し有機樹脂として酢酸ビニル/ベオバ比が90/10〜40/60の割合になる樹脂エマルジョンを樹脂固形分で5〜120重量部および有機還元剤を10〜60重量部の割合で配合した処理液を、基地鉄板の表面に塗布し、常法による焼付けを施して得た電気絶縁被膜を有する電磁鋼板が記載されている。
しかし、昨今、環境意識が高まり、電磁鋼板の分野においてもクロム化合物を含まない絶縁被膜を有する製品が需要家等からも望まれている。
そこで、クロム化合物を含まない絶縁被膜付き電磁鋼板が開発され、例えば、クロムを含まず打抜性が良好な絶縁被膜として樹脂およびコロイダルシリカ(アルミナ含有シリカ)を成分としたものが特許文献2に記載されている。また、コロイド状シリカ、アルミナゾル、ジルコニアゾルの1種または2種以上よりなり、水溶性またはエマルジョン樹脂を含有する絶縁被膜が特許文献3に記載され、クロムを含まないリン酸塩を主体とし、樹脂を含有した絶縁被膜が特許文献4に記載されている。
しかし、これらのクロム化合物を含まない絶縁被膜付き電磁鋼板は、クロム化合物を含む場合と比べると、無機物同士すなわち鋼板/皮膜間、皮膜中の無機成分間の結合が比較的弱く、耐食性に劣るという問題があった。
例えば、特許文献3に記載された方法でコロイダルシリカ、アルミナゾル、ジルコニアゾルの1種または2種以上を単純に使用しても上記課題は解決できず、それぞれの成分を複合して用い、特定量混合した場合について、十分な検討がなされていなかった。また、特許文献4に記載されているようなリン酸塩被膜でクロムを含まない組成の場合にはベタツキが発生し、耐水性が劣化する傾向があった。
これらの問題は、300℃以下の比較的低温で焼き付けた場合に発生しやすい問題であり、特に200℃以下の場合には、その発生が顕著であった。一方で、焼付け温度は消費エネルギーおよび製造コストの低減等の観点から、できるだけ低くすべきである。
さらに、特許文献5,6に記載された方法、すなわちポリシロキサンと各種有機樹脂とを共重合したポリシロキサン重合体とシリカ、シリケート等の無機化合物からなる被膜を使用した場合には、TIG溶接時にブローホールが発生したり、また鋼種によっては焼鈍後に斑模様が発生するという問題があった。
特公昭60−36476号公報 特開平10−130858号公報 特開平10−46350号公報 特許第2944849号公報 特開2007−197820号公報 特開2007−197824号公報
そこで、発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、半有機被膜中の無機成分として、B化合物と板状シリカを含むSi化合物を複合含有させることにより、上記の問題が有利に解決されることを見出した。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.表面に、無機成分と有機樹脂からなる半有機絶縁被膜をそなえる電磁鋼板であって、該無機成分としてB化合物および板状シリカを含むSi化合物をそれぞれ、乾燥被膜(被膜中の無機成分としてリン酸塩を除く)中における比率で、B化合物(B23換算):0.1〜10質量%、板状シリカを含むSi化合物(SiO2換算):30〜80質量%含有し、残部が有機樹脂であることを特徴とする半有機絶縁被膜付き電磁鋼板。
2.前記板状シリカの平均粒子径が10〜600nmであることを特徴とする前記1に記載の半有機絶縁被膜付き電磁鋼板。
3.前記板状シリカのアスペクト比(長さ/厚み比)が2〜400であることを特徴とする前記1または2に記載の半有機絶縁被膜付き電磁鋼板。
4.前記半有機絶縁被膜中に、さらに硝酸化合物(NO3換算)およびシランカップリング剤(固形分換算)のうちから選んだ一種または二種を、乾操被膜中における比率で30質量%以下含有することを特徴とする前記1ないし3のいずれか一項に記載の半有機絶縁被膜付き電磁鋼板。
本発明によれば、スティッキング性、TIG溶接性および打抜性等の諸特性に優れるのはいうまでもなく、クロム化合物を含有していなくても耐水性や耐食性の劣化がなく、しかも焼鈍後の被膜外観の均一性にも優れる半有機絶縁被膜付き電磁鋼板を得ることができる。
歪取り焼鈍後の被膜外観を比較して示す写真である。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、半有機被膜の無機成分である、B化合物および板状シリカを含むSi化合物の配合割合を、前記の範囲に限定した理由について説明する。
なお、これらの成分の質量%は、乾燥被膜中における比率である。
B化合物:B23換算で0.1〜10質量%
B化合物を適量配合することにより、耐食性に優れた被膜が得られる。ここに、B化合物の乾燥被膜中における含有量が、B23換算で0.1質量%に満たないとその添加効果に乏しく、一方10質量%を超えると未反応物が被膜中に残存して、歪取り焼鈍後に被膜同土が融着する不具合(スティック)が発生するので、B化合物はB23換算で0.1〜10質量%の範囲に限定した。
かようなB化合物としては、ホウ酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、メタホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム等が挙げられ、これらを単独または複合して使用することができる。しかしながら、これらに限定されるものではなく、例えば、水に溶けてホウ酸イオンを生じさせるような化合物でもよく、またホウ酸イオンは直線型や環状に重合していてもよい。
板状シリカを含むSi化合物:SiO2換算で30〜80質量%
本発明の板状シリカは、葉状シリカや鱗片状シリカとも呼ばれるもので、SiO2の薄層が多数積層された層状珪酸構造を有しており、非結晶性または微結晶性を有するものが好ましい。かような板状シリカは、一般的なシリカ粒子たとえばコロイダルシリカ等と比較して、層状の形態をとるために腐食物質透過抑制性に優れ、さらに、水酸基が多いために密着性に優れ、かつ軟質であることから滑り性に優れる。このため、耐食性や打抜性の向上により効果的である。
また、板状シリカは、薄層の一次粒子が積層した凝集粒子を作製し、この凝集粒子を粉砕することによって得ることができる。
ここに、板状シリカの平均粒子径は10〜600nm程度とすることが好ましい。より好ましくは100〜450nmの範囲である。また、かかる板状シリカのアスペクト比(長さ/厚み比)は2〜400程度とすることが好ましい。より好ましくは10〜100の範囲である。
板状シリカ以外のSi化合物としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、アルコキシシランおよびシロキサン等を挙げることができ、これらは耐食性の大幅な向上に寄与する。
上記した板状シリカのSi化合物全体における配合割合が50質量%に満たないと、本発明で目指したほど良好な耐食性および打抜性が得られないので、板状シリカの配合割合は50質量%以上とすることが好ましい。勿論、Si化合物が全て板状シリカであってもよいが、特に好適な範囲は50〜100質量%の範囲である。
かかるSi化合物の乾燥被膜中における含有量がSiO2換算値で30質量%に満たないと十分な耐食性が得られず、一方80質量%を超えると歪取り焼鈍板の外観に斑模様が発生し、被膜の均一性が得られなくなるため、Si化合物は30〜80質量%の範囲に限定した。
また、本発明では、上記した無機成分の他、以下に述べる硝酸化合物、シランカップリング剤およびリン化合物のうちから選んだ一種または二種以上を、乾燥被膜中における比率で30質量%以下で含有させることもできる。なお、硝酸化合物、シランカップリング剤およびリン化合物の乾燥被膜中における比率は、それぞれNO3換算(硝酸化合物)、固形分換算(シランカップリング剤)およびP25換算(リン化合物)で示したものである。
かような硝酸化合物、シランカップリング剤およびリン化合物は、耐食性の改善に有効に寄与するが、乾燥被膜中における比率が30質量%以下であれば、未反応物が被膜中に残存することがなく、耐水性を低下させることがないので、含有量は30質量%以下とすることが好ましい。なお、これらの成分の効果を十分に発揮させるには、乾燥被膜中における比率で1質量%以上含有させることが好ましい。
本発明において、硝酸化合物としては、以下に示すような硝酸系または亜硝酸系化合物、さらにこれらの水和物が有利に適合する。
・硝酸系
硝酸(HNO3)、硝酸カリウム(KNO3)、硝酸ナトリウム(NaNO3)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、硝酸カルシウム(Ca(NO3)2)、硝酸銀(AgNO3)、硝酸鉄(II)(Fe(NO3)2)、硝酸鉄(III)(Fe(NO3)3)、硝酸銅(II)(Cu(NO3)2)、硝酸バリウム(Ba(NO3)2)、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)、硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2)、硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)、硝酸ニッケル(II)(Ni(NO3)2)、硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)。
・亜硝酸系
亜硝酸(HNO2)、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸銀、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸エチル、亜硝酸イソアミル、亜硝酸イソブチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸−t−ブチル、亜硝酸−n−ブチル、亜硝酸−n−プロピル。
また、シランカップリング剤としては、以下に示すものが有利に適合する。
・ビニル系
ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン。
・エポキシ系
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン。
・スチリル系
p−スチリルトリメトキシシラン。
・メタクリロキシ系
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン。
・アクリロキシ系
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン。
・アミノ系
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン。
・ウレイド系
3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン。
・クロロプロピル系
3−クロロプロピルトリメトキシシラン。
・メルカプト系
3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン。
・ポリスルフィド系
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド。
・イソシアネート系
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン。
さらに、リン化合物としては、以下に示すようなリン酸およびリン酸塩が有利に適合する。
・リン酸
オルトリン酸、無水リン酸、直鎖状ポリリン酸、環状メタリン酸。
・リン酸塩
リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛。
なお、本発明では、無機成分中に、不純物としてHfやHfO2、TiO2、Fe23などが混入することがあるが、これらの不純物の総量が乾燥被膜中1質量%以下であれば、特に問題は生じない。
本発明では、乾燥被膜中における上記したような無機成分の含有量が60〜90質量%となるように、有機樹脂を10〜40質量%の割合で配合することが好ましい。
本発明において、有機樹脂としては特に制限はなく、従来から使用されている公知のものいずれもが有利に適合する。例えば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフイン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等の水性樹脂(エマルジョン、ディスパーション、水溶性)が挙げられる。特に好ましくはアクリル樹脂やエチレンアクリル酸樹脂のエマルジョンである。
かかる有機樹脂は、耐食性および打抜性の改善に有効に寄与するが、乾燥被膜中における配合割合が10質量%以上であればその添加効果が大きく、一方40質量%以下であればTIG溶接性が劣化することがないので、有機樹脂の配合割合は固形分換算で10〜40質量%程度とすることが好ましい。
なお、乾燥皮膜中の比率とは、上記した成分を含有する処理液を鋼板に塗布し、焼付け、乾燥させることにより表面に形成した皮膜中の各成分の割合である。処理液を180℃で30分乾燥させた後の乾燥後残存成分(固形分)から求めることもできる。
さらに、本発明では、上記した成分の他、通常用いられる添加剤や、その他の無機化合物や有機化合物の含有を妨げるものではない。
ここに、添加剤は、絶縁被膜の性能や均一性を一層向上させるために添加されるもので、界面活性剤や防錆剤、潤滑剤、酸化防止剤等が挙げられる。なお、かかる添加剤の配合量は、十分な被膜特性を維持する観点から、乾燥被膜中の配合割合が10質量%程度以下とすることが好ましい。
本発明において、素材である電磁鋼板としては、特に制限はなく、従来から公知のものいずれもが適合する。
すなわち、磁束密度の高いいわゆる軟鉄板(電気鉄板)やSPCC等の一般冷延鋼板、また比抵抗を上げるためにSiやAlを含有させた無方向性電磁鋼板などいずれもが有利に適合する。
次に、絶縁被膜の形成方法について説明する。
本発明では、素材である電磁鋼板の前処理については特に規定しない。すなわち、未処理でもよいが、アルカリなどによる脱脂処理や、塩酸、硫酸、リン酸などによる酸洗処理を施すことは有利である。
そして、この電磁鋼板の表面に、B化合物および板状シリカを含むSi化合物、さらには硝酸化合物、シランカップリング剤およびリン化合物のうちから選んだ一種または二種以上や、必要に応じて添加剤等を、有機樹脂と共に所定の割合で配合した処理液を塗布し、焼き付けることにより絶縁被膜を形成させる。絶縁被膜用処理液の塗布方法は、一般工業的に用いられるロールコーター、フローコーター、スプレー、ナイフコーター等種々の方法が適用可能である。また、焼き付け方法についても、通常実施されるような熱風式、赤外式、誘導加熱式等が可能である。焼付け温度も通常レベルであればよく、到達鋼板温度で150〜350℃程度であればよい。
本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板は、歪取り焼鈍を施して、例えば、打抜き加工による歪みを除去することができる。好ましい歪取り焼鈍雰囲気としては、N2雰囲気、DXガス雰囲気などの鉄が酸化されにくい雰囲気が適用される。ここで、露点を高く、例えばDp:5〜60℃程度に設定し、表面および切断端面を若干酸化させることで耐食性をさらに向上させることができる。また、好ましい歪取り焼鈍温度としては700〜900℃、より好ましくは700〜800℃である。歪取り焼鈍温度の保持時間は長い方が好ましいが、2時間以上がより好ましい。
絶縁被膜の付着量は特に限定しないが、片面当たり0.05〜5g/m2程度とすることが好ましい。付着量、すなわち本発明の絶縁被膜の全固形分質量は、アルカリ剥離による被膜除去後の重量減少から測定することができる。また、付着量が少ない場合には、アルカリ剥離法によって付着量を測定した、付着量が既知の標準試料を用いて、蛍光X線分析によるBまたはSiの検出強度と付着量の関係を被膜組成毎に求めておき、この検量線に基づきBまたはSiの蛍光X線分析強度を被膜組成に応じた付着量に換算し求めることができる。付着量が0.05g/m2以上であれば、耐食性と共に絶縁性を満足することができ、一方5g/m2以下であれば、密着性が向上するだけでなく、塗装焼付時にふくれが発生せずに塗装性の低下を招くことがない。より好ましくは0.1〜3.0g/m2である。絶縁被膜は鋼板の両面に形成することが好ましいが、目的によっては片面のみでも構わない。また、目的によっては片面のみ施し、他面は他の絶縁被膜としても構わない。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
乾燥後の絶縁被膜の成分が表1−1,表1−2に示す割合になるように、B化合物および板状シリカを含むSi化合物、さらには硝酸化合物、シランカップリング剤、リン化合物や添加剤を、有機樹脂と共に脱イオン水に添加し、処理液とした。なお、脱イオン水量に対する各成分合計の固形分濃度は50g/lとした。
これらの各処理液を、板厚:0.5mmの電磁鋼板〔A230(JIS C 2552(2000))〕から幅:150mm、長さ:300mmの大きさに切り出した試験片の表面にロールコーターで塗布し、熱風焼付け炉により表1−1,表1−2に示す焼付け温度(到達鋼板温度)で焼付けした後、常温に放冷して、絶縁被膜を両面に形成した。
かくして得られた半有機絶縁被膜付き電磁鋼板の耐食性について調べた結果を、表2に示す。
さらに、窒素雰囲気中にて750℃、2時間の歪取り焼鈍を行った後のスティッキング性、TIG溶接性、打抜性、耐水性および歪取り焼鈍後の外観について調査を行い、得られた結果を表2に併記する。
なお、B化合物の種類は表3に、Si化合物の種類は表4に、リン化合物および硝酸化合物の種類は表5に、シランカップリング剤の種類は表6に、有機樹脂の種類は表7に、それぞれ示したとおりである。
また、各特性の評価方法は次のとおりである。
<耐食性>
供試材に対して湿潤試験(50℃、相対湿度≧98%)を行い、48時間後の赤錆発生率を目視で観察し、面積率で評価した。
(判定基準)
◎:赤錆面積率 15%未満
○:赤錆面積率 15%以上、50%未満
△:赤錆面積率 50%以上、70%未満
×:赤錆面積率 70%以上
<スティッキング性>
50mm角の供試材10枚を重ねて荷重:20kPa(200g/cm2)をかけながら窒素雰囲気下で750℃,2時間の条件にて焼鈍を行った。ついで、供試材(鋼板)上に500gの分銅を落下させ、5分割するときの落下高さを調査した。
(判定基準)
◎:10cm以下
○:10cm超、15cm以下
△:15cm超、30cm以下
×: 30cm超
<TIG溶接性>
供試材を30mmの厚みになるように9.8MPa(100kgf/cm2)の圧力にて積層し、その端面部(長さ30mm)に対して、次の条件でTIG溶接を実施した。
・溶接電流:120A
・Arガス流量:6リットル/min
・溶接速度:10、20、30、40、50、60、70、80、90、100cm/min
(判定基準)
ブローホールの数が1ビードにつき5個以下を満足する溶接速度の大小で優劣を判定した。
◎:60cm/min以上
○:40cm/min以上、60cm/min未満
△:20cm/min以上、40cm/min未満
×:20cm/min未満
<打抜性>
供試材に対して、15mmφスチールダイスを用いて、かえり高さが50μmに達するまで打ち抜きを行い、その打ち抜き数で評価した。
(判定基準)
◎:120万回以上
○:70万回以上、120万回未満
△:30万回以上、70万回未満
×:30万回未満
<耐水性>
供試材を、沸騰水蒸気中に30分暴露させ、外観変化を観察した。
(判定基準)
◎:変化なし
○:目視で若干の変色が認められる程度
△:目視で変色がはっきり認められる程度
×:被膜溶解
<歪取り焼鈍後の外観>
供試材に対して、N2雰囲気中にて750℃,2時間保持後、常温まで冷却した鋼板の外観を目視観察した。
(判定基準)
◎:図1(a)に示すように、焼鈍後の外観が完全に均一な場合
○:図1(b)に示すように、焼鈍後の外観にムラが認められる場合
△:図1(c)に示すように、焼鈍後の外観に斑模様が認められる場合
×:図1(d)に示すように、焼鈍後の外観に顕著な斑模様が認められる場合
Figure 0005830833
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表2に示したとおり、本発明に従い得られた半有機絶縁被膜付き電磁鋼板はいずれも、耐食性に優れるのはいうまでもなく、歪取り焼鈍後のスティッキング性、TIG溶接性、打抜性および耐水性に優れ、さらには歪取り焼鈍後の外観にも優れていた。
これに対し、B化合物が下限に満たない比較例1は、耐食性に劣り、B化合物が上限を超えた比較例2は、スティッキング性に劣っていた。
また、Si化合物が下限に満たない比較例3は、耐食性に劣り、Si化合物が上限を超えた比較例4は、歪取り焼鈍後の外観の均一性に劣っていた。
さらに、硝酸化合物やシランカップリング剤およびリン化合物が適正範囲を超えて多量に含有させた比較例5〜11は、いずれも耐水性に劣る結果となった。
なお、Si化合物として、板状シリカを含まないコロイダルシリカのみを用いた比較例12は、耐食性および打抜性の点で発明例に及ばなかった。

Claims (4)

  1. 表面に、無機成分と有機樹脂からなる半有機絶縁被膜をそなえる電磁鋼板であって、該無機成分としてB化合物および板状シリカを含むSi化合物をそれぞれ、乾燥被膜(被膜中の無機成分としてリン酸塩を除く)中における比率で、B化合物(B23換算):0.1〜10質量%、板状シリカを含むSi化合物(SiO2換算):30〜80質量%含有し、残部が有機樹脂であることを特徴とする半有機絶縁被膜付き電磁鋼板。
  2. 前記板状シリカの平均粒子径が10〜600nmであることを特徴とする請求項1に記載の半有機絶縁被膜付き電磁鋼板。
  3. 前記板状シリカのアスペクト比(長さ/厚み比)が2〜400であることを特徴とする請求項1または2に記載の半有機絶縁被膜付き電磁鋼板。
  4. 前記半有機絶縁被膜中に、さらに硝酸化合物(NO3換算)およびシランカップリング剤(固形分換算)のうちから選んだ一種または二種を、乾操被膜中における比率で30質量%以下含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の半有機絶縁被膜付き電磁鋼板。
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