JP3389737B2 - 高分子量脂肪族ポリエステル共重合体の製造法 - Google Patents

高分子量脂肪族ポリエステル共重合体の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子量脂肪族ポリエ
ステル共重合体の製造法に関するものである。さらに詳
しくは、本発明は、射出成形、中空成形および押出し成
形などの汎用プラスチック成形機で成形可能な高分子量
脂肪族ポリエステル共重合体の製造法に関するものであ
る。本発明の方法によれば、生分解性を有し、熱安定
性、引張強度、等の特性が実用上問題のない高分子量の
脂肪族ポリエステル共重合体が提供可能となる。
【0002】
【従来の技術】従来、フィルム、繊維、その他の成形品
の成形に用いられていた数平均分子量1万以上程度の高
分子量ポリエステルは、芳香族ポリエステル、例えばテ
レフタル酸とエチレングリコールとからつくられるPE
T、またはテレフタル酸と1,4−ブタンジオールとか
らつくられるPBT、に限られるといっても過言ではな
かった。これに対して脂肪族ポリエステルの実用化が極
めて困難であった背景には、脂肪族ポリエステルの融点
が比較的低いこと、また脂肪族ポリエステルが通常知ら
れた重縮合反応では数平均分子量が15,000以上の
ものを得ることが困難であり、得られたとしても熱分解
しやすく、また一般に得ることが容易な数平均分子量1
万程度の共重合体では実用上十分な強度が得られなかっ
たこと、などがあった。
【0003】また、特開平4−189822号公報、お
よび同5−287043号公報などには、数平均分子量
が5000以上、望ましくは10,000以上で、末端
基が実質的にヒドロキシル基であるポリエステルジオー
ルに、その融点以上の溶融状態において、カップリング
剤としてのジイソシアネート基を添加することにより、
ウレタン結合を含む高分子量の脂肪族ポリエステルが得
られることが記載されている。しかし、本発明者らの知
る限り、ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステルは、汎
用プラスチック成形法で成形する場合、条件によっては
着色したり、ミクロゲルが発生したりするなどの問題が
ある。
【0004】また、特開平5−310898号公報に
は、グリコール成分と脂肪族ジカルボン酸成分とをエス
テル化し、生成したポリエステルジオールを触媒の存在
下、180〜230℃の温度及び0.005〜0.1m
mHgの高真空下で脱グリコール反応させて、数平均分
子量が25,000〜70,000の末端基が実質的に
ヒドロキシル基である高分子量脂肪族ポリエステルが得
られることが提案されている。しかしながら、この様な
高真空状態を得ることは、工業的には困難又は高コスト
となる問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、生分
解性を有し、熱安定性、引張強度、等の特性が実用上問
題の無い高分子量の脂肪族ポリエステル共重合体の製造
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】 〔発明の概要〕本発明者らは、生分解性を有すると同時
に十分実用に耐え得る高分子量の脂肪族ポリエステルを
得るべく鋭意検討を行った結果、ゲルマニウム化合物触
媒の存在下、脂肪族ジカルボン酸または誘導体と、脂肪
族ジオールをポリエステル生成条件下に反応させる際、
脂肪族オキシカルボン酸誘導体を適量添加し、共重合を
行なうことにより、重合速度の大幅な増大が見られ、結
果的に容易に、数平均分子量1万以上の高分子量脂肪族
ポリエステル共重合体が合成できると同時に、上記目的
も達成できることを見い出し、本発明に到達した。
【0007】即ち、本発明による高分子量脂肪族ポリエ
ステル共重合体の製造法は、触媒の存在下、(a)脂肪
族ジカルボン酸またはその誘導体、(b)脂肪族ジオー
ルおよび(c)脂肪族オキシカルボン酸誘導体をポリエ
ステル生成条件下に反応させて、脂肪族ポリエステル共
重合体を製造する方法において、該触媒がゲルマニウム
化合物でありかつ(c)脂肪族オキシカルボン酸誘導体
の使用割合が、(a)脂肪族ジカルボン酸またはその誘
導体100モルに対し0.04〜60モルであることを
特徴とするものである。
【0008】<効果>本発明の方法により得られる高分
子量脂肪族ポリエステル共重合体は、数平均分子量が1
万以上、好ましくは3万以上であり、フィルム、成形
品、繊維などの各種用途における実用上十分な強度を有
し、かつ伸びも優れたものである。
【0009】〔発明の具体的説明〕本発明は、触媒の存
在下、(a)脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体、
(b)脂肪族ジオールおよび(c)脂肪族オキシカルボ
ン酸誘導体を、ポリエステル生成条件下に反応させる際
に、使用する触媒がゲルマニウム化合物であり、かつ、
(c)脂肪族オキシカルボン酸誘導体の使用割合が特定
の範囲にあることを特徴とするものである。ここで「脂
肪族」は「脂環族」を包含するものである。
【0010】<(b)脂肪族ジオール>本発明に用いら
れる(b)脂肪族ジオール、上記の意味での脂肪族化合
物であって、水酸基を2個持つ化合物であるが、その好
ましい具体例は下記の式(I)で表されるものである。
【化1】HO−R1 −OH (I) (式中、R1 は2価の脂肪族炭化水素基、好ましくは炭
素数2〜11、特に好ましくは2〜6、のものである。
1 はシクロアルキレン基を包含することは上記したと
ころであり、また分岐鎖を有するものであってもよい。
好ましいR1 は−(CH2 n −、であり、nは2〜1
1の整数、好ましくは2〜6、の整数を示す)
【0011】本発明に用いることができる脂肪族ジオー
ルは特に限定されないが、その具体例としては、エチレ
ングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブ
タンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,6−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。こ
れらは単独で用いても、またこれらの混合物を用いても
よい。得られる共重合体の物性、特に共重合体の融点を
70℃以上と比較的高くできるなどの点からは、脂肪族
ジオールは、1,4−ブタンジオール、エチレングリコ
ールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールである
ことが特に好ましい。
【0012】<(a)脂肪族ジカルボン酸またはその誘
導体>ポリエステルはエステル結合の形成を高分子量化
の重合反応として得られるものであるところ、エステル
結合が水酸基とカルボキシル基との間に形成されるもの
であることはいうまでもなく、これらの両官能基間のエ
ステル形成反応が水酸基とカルボキシル基との脱水また
は水酸基とカルボン酸エステルとの脱アルコール、すな
わちエステル交換、あるいは水酸基とカルボン酸無水物
との付加更には所謂重縮合反応と言われる脱グリコール
反応によって生じることもよく知られていることであ
る。
【0013】従って、所与の(b)成分に対して、エス
テル結合形成用カルボキシル基供与体としての本発明で
の(a)成分は、上記の各種のエステル結合形成反応を
対象とするものであって、そこでいう「誘導体」は、代
表的には、低級アルキルエステルおよび酸無水物であ
る。「誘導体」は、2個のカルボキシル基の双方につい
てのものであることが好ましい。
【0014】(a)成分の基をなす脂肪族ジカルボン酸
は、下記の式(II)で表されるものが好ましい。
【化2】HOOC−R2 −COOH (II) (式中、R2 は直接結合、または2価の脂肪族炭化水素
基、好ましくは炭素数2〜11、特に好ましくは2〜
6、のものである。R2 はシクロアルキレン基を包含す
ることは上記したところであり、また分岐鎖を有するも
のであってもよい。好ましいR2 は、−(CH2
m −、である。ただし、mは0または1〜11の整数、
好ましくは0または1〜6の整数、を表す。)
【0015】脂肪族ジカルボン酸の好ましい具体例とし
ては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸等、が挙げら
れ、これらの誘導体としてはこれらの酸無水物及び炭素
数1〜8、好ましくは1〜4のアルキルエステルが挙げ
られる。得られる共重合体の物性からは、(a)成分は
コハク酸、無水コハク酸またはアジピン酸であることが
好ましい。これらのジカルボン酸または誘導体は、各群
内および(または)各群間で併用してもよい。
【0016】<(c)脂肪族オキシカルボン酸誘導体>
本発明に用いる脂肪族オキシカルボン酸誘導体は、同一
分子内に水酸基とカルボン酸基をそれぞれ少なくとも1
個づつ有するものであれば、2官能、3官能またはそれ
以上の多官能の脂肪族オキシカルボン酸のエステル、環
状エステル、環状ジエステルまたはオリゴマー等が挙げ
られる。これらの中でも2官能の脂肪族オキシカルボン
酸のエステル、環状エステル、環状ジエステルまたはオ
リゴマーが好ましい。この2官能脂肪族オキシカルボン
酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、3-ヒドロキ
シ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪
酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸、ある
いはカプロラクトン等のラクトン類を開環させたもの、
あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらに光
学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセ
ミ体のいずれでもよく、形状としては固体、液体、ある
いは水溶液であってもよい。
【0017】本発明に用いられる(c)脂肪族オキシカ
ルボン酸誘導体として、下記の式(III)で表わされるも
のが重合反応性向上効果が認められ特に好ましい。
【化3】 (式中、R4 は水酸基、R5 は炭素数1〜10、好まし
くは1〜4のアルキル基、R6 は水素または炭素数1〜
10のアルキル基、nは1以上の整数を示し、またR4
とR5 は互いに直接結合し環を形成してもよい。尚、環
状エステルである場合は、nは2〜6、好ましくは2〜
4、特には2が好ましい。)(c)成分として具体的に
は、エステルとして乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブ
チル、およびグリコール酸エチル、グリコール酸プロピ
ル、グリコール酸ブチル、2−ヒドロキシ−n−酪酸エ
チル、2−ヒドロキシ−n−酪酸プロピル、2−n−ヒ
ドロキシ酪酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸
メチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸エチル、2−
ヒドロキシ−3−メチル酪酸プロピル、2−ヒドロキシ
−3−メチル酪酸ブチル、2−ヒドロキシイソカプロン
酸メチル、2−ヒドロキシイソカプロン酸エチル、2−
ヒドロキシイソカプロン酸プロピル、2−ヒドロキシイ
ソカプロン酸ブチル、2−ヒドロキシカプロン酸メチ
ル、2−ヒドロキシカプロン酸エチル、2−ヒドロキシ
カプロン酸プロピル、2−ヒドロキシカプロン酸ブチ
ル、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸メチル、2
−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸エチル、2−ヒド
ロキシ−3,3−ジメチル酪酸プロピル、2−ヒドロキ
シ−3,3−ジメチル酪酸ブチルなど。環状ジエステル
としてはラクチド、グリコリド、2−ヒドロキシ−n−
酪酸の環状二量体など。オリゴマーとしては、例えば、
乳酸オリゴマー、グリコール酸オリゴマー、2−ヒドロ
キシ−n−酪酸オリゴマー、2−ヒドロキシ−3−メチ
ル酪酸オリゴマー、2−ヒドロキシイソカプロン酸オリ
ゴマー、2−ヒドロキシカプロン酸オリゴマー、2−ヒ
ドロキシ−3,3−ジメチル酪酸オリゴマーなど、が挙
げられる。上記(c)成分の中でも乳酸エステル(特に
は炭素数1〜4のアルキルエステル)及びラクチドが好
ましい。
【0018】<高分子量脂肪族ポリエステル共重合体の
製造>本発明による高分子量脂肪族ポリエステル共重合
体は、特定の触媒の存在下、成分(a)〜(c)を特定
の割合で使用して、ポリエステル生成条件下に反応させ
ることにより製造される。ここで、「ポリエステル生成
条件」とは、先ず、単純な脱水反応によるエステル結合
生成だけでなく、他の縮合である脱アルコールすなわち
エステル交換、ならびに(a)成分が酸無水物のときの
付加、更に所謂重縮合反応と言われる脱グリコール反応
を生じさせる条件を意味する。脱水あるいは脱アルコー
ル及び脱グリコール反応促進のために共沸剤の使用およ
び(または)減圧の印加もここでいう「ポリエステル生
成条件」の範疇に入るものとし、また触媒を使用するこ
ともまた、ポリエステル生成条件の一具体例である。そ
して、「ポリエステル生成条件」は、このようなエステ
ル結合の繰り返しによってポリエステルを生成する条件
を意味することはいうまでもなく、従って、エステル生
成が縮合による場合は「ポリエステル生成条件」は重縮
合を意味することになる。なお、ジカルボン酸無水物に
対するジオールの付加の場合は、第1のヒドロキシ基の
反応は付加であるが、この反応により生成した第2のカ
ルボキシル基に対する第2のヒドロキシル基の反応は縮
合である。従って、この発明で「重縮合」というとき
は、酸無水物に対する付加/縮合によるポリエステル生
成を包含するものとする。
【0019】脂肪族ジオール(b)の使用量は、脂肪族
ジカルボン酸またはその誘導体(a)に対して実質的に
等モルであるが、実際の製造過程においてはエステル化
反応中に留出することがあるから、脂肪族ジカルボン酸
誘導体100モルに対して、一般的に1〜20モル%過
剰に用いることがふつうである。脂肪族オキシカルボン
酸誘導体(c)の使用量は、脂肪族ジカルボン酸または
その誘導体100モルに対し0.04〜60モル、好ま
しくは1〜20モル、より好ましくは3〜10モルであ
る。脂肪族オキシカルボン酸誘導体(c)が0.04モ
ル未満の使用では、高分子量のポリエステル共重合体が
得られない。また60モルを超えて使用すると結晶性が
失われやすいため成形上好ましくない。また、脂肪族オ
キシカルボン酸誘導体の添加時期は、ポリエステル生成
反応以前であれば特に限定されないが、原料仕込み時に
触媒と同時に添加する方法が好ましい。
【0020】本発明の方法に用いられる触媒は、ゲルマ
ニウム化合物であれば特に限定されるものではないが、
テトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム
化合物、または酸化ゲルマニウムおよび塩化ゲルマニウ
ムなどの無機ゲルマニウム化合物が特に好ましい。価格
や入手のし易さなどから、酸化ゲルマニウム、テトラエ
トキシゲルマニウムまたはテトラブトキシゲルマニウム
などが特に好ましい。本発明の方法において用いられる
触媒は、本発明の目的を損なわない限り、ポリエステル
化反応に用いられる公知の触媒、例えばチタン化合物、
等を添加でき、ゲルマニウム化合物含有触媒であり得
る。これら触媒の使用量は、使用するモノマー量、すな
わち成分(a)〜(c)の合計量、に対して一般に0.
001〜3重量%、より好ましくは0.005〜1.5
重量%、である。触媒の添加時期はポリエステル生成以
前であれば特に制限されないが、原料仕込み時に添加し
ておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。原料仕
込み時に脂肪族オキシカルボン酸誘導体と同時に添加す
るのが特に好ましい。また、酸化ゲルマニウムを使用す
る場合は、予め水溶液として添加するのが好ましい。
【0021】高分子量脂肪族ポリエステル共重合体を製
造する際の温度、時間、圧力などの条件は、目的物であ
るポリエステル共重合体が得られる条件であれば特に限
定されないが、温度は150〜260℃、好ましくは1
80〜230℃、重合時間は2時間以上、好ましくは2
〜15時間、減圧度は10mmHg以下、より好ましく
は2mmHg以下、0.1mmHg以上の範囲から選択
することが好ましい。
【0022】<脂肪族ポリエステル共重合体>本発明の
製造法による脂肪族ポリエステル共重合体は、(a)成
分および(b)成分を主要ポリエステル構成員とするも
のであって、その製造に際して前記した通りの配合比で
原料を配合すれば、一般的に、(b)脂肪族ジオール単
位と(a)脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体単位の
モル比が実質的に等しくなっており、脂肪族ポリエステ
ル共重合体の全構成成分のモル数を100モル%とした
とき、(c)脂肪族オキシカルボン酸単位は、0.02
〜30モル%である。
【0023】より具体的には、脂肪族ジオール単位〔下
式(IV)〕35〜49.99モル%、脂肪族ジカルボン
酸単位〔下式(V)〕35〜49.99モル%、脂肪族
オキシカルボン酸単位〔下式(VI)〕0.02〜30モ
ル%からなる高分子量脂肪族ポリエステル共重合体が提
供される。
【化4】式(IV) −O−R1 −O− (R1 は、式(I)で定義されたものと同じ) 式(V) −OC−R2 −CO− (R2 は、式(II)で定義されたものと同じ) (R6 は、式(III)で定義されたものと同じ) また、本発明の高分子量ポリエステル共重合体の数平均
分子量は、1万以上であり、通常1万〜20万、より好
ましくは3万〜10万である。
【0024】また、本発明の製造法による高分子量脂肪
族ポリエステル共重合体には、本発明の効果を損なわな
い限り、他の共重合成分を導入することができる。他の
共重合成分としては、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族オ
キシカルボン酸、ビスフェノールA等の芳香族ジオール
類、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン
酸、または3官能以上の脂肪族ポリオール、脂肪族ポリ
カルボン酸、芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
具体的にはトリメチロールプロパン、グリセリン、ペン
タエリスリット、トリメシン酸、プロパントリカルボン
酸、無水トリメリック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾ
フェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテト
ラカルボン酸、リンゴ酸、ジメチロールブタン酸、ジメ
チロールプロピオン酸、酒石酸、クエン酸等が例示でき
る。
【0025】さらに、本発明の方法により製造された高
分子量脂肪族ポリエステル共重合体には、実用に供する
に際して、滑剤、着色剤、離型剤、フィラー、熱安定
剤、光安定剤など通常熱可塑性ポリエステルが実用に供
される際に通常使用されるものが併用できることは勿論
である。また、他のポリマーなども必要に応じて添加し
て使用できる。
【0026】本発明の方法により製造された高分子量脂
肪族ポリエステル共重合体は、熱安定性、引張強度、引
張伸びなどの実用物性を有するので射出成形法、中空成
形法及び押出成形法などの汎用プラスチック成形法など
により、フィルム、ラミネートフィルム、シート、板、
延伸シート、モノフィラメント、マルチフィラメント、
不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付
きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボト
ル、発泡体などの成形品に利用可能である。
【0027】さらに、本発明により提供されるポリエス
テル共重合体は、生分解性を有しており、土中のバクテ
リアによって、2ケ月から1年で完全に分解する特性が
あり、環境衛生上極めて有用なポリマーである。従って
今後、ショッピングバッグ、ゴミ袋、農業用フィルム、
化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、釣り糸、漁網、ロ
ープ、結束材、手術糸、衛生用カバーストック材、保冷
箱、クッション材などの用途へ使用できる。
【0028】
【実施例】下記の実施例には、本発明をより具体的に説
明するためのものである。本発明はその要旨を越えない
限り、これら実施例に限定されるものではない。また実
施例における特性値は以下の方法により測定したもので
ある。 (1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw) ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GP
C)法によって測定した。サンプルをクロロホルムに溶
解し、東ソー製HLC−8020型GPC装置を用いて
ポリスチレン換算により測定した。カラムはPLgel
−10μ−MIXを使用した。 (2)ポリマー組成1 H−NMRにより得られたスペクトルの面積比から組
成を計算した。 (3)熱的性質 示差走査熱量分析(DSC)法により、昇温速度16℃
/分、窒素雰囲気下で測定して融点を求めた。 (4)機械的性質 JISに従い、引張速度50mm/分で試験を行った。
【0029】実施例1 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量300mlの反応容器にコハク酸を11
8.1g、1,4−ブタンジオールを99.1g、乳酸
エチルを7.37g(コハク酸100モルに対し、6.
2モル)、0.5重量%酸化ゲルマニウム水溶液12.
7gを仕込み、窒素雰囲気中147℃にて3.0時間反
応させた後、220℃に昇温し、0.5時間反応した。
引き続いて0.5mmHgの減圧下において5時間重合
をおこなった。得られたポリエステル白色であり、Mn
67600であった。また融点は108℃であった。ま
1H−NMRによるポリマー組成は、乳酸単位3.1
モル%、コハク酸単位48.5モル%、1,4−ブタン
ジオール単位48.4モル%であった。得られたポリエ
ステルを卓上熱プレスで厚さ0.35mmのフィルムを
作成したところ、強靱なフィルムが得られ、その引っ張
り強さは、破断強度が340kg.cm2 、伸びは33
0%であった。
【0030】実施例2 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量300mlの反応容器に無水コハク酸を1
00.1g、1,4−ブタンジオールを99.1g、2
−ヒドロキシ−n−酪酸エチル14g(無水コハク酸の
モル数に対して、10.6モル%)、テトラブトキシゲ
ルマニウム0.2gを仕込み、窒素雰囲気中145℃に
て1.5時間反応させた後、220℃に昇温し、0.5
時間反応した。引き続いて0.5mmHgの減圧下にお
いて5時間重合をおこなった。得られたポリエステルは
白色であり、Mn70000であった。また融点は10
3℃であった。また 1H−NMRによるポリマー組成
は、2−ヒドロキシ−n−酪酸単位4.9モル%、コハ
ク酸単位47.6モル%、1,4−ブタンジオール単位
47.5モル%であった。得られたポリエステルを卓上
熱プレスで厚さ0.35mmのフィルムを作成したとこ
ろ、強靱なフィルムが得られ、その引っ張り強さは、破
断強度が350kg.cm2 、伸びは380%であっ
た。
【0031】実施例3 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量300mlの反応容器に無水コハク酸を5
0.1g、コハク酸を59.1g、1,4−ブタンジオ
ールを99.1g、グリコリドを6.3g(無水コハク
酸およびコハク酸の合計モル数に対し、5.4モル
%)、0.5重量%酸化ゲルマニウム水溶液13.0g
を仕込み、窒素雰囲気中140℃にて2.5時間反応さ
せた後、220℃に昇温し、0.5時間反応した。引き
続いて0.5mmHgの減圧下において5時間重合をお
こなった。得られたポリエステルは白色であり、Mn4
8000であった。また融点は102℃であった。また
1H−NMRによるポリマー組成は、グリコール酸単位
5.0モル%、コハク酸単位47.5モル%、1,4−
ブタンジオール単位47.5モル%であった。得られた
ポリエステルを卓上熱プレスで厚さ0.35mmのフィ
ルムを作成したところ、強靱なフィルムが得られ、その
引っ張り強さは、破断強度が300kg/cm2 、伸び
は270%であった。
【0032】実施例4 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量300mlの反応容器にコハク酸を10
0.4g、アジピン酸を21.9g、1,4−ブタンジ
オールを103.0g、ラクチドを4.5g(全酸成分
100に対し、3.1%)、テトラブトキシゲルマニウ
ム0.18gを仕込み、窒素雰囲気中185℃にて0.
5時間反応させた後、230℃に昇温し、0.5時間反
応した。引き続いて1mmHgの減圧下において4時間
重合を行なった。得られたポリエステルはやや乳白色を
帯びており、Mn67000、融点は95℃であった。
また 1H−NMRによるポリマー組成は、乳酸単位2.
8モル%、コハク酸単位40.8モル%、アジピン酸単
位7.5モル%、1,4−ブタンジオール単位48.9
モル%であった。得られたポリエステルを卓上熱プレス
で厚さ0.35mmのフィルムを作成したところ、強靱
なフィルムが得られ、その引っ張り強さは、破断強度が
350kg/cm2 、伸びは670%であった。
【0033】実施例5 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量300mlの反応容器にコハク酸を11
8.1g、エチレングリコールを69.5g、Mn20
00の乳酸オリゴマー6.0g(全酸成分100に対
し、8.3%)、テトラブトキシゲルマニウム0.18
gを仕込み、窒素雰囲気中185℃にて0.5時間反応
させた後、230℃に昇温し、0.5時間反応した。引
き続いて1mmHgの減圧下において3時間重合を行な
った。得られたポリエステルはやや乳白色を帯びてお
り、Mn60000、融点は95℃であった。また 1
−NMRによるポリマー組成は、乳酸単位4.2モル
%、コハク酸単位47.9モル%、エチレングリコール
単位47.9モル%であった。得られたポリエステルを
卓上熱プレスで厚さ0.35mmのフィルムを作成した
ところ、強靱なフィルムが得られ、その引っ張り強さ
は、破断強度が320kg/cm2 、伸びは410%で
あった。
【0034】比較例1 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量300mlの反応容器にコハク酸を10
0.1g、1,4−ブタンジオールを99.1g仕込
み、窒素雰囲気中185℃にて0.5時間反応させた
後、220℃に昇温し、0.5分間反応した。引き続い
てテトラブチルチタネート0.06gを添加し、0.5
mmHgの減圧下において4時間重合をおこなった。得
られたポリエステルは灰白色のワックス状であり、Mn
は7500であった。得られたポリエステルを卓上熱プ
レスでフィルムを作成しようとしたが、脆く、フィルム
は得られなかった。
【0035】比較例2 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量200mlの反応容器に90%L−乳酸水
溶液103.5gおよび酸化ゲルマニウム0.05gを
仕込み、窒素雰囲気中180℃にて2時間、常圧で攪拌
し、その後、1時間かけて20mmHgまで減圧し、2
時間反応させた。続いて1時間かけて昇温を行ない、2
00℃、2mmHgの条件で8時間重縮合反応させた。
得られたポリ乳酸はやや黄色味をおびているものの透明
であり、Mnは28000であった。得られたポリエス
テルを卓上熱プレスでフィルムを作成しようとしたが、
脆く、フィルムは得られなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明の製造法によって、フィルム、成
形品、繊維など各種用途に有効な高分子量ポリエステル
共重合体が提供されることは、〔発明の概要〕の項に前
記したとうりである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−127644(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒の存在下、(a)脂肪族ジカルボ
    ン酸またはその誘導体、(b)脂肪族ジオールおよび
    (c)脂肪族オキシカルボン酸誘導体をポリエステル生
    成条件下に反応させて、脂肪族ポリエステル共重合体を
    製造する方法において、該触媒がゲルマニウム化合物で
    ありかつ(c)脂肪族オキシカルボン酸誘導体(但し、
    ε−カプロラクトンを除く。)の使用割合が、(a)脂
    肪族ジカルボン酸またはその誘導体100モルに対し
    0.04〜60モルであることを特徴とする高分子量脂
    肪族ポリエステル共重合体の製造法。
  2. 【請求項2】 (a)脂肪族ジカルボン酸またはその誘
    導体100モルに対して、(b)脂肪族ジオールの使用
    割合が実質的に100モルであり、(c)脂肪族オキシ
    カルボン酸誘導体の使用割合が0.04〜60モルであ
    る請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 (a)脂肪族ジカルボン酸またはその誘
    導体100モルに対して、(b)脂肪族ジオールの使用
    割合が実質的に100モルであり、(c)脂肪族オキシ
    カルボン酸誘導体の使用割合が1〜20モルである請求
    項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 (a)脂肪族ジカルボン酸またはその誘
    導体100モルに対して、(b)脂肪族ジオールの使用
    割合が実質的に100モルであり、(c)脂肪族オキシ
    カルボン酸誘導体の使用割合が3〜10モルである請求
    項1に記載の方法。
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