JP4248999B2 - 脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、脂肪族ポリエステルおよびその製造方法に関する。詳しくは、射出成形、中空成形および押出し成形などによる成形性、熱安定性及び引張特性に優れ、且つ、優れた生分解性を有する環境に優しい高重合度の脂肪族ポリエステルの製造方法に関するものである。
生分解性を有する脂肪族ポリエステルは、環境問題に対する意識の高まりから、より環境負荷を回避する樹脂として、繊維、成形品、フィルムやシ−ト等への応用がはかられている。例えば、生分解性を有するポリブチレンサクシネ−ト及び/又はポリブチレンアジピネ−トは、ポリエチレンと似た力学特性を持つことからポリエチレンの代替ポリマ−として開発されている。
経済的に有利なポリエステルの製造方法としては、触媒の存在下でのジカルボン酸とジオ−ルとの直接エステル化反応、或いは、ジカルボン酸のアルキルエステルとジオ−ルとのエステル交換反応によりエステル低重合体を製造後、これを加熱減圧下でエステル交換反応を行いながら生成するジオ−ルを反応系から留去して高重合度のポリエステルを製造する方法が古くから知られ、採用されている。
しかしながら、一般に脂肪族ポリエステルの熱安定性が低く、重合反応中に熱分解による分子量の低下が引き起こされる為、従来のポリエステルの製造方法では実用上十分な強度を有する高重合度のポリエステルが得られなかった。そのような背景から、その製造方法には種々の工夫がなされている。
例えば、チタン化合物やジルコニウム化合物を触媒として溶融重合を行い、鎖延長剤としてジイソシアネ−トやジフェニルカ−ボネ−トを添加してポリマ−鎖長を延ばすことによりポリマ−の溶融粘度を高める方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの鎖延長剤を添加する方法は、ポリエステルの分子量を容易に増大させることができるため、一見、脂肪族ポリエステルの有効な製造方法と考えられるが、通常、反応工程が2段階になり工程が煩雑になること、また、得られるポリエステルについては、その結晶性や融点が若干低下することに加えて、分子中にウレタン結合が含まれているので生分解性が低下する傾向にあること、などの問題がある。また、生分解性樹脂として使用する観点からは、ジイソシアネ−トは分解過程で毒性の強いジアミンが生成され土中に蓄積する恐れがある問題点が残され、ジフェニルカ−ボネ−ト系についてもやはり毒性の高い副生フェノ−ルならびに未反応ジフェニルカ−ボネ−トがポリエステル中に残存する問題点が残されている。
また、高活性な触媒として、Ge化合物(例えば、特許文献2参照)、亜鉛アセチルアセトネ−トや有機酸亜鉛塩等のZn化合物(例えば、特許文献3参照)、Fe、Mn、Co、Zr、V、Y、La、Ce、Li、Ca等のアセチルアセトネ−ト(例えば、特許文献4参照)、有機アルコキシチタン化合物(例えば、特許文献5参照)、或いはチタン(オキシ)アセチルアセトネ−ト(例えば、特許文献6参照)を用いた脂肪族ポリエステルの製造方法が提案されている。しかしながら、これらの製造法を用いても充分に重合度が上がらないため、上記と同様に鎖延長剤が添加されている。また、これらの触媒は、通常、加水分解されやすい性質を有する為、特に多湿時の触媒の保管方法や重合時の触媒の導入方法などに制約を受ける。更に、ポリエステルの縮重合反応では、発生する水により触媒の一部が失活するなど、触媒活性の制御が難しく、製造の再現性が取りにくいという問題がある。
このような種々の課題を克服する手法として、本特許出願人は、重合成分に乳酸等の二官能オキシカルボン酸を加えて3元系(1,4−ブチレングリコ−ル、コハク酸、乳酸)又は4元系(1,4−ブチレングリコ−ル、コハク酸、アジピン酸、乳酸)とし、触媒として加水分解反応を受けにくい酸化ゲルマニウムのようなGe系触媒を用いると、高活性で高重合度のポリエステルが製造できることを提案した(例えば、特許文献7参照)。しかしながら、資源的にも希少で且つ高価なゲルマニウム金属を用いて製造される脂肪族ポリエステルは、汎用樹脂としての応用の観点からは、資源、コストの面で不利なポリエステルである。
特開平4−189822号公報 特開平5−39350号公報 特開平5−39352号公報 特開平5−39353号公報 特開平5−70566号公報 特開平5−70574号公報 特開平8−239461号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、鎖延長剤等を使用することなく、工業的に有利な方法で、充分な引張特性を有する高重合度のポリエステルを提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するために重縮合触媒につき検討を行った結果、従来の触媒系は、耐加水分解性が十分ではなく、特に触媒導入時や重合反応初期時のような水の共存量が多い時期での失活が著しい為、重合反応の遅延化によりポリマ−の熱分解が顕著になり高重合度のポリエステルが得られにくくなると推測した。また、このような触媒系では、反応中の活性な触媒量を制御することも困難である為、製造の再現性も得られにくくなると推測した。これに対し、チタン原子に対して3個以上のβ−ジケトナ−ト配位子を有するチタン化合物は、耐加水分解性に優れた化合物である知見を得、これらの化合物を触媒として用いると、高分子量のポリエステルが再現性良く・安定に製造できることが判明し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、重合触媒の存在下、減圧下で重縮合反応を行って脂肪族ポリエステルを製造するに際し、重縮合反応を、重合触媒として、チタン原子に対して3個以上のβ−ジケトナ−ト配位子を有するチタン化合物を用いると共に、脂肪族ジカルボン酸及びその酸無水物のうち少なくとも1種を留去しながら行うことを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法、に存する。
本発明の製造方法によれば、射出成形、中空成形および押出し成形などによる成形性、熱安定性及び引張特性等の機械物性に優れた高重合度の脂肪族ポリエステルが容易に、しかも再現良く、安定に製造できる。
以下、本発明につき詳細に説明する。
<触媒成分>
本発明において使用される脂肪族ポリエステルの製造触媒は、少なくとも、チタン原子に3個以上のβ−ジケトナ−ト配位子が結合したチタン化合物である。
本発明で用いられるβ−ジケトナ−ト配位子は、下記一般式(1) で表される配位子
である。
Figure 0004248999
一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリ−ル基を表す。これらはハロゲン原子を含有していてもよい。具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、アリ−ル基としては、フェニル基、トリル基などが挙げられる。R1及びR2は同一でも異なっていてもよい。
本発明において用いられるβ−ジケトナ−ト配位子として、具体的には、2,4−ペンタンジオネート(アセチルアセトネート)、3,5−ヘプタンジオネート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオネート、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネートなどが挙げられ、中でも2,4−ペンタンジオネート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネートが好ましい。
本発明においては、脂肪族ポリエステルの製造において、上記のようなβ−ジケトナ−ト配位子が金属に結合したチタン化合物を触媒として用いる。このようなチタン化合物が、耐加水分解性に優れた化合物である理由は、未だ詳らかではないが、以下のように推察される。
すなわち、上記のβ−ジケトナ−ト配位子は、金属に対してキレ−ト様式で結合する代表的な配位子である。このような配位子は、金属に結合すると配位子の立体的な嵩高さから水の金属への反応を抑制し、金属塩の耐加水分解性を向上させる機能を持つ。この場合、金属周りの水に対する防御は、β−ジケトナ−ト配位子の金属あたりの個数に依存し、十分な耐加水分解性を示す為には、金属に対して3個以上結合している必要がある。
本発明におけるβ−ジケトナ−ト配位子は、そのチタン金属への結合様式は特に限定されず、同一の金属にキレ−ト結合した形態であっても、複数の金属に架橋結合した形態であってもよい。
本発明で使用されるチタン化合物を具体的に例示すると、例えば、下記一般式(2)で表されるチタン金属に対して3個以上のβ−ジケトナ−ト配位子がチタン金属に結合したチタン化合物が挙げられる。
Figure 0004248999
一般式(2)の式中、Xは任意の有機配位子或いは無機配位子を表す。R1とR2は、一般式(1)におけるものと同義である。aは3又は4である。尚、チタン原子に結合する3個以上のβ−ジケトナ−ト配位子は、互いに同一であっても異なっていても良い。
一般式(2)の式中のXで表される任意の有機配位子或いは無機配位子は、特には限定はされないが、具体的には、アルコキシ基、有機スルホン酸基などの有機系配位子や、ハロゲン原子、水酸基などの無機配位子である。これらの配位子が複数個チタン原子に結合する場合には、これらは互いに同一であっても異なっていても良い。
アルコキシ基としては、例えば、特に限定はされないが、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ペンタノ−ル、ヘキサノ−ル、ヘプタノ−ル、オクタノ−ル、ノニルアルコ−ル、デカノ−ル、ラウリルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ルなどに由来するアルコキシ基など、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキシ基が挙げられる。
有機スルホン酸基としては、例えば、特に限定はされないが、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するスルホン酸基、具体的にはメタンスルホン酸基、エタンスルホン酸基、プロパンスルホン酸基、ブタンスルホン酸基、ペンタンスルホン酸基、ヘキサンスルホン酸基、デカンスルホン酸基、ドデカンスルホン酸基、オクタデカンスルホン酸基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、特に限定はされないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
本発明で好ましく用いられるチタン化合物をより具体的に例示すると、3個以上のβ−ジケトナ−ト配位子を持つチタン化合物としては、チタントリス(アセチルアセトネ−ト)クロリド、チタントリス(アセチルアセトネ−ト)プロポキシド、チタントリス(アセチルアセトネ−ト)ブトキシド、ヒドロキシチタントリス(アセチルアセトネ−ト)、チタンテトラアセチルアセトネ−ト、チタンテトラジフェニルプロパンジオネ−トまたはそれらの混合物などが挙げられる。これらの中では、チタントリス(アセチルアセトネ−ト)プロポキシド、チタントリス(アセチルアセトネ−ト)ブトキシドまたはチタンテトラアセチルアセトネ−トが好ましく、チタンテトラアセチルアセトネ−トが、着色のない高重合度のポリエステルが容易に得られる理由から、特に好ましい。
これらのチタン化合物は、チタンアルコキシド或いはハロゲン化チタン等のチタン化合物と上記のβ−ジケトン化合物とを混合ならびに反応させて製造される。
原料として用いられるチタンアルコキシドとしては、具体的には、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト、テトラ−t−ブチルチタネ−ト、テトラ−n−オクチルチタネ−ト、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネ−ト、テトラフェニルチタネ−ト、テトラシクロヘキシルチタネ−ト、テトラベンジルチタネ−ト、及びこれらの混合チタネ−トが挙げられる。また、ブチルチタネ−トダイマ−などのアルキルチタネ−トオリゴマ−等も好んで用いられる。これらの中では、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト及びテトラ(2−エチルヘキシル)チタネ−ト、ブチルチタネ−トダイマ−が好ましく、特に、テトラ−n−ブチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、ブチルチタネ−トダイマ−が好ましい。一方、ハロゲン化チタンとしては四塩化チタン、四臭化チタン、三塩化チタン等が挙げられる。これらの中では、四塩化チタンが好ましい。
混合は、通常、窒素或いはアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で常圧又は必要に応じて減圧下で行われる。反応温度は、通常、0〜250℃で、好ましくは50〜180℃である。反応時間は、通常、1時間以上30時間以下である。本発明においては、上記の成分を混合して得られたチタン化合物を、特に精製しなくとも、混合物としてそのまま触媒とし
て用いても良い。
上記の触媒に加えて、本発明においては、周期表で、水素、炭素を除く周期表1〜14族金属元素を含む化合物であって、具体的には、スカンジウム、イットリウム、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウムおよびカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩またはβ−ジケトナ−ト塩等の有機基を含む化合物、更にはこれら金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物と組み合わせた触媒を使用すると、重合速度が向上する場合があるため、このような混合触媒系もまた好んで使用される。
この他、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)等に記載される公知の層状珪酸塩を上記触媒と組み合わせた触媒も、重合速度が向上する場合があるため、このような触媒系もまた好んで使用される。
層状珪酸塩としては、具体的には、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノ−キサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチ−ブンサイト等のスメクタイト族、バ−ミキュライト等のバ−ミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク及び緑泥石群等が挙げられる。
また、塩酸や硫酸等の鉱酸或いはそれらの塩、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、エチル硫酸等の硫酸エステル、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸、燐酸、次亜燐酸、ピロ亜燐酸、亜燐酸、次燐酸、ピロ燐酸、三燐酸、メタ燐酸、ペルオクソリン酸、ポリ燐酸等の無機燐酸、リン酸水素アンモニウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素カルシウム、ポリリン酸水素アンモニウム、ポリリン酸水素マグネシウム、ポリリン酸水素カルシウム等の無機リン酸水素塩、フェニルホスフィン酸、ベンジルホスフィン酸、メチルホスフィン酸、n−ブチルホスフィン酸、シクロヘキシルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸等の有機ホスフィン酸、およびフェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、メチルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、シクロヘキシルホスホン酸等の有機ホスホン酸を助触媒として添加した触媒系も使用できる。
<ジオ−ル単位>
本発明においてジオ−ル単位とは、芳香族ジオ−ル及び/又は脂肪族ジオ−ルから誘導されるものであり、公知の化合物を用いることができるが、脂肪族ジオ−ルを使用するのが好ましい。脂肪族ジオ−ルとは、2個のOH基を有する脂肪族及び脂環式化合物であれば特に制限はされないが、炭素数の下限値が2以上であり、上限値が通常10以下、好ましくは6以下の脂肪族ジオ−ルが挙げられる。
脂肪族ジオ−ルの具体例としては、例えば、エチレングリコ−ル、1,3−プロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサメチレングリコ−ル、デカメチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル及び1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。
この内、エチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,3−プロピレングリコ−ル及び1,4−シクロヘキサンジメタノ−ルが好ましく、その中でも、エチレングリコ−ル及び1,4−ブタンジオ−ルが好ましく、更には、1,4−ブタンジオ−ルが特に好ましい。全ジオ−ル成分中の脂肪族ジオ−ルの割合は、通常、全ジオ−ル成分中、70モル
%以上、好ましくは80モル%以上である。
芳香族ジオ−ルとしては、2個のOH基を有する芳香族化合物であれば、特に制限はされないが、炭素数の下限値が6以上であり、上限値が通常15以下の芳香族ジオ−ルが挙げられる。芳香族ジオ−ルの具体例としては、例えば、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、4,4‘−ジヒドロキシジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン及びビス(p−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン等が挙げられる。
本発明において、ジオ−ル全量中、芳香族ジオ−ルの含有量は、通常、30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
また、両末端ヒドロキシポリエ−テルを上記の脂肪族ジオ−ルと混合して使用してもよい。両末端ヒドロキシポリエ−テルとしては、炭素数が下限値が通常4以上、好ましくは10以上であり、上限値が通常1000以下、好ましくは200以下、更に好ましくは100以下である。
両末端ヒドロキシポリエ−テルの具体例としては、例えば、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリ1,3−プロパンジオ−ル及びポリ1,6−ヘキサメチレングリコ−ル等が挙げられる。また、ポリエチレングリコ−ルとポリプロピレングリコ−ルとの共重合ポリエ−テル等を使用することもできる。これらの両末端ヒドロキシポリエ−テルの使用量は、ポリエステル中の含量として、通常90重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下に計算される量である。
<脂肪族ジカルボン酸単位>
本発明において脂肪族ジカルボン酸単位とは、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体から誘導されるものである。脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常、炭素数が2以上12以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の低級アルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物も使用できる。これらは、単独でも2種以上の混合物として使用してもよい。これらの内、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、またはこれらの混合物が好ましく、脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸及びコハク酸のメチルエステル、またはこれらの混合物が好ましい。
本発明のポリエステルは、好ましいポリエステルの製造方法の一態様として、後述するように、これらの脂肪族ジカルボン酸及びその酸無水物を反応系から留去しながらポリエステルを製造する形態を採ることができる。この場合、遊離の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物を生成させるためには、末端がカルボキシル基である方が有利であるため、上記のジカルボン酸成分としては脂肪族ジカルボン酸を用いるのが好ましい。具体的には、比較的分子量の小さい脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物が減圧下での加熱により比較的容易に留去できる点から、アジピン酸、コハク酸、またはそれらの混合物が好ましく、特にコハク酸が好ましい。
また、上記の脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体の他に、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体を併用してもよい。芳香族ジカルボン酸の具体的な例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、前記した芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等
が挙げられる。これらは、単独でも2種以上の混合物として上記脂肪族カルボン酸に加えて使用してもよい。この内、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレ−トが好ましい。
これらの他のジカルボン酸成分の使用量は、通常、ジカルボン酸全量中、50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは、10モル%以下である。
<その他の共重合成分>
本発明においては、上記のジオ−ル成分とジカルボン酸成分に加えて、共重合成分を加えてもよい。
共重合成分の具体的な例としては、2官能のオキシカルボン酸や架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコ−ル及び3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物および3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物が挙げられる。これらの共重合成分の中では、高重合度のポリエステルが容易に製造できる傾向があるためオキシカルボン酸が好適に使用される。
2官能のオキシカルボン酸としては、具体的には、乳酸、グリコ−ル酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等が挙げられるが、これらはオキシカルボン酸のエステルやラクトン、或いはオキシカルボン酸重合体等の誘導体であっても良い。また、これらオキシカルボン酸は単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれでもよく、形態としては固体、液体、または水溶液であってもよい。これらの中では、入手の容易な乳酸またはグリコ−ル酸が特に好ましい。形態は、30〜95%の水溶液のものが容易に入手することができるので好ましい。この場合、オキシカルボン酸の使用量は、通常、原料モノマ−に対して下限が通常、0.02モル%以上、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1.0モル%以上であり、上限が、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
3官能以上の多価アルコ−ルとしては、具体的には、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル等が挙げられ、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
3官能以上の多価カルボン酸またはその無水物としては、具体的には、プロパントリカルボン酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物等が挙げられ、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。
3官能以上のオキシカルボン酸としては、具体的には、リンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸等が挙げられ、単独でも、二種以上の混合物として使用することもできる。特に、入手のし易さから、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸が好ましい。
上記の3官能以上の化合物の使用量は、ゲルの発生原因となるため通常、ポリエステルを構成する全単量体単位に対して、通常、5モル%以下、好ましくは、0.5モル%以下、より好ましくは0.2モル%以下である。
<鎖延長剤>
本発明の方法においては、ポリエステルの製造の際に、カ−ボネ−ト化合物やジイソシアネ−ト化合物等の鎖延長剤を使用することもできるが、その量は、通常、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、カ−ボネ−ト結合ならびにウレタン結合が10モル%以下である。しかしながら、本発明のポリエステルを生分解性樹脂として使用する観点から
は、ジイソシアネ−トは分解過程で毒性の強いジアミンが生成され土中に蓄積する恐れがある問題点があり、カ−ボネ−ト化合物として一般に用いられるジフェニルカ−ボネ−ト系についてもやはり毒性の高い副生フェノ−ルならびに未反応ジフェニルカ−ボネ−トがポリエステル中に残存する問題点があるため、その使用量は、ポリエステルを構成する全単量体単位に対し、カ−ボネ−ト結合が1モル%未満、好ましくは、0.5モル%以下、より好ましくは0.1モル%であり、ウレタン結合が、0.06モル%未満、好ましくは0.01モル%以下、より好ましくは0.001モル%以下である。
カ−ボネ−ト化合物としては、具体的には、ジフェニルカ−ボネ−ト、ジトリ−ルカ−ボネ−ト、ビス(クロロフェニル)カ−ボネ−ト、m−クレジルカ−ボネ−ト、ジナフチ
ルカ−ボネ−ト、ジメチルカ−ボネ−ト、ジエチルカ−ボネ−ト、ジブチルカ−ボネ−ト、エチレンカ−ボネ−ト、ジアミルカ−ボネ−ト、ジシクロヘキシルカ−ボネ−トなどが例示される。その他、フェノ−ル類、アルコ−ル類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、または異種のヒドロキシ化合物からなるカ−ボネ−ト化合物が使用可能である。
ジイソシアネ−ト化合物としては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、
2,4−トリレンジイソシアネ−トと2,6−トリレンジイソシアネ−トとの混合体、ジ
フェニルメタンジイソシアネ−ト、1,5−ナフチレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、水素化キシリレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト等の公知のジイソシアネ−トなどが例示される。
また、その他の鎖延長剤として、ジオキサゾリン、珪酸エステルなどを使用してもよい。 珪酸エステルとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジヒドロキシラン等が例示される。
更に、溶融テンションを高めるために、少量のパ−オキサイドを添加してもよい。
<ポリエステルの製造方法>
本発明におけるポリエステルの製造方法としては、従来の公知の方法が使用でき、例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸成分とジオ−ル成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合でポリエステルを製造する方法が好ましい。
重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
これらの重合触媒の添加量は、生成するポリエステルに対するチタン金属量として、下限値が通常、1ppm以上、好ましくは10ppm以上であり、上限値が通常、5000ppm以下、好ましくは1500ppm以下、より好ましくは600ppm以下、特に好ましくは300ppm以下である。使用する触媒量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなくポリマ−の熱安定性が低くなるのに対し、逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリマ−製造中にポリマ−の熱分解が誘発されやすくなる。
また、重合触媒に加えて、上記の周期表で水素や炭素を除く周期表1〜14族金属元素を含む化合物、層状珪酸塩、無機酸や有機酸或いはそれらの塩などを助触媒として用いる場合、それらの添加量は、生成するポリエステルに対して、下限値が通常、1000ppm以上であり、上限値が通常、5000ppm以下である。
温度、時間、圧力などの条件は、従来公知の範囲を採用できる。
ジカルボン酸成分とジオ−ル成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応の反
応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであるが、常圧が好ましい。
反応時間は、通常1時間以上であり、上限が通常10時間以下、好ましくは、4時間以下である。
その後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.01×103Pa以上、好ましくは0
.01×103Pa以上であり、上限が通常1.4×103Pa以下、好ましくは0.4×103Pa以下の真空度下として行う。この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、
好ましくは180℃以上であり、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。
本発明において、ジカルボン酸成分として脂肪族カルボン酸に加えて芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルを混合して使用する場合は、特に添加順序には限定はなく、例えば、第1として、原料のモノマ−を一括に反応釜に入れて反応することもできるし、第2として、ジオ−ル成分と脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とをエステル化反応又はエステル交換反応させた後、ジオ−ル成分と芳香族ジカルボン酸又はその誘導体をエステル化反応又はエステル交換反応させ、更に重縮合反応させる方法等種々の方法を採用することができる。
本発明においてポリエステルを製造する反応装置としては、公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。例えば、溶融重合を同一又は異なる反応装置を用いて、エステル化及び/又はエステル交換の工程と減圧重縮合の工程の2段階で行い、減圧重縮合の反応器としては、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を具備した攪拌槽型反応器を使用する方法が挙げられる。また、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には、凝縮器が結合されており、該凝縮器にて縮重合反応中に生成する揮発成分や未反応モノマ−が回収される方法が好んで用いられる。
本発明においては、ポリエステルの製造方法として、従来の、上記の脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分と脂肪族ジオ−ル成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下で、ポリエステルのアルコ−ル末端のエステル交換反応により生成するジオ−ルを留去しながらポリエステルの重合度を高める方法、或いは、ポリエステルの脂肪族カルボン酸末端から脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物を留去させながらポリエステルの重合度を高める方法が用いられる。本発明においては、鎖延長剤などを用いずとも高重合度のポリエステルが比較的容易に得られる理由から、後者の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物を留去する方法が好ましい。この場合、脂肪族カルボン酸及び/又はその無水物の除去は、通常、上記溶融重合工程における後段の減圧下での重縮合反応中に脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物を加熱留出させる方法が採られるが、重縮合反応条件下では、脂肪族ジカルボン酸は容易に酸無水物になりやすいため、酸無水物の形態で加熱留出させる場合が多い。また、その際、ジオ−ルから誘導される鎖状又は環状エ−テル及び/又はジオ−ルもまた脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物と共に除去されてもよい。更に、ジカルボン酸成分とジオ−ル成分の環状単量体を共に留去させる方法は、重合速度が向上するため、好ましい態様である。
本発明においては、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物を留去する方法により高重合度のポリエステルを製造する場合には、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管の反応容器側排気口の温度を、脂肪族ジカルボン酸無水物の融点、或いは重縮合反応時の真空度での脂肪族ジカルボン酸無水物の沸点のいずれか低い方の温度以上に保持すると生成する酸無水物が効率よく反応系から除去でき、目的の高重合度のポリエステルが短時間で
製造できるため好ましい。更には、反応容器側排気口から凝縮器までの配管温度を酸無水物の融点、或いは重縮合反応時の真空度での沸点のいずれか低い方の温度以上に保持するとより好ましい。
本発明において、目的とする重合度のポリエステルを得るためのジオ−ル成分とジカルボン酸成分とのモル比は、その目的や原料の種類により好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオ−ル成分の量が、下限が通常0.8モル以上、好ましくは、0.9モル以上であり、上限が通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.2モル以下である。
更に、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物の留去により高重合度のポリエステルを製造する場合には、末端カルボン酸量の多い方が重合が有利であるため、従来の方法で用いられるような原料としてより過剰なジオ−ルの使用は必要ではない。この場合もやはり目的とするポリエステルの重合度や種類によってジオ−ル成分とジカルボン酸成分とのモル比の好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオ−ル成分の量が、下限が通常0.8モル以上、好ましくは、0.9モル以上、更に好ましくは0.95以上であり、上限が通常1.15モル以下、好ましくは1.12モル以下、更に好ましくは1.09モル以下である。
一方、脂肪族ジカルボン酸及び/又はその酸無水物を留去方法によるポリエステルの製造方法を用いると、製造されたポリエステルは、重合度が低い場合には、従来の方法に比べカルボン酸量末端が多い傾向がある為、ポリマ−の熱安定性に著しく悪影響を与えるカルボン酸末端量の増大が懸念されるが、重合度の尺度である還元粘度(ηsp/c)値が高いポリエステルは、末端カルボン酸量が低く、耐熱安定性にすぐれたポリエステルとなる。
<ポリエステル及びその用途>
本発明で製造されるポリエステルの還元粘度(ηsp/c)値は、実用上十分な力学特性が得られる理由から、1.6以上であり、中でも1.8以上が好ましく、特に2.0以上が特に好ましい。還元粘度(ηsp/c)値の上限は、ポリエステルの重合反応後の抜き出し易さならびに成形のし易さ等の操作性の観点から、通常、6.0以下、好ましくは5.0以下、更に好ましくは4.0以下である。
本発明でいう還元粘度は以下の測定条件により測定されたものである。
〔還元粘度(ηsp/c)測定条件〕
粘度管:ウベロ−デ粘度管
測定温度:30℃
溶媒:フェノ−ル/テトラクロロエタン(1:1重量比)溶液
ポリエステル濃度:0.5g/dl
本発明の方法で製造されたポリエステルは、通常、ポリマ−の熱安定性に著しく悪影響を与えるカルボン酸末端量が少ない特徴があるため、熱安定性に優れ、成形時の品質の低下が少ない、即ち、溶融成形時に末端基の切断や、主鎖の切断等の副反応が少ないという特徴を有する。本発明によって得られるポリエステルの末端COOH基数は、ポリエステルの重合度にもよるが、通常、40eq/トン以下となる。従って、本発明において製造される好ましいポリエステルの末端COOH基数は、通常、40eq/トン以下、好ましくは35eq/トン以下、より好ましくは25eq/トン以下である。
本発明の製造方法の途中又は得られるポリエステルには、特性が損なわれない範囲において各種の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤及び紫外線吸収剤等を重合時に添加してもよい。
また、成形時に上に示した各種の添加剤の他に、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウィスカ−、マイカ、タルク、CaCO3、TiO2、シリカ等の強化剤及び増量剤を添加して成形することもできる。
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、耐熱性、色調に優れ、更に耐加水分解性や生分解性にも優れ、しかも安価に製造できるので、各種のフィルム用途や射出成形品の用途に適している。
具体的な用途としては、射出成型品(例えば、生鮮食品のトレ−やファ−ストフ−ドの
容器、野外レジャ−製品など)、押出成型品(フィルム、シ−ト等、例えば釣り糸、漁網、植生ネット、保水シ−トなど)、中空成型品(ボトル等)等が挙げられ、更にその他農業用のフィルム、コ−ティング資材、肥料用コ−ティング材、ラミネ−トフィルム、板、延伸シ−ト、モノフィラメント、マルチフィラメント、不織布、フラットヤ−ン、ステ−プル、捲縮繊維、筋付きテ−プ、スプリットヤ−ン、複合繊維、ブロ−ボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロ−プ、結束材、手術糸、衛生用カバ−ストック材、保冷箱、クッション材フィルム及び合成紙などに利用可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
<末端カルボキシル基量>
得られたポリエステルをベンジルアルコ−ルに溶解し0.1N NaOHにて滴定した値であり、1×106 g当たりのカルボキシル基当量である。
<末端OH基量>
1H NMRにより求めた値であり、1×106 g当たりのOH基当量である。
<溶融重縮合>
実施例1
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオ−ル82.7g(0.92mol)、リンゴ酸0.37g(2.8×10-3mol)、コハク酸に対して0
.33mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
次に、系内を撹拌しながら220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、オルガチックスTC−401(チタンテトラアセチルアセトネ−ト、(株)マツモト交商製)0.214g(製造ポリマ−中のTi含量:1×102ppm)を反応系へ添加後、3
0分かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.07×103Paになる
ように減圧し、更に0.07×103Paの減圧下で4時間反応させポリエステルを得た
。尚、減圧下での重縮合反応中は、反応容器の減圧用排気口を130℃に加熱し続けた。本触媒系を使用した製造再現性は良く、5回製造して得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.3、2.4、2.4、2.4、2.5であった。このようにして得られたポリエステルの末端カルボキシル基量、ならびに末端OH基量の代表値は、それぞれ14eq/トン、69eq/トンであった。
実施例2
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオ−ル82.7g(0.92mol)、87.9w% 乳酸水溶液5.22g(0.051mol)、リンゴ
酸0.37g(2.8×10-3mol、コハク酸に対して0.33mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
次に、系内を撹拌しながら220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、オルガチックスTC−401(チタンテトラアセチルアセトネ−ト、(株)マツモト交商製)0.214g(製造ポリマ−中のTi含量:1×102ppm)を反応系へ添加後、3
0分かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.07×103Paになる
ように減圧し、更に0.07×103Paの減圧下で4時間反応させポリエステルを得た
。尚、減圧下での重縮合反応中は、反応容器の減圧用排気口を130℃に加熱し続けた。本触媒系を使用した製造再現性は良く、5回製造して得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は2.3、2.4、2.4、2.4、2.4であった。
比較例1
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100.3g(0.85mol)、1,4−ブタンジオ−ル82.7g(0.92mol)、リンゴ酸0.37g(2.8×10-3mol)、コハク酸に対して0
.33mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
次に、系内を撹拌しながら220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、テトラ−n−ブチルチタネ−ト0.107g(製造ポリマ−中のTi含量:1×102pp
m)を反応系へ添加後、30分かけて230℃まで昇温し、同時に1時間30分かけて0.07×103Paになるように減圧し、更に0.07×103Paの減圧下で4時間反応させポリエステルを得た。尚、減圧下での重縮合反応中は、反応容器の減圧用排気口を130℃に加熱し続けた。しかしながら、本触媒系を使用した製造再現性は悪く、5回製造して得られたポリエステルの還元粘度(ηsp/c)は1.5、1.9、2.3、2.4、1.6と製造毎に変化した。
本発明によれば、工業的に有利で且つ効率的な製造方法で、充分な引張特性を有する高重合度の脂肪族ポリエステルを容易に、しかも再現性良く製造できる。

Claims (5)

  1. 脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、重合触媒の存在下、減圧下で重縮合反応を行って脂肪族ポリエステルを製造するに際し、重縮合反応を、重合触媒として、チタン原子に対して3個以上のβ−ジケトナ−ト配位子を有するチタン化合物を用いると共に、脂肪族ジカルボン酸及びその酸無水物のうち少なくとも1種を留去しながら行うことを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。
  2. 脂肪族ジカルボン酸成分が脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体であり、ジオール成分が脂肪族ジオ−ルである、請求項1に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  3. 原料としての脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分とのモル比を、脂肪族ジカルボン酸成分1モルに対してジオール成分を0.8〜1.5モルとする、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  4. 重縮合反応を、減圧用排気口を具備した攪拌槽型反応器を用い、且つ、該減圧用排気口の温度を、脂肪族ジカルボン酸無水物の融点又は重縮合反応時の真空度における脂肪族ジカルボン酸無水物の沸点のいずれか低い方の温度以上に保持しながら行う、請求項1〜3のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  5. 得られるポリエステルの還元粘度(ηsp/c)が1.6以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
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