JP2023040916A - 絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造ラインを模擬したより厳しい条件での耐粉吹き性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法を提供する。【解決手段】Si化合物、Al化合物、及びP化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機物を主成分として含み、前記無機物の各々をSiO2換算、Al2O3換算、及びPO4換算した合計量100質量部に対し、Zr化合物をZrO2換算で10~90質量部含む表面処理液を用意し、前記表面処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、最高到達板温が240~320℃となるように加熱乾燥して、前記電磁鋼板の表面に片面当たりの付着量が0.05~2g/m2の絶縁被膜を形成する、絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、無機物を主成分としたクロム化合物を含有しない絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法に関する。
モータや変圧器等に使用される電磁鋼板の絶縁被膜には、層間抵抗だけでなく、加工成形時の利便性、及び保管や使用時の安定性など種々の特性が要求される。電磁鋼板は多様な用途に使用されるため、その用途に応じて種々の絶縁被膜の開発が行われている。電磁鋼板に打抜き加工、せん断加工、曲げ加工などを施すと残留歪みにより磁気特性が劣化するので、劣化した磁気特性を回復させるため、750~850℃程度の温度で歪取り焼純を行う場合が多い。この場合には、絶縁被膜が歪取り焼鈍に耐え得るものでなければならない。
電磁鋼板の絶縁被膜は、大別して
(1)溶接性、耐熱性を重視し、歪取り焼鈍に耐える無機被膜、
(2)打抜性、溶接性の両立を目指し歪取り焼鈍に耐える樹脂含有の無機被膜(すなわち、半有機被膜)、
(3)特殊用途で歪取り焼鈍不可の有機被膜
の3種に分類されるが、汎用品として歪取り焼鈍に耐えるのは、上記(1),(2)に示した無機成分を含む被膜であり、これらは両者ともクロム化合物を含むものが一般的であった。特に、(2)のタイプの有機樹脂を含有したクロム酸塩系絶縁被膜は、1コート1ベークの製造で無機系絶縁被膜に比較して打抜性を格段に向上させることができるので広く利用されている。
しかし、昨今、環境意識が高まり、電磁鋼板の分野においてもクロム化合物を含まない絶縁被膜を有するクロメートフリーの製品が需要家などから望まれている。
そこで、クロム化合物を含まない絶縁被膜付き電磁鋼板が開発されている。特許文献1には、「Si化合物、Al化合物、P化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機物を主成分とする絶縁被膜を有する電磁鋼板において、該絶縁被膜が、該無機物の各々をSiO換算、Al換算、PO換算し合計した量で100質量部に対し、Zr化合物をZrO換算で10~90質量部含有する、耐食性、耐粉吹き性、および耐ベタツキ性に優れたクロムフリー絶縁被膜付き電磁鋼板」が記載されている。
特開2005-268630号公報
「耐粉吹き性」とは、製造ラインでテンションパッドが絶縁被膜を擦った際の粉吹き発生の少なさ(絶縁被膜の剥がれにくさ)である。特許文献1に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板は、耐粉吹き性に優れるとされている。しかしながら、特許文献1に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板は、実際の製造ラインでは依然として粉吹きのトラブルが顕在化しており、製造ラインを模擬したより厳しい条件での耐粉吹き性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板が求められていた。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、製造ラインを模擬したより厳しい条件での耐粉吹き性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、Si化合物、Al化合物、及びP化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機物を主成分として含み、所定量のZr化合物を含む表面処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、特定の範囲の最高到達板温(PMT:Peak Metal Temperature)の条件下で加熱乾燥して、特定の範囲の付着量の絶縁被膜を形成することによって、製造ラインを模擬したより厳しい条件での耐粉吹き性が飛躍的に向上するとの知見を得た。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1]Si化合物、Al化合物、及びP化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機物を主成分として含み、前記無機物の各々をSiO換算、Al換算、及びPO換算した合計量100質量部に対し、Zr化合物をZrO換算で10~90質量部含む表面処理液を用意し、
前記表面処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、最高到達板温が240~320℃となるように加熱乾燥して、前記電磁鋼板の表面に片面当たりの付着量が0.05~2g/mの絶縁被膜を形成する
絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
[2]前記最高到達板温が260~300℃である、上記[1]に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
[3]前記Zr化合物が水溶性である、上記[1]又は[2]に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
[4]前記表面処理液が、前記無機物の各々と前記Zr化合物とをSiO換算、Al換算、PO換算、及びZrO換算した合計量100質量部に対し、さらに樹脂を50質量部以下含む、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法によれば、製造ラインを模擬したより厳しい条件での耐粉吹き性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板を製造することができる。
最高到達板温(PMT)が耐粉吹き性に与える影響を示すグラフである。
本発明の一実施形態による絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法は、Si化合物、Al化合物、及びP化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機物を主成分として含み、所定量のZr化合物を含み、任意でさらに所定量の樹脂を含む表面処理液を用意する工程と、前記表面処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、最高到達板温(PMT)が所定の範囲となるように加熱乾燥して、前記電磁鋼板の表面に所定付着量の絶縁被膜を形成する工程と、を有する。
[電磁鋼板]
電磁鋼板(電気鉄板)は、比抵抗を変化させて所望の磁気特性を得るために調整されたどのような組成の鋼板でもよく、特に制限されない。また、絶縁被膜が形成される電磁鋼板の表面は、未処理のままでもよく、あるいは前処理されていてもよい。前処理は任意であるが、アルカリなどによる脱脂処理、および、塩酸、硫酸、リン酸などの酸洗処理が好ましく適用される。
[Si化合物]
Si化合物としては、コロイダルシリカが好ましく適用される。コロイダルシリカは、SiOを主成分とする無機コロイドでありアモルファス状であることが多い。粒子径は、好ましくは20nm以下、さらに好ましくは10nm以下であり、小さいほど良好な被膜が形成されるため、下限は特に限定されない。超微細な粒子は、その表面積が大きいことにより、他の成分との相互作用が高くなって被膜の強さが増すものと考えられる。ただし、粒子径が小さくなるに従い、シリカ粒子同士および他成分との間で凝集が起こりやすくなるため、コロイダルシリカの濃度を低くしなければならなくなる。これらの点を考慮して実用に耐え得る粒子径に設定することができる。平均粒子径は、BET法(吸着法による比表面積から換算)により測定できる。また、電子顕微鏡写真から実測した平均値で代用することも可能である。
[Al化合物]
Al化合物としては、水酸基および有機酸からなるAl化合物および/またはその脱水反応物が好ましく適用され、例えば、アルミナゾルを挙げることができる。水系の表面処理液を鋼板に塗布焼付けするため、Al化合物は、水に溶解またはコロイドや懸濁状態で分散できるものであることが好ましい。また、アルミナの形状は、特性上問題なければ羽毛状、球状など、どのようなものでも構わない。
[P化合物]
P化合物としては、リン酸塩が適用でき、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸鉄、リン酸亜鉛などを挙げることができる。なお、これらのP化合物のうちリン酸アルミニウムは、アルミニウムを含有する化合物であるが、本発明において、その含有量は「P化合物」としてのみ計上し、「Al化合物」としては計上しないものとする。
Si化合物、Al化合物、及びP化合物は、十分な被膜特性が得られれば、単独または複合して用いることができる。具体的な例としては、シリカゾルとアルミナゾル、リン酸塩とシリカゾル、リン酸塩とアルミナゾル、シリカゾルとアルミナゾルとリン酸塩の複合系を挙げることができる。
[Zr化合物]
本発明では、Zr化合物を特定量含有することが必要である。適切な量としては、Si化合物、Al化合物、及びP化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機物を、各々、SiO換算、Al換算、PO換算し、それらを合計した量の100質量部に対して、10~90質量部であり、好ましくは15~80質量部であり、さらに好ましくは20~70質量部である。Zr化合物は、3つ以上、一般には4つの結合手を持つので、架橋反応を起こすことでクロム化合物を使用しなくても強靭な被膜を形成することができるが、特に、Si化合物、Al化合物、及びP化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機物を主成分として、Zr化合物を該特定含有量で含有した場合においてのみ、大きな効果が得られるからである。
Zr化合物が単体または主成分とした場合では、結合手が多いためネットワークがうまく形成されず、却って脆弱な被膜になり耐食性も劣ると考えられ、逆に添加量が少ない場合には、当然ながらその効果が発揮されない。つまり、他の特定の無機物の存在があって初めて、その効果を発揮できるものと考えられる。
結合の形態としては、酸素を介してAl-O-Zr-O-Al、Si-O-Zr-O-Si、P-O-Zr-O-Pといった結合状態になっていると考えられる。また、有機樹脂に対しても、カルボキシル基、水酸基などに対してCO-O-Zr-O-OC、C-O-Zr-O-Cといった結合を取っていると考えられる。シリコーンなどの樹脂に対しても同様の効果があると考えられる。
つまり、Si、Al、Pからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、Zr元素とを含有する複合酸化物被膜が形成されていると考えられる。
Zr化合物としては、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、リン酸ナトリウムジルコニウム、六フッ化ジルコニウムカリウム、テトラノルマルプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシステアレートなどを挙げることができ、主成分となる無機物との相性によって選択できる。これらは、1種または2種以上混合して用いることができる。なお、これらのZr化合物のうちリン酸ジルコニウム及びリン酸ナトリウムジルコニウムは、リンを含有する化合物であるが、本発明において、その含有量は「Zr化合物」としてのみ計上し、「P化合物」としては計上しないものとする。
Zr化合物は、ペースト状の水に不溶性のものより、水溶性のものが好ましい。上記の結合が強固となり、より緻密な被膜を形成するからである。
[樹脂]
表面処理液中に、Si化合物、Al化合物、及びP化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機物を、各々、SiO換算、Al換算、PO換算し、それらとZr化合物をZrO換算した量との合計した量の100質量部に対して、50質量部以下で樹脂を含ませることが好ましい。樹脂を含まなくても実用上十分な被膜を形成できるが、樹脂を少量添加することにより、さらに耐食性を向上させることができる。これは、無機成分のみでは造膜時などの収縮によりクラックが入りやすいが、樹脂添加により収縮応力が緩和されるためと考えられる。樹脂を添加した場合、240~320℃の低温焼付で製造した場合においても、耐食性に優れる。
このような効果を得るためには、Si化合物、Al化合物、及びP化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機物を、各々、SiO換算、Al換算、PO換算し、それらとZr化合物をZrO換算した量との合計した量の100質量部に対して、樹脂を10質量部以上含ませることが好ましい。一方、50質量部を超えると、歪取り焼鈍後の被膜が脆弱となり、剥離しやすくなる傾向があるので、50質量部以下とする。より好ましい上記で規定される樹脂量は10~40質量部である。
樹脂成分は特に限定されないが、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等の1種または2種以上の水性樹脂(エマルジョン、ディスパーション、水溶性)であることが好ましい。
[クロムフリー]
本発明において、表面処理液及び絶縁被膜は、クロムを含まない。なお、「クロムフリー」又は「クロムを含まない」とは、意図的にクロムを含有させることがないことを意味し、クロムを全く含有しないことを意味しない。つまり、クロムが原料等から不純物として混入すること等は、前記無機物の各々と前記Zr化合物とをSiO換算、Al換算、PO換算、ZrO換算し合計した量で100質量部に対し、混入等したCr化合物がCrO換算した量で0.1質量部以下であれば、許容される。
[その他の添加剤]
被膜の性能や均一性を一層向上させるために、表面処理液及び絶縁被膜に、必要に応じて、界面活性剤、防錆剤、ホウ酸、潤滑剤、酸化防止剤等の添加剤を配合してもよい。この場合、十分な被膜特性を維持するために、乾燥後の被膜固形分重量に対して10質量%程度以下とすることが好ましい。
[絶縁被膜の形成方法]
上記の表面処理液を電磁鋼板の表面に塗布して焼付けることにより絶縁被膜を形成する。絶縁被膜の形成方法は、一般工業的に用いられるロールコーター、フローコーター、スプレー、ナイフコーター等種々の方法が適用可能である。焼付け方法についても、通常実施されるような熱風式、赤外式、誘導加熱式等の通常の方法が適用可能である。
本発明において、表面処理液の加熱乾燥は、PMTが240~320℃となるように行うことが重要であり、PMTが260~300℃となるように行うことがより好ましい。PMTが240℃未満の場合には、耐粉吹き性が低下する傾向がある。これは、Zr化合物と他の無機化合物(Si化合物、Al化合物、及びP化合物)との結合反応(Al-O-Zr-O-Al、Si-O-Zr-O-Si、P-O-Zr-O-P)が十分に進行せず、被膜強度が脆化しているためだと考えられる。他方で、PMTが320℃を超える場合には、造膜時に形成されるクラック量が増大し、摺動により被膜が剥離しやすくなるために、やはり耐粉吹き性が劣化する。また、被膜が有機樹脂を含有する場合には、320℃を超えるPMTでは、樹脂の分解が始まり、被膜剥離量が増加した。
[絶縁被膜の付着量]
絶縁被膜の付着量は、片面当たり0.05~2g/mである。付着量が0.05g/m未満の場合、耐食性ばかりか絶縁性が不足する傾向があり、付着量が2g/m超えの場合、被膜剥離量が増加し、耐粉吹き性が低下する。片面当たりの付着量は、より好ましくは0.1~1.0g/mである。付着量、即ち、被膜固形分重量は、アルカリ剥離による被膜除去後の重量減少から測定することができる。絶縁被膜は、鋼板の両面にあることが好ましいが、目的によっては片面のみでも構わない。
表1に示す種類の主剤(Si化合物、Al化合物、及びP化合物の少なくとも一種)、Zr化合物、及び樹脂を、表1に示す質量部(換算量)となるように脱イオン水に添加し、各表面処理液を調製した。ここで、脱イオン水量に対してSiO換算、Al換算、PO換算、及びZrO換算の合計量が50g/lとなるように各表面処理液を調製した。これらの各表面処理液を、板厚0.5mmの電磁鋼板から幅150mm、長さ300mmの大きさに切り出した試験片の表面にロールコーターで塗布し、プロパンガス直火により、表1に示すPMTで焼付けした後、常温で放冷し、表1に示す付着量の絶縁被膜を形成した。
[従来法による耐粉吹き性の評価]
試験条件:フェルト接触面幅20×10mm、荷重:2kg/cm(0.2MPa)、被膜表面を400m単純往復。試験後の擦り跡を観察し、被膜の剥離状態および粉吹き状態を評価した。
(判定基準)
◎:ほとんど擦り跡が認められない
○:若干の擦り跡および若干の粉吹が認められる程度
△:被膜の剥離が進行し擦り跡および粉吹きがはっきりわかる程度
×:地鉄が露出するほど剥離し粉塵が甚大
[厳しい条件での耐粉吹き性の評価(X-Yステージ法)]
従来の耐粉吹き性試験では、実際の製造ラインでの粉吹き現象を上手く再現することができていなかった。そこで、より製造ラインでの状況を模したX-Yステージ法を用いて、耐粉吹き性を評価した。
試験条件:フェルト接触面幅15mm×15mm、荷重:0.087MPa(0.89kgf/cm)、絶縁被膜の表面をX-Yプロッターに取り付けたフェルトで摩擦させながら、X軸方向に400mm、Y方向に15mm移動という動きを連続的に行い、一筆書きでフェルトを36m移動させた。移動速度は150mpmとした。試験後のフェルトを蛍光X線で分析し、絶縁被膜成分であるZrのフェルトへの付着量を被膜剥離量とし、耐粉吹き性を評価した。なお、Zr化合物を含有しない比較例のうち、比較例10,16では、Siのフェルトへの付着量を被膜剥離量とし、比較例21,22では、Alのフェルトへの付着量を被膜剥離量として、耐粉吹き性を評価した。
(判定基準)
◎:被膜剥離量が0.10g/m未満
○:被膜剥離量が0.10g/m以上、0.15g/m未満
△:被膜剥離量が0.15g/m以上、0.20g/m未満
×:被膜剥離量が0.20g/m以上
Figure 2023040916000002
Figure 2023040916000003
Figure 2023040916000004
図1は、主成分がアルミナゾル60質量部、シリカゾル40質量部からなり、Zr化合物(酢酸Zr由来)を30質量部、エポキシ樹脂を30質量部含有する水準(実施例9~13及び比較例4~9)における、PMTに対する被膜剥離量を示すグラフである。図1から明らかなとおり、PMTが240~320℃の範囲で良好な耐粉吹き性を示し、PMTが260~300℃の範囲で特に良好な耐粉吹き性を示した。
本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法によれば、製造ラインを模擬したより厳しい条件での耐粉吹き性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板を製造することができる。

Claims (4)

  1. Si化合物、Al化合物、及びP化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機物を主成分として含み、前記無機物の各々をSiO換算、Al換算、及びPO換算した合計量100質量部に対し、Zr化合物をZrO換算で10~90質量部含む表面処理液を用意し、
    前記表面処理液を電磁鋼板の表面に塗布し、最高到達板温が240~320℃となるように加熱乾燥して、前記電磁鋼板の表面に片面当たりの付着量が0.05~2g/mの絶縁被膜を形成する
    絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記最高到達板温が260~300℃である、請求項1に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記Zr化合物が水溶性である、請求項1又は2に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記表面処理液が、前記無機物の各々と前記Zr化合物とをSiO換算、Al換算、PO換算、及びZrO換算した合計量100質量部に対し、さらに樹脂を50質量部以下含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
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