JP2005227518A - 異常診断方法、状態判定装置、画像形成装置、管理装置及び管理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 画像形成装置の状態に関連した複数種類の情報の複数組のデータの取得を、状態判定対象の画像形成装置を含む同じ機種の複数の画像形成装置について、その複数の画像形成装置の製造後の稼働テスト中に行う。この複数の画像形成装置の稼働テスト中に取得した複数組のデータのすべてを含む基準データ群を、状態判定用の指標値を算出する指標値算出式を決定するための初期の基準データ群として用いる。また、納品された画像形成装置の使用開始後、基準データ群用のデータの取得及び追加を所定の更新タイミングで行うのが好ましい。このデータの取得及び追加は、画像形成装置の利用者による使用条件の影響を受けやすい情報について取得したデータからなる個別データ群についてのみ行ってもよい。
【選択図】 図1
Description
そこで、本出願人は、異常の発生時期を予測することができる異常発生予測方法(異常診断方法)を提案した(特願2003−184929号)。この方法は、画像形成装置の状態と関連がある複数種類の情報のデータを取得し、これらの複数種類の情報のデータから、装置の状態変化に応じて変化する指標値を算出する。より具体的には、状態判定対象の画像形成装置が正常状態にあるとみなされるときに上記複数種類の情報のデータを予め複数組取得し、これらのデータからなる基準データ群(母集団)から、その後の装置の状態変化に応じて値が変化する上記指標値を算出するための指標値算出式を決定しておく。そして、この指標値算出式を用いて、状態判定対象の画像形成装置について取得した上記複数種類の情報のデータに対する上記指標値を算出する。このように算出した指標値の時間変化は、画像形成装置の状態の時間変化に対応するので、この指標値が初期の正常状態のときの値から一定量ずれると、その画像形成装置が故障等の何らかの異常状態に至っているものと推測される。本方法は、この指標値の時間変化のデータに基づいて、その後の画像形成装置の状態の変化を判定するため、故障等の異常状態の発生の有無の診断だけでなく、その異常状態の発生時期までも予測する診断も可能となる。このような異常発生の診断が可能になることで、メンテナンスの緊急度を判断して適正な時期にメンテナンスが可能になる。
しかしながら、上記提案の方法のような異常診断方法を、実際に利用者に納品する画像形成装置について採用する場合、次のような課題が残されていた。この異常診断方法では、上記指標値算出式を決定するために、正常状態にあるとみなされる画像形成装置について複数種類の情報のデータを予め複数組取得して基準データ群を用意しておく必要がある。しかも、本願発明者が実際の画像形成装置を用いて異常診断の実験を行ったところ、状態判定及び異常診断の信頼性の高い指標値を算出できる指標値算出式を決定する上で、上記基準データ群をいかに構築するかが重要であることがわかった。例えば、上記基準データ群を構成するデータの個数が少なかったり、機種が異なる画像形成装置について取得したデータが含まれていたりすると、装置状態の誤判定や異常の誤診断をする場合があることがわかった。特に、新機種の画像形成装置の量産開始時には、同じ機種の画像形成装置について取得した十分な量のデータからなる基準データ群を確保することが難しく、納品後に信頼性の高い異常診断を速やかに開始できない場合があるという課題があった。
なお、かかる課題は、上記画像形成装置について上記異常診断方法を適用する場合に限らず、画像形成装置以外の他の電子機器について上記異常診断方法を適用する場合にも同様に生じるものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の異常診断方法において、上記状態判定対象の電子機器と同じ機種の電子機器は、該状態判定対象の電子機器と同じ製造ロットに含まれる電子機器であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の異常診断方法において、上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器について上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、該取得したデータを上記基準データ群に追加して該基準データ群を更新するステップとを有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の異常診断方法において、更新前の上記基準データ群に基づいて決定した上記指標値算出式と上記取得したデータとに基づいて上記指標値を算出し、その指標値が予め設定した所定範囲から外れている場合は、該取得したデータを上記基準データ群に追加しないことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3又は4の異常診断方法において、上記基準データ群を更新していくとき、更新後の基準データ群に基づいて決定した上記指標値算出式と該基準データ群を構成する初期の特定の1組のデータとに基づいて上記指標値を算出し、その指標値の変化量が予め設定した所定範囲内に所定回数連続して入った場合は、その後の基準データ群の更新を停止することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1又は2の異常診断方法において、上記基準データ群は、上記複数種類の情報のうち各電子機器の利用者による使用条件の影響を受けやすい情報について取得したデータからなる個別データ群と、それ以外の情報について取得したデータからなる共通データ群とにより構成され、上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器について該個別データ群を構成するデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、該取得したデータを該個別データ群に追加して該個別データ群を更新するステップとを有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の異常診断方法において、上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器と同じ機種の他の複数の電子機器について上記共通データ群を構成するデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、該取得したデータを該共通データ群に追加して該共通データ群を更新するステップとを有することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の異常診断方法において、同じ機種の複数の電子機器それぞれについて取得した上記個別データ群及び上記共通データ群のデータを各電子機器から通信回線を介して異常診断用の管理装置に送信するステップと、該管理装置において、該複数の電子機器それぞれについて該個別データ群のデータを蓄積し、該複数の電子機器のすべてについて該共通データ群のデータを蓄積し、該個別データ群と該共通データ群とに基づいて、各電子機器に対応する上記指標値算出式を決定するステップと、該指標値算出式を特定するための情報を該管理装置から通信回線を介して各電子機器に送信するステップとを有することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1又は2の異常診断方法において、同じ機種の複数の電子機器それぞれの製造後の稼働テスト中に、各電子機器において上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、各電子機器で取得したデータを各電子機器から通信回線を介して異常診断用の管理装置に送信するステップと、該管理装置において、各電子機器についてデータを蓄積した該基準データ群に基づいて上記指標値算出式を決定するステップと、該指標値算出式を特定するための情報を該管理装置から通信回線を介して各電子機器に送信するステップとを有することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1又は2の異常診断方法において、同じ機種の複数の電子機器それぞれを利用者が使用開始した後、各電子機器において上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、各電子機器で取得したデータを各電子機器から通信回線を介して異常診断用の管理装置に送信するステップと、該管理装置において、各電子機器についてデータを蓄積した該基準データ群に基づいて上記指標値算出式を決定するステップと、該指標値算出式を特定するための情報を該管理装置から通信回線を介して各電子機器に送信するステップとを有することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかの異常診断方法において、上記電子機器において上記指標値に基づいて該電子機器の異常状態の発生が予測された場合に、その予測結果を該電子機器から通信回線を介して異常診断用の管理装置に送信するステップを有することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至11のいずれかの異常診断方法において、上記指標値が、MTS(Maharanobis Taguchi System)法で算出するマハラノビスの距離の値であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1乃至12のいずれかの異常診断方法において、上記電子機器が画像形成装置であることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項14の状態判定装置において、上記状態判定の結果に基づいて、上記状態判定対象の電子機器の異常発生を診断する異常発生診断手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項14又は15の状態判定装置において、上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器について上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得し、該取得したデータを上記データ記憶手段に記憶している基準データ群に追加して該基準データ群を更新するように、上記データ取得手段及び上記データ記憶手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項16の状態判定装置において、上記制御手段は、更新前の上記基準データ群に基づいて決定した上記指標値算出式と上記取得したデータとに基づいて上記指標値を算出し、その指標値が予め設定した所定範囲から外れている場合は、該取得したデータを上記基準データ群に追加しないように制御することを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項16又は17の状態判定装置において、上記制御手段は、上記基準データ群を更新していくとき、更新後の基準データ群に基づいて決定した上記指標値算出式と該基準データ群を構成する初期の特定の1組のデータとに基づいて上記指標値を算出し、その指標値の変化量が予め設定した所定範囲内に所定回数連続して入った場合は、その後の基準データ群の更新を停止するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項14又は15の状態判定装置において、上記データ記憶手段は、上記基準データ群を、上記複数種類の情報のうち各電子機器の利用者による使用条件の影響を受けやすい情報について取得したデータからなる個別データ群と、それ以外の情報について取得したデータからなる共通データ群とに分けて記憶可能なものであり、上記制御手段は、上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器について該個別データ群を構成するデータを所定の更新タイミングで取得し、該取得したデータを該個別データ群に追加して該個別データ群を更新するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項19の状態判定装置において、上記状態判定対象の電子機器と同じ機種の他の複数の電子機器との間で通信回線を介して通信するための通信手段を備え、上記制御手段は、上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該複数の電子機器から上記共通データ群を構成するデータを所定の更新タイミングで受信し、該受信したデータを該共通データ群に追加して該共通データ群を更新するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項14乃至20のいずれかの状態判定装置において、上記指標値が、MTS(Maharanobis Taguchi System)法で算出するマハラノビスの距離の値であることを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、請求項14乃至21のいずれかの状態判定装置において、上記電子機器が画像形成装置であることを特徴とするものである。
また、請求項24の発明は、請求項23の画像形成装置において、異常診断用の管理装置との間で通信回線を介して通信するための通信手段と、該画像形成装置の製造後の稼働テスト中に、上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得し、該取得したデータを該管理装置に送信するように、上記状態判定装置及び該通信手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項25の発明は、請求項24の画像形成装置において、上記制御手段は、該画像形成装置を利用者が使用開始した後、上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得し、該取得したデータを該管理装置に送信するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項26の発明は、請求項24又は25の画像形成装置において、上記制御手段は、上記基準データ群に基づいて該画像形成装置について決定された上記指標値算出式を特定するための情報を、上記管理装置から受信するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項27の発明は、請求項24乃至26のいずれかの画像形成装置において、上記制御手段は、上記状態判定装置において上記指標値に基づいて該画像形成装置の異常状態の発生が予測された場合に、その予測結果を上記管理装置に送信するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項29の発明は、請求項28の管理装置において、上記制御手段は、各電子機器を利用者が使用開始した後に所定の更新タイミングで取得された上記複数種類の情報のデータを、該電子機器又は上記状態判定装置から通信回線を介して受信し、該受信したデータを該基準データ群に追加して該基準データ群を更新するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項30の発明は、請求項28又は29の管理装置において、上記制御手段は、各電子機器についてデータを蓄積した上記基準データ群に基づいて、各電子機器の状態判定に用いる指標値を算出するための指標値算出式を決定し、該指標値算出式を特定するための情報を通信回線を介して該電子機器又は上記状態判定装置に送信するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項31の発明は、請求項30の管理装置において、上記指標値が、MTS(Maharanobis Taguchi System)法で算出するマハラノビスの距離の値であることを特徴とするものである。
また、請求項32の発明は、請求項28乃至31のいずれかの管理装置において、上記制御手段は、各電子機器において上記指標値に基づき得られた該電子機器の異常診断結果を、該電子機器又は上記状態判定装置から通信回線を介して受信するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項33の発明は、請求項28乃至32のいずれかの管理装置において、上記電子機器が画像形成装置であることを特徴とするものである。
また、請求項34の発明は、複数の電子機器における異常診断を通信回線を介して一元的に管理する管理システムであって、請求項28乃至33のいずれかの管理装置と、該管理装置との間で通信回線を介して通信可能な管理対象の複数の電子機器又は該電子機器の状態を判定する状態判定装置とにより構成したことを特徴とするものである。
また、初期の基準データ群を構成するデータの取得を電子機器の製造後の稼働テスト中に行っているので、その稼働テストが完了した後の電子機器を利用者に納品する前に、初期の基準データ群に必要な十分な量のデータを確保できる。しかも、製造後の稼働テスト中の電子機器は異常発生の確率が低いため、初期の基準データ群が、より正常状態に近い仮想的な電子機器に対応した適正なものとなる。
以上のように、電子機器を利用者に納品する前の稼働テスト中に、正常状態の仮想的な電子機器に対応した適正な初期の基準データ群を効率的に得ることができる。従って、新機種の電子機器の量産開始時においても、その初期の基準データ群を電子機器に組み込んで利用者に納品し、その納品後の電子機器について信頼性の高い異常診断を速やかに開始できるようになるという効果がある。
図1は本発明に係る異常診断方法を実行することができる状態判定装置を含む画像形成装置の異常診断システムの基本的な構成を示すブロック図である。
状態判定装置1は、データ取得部(データ取得手段)2と、データ記憶部(データ記憶手段)3と、算出式決定部(データ算出式決定手段)4、指標値算出部(指標値算出手段)5と、判定部(状態変化判定手段)6を備えている。
データ取得部2は、電子機器としての画像形成装置の状態に関する複数種類の情報のデータを取得する。データ記憶部3は、状態判定対象の画像形成装置について取得した複数種類の情報の複数組のデータから構成される基準データ群を記憶する。算出式決定部4は、データ記憶部3に記憶されている基準データ群に基づいて、画像形成装置の状態判定に用いる指標値を算出するための指標値算出式を決定する。指標値算出部5は、上記指標値算出式と状態判定対象の画像形成装置について取得した複数種類の情報のデータとに基づいて単一の指標値を算出する。判定部6は、指標値算出部5で算出した指標値と予め設定した基準値との比較結果に基づいて、状態判定対象の画像形成装置の状態を判定する。指標値算出部5で算出した指標値の時間変化のデータに基づいて、その後の画像形成装置の状態の変化を判定してもよい。指標値算出部5で算出した指標値の時間変化のデータや、判定部6で判定された判定結果のデータは、画像形成手段としての画像形成システム8内の各装置を制御する制御手段としてのメインコントローラ7で用いたり、ディスプレイ等の表示手段や外部装置に出力したりすることができる。
上記メインコントローラ7は、CPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース部などにより構成されている。
上記データ記憶部3は、RAMやROM等の電子メモリ、磁気ディスク(FD,HD)や光ディスク等の外部記憶装置等により構成することができる。
上記算出式決定部4、指標値算出部5及び判定部6は、専用のLSI等で構成した装置としてメインコントローラ7とは別に設けてもいいし、上記メインコントローラ7を構成するCPU等のハードウェア資源を兼用して構成してもよい。また、状態判定装置1における各部を制御する制御手段しては、上記メインコントローラ7を兼用してもいいし、独立の制御部を設けてもよい。
上記センシング情報は、画像形成装置の内部あるいは周辺に設けられた各種センサにより得られる情報である。このセンシング情報としては、装置各部の寸法、装置内にある移動体の速度、時間(タイミング)、重量、電流値、電位、振動、音、磁力、光量、温度、湿度などがある。
上記制御パラメータ情報は、装置の制御の結果として蓄積されている情報一般である。この制御パラメータ情報としては、ユーザーの操作履歴、消費電力、消費トナー量、各種の画像形成条件設定履歴、警告履歴などがある。
上記入力画像情報は、画像データとして画像形成システム8へ入力された情報から得られるものである。この入力画像情報としては、着色画素累積数、文字部比率、ハーフトーン部比率、色文字比率、主走査方向のトナー消費分布、RGB信号(画素単位の総トナー量)、原稿サイズ、縁有り原稿、文字の種類(大きさ、フォント)などがある。
上記状態判定対象の画像形成装置における指標値の算出に先だって、その指標値の算出に用いる指標値算出式(算出方法)を決める必要がある。本実施形態では、状態判定にMTS(Maharanobis Taguchi System)法で用い、入力する複数の情報それぞれに対して互いに異なる座標軸を設定した多次元空間を定義し、その多次元空間での距離(マハラノビスの距離)として指標値を算出する。
そこで、この多次元空間を形成する基準データ群を構築するために、データ取得部2により、図1の状態判定時に取得する情報と同様な複数の情報についてデータを取得する(ステップ2-1)。このデータの取得は、画像形成装置の製造後における画像形成装置が正常に動作している稼働テスト中に所定のタイミングで複数回連続して行う。また、このデータの取得は、状態判定対象の画像形成装置を含む同じ機種の複数の画像形成装置について行う。このデータを取得する複数の画像形成装置は、同じ製造ロットの画像形成装置が好ましい。
上記データ取得部2で取得したデータはデータ記憶部3に蓄積される(ステップ2-2)。このデータ記憶部3に蓄積に蓄積された複数組のデータにより、指標値算出式の決定に用いる基準データ群が構築される(ステップ2-3)。この基準データ群に基づいて指標値算出式が決定される(ステップ2-4)。
まず、画像形成装置の状態と関連があると考えられるk個の情報のデータを、製造後の動作確認のための稼働テスト中に、画像形成装置を動作させながらn組取得する(ステップ3-1)。情報の取得については前述のとおりであり、その具体例については後述する。
表1は、稼働テスト中の複数の画像形成装置について取得した情報のデータの構成を示している。最初の条件(例えば1台目の装置に対する第1の取得タイミング)でk個のデータが得られる。それらをy11,y12,・・・,y1kとする。同様に次の条件(例えば2台目の装置に対する第1の取得タイミング)で得られるデータをy21,y22,・・・,y2k、とする。このデータ取得を繰り返すことにより、全体でn組のデータからなる基準データ群(基準データの母集団)が得られる。ここで、表1中の「k」は、取得対象の情報の種類の総数を示し、「n」は取得したデータの組の総数を示している。
また、上記指標値D2は、取得した複数の情報間の相関が正常な状態からずれている尺度を表わすものである。この指標値が大きいほど正常状態からの乖離が大きいと判断するので、故障のメカニズムが不明な場合でも、故障が発生する可能性を予見することができる。
本実施形態では、前述のように画像形成装置を納品する前の稼働テスト中に、複数種類の情報のデータを複数組取得し、初期の基準データ群を構築している。この稼働テストが完了し納品前の状態では、上記初期の基準データ群を用いることにより、信頼性の高い状態判定が可能な多次元空間すなわち上記指標値算出式の係数(yj,σj,apq)を決定することができる。ところが、画像形成装置を利用者が実際に使用する場所に設置し利用開始するとき、装置の状態が正常であるにもかかわらず、上記指標値D2が大きく変化し、異常が発生していると診断されたり異常の発生が予測されたりする場合があった。この原因としては、稼働テストを行う場所と利用者が使用する場所との間で温度や湿度等の環境条件が異なったり、納品時にオペレータが画像形成条件の設定を大きく変化させたりすることが考えられる。また、上記原因としては、利用者によっては白黒の文字画像又はカラー画像に偏って出力するなどの使用形態の偏りも考えられる。
そこで、次に示すように、利用者が画像形成装置の使用を開始した後に、その画像形成装置について複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得し、基準データ群に追加して基準データ群を更新するのが好ましい。
次に、取得したデータをデータ記憶部3に記憶されている基準データ群に追加し、基準データ群を更新する(ステップ5-3)。このデータの追加のとき、データ記憶部3に既に記憶されている古いデータ、すなわち現在の装置状態から大きく外れている初期の状態の装置について取得した古いデータを削除するようにしてもよい。この点は、後述の更新手順の例においても同様である。
次に、上記更新後の基準データ群に基づいて、上記指標値D2の算出に用いる多次元空間すなわち上記指標値算出式の係数(yj,σj,apq)を決定する(ステップ5-4)。
なお、上記基準データ群の更新タイミングは、例えば所定時間ごとや所定日数ごと等の予め定期的な更新タイミングでもいいし、所定枚数のプリントが完了するごとに設定した更新タイミングでもよい。この点は、後述の更新手順の例においても同様である。
この更新手順では、図9に示すように、利用者が画像形成装置を開始した後、所定の更新タイミングに上記個別データ群に含まれる各種情報についてのみデータを取得する(ステップ8-1、8-2)。次に、取得したデータをデータ記憶部3に記憶されている基準データ群のうち個別データ群についてのみ追加し、個別データ群を更新する(ステップ8-3)。次に、上記更新後の基準データ群に基づいて、上記指標値D2の算出に用いる多次元空間すなわち上記指標値算出式の係数(yj,σj,apq)を決定する(ステップ8-4)。
また、同じ機種の複数の画像形成装置それぞれについて取得した上記個別データ群及び上記共通データ群のデータを各画像形成装置から通信回線を介して管理装置に送信するようにしてもよい。管理装置では、複数の画像形成装置それぞれについて個別データ群のデータを蓄積し、複数の画像形成装置のすべてについて共通データ群のデータを蓄積する。そして、個別データ群と共通データ群とに基づいて、各画像形成装置に対応する上記指標値算出式を決定し、指標値算出式を特定するための情報(指標値算出式の係数yj,σj,apq)を、管理装置から通信回線を介して各画像形成装置に送信するようにしてもよい。
図10は、本実施形態に係る電子写真方式を用いた画像形成装置であるカラー複写機の構成図である。このカラー複写機の画像形成手段としての画像形成システム8は、複写装置本体であるプリンタ部100と給紙部200とスキャナ部300と原稿搬送部400とを備えている。スキャナ部300は複写装置本体100上に取り付けられ、そのスキャナ部300の上に原稿自動搬送装置(ADF)からなる原稿搬送部400が取り付けられている。また、カラー複写機内の各装置の動作を制御する制御手段としてのメインコントローラ7(図1参照)や、画像データ処理部9も備えている。このメインコントローラ7は、前述のようにCPU、RAM、ROM及びI/Oインターフェース部などにより構成されている。
また、これに伴なって、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成ユニット18でその感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cを回転して各感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
図11は、プリンタ部100の主要部拡大図である。このプリンタ部100は、中間転写ベルトとしての3つの支持ローラ14,15,16に指示された中間転写ベルト10と、中間転写ベルトに対向するよう併設され、表面にブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのうちの1色のトナー像をそれぞれ担持する潜像担持体としての4つの感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cと、感光体ドラム表面にトナー像を形成するための現像手段としての現像ユニット61Bk、61Y、61M、61Cとを備えている。更に、感光体ドラム表面から一次転写後に残留しているトナーを除去する感光体クリーニング装置63Bk、63Y、63M、63Cも備えている。上記複数の感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C、現像ユニット18Bk、18Y、18M、18C、そして、感光体クリーニング装置63Bk、63Y、63M、63Cからなる4つの画像形成ユニット18Bk、18Y、18M、18Cによってタンデム画像形成装置20が構成されている。また、支持ローラ15の向かって左に、トナー像を転写紙上に転写した後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置17を備えている。
このように、ファーブラシ90で中間転写ベルト10上のトナーを除去するが、中間転写ベルト10上にはまだ多くのトナーが残っている。それらのトナーは、ファーブラシ90に印加される(−)のバイアスにより、(−)に帯電される。これは、電荷注入または放電により帯電されるものと考えられる。次いで下流側のファーブラシ91を用いて今度は(+)のバイアスを印加してクリーニングを行うことにより、それらのトナーを除去することができる。除去したトナーは、電位差によりファーブラシ91から金属ローラ93に転移させ、ブレード97により掻き落とす。ブレード96、97で掻き落としたトナーは、不図示のタンクに回収される。これらのトナーは、後述のトナーリサイクル装置を用いて現像装置61に戻すようにしてもよい。
図12は、タンデム画像形成装置20の部分拡大図である。4つ画像形成ユニット18Bk、18Y、18M、18Cにおいては、同一の構成からなっているので、4つのカラー記号Bk、Y、M、Cを省略し1つのユニットの構成の詳細を説明する。図12に示すように、この画像形成ユニットは、感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cのまわりに、帯電手段としての帯電装置60、現像装置61、一次転写手段としての一次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64等を備えている。上記感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cは、図示例では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材を塗布し、感光層を形成したドラム状であるが、無端ベルト状であってもよい。
攪拌部66には、平行な2本のスクリュ68を設けており、2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切っている。また、現像ケース70にトナー濃度センサ71を設けている。
現像部67には、現像ケース70の開口を通して感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cと対向して現像スリーブ65を設けるとともに、その現像スリーブ65内にマグネット72を固定して設ける。また、その現像スリーブ65に先端を接近してドクタブレード73を設けている。図示例では、ドクタブレード73と現像スリーブ65間の最接近部における間隔は500μmに設定している。
現像スリーブ65上に担持された現像剤のうちトナーは、現像スリーブ65に印加する現像バイアス電圧により感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40Cに転移して、その感光体ドラム40Bk、40Y、40M、40C上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ65上に残った現像剤は、マグネット72の磁力がないところで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻る。この繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71で検知して攪拌部66にトナーが補給される。
上記構成の感光体クリーニング装置63によって、感光体ドラム40に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体ドラム40上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対してカウンタ方向に接触して回転するバイアスを印加された電界ローラ77に取り除かれる。電界ローラ77に付着したトナーは、スクレーパ78でクリーニングされる。感光体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で感光体クリーニング装置63の片側に寄せ、トナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻して再利用する。
除電装置64は、除電ランプを用いており、光を照射して感光体ドラム40の表面電位を初期化する。
このセンシング情報としては、駆動関係、記録媒体の各種特性、現像剤特性、感光体特性、電子写真の各種プロセス状態、環境条件、記録物の各種特性などが取得する対象として考えられる。これらのセンシング情報の概要を説明すると、以下のようになる。
・感光体ドラムの回転速度をエンコーダで検出したり、駆動モータの電流値を読み取ったり、駆動モータの温度を読み取る。
・同様にして、定着ローラ、紙搬送ローラ、駆動ローラなどの円筒状またはベルト状の回転する部品の駆動状態を検出する。
・駆動により発生する音を装置内部または外部に設置されたマイクロフォンで検出する。
・透過型または反射型の光センサ、あるいは接触タイプのセンサにより、搬送された紙の先端・後端の位置を読み取り、紙詰まりが発生したことを検出したり、紙の先端・後端の通過タイミングのずれや、送り方向と垂直な方向の変動を読み取る。
・同様に、複数のセンサ間の検出タイミングにより、紙の移動速度を求める。
・給紙時の給紙ローラと紙とのスリップを、ローラの回転数計測値と紙の移動量との比較で求める。
この情報は、画質やシート搬送の安定性に大きく影響する。この紙種の情報取得には以下のような方法がある。
・紙の厚みは、紙を二つのローラで挟み、ローラの相対的な位置変位を光学センサ等で検知したり、紙が進入してくることによって押し上げられる部材の移動量と同等の変位量を検知することによって求める。
・紙の表面粗さは、転写前の紙の表面にガイド等を接触させ、その接触によって生じる振動や摺動音等を検知する。
・紙の光沢は、規定された入射角で規定の開き角の光束を入射し、鏡面反射方向に反射する規定の開き角の光束をセンサで測定する。
・紙の剛性は、押圧された紙の変形量(湾曲量)を検知することにより求める。
・再生紙か否かの判断は、紙に紫外線を照射してその透過率を検出して行なう。
・裏紙か否かの判断は、LEDアレイ等の線状光源から光を照射し、転写面から反射した光をCCD等の固体撮像素子で検出して行なう。
・OHP用のシートか否かは、用紙に光を照射し、透過光と角度の異なる正反射光を検出して判断する。
・紙に含まれている水分量は、赤外線またはμ波の光の九州を測定することにより求める。
・カール量は光センサ、接触センサなどで検出する。
・紙の電気抵抗は、一対の電極(給紙ローラなど)を記録紙と接触させて直接測定したり、紙転写後の感光体や中間転写体の表面電位を測定して、その値から記録紙の抵抗値を推定する。
現像剤(トナー・キャリア)の装置内での特性は、電子写真プロセスの機能の根幹に影響するものである。そのため、システムの動作や出力にとって重要な因子となる。現像剤の情報を得ることは極めて重要である。この現像剤特性としては、例えば次のような項目が挙げられる。
・トナーについては、帯電量およびその分布、流動性・凝集度・嵩密度、電気抵抗、外添剤量、消費量または残量、流動性、トナー濃度(トナーとキャリアの混合比)を挙げることができる。
・キャリアについては、磁気特性、コート膜厚、スペント量などを挙げることができる。
・感光体上にテスト用潜像を形成し、予め決められた現像条件で現像して、形成されたトナー像の反射濃度(光反射率)を測定する。
・現像装置中に一対の電極を設け、印加電圧と電流の関係を測定する(抵抗、誘電率など)。
・現像装置中にコイルを設け、電圧電流特性を測定する(インダクタンス)。
・現像装置中にレベルセンサを設けて、現像剤容量を検出する。レベルセンサは光学式、静電容量式などがある。
感光体特性も現像剤特性と同じく、電子写真プロセスの機能と密接に関わる。この感光体特性の情報としては、感光体の膜厚、表面特性(摩擦係数、凹凸)、表面電位(各プロセス前後)、表面エネルギー、散乱光、温度、色、表面位置(フレ)、線速度、電位減衰速度、抵抗・静電容量、表面水分量などが挙げられる。このうち、画像形成装置の中では、次のような情報を検出できる。
・膜厚変化に伴う静電容量の変化を、帯電部材から感光体に流れる電流を検知し、同時に帯電部材への印加電圧と予め設定された感光体の誘電厚みに対する電圧電流特性と照合することにより、膜厚を求める。
・表面電位、温度は従来周知のセンサーで求めることができる。
・線速度は感光体回転軸に取りつけられたエンコーダーなどで検出される。
・感光体表面からの散乱光は光センサーで検出される。
電子写真方式によるトナー像形成は、周知のように、感光体の均一帯電、レーザー光などによる潜像形成(像露光)、電荷を持ったトナー(着色粒子)による現像、転写材へのトナー像の転写(カラーの場合は中間転写体または最終転写材である記録媒体での重ね合わせ、または現像時に感光体への重ね現像を行なう)、記録媒体へのトナー像の定着という順序で行なわれる。これらの各段階での様々な情報は、画像その他のシステムの出力に大きく影響を与える。これらを取得することがシステムの安定を評価する上で重要となる。この電子写真プロセス状態の情報取得の具体例としては、次のようなものが挙げられる。
・帯電電位、露光部電位は従来公知の表面電位センサにより検出される。
・非接触帯電における帯電部材と感光体とのギャップは、ギャップを通過させた光の量を測定することにより検知する。
・帯電による電磁波は広帯域アンテナにより捉える。
・帯電による発生音
・露光強度
・露光光波長
・パイルハイト(トナー像の高さ)を、変位センサで縦方向から奥行きを、平行光のリニアセンサで横方向から遮光長を計測して求める。
・トナー帯電量を、ベタ部の静電潜像の電位、その潜像が現像された状態での電位を測定する電位センサにより測定し、同じ箇所の反射濃度センサから換算した付着量との比により求める。
・ドット揺らぎまたはチリを、ドットパターン画像を感光体上においては赤外光のエリアセンサ、中間転写体上においては各色に応じた波長のエリアセンサで検知し、適当な処理をすることにより求める。
・オフセット量(定着後)を、記録紙上と定着ローラ上の対応する場所をそれぞれ光学センサで読み取って、両者比較することにより求める。
・転写工程後(PD上,ベルト上)に光学センサを設置し,特定パターンの転写後の転写残パターンからの反射光量で転写残量を判断する。
・重ね合わせ時の色ムラを定着後の記録紙上を検知するフルカラーセンサで検知する。
・画像濃度、色は光学的に検知する(反射光、透過光のいずれでもよい。色によって投光波長を選択する)。濃度及び単色情報を得るには感光体上または中間転写体上でよいが、色ムラなど,色のコンビネーションを測るには紙上の必要がある。
・階調性は、階調レベルごとに感光体上に形成されたトナー像または転写体に転写されたトナー像の反射濃度を光学センサにより検出する。
・鮮鋭性は、スポット径の小さい単眼センサ、若しくは高解像度のラインセンサを用いて、ライン繰り返しパターンを現像または転写した画像を読み取ることにより求める。
・粒状性(ざらつき感)は、鮮鋭性の検出と同じ方法により、ハーフトーン画像を読み取り、ノイズ成分を算出することにより求める。
・レジストスキューは、レジスト後の主走査方向両端に光学センサを設け、レジストローラONタイミングと両センサの検知タイミングとの差異から求める。
・色ずれは、中間転写体または記録紙上の重ね合わせ画像のエッジ部を、単眼の小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサで検知する。
・バンディング(送り方向の濃度むら)は、記録紙上で小径スポットセンサ若しくは高解像度ラインセンサにより副走査方向の濃度ムラを測定し、特定周波数の信号量を計測する。
・光沢度(むら)は、均一画像が形成された記録紙を正反射式光学センサで検知するように設ける。
・かぶりは、感光体上、中間転写体上、または記録紙上において、比較的広範囲の領域を検知する光学センサで画像背景部を読み取る方法、または高解像度のエリアセンサで背景部のエリアごと画像情報を取得し、その画像に含まれるトナー粒子数を数えるという方法がある。
・像流れ・かすれなどは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上でトナー像をエリアセンサにより検知し、取得した画像情報を画像処理して判定する。
・チリは記録紙上の画像を高解像度ラインセンサまたはエリアセンサで取り込み、パターン部の周辺に散っているトナー量を算定することにより求める。
・後端白抜け、ベタクロス白抜けは、感光体上、中間転写体、あるいは記録紙上で高解像度ラインセンサにより検知する。
・カール・波打ち・折れは、変位センサで検出する。折れの検出のためには記録紙の両端部分に近い所にセンサを設置することが有効である。
・コバ面の汚れやキズは、排紙トレイに縦に設けたエリアセンサにより,ある程度排紙が溜まった時のコバ面をエリアセンサで撮影,解析する。
・温度検出には、異種金属どうし或いは金属と半導体どうしを接合した接点に発生する熱起電力を信号として取り出す熱電対方式、金属或いは半導体の抵抗率が温度によって変化することを利用した抵抗率変化素子、また、或る種の結晶では温度が上昇したことにより結晶内の電荷の配置に偏りが生じ表面に電位発生する焦電型素子、更には、温度による磁気特性の変化を検出する熱磁気効果素子などが採用できる。
・湿度検出には、H2O或いはOH基の光吸収を測定する光学的測定法、水蒸気の吸着による材料の電気抵抗値変化を測定する湿度センサ等がある
・各種ガスは、基本的にはガスの吸着に伴う、酸化物半導体の電気抵抗の変化を測定することにより検出する。
・気流(方向、流速、ガス種)の検出には、光学的測定法等があるが、システムへの搭載を考慮するとより小型にできるエアブリッジ型フローセンサが特に有用である。
・気圧・圧力の検出には、感圧材料を使用する、メンブレンの機械的変位を測定する等の方法がある。振動の検出にも同様に方法が用いられる。
画像形成装置の動作はメインコントローラによって決定されるため、メインコントローラの入出力パラメータを直接利用することが有効である。
画像形成のためにメインコントローラが演算処理により出力する直接的なパラメータで、以下のような例がある。
・メインコントローラによるプロセス条件の設定値で、例えば帯電電位、現像バイアス値、定着温度設定値など
・同じく、中間調処理やカラー補正などの各種画像処理パラメータの設定値
・メインコントローラが装置の動作のために設定する各種のパラメータで、例えば紙搬送のタイミング、画像形成前の準備モードの実行時間など
・色数、枚数、画質指示など、ユーザーにより選択された各種操作の頻度
・ユーザーが選択した用紙サイズの頻度
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の総合消費電力あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)のトナー、感光体、紙の使用量あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
・全期間または特定期間単位(1日、1週間、1ヶ月など)の故障発生(種類別)の頻度あるいはその分布、変化量(微分)、累積値(積分)
ホストコンピュータから直接データとして送られる画像情報、あるいは原稿画像からスキャナーで読み取って画像処理をした後に得られる画像情報から、以下のような情報を取得することができる。
・着色画素累積数はGRB信号別の画像データを画素ごとにカウントすることにより求められる。
・例えば特許第2621879号の公報に記載されているような方法でオリジナル画像を文字・網点・写真・背景に分離し、文字部、ハーフトーン部などの比率を求めることができる。同様にして色文字の比率も求めることができる。
・着色画素の累積値を主走査方向で区切った領域別にカウントすることにより、主走査方向のトナー消費分布が求められる。
・画像サイズはメインコントローラが発生する画像サイズ信号または画像データでの着色画素の分布により求められる。
・文字の種類(大きさ、フォント)は文字の属性データから求められる。
出力する内容としては、指標値D2の算出結果あるいはその指標値を反映した数値、画像形成装置の状態変化の判定結果、故障が近いことを利用者に知らせるための警告等の故障や寿命等の異常発生の予測結果を挙げることができる。指標値D2の値あるいはそれを反映した数値の時間変化のデータをグラフ化して出力してもよい。出力方法としては、次のような方法を挙げることができる。
(d-1)操作部パネル等における液晶ディスプレイ等の表示手段への数値データやメッセージの表示
(d-2)スピーカ等の音出力手段による音声や特定のパターン音からなる告知、警告
(d-3)記録媒体(転写紙)への記録
プリンターサーバ又は監視センターに、上記(d)の場合と同様の内容を転送するものである。
各画像形成装置、プリンタサーバ、監視センターの装置の内部に備えられた記憶装置(メモリ)に、上記(d)の場合と同様の内容を記憶させる。さらには、この記憶装置に記憶した内容を読み出して制御を行なうこともできる。
指標値D2の算出結果が予め定められた基準値を超えたり、増加率が大きくなったときなどに、画像形成装置を強制的に作動できないようにし、メンテナンスを要求する。
上記指標値D2の算出結果と各情報源の両面から、関連のある部分を推定し、それに関わる動作を制限する等の制御変更を行なう。この制御変更としては、次のようなものを挙げることができる。
(h-1)色モードの変更
(h-2)記録速度の変更
(h-3)中間調の線数の変更
(h-4)中間調処理方法の変更
(h-5)紙種の制限
(h-6)レジスト制御のパラメータ変更
(h-7)画像形成プロセスのパラメータ変更(例えば電子写真方式の画像形成装置では、帯電電位、露光量、現像バイアス、転写バイアスなどである。)
上記指標値D2の算出結果により、自動的に補給や交換を行なう。
上記指標値D2と各情報源との両面から、特定の部位の異常が判明したとき、対象とする部位の修理を行なうためのモードが実行される。
〔実施例1〕
本実施例1では、図10〜12に示した複写装置を用いて、出荷前の稼働テスト中に表3に示す36種類の情報について複数組のデータを取得し、初期の基準データ群(基準空間)を設定した。
図13は、本実施例に使用した薄膜タイプの抵抗変化素子の斜視図である。この抵抗変化素子は次のように製造することができる。まず基板501上に絶縁膜502を形成し、その上に金属或いは半導体材料からなる薄膜状の感知部503を設けている。更に、感知部503の両端にパッド電極504を設け、最後にリード線505を接続する。この抵抗変化素子においては、周囲の温度が変化するとそれに伴って感知部503の電気抵抗が変化するので、その変化を電圧或いは電流変化として取り出せばよい。感知部503が薄膜であるため、素子全体が小型にできシステムに組み込みやすい。
図15は本実施例に使用した湿度センサの斜視図である。絶縁基板511上に櫛形電極512を設けその両端に端子513を接続する。更に感湿層514(一般的には感湿性セラミックス)を設け全体をケース515でカバーしてある。ケース515を介して水蒸気が感湿性セラミックスに吸着すると、電気抵抗が減少するので、それを電圧或いは電流変化として計測すればよい。
図16は本実施例で用いたトナー濃度検出部の概略構成図を示している。例えば、磁性キャリアと非磁性トナーを混合してなる現像剤531の近傍に配置された検知コイル532には基準コイル533が差動的に接続されている。検知コイル532はトナー濃度(直接的には磁性キャリア)の増減による透磁率変化に対してインダクタンスが変動し、これに対して基準コイル533のインダクタンスはトナー濃度の変化に対して影響を受けないようになっている。そして、上記2つのコイル532、533の直列回路には、例えば500kHzにて発振駆動する交流駆動源534が接続されており、上記両コイル532、533を駆動するようになっている。これら両コイル532、533の接続点からは差動出力が取り出され、その出力は位相比較器535へ接続されるとともに、この位相比較器535には上記交流駆動源534の一方の出力が別途接続されており、これら駆動源534からの電圧と差動出力電圧との位相を比較するように構成される。
そして、上記2つのコイル、すなわち検知コイル532と基準コイル533の少なくともいずれか一方、図示例にあっては検知コイル532に感度設定用抵抗536(R1)が並列に接続されており、トナー濃度の変化に対する感度を鈍化させて感度特性を制御し得るように構成されている。この両コイルの組立図は図17に示されており、両コイル532、533は、筒状のコイル支持体537に図中上下方向に隣り合って巻回されており、現像剤531に近い側には透誘率の変化を検知するために検知コイル532が位置され、遠い側はトナー濃度が変化しても透磁率が変化しないように基準コイル533が配置されている。
本実施例では、出荷前の稼働テスト中に上記36種類の情報について複数組のデータを取得し、初期の基準データ群とした。この初期の基準データ群をそのまま用いて出荷後の複写装置を使用介した後に指標値(マハラノビス距離D2)を算出すると、装置の異常発生を正確に診断できない場合があることがわかった。
図18は、稼働テスト中に取得したデータからなる出荷時の初期の基準データ群を用いて指標値算出式を決定し、その指標値算出式を用いて各データの指標値(マハラノビス距離D2)を算出してプロットしたグラフである。図中左側の「出荷時(正常)」の値は、上記初期の基準データ群を構成する稼働テスト中のデータについて算出した指標値である。
また、図中の中央部の「出荷後稼働時(正常)」の値は、上記稼働テストを行った装置を利用者が使用する使用場所に設置した後、所定の間隔(1日〜3日の間隔)で取得した上記36種類の情報のデータについて算出した指標値である。このデータ取得時には、装置異常(画像異常)は発生しなかった。
また、図中の右側の「画像異常」の値は、利用者が使用開始した後、装置異常(画像異常)が発生している期間に所定の間隔(1日〜3日の間隔)で取得した上記36種類の情報のデータについて算出した指標値である。図19及び20は、この異常が発生している期間における指標値(マハラノビス距離D2)の時間推移を示している。
本実施例では、上記実施例1のように基準データ群を更新する場合に、上記稼働テスト時の同じ所定の情報について取得したデータのうち異常データと判断されたデータについては、基準データ群に追加しないようにした。具体的には、上記所定の情報について取得したデータについて、更新前の基準データ群で決定した指標値算出式を用いて指標値D2(マハラノビス距離)を算出した。この指標値が、予め設定した設定値(例えば上閾値3)よりも大きい場合には、上記取得したデータを異常データと判断し、基準データ群に追加しないようにした。
本実施例では、上記実施例1のように基準データ群を更新する場合に、初期の基準データ群に含まれる特定のデータについて算出した指標値D2(マハラノビス距離)の変化量が小さくなって安定した後は、基準データ群の更新を停止した。具体的には、初期の基準データ群に含まれる特定の1組のデータについて、更新後の基準データ群で決定した指標値算出式を用いて指標値D2を算出した。この更新停止判定用の指標値の変化量が予め設定した所定範囲内に所定回数連続して入った場合は、その後の基準データ群の更新を停止した。
本実施例では、上記基準データ群を、上記複数種類の情報のうち複写装置の利用者による使用条件の影響を受けやすい情報について取得したデータからなる個別データ群と、その他の情報について取得したデータからなる共通データ群とに分けて管理している。そして、本実施例では、個別データ群についてのみ新たにデータを取得して基準データ群に追加し、他の共通データ群については新たなデータ取得及び追加はしないようにした。
また、初期の基準データ群を構成するデータの取得を画像形成装置の製造後の稼働テスト中に行っているので、その稼働テストが完了した後の画像形成装置を利用者に納品する前に、初期の基準データ群に必要な十分な量のデータを確保できる。しかも、製造後の稼働テスト中の画像形成装置は異常発生の確率が低いため、初期の基準データ群が、より正常状態に近い仮想的な画像形成装置に対応した適正なものとなる。
以上のように、画像形成装置を利用者に納品する前の稼働テスト中に、正常状態の仮想的な画像形成装置に対応した適正な初期の基準データ群を効率的に得ることができる。従って、新機種の画像形成装置の量産開始時においても、その初期の基準データ群を画像形成装置に組み込んで利用者に納品し、その納品後の画像形成装置について信頼性の高い異常診断を速やかに開始できる。
また、本実施形態において、基準データ群の更新用に取得したデータが異常データの場合は、基準データ群に追加しないようにしてもよい。この場合は、基準空間すなわち指標値算出式が異常に大きく変動するのを防止し、より正確な異常の診断が可能になる。
また、本実施形態において、画像形成装置の使用開始後に、更新後の基準データ群に基づいて決定した指標値算出式を用いて、新たに取得したデータについて指標値D2を算出し、この指標値D2の変化量(例えば前回算出した指標値との差分)が予め設定した所定範囲内にある場合は、基準データ群の更新を停止してもよい。この場合は、基準データ群の更新の停止後において、装置の経時的な劣化による状態変化を判定することができる。
また、本実施形態において、上記基準データ群のうち、装置の使用開始後の稼動状態で偏移しやすい情報(要素)のデータからなる個別データ群についてのみ更新するようにしてもよい。この場合は、画像形成装置の利用者による使用条件の影響を受けにくい情報(要素)に関する装置の異常の検出能力が向上する。
図28は、監視センターに設けた管理装置と複数の複写装置との間で通信回線を介して通信可能に構成した管理システムの概略構成を示すブロック図である。この管理システムでは、上記管理装置と、複写装置のメンテナンスサービスを行うサービス拠点のコンピュータ装置との間も通信回線を介して通信可能になっている。通信回線としては、専用回線、公衆回線、インターネット、ローカルエリアネットワーク等を用いることができる。
また、上記状態判定装置は、各複写装置に内蔵してもいいし、管理装置に内蔵するようにしてもよい。各複写装置に状態判定装置を内蔵した場合は、各複写装置で状態判定及び異常診断が実行され、その結果のデータが通信回線を介して管理装置に送られる。管理装置は、異常発生の診断結果を受けると、その結果を担当のサービス拠点に転送する。異常発生の診断結果を受けたサービス拠点のサービスマンは、該当する複写装置の設置箇所を訪問し、メンテナンス処理等の保全活動を行う。
また、各複写装置で取得された上記複数種類のデータを定期的に管理装置に送り、管理装置において、各複写装置で用いる基準データ群や指標値算出式に関する情報を一元管理するようにしてもよい。管理装置で決定した指標値算出式に関する情報は、管理装置から通信回線を介して各複写装置に送られる。管理装置において各複写装置で用いる指標値算出式を決定する場合、前述の共通データ群のデータについては、各複写装置の指標値算出式を決定するときに用いる基準データ群に追加するようにしてもよい。
図29は、上記状態判定装置を管理装置として内蔵した複写装置とサービス拠点のコンピュータ装置との間で通信回線を介した通信ができる管理システムの概略構成図である。この管理装置として状態判定装置は1チップのLSI等で構成してもよい。この管理システムでは、複写装置で得られた異常診断結果が通信回線を介して担当のサービス拠点に直接送られる。異常発生の診断結果を受けたサービス拠点のサービスマンは、該当する複写装置の設置箇所を訪問し、メンテナンス処理等の保全活動を行う。
図30の例では、まず、機械の製造工場にて、出荷する機械について上記各種情報のデータ検出するセンサー群を設定する。次に、量産開始時の機械の数ロットから、上記設定したセンサー群の検出値や制御パラメータの値を、上記各種情報のデータとして収集する。次に、収集したデータを集計し、機械の正常な状態での基準データ群からなる基準空間とする。そして、この基準空間を使って、状態判定用の上記指標値(D2)を算出するための指標値算出式を設定する。
上記機械を販売してユーザ先に設置したときは、その機械と監視センターとの間でデータ通信回線を設定する。次に、機械に内蔵した状態判定装置内に上記指標値算出式を記憶させて導入し、監視センターに対してユーザ登録を行う。
ユーザが上記機械の使用を開始した後、機械内蔵の状態判定装置が装置の異常を判定すると、監視センターに自動通報する。このとき、機械の故障ではないので、装置は使用し続けられる。監視センターでは、異常通報を受けて、担当サービス区のサービス拠点に通報する。通報を受けたサービス拠点では、サービス担当者とサービス部品の手配を行う。そして、該当するユーザに連絡をとって、機械の事前保守をおこなうために機械の設置箇所を訪問し、機械の異常部分を保全し、故障の発生を事前に防止する。
上記機械を販売してユーザ先に設置したときは、その機械と監視センターとの間でデータ通信回線を設定する。次に、機械に内蔵した状態判定装置内に上記指標値算出式を記憶させて導入し、監視センターに対してユーザ登録を行う。
ユーザが上記機械の使用を開始した後、機械は定期的に上記センサー群の検出値などからなるデータを自動的に監視センターに送る。監視センターでは、発売当初は、機械から送られてきた上記センサー群の検出値などからなるデータと、上記機械の正常な状態での基準データ群(基準空間1)と比較し、異常判定を行う。次に、多数の機械から送られてきた上記センサー群の検出値などからなるデータと、上記工場で収集されたデータとを基準データ群に追加して機械の正常な状態での基準データ群を更新し、基準空間2とする。基準空間が更新された後は、その更新された基準空間を使って、状態判定用の上記指標値(D2)を算出するための指標値算出式を設定し、異常判定を行う。
その後、監視センターにおいて、ある特定の機械の異常を判定すると、担当サービス区のサービス拠点に通報する。通報を受けたサービス拠点では、サービス担当者とサービス部品の手配を行う。そして、該当するユーザに連絡をとって、機械の事前保守をおこなうために機械の設置箇所を訪問し、機械の異常部分を保全し、故障の発生を事前に防止する。なお、この異常判定を行ったときは、そのときの上記センサー群の検出値等からなるデータをその機械の基準データ群から除去し、基準空間を再更新する。
2 データ取得部
3 データ記憶部
4 算出式決定部
5 指標値算出部
6 判定部
7 メインコントローラ
8 画像形成システム
Claims (34)
- 電子機器の状態に関連した複数種類の情報のデータを予め複数組取得するステップと、該複数組のデータから構成される基準データ群に基づいて、電子機器の状態判定に用いる指標値を算出するための指標値算出式を決定するステップと、状態判定対象の電子機器について該複数種類の情報のデータを取得するステップと、該指標値算出式と該状態判定対象の電子機器について取得した該複数種類の情報のデータとに基づいて指標値を算出するステップと、該指標値と予め設定した基準値との比較結果に基づいて、該状態判定対象の電子機器の状態を判定し該電子機器の異常発生を診断するステップとを有する異常診断方法であって、
上記基準データ群を構成する複数組のデータの取得を、上記状態判定対象の電子機器と同じ機種の複数の電子機器について、該複数の電子機器の製造後の稼働テスト中に行い、
該複数の電子機器の稼働テスト中に取得した該複数組のデータのすべてを含む基準データ群を、上記指標値算出式を決定するための初期の基準データ群として用いることを特徴とする異常診断方法。 - 請求項1の異常診断方法において、
上記状態判定対象の電子機器と同じ機種の電子機器は、該状態判定対象の電子機器と同じ製造ロットに含まれる電子機器であることを特徴とする異常診断方法。 - 請求項1又は2の異常診断方法において、
上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器について上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、
該取得したデータを上記基準データ群に追加して該基準データ群を更新するステップとを有することを特徴とする異常診断方法。 - 請求項3の異常診断方法において、
更新前の上記基準データ群に基づいて決定した上記指標値算出式と上記取得したデータとに基づいて上記指標値を算出し、その指標値が予め設定した所定範囲から外れている場合は、該取得したデータを上記基準データ群に追加しないことを特徴とする異常診断方法。 - 請求項3又は4の異常診断方法において、
上記基準データ群を更新していくとき、更新後の基準データ群に基づいて決定した上記指標値算出式と該基準データ群を構成する初期の特定の1組のデータとに基づいて上記指標値を算出し、その指標値の変化量が予め設定した所定範囲内に所定回数連続して入った場合は、その後の基準データ群の更新を停止することを特徴とする異常診断方法。 - 請求項1又は2の異常診断方法において、
上記基準データ群は、上記複数種類の情報のうち各電子機器の利用者による使用条件の影響を受けやすい情報について取得したデータからなる個別データ群と、それ以外の情報について取得したデータからなる共通データ群とにより構成され、
上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器について該個別データ群を構成するデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、
該取得したデータを該個別データ群に追加して該個別データ群を更新するステップとを有することを特徴とする異常診断方法。 - 請求項6の異常診断方法において、
上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器と同じ機種の他の複数の電子機器について上記共通データ群を構成するデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、
該取得したデータを該共通データ群に追加して該共通データ群を更新するステップとを有することを特徴とする異常診断方法。 - 請求項7の異常診断方法において、
同じ機種の複数の電子機器それぞれについて取得した上記個別データ群及び上記共通データ群のデータを各電子機器から通信回線を介して異常診断用の管理装置に送信するステップと、
該管理装置において、該複数の電子機器それぞれについて該個別データ群のデータを蓄積し、該複数の電子機器のすべてについて該共通データ群のデータを蓄積し、該個別データ群と該共通データ群とに基づいて、各電子機器に対応する上記指標値算出式を決定するステップと、
該指標値算出式を特定するための情報を該管理装置から通信回線を介して各電子機器に送信するステップとを有することを特徴とする異常診断方法。 - 請求項1又は2の異常診断方法において、
同じ機種の複数の電子機器それぞれの製造後の稼働テスト中に、各電子機器において上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、
各電子機器で取得したデータを各電子機器から通信回線を介して異常診断用の管理装置に送信するステップと、
該管理装置において、各電子機器についてデータを蓄積した該基準データ群に基づいて上記指標値算出式を決定するステップと、
該指標値算出式を特定するための情報を該管理装置から通信回線を介して各電子機器に送信するステップとを有することを特徴とする異常診断方法。 - 請求項1又は2の異常診断方法において、
同じ機種の複数の電子機器それぞれを利用者が使用開始した後、各電子機器において上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得するステップと、
各電子機器で取得したデータを各電子機器から通信回線を介して異常診断用の管理装置に送信するステップと、
該管理装置において、各電子機器についてデータを蓄積した該基準データ群に基づいて上記指標値算出式を決定するステップと、
該指標値算出式を特定するための情報を該管理装置から通信回線を介して各電子機器に送信するステップとを有することを特徴とする異常診断方法。 - 請求項1乃至10のいずれかの異常診断方法において、
上記電子機器において上記指標値に基づいて該電子機器の異常状態の発生が予測された場合に、その予測結果を該電子機器から通信回線を介して異常診断用の管理装置に送信するステップを有することを特徴とする異常診断方法。 - 請求項1乃至11のいずれかの異常診断方法において、
上記指標値が、MTS(Maharanobis Taguchi System)法で算出するマハラノビスの距離の値であることを特徴とする異常診断方法。 - 請求項1乃至12のいずれかの異常診断方法において、
上記電子機器が画像形成装置であることを特徴とする異常診断方法。 - 電子機器の状態に関連した複数種類の情報のデータを取得するデータ取得手段と、状態判定対象の電子機器について取得した該複数種類の情報の複数組のデータから構成される基準データ群を記憶するデータ記憶手段と、該基準データ群に基づいて、電子機器の状態判定に用いる指標値を算出するための指標値算出式を決定する算出式決定手段と、該指標値算出式と状態判定対象の電子機器について取得した該複数種類の情報のデータとに基づいて指標値を算出する指標値算出手段と、該算出した指標値と予め設定した基準値との比較結果に基づいて、該状態判定対象の電子機器の状態を判定する判定手段とを備えた電子機器の状態判定装置であって、
上記データ記憶手段は、上記状態判定対象の電子機器と同じ機種の複数の電子機器について製造後の稼働テスト中に取得した上記複数組のデータのすべてを含む基準データ群を、上記指標値算出式を決定するための初期の基準データ群として記憶したものであることを特徴とする状態判定装置。 - 請求項14の状態判定装置において、
上記状態判定の結果に基づいて、上記状態判定対象の電子機器の異常発生を診断する異常発生診断手段を備えたことを特徴とする状態判定装置。 - 請求項14又は15の状態判定装置において、
上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器について上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得し、該取得したデータを上記データ記憶手段に記憶している基準データ群に追加して該基準データ群を更新するように、上記データ取得手段及び上記データ記憶手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする状態判定装置。 - 請求項16の状態判定装置において、
上記制御手段は、更新前の上記基準データ群に基づいて決定した上記指標値算出式と上記取得したデータとに基づいて上記指標値を算出し、その指標値が予め設定した所定範囲から外れている場合は、該取得したデータを上記基準データ群に追加しないように制御することを特徴とする状態判定装置。 - 請求項16又は17の状態判定装置において、
上記制御手段は、上記基準データ群を更新していくとき、更新後の基準データ群に基づいて決定した上記指標値算出式と該基準データ群を構成する初期の特定の1組のデータとに基づいて上記指標値を算出し、その指標値の変化量が予め設定した所定範囲内に所定回数連続して入った場合は、その後の基準データ群の更新を停止するように制御することを特徴とする状態判定装置。 - 請求項14又は15の状態判定装置において、
上記データ記憶手段は、上記基準データ群を、上記複数種類の情報のうち各電子機器の利用者による使用条件の影響を受けやすい情報について取得したデータからなる個別データ群と、それ以外の情報について取得したデータからなる共通データ群とに分けて記憶可能なものであり、
上記制御手段は、上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該電子機器について該個別データ群を構成するデータを所定の更新タイミングで取得し、該取得したデータを該個別データ群に追加して該個別データ群を更新するように制御することを特徴とする状態判定装置。 - 請求項19の状態判定装置において、
上記状態判定対象の電子機器と同じ機種の他の複数の電子機器との間で通信回線を介して通信するための通信手段を備え、
上記制御手段は、上記状態判定対象の電子機器を利用者が使用開始した後、該複数の電子機器から上記共通データ群を構成するデータを所定の更新タイミングで受信し、該受信したデータを該共通データ群に追加して該共通データ群を更新するように制御することを特徴とする状態判定装置。 - 請求項14乃至20のいずれかの状態判定装置において、
上記指標値が、MTS(Maharanobis Taguchi System)法で算出するマハラノビスの距離の値であることを特徴とする状態判定装置。 - 請求項14乃至21のいずれかの状態判定装置において、
上記電子機器が画像形成装置であることを特徴とする状態判定装置。 - 装置の状態を判定する状態判定手段と、記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置において、
上記状態判定手段として、請求項22の状態判定装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項23の画像形成装置において、
異常診断用の管理装置との間で通信回線を介して通信するための通信手段と、
該画像形成装置の製造後の稼働テスト中に、上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得し、該取得したデータを該管理装置に送信するように、上記状態判定装置及び該通信手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項24の画像形成装置において、
上記制御手段は、該画像形成装置を利用者が使用開始した後、上記複数種類の情報のデータを所定の更新タイミングで取得し、該取得したデータを該管理装置に送信するように制御することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項24又は25の画像形成装置において、
上記制御手段は、上記基準データ群に基づいて該画像形成装置について決定された上記指標値算出式を特定するための情報を、上記管理装置から受信するように制御することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項24乃至26のいずれかの画像形成装置において、
上記制御手段は、上記状態判定装置において上記指標値に基づいて該画像形成装置の異常状態の発生が予測された場合に、その予測結果を上記管理装置に送信するように制御することを特徴とする画像形成装置。 - 複数の電子機器における異常診断を通信回線を介して一元的に管理する管理装置であって、
該電子機器又は該電子機器の状態を判定する状態判定装置との間で通信回線を介して通信するための通信手段と、
各電子機器について取得された複数の情報のデータからなる基準データ群を記憶するデータ記憶手段と、
各電子機器の製造後の稼働テスト中に所定の更新タイミングで取得された上記複数種類の情報のデータを該電子機器又は該状態判定装置から受信し、該受信したデータを該基準データ群に追加して該基準データ群を更新するように、該通信手段及び該データ記憶手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする管理装置。 - 請求項28の管理装置において、
上記制御手段は、各電子機器を利用者が使用開始した後に所定の更新タイミングで取得された上記複数種類の情報のデータを、該電子機器又は上記状態判定装置から通信回線を介して受信し、該受信したデータを該基準データ群に追加して該基準データ群を更新するように制御することを特徴とする管理装置。 - 請求項28又は29の管理装置において、
上記制御手段は、各電子機器についてデータを蓄積した上記基準データ群に基づいて、各電子機器の状態判定に用いる指標値を算出するための指標値算出式を決定し、該指標値算出式を特定するための情報を通信回線を介して該電子機器又は上記状態判定装置に送信するように制御することを特徴とする管理装置。 - 請求項30の管理装置において、
上記指標値が、MTS(Maharanobis Taguchi System)法で算出するマハラノビスの距離の値であることを特徴とする管理装置。 - 請求項28乃至31のいずれかの管理装置において、
上記制御手段は、各電子機器において上記指標値に基づき得られた該電子機器の異常診断結果を、該電子機器又は上記状態判定装置から通信回線を介して受信するように制御することを特徴とする管理装置。 - 請求項28乃至32のいずれかの管理装置において、
上記電子機器が画像形成装置であることを特徴とする管理装置。 - 複数の電子機器における異常診断を通信回線を介して一元的に管理する管理システムであって、
請求項28乃至33のいずれかの管理装置と、該管理装置との間で通信回線を介して通信可能な管理対象の複数の電子機器又は該電子機器の状態を判定する状態判定装置とにより構成したことを特徴とする管理システム。
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