JP6357795B2 - ポリエステル樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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- XXVBRXAWETZCNC-UHFFFAOYSA-N CC1OCC(CCOC)CO1 Chemical compound CC1OCC(CCOC)CO1 XXVBRXAWETZCNC-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Description
特許文献2、3には、末端基が実質的にヒドロキシル基であるポリエステルジオールに、カップリング剤としてのジイソシアネート化合物を添加することにより、ウレタン結合を含む高分子量の脂肪族ポリエステル樹脂を得ることが記載されている。しかし、ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂は、成形時に粘度上昇によるミクロゲルの発生や着色しやすいなどの課題があり、品質面で十分とはいえなかった。
(ジカルボン酸成分)
本発明で用いられるジカルボン酸成分の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ノルボルネンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができ、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。得られるポリエステル樹脂の機械的物性や用途の広さ、原料の入手容易さ等の観点からは、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸がより好ましい。また、芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、脂肪族ジカルボン酸としてはコハク酸、アジピン酸が好ましい。
本発明で用いられるジオール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオール;1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノールなどの脂環式ジオール;1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンなどの芳香族ジオール;イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、エリトリタンなどの植物原料由来の含酸素脂環式ジオールやエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなども植物原料由来のものを使用することができる。中でも得られるポリエステル樹脂の機械的物性や用途の広さ、原料の入手容易さ等の観点からは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールを用いることが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
脂肪族ポリエステル樹脂を製造する際の脂肪族ジオール成分と脂肪族ジカルボン酸成分とのモル比は、原料の種類等により異なるが、脂肪族ジカルボン酸成分1モルに対する脂肪族ジオール成分の量の下限が通常0.70モル、好ましくは0.80モル、更に好ましくは、0.90モル、特に好ましくは0.95モルであり、上限が、通常3.0モル、好ましくは2.7モル、更に好ましくは2.5モル、特に好ましくは2.0モル、最も好ましくは1.5モルである。脂肪族ジカルボン酸成分に対する脂肪族ジオール成分の割合が上記下限未満であると、重縮合反応槽から留出する留出液中に閉塞性の留出物が多くなり配管閉塞などを起こし易くなる傾向にある。一方、上記上限超過では、重縮合反応槽から留出させるジオール成分量が多く、熱負荷が高くなり、経済的に不利な傾向にある。
芳香族ポリエステル樹脂のうち、ポリエチレンテレフタレート共重合体を製造する際の脂肪族ジオール成分(エチレングリコール)と芳香族ジカルボン酸成分(テレフタル酸)とのモル比は、原料の種類等により異なるが、芳香族ジカルボン酸成分1モルに対する脂肪族ジオール成分の量の下限が通常0.95モル、好ましくは1.00モル、更に好ましくは1.10モルであり、上限が、通常3.0モル、好ましくは2.7モル、更に好ましくは2.5モル、特に好ましくは2.0モル、最も好ましくは1.5モルである。テレフタル酸に対するエチレングリコールの割合が上記下限未満であると、重縮合反応槽から留出する留出液中に閉塞性の留出物が多くなり配管閉塞などを起こし易くなる傾向にある。一方、上記上限超過では、重縮合反応槽から留出させるジオール量が多く、熱負荷が高くなり、経済的に不利となる傾向にある。
また、「ポリブチレンテレフタレート共重合体」とは、ジオール成分として1,4−ブタンジオール、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、後述する特定のトリオール成分を含むポリエステル樹脂を言う。
本発明においては、ポリエステル樹脂原料の第3成分として、下記式(3)で表されるトリオール化合物(トリオール成分)を用いる。
脂肪族ポリエステル樹脂を製造する場合、トリオール成分の使用量は、ポリエステル樹脂の製造に用いる全ジカルボン酸成分に対し、下限が通常0.01モル%、好ましくは0.05モル%、より好ましくは0.1モル%、更に好ましくは0.15モル%、特に好ましくは0.2モル%であり、上限が通常10モル%、好ましくは5モル%、より好ましくは3モル%、更に好ましくは1モル%、特に好ましくは0.5モル%である。
なお、脂肪族ポリエステル樹脂では、ポリエステル樹脂製造原料として用いたトリオール成分の実質的全量が、得られるポリエステル樹脂中に分子鎖の構成単位として含まれるものとなるのは、後述の如く、脂肪族ポリエステル樹脂の製造工程における反応温度が比較的低く、原料として用いたトリオール成分が、反応中に揮発したりすることなく、その全量がポリエステル樹脂に導入されることによる。
芳香族ポリエステル樹脂を製造する場合、トリオール成分の使用量は、ポリエステル樹脂の製造に用いる全ジカルボン酸成分に対し、下限が、通常0.02モル%、好ましくは0.1モル%、更に好ましくは0.2モル%、特に好ましくは0.4モル%であり、上限が、通常20モル%、好ましくは15モル%、更に好ましくは10モル%、特に好ましくは5モル%である。
なお、芳香族ポリエステル樹脂の製造に当たっては、ポリエステル樹脂製造原料として用いたトリオール成分のうち、約50%が得られるポリエステル樹脂中に分子鎖の構成単位として含まれるものとなり、残る約50%は、反応系から抜き出されるのは、後述の如く、芳香族ポリエステル樹脂の反応温度が比較的高く、反応中に原料のトリオール成分の一部が揮発して反応系から抜き出されてしまうことによる。
反応系外に抜き出されたトリオールは蒸留などの回収工程により他の成分(ジオールなど)と分離することにより、必要に応じ、原料として再使用することが可能である。
また、耐加水分解性及び熱安定性の向上については、トリオール成分が、分子内の2つのヒドロキシル基の間で脱水縮合して環状エーテル構造を形成するのに適度な長さの直鎖アルキレン基を有するため、一部が重合鎖末端のカルボキシル基に置換する末端封止剤として働き、ポリエステル分子鎖の末端カルボキシル基を置換したり、或いは、ジオール成分として1,4−ブタンジオールを用いた系では、Back−Biting反応による末端カルボキシル基の副生を抑制できるため、得られるポリエステル樹脂の耐加水分解性及び熱安定性の向上に寄与しているものと考えられる。
また、耐加水分解性向上の目的であれば、上述の如く、トリオール成分を事前に公知の方法により分子内脱水縮合し、モノヒドロキシテトラヒドロフランやモノヒドロキシジオキサン化合物とした後、原料仕込時から重縮合反応時のいずれのタイミングで添加することもできる。
本発明のポリエステル樹脂を製造する際には、上記ジカルボン酸成分、ジオール成分、トリオール成分以外のその他の成分を共重合させても構わない。この場合に使用することのできるその他の共重合成分としては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸等のオキシカルボン酸;及びこれらオキシカルボン酸のエステルやラクトン、オキシカルボン酸重合体等、或いは、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びこれらの無水物などの3官能以上の多価カルボン酸又はそのエリトリトール、ジペンタエリトリトール、ペンタエリトリトールモノステアレート、2,3,4−ペンタントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−シクロヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘプタントリオール、3−ヒドロキシエチル−1,5−ペンタンジオール、2,4,6−ヘプタントリオール、トリメチロールエタン等の3官能以上の多価アルコールなどが挙げられる。3官能以上のオキシカルボン酸、3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコールなどはこれを少量加えることにより、高粘度のポリエステル樹脂を得やすい。中でも、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸などのオキシカルボン酸が好ましく、特にはリンゴ酸が好ましく用いられる。
本発明のポリエステル樹脂の製造においては、カーボネート化合物やジイソシアネート化合物等の鎖延長剤を使用することもできるが、その量は、通常ポリエステル樹脂を構成する全単量体由来の構成単位に対し、カーボネート結合ならびにウレタン結合が10モル%以下となるような量とすることが好ましい。ただし、本発明のポリエステル樹脂を生分解性樹脂として使用する場合には、ジイソシアネートは分解過程で毒性の強いジアミンが生成され土中に蓄積する恐れがある問題点があり、カーボネート化合物として一般に用いられるジフェニルカーボネート系についてもやはり毒性の高い副生フェノールならびに未反応ジフェニルカーボネートがポリエステル樹脂中に残存する問題点があるため、その使用量は、ポリエステル樹脂を構成する全単量体由来の単位に対し、カーボネート結合が好ましくは1モル%未満、より好ましくは0.5モル%以下、特に好ましくは0.1モル%であり、ウレタン結合が、好ましくは0.06モル%未満、より好ましくは0.01モル%以下、特に好ましくは0.001モル%以下となるような量である。
本発明におけるポリエステル樹脂の製造方法としては、ポリエステル樹脂が生成する前の、原料仕込時、エステル化反応時、重縮合反応時のいずれかの段階でトリオール成分を添加すること以外は、従来公知の方法が使用でき、例えば、上記のジカルボン酸成分とジオール成分(及びトリオール成分)とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重縮合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重縮合法でポリエステル樹脂を製造することが好ましい。
本発明における、脂肪族ポリエステル樹脂を製造する際のエステル化及び/又はエステル交換反応工程の反応条件は、以下のように設定することができる。
反応温度は、下限が通常150℃、好ましくは180℃、更に好ましくは200℃であり、上限が通常250℃、好ましくは240℃、更に好ましくは230℃である。反応温度が上記下限未満であるとエステル化反応速度が遅く反応時間を長時間必要とする傾向にある。一方、上記上限超過では反応槽内の飛散物増加による異物発生や、脂肪族ジオール成分、脂肪族ジカルボン酸成分の分解が多くなる傾向にある。また、脂肪族多価アルコール化合物が分岐の基点となり、ゲル化を引き起こしやすくなる傾向にある。
反応温度は、下限が通常180℃、好ましくは200℃、更に好ましくは220℃であり、上限が通常270℃、好ましくは265℃、更に好ましくは260℃である。反応温度が上記下限未満であると重縮合反応速度が遅く反応時間を長時間必要とする傾向にある。また、溶融粘度が高くなりすぎて、ポリマーの抜き出しが容易でない。一方、上記上限超過では反応槽内の飛散物増加による異物発生や、脂肪族ジオール成分、脂肪族ジカルボン酸成分の分解が多くなる傾向にある。また、多価アルコール化合物が分岐の基点となり、ゲル化を引き起こしやすくなる傾向にある。
重縮合反応触媒としては、一般には、周期表第1〜14族の金属元素のうち少なくとも1種を含む金属化合物が用いられる。この金属元素としては、具体的には、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びカリウム等が挙げられる。その中では、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉄、ゲルマニウムが好ましく、特に、チタン、ジルコニウム、タングステン、ゲルマニウムが好ましい。
本発明において、触媒の製造に使用されるアルコールは、チタン化合物、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物を混合して均一溶液になるアルコールであれば何でもよく、中でも、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、2−エチルヘキサノール等の1価アルコール及びエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の2価のアルコールが挙げられる。これらのアルコールは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。化合物の溶解性や取り扱いの容易さから、1価のアルコールの場合は、特にチタン化合物、アルカリ土類金属化合物、酸性リン酸エステル化合物の溶解性が高く、反応溶液を濃縮するときに、沸点が低く、除去しやすいことから、エタノールが好ましい。一方、2価のアルコールの場合は、濃縮操作が不要なことから、原料のジオール成分と同成分が好ましく用いられ、1,4−ブタンジオールがより好ましく用いられる。
また、脂肪族ポリエステル樹脂の成形時には、上記の各種の添加剤の他に、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウィスカー、マイカ、タルク、CaCO3、TiO2、シリカ等の強化剤や増量剤を添加して成形することもできる。
(ポリエチレンテレフタレート共重合体の製造法)
本発明における、芳香族ポリエステルを製造する際のエステル化反化及び/又はエステル交換反応条件や重縮合反応条件は反応を進行させることが出来る限り任意であるが、ポリエチレンテレフタレート共重合体を例にすると以下のように設定することができる。
一方、テレフタル酸ジメチルエステルなどの、ジカルボン酸ジエステルを用いる場合は、Ca、Mgなどのアルカリ土類金属やMn、Znなどの遷移金属類をエステル交換触媒として使用するのが好ましい。
ポリブチレンテレフタレート共重合体を例にすると、エステル化反化及び/又はエステル交換反応条件及び重縮合反応条件は以下のように設定することができる。
ただし、スズはポリブチレンテレフタレート共重合体の色調を悪化させるため、その添加量は得られるポリブチレンテレフタレート共重合体中のスズ原子換算量として、通常200wtppm以下、好ましくは100wtppm以下、更に好ましくは10wtppm以下であり、中でも添加しないことが最も好ましい。
この場合、得られるポリブチレンテレフタレート共重合体中の周期表第1族及び2族の金属から選ばれる少なくとも1種の金属の化合物量は、当該金属原子換算量として、下限は通常0.1wtppm以上、好ましくは0.5wtppm以上、更に好ましくは1wtppm以上、特に好ましくは3wtppm以上である。上限は通常100wtppm以下、好ましくは60wtppm以下、更に好ましくは40wtppm以下、特に好ましくは30wtppm以下である。これら金属の含有量が上記上限を超えると、重縮合反応が進むにつれて重縮合反応速度が低下する傾向となり、得られるポリブチレンテレフタレート共重合体の色調や耐加水分解性が悪化する場合がある。一方、上記下限より少ないと、効果が出難くなる傾向がある。なお、上記の値は金属種が複数含まれている場合にはその合計量を指す。
なお、ポリブチレンテレフタレート共重合体の溶融粘度は後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
また、芳香族ポリエステル樹脂の成形時には、上記の各種の添加剤の他に、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウィスカー、マイカ、タルク、CaCO3、TiO2、シリカ等の強化剤や増量剤を添加して成形することもできる。
上記のようにして製造される本発明のポリエステル樹脂は、下記式(1)で表される分岐構造および下記式(2)で表される構成単位を分子鎖中に含み、好ましくは、式(1)で表される分岐構造の含有量が、樹脂中のジカルボン酸成分由来の構成単位に対して0を超え10モル%以下、より好ましくは0を超え10モル%未満、更に好ましくは0を超え9モル%以下、特に好ましくは0を超え5モル%以下である。以下において、ポリエステル樹脂中の式(1)で表される分岐構造のジカルボン酸成分由来の構成単位に対する割合(モル%)を「分岐構造(1)モル比」と称す場合がある。
本発明のポリエステル樹脂は、耐熱性、色調に優れ、更に耐加水分解性や生分解性にも優れ、しかも安価に製造できるので、各種のフィルム用途や射出成形品の用途に適している。
ペレット状のポリエステル樹脂0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、濃度(c)を0.5g/dl(デシリットル)として、110℃で30分間保持することにより溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、原液との相対粘度(ηrel)を測定し、この相対粘度(ηrel)−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求めた。
ペレット状のポリエステル樹脂を粉砕した後、熱風乾燥機にて60℃で30分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に、0.1mol/lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料を加えずに同様の操作を実施し、以下の式(I)によって末端酸価(AV)を算出した。
末端酸価(μ当量/g)=(a−b)×0.1×f/w …(I)
(ここで、aは、滴定に要した0.1mol/lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、bは、ブランクでの滴定に要した0.1mol/lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、wはポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1mol/lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。)
試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.lmol/lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで力価既知の0.1mol/lの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1mol/lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定し(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)、以下の式(II)によって力価(f)を算出した。
力価(f)=fHCl×QHCl/QNaOH …(II)
(ここで、fHClは、0.1mol/lの塩酸水溶液の力価、QHClは、0.1Nの塩酸水溶液の採取量(μl)、QNaOHは、0.1mol/lの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)である。)
末端酸価が低いほうがポリエステル樹脂の耐熱性、耐加水分解性が良好である。
下記の方法にてポリエステル樹脂中の末端ビニル基量、前記式(1)で表される分岐構造量及び、末端環状エーテル基量を求めた。
(NMR測定条件)
1H−NMRを用いて、末端ビニル基量を定量した。0.6mlの重クロロホルムに20mgのポリエステル樹脂を溶解させた溶液を測定サンプルとし、ブルカー・バイオスピン社製Avance400分光計を用い、室温で1H−NMRスペクトルを測定して定量した。フリップ角は45°、データの取り込み時間は4sec、待ち時間は6sec、積算回数は256回である。ウィンドウ関数にLB(Line Broadening)=0.1Hzの指数関数を用い、フーリエ変換処理をした。
(末端ビニル基量)
脂肪族ポリエステル樹脂の末端に存在するビニル基(即ち、末端ビニル基)の量は、1H−NMRを用いて、5.15ppm付近、又は、5.78ppm付近に出現する脂肪族ポリエステル樹脂の末端に存在する二重結合を形成する炭素原子上のプロトンのピークにより定量した。
(前記式(1)で表される分岐構造量及び、末端環状エーテル基量)
2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオール(以下「HMBD」と略記する場合がある。)を添加した脂肪族ポリエステル樹脂を例にすると、1H−NMRを用いて、2.4ppm〜2.9ppm付近に出現するコハク酸ピークをプロトン数で除したものをAとし、2.1ppm〜2.3ppm付近に出現するトリオール成分のメチン基に帰属のピークをB、3.7ppm〜3.8ppm付近に出現するトリオール成分のメチレン基に帰属のピークをCとして、以下の式(V−1)によってポリエステル樹脂中のジカルボン酸成分由来の構成単位に対する前記式(1)で表される分岐構造量を、下記式(V−2)によってポリエステル樹脂中のジカルボン酸成分由来の構成単位に対する末端環状エーテル基量を算出できる。
脂肪族ポリエステル樹脂中の式(1)で表される分岐構造量(モル%)
=B/A ×100 …(V−1)
脂肪族ポリエステル樹脂中の末端環状エーテル基量(モル%)
=C/A ×100 …(V−2)
YI値は、ペレット状のポリエステル樹脂を内径30mm、深さ12mmの円柱状の粉体測定用セルに充填し、測色色差計Color Meter ZE2000(日本電色工業(株))を使用して、JIS K7105の方法に基づいて測定した。反射法により測定セルを90度ずつ回転させて4箇所測定した値の単純平均値として求めた。
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において濃度1.0g/dlのポリエステル樹脂溶液及び溶媒のみの落下秒数をそれぞれ測定し、以下の式(III)より求めた。
IV=((1+4KHηsp)0.5−1)/(2KHC) …(III)
(但し、ηsp=η/η0−1であり、ηはポリエステル樹脂溶液落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、Cはポリエステル樹脂溶液のポリエステル樹脂濃度(g/dl)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。)
メルトボリュームレイト(MVR)は、熱可塑性樹脂の溶融時の流動性を表す数値であり、シリンダ内で溶融したポリエステル樹脂を、一定の温度と荷重条件のもと、シリンダ底部に設置された規定口径のダイスから10分間あたり押し出されるポリエステル樹脂量を測定して、下記式(IV)で算出される値であり、「cm3/10min」の単位で表示される。なお、ポリエステル樹脂試料は、160℃で4時間以上の加熱乾燥、又は、60℃で24時間以上の真空乾燥処理後、測定に供した。
また、メルト時間は6分、測定温度は260℃、荷重は2.16kg、ダイス径は2mmにて実施した。
MVR(cm3/10min)=(427×L)/L …(IV)
(ここで、Lは、所定のピストン移動距離(cm)、tは測定時間の平均値(sec)であり、「427」は、ピストンとシリンダの平均断面積0.711(cm2)×基準時間の秒数600(sec)で算出した値である。)
下記の方法にてポリエステル樹脂中のトリオール成分導入量を求めた。
(NMR測定)
ポリエステル樹脂試料を重クロロホルム(0.05vol%テトラメチルシラン含有)/ヘキサフルオロイソプロパノール(7/3)混合溶液に溶かした後、重ピリジンを添加し、外径5mmのNMR試料管に移し、Bruker社製AVANCE400分計を用いて1H−NMRスペクトル(プロトン核磁器共鳴スペクトル)を測定した。ベースラインの歪みを改善するために、5.6〜6.0ppmに検出されるヘキサフルオロイソプロパノールの巨大シグナルをプレ飽和により減弱させた。共鳴周波数は400.1MHz、フリップ角45°、データ取得時間は4sec、パルス繰り返し時間は10sec、積算回数は256或いは128、プレ飽和時間は6sec、プレ飽和パワーは70dB、温度は室温とした。化学シフトの基準は、テトラメチルシランのシグナルを0.0ppmとし、定法によりスペクトルを帰属して算出した。
〈ポリエチレンテレフタレート共重合体(芳香族ポリエステル樹脂)の場合〉
2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオール(以下「HMBD」と略記する場合がある。)を添加したポリエチレンテレフタレート共重合体を例にすると、1H−NMRを用いて、7.8ppm〜8.4ppm付近に出現するテレフタル酸ピークをプロトン数で除したものをAとし、2.6ppm付近に出現するトリオールのメチン基に帰属のピークをBとし2.8ppm付近に出現するトリオールのメチン基に帰属のピークをCとして、以下の式(V−3)〜(V−5)によってポリエステル樹脂中のジカルボン酸成分由来の構成単位に対する前記式(1)で表される分岐構造量、ポリエステル樹脂中のジカルボン酸成分由来の構成単位に対する末端環状エーテル基量、ポリエステル樹脂中のジカルボン酸成分由来の構成単位に対するトリオール成分量を算出できる。
ポリエステル樹脂中の式(1)で表される分岐構造量(モル%)
=B/A ×100 …(V−3)
ポリエステル樹脂中の末端環状エーテル基量(モル%)
=C/A ×100 …(V−4)
ポリエステル樹脂中のトリオール成分量(モル%)
=(B+C)/A×100 …(V−5)
ここで算出されるトリオール成分量は、ポリエステル樹脂中に導入されたトリオール成分由来の全構成単位のジカルボン酸成分由来の構成単位に対する割合(モル%)に該当し、このトリオール導入量中に、前記式(1)で表される分岐構造と、ポリエステル樹脂の末端環状エーテル基とが含まれる。
ポリエステル樹脂の金属含有量は、湿式灰化によりポリマー中の金属を回収した後、ICP(Inductively Coupled Plasma)−MS(Mass Spectrometer)法により定量した。
溶融粘度の測定は、東洋精機製キャピログラフ(キャピログラフ1B)を用いて、温度270℃、せん断速度10〜10000/sec、キャピラリー長0mm、キャピラリー直径1mmの条件で溶融粘度を測定した。また、実施例、比較例では、代表的に6080/secでの溶融粘度値を示す。
<オキソ反応>
乾燥した内容積10Lの磁性誘導攪拌式のステンレス鋼オートクレーブに、[Rh(cod)(OAc)]2(酢酸(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(II)錯体)0.57g(2.21mmol)と、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト35.39g(54.71mmol)を、1,4−ジオキサン1990gに溶解させた液及び1,4−ブテンジオール4191g(47.57mol)を窒素雰囲気下で仕込み、オートクレーブを密閉した。オートクレーブの攪拌を行ないながら昇温していき、オートクレーブの内温が70℃に到達後、反応器内の圧力が10MPa(ゲージ圧)に保持されるようにオキソガス(H2/CO=1/1)をフィードし続け、8時間反応を行った。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、脱圧、開放後、反応液を一旦別の容器に取り出し、窒素雰囲気下で保管した。
シリカ担体に12重量%のニッケルが担持された水添反応用の固体触媒600gをステンレス製の籠に詰め、上記の10Lオートクレーブ内に固定した。その後、保管してあった上記の反応液をオートクレーブに窒素雰囲気下で仕込み、更に200gの1,4−ジオキサンを用いて保管容器を洗浄し、その洗液もオートクレーブに仕込んだ。オートクレーブを密閉後、攪拌を行ないながら昇温していき、オートクレーブの内温が80℃に到達後、反応器内の圧力が8MPa(ゲージ圧)に保持されるように水素ガスをフィードし続け、28時間反応を行った。反応速度が遅かったため、温度を90℃とし、23時間反応させ、更に温度を100℃とし20時間反応を行った。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、脱圧、開放後、7349gの反応液を取り出した。
上記反応液を0.8μmメンブランフィルターで加圧濾過し、エバポレーターで1,4−ジオキサンを留去した後、得られた液の約半分を分液ロートに移し、トルエン2Lを加え二相分離させ、[Rh(cod)(OAc)]2とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをトルエン相に抽出した。残りの液も同様に処理し、トルエンで洗浄した4740gの液を得た。
蒸留装置を組み、上記の液の減圧蒸留を行った。2mmHg減圧下でオイルバスを220℃まで昇温したところ、淡黄色の粘性の高い液体が留出(塔頂温度=180℃)し、目的とする2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールが1707g(原料ベースで収率30%)得られた。得られた精製液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールの純度は、面積強度で98.3%であった。
撹拌装置付きのガラス製ナス型フラスコに酢酸マグネシウム・4水和物を100重量部入れ、更に1500重量部の無水エタノール(純度99重量%以上)を加えた。更にエチルアシッドホスフェート(モノエステル体とジエステル体の混合重量比は45:55)を130.8重量部加え、23℃で撹拌を行った。15分後に酢酸マグネシウムが完全に溶解したことを確認後、テトラ−n−ブチルチタネートを529.5重量部添加した。更に10分間撹拌を継続し、均一混合溶液を得た。この混合溶液を、ナス型フラスコに移し、60℃のオイルバス中でエバポレーターによって減圧下で濃縮を行った。1時間後に殆どのエタノールが留去され、半透明の粘稠な液体を得た。オイルバスの温度を更に80℃まで上昇させ、0.65kPaの減圧下で更に濃縮を行い粘稠な液体を得た。この液体状の触媒を、1,4−ブタンジオールに溶解させ、チタン原子含有量が3.5重量%となるよう調製した。1,4−ブタンジオール中における保存安定性は良好であり、窒素雰囲気下、40℃で保存した触媒溶液は少なくとも40日間析出物の生成は認められなかった。また、この触媒溶液のpHは6.3であった。
<実施例1>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸68.3重量部、1,4−ブタンジオール56.9重量部、多価アルコール化合物として、製造例1で製造した2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオール0.35重量部(コハク酸に対して0.5モル%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
トリオール成分として、1,2,4−ブタントリオール0.31重量部(コハク酸に対して0.5モル%)を添加した以外は、実施例1と同様に行った。重縮合条件と得られたポリエステル樹脂の品質評価結果を表1に示す。
2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールを0.14重量部(コハク酸に対して0.2モル%)添加した以外は、実施例1と同様に行った。重縮合時間と得られたポリエステル樹脂の品質評価結果を表1に示す。
トリオール成分として、1,2,4−ブタントリオール0.125重量部(コハク酸に対して0.2モル%)を添加した以外は、実施例1と同様に行った。重縮合時間と得られたポリエステル樹脂の品質評価結果を表1に示す。
2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールを1.39重量部(コハク酸に対して2.0モル%)添加し、重縮合温度を235℃とした以外は、実施例1と同様に行った。重縮合時間と得られたポリエステル樹脂の品質評価結果を表1に示す。
2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールを0.60重量部(コハク酸に対して0.86モル%)添加し、重縮合温度を235℃とした以外は、実施例1と同様に行った。重縮合時間と得られたポリエステル樹脂の品質評価結果を表1に示す。
2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールを0.28重量部(コハク酸に対して0.40モル%)添加し、重縮合温度を235℃とした以外は、実施例1と同様に行った。重縮合時間と得られたポリエステル樹脂の品質評価結果を表1に示す。
トリオール成分の代わりに3官能成分として、リンゴ酸を0.39重量部(コハク酸に対して0.50モル%)添加した以外は、実施例1と同様に行っが、ポリマーがゲル化し、抜き出しが困難であった。重縮合時間を表1に示す。ポリエステル樹脂の品質評価は不可であった。
トリオール成分の代わりに3官能成分として、リンゴ酸を0.155重量部(コハク酸に対して0.20モル%)添加した以外は、実施例1と同様に行ったところ、著しい重縮合遅延及び、末端酸価の増加、末端ビニル基の増加、YI値の上昇がみられた。重縮合時間と得られたポリエステル樹脂の品質評価結果を表1に示す。
トリオール成分として、グリセロールを0.267重量部(コハク酸に対して0.50モル%)添加した以外は、実施例1と同様に行ったところ、重縮合遅延及びYI値の上昇がみられた。重縮合時間と得られたポリエステル樹脂の品質評価結果を表1に示す。
上記の実施例1〜7において、コハク酸に対する2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオール又は1,2,4−ブタントリオールの添加量は、得られたポリエステル樹脂に導入された全トリオール導入量成分由来の構成単位量とみなすことができる。このうち、末端環状エーテル基の割合を前述の方法で求め、ポリエステル樹脂に導入された全トリオール成分由来の構成単位量との差を式(1)で表される分岐構造量(分岐構造(1)モル比)とし、それぞれ表1に併記した。
[実施例8]
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管、減圧用排気口を備えた反応容器に、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート(以後、BHETとする場合がある)158.8重量部、およびトリオールとして2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールを0.075重量部(BHETに対して0.1モル%)添加した後、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下とし、その後、系内を撹拌しながら250℃まで加温後、250℃で0.5時間エステル反応し、オリゴマーを得た。
続いて、触媒として、二酸化ゲルマニウムを、得られるポリエステル樹脂に対してゲルマニウム原子換算量として79.8wtppmとなる量、及び正リン酸を、得られるポリエステル樹脂に対してリン原子換算量として47.4wtppmとなる量仕込んだ。
重縮合時間は、減圧開始からポリマーの固有粘度(IV)が0.65(dl/g)付近になる動力に到達した時間までを言う。重縮合反応終了後、反応系を常圧に戻して重縮合反応を終了した。得られたポリエステル樹脂を反応槽の底部からストランドとして抜き出し、10℃の水中を潜らせた後、カッターでストランドをカットすることによりペレット状のポリエステル樹脂を得た。
実施例8において、HMBDを0.375重量部(BHETに対して0.5モル%)になるよう添加した以外は実施例8と同様に行い、ポリエステル樹脂を得た。各種分析結果を表2に示す。
実施例8において、HMBDを3.75重量部(BHETに対して5.0モル%)になるよう添加した以外は実施例8と同様に行い、ポリエステル樹脂を得た。各種分析結果を表2に示す。
実施例8において、HMBDを7.51重量部(BHETに対して10.0モル%)になるよう添加した以外は実施例8と同様に行い、ポリエステル樹脂を得た。各種分析結果を表2に示す。
実施例8において、HMBDを添加しない以外は実施例8と同様に行い、ポリエステル樹脂を得た。各種分析結果を表2に示す。
実施例8において、BHETを103.2重量部、テレフタル酸を36.2重量部およびトリオール成分としてHMBDを3.75重量部(BHETおよびテレフタル酸の和に対して5.0モル%)添加したこと以外は、実施例8と同様に行い、ポリエステル樹脂を得た。各種分析結果を表2に示す。
実施例12において、HMBDを添加せず、BHETを103.2重量部、テレフタル酸を31.1重量部、トリメリット酸を6.5重量部(BHETおよびテレフタル酸の和に対して5.0モル%)添加した以外は実施例12と同様に行ったが、重縮合反応は急激なトルクの変化を伴いコントロールが困難となった。また、得られたポリエステル樹脂の固有粘度はゲル化により測定不能であった。各種分析結果を表2に示す。
なお、得られたポリエステル樹脂中のトリメリット酸由来の構成単位の含有量は1H−NMRより、ジカルボン酸成分由来の構成単位に対して3.9モル%と求められたが、ゲルが存在したため、シグナルとして観測されていないものがあることが懸念される。
実施例12において、HMBDを添加せず、トリメチロールプロパン0.42重量部(BHETおよびテレフタル酸の和に対して0.5モル%)を添加した以外は実施例12と同様に行い、ポリエステル樹脂を得た。各種分析結果を表2に示す。ポリエステル樹脂中のトリメチロールプロパン由来の構成単位の含有量は、1H−NMRより、ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分由来の構成単位に対して0.4モル%と求められた。
実施例12において、HMBDを添加せず、トリメチロールプロパン1.68重量部(BHETおよびテレフタル酸の和に対して2.0モル%)を添加した以外は実施例12と同様に行ったが、重縮合反応は急激なトルクの変化を伴いコントロールが困難となった。また、得られたポリエステル樹脂の固有粘度はゲル化により測定不能であった。各種分析結果を表2に示す。
なお、得られたポリエステル樹脂中のトリメチロールプロパン由来の構成単位の含有量は、1H−NMRより、ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分由来の構成単位に対して1.5モル%と求められたが、ゲルが存在したため、シグナルとして観測されていないものがあることが懸念される。
実施例12において、HMBDを添加せず、テトラヒドロ−3−フランメタノールを0.64重量部(BHETおよびテレフタル酸の和に対して1.0モル%)添加した以外は実施例12と同様に行い、ポリエステル樹脂を得た。各種分析結果を表2に示す。
なお、得られたポリエステル樹脂のテトラヒドロ−3−フランメタノール由来の構成単位のTHFMの含有量は、1H−NMRより、ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分由来の構成単位に対して0.2モル%と求められた。
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管、減圧用排気口を備えた反応容器に、ジメチルテレフタレート(帝人製)131重量部、1,4−ブタンジオール73重量部及び触媒としてテトラブチルチタネートをあらかじめ6重量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液0.59重量部(得られるポリブチレンテレフタレート共重合体に対するチタン原子として33重量ppm)を仕込み、さらに2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタントリオール3.00重量部(得られるポリエステル樹脂の全ジカルボン酸成分1モルに対して3.3モル%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
系内を撹拌しながら150℃まで加温後、210℃に昇温しながらエステル交換反応によって生成するメタノールを留出させつつ180分間反応し、オリゴマーを得た。
続いて、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートをあらかじめ6重量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液1.08重量部(得られるポリブチレンテレフタレート共重合体に対するチタン原子として61重量ppm)を仕込み、および酢酸マグネシウム4水和物をあらかじめ10重量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液を0.63重量部(得られるポリブチレンテレフタレート共重合体に対するMg原子として48重量ppm)仕込んだ。
次に、60分かけて240℃まで昇温し、保持した。一方、圧力は重合開始から90分かけて0.4kPaになるような減圧制御を行い、重合開始から90分で所定のトルクに到達し、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂の固有粘度(IV)は0.70dl/gであり、末端酸価は18μ当量/gであった。溶融粘度は、せん断速度6080(/sec)の条件で16Pa・secであった。
2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタントリオールを使用しなかったこと以外は、実施例13と同様に行った。重合開始から190分で所定のトルクに到達し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の固有粘度(IV)は0.70dl/gであり、末端酸価は22μ当量/gであった。溶融粘度は、せん断速度6080(/sec)の条件で28Pa・secであった。
Claims (10)
- ジカルボン酸成分、ジオール成分、及びトリオール成分由来の構成単位を分子鎖中に含むポリエステル樹脂であって、下記式(1)で表される分岐構造および下記式(2)で表される構成単位を分子鎖中に含み、且つ下記式(4)〜(10)で示されるいずれかの環状エーテル構造を形成した末端構造を有するポリエステル樹脂。
- 前記式(1)で表される分岐構造の含有量が、該樹脂中のジカルボン酸成分由来の構成単位に対して、0を超え10モル%以下である請求項1に記載のポリエステル樹脂。
- 前記ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であり、前記ジオール成分がエチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオールである請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂。
- 前記ジカルボン酸成分が脂肪族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であり、前記ジオール成分が1,4−ブタンジオールである請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂。
- 前記ジカルボン酸成分がコハク酸及び/又はアジピン酸である請求項4に記載のポリエステル樹脂。
- 前記ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であり、前記ジオール成分がエチレングリコール及び/又は1,4−ブタンジオールである請求項6又は7に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
- 前記ジカルボン酸成分が脂肪族ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体であり、前記ジオール成分が1,4−ブタンジオールである請求項6又は7に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
- 前記ジカルボン酸成分がコハク酸及び/又はアジピン酸である請求項9に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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