JP4360256B2 - 脂肪族ポリエステル - Google Patents

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Description

本発明は脂肪族ポリエステルに関する。詳しくは、着色が少なく且つ充分に高分子量化された脂肪族ポリエステルに関するものである。
生分解性を有する脂肪族ポリエステルは、環境問題に対する意識の高まりから、より環境負荷を回避する樹脂として、繊維、成形品、フィルムやシート等への応用がはかられている。例えば、生分解性を有するポリブチレンサクシネート及び/又はポリブチレンアジピネートは、ポリエチレンと似た力学特性を持つことからポリエチレン代替の汎用樹脂として開発されている。
一般に、経済的に有利なポリエステルの製造方法としては、触媒の存在下でのジカルボン酸とジオールとの直接エステル化反応、或いは、ジカルボン酸のアルキルエステルとジオールとのエステル交換反応によりエステル低重合体を製造後、これを加熱減圧下でエステル交換反応を行いながら生成するジオールを反応系から留去して高重合度のポリエステルを製造する方法が古くから知られ、採用されている。
しかしながら、脂肪族ポリエステルの場合はその熱安定性が低い場合が多く、重合反応中に熱分解による分子量の低下が引き起こされる為、従来のポリエステルの製造方法では実用上十分な強度を有する高重合度のポリエステルが容易には得られず、また、一旦熱分解が引き起こされると著しく着色する傾向があった。そのような背景から、その製造方法には種々の工夫がなされている。
一般に、高重合度のポリエステルの製造方法としては、例えば、チタン化合物やジルコニウム化合物を触媒として溶融重合を行い、鎖延長剤としてジイソシアネート(例えば、特許文献1参照)やジフェニルカーボネート(例えば、特許文献2参照)を添加してポリマー鎖長を延ばすことによりポリマーの溶融粘度を高める方法が提案されている。これらの鎖延長剤を添加する方法は、ポリエステルの分子量を容易に増大させることができるため、一見、脂肪族ポリエステルの有効な製造方法と考えられるが、通常、反応工程が2段階になり工程が煩雑になること、また、得られるポリエステルについては、その結晶性や融点が若干低下することに加えて、分子中にウレタン結合やカーボネート結合が含まれているので生分解性が低下する傾向にあること、などの問題がある。
また、分岐剤として、ジカルボン酸に対して0.5〜5モル%量の3官能オキシカルボン酸或いは0.1〜3モル%量の4官能オキシカルボン酸を添加してポリエステルの構造を架橋構造にする方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このように3官能や4官能のオキシカルボン酸を多量に導入して溶融粘度を上げたポリエステルは、熱安定性の低下の要因となりうるポリマー末端(水酸基やカルボキシル基)濃度が高くなる傾向があり、また、実用上の物性もまた不十分である。従って、殆どの場合、重合後期に更にジイソシアネートを添加してポリマーの末端数を減少させると共にポリマーの分子量を高める工夫がなされている(例えば、特許文献4参照)。
一方、イソシアネートやカーボネート等の鎖延長剤を用いることなく高分子量化する方法もいくつか提案されている。例えば、重合反応速度を高めるために、触媒として錫化合物を用いて有機溶媒中で反応中に生成する水を溶媒と共沸留去させながら脱水縮合を行う方法(例えば、特許文献5参照)、0.005〜0.1mmHgという非常に高真空で重縮合反応を行う方法(例えば、特許文献6参照)が開示されている。しかしながら、これ
らの製造方法は、製造工程が煩雑なばかりでなく極めて高額の設備投資を要する欠点を有する。また、この方法では、高重合度のポリエステル製造に長時間を要する為、製造中のポリマーの熱分解や着色が懸念される。
それに対して本特許出願人は、ジイソシアネートやジフェニルカーボネートが含有されない脂肪族ポリエステルとして、重合成分に乳酸等の二官能オキシカルボン酸を加えて3元系(1,4−ブチレングリコール、コハク酸、乳酸)又は4元系(1,4−ブチレングリコール、コハク酸、アジピン酸、乳酸)とし、触媒としてGe系触媒を用いると、高活性で高重合度のポリエステルが製造できることを提案した(例えば、特許文献7参照)。また、更に溶融粘度を高める目的で、上記重合系に3官能脂肪族オキシカルボン酸を加える方法を提案した(例えば、特許文献8参照)。しかしながら、これらの方法は、高温条件下でラクチド等の発生による熱分解や着色が引き起こされる場合があった。
特開平4−189822号公報 特開平8−301999号公報 特開平5−170885号公報 特開平5−178956号公報 特開平9−77862号公報 特開平5−310898号公報 特開平8−239461号公報 特開平8−259679号公報
本発明の目的は、重合時、成形時の着色が低減され、且つ充分に高分子量化された脂肪族ポリエステルを提供することにある。
本発明者らは上記実情に鑑みて、着色の少ない脂肪族ポリエステルの製造方法を鋭意検討した結果、意外にも、ポリマーの熱安定性や耐加水分解性を低減させる要因となりうる周期表の1族金属元素をポリマー中にある特定量含有させると、脂肪族ポリエステルの着色を低減させることが可能であるとの知見を得た。
即ち本発明の要旨は、ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を主体とする還元粘度が1.6以上のポリエステルであって、周期表1族金属元素を0.1ppm以上50ppm以下の範囲で含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル、に存する。
本発明のポリエステルは、重合時及び成形時の着色が低減され、且つ充分に高分子量化されたものであるので、各種成形品に適用可能である。
以下、本発明につき詳細に説明する。
<脂肪族ポリエステル>
本発明で製造されるポリエステルの最大の特徴は、脂肪族ポリエステル中に周期表の1族金属元素を0.1ppm以上50ppm以下の量で含有させて、ポリエステルの着色を改善する点にある。更に、これらの金属元素のポリエステル中の含有量を制御することによりその生分解性を制御することも可能となる。
本発明において、周期表の1族金属元素とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの群から選ばれる1種以上の金属である。これらは、カルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩またはβ―ジケトナート塩等の有機基を含む化合物及びこ
れらの混合物の形態で重合反応中に適量添加される。これらの中では、入手ならびにポリマーの製造のし易さ、そして安全性等の理由から、特に、金属元素としては、ナトリウム、カリウムが好ましく、化合物としては、カルボン酸塩ならびにアルコキシ塩が好ましい。
カルボン酸塩として用いられるカルボン酸としては、特に制限されないが、炭素数が2以上、上限が通常30以下、好ましくは20以下の脂肪族カルボン酸が好ましく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、デカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸や後述する本発明の脂肪族ポリエステルの構成成分であるジカルボン酸が挙げられる。これらの中では、入手のし易さや安全性等の観点から、酢酸、ステアリン酸、コハク酸及びアジピン酸が好ましく、その中でも酢酸、コハク酸及びアジピン酸がより好ましく、その中でも、酢酸ならびにコハク酸が特に好ましい。
一方、アルコキシ塩として本発明で用いられる用いられるアルコールとしては、特に制限されないが、炭素数が1以上、上限が通常30以下、好ましくは20以下の脂肪族アルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、n−アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、イソオクタノール、ノナノール、デカノール、イソウンデカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の直鎖または分岐の脂肪族モノアルコール、ならびに後述する本発明の脂肪族ポリエステルの構成成分であるジオール成分が挙げられる。これらの中では、やはり入手のし易さや安全性等の観点から、エタノール、ブタノール、ステアリルアルコール、ブタンジオールが好ましく、特にブタンジオールが好ましい。
本発明において、これらの金属元素のポリエステル中における含有量は、その含有量に応じてポリマーの生分解性を制御することも可能となるが、下限は、0.1ppm、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは1ppm以上である。一方、上限は、50ppm以下、好ましくは30ppm以下、より好ましくは10ppm以下で、その中でも5ppm以下が特に好ましい。含有量が少なすぎると、その添加効果が発現せず、一方、多すぎると、ポリマーの熱安定性や耐加水分解性を低減させるばかりでなく、重合中に重度の重合阻害を引き起こし、実用上十分な力学特性を有する高重合度のポリマーが得られない場合がある。
本発明のポリエステルの還元粘度(ηsp/c)値は、実用上十分な力学特性が得られる理由から、1.6以上であり、中でも1.8以上が好ましく、特に2.0以上が特に好ましい。還元粘度(ηsp/c)値の上限は、ポリエステルの重合反応後の抜き出し易さならびに成形のし易さ等の操作性の観点から、通常、6.0以下、好ましくは5.0以下、更に好ましくは4.0以下である。
本発明でいう還元粘度は以下の測定条件により測定されたものである。
〔還元粘度(ηsp/c)測定条件〕
粘度管:ウベローデ粘度管
測定温度:30℃
溶媒:フェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)溶液
ポリエステル濃度:0.5g/dl
本発明のポリエステルは、通常、ポリマーの熱安定性に著しく悪影響を与えるカルボン
酸末端量が少ない特徴があるため、熱安定性に優れ、成形時の品質の低下が少ない、即ち、溶融成形時に末端基の切断や、主鎖の切断等の副反応が少ないという特徴を有する。本発明によって得られるポリエステルの末端COOH基数は、ポリエステルの重合度にもよるが、通常、40eq/トン以下となる。従って、本発明において製造される好ましいポリエステルの末端COOH基数は、通常、40eq/トン以下、好ましくは35eq/トン以下、より好ましくは25eq/トン以下である。
<ジオール単位>
本発明においてジオール単位とは、芳香族ジオール及び/又は脂肪族ジオールから誘導されるものであり、公知の化合物を用いることができるが、脂肪族ジオールを使用するのが好ましい。脂肪族ジオールとは、2個のOH基を有する脂肪族及び脂環式化合物であれば特に制限はされないが、炭素数の下限値が2以上であり、上限値が通常10以下、好ましくは6以下の脂肪族ジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。
この内、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロピレングリコ−ル及び1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルが好ましく、その中でも、エチレングリコール及び1,4−ブタンジオ−ルが好ましく、更には、1,4−ブタンジオ−ルが特に好ましい。全ジオール成分中の脂肪族ジオールの割合は、通常、全ジオール成分中、70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。
芳香族ジオールとしては、2個のOH基を有する芳香族化合物であれば、特に制限はされないが、炭素数の下限値が6以上であり、上限値が通常15以下の芳香族ジオールが挙げられる。芳香族ジオールの具体例としては、例えば、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、4,4‘−ジヒドロキシジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン及びビス(p−ヒドロキシフェニル)―2,2―プロパン等が挙げられる。本発明において、ジオール全量中、芳香族ジオールの含有量は、通常、30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
また、両末端ヒドロキシポリエーテルを上記の脂肪族ジオールと混合して使用してもよい。両末端ヒドロキシポリエーテルとしては、炭素数が下限値が通常4以上、好ましくは10以上であり、上限値が通常1000以下、好ましくは200以下、更に好ましくは100以下である。
両末端ヒドロキシポリエーテルの具体例としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ1,3−プロパンジオール及びポリ1,6−ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合ポリエーテル等を使用することもできる。これらの両末端ヒドロキシポリエーテルの使用量は、ポリエステル中の含量として、通常90重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下に計算される量である。
<脂肪族ジカルボン酸単位>
本発明において用いられる脂肪族ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体が使用される。脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常、炭素数が2以上12以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチ
ルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の低級アルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物も使用できる。これらは、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。これらの内、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、またはこれらの混合物が好ましく、脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸及びコハク酸のメチルエステル、またはこれらの混合物が好ましい。
本発明のポリエステルは、製造方法の一態様として、後述するように、これらの脂肪族ジカルボン酸及びその酸無水物環状体を反応系から留去しながらポリエステルを製造する形態を採ることができる。この場合、遊離の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体を生成させるためには、末端がカルボキシル基である方が有利であるため、上記のジカルボン酸成分としては脂肪族ジカルボン酸を用いるのが好ましい。具体的には、比較的分子量の小さい脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体が減圧下での加熱により比較的容易に留去できる点から、アジピン酸及びコハク酸が好ましく、特にコハク酸が好ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸は、無水マレイン酸等の石油資源誘導品を出発原料として製造することができるが、再生可能な植物資源から誘導される炭素源を出発原料としても製造することができる。植物資源から誘導される炭素源としては、通常、ガラクトース、ラクトース、グルコース、フルクトース、グリセロール、シュークロース、サッカロース、デンプン、セルロース等の炭水化物;グリセリン、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類等の発酵性糖質が用いられ、このうちグルコース、フルクトース、グリセロールが好ましく、特にグルコースが好ましい。より広義の植物由来原料としては、紙の主成分であるセルロースが好ましい。また、上記発酵性糖質を含有する澱粉糖化液、糖蜜なども使用される。これらの発酵性糖質は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの脂肪族ジカルボン酸の製造方法としては、植物資源から誘導される炭素源を微生物変換する方法も採られるが、その際、用いる微生物としては、ジカルボン酸の生産能を有すれば特に限定されないが、例えば、Anaerobiospirillum属 (USP 5143833)等の嫌気性細菌、Actinobacillus属(USP−5504004)、Escherichia属(
USP−5770435)等の通性嫌気性細菌、Corynebacterium属(JP111135
88)などの好気性細菌、Bacillus属、Rizobium属、Brevibacterium属、Arthrobacter属に属する好気性細菌(特開2003−235593)、Bacteroides ruminicola、Bacteroides amylophilus等の嫌気性ルーメン細菌、E.coli(J.Bacteriol.,57:147-158)又はE.coliの株の変異体(特表2000−500333、USP−6159738)を用いることができる。
上記の脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体の他に、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体を併用してもよい。芳香族ジカルボン酸の具体的な例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、前記した芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として上記脂肪族カルボン酸に加えて使用してもよい。この内、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
これらの他のジカルボン酸成分の使用量は、通常、ジカルボン酸全量中、50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは、10モル%以下である。
<その他の共重合成分>
本発明においては、上記のジオール成分とジカルボン酸成分に加えて、共重合成分を加えてもよい。
共重合成分の具体的な例としては、2官能のオキシカルボン酸や、架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物並びに3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物単位が挙げられる。これらの共重合成分の中では、高重合度のポリエステルが容易に製造できる傾向があるため、特に2官能及び/又は3官能以上のオキシカルボン酸が好適に使用される。その中でも、3官能以上のオキシカルボン酸は、後述する鎖延長剤を使用することなく、極少量で容易に高重合度のポリエステルを製造できるのでもっとも好ましい方法である。
2官能のオキシカルボン酸としては、具体的には、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等が挙げられるが、これらはオキシカルボン酸のエステルやラクトン、或いはオキシカルボン酸重合体等の誘導体であっても良い。また、これらオキシカルボン酸は単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれでもよく、形態としては固体、液体、または水溶液であってもよい。これらの中では、入手の容易な乳酸またはグリコール酸が特に好ましい。形態は、30〜95%の水溶液のものが容易に入手することができるので好ましい。高重合度のポリエステルを容易に製造する目的で2官能のオキシカルボン酸を共重合成分として使用する場合、その効果が発現する使用量の下限としては、通常、原料モノマーに対して通常、0.02モル%以上、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1.0モル%以上である。一方、使用量の上限は、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
3官能以上の多価アルコールとしては、具体的には、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられ、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物としては、具体的には、プロパントリカルボン酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物等が挙げられ、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
3官能以上のオキシカルボン酸としては、具体的には、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸等が挙げられ、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。特に、入手のし易さから、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸ならびにその混合物が好ましい。
上記の3官能以上の多官能化合物の使用量は、ゲルの発生原因となるため通常、ポリエステルを構成する全単量体単位に対して、上限値が通常、5モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、更に好ましくは、0.30モル%以下、特に好ましくは0.15モル%以下である。一方、高重合度のポリエステルを容易に製造する目的で3官能以上の化合物を共重合成分として使用する場合、その効果が発現する使用量の下限値としては、通常、0.0001モル%以上、好ましくは、0.001モル%以上、より好ましくは、0.005モル%以上、特に好ましくは0.01モル%以上である。
<鎖延長剤>
本発明の脂肪族ポリエステルは、カーボネート化合物やジイソシアネート化合物等の鎖延長剤を使用することもできるが、その量は、通常、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、カーボネート結合ならびにウレタン結合が10モル%以下である。しかしながら、本発明のポリエステルを生分解性樹脂として使用する観点からは、生分解性を阻害する可能性があるため、その使用量は、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、カーボネート結合が1モル%未満、好ましくは、0.5モル%以下、より好ましくは0.1モル%以下であり、ウレタン結合が、0.06モル%未満、好ましくは0.01モル%以下、より好ましくは0.001モル%以下である。
カーボネート化合物としては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどが例示される。その他、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、または異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物が使用可能である。
ジイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合体、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の公知のジイソシアネートなどが例示される。
また、その他の鎖延長剤として、ジオキサゾリン、珪酸エステルなどを使用してもよい。 珪酸エステルとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジヒドロキシラン等が例示される。
珪酸エステルは、環境保全ならびに安全性の面の理由からは、特にその使用量に制限はされないが、操作が煩雑になったり、重合速度に影響を与える可能性があるため、その使用量は少ない方が良い場合がある。従って、この含有量は、0.1 モル%以下とするの
が好ましく、10-5 モル%以下とするのが更に好ましい。
本発明においては実質上鎖延長剤を含有しないポリエステルが最も好ましい。但し、溶融テンションを高めるために、毒性の低い化合物を添加する限り、少量のパーオキサイドを添加してもよい。
<脂肪族ポリエステルの製造方法>
本発明における脂肪族ポリエステルの製造方法としては、従来の公知の方法が使用でき、例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合でポリエステルを製造する方法が好ましい。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下に行うのが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
重合触媒としては、一般には、周期表で、2族〜15族金属元素を含む化合物である。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびストロンチウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩またはβ―ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記
した金属の酸化物や複合酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が挙げられる。
更には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)等に記載される公知の層状珪酸塩を単独で或いは上記金属化合物と組み合わせた触媒を使用すると、重合速度が向上する場合があるため、このような触媒系もまた好んで使用される。
層状珪酸塩としては、具体的には、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク及び緑泥石群等が挙げらる。
これらの中では、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムを含む金属化合物、並びにそれらの混合物が好ましく、その中でも、特に、チタン化合物、ジルコニウム化合物及びゲルマニウム化合物が好ましい。また、触媒は、重合時に溶融或いは溶解した状態であると重合速度が高くなる場合がある為、重合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステルに溶解する化合物が好んで使用される。
チタン化合物としては、テトラアルキルチタネートが好ましく、具体的には、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−t−ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート及びこれらの混合チタネートが挙げられる。また、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタン(ジイソプロキシド)アセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、チタンビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、チタン(トリエタノールアミネート)イソプロポキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ブチルチタネートダイマー等も好んで用いられる。更には、酸化チタンや、チタンと珪素を含む複合酸化物(例えば、Acordis Industrial Fibers社製のチタニア/シリカ複合酸化物(製品名:C−94))も好んで
用いられる。これらの中では、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート及びテトラ−n−ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマー、酸化チタン、チタニア/シリカ複合酸化物(例えば、Acordis Industrial Fibers社
製の製品名:C−94)が好ましく、テトラ−n−ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマー、チタニア/シリカ複合酸化物(例えば、Acordis Industrial Fibers社製の製品名:C−94)がより好ましく、特に
、テトラ−n−ブチルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニア/シリカ複合酸化物(例えば、Acordis Industrial Fibers社製の製品名:C−94)が好ましい。
ジルコニウム化合物としては、具体的には、ジルコニウムテトラアセテイト、ジルコニウムアセテイトヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニルジアセテイト、シュウ酸ジルコニウム、シュウ酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウムカリウム、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテ
トラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシド、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネートならびにそれらの混合物が例示される。更には、酸化ジルコニウムや、例えばジルコニウムと珪素を含む複合酸化物も好適に使用される。これらの中では、ジルコニルジアセテイト、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニウムテトラアセテイト、ジルコニウムアセテイトヒドロキシド、シュウ酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジルコニウムカリウム、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシドが好ましく、ジルコニルジアセテイト、ジルコニウムテトラアセテイト、ジルコニウムアセテイトヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、シュウ酸ジルコニウムアンモニウム、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドがより好ましく、特にジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレートが着色のない高重合度のポリエステルが容易に得られる理由から好ましい。
ゲルマニウム化合物としては、具体的には、酸化ゲルマニウムや塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物、テトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物が挙げられる。価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム及びテトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特に、酸化ゲルマニウムが好ましい。
これらの重合触媒として金属化合物を用いる場合の触媒添加量は、生成するポリエステルに対する金属量として、下限値が通常、0.1ppm以上、好ましくは1ppm以上であり、上限値が通常、30000ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは250ppm以下である。使用する触媒量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなく、残留触媒濃度の増大によりポリマーの熱安定性や耐加水分解性が低下する場合がある。逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリマー製造中にポリマーの分解が誘発され、実用上有用な物性を示すポリマーが得られにくくなる。
また、生分解性の機能を有し且つ環境に優しい脂肪族ポリエステルを提供する本発明の趣旨からは、上記の重合触媒の中で、特に、錫含有化合物やアンチモン含有化合物は、毒性が比較的高いため、それらの化合物の使用量を制限するのが好ましい。従って、錫含有化合物やアンチモン含有化合物を重合触媒として使用する場合の使用量は、錫化合物触媒の場合、生成するポリエステルに対する金属量として、通常、60ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下であり、一方、アンチモン化合物触媒の場合は、生成するポリエステルに対する金属量として、通常、100ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下である。
更に、塩酸や硫酸等の鉱酸或いはそれらの塩、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、エチル硫酸等の硫酸エステル、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸、燐酸、次亜燐酸、ピロ亜燐酸、亜燐酸、次燐酸、ピロ燐酸、三燐酸、メタ燐酸、ペルオクソリン酸、ポリ燐酸等の無機燐酸、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素カルシウム、ポリリン酸水素アンモニウム、ポリリン酸水素マグネシウム、ポリリン酸水素カルシウム等の無機リン酸水素塩、フェニルホスフィン酸、ベンジルホスフィン酸、メチルホスフィン酸、n−ブチルホスフィン酸、シクロヘキシルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸等の有機ホスフィン酸、およびフェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、メチルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸等の有機ホスホン酸を助触媒とした触媒系も使用できる。
しかしながらこれらのプロトンを放出する酸性化合物は、一般には、例えば、原料のブタンジオールからテトラヒドロフランのような副生生物を発生させるばかりか(化学大辞
典、7巻、p850、共立出版(1962))、最終生成物の酸濃度を高くしてポリエステ
ルの熱安定性ならびに後述する耐加水分解性を低下させる恐れがあるため、その使用は好ましくない。従って、これらのプロトンを放出する酸性化合物のポリエステル中における含有量は、特に限定はされないが、通常、10-5モル%以下、好ましくは、10―8モル
%以下、特に好ましくは10―9モル%以下が好ましい範囲であるが、実質的に含まれな
いものが最も好ましい。
また、これらの酸性化合物の中でも、特に、有機ホスフィン酸及び/又は有機ホスホン酸を助触媒として用いる場合は、これらの化合物が、上述の酸性化合物の欠点に加えて、金属重合触媒とアダクトを形成し易く、触媒の反応活性点であるルイス酸点を抑える傾向がある為、触媒反応が遅くなり、その結果、高重合度のポリエステルが得られない場合がある。また、リン酸水素塩を助触媒として用いる場合は、やはり同様の酸性化合物としての欠点を有するばかりでなく、例えば、リン酸のような酸とは異なりリン酸水素塩の対カチオンが重合反応後のポリマー中に残存する為、これらの残存カチオンがポリマー中でルイス酸となって働き、ポリエステルの耐加水分解性を低下させる場合がある。従って、本発明のポリエステルにおいては、有機ホスフィン酸、有機ホスホン酸及びリン酸水素塩から選ばれるリン含有化合物由来のリン原子のポリエステル中における含有量の上限は、ポリエステルを構成する全構成単位のモル数に対し、10-9 モル%未満である必要があり
、好ましくは、10-10モル%以下であるが、実質的に含まれないものが最も好ましい。
温度、時間、圧力などの条件は、従来公知の範囲を採用できる。
ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、常圧が好ましい。
反応時間は、通常1時間以上であり、上限が通常10時間以下、好ましくは、4時間以下である。
その後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.01×103Pa以上、好ましくは0
.03×103Pa以上であり、上限が通常1.4×103Pa以下、好ましくは0.6×103Pa以下、更に好ましくは0.3×103Pa以下の真空度下として行う。この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。
本発明において、ジカルボン酸成分として脂肪族カルボン酸に加えて芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルを混合して使用する場合は、特に添加順序には限定はなく、例えば、第1として、原料のモノマーを一括に反応釜に入れて反応することもできるし、第2として、ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とをエステル化反応又はエステル交換反応させた後、ジオール成分と芳香族ジカルボン酸又はその誘導体をエステル化反応又はエステル交換反応させ、更に重縮合反応させる方法等種々の方法を採用することができる。
本発明においてポリエステルを製造する反応装置としては、公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。例えば、溶融重合を同一又は異なる反応装置を用いて、エステル化及び/又はエステル交換の工程と減圧重縮合の工程の2段階で行い、減圧重縮合の反応器としては、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を具備した攪拌槽型反応器を使用する方法が挙げられる。また、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には、凝縮器が結合されており、該凝縮器にて縮重合反応中に生成する揮発成分や未反応
モノマーが回収される方法が好んで用いられる。
本発明においては、ポリエステルの製造方法として、従来の、上記の脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下で、ポリエステルのアルコール末端のエステル交換反応により生成するジオールを留去しながらポリエステルの重合度を高める方法、或いは、ポリエステルの脂肪族カルボン酸末端から脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体を留去させながらポリエステルの重合度を高める方法が用いられる。後者の場合、脂肪族カルボン酸及び/又はその無水物環状体の除去は、通常、上記溶融重合工程における後段の減圧下での重縮合反応中に脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体を加熱留出させる方法が採られるが、重縮合反応条件下では、脂肪族ジカルボン酸は容易に酸無水物環状体になりやすいため、酸無水物環状体の形態で加熱留出させる場合が多い。また、その際、ジオールから誘導される鎖状又は環状エーテル及び/又はジオールもまた脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体と共に除去されてもよい。更に、ジカルボン酸成分とジオール成分の環状単量体を共に留去させる方法は、重合速度が向上するため、好ましい態様である。
本発明においては、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体を留去する方法により高重合度のポリエステルを製造する場合には、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管の反応容器側排気口の温度を、脂肪族ジカルボン酸無水物環状体の融点、或いは重縮合反応時の真空度での脂肪族ジカルボン酸無水物環状体の沸点のいずれか低い方の温度以上に保持すると生成する酸無水物環状体が効率よく反応系から除去でき、目的の高重合度のポリエステルが短時間で製造できるため好ましい。更には、反応容器側排気口から凝縮器までの配管温度を酸無水物環状体の融点、或いは重縮合反応時の真空度での沸点のいずれか低い方の温度以上に保持するとより好ましい。
本発明において、目的とする重合度のポリエステルを得るためのジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比は、その目的や原料の種類により好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオール成分の量が、下限が通常0.8モル以上、好ましくは、0.9モル以上であり、上限が通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.2モル以下である。
更に、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体の留去により高重合度のポリエステルを製造する場合には、末端カルボン酸量が多い方が重合が有利であるため、従来の方法で用いられるような原料としてより過剰なジオールの使用は必要ではない。この場合もやはり目的とするポリエステルの重合度や種類によってジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比の好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオール成分の量が、下限が通常0.8モル以上、好ましくは、0.9モル以上、更に好ましくは0.95以上であり、上限が通常1.15モル以下、好ましくは1.1モル以下、更に好ましくは1.07モル以下である。
一方、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体を留去方法によるポリエステルの製造方法を用いると、製造されたポリエステルは、重合度が低い場合には、従来の方法に比べカルボン酸量末端が多い傾向がある為、ポリマーの熱安定性に著しく悪影響を与えるカルボン酸末端量の増大が懸念される。しかしながら、このような手法で得られるポリエステルも、重合度の尺度である還元粘度(ηsp/c)を高めることで、末端カルボン酸量が低く、耐熱安定性、耐加水分解性にすぐれたポリエステルとなる。
本発明のポリエステルには、特性が損なわれない範囲において各種の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤及び紫外線吸収剤等を重合
時に添加してもよい。
また、成形時に上に示した各種の添加剤の他に、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウィスカー、マイカ、タルク、CaCO3、TiO2、シリカ等の強化剤及び増量剤を添加して成形することもできる。
<脂肪族ポリエステルの用途>
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、耐熱性、色調に優れ、更に耐加水分解性や生分解性にも優れ、しかも安価に製造できるので、各種のフィルム用途や射出成形品の用途に適している。
具体的な用途としては、射出成型品(例えば、生鮮食品のトレーやファーストフードの
容器、野外レジャー製品など)、押出成型品(フィルム、シート等、例えば釣り糸、漁網、植生ネット、保水シートなど)、中空成型品(ボトル等)等が挙げられ、更にその他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、マルチフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、手術糸、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材フィルム及び合成紙などに利用可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
着色の度合いを表すYI値は、JIS K7103の方法に基づいて測定した。
実施例1
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料として0.25mgの酢酸カリウムならびに2.5mgの酢酸ナトリウムを含むコハク酸100.3g(0.85mol)、1,4―ブタンジオール88.8g(0.98mol)、リンゴ酸0.37g(2.8mmol)ならびに触媒として二酸化ゲルマニウムを予め0.98重量%溶解させた88%乳酸水溶液5.42g(0.05mol)を仕込み、窒素―減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
次に、系内を撹拌しながら220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、30分かけて230℃まで昇温し、同時に1.5時間かけて0.07×103Paになるよ
うに減圧し、同減圧度で2.5時間反応を行い重合を終了し、白色のポリエステルを得た。
得られたポリエステル中のナトリウム及びカリウムの理論含有量は、合計5ppmであり、還元粘度(ηsp/c)は2.4、着色の度合いを表すYI値は3.4であった。
比較例1
実施例1において、0.25mgの酢酸カリウムならびに2.5mgの酢酸ナトリウムを含むコハク酸100.3g(0.85mol)の代わりにこれらの金属塩を含まないコハク酸100.3g(0.85mol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.4であり、着色の度合いを表すYI値は6.0であった。
比較例2
実施例1において、0.25mgの酢酸カリウムならびに2.5mgの酢酸ナトリウムを含むコハク酸100.3g(0.85mol)の代わりに51mgの酢酸カリウムを含むコハク酸100.3g(0.85mol)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。この重合系では、著しい重合阻害が観測され、実用上充分な機械物性を示すポリエス
テルは製造できなかった。尚、得られたポリエステル中のカリウムの理論含有量は130ppmであり、還元粘度(ηsp/c)は0.4であった。

Claims (6)

  1. ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を主体とする還元粘度が1.6以上のポリエステルであって、周期表1族金属元素を0.1ppm以上50ppm以下の範囲で含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル。
  2. ポリエステル中に含まれるカーボネート結合の含有量が、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し1モル%未満である、請求項1に記載の脂肪族ポリエステル。
  3. ポリエステル中に含まれるウレタン結合の含有量が、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し0.06モル%未満である、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステル。
  4. 周期表1族金属元素が、カルボン酸塩由来の金属元素である、請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル。
  5. ポリエステルが、3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸および3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の3官能以上の多官能化合物単位を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪族ポリエステル。
  6. 3官能以上の多官能化合物単位の含有量が、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して0.0001モル%以上0.5モル%以下である、請求項5に記載の脂肪族ポリエステル。
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