JPH06322081A - 脂肪族ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

脂肪族ポリエステル及びその製造方法

Info

Publication number
JPH06322081A
JPH06322081A JP9885193A JP9885193A JPH06322081A JP H06322081 A JPH06322081 A JP H06322081A JP 9885193 A JP9885193 A JP 9885193A JP 9885193 A JP9885193 A JP 9885193A JP H06322081 A JPH06322081 A JP H06322081A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aliphatic polyester
acid
catalyst
group
mol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9885193A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiaki Iwaya
嘉昭 岩屋
Minoru Nishinohara
稔 西之原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP9885193A priority Critical patent/JPH06322081A/ja
Priority to PCT/JP1994/000447 priority patent/WO1994021708A1/ja
Priority to CA002136311A priority patent/CA2136311A1/en
Priority to US08/341,570 priority patent/US5504148A/en
Priority to EP94910048A priority patent/EP0647668A4/en
Publication of JPH06322081A publication Critical patent/JPH06322081A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 生分解性を有し,成形体として利用し得る融
点100℃以上の高分子量の脂肪族ポリエステル及びそ
の製造方法を提供する。 【構成】 下記一般式(1)で示される構成単位からな
り,還元比粘度が少なくとも0.8である脂肪族ポリエ
ステル。 −O−(CH2)4 −O−CO−(CH2)2 −CO− (1) また,下記一般式(1)で示される構成単位と一般式
(2)で示される構成単位とからなり,還元比粘度が少
なくとも0.8である脂肪族ポリエステル。 −O−(CH2)4 −O−CO−(CH2)2 −CO− (1) −O−(CH2)4 −O−CO−(CH2)n −CO− (2) (式中nは,2以外の0〜32の整数を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,土壌中の微生物等によ
って分解し,かつ成形体として利用し得る高分子量の脂
肪族ポリエステル及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】合成繊維,フィルムその他成形体として
利用されているプラスチックスは,軽くて丈夫である利
点に加えて,安価に,かつ大量に安定して供給できる
等,我々の生活に豊かさと便利さをもたらし,プラスチ
ックス文明といえる現代の社会を構築してきた。しかし
ながら,近年,地球的規模での環境問題に対して,自然
環境の中で分解する高分子素材の開発が要望されるよう
になり,その中でも特に微生物によって分解されるプラ
スチックスは,環境適合性材料や新しいタイプの機能性
材料として業界で大きな期待が寄せられている。
【0003】従来より,脂肪族ポリエステルは生分解性
があることはよく知られており,その中でも特に微生物
によって生産されるポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステル
(PHB)や合成高分子であるポリ−ε−カプロラクト
ン(PCL)及びポリグリコール酸(PGA)は,その
代表的なものである。
【0004】PHBを主体とするバイオポリエステル
は,優れた環境適合性と物性を有しているので工業的に
生産が行われているが,生産性に乏しく,コスト面から
ポリエチレンに代表される汎用プラスチックスとして代
替し得るには限界がある(繊維と工業,47巻,532
頁(1991)参照のこと)。また,PCLについて
は,繊維,フィルムに成形可能な高重合度のものが得ら
れているが,融点が65℃以下で耐熱性に乏しく,広い
用途には適用できない〔ポリマー サイエンス テクノ
ロジー(Polym. Sci. Technol.),3巻,61頁(197
3)参照のこと〕。さらに,生体吸収性の縫合糸として
実用化されているPGAやグリコリド−ラクチド(9:
1)共重合体は,非生物的な加水分解を受けた後,生体
内で代謝吸収されるが,高価であることに加えて耐水性
に劣るので,汎用プラスチックスとして使用するには適
していない。
【0005】他方,α,ω−脂肪族ジオールとα,ω−
脂肪族ジカルボン酸との融解重縮合によって製造される
脂肪族ポリエステル,例えば,ポリエチレンサクシネー
ト(PES)やポリエチレンアジペート(PEA)及び
ポリブチレンサクシネート(PBS)は古くから知られ
たポリマーで,安価に製造でき,かつ土中への埋没テス
トでも微生物により生分解されることが確認されている
〔インターナショナルバイオディテリオレイション ブ
レティン(Int. Biodetetn. Bull.),11巻,127頁
(1975)及びポリマー サイエンス テクノロジー
(Polym.Sci. Technol.),3巻,61頁(1973)参
照のこと〕が,これらのポリマーは熱安定性に乏しく,
重縮合時に分解反応を併発するので,通常は,2,00
0〜6,000程度の分子量(クロロホルムを用いて濃
度0.5g/デシリットル,30℃で測定した還元比粘
度ηsp/Cは0.3以下)のものしか得られず,繊維
やフィルムとして加工するには十分でなかった。
【0006】そこで,これらの脂肪族ポリエステルの分
子量を上げるためにヘキサメチレンジイソシアナートや
トルエンジイソシアナート等のジイソシアナート類で処
理することが報告されている〔ポリマー ジャーナル
(Polymer J.),2巻,387頁(1971)及び特開
平4−189822号公報参照のこと〕が,これらの方
法では,分子量を増大させる効果があるものの,通常は
反応工程が2段階になり,工程が繁雑になること,ま
た,得られたポリエステルについては,その結晶性や融
点が若干低下することに加えて,分子中にウレタン結合
が含まれてくるので,生分解性が多少劣るという問題点
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記実状に鑑み,本発
明の課題は,生分解性を有し,成形体として利用し得る
融点100℃以上の高分子量の脂肪族ポリエステル及び
このような高分子量の脂肪族ポリエステルを容易に得る
ことができる脂肪族ポリエステルの製造方法の提供にあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記課題
を解決するために種々検討した結果,コハク酸とテトラ
メチレングリコールから製造されるポリブチレンサクシ
ネート又はポリブチレンサクシネートをベースとする脂
肪族ポリエステルは,上記課題を解決することができる
ものであるという知見を得,また,このような脂肪族ポ
リエステルは特定の触媒を用いることによって容易に製
造することができるという知見を得,これらの知見に基
づいて本発明に到達した。
【0009】すなわち本発明の要旨は,第1に,下記一
般式(1)で示される構成単位からなり,還元比粘度が
少なくとも0.8である脂肪族ポリエステルである。 −O−(CH2)4 −O−CO−(CH2)2 −CO− (1) この脂肪族ポリエステルは,コハク酸とテトラメチレン
グリコールとをIIA族元素系触媒,IIB族元素系触媒,
IVA族元素系触媒及びVIII族元素系触媒の中から選ばれ
る1種以上の触媒の存在下で反応させてオリゴマーを得
たのち,IVA族元素系触媒を加えて重縮合することによ
って製造することができる。
【0010】第2に,下記一般式(1)で示される構成
単位と下記一般式(2)で示される構成単位とからな
り,還元比粘度が少なくとも0.8である脂肪族ポリエ
ステルである。 −O−(CH2)4 −O−CO−(CH2)2 −CO− (1) −O−(CH2)4 −O−CO−(CH2)n −CO− (2) (式中nは,2以外の0〜32の整数を表す。)この脂
肪族ポリエステルは,コハク酸と一般式(3)で示され
るα,ω−脂肪族ジカルボン酸とテトラメチレングリコ
ールとをIIA族元素系触媒及びIVA族元素系触媒の存在
下で重縮合することによって製造することができる。 HOOC−(CH2)n −COOH (3) (式中nは,2以外の0〜32の整数を表す。)
【0011】以下,本発明について詳細に説明する。本
発明の脂肪族ポリエステルは,第1に,一般式(1)で
示される構成単位からなるポリブチレンサクシネートよ
りなり,還元比粘度が少なくとも0.8である脂肪族ポ
リエステルである。還元比粘度が0.8未満では,成形
加工性及び成形体とした際の強度が低くなる。
【0012】また,第2に,一般式(1)で示される構
成単位と及び一般式(2)で示される構成単位とからな
り,ポリブチレンサクシネートをベースとする脂肪族ポ
リエステルであり,還元比粘度が少なくとも0.8であ
る脂肪族ポリエステルである。還元比粘度が0.8未満
では,成形加工性及び成形体とした際の強度が低くな
る。また,この脂肪族ポリエステルにおいて一般式
(1)で示される構成単位と一般式(2)で示される構
成単位との割合は1:0.01〜1:0.3であること
が好ましい。
【0013】一般式(1)で示される構成単位よりなる
脂肪族ポリエステルは,コハク酸とテトラメチレングリ
コールとをIIA族元素系触媒,IIB族元素系触媒,IVA
族元素系触媒(本発明においてIVA族元素とは,岩波
理化学辞典 第4版1987年発行によるIVA族元素を
いう。)及びVIII族元素系触媒の中から選ばれる1種以
上の触媒の存在下で反応させてオリゴマーを得たのち,
IVA族元素系触媒を加えて重縮合することによって得ら
れる。これら特定の触媒を用いることを除けば,各種公
知の方法で製造することができる。例えば,J. Am. Che
m. Soc.,52巻,718頁(1930)に記載された方
法に従って,コハク酸とテトラメチレングリコールと
を,これら特定の重合触媒の存在下,窒素下で120〜
250℃の温度で反応させてオリゴマーを合成した後,
特定の重合触媒を加え徐々に減圧,加熱することにより
脱水及び脱グリコール化し,目的とする脂肪族ポリエス
テルを得ることができる。
【0014】オリゴマーを得るためのIIA族元素系触
媒,IIB族元素系触媒,IVA族元素系触媒及びVIII族元
素系触媒としては,例えば,ベリリウム,マグネシウ
ム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,ラジウ
ム,亜鉛,カドニウム,ゲルマニウム,錫,鉛,鉄,コ
バルト,ニッケル,パラジウム等が挙げられ,中でも,
マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウ
ム,亜鉛,ゲルマニウム,錫,コバルト,ニッケルが好
ましく,特にマグネシウム,カルシウム,亜鉛,錫,コ
バルトが好ましい。また,これらの金属は, その有機金
属化合物,有機酸塩,金属アルコキシド,金属酸化物,
金属水酸化物,炭酸塩,リン酸塩,硫酸塩,硝酸塩,塩
化物として用いられ,中でも酢酸塩の形態で用いるのが
好ましい。特に好ましい触媒の具体例としては,酢酸マ
グネシウム・4水和物,酢酸カルシウム・1水和物,酢
酸亜鉛・4水和物,酢酸第1錫,酢酸コバルト・4水和
物等が挙げられ,これらの触媒は2種以上使用してもよ
い。このとき,使用する触媒量としては,コハク酸1モ
ルに対して,1×10-4〜5×10-3モルが好ましく,
2×10-4〜1×10-3モルの範囲で用いるのがより好
ましい。
【0015】また,IVA族元素系触媒としては,例え
ば,チタン, ジルコニウム, ハフニウム等の金属, その
有機金属化合物,有機酸塩,金属アルコキシド,金属酸
化物,金属水酸化物,炭酸塩,リン酸塩,硫酸塩,硝酸
塩,塩化物等を用いるのが好ましい。特に好ましい触媒
としては, テトラ−n−ブチルチタネート,テトライソ
プロピルチタネート等のテトラアルキルチタネート類
で,これらの触媒は2種以上使用してもよい。その際に
使用する触媒量としては,コハク酸1モルに対して1×
10-4〜5×10-3モルが好ましく,2×10-4〜1×
10-3モルの範囲で用いるのがより好ましい。
【0016】オリゴマーを合成する際のコハク酸とテト
ラメチレングリコールの仕込み比率としては, モル比
で, 通常1:1〜1:2.2にするのが好ましく,1:1.
05〜1:1.6にするのがより好ましく,1:1〜1:
1.5にするのが最適である。また,オリゴマーを合成す
る際の反応条件としては,120〜250℃で1〜10
時間行うのが好ましく,150〜220℃で2〜5時
間,大気圧下で,窒素気流下で行うのが,より好まし
い。また,重縮合については,0.01〜10mmHgの減圧
下で150〜250℃で1〜10時間行うのが好まし
く,0.1〜1mmHgの減圧下で200〜240℃で2〜5
時間行うのが,より好ましい。
【0017】このようにして,一般式(1)で示される
構成単位からなり,還元比粘度ηsp/C(クロロホル
ムを用いて,濃度0.5g/デシリットルで30℃のと
きの値)が0.6以上である脂肪族ポリエステルが得ら
れる。しかし,十分な成形加工性と成形体としての強度
を得るために重縮合を進めて還元比粘度を少なくとも
0.8とすることが必要である。還元比粘度が0.8以
上であれば,ジイソシアナート類のような鎖延長剤で処
理しなくても十分な成形加工性を有している。これらの
高分子量脂肪族ポリエステルは,従来の組成及び方法で
は全く得られないものであり,ここに本発明の特徴があ
る。
【0018】また,一般式(1)で示される構成単位と
一般式(2)で示される構成単位からなる脂肪族ポリエ
ステルは,特定の触媒を用いる他は前述のような公知の
製造方法で得ることができる。すなわち,コハク酸と一
般式(3)で示されるα,ω−脂肪族ジカルボン酸とテ
トラメチレングリコールとをIIA族元素系触媒及びIVA
族元素系触媒の存在下に窒素下で120〜250℃で反
応させてオリゴマーを合成した後,徐々に減圧,加熱
し,脱水及び脱グリコール化して,目的とする脂肪族ポ
リエステルを得ることができる。
【0019】一般式(3)で示されるα,ω−脂肪族ジ
カルボン酸としては,例えば,シュウ酸,マロン酸,グ
ルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,アゼ
ライン酸,セバシン酸,ノナンジカルボン酸,デカンジ
カルボン酸,ウンデカジカルボン酸,ドデカンジカルボ
ン酸,トリデカンジカルボン酸,テトラデカンジカルボ
ン酸,ペンタデカンジカルボン酸,ヘキサデカンジカル
ボン酸,ヘプタデカンジカルボン酸,オクタデカンジカ
ルボン酸,ノナデカンジカルボン酸,アイコサンジカル
ボン酸,ヘンアイコサンジカルボン酸,ドコサンジカル
ボン酸,トリコサンジカルボン酸,テトラコサンジカル
ボン酸,ヘキサコサンジカルボン酸,トリアコンタンジ
カルボン酸,テトラトリアコンタンジカルボン酸等が挙
げられ,中でもアジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,
アゼライン酸,セバシン酸が好ましい。
【0020】オリゴマーを合成する際,コハク酸と一般
式(3)で示されるα,ω−脂肪族ジカルボン酸とテト
ラメチレングリコール成分との仕込み比率としては, モ
ル比で, 通常1:1〜1:2.2にするのが好ましく,
1:1.05〜1:1.6にするのがより好ましく,1:1
〜1:1.5にするのが最適である。また,コハク酸と一
般式(3)で示されるα,ω−脂肪族ジカルボン酸との
仕込み比率としては,1:1.05〜1:0.3にするのが
好ましい。反応条件については,120〜250℃で1
〜10時間反応させるのが好ましく,150〜220
℃,2〜5時間,大気圧,窒素気流下で行うのがより好
ましい。また,脱水及び脱グリコール化による重合反応
としては,0.01〜10mmHgの減圧下で150〜250
℃で1〜10時間行うのが好ましく,0.1〜1mmHgの減
圧下で200〜240℃で2〜5時間行うのがより好ま
しい。
【0021】重合触媒としては,IIA族元素及びIVA族
元素が用いられ,両触媒を一貫して存在させてもよい
が,IIA族元素は,オリゴマーを合成する際に添加する
のが好ましく,IVA族元素については,オリゴマー合成
時もしくは脱水及び脱グリコール化による重合反応時に
添加するのが好ましい。IIA族元素系触媒としては,例
えば,ベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロ
ンチウム,バリウム,ラジウム等の金属,その有機金属
化合物,有機酸塩,金属アルコキシド,金属酸化物,金
属水酸化物,炭酸塩,リン酸塩,硫酸塩,硝酸塩,塩化
物等が挙げられるが,その中でも酢酸塩の形態で用いる
のが好ましい。特に好ましい触媒の具体例をあげれば,
酢酸マグネシウム・4水和物,酢酸カルシウム・1水和
物,酢酸ストロンチウム・1/2水和物,酢酸バリウム
等であり,これらの触媒としては,2種以上使用しても
よい。また,その際,使用する触媒量としては,コハク
酸1モルに対して1×10-4〜5×10-3モルが好まし
く,2×10-4〜1×10-3モルの範囲で用いるのがよ
り好ましい。
【0022】また,IVA族元素系触媒としては,例え
ば,チタン,ジルコニウム,ハフニウム等の金属,その
有機酸塩,金属アルコキシド,金属酸化物,金属水酸化
物,炭酸塩,リン酸塩,硫酸塩,硝酸塩,塩化物等が挙
げられ,特に好ましい触媒の具体例を挙げれば,テトラ
−n−ブチルチタネート,テトライソプロピルチタネー
ト等のテトラアルキルチタネート類で,これらの触媒は
2種以上使用してもよい。その際に使用する触媒量とし
ては,コハク酸1モルに対して1×10-4〜5×10-3
モルが好ましく,2×10-4〜1×10-3モルモルの範
囲で用いるのがより好ましい。
【0023】上記のようにして還元比粘度ηsp/C
(クロロホルムを用いて,濃度0.5g/デシリットル
で30℃のときの値)が0.6以上である一般式(1)
で示される構成単位と一般式(2)で示される構成単位
からなる脂肪族ポリエステルが得られる。しかし,十分
な成形加工性と成形体としての強度を得るために,重縮
合を進めて,還元比粘度は少なくとも0.8とすること
が必要である。還元比粘度が0.8以上であれば,ジイ
ソシアナート類のような鎖延長剤で処理しなくても十分
な成形加工性を有している。これらの高分子量脂肪族ポ
リエステルは,従来の組成及び方法では全く得られない
ものであり,ここに本発明の特徴がある。
【0024】本発明の脂肪族ポリエステルは,いずれも
熱可塑性であり,通常は100℃以上の融点を有してい
るので,様々の用途に適用することができる。例えば,
生分解性ポリマーとしてフィルム,繊維あるいはシート
等に加工して,各種ボトル,ショッピングバッグ,包装
材料,合成糸,釣糸,漁網,不織布,農業用マルチフィ
ルム等として利用することができる。また,本発明の脂
肪族ポリエステルは,これ以外にもホットメルト接着
剤,塗料,ウレタンエラストマーのベース樹脂としても
利用できる。
【0025】本発明の脂肪族ポリエステルを生分解性ポ
リマーとして利用する際,微生物選択性は特に明らかで
はないが,通常の土壌中への埋没試験や下水処理場で採
用される活性汚泥曝気槽に浸漬する方法によって生分解
性を容易に確認することができる。すなわち,成形品を
土壌中に所定期間埋没させた後,この成形品の分子量を
測定するか,あるいはその表面形態を埋没前のそれと比
較することにより確認することができる。
【0026】
【実施例】以下,本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお,各値は以下のようにして求めた。
【0027】(1)還元比粘度(ηsp/C) ウベローデ粘度計を用いて,濃度0.5g/デシリット
ルでのポリマー溶液粘度を測定することにより求め,分
子量の目安とした。 測定条件:溶媒としてクロロホルムを用い,30℃で測
定した。
【0028】(2)融 点 ヤナコ社製微量融点測定装置MP−S3を用い,昇温速
度1〜2℃/minで測定した。
【0029】(3)外 観 目視もしくは光学顕微鏡観察により判定した。 A:ひどく損傷 B:かなり損傷 C:やや損傷
D:不 変
【0030】(4)フィルム強度 JIS K−7327に従い,所定サイズの試料を作成
し,インテスコ社製精密万能試験機2020型を用いて
測定した。
【0031】実施例1 攪拌機,ウィグリュー分留管及びガス導入管を付した三
つ口フラスコに,コハク酸47.2g(0.400モル),
テトラメチレングリコール46.9g(0.520モル),
及び酢酸マグネシウム・4水和物0.026g(1.2×1
-4モル)を入れ,油浴中に浸した。この油浴を200
℃に昇温し,窒素をゆっくり融解液中に流し,200℃
の温度で3時間要して生成する水と過剰のテトラメチレ
ングリコールを留去し,オリゴマーを得た。次いで,テ
トラ−n−ブチルチタネート0.14g(4.0×10-4
ル)を加え,温度を220℃に上げ,窒素下で2mmHgの
減圧下で2時間,さらに温度を240℃に上げ,1mmHg
以下の減圧下で1時間加熱して,粘調なポリマー液68.
8gを得た。このポリマーのηsp/cは1.18(濃度
0.5g/デシリットル,30℃,クロロホルム中)であ
り,融点は115℃であった。
【0032】実施例2 酢酸マグネシウム・4水和物の代わりに,酢酸カルシウ
ム・1水和物0.021g(1.2×10-4モル)を用いる
以外は,実施例1と全く同様にして目的とするポリマー
68.8gを得た。このポリマーのηsp/cは0.95
(濃度0.5g/デシリットル,30℃,クロロホルム
中)であり,融点は114℃であった。
【0033】実施例3 酢酸マグネシウム・4水和物の代わりに,酢酸亜鉛・4
水和物0.026g(1.2×10-4モル)を用いる以外
は,実施例1と全く同様にして目的とするポリマー68.
7gを得た。このポリマーのηsp/cは0.87(濃度
0.5g/デシリットル,30℃,クロロホルム中)であ
り,融点は114℃であった。
【0034】実施例4 酢酸マグネシウム・4水和物の代わりに,酢酸第1錫0.
033g(1.4×10-4モル)を用いる以外は,実施例
1と全く同様にして目的とするポリマー68.7gを得
た。このポリマーのηsp/cは0.83(濃度0.5g/
デシリットル,30℃,クロロホルム中)であり,融点
は114℃であった。
【0035】実施例5 攪拌機,ウィグリュー分留管及びガス導入管を付した三
つ口フラスコに,コハク酸118g(1.00モル),テ
トラメチレングリコール126g(1.40モル)及び酢
酸コバルト・4水和物0.075g(3.0×10-4モル)
を入れ,油浴中に浸した。この油浴を200℃に昇温
し,窒素をゆっくり融解液中に流し,200℃の温度で
3時間要して生成する水と過剰のテトラメチレングリコ
ールを留去し,オリゴマーを得た。次いで,テトライソ
プロピルチタネート0.28g(1.0×10-3モル)を加
え,温度を220℃に上げ,窒素下で2mmHgの減圧下で
2時間,さらに1mmHg以下の減圧下で2時間加熱するこ
とにより,粘調なポリマー液172gを得た。このポリ
マーのηsp/cは1.01(濃度0.5g/デシリット
ル,30℃,クロロホルム中)であり,融点は115℃
であった。
【0036】参考例1〜5 実施例1〜5で得たポリマーを,熱プレス機を用いてそ
の融点より30〜40℃高い温度で融解加圧し,50μ
m厚のフィルムを作成した。次いで,このフィルムを5
cm×5cmに切断し,土中(個人住宅の庭,表層5〜10
cmのところ)に埋め込み,初期,3ヵ月,6ヵ月後のフ
ィルムの状態を調べ,生分解性の評価を行った。その結
果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より,本発明の脂肪族ポリエステル
は,生分解性を有していることが明らかである。
【0039】実施例6 攪拌機,ウィグリュー分留管及びガス導入管を付した三
つ口フラスコに,コハク酸42.5g(0.360モル),
アジピン酸5.85g(0.040モル),テトラメチレン
グリコール46.9g(0.520モル)及び酢酸カルシウ
ム・1水和物0.021g(1.2×10-4モル)を入れ,
油浴中に浸した。この油浴を200℃に昇温し,窒素を
ゆっくり融解液中に流し,200℃の温度で3時間要し
て生成する水と過剰のテトラメチレングリコールを留去
し,オリゴマーを得た。次いで,テトラ−n−ブチルチ
タネート0.14g(4.0×10-4モル)を加え,温度を
220℃に上げ,窒素下で2mmHgの減圧下で2時間,さ
らに1mmHg以下の減圧下で1時間加熱することにより,
粘調なポリマー液69.9gを得た。このポリマーのηs
p/cは0.86(濃度0.5g/デシリットル,30℃,
クロロホルム中)であり,融点は104℃であった。
【0040】実施例7 アジピン酸5.85gの代わりにセバシン酸8.08g(0.
040モル)を用いること以外は,実施例1と全く同様
にして目的とするポリマー72.1gを得た。このポリマ
ーのηsp/cは1.00(濃度0.5g/デシリットル,
30℃,クロロホルム中)であり,融点は108℃であ
った。
【0041】実施例8 攪拌機,ウィグリュー分留管及びガス導入管を付した三
つ口フラスコに,コハク酸100g(0.85モル),セ
バシン酸30.3g(0.15モル),テトラメチレングリ
コール113g(1.25モル)及び酢酸マグネシウム・
4水和物0.064g(3.0×10-4モル)を入れ,油浴
中に浸した。この油浴を200℃に昇温し,窒素をゆっ
くり融解液中に流し,200℃の温度で4時間要して生
成する水と過剰のテトラメチレングリコールを留去し,
オリゴマーを得た。次いで,テトラ−n−ブチルチタネ
ート0.34g(1.0×10-3モル)を加え,温度を22
0℃に上げ,窒素下で2mmHgの減圧下で2時間,さらに
温度を240℃に上げ,1mmHg以下の減圧下で1時間加
熱することにより,粘調なポリマー液184gを得た。
このポリマーのηsp/cは0.95(濃度0.5g/デシ
リットル,30℃,クロロホルム中)であり,融点は1
03℃であった。
【0042】実施例9 セバシン酸30.3gの代わりにスベリン酸26.1g(0.
15モル)を用いること以外は,実施例3と全く同様に
して目的とするポリマー180gを得た。このポリマー
のηsp/cは1.01(濃度0.5g/デシリットル,3
0℃,クロロホルム中)であり,融点は104℃であっ
た。
【0043】実施例10 テトラ−n−ブチルチタネート0.34gの代わりにテト
ライソプロピルチタネート0.29g(1.0×10-3
ル)を用いること以外は,実施例3と全く同様にして目
的とするポリマー184gを得た。このポリマーのηs
p/cは0.92(濃度0.5g/デシリットル,30℃,
クロロホルム中)であり,融点は103℃であった。
【0044】参考例6〜10 実施例6〜10で得たポリマーを,熱プレス機を用いて
その融点より30〜40℃高い温度で融解加圧し,50
μm厚のフィルムを作成した。次いで,このフィルムを
5cm×5cmに切断し,土中(個人住宅の庭,表層5〜1
0cmのところ)に埋め込み,初期,3ヵ月,6ヵ月後の
フィルムの状態を調べ,生分解性の評価を行った。その
結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2より,本発明の脂肪族ポリエステル
は,生分解性を有していることが明らかである。なお,
比較例として,市販のポリエチレンフィルム及びポリエ
ステルフィルム(いずれも50μm厚)を用いて同様に
実施したが,外観,フィルム強度ともいずれも変化が認
められなかった。
【0047】
【発明の効果】本発明の脂肪族ポリエステルは,生分解
性を有しているとともに,融点が100℃以上の高分子
量で,成形性に優れている。したがって,各種形状に加
工して生分解性のフィルム,繊維,シートとして利用す
ることができる。さらに,本発明の製造方法によれば,
このような脂肪族ポリエステルを容易に得ることができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示される構成単位か
    らなり,還元比粘度が少なくとも0.8である脂肪族ポ
    リエステル。 −O−(CH2)4 −O−CO−(CH2)2 −CO− (1)
  2. 【請求項2】 コハク酸とテトラメチレングリコールと
    をIIA族元素系触媒,IIB族元素系触媒,IVA族元素系
    触媒及びVIII族元素系触媒の中から選ばれる1種以上の
    触媒の存在下で反応させてオリゴマーを得たのち,IVA
    族元素系触媒を加えて重縮合することを特徴とする請求
    項1記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 下記一般式(1)で示される構成単位と
    下記一般式(2)で示される構成単位とからなり,還元
    比粘度が少なくとも0.8である脂肪族ポリエステル。 −O−(CH2)4 −O−CO−(CH2)2 −CO− (1) −O−(CH2)4 −O−CO−(CH2)n −CO− (2) (式中nは,2以外の0〜32の整数を表す。)
  4. 【請求項4】 コハク酸と一般式(3)で示されるα,
    ω−脂肪族ジカルボン酸とテトラメチレングリコールと
    をIIA族元素系触媒及びIVA族元素系触媒の存在下で重
    縮合することを特徴とする請求項3記載の脂肪族ポリエ
    ステルの製造方法。 HOOC−(CH2)n −COOH (3) (式中nは,2以外の0〜32の整数を表す。)
JP9885193A 1993-03-22 1993-03-31 脂肪族ポリエステル及びその製造方法 Pending JPH06322081A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9885193A JPH06322081A (ja) 1993-03-31 1993-03-31 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
PCT/JP1994/000447 WO1994021708A1 (en) 1993-03-22 1994-03-18 Aliphatic polyester and process for producing the same
CA002136311A CA2136311A1 (en) 1993-03-22 1994-03-18 Aliphatic polyesters and method of preparing the same
US08/341,570 US5504148A (en) 1993-03-22 1994-03-18 Aliphatic polyesters and method of preparing the same
EP94910048A EP0647668A4 (en) 1993-03-22 1994-03-18 ALIPHATIC POLYESTER AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF.

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9885193A JPH06322081A (ja) 1993-03-31 1993-03-31 脂肪族ポリエステル及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06322081A true JPH06322081A (ja) 1994-11-22

Family

ID=14230741

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9885193A Pending JPH06322081A (ja) 1993-03-22 1993-03-31 脂肪族ポリエステル及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06322081A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0710685A2 (en) 1994-11-01 1996-05-08 Nippon Shokubai Co., Ltd. Process for producing aliphatic polyester
JPH09221542A (ja) * 1995-10-31 1997-08-26 Nippon Shokubai Co Ltd 脂肪族ポリエステルの製造方法
JP2006169397A (ja) * 2004-12-16 2006-06-29 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 脂肪族ポリエステルの製造方法
JP2007119597A (ja) * 2005-10-28 2007-05-17 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ポリ乳酸の製造方法
JP2008001847A (ja) * 2006-06-26 2008-01-10 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 脂肪族ポリエステルの製造方法
CN113896868A (zh) * 2021-09-28 2022-01-07 天津工业大学 一种以丁二酸二甲酯为原料制备聚丁二酸丁二酯的方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0710685A2 (en) 1994-11-01 1996-05-08 Nippon Shokubai Co., Ltd. Process for producing aliphatic polyester
US5616681A (en) * 1994-11-01 1997-04-01 Nippon Shokubai Co., Ltd. Process for producing aliphatic polyester
JPH09221542A (ja) * 1995-10-31 1997-08-26 Nippon Shokubai Co Ltd 脂肪族ポリエステルの製造方法
JP2006169397A (ja) * 2004-12-16 2006-06-29 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 脂肪族ポリエステルの製造方法
JP2007119597A (ja) * 2005-10-28 2007-05-17 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ポリ乳酸の製造方法
JP2008001847A (ja) * 2006-06-26 2008-01-10 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 脂肪族ポリエステルの製造方法
CN113896868A (zh) * 2021-09-28 2022-01-07 天津工业大学 一种以丁二酸二甲酯为原料制备聚丁二酸丁二酯的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mandal et al. PET chemistry
EP0565235A2 (en) Aliphatic polyester containing urethane bonds
JP2010007087A (ja) 脂肪族ポリエステルの製造方法
UA112561C2 (uk) Спосіб отримання аліфатичних поліестерів
US5504148A (en) Aliphatic polyesters and method of preparing the same
JPH06322081A (ja) 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
JP4635475B2 (ja) 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
JP2013047339A (ja) 透明共重合ポリエステル、透明共重合ポリエステルの調製方法、および、透明共重合ポリエステルを含んでなる物品
JP3478513B2 (ja) 生分解性フィルム
JP2005247965A (ja) 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
JP2676127B2 (ja) 生分解性ポリエステルの製造方法
JP3342579B2 (ja) 脂肪族ポリエステルの製造方法
JPH06336519A (ja) ポリエチレンサクシネート及びその製造方法
JPH09169835A (ja) 生分解性ポリエステルおよびその製造方法
JPH06271656A (ja) 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
JP3342570B2 (ja) ポリエチレンサクシネートの製造方法
JPH06145313A (ja) 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
KR20140042695A (ko) 바이오 매스 유래 성분을 포함한 폴리에스테르 수지 및 이의 제조 방법
JPH0753695A (ja) ポリエステルカーボネートの製造方法
JPH0873582A (ja) 脂肪族ポリエステルの製造方法
JP2002294045A (ja) 脂肪族ポリエステル共重合体/でんぷんブレンド樹脂組成物及び成形体
JP3923792B2 (ja) 高分子量脂肪族ポリエステル共重合体及びその製造方法
JPH06322091A (ja) 高分子量の脂肪族ポリエステルの製造方法
JPH06145283A (ja) 生分解性ポリマー
JP2005120359A (ja) 高分子量ポリオキサレート樹脂及びその製造方法