JP3377142B2 - 脂肪族ポリエステル共重合体の製造法 - Google Patents

脂肪族ポリエステル共重合体の製造法

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JP3377142B2 JP06987095A JP6987095A JP3377142B2 JP 3377142 B2 JP3377142 B2 JP 3377142B2 JP 06987095 A JP06987095 A JP 06987095A JP 6987095 A JP6987095 A JP 6987095A JP 3377142 B2 JP3377142 B2 JP 3377142B2
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脂肪族ポリエステル共
重合体の製造法に関するものである。さらに詳しくは、
本発明は、射出成形、中空成形および押出し成形などの
汎用プラスチック成形機で成形可能な高分子量脂肪族ポ
リエステル共重合体の製造法に関するものである。本発
明の方法によれば、優れた物性と成形に必要な溶融粘度
を兼ね備えた高分子量脂肪族ポリエステル共重合体が提
供可能となる。
【0002】
【従来の技術】従来、フィルム、繊維、その他の成形品
の成形に用いられていた数平均分子量1万以上程度の高
分子量ポリエステルは、芳香族ポリエステル、例えばテ
レフタル酸とエチレングリコールとからつくられるPE
T、またはテレフタル酸と1,4−ブタンジオールとか
らつくられるPBT、に限られるといっても過言ではな
かった。これに対して脂肪族ポリエステルの実用化が極
めて困難であった背景には、脂肪族ポリエステルの融点
が比較的低いこと、また脂肪族ポリエステルが通常知ら
れた重縮合反応では数平均分子量が15,000以上の
ものを得ることが困難であり、得られたとしても熱分解
しやすく、また一般に得ることが容易な数平均分子量1
万程度の共重合体では実用上十分な強度が得られなかっ
たこと、などがあった。
【0003】また、特開平4−189822号公報、お
よび同5−287043号公報などには、数平均分子量
が5000以上、望ましくは10,000以上、で、末
端基が実質的にヒドロキシル基であるポリエステルジオ
ールに、その融点以上の溶融状態において、カップリン
グ剤としてのジイソシアナート基を添加することによ
り、ウレタン結合を含む高分子量の脂肪族ポリエステル
が得られることが記載されている。しかし、本発明者ら
の知る限り、ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル
は、汎用プラスチック成形法で成形する場合、条件によ
っては着色したり、ミクロゲルが発生したりするなどの
問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フィ
ルム、成形品、繊維などの各種分野に応用可能な、優れ
た物性と溶融粘度を兼ね備えた、高分子量脂肪族ポリエ
ステル共重合体の製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要]本発明は、上記問題を解消し、特に脂肪
族ポリエステルのフィルム形成、または成形品の成形に
必要な溶融粘度を高めるために、重量平均分子量と数平
均分子量との比[Mw(重量平均分子量)/Mn(数平
均分子量)]を大きくすべく検討を行った結果、触媒の
存在下、ポリエステルの一成分として3官能性の多価ア
ルコールを用い、所望の脂肪族ジオール成分と、脂肪族
ジカルボン酸またはその機能的誘導体を共重合反応させ
る際、2官能脂肪族オキシカルボン酸を必須成分として
共存させることにより、重合速度が大幅に増大し、結果
的に容易に高分子量化が達成できると同時に、上記目的
も達成できることを見出して、得られたものである。
【0006】<要旨>すなわち本発明による脂肪族ポリ
エステル共重合体の製造法は、(a)脂肪族ジオール、
(b)脂肪族ジカルボン酸、および(c)3官能脂肪族
多価アルコールをポリエステル生成条件下に反応させ
て、脂肪族ポリエステル共重合体を製造するに際し、反
応系に(d)2官能脂肪族オキシカルボン酸を共存させ
ること、を特徴とするものである。
【0007】<効果>本発明の方法により得られる脂肪
族ポリエステル共重合体は、その構造中に分岐成分を有
し、数平均分子量に比して大きな重量分子量有するた
め、それを用いた成型品、例えばフィルム等、に望まし
い性質を付与することが出来る。また、本発明の方法に
より得られる脂肪族ポリエステル共重合体は、溶融粘度
が大きく、中空成形などの各種成形に有利である。
【0008】特に、ゲルマニウム触媒の存在下、乳酸等
の2官能脂肪族オキシカルボン酸を適量用いると、重合
速度の増大が見られ、結果的に高分子量の脂肪族ポリエ
ステル共重合体を得ることができる。すなわち、本発明
により得られるポリエステル共重合体は、数平均分子量
が一般に1万以上、通常は3万以上、である。2官能脂
肪族オキシカルボン酸を少量使用することによってこの
ような効果が得られたことは、思いがけないことと思わ
れる。
【0009】[発明の具体的説明]本発明は、(a)脂
肪族ジオールと(b)脂肪族ジカルボン酸またはその機
能的誘導体と(c)3官能脂肪族多価アルコールとの反
応をゲルマニウム触媒の作用によって行わせる際に、
(d)2官能脂肪族オキシカルボン酸を存在させること
を特徴とするものである。この発明で「脂肪族」は「脂
環族」を包含するものとする。
【0010】<(a)脂肪族ジオール>本発明に用いら
れる(a)脂肪族ジオールは、上記の意味での脂肪族化
合物であって、水酸基を2個持つ化合物であるが、その
好ましい具体例は下記の式(I)で表されるものであ
る。 HO−R1 −OH (I) (式中、R1 は2価の脂肪族炭化水素基、好ましくは炭
素数2〜11、特に好ましくは2〜6、のものである。
1 はシクロアルキレン基を包含することは上記したと
ころであり、また分岐鎖を有するものであってもよい。
好ましいR1 は−(CH2 n −、であり、nは2〜1
1の整数、好ましくは2〜6、の整数を示す)
【0011】本発明に用いることができる脂肪族ジオー
ルは特に限定されないが、その具体例としては、エチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタ
ノールが挙げられる。これらは単独で用いても、または
これらの混合物を用いてもよい。得られる共重合体の物
性の点からは、脂肪族ジオールは、1,4−ブタンジオ
ール、エチレングリコールまたは1,6−ヘキサンジオ
ールであることが特に好ましい。
【0012】<(b)脂肪族ジカルボン酸またはその機
能的誘導体>ポリエステルはエステル結合の形成を高分
子量化の重合反応として得られるものであるところ、エ
ステル結合が水酸基とカルボキシル基との間に形成され
るものであることはいうまでもなく、これらの両官能基
間のエステル形成反応が水酸基とカルボキシル基との脱
水または水酸基とカルボン酸エステルとの脱アルコー
ル、すなわちエステル交換、あるいは水酸基とカルボン
酸無水物との付加によって生じることもまた、よく知ら
れていることである。
【0013】従って、所与の(a)成分に対して、エス
テル結合形成用カルボキシル基供与体としての本発明で
の(b)成分は、上記の各種のエステル結合形成反応を
対象とするものであって、そこでいう「機能的誘導体」
は、代表的には、低級アルキルエステルおよび酸無水物
である。「機能的誘導体」は、2個のカルボキシル基の
双方についてのものであることが好ましい。
【0014】(b)成分の基をなす脂肪族ジカルボン酸
は、下記の式(II)で表されるものが好ましい。 HOOC−R2 −COOH (II) (式中、R2 は直接結合、または2価の脂肪族炭化水素
基、好ましくは炭素数2〜11、特に好ましくは2〜
6、のものである。R2 はシクロアルキレン基を包含す
ることは上記したところであり、また分岐鎖を有するも
のであってもよい。好ましいR2 は、−(CH2
m −、である。ただし、mは0または1〜11の整数、
好ましくは0または1〜6の整数、を表す)
【0015】脂肪族ジカルボン酸の好ましい具体例とし
ては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸等、が挙げら
れ、機能的誘導体としてはこれらの酸無水物が挙げられ
る。得られる共重合体の物性からは、(b)成分はコハ
ク酸または無水コハク酸であることが好ましい。これら
のジカルボン酸または機能的誘導体は、各群内および
(または)各群間で併用してもよい。
【0016】<(c)3官能脂肪族多価アルコール>本
発明でいう「官能」は、エステル形成に関してのそれで
あり、従って成分(c)の多価アルコールが3官能であ
るということは、すなわち「3官能脂肪族多価アルコー
ル」は、水酸基を3個有する化合物ということになる。
【0017】(c)成分としての3官能性脂肪族多価ア
ルコールは、比較的低分子量のものが好ましい。3官能
基は炭化水素基に結合していることがふつうであるか
ら、この炭化水素基は炭素数2〜10程度のものが好ま
しい。
【0018】本発明に用いることのできるものは特に限
定されないが、具体的に例示すれば、1,2,3−シク
ロヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオー
ル、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘ
プタントリオール、トリメチロールエタン、1,2,4
−ブタントリオール、ヘキサグリセロール、3−メチル
−1,3,5−ペンタントリオール、トリメチロールプ
ロパン、グリセリンなどが挙げられる。これらの中で
は、トリメチロールプロパンおよびグリセリンが特に好
ましい。もし、用いる3官能脂肪族多価アルコールに光
学異性体が存在するとき場合には、D体、L体およびラ
セミ体のいずれを用いてもよい。これらの3官能脂肪族
多価アルコールは、単独で用いても、混合物として用い
てもよい。
【0019】<(d)2官能脂肪族オキシカルボン酸>
本発明に利用可能な2官能脂肪族オキシカルボン酸とし
ては、分子中に1個の水酸基と1個のカルボン酸基を有
するものであれば特に限定されるものではないが、下記
の式(III)の脂肪族オキシカルボン酸単位に相当す
る脂肪族オキシカルボン酸が好適である。 HO−R3 −COOH (III) (式中、R3 は2価の脂肪族炭化水素基、好ましくは炭
素数1〜11、特に好ましくは1〜6、の2価の脂肪族
炭化水素基、である。R3 がシクロアルキレン基を包含
してもよいことは前記したところから明かであるが、好
ましいのは鎖状炭化水素である。「鎖状」は分岐鎖を包
含するものとする。)
【0020】さらに好ましくは、1つの炭素原子に水酸
基とカルボキシル基を持つ化合物、特には式 (式中、nは0または1以上の整数、好ましくは0また
は1〜10、さらに好ましくは0または1〜5、であ
る)で表されるものである。前記式で表される(d)2
官能脂肪族オキシカルボン酸を使用すると重合速度が増
大する。
【0021】この2官能脂肪族オキシカルボン酸の具体
例としては、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪
酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、
2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキ
シ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシ
カプロン酸、あるいはカプロラクトン等のラクトン類を
開環させたもの、あるいはこれらの混合物などが挙げら
れる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、
L体、またはラセミ体のいずれでもよく、形状としては
固体、液体、あるいは水溶液であってもよい。特に使用
時の重合速度の増大が特に顕著で、なおかつ入手容易な
乳酸、またはグリコール酸およびこれらの水溶液が好ま
しい。乳酸、グリコール酸などは、50%、70%、9
0%の水溶液が一般的に市販されており、入手が容易で
ある。
【0022】<脂肪族ポリエステル共重合体の製造>本
発明による脂肪族ポリエステル共重合体は、成分(a)
〜(c)をポリエステル生成条件下に反応させる際に、
反応系に成分(d)を共存させることからなる方法によ
って製造される。
【0023】ここで、「ポリエステル生成条件」とは、
先ず、単純な脱水反応によるエステル結合生成だけでな
く、他の縮合である脱アルコールすなわちエステル交
換、ならびに(b)成分が酸無水物のときの付加、を生
じさせる条件を意味する。脱水あるいは脱アルコール促
進のために共沸剤の使用および(または)減圧の印加も
ここでいう「ポリエステル生成条件」の範疇に入るもの
とし、また触媒を使用することもまた、ポリエステル生
成条件の一具体例である。そして、「ポリエステル生成
条件」は、このようなエステル結合の繰り返しによって
ポリエステルを生成する条件を意味することはいうまで
もなく、従って、エステル生成が縮合による場合は「ポ
リエステル生成条件」は重縮合を意味することになる。
なお、ジカルボン酸無水物に対するジオールの付加の場
合は、第1のヒドロキシル基の反応は付加であるが、こ
の反応により生成した第2のカルボキシル基に対する第
2のヒドロキシル基の反応は縮合である。従って、この
発明で「重縮合」というときは、酸無水物に対する付加
/縮合によるポリエステル生成を包含するものとする。
【0024】脂肪族ジオール(a)の使用量は、脂肪族
ジカルボン酸またはその機能的誘導体(b)に対して実
質的に等モルであるが、実際の製造過程においてはエス
テル化反応中に留出することがあることから、脂肪族ジ
カルボン酸機能的誘導体100モルに対して、一般的に
1〜20モル%過剰に用いることがふつうである。
【0025】本発明に使用される3官能脂肪族多価アル
コール(c)の使用割合は、脂肪族ジカルボン酸または
その機能的誘導体のモル数を100モルとしたとき、一
般に0.01〜5モルである。3官能脂肪族多価アルコ
ールの添加量が0.01モル未満では添加の効果が現れ
にくく、5モルを越えると反応中ゲル化の危険性が大き
くなる。望ましい使用割合は0.1〜1.0モルであ
る。3官能脂肪族多価アルコールの添加時期はポリエス
テル生成以前であれば特に制限されず、原料仕込時に添
加するのが便利であるが、エステル化反応中に加えても
良い。
【0026】本発明に使用される2官能脂肪族オキシカ
ルボン酸の量は、脂肪族ジカルボン酸機能的誘導体10
0モルに対し、一般に0.04〜60モル、好ましくは
1〜20モル、より好ましくは3〜10モル、である。
2官能脂肪族オキシカルボン酸が少なすぎると本発明の
効果が現れにくく、多すぎると結晶性が失われやすいた
め、成形上好ましくない。
【0027】2官能脂肪族オキシカルボン酸の添加時期
は、ポリエステル生成反応以前であれば特に限定されな
いが、例えば(1)あらかじめ触媒を脂肪族オキシカル
ボン酸溶液に溶解させた状態で原料仕込時またはエステ
ル化反応中に添加する方法、または(2)原料仕込時に
触媒を添加すると同時に添加する方法、などが好まし
い。
【0028】本発明による脂肪族ポリエステル共重合体
の製造法は、一般に上記原料を重合触媒の存在下で実施
する。
【0029】触媒にはポリエステル共重合体の製造に用
いることのできる任意の触媒を選択することができる
が、ゲルマニウム、チタン、アンチモン、スズ、マグネ
シウム、カルシウム、亜鉛などの反応系に可溶の金属化
合物が挙げられる。これらの中で、ゲルマニウム化合物
が好適であり、テトラアルコキシゲルマニウムなどの有
機ゲルマニウム化合物、または酸化ゲルマニウムおよび
塩化ゲルマニウムなどの無機ゲルマニウム化合物が特に
好ましい。価格や入手のし易さなどから、酸化ゲルマニ
ウム、テトラエトキシゲルマニウムまたはテトラブトキ
シゲルマニウムなどが特に好ましい。これら触媒の使用
量は、使用するモノマー量、すなわち成分(a)〜
(d)の合計量、に対して一般に0.001〜3重量
%、より好ましくは0.005〜1.5重量%、であ
る。触媒の添加時期はポリエステル生成以前であれば特
に制限されないが、原料仕込み時に添加しておいてもよ
く、減圧開始時に添加してもよい。原料仕込み時に2官
能脂肪族オキシカルボン酸と同時に添加するか、または
2官能脂肪族オキシカルボン酸およびその水溶液に触媒
を溶解して添加するのが特に好ましい。
【0030】脂肪族ポリエステル共重合体を製造する際
の温度、時間、圧力などの条件は、目的物であるポリエ
ステル共重合体が得られる条件であれば特に限定されな
いが、温度は150〜260℃、好ましくは180〜2
30℃、重合時間は1時間以上、好ましくは2〜15時
間、減圧度は10mmHg以下、より好ましくは2mm
Hg以下、の範囲から選択することが好ましい。
【0031】<脂肪族ポリエステル共重合体>本発明の
製造法による脂肪族ポリエステル共重合体は、(a)成
分および(b)成分を主要ポリエステル構成員とするも
のであって、その製造に際して前記した通りの配合比で
原料を配合すれば、一般的に、(a)脂肪族ジオール単
位と(b)脂肪族ジカルボン酸機能的誘導体単位のモル
比が実質的に等しくなっており、脂肪族ポリエステル共
重合体の全構成成分のモル数を100モル%としたと
き、(d)2官能脂肪族オキシカルボン酸単位は、0.
02〜30モル%である。
【0032】これらは、3官能脂肪族多価アルコール単
位の一部により分岐ないし架橋した構造を有する。すな
わち、3官能脂肪族多価アルコール単位により架橋構造
および分岐構造を形成する。3官能脂肪族多価アルコー
ル単位の成分比は、(a)成分+(b)成分に対して一
般に0.005〜2.5モル%、好ましくは0.05〜
0.5モル%、である。
【0033】なお、3官能性の(c)成分を共重合させ
てあっても、本発明によるポリエステル共重合体は可融
であって、熱可塑性樹脂の範疇に属する。
【0034】また本発明は、比較的分子量の大きな脂肪
族ポリエステル共重合体の製造法であるが、その数平均
分子量Mnは、一般に1万以上20万以下、通常は3万
以上20万以下、であり、また重量平均分子量Mwと数
平均分子量Mnの比Mw/Mnは一般に3以上、好まし
くは4以上である。
【0035】また、本発明の製造法による脂肪族ポリエ
ステル共重合体には、本発明の効果を損なわない限り、
他の共重合成分を導入することができる。他の共重合成
分としては、ヒドロキシル安息香酸等の芳香族オキシカ
ルボン酸、ビスフェノールA等の芳香族ジオール類、テ
レフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、ま
たは3官能以上の脂肪族ポリオール、脂肪族ポリカルボ
ン酸、芳香族ポリカルボン酸、4官能以上のオキシカル
ボン酸などが挙げられる。これらの成分は、50モル%
以下、特に20モル%以下、であることが好ましい。
【0036】さらに本発明の製造法による脂肪族ポリエ
ステル共重合体には、実用に供するに際して、必要に応
じて滑材、ワックス類、着色剤、フィラー、安定剤など
を併用できることは勿論である。
【0037】
【実施例】下記の実施例には、本発明をより具体的に説
明するためのものである。本発明はその要旨を越えない
限り、これら実施例に限定されるものではない。また実
施例における特性値は以下の方法により測定したもので
ある。
【0038】(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分
子量(Mw) ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GP
C)法によって測定した。サンプルをクロロホルムに溶
解し、東ソー製HLC−8020型GPC装置を用いて
ポリスチレン換算により測定した。カラムはPLgel
−10μ−MIXを使用した。
【0039】(2)ポリマー組成1 H−NMRにより得られたスペクトルの面積比から組
成を計算した。
【0040】(3)熱的性質 示差走査熱量分析(DSC)法により、昇温速度16℃
/min、窒素雰囲気下で測定して融点を求めた。
【0041】実施例1 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量200mlの反応容器にコハク酸(b)を
59.1g、1,4−ブタンジオール(a)を49.6
g、酸化ゲルマニウムをあらかじめ1重量%溶解させた
90%乳酸(d)水溶液3.2g(コハク酸100モル
に対し、6.3モル)、トリメチロールプロパン(c)
0.2g(コハク酸100モルに対し、0.3モル)を
仕込み、窒素雰囲気中180℃にて0.5時間反応させ
た後、220℃に昇温し、0.5時間反応させた。引き
続いて0.5mmHgの減圧下において4時間、重合反
応させた。得られたポリエステルは乳白色であり、Mn
は57,500、Mwは277,400であり、Mw/
Mnは約4.8であった。また融点は105℃であっ
た。また1 H−NMRによる乳酸導入率はコハク酸10
0モルに対し、6.2モルであった。190℃、剪断速
度100sec-1における溶融粘度は14,800ポイ
ズであった。
【0042】実施例2 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量200mlの反応容器に無水コハク酸
(b)を80.1g、アジピン酸(b)を29.0g、
1,4−ブタンジオール(a)を100g、酸化ゲルマ
ニウムをあらかじめ0.5重量%溶解させた50%乳酸
(d)水溶液12.5g、および乳酸(d)水溶液3.
5g(無水コハク酸およびアジピン酸の合計モル数10
0モルに対し、乳酸添加量8.9モル)、グリセリン
(c)0.2g(コハク酸およびアジピン酸の合計モル
数100モルに対し、0.6モル)を仕込み、窒素雰囲
気中185℃にて0.5時間反応させた後、220℃に
昇温し、0.5時間反応させた。引き続いて0.5mm
Hgの減圧下において2時間、重合反応させた。得られ
たポリエステルは乳白色であり、Mnは61,600、
Mwは293,800であり、Mw/Mnは約4.8で
あった。また融点は90℃であった。また1 H−NMR
による乳酸導入率はコハク酸100モルに対し、8.6
モルであった。190℃、せん断速度100sec-1
おける溶融粘度は12,800ポイズであった。
【0043】実施例3 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量200mlの反応容器に無水コハク酸
(b)を100.1g、1,4−ブタンジオール(a)
を99.1g、酸化ゲルマニウムをあらかじめ1重量%
溶解させた90%乳酸(d)水溶液10.0g(無水コ
ハク酸100モルに対し、10.0モル)、トリメチロ
ールプロパン(c)0.2g(無水コハク酸100モル
に対し、0.15モル)を仕込み、窒素雰囲気中185
℃にて0.5時間反応させた後、220℃に昇温し、
0.5時間反応させた。引き続いて0.5mmHgの減
圧下において4時間、重合反応させた。得られたポリエ
ステルは乳白色であり、Mnは62,700、Mwは2
65,400であり、Mw/Mnは約4.2であった。
また融点は102℃であった。1 H−NMRによる乳酸
導入率はコハク酸100モルに対して9.9モルであっ
た。190℃、剪断速度100sec-1における溶融粘
度は14,000ポイズであった。
【0044】比較例1 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量200mlの反応容器にコハク酸(b)を
59.1g、1,4−ブタンジオール(a)を49.6
g、トリメチロールプロパン(c)0.1g(コハク酸
100モルに対し、0.15モル)を仕込み、窒素雰囲
気中185℃にて0.5時間反応させた後、220℃に
昇温し、0.5時間反応した。引き続いて0.5mmH
gの減圧下において4時間、重合反応させた。得られた
ポリエステルは乳白色であり、Mnは9,400、Mw
は22,200であり、Mw/Mnは約2.4であっ
た。190℃、剪断速度100sec-1における溶融粘
度は500ポイズ以下であった。(d)成分を使用しな
いと、Mw/Mn比が小さく、溶融粘度も低い。
【0045】比較例2 攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口
を備えた容量200mlの反応容器にコハク酸(b)を
118.1g、1,4−ブタンジオール(a)を10
4.0g、酸化ゲルマニウムをあらかじめ0.5重量%
溶解させた90%乳酸(d)水溶液6.3g(コハク酸
100モルに対し、6.3モル)を仕込み、窒素雰囲気
中185℃にて0.5時間反応させた後、220℃に昇
温し、0.5時間反応させた。引き続いて0.5mmH
gの減圧下において4時間、重合反応させた。得られた
ポリエステルは乳白色であり、Mnは72,200、M
wは171,400であり、Mw/Mnは約2.4であ
った。また融点は106℃であった。また1 H−NMR
による乳酸導入率はコハク酸100モルに対し、約6モ
ルであった。190℃、剪断速度100sec-1におけ
る溶融粘度は5,000ポイズであった。(c)成分を
使用しないと、Mw/Mn比が小さく、また溶融粘度も
やや低い。
【0046】
【発明の効果】本発明の製造法によって、フィルム、成
形品、繊維など各種用途に有効な高分子量ポリエステル
共重合体が提供されることは、[発明の概要]の項に前
記したところである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−239461(JP,A) 特開 昭58−80321(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)脂肪族ジオール、(b)脂肪族ジ
    カルボン酸またはその機能的誘導体、(c)3官能脂肪
    族多価アルコール、及び(d)2官能脂肪族オキシカル
    ボン酸を重縮合させて脂肪族ポリエステル共重合体を製
    造するに際して、(b)脂肪族ジカルボン酸またはその
    機能的誘導体100モルに対して、(c)3官能脂肪族
    多価アルコールの使用割合が0.01〜5.0モルであ
    ことを特徴とする、数平均分子量が1万〜20万であ
    る脂肪族ポリエステル共重合体の製造法。
  2. 【請求項2】 触媒の存在下に(a)脂肪族ジオール、
    (b)脂肪族ジカルボン酸またはその機能的誘導体、
    (c)3官能脂肪族多価アルコール、および(d)2官
    能脂肪族オキシカルボン酸を重縮合させることからな
    る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 触媒がゲルマニウム化合物である、請求
    項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 (b)脂肪族ジカルボン酸またはその機
    能的誘導体100モルに対して、(a)脂肪族ジオール
    の使用割合が実質的に100モルであり、(c)3官能
    脂肪族多価アルコールの使用割合が0.01〜5.0モ
    ルであり、(d)2官能脂肪族オキシカルボン酸の使用
    割合が0.04〜60モルである、請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 (c)3官能脂肪族多価アルコールがト
    リメチロールプロパンまたはグリセリンである、請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 (d)2官能脂肪族オキシカルボン酸が
    式 【化1】 (式中、nは0または1以上の整数を示す)で表される
    ものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 (d)2官能脂肪族オキシカルボン酸が
    乳酸またはグリコール酸である、請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 (a)脂肪族ジオールが1,4−ブタン
    ジオールまたはエチレングリコールである、請求項1〜
    7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 (b)成分がコハク酸または無水コハク
    酸である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 触媒である酸化ゲルマニウムが溶存し
    た(d)2官能脂肪族オキシカルボン酸の水溶液を、
    (a)脂肪族ジオール、(b)脂肪族ジカルボン酸また
    はその機能的誘導体、および(c)3官能脂肪族多価ア
    ルコールの混合物に添加して、(a)〜(d)を反応さ
    せる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
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