JP2014114417A - 脂肪族ポリエステル - Google Patents

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Abstract

【課題】熱安定性が高く高分子量でありながら、成型性に優れた脂肪族ポリエステルを提供する。
【解決手段】主たる繰り返し単位が脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位であるポリエステルであって、該ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、芳香族ジカルボン酸単位を0.025モル%以上5モル%以下 の範囲で含有することを
特徴とする脂肪族ポリエステル。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステルに関する。詳しくは、高分子量でかつ熱安定性の高い脂肪族ポリエステルに関するものである。
生分解性を有する脂肪族ポリエステルは、環境問題に対する意識の高まりから、より環境負荷を回避し得る樹脂として、繊維、成形品、フィルムやシート等への応用がはかられている。例えば、生分解性を有するポリブチレンサクシネート及び/又はポリブチレンアジペートは、ポリエチレンと似た力学特性を持つことからポリエチレン代替の汎用樹脂として開発されている。
一般に、経済的に有利なポリエステルの製造方法としては、触媒の存在下でのジカルボン酸とジオールとの直接エステル化反応、或いは、ジカルボン酸のアルキルエステルとジオールとのエステル交換反応によりエステル低重合体を製造後、これを加熱減圧下でエステル交換反応を行いながら、生成するジオールを反応系から留去して高重合度のポリエステルを製造する方法が古くから知られ、採用されている。
しかしながら、脂肪族ポリエステルの場合はその熱安定性が低い場合が多く、重縮合反応中に熱分解による分子量の低下が起こる為、従来のポリエステルの製造方法では実用上十分な強度を有する高重合度のポリエステルが容易には得られず、また、一旦熱分解が引き起こされると著しく着色する傾向があった。そのような背景から、その製造方法には種々の工夫がなされている。
一般に、高重合度のポリエステルの製造方法としては、例えば、チタン化合物やジルコニウム化合物を触媒として溶融重合を行い、鎖延長剤としてジイソシアネート(例えば、特許文献1参照)やジフェニルカーボネート(例えば、特許文献2参照)を添加してポリマー鎖長を延ばすことによりポリマーの溶融粘度を高める方法が提案されている。これらの鎖延長剤を添加する方法は、ポリエステルの分子量を容易に増大させることができるため、一見、脂肪族ポリエステルの有効な製造方法と考えられるが、通常、反応工程が2段階になり工程が煩雑になること、また、得られるポリエステルについては、その結晶性や融点が若干低下することに加えて、分子中のウレタン結合やカーボネート結合によって生分解性が低下する傾向にあること、などの問題がある。
また、分岐剤として、ジカルボン酸に対して0.5〜5モル%量の3官能オキシカルボン酸或いは0.1〜3モル%量の4官能オキシカルボン酸を添加してポリエステルの構造を分岐構造にする方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、このように3官能や4官能のオキシカルボン酸を多量に導入して溶融粘度を上げたポリエステルは、熱安定性の低下の要因となりうるポリマー末端(水酸基やカルボキシル基)濃度が高くなる傾向があり、また、実用上の物性も不十分である。
特開平4−189822号公報 特開平8−301999号公報 特開平5−170885号公報
本発明の目的は、熱安定性が高く高分子量でありながら、成型性に優れた脂肪族ポリエステルを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、脂肪族ジオール成分と脂肪族カルボン酸成分からなる脂肪族ポリエステルに、芳香族ジカルボン酸を所定の割合で含有させることによって、生分解性の特性を維持しつつ、分子量を増大させ、各種物性や成形性に優れた脂肪族ポリエステルが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は「主たる繰り返し単位が脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位であるポリエステルであって、該ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、芳香族ジカルボン酸単位を0.025モル%以上5モル%以下 の範囲で含有する
ことを特徴とする脂肪族ポリエステル」に存する。
本発明によれば、熱安定性が高く高分子量でありながら、成型性に優れた脂肪族ポリエステルが提供される。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の態様に限定されるものではない。
まず、本発明の主たる繰り返し単位が脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位であり、規定量の芳香族ジカルボン酸を含有する脂肪族ポリエステル(以下「本発明の脂肪族ポリエステル」と称す場合がある。)について説明する。
本発明の脂肪族ポリエステルは、主たる繰り返し単位が脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位である脂肪族ポリエステルに、芳香族ジカルボン酸単位が規定の量含有されていることを必須とする。
主たる繰り返し単位が脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位である脂肪族ポリエステルとは、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位の和が、80モル%以上であることを意味し、好ましくは85モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上、最も好ましくは95モル%以上である。
<脂肪族ジオール>
本発明に係る脂肪族ジオールとしては、2個のヒドロキシ基を有する脂肪族化合物であれば特に制限はされないが、炭素数の下限値が2以上であり、上限値が通常10以下、好ましくは6以下の脂肪族ジオールが挙げられる。これらの中では、より融点の高いポリエステルが得られる理由から炭素数が偶数の脂肪族ジオール又はそれらの混合物が好ましい。
脂肪族ジオールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。
この内、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ
ール及び1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルが好ましく、その中でも、エチレングリコール及び1,4−ブタンジオ−ル、及びこれらの混合物が好ましく、更には、1,4−ブタンジオ−ルを主成分とするもの、又は、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。ここでいう主成分とは、全脂肪族ジオール単位に対して、通常60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上を占める成分をさす。
また、両末端ヒドロキシポリエーテルを上記の脂肪族ジオールと混合して使用してもよい。両末端ヒドロキシポリエーテルとしては、炭素数の下限値が通常4以上、好ましくは10以上であり、上限値が通常1000以下、好ましくは200以下、更に好ましくは100以下であるものが挙げられる。
両末端ヒドロキシポリエーテルの具体例としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ1,3−プロパンジオール及びポリ1,6−ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合ポリエーテル等を使用することもできる。これらの両末端ヒドロキシポリエーテルの使用量は、ポリエステル中の両末端ヒドロキシポリエーテル単位の含量として、通常90重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
本発明において、これらのジオールは、バイオマス資源から誘導されたものを用いてもよい。具体的には、ジオール化合物はグルコース等の炭素源から発酵法により直接製造してもよいし、発酵法により得られたジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、環状エーテルを化学反応によりジオール化合物に変換してもよい。
例えば発酵法により得られたコハク酸、コハク酸無水物、コハク酸エステル、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸エステル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン等から化学合成により1,4−ブタンジオールを製造してもよいし、発酵法により得られた1,3−ブタジエンから1,4−ブタンジオールを製造してもよい。この中でもコハク酸を還元触媒により水添して1,4−ブタンジオールを得る方法が効率的で好ましい。
<脂肪族ジカルボン酸>
本発明に係る脂肪族ジカルボン酸としては、2個のカルボキシル基を有する脂肪族化合物であれば特に制限はされないが、炭素数の下限値が2以上であり、上限値が通常12以下、好ましくは6以下の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常、炭素数が2以上12以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の炭素数1〜4のアルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物も使用することができる。これらは、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。これらの内、炭素数2以上6以下の鎖状脂肪族ジカルボン酸が好ましく、具体的にはアジピン酸、コハク酸、またはこれらの混合物が好ましい。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸及びコハク酸のメチルエステル、またはこれらの混合物が好ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸は、石油資源誘導品を出発原料として製造することができるが、再生可能な植物資源から誘導される炭素源を出発原料としても製造することができる。植物資源から誘導される炭素源としては、通常、ガラクトース、ラクトース、グルコース、フルクトース、グリセロール、シュークロース、サッカロース、デンプン、セルロ
ース等の炭水化物;グリセリン、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類等の発酵性糖質が用いられ、このうちグルコース、フルクトース、グリセロールが好ましく、特にグルコースが好ましい。より広義の植物由来原料としては、紙の主成分であるセルロースが好ましい。また、上記発酵性糖質を含有する澱粉糖化液、糖蜜なども使用される。これらの発酵性糖質は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの脂肪族ジカルボン酸の製造方法としては、植物資源から誘導される炭素源を微生物変換する方法も採られるが、その際、用いる微生物としては、ジカルボン酸の生産能を有すれば特に限定されないが、例えば、Anaerobiospirillum属 (USP 5143833)等の嫌気性細菌、Actinobacillus属(USP−5504004)、Escherichia属(
USP−5770435)等の通性嫌気性細菌、Corynebacterium属(JP111135
88)などの好気性細菌、Bacillus属、Rizobium属、Brevibacterium属、Arthrobacter属に属する好気性細菌(特開2003−235593)、Bacteroides ruminicola、Bacteroides amylophilus等の嫌気性ルーメン細菌、E.coli(J.Bacteriol.,57:147-158)又はE.coliの株の変異体(特表2000−500333、USP−6159738)を用いることができる。
<芳香族ジカルボン酸>
本発明に係る芳香族ジカルボン酸としては、カルボキシル基を二つ有する芳香族化合物であれば特に限定されない。芳香族化合物とは、芳香族性を有している化合物であればよく、1個または複数個のベンゼン環が縮合または連結された芳香族環を構造中に有するベンゼン系芳香族化合物、ベンゼン環をもたないが芳香族性を示す非ベンゼノイド芳香族化合物が挙げられる。
中でもベンゼン系芳香族ジカルボン酸が、反応性の点から好ましく用いられ、ベンゼン環が縮合または連結されている芳香族環の数は、通常1〜5個、好ましくは1〜3個、特に好ましくはベンゼン環を1個又は2個有するジカルボン酸化合物である。芳香族環の数が多いと反応性の低下から十分な分子鎖延長作用を有さない場合がある。
具体的には、ベンゼン環を一つ有する芳香族ジカルボン酸化合物としてテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸;芳香族環を複数有する芳香族ジカルボン酸化合物として、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸;非ベンゼノイド芳香族ジカルボン酸としてピリジンジカルボン酸、フランジカルボン酸、チオフェンジカルボン酸等の複素環化合物類が挙げられる。尚、ジカルボン酸の置換基位置は特に限定されない。
また、これら芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステル誘導体であってもよい。
これらの中で、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はそれらの炭素数1〜4のアルキルエステル誘導体が好ましく、特にテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はこれらの炭素数1〜2のアルキルエステル誘導体が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の脂肪族ポリエステルにおける芳香族ジカルボン酸の含有量はポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して0.025モル%以上5モル%以下である。好ましくは0.05モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、最も好ましくは0.3モル%以上であり、一方上限は、好ましくは4モル%以下、より好ましくは3モル%以下、特に好ましくは2モル%以下である。ポリエステル中の芳香族ジカルボン酸単位が多す
ぎると生分解性が悪化し、少なすぎると固有粘度及び末端カルボキシル基量が向上しない。
本発明の脂肪族ポリエステルに芳香族ジカルボン酸単位が含有されることで、固有粘度が上昇し末端カルボキシル基量が減少する詳細な作用は不明であるが、本発明者等は、一定の分子鎖長を持つポリエステルオリゴマー同士の鎖延長剤として芳香族ジカルボン酸成分が作用することで、分子鎖長の成長を促進させ上記効果が得られるものと考えられる。
より詳細には、芳香族ジカルボン酸を規定量含有することで、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の反応性の違いによって、初期には脂肪族ジカルボン酸の縮合によるオリゴマー成長が先行し、その後芳香族ジカルボン酸がオリゴマー同士の鎖延長を行うものと考える。
<その他の共重合成分>
本発明の脂肪族ポリエステルにおいては、さらにその他の共重合成分を加えることで、重合速度や各種物性が向上する場合がある。
その他の共重合成分の具体的な例としては、2官能のオキシカルボン酸や、架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物並びに3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物が挙げられる。これらの共重合成分の中では、高重合度の共重合ポリエステルが容易に製造できる傾向があるため、特に2官能及び/又は3官能以上のオキシカルボン酸が好適に使用される。その中でも、3官能以上のオキシカルボン酸の使用は、極少量で容易に高重合度のポリエステルを製造できるので最も好ましい。
2官能のオキシカルボン酸としては、具体的には、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等が挙げられるが、これらはオキシカルボン酸のエステルやカプロラクトン等のラクトン、或いはオキシカルボン酸重合体等の誘導体であってもよい。また、これらオキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物として使用することもできる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、又はラセミ体のいずれでもよい。これらの中では、入手の容易な乳酸又はグリコール酸が特に好ましい。その入手形態としては、30〜95重量%の水溶液のものが容易に入手することができる点で好ましい。
上記2官能のオキシカルボン酸の量は、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して下限としては、通常0.02モル%以上、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1.0モル%以上である。一方、使用量の上限は、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
3官能以上の多価アルコールとしては、具体的には、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられ、これらは単
独でも、2種以上の混合物として使用することもできる。
3官能以上の多価カルボン酸又はその無水物としては、具体的には、プロパントリカルボン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物等が挙げられ、これらは単独でも、2種以上の混合物として使用することもできる。
3官能以上のオキシカルボン酸としては、具体的には、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸等が挙げられ、これらは単独でも、2種以上の混合物として使用するこ
ともできる。特に、入手のし易さから、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸ならびにその混合物が好ましい。
上記の3官能以上の多官能化合物単位の量は、ゲルの発生原因となるため、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、上限値が通常3モル%以下、好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.50モル%以下、特に好ましくは0.3モル%以下である。一方、高重合度のポリエステルを容易に製造する目的で3官能以上の化合物を共重合成分として使用する場合、その効果が発現する使用量の下限値としては、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、通常0.0001モル%以上、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.005モル%以上、特に好ましくは0.01モル%以上である。
<脂肪族ポリエステルの製造方法>
本発明の脂肪族ポリエステルの製造方法としては、従来の公知の方法が使用でき、例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合でポリエステルを製造する方法が好ましい。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下に行うのが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く1族〜15族金属元素を含む化合物である。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウムおよびカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩またはβ―ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物や複合酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が挙げられる。
更には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)等に記載される公知の層状珪酸塩を単独で或いは上記金属化合物と組み合わせた触媒を使用すると、重合速度が向上する場合があるため、このような触媒系もまた好んで使用される。
層状珪酸塩としては、具体的には、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク及び緑泥石群等が挙げらる。
これらの中では、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムを含む金属化合物、並びにそれらの混合物が好ましく、その中でも、特に、チタン化合物、ジルコニウム化合物及びゲルマニウム化合物が好ましい。また、触媒は、重合時に溶融或いは溶解した状態であると重合速度が高くなる場合がある為、重合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステルに溶解する化合物が好んで使用される。
チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネ
ート及びテトラ−n−ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテイト)ジヒドロキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマー、酸化チタン、チタニア/シリカ複合酸化物(例えば、Acordis Industrial Fibers社製の
製品名:C−94)が好ましく、テトラ−n−ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、ブチルチタネートダイマー、チタニア/シリカ複合酸化物(例えば、Acordis Industrial Fibers社製の製品名:C−94)等が好ましい。
ジルコニウム化合物としては、ジルコニルジアセテイト、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニウムテトラアセテイト、ジルコニウムアセテイトヒドロキシド、シュウ酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジルコニウムカリウム、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−t−ブトキシド等が好ましい。
ゲルマニウム化合物としては、具体的には、酸化ゲルマニウムや塩化ゲルマニウム等の無機ゲルマニウム化合物、テトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物が挙げられる。価格や入手の容易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム及びテトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、特に、酸化ゲルマニウムが好ましい。
これらの重合触媒として金属化合物を用いる場合の触媒添加量は、生成するポリエステルに対する金属量として、下限値が通常、0.1ppm以上、好ましくは1ppm以上であり、上限値が通常、30000ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは250ppm以下である。使用する触媒量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなく、残留触媒濃度の増大によりポリマーの熱安定性や耐加水分解性が低下する場合がある。逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリマー製造中にポリマーの分解が誘発され、実用上有用な物性を示すポリマーが得られにくい傾向がある。
また、生分解性の機能を有し且つ環境に優しい脂肪族ポリエステルを提供する観点からは、上記の重合触媒の中で、特に、錫含有化合物やアンチモン含有化合物は、毒性が比較的高いため、それらの化合物の使用量を制限するのが好ましい。従って、錫含有化合物やアンチモン含有化合物を重合触媒として使用する場合の使用量は、錫化合物触媒の場合、生成するポリエステルに対する金属量として、通常、60ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下であり、一方、アンチモン化合物触媒の場合は、生成するポリエステルに対する金属量として、通常、100ppm以下、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下である。
本発明の脂肪族ポリエステルを製造する際の温度、時間、圧力などの条件は、従来公知の範囲を採用することができる。
脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、常圧が好ましい。
反応時間は、通常1時間以上であり、上限が通常10時間以下、好ましくは、4時間以下である。
その後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.01×103Pa以上、好ましくは0
.03×103Pa以上であり、上限が通常1.4×103Pa以下、好ましくは0.6×103Pa以下、更に好ましくは0.3×103Pa以下の真空度下として行う。この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。反応時間は、下限が通常1時間以上であり、好ましくは2時間以上、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。
本発明の脂肪族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸化合物を規定量添加する必要がある。芳香族ジカルボン酸を添加するタイミングは、特に限定されない。例えば、第1として、原料のモノマーと一括に反応槽に入れて反応することもできるし、第2として、脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸成分をエステル化反応又はエステル交換反応させた後の任意の地点で芳香族ジカルボン酸化合物を添加し、更に重縮合反応させてもよく、第3として、重縮合反応終了後にポリエステル芳香族ジカルボン酸化合物を添加し、更に加熱減圧を加えて反応させる等の方法を採用することもできる。
本発明のポリエステルを製造する反応装置としては、公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。例えば、溶融重合を同一又は異なる反応装置を用いて、エステル化及び/又はエステル交換の工程と減圧重縮合の工程の2段階で行い、減圧重縮合の反応器としては、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を具備した攪拌槽型反応器を使用する方法が挙げられる。また、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には、凝縮器が結合されており、該凝縮器にて縮重合反応中に生成する揮発成分や未反応モノマーが回収される方法が好んで用いられる。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造において、従来の、上記の脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下で、ポリエステルのアルコール末端のエステル交換反応により生成するジオールを留去しながらポリエステルの重合度を高める方法、或いは、ポリエステルの脂肪族カルボン酸末端から脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体を留去させながらポリエステルの重合度を高める方法を用いてもよい。後者の場合、脂肪族カルボン酸及び/又はその無水物環状体の除去は、通常、上記溶融重合工程における後段の減圧下での重縮合反応中に脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体を加熱留出させる方法が採られるが、重縮合反応条件下では、脂肪族ジカルボン酸は容易に酸無水物環状体になりやすいため、酸無水物環状体の形態で加熱留出させる場合が多い。また、その際、脂肪族ジオールから誘導される鎖状又は環状エーテル及び/又はジオールもまた脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体と共に除去されてもよい。更に、ジカルボン酸成分とジオール成分の環状単量体を共に留去させる方法は、重合速度が向上するため、好ましい態様である。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造において、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物環状体を留去する方法により高重合度の脂肪族ポリエステルを製造する方法を用いる場合には、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管の反応容器側排気口の温度を、脂肪族ジカルボン酸無水物環状体の融点、或いは重縮合反応時の真空度での脂肪族ジカルボン酸無水物環状体の沸点のいずれか低い方の温度以上に保持すると、生成する酸無水物環状体が効率よく反応系から除去でき、目的の高重合度の脂肪族ポリエステルが短時間で製造できるため好ましい。更には、反応容器側排気口から凝縮器までの配管温度を酸無水物環状体の融点、或いは重縮合反応時の真空度での沸点のいずれか低い方の温度以上に保持するとより好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステルの製造において、目的とする重合度の脂肪族ポリエステルを得るための脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸成分とのモル比は、その目的や原
料の種類により好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオール成分の量が、下限が通常0.8モル以上、好ましくは、0.9モル以上、特に好ましくは0.95モル以上であり、上限が通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.2モル以下、さらに好ましくは1.1モル以下、最も好ましくは1.05モル以下である。
<脂肪族ポリエステル及びその用途>
本発明の脂肪族ポリエステルの固有粘度(IV)値は通常1.50dL/g以上であり、好ましくは1.55dL/g以上である。
上記固有粘度(IV)値は、重合度の尺度であり、製造したポリエステルが実用上十分な力学特性が得られる理由から、成型に不都合が起きない範囲であれば、一般に高いほどよいと言われている。この因子は、ポリエステル中のカルボキシル基末端濃度にも影響を与える因子であるが、ポリマーの粘度が上昇することにより疎水性が増して耐加水分解性が向上する場合がある。尚、本発明でいう固有粘度(IV)の測定条件は後述する。
本発明のポリエステルの末端カルボキシル基量(AV)は、通常、18.5eq/トン以下、好ましくは18eq/トン以下、より好ましくは15eq/トン以下、更に好ましくは10eq/トン以下である。このようなポリエステルは、熱安定性に優れ、成形時の品質の低下が少ない、即ち、溶融成形時に末端基の切断や、主鎖の切断等の副反応が少ないという特徴を有する。
一方、カルボキシル基末端が実質存在しないようなポリエステルの製造は、従来の製造法では、重合速度が極めて遅く、極めて高額の超高真空設備投資を要する。それに対し、生成するポリエステル及び/又はオリゴエステル中にカルボキシル基末端が存在すると重合速度が早く、容易に高重合度のポリエステルが得られる理由から、本発明における脂肪族ポリエステルには、通常、0.1eq/トン以上、好ましくは0.5eq/トン以上、特に1eq/トン以上濃度の末端カルボキシル基量が存在することが好ましい。
これらの末端濃度は、上記の製造時のジカルボン酸/ジオールの仕込みバランスを調整することにより制御することができる。また、これらの末端濃度制御の別法として、前記した少なくとも1種の3官能以上の化合物単位を適量重合系へ含有させて制御する方法も好んで用いられる。
この末端量比が低い重合系は、ポリエステルの重合製造時間が長くなり、それに伴うポリエステルの熱分解による分子量低下や着色が引き起こされるので、実用上充分な特性を示すポリエステルを製造する為には、超高真空設備の使用など極めて高額な設備投資を必要とする。一方、その量比が高い重合系は、耐加水分解性が低いポリエステルが製造されるか、あるいは、ポリエステルの粘度が高すぎて、重合反応後の抜き出しや成形性等に弊害が生じる傾向がある。
本発明のポリエステル中に含まれる触媒の金属量は、使用する触媒の金属種にもよるが、その使用量が少ない程、ポリエステルの加水分解性や熱分解性が低減できるばかりでなく、ポリマー中のカルボキシル基末端濃度が低いポリマーが得られる場合が多い。例えば、触媒としてチタン含有触媒を用いた場合に生成する脂肪族ポリエステル中に含有するチタン量を10ppm以下とすると、理由は未だ明らかになっていないが、上記のカルボキシル基末端数が10eq/トン以下の優れた耐加水分解性を示すポリエステルが容易に製造できる。
本発明により得られるポリエステルの190℃における溶融張力(以下、MTと略すことがある)は、通常1.5mN以上、好ましくは2.0mN以上、より好ましくは3.0
mN以上であり、また、その上限は、通常60mN以下、好ましくは50mN以下、より好ましくは40mN以下である。本発明のポリエステルの溶融張力が上記範囲にある場合、ブロー成形や発泡成形、シート作成等の各種成形過程において、優れた成型性が得られる傾向にある。また、これらの溶融張力の調整方法の一つとして、脂肪族ポリエステルに含まれる芳香族化合物の含有量や、多官能化合物の添加量を調整することで制御することが出来る。測定方法については後述する。
本発明により得られるポリエステルには、特性が損なわれない範囲において各種の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤及び紫外線吸収剤等を重合時に添加してもよい。
また、成形時に上に示した各種の添加剤の他に、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウィスカー、マイカ、タルク、CaCO3、TiO2、シリカ等の強化剤及び増量剤を添加して成形することもできる。
本発明により得られるポリエステルは、耐熱性、色調に優れ、更に耐加水分解性や生分解性にも優れ、しかも安価に製造できるので、各種のフィルム用途や射出成形品の用途に適している。
成形方法は特に限定されず、圧縮成形、積層成形、射出成形、押出成形、真空成型、圧空成型、ブロー成形等の公知の方法を用いることができる。
上記成形方法を用いて作られる成型体としては、フィルム、シート、発泡体、板、繊維、容器等が挙げられる。より具体的には、ラミネートフィルム、モノフィラメント、マルチフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、スプリットヤーン、複合繊維等が挙げられる。
これら成型体の用途は限定されず、具体的には食品用フィルム、生鮮食品のトレーやファーストフードの容器、野外レジャー製品、釣り糸、漁網、植生ネット、保水シート、コーティング資材、農業量マルチフィルム、肥料用コーティング材、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、手術糸、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材及び合成紙などに利用可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の諸例で採用した物性及び評価項目の測定方法は次の通りである。
<固有粘度(IV) dL/g>
ウベローデ型粘度計を使用し、次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において、濃度0.5g/dLのポリマー溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(1)より求めた。
IV=((1+4KHηSP)0.5−1)/(2KHC)・・・(1)
(ただし、ηSP=η/η−1であり、ηは試料溶液落下秒数、ηは溶媒の落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。)
<ポリエステルの末端カルボキシル基量(AV) eq/トン>
ペレット状ポリエステルを粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mLを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させた。次いで、クロロホルム5cmを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に、0.1
mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル試料を加えずに同様の操作を実施し、以下の式(2)によって末端カルボキシル基量(酸価)を算出した。
末端カルボキシル量(eq/トン)=(a−b)×0.1×f/w・・・(2)
ここで、aは、滴定に要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、bは、ブランクでの滴定に要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、wはポリエステルの試料の量(g)、fは、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。
尚、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は以下の方法で求めた。試験管にメタノール5cmを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液の指示薬として1〜2滴加え、0.lmol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4cmで変色点まで滴定し、次いで力価既知の0.1mol/Lの塩酸水溶液を標準液として0.2cm採取して加え、再度、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)。そして、以下の式(3)によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1mol/Lの塩酸水溶液の力価×0.1Nの塩酸水溶液の採取量(μL)/0.1mol/Lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μL)・・・(3)
<ポリエステルの溶融張力(MT) mN>
口径2.095mm、長さ8.1mmのノズルを備えた東洋精機製作所製キャピログラフ1Dを用いて、測定温度190℃において、溶融した脂肪族ポリエステル樹脂を押出速度3.9m/分で押し出し、ノズルから出たポリエステルのストランドを張力検出するプーリーを通してロールで巻き取り、この張力を測定した。
[触媒の調製]
撹拌装置付き500mlのガラス製ナス型フラスコに、酢酸マグネシウム四水和物を62.0g入れ、更に250gの無水エタノール(純度99%以上)を加えた。更にエチルアシッドホスフェート(モノエステル体とジエステル体の混合重量比は45:55)を35.8g加え、23℃で撹拌を行った。15分後に酢酸マグネシウムが完全に溶解したことを確認後、テトラ−n−ブチルチタネートを75.0g添加した。更に10分間撹拌を継続し、均一混合溶液を得た。
この混合溶液を1Lのナス型フラスコに移し、60℃のオイルバス中でエバポレーターによって減圧下で濃縮を行った。約1時間後に殆どのエタノールが留去され、半透明の粘稠な液体が残った。オイルバスの温度を更に80℃まで上昇させ、0.7kPaの減圧下で更に濃縮を行った。粘稠な液体は表面から粉体状へと徐々に変化し、約2時間後には完全に粉体化した。その後、窒素を用いて常圧に戻し、室温まで冷却し、淡黄色粉体108gを得た。
得られた触媒に含まれる金属元素を、試料0.1gをケルダールフラスコ中で硫酸存在下、過酸化水素で湿式分解の後、蒸留水にて定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP−AES ULtrace JY−138U型)を用いて定量分析した結果、チタン原子(T)含有量が10.3重量%、Mg原子(M)含有量が6.8重量%、リン原子(P)含有量が8.7重量%であり、モル比としては、T/P=0.78、M/P=1.0であった。また、反応後の重量は、反応前の重量と比べて、エタノール溶媒を除く原料総重量の37%が減少していた。更に、粉体状の触媒を、チタン原子含有量が34000ppmとなるように、1,4−ブタンジオールに溶解させた。1,4−ブタンジオール中における触媒の保存安定性は良好であり、窒素雰囲気
下40℃で保存した触媒溶液は、少なくとも40日間析出物の生成は認められなかった。また、東亜DKK社製自動滴定装置(AUT−301型)を用い、大気下でpH電極を液状触媒に浸して測定した結果、この触媒溶液のpHは6.1であった。尚、本触媒溶液においては、ブタノール及び1,4−ブタンジオールのアルコキシド基由来の吸収ピークが1H−NMR上で観測されず、本触媒のチタン金属には有機アルコキシド基が結合してい
ないことが判明した。
[実施例1]
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100重量部、1,4−ブタンジオール99.2重量部、テレフタル酸(TPAと略すことがある。)2.81重量部を投入し、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。系内を撹拌しながら1時間かけて230℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。その後、上記の触媒溶液を添加した。添加量は、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の重量に対して、チタン原子が50ppmとなる量とした。次に、系内を150rpmで撹拌しながら30分かけて250℃まで昇温し、同時に70Paまで減圧し、減圧後の攪拌装置の攪拌回転数は150rpm、60rpm、40rpm、20rpmと段階的に下げた。減圧開始から300分経過した時点で反応を終了させ脂肪族ポリエステル樹脂100gを得た。得られたポリエステルを230℃で反応槽の底部からストランドとして抜き出し、10℃の水中を潜らせた後、真空下、60℃で8h加熱乾燥させカッターでストランドをカットすることにより白色のペレットを得た。尚、得られたペレットを1H−NMR上で分析した結果、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対
して、テレフタル酸の含有量は1.0モル%であった。得られたペレットの固有粘度(IV)は1.65dL/g、末端カルボキシル基量(AV)は18.0eq/tonであった。
[実施例2]
原料として、リンゴ酸を0.114重量部加え、テレフタル酸を1.41重量部に変更した以外は実施例1と同様の条件で100gのポリエステルペレットを製造した。減圧開始から300分経過した時点で反応を終了させた。得られたペレットのIVは1.87dL/g、AVは16.9eq/tonであった。
[比較例1]
原料として、テレフタル酸を加えなかった以外は実施例1と同様の条件で100gのポリエステルペレットを製造した。減圧開始から300分で反応を終了させ実施例1と同様の方法でポリエステルペレットを得た。得られたペレットのIVは1.67dL/g、AVは20.6eq/tonであった。
[比較例2]
原料として、リンゴ酸を0.114重量部加え、テレフタル酸を加えなかった以外は実施例1と同様の条件で100gのポリエステルペレットを製造した。減圧開始から300分で反応を終了させ実施例1と同様の方法でポリエステルペレットを得た。得られたペレットのIVは1.56dL/g、AVは18.7eq/tonであった。
上記の結果を表1に示す。
Figure 2014114417
芳香族ジカルボン酸を規定量含有する実施例1は芳香族ジカルボン酸を含有していない比較例1に比べて、末端カルボキシル基量(AV)の減少が見られた。
加えて分岐剤と共に芳香族ジカルボン酸を規定量加えた実施例2は、分岐剤のみを加えた比較例2に比べて固有粘度(IV)の増加及び、末端カルボキシル基量(AV)が減少していることが明らかとなった。
[実施例3]
原料として、トリメチロールプロパン0.114重量部を加え、テレフタル酸を1.41重量部に変更し、重合反応時間を目標粘度(IV 1.65 dL/g)に到達するまでとした以外は実施例1と同様の条件によって100gのポリエステルペレットを製造した。減圧開始から255分経過した時点で目標粘度に到達した。得られたペレットのIVは1.66dL/g、AVは16.5eq/tonであった。
上記目標粘度は、攪拌装置のトルク値(N・m)を測定することによって推定した。
[実施例4]
原料として、トリメチロールプロパンを0.227重量部に変更した以外は実施例3と同様の条件によって100gのポリエステルペレットを製造した。減圧開始から230分経過した時点で目標粘度に到達した。得られたペレットのIVは1.68dL/g、AVは17.1eq/ton、溶融張力(MT)は14.5mNであった。
[実施例5]
原料として、テレフタル酸を2.81重量部に変更した以外は実施例3と同様の条件によって100gのポリエステルペレットを製造した。減圧開始から270分経過した時点で目標粘度に到達した。得られたペレットのIVは1.64dL/g、AVは14.5eq/tonであった。
[実施例6]
原料として、テレフタル酸の代わりに2,6−ナフタレンジカルボン酸(以下2,6NDCと略すことがある)を1.83重量部加えた以外は実施例3と同様の条件によって100gのポリエステルペレットを製造した。減圧開始から300分経過した時点で目標粘度に到達した。得られたペレットのIVは1.62dL/g、AVは13.0eq/tonであった。
[実施例7]
原料として、テレフタル酸の代わりに1,4−ナフタレンジカルボン酸(以下1,4NDCと略すことがある)を1.83重量部加えた以外は実施例3と同様の条件によって100gのポリエステルペレットを製造した。減圧開始から280分経過した時点で目標粘度に到達した。得られたペレットのIVは1.62dL/g、AVは13.3eq/tonであった。
[比較例3]
原料として、テレフタル酸を加えなかった以外は実施例3と同様の条件によって100gのポリエステルペレットを製造した。減圧開始から280分経過した時点で目標粘度に到達した。得られたペレットのIVは1.65dL/g、AVは18.9eq/ton、溶融張力(MT)は検出下限(1mN)未満であった。上記の結果を表2に示す。
Figure 2014114417
芳香族ジカルボン酸を加えなかった比較例3に比べて、芳香族ジカルボン酸を加えた実施例3〜7は末端カルボキシル基量(AV)の減少が見られ、かつ、溶融張力(MT)の値が大幅に向上した。

Claims (7)

  1. 主たる繰り返し単位が脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位であるポリエステルであって、該ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、芳香族ジカルボン酸単位を0.025モル%以上5モル%以下の範囲で含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル。
  2. 前記ポリエステルが、3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物単位を含有することを特徴とする請求項1に記載の脂肪族ポリエステル。
  3. 前記多官能化合物単位の含有量が、ポリエステルを構成する全単量体単位100モル%に対して、0.0001モル%以上3モル%以下であることを特徴とする請求項2に記載の脂肪族ポリエステル。
  4. 前記芳香族ジカルボン酸単位がテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸に由来する単位であることを特徴とすることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の脂肪族ポリエステル。
  5. 前記脂肪族ジカルボン酸単位が、バイオマス資源から誘導される脂肪族ジカルボン酸に由来する単位であることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の脂肪族ポリエステル。
  6. 前記脂肪族ジカルボン酸単位が、コハク酸由来の単位であることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の脂肪族ポリエステル。
  7. 前記脂肪族ジオール単位が、1,4―ブタンジオール由来の単位であることを特徴とす
    る請求項1ないし6の何れか一項に記載の脂肪族ポリエステル。
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