JP2005002331A - 脂肪族ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位及び25℃におけるpKa値が3.7以下の有機酸単位を含有するポリエステルであって、該ポリエステル中に含まれるカーボネート結合の含有量が、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、1モル%未満、ウレタン結合の含有量が0.06モル%未満、脂肪族モノオキシモノカルボン酸単位の含有量が0.02モル%未満、有機ホスフィン酸、有機ホスホン酸及びリン酸水素塩から選ばれるリン含有化合物由来のリン原子の含有量が10-9 モル%未満であり、還元粘度(ηsp/C)が1.6以上である脂肪族ポリエステル。
【選択図】 なし
Description
献6参照)。この実施例において実際に製造されているポリエステルは、該2塩基酸の含有量が1〜2モル%と多いため、熱安定性が低下する傾向にあると共に、上記と同様、更にジイソシアネートを添加して鎖延長を行っている。
例えば、重合反応速度を高めるために、触媒として錫化合物を用いて有機溶媒中で反応中に生成する水を溶媒と共沸留去させながら脱水縮合を行う方法(例えば、特許文献8参照)、0.005〜0.1mmHgという非常に高真空で重縮合反応を行う方法(例えば、特許文献9参照)が開示されている。しかしながら、これらの製造方法は、特に、後者の方法は、実質ヒドロキシル基末端のポリエステルが製造される為、上記の観点からは耐熱性に優れたポリエステルの製造方法として期待されるが、製造工程が煩雑なばかりでなく極めて高額の設備投資を要する欠点を有する。また、この方法では、高重合度のポリエステル製造に長時間を要する為、製造中のポリマーの熱分解や着色が懸念される。
共立出版(1962))、最終生成物の酸濃度を高くしてポリエステルの熱安定性ならびに耐加水分解性を低下させる恐れがある。
即ち本発明の要旨は、脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位及び25℃におけるpKa値が3.7以下の有機酸単位を含有するポリエステルであって、該ポリエステル中に含まれるカーボネート結合の含有量が、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、1モル%未満、ウレタン結合の含有量が0.06モル%未満、脂肪族モノオキシモノカルボン酸単位の含有量が0.02モル%未満、有機ホスフィン酸、有機ホスホン酸及びリン酸水素塩から選ばれるリン含有化合物由来のリン原子の含有量が10-9 モル%未満で
あり、還元粘度(ηsp/C)が1.6以上であることを特徴とする脂肪族ポリエステル、に存する。
<脂肪族ジオール単位>
本発明の脂肪族ポリエステルを構成する脂肪族ジオール単位とは、2個のOH基を有する脂肪族及び脂環式化合物成分から誘導されるものであれば特に制限はされないが、炭素数の下限値が2以上であり、上限値が通常10以下、好ましくは6以下の脂肪族ジオールが挙げられる。
この内、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロピレングリコ−
ル及び1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルが好ましく、その中でも、エチレングリコール及び1,4−ブタンジオ−ルが好ましく、更には、1,4−ブタンジオ−ルが特に好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステルを構成する脂肪族ジカルボン酸単位は、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体から誘導されるものである。脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常、炭素数が2以上12以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の低級アルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物も使用できる。これらは、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。これらの内、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、またはこれらの混合物が好ましく、脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸及びコハク酸のメチルエステル、またはこれらの混合物が好ましい。
具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として上記脂肪族カルボン酸に加えて使用してもよい。この内、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
<25℃におけるpKa値が3.7以下の有機酸単位>
本発明のポリエステルは、上記のジオール単位とジカルボン酸単位に加えて、25℃におけるpKa値が3.7以下の有機酸単位を必須とする。一般に、脂肪族ポリエステルは熱安定性が低く、重合反応中に熱分解による分子量の低下が引き起こされるため、容易には実用上十分な強度を有する高重合度のポリエステルが得られないとされてきた。しかしながら、25℃でのpKaの値が3.7以下の有機酸成分を添加することにより、その酸触媒能の発現等の理由から重合速度が向上し、有機酸成分の種類によってはポリマーの熱安定性が向上するため、今まで製造困難であった脂肪族ポリエステルの高重合体が、鎖延長剤や脂肪族モノオキシモノカルボン酸成分を、実質、添加しなくても容易に高重合度のポリエステルが得ることができる。これにより製造困難であった高重合度の脂肪族ポリエステルの中で、特に有害性が低く、熱安定性や色調に優れた高重合度の脂肪族ポリエステルを提供することが可能となる。
pKaの値の下限値は、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、特に好ましくは3.1以上であり、上限値は、好ましくは3.5以下である。なお、有機酸の中には2個以上のpKa値を示す化合物があるが、本発明においては、その場合の化合物のpKa値とは、最も低い値である。pKaの値が3.7を越える有機酸を重合時に用いると、実用的に引張り強度に優れた高重合度のポリエステルを製造することが難しく、逆にpKa値が低すぎる有機酸を重合時に用いると生成するポリエステルの熱安定性や耐加水分解性の特性が低下する場合がある。特に後者の場合は、酸触媒能が強すぎるため、重合時にも熱分解が引き起こされ、高重合度のポリエステルが得られない場合がある。
本発明においては、上記以外の共重合成分を加えてもよい。
共重合成分の具体的な例としては、2官能のオキシカルボン酸や架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール及び3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物の群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物が挙げられる。
3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物としては、具体的には、プロパントリカルボン酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物等が挙げられ、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
<鎖延長剤>
本発明の脂肪族ポリエステルは、カーボネート化合物やジイソシアネート化合物等の鎖延長剤を使用することもできるが、その量は、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、カーボネート結合が1モル%未満、好ましくは、0.5モル%以下、より好ましくは0.1モル%以下であり、ウレタン結合が、0.06モル%未満、好ましくは0.01モル%以下、より好ましくは0.001モル%以下である。
2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合体、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の公知のジイソシアネートなどが例示される。
珪酸エステルは、環境保全ならびに安全性の面の理由からは、特にその使用量に制限はされないが、操作が煩雑になったり、重合速度に影響を与える可能性があるため、その使用量は少ない方が良い場合がある。従って、この含有量は、0.1 モル%以下とするの
が好ましく、10-5 モル%以下とするのが更に好ましい。
<脂肪族ポリエステルの製造方法>
本発明における脂肪族ポリエステルの製造方法としては、従来の公知の方法が使用でき、例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合でポリエステルを製造する方法が好ましい。
重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
重合触媒としては、一般には、周期表1〜14族の金属元素のうち少なくとも1種を含む化合物が用いられる。金属元素としては、具体的には、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウムおよびカリウム等が挙げられる。その中では、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉄、ゲルマニウムが好ましく、特に、チタン、ジルコニウム、タングステン、鉄、ゲルマニウムが好ましい。更に、ポリマーの熱安定性に影響を与えるポリマー末端濃度を低減させる為には、上記金属の中では、ルイス酸性を示す周期表3〜6族の金属元素が好ましい。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステンであり、特に、入手のし易さからチタン、ジルコニウムが好ましい。
更には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)等に記載される公知の層状珪酸塩を単独で或いは上記金属化合物と組み合わせた触媒を使用すると、重合速度が向上する場合があるため、このような触媒系もまた好んで使用される。
タネート及びテトラ−n−ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマーが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマーがより好ましく、特に、テトラ−n−ブチルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネートが好ましい。
かりでなく、理由は未だ詳らかではないが、ポリマー中のカルボキシル基末端濃度が多くなる場合がある為、カルボキシル基末端量ならびに残留触媒濃度の増大によりポリマーの熱安定性や耐加水分解性が低下する場合がある。逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリマー製造中にポリマーの熱分解が誘発され、実用上有用な物性を示すポリマーが得られにくくなる。
ルの熱安定性ならびに耐加水分解性を低下させる恐れがあるため、その使用は好ましくない。従って、これらのプロトンを放出する酸性化合物のポリエステル中における含有量は、特に限定はされないが、通常、10-5モル%以下、好ましくは、10-8モル%以下、特に好ましくは10-9モル%以下が好ましい範囲であるが、実質的に含まれないものが最も好ましい。
、好ましくは、10-10モル%以下であるが、実質的に含まれないものが最も好ましい。
ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反
応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、常圧が好ましい。
その後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.01×103Pa以上、好ましくは0
.03×103Pa以上であり、上限が通常1.4×103Pa以下、好ましくは0.4×103Pa以下の真空度下として行う。重合製造時の圧力が高すぎると、ポリエステルの
重合製造時間が長くなり、それに伴いポリエステルの熱分解による分子量低下や着色が引き起こされ、実用上充分な特性を示すポリエステルを製造が難しくなる傾向がある。一方、超高真空重合設備を用いて製造する手法は重合速度を向上させる観点からは好ましい態様であるが、極めて高額な設備投資が必要となるため、経済的には不利である。
せながらポリエステルの重合度を高める方法が用いられる。本発明においては、前者の方法でも周期表3〜6族の金属元素を含有する化合物を触媒として用いて高重合度のポリエステルを製造することができるが、鎖延長剤などを用いずとも高重合度のポリエステルが比較的短時間で容易に得られる理由から、後者の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物を留去する方法が好ましい。この場合、脂肪族カルボン酸及び/又はその無水物の除去は、通常、上記溶融重合工程における後段の減圧下での重縮合反応中に脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物を加熱留出させる方法が採られるが、重縮合反応条件下では、脂肪族ジカルボン酸は容易に酸無水物になりやすいため、酸無水物の形態で加熱留出させる場合が多い。また、その際、ジオールから誘導される鎖状又は環状エーテル及び/又はジオールもまた脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物と共に除去されてもよい。更に、ジカルボン酸成分とジオール成分の環状単量体を共に留去させる方法は、重合速度が向上するため、好ましい態様である。
加水分解性にすぐれたポリエステルとなるが、上記の仕込み比を制御することにより、製造されるポリエステル中のカルボキシル基末端量を調整することも可能である。これにより、ポリエステルの耐加水分解性や生分解性を調整することも可能となる。
本発明で製造される脂肪族ポリエステルの還元粘度(ηsp/C)値は、実用上十分な力学特性が得られる理由から、1.6以上であり、中でも2.0以上が好ましく、更には2.2以上、特に2.3以上が好ましい。還元粘度(ηsp/C)値の上限は、ポリエステルの重合反応後の抜き出し易さならびに成形のし易さ等の操作性の観点から、通常、6.0以下、好ましくは5.0以下、更に好ましくは4.0以下である。この因子は、ポリエステル中のカルボキシル基末端濃度にも影響を与える因子であるが、ポリマーの粘度が上昇することにより疎水性が増して耐加水分解性が向上する場合がある。尚、本発明でいう還元粘度は以下の測定条件により測定されたものである。
粘度管:ウベローデ粘度管
測定温度:30℃
溶媒:フェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)溶液
ポリエステル濃度:0.5g/dl
1.6以上の還元粘度を有するポリエステルは、上述した脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物を留去する方法によりポリエステルを製造しても、得られるポリエステルの末端COOH基数が50eq/トン以下となり、耐熱安定性にすぐれたポリエステルとなる。本発明のポリエステルの末端COOH基数は、通常、50eq/トン以下、好ましくは35eq/トン以下、より好ましくは25eq/トン以下である。このようなポリエステルは、熱安定性に優れ、成形時の品質の低下が少ない、即ち、溶融成形時に末端基の切断や、主鎖の切断等の副反応が少ないという特徴を有する。
先ず、ポリエステルの熱安定性に著しく影響を与えるとされてきたカルボキシル基末端濃度である。本発明を完成させる過程で、脂肪族ポリエステルの場合においては、ポリマ
ー中のカルボキシル基末端濃度が少ない程、比較的長期の使用・保管時の耐加水分解性に代表される引張り特性の劣化は少なくなる兆候が見られること、そして、ある特定の濃度以下にまでその量が低減されると極端にその引張り特性の維持率が向上することが明らかになった。本発明のポリエステルの引張り破断伸び率の耐久性を著しく向上させる為には、カルボキシル基末端濃度は、通常、10当量/トン以下であり、更には6当量/トン以下、特に、4当量/トン以下が好ましい。
また、成形時に上に示した各種の添加剤の他に、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウィスカー、マイカ、タルク、CaCO3、TiO2、シリカ等の強化剤及び増量剤を添加して成
形することもできる。
具体的な用途としては、射出成型品(例えば、生鮮食品のトレーやファーストフードの
容器、野外レジャー製品など)、押出成型品(フィルム、シート等、例えば釣り糸、漁網、植生ネット、保水シートなど)、中空成型品(ボトル等)等が挙げられ、更にその他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、マルチフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、手術糸、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材フィルム及び合成紙などに利用可能である。
<末端カルボキシル基量>
得られたポリエステルをベンジルアルコールに溶解し0.1N NaOHにて滴定した値であり、1×106 g当たりのカルボキシル基当量である。
1H NMRにより求めた値であり、1×106 g当たりのOH基当量である。
実施例1:リンゴ酸含量が脂肪族ジカルボン酸に対し0.33モル%であるポリエステルの製造
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオール78.8g(0.87mol)及び触媒として二酸化ゲルマニウムを予め4重量%溶解させた27.7重量%リンゴ酸水溶液1.34g(2.8×10-3mol、コハク酸に対して0.33mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
るように減圧し、更に0.07×103Paの減圧下で2.5時間反応させたところ白色
のポリエステルが得られた。尚、減圧下での重縮合反応中は、反応容器の減圧用排気口を110℃に加熱し続けた。得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/C)は2.4であり、末端カルボキシル基量は18eq/トン、末端OH基量は44eq/トンであり、カーボネート結合、ウレタン結合、脂肪族モノオキシモノカルボン酸単位、及びリン含有化合物由来のリン原子の含有量は0であった。減圧用排気口から重合中に留出した主な揮発成分は、無水コハク酸(3.8g)、水及びテトラヒドロフランの混合液(32g)ならびに少量の1,4−ブタンジオールであった。
原料の仕込みを、0.33重量%の二酸化ゲルマニウム水溶液(15.15g)を、コハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオール78.8g(0.87mol)およびリンゴ酸0.37g(2.8×10-3mol、コハク酸に対して0.33mol%)の混合物に仕込んだ以外は実施例1−Aと同様の重縮合反応条件によってポリエ
ステルを得た。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は3時間であった。
であり、カーボネート結合、ウレタン結合、脂肪族モノオキシモノカルボン酸単位、及びリン含有化合物由来のリン原子の含有量は0であった。減圧用排気口から重合中に留出した主な揮発成分は、無水コハク酸(3.6g)、水及びテトラヒドロフランの混合液(45g)ならびに少量の1,4−ブタンジオールであった。
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオール80.35g
(0.89mol)およびリンゴ酸0.37g(2.8×10- 3mol、コハク酸に対し
て0.33mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
減圧用排気口から重合中に留出した主な揮発成分は、水、無水コハク酸、テトラヒドロフラン、コハク酸とブタンジオールの環状単量体ならびに少量の1,4−ブタンジオールであった。
原料として、コハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオール81
.12g(0.90mol)およびリンゴ酸0.37g(2.8×10- 3mol、コハク
酸に対して0.33mol%)を用い、触媒として0.107gのテトラ−n−ブチルチ
タネートを3.1gの1,4−ブタンジオールに希釈した触媒液を使用した以外は実施例1−Cと同様の重縮合反応条件によってポリエステルを得た。0.07×103Paの減
圧下での重合反応時間は7時間であった。
減圧用排気口から重合中に留出した主な揮発成分は、水、1,4−ブタンジオール、コハク酸とブタンジオールの環状単量体ならびにテトラヒドロフランであった。
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオール81.1g(
0.90mol)およびリンゴ酸0.37g(2.8×10- 3mol、コハク酸に対して
0.33mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
.36gのオルガチックスZB−320(ジルコニウムトリブトキシステアレート、(株)マツモト交商製)を反応系へ添加後、30分かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.07×103Paになるように減圧し、更に0.07×103Paの減圧下で4時間反応を行い、ポリエステルを得た。
減圧用排気口から重合中に留出した主な揮発成分は、水、無水コハク酸、テトラヒドロフラン、コハク酸とブタンジオールの環状単量体ならびに少量の1,4−ブタンジオールであった。
仕込量を、コハク酸3420g(29.0mol)、1,4−ブタンジオール2689
g(29.8mol)および触媒として二酸化ゲルマニウムを予め4重量%溶解させた2
7.7重量%リンゴ酸水溶液45.6g(9.4×10-2mol)とした以外は実施例1
−Aと同様に行った。
得られたポリマーを卓上プレス機を用いて150℃、3min.で溶融させ、さらに150℃、20MPa、2min.でプレスして厚さ約150μmのフィルムを得た。得られたプレスフィルムからダンベル形状(長さ10cm)に打ち抜いた試験片を用いて引張り破断伸び率の測定を行った結果(引張速度=200mm/min、標線間距離=10mm、チャック間距離=60mm)、引張り延び率は400%であった。
厚みのフィルムを得た。得られたフィルムの引張り破壊延びを試験を実施した結果、MD、TD方向の方向の引張り延び率は、それぞれ、390%、60%であり、フィルムの引張り延びに異方性が観測された。
仕込量を、コハク酸68.8g(0.58mol)、アジピン酸36.6g(0.25
mol)、1,4−ブタンジオール77.3g(0.86mol)および触媒として二酸化ゲルマニウムを予め4重量%溶解させた27.7重量%リンゴ酸水溶液1.3g(2.7×10-3mol)とした以外は実施例1−Aと同様に行った。尚、0.07×103Paの減圧下での重合時間は4.5時間であった。
得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/C)は2.4、末端カルボキシル基量は23eq/トン、末端OH基量は55eq/トンであり、カーボネート結合、ウレタン結合、脂肪族モノオキシモノカルボン酸単位、及びリン含有化合物由来のリン原子の含有量は0であった。
仕込量を、コハク酸2662g(22.5mol)、アジピン酸825g(5.7mol)、1,4−ブタンジオール2608g(28.9mol)および触媒として二酸化ゲル
マニウムを予め4重量%溶解させた27.7重量%リンゴ酸水溶液43.3g(9.2×10-2mol)とした以外は実施例1−Aと同様に行った。尚、0.07×103Paの減
圧下での重合時間は5時間であった。
得られたペレットを160℃にて直径75mmの丸ダイから押しだし、50μ厚みのフィル
ムを得た。得られたフィルムの引張り破壊延びを試験を実施した結果、MD、TD方向の方向の引張り延び率は、いずれも700%であった。
実施例2−A
原料の仕込みを、二酸化ゲルマニウムを予め4重量%溶解させた27.7重量%リンゴ酸水溶液0.65g(1.3×10-3mol、コハク酸に対して0.16mol%)を、
コハク酸100.3g(0.85mol)および1,4−ブタンジオール78.8g(0.87mol)の混合物に仕込んだ以外は実施例1−Aと同様の重縮合反応条件によって還元粘度(ηsp/C)が2.2のポリエステルを得た。0.07×103Paの減圧下で
の重合反応時間は7時間であった。
減圧用排気口から重合中に留出した主な揮発成分は、水、無水コハク酸、テトラヒドロフランならびに少量の1,4−ブタンジオールであった。
実施例1−Fと同スケールで実施例2−Aと同等のポリエステル製造を実施した。得られたフィルムの引張り破壊延びを試験を実施した結果、MD、TD方向の方向の引張り延び率は、それぞれ、560%、400%であり、フィルムの引張り延びの異方性が改善された。
実施例3−A
リンゴ酸を0.01重量%含むコハク酸100.3g(0.85mol)ならびに1,4−ブタンジオール76.6g(0.85mol)を仕込み、リンゴ酸を添加しなかった以外は実施例1−Cと同様の重縮合反応条件によって還元粘度(ηsp/C)は2.04のポリエステルを得た。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は5時間であった
。
得られたポリエステルの末端カルボキシル基量は11eq/トン、末端OH基量は50eq/トンであり、カーボネート結合、ウレタン結合、脂肪族モノオキシモノカルボン酸単位、及びリン含有化合物由来のリン原子の含有量は0であった。
リンゴ酸を0.01重量%含むコハク酸100.3g(0.85mol)ならびに1,4−ブタンジオール76.6g(0.85mol)を仕込み、リンゴ酸を添加しなかった以外は実施例1−Eと同様の重縮合反応条件によって還元粘度(ηsp/C)は2.8のポリエステルを得た。0.07×103Paの減圧下での重合反応時間は5.5時間であっ
た。
得られたポリマーを卓上プレス機を用いて150℃、3min.で溶融させ、さらに150℃、20MPa、2min.でプレスして厚さ約150μmのフィルムを得た。得られたプレスフィルムからダンベル形状(長さ10cm)に打ち抜いた試験片を用いて引張り破断伸び率の測定を行った結果(引張速度=200mm/min、標線間距離=10mm、チャック間距離=60mm)、引張り延び率は500%であった。
実施例1−Aにおいて、原料の仕込み時にコハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオール80.4g(0.89mol)、リンゴ酸を0.37g(2.8×10-3mol)および触媒として二酸化ゲルマニウムを予め4重量%溶解させた27.7重量%リンゴ酸水溶液1.34g(2.8×10-3mol、全体としてコハク酸に対して0.64mol%)を加えた以外は実施例1−Aと同様にしてポリエステルの製造を行った結果、還元粘度(ηsp/C)は2.8のポリエステルを得た。0.07×103Pa
の減圧下での重合反応時間は1.5時間であった。末端カルボキシル基量は22eq/トン
、末端OH基量は60eq/トンであり、カーボネート結合、ウレタン結合、脂肪族モノオ
キシモノカルボン酸単位、及びリン含有化合物由来のリン原子の含有量は0であった。
実施例5−A
<ポリエステルAの製造>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100.3g(0.85mol、1,4−ブタンジオ−ル80.35g(0.89mol)、リンゴ酸0.37g(2.8×10-3mol、コハク酸に対して0.3
3mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
得られたポリマーを卓上プレス機を用いて150℃、3min.で溶融させ、さらに150℃、20MPa、2min.でプレスして厚さ約150μmのフィルムを得た。得られたプレスフィルムを50℃、90%R.H.の恒温恒湿機に入れ、一定間隔毎にサンプリングし、溶液粘度の測定ならびに引張り破断伸び率の測定を行った。
引っ張り試験は、このフィルムからダンベル形状(長さ10cm)に打ち抜いた試験片を用いて行った。(引張速度=200mm/min、標線間距離=10mm、チャック間距離=60mm)。
結果を表−1に示した。
<ポリエステルBの製造>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸3420g(29.0mol)、1,4−ブタンジオール2689g(29.8mol)及び触媒として二酸化ゲルマニウムを予め4重量%溶解させた27.7重量%リンゴ酸水溶液45.64g(9.4×10-2mol、コハク酸に対して0.33mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
るように減圧し、更に0.07×103Paの減圧下で2.5時間反応させたところ白色
のポリエステルが得られた。尚、減圧下での重縮合反応中は、反応容器の減圧用排気口を110℃に加熱し続けた。得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/C)は2.4であり、末端カルボキシル基量は29eq/トン、末端OH基量は39eq/トンであった。
実施例5―Aと同様に行った。結果を表−1に示した。
実施例5−C
<ポリエステルCの製造>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオ−ル80.35g(0.89mol)、リンゴ酸0.37g(2.8×10-3mol、コハク酸に対して0.
33mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
ノール液をシリンジで反応系へ添加後、30分かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.07×103Paになるように減圧し、更に0.07×103Paの減圧下で3.5時間反応させポリエステルを得た。尚、減圧下での重縮合反応中は、反応容器の減圧用排気口を130℃に加熱し続けた。得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/C)は2.4であり、末端カルボキシル基量は15eq/トン、末端OH基量は69eq/トンであった。
<フィルムの作成・評価方法>
実施例5―Aと同様に行った。結果を表−1に示した。
比較例1−A
実施例1−Aにおいて、原料の仕込み時に0.33重量%の二酸化ゲルマニウム水溶液(15.15g)を、コハク酸100.3g(0.85mol)および1,4−ブタンジオール76.5g(0.85mol)の混合物に仕込んだ以外は実施例1−Aと同様な方法で重縮合反応を行った。0.07×103Paの減圧下での重合反応を4.5時間行っ
たが、低粘度のポリエステル(還元粘度(ηsp/C):0.63)しか得られなかった。
実施例1−Aにおいて、原料の仕込み時に0.33重量%の二酸化ゲルマニウム水溶液(15.15g)を、コハク酸100.3g(0.85mol)および1,4−ブタンジオール78.8g(0.87mol)の混合物に仕込んだ以外は実施例1−Aと同様な方法で重縮合反応を行った。0.07×103Paの減圧下での重合反応を4.5時間行っ
たが、比較例1−Aで得られた粘度以上のポリエステルは得られなかった。
実施例1−Aにおいて、78.8g(0.87mol)の1,4−ブタンジオールの代わりに、88.8g(0.98mol)の1,4−ブタンジオールを仕込んだ以外は実施例1−Aと同様な方法で重縮合反応を行った。0.07×103Paの減圧下での重合反
応を4.5時間行ったが、比較例1−Aで得られた粘度以上のポリエステルは得られなかった。
実施例1−Aにおいて、触媒として二酸化ゲルマニウムを予め1.0重量%溶解させた90%乳酸水溶液(5.31g、0.053mol)を、コハク酸100.3g(0.85mol)、リンゴ酸を0.035g(2.6×10-4mol、全体としてコハク酸に対して0.04mol%)および1,4−ブタンジオール84.18g(0.93mol)の混合物に仕込んだ以外は実施例1−Aと同様の方法で重縮合反応を行った。0.07×103Paの減圧下での重合反応が約4時間までは撹拌トルクの上昇が観測されたが(経
験的にはポリエステルの還元粘度(ηsp/C)は約1.9)、それ以降は乳酸成分の留出と共に撹拌トルクの低下が観測され、更に1時間反応させた後に得られたポリエステルの
還元粘度(ηsp/C)は1.5であった。
Claims (13)
- 脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位及び25℃におけるpKa値が3.7以下の有機酸単位を含有するポリエステルであって、該ポリエステル中に含まれるカーボネート結合の含有量が、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、1モル%未満、ウレタン結合の含有量が0.06モル%未満、脂肪族モノオキシモノカルボン酸単位の含有量が0.02モル%未満、有機ホスフィン酸、有機ホスホン酸及びリン酸水素塩から選ばれるリン含有化合物由来のリン原子の含有量が10-9 モル%未満であり、還元粘度(ηsp
/C)が1.6以上であることを特徴とする脂肪族ポリエステル。 - 25℃におけるpKa値が3.7以下の有機酸単位の含有量が、脂肪族ジカルボン酸単位に対し0.0001〜0.4モル%である、請求項1に記載の脂肪族ポリエステル。
- 脂肪族ジオール単位が、エチレングリコール単位及び/又は1,4−ブタンジオール単位である、請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル。
- 脂肪族ジカルボン酸単位が、アジピン酸及び/又はコハク酸である、請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル。
- 25℃におけるpKa値が3.7以下の有機酸単位が、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸及びフマル酸から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル。
- 脂肪族ポリエステルの末端COOH基数が、50eq/トン以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル。
- 脂肪族ポリエステルを、厚み150±25μmのフィルム状試験片とし、温度50℃、相対湿度90%R.H.の条件で28日間保持したときの還元粘度保持率が80%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル。
- 25℃におけるpKa値が3.7以下の有機酸、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体、並びに脂肪族ジオールをエステル化及び/又はエステル交換反応させ、その後、溶解又は溶融させた重合触媒の存在下、無溶媒下で溶融重縮合することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 触媒が、周期表3〜6族の元素を含有するものである、請求項8に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 重合触媒の使用量が、生成する脂肪族ポリエステルに対する金属量として5ppm以上30000ppm以下である、請求項8または9に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 溶融重縮合を、0.03×103Pa以上1.4×103Pa以下の減圧下、180℃以上250℃以下の温度で行う、請求項8〜10のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 溶融重縮合を、脂肪族ジカルボン酸及びその酸無水物のうち少なくとも1種を留去しながら行う、請求項8〜11のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 溶融重縮合を、減圧用排気口を具備した攪拌槽型反応器を用い、且つ、該減圧用排気口
の温度を、脂肪族ジカルボン酸無水物の融点又は重縮合反応時の真空度における脂肪族ジカルボン酸無水物の沸点のいずれか低い方の温度以上に保持しながら行う、請求項12に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
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